(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】粉末コーティング方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/08 20060101AFI20231201BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20231201BHJP
B01J 8/42 20060101ALI20231201BHJP
H05H 1/26 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B01J19/08 K
B01J2/00 B
B01J8/42
H05H1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023527337
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021080217
(87)【国際公開番号】W WO2022090518
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162258
【氏名又は名称】パルティクス
【氏名又は名称原語表記】PARTIX
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェルチェンス,ヒリ
(72)【発明者】
【氏名】エイベルジェ,レジス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ペスコド,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・フフト,フィリップ
【テーマコード(参考)】
2G084
4G004
4G070
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB14
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD18
2G084DD25
2G084DD32
2G084FF02
2G084FF39
2G084FF40
2G084GG02
2G084GG29
4G004BA02
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA30
4G070CB10
4G070CB13
4G070CB17
4G075AA27
4G075AA30
4G075AA32
4G075BA05
4G075BA10
4G075BD04
4G075CA47
4G075CA63
4G075DA02
4G075EB01
4G075EB41
4G075EC01
4G075FA01
4G075FA12
(57)【要約】
本発明は、粒子状物質をコーティングするためのプラズマコーティング方法であって、a)反応チャンバの外側のプラズマガスから低温大気圧プラズマジェットを提供するステップと、b)プラズマジェットに前駆体を挿入することにより、励起前駆体を含むプラズマコーティング流を得て、続いて、励起前駆体を含むプラズマコーティング流を反応チャンバに注入するステップと、c)前記励起前駆体を含むプラズマコーティング流に粒子状物質をさらすステップと、を含み、これにより、少なくとも部分的なコーティングを含む粒子状物質を得る、方法に関する。本発明はまた、コーティングリアクタ装置およびシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内の粒子状物質をコーティングするプラズマコーティング方法であって、
a)前記反応チャンバの外側のプラズマガスから低温大気圧プラズマジェットを提供するステップと、
b)前記プラズマジェットに前駆体を挿入することにより、励起前駆体を含むプラズマコーティング流を得て、続いて、前記励起前駆体を含む前記プラズマコーティング流を前記反応チャンバに注入するステップと、
c)前記励起前駆体を含む前記プラズマコーティング流に前記反応チャンバ内の粒子状物質をさらすステップと、
を含み、
これにより、少なくとも部分的なコーティングを含む粒子状物質を得る、プラズマコーティング方法。
【請求項2】
前記粒子状物質は流動状態で前記プラズマにさらされ、好ましくは流動床リアクタを使用して実行される、請求項1に記載のプラズマコーティング方法。
【請求項3】
前記粒子状物質は前記プラズマに間接的にさらされる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項4】
前記少なくとも部分的なコーティングは完全なコーティングである、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項5】
前記プラズマガスは不活性ガスを含み、好ましくは前記プラズマガスは少なくとも99体積%の不活性ガスからなり、好ましくは前記プラズマガスはN
2を含み、好ましくは前記プラズマガスは少なくとも99体積%のN
2からなり、および/または前記プラズマガスは希ガスを含み、好ましくは前記プラズマガスはHe、Neおよび/またはArを含む、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項6】
前記粒子状物質は、ステップcの間に回転される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項7】
前記粒子状物質は酸素不足領域で前記プラズマにさらされ、好ましくは前記酸素不足領域は最大1体積%のO
2を含む、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項8】
前記前駆体は重合性化合物である、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項9】
ステップa~cを連続して実行することによって前記粒子状物質をコーティングし、それによって前記粒子状物質は、前記励起前駆体を含むプラズマコーティング流に複数回さらされる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項10】
前記粒子状物質は、ステップa~cを並行して実行することによってコーティングされ、それによって前記粒子状物質は、別個のプラズマコーティング流にさらされる部分に分配される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項11】
前記前駆体はエアロゾルとして前記プラズマジェット内に挿入される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項12】
前記粒子状物質は繊維からなる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法による粒子状物質をコーティングするためのコーティングリアクタ装置であって、
-前記反応チャンバ内の粒子状物質をプラズマコーティング流にさらすためのリアクタチャンバと、
-プラズマジェット装置であって、
・プラズマジェットを生成するためのプラズマジェット出口と、
・ノズルであって、
プラズマおよび/または前駆体を注入するためのノズル入口のセットであって、前記ノズル入口は前記反応チャンバの外側に位置する、ノズル入口のセットと、
前駆体含有プラズマを放出するための少なくとも1つのノズル出口であって、前記ノズル出口は前記反応チャンバ内に配置される、少なくとも1つのノズル出口と、
前記反応チャンバの外側から前記反応チャンバ内へ前駆体含有プラズマコーティング流を導くために、前記ノズル入口から前記ノズル出口まで延在するノズル本体と、を備えるノズルと、
を備え、少なくとも1つのノズル入口は前記プラズマジェット出口と流体接続している、プラズマジェット装置と、
-少なくとも1つのノズル入口と流体接続している前駆体提供源と、
を備える、コーティングリアクタ装置。
【請求項14】
前記コーティングリアクタ装置は、各々がプラズマジェット出口と、ノズル入口および少なくとも1つのノズル出口を備えるノズルとを備える複数のプラズマジェット装置を備え、前記複数のプラズマジェット装置の各ノズル出口は、前記反応チャンバ内に配置される、請求項13に記載のコーティングリアクタ装置。
【請求項15】
前記リアクタチャンバ(2)を備える流動床リアクタ(FBR)(8)であり、前記リアクタチャンバの底部に配置された分配器(9)を備え、前記分配器は穴を備え、前記ノズル本体(18)は、前記ノズル出口が前記リアクタチャンバ内にあり、前記ノズル入口のセットが前記リアクタチャンバの外側に位置するように前記穴を通過する、請求項13または14に記載のコーティングリアクタ装置。
【請求項16】
請求項13または15のいずれかに記載の複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステムであって、前記複数のリアクタ装置の前記リアクタチャンバは、前記複数のリアクタ装置の各々において粒子状物質を続けてコーティングすることができるように直列に接続されている、システム。
【請求項17】
並列に編成され、それによって前記コーティングリアクタ装置が粒子状物質を同時にコーティングするように構成されている、請求項13~15のいずれかに記載の複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、粒子状物質の個々の粒子上にコーティング層を形成する前駆体が挿入される、低温大気圧プラズマによる粉末および粒状物などの粒子状物質のプラズマコーティングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
粒子状物質は多くの用途で使用されている。いくつかの用途では、粒子状物質は化学反応に使用され、大きな接触面のために特に有用である。他の用途では、粒子状物質は機械的用途、例えば粉砕に使用されるか、または粒子状物質は他の材料に対する接着性を増加または減少させる必要がある。これらおよび他の用途では、粒子の個々の粒子に少なくとも部分的なコーティングを提供して、粒子の官能性を高めることが有益であり得る。
【0003】
粉末および他の粒子状物質を処理し、それに官能化特性を提供するためのいくつかの技術が存在する。
【0004】
米国特許第5489449号明細書は、無機または金属材料の超微粒子で表面上がコーティングされた無機または金属材料の粒子を開示している。コーティングされた粒子は、コーティングされる無機または金属材料の粒子を、気相で形成された無機または金属材料の超微粒子を運ぶ流れに導入し、コーティングされる粒子を超微粒子と流動状態で接触させることによって製造される。コーティングされた粒子は、焼結体の製造に用いられる。粒子をコーティングするために高温真空プラズマが使用されると思われる。
【0005】
国際公開第2005039753号パンフレットは、粉末基材を官能化する方法を開示している。この方法は、励起されたおよび/または不安定なガス種、典型的には大気圧プラズマなどを形成するための手段にガスを通すステップと、前記手段を離れると、ガスが、実質的に電荷を含まない励起されたおよび/または不安定なガス種を含むようにガスを処理するステップとを含む。次いで、実質的に電荷を含まない励起されたおよび/または不安定なガス種を含むガスを使用して、励起されたおよび/または不安定なガスを形成する手段の外部の下流領域で粉末基材および官能化前駆体を処理し、粉末基材も官能化前駆体もステップ(i)および(ii)を受けておらず、前記官能化前駆体は、粉末基材の導入と同時にまたはその後に導入される。好ましくは、方法は流動床内で行われる。この方法は、ガス中でプラズマを打ち込むステップを含み、このプラズマを励起されたおよび/または不安定であるが電気的に中性のガス種に再結合させ、次いで粉末をこの不安定な/励起されたガス種にさらすことを可能にすると考えられる。そのような処理は、粉末を活性化し、粉末上の官能化前駆体の結合を可能にする。この方法はうまくいくように見えるが、粉末に塗布された任意のコーティングが耐久性があり、長寿命中に官能性を維持すること、ならびに前駆体材料のすべての廃棄物が可能な限り低減されることを確実にすることに関して改善を行うことができるようである。
【0006】
発明の概要
本発明は、粒子状物質をコーティングするプラズマコーティング方法であって、
a)プラズマガスから低温大気圧プラズマジェットを提供するステップと、
b)プラズマジェットに前駆体を挿入し、それによって励起された前駆体を含むプラズマコーティング流を得るステップと、
c)前記励起前駆体を含む前記プラズマコーティング流に粒子状物質をさらすステップと、
を含み、これにより、少なくとも部分的なコーティングを含む粒子状物質を得る方法に関する。
【0007】
ここで、粒子状物質のコーティングは、反応チャンバ内で行われる。さらに、ステップaにおけるプラズマジェットは、反応チャンバの外部に提供されてもよい。ステップbはまた、励起前駆体を含むプラズマコーティング流を反応チャンバに注入することを含んでもよい。励起前駆体を含むプラズマコーティング流の注入は、ノズルのノズル本体を介して行われてもよく、前記ノズル本体は、反応チャンバ内の粒子状物質をコーティングするために前駆体を含むプラズマコーティング流を反応チャンバの外側から反応内に導くために反応チャンバの範囲を通って延在する。
【0008】
この方法は、粒子の形態になる物質上に層を設けることを可能にする。プラズマ化され、プラズマジェットの形態で提供されるプラズマガスの使用は、プロセス内の流れの良好な制御を可能にする。コーティングを形成するために使用される実際の前駆体のプラズマへの挿入は、例えば放電によって直接励起されるのではなく、プラズマジェットと相互作用することによって前駆体を間接的に励起することを可能にする。これにより、プラズマ化プロセス中の前駆体のより小さな化合物への分解が低減される。プラズマジェットに挿入されると、プラズマ中の種との衝突によって前駆体が励起、例えばイオン化され、典型的には前駆体をより反応性にする。次いで、粒子状物質は、粒子の表面により良好に付着することができる励起前駆体にさらされる。これにより、プラズマ中の種がすべて脱励起されない場合、これらのプラズマ種も粒子の表面を活性化し、接着を増加させる可能性がある。いくつかの条件、特に粒子のプラズマコーティング流への曝露時間に応じて、このように形成されたコーティングは、粒子の表面を部分的または完全に覆うことができる。
【0009】
本発明はまた、粒子状物質をコーティングするためのコーティングリアクタ装置であって、
-反応チャンバ内の粒子状物質をプラズマコーティング流にさらすためのリアクタチャンバと、
-プラズマジェット装置であって、
・プラズマジェットを生成するためのプラズマジェット出口と、
・ノズルであって、
プラズマおよび/または前駆体を注入するためのノズル入口のセットであって、前記ノズル入口は反応チャンバの外側に位置する、ノズル入口のセットと、
前駆体含有プラズマを放出するための少なくとも1つのノズル出口であって、ノズル出口は反応チャンバ内に配置される、少なくとも1つのノズル出口と、
反応チャンバの外側から反応チャンバ内へ前駆体含有プラズマコーティング流を導くために、ノズル入口からノズル出口まで延在するノズル本体と、を備えるノズルと、
を備え、少なくとも1つのノズル入口はプラズマジェット出口と流体接続している、プラズマジェット装置と、
-少なくとも1つのノズル入口と流体接続している前駆体提供源と、
を備えるコーティングリアクタ装置に関する。
【0010】
本発明のコーティングリアクタ装置は、本発明による方法を実行するのに特に好ましい。この装置は、プラズマジェット装置と、ノズルと、リアクタチャンバとを備える。これにより、ノズルは、反応チャンバの外側に位置するプラズマジェット装置のプラズマジェット出口から反応チャンバ内に延在し、プラズマが反応チャンバ内の微粒子内に挿入されることを可能にする。これにより、前駆体を、プラズマジェットのノズル入口、ノズル出口付近、またはその間のどこかでプラズマジェットに添加することができる。ノズルは、前駆体含有プラズマコーティング流を粒子状物質と共に反応チャンバに挿入する前に、プラズマジェット中の前駆体および/またはプラズマ残光の混合を可能にするノズル本体を備える。
【0011】
本発明はさらに、本発明による複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステムであって、複数のリアクタ装置のリアクタチャンバは、前記複数のリアクタ装置の各々において粒子状物質を続けてコーティングすることができるように直列に接続されている、システムと、並列に構成され、粒子状物質を同時にコーティングするように構成された本発明による複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステムと、に関する。
【0012】
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明による装置の3つの実施形態の概要を示す。
【
図1B】本発明による装置の3つの実施形態の概要を示す。
【
図1C】本発明による装置の3つの実施形態の概要を示す。
【
図2】プラズマジェット装置(7)、ノズル(12)およびリアクタチャンバ(2)が接続されている領域における
図1Aの装置の詳細を示す。
【
図4】本発明による代替的な装置および方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は、本発明を説明するためのものである。
発明の詳細な説明
本発明を、図面を参照して以下でさらに説明する。本文書の文脈内で、以下の用語は以下の意味を有する。
【0015】
「コーティング」という用語は、基板の異なる特性、例えば異なる構造、異なる化学成分、異なる密度などを有する基板の表面の上の層を指す。
【0016】
「プラズマ」という用語は、物質の少なくとも一部がイオンまたはイオン化分子および自由電子を含むようにイオン化されている物質の状態を指す。
【0017】
「プラズマコーティング」という用語は、プラズマを用いて基材上に塗布されたコーティングを指す。
【0018】
「プラズマジェット」という用語は、プラズマ装置から放出されるプラズマの流れを指す。
【0019】
「プラズマ残光」という用語は、イオン、自由電子および励起化合物などの励起種を含み、プラズマ装置の出口から流れ内の実質的にすべての粒子が安定している流れ内の位置まで延在する、プラズマジェットから来る流れ内の領域を指す。
【0020】
「粒子状物質」という用語は、巨視的粒子または微視的粒子であり得る粒子の形状になる物質を指す。
【0021】
「粒状物」という用語は、粒子が巨視的サイズであり、典型的には少なくとも100ミクロンのサイズを有する粒子状物質を指す。
【0022】
「部分コーティング」という用語は、基材の表面の一部を覆うが、完全な表面を覆わないコーティングを指す。部分は、接続された部分または切断された部分のセットであってもよい。粒子状物質のコーティングの本文脈において、「部分コーティング」とは、部分的である個々の粒子のコーティングを指す。
【0023】
「流動化」という用語は、典型的には粒子状物質を流動流体中に分散させることによって、粒子状物質がもたらされ得る流体様状態を指す。
【0024】
「前駆体」という用語は、反応に関与し、それによって例えば化学結合、解離、電子配置の変化によってその構造が変化する分子または原子化合物を指す。本明細書において、前駆体という用語は、基材上にコーティング層を形成する化合物を指す。
【0025】
「反応チャンバ」という用語は、粒子状物質をコーティングすることができる本発明のシステムの限定された部分を指す。これは、基本的に、例えば粒子状物質のコーティング中に粒子状物質の閉じ込めを処理する。
【0026】
本発明は、上記および特許請求の範囲に記載され、さらに以下に記載される粒子状物質をコーティングするためのプラズマコーティング方法に関する。
【0027】
前駆体含有プラズマは、粒子状物質のバッチに深く浸透することができる。しかしながら、微粒子が流動状態にあるときに微粒子を処理すると、特定の良好で均質なコーティングが得られることが分かる。したがって、一実施形態では、粒子状物質(3)は、
図1A~
図1Cに示すように流動状態でプラズマにさらされ、流動状態に起因して粒子流(4)を生成することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、流動状態は、粒子と前駆体含有プラズマとの良好な混合およびより良好なコーティング結果を可能にすると考えられる。好ましくは、この方法は、流動床リアクタを使用して実行される。流動化粒子状物質は、粒子中の個々の粒子のより良好なコーティングを可能にする。さらに、それはまた、個々の粒子のより均一なコーティングを可能にする。流動床リアクタは、微粒子を流動状態にするためにガス流の代わりに、またはそれに加えてプラズマコーティング流を注入することを可能にするように適合させることができるので、特に好ましい。
【0028】
一実施形態では、微粒子は、流動化流によって流動状態にされる。代替的または追加的に、微粒子は、プラズマコーティング流によって流動状態にされる。
【0029】
一実施形態では、粒子状物質はプラズマに間接的にさらされる。粒子状物質のプラズマへの間接的な曝露は、粒子状物質がプラズマ化領域、すなわちプラズマが励起される領域(20)、例えばプラズマを点火するために放電が使用される場合には電極(21a、21b)間の領域に入らないことを意味する。間接的な曝露は、プラズマジェット装置(7)が粒子状物質によって汚染されないことを保証する。
【0030】
一実施形態では、少なくとも部分的なコーティングは完全なコーティングである。完全なコーティングは、個々の粒子の表面全体を実質的に覆う。多くの用途では、微粒子中の粒子の完全なコーティングが好ましい。微粒子中の粒子のコーティングの完全性は、プラズマガスおよび前駆体の流量およびプラズマの強度、ならびに処理時間などの多くのパラメータに依存し得る。最適なパラメータはまた、微粒子の性質およびサイズに大きく依存する。当業者は、試行錯誤によって、例えば、試験が不完全コーティングを示す場合、曝露時間を増加させることによって、または前駆体ガス流を増加させることによって、完全なコーティングを確実にすることができる。
【0031】
本発明は、様々なサイズの粒子を処理するために使用することができる。一実施形態では、粒子状物質は、少なくとも100ミクロンのサイズを含む。代替的または追加的に、粒子状物質は、最大100ミクロンのサイズを含む。好ましくは、粒子状物質は、粒子が流動化されることを可能にするサイズを有する粒子から本質的になる。
【0032】
一実施形態では、粒子状物質は、ステップa~cを連続して実行することによってコーティングされ、それによって粒子状物質は、励起前駆体を含むプラズマコーティング流に複数回さらされる。これにより、粒子状物質(29)は、好ましくは、続いて異なるプラズマコーティング流(30a、30b、30c)でコーティングされる。これにより、粒子状物質のより高いスループットが可能になり、プラズマコーティング流を個別に構成することができるため、コーティングプロセスのより良好な制御も可能になる。そのような直列プロセスが
図3および
図4に示されている。
【0033】
一実施形態において、粒子状物質は、ステップa~cを並行して実行することによってコーティングされ、それによって粒子状物質は、別個のプラズマコーティング流にさらされる部分に分配される。そのような並列設定は、より高いスループットを可能にする。
【0034】
一実施形態では、粒子状物質はバッチプロセスでコーティングされ、それにより一定量の粒子状物質がリアクタチャンバに挿入され、バッチ処理期間にわたってプラズマコーティング流にさらされ、その後、コーティングされた粒子状物質をリアクタチャンバから排出することができる。あるいは、粒子状物質は連続プロセスでコーティングされ、それによって粒子状物質は第1の位置でリアクタチャンバに提供され(31)、コーティングされた粒子状物質は第1の位置とは異なる第2の位置でリアクタチャンバから抽出される。
【0035】
2つのタイプのプロセスが
図3および
図4に示されている。
図3は、複数のコーティングリアクタ装置を使用する直列プロセスを示す。本明細書では、粒子状物質(29)を第1のコーティングリアクタ装置(32a)に提供することができ(31)、ここでこれを最初にコーティングすることができ、その後、少なくとも部分的にコーティングされた粒子状物質を抽出して第2のコーティングリアクタ装置(32b)に提供することができ(31a)、ここでこれをさらにコーティングし、その後、コーティングされた粒子状物質を再び抽出して第3のコーティングリアクタ装置(32c)に提供することができる(31b)。最終生成物、すなわちコーティング層を含む粒子状物質は、貯蔵、輸送または任意のさらなる使用のために、第3のコーティングリアクタ装置のリアクタチャンバから抽出することができる(31c)。
図3のプロセスは、連続的に、すなわち粒子状物質の連続的な提供および抽出によって操作することができ、またはバッチプロセスで操作することができ、粒子状物質はコーティングリアクタ装置に提供され、次いで処理期間にわたって前記装置で処理され、次いで抽出されて次のコーティングリアクタ装置に提供され、そこから粒子状物質の前のバッチが最初に抽出された。
【0036】
図4は、同じリアクタチャンバ内の複数のプラズマコーティング流を使用する直列プロセスを示す。ここで、プロセスは好ましくは連続的であり、粒子状物質は、挿入速度でリアクタチャンバに提供され(31)、典型的には挿入速度と同じサイズであり得る抽出速度で抽出される(31d)。挿入および抽出速度を調節することにより、プラズマコーティング流に対する粒子状物質の平均曝露時間を制御することができる。
【0037】
「低温」または「冷」プラズマは、本明細書では、前記冷プラズマに曝される前駆体および/または基板を溶融または損傷しないように温度が十分に低いプラズマとして定義される。プラズマの温度は、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらにより好ましくは70℃以下、さらにより好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは55℃以下、さらにより好ましくは50℃以下、さらにより好ましくは45℃以下であってもよい。プラズマの温度は、好ましくは室温、すなわちプラズマを取り囲む温度と同程度に低くてもよい。コーティングプロセスが実行される場所に応じて、室温は10から40℃、好ましくは15から30℃、例えば20から25℃の範囲であり得る。プラズマの温度は、一般に、室温より低くはない。
【0038】
感温性コーティングを堆積させる場合、プラズマの温度を最適値で一定に保つことが重要であり得る。前駆体または前駆体混合物の種類および/または圧力に応じて、最適な温度を選択することができる。したがって、一実施形態では、プラズマの温度は、前駆体の種類、前駆体混合物および/またはプラズマ圧力を考慮して選択される。
【0039】
本発明のプラズマは、周囲圧力付近の圧力を有する大気圧プラズマである。そのようなプラズマは、400から1600hPaの間の圧力で、好ましくは450から1400の間の圧力で、さらにより好ましくは500から1300hPaの間の圧力で、さらにより好ましくは600から1250hPaの間の圧力で、さらにより好ましくは700hPaから1200hPaの間の圧力で、さらにより好ましくは800hPaから1150hPaの間の圧力で、さらにより好ましくは900hPaから1100hPaの間の圧力で、最も好ましくは、典型的には約1013hPaであり得る周囲圧力付近で生成および放電される。プラズマの圧力は、堆積層の品質において重要な役割を果たし得る。一部のプラズマ前駆体は、大気圧と比較して低すぎるおよび/または高すぎるプラズマ圧力に敏感であるが、他の前駆体は、より低いまたはより高いプラズマ圧力でより良好なコーティングを提供する。しかしながら、低エネルギーの冷プラズマは、典型的には、真空まで400hPa未満の低圧下、または1600hPaを超える高圧下で適用することができ、どちらの種類も、そのような低圧または高圧を維持するために圧力容器を必要とすることに留意されたい。周囲圧力付近の現在好ましい範囲の圧力を有するプラズマの使用は、圧力差および圧力勾配を維持することに関するコストおよび困難を低減する。
【0040】
好ましい実施形態では、プラズマは、大気圧下の誘電体バリア放電プラズマである。
層の官能性は、層が堆積されるプラズマ条件、例えば温度および圧力に依存し得る。したがって、温度および/または大気条件は、コーティング層の所望の官能性を考慮して選択することができる。
【0041】
好ましい実施形態では、プラズマガス(22)は、電極(21a、21b)によってイオン化され、より好ましくは、前記プラズマガスは、電極表面の1cm2当たり最大10ワット、より好ましくは最大9W/cm2、さらにより好ましくは最大8W/cm2、さらにより好ましくは最大7.5W/cm2の電力で前記電極によってイオン化される。本発明の多くの実施形態では、電極によって印加される電力は、最小で1W/cm2、好ましくは最小で2W/cm2、さらに好ましくは最小で2.5W/cm2である。電力は、最も好ましくは2.5から7.5W/cm2の間である。
【0042】
好ましい実施形態では、プラズマガス(22)は、少なくとも99%の体積の不活性ガスを含む。プラズマガスとして不活性ガスを使用することにより、温度が上昇しても、プラズマガスおよび機器と、プラズマガス自体の分子間で反応が起こらないことが本質的に保証される。実際、反応の欠如はまた、プラズマ温度を低く、例えば50℃未満、好ましくは室温付近に保つことを可能にするようである。プラズマの低温は、広範囲の材料から作製された基板の処理を可能にする。さらに、これにより、形成されたコーティングおよびその接着特性に対するより良好な制御が可能になる。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、プラズマガス中に反応性ガスが存在しないことにより、プラズマガスとの化学反応が基材の表面で全く起こらないか非常に少ないことが保証され、したがって接着特性に対するより良好な制御が保証されると考える。また、プラズマガスが窒素(N2)であるか、または主にN2から構成される場合、本発明の実施形態においてプラズマに印加される低電力は、得られるコーティングに組み込まれる窒素をほとんどまたは全くもたらさないことが分かる。これは、例えばO2、NH3またはCH4をプラズマガスとして使用することとは全く対照的であり、これらはすべて反応性ガスと見なされ、これらはすべてプラズマガスのコーティング内により多くの痕跡を残すようであり、それによって接着特性に対する制御の喪失をもたらす。
【0043】
好ましい実施形態では、前駆体はプラズマガス残光中に添加される。これにより、プラズマガスは、プラズマ誘導システム、例えば電極のセットの上および間を流れる。プラズマ誘導システムの下流には、脱イオン化する時間がなかった多数のイオン化プラズマガス分子を含むプラズマガス残光が存在する。前駆体は、好ましくは、前記プラズマガス残光中に導入される。結果として、前駆体は、例えばプラズマガスをイオン化するために使用される電極の間に導入される必要がなく、したがって、前駆体が電極上に層を形成することができないので、電極は長期間にわたって清浄に保たれ得る。
【0044】
好ましい実施形態では、前記プラズマガスは、少なくとも99%体積の不活性ガスを含む、すなわち、プラズマガスの1%体積(体積%)以下が反応性ガスである。より好ましくは少なくとも99.5体積%、さらにより好ましくは少なくとも99.8体積%、さらにより好ましくは少なくとも99.9体積%、さらにより好ましくは少なくとも99.95体積%、さらにより好ましくは少なくとも99.99体積%のプラズマガスは不活性ガスである。これは、プラズマガスが、好ましくは1体積%以下のO2、より好ましくは最大0.5体積%、さらにより好ましくは最大0.2体積%、さらにより好ましくは最大0.1体積%、さらにより好ましくは最大0.05体積%、さらにより好ましくは最大0.01体積%のO2を含むことを意味する。本発明の大気圧プラズマプロセスでは、これは、例えば、周囲圧力に対する過圧を使用することによって達成することができ、例えば、プラズマガスは、少なくとも1013mbar、好ましくは少なくとも1020mbar、より好ましくは少なくとも1030mbar、さらにより好ましくは少なくとも1040mbar、さらにより好ましくは少なくとも1050mbarの圧力で送達される。そのようなわずかな過圧は、プラズマ残光中に酸素不足、さらには無酸素領域を作り出すことを可能にする。
【0045】
一実施形態では、プラズマガスはN2を含み、好ましくはプラズマガスは少なくとも99体積%のN2を含む。代替的または追加的に、プラズマガスは、希ガス、好ましくはHe、Neおよび/またはArを含む。
【0046】
好ましい実施形態では、粒子状物質は酸素不足領域でプラズマにさらされ、それによって好ましくは酸素不足領域は最大1体積%のO2を含む。
【0047】
本発明の一実施形態では、プラズマガス流は、1から1500標準リットル/分(「slpm」または「slm」)、より好ましくは50から1500slpmである。1「slpm」または1「slm」は、大気圧および室温でのガスのリットルである。より好ましくは、プラズマガス流は80slpmから1000slpmである。
【0048】
本発明の実施形態では、プラズマコーティングは、5から600nmの間、好ましくは5から500nmの間、より好ましくは10から500nmの間、さらにより好ましくは10から300nmの間、さらにより好ましくは10から200nmの間、さらにより好ましくは10から80nmの間、例えば10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nmまたはそれらの間の任意の値、最も好ましくは約20nmの厚さを有する。プラズマコーティング厚さは、プラズマコーティング流(5)への微粒子の曝露時間を制御することによって良好に制御することができる。
【0049】
本発明の方法は、例えば不活性な性質または極端な脆弱性(例えば、天然材料、または生分解性/水溶性材料)のために、処理が困難であり得る粒子状物質を処理するのに特に有用である。好ましくは、粒状材料は、以下の材料のいずれかまたは任意の組み合わせを含む。
【0050】
-ポリマー:
・PE、PP、PVC、PS、EPDM、ポリオレフィンなどの商品、
・PET、PBT、PMMA、PC、PES、ポリアミド、アラミド、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのエンジニアリング熱可塑性プラスチック、
・PTFE、PVDF、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフッ素化ポリマー、
・PLA、PCLなどの生分解性ポリマー、
・エポキシアミン、ポリウレタン、シリコーンなどの架橋ポリマー、
・炭素繊維
・PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ジビニルエーテル-無水マレイン酸(DIVEMA)、ポリオキサゾリン、ポリリン酸塩、ポリホスファゼン等の水溶性ポリマー、
-レーヨンやビスコース、多糖類、キトサン、コラーゲン、タンパク質、キサンタンガム、ペクチン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、ヒアルロン酸(HA)、皮革、セルロース系材料(紙)などの天然素材、
-可能なすべての合金および酸化物を含む、金、銀、銅、鉄、真鍮、鉛、鉄、スズ、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛、チタンなどの金属、
-ガラス、シリコンウエハ、金属酸化物(例えば、Al2O3、ZnO)、炭化物(例えば、SiC、炭化チタン)、窒化物(例えば、Si3N4)などの無機材料
好ましい実施形態では、粒子状物質は繊維を含み、好ましくは繊維から本質的になる。前記繊維は、好ましくは1mmから100mm、より好ましくは5mmから90mm、さらにより好ましくは20mmから70mm、最も好ましくは約50mmの長さを含む。また、好ましくは、前記繊維は、最大2000μm、好ましくは最大1500μm、さらにより好ましくは最大1000μm、さらにより好ましくは最大800μm、例えば700、600、500、400、300、200、100μmまたはそれらの間の任意の値以下の最大直径を含む。好ましくは、前記繊維は、プラスチック繊維、ポリマー繊維、ガラス繊維、炭素繊維またはそれらの任意の組み合わせを含む。好ましくは、ポリマー繊維が本発明において粒子状物質として使用される場合、これらのポリマー繊維は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、前記繊維は、1から100グラム/リットル(g/l)、好ましくは2から80g/l、より好ましくは3から60g/l、さらにより好ましくは4から40g/l、最も好ましくは約10g/lの密度を有する。
【0051】
好ましい実施形態では、粒子状物質は、任意の適切な材料、例えば金属、金属酸化物、シリカおよびケイ酸塩、例えば籾殻灰、炭素、ポリマー、染料、香料、香味料を含む有機粉末基材、ペニシリンおよび抗生物質などの医薬粉末基材、ならびに酵素および他のタンパク質系材料を含む生物学的に活性な化合物、例えばタンパク質を含み得る。粉末基材はまた、アミノ酸および/またはそれらの誘導体などの生化学化合物、タンパク質、酵素およびDNAなどのグラフト化または共有結合した生化学化合物、シリコーン樹脂、鉱物充填剤、例えばカーボンブラック、粘土、CaCO3、タルク、シリカ、マイカ導電性充填剤、TiO2ナノ粒子、金属酸化物、例えばTiO2、ZrO2、Fe2O3 Al2O3 SiO2、B2O3、Li2O、Na2O、PbO、ZnO、またはCaO、Pb3O4およびCuOならびに混合酸化物、グラファイト、リン粒子、顔料など、半金属酸化物、混合酸化物、有機金属酸化物、有機メタロイド酸化物、有機混合酸化物樹脂および/または有機樹脂、炭酸ナトリウム硝酸カリウム、シリコン金属粒子、シリコーンゴムクラム、EPDM、ポリプロピレン等の有機ゴムクラムを含み得る。籾殻灰は、93から97%の結晶性シリカを含む生体非晶質シリカであり、一般に5%未満の非晶質炭素および1%未満の他の様々なシリカを含む。
【0052】
一実施形態では、前駆体は重合性化合物である。これにより、コーティングをポリマーコーティングとすることができる。所望のコーティングがポリマーコーティングである場合、そのようなコーティングは、前駆体が重合性化合物であり、それによって化合物が基板、すなわち粒子上で直接重合することができる本方法によって得ることができる。一実施形態では、コーティングはポリマーコーティングである。
【0053】
一実施形態では、コーティングはグラフトコーティングである。
前駆体は、好ましくは、カルボキシレート、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル、アルケンおよびジエン、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよび他のアルキルメタクリレートを含む有機材料、ならびにグリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびフルオロアルキル(メタ)アクリレートを含む有機官能性メタクリレートおよびアクリレートを含む対応するアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸およびエステル、イタコン酸(およびエステル)、無水マレイン酸、スチレン、α-メチルスチレン、ハロゲン化アルケン、例えば塩化ビニルおよびフッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル、ならびにフッ素化アルケン、例えばペルフルオロアルケン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、アリルアミン、ハロゲン化ビニリデン、ブタジエン、アクリルアミド、例えばN-イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、エポキシ化合物、例えばグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドール、スチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(およびそのオリゴマー)、ビニルシクロヘキセンオキシド、導電性ポリマー、例えばピロールおよびチオフェンおよびそれらの誘導体、ならびにリン含有化合物、例えばジメチルアリルホスホネートを含んでもよい。有機前駆体はまた、以下の基アルケニル、アリール、H、-OH、アミノ基、アルデヒド基ハロゲン化アルキル基、アルキン基アミド基、カルバメート基、ウレタン基、有機塩、カルボン酸基およびそれらの誘導体、例えば酸無水物基、ホウ素原子を含有する有機基、リンおよび硫黄含有基、例えばメルカプト基およびスルフィド基ならびにグラフトまたは共有結合した生化学基、例えばアミノ酸および/またはそれらの誘導体、グラフトまたは共有結合した生化学種、例えばタンパク質、酵素およびDNAのいずれか1つを含む有機化合物を含み得る。
【0054】
好ましい実施形態では、励起前駆体はイオン化される。
上記の方法の一実施形態では、前駆体は、ガスとして、液体として、または固体として、好ましくはガスとして、またはエアロゾルの形態の液体として、最も好ましくはエアロゾルの形態の液体としてプラズマジェットに注入される。好ましくは、エアロゾルを用い、プラズマの温度は150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらに好ましくは70℃以下、さらにより好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは55℃以下、さらにより好ましくは50℃以下、さらにより好ましくは45℃以下である。プラズマの温度は、好ましくは室温、すなわちプラズマを取り囲む温度と同程度に低くてもよい。
【0055】
一実施形態では、微粒子は流動化流によって流動化状態にある。これにより、微粒子自体が微粒子流と共に流れる。このような流動化は、好ましくは流動床リアクタを使用して得られる。好ましい実施形態では、プラズマコーティング流は、微粒子をプラズマコーティング流にさらすとき、本質的に微粒子流に沿って導かれる。代替的な実施形態では、プラズマコーティング流は、微粒子をプラズマコーティング流にさらすとき、微粒子流とは本質的に反対に導かれる。さらに別の実施形態では、プラズマコーティング流は、微粒子をプラズマコーティング流にさらすとき、微粒子流に対して本質的に垂直に導かれる。一実施形態では、プラズマコーティング流は、微粒子流の方向と微粒子流に垂直な方向との間の方向、または微粒子流に対向する方向と微粒子流に垂直な方向との間の方向に導かれる。基本的に、微粒子流に対してプラズマコーティング流が導かれる方向は、微粒子の粒子をコーティングするプロセスを最適化するために選択されることが好ましい。
【0056】
一実施形態では、微粒子は、粒子状物質を前記プラズマコーティング流にさらすステップ中に回転する。これは、粒子状物質がプラズマコーティング流にさらされる場合に特に好ましい。曝露ステップ中に微粒子を回転させることにより、微粒子中の粒子をより均一にコーティングすることができる。微粒子の回転は、例えば反応チャンバの底部を回転させることによって、および/または反応チャンバ内の別の回転構成要素によって得ることができる。さらに、粒子の回転はまた、例えば粉砕、凝集、球形化などによって、微粒子中の粒子の形状および/またはサイズを変化させることを可能にする。
【0057】
微粒子を流動状態にすることなく回転させることができる。この場合、回転は、粒子状物質が配置される底部または任意の他の受容器を回転させることによって達成することができる。しかしながら、より好ましくてもよい別の実施形態では、微粒子は、微粒子全体にわたって均一なコーティングを得るために流動状態にある間に回転される。流動状態の微粒子の回転は、例えば反応チャンバ内の回転底部によって達成することができる渦流を誘発することによって達成することができる。
【0058】
本発明はまた、上記および特許請求の範囲に記載され、さらに以下に記載されるようなコーティングリアクタ装置に関する。
【0059】
粒子状物質(3)をコーティングするためのコーティングリアクタ装置(1)は、プラズマジェットを生成するためのプラズマジェット出口(11)およびノズル(12)を備えるプラズマジェット装置(7)を備える。コーティングリアクタ装置はまた、前駆体提供源(13)およびリアクタチャンバ(2)を備える。これにより、ノズル(12)は、プラズマ(15)および/または前駆体(16)を注入するためのノズル入口(14)のセットを備える、すなわち、プラズマ(15)および/または前駆体(16)は、このノズル入口のセットを介してノズル(12)に注入される。ここで、少なくとも1つのノズル入口(14)はプラズマジェット出口(11)と流体接続している。ノズルはまた、前駆体含有プラズマ(5)を放出するための少なくとも1つのノズル出口(17)を備える。ノズル出口(17)は、プラズマコーティング流である前駆体含有プラズマがノズルからリアクタチャンバ内に放出されるように、反応チャンバ(2)内に配置される。ノズルは、前駆体含有プラズマコーティング流(5)を反応チャンバ内に導くために、ノズル入口(14)からノズル出口(17)まで延在するノズル本体(18)を備える。好ましくは、ノズル本体は円筒形状を備える。好ましくは、ノズルは、プラズマジェット出口(11)および前駆体提供源(13)の両方と流体接続する1つのノズル入口(14)を備える。
【0060】
なお、ノズル入口(14)は反応チャンバ(2)の外側に位置し、ノズル出口(17)は反応チャンバ(2)内に位置する。さらに、反応チャンバ(2)は、コーティング中に粒子状物質を本質的に閉鎖された容積に閉じ込める。
【0061】
前駆体提供源(13)は、ノズル本体(18)内への前駆体(16)の挿入を可能にするために、少なくとも1つのノズル入口(14)と流体接続している。リアクタチャンバは、制御された環境で反応チャンバ内の粒子状物質をプラズマコーティング流にさらすために使用される。
【0062】
好ましくは、コーティングリアクタ装置のリアクタチャンバ(2)は、流動床リアクタ(8)のリアクタチャンバ(2)であり、すなわち、好ましくは、コーティングリアクタ装置は、流動床リアクタ(8)を備え、そのリアクタチャンバは、本発明の装置のリアクタチャンバとして使用される。
【0063】
流動床リアクタ(FBR)(8)は、様々な多相化学反応を実行するために使用することができるリアクタ装置の一種である。このタイプのリアクタでは、流体(気体または液体)は、固体を懸濁させ、それをあたかも流体であるかのように挙動させるのに十分な速度で固体微粒子材料を通過する。FBRは、リアクタチャンバ(2)を備え、好ましくは、典型的にはリアクタチャンバの底部に位置する多孔質プレート(9)を備える。この多孔質プレートは、通常、「分配器」と呼ばれる。分配器(9)は、微粒子の粒子がチャンバから出るのを防止するが、微粒子を流動状態にするために流体流(10)を通過させる。
【0064】
好ましい実施形態では、分配器は、穴、好ましくは中心穴を備え、ノズル本体(18)は、ノズル出口がリアクタチャンバ内にあり、1組のノズル入口がリアクタチャンバの外側に位置するように穴を通過する。
【0065】
本発明者らは、微粒子が流動化流によって流動化状態にある方法について既に論じた。このような流動化は、好ましくは流動床リアクタを使用して得られる。場合によっては、プラズマコーティング流は、好ましくは微粒子流に沿って導かれる。
図1Aおよび
図2の実施形態では、ノズル本体(18)は、反応チャンバの底部の穴を通過する。これにより、微粒子をプラズマコーティング流にさらすとき、プラズマコーティング流(5)を本質的に微粒子流に沿って導くことができる。別の実施形態では、
図1Bに示すように、ノズル本体は、リアクタチャンバの側壁または上壁を通過する。好ましくは、これにより、ノズル出口は、微粒子をプラズマコーティング流にさらすときに、プラズマコーティング流(5)が微粒子流とは本質的に反対に導かれるように配置される。さらに別の実施形態では、
図1Cに示すように、ノズル本体は、リアクタチャンバの側壁を通過し、それにより、好ましくは、ノズル出口は、微粒子をプラズマコーティング流にさらすときに、プラズマコーティング流(5)が微粒子流に対して本質的に垂直に導かれるように配置される。これは、
図1Cに示すように、ノズル本体をFBRの側壁を通して配置し、プラズマコーティング流が側壁および/または微粒子流に対して水平かつ接線方向に導かれるようにノズル出口を配置することによって達成することができる。一実施形態では、ノズル出口および/またはノズル本体の位置は、微粒子の粒子をコーティングするプロセスを最適化するために選択される。追加的または代替的に、ノズル出口および/またはノズル本体の向きは、微粒子の粒子をコーティングするプロセスを最適化するために選択される。
【0066】
好ましい実施形態では、ノズルは、
図1Cに示すように、プラズマコーティング流が側壁に対して接線方向に導かれるように配置される。このような配置は、垂直位置決め、すなわちノズルが反応チャンバの頂部または底部に配置される場合と比較して、処理能力、速度などを大幅に増加させることを可能にする。これは、垂直位置決めと比較して接線方向位置に多くのノズルを配置することができるためである。これにより、側壁の周りに規則的な間隔でノズルを配置することによって、微粒子中の粒子の均一な処理を確実にすることができる。
【0067】
ノズルおよび/またはノズル本体が、プラズマコーティング流が微粒子流に沿ってまたは微粒子流に対向して導かれるように配置される実施形態は、プラズマコーティング流が微粒子流に深刻に干渉する、および/または微粒子流を変化させる可能性がある場合、例えば微粒子の流動化またはFBRの正常動作を妨げる可能性がある干渉の場合に好ましい場合がある。
【0068】
好ましい実施形態では、リアクタチャンバは、例えば、コーティングされる球状粒子を作製するための回転底部を備える。この実施形態は、好ましくは、粒子をプラズマコーティング流にさらすときにプラズマコーティング流(5)が粒子流に対して本質的に垂直に導かれるように、好ましくは反応チャンバの側壁に対しておよび/または粒子流に対して水平に接線方向に導かれるように配向されるノズルおよび/またはノズル本体と組み合わされる。
【0069】
一実施形態では、ノズル本体またはノズル本体のセットの各々は、リアクタチャンバの底部を通過し、プラズマコーティング流がリアクタの底部に接線方向に導かれるように配置される。
【0070】
好ましい実施形態では、ノズルは3D印刷される。これにより、低温プラズマの使用は、印刷可能ノズルの使用を可能にする。好ましくは、1組のノズル入口、少なくとも1つのノズル出口およびノズル本体は、プラズマコーティング流を最適化するように構成される。ノズルの3D印刷は、他の構成を試験するためにノズルを容易に変更することを可能にするが、保守または修理の場合にノズルを容易に交換することも可能にする。
【0071】
一実施形態では、リアクタチャンバは、中空体と、流れ入口(24)と、流れ出口(25)とを備える流れ案内装置(23)を備え、それによってノズル出口(17)は、好ましくは中空体内に配置される。流れ案内装置(23)は、流動した粒子状物質をプラズマコーティング流中に導くのに役立つ。本発明者らは、リアクタチャンバが比較的小さい場合、流動化粒子状物質の粒子がプラズマコーティング流と接触することに気付いた。しかしながら、本発明者らはまた、例えばプロセスをスケールアップするためにリアクタチャンバがより大きくなる場合、これが流動化粒子状物質の流れを案内すること、特に流動化粒子状物質の流れをプラズマコーティング流と接触するように案内することを助けることができることに気付いた。好ましくは、流れ案内装置は、その長手方向端部で開いており、ノズル出口の周りおよびノズル本体の周りに部分的に配置することができる中空管である。
【0072】
一実施形態では、コーティングリアクタ装置は、各々がプラズマジェット出口と、ノズル入口および少なくとも1つのノズル出口(28)を備えるノズルとを備える複数のプラズマジェット装置(27)を備え、複数のプラズマジェット装置の各ノズル出口(28)は、反応チャンバ内に配置される。そのような設定は、リアクタチャンバ内に複数の別個のプラズマコーティング流を生成することを可能にし、これにより、より良好なコーティングが可能になる。同じリアクタチャンバ内で異なるプラズマコーティング流を使用することにより、複数のプラズマコーティング流に粒子状物質を続けてさらすことが可能になり、したがって、本発明の方法のステップa~cを連続して実行することが可能になる。このタイプの装置はまた、粒子状物質が連続プロセスでコーティングされる場合に好ましい。
【0073】
本発明はまた、複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステムに関する。そのようなシステムは、上記および特許請求の範囲に記載され、以下でさらに説明される。
【0074】
一実施形態では、システムは、複数のコーティングリアクタ装置を備え、それにより、複数のリアクタ装置のリアクタチャンバは、前記複数のリアクタ装置の各々において粒子状物質を続けてコーティングすることができるように直列に接続される。ここで、リアクタチャンバは各々、1つまたは複数のチャンバ入口および1つまたは複数のチャンバ出口を有し、それにより、第1のリアクタチャンバのチャンバ出口は、第2のリアクタチャンバのチャンバ入口と流体接続されるか、または流体接続されることができる。複数のリアクタチャンバ内で異なるプラズマコーティング流を使用することにより、複数のプラズマコーティング流に粒子状物質を続けてさらすことが可能になり、したがって、本発明の方法のステップa~cを連続して実行することが可能になる。このタイプのシステムはまた、粒子状物質が連続プロセスでコーティングされ、それによって第1のリアクタチャンバの出口から抽出されたコーティング粒子状物質がその入口を介して第2のリアクタチャンバに提供される場合に好ましい。
【0075】
一実施形態では、システムは、並列に編成された複数のコーティングリアクタ装置を備え、それによってリアクタ装置は粒子状物質を同時にコーティングするように構成される。したがって、このシステムは、本発明の方法のステップa~cを並行して実行することを可能にする。このタイプのシステムはまた、粒子状物質がバッチプロセスでコーティングされ、それにより、他のコーティングリアクタ装置が本発明の方法のステップa~cを実行している間に、コーティングリアクタ装置の少なくとも1つがコーティングされた粒子状物質からアンロードされ、および/またはコーティングされていないもしくは部分的にコーティングされた粒子状物質でロードされ得る場合にも好ましい。
【0076】
実施例
本発明による装置を使用して、本発明による方法で試験ビーズを使用した。
【0077】
最初の2つの実験では、試験ビーズは約1mmの平均直径を有する糖ビーズであった。ビーズの量は、最適な流動化を有するように選択され、約400から600gであった。プラズマジェット装置は、Molecular Plasma Group製のPlasmaSpot(登録商標)装置であった。流動床リアクタを使用して粒子を処理した。
【0078】
第1の実験では、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA、CAS868-77-9)と前駆体としての1重量%のローダミン6gを使用して糖ビーズを処理した。プラズマジェット装置を、プラズマガスとして窒素ガスを用い、約1気圧、毎分122標準リットル(slm)の流量で、プラズマ発生電力450Wで動作させた。前駆体流は1.6slmであり、希釈流は10.0slmであった。続いて、平均直径約1mmの糖ビーズ600グラムを2回600秒間(合計1200秒間)処理した。処理の効果は、UVランプ下で明確に見ることができた。さらに600秒間の処理は、UVランプなしでもコーティングの目視検査を改善した。処理は非常に均一であった。全ての処理されたビーズは、視覚的に検査することができるように均一な色、すなわちグラフト化ローダミン6Gのためにわずかにピンク色で覆われていた。
【0079】
第2の実験では、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルアクリレート(PFDA、CAS 27905-45-9)を前駆体として糖ビーズを処理した。プラズマジェット装置を、プラズマガスとして窒素ガスを用い、約1気圧、毎分120標準リットル(slm)の流量で、プラズマ発生電力450Wで動作させた。前駆体流は1.6slmであり、希釈流は10.0slmであった。平均直径約1mmの糖ビーズ460グラムを600秒間処理した。処理したビーズは静電効果を示し、試験により、未処理ビーズは非常に濡れやすいが、処理したビーズは文字通り水膜の表面に浮遊することが明らかになった。処理したビーズを、X線光電子分光法(XPS)を使用して分析したところ、フッ素化部分のグラフト化を定量的に確認することができた。
【0080】
第3の実験では、アミン官能性前駆体としてN-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(TRIAP、CAS 35141-30-1)を使用して、平均サイズ約150μmのポリエチレン粉末を処理した。プラズマジェット装置を、プラズマガスとして窒素ガスを用い、約1気圧、毎分80標準リットル(slm)の流量で、プラズマ発生電力450Wで動作させた。前駆体流は1.2slmであり、希釈流は20slmであった。流動床を、0.38m3/分の窒素流および50μmのフィルターを有する分配板で操作した。本発明による方法を使用してプラズマコーティングされた粉末は、少なくとも5日間安定なままである粉末上のTRIAPのグラフト化を示す。これは、以下に記載されるように、アミノ基の定量化を可能にする染色試験を使用して示された。
【0081】
-C Geismann、M Ulbricht、Macromol Chem and Phys2005、206、268、および
-A Papra、H G Hicke、D Paul、J Appl Polym Sci 1999、74、1669
染色試験の手順を以下のように要約する。
【0082】
1.結合:試料を室温の水(pH3、HCl)中の500μmol/L Acid Orange II(CAS 633-96-5)の溶液中で一晩振盪する。
【0083】
2.洗浄:試料を水(pH3)で洗浄/すすぐ。3回繰り返す。
3.溶出液:試料を10mLの水(pH12、NaOH)に浸漬する。15分間振盪する。
【0084】
4.溶液のUV/Vis吸収を479nmで記録する。
5.溶出に使用した溶媒中の各染料の検量線を確立する。
【0085】
染色試験を使用して3つの試料を試験した。
-第1の未処理試料
-前駆体なしでプラズマによって処理された第2の試料
-TRIAPを前駆体として使用して、本発明の方法に従って処理された第3の試料
染色の結果は、以下のとおりだった。
【0086】
・#1:未処理のPE粉末は、第1級アミンを含有せず、したがって、酸性オレンジを粒子に結合しない。溶液は着色したままであり(すなわち、溶液中の酸オレンジの存在に起因する)、粉末は溶液の上に浮遊しているのが分かる。
【0087】
・#2:プラズマ処理された粉末は、第1級アミンを含まず、したがって、酸性オレンジを粒子に結合しない。溶液は着色したままである(すなわち、溶液中の酸オレンジの存在に起因する)。しかしながら、粒子は、N2プラズマ処理の表面エネルギーの増加に起因して、より親水性に挙動する(水溶液中により長く分散したままである)。
【0088】
・#3:プラズマコーティング粉末(TRIAP前駆体あり)は表面に第1級アミンを多く含み、溶液中に最初に存在していた全ての(!)酸性オレンジを結合する。粒子は視覚的にオレンジ色であるが、酸性溶液は完全に透明になった。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内の粒子状物質をコーティングするプラズマコーティング方法であって、
a)前記反応チャンバの外側のプラズマガスから低温大気圧プラズマジェットを提供するステップと、
b)前記プラズマジェットに前駆体を挿入することにより、励起前駆体を含むプラズマコーティング流を得て、続いて、前記励起前駆体を含む前記プラズマコーティング流を前記反応チャンバに注入するステップと、
c)前記励起前駆体を含む前記プラズマコーティング流に前記反応チャンバ内の粒子状物質をさらすステップと、
を含み、
これにより、少なくとも部分的なコーティングを含む粒子状物質を得る、プラズマコーティング方法。
【請求項2】
前記粒子状物質は流動状態で前記プラズマにさらされ、好ましくは流動床リアクタを使用して実行される、請求項1に記載のプラズマコーティング方法。
【請求項3】
前記粒子状物質は前記プラズマに間接的にさらされる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項4】
前記少なくとも部分的なコーティングは完全なコーティングである、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項5】
前記プラズマガスは不活性ガスを含み、好ましくは前記プラズマガスは少なくとも99体積%の不活性ガスからなり、好ましくは前記プラズマガスはN
2を含み、好ましくは前記プラズマガスは少なくとも99体積%のN
2からなり、および/または前記プラズマガスは希ガスを含み、好ましくは前記プラズマガスはHe、Neおよび/またはArを含む、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項6】
前記粒子状物質は、ステップcの間に回転される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項7】
前記粒子状物質は酸素不足領域で前記プラズマにさらされ、好ましくは前記酸素不足領域は最大1体積%のO
2を含む、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項8】
前記前駆体は重合性化合物である、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項9】
ステップa~cを連続して実行することによって前記粒子状物質をコーティングし、それによって前記粒子状物質は、前記励起前駆体を含むプラズマコーティング流に複数回さらされる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項10】
前記粒子状物質は、ステップa~cを並行して実行することによってコーティングされ、それによって前記粒子状物質は、別個のプラズマコーティング流にさらされる部分に分配される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項11】
前記前駆体はエアロゾルとして前記プラズマジェット内に挿入される、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項12】
前記粒子状物質は繊維からなる、先行する請求項のいずれかに記載のプラズマコーティング方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法
を実行するように構成された粒子状物質をコーティングするためのコーティングリアクタ装置であって、
-前記反応チャンバ内の粒子状物質をプラズマコーティング流にさらすためのリアクタチャンバと、
-プラズマジェット装置であって、
・プラズマジェットを生成するためのプラズマジェット出口と、
・ノズルであって、
プラズマおよび/または前駆体を注入するためのノズル入口のセットであって、前記ノズル入口は前記反応チャンバの外側に位置する、ノズル入口のセットと、
前駆体含有プラズマを放出するための少なくとも1つのノズル出口であって、前記ノズル出口は前記反応チャンバ内に配置される、少なくとも1つのノズル出口と、
前記反応チャンバの外側から前記反応チャンバ内へ前駆体含有プラズマコーティング流を導くために、前記ノズル入口から前記ノズル出口まで延在するノズル本体と、を備えるノズルと、
を備え、少なくとも1つのノズル入口は前記プラズマジェット出口と流体接続している、プラズマジェット装置と、
-少なくとも1つのノズル入口と流体接続している前駆体提供源と、
を備える、コーティングリアクタ装置。
【請求項14】
前記コーティングリアクタ装置は、各々がプラズマジェット出口と、ノズル入口および少なくとも1つのノズル出口を備えるノズルとを備える複数のプラズマジェット装置を備え、前記複数のプラズマジェット装置の各ノズル出口は、前記反応チャンバ内に配置される、請求項13に記載のコーティングリアクタ装置。
【請求項15】
前記リアクタチャンバ(2)を備える流動床リアクタ(FBR)(8)であり、前記リアクタチャンバの底部に配置された分配器(9)を備え、前記分配器は穴を備え、前記ノズル本体(18)は、前記ノズル出口が前記リアクタチャンバ内にあり、前記ノズル入口のセットが前記リアクタチャンバの外側に位置するように前記穴を通過する、請求項13または14に記載のコーティングリアクタ装置。
【請求項16】
請求項13または15のいずれかに記載の複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステムであって、前記複数のリアクタ装置の前記リアクタチャンバは、前記複数のリアクタ装置の各々において粒子状物質を続けてコーティングすることができるように直列に接続されている、システム。
【請求項17】
並列に編成され、それによって前記コーティングリアクタ装置が粒子状物質を同時にコーティングするように構成されている、請求項13~15のいずれかに記載の複数のコーティングリアクタ装置を備えるシステム。
【国際調査報告】