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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】浮体式洋上構造物
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20231201BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20231201BHJP
   B63B 21/50 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B63B35/00 T
F03D13/25
B63B21/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023515580
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021072577
(87)【国際公開番号】W WO2022053259
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020123374.4
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154291
【氏名又は名称】エル・ヴェー・エー リニューワブルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RWE Renewables GmbH
【住所又は居所原語表記】RWE Platz 4, 45141 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン ルンゲ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA26
(57)【要約】
本願は、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)、具体的には、浮体式洋上風力タービン(100、200、300、500、600、700)であって、少なくとも1つの浮動体(106、206、306、506、606)を備える少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304、504、604)と、洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のアンカリング状態において洋上構造物(100、200、300、500、600、700)を水中地盤(116、216、316、516、616)に固定するように構成された、少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)とを備え、アンカリング機構(108、208、508)は、アンカー(110、210、510)と浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部(109、209、509)と、洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカリング状態においてアンカー(110、210、510)と浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の長さを変更するように構成された少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)とを備える、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)に関する。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)、具体的には、浮体式洋上風力タービン(100、200、300、500、600、700)であって、
- 少なくとも1つの浮動体(106、206、306、506、606)を備える少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304、504、604)と、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のアンカリング状態において前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)を水中地盤(116、216、316、516、616)に固定するように構成された、少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)と
を備え、
- 前記アンカリング機構(108、208、508)は、アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部(109、209、509)を備える、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)であって、
前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記アンカリング状態において前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の長さを変更するように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)を備えることを特徴とする、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項2】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更するように構成された、前記アンカー接続部(109、209、509)につなげられた少なくとも1つのウィンチデバイス(224)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項3】
- 前記ウィンチデバイス(224)は、少なくとも1つのパーキングブレーキ(221)を備え、
- 前記パーキングブレーキ(221)は、前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更するために解放可能であることを特徴とする、請求項2に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項4】
前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の前記少なくとも1つの姿勢パラメーターを検出するように構成された少なくとも1つの姿勢検出デバイス(319)を備えることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項5】
- 前記姿勢検出デバイス(319)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の傾斜角を検出するように構成された傾斜角検出デバイス(319)であり、
かつ/または
- 前記姿勢検出デバイス(319)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の傾斜周波数を検出するように構成された傾斜周波数検出デバイス(319)であることを特徴とする、請求項4に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項6】
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の第1の姿勢状態に関する第1の選択可能な姿勢設定点パラメーターと、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の第2の姿勢状態に関する第2の選択可能な姿勢設定点パラメーターとが少なくとも提供されており、
- 前記第1の姿勢状態は前記第2の姿勢状態とは異なることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項7】
- 実質的に垂直に延びる少なくとも1つの垂直アンカー接続部(108、208、508)が、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付けられており、
- 垂直方向に対して少なくとも2°、好ましくは少なくとも5°の角度で延びる少なくとも1つの角度アンカー接続部(108、208、508)が、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付けられており、
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターに基づいて、前記垂直アンカー接続部(108、208、508)および/または前記角度アンカー接続部(108、208、508)の長さを変更するように構成されていることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項8】
- 前記姿勢パラメーターは、気象環境パラメーターから決定可能な姿勢パラメーターであり、
- 前記少なくとも1つの気象環境パラメーターは、
- 風向、
- 風力、
- 波高、
- 波向
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項9】
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、バラスト媒体(525)で充填可能な少なくとも1つのバラストタンク(539)を備え、
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記バラストタンク(539)の充填レベル(525)を変更するように構成された少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構(531)を備えることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項10】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に接続された少なくとも1つの重量機構(612)を備え、前記重量機構(612)は、少なくとも、水中地盤面(118、218、518、618)に下降された状態と、前記水中地盤面(118、218、518、618)から上昇された状態との間で変更可能であることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項11】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、具体的には前記水中地盤(116、216、516、616)の水中地盤面(118、218、518、618)と、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の垂直距離が変化したときに、前記アンカー接続部(109、209、509)を追跡するように構成された少なくとも1つの追跡モジュール(550)を備えることを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項12】
- 請求項1~11の何れか一項に記載の複数の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)と、
- 前記複数の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)に関する少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターを予め設定するように構成された、少なくとも1つの制御装置(762)と
を備える洋上システム(760)、具体的には、洋上風力発電所(760)。
【請求項13】
浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)、具体的には、請求項1~12の何れか一項に記載の浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の姿勢を安定化させる方法であって、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のアンカリング状態において前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)を水中地盤(116、2126、516、616)に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)を備え、前記アンカリング機構(109、208、508)は、少なくとも1つのアンカー(110、210、510)と、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の浮体式基礎(104、204、304、504、604)とを備え、
- 少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターおよび前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターを提供することと、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の前記姿勢パラメーターおよび前記姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記アンカリング状態において前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更することと
を含む、方法。
【請求項14】
- 洋上構造物(100、200、300、500、600、700)、具体的には、請求項1~11の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のための、少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304、504、604)と、
- 前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付け可能な少なくとも1つのアンカー接続部(109、209、509)を備える少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)と、
- ウィンチデバイス(224)の形態の少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)であって、前記アンカー接続部(109、209、509)につなぐことが可能であり、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記ウィンチデバイス(224)につなげられている前記アンカー接続部(109、209、509)を巻き取りかつ/または繰り出すように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)と
を備える、浮体洋上セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、浮体式洋上構造物、具体的には、浮体式洋上風力タービンであって、少なくとも1つの浮動体を備える少なくとも1つの浮体式基礎と、洋上構造物のアンカリング状態において洋上構造物を水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構(独:Verankerungsanordnung,英:anchoring arrangement)とを備え、アンカリング機構は、アンカーと浮体式基礎との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部(独:Ankerverbindung,英:anchor connection)を備える、浮体式洋上構造物に関する。さらに、本願は、洋上システム、方法、および洋上セットに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる再生可能なエネルギー源から電気エネルギーを供給するために、少なくとも1つの風力タービンを有する風力エネルギーシステムおよび風力発電所がそれぞれ、ますます利用されるようになっている。風力タービンは、具体的には、風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。
【0003】
このようなシステムのエネルギー生成量を増大させるために、風が強い可能性がある地点に風力発電所がますます配置されている。具体的には、洋上の地点は通常、比較的風がとぎれない状況があることおよび平均風速が高いことを特徴とし、そのため、いわゆる洋上風力エネルギーシステムおよび洋上風力発電所がそれぞれ、ますます設置されている。
【0004】
通常は、洋上風力発電所は、複数の洋上風力タービンなどの複数の洋上構造物および少なくとも1つの洋上変電所を備え、その洋上変電所によって、洋上風力発電所は、例えば陸上変電所またはさらなる洋上変電所および洋上変換所それぞれに電気接続されている。
【0005】
さらに、陸上変電所は公共の電力網に接続することができる。2つの洋上構造物の間、または、洋上構造物と陸上構造物との間で電気エネルギーを伝送するために、電力ケーブルが海底ケーブルの形態で敷設されている。
【0006】
洋上風力タービンおよび洋上変電所だけでなく、ガスまたは石油の探鉱のためのプラットフォームなどの他の洋上構造物についても、それらをそれぞれ水中地盤、具体的には海底にある基礎構造物(例えば、モノパイル、トリポッド、トリパイルまたはジャケット基礎)によってアンカリングすることが一般的な手法であったが、具体的には、水深が大きい、例えば150メートル超の領域に、洋上構造物、具体的には洋上風力発電所を設置するために、浮体洋上構造物、例えば浮体洋上風力タービンの設置を検討することが増えている。
【0007】
浮体式洋上構造物または浮体洋上構造物は、少なくとも1つの浮動体を有する少なくとも1つの浮体式基礎を備える。プラットフォーム、変電所、風力発電デバイスなどの装置は、浮体式基礎上に設置することができる。
【0008】
洋上構造物の(恒久的な)静止動作のために、洋上構造物は、少なくとも1つのアンカリング機構によって水中地盤(通常は海底)に固定されている。少なくとも1つのアンカリング機構は、洋上風力タービンのアンカリング状態において洋上構造物を水中地盤に固定するように構成されている。そのために、アンカリング機構は、水中地盤に少なくとも部分的に埋められたアンカーと浮体式基礎との間で延びる、少なくとも1つのアンカー接続部を備える。
【0009】
このような洋上構造物の浮体設計によって、洋上構造物は風および/または波によって動くことが可能である。具体的には、浮体洋上構造物は、具体的には主な風向および/または主な波向において、有意な(周期的な)傾斜運動を受けることがある。具体的には浮体式基礎に配置された洋上装置の損傷を防止するために、先行技術では、浮体式基礎の入念な設計、具体的には、設置中に垂直方向の比較的深い位置に洋上構造物の配置が行われる。
【0010】
具体的には、設置中に垂直方向の比較的深い位置に洋上構造物が配置されると、風速は一般に高度が高いほど大きくなるため、具体的には低い風速で洋上風力タービンの電気生成量が低減されることになる。
【0011】
さらに、中程度の風速および/または中程度の波高であっても、傾斜運動または揺動運動が起こり、そうなると、航空機または船が洋上構造物に着陸することが少なくとも非常に難しくなる。着陸できなくなる可能性さえある。
【0012】
したがって、本願の目的は、先行技術の欠点が少なくとも軽減され、具体的には、好ましくない気象条件下であっても洋上構造物への着陸が可能である、洋上構造物を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
その課題は、請求項1に記載の浮体式洋上構造物、具体的には、浮体式洋上風力タービンによって、本願の第1の態様に従って解決される。洋上構造物は、少なくとも1つの浮動体を備える少なくとも1つの浮体式基礎を備える。洋上構造物は、洋上構造物のアンカリング状態において洋上構造物を水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構を備える。アンカリング機構は、アンカーと浮体式基礎との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部を備える。洋上構造物は、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカリング状態においてアンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更するように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(独:Lagestabilisierungseinrichtung,英:attitude stabilization device)を備える。
【0014】
先行技術と異なり、本願によれば、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更することにより浮体式洋上構造物の位置を安定化させる姿勢安定化デバイスを提供することによって、先行技術の欠点が少なくとも軽減された浮体式洋上構造物が提供される。具体的には、洋上構造物への着陸は、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更することによって、具体的には、少なくとも着陸プロセス中にその長さを短縮または延長することによって、少なくとも容易にすることができる。長さの変更が洋上構造物の傾斜運動または揺動運動を少なくとも低減できることが確認された。
【0015】
好ましい浮体式洋上風力タービンでは、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更することによって、電気生成量およびエネルギー生成量をそれぞれ増大させることも可能である。
【0016】
本願による洋上構造物は、洋上風力タービン、洋上変電所、ガスまたは石油の探鉱のための洋上プラットフォームなどの浮体式洋上構造物である。洋上構造物は少なくとも1つの浮体式基礎を備え、具体的にはその浮体式基礎上に洋上装置を配置できる。
【0017】
好ましい実施形態では、洋上構造物は洋上風力タービンである。洋上風力タービンの少なくとも1つの基礎上には、具体的には洋上装置として、タワー、ナセル、ローター、ジェネレーターなどを備える風力発電装置が配置されている。
【0018】
少なくとも1つの浮体式基礎は少なくとも1つの浮動体を備える。浮動体または浮揚体は、具体的には、アルキメデスの原理に従って押しのけた分の浮力によって独立に浮揚性がある物体である。浮動体は、例えば、中空であり、空気または軽量の固体材料で充填することができる。具体的には、浮体式基礎は実質的に浮動体を形成できる。
【0019】
浮体式基礎は、好ましくは、いわゆるバージ基礎、セミサブマーシブル基礎、スパー基礎および/または緊張係留式プラットフォーム(TLP)基礎とすることができる。本願の他の変形例では他のタイプの浮体式基礎が提供され得ることが理解されるものとする。
【0020】
本願によれば、浮体式基礎は、少なくとも1つのアンカリング機構によって、水中地盤にそれぞれ固定およびアンカリングされる。具体的には、複数の(例えば、3つまたは4つの)アンカリング機構を固定のために設けることができる。
【0021】
本願によるアンカリング機構は、具体的にはアンカーロープまたはアンカーチェーンの形態の、アンカー接続部を備える。アンカー接続部の一端は基礎に取り付けられており、他端は少なくとも1つのアンカー(例えば、ウェイトアンカー、魚雷型アンカーなど)に取り付けられている。アンカーは、水中地盤に少なくとも部分的に埋めることができる。
【0022】
基礎が、したがって洋上構造物が、少なくとも1つのアンカリング機構によって水中地盤に固定されるという状況は、ここでは、具体的には、基礎および洋上風力タービンそれぞれのアンカリング状態と称される。
【0023】
本願によれば、少なくとも洋上構造物の損傷が差し迫っている洋上構造物の臨界位置は、アンカリング状態、すなわち、洋上構造物の意図された動作において、アンカリング機構のアンカー接続部の長さを変更するという可能性がもたらされる場合には、少なくとも軽減できることが確認された。具体的には、長さを短縮することによって(しかし、場合によっては延長することによっても)、洋上構造物の傾斜運動または揺動運動は、長さがより大きい場合(および長さがより小さい場合それぞれ)と比べて少なくとも軽減される。
【0024】
長さを変更するために、本願によれば、姿勢安定化デバイスを提供することが提案されている。これは、浮体式基礎内および/または上に少なくとも部分的に配置できる。本願の変形例において、このデバイスは、洋上風力タービンのタワーなどの洋上装置に少なくとも部分的に配置することもできる。
【0025】
本願によれば、少なくとも1つの姿勢安定化デバイスは、洋上構造物の少なくとも1つの(提供可能な)姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの(予め定義された)姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカリング状態においてアンカーと浮体式基礎(具体的には、アンカー接続部が基礎に達する点)との間のアンカー接続部の長さを変更するように構成されている。
【0026】
洋上構造物の姿勢パラメーター(値)は、具体的には、洋上構造物の(現在および/または予測される今後の)垂直位置および/または水平位置を直接的および間接的に説明する姿勢パラメーターである。少なくとも1つの姿勢パラメーターは、具体的には、設定されることになる洋上構造物の垂直位置および/または水平位置を指定する。
【0027】
具体的には、2つ以上の姿勢パラメーターおよび/または(その姿勢パラメーターに対応する)2つ以上の姿勢設定点パラメーターを提供できる。好ましくは、例えば姿勢パラメーターデータセットの形態の複数の異なる姿勢パラメーター、および例えば対応する姿勢設定点パラメーターデータセットの形態の対応する複数の(予め定義された)姿勢設定点パラメーターを提供できる。
【0028】
好ましくは、姿勢安定化デバイスは、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さの変更を制御するように構成された少なくとも1つの制御モジュールを備えることができる。例えば、制御モジュールは、少なくとも1つの適切なコントローラーを備えることができる。
【0029】
これは、具体的には、(現在および/または予測される今後の)姿勢パラメーターが(基本的に)姿勢設定点パラメーターに対応するように長さが変更され、生じ得る差が最小限に抑えられることを意味する。
【0030】
姿勢設定点パラメーターが許容できない姿勢範囲または許容できる姿勢範囲の限界値である場合には、本願の変形例は、(現在および/または予測される今後の)姿勢パラメーターが許容できる姿勢範囲内に少なくとも入る、すなわち、姿勢設定点(限界)パラメーターを上回らない(または下回らない)ように長さが変更されることを提供できる。
【0031】
本願による洋上構造物の好ましい実施形態によれば、姿勢安定化デバイスは、アンカー接続部につなげられた少なくとも1つのウィンチデバイスを備えることができる。ウィンチデバイスは、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更するように構成することができる。具体的には、ウィンチデバイスは、実質的に筒状の回転可能なドラムを備える。
【0032】
本事例では、つなげられている(独:Gekoppelt,英:coupled)とは、具体的には、アンカーロープまたはアンカーチェーンの形態の少なくとも1つのアンカー接続部をドラムに(具体的には、最小長さと最大長さとの間で)巻き取りおよび繰り出しできることを意味する。アンカー接続部の一端は、ウィンチデバイスのドラムまたは別の取付け点に確実に取り付けることができる。
【0033】
好ましくは、ウィンチデバイスは、洋上構造物から電気エネルギーが供給され得る、少なくとも1つの制御可能なモーター式のドライブ、具体的には、電気モーターを備えることができる。ドライブは、具体的には、少なくとも1つの(現在および/または予測される今後の)姿勢パラメーターが少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに(実質的に)対応するかまたは許容できる姿勢範囲内に少なくとも入るように長さが変更されるように、制御モジュールによって制御できる。
【0034】
本願による洋上構造物のさらなる実施形態によれば、ウィンチデバイスは、少なくとも1つのパーキングブレーキを備えることができる。パーキングブレーキは、アンカー接続部の長さを変更するために解放可能(および変更後にロック可能)でよい。アンカー接続部の長さの変更が行われるときは、例えば、制御モジュールはパーキングブレーキを、それが解放されるように制御することができる。次に、具体的にはドライブによって、説明したようにアンカー接続部の長さを変更できる。その後、自動的にまたは例えば制御モジュールによる新たな制御によって、パーキングブレーキを(再び)ロックできる。これは、ドライブへの負荷を軽減できる。
【0035】
少なくとも1つの姿勢パラメーターは、洋上構造物によって備えられていない装置によって姿勢安定化デバイスを提供することができる。さらに、本願による洋上構造物の好ましい実施形態によれば、洋上構造物は、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターを検出するように構成された少なくとも1つの姿勢検出デバイスを備えることができる。言い換えれば、本実施形態では、洋上構造物、具体的には、洋上構造物の実際の姿勢パラメーターは、姿勢検出デバイス自体によって決定することができる。具体的には、ウィンチデバイスまたは別のデバイス(例えば、バラスト媒体搬送機構、リフティングデバイス)の、具体的には少なくとも1つのドライブの制御は、検出された姿勢パラメーターおよび実際の姿勢パラメーターそれぞれと、(所定の)姿勢設定点パラメーターとの間の差に応じて行うことができる。
【0036】
少なくとも1つの姿勢パラメーターは、具体的には、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢角度(オイラー角とも呼ばれる)とすることができる。例えば、少なくとも1つの姿勢パラメーターは、ヨー角(洋上構造物の現在の向きと、垂直軸(z軸とも呼ばれる)との間の角度)、ロール角(洋上構造物の現在の向きと、長手方向軸(x軸とも呼ばれる)との間の角度)、および/または、ピッチ角(洋上構造物の現在の向きと、長手方向軸(y軸とも呼ばれる)との間の角度)とすることができる。
【0037】
好ましくは、姿勢検出デバイスは、洋上構造物の傾斜角を検出するように構成された傾斜角検出デバイスとすることができる。具体的には、傾斜角は、洋上構造物の傾斜運動または揺動運動の間の、(反転位置における)垂直軸または垂直方向に対する(最大の)角度である。例えば、(最大の)傾斜角、好ましくは、許容できる傾斜角範囲は、姿勢設定点パラメーターとして提供することができる。実際の傾斜角が許容できる傾斜角範囲外にある場合は、具体的には、検出される傾斜角が再び許容できる範囲内に(具体的には、長時間にわたって)入るように(まで)長さを変更できる。
【0038】
代替的または付加的に、姿勢検出デバイスは、洋上構造物の傾斜周波数を検出するように構成された傾斜周波数検出デバイスとすることができる。傾斜周波数の検出は傾斜継続期間の検出を含むことが理解されるものとする。傾斜角に関する説明と同様に、制御を実行することができる。
【0039】
本願による洋上構造物の好ましい実施形態では、洋上構造物の第1の(所望の)姿勢状態に関する第1の選択可能な姿勢設定点パラメーターと、洋上構造物の第2の(所望の)姿勢状態に関する第2の選択可能な姿勢設定点パラメーターとが少なくとも提供され得る。第1の姿勢状態は第2の姿勢状態とは異なっていてよい。
【0040】
例えば、第1の姿勢状態は(通常の)動作状態でよく、第2の姿勢状態は着陸状態でよい。通常の動作中は、より強い傾斜運動または揺動運動を許容できる可能性がある(所定の第1の姿勢状態および第1の姿勢設定点パラメーター(データセット)それぞれに対応する)。一方で、着陸プロセス中は、わずかな傾斜運動または揺動運動しか許容できない可能性がある(所定の第2の姿勢状態および第2の姿勢設定点パラメーターそれぞれに対応する)。具体的には、それぞれの少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターは、(例えば、着陸を望むユーザーによって)選択可能にでき、具体的には、制御モジュールのために予め定義することができる。
【0041】
本願のさらなる変形例では、さらなるまたは他の選択可能な姿勢設定点パラメーターを、さらなるまたは他の姿勢状態のために提供することができる。例えば、少なくとも1つのそれぞれの姿勢設定点パラメーターを有するメンテナンス状態を提供することができ、それはメンテナンス動作のために(着陸後に)選択できる。
【0042】
例えば、少なくとも1つの最小限の姿勢パラメーター(データセット)が洋上構造物にローカルに格納されることを提供できる。そのことによって、洋上構造物の特定の最小限の安定位置(および状況それぞれ)を常に確実に維持できる。次に、洋上構造物の実際の位置は、具体的には(洋上風力タービンにとって)洋上風力発電所のエネルギー生成量が最大になるように許容範囲内に設定できる。
【0043】
本願による洋上構造物のさらなる実施形態によれば、実質的に垂直方向に延びる少なくとも1つの垂直アンカー接続部が、浮体式基礎に取り付けられていてよい。垂直方向に対して少なくとも2°、好ましくは少なくとも5°(最大で45°)の角度で延びる少なくとも1つの角度アンカー接続部が、浮体式基礎に取り付けられていてよい。姿勢安定化デバイスは、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターに基づいて、垂直アンカー接続部および/または角度アンカー接続部の長さを変更するように構成することができる。具体的には、少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに応じて、垂直アンカー接続部および角度アンカー接続部それぞれの長さが異なるように変更される場合が有利なことがある。
【0044】
具体的には、垂直方向(垂直軸)に対する角度アンカー接続部の角度が位置する垂直面が、主な風向および/または主な波向に平行な方向(または±20°の範囲内)に延びる(具体的には、この角度アンカー接続部のアンカーが風および/または波の衝突する側に位置する)場合は、具体的には風および波がなければ主な風向および/または主な波向の方向への傾きが生じることになるように、前記角度アンカー接続部のアンカー接続部が少なくとも1つの垂直アンカー接続部よりも(例えば2から10m)短縮されることを、具体的には少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターによって予め決定することができる。付加的にまたは代替的に、アンカーが風および/または波から離れる側にある少なくとも1つのさらなる角度アンカー接続部については、風および波がなければ主な風向および/または主な波向の方向への傾きが生じることになるように、長さが変更されないままであるかまたは延長されることを提供することもできる。
【0045】
既に上述したように、姿勢パラメーター(および姿勢設定点パラメーター)は、先に説明した姿勢パラメーターなど、洋上構造物の姿勢を直接的に示す姿勢パラメーターとすることができる。代替的または付加的に、姿勢パラメーターは、洋上構造物の(起こり得る)(現在のおよび/または予測される)姿勢を導き出すことができるパラメーターとすることができる。具体的には、それらの姿勢パラメーターは、洋上構造物の姿勢に直接的に影響を与える姿勢パラメーターとすることができる。本願による洋上構造物のさらなる実施形態によれば、姿勢パラメーターは気象環境パラメーターとすることができる(そのパラメーターから実際の現在のまたは今後の姿勢パラメーターを決定可能にできる)。少なくとも1つの気象環境パラメーターは、
- 風向(測定値または予測値)、
- 風力(測定値または予測値)、
- 波高(測定値または予測値)、
- 波向(測定値または予測値)
を含む群から選択できる。
【0046】
これらの気象環境パラメーターは、洋上構造物の姿勢に特に関係がある。
【0047】
具体的には、前述の気象環境パラメーターが浮体式洋上構造物の傾斜角(したがって傾斜運動)に影響を与え得ることが確認された。例えば、特定の対応する姿勢パラメーター設定点(例えば、波高xmの閾値)を超える(現在のおよび/または予測される)うねりおよび波高がそれぞれ存在する場合は、長さを変更することができる。波が構造物の下を進むことができるように洋上構造物を持ち上げるために、長さを延長することも考えられる。浮体基礎の深さを増大させることによって姿勢を改善するために長さを短縮することも考えられる。これは傾斜角を小さくすることができる。ひいては、電気生成量を増大させることができる。
【0048】
好ましくは、前記気象環境パラメーターの少なくとも2つ、好ましくはすべてを決定し、具体的には提供することができる。具体的には、その少なくとも1つの姿勢パラメーターは、洋上風力発電所および/または気象サービスの少なくとも1つの気象測定デバイス(例えば測定マスト)によって提供することができる。本願のさらなる変形例において、代替的または付加的に、少なくとも1つのさらなる気象環境パラメーター(例えば、降水量、日射量など)を提供することができる。
【0049】
本願による洋上構造物のさらなる実施形態によれば、姿勢安定化デバイスは、バラスト媒体(好ましくは水、具体的には海水)で充填できる少なくとも1つのバラストタンクを(代替的または付加的に)備えることができる。好ましくは、少なくとも1つのバラストタンクは、少なくとも1つの基礎に一体化することができる。バラストタンクを基礎の外側に取り付けることもできる。
【0050】
2つ以上の基礎および基礎要素がそれぞれ設けられる場合は、各基礎がバラストタンクを有することができる。少なくとも1つのバラストタンクは、具体的には、充填/排出が基礎の特定の垂直および/または水平の位置合わせになるように配置することができる。バラストタンクが複数ある場合、充填/排出は、具体的には、少なくとも2つのバラストタンクの特定の充填/排出が起こり得るように制御できる。
【0051】
姿勢安定化デバイスは、具体的には洋上構造物の姿勢を安定化させるために、バラストタンクの充填レベルを変更するように構成された少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構を備えることができる。
【0052】
バラスト媒体搬送機構は、基礎内または基礎上に配置できる。充填レベルを変更することによって、具体的には、水線または水中地盤面までの垂直距離が変更される。そのことは洋上構造物の姿勢を安定化させることができる。本実施形態では、姿勢設定点パラメーターは、設定点充填量(例えば、満量、半量、空、xリットルなど)とすることができる。所定のこのような姿勢設定点パラメーターに従って、バラスト媒体搬送機構は、前記垂直距離を変更するためにバラストタンクの充填レベルを変更することができる。
【0053】
特に好ましくは、バラスト媒体搬送機構は、バラスト媒体をバラストタンク中にアクティブに搬送することおよび/またはバラスト媒体をバラストタンクの外にアクティブに搬送することによってバラストタンクの充填レベルを変更するように構成された少なくとも1つのポンプデバイスを備えることができる。具体的には、バラストタンクの外へのバラスト媒体のアクティブな搬送が実行される場合は、充填はタンク開口部を開けることによってパッシブに行うことができる。具体的には、バラストタンク中へのバラスト媒体のアクティブな搬送が実行される場合は、排出はタンク開口部を開けることによってパッシブに行うことができる。しかし、好ましくは、充填および排出の両方を実行するために少なくとも1つのポンプデバイスを設けることができる。
【0054】
特定の充填レベルの設定は制御モジュールによって制御することができる。充填レベルをモニタリングするためにレベル測定要素を使用できる。そのことによって、設定点充填量の形態の所定の姿勢設定点パラメーターが確実に設定されることが可能になる。
【0055】
代替的または付加的に、本願による洋上構造物のさらなる実施形態によれば、姿勢安定化デバイスは、浮体式基礎に接続された少なくとも1つの重量機構を備えることができ、その重量機構は、例えば適切なリフティングデバイスによって、少なくとも、水中地盤面に下降された状態と水中地盤面から上昇された状態との間で変更可能である。
【0056】
具体的には、重量機構は、基礎に接続できる重量接続部(例えば、アンカーロープおよび/またはアンカーチェーン)を備えることができる。重量接続部の他端は、重量機構の重量要素に接続できる。下降された状態では、重量要素を少なくとも下に降ろすことおよび水中地盤面に下降されることがそれぞれできる。その状態では、具体的には、重量機構の少なくとも1つの重量要素によって重量の力を基礎にほとんど加えることができない。
【0057】
上昇された状態では、重量要素を上昇させて、水中地盤面から離す、すなわち、水中地盤面に(ほとんど)接触しないようにすることができる。その状態では、具体的には、重量の力(重量機構の重量要素の重量に対応する)が、重量機構の少なくとも1つの重量要素によって基礎に加えられている。前記状態の間で調節することによって、前記垂直距離の変更を行うことができ、そうすることで、洋上装置の姿勢に(ポジティブに)影響を与えることができる。
【0058】
具体的には、バラスト搬送機構を有する先に説明したバラストタンクおよび/または先に説明した重量機構が設けられている場合は、洋上構造物の好ましい実施形態によれば、具体的には、水中地盤の水中地盤面と浮体式基礎との間(または、基礎と、水線および水面それぞれとの間)の垂直距離が変更された場合に、姿勢安定化デバイスは、アンカー接続部(すなわち、アンカー接続部の長さの変更)を追跡するように構成された少なくとも1つの追跡モジュールを備えることができる。
【0059】
したがって、アンカーと基礎との間の所望の(最小および/または最大の)張力が下回るまたは上回ることを防止するために、各アンカー接続部は、具体的には、アンカー接続部を追跡するために追跡モジュールとつなげることができる。他の変形例において、追跡デバイスをなくすこともできる。
【0060】
少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターは、具体的には洋上構造物が容認できない姿勢をとることなく、電気生成量が増大されるように、決定することもできる。例えば、説明したように、少なくとも1つの最小限の姿勢設定点パラメーターを指定できる。次に、洋上構造物の実際の姿勢は、具体的には(洋上風力タービンにとって)洋上風力発電所のエネルギー生成量が最大になるように、許容できる範囲内に設定できる。
【0061】
本願のさらなる態様は、洋上システム、具体的には、洋上風力発電所である。洋上システムは、先に説明した洋上構造物を複数備える。洋上システムは、複数の洋上構造物に関する少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターを予め設定するように構成された少なくとも1つの制御装置を備える。
【0062】
具体的には、洋上風力発電所において、複数の洋上風力タービンは、少なくとも部分的に、異なる姿勢設定点パラメーターを用いて予め設定できることを提供することができる。具体的には、姿勢設定点パラメーターは、一方で、(予め定義された)十分に安全な安定した位置を保証し、他方で、洋上風力発電所の総エネルギー生成量を増大させるように決定することができる。
【0063】
具体的には、(中央)制御装置(例えば、洋上風力発電所の中央コントローラーにソフトウェアモジュールとして実装される)を設けることができる。複数の洋上風力タービンは、通信ネットワークを介して、例えば、少なくとも1つの(先に説明した)姿勢設定点パラメーターを含む少なくとも1つの制御コマンドを送信することによって、制御することができる。
【0064】
本願による洋上風力発電所の好ましい実施形態によれば、姿勢設定点パラメーターは、付加的に、第1の洋上風力タービンの、洋上風力発電所の少なくとも1つのさらなる洋上風力タービンに対する位置に左右されることがある。言い換えれば、姿勢設定点パラメーターはそのときにパーク位置依存でよい。
【0065】
好ましくは、特定の洋上風力タービンの制御に用いられる姿勢設定点パラメーターは、洋上風力発電所内おけるその洋上風力タービンの位置に左右されることがある。例えば、各洋上風力タービンは、パーク位置属性(例えば、洋上風力タービンの地理的表示、特定の方向(例えば、主な風向)に対して位置している洋上風力タービン列の表示および/または同様の事項)と関連付けることができる。制御デバイスによってアクセスできるデータメモリー機構には、例えば、洋上風力タービンのタービン識別子を、少なくとも1つのパーク位置属性(パーク位置を示す)と一緒に格納することができる。
【0066】
具体的には、洋上風力タービンが特定の気象環境条件下で別の洋上風力タービンの風下に位置する場合に、電気エネルギー生成量が低減される恐れがあることが確認された。本願による洋上風力タービンのそれぞれのパーク位置を考慮に入れることによって、具体的には十分に安全な姿勢を保証することに加えて、エネルギー生成量を増大させることができる。例えば、(現在のまたは予測される主な風向に見て)前後に配置される2つの洋上風力タービンに関して、対応する姿勢設定点パラメーター、したがってハブの高さによって、異なる垂直距離を設定できる。そのことは、これら2つの洋上風力タービンの総生成量を増大させることができる。
【0067】
本願による洋上システム、具体的には風力発電所のさらなる実施形態によれば、第1の気象環境条件と、第1の環境条件とは異なる第2の気象環境条件とを少なくとも指定することができる。気象環境条件(および基準それぞれ)は、具体的には、少なくとも1つの気象環境パラメーター範囲を含む。評価中は、提供された(先に説明した)気象環境パラメーターが少なくとも1つの環境パラメーター範囲内にあるか否かをチェックできる。言い換えれば、少なくとも1つの気象環境パラメーター(値)が少なくとも1つの環境条件を満たすか否かをチェックできる。
【0068】
割当てテーブルにおいて、具体的には環境条件ごとに、各洋上風力タービン(および対応するタービン識別子それぞれ)を、(厳密に)1つの姿勢設定点パラメーターに割り当てることができる(さらに、先に説明したように、特別な状況のためには選択可能な姿勢設定点パラメーターを提供できる)。姿勢設定点パラメーターは、説明したように、パーク位置およびそれぞれのパーク位置属性それぞれに左右される(付加的に、最小限の安定姿勢を定義する)ことがある。具体的には、割当てテーブルは、データメモリー機構に格納することができる。
【0069】
特定の気象環境条件を検出した際に(具体的には、気象環境条件の(例えば、第1の気象環境条件から第2の気象環境条件への、またはその逆の)変化を検出した際に)、制御装置は、格納されている割当てテーブルにアクセスし、具体的には、それぞれの格納された姿勢設定点パラメーターに従って、洋上風力発電所の洋上風力タービンの少なくともいくつか、好ましくは、洋上風力発電所の洋上風力タービンのすべてを制御することができる。
【0070】
制御のために使用できる姿勢設定点パラメーターは前もって決定できる。具体的には、前もって決定するとは、具体的には高さ設定点の形態の姿勢設定点パラメーターが、特定の気象環境条件が検出されるとき(具体的には、気象環境条件の(例えば、第1の気象環境条件から第2の気象環境条件への、またはその逆の)変化が検出されるとき)に決定されるだけでなく、時間的にその前にも決定されることを意味する。
【0071】
具体的には、洋上風力発電所の設置前に(例えば、シミュレーションモデルによって)および/または設置のすぐ後に(例えば、試験によって)、複数の姿勢設定点パラメーターを決定することができる。好ましくは、姿勢設定点パラメーターは、具体的には(例えば、シミュレーションプロセスによって判定された電気生成量と比べて)実際の電気生成量を評価することによって、洋上風力発電所の動作中に具体的には最適化を実行できるように、変更可能なように格納することができる。
【0072】
本願による洋上風力発電所のさらなる実施形態によれば、複数の洋上風力タービンは、それぞれが同一の第1のパーク位置属性(先に述べたように、それぞれのパーク位置に対応する)を含む、洋上風力タービンの第1のサブグループと、それぞれが同一の第2のパーク位置属性(先に述べたように、それぞれのパーク位置に対応する)を含む、洋上風力タービンの第2のサブグループとに、少なくともグループ分け可能にすることができる。制御装置は、洋上風力タービンの第2のサブグループが制御される姿勢設定点パラメーターとは異なる姿勢設定点パラメーターを用いて、洋上風力タービンの第1のサブグループを制御するように構成することができる。3つ以上のサブグループにグループ分けを行うことができることが理解されるものとする。グループ分けは、前記割当てテーブルに(本質的に)マッピングできる。具体的には特定の環境条件の検出の際に制御が行われることが理解されるものとする。さらに、グループ分けは環境条件に左右されることがある。言い換えれば、サブグループへの(静的というよりも)動的なグループ分けを行うことができる。
【0073】
(少なくとも1つの割当てテーブルにおいてマッピング可能でありかつ好ましい)グループ分け戦略および高さ調節戦略はそれぞれ、好ましくは、常に、十分に安定した位置が依然として保証される最大高さまで(風向に見て)第1列の洋上風力タービンを増大させることができる。第2列は最小高さに設定でき、次に、第3列はやはり最大高さに設定でき、以下同様である。常に、(風向に見て)第1列の洋上風力タービンを最小高さに動かし、第2列を最大高さに設定し、次に、やはり第3列を最小高さに設定し、以下同様であることも考えられる。
【0074】
さらなる中程度の高さならびに/または距離および高さそれぞれの継続的な調節が可能な場合は、他のグループ分け戦略および高さ調節戦略をそれぞれ提供することもでき、具体的には、割当てテーブルまたはデータベースにマッピングすることもできる。
【0075】
本願による洋上風力発電所の特に好ましい実施形態によれば、洋上風力発電所は、少なくとも1つの測定または予測された気象環境条件に応じて複数の洋上風力タービンを制御するための、(制御のために使用されることになる、具体的には、高さ設定点の形態の)姿勢設定点パラメーターを(予め)決定するように構成された少なくとも1つの姿勢設定点決定デバイスを備えることができる。
【0076】
姿勢設定点決定デバイスは、具体的には洋上風力発電所の複数の風力タービンのシミュレーションモデルに基づいて、複数のシミュレーションステップを行うように構成することができる。具体的には、計画中および設置前に洋上風力発電所の(数理的)シミュレーションモデルを作ることができ、そのモデルを用いることで、原則的に、異なる気象環境条件に応じて、具体的には、異なるように設定された垂直距離を用いて、総発電量を少なくともシミュレートすることができる。ここで、例えば傾斜運動によって損傷を引き起こすことのない、最大限または最小限に設定できる高さをシミュレートすることもできる。このように、具体的には、少なくとも1つの最小限の姿勢設定点パラメーターを決定できる。他の変形例では、姿勢設定点決定デバイスは、代替的または付加的に、試験を行うように構成することができる。
【0077】
各シミュレーションステップ(または試験ステップ)において、複数の洋上風力タービンに関して、異なる姿勢設定点を好ましくは設定でき、いずれの場合も姿勢設定点に関して総発電量を決定できる。例えば、先に言及した設定戦略をシミュレートすることができる。
【0078】
特定の気象環境条件において複数の洋上風力タービンを(実際に)制御するための姿勢設定点として、決定された(シミュレートまたは試験された)総発電量が最大になる(かつそれぞれの洋上風力タービンの十分な安定が保証される)ような姿勢設定点を決定する(具体的には、割当てテーブルに格納する)ことができる。言い換えれば、好ましくは少なくとも2つの異なる気象環境条件について、少なくともシミュレートされた(または試験された)総発電量が最大になるそれぞれの姿勢設定点は、(複数のシミュレーションステップを有する)シミュレーションプロセスによって決定することができる。
【0079】
好ましくは、洋上風力発電所の動作中に最適化プロセスを行うことができる。具体的には、実際の総発電量およびシミュレートされた(または試験された)総発電量を評価することができる。具体的には、実際の総発電量がシミュレートされた総発電量よりも低い場合は、生成量を増大させるために、姿勢設定点を(例えば、人工知能を用いて)少なくとも部分的に調節することができる。ここで、履歴データおよび/または他の洋上風力発電所からのデータを考慮に入れることができる。
【0080】
本願のさらなる態様は、浮体式洋上構造物、具体的には、先に説明した浮体式洋上構造物の姿勢を安定化させる方法であって、洋上構造物は、洋上構造物のアンカリング状態において洋上構造物を水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構を備え、アンカリング機構は、アンカーと浮体式基礎との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部を備える、方法である。本方法は、
- 少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターおよび洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターを提供することと、
- 洋上構造物の姿勢パラメーターおよび姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカリング状態においてアンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更することと
を含む。
【0081】
本方法は、複数の浮体洋上風力タービンを具体的には動作させるために、具体的には制御するために、すなわち、上述の洋上風力発電所を具体的には動作させるために、具体的には制御するために用いることができる。
【0082】
本願のさらなる態様は、
- 洋上構造物、具体的には先に説明した洋上構造物のための、少なくとも1つの浮体式基礎と、
- 浮体式基礎に固定可能な少なくとも1つのアンカー接続部を備える少なくとも1つのアンカリング機構と、
- ウィンチデバイスの形態の少なくとも1つの姿勢安定化デバイスであって、アンカー接続部につなぐことが可能であり、洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、ウィンチデバイスにつなげられているアンカー接続部を巻き取りかつ/または繰り出すように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイスと
を備える浮体式洋上セットである。
【0083】
モジュール、デバイスなどは、(具体的には、プロセッサーによって実行可能なコンピューターコードの形態の)ソフトウェアエレメントによって少なくとも部分的に、かつ/またはハードウェアエレメント(プロセッサー、メモリー手段、アクチュエーターなど)によって少なくとも部分的に形成できることに留意されたい。
【0084】
洋上構造物、洋上システム(具体的には、洋上風力発電所)、方法および洋上セットの特徴は、互いに自由に組み合わせることができる。具体的には、本明細書および/または従属請求項の特徴は単独でもまたは互いに自由に組み合わせても、独立請求項の特徴を完全にまたは部分的に回避しても独立して進歩性を有することができる。
【0085】
今や、本願による洋上構造物、本願による洋上システム、本願によるプロセス、および本願による洋上セットを設計し、さらに発展させる可能性が多数存在する。そのために、一方で独立請求項に従属する特許請求項が、他方で図面に関連する実施形態の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1A】本願による浮体式洋上構造物の一実施形態の概略図である。
図1B】本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図1C】本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図1D】本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図2】本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図3】本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図4】経時的にプロットされた浮体式洋上構造物の例示的な傾斜運動である。
図5A】第1の設定距離を有する、本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図5B】さらなる設定距離を有する、図5Aによる実施形態の概略図である。
図6A】第1の設定距離を有する、本願による浮体式洋上構造物のさらなる実施形態の概略図である。
図6B】さらなる設定距離を有する、図6Aによる実施形態の概略図である。
図7】本願による洋上システムの一実施形態の概略図である。
図8】本願による方法の一実施形態のダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図では、同じ要素には同じ参照符号が用いられている。
【0088】
図1Aから図1Dは、本願による浮体式洋上構造物100の実施形態の概略図を示す。例示的な洋上構造物100が洋上風力タービン100として示されている。ただし、以下の実施形態は他の洋上構造物に応用できる。
【0089】
図示の洋上風力タービン100は、それぞれの浮体式基礎104が異なり、浮体式基礎104はそれぞれ少なくとも1つの浮動体106を備える。具体的には、浮体式基礎104は、浮動体106を少なくとも実質的に形成する。
【0090】
具体的には、バージ基礎104(図1A)、セミサブマーシブル基礎104(図1B)、スパー基礎104(図1C)、および緊張係留式プラットフォーム基礎104(図1D)が示されている。本願の他の変形例では他の浮体式基礎を提供できることを理解されるものとする。
【0091】
見て分かるように、少なくとも1つの浮体式基礎104上には、タワー、ナセル、ローター、ジェネレーターなどを備える風力発電装置102が配設されている。
【0092】
本実施形態では、浮体式基礎104は、複数のアンカリング機構108によって、水中地盤116にそれぞれ固定およびアンカリングされる。図示のアンカリング機構108は、具体的にはアンカーロープ109またはアンカーチェーン109の形態の、アンカー接続部109を備える。アンカー接続部109の一端は基礎104に取り付けられており、他端は少なくとも1つのアンカー110(例えば、ウェイトアンカー、魚雷型アンカーなど)に取り付けられている。アンカー100は、図1Aから図1Dを見ると分かるように、水中地盤116に少なくとも部分的に埋めることができる。
【0093】
さらに、図1Aから図1Dでは、水中地盤面は、参照符号118で表されており、水面および水線はそれぞれ、参照符号114で表されている。
【0094】
さらに、本願による洋上構造物100は、洋上構造物100の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、(図示の)アンカリング状態においてアンカー110と浮体式基礎104との間のアンカー接続部109の長さ111、113、115を変更するように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス112を備える。見て分かるように、長さ111、113、115は、ここで、アンカー110とのアンカー接続部109の取付け点からアンカー接続部109が基礎104に入る点まで延びている。
【0095】
好ましくは、例えば姿勢パラメーターデータセットの形態の、複数の異なる姿勢パラメーターと、例えば対応する姿勢設定点パラメーターデータセットの形態の、対応する複数の(予め定義された)姿勢設定点パラメーターとを提供できる。
【0096】
好ましくは、姿勢安定化デバイス112は、洋上構造物100の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカー110と浮体式基礎104との間のアンカー接続部109の長さ111、113、115の変更を制御するように構成された、少なくとも1つの制御モジュールを備えることができる。具体的には、これは、(現在および/または予測される今後の)姿勢パラメーターが姿勢設定点パラメーターに(実質的に)対応するように、長さ111、113、115の少なくとも1つが変更されることを意味する。少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターが許容できない姿勢範囲の限界値である場合は、本願の変形例は、(現在および/または予測される今後の)姿勢パラメーターが少なくとも許容できる姿勢範囲内に入る、すなわち、姿勢設定点(限界)パラメーターを上回らない(または下回らない)ように、長さ111、113、115の少なくとも1つが変更されることを提供することができる。
【0097】
図2は、本願による浮体式洋上構造物200のさらなる実施形態の概略図を示す。繰り返しを避けるために、基本的に図1Aから図1Dによる先の実施形態との違いだけを説明する。それ以外は先の説明を参照する。
【0098】
洋上構造物200は、姿勢安定化デバイス212を備える。本実施形態では、姿勢安定化デバイス212は、少なくとも1つのウィンチデバイス224.1、224.2、224.3および3つのウィンチデバイス224.1、224.2、224.3を備える。具体的には、各アンカリング機構208.1、208.2、208.3を、ウィンチデバイス224.1、224.2、224.3と関連付けることができる。好ましくは、各アンカー接続部209.1、209.2、209.3を、それぞれのウィンチデバイス224.1、224.2、224.3につなげることができる。具体的には、アンカー接続部209.1、209.2、209.3は、最小長さと最大長さとの間でアンカー接続部209.1、209.2、209.3を巻き取り、それを繰り出すために、ウィンチデバイス224.1、224.2、224.3の筒状ドラム(ウィンチ)につなげることができる。
【0099】
そのために、各ウィンチデバイス224.1、224.2、224.3は、ドライブ226およびパーキングブレーキ221を備えることができる。長さ211、213、215を変更するために、姿勢安定化デバイス212の制御モジュール228は、まず、対応するパーキングブレーキ221を、このパーキングブレーキ221の解放を行うように制御することができる。次に、制御モジュール228は、指定の長さの巻き取りまたは繰り出しを行うように、対応するドライブ226(好ましくは、電気モーター226)を制御することができる。次に、パーキングブレーキは、制御モジュール228による制御によって、再びロックすることができる。
【0100】
少なくとも1つの姿勢設定点パラメーター(値)、好ましくは、姿勢設定点パラメーターセットを、インプット230を介して制御モジュール228に提供することができる。対応するように、洋上構造物200の少なくとも1つの姿勢パラメーター(値)、具体的には、姿勢パラメーターセットを提供できる。例えば、実際の姿勢パラメーターを提供できる。次に、制御モジュール228は、少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターが少なくとも1つの実際の姿勢パラメーターによって満たされるように、少なくとも1つのアンカリング機構208.1、208.2、208.3の長さ211、213、215を変更することができる。
【0101】
図2では、参照符号234は(現在の)主な風向を表し、参照符号232は(現在の)主な波向を表す(通常、それらの方向232、234はほぼ同一になる場合がある)。
【0102】
図2をさらに見て分かるように、実質的に垂直方向に延びる少なくとも1つの垂直アンカー接続部209.2は、浮体式基礎204に取り付けられていてよい。垂直方向に対して少なくとも2°、好ましくは少なくとも5°(最大で45°)の角度229で延びる少なくとも1つの角度アンカー接続部208.1、208.3は浮体式基礎204に取り付けられていてよい。姿勢安定化デバイス212は、洋上構造物200の少なくとも1つの姿勢パラメーターに基づいて、垂直アンカー接続部208.2および/または角度アンカー接続部208.1、208.3の長さを変更するように構成することができる。具体的には、少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに応じて、垂直アンカー接続部208.2および少なくとも1つの角度アンカー接続部208.1、208.3のそれぞれの長さが異なるように変更される場合が有利なことがある。
【0103】
具体的には、角度アンカー接続部208.1、208.3の角度229が垂直方向に対して位置する垂直面が、主な風向(±20°)および/または主な波向(±20°)に平行な方向(±20°)に延び、具体的には、前記角度アンカー接続部208.1のアンカー210が風および/または波の衝突する側に位置する場合は、具体的には風および波がなければ主な風向234および/または主な波向232の方向への傾きが生じることになるように、前記角度アンカー接続部208.1のアンカー接続部が少なくとも1つの垂直アンカー接続部208.2よりも(例えば2から10m)短縮されることを、具体的には少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターによって予め定義することができる。付加的にまたは代替的に、アンカー210が風および/または波から離れる側に位置する少なくとも1つのさらなる角度アンカー接続部208.3は、風および波がなければ主な風向234および/または主な波向232の方向への傾きが生じることになるように、変更されないままであるかまたは延長されることを提供できる。
【0104】
図2をさらに見て分かるように、具体的には、洋上セットが設けられており、その洋上セットは、洋上構造物200のための少なくとも1つの浮体式基礎204と、浮体式基礎204に取り付け可能な少なくとも1つのアンカー接続部209を有する少なくとも1つのアンカリング機構208と、洋上構造物200の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、ウィンチデバイス224.1、224.2、224.3につなげられているアンカー接続部209.1、209.2、209.3を巻き取りかつ/または繰り出すように構成された、アンカー接続部224.1、224.2、224.3につなげることができるウィンチデバイス224の形態の少なくとも1つの姿勢安定化デバイス212とを備える。
【0105】
図3は、本願による洋上構造物300のさらなる実施形態の概略図を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に図1Aから図2による先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。専ら概要をつかめるように、全体的な洋上装置、アンカリング機構、制御モジュールなどの図を省略したことに留意されたい。
【0106】
具体的には、図3では、浮体洋上構造物300の(矢印338によって示されている)傾斜運動および揺動運動がそれぞれ示されている。このように、破線の形態では、洋上構造物300は、傾斜運動の反転する点にある、すなわち、傾斜角342が最大のときが示されている。さらに、洋上構造物300は、垂直の状態にあるところが示されている。
【0107】
最大傾斜角-442と442との間の傾斜角αの時間経過が図4に示されている。図4を見ると分かるように、曲線は基本的に正弦曲線である。
【0108】
洋上構造物300は、洋上構造物300の少なくとも1つの姿勢パラメーターを検出するように構成された(少なくとも1つの適切な姿勢センサーを有する)少なくとも1つの姿勢検出デバイス319を備える。言い換えれば、本実施形態では、洋上構造物300はそれ自体が、具体的には、姿勢検出デバイス319によって洋上構造物300の少なくとも1つの実際の姿勢パラメーターを決定することができる。具体的には少なくとも1つのドライブの、ウィンチデバイスまたは別のデバイス(例えば、バラスト媒体搬送機構、リフティングデバイス)の制御は、具体的には、検出された姿勢パラメーターおよび実際の姿勢パラメーターそれぞれと、(所定の)姿勢設定点パラメーターとの間の差に応じて行うことができる。実際の姿勢パラメーターデータセットおよび対応する姿勢設定点パラメーターデータセットを提供できることが理解されるものとする。
【0109】
具体的には、少なくとも1つの姿勢パラメーターは、洋上構造物300の少なくとも1つの姿勢角度(オイラー角とも呼ばれる)とすることができる。例えば、少なくとも1つの姿勢パラメーターは、ヨー角(洋上構造物300の現在の向きと、垂直軸(z軸とも称される)との間の角度)、ロール角(洋上構造物300の現在の向きと、長手方向軸(x軸とも称される)との間の角度)、および/または、ピッチもしくはピッチ角(洋上構造物300の現在の向きと、長手方向軸(y軸とも称される)との間の角度)とすることができる。
【0110】
好ましくは、姿勢検出デバイス319は、洋上構造物300の(最大)傾斜角342を検出するように構成された傾斜角検出デバイス319とすることができる。図示のように、傾斜角342は、具体的には、洋上構造物300の傾斜運動または揺動運動338中の垂直軸340および方向zそれぞれに対する(最大)角度342である。例えば、(最大)傾斜角342、好ましくは、許容できる傾斜角範囲は、姿勢設定点パラメーターとして提供することができる。実際の傾斜角342が許容できる傾斜角範囲外にある場合は、具体的には、検出される傾斜角342が再び許容できる範囲内に(具体的には、長時間にわたって)入るように(まで)長さを変更できる。
【0111】
代替的または付加的に、姿勢検出デバイス319は、洋上構造物300の傾斜周波数(fkipp=1/Tkipp図4参照)を検出するように構成された傾斜周波数検出デバイス319とすることができる。傾斜周波数fkippを検出することは、傾斜継続期間Tkippを検出することを含むことが理解されるものとする。傾斜角について論じたのと同様に、制御を実行することができる。
【0112】
図5Aおよび図5Bは、垂直距離547.1と547.2とが異なるように設定された、浮体式洋上構造物500のさらなる実施形態を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に図1Aから図4による先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。専ら概要をつかめるように、全体的な風力発電デバイスの図を省略したことに留意されたい。
【0113】
図5Aおよび図5Bにおける距離547.1と547.2との間の差は、参照符号522で表されている。設定可能な差は、好ましくは、10mと40mとの間とすることができる。
【0114】
(水中地盤面(および水線それぞれ)までの)垂直距離547.1、547.2を設定するために、本事例では姿勢安定化デバイス512が設けられている。図示の姿勢安定化デバイス512は、少なくとも1つのバラストタンク539を備え、バラストタンク539は、バラスト媒体525で充填でき、好ましくは、基礎504に配置されている。さらに、姿勢安定化デバイス512は、少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構531を備え、バラスト媒体搬送機構531は、具体的には、バラストタンク539の充填レベル527を変更するように構成されている。
【0115】
具体的には、バラスト媒体搬送機構531は、2つのポンプデバイス545を備える。具体的には、一方のポンプデバイス545は、バラスト媒体525(具体的には水)をバラストタンク539中にアクティブにポンプ輸送することによって(矢印541によって示されている)、バラストタンク539の充填レベル527を変更するように構成されている。具体的には、基礎504には開口部543が配置されていてよく、その開口部543を通して、バラスト媒体525をバラストタンク539中にポンプ輸送できる。
【0116】
具体的には、さらなるポンプデバイス230は、バラスト媒体525をバラストタンク539の外にアクティブにポンプ輸送することによって(矢印537によって示されている)、バラストタンク539の充填レベル527を変更するように構成されている。具体的には、基礎504にはさらなる開口部533が配置されていてよく、その開口部533を通して、バラスト媒体525がバラストタンク539の外にポンプ輸送される。
【0117】
好ましくは、制御モジュール528を設けることができる。姿勢安定化デバイス512の(ローカルの)制御モジュール528は、例えば、姿勢設定点パラメーター(例えば、特定の充填量(例えば、満量、半量、xリットルなど)など)を用いて(不図示の)制御装置によって制御可能とすることができる。好ましくは、最小限の姿勢設定点パラメーターをローカルに格納することができる。
【0118】
制御モジュール528の(不図示の)充填レベル測定要素によって測定可能な現在の充填レベル527、および受信される高さ設定点に応じて、充填レベル527が姿勢設定点パラメーターに従って変更されるようにポンプデバイス545を制御できる。具体的には、垂直距離547.1、557.2を変更することによって、洋上構造物500の姿勢を安定化させることができる。さらに、これは、具体的には、電気生成量を増大させることができる。
【0119】
姿勢安定化デバイス512はさらに、具体的には水中地盤516の水中地盤面518と浮体式基礎504との間の垂直距離547.1、547.2が変化するときに、アンカー接続部509を追跡する(すなわち、その長さを変更する)ように構成された少なくとも1つの追跡モジュール551を備えることができる。それに応じて、具体的には、アンカー510と基礎504との間の所望の(最小および/または最大)張力が下回るかまたは上回ることを防止するために、各アンカー接続部509は、アンカー接続部509を追跡するように追跡モジュール551につなげることができる。
【0120】
図6Aおよび図6Bは、垂直距離647.1と647.2とが異なるように設定された、浮体式洋上構造物600のさらなる実施形態を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に図1Aから図5Bによる先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。専ら概要をつかめるように、全体的な風力発電デバイスの図およびアンカリング機構(および追跡モジュール)の図を省略したことに留意されたい。
【0121】
本実施形態では、姿勢安定化デバイス612は、浮体式基礎604に接続された少なくとも1つの重量機構612を備える。具体的には、重量機構612は、基礎604に接続できる重量接続部654(例えば、アンカーケーブル654および/またはアンカーチェーン654)を備えることができる。重量接続部654の他端は、重量機構612の重量要素656に接続できる。
【0122】
重量機構612の下降された状態では、具体的には、重量機構612の少なくとも1つの重量要素656によって重量の力が基礎640にほとんど加えられていない。例えばリフティングデバイス658(例えばウィンチ658)によって引き起こされる、重量機構612の上昇された状態では、具体的には重量の力g(重量機構の重量要素656の重量に対応する)が、重量機構612の少なくとも1つの重量要素656によって基礎604に加えられている。リフティングデバイス658による、重量機構612の前記状態間の設定によって、少なくとも2つの別々の値の間で前記垂直距離647.1、647.2の変更を引き起こすことができる。
【0123】
やはり、受信される姿勢設定点パラメーター(例えば、下降させるかまたは下降させない)に応じてリフティングデバイス658を制御できる制御モジュール(図示せず)を設けることができる。
【0124】
図2図5A図5Bおよび/または図6A図6Bによる実施形態を互いに組み合わせできることが理解されるものとする。
【0125】
図7は、洋上システム760の一実施形態の概略図を示す。洋上風力発電所760が一例として示されている。以下の実施形態において、少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターを提供でき、具体的には、制御装置762によって予め決定することができる。少なくとも1つの姿勢設定点パラメーター、好ましくは少なくとも2つの選択可能な異なる姿勢設定点パラメーター(データセット)が、洋上構造物700.1~700.4にローカルに前もって格納されていることが提供できる。例えば、少なくとも1つの最小限の姿勢設定点パラメーター(データセット)が各洋上構造物700.1~700.4にローカルに格納されることを提供できる。これによって、洋上構造物700.1~700.4の特定の最小限の安定位置を常に確実に維持できる。そのとき、洋上構造物700.1~700.4の実際の姿勢は、具体的には(洋上風力タービン700.1~700.4に関して)洋上風力発電所におけるエネルギー生成量が最大になるように、許容できる(可変の、具体的には、生成量が最適化された)範囲内に設定することができる。最小限の姿勢パラメーター(データセット)によって、各洋上風力タービン700.1~700.4の十分に安定した位置が常に確実に維持される。
【0126】
以下では、最小限の姿勢設定点パラメーター(データセット)が予め定義されており、付加的に、気象環境条件に応じて、具体的には高さ設定点の形態の、姿勢設定点パラメーターが、洋上風力発電所760の制御装置762によって予め定義されていることが想定されている。このような予めの設定は以下でより詳細に説明する。
【0127】
例えば、制御装置762は、洋上風力発電所760の(何らかの手法で設けられた)(不図示の)パーク制御システムに実装することができる。
【0128】
本実施形態では、制御デバイス762は、通信モジュール764、高度制御モジュール768、検出デバイス770、高度設定点決定デバイス772、およびデータメモリー機構774を含む。他の変形例が付加的なまたはより少ないモジュール/デバイスを提供できることが理解されるものとする。
【0129】
高さ設定点決定デバイス772は、代替的に別の演算デバイスに実装されてよく、(洋上風力発電所760の設置場所における)少なくとも1つの気象環境条件に応じて少なくとも高さ設定点を決定するように構成することができる。
【0130】
好ましくは、決定は、洋上風力発電所760の設置前に行われてよいが、洋上風力発電所760の設置中および/または設置(直)後に行われてもよい。説明したように、動作中に最適化プロセスを(継続的に)行うことができる。
【0131】
好ましくは、高さ設定点値の形態の姿勢設定点パラメーターの決定は、好ましくはすべての洋上風力タービン700.1から700.4に関して行うことができる。
【0132】
具体的には、それぞれの決定された高さ設定点は、それぞれの洋上風力タービン700.1から700.4の(パーク)位置に、具体的には、洋上風力発電所760の少なくとも1つのさらなる洋上風力タービン700.1から700.4に対する位置に、左右されることがある。例えば、各洋上風力タービン700.1から700.4にパーク位置属性が割り当てられている、洋上風力発電所760のプランおよび/またはモデルを、(例えば、データメモリー機構774または別のメモリー機構に)格納することができる。それぞれのパーク位置属性から、パーク位置を少なくとも導き出すことが可能である。具体的には、それぞれのパーク位置属性を用いて、洋上風力タービン700.1から700.4の少なくとも2つのサブグループを(動的に)形成することができる。具体的には、これは、サブグループの洋上風力タービン700.1から700.4が基本的に同じ垂直距離に設定され、すなわち、基本的に同じ高さ設定点を用いて制御されることを意味する。具体的には、グループ分けは、割当てテーブルおよびデータベースそれぞれに(本質的に)マッピングできる。
【0133】
少なくとも1つの高さ設定点決定デバイス772は、少なくとも1つの測定または予測された気象環境条件に応じて、複数の洋上風力タービン700.1から700.4を制御するための高さ設定点を(予め)決定するように構成できる。高さ設定点決定デバイス772は、具体的には洋上風力発電所760の複数の風力タービン700.1から700.4のシミュレーションモデルに基づいて、複数のシミュレーションステップを行うように構成できる。本願の他の変形例では、上述のように、電気生成量を決定するために実際の試験が行われてもよい。
【0134】
具体的には、計画中におよび設置前に洋上風力発電所760の(数理的)シミュレーションモデルを作ることができ、そのモデルを用いることで、原則的に、異なる気象環境条件に応じて、具体的には、異なるように設定された垂直距離/位置を用いて、少なくとも総発電量をシミュレートし、具体的には決定することができる。
【0135】
各シミュレーションステップにおいて、複数の洋上風力タービン700.1から700.4に関して、異なる高さ設定点を好ましくは設定でき、高さ設定点のそれぞれに関して総発電量を決定できる。
【0136】
複数の洋上風力タービン700.1から700.4をその気象環境条件において(実際に)制御するための高さ設定点、すなわち、姿勢設定点パラメーターとして、決定された総発電量が最大になる高さ設定点を決定し、具体的には、データメモリー機構774の割当てテーブルに格納することができる。
【0137】
好ましくは少なくとも2つの異なる気象環境条件について、少なくともシミュレートされた総発電量が最大になるそれぞれの高さ設定点は、(複数のシミュレーションステップを有する)シミュレーションプロセスによって決定することができる。割当てテーブルにおいて、高さ設定点は、洋上風力タービン700.1から700.4ごとに各(所与の)環境条件に割り当てることができる。
【0138】
具体的には、高さ設定点を決定することによって、グループ分け戦略および高さ調節戦略それぞれを指定し、マッピングすることができる。例えば、その風向において(すなわち、特定の検出された環境条件で)第1列の洋上風力タービン700.1、700.2は、常に、垂直距離が最大になる(すなわち、ハブの高さが最大になる)ように制御することができる。その風向において(すなわち、特定の検出された環境条件で)第2列の洋上風力タービン700.3、700.4は、垂直距離が最小になる(すなわち、ハブの高さが最小になる)ように制御することができる。他の変形例では、その設定を正反対にすることもできる。さらなる中程度の高さおよび/または距離もしくは高さの継続的な調節が可能な場合は、他のグループ分け戦略および高さ調節戦略をそれぞれ提供することもできる。
【0139】
動作中に、洋上風力発電所760は、洋上風力発電所760の少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターの提供を行うことができる。具体的には、少なくとも1つの気象環境パラメーターを、通信モジュール764を介して制御装置762に提供できる。少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターは、少なくとも1つの測定デバイスによって測定される現在の気象環境パラメーターおよび/または予測された気象環境パラメーターでよい。好ましくは、風向(測定値および/または予測値)、風力(測定値および/または予測値)、波高(測定値および/または予測値)、および波向(測定値および/または予測値)など、複数の気象環境パラメーター(測定値および予測値)を提供できる。
【0140】
検出デバイス770によって、具体的には、(所定の)気象環境条件の少なくとも1つが少なくとも1つの特定の提供された気象環境パラメーターによって満たされているかどうかを検出することができる。具体的には、気象環境条件(および基準それぞれ)は、少なくとも1つの気象環境パラメーター範囲を含む。検出中に、気象環境パラメーターが少なくとも1つの環境パラメーター範囲内にあるか否かを検証することができる。言い換えれば、少なくとも1つの気象環境パラメーター(値)が少なくとも1つの環境条件を満たすか否かをチェックすることができる。
【0141】
具体的には、垂直距離/姿勢の変更が行われるべきであるように気象環境条件が変化したかどうかを検出することができる。気象環境条件が変化しなかったと判定された場合は、具体的には垂直距離の変更は必要とされない。
【0142】
具体的には、気象環境条件が、先に検出された気象環境条件から変化した、例えば第1の気象環境条件から第2の気象環境条件に変化した(例えば、風力および/または風向が、定義された環境条件によって指定された範囲に変化した可能性があるかまたは変化した)ことが検出されたときに、洋上風力タービン700.1から700.4の浮体式基礎から水中地盤面までの、高さ設定点に対応する変更を、具体的には、垂直距離の変更を行うために、高さ制御モジュール768による洋上風力タービン700.1から700.4の少なくとも1つの姿勢安定化デバイスの制御が高さ設定点および姿勢設定点パラメーターそれぞれを用いて行われる。具体的には、少なくとも、垂直距離の変更が行われることになる各洋上風力タービン700.1から700.4を制御できる。
【0143】
好ましくは、高さ制御モジュール768は、制御のために使用されることになる高さ設定点(および姿勢設定点それぞれ)をそれぞれ決定および読み取るために、データメモリー機構774に格納されている、説明した割当てテーブルにアクセスすることができる。次に、高さ制御モジュール768は、それぞれの制御コマンドの送信を行ってよく、コマンドはそれぞれ少なくとも1つの(先に説明した)高さ設定点を含む。制御コマンドは、それぞれの洋上風力タービン700.1から700.4に、通信モジュール764および通信ネットワーク756を介して送信できる。次に、それぞれの姿勢安定化デバイスは、先に説明したように、垂直距離および垂直姿勢それぞれを調節することができる。
【0144】
具体的には、風向に応じて、風力タービンハブの個々の高さは、生成量が最大になるように設定することができる。既に記載したように、考えられる高さ設定は、例えば2つまたは3つの予め設定された高さによって、連続しているかまたは不連続である。
【0145】
さらに、風および/または波(例えば第3の気象環境条件によって与えられる)が強過ぎる場合に、基準電力に達しているのでかつ/または損傷を避けるために、すべての洋上風力タービン700.1から700.4が垂直距離を短縮し、具体的には、最小にすることを提供できる。
【0146】
図8は、浮体式洋上構造物、具体的には、先の実施形態による浮体式洋上構造物の位置を安定化させるための、本願による方法の一実施形態のダイヤグラムを示し、洋上構造物は、洋上構造物のアンカリング状態において洋上構造物を水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構を備え、アンカリング機構は、アンカーと浮体式基礎との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部を備える。
【0147】
ステップ801で、少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターおよび洋上構造物の少なくとも1つの姿勢パラメーターが提供される。ステップ802で、洋上構造物の姿勢パラメーターおよび姿勢設定点パラメーターに基づいて、アンカリング状態においてアンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さが変更される。
【0148】
ウィンチデバイスが使用されるときは、水中地盤にアンカーをより深く埋め込み、かつ/または(ウィンチデバイスが設けられないときと比べて)アンカーの重量を増大させる必要がある可能性があることが理解されるものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)、具体的には、浮体式洋上風力タービン(100、200、300、500、600、700)であって、
- 少なくとも1つの浮動体(106、206、306、506、606)を備える少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304、504、604)と、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のアンカリング状態において前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)を水中地盤(116、216、316、516、616)に固定するように構成された、少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)と
を備え、
- 前記アンカリング機構(108、208、508)は、アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間で延びる少なくとも1つのアンカー接続部(109、209、509)を備える、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)であって、
前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記アンカリング状態において前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の長さを変更するように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)を備え
- 実質的に垂直方向に延びる少なくとも1つの垂直アンカー接続部(108、208、508)が、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付けられており、前記垂直アンカー接続部の長さは変更可能であり、
- 垂直方向に対して少なくとも2°、好ましくは少なくとも5°の角度で延びる少なくとも1つの角度アンカー接続部(108、208、508)が、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付けられており、前記角度アンカー接続部の長さは変更可能であり、
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターに基づいて、前記垂直アンカー接続部(108、208、508)および前記角度アンカー接続部(108、208、508)の前記長さを変更するように構成されており、
- 前記垂直アンカー接続部(108、208、508)および前記角度アンカー接続部(108、208、508)のそれぞれの前記長さは異なるように変更可能であることを特徴とする、浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項2】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更するように構成された、前記アンカー接続部(109、209、509)につなげられた少なくとも1つのウィンチデバイス(224)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項3】
- 前記ウィンチデバイス(224)は、少なくとも1つのパーキングブレーキ(221)を備え、
- 前記パーキングブレーキ(221)は、前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更するために解放可能であることを特徴とする、請求項2に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項4】
前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の前記少なくとも1つの姿勢パラメーターを検出するように構成された少なくとも1つの姿勢検出デバイス(319)を備えることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項5】
- 前記姿勢検出デバイス(319)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の傾斜角を検出するように構成された傾斜角検出デバイス(319)であり、
かつ/または
- 前記姿勢検出デバイス(319)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の傾斜周波数を検出するように構成された傾斜周波数検出デバイス(319)であることを特徴とする、請求項4に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項6】
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の第1の姿勢状態に関する第1の選択可能な姿勢設定点パラメーターと、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の第2の姿勢状態に関する第2の選択可能な姿勢設定点パラメーターとが少なくとも提供されており、
- 前記第1の姿勢状態は前記第2の姿勢状態とは異なることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項7】
- 前記姿勢パラメーターは、気象環境パラメーターから決定可能な姿勢パラメーターであり、
- 前記少なくとも1つの気象環境パラメーターは、
- 風向、
- 風力、
- 波高、
- 波向
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項8】
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、バラスト媒体(525)で充填可能な少なくとも1つのバラストタンク(539)を備え、
- 前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記バラストタンク(539)の充填レベル(525)を変更するように構成された少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構(531)を備えることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項9】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に接続された少なくとも1つの重量機構(612)を備え、前記重量機構(612)は、少なくとも、水中地盤面(118、218、518、618)に下降された状態と、前記水中地盤面(118、218、518、618)から上昇された状態との間で変更可能であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項10】
前記姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)は、具体的には前記水中地盤(116、216、516、616)の水中地盤面(118、218、518、618)と、前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の垂直距離が変化したときに、前記アンカー接続部(109、209、509)を追跡するように構成された少なくとも1つの追跡モジュール(550)を備えることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)。
【請求項11】
- 請求項1~10の何れか一項に記載の複数の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)と、
- 前記複数の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)に関する少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターを予め設定するように構成された、少なくとも1つの制御装置(762)と
を備える洋上システム(760)、具体的には、洋上風力発電所(760)。
【請求項12】
求項1~10の何れか一項に記載の浮体式洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の姿勢を安定化させる方法であって、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)は、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のアンカリング状態において前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)を水中地盤(116、2126、516、616)に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)を備え、前記アンカリング機構(109、208、508)は、少なくとも1つのアンカー(110、210、510)と、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の浮体式基礎(104、204、304、504、604)とを備え、
- 少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターおよび前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターを提供することと、
- 前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の前記姿勢パラメーターおよび前記姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記アンカリング状態において前記アンカー(110、210、510)と前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)との間の前記アンカー接続部(109、209、509)の前記長さを変更することと
を含む、方法。
【請求項13】
求項1~10の何れか一項に記載の洋上構造物(100、200、300、500、600、700)のための、少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304、504、604)と、
- 前記浮体式基礎(104、204、304、504、604)に取り付け可能な少なくとも1つのアンカー接続部(109、209、509)を備える少なくとも1つのアンカリング機構(108、208、508)と、
- ウィンチデバイス(224)の形態の少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)であって、前記アンカー接続部(109、209、509)につなぐことが可能であり、前記洋上構造物(100、200、300、500、600、700)の少なくとも1つの姿勢パラメーターおよび少なくとも1つの姿勢設定点パラメーターに基づいて、前記ウィンチデバイス(224)につなげられている前記アンカー接続部(109、209、509)を巻き取りかつ/または繰り出すように構成された、少なくとも1つの姿勢安定化デバイス(112、212、512、612)と
を備える、浮体洋上セット。
【国際調査報告】