(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(54)【発明の名称】前立腺がんの治療のためのCYP11A1阻害薬としての2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[B][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(フェニル)-ピリジン-3-イル)メタノン誘導体および類似化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 241/38 20060101AFI20231130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231130BHJP
C07D 413/06 20060101ALI20231130BHJP
C07D 401/06 20060101ALI20231130BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20231130BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20231130BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20231130BHJP
C07D 403/06 20060101ALI20231130BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20231130BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20231130BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/538 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20231130BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C07D241/38
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
C07D413/06 CSP
C07D401/06
C07D471/04 113
C07D405/14
C07D413/14
C07D403/06
C07D401/14
C07D413/12
C07D401/12
A61P43/00 111
A61K31/538
A61K31/4709
A61K31/444
A61K31/497
A61K31/498
A61K31/501
A61K31/4439
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533363
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 FI2021050828
(87)【国際公開番号】W WO2022117920
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300046083
【氏名又は名称】オリオン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン ベッレ、ダビド
(72)【発明者】
【氏名】ピエチケイネン、ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】ルマッコ、ペッテリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォールファールト、ゲルト
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB03
4C063BB04
4C063BB08
4C063CC12
4C063CC14
4C063CC28
4C063CC34
4C063CC54
4C063CC76
4C063CC78
4C063DD06
4C063DD12
4C063DD14
4C063DD28
4C063DD34
4C063EE01
4C065AA05
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP12
4C065PP14
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC28
4C086BC41
4C086BC52
4C086BC74
4C086CB09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、式(I)(式中、Aは、3~10員カルボシクリルまたはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリルであり;Bは、以下の基(1)、(2)または(3)のいずれかであり;Cは、以下の基(1’)、(2’)、(3’)または(4’)のいずれかであり;G
1はCH
2、NHまたはOであり;G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-である)の化合物に関する。式(I)の化合物は、チトクロムP450モノオキシゲナーゼ11A1(CYP11A1)阻害薬である。本化合物は、前立腺がんおよびエストロゲンがんを含むがんなどの、ステロイド受容体、例えばアンドロゲン受容体またはエストロゲン受容体、依存性の疾患および症状の治療における医薬として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化1】
(式中、
Bは以下の基のいずれかであり
【化2】
Bが基(1)または(2)である場合、
Aは3~10員カルボシクリルまたはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリルであり;
Cは以下の基のいずれかであり
【化3】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり;
Bが基(3)である場合、
Aは以下の基のいずれかであり
【化4】
ただし、Cが環(3’)である場合は、Aは環(2'')または環(7'')ではなく;
Cは以下の基のいずれかであり
【化5】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキル、-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり、
ただし、式(I)の化合物は
(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン;
(8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシメチル-1(2H)-キノリニル)(6-(1-ピロリジニル)-2-ピラジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-3-メトキシ-1(2H)-キノリニル)(6-フェニル-4-ピリダジニル)メタノン;
(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-4-メチル-1(2H)-キノキサキリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(6,8-ジフルオロ-3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(1-ピロリジニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(5-(4-メトキシフェニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;または
(2,3-ジヒドロ-1H-インドル-1-イル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン
ではない)。
【請求項2】
Bが基(1)または基(3)である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zが-C(O)-である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Lが結合である請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
基Cが(1’)である請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
G
1がCH
2またはOである請求項5記載の化合物。
【請求項7】
G
2がNであり、かつG
3がCHである請求項5または6記載の化合物。
【請求項8】
G
2がCHであり、かつG
3がNである請求項5または6記載の化合物。
【請求項9】
R
1が、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシC
1-7アルキルまたはハロゲンC
1-7アルキルである請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2が、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンである請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R
3が水素である請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R
4が、水素、C
1-7アルキル、ハロゲンまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルである請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
5が水素である請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
Bが基(3)であり、そしてAが以下の基のいずれかである
【化6】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Bが基(1)または(2)であり、そしてAが以下の基のいずれかである
【化7】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
Aが以下の基のいずれかである
【化8】
請求項15記載の化合物。
【請求項17】
式(IA)により表される請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化9】
(式中、
DはNまたはCHであり;
GはCH
2、NHまたはOであり;
MはCHまたはNであり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシまたはハロゲンであり;
R
2は水素またはハロゲンであり;
R
3は水素またはC
1-7アルキルであり;
R
4は水素、C
1-7アルキル、ハロゲンまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
Aは以下の基のいずれかであり
【化10】
ただし、式(I)の化合物は、
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン;または
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン
ではない)。
【請求項18】
Aが基(1'')、(2a)、(3a)、(9b)または(10a)である請求項17記載の化合物。
【請求項19】
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物1);
(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物2);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物3);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物4);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン-3-イル)メタノン(化合物5);
(4-アミノ-5-フェニルピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物6);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)メタノン(化合物7);
(6-(ベンゾ[d]オキサゾル-6-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物8);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物9);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物10);
(5-(4-クロロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物11);
(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物12);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物13);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物14);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-フェニルピラジン-2-イル)メタノン(化合物15);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物16);
(5-(4-クロロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物17);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物18);
(5-(3,4-ジフルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物19);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物20);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(4-メチル-3,4-ジヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物21);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(2-メチル-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物22);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物23);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物24);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3-メトキシフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物25);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(3-メチル-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物26);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物27);
(5-(2,4-ジフルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物28);
(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物29);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)メタノン(化合物30);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(4-メチル-3,4-ジヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物31);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-ニトロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物32);
(5-(シクロへクス-1-エン-1-イル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物33);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物34);
エチル 4-(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-2-カルボキシレート(化合物35);
1-(5-フェニルニコチノイル)-2,3-ジヒドロキノリン-4(1H)-オン(化合物36);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(6-フェニルピラジン-2-イル)メタノン(化合物37);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(3-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物38);
(5-(1H-ピロール-1-イル)ピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物39);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)メタノン(化合物40);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物41);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物42);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物43);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物44);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物45);
4-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)スルホニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(化合物46);
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(化合物47);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物48);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6’-フルオロ-[3,3’-ビピリジン]-5-イル)メタノン(化合物49);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物50);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(1-フェニルビニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物51);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-フェニルピリダジン-4-イル)メタノン(化合物52);
(6-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物53);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物54);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物55);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((4aS,8aS)-オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物56);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((4aR,8aR)-オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物57);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物58);
(5-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物59);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(インドリン-1-イル)メタノン(化合物60);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物61);
[3,4’-ビピリジン]-5-イル(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物62);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(1-メチル-1H-ピラゾル-5-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物63);
(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)(2-メチル-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物64);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物65);
(5-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物66);
メチル 1-(5-フェニルニコチノイル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(化合物67);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物68);
(7-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物69);
[3,3’-ビピリジン]-5-イル(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物70);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(p-トリル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物71);
(5-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピリジン-3-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物72);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物73);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物74);
2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(6,6-ジメチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物75);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物76);
(6-(3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物77);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物78);
1-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物79);
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物80);
4-((5-フェニルピリジン-3-イル)メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(化合物81);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物82);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物83);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物84);
(6-ベンジルピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物85);
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物86);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3,5-ジメチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物87);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物88);
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(化合物89);または
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メチル)インドリン(化合物90);
またはその互変異性体または薬学的に許容され得る塩である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
医薬としての使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化11】
(式中、
Aは、3~10員カルボシクリルまたはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリルであり;
Bは以下の基
【化12】
のいずれかであり、
Cは以下の基
【化13】
のいずれかであり;
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルである)。
【請求項21】
ステロイド受容体依存性症状または疾患の治療における使用のための、請求項20記載の使用のための化合物。
【請求項22】
ステロイド受容体依存性症状または疾患が、がんである請求項21記載の使用のための化合物。
【請求項23】
ステロイド受容体依存性症状または疾患が、前立腺がんまたは乳がんである請求項22記載の使用のための化合物。
【請求項24】
式(I)の化合物が、グルココルチコイドおよび/またはミネラルコルチコイド、ならびに任意には1つまたは複数の抗がん剤に加えて投与される、請求項20~23のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【請求項25】
式(I)の化合物が、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト;
-ステロイド生成阻害薬;
-化学療法剤;
-抗エストロゲン;
-エピジェネティックモジュレータ;
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬;および
-CDK4/6阻害薬
からなる群より選択される1つまたは複数の抗がん剤に加えて、同時に、別々にまたは連続して投与される請求項20~24のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
【請求項26】
ステロイド受容体依存性の症状または疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化14】
(式中、
Aは、3~10員カルボシクリルまたはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリルであり;
Bは以下の基
【化15】
のいずれかであり、
Cは以下の基
【化16】
のいずれかであり;
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルである)
を投与することを含む方法。
【請求項27】
ステロイド受容体依存性症状または疾患が、がんである請求項26記載の方法。
【請求項28】
ステロイド受容体依存性症状または疾患が、前立腺がんまたは乳がんである請求項27記載の方法。
【請求項29】
治療に有効な量の式(I)の化合物が、グルココルチコイドおよび/またはミネラルコルチコイド、ならびに任意には1つまたは複数の抗がん剤に加えて投与される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
治療に有効な量の式(I)の化合物が、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト;
-ステロイド生成阻害薬;
-化学療法剤;
-抗エストロゲン;
-エピジェネティックモジュレータ;
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬;および
-CDK4/6阻害薬
からなる群より選択される1つまたは複数の抗がん剤に加えて、同時に、別々にまたは連続して投与される請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
請求項1記載の化合物を薬学的に許容され得る担体と共に含む医薬組成物。
【請求項32】
請求項1記載の化合物と、
-グルココルチコイド、
-ミネラルコルチコイド、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、
-ステロイド生成阻害薬、
-化学療法剤、
-抗エストロゲン、
-エピジェネティックモジュレータ、
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬;および
-CDK4/6阻害薬
からなるリストから選択される少なくとも1つの追加の活性成分とを含む、同時、別々または連続投与のための医薬的組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン受容体(AR)またはエストロゲン受容体(ER)などのステロイド受容体依存性の症状および疾患の治療において有用な、治療的に活性な化合物、およびそのような化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)依存性がんやエストロゲン受容体(ER)依存性がんなどのステロイド受容体依存性疾患の治療は、広範に研究されている。例えば前立腺がんは、世界中で男性におけるもっとも一般的ながんの一つである。限局性前立腺がんの患者の5年生存率が高いにもかかわらず、5年間の追跡期間内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)を発症した患者の予後は不良である。
【0003】
アンドロゲン受容体(AR)のシグナル伝達軸は、前立腺がんの全てのステージにおいて重要な意味をもつ。CPRCステージ(去勢抵抗性前立腺がん)において、疾患は高いAR発現、AR増幅、ならびに、残存組織/腫瘍アンドロゲンによるまた他のステロイドホルモンおよびステロイド生合成の中間体によるARシグナル伝達軸の持続的な活性化により特徴付けられる。したがって、進行性の前立腺がんの治療は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト/アンタゴニストを用いるホルモン操作、外科的去勢、ARアンタゴニストまたはCYP17A1阻害薬(プレドニゾンと組み合わせた酢酸アビラテロンなど)などのアンドロゲン-除去療法(ADT)を伴う。
【0004】
治療は、初期には疾患の退行を導くが、最終的には、多くの患者は現行の治療法が無効である疾患を発症する。酢酸アビラテロンで治療した患者におけるプロゲステロンレベルの上昇は、耐性機序の1つであると仮定されている。いくつかの非臨床および臨床研究は、CRPCの後期ステージでのステロイド生合成を触媒する酵素の上方調節を指摘している。ごく最近、11β-OHアンドロステンジオンが、テストステロンおよびジヒドロテストステロンと同様に効率的にARに結合し活性化することのできる11-ケトテストステロン(11-K-T)および11-ケトデヒドロテストステロン(11-K-DHT)に代謝され得ることが公表された。これらのステロイドは、前立腺がん患者の血漿および組織において高レベルで見出され、CRPCにおけるARアゴニストとしてのそれらの役割が示唆されているということが示されている。さらに、CYP17A1阻害に抵抗性の前立腺がんは、なおステロイド依存性であり、CYP11A1阻害療法によるなど、CYP17A1の上流のデノボ腫瘍内ステロイド合成をさらに抑制することができる治療に応答する可能性があることが取り上げられている(非特許文献1)。
【0005】
コレステロール側鎖切断酵素とも呼ばれる、チトクロムP450モノオキシゲナーゼ11A1(CYP11A1)は、コレステロールのプレグネノロン(すべてのステロイドホルモンの前駆体)への変換を触媒するミトコンドリアモノオキシゲナーゼである。CYP17A1の上流のステロイド生合成の重要な酵素であるCYP11A1を阻害することにより、全ステロイド生合成の全体的な阻止を達成することができる。CYP11A1阻害薬は、したがって、前立腺がんなどのステロイドホルモン依存性がんを、疾患の進行したステージにおいてさえ、かつ特にホルモン抵抗性であると考えられるそれらの患者において、治療する大きな可能性を有し得る。CYP11A1阻害作用を有する化合物が、マウスのCRPCキセノグラフトモデルにおいてインビボで腫瘍の増殖を有意に阻害したということが示された(非特許文献2)。CYP11A1阻害薬は、以前の特許文献1に説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cai, C. et al, Cancer Res., 71(20), 6503-6513, 2011
【非特許文献2】Oksala, R. et al, Annals of Oncology, (2017) 28 (suppl. 5): Abstract/Poster 28P
【発明の概要】
【0008】
式(I)の化合物が強力なCYP11A1阻害薬であることを見出した。本発明の化合物は、したがって、特にCYP11A1の阻害が望まれるステロイドホルモン依存性の症状および疾患の治療における医薬として有用である。そのような症状および疾患としては、前立腺がんおよび乳がんなどの内分泌がんおよび疾患が挙げられるが、それらに限定されるものではない。特に、本発明の化合物は、前立腺がんなどのAR依存性症状および疾患の治療において有用である。
【0009】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化1】
(式中、
Bは以下の基のいずれかであり
【化2】
Bが基(1)または(2)である場合、
Aは3~10員カルボシクリル環またはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリル環であり;
Cは以下の基のいずれかであり
【化3】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり;
Bが基(3)である場合、
Aは以下の基のいずれかであり
【化4】
ただし、Cが環(3’)である場合は、Aは環(2'')または環(7'')ではなく;
Cは以下の基のいずれかであり
【化5】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキル、-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり;
ただし、式(I)の化合物は
(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン;
(8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシメチル-1(2H)-キノリニル)(6-(1-ピロリジニル)-2-ピラジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-3-メトキシ-1(2H)-キノリニル)(6-フェニル-4-ピリダジニル)メタノン;
(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-4-メチル-1(2H)-キノキサキリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(6,8-ジフルオロ-3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(1-ピロリジニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(5-(4-メトキシフェニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;または
(2,3-ジヒドロ-1H-インドル-1-イル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン
ではない)に関する。
【0010】
一実施態様によれば、本発明は、ステロイド受容体依存性の症状および疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化6】
(式中、
Aは、3~10員カルボシクリル環またはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリル環であり;
Bは以下の基のいずれかであり
【化7】
Cは以下の基のいずれかであり
【化8】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルである)
の治療的に有効な量を投与することを含む、治療方法を提供する。
【0011】
一実施態様によれば、ステロイド受容体依存性症状または疾患としては、前立腺がん、特に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、および乳がんなどの内分泌がんおよび疾患が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0012】
一実施態様によれば、本発明は、式(I)の化合物を薬学的に許容され得る担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、CYP11A1阻害薬として有用である、新規な式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0014】
本発明の実施態様の一つは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
【化9】
(式中、
Bは以下の基のいずれかであり
【化10】
Bが基(1)または(2)である場合、
Aは3~10員カルボシクリル環またはO、NまたはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員ヘテロシクリル環であり;
Cは以下の基のいずれかであり
【化11】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキルまたは-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり;
Bが基(3)である場合、
Aは以下の基のいずれかであり
【化12】
ただし、Cが環(3’)である場合は、Aは環(2'')または環(7'')ではなく;
Cは以下の基のいずれかであり
【化13】
G
1はCH
2、NHまたはOであり;
G
2およびG
3は、独立してCHまたはNであり;
Zは、-C(O)-、-SO
2-、-C
1-3アルキル-または-CH
2-C(O)-であり;
Lは、結合、-C
1-7アルキル-または-C
1-7アルケニル-であり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲンC
1-7アルキル、ヒドロキシC
1-7アルキル、-O-ハロゲンC
1-7アルキル、-X-NR
6R
7であり;
R
2は、水素、ヒドロキシ、C
1-7アルキルまたはハロゲンであり;
R
3は、水素、C
1-7アルキルまたはアミノであり;
R
4は、水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシC
1-7アルキル、ハロゲンC
1-7アルキルまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
R
5は、水素、ハロゲン、C
1-7アルコキシまたはC
1-7アルキルであり;
Xは、結合またはC
1-7アルキルであり;
R
6およびR
7は、独立して、水素またはC
1-7アルキルであり;
ただし、式(I)の化合物は
(7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン;
(8-フルオロ-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシメチル-1(2H)-キノリニル)(6-(1-ピロリジニル)-2-ピラジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-3-メトキシ-1(2H)-キノリニル)(6-フェニル-4-ピリダジニル)メタノン;
(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-4-メチル-1(2H)-キノキサキリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(6,8-ジフルオロ-3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-(1-ピロリジニル)-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;
(5-(4-メトキシフェニル)-3-ピリジニル)(オクタヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン;または
(2,3-ジヒドロ-1H-インドル-1-イル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン
ではない)
を提供する。
【0015】
Zの左の結合は、式(I)の環Bにつながっていることは理解されるべきである。基Aの波線はLへの結合位置を示す。基Cの波線はZへの結合位置を示す。基Bの左の波線はLへの結合位置を示し、基Bの右の波線はZへの結合位置を示す。
【0016】
一実施態様によれば、具体的に、Bが基(1)または基(3)である、例えばBが基(1)であり、また別の例ではBが基(3)である、式(I)の化合物が提供される。
【0017】
なお一実施態様によれば、具体的には、Zが-C(O)-、SO2-、-CH2-または-CH2-C(O)-である、上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。別の実施態様によれば、具体的には、Zが-C(O)-である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。なお一実施態様によれば、具体的には、Lが結合、-C1-3アルキル-または-C1-3アルケニル-である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。前述の実施態様のサブグループにおいて、Lは結合、-CH2-または-C(CH2)-である。なお一実施態様によれば、具体的には、Lが結合である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。なお一実施態様によれば、具体的には、Cが基(1’)または(2’)である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。なお一実施態様によれば、具体的には、Cが基(1’)である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0018】
なお一実施態様によれば、具体的には、G1がCH2またはOである、例えばG1がCH2である、別の例としてはG1がOである、上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。一態様において、G2がNでありかつG3がCHである、またはG2がCHでありかつG3がNである上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0019】
一実施態様によれば、具体的には、R1が水素、C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシC1-7アルキルまたはハロゲンC1-7アルキルである上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。別の実施態様によれば、具体的には、R2が水素、ヒドロキシ、C1-7アルキルまたはハロゲンである上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。別の実施態様によれば、具体的には、R3が水素である上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。別の実施態様によれば、具体的には、R4が水素、C1-7アルキル、ハロゲンまたは-C(O)-O-C1-7アルキルである上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0020】
一実施態様によれば、具体的には、Bが基(3)であり、そしてAが以下の基のいずれかであり
【化14】
R
1およびR
2が上記A環に結合しており、かつ波線はLへの結合位置を示す、式(I)の上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0021】
一実施態様によれば、具体的には、Bが基(1)または(2)であり、そしてAが以下の基のいずれかであり
【化15】
R
1およびR
2が上記A環に結合しており、かつ波線はLへの結合位置を示す、式(I)の上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0022】
上記実施態様のサブクラスにおいて、化合物は、Aが以下の基のいずれかであり
【化16】
R
1およびR
2が上記A環に結合しており、かつ波線はLへの結合位置を示す。
【0023】
一実施態様によれば、具体的には、Aが基(1'')、(2'')、(3'')、(6'')、(8'')、(9'')または(10'')である式(I)の上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0024】
一実施態様によれば、具体的には、Aが基(1'')、(2a)、(2b)、(3a)、(6a)、(8a)、(9b)または(10a)である式(I)の上記実施態様のいずれかに係る化合物が提供される。
【0025】
一実施態様によれば、本発明の化合物は、式(IA)またはその薬学的に許容され得る塩
【化17】
(式中、
DはNまたはCHであり;
GはCH
2、NHまたはOであり;
MはCHまたはNであり;
R
1は水素、C
1-7アルキル、C
1-7アルコキシまたはハロゲンであり;
R
2は水素またはハロゲンであり;
R
3は水素またはC
1-7アルキルであり;
R
4は水素、C
1-7アルキル、ハロゲンまたは-C(O)-O-C
1-7アルキルであり;
Aは以下の基のいずれかであり
【化18】
ただし、式(I)の化合物は、
(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)(5-フェニル-3-ピリジニル)メタノン;
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン;または
(5-(2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラニル)-3-ピリジニル)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-4-イル)メタノン
ではない)
により表される。
【0026】
上記実施態様のサブクラスにおいて、式(IA)の化合物は、R1が水素、メチル、メトキシまたはハロゲンであり;R3が水素またはメチルであり;R4が水素、メチルまたはハロゲンであり;かつAは基(1'')、(2a)、(3a)、(9b)または(10a)である。
【0027】
さらに一実施態様によれば、本発明は、ステロイド受容体依存性症状および疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に治療的に有効な量の上記実施態様のいずれかに定義される式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0028】
一実施態様によれば、ステロイド受容体依存性疾患または症状は、例えば、前立腺がんまたは乳がん、特に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)などの、内分泌がんおよび疾患を含むアンドロゲン受容体またはエストロゲン受容体依存性疾患または症状である。本発明の一実施態様によれば、治療されるべきCRPCは、CYP17A1阻害薬治療に反応しない。別の実施態様によれば、アンドロゲン受容体依存性疾患または症状は、CYP11A1活性化に依存する内分泌がんである。
【0029】
本発明の化合物は、適切な出発材料を用いる文献既知の方法に類似する様々な合成経路により製造することができる。式(I)に係る化合物は、例えば、以下の反応スキームに類似してまたは以下の反応スキームにしたがって製造することができる。式(I)に含まれるいくつかの化合物は、以下のスキームにしたがって得られる式(I)の他の化合物の官能基を、酸化、還元、加水分解、アシル化、アルキル化、アミド化、アミノ化、スルホン化などの周知の反応工程により変換することによって得ることができる。任意の適切な脱離基、例えば、t-ブトキシカルボニル(t-BOC)基またはフェニルスルホニル基などのN-保護基を、反応工程の選択性を向上させるために合成中に周知の方法で使用することができることに注意すべきである。
【0030】
Lが結合である式(I)の化合物は、スキーム1(ここで、Xはハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモであり、かつA、B、C、Z、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものである)にしたがい製造することができる。スキーム1の方法においては、式[1]の化合物が、エタノール、トルエンおよび水の混合物などの適切な溶媒中、炭酸ナトリウムなどの塩基およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物などの触媒の存在下、上昇させた温度(elevated temperature)で式[2]のボロン酸誘導体とカップリングされ、式[Ia]の化合物を生成する。ボロン酸誘導体[2]の代わりに、ボロン酸ピナコールエステルなどの対応するボロン酸エステルも使用することができる。
【化19】
【0031】
Zが-C(O)-である式(I)の化合物は、スキーム2(ここで、A、B、C、L、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム2に描かれている)、そしてR
6はメチルまたはエチルである)にしたがい製造することもできる。スキーム2の方法においては、式[3]の化合物が、トルエンなどの適切な溶媒中、トリメチルアルミニウムおよびトリエチルアミン(TEA)などの塩基の存在下で式[4]の化合物とカップリングされ、式[Ib]の化合物を生成する。
【化20】
【0032】
あるいは、Zが-C(O)-である式(I)の化合物は、スキーム3(ここで、A、B、C、L、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム3に描かれている))にしたがい製造することができる。スキーム3の方法においては、式[5]の化合物が、DMFなどの適切な溶媒中で、トリエチルアミン(TEA)などの塩基および任意にはプロピルホスホン酸無水物(T
3P)などのカップリング試薬の存在下で式[4]の化合物とカップリングされ、式[Ib]の化合物を生成する。
【化21】
【0033】
あるいは、Zが-C(O)-である式(I)の化合物は、スキーム4(ここで、A、B、C、L、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム4に描かれている))にしたがい製造することができる。スキーム4の方法においては、式[6]の化合物が、DCMなどの適切な溶媒中、トリエチルアミン(TEA)などの塩基の存在下で式[4]の化合物とカップリングされ、式[Ib]の化合物を生成する。
【化22】
【0034】
Lが結合であり、Aが-NH基を含む(例えばAがピロリジン、イミダゾールまたはピラゾールである)式(I)の化合物は、スキーム5(ここで、Xがハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモであり、A、B、C、Z、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[7]の環窒素原子がスキーム5に描かれている))にしたがい製造することもできる。スキーム5の方法においては、式[1]の化合物が、乾燥トルエンまたは乾燥DMSOなどの適切な溶媒中、tert-ブトキシド(STB)、DIPEAまたはリン酸カリウムなどの塩基および任意にはトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムPd
2(dba)
3等の触媒の存在下、上昇させた温度で式[7]の化合物とカップリングされ、式[Ia]の化合物を生成する。
【化23】
【0035】
Zが-CH
2-C(O)-である式(I)の化合物は、スキーム6(ここで、A、B、C、L、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム6に描かれている))にしたがい製造することもできる。スキーム6の方法においては、式[8]の化合物が、DMFなどの適切な溶媒中、トリメチルアミン(TMA)などの塩基および任意にはプロピルホスホン酸無水物(T
3P)などのカップリング試薬の存在下で式[4]の化合物とカップリングされ、式[Ic]の化合物を生成する。
【化24】
【0036】
Zが-C
1-3アルキル-である式(I)の化合物は、スキーム7(ここで、A、B、C、L、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム7に描かれている))にしたがい製造することもできる。スキーム7の方法においては、式[9]のアルデヒド化合物が、1,2-ジクロロエタンなどの適切な溶媒中、酢酸およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB)などの還元試薬の存在下で式[4]の化合物と反応され、式[Id]の化合物を生成する。
【化25】
【0037】
中間体化合物は、文献に開示された方法にしたがい、または本開示に示されたように製造することができる。
【0038】
例えば、式[1a]の中間体化合物は、スキーム8(ここで、B、C、R
3、R
4およびR
5が上記で定義したものであり、XおよびYがハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモであり、(明確にするため、化合物[4]の環窒素原子がスキーム8に描かれている)))にしたがい製造することができる。スキーム8の方法においては、式[10]の化合物が、DCMなどの適切な溶媒中、TEAなどの塩基の存在下で式[4]の化合物とカップリングされ、式[1a]の化合物が生成する。
【化26】
【0039】
Aが-NH基を含む(例えばAがピロリジン、イミダゾールまたはピラゾールである)式[3a]の中間体化合物は、例えば、スキーム9(ここで、A、B、R
1、R
3、R
2およびR
3が上記で定義したものであり、Xがハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモであり(明確にするため、化合物[7]の環窒素原子がスキーム9に描かれている))にしたがい製造することができる。スキーム9の方法においては、式[11]の化合物が、トルエン-ジオキサンなどの適切な溶媒中、リン酸カリウムなどの塩基およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムおよび2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニルの混合物等の触媒の存在下で式[7]の化合物とカップリングされ、式[3a]の化合物を生成する。
【化27】
【0040】
式[5a]の中間体化合物は、例えば、スキーム10(ここで、A、B、R
1、R
2およびR
3が上記で定義したものであり、Xがハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモであり、R
6がメチルまたはエチルである)にしたがい製造することができる。スキーム10の方法においては、式[11]の化合物が、アセトニトリル/エタノール/水などの適切な溶媒中、炭酸ナトリウムなどの塩基およびPdCl
2(PPh
3)
2等の触媒の存在下、上昇させた温度で式[2]の化合物とカップリングされ、式[3a]の化合物を生成する。
【化28】
【0041】
式[8a]の中間体化合物は、例えば、スキーム11(ここで、A、B、R
1、R
2、R
3が上記で定義したものであり、Xがハロゲン、好ましくはクロロまたはブロモである)にしたがい製造することができる。スキーム11の方法においては、式[12]の化合物が、DME-水などの適切な溶媒中、炭酸セシウムなどの塩基およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等の触媒の存在下で式[2]の化合物とカップリングされ、式[8a]の化合物を生成する。
【化29】
【0042】
あるいは、式(I)の化合物は、本開示の具体的な実施例に開示されているように製造することができる。
【0043】
特に断りのない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本明細書における主題の属する技術分野における通常の知識を有する者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に用いられる場合、以下の定義が本発明の理解を容易にするために提供される。
【0044】
本明細書において用いられる場合、用語「対象」は、ヒトおよびアニマルを意味する。
【0045】
用語「ステロイド受容体」は、ステロイドホルモンに結合し、ステロイドホルモンに活性化される受容体を意味する。ステロイド受容体の例としては、特に限定されるものではないが、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、グルココルチコイド受容体およびプロゲステロン受容体が挙げられる。
【0046】
用語「内分泌がん」は、内分泌系の1つまたは複数の細胞成分の部分的にまたは完全に制御されていない増殖を意味し、特に限定されるものではないが、1つまたは複数の副腎のがんを含む。
【0047】
用語「上昇された温度」は、室温よりも高い温度、典型的には約30~約120℃、例えば約40~約100℃、または約50~約80℃を意味する。
【0048】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「ハロ」または「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を意味する。
【0049】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C1-7アルキル」は、1、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。C1-7アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチルおよびn-ヘキシルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。「C1-7アルキル」の1つの好ましい実施形態は、C1-3アルキルである。用語「C1-3アルキル」は、1、2または3個の炭素原子を有する「C1-7アルキル」の好ましい実施形態を意味する。
【0050】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C2-7アルケニル」は、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有し、1つまたはいくつかの二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味する。代表的な例としては、エテニル、プロペニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0051】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C3-7シクロアルキル」は、3、4、5、6または7個の炭素原子を含む飽和の環状の炭化水素基を意味する。シクロアルキルの代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0052】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「ヒドロキシ」は、-OH基を意味する。
【0053】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「シアノ」は、-CN基を意味する。
【0054】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「カルボキシ」は、-COOH基を意味する。
【0055】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「カルボニル」は、酸素原子に二重結合した炭素原子(C=O)を意味する。
【0056】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「オキソ」は、二重結合により他の原子に結合される酸素原子(=O)を意味する。
【0057】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C1-7アルコキシ」は、酸素原子を通して親分子部分に付加される、本明細書において定義されるC1-7アルキルを意味する。C1-7アルコキシの代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0058】
本明細書において用いられる用語「ヒドロキシC1-7アルキル」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルキル基を通して付加される、本明細書において定義される少なくとも1つのヒドロキシ基を意味する。ヒドロキシC1-7アルキルの代表的な例としては、ヒドロキシメチル、2,2-ジヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシプロピル、1-メチル-1-ヒドロキシエチルおよび1-メチル-1-ヒドロキシプロピルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0059】
本明細書において用いられる用語「ハロゲンC1-7アルキル」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルキル基を通して付加される、本明細書において定義される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロC1-7アルキルの代表的な例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-クロロエチルおよび3-ブロモプロピルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0060】
本明細書において用いられる用語「シアノC1-7アルキル」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルキル基を通して付加されるシアノ基を意味する。シアノC1-7アルキルの代表的な例としては、シアノメチル、1-シアノエチル、1-シアノプロピルおよび2-シアノプロピルなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0061】
本明細書において用いられる用語「ハロゲンC1-7アルコキシ」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルコキシ基を通して付加される、本明細書において定義される少なくとも1つのハロゲンを意味する。
【0062】
本明細書において用いられる用語「フェニルC1-7アルキル」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルキル基を通して付加される、少なくとも1つのフェニル基を意味する。
【0063】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C1-7アルキルカルボニル」は、親分子部分に本明細書において定義されるカルボニル基を通して付加される、本明細書において定義されるC1-7アルキル基を意味する。
【0064】
本明細書においてそれ自体または他の基の一部として用いられる用語「C1-7アルコキシC1-7アルキル」は、親分子部分に本明細書において定義されるC1-7アルキル基を通して付加される、本明細書において定義される少なくとも1つのC1-7アルコキシ基を意味する。
【0065】
本明細書において用いられる用語「4~12員ヘテロシクリル」は、4~12個の環原子を有する、飽和環、部分飽和環もしくは芳香環であって、その1~4個の原子がN、OおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子である環を意味する。「4~12員ヘテロシクリル」の一実施形態は、4~10個の環原子を有する、飽和環、部分飽和環もしくは芳香環であって、その1~4個の原子がN、OおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子である環を意味する「4~10員ヘテロシクリル」である。4~12員ヘテロシクリルの代表的な例としては、オキセタニル、アゼチジニル、ピラゾリル、1,2,4-トリアゾル-1-イル、1,2,3-トリアゾル-1-イル、ピリミジニル、ピリジニル、ピペリジニル、テトラゾリル、ピペラジニル、フラニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニルテトラヒドロピラニル、1,2,4-オキサジアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリルおよび4,5-ジヒドロイミダゾリル環などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0066】
本明細書において用いられる用語「3~10員カルボシクリル」は、炭素原子のみからなる3~10個の環原子を有する飽和環、部分飽和環または芳香族環を意味する。「3~10員カルボシクリル」の一実施形態は、炭素原子のみからなる3~6個の環原子を有する飽和環、部分飽和環または芳香族環を意味する「3~6員カルボシクリル」である。3~10員カルボシクリルの代表的な例としては、フェニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニルおよびシクロブチル環などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
様々な残基と関連して本明細書において使用される用語「置換された」は、特に断りのない限り、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン置換基、またはC1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオールC1-7アルキル、メチルスルホニル、C1-7アルコキシ、ハロC1-7アルキル、ヒドロキシC1-7アルキル、またはアミノC1-7アルキル置換基を意味する。好ましい置換基は、ハロゲン、C1-7アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロC1-7アルキル、C1-7アルコキシおよびメチルスルホニル置換基である。好ましい置換基の1つの群は、C1-7アルキルまたはハロゲン置換基から選択される1つまたは2つの置換基であり、特にはC1-3アルキルまたはハロゲン置換基、特にはメチル、エチル、クロロ、フルオロ、ブロモ置換基である。
【0068】
「置換された」基は、特に断りのない限り、1~3、好ましくは1または2の上記置換基を含むことができる。
【0069】
式(I)の化合物の光学的に活性なエナンチオマーまたはジアステレオマーは、例えば、公知の方法によるラセミの最終生成物の分割により、または適切な光学的に活性な出発物質を用いて製造することができる。同様に、式(I)のラセミ化合物は、ラセミの出発物質を用いて製造することができる。式(I)のラセミ化合物またはそのラセミの出発物質の分割は、例えば、ラセミ化合物を、光学的に活性な酸との反応によりそのジアステレオマーの塩の混合物に変換し、その後、そのジアステレオマーを結晶化により分離することにより行うことができる。この光学的に活性な酸の代表的な例としては、D-酒石酸およびジベンゾイル-D-酒石酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、分取キラルクロマトグラフィーをラセミ混合物の分割に用いてもよい。
【0070】
薬学的に許容され得る塩は、製剤の分野において周知である。適切な塩の非限定的な例としては、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、および塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。金属塩の非限定的な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。無機または有機酸との塩の非限定的な例としては、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、ヘミフマル酸塩、およびコハク酸塩などが挙げられる。薬学的に許容され得るエステルは、適用できる場合、医薬の分野において慣用されている薬学的に許容され得る酸を用いて既知の方法により製造することができ、遊離の形態の薬理学的性質を保持する。これらのエステルの非限定的な例としては、脂肪族または芳香族アルコールのエステル、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルエステルが挙げられる。リン酸エステルおよび炭酸エステルもまた、本発明の範囲内である。
【0071】
上述の式(I)の定義は、化合物の可能であるすべての同位体および立体異性体などの異性体、たとえばZおよびE異性体(シスおよびトランス異性体)などの幾何異性体、およびたとえばジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの光学異性体、およびリン酸エステルおよび炭酸エステルなどのすべてのプロドラッグエステルを含める。
【0072】
本発明の化合物は、少なくとも1つのキラル中心を有することができるということは、当業者によって理解されるであろう。したがって、化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ体で存在することができる。式(I)は、任意のラセミ体または光学的に活性な形態またはそれらの混合物を含むことが理解されるべきである。一実施形態においては、化合物は純粋な(R)-異性体である。また別の実施形態においては、化合物は純粋な(S)-異性体である。別の実施形態においては、化合物は、(R)異性体および(S)異性体の混合物である。別の実施形態では、化合物は、(R)異性体と(S)異性体との等量混合物を含むラセミ混合物である。化合物は、2つのキラル中心を有する場合もある。そのような場合には、一実施形態によれば、化合物は、ジアステレオマーの混合物である。別の実施形態によれば、本発明の化合物はエナンチオマーの混合物である。さらに別の実施形態によれば、化合物は純粋なエナンチオマーである。個々の異性体は、出発物質の対応する異性体を用いて得てもよく、または慣用の分離方法にしたがい最終化合物の製造後に分離してもよい。光学異性体、たとえばエナンチオマーまたはジアステレオマーのその混合物からの分離には、慣用の分割方法、たとえば分別結晶を用いてもよい。
【0073】
本発明の化合物は、互変異性体として、または化合物のプロトンが1つの原子から別の原子にシフトするその等量混合物として存在してもよい。互変異性の例としては、アミド-イミド、ケト-エノール、フェノール-ケト、オキシム-ニトロソ、ニトロ-アシ、イミン-エナミン、ピラゾール環などの複素環の環状互変異性などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。互変異性型は、たとえ1つの互変異性型しか示されていなくても、式(I)の化合物に包含されるべきことが意図されている。
【0074】
式(I)の一つのグループの好ましい化合物の例は、
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物1);
(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物2);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物3);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物4);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン-3-イル)メタノン(化合物5);
(4-アミノ-5-フェニルピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物6);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)メタノン(化合物7);
(6-(ベンゾ[d]オキサゾル-6-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物8);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物9);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物10);
(5-(4-クロロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物11);
(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物12);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物13);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物14);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-フェニルピラジン-2-イル)メタノン(化合物15);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物16);
(5-(4-クロロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物17);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物18);
(5-(3,4-ジフルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物19);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物20);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(4-メチル-3,4-ジヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物21);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(2-メチル-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物22);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物23);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物24);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3-メトキシフェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物25);
(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-イル)(3-メチル-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物26);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物27);
(5-(2,4-ジフルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物28);
(6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピラジン-2-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物29);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)メタノン(化合物30);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(4-メチル-3,4-ジヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物31);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-ニトロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物32);
(5-(シクロへクス-1-エン-1-イル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物33);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物34);
エチル 4-(6-(4-フルオロフェニル)ピラジン-2-カルボニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-2-カルボキシレート(化合物35);
1-(5-フェニルニコチノイル)-2,3-ジヒドロキノリン-4(1H)-オン(化合物36);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(6-フェニルピラジン-2-イル)メタノン(化合物37);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(3-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物38);
(5-(1H-ピロール-1-イル)ピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物39);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)メタノン(化合物40);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物41);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物42);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物43);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物44);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物45);
4-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)スルホニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(化合物46);
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)スルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(化合物47);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物48);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6’-フルオロ-[3,3’-ビピリジン]-5-イル)メタノン(化合物49);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物50);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(1-フェニルビニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物51);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-フェニルピリダジン-4-イル)メタノン(化合物52);
(6-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物53);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物54);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物55);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((4aS,8aS)-オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物56);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((4aR,8aR)-オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物57);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物58);
(5-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物59);
(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(インドリン-1-イル)メタノン(化合物60);
(3,4-ジヒドロ-1,5-ナフチリジン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物61);
[3,4’-ビピリジン]-5-イル(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物62);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(1-メチル-1H-ピラゾル-5-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物63);
(6-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)(2-メチル-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物64);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物65);
(5-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物66);
メチル 1-(5-フェニルニコチノイル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(化合物67);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物68);
(7-メトキシ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物69);
[3,3’-ビピリジン]-5-イル(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物70);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(p-トリル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物71);
(5-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)ピリジン-3-イル)(オクタヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物72);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物73);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物74);
2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(6,6-ジメチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物75);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物76);
(6-(3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物77);
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物78);
1-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物79);
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-メトキシフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物80);
4-((5-フェニルピリジン-3-イル)メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(化合物81);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物82);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物83);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(4-メチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物84);
(6-ベンジルピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物85);
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物86);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3,5-ジメチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物87);
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物88);
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(化合物89);または
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メチル)インドリン(化合物90);
ならびにその互変異性体および薬学的に許容され得る塩を含む。
【0075】
本発明の化合物は、年齢、性別、体重、民族、患者の状態、治療すべき症状、投与経路および使用する活性成分によって、通常1日あたり約0.5~約2000mg、より典型的には約1~約500mg、例えば約2~100mg、の範囲の治療的に有効な量で患者に投与することができる。本発明の化合物は、本技術分野において既知の原理を用いて投与形態に製剤化することができる。化合物は、それ自体、または適切な薬学的賦形剤と組み合わせて、錠剤、顆粒剤、カプセル、座剤、エマルジョン、懸濁液または溶液などの形態で患者に投与することができる。組成物のための適切な成分の選択は、当業者にとって日常的な作業である。適切な担体、溶媒、ゲル形成成分、分散形成成分、抗酸化剤、着色剤、甘味料、湿潤化合物およびこの技術分野において通常用いられている他の成分も使用することができる。活性化合物を含む組成物は、経腸でまたは非経口で投与することができ、経口経路が最も好ましい経路である。組成物における活性化合物の含有量は、組成物の全重量に対して約0.5~100%であり、典型的には約0.5~約20%である。
【0076】
本発明の化合物は、単一の活性成分として、または特定の疾患の治療のための他の有効成分の1つまたは複数と組み合わせて患者に投与することができる。
【0077】
前立腺がんおよび乳がんを含む内分泌がんや障害などのステロイド受容体依存性疾患または症状の治療において、治療的薬剤および/またはほかの治療(例えば放射線治療)の組み合わせは、しばしは有益である。投与される第2(または第3)の薬剤は、第1の治療的薬剤と同じ作用機序を有していても良く、または異なる作用機序を有していても良い。
【0078】
したがって、本発明の化合物は、前立腺がんまたは乳がんなどのがんの治療において有用な他の抗がん治療と組み合わせて投与することができる。例えば、本発明の化合物は、化合物が、がんの治療のための他の抗がん剤および治療と組み合わせて使用されるものとする取扱説明書と一緒に包装することができる。本発明は、さらに本発明の化合物と1つまたは複数のさらなる薬剤との組み合わせをキットの形態、例えば、それらが一緒に包装されているか、または別の包装にあってもキットとして一緒に売られるか、またはそれらが一緒に製剤化されて包装されている形態で含む。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、グルココルチコイドおよび/またはミネラルコルチコイド、ならびに任意には1つまたは複数の抗がん剤と併用される。
【0080】
適切なグルココルチコイドの例としては、特に限定されるものではないが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾンなどが挙げられる。適切なミネラルコルチコイドの例としては、特に限定されるものではないが、フルドロコルチゾン、デオキシコルチコステロン、11-デスオキシコルチゾンおよびデオキシコルチコステロン酢酸塩などが挙げられる。
【0081】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に加えて投与することができる任意の他の抗がん剤としては、特に限定されるものではないが、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、エザルタミド、アパルタミドおよびダロルタミド);
-ステロイド生成阻害薬(例えば、アビラテロン酢酸塩およびセビテロネルなどのCYP17A1阻害薬);
-化学療法剤(例えば、ドセタキセルおよびパシリタキセル);
-抗エストロゲン(例えば、タモキシフェンおよびフルベストラント);
-エピジェネティックモジュレータ(例えば、BET阻害薬およびHDAC阻害薬);
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬(例えば、イデラリシブ);および
-CDK4/6阻害薬(例えば、リボシクリブ)
などが挙げられる。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、それを必要とする対象に、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、エザルタミド、アパルタミドおよびダロルタミド);
-ステロイド生成阻害薬(例えば、アビラテロン酢酸塩およびセビテロネルなどのCYP17A1阻害薬);
-化学療法剤(例えば、ドセタキセルおよびパシリタキセル);
-抗エストロゲン(例えば、タモキシフェンおよびフルベストラント);
-エピジェネティックモジュレータ(例えば、BET阻害薬およびHDAC阻害薬);
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬(例えば、イデラリシブ);および
-CDK4/6阻害薬(例えば、リボシクリブ)
からなるリストより選択される1つまたは複数の治療に有効な量の抗がん剤に加えて投与される。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、それを必要とする対象に、治療に有効な量のステロイド生成阻害薬(例えば、CYP17A1阻害薬)に加えて投与される。適切なCYP17A1阻害薬としては、特に限定されるものではないが、アビラテロン酢酸塩およびセビテロネルが挙げられる。
【0084】
本発明の別の実施形態によれば、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、それを必要とする対象に、治療に有効な量の非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニストに加えて投与される。適切な非ステロイド性アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストとしては、特に限定されるものではないが、エザルタミド、アパルタミドおよびダロルタミドが挙げられる。
【0085】
なお別の実施形態によれば、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と
-グルココルチコイド、
-ミネラルコルチコイド、
-ステロイド生成阻害薬(例えば、CYP17A1阻害薬)、
-非ステロイド性アンドロゲン受容体アンタゴニスト、
-化学療法剤(例えば、ドセタキセルおよびパシリタキセル)、
-抗エストロゲン(例えば、タモキシフェンおよびフルベストラント)、
-エピジェネティックモジュレータ(例えば、BET阻害薬およびHDAC阻害薬)、
-mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス);
-AKT阻害薬(例えば、AZ5363);
-放射性医薬品(例えば、アルファラジン);
-GnRH/LHRHアナログ(リュープロレリンなど);
-PI3K阻害薬(例えば、イデラリシブ);および
-CDK4/6阻害薬(例えば、リボシクリブ)
からなるリストから選択される少なくとも1つの追加の活性成分とを含む、同時、別々または連続投与のための医薬的組み合わせを提供する。
【0086】
上記他の治療的薬剤は、本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、例えば医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)(PDR)に記載されているそれらの量で、または当業者により別に定められる量で使用することができる。
【0087】
本発明の化合物は、適切な出発物質を用いて文献に公知の方法と類似した様々な合成経路により製造することができる。本発明は、以下の実験および実施例により、より詳細に説明される。実験および実施例は、説明の目的のみを意図しており、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0088】
中間体1:6-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)ピラジン-2-カルボン酸
【化30】
アセトニトリル/エタノール/水(2ml/2ml/2ml)中のメチル-6-クロロ-2-ピラジンカルボキシレート(0.5g、2.90mmol)、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-ボロン酸(0.47g、2.90mmol)、PdCl
2(PPh
3)
2(102.0mg、0.145mmol)および炭酸ナトリウム(0.30g、2.90mmol)の混合物を、脱気し、電子レンジ中、100℃で1.5時間加熱した。RTまで冷却した後、反応混合物をEtOAc(10ml)で希釈し、ろ過した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥し、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題の化合物を得た。LC-MC:m/z 243.1[M+H]
+
【0089】
以下の中間体は、中間体1について記載された手順にしたがい、表に示す出発物質から製造した。
【0090】
中間体11:(5-ブロモピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン
【化31】
DCM(5ml)中の5-ブロモピリジン-3-カルボニルクロリド(1.0g、4.54mmol)および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(0.60g、4.54mmol)の0℃の混合物に、TEA(1.80ml、13.61mmol)を加えた。反応混合物をRTで5時間撹拌した。水(10ml)を加え、生成物をDCMで抽出し、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥し、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して表題の化合物を得た。LC-MS:m/z 317.4[M+H]
+
【0091】
以下の中間体は、中間体12について記載された手順にしたがい、表に示す出発物質から製造した。
【0092】
中間体18:(6-クロロピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン
【化32】
乾燥DCM(10ml)中の6-クロロピラジン-2-カルボン酸(0.793g、5.0mmol)の混合物に、数滴のDMFと塩化オキサリル(0.858ml、10.0mmol)を加えた。混合物をRTで2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、新鮮なDCM(10ml)を加えた。混合物を0~5℃に冷却し(氷冷)、DIPEA(1.742ml、10.0mmol)および3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(0.676g、5.0mmol)を加えた。混合物をRTで一晩撹拌した。混合物をDCMで希釈し、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、そして蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題の化合物を0.92g得た。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO):δ8.95 (s, 2H), 7.5-8.5 (br, 1H), 7.00-7.17 (m, 1H), 6.94 (dd, 1H), 6.65-6.95 (br, 1H), 4.14-4.52 (m, 2H), 3.74-4.08 (m, 2H).
【0093】
中間体19:2-(5-ブロモピリジン-3-イル)-1-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)エタン-1-オン
【化33】
乾燥DMF(5.5ml)中の5-ブロモ-3-ピリジンカルボン酸(0.216g、1.00mmol)、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(0.147g、1.10mmol)およびトリメチルアミン(0.558ml、4.00mmol)の氷冷した混合物に、1-プロパンホスホン酸環状無水物(EtOAc中50%、0.795ml、1.35mmol)を加えた。混合物をRTで一晩撹拌した。混合物をEtOAcおよび水で希釈し、相を分離した。有機相を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、そして蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、0.27gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.53 (d, 1H), 8.23 (br s, 1H), 7.74 (br s, 1H), 6.98-7.26 (m, 4H), 3.83 (s, 2H), 3.81 (t, 2H), 2.52-2.70 (m, 2H), 1.94 (quint, 2H).
【0094】
中間体20:2-(5-ブロモピリジン-3-イル)-1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]-オキサジン-4-イル)エタン-1-オン
【化34】
化合物は、5-ブロモ-3-ピリジンカルボン酸および3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジンから出発して、中間体19について説明された手順にしたがい製造した。収量:0.24g。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.58 (d, 1H), 8.35 (br s, 1H), 7.78-7.85 (m, 1H), 6.99-7.22 (m, 2H), 6.89-6.98 (m, 2H), 4.24-4.32 (m, 2H), 3.83-4.05 (m, 4H).
【0095】
中間体21:4-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]-オキサジン
【化35】
乾燥アセトニトリル(5.0ml)中の、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(0.170g、1.259mmol)、3-ブロモ-5-(クロロメチル)ピリジン(0.260g、1.259mmol)、炭酸セシウム(0.821g、2.52mmol)およびヨウ化カリウム(0.021g、0.126mmol)の混合物を、90℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグによりろ過した。ろ液を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.12gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO):δ8.61 (d, 1H), 8.54 (d, 1H), 7.95-8.00 (m, 1H), 6.63-6.75 (m, 3H), 6.52-6.59 (m, 1H), 4.53 (s, 2H), 4.20-4.27 (m, 2H), 3.38-3.45 (m, 2H).
【0096】
中間体22:5-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ニコチン酸エチル
【化36】
窒素雰囲気下、脱気したトルエン-ジオキサン(5:1、1.0ml)中の、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(7.33mg、0.008mmol)および2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(8.65mg、0.018mmol)の混合物を120℃で10分間撹拌した。5-ブロモニコチン酸エチル(0.23g、1.00mmol)、4-メチルイミダゾール(0.099g、1.20mmol)およびリン酸カリウム(0.425g、2.00mmol)を加え、混合物を120℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグによりろ過した。ろ液を乾燥し、蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ9.18 (dd, 1H), 8.88 (dd, 1H), 8.28 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.07-7.10 (m, 1H), 4.47 (q, 2H), 2.33 (d, 3H), 1.45 (t, 3H).
【0097】
以下の中間体は、中間体22について記載された手順にしたがい、表に示す出発物質から製造した。
【0098】
中間体25:6-ベンジルピラジン-2-カルボン酸メチル
【化37】
窒素雰囲気下、脱気したTHF(10ml)中の、6-クロロピラジン-2-カルボン酸メチル(0.173g、1.00mmol)、リン酸カリウム(0.637g、3.00mmol)、ジシクロヘキシルホスフィノ-2,6-ジメトキシビフェニル(0.041g、0.10mmol)および酢酸パラジウム(0.011g、0.05mmol)の混合物に、B-ベンジル-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(THF中0.5M、2.5ml、5.0mmol)を加えた。混合物を65℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をDCMで希釈し、セライトのショートプラグによりろ過した。ろ液を5%Na
2CO
3水溶液、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、そして蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.16gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ9.14 (d, 1H), 8.57 (d, 1H), 7.23-7.37 (m, 5H), 4.31 (s, 2H), 4.05 (s, 3H).
【0099】
実施例1
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物1)
【化38】
a)(5-ブロモピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(3)
5-ブロモニコチン酸メチル(8.0g、37.0mmol)を、トリエチルアミン(11.0g、15mL、0.11mmol)、40mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(28.0ml、トルエン中2M、56.0mmol)の存在下で、25℃で16時間4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(7.5g、56.0mmol)で処理した。コンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により9.5gの表題の化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ: 8.80 (d, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.20 - 8.26 (m, 1H), 7.20 - 7.45 (m, 1H), 7.04 (t, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.70 - 6.80 (m, 1H), 4.31 - 4.40 (m, 2H), 3.82 - 3.90 (m, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 318.99.
【0100】
b)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物1)
2.5mlのエタノール、10mlのトルエンおよび2.5mlの水の混合液中のメチル (5-ブロモピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(200mg、0.627mmol)の溶液に、3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ボロン酸(142mg、0.689mmol)および炭酸ナトリウム(133mg、1.25mmol)を不活性雰囲気下で加えた。反応混合物を10分間脱気し、その後ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドを添加した。脱気をさらに10分間続けた。得られた反応混合物を100℃で16時間撹拌した。TLCにより示された反応完了後、混合物をセライト床を通してろ過した。得られたろ液を水(10ml)およびEtOAc(21ml)で希釈し、EtOAc(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘプタン中5~40%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.08gの表題の化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 9.05 (d, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.65 (t, 1H), 7.45 (dd, 1H), 7.10 - 7.30 (m, 1H), 7.03 (dt, 1H), 6.94 (dd, 1H), 6.70 - 6.80 (m, 1H), 4.32 - 4.40 (m, 2H), 3.86 - 3.95 (m, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 401.13.
【0101】
実施例2
(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物2)
【化39】
a)5-(4-フルオロフェニル)ニコチン酸メチル(3)
5-ブロモニコチン酸メチル(2.0g、9.3mmol)を、40mlのDMEおよび20mlの水中、炭酸ナトリウム(2.0g、19.0mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.65g、0.93mmol)の存在下、90℃で4時間、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(1.4g、10.0mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~30%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により1.7gの表題の化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ: 9.13 (s, 1H), 9.07 (s, 1H), 8.47 (d, 1H), 7.87 (t, 2H), 7.37 (t, 2H), 3.93 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 232.06.
【0102】
b)(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物2)
5-(4-フルオロフェニル)ニコチン酸メチル(200mg、0.865mmol)を、TEA(0.36ml、2.59mmol)および8mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(0.65ml、トルエン中2.0M、1.30mmol)の存在下、25℃で16時間、7-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(199mg、1.30mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~25%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.235gの表題の化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 8.99 (d, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.00 - 7.90 (m, 5H), 6.84 (dd, 1H), 6.67 (m, 1H), 4.30 - 4.40 (m, 2H), 3.84 - 3.93 (m, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 352.11.
【0103】
実施例3
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物3)
【化40】
a)3-ブロモ-4-メチル-5-フェニルピリジン(3)
3,5-ジブロモ-4-メチルピリジン(5.0g、20.0mmol)を、60mlのDMEおよび30mlの水中、炭酸ナトリウム(4.2g、40.0mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.4g、2.0mmol)の存在下、90℃で6時間、フェニルボロン酸(2.7g、22.0mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~30%EtOAcを用いるコンビフラッシュによる精製により3.1gの表題の化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ: 8.69 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.43 - 7.54 (m, 3H), 7.38 - 7.44 (m, 2H), 2.30 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 248.01.
【0104】
b)4-メチル-5-フェニルニコチネート(4)
3-ブロモ-4-メチル-5-フェニルピリジン(2.8g、11.0mmol)のMeOH:DMSO(1:1)溶液に、トリエチルアミン(7.8ml、56.0mmol)を加えた。反応混合物をアルゴンで10分間脱気し、その後酢酸パラジウム(II)(0.51g、2.3mmol)および1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.93g、2.3mmol)およびCOガスを加えた。得られた反応混合物を100℃で16時間撹拌した。TLCにより示された反応の完了後、全ての揮発性のものを減圧下で蒸発させた。得られた残渣を水(20ml)およびEtOAc(30ml)で希釈し、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘプタン中5~40%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して2.3gの表題の化合物を得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ: 8.87 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 7.41 - 7.53 (m, 3H), 7.36 - 7.41 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.39 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 228.03.
【0105】
c)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物3)
4-メチル-5-フェニルニコチネート(500mg、2.20mmol)を、トリエチルアミン(0.93ml、6.60mmol)および12mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(1.65ml、トルエン中2.0M、3.30mmol)の存在下、100℃で16時間、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(446mg、3.30mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.05gの表題の化合物を得た。Rf(50%EtOAc/ヘプタン)=0.2。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 8.48 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.26 - 7.54 (m, 6H), 7.06 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.75 - 6.84 (m, 1H), 4.31 - 4.40 (m, 2H), 3.31 - 3.40 (m, 2H), 2.16 (s, 1H). MS (ESI) m/z [M+1]+ : 330.97.
【0106】
実施例4
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(4-メチル-5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物4)
【化41】
4-メチル-5-フェニルニコチネート(500mg、2.20mmol)を、トリエチルアミン(0.93ml、6.60mmol)および15mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(1.65ml、トルエン中2.0M、3.30mmol)の存在下、100℃で16時間、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(440mg、3.30mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~30%EtOAcを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.15gの表題の化合物を得た。Rf(50%EtOAc/ヘプタン)=0.2。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ: 8.35 (s, 2H), 7.40 - 7.55 (m, 3H), 7.25 - 7.35 (m, 2H), 7.18 - 7.22 (m, 1H), 6.98 - 7.07 (m, 2H), 3.74 - 3.80 (m, 2H), 2.84 (t, 2H), 2.09 (s, 3H), 1.94 - 2.03 (m, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]
+ : 329.15.
【0107】
実施例5
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン-3-イル)メタノン(化合物5)
【化42】
a)3-ブロモ-5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン(3)
3,5-ジブロモ-4-メチルピリジン(5.0g、0.02mol)を、60mlのDMEおよび30mlの水中、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(3.0g、0.02mol)、Na
2CO
3(6.0g、0.06mol)およびPd(PPh
3)
2Cl
2(1.0g、2.0mmol)で、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により4.2gの表題の化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ: 8.65 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.23 - 7.30 (m, 2H), 7.10 - 7.20 (m, 2H), 2.33 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 265.90.
【0108】
b)5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルニコチン酸メチル(4)
3-ブロモ-5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン(5.0g、0.02mol)を、60mlのDMSOおよび60mlのMeOH中、トリエチルアミン(8.0g、11ml、79.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.71g、3.2mmol)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.3g、3.2mmol)およびCOガスで、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中10~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により3.2gの表題の化合物を得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ: 8.87 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 7.41 - 7.50 (m, 2H), 7.30 - 7.37 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.38 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 343.10.
【0109】
c)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルピリジン-3-イル)メタノン(化合物5)
5-(4-フルオロフェニル)-4-メチルニコチン酸メチル(400mg、1.63mmol)を、トリエチルアミン(0.68ml、4.89mmol)および10mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(1.22ml、トルエン中2.0M、2.45mmol)の存在下、95℃で18時間、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(331mg、2.45mmol)で処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.118gの表題の化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 8.18 - 8.57 (m, 2H), 7.41 - 7.55 (m, 2H), 7.34 (t, 2H), 7.00 - 7.10 (m, 1H), 6.93 (d, 2H), 6.30 - 6.60 (m, 1H), 4.20 - 4.50 (m, 2H), 3.54 - 3.80 (m, 2H), 2.16 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 349.12.
【0110】
実施例6
(4-アミノ-5-フェニルピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物6)
【化43】
a)3-ブロモ-5-フェニルピリジン-4-アミン(3)
3,5-ジブロモピリジン-4-アミン(6.0g、24.0mmol)を、12mlのDMEおよび6mlの水中、フェニルボロン酸(3.2g、26.0mmol)、Na
2CO
3(5.0g、48.0mmol)およびPd(PPh
3)
2Cl
2(1.7g、2.4mmol)で、90℃で4時間処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により3.6gの表題の化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ: 8.29 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.47 - 7.55 (m, 2H), 7.38 - 7.47 (m, 3H), 5.73 (bs, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 248.97.
【0111】
b)4-アミノ-5-フェニルニコチン酸メチル(4)
3-ブロモ-5-フェニルピリジン-4-アミン(2.8g、11.0mmol)を、50mlのMeOHおよび50mlのDMSO中、トリエチルアミン(5.7g、7.8ml、56.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(1.0g、4.5mmol)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.9g、4.5mmol)およびCOガスで、80℃で12時間処理した。溶離液としてヘプタン中10~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により1.6gの表題の化合物を得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ8.74 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.48 - 7.55 (m, 2H), 7.38 - 7.48 (m, 3H), 6.87 (bs, 2H), 3.85 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 229.19.
【0112】
c)(4-アミノ-5-フェニルピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(化合物6)
4-アミノ-5-フェニルニコチン酸メチル(500mg、2.19mmol)を、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(438mg、3.29mmol)、トリエチルアミン(0.92ml、6.57mmol)、20mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(1.64ml、トルエン中2.0M、3.29mmol)で、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中5~30%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.025gの表題の化合物を得た。(表2のNMR/MSデータ)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 7.90 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.51 (t, 2H), 7.37 - 7.47 (m, 3H), 7.20 (d, 1H), 6.92 - 7.06 (m, 3H), 5.83 (bs, 2H), 3.78 (t, 2H), 2.82 (t, 2H), 1.96 (q, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 302.20.
【0113】
実施例7
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)メタノン(化合物7)
【化44】
a)3-クロロ-5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン(3)
3,5-ジクロロピリダジン(3.0g、20.1mmol)を、40mlのトルエンおよび10mlの水中、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(3.10g、22.2mmol)、KF(2.93g、50.3mmol)、ジアセトキシパラジウム(226mg、1.01mmol)およびQ-PHOS(716mg、1.01mmol)で、80℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により1.0gの表題の化合物を得た。Rf(70%EtOAc/ヘプタン)=0.4。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ: 9.68 (d, 1 H), 8.29 (d, 1 H), 8.09 (dt, 2H), 7.43 (dd, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 209.02.
【0114】
b)5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-カルボン酸メチル(4)
3-クロロ-5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン(850mg、4.07mmol)を、50mlのMeOH中、トリエチルアミン(1.14ml、8.15mmol)、PdCl2(dppf)(298mg、0.407mmol)およびCOガスで、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中10~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.87gの表題の化合物を得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ9.86 (d, 1 H), 8.45 (d, 1 H), 8.11 (dd, 2H), 7.44 (dd, 2H), 3.99 (s, 3H). MS (ESI) m/z [M+1]+: 233.02.
【0115】
c)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)メタノン(化合物7)
5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-カルボン酸メチル(500mg、2.15mmol)を、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(437mg、3.23mmol)、トリエチルアミン(0.91ml、6.46mmol)、15mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(1.61ml、トルエン中2.0M、3.23mmol)で、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中5~40%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.142gの表題の化合物を得た。Rf(50%EtOAc/ヘプタン)=0.2。
【0116】
実施例8
(6-(ベンゾ[d]オキサゾル-6-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物8)
【化45】
a)(6-ブロモピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(3)
5-(4-フルオロフェニル)ピリダジン-3-カルボン酸メチル(20mg、0.086mmol)を、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(18.2mg、0.129mmol)、トリエチルアミン(36μl、0.258mmol)、5mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム(65μl、トルエン中2.0M、0.129mmol)で、100℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中20~60%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.025gの表題の化合物を得た。Rf(50%EtOAc/ヘプタン)=0.2。収率:70%。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ: 9.01 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 7.50 - 8.50 (m, 1H), 7.08 (t, 1H), 6.93 (d, 1H), 6.70 - 6.90 (m, 1H), 4.20 - 4.48 (m, 2H), 3.80 - 3.92 (m, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+:320.05.
【0117】
b)(6-(ベンゾ[d]オキサゾル-6-イル)ピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物8)
(6-ブロモピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(500mg、1.56mmol)を、2.5mlのエタノール、10mlのトルエンおよび2.5mlの水中、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール(383mg、1.56mmol)、炭酸ナトリウム(331mg、3.12mmol)およびPd(PPh3)2Cl2(110mg、0.156mmol)で、90℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中0~50%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.3gの表題の化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ: 9.41 (s, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.41 - 7.51 (m, 1H), 7.06 (t, 1H), 6.96 (d, 1H), 6.78 (t, 1H), 4.39 (t, 2H), 4.05 (t, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]+: m/z 359.15.
【0118】
実施例9
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物9)
【化46】
(6-ブロモピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(500mg、1.56mmol)を、0.63mlのエタノール、2.5mlのトルエンおよび0.63mlの水中、(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ボロン酸(354mg、1.72mmol)、炭酸ナトリウム(331mg、3.12mmol)およびPd(PPh
3)
2Cl
2(110mg、0.156mmol)で、90℃で16時間処理した。溶離液としてヘプタン中0~35%酢酸エチルを用いるコンビフラッシュクロマトグラフィーによる精製により0.4gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ9.37 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.65 (t, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.35 - 7.46 (m, 1H), 7.05 (t, 1H), 6.94 (d, 1H), 6.77 (t, 1H), 4.38 (t, 2H), 4.03 (t, 2H). MS (ESI) m/z [M+1]
+: m/z 402.12.
【0119】
実施例10
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-フェニルピリジン-3-イル)メタノン(化合物10)
【化47】
EtOAc中50%プロピルホスホン酸無水物(T3P)の溶液(0.6ml、1.0mmol)を、DMF(2ml)中の5-フェニルニコチン酸(0.10g、1.50mmol)、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾオキサジン(0.07g、0.50mmol)およびEt
3N(0.41ml、4.02mmol)の混合物に加えた。混合物をN
2下、RTで一晩撹拌した。混合物をEtOAc(10ml)および5%Na
2CO
3(5ml)で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して表題の化合物を得た。
1H NMR (クロロホルム-d, 400 MHz)δ: 8.88 (d, 1H), 8.69 (d, 1H), 7.99 (t, 1H), 7.4-7.5 (m, 5H), 6.8-7.1 (m, 3H), 6.6-6.8 (m, 1H), 4.3-4.5 (m, 2H), 4.0-4.1 (m, 2H).
【0120】
実施例11
(5-(4-クロロフェニル)ピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(化合物11)
【化48】
DCM(5ml)中の5-フェニルニコチノイルクロリド(0.1g、0.46mmol)、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン(61.6mg、0.46mmol)の混合物を0℃に冷却し、次いでEt
3N(0.2ml、1.38mmol)を加えた。混合物をRTで12時間撹拌した。水(10ml)を加え、その後DCMで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥し、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して表題の化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d
6, 600 MHz)δ: 8.99 (d, 1H), 8.63 (d, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.17 (t, 1H), 8.13 (d, 1H), 7.72 (d, 2H), 7.51 (t, 2H), 7.4-7.5 (m, 1H), 7.20 (br d, 1H), 3.8-3.8 (m, 2H), 2.86 (t, 2H), 1.99 (quin, 2H). LC-MS: m/z 316.4 (M+H)
+.
【0121】
以下の化合物は、上述した手順にしたがい製造した。化合物番号、特徴データ、出発物質、反応条件(引用する実施例番号)および精製法は表に示されている。
【0122】
使用した精製法:
a)結晶化
b)カラムクロマトグラフィー
c)水性媒体中での沈殿
d)半分取HPLC
e)粉砕
f)塩形成
【0123】
実施例12
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物73)
【化49】
窒素雰囲気下、脱気したDME-水(2.5:1、3.5ml)中の1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(0.091g、0.438mmol)、(5-ブロモピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(0.112g、0.35mmol)および炭酸セシウム(0.319g、0.98mmol)の混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.040g、0.035mmol)を加えた。混合物を90℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した反応混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグを通してろ過した。ろ液を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗製物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.083gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.78 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 7.88 (t, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.00-7.06 (m, 1H), 6.94 (dd, 1H), 6.64-6.74 (m, 1H), 6.60-6.70 (m, 1H), 4.37-4.48 (m, 2H), 4.03-4.11 (m, 2H), 3.97 (s, 3H). LC-MS: m/z 321.8 (M+H).
【0124】
実施例13
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物74)
【化50】
乾燥トルエン(1.5ml)中、窒素雰囲気下、ピロリジン(0.067ml、0.80mmol)、(5-ブロモピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン)0.128g、0.40mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.050g、0.52mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.018g、0.020mmol)およびrac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(0.025g、0.10mmol)の混合物を、100℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグを通してろ過した。ろ液を蒸発させた。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.046gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.01 (d, 1H), 7.93 (d, 1H), 7.00-7.17 (br, 1H), 6.97-7.04 (m, 1H), 6.94 (dd, 1H), 6.91 (dd, 1H), 6.66-6.77 (m, 1H), 4.33-4.42 (m, 2H), 3.98-4.07 (m, 2H), 3.24-3.35 (m, 4H), 1.99-2.09 (m, 4H). LC-MS: m/z 310.7 (M+H).
【0125】
実施例14
2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(5-(6,6-ジメチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物75)
【化51】
化合物は、6,6-ジメチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(0.047g、0.42mmol)および(5-ブロモピリジン-3-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(0.112g、0.35mmol)から開始して、実施例13の手順にしたがい製造した。収量0.028g。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ7.95 (d, 1H), 7.92 (d, 1H), 6.58-7.20 (m, 5H), 4.30-4.44 (m, 2H), 3.95-4.08 (m, 2H), 3.37-3.47 (m, 2H), 3.21 (d, 2H), 1.49-1.56 (m, 2H), 1.08 (s, 3H), 0.84 (s, 3H). LC-MS: m/z 350.9 (M+H).
【0126】
実施例15
(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)(6-(ピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物76)
【化52】
乾燥DMSO(1.0ml)中の(6-クロロピラジン-2-イル)(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)メタノン(0.096g、0.35mmol)およびピロリジン(0.146ml、1.75mmol)の混合物を、90℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.09 (br s, 1H), 7.89 (s, 1H), 6.96-7.07 (m, 1H), 6.97-6.96 (m, 1H), 6.3-6.87 (m, 2H), 4.24-4.49 (m, 2H), 3.90-4.14 (m, 2H), 3.15-3.63 (m, 4H), 1.85-2.12 (m, 4H). LC-MS: m/z 311.8 (M+H).
【0127】
以下の化合物は、実施例15の手順にしたがい製造した。化合物番号、特徴データ、逸脱した反応条件および出発物質は表に示されている。
【0128】
実施例16
1-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物79)
【化53】
窒素雰囲気下、脱気したDME-水(6:1、1.75ml)中、2-(5-ブロモピリジン-3-イル)-1-(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)エタン-1-オン(0.116g、0.35mmol)、4-フルオロベンゼンボロン酸(0.059g、0.42mmol)および炭酸ナトリウム(0.104g、0.98mmol)の混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.030g、0.026mmol)を加えた。混合物を90℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグを通してろ過した。ろ液を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗製物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.66 (d, 1H), 8.28 (br s, 1H), 7.75 (br s, 1H), 7.47-7.56 (m, 2H), 7.01-7.27 (m, 6H), 3.92 (s, 2H), 3.82 (t, 2H), 2.52-2.71 (m, 2H), 1.93 (quint, 2H). LC-MS: m/z 347.9 (M+H).
【0129】
以下の化合物は、実施例16の手順にしたがい製造した。化合物番号、特徴データおよび出発物質は表に示されている。
【0130】
実施例17
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物82)
【化54】
乾燥トルエン(0.5ml)中の5-(4-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)ニコチン酸エチル(0.080g、0.346mmol)、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(0.043ml、0.346mmol)およびビス(トリメチルアルミニウム)-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン付加物(0.071g、0.277mmol)の混合物を、120℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物を2M HCl水溶液でクエンチし、次いでDCMで抽出した。有機相を乾燥し、蒸発させた。粗製物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, d
6-DMSO):δ8.91 (d, 1H9, 8.35 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.04 (t, 1H), 6.65-7.00 (m, 2H), 3.80 (t, 2H), 2.85 (t, 2H), 2.16 (s, 3H), 1.99 (quint, 2H). LC-MS: m/z 319.7 (M+H).
【0131】
以下の化合物は、実施例17の手順にしたがい製造した。化合物番号、特徴データおよび出発物質は表に示されている。
【0132】
実施例18
1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物86)
【化55】
a)2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)酢酸
【化56】
窒素雰囲気下、脱気したDME-水(3:1、8ml)中の5-ブロモ-3-ピリジン酢酸(0.216g、1mmol)、4-フルオロベンゼンボロン酸(0.175g、1.25mmol)、炭酸セシウム(0.912g、2.80mmol)の混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.116g、0.10mmol)を加えた。混合物を90℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグを通してろ過した。相を分離し、水相のpHを2M NaOH水溶液で6に調整した。水相をEtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、蒸発させて0.10gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO):δ12.56 (s, 1H), 8.77 (d, 1H), 8.46 (d, 1H), 7.97 (t, 1H), 7.74-7.81 (m, 2H), 7.31-7.40 (m, 2H), 3.73 (s, 2H).
【0133】
b)1-(2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)-2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)エタン-1-オン(化合物85)
【化57】
化合物は、2-(5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)酢酸(0.090g、0.35mmol)および3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(0.052g、0.385mmol)から開始して、中間体19の手順にしたがい製造した。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。収量:0.039g。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.70 d (1H), 8.40 (br s, 1H), 7.78 (br s, 1H), 7.48-7.58 (m, 2H), 7.00-7.24 (m, 4H), 6.87-6.99 (m, 2H), 4.21-4.34 (m, 2H), 3.89-4.11 (m, 4H). LC-MS: m/z 349.9 (M+H).
【0134】
実施例19
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3,5-ジメチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物87)
【化58】
a)(6-ブロモピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン
【化59】
化合物は、6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチル(0.217g、1.00mmol)および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(0.126ml、1.00mmol)から開始して、実施例17の手順にしたがい製造した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.080gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ8.30-8.88 (m, 2H), 7.15-7.22 (m, 1H), 7.07 (t, 1H), 6.77-7.07 (br, 1H), 6.0-6.75 (br, 1H), 3.76-4.12 (m, 2H), 2.87 (t, 2H), 2.09 (quint., 2H).
【0135】
b)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(6-(3,5-ジメチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピラジン-2-イル)メタノン(化合物86)
【化60】
化合物は、(6-ブロモピラジン-2-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(0.080g、0.251mmol)および3,5-ジメチルピラゾール(0.024g、0.251mmol)から開始して、中間体22の手順にしたがい製造した。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.012gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ9.26 (s, 1H), 8.72 (d, 1H), 7.12-7.18 (m, 1H), 6.99 (t, 1H), 6.76-6.93 (m, 1H), 6.19-6.6 (m, 1H), 5.90 (s, 1H), 3.97 (t, 2H), 2.84 (t, 2H), 2.26 (s, 3H), 2.10 (quint, 2H), 1.98 (brs, 3H). LC-MS: m/z 334.7 (M+H).
【0136】
実施例20
(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)(5-(4-メチル-1H-ピラゾル-1-イル)ピリジン-3-イル)メタノン(化合物88)
【化61】
乾燥トルエン(1.0ml)中の(5-ブロモピリジン-3-イル)(3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)メタノン(0.111g、0.35mmol)、4-メチルピラゾール(0.035ml、0.438mmol)、リン酸カリウム(0.097g、0.455mmol)、ヨウ化銅(0.013g、0.070mmol)およびN,N’-ジメチレンジアミン(0.015ml、0.140mmol)の混合物を110℃で反応が完了するまで撹拌した。冷却した混合物をEtOAcで希釈し、セライトのショートプラグを通してろ過した。ろ液をNH
4Cl-NH
3(4:1)水溶液、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して0.016gの表題の化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.94 (d, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.63-7.67 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.17-7.23 (m, 1H), 7.05 (td, 1H), 6.87-6.94 (m, 1H), 6.60-6.80 (m, 1H), 3.95 (t, 2H), 3.86 (t, 2H), 2.16 (s, 3H), 2.09 (quint, 2H). LC-MS: m/z 319.7 (M+H).
【0137】
実施例21
1-((5-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(化合物89)
【化62】
1,2-ジクロロエタン(1.0ml)中の1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(0.050ml、0.40mmol)および酢酸(0.25ml)の混合物に、1,2-ジクロロエタン(1.0ml)に溶解した5-(4-フルオロフェニル)ニコチンアルデヒド(0.089g、0.44mmol)を加えた。混合物をRTで6時間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.1287g、0.88mmol)を加え、混合物をRTで一晩撹拌した。混合物をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液で塩基性とした。相を分離し、水相をDCMで抽出した。合わせた有機相を乾燥し、蒸発させた。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製して純粋な化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ8.69 (d, 1H), 8.51-8.54 (m, 1H), 7.70-7.73 (m, 1H), 7.46-7.53 (m, 2H), 7.10-7.18 (m, 2H), 6.97-7.03 (m, 2H), 6.62 (td, 1H), 6.51-6.55 (m, 1H), 4.54 (s, 2H), 3.36-3.42 (m, 2H), 2.83 (t, 2H), 2.00-2.08 (m, 2H). LC-MS: m/z 319.8 (M+H).
【0138】
以下の化合物は、実施例21の手順にしたがい製造した。化合物番号、特徴データおよび出発物質は表に示されている。
【0139】
略語
DCM - ジクロロメタン
DIPEA - N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DME - ジメトキシエタン
DMF - N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO - ジメチルスルホキシド
dppp - 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン
HPLC - 高速液体クロマトグラフィー
LC-MS - 液体クロマトグラフィー-質量分析
PdCl2(dppf) - [1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pd(OAc)2 - 酢酸パラジウム(II)
Pd2(dba)3 - トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
PdCl2(PPh3)2 - ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド
Q-PHOS - 1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1’-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン
RT - 室温
STB- ナトリウムtert-ブトキシド
STAB - トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
TEA - トリエチルアミン
T3P - プロピルホスホン酸無水物
THF - テトラヒドロフラン
TLC - 薄層クロマトグラフィー
TMA - トリメチルアミン
【0140】
実験
実験1.CYP11A1阻害
プレグネノロン生合成を阻害する試験化合物の能力を、プレグネノロンを検出する酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)により測定した(AbnovaプレグネノロンELISAキット、KA1912)。すべての重要なステロイド産生酵素を発現することが示されているヒト副腎皮質細胞がん細胞株NCI-H295Rを酵素源として使用した。試験化合物のCYP11A1阻害に対する半数阻害濃度(IC50)を決定するために、細胞を、試験化合物の濃度を増加させながら24時間処理した。最終DMSO濃度は0.4%であった。培地試料を1:6希釈し、プレグネノロン量をELISAで測定した。製造元の推奨プロトコルを使用し、プレグネノロン(シグマ-アルドリッチ、P9129)標準品を細胞培養培地に調製した。吸光度(A450)をEnvisionプレートリーダー(パーキンエルマー)で測定した。すべての試験化合物を10種の濃度で2回試験した。
【0141】
本発明の化合物は、上記アッセイによりスクリーニングされ、化合物のIC50値が以下の表1に記載される。表中、「A」は50nM未満のIC50値を示し、「B」は、51~200nMの範囲でのIC50値を示し、そして「C」は、201~2500nMの範囲でのIC50値を示す。
【0142】
【国際調査報告】