(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】搬送ユニットを有するフレキシブルなライン構成及びラインガイド装置のための延出デバイス
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20231201BHJP
B65H 75/36 20060101ALI20231201BHJP
B65H 57/12 20060101ALI20231201BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H02G11/00
B65H75/36 G
B65H57/12
F16L3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023526610
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021080996
(87)【国際公開番号】W WO2022096730
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】202020106401.0
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ハオルド
【テーマコード(参考)】
3F068
3F110
3H023
5G371
【Fターム(参考)】
3F068AA05
3F068AA14
3F068DB12
3F110BA02
3F110BA09
3F110CA03
3F110DA07
3F110DB01
3H023AA03
3H023AB07
3H023AC62
5G371AA07
5G371BA01
5G371BA07
5G371CA02
(57)【要約】
本発明は、1本以上の供給ライン(3)をガイドするための空間的に偏向可能なライン又はラインガイド装置(10)のための延出デバイス(1)に関し、それはライン構成(2)の長手部分を収容空間(4)から延出及び格納するための搬送ユニット(30)を備える。本発明は、さらに、ラインガイド装置(10)を駆動するための搬送ユニット(30)自体に関する。本発明は、搬送ユニット(30)が少なくとも1つの力伝達要素(34)との複数の係合部(33)をいずれもその周囲に有するドライブホイール(32)を備えること、及びフレキシブルなライン構成(2)がライン構成(2)の少なくとも1つの長手部分に沿って分布された複数の外側の凸部(12)及び/又は凹部を有することも規定する。ドライブホイールの力伝達要素(34)は、ここでは延出及び/又は格納時にラインガイド装置(10)を搬送又は駆動するためにライン構成(2)の凸部(12)及び/又は凹部と力伝達のために相互作用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の供給ライン(3)を有するフレキシブルなライン構成(2)のための、特に1本以上の供給ライン(3)をガイドするための空間的に偏向可能なラインガイド装置(10)のための、延出デバイス(1)であって、
前記ライン構成(2)の少なくとも1つの長手部分を収容空間(4)から延出させ、かつ好ましくは該収容空間に再格納するための、搬送ユニット(30)を備え、
前記搬送ユニット(30)は、少なくとも1つの力伝達要素(34)をいずれも有する複数の係合部(33)をその周回上に有するドライブホイール(32)を備え、
前記フレキシブルなライン構成(2)は、該ライン構成(2)の少なくとも1つの長手部分に沿って分布された複数の外側の凸部(12)及び/又は凹部を有し、
前記ドライブホイールの各力伝達要素(34)は、延出及び/又は格納時に前記ライン構成(2)を搬送又は駆動するために前記ライン構成(2)の凸部(12)及び/又は凹部と力伝達のために相互作用するように構成されている、延出デバイス。
【請求項2】
1本以上の供給ライン(3)をガイドするための3次元的に偏向可能なラインガイド装置(10)及び該ラインガイド装置(10)を駆動するための搬送ユニット(30)を有するデバイスであって、
前記搬送ユニット(30)は、少なくとも1つの力伝達要素(34)をいずれも有する複数の係合部(33)をその周回上に有するドライブホイール(32)を備え、
前記ラインガイド装置(10)は、該ラインガイド装置(10)の少なくとも1つの長手部分に沿って分布された複数の外側の凸部(12)及び/又は凹部を有し、
前記ドライブホイール(32)の各力伝達要素(34)は、前記ラインガイド装置(10)の凸部(12)及び/又は凹部と力伝達のために相互作用するように構成されている、デバイス。
【請求項3】
前記ドライブホイール(32)は、その完全な周にわたる複数の係合部(33)、特にその全周にわたって均一に分布された係合部(33)、を有する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ドライブホイールの前記力伝達要素(34)はいずれも、前記ライン構成(2)若しくはラインガイド装置(10)の外側と形状ロック態様で係合し、及び/又は前記力伝達要素(34)を前記ドライブホイール(32)の接線方向において衝突させることによって前記ライン構成若しくはラインガイド装置に対してその長手方向(L)に力を伝達する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
1本以上の供給ライン(3)をガイドするための3次元的に偏向可能なラインガイド装置(10)を備え、該ラインガイド装置は前記ドライブホイール(32)によって駆動可能に構成されている、請求項1に記載の延出デバイス。
【請求項6】
前記ラインガイド装置(10)はリンク(11)を備え、該リンク(11)は円形の外形状を有して、関節状に相互接続され、いずれも少なくとも2方向に相互に対して枢動可能であり、長手方向に相互に前後に配置され、径方向に外側のガイド部品(13)によって少なくとも1つのガイドチャネルを形成し、関節状ジョイント(16、17)、特にボールジョイントが、関節状に相互接続されたリンク(11)の間に配置され、前記ガイド部品(13)は好ましくは環状に周方向に閉じられている、請求項2又は5に記載のデバイス。
【請求項7】
長手方向(L)及び周方向(U)があり、シースは外側の凸部を、特に前記力伝達要素(34)と相互作用する径方向に突出する環状領域又は環状体(12)の形態で、有する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記環状体(12)は、前記シースに対して、特に前記リンク(11)の前記ガイド部品(13)の外側に、独立したアタッチメントとして力ロック態様及び/又は形状ロック態様で固定される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ライン構成は電源ケーブルを備え、その外側シース上に外側の凸部が、特に径方向に突出するビーズ、環状体などの形態で、設けられ、前記凸部が前記力伝達要素(34)と相互作用する、請求項1に記載の延出デバイス。
【請求項10】
複数の力伝達要素(34)が設けられ、各力伝達要素は、好ましくは、前記ライン構成又はラインガイド装置(10)の外径に対応する受容部を有するU字形状スターラップ(34)の形態をとり、好ましくは、前記ドライブホイール(32)は2枚の対向するホイールディスク(35A、35B)を有し、該ホイールディスク(35A、35B)の間に前記力伝達要素(34)が固定され、前記ホイールディスク(35A、35B)は前記ライン構成又はラインガイド装置(10)のためのガイドを形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記外側の凸部(12)は長手方向(L)の周囲に延在する全周にわたるビーズ若しくは厚手部の形態をとり、及び/又は前記凸部若しくは凹部は前記長手方向(L)に沿って均一の間隔(A)で分布されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記搬送ユニット(30)は、前記ドライブホイール(32)に対して径方向に離間して配置されるとともに前記ドライブホイールの部分的周回にわたって、好ましくは120度未満、特に90度未満の弧度値にわたって、延在する弧状保持面(36B)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ライン構成又はラインガイド装置(10)は、特に供給コネクタ(6)を有する、自由端(5)と、固定端(7)とを有し、及び/又は
前記搬送ユニット(30)は、格納時に前記ドライブホイール(32)に前記ライン構成又はラインガイド装置(10)を向けるガイドデバイスを出力側に有し、
前記ガイドデバイスは好ましくは漏斗状挿入デバイス(37)として構成され、及び/又は
前記ガイドデバイス(50)は、可動に調整可能に、好ましくは少なくとも1つの軸(R)を中心に旋回可能に、配置されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
ドライブモータ(M)が前記ドライブホイール(32)に動作可能に接続され、及び/又は回転軸(R)を中心とした回転のために前記ドライブホイール(32)が搭載された固定フレーム(8)が設けられ、回転の際に前記ドライブホイール(32)を駆動するための前記ドライブモータ(M)は特に前記フレーム(8)に固定される、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ドライブホイール(32)の前記ドライブモータ(M)は、前記延出時の端部位置及び/又は前記格納時の端部位置において前記ドライブモータ(M)をオフするために前記ライン構成又は前記ラインガイド装置(10)における検出要素(52A、52B)と相互作用するリミットスイッチデバイス(61、62)に接続される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項16】
前記フレーム(8)は前記ライン構成の格納された長手部分を受容するための収容空間(4)を有し、前記ドライブホイール(32)は前記収容空間(4)の外側で前記フレーム(8)上に配置されている、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
電力を可動の消費機器に供給するための、特に陸上から船舶への給電のための、請求項1に記載の延出デバイス(1)又は請求項2に記載のデバイスの、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン構成の少なくとも1つの長手部分を択一的に延出及び格納するための搬送ユニットを備える、少なくとも1本の供給ラインを有するフレキシブルなライン構成のための延出デバイス(ディスペンサ)に関する。本発明は、特に、少なくとも1本の供給ラインをガイドするための空間的に偏向可能なラインガイド装置に適した延出デバイスに関する。
【0002】
さらに、本発明は、概略として、例えばケーブル、ホースなどの1本以上の供給ラインをガイドするための3次元的に又は空間的に偏向可能なラインガイド装置のための搬送ユニット、及び搬送ユニットが装備されたそのラインガイド装置に関する。
【背景技術】
【0003】
「エネルギーガイドチェーン」は、相互に対して相対的に可動な2点間でラインを動的にガイドするための周知でかつ実績のある一設計のラインガイド装置である。
【0004】
請求項1の前段部に記載の延出デバイスは、特許文献1によって知られている。これは、特に、陸上から船舶への給電のためのドッキングデバイスとして適している。上記文献は、エネルギーガイドチェーンの偏向アークに作用して推力又は張力を伝達する搬送ユニットを提案している。しかし、提案される設計は、デバイスの構築及び保守の観点で複雑である。さらに、その設計は、空間的に偏向可能なラインガイド装置、すなわち、少なくとも部分的に3次元で可動となることが意図されるラインガイド装置には理想的に適しているようには見えない。逆に、特許文献1による設計は、1平面のみにおいて進行する従来のエネルギーガイドチェーンに一層適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の課題は、延出デバイス、並びに構造的に簡素であり及び/又は少ない保守で動作可能な、特にこの目的のための搬送ユニットを提案することである。搬送ユニットは、ラインガイド装置と併用可能となるべきであり、供給ラインと直接(ラインガイド装置なし)でも併用可能となるべきである。
【0007】
第1の態様によると、この課題は、請求項1に記載の特徴を有する延出デバイスによって達成される。
【0008】
それとは独立して、本発明はさらに、3次元的に偏向可能なラインガイド装置を駆動するための信頼性の高い解決手段を提案する。第2の態様によると、これは、請求項2に記載の特徴を有するラインガイド装置及び搬送ユニットを有するデバイスによって達成される。
【0009】
本発明によると、その2つの独立した態様は、搬送ユニットがフレキシブルなライン構成と相互作用するドライブホイールを備えるという核となるコンセプトを含む。ライン構成は、複数の被ガイドラインを任意選択的に有する空間的に偏向可能なラインガイド装置、又は単に(追加のラインガイド装置のない)適宜構成された供給ラインのいずれかを備え得る。したがって、ライン構成という用語は、本ケースでは、ドライブホイールを取り付けるように構成された個々のライン、及びドライブホイールと相互作用可能であり、その1本以上のラインをガイドし又はガイド可能なラインガイド装置の双方を意味することが理解される。
【0010】
提案されるドライブホイールは、特に、多数の周方向に分布された係合部を有し得る。その各々は、特に少なくとも1つの力伝達要素を備え、又は力伝達要素からなる。本発明によると、フレキシブルなライン構成は、他方では、ライン構成の少なくとも1つの部分長又は部分に沿って分布された複数の外側の凸部及び/又は凹部を備える。これらの凸部及び/又は凹部は、力伝達のために、ドライブホイールと、特に係合部又は力伝達要素と相互作用する。
【0011】
したがって、ライン構成の適切な構成及び比較的少ない追加費用での適切な構成を前提に、鎖歯車と同様の強健かつ簡素な駆動原理を適用することが可能となる。これは、特に、少なくとも支配的に張力がライン構成にかかることが意図されるという有利な効果を与え、それは、ラインガイド装置及びさらに直接駆動されるラインにおいて、推力の付与と比較して、より長い寿命及び少ない摩耗が達成可能となることを意味する。相互作用のために、所望の構成に応じて、ドライブホイールがライン構成に係合してもよいし、及び/又はライン構成はドライブホイールに係合する。
【0012】
ライン構成の外側に設けられた凸部及び/又は凹部は、任意の適宜の構成のものであってもよく、特に分離した隆起若しくは厚手部を形成し及び/又は窪み若しくは括れの形態をとり得る。ラインガイド装置において常に存在する内部空間は、例えば、凹部として利用され得る。凸部及び/又は凹部という用語は、一般用語において理解され得る。原則として、(ライン構成の縦断面で見た)外表面の他の任意の種類の凹凸も考慮され得る。さらに種々の設計が、係合部とのドライブホイールの対応する構成について可能である。
【0013】
本発明は、概略として、空間的に偏向可能なラインガイド装置、すなわち、少なくとも部分的に3次元的に可動となることが意図されたその装置などと組み合わせて特定の有利な効果を達成する。
【0014】
特に検討され得るラインをガイドするためのラインガイド装置は、「エネルギーガイドチェーン」、特に空間的に偏向可能な態様で相互接続された個々のリンクで構成されたエネルギーガイドチェーンである。
【0015】
最大限均一な駆動を確保するために、ドライブホイールがその全周、すなわち、完全な周にわたって配置又は分布された複数の係合部を有すると有利である。係合部は、好ましくは、全周にわたって均一に分布され、すなわち、周方向に等間隔とされる。係合部は、径方向外側領域に設けられ得るが、好ましくは少なくとも部分的に内向きにシフトされ、又はドライブホイールの外半径に対して後退され、それにより、(回転方向に対して軸方向に)横方向の案内が簡素化される。
【0016】
ドライブホイールの力伝達要素がいずれもライン構成又はラインガイド装置の外側に、特に形状ロック又は実質的に形状ロック態様で係合する場合に、好適な力の比が達成される。力伝達要素がドライブホイールの接線方向において凸部及び/又は凹部に対して衝突することによって力を伝達するとさらに有利となる。結果として、力は、ライン構成又はラインガイド装置の長手方向に少なくとも支配的に又は排他的に伝達され、それにより、好ましくない横断及び剪断力が回避される。
【0017】
延出デバイスは、特に(ラインガイド装置なしで)電源ケーブルとの直接の相互作用のために設計され得る。ドライブホイールは、延出及び格納のために電源ケーブルと直接相互作用する。この目的のため、径方向突出環状領域、環状体などの形態の外側の凸部が、電源ケーブルの外側シースに固定され得る。異なる態様で構成された凸部又は実際には窪みも、1以上の力伝達要素と相互作用し得る。
【0018】
好適な実施形態では、延出デバイスには、1つ又は実際には複数の供給ラインの保護された案内を可能とする3次元的に偏向可能なラインガイド装置が装備される。この場合、ラインはドライブホイールによって直接は駆動されないが、保護的なラインガイド装置はドライブホイールによって作動され、それにより、ラインは本質的により高い耐久性のものとなる。ラインガイド装置の種々の設計が、この目的のために検討され得る。
【0019】
特に好適な構成では、ラインガイド装置は、関節状に相互接続されて少なくとも2方向に相互に対していずれも枢動又は旋回可能なリンクを有する。リンクは、特に好ましくは、それ自体の長手軸を中心とした捻じりから独立したドライブホイールとの相互作用を可能とするために、円形の外形状を有する。
【0020】
関節状に接続されたリンクを有するラインガイド装置を用いる場合、リンク同士は、長手方向に前後に配置され、好ましくは径方向外側のガイド部品によってリンクのためのガイドチャネルを形成する。ガイド部品は、略環状の形態であってもよく、好ましくは周方向に閉じられ、又は好ましくはガイド部品を周方向に完全に包囲し、それにより、ドライブホイールにかかる径方向の力が良好に吸収される。リンク間に設けられた関節状接続部は、特に、各空間方向において相互に対してリンクの空間的な偏向又は旋回を可能とするようにボールジョイントの形態をとり得る。
【0021】
ラインが外的影響から保護されるような態様でガイドされるように、管状に閉じられたラインガイド装置又はエネルギーガイドチェーンを有する構成は特に好適である。この目的のため、連続するリンクのガイド部品は、長手方向及び周方向に閉じられた管状のシースを形成し得る。例えば(明白なリンクなしの)蛇腹状ホース又は「ホースパッケージ」の形態の他の連続的フレキシブルエンベロープも、ラインガイド装置として考えられる。
【0022】
ドライブホイールとの相互作用のために、そのような閉じたシースには、好ましくは、特に径方向に突出する環状領域、環状体などの形態で外側の凸部が設けられる。環状周方向領域は、長手軸を中心とした捻じりが重要ではない力伝達要素との相互作用を可能とする。環状領域又は環状体は、ここでは、任意の適宜の断面形状を有し得る。
【0023】
好適な更なる実施形態では、力伝達要素との相互作用のための環状体は、特にラインガイド装置の軸方向に静止して、力ロック及び/又は形状ロック態様でラインガイド装置のシースに対する独立したアタッチメントとして固定される。環状体は、好ましくは、例えばネジ状接続部によって力ロック態様で固定される。これは、とりわけ、既存の空間的に偏向可能なラインガイド装置の使用を可能とする。
【0024】
空間的に偏向可能なラインガイド装置の周知でかつ原則としての適切な設計は、例えば、国際公開第2004/093279号又は国際公開第2010/119083号に提案されている。
【0025】
ただし、シース上に形成され、又はそれと若しくは外側のガイド部品と一体に構成された凸部を有する特殊構成のリンクを用いることも、同様に可能である。例えば国際公開第2019/243377号に係る設計のような個々のリンク間の窪みをそれらの構造によって既に有しているラインガイド装置も、さらに使用され得る。
【0026】
原則として、複数の周方向に分布された力伝達要素がドライブホイールに設けられると、これは、不均衡なく又は良好な同軸性での動作を可能とするので、有利となる。
【0027】
一実施形態では、各力伝達要素は、例えば、ライン又はラインガイド装置の外径に対応する受容部を有するU字形状スターラップであり得る。特に、この設計では、ドライブホイールが、その間に力伝達要素が固定された2枚の対向するホイールディスクを備えると有利となる。ホイールディスクは、同時に、ライン又はラインガイド装置のための横方向ガイドを形成し得る。
【0028】
外側の凸部は、原則として、好ましくはドライブホイールとの相互作用のためのライン構成上に設けられる。ここでは、凸部は、好ましくは、全周にわたるビーズ若しくは厚手部又は長手方向に垂直な断面において周方向環状領域の形態をとる。
【0029】
ライン構成における外側の凸部又は凹部、例えば、適宜の環状体は、好ましくは、ライン構成の長手方向に垂直な又は環状体の軸に垂直な中心平面に対して断面対称な外面又は外形状を有する。対応する対称性は、前後両方向に均等に搬送すること、又はドライブホイールの適宜の要素が回転方向に応じて凸部若しくは凹部と両側で係合することができることによって、延出及び格納を可能とする。凸部、特に環状体は、例えば、長手軸を通る断面において、例えば略半円形断面を有していてもよく、それにより干渉する縁部も回避される。
【0030】
滑らかな又はジャークなしの走行のために、凸部又は凹部がライン又はラインガイド装置に対して長手方向に沿って均一な長手間隔で分布されると有利となる。したがって、好ましくは、ライン構成の少なくとも1つの長手部分にわたって、2個毎の連続する凸部又は凹部の間の間隔はいずれも同一である。
【0031】
ドライブホイールに対する最大限高い信頼性でかつジャークなしでの係合のために、連続する力伝達要素の間の弧度法での間隔は、好ましくは、2個毎の連続する凸部及び/又は凹部の間の長手間隔(例えば、中心-中心間の距離)よりも明らかに大きい。特に、好ましくは、周方向の順で第1の力伝達要素と第3の力伝達要素の間又は第1の力伝達要素と第4の力伝達要素の間の弧度法での間隔は、ライン構成における相手方、すなわち、凸部又は凹部の間の、好ましくはそれぞれの均一又は同一の長手間隔に対応する。同時のかつ結果としてより緩やかな力の導入は、ラインガイド装置上の少なくとも2つの地点において達成可能であり、同時に(例えば、力伝達要素のアークの距離による)係合許容差が与えられる。
【0032】
ドライブホイールからの滑りを防止するため又はライン構成をドライブホイールとの係合状態に維持するために、弧状保持面が、有利には搬送ユニットに設けられ、ドライブホイールに対して適宜の径方向距離に配置されて外周に沿ってドライブホイールの部分的周回にわたって延在する。弧度値は、ここでは、好ましくは明確に120度未満、特に90度未満である。
【0033】
意図される用途に応じて、ライン構成又はラインガイド装置は、例えば、消費機器又は供給源に択一的に接続するための、特に供給コネクタを有する自由端を有し得る。対応して、ライン又はラインガイド装置は、特に接続点に恒久的に固定された固定端を有し得る。
【0034】
空間的に偏向可能なラインガイド装置の使用のために、搬送ユニットが出力側にガイドデバイス、好ましくは例えば漏斗状挿入デバイスを有し、それがライン構成(すなわち、ラインガイド装置又は代替的に直接駆動される供給ライン)を格納時にドライブホイール上に向けると有利となる。これにより、ドライブホイールに対するその位置にかかわらず、ライン構成の信頼性のある又は大部分で自動的な格納又は回収が可能となる。
【0035】
好適な実施形態では、ライン構成をドライブホイール上に向けるガイドデバイスは、移動可能に調整可能又は整列可能、特に少なくとも1本の軸を中心に旋回可能に取り付けられ又は搭載される。ガイドデバイスは、この目的のため、延出方向又は受容方向を設定するためにそれ自体の調整用駆動部を任意選択的に有し得る旋回アーム上に設けられてもよい。ガイドデバイスは、ここでは、それが少なくともドライブホイールの回転軸を中心として旋回可能となるように、例えば、例えばドライブホイールを支持するフレーム上に搭載され、及び/又は好ましくは45度の所定の角度範囲にわたって旋回可能となるように配置されてもよい。これにより、ライン構成を、例えばフレームに対して、択一的に異なる位置又は種々の方向に、例えば仮想的に鉛直下方から仮想的に水平側方に任意の所望の傾斜で延出させ、逆にそこからライン構成を格納することが可能となる。
【0036】
用途に応じて、格納状態では、ライン構成は、ドライブホイールと接続点の間で自由に懸吊し、又は例えばドラムに巻回され得る。
【0037】
特に、任意の適宜のドライブモータが、ドライブホイールに動作可能に接続され得る。さらに、ドライブホイールのための任意の適宜の設計のフレームが設けられてもよく、そのフレームに回転軸を中心とした回転のためにドライブホイールが搭載される。回転の際にドライブホイールを駆動するためのドライブモータは、それに従ってフレームに取付け可能である。その上端にドライブホイールが設けられるとともにその反対側にライン構成が自由懸吊された態様で収容される鉛直な支柱又は梁は、固定フレームとみなされ得る。
【0038】
更なる有利な展開例では、ドライブホイールのドライブモータは、所定の端部位置に達すると、特にライン構成が完全に延出され又は引き込まれると、ドライブモータをオフするリミットスイッチデバイスに接続される。リミットスイッチデバイスは、延出に対する端部位置及び/又は格納に対する端部位置においてドライブモータをオフするために、ライン構成上の検出要素、例えば、ラインガイド装置上にこの目的のために特殊に構成された環状体と相互作用するように設計される。リミットスイッチデバイスは、例えば、検出要素に衝突することで作動されるリミットスイッチの態様で検出要素との接触によって機械的に、又は非接触で、例えば磁気的になどで、相互作用してもよい。このように、所定の端部位置における自動的なオフは、ライン構成の所望の位置における1又は2個の検出要素の適切な構成によって簡単に達成可能である。
【0039】
原則として、フレームは、ライン構成の格納された長手部分を受容するための任意の種類の収容空間、特に収容空間を形成するエンクロージャ又はハウジングも有し得る。ドライブホイールは、構造的に好都合に、収容空間の出力側にフレーム上に配置される。
【0040】
提案される延出デバイスは、特に、ただし排他的にではなく、電力を可動又は可変の消費機器に供給するのに適する。延出デバイスは、国際公開第2018/091554号において提案されるのと同様に、特に陸上から船舶への給電に適する。
【0041】
一方、提案される搬送ユニットは、空間的に偏向可能でフレキシブルなラインガイド装置と組み合わせて、例えば、巻取りデバイスにおいて、巻回ドラム又はリールなどと組み合わせて他の用途においても特に有利に利用可能である。
【0042】
搬送ユニット及びラインガイド装置の組合せは、とりわけ、搬送ユニットがラインと直接の係合する必要なく、すなわち、張力をラインに直接伝達することなく、1本以上のラインを保護された態様でガイドする有利な効果を与える。
【0043】
本発明は、ケーブル、ホースなどの任意の種類の供給ラインに対して、特に、単位長さあたりの比較的大きな直径又は大きな重量の電源ライン、例えば、陸上から船舶への給電のための単数の高電流ライン及び/又は複数の高電流ラインに対して利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、第1の例示的実施形態に係るラインガイド装置及び搬送ユニットを有する延出デバイスの模式側面図である。
【
図2A】
図2Aは、例えば
図1に係るデバイスでの使用のための搬送ユニットの図であり、部分切取内部斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、例えば
図1に係るデバイスでの使用のための搬送ユニットの図であり、正面図である。
【
図2C】
図2Cは、例えば
図1に係るデバイスでの使用のための搬送ユニットの図であり、
図2Bの切断線C-Cに沿う縦断面図である。
【
図2D】
図2Dは、例えば
図1に係るデバイスでの使用のための搬送ユニットの図であり、閉じた斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、
図2A~2Dに係る搬送ユニットとの併用のための好適なラインガイド装置の複数のリンクの図であり、正面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図2A~2Dに係る搬送ユニットとの併用のための好適なラインガイド装置の複数のリンクの図であり、縦断面図である。
【
図3C】
図3Cは、
図2A~2Dに係る搬送ユニットとの併用のための好適なラインガイド装置の複数のリンクの図であり、斜視外観図である。
【
図3D】
図3Dは、
図2A~2Dに係る搬送ユニットとの併用のための好適なラインガイド装置の複数のリンクの図であり、斜視縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図2A~2Dに係る搬送ユニットによって駆動可能となるように
図3A~3Dに係るラインガイド装置を後付けするための独立したアタッチメントとして適した2部品環状体の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、鉛直中心平面を通る断面においてラインガイド装置及び搬送ユニットを有する延出デバイスの第2の例示的実施形態を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、鉛直中心平面を通る断面においてラインガイド装置及び搬送ユニットを有する第2の例示的実施形態の延出デバイスを示す図である。
【
図6】
図6は、ライン構成又はラインガイド装置を格納時にドライブホイールに向ける種々の位置の間で旋回可能なガイドデバイス、及び搬送ユニットの駆動のためのリミットスイッチデバイスを有する第2の例示的実施形態の延出デバイスを斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の更なる詳細、特徴及び有利な効果は、添付図面を参照して行われる好適な実施形態の以下の詳細な説明によって明らかとなる。
【0046】
図1は、複数の供給ライン3、例えば、給電のための電気ラインを固定端7すなわち固定点から自由端5にガイドする空間的に偏向可能なラインガイド装置10を有するフレキシブルなライン構成2のための、全体として1で表記される延出デバイスを示す。ラインガイド装置10は、ライン3を静止状態及び動作時において、すなわち、延出及び格納時に保護する。ライン構成2の自由端において、供給ライン3は、例えば、陸上から船舶への給電(不図示)のための供給コネクタ6に接続される。
【0047】
延出デバイス1は、所望の長さのライン構成2がそこから延出されるとともにそこに再格納される収容空間4を備える。図示する例では、ライン構成2は、収容空間4においてループとして自由懸吊される。ドラム又は他の形態の収容部に対する回転は、本発明の範囲内である。収容空間4は、保護的エンクロージャ又は適宜の設計のハウジング(不図示)内に設けられ得る。
【0048】
延出デバイス1は、収容空間4からの延出時及びそこへの再格納時にライン構成2を機械的に搬送又は駆動するための搬送ユニット30を備える。搬送ユニット30は、その周回上に多数の係合部33を形成するドライブホイール32を備え、いずれも、例えば9個の係合部33を有する。係合部33の数Nはライン構成2の直径及び柔軟性に適するように選択されるべきであり、少なくとも2個、好ましくは、例えば6≦N≦12の範囲の複数の係合部33を備えるべきである。ライン構成2は、ドライブホイール32の回転方向に応じて、ライン構成2が前進方向F又は後退方向Bに前方又は後方に移動されるように、力伝達のために係合部33と相互作用する。
【0049】
図1において、フレキシブルなライン構成2は複数の外側の凸部を環状体12の形態で有し、それはラインガイド装置10の外側に設けられる。これらの凸部、すなわち、環状体12は、好ましくは、いずれも長手方向Lに同一の長手間隔Aを有して、ライン構成2の駆動される少なくとも1つの長手部分に沿って分布される。ライン構成2上の径方向に突出する環状体12は、ドライブホイール32の係合部33において力伝達要素34と相互作用する。
図1~2の例では、各係合部33は、凸部又は環状体12との係合のために適切に共役構成された1つのみの割り当てられた力伝達要素34を有する。
【0050】
図1において、搬送ユニット30は、ドライブホイール32が収容空間4の出口側又は上部でフレーム8上に配置されるように鉛直の支柱9によって支持されたフレーム8を備える。したがって、前進方向F及び後退方向Bの双方において、張力は、いずれもドライブホイール32によって主にライン構成2に伝達される。意図されるように、張力は、ラインガイド装置10によって径方向に吸収され、環状体12を介して導入される。さらに、望ましくない負荷は供給ライン3には付与されず、それはラインガイド装置10の端部におけるストレインリリーフによって保護される。
【0051】
搬送ユニット30の好適な実施形態を、
図2A~
図2Dを参照してより詳細に説明する。搬送ユニット30は、ラインガイド装置10を駆動するように意図及び構成される。搬送ユニット30は、例えば
図1のような延出デバイスでの使用に限定されず、対応するラインガイド装置10を機械的に作動又は移動させるために、いずれか他の箇所での使用にも有利に適用され得る。
【0052】
ドライブホイール32上には、複数の係合部33が全周囲に均一に分布され、その各々は、本ケースの場合、1つのみの力伝達要素34を有する(
図2C)。各力伝達要素34は、
図2A~
図2Dでは、受容部を有するU字形状スターラップとして構成される。スターラップ34の受容部は、軸方向に両側に開放し、径方向外側に開放し、ラインガイド装置10の円形の外形状に対応するように構成される(
図2A参照)。U字形状スターラップ34は、ラインガイド装置10の周回の少なくとも半分を包含できるように、略半円の自由断面を有する。力伝達要素34は、いずれもここでは約40度の最大限同一の弧度値で周方向に分布され、それにより、ラインガイド装置10の係合時に力がその環状体12にいずれの回転位置においても伝達可能となる。
図2Cは、より好適な力分散のために、2つの力伝達要素34が第1の環状体12、及び次の、ただし1つの環状体12に同時に係合することを示す。力伝達要素34間の弧度値は、ここでは長手間隔Aの半分に対応し、それにより、係合を達成するのに、より小さな回転角しか必要とならない。力伝達要素34は、ドライブホイール32の2枚の対向するホイールディスク35A、35Bの間で固定され、例えば、ボルド留めされる。周方向における力伝達要素34の寸法は、
図2A~2Dに示すように比較的短くてもよく、又はより大きな角度にわたって弧状に延在し、例えば、径方向の支持を与えるラインガイド装置10に対するより大きな当接面を形成し得る。回転軸Rに平行なスターラップ又は力伝達要素34の軸方向の寸法は、凸部、すなわち、環状体12の外径よりも若干大きい。ホイールディスク35A、35Bは、これに従って同時に、ラインガイド装置10のための、その長手方向Lに横断する横方向の案内を与える(
図2B参照)。ドライブシャフト35Cは、2枚のホイールディスク35A、35Bに回転不能に固定され、ドライブ/モータM、例えば電気サーボモータに結合される(
図2B)。ドライブホイール32は、ドライブシャフト35Cによって回転軸Rを中心とした回転のために搭載される。
【0053】
ドライブホイール32の力伝達要素34は、ラインガイド装置10を択一的に前進方向F又は後退方向Bに作動又は移動させるために、ラインガイド装置10上の対応する相手方と、この場合では凸部、すなわち、環状体12と力伝達のために相互作用する。凸部12の代わりに又はそれに加えて、ラインガイド装置10は、係合部33の対応する一致要素が相互作用する凹部又は切欠き(不図示)も有し得る。ドライブホイール32の直径又は力伝達要素34の内部における有効半径は、ラインガイド装置10の許容可能な曲率半径に適合され、好ましくは負荷を軽減するために少なくとも若干大きくなるように選択される。
【0054】
図2A~2Dは、さらに、そのドライブシャフト35Cを有するドライブホイール32が回転のために搭載されたフレーム8の例示的設計を示す。フレーム8は、ドライブホイール32から径方向外側に離間した形成された保持プレート36Aを備える。保持プレート36Aはドライブホイール32に対して径方向に離間された略弧状の保持面36Bを形成し、環状体12が小さな隙間で通過するようにその間隔が選択される。保持面36Bを有する保持プレート36Aは、ドライブホイール32の部分的周回にわたって、この場合では弧度法で約60度~80度にわたって延在する。保持面36Bは、ラインガイド装置10が常にドライブホイール32に係合されるように維持する。有利なことに、必要に応じて全空間方向に移動可能な自由端5を有するラインガイド装置10では、漏斗状挿入デバイス37が、前進方向Fにおいて出力側にフレーム8に取り付けられる。挿入デバイス37は、例えば、形成されたシートメタル部品からなり、後退方向Bに漏斗状に細くなり、ドライブホイール32に対して接線方向に向けられ、それにより、ラインガイド装置10は、自由端5の空間位置にかかわらず、ガイドされてドライブホイール32に係合する。
【0055】
図3A~3Dは、関節状に相互接続された円形の外形状(
図3A)を有する個々の同一に構成されたリンク11で構成されるラインガイド装置10の特に好適な設計を示す。
図3B~3Dは、一部分である3個のリンクのみを示す。リンク11は、相互に前後にかつ長手方向において連続的に連結され、径方向に外側のガイド部品13によって、ライン3のための少なくとも1つのガイドチャネルKを形成し、この目的のため、中心部品14とバーを介して接続される。2つの隣接するリンク11は、3本の直交軸を中心として相互に対して空間的にいずれも旋回可能である。リンク11は、この目的のため、関節状ジョイントを介して相互接続される。リンク11は中心部品14を有し、各々は長手方向Lにおける両端に、ボールジョイントヘッド16及びボールジョイントソケット17で構成されたボールジョイントを有する。
図3A~3Dでは、各ボールジョイントヘッド16は、中心部品14の一端においてボールジョイントソケット17に保持された独立したジョイントボールとして設けられる。中心部品14の他端には、ボールジョイントヘッド16のジョイントボールが固定された固定用ピン19に対して径方向に対向する通路開口を有するジョイントヨーク18が設けられる。固定用ピン19は、いずれも長手方向Lに垂直であり、ボールジョイント(ボールジョイントヘッド16、ボールジョイントソケット17)を通じた長手方向Lへの大きな張力の伝達を可能とする。固定用ピン19は、それ以外では、各リンク11の周方向に閉じた外側ガイド部品13に設けられたアクセス開口19Aによって挿抜される。
図3Cに示すように、ガイド部品13及び連続するリンク11は、相互に組み合わせられたドーム部分、並びに全体として長手方向L及び周方向Uにおいて閉じた管状のシースを形成し、それは結果として強健であり、力を吸収することに良好に適したものとなる。リンク11は、プラスチックから、例えば射出成型品として製造される。
【0056】
ドライブホイール32との相互作用のための凸部は、独立したアタッチメントとして適宜の環状体12を後付けすることによってラインガイド装置10上に生成され得る。
【0057】
図4は、ボルト42によって相互接続されてガイド部品13に対して外周において力ロック的に締め付けられる2つの半環状の、好ましくは同一に構成されたシェル部品40A、40Bから実質的に構成される環状体12の好適な例を示す。シェル部品40A、40Bは、端面において丸みを帯びて接続状態において長手方向Lの周囲に閉じた円形リング状の外形状を有する。シェル部品40A、40Bは、長手軸(長手方向)Lに垂直な中心平面に対して鏡像対称である。内側では、環状体12又はシェル部品40A、40Bは、ラインガイド装置10上に固定的に長手方向Lに環状体12を固定するために、2つの直線状に配向されて相互接続されたリンク11(
図3B参照)の相互に組み合わせられたガイド部品13の間の外周の周回溝45に係合する保持凸部44を形成する。環状体12は、いずれも、一対の連続するリンク11に固定され、任意選択的にそれらの旋回する能力を低減又は阻止し得る。周方向に閉じられた環状体12は、ドライブホイール32を通じた均一な力の導入を促進する。
図1から明らかなように、シェル部品40A、40Bの環状体12は、好ましくは各リンク11ではなく、n個のリンク11毎又は2個のリンク11のn対毎に設けられ、好ましくはn≧2であり、特にn≧3である。したがって、一定の間隔Aは本来的に達成され、簡素な製造が可能となる。
【0058】
図4の原理に係る後付け可能な独立した環状体12によって、ドライブホイール32がなくても、とりわけ、主に他の用途のために意図されてそれに適した周知のラインガイド装置の使用が可能となる。
【0059】
図5A~5B及び
図6は、その基本的構造に関して、
図1~4の原理に基づく第2の例示的実施形態に係る更なる展開例を示す。すなわち、それはドライブホイール32を有する搬送ユニットを備え、ドライブホイール32はいずれもその周回上に、ラインガイド装置10を択一的に前進方向F又は後退方向Bに駆動するためにラインガイド装置10上の環状体12と相互作用する少なくとも1つの力伝達要素34との多数の係合部33を有する。したがって、同等の部品については、機能及び/又は設計に関して再度説明しない。
【0060】
前述の例示的実施形態からの実質的な相違は、2つの追加の機能、すなわち、一方で、調整可能なガイドデバイス50であり、他方で、ラインガイド装置10の延出及び/又は格納時に両端位置においてドライブホイールのドライブ/モータMをオフするリミットスイッチデバイス61、62である。
【0061】
調整可能なガイドデバイス50は、略鉛直位置(
図5B)と、上昇位置(
図5A参照)、例えば、さらには水平位置(不図示)との間の回転軸R(=ドライブ/モータMの軸)に同軸の旋回軸に関して自由に調整可能であり、この目的のためにそれ自体のアクチュエータSを有する。ここで、
図1~4のように、旋回可能なガイドデバイス50は、ラインガイド装置10をドライブホイール32にガイドし又は向けるために、結合口の態様の漏斗状挿入口57を有する。一方、
図5A~5B及び
図6では、漏斗状挿入口57は2つの弧状側方キャリア53上に設置され、2つの弧状側方キャリア53は軸Rを中心に旋回可能に搭載されてカム溝54を有し、カム溝54には、アクチュエータSのシャフト55がガイドデバイス50の延出方向のモータ駆動調整のために係合する。このように、例えば陸上の電源の場合に、ラインガイド装置10の除去のための可能な距離がブリッジ可能となり、又は高さの観点でより適した供給が可変に若しくは必要に応じて設定可能となる。
【0062】
最後に、格納又は延出時にドライブ/モータMをオフするための好適なリミットスイッチデバイス61、62を、
図5A~5B及び
図6を参照して説明する。挿入口57が、2つのキャリア53におけるスロット化リンク内への切換用フランジ63を有する管状延在部によって変位可能に、例えば、ドライブホイール32に対して接線方向にガイドされる。格納時の最大端部位置(
図6の右側)において、すなわち、ラインガイド装置10が完全に格納されると、オフするための第1のリミットスイッチデバイス61は、スロット化リンクにおいてガイドされる切換用フランジ63によって作動可能なリミットスイッチ65を有する。ドライブ/モータMを制御するためのリミットスイッチ65は、切換用フランジ63によって作動される。この目的のため、格納時に、駆動用環状体12よりも大きな外径を有する特殊な切換用環状体52A(
図5B)が、挿入口57の内側に衝突するので、リミットスイッチ65を完全に引いた端部位置で作動させるために、切換用フランジ63を格納リミットスイッチ65に対して引く。
【0063】
延出のためのリミットスイッチデバイス62は、同様の設計で実施される。この目的のため、更なる切換用フランジ67が、搬送ユニット30の対向端部におけるスロット化リンクにおいて変位可能に、例えば接線方向にガイドされ、特殊な切換用環状体52Bが切換用フランジ67を延出リミットスイッチ69に対して引いた場合にリミットスイッチ69と相互作用する。切換用環状体52Bは、完全に延出した位置に応じてラインガイド装置10に取り付けられる。
【0064】
この簡素かつ強健な設計により、リミットスイッチデバイス61、62は、選択的に特殊な切換用環状体52A、52Bをラインガイド装置10に取り付けることによって現場での組立て時に所望の端部位置に関して手動でかつ純粋に機械的に調整可能となる。特殊な切換用環状体52A、52Bは、ラインガイド装置10の位置を検出するための機械的検出要素として作用する。切換用環状体52A、52Bは、ここでは、大径であることは別として、
図4と同様の設計のものであってもよく、ラインガイド装置10に取外し可能に取り付けられてもよい。図示する機械的なリミットスイッチデバイス61、62の代替として、他の非接触の、例えば、電気機械的な手段が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 延出デバイス
2 ライン構成
3 供給ライン
4 収容空間
5 自由端
6 供給コネクタ
7 固定端(固定点)
8 フレーム
9 支柱
10 ラインガイド装置
11 リンク
12 環状体(凸部)
13 ガイド部品
14 中心部品
15 バー
16 ボールジョイントヘッド
17 ボールジョイントソケット
18 ジョイントヨーク
19 固定用ピン
30 搬送ユニット
32 ドライブホイール
33 係合部
34 力伝達要素(スターラップ)
35A、35B ホイールディスク
35C ドライブシャフト
36A 保持プレート
36B 保持面
37 挿入デバイス
40A、40B シェル部品
42 ボルト
44 保持凸部
45 溝
50 ガイドデバイス
52A、52B 切換用環状体
53 キャリア
54 カム溝
55 (アクチュエータSの)シャフト
57 挿入口
61、62 リミットスイッチデバイス
63、67 切換用フランジ
65、69 リミットスイッチ
A 長手間隔
B 後退方向
F 前進方向
K チャネル
L (ラインガイド装置の)長手方向
M (ドライブホイールの)ドライブ/モータ
R (ドライブホイールの)回転軸
S (ガイドデバイス50の)アクチュエータ
U 周方向
【手続補正書】
【提出日】2023-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本以上の供給ライン(3)をガイドするため
のラインガイド装置(10)
の形態をとるフレキシブルなライン構成(2)を有する延出デバイス(1)であって、
前記ラインガイド装置は、関節状に相互接続されて相互に対して枢動可能なリンク(11)を有し、
前記延出デバイス(1)は、前記ライン構成(2)の少なくとも1つの長手部分を収容空間(4)から延出させ、かつ好ましくは該収容空間に再格納するための、搬送ユニット(30)を備え、
前記搬送ユニット(30)は、少なくとも1つの力伝達要素(34)をいずれも有する複数の係合部(33)をその周回上に有するドライブホイール(32)を備え、
前記フレキシブルなライン構成(2)は、該ライン構成(2)の少なくとも1つの長手部分に沿って分布された複数の外側の凸部(12)及び/又は凹部を有し、
前記ドライブホイールの各力伝達要素(34)は、延出及び/又は格納時に前記ライン構成(2)を搬送又は駆動するために前記ライン構成(2)の凸部(12)及び/又は凹部と力伝達のために相互作用するように構成されている、延出デバイス。
【請求項2】
1本以上の供給ライン(3)をガイドするための
、関節状に相互接続されていずれも少なくとも2方向に相互に対して枢動可能なリンク(11)を有する3次元的に偏向可能なラインガイド装置(10)及び該ラインガイド装置(10)を駆動するための搬送ユニット(30)を有するデバイスであって、
前記搬送ユニット(30)は、少なくとも1つの力伝達要素(34)をいずれも有する複数の係合部(33)をその周回上に有するドライブホイール(32)を備え、
前記ラインガイド装置(10)は、該ラインガイド装置(10)の少なくとも1つの長手部分に沿って分布された複数の外側の凸部(12)及び/又は凹部を有し、
前記ドライブホイール(32)の各力伝達要素(34)は、前記ラインガイド装置(10)の凸部(12)及び/又は凹部と力伝達のために相互作用するように構成されている、デバイス。
【請求項3】
前記ドライブホイール(32)は、その完全な周にわたる複数の係合部(33)、特にその全周にわたって均一に分布された係合部(33)、を有する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ドライブホイールの前記力伝達要素(34)はいずれも、前記ライン構成(2)若しくはラインガイド装置(10)の外側と形状ロック態様で係合し、及び/又は前記力伝達要素(34)を前記ドライブホイール(32)の接線方向において衝突させることによって前記ライン構成若しくはラインガイド装置に対してその長手方向(L)に力を伝達する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前
記リンク(11)は円形の外形状を有
し、長手方向に相互に前後に配置され、径方向に外側のガイド部品(13)によって少なくとも1つのガイドチャネルを形成し、関節状ジョイント(16、17)、特にボールジョイントが、関節状に相互接続されたリンク(11)の間に配置され、前記ガイド部品(13)は好ましくは環状に周方向に閉じられている、請求項
2に記載のデバイス。
【請求項6】
連続するリンク(11)の前記ガイド部品(13)は長手方向(L)及び周方向(U)
に閉じる管状のシースを形成し、該シースは外側の凸部を、特に前記力伝達要素(34)と相互作用する径方向に突出する環状領域又は環状体(12)の形態で、有する、請求項
5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記環状体(12)は、前記シースに対して、特に前記リンク(11)の前記ガイド部品(13)の外側に、独立したアタッチメントとして力ロック態様及び/又は形状ロック態様で固定される、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
複数の力伝達要素(34)が設けられ、各力伝達要素は、好ましくは、前記ライン構成又はラインガイド装置(10)の外径に対応する受容部を有するU字形状スターラップ(34)の形態をとり、好ましくは、前記ドライブホイール(32)は2枚の対向するホイールディスク(35A、35B)を有し、該ホイールディスク(35A、35B)の間に前記力伝達要素(34)が固定され、前記ホイールディスク(35A、35B)は前記ライン構成又はラインガイド装置(10)のためのガイドを形成する、請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記外側の凸部(12)は長手方向(L)の周囲に延在する全周にわたるビーズ若しくは厚手部の形態をとり、及び/又は前記凸部若しくは凹部は前記長手方向(L)に沿って均一の間隔(A)で分布されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記搬送ユニット(30)は、前記ドライブホイール(32)に対して径方向に離間して配置されるとともに前記ドライブホイールの部分的周回にわたって、好ましくは120度未満、特に90度未満の弧度値にわたって延在する弧状保持面(36B)を有する、請求項1から
9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ライン構成又はラインガイド装置(10)は、特に供給コネクタ(6)を有する、自由端(5)と、固定端(7)とを有し、及び/又は
前記搬送ユニット(30)は、格納時に前記ドライブホイール(32)に前記ライン構成又はラインガイド装置(10)を向けるガイドデバイスを出力側に有し、
前記ガイドデバイスは好ましくは漏斗状挿入デバイス(37)として構成され、及び/又は
前記ガイドデバイス(50)は、可動に調整可能に、好ましくは少なくとも1つの軸(R)を中心に旋回可能に、配置されている、請求項1から
10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
ドライブモータ(M)が前記ドライブホイール(32)に動作可能に接続され、及び/又は回転軸(R)を中心とした回転のために前記ドライブホイール(32)が搭載された固定フレーム(8)が設けられ、回転の際に前記ドライブホイール(32)を駆動するための前記ドライブモータ(M)は特に前記フレーム(8)に固定される、請求項1から
11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ドライブホイール(32)の前記ドライブモータ(M)は、前記延出時の端部位置及び/又は前記格納時の端部位置において前記ドライブモータ(M)をオフするために前記ライン構成又は前記ラインガイド装置(10)における検出要素(52A、52B)と相互作用するリミットスイッチデバイス(61、62)に接続される、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記フレーム(8)は前記ライン構成の格納された長手部分を受容するための収容空間(4)を有し、前記ドライブホイール(32)は前記収容空間(4)の外側で前記フレーム(8)上に配置されている、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項15】
電力を可動の消費機器に供給するための、特に陸上から船舶への給電のための、請求項1に記載の延出デバイス(1)又は請求項2に記載のデバイスの、使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
請求項1の前段部に記載の延出デバイスは、特許文献1によって知られている。これは、特に、陸上から船舶への給電のためのドッキングデバイスとして適している。上記文献は、エネルギーガイドチェーンの偏向アークに作用して推力又は張力を伝達する搬送ユニットを提案している。しかし、提案される設計は、デバイスの構築及び保守の観点で複雑である。さらに、その設計は、空間的に偏向可能なラインガイド装置、すなわち、少なくとも部分的に3次元で可動となることが意図されるラインガイド装置には理想的に適しているようには見えない。逆に、特許文献1による設計は、1平面のみにおいて進行する従来のエネルギーガイドチェーンに一層適している。
特許文献2は、電気自動車のための充電用デバイスとして供給ラインを有する延出デバイスを開示する。特許文献3は、そこにガイドされる供給ラインを有するラインガイドデバイスに関し、ラインガイドデバイスはラインガイドデバイスの可動端において固定位置端部に対して変位可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/091554号
【特許文献2】独国特許出願公開第102011006104号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/043591号明細書
【国際調査報告】