(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】弾性継手。
(51)【国際特許分類】
F16D 3/62 20060101AFI20231201BHJP
F16D 3/70 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
F16D3/62 A
F16D3/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522959
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 ES2021070742
(87)【国際公開番号】W WO2022079334
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523132974
【氏名又は名称】テジャサ-ティーシー、エス.エル.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ソロルザノ テラン,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】マルチン ヘルナンデス,ジュアン ジョセ
(57)【要約】
それぞれのシャフト(E1、E2)に結合される2つのスリーブ(1a、1b)を備え、前記スリーブ(1a、1b)の間に配置された金属体(2)のボルト(21)に取り付けられた金属軸受(3)を受け入れるための円筒形凹部(13)と位置合わせされた穴(12)を備える弾性継手。前記金属軸受(3)は、スリーブ(1a、1b)のうちの1つの対応する凹部(13)の内面に対して外面を接触する環状金属部分(31)と、金属軸受(3)の金属体(2)の対応するボルト(21)との接触面を形成する、内側金属ワイヤクッション(33)と、環状金属部分(31)の両端から突出し、金属軸受(3)の金属体(2)及び対応するスリーブ(1a、1b)の対向面との接触面を形成する、側面金属ワイヤクッション(34)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-2つのシャフト(E1、E2)の連結及び1つのシャフトから別のシャフトへのトルクの伝達に適した弾性継手であって、以下を含む:
- 以下を含む2つの実質的に平行な、金属スリーブ(1a、1b):
結合される各シャフト(E1、E2)の固定手段が設けられた外面;
多数の対向する穴(a number of facing holes)(12)、及び、
反対側スリーブ(opposite sleeve)に面しており、それぞれの穴(12)と位置合わせされた円筒形の凹部(13)を備えた、内面、を有する、
- スリーブ(1a、1b)の間に配置され、前記スリーブに実質的に平行であり、2つの反対側面上(on two opposite faces)に、それぞれの凹部(13)と前記スリーブ(1a、1b)の穴(12)とに一列に整列した複数のボルト(21)を備える、金属体(2)、及び
- 金属体(2)のボルト(21)に取り付けられ、スリーブ(1a、1b)のそれぞれの凹部(13)に収容される、金属軸受(3);とを有する、
ここで、前記金属軸受(3)は、環状金属部分(31)を含み、それは、該環状金属部分(31)に設置された以下のものと、スリーブ(1a、1b)のうちの1つの対応する凹部(13)の内面に対して、外面と接触し:
*金属体(2)の対応するボルト(21)と金属軸受(3)の接触面を形成する、内側金属ワイヤクッション(33)、及び、
*環状金属部分(31)の両端部から突出し、金属体(2)及び対応するスリーブ(1a、1b)の対向面(facing faces)との前記金属軸受(3)の接触面を形成する、側面金属ワイヤクッション(34);
その結果、該金属軸受(3)は、ねじり、半径方向、軸方向及び円錐型の剛性を有する弾性継手を提供する、
弾性継手。
【請求項2】
-前記内側金属ワイヤクッション(33)は、接線方向(tangential direction)に、互いに、周方向(circumferentially)に分布し、かつ僅かに離間した、複数の環状セクタ(33a、33b、33c)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の弾性継手。
【請求項3】
-前記金属軸受(3)の前記環状金属部分(31)は、内部に(internally)、「L」字形の断面外周付属部(32)を含み、
それは径方向に(in radial direction)、前記内側金属ワイヤクッション(33)の断面よりも短い長さを有し、
内側クッション(33)の周縁部分(33a、33b)が収容される、金属軸受(3)の内側に向かって開いた環状凹部;及び、
対応する側面クッション(34)の端部が収容される、金属軸受(3)の両側(反対両側ともいう:opposite sides)に向かって開口する2つの環状凹部を、設定する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の弾性継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つのシャフトを連結し、一方のシャフトから他方のシャフトにトルクを伝達するための機械的トランスミッションに適用可能な弾性カップリング(弾性継手ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのシャフトを接続し、1つのシャフトから別のシャフトにトルクを伝達し、わずかな変形を吸収することができる弾性をもつジョイントを提供するために、異なるタイプの弾性継手が現在知られている。
【0003】
これらの継手は吸収されるべき変形のタイプ及び程度に応じて異なる構造及び構成を有し、これは、継手がそれぞれのタイプの変形、すなわち、軸方向、半径方向、円錐形、及びねじりに対してある剛性を有することを必要とする。
【0004】
2つの同心円状に配置された円筒形金属補強材と、2つの補強材の間で圧縮されたエラストマー材料、通常はゴムの塊とを含む弾性継手は、従来技術において知られている。
【0005】
エラストマー材料の塊を含むこれらの弾性継手の問題は特定の機械または輸送要素の動作において発生する高温に耐えないこと、または、鋳物工場または炉領域などの高温領域で作業するときに、そのような機械がこのような状態にさらされる可能性があることである。例えば、ゴムは、最大80℃に耐える。別の欠点は、ゴムが一般に酸または化学物質と接触すると劣化し、高負荷に耐えるために使用することができないことである。
【0006】
上記の問題を解決するために、米国特許第2658710号明細書に記載されているような市販されている特定の金属ジョイントがあり、中央ドリルを備えた円筒形ショックアブソーバがシャフトまたは支持体上に配置されている。
これらのジョイントの問題はそれらが軸方向にのみ応力を吸収するのに適しており、半径方向、斜め、またはねじり荷重に対する適切な減衰を提供しないことである。
【0007】
欧州特許EP2077402(HUTCHINSON, S.A.)は、区画を有する環状チャンバから構成される航空宇宙構造のためのダンパ(damper:ショックアブゾーバー)を記載しており、これらの区画の各々は、ワイヤメッシュ金属クッションによって充填され、環状チャンバを充填する減衰流体及びワイヤメッシュ間の隙間を有する装置を完成させる。この弾性ジョイントは、減衰流体の組み込みと、経時的な流体漏れを防止するためにラジアルシャフトシールまたは油圧シールを組み込む必要性とのため、製造が複雑である。
【0008】
加えて、この継手は軸方向弾性のみを有し、適切な角度弾性、ねじり弾性、または半径方向弾性を提供しない。この技術水準の文献では、剛性はクッションによって提供され、一方、減衰は流体によって提供される。
【0009】
US 2729442は、変形可能なクッションがその間に配置される、外側スリーブ及び正方形の内側スリーブによって形成される回転要素の間に配置される変形可能なクッションを有するジョイントを開示している。
【0010】
本発明の保持具と同じ保持具の、特許ES 2 686 395 B2には弾性継手が記載されており、この弾性継手はシャフト上に取り付けられる内側環状と、支持体上に取り付けられる内側環状と同心の外側環状と、内側環状の中間セグメントとの間に配置された金属ワイヤクッションとを備え、内側環状の中間セグメントと、内側環状の対向する端部に向かう減少セクションと、外側環状の対向する端部に向かう減少セクションと、内側環状の中間セグメントとの間に配置された金属ワイヤクッションとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US 2658710
【特許文献2】EP 2077402
【特許文献3】US 2729442
【特許文献4】ES 2686395 B2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この弾性継手は以下をふくむ:
- 以下を有する2つの実質的に平行なスリーブ:
結合されるべきそれぞれのシャフトを固定するための手段が設けられた外面;
環状に分布された一連の対向する穴、
対向するスリーブに面する内面、
それぞれの穴と位置合わせされた円筒形の凹部を備える;
- 前記スリーブの間に配置され、前記スリーブに実質的に平行であり、及び2つの対向する面を有する金属体であって、該面のそれぞれに、それぞれのスリーブの凹部及び穴に対し整列された一連のボルトを備える、金属体;
- 該金属体のボルトに取り付けられ、スリーブのそれぞれの凹部に収容される、金属軸受。
【0013】
前記軸受(3)は、
スリーブ(1a,1b)のうちの1つの対応する凹部(13)の内面に接触する外面を備えた環状金属部分(31)、:ここで、該環状金属部分上に取り付けられた以下のものを備える、
*対応するボルト(21)と軸受(3)の接触面を形成する内側金属ワイヤクッション(33)、及び
*金属部品(31)の両端から突出し、金属体(2)及び対応するスリーブ(1a,1b)の対向面との前記金属軸受(3)の接触面を形成する、側面金属ワイヤクッション(34
と、を備え、その結果、金属軸受(複数)(3)のセットは、ねじり、半径方向、軸方向、及び円錐形の剛性を、弾性継手に提供する。
【0014】
弾性継手の異なる部分、すなわち、“スリーブの凹部内の軸受”及び“金属軸受及びスリーブの穴のボルト”の組立ては、対応するシャフトの端部を受け入れるためのそれぞれのハブを有する側面スリーブと結合されるシャフトの結合と同様に、軸方向に行われる。
好ましい実施形態では、金属軸受の各々の内側クッションが円周方向に分布し、接線方向に互いからわずかに離間した、いくつかの環状セクタを備える。
【0015】
本発明によれば、軸受の環状部分は内側クッションの断面よりも短い長さを半径方向に有する内部に「L」字形の断面外周付属部を有し、その結果、前記内側クッションの形成環状セクタは、外周付属部から軸受の内側に向かって突出する。
【0016】
前記外周付属部は、金属軸受において、軸受の内側に向かって開いた環状凹部であって、対応する軸受の環状部分の内面に対して圧縮された内側クッションの周縁部分が収容される環状凹部と、軸受の両側に向かって開いた2つの環状凹部であって、対応する側面クッションの端部分が収容される環状凹部とを画定する。
【0017】
記載された特徴によれば、この弾性継手は上述のものに一連の追加の利点を提供する:すなわち、1つのシャフトから別のシャフトに伝達されるトルクの不規則性を吸収及び減衰し、臨界レジームを変位させ、シャフト間のミスアライメント及び差異を受け入れ、同じ条件下での剛性継手の可能な応力を抑制し、より高い公差を有するより軽い構造を可能にし、したがって、より経済的に、可燃性材料を含まず、高温に耐える。
【0018】
この継手の別の注目すべき特徴は、ワイヤクッションの手段によって接触したときに遊びを有さないので、無音で、摩擦が少なく、潤滑(lubrication:注油)を必要としないことである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の弾性継手の対象物は、一連の利点を提供する技術的特徴を有し、その中で言及する価値があるのは、金属材料のみの使用、非常に組み立てが容易な構造、金属クッションの安定した固定を行う軸受内の結合部に弾性を提供する金属クッションの組み込み、より高い公差を有するより軽い構造を可能にし、したがって、より経済的に、同時に、4つの可能な剛性、すなわち、軸方向、半径方向、円錐形、及びねじれを有する弾性継手部を有する金属クッションの設置を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
実施されている説明を補完するために、及び本発明の特徴の理解を容易にする目的で、本説明には、非限定的な例として、以下のものが表されている一組の図面が添付されている:
【
図1】
図1は、本発明の弾性継手の1つの例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、中央垂直面に沿って切断された弾性継手の立面図を示す。
【
図6】
図6及び
図7は、弾性継手の金属軸受の1つのそれぞれの斜視図及び立面図を示す。
【
図8】
図8は、
図7において参照される水平面B-B'に沿って切断された金属軸受の平面図を示す。
【
図9】
図9は、
図7において参照される垂直面C-C'に沿って切断された金属軸受の立面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~
図4に示される弾性継手は、平行な平面に対称的に配置された2つの等しいスリーブ(1a、1b)と、前記スリーブ間に配置された金属体(2)と、前記金属体(2)とスリーブ(1a、1b)との間に配置された金属軸受(3)とを備える。
【0022】
スリーブ(1a、1b)は、金属製であり、
図2に示すように、それらの外面に結合されるシャフト(E1、E2)に固定するためのハブ(11)形成手段を有する。
【0023】
スリーブ(1a、1b)の各々は、環状に分布され、対向するスリーブ(1b、1a)に面する多数の穴(12)を有し、その内面に、前記穴(12)と同心であり、それぞれの金属軸受(3)を内側に受け入れられるように意図された円筒形凹部(13)を有する。
【0024】
次に、金属体(2)はその対向面上に、スリーブ(1a、1b)のそれぞれの凹部(13)及び穴(12)と位置合わせされた複数のボルト(21)を備える。
【0025】
図4及び
図5に見られるように、金属軸受(3)は、金属体(2)のボルト(21)に取り付けられ、スリーブ(1a、1b)のそれぞれの凹部(13)に収容される。
【0026】
図6~
図9から分かるように、金属軸受(3)は実質的に円筒形であり、好ましくは鋼製の環状部分(31)を備え、この環状部分は、その内面に、「L」字形の断面外周付属物(32)を有する。
【0027】
前記付属物(32)は、金属軸受(3)の内側に向かって開いた環状空洞を画定し、そこにおいて、内側金属ワイヤクッション(33)の周縁部分は、収容され、この場合において、円周上に配置され、互いにわずかに離間する、付属物(32)から金属軸受(3)の内側に向かって突出するいくつかの環状セクタ(33a、33b、33c)によって形作られる。
【0028】
前記付属物(32)は、また、金属軸受(3)に、金属軸受の両側に向かって開口し、それぞれの側面金属ワイヤクッション(34)の端部が収容される2つの環状凹部を画定する。
【0029】
図4の断面及び
図5の拡大詳細に見られるように、弾性継手の取り付け位置において、金属軸受(3)は、金属体(2)のボルト(21)上に取り付けられ、対応するスリーブ(1a、1b)の凹部(13)内に収容される。
【0030】
この組み立て位置では、金属軸受(3)が対応する凹部(13)の内面に対して環状部分(31)の外面と接触し、環状セクタ(33a、33b、33c)は対応するボルト(21)に対して内側クッション(33)を形成し、側面クッション(34)の両端は金属体(2)及び対応するスリーブ(1a、1b)の対向面に対して接触する。
【0031】
このようにして、金属体(2)及びスリーブ(1a、1b)は、内側クッション(33)と、軸方向、半径方向、ねじり方向及び円錐方向の剛性を有する弾性継手を提供する金属軸受(3)の側面クッション(34)と、によって分離された状態に保たれる。
【0032】
いったん本発明の性質ならびに好ましい実施形態の例が十分に記載されると、記載される要素の機器、形態、サイズ、及び配置は以下に特許請求される本発明の本質的な特徴の変化を伴わない限り、変化されやすいことが、全ての関連する目的のために述べられる。
【符号の説明】
【0033】
1a,1b:スリーブ
2:金属体
3:金属軸受
E1,E2:シャフト
11:ハブ
12:穴
13:円筒形凹部
21:ボルト
31:環状部分
32:「L」字形の断面外周付属物
33:内側金属ワイヤクッション
33a、33b、33c:環状セクタ
34:側面金属ワイヤクッション
【国際調査報告】