(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】低い貯蔵温度でシール完全性を維持するためのガラス容器および密閉アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20231201BHJP
A61J 1/06 20060101ALI20231201BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20231201BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20231201BHJP
B65D 1/09 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61J1/05 313
A61J1/06 E
A61J3/00 301
B65D1/02 212
B65D1/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527745
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021058243
(87)【国際公開番号】W WO2022103663
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ,デイン アルファンソ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス-モウアー,シニュー
(72)【発明者】
【氏名】サラフィアン,アダム ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シャウト,ロバート アンソニー
【テーマコード(参考)】
3E033
4C047
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA01
3E033CA19
3E033DA02
3E033DA08
3E033DB01
3E033DD01
4C047AA02
4C047AA05
4C047AA27
4C047BB01
4C047DD22
4C047FF03
4C047FF05
4C047GG37
(57)【要約】
密閉ガラス容器は、ガラス容器および密閉アセンブリを備える。そのガラス容器は、裏面、その裏面から延在する外面、および外面から、開口を画成する密閉ガラス容器の内面まで延在するシール面を有するフランジを含む。密閉アセンブリは、フランジのシール面に広がり、開口を覆う栓、およびフランジに圧着される金属含有キャップを含む。金属含有キャップは、栓を圧迫する。この圧迫は、密閉ガラス容器が80℃以下の温度に冷却されたときに、シール面に維持される。実施の形態において、シール面は、内面に垂直に延在する面に対して5度より大きい角度で延在する傾斜シール面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス容器において、
肩部、
前記肩部から延在する首部、および
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を画成する外面と、
前記外面と、前記ガラス容器に開口を画成する内面との間に延在する傾斜シール面であって、該傾斜シール面は、該傾斜シール面と、前記開口の端部に広がる平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、該平面に対してある角度で延在し、該角度は5度より大きい、傾斜シール面と、
を有するフランジ、
を備えたガラス容器。
【請求項2】
前記角度が45度以下である、請求項1記載のガラス容器。
【請求項3】
前記傾斜シール面の表面粗さが3μm以上である、請求項1記載のガラス容器。
【請求項4】
前記傾斜シール面の表面粗さが、前記ガラス容器に関連する密閉アセンブリが-80℃以下の温度に冷却されたときの該密閉アセンブリの推定収縮に少なくとも部分的に基づいて、予め決定される、請求項3記載のガラス容器。
【請求項5】
前記傾斜シール面が、0.1μm以下の表面粗さを有する、請求項1記載のガラス容器。
【請求項6】
前記傾斜シール面の平坦度が5μm以下である、請求項1記載のガラス容器。
【請求項7】
前記傾斜シール面が、前記内面に近接して配置された第1のエッジおよび前記外面に近接して配置された第2のエッジを有する、請求項1記載のガラス容器。
【請求項8】
前記第2のエッジが、前記外面の半径方向内側に配置され、前記ガラス容器が、前記傾斜シール面と該外面との間に延在する面取り部をさらに有する、請求項7記載のガラス容器。
【請求項9】
前記ガラス容器が、0×10
-7/K以上かつ70×10
-7/K以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られる、請求項1記載のガラス容器。
【請求項10】
密閉ガラス容器において、
ガラス容器であって、
肩部、
前記肩部から延在する首部、および
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を画成する外面と、
前記外面から、開口を画成する前記密閉ガラス容器の内面まで延在するシール面と、
を有するフランジ、
を備えたガラス容器、および
密閉アセンブリであって、
前記フランジのシール面に広がり、前記開口を覆う栓、および
前記フランジに圧着され、前記栓を圧迫する金属含有キャップであって、この圧迫は、前記密閉ガラス容器が80℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉ガラス容器のヘリウム漏れ速度が該温度で1.4×10
-6cm
3/秒以下であるように前記シール面に維持される、金属含有キャップ、
を備えた密閉アセンブリ、
を備えた密閉ガラス容器。
【請求項11】
前記金属含有キャップの熱膨張係数(「CTE」)と前記栓のCTEとの差が、50×10
-7/K以下である、請求項10記載の密閉ガラス容器。
【請求項12】
前記シール面が、前記外面と前記内面との間に延在する傾斜シール面を含み、該傾斜シール面は、該傾斜シール面と、前記開口の端部に広がる平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、該平面に対してある角度で延在し、
前記角度が6度以上である、
請求項10記載の密閉ガラス容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年11月10日に出願された米国仮特許出願第63/111718号の米国法典第35編第119条の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、医薬組成物を貯蔵するためのガラス容器などのガラス容器に関する。
【背景技術】
【0003】
バイアルや注射器などの医薬品容器は、典型的に、収容材料の完全性を維持するために、栓や他の蓋で密閉される。蓋は、典型的に、合成ゴムや他のエラストマーから製造される。そのような材料は、容器の内部を密閉するために容器に挿入し易くする弾性と高い透過抵抗を有益に有する。しかしながら、典型的に使用される蓋の材料の弾性は、低温では低下することがある。例えば、蓋の材料として現在使用されている合成ゴムは、-70℃以上かつ-45℃以下の転移温度を有するであろう。そのような合成ゴムから作られた蓋は、転移温度より低いと、固体として挙動し、ガラスと、容器に蓋を固定するために使用される圧着キャップの熱膨張係数の間の比較的大きい差を補うために弾性的に膨張することができないであろう。このことを考えると、医薬品容器のための既存の密閉アセンブリは、-45℃以下の温度では機能しないであろう。
【0004】
ある生体物質(例えば、血液、血清、タンパク質、幹細胞、および他の腐りやすい生体液)は、有用な状態でいるために、従来のエラストマーのガラス転移温度より低い温度で貯蔵する必要がある。例えば、特定のRNA系ワクチンは、活性状態でいるために、ドライアイス温度(例えば、約-80℃)または液体窒素温度(例えば、約-180℃)で貯蔵する必要があるであろう。そのような低温では、閉鎖部材(例えば、ガラスまたはプラスチック容器、栓、アルミニウムキャップ)に寸法変化が生じ、シールの完全性に問題が発生し、中に貯蔵された物質が潜在的に汚染されるかもしれない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様は、肩部;その肩部から延在する首部;およびその首部から延在するフランジを有するガラス容器を含む。フランジは、首部から延在する裏面;その裏面から延在する外面であって、フランジの外径を画成する外面;およびその外面と、ガラス容器に開口を画成する内面との間に延在する傾斜シール面を有する。傾斜シール面は、傾斜シール面と、開口の端部に広がる平面との間の距離が、外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、その平面に対してある角度で延在する。その角度は5度より大きい。
【0006】
本開示の第2の態様は、角度が45度以下である、第1の態様によるガラス容器を含む。
【0007】
本開示の第3の態様は、傾斜シール面の表面粗さが3μm以上である、第1から第2の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0008】
本開示の第4の態様は、傾斜シール面の表面粗さが、ガラス容器に関連する密閉アセンブリが-80℃以下の温度に冷却されたときの密閉アセンブリの推定収縮に少なくとも部分的に基づいて、予め決定される、第1から第3の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0009】
本開示の第5の態様は、傾斜シール面が、0.1μm以下の表面粗さを有する、第1から第4の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0010】
本開示の第6の態様は、傾斜シール面の平坦度が5μm以下である、第1から第5の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0011】
本開示の第7の態様は、傾斜シール面が、内面に近接して配置された第1のエッジおよび外面に近接して配置された第2のエッジを有する、第1から第6の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0012】
本開示の第8の態様は、第2のエッジが、外面の半径方向内側に配置され、ガラス容器が、傾斜シール面と外面との間に延在する面取り部をさらに有する、第1から第7の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0013】
本開示の第9の態様は、ガラス容器が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られる、第1から第8の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0014】
本開示の第10の態様は、肩部;その肩部から延在する首部;その首部から延在するフランジ;および首部とフランジに広がる開口を画成する内面を有するガラス容器を含み、そのフランジは、内面から延在する上部シール面を有する。実施の形態において、上部シール面は、内面に垂直に延在する平面に対して5度より大きい角度で延在する傾斜シール面を含む。実施の形態において、上部シール面の一部は、少なくとも4mmの長さおよび5μm以下の表面平坦度を有する。
【0015】
本開示の第11の態様は、上部シール面が傾斜シール面を含み、角度が45度以下である、第10の態様によるガラス容器を含む。
【0016】
本開示の第12の態様は、角度が7度以上である、第10から第11の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0017】
本開示の第13の態様は、傾斜シール面の表面粗さが3μm以上である、第10から第12の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0018】
本開示の第14の態様は、上部シール面が、少なくとも4mmの長さおよび5μm以下の表面平坦度を有する部分を含み、前記部分が、89.5度以上かつ90.5度以下の内面に対する角度で延在する、第10から第13の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0019】
本開示の第15の態様は、上部シール面が、フランジの外面から延在する面取りエッジを含む、第10から第14の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0020】
本開示の第16の態様は、ガラス容器が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られる、第10から第15の態様のいずれかによるガラス容器を含む。
【0021】
本開示の第17の態様は、ガラス容器および密閉アセンブリを備えた密閉ガラス容器を含む。そのガラス容器は、肩部;その肩部から延在する首部;およびその首部から延在するフランジを有する。フランジは、首部から延在する裏面;その裏面から延在する外面であって、フランジの外径を画成する外面;およびその外面から、開口を画成する密閉ガラス容器の内面まで延在するシール面を有する。密閉アセンブリは、フランジのシール面に広がり、開口を覆う栓、およびフランジに圧着される金属含有キャップを含む。金属含有キャップは、栓を圧迫する。この圧迫は、密閉ガラス容器が80℃以下の温度に冷却されたときに、密閉ガラス容器のヘリウム漏れ速度がその温度で1.4×10-6cm3/秒以下であるようにシール面に維持される。
【0022】
本開示の第18の態様は、金属含有キャップの熱膨張係数(「CTE」)と栓のCTEとの差が、50×10-7/K以下である、第17の態様による密閉ガラス容器を含む。
【0023】
本開示の第19の態様は、金属含有キャップのCTEが、250×10-7/K以上である、第17から第18の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0024】
本開示の第20の態様は、金属含有キャップが、ZnおよびMgの少なくとも一方を含有する、第17から第19の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0025】
本開示の第21の態様は、金属含有キャップが、アルミニウム含有高分子複合材料から作られる、第17から第20の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0026】
本開示の第22の態様は、金属含有キャップが、Zn、Al、Mg、Cuの少なくとも1つを含む金属合金から作られる、第17から第21の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0027】
本開示の第23の態様は、金属含有キャップがPb-Sn合金から作られる、第17から第22の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0028】
本開示の第24の態様は、栓のCTEが、290×10-7/K以下である、第17から第22の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0029】
本開示の第25の態様は、栓が、0質量%超かつ30質量%以下のケイ素系充填材料を含む高分子複合体から作られる、第17から第24の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0030】
本開示の第26の態様は、ケイ素系充填材料がSiO2ガラス粒子を含む、第17から第25の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0031】
本開示の第27の態様は、ケイ素系充填材料がケイ酸塩を含む、第17から第26の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0032】
本開示の第28の態様は、栓のガラス転移温度が-75℃以下である、第17から第27の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0033】
本開示の第29の態様は、シール面が、外面と内面との間に延在する傾斜シール面を含み、傾斜シール面は、傾斜シール面と、開口の端部に広がる平面との間の距離が、外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、この平面に対してある角度で延在し、その角度が6度以上である、第17から第28の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0034】
本開示の第30の態様は、シール面の表面粗さが3μm以上である、第17から第29の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0035】
本開示の第31の態様は、栓と金属含有キャップとの間に配置されたシーリング材をさらに備え、そのシーリング材が、栓と金属含有キャップのCTEより小さいCTEを有する、第17から第30の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0036】
本開示の第32の態様は、シーリング材が、Ir、W、Ti、およびSiの少なくとも1つを含む、第17から第31の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0037】
本開示の第33の態様は、シーリング材が高分子系複合体を含む、第17から第32の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0038】
本開示の第34の態様は、シーリング材が、SiO2、TiドープSiO2、ZrW2O8、およびAM2O8セラミックの少なくとも1つを含む、第17から第33の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0039】
本開示の第35の態様は、金属含有キャップが、密閉ガラス容器の中心軸に沿って組成が不均一である、第17から第34の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0040】
本開示の第36の態様は、金属含有キャップが、アルミニウム層およびこのアルミニウム層と接触した少なくとも1つの多層構造を含む、第17から第35の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0041】
本開示の第37の態様は、多層構造が、エラストマー層およびガラス質高分子層を含み、このガラス質高分子層は、25℃超のガラス転移温度を有する、第17から第36の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0042】
本開示の第38の態様は、金属含有キャップが、200μm以上かつ300μm以下である厚さを有する多層積層構造を含む、第17から第37の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0043】
本開示の第39の態様は、栓が、半径方向に不均一な組成を有する、第17から第38の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0044】
本開示の第40の態様は、栓が、シール面と接触した低Tgセグメントを含む、第17から第39の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0045】
本開示の第41の態様は、低Tgセグメントが、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸塩、およびEPDMエラストマーの1つ以上を含む低Tgエラストマーを含む、第17から第40の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0046】
本開示の第42の態様は、低Tgセグメントが、0質量%以上かつ30質量%以下の充填材料を含む、第17から第41の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0047】
本開示の第43の態様は、充填材料がケイ素系粒子を含む、第17から第42の態様のいずれかによる密閉ガラス容器を含む。
【0048】
ここに記載されたプロセスおよびシステムの追加の特徴と利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0049】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を図解しており、説明と共に、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図面に示された実施の形態は、実質的に、説明のためであり、例示であり、請求項に定義された主題を限定する意図はない。説明に役立つ実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている、以下の図面と併せて読まれた場合に、理解することができる。
【
図1A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、密閉ガラス容器の断面図
【
図1B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器の断面図
【
図1C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、金属含有キャップの上部の断面図
【
図1D】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、栓の断面図
【
図2A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器の断面図
【
図2B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器の断面図
【
図3】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、密閉ガラス容器の断面図
【
図4A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、フランジが第1のフランジ角度を有する場合の、複数の貯蔵温度でのガラス容器のフランジに対する栓の圧迫のシミュレーションを示す図
【
図4B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、フランジが第2のフランジ角度を有する場合の、複数の貯蔵温度でのガラス容器のフランジに対する栓の圧迫のシミュレーションを示す図
【
図4C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、フランジが第3のフランジ角度を有する場合の、複数の貯蔵温度でのガラス容器のフランジに対する栓の圧迫のシミュレーションを示す図
【
図4D】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、フランジが第4のフランジ角度を有する場合の、複数の貯蔵温度でのガラス容器のフランジに対する栓の圧迫のシミュレーションを示す図
【
図4E】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、第1の冷却速度で冷却した場合の温度の関数としての
図4A~4Dに示されたフランジと栓との間の接触面積のプロット
【
図4F】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、第2の冷却速度で冷却した場合の温度の関数としての
図4A~4Dに示されたフランジと栓との間の接触面積のプロット
【発明を実施するための形態】
【0051】
ここで、比較的低温(例えば、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、-70℃以下、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃)で容器の密閉完全性を維持する密閉アセンブリとガラス容器を備えた密閉ガラス容器の実施の形態を詳しく参照する。実施の形態において、ここに記載されたガラス容器の構造は、ガラス容器とその中に挿入された密閉アセンブリとの間の界面でのシールの維持を促進するために、1つ以上の事項で既存の医薬品容器のものとは異なることがある。例えば、ここに記載されたガラス容器の実施の形態は、肩部、首部、および密閉アセンブリの栓が金属含有キャップでそれに対して加圧されるシール面を有するフランジを備えたバイアル(しかし、他の容器形状も本開示の範囲に含まれる)であることがある。シール面の様々な特徴は、密閉ガラス容器がそのような低い貯蔵温度に冷却されたときのシールの維持を促進するように適応させることができる。例えば、実施の形態において、シール面は、ガラス容器の中心軸からの半径方向距離が増加するにつれて傾斜する傾斜シール面を含むことがある。この傾斜シール面は、圧着過程中に栓に対して印加される初期力を増加させ、低温に冷却されたときの栓の収縮の許容度を増加させるように、ガラス容器の端部に広がる平面に対して5度より大きい(例えば、5度超かつ45度以下)の角度で傾斜することがある。実施の形態において、シール面は、シール面と栓との間の接触面積を最大にするために、ガラス容器の中心軸に垂直に延在する(例えば、89.5度以上かつ90度以下の角度で延在する)。実施の形態において、シール面の様々な他の特徴(例えば、表面粗さ、平坦度など)を調整して密閉完全性を向上させることができる。
【0052】
実施の形態において、ここに記載されたガラス容器に連結される密閉アセンブリは、低い貯蔵温度でシールの維持を促進するために、材料の様々な組合せから形成されることがある。本明細書の密閉アセンブリは、金属含有キャップにより栓に印加される十分なシール力を維持するために、低い貯蔵温度でキャップに対する栓の過剰な変形を防ぐように調整された組成物から形成された金属含有キャップおよび栓を含むことがある。例えば、実施の形態において、金属含有キャップは、既存のアルミニウム圧着キャップを上回って、そのCTEを増加させる材料から作られることがある。実施の形態において、金属含有キャップは、より高いCTEを提供するために、Alの代わりに、ZnまたはMgの少なくとも一方から作られることがある。実施の形態において、金属含有キャップは、アルミニウム含有高分子複合材料から作られる。実施の形態において、金属含有キャップは、Zn、Al、Mg、Cuの少なくとも1つを含む金属合金から作られる。実施の形態において、栓は、既存の純粋なゴム栓より低いCTEを有する材料から作られる。例えば、実施の形態において、栓は、0質量%超かつ30質量%以下のケイ素系充填材料を含む高分子複合体から作られることがある。そのケイ素系充填材料は、SiO2ガラス粒子または様々なケイ酸塩(例えば、コージエライト、β-ユークリプタイト、β-スポジュメン)もしくはその組合せを含むことがある。栓のCTEは、低い貯蔵温度でのその収縮を減少させるために、290×10-7/K以下であることがある。様々な実施の形態は、金属含有キャップと栓との間に配置された追加のシーリング材を含むことがある。そのシーリング材は、金属含有キャップが栓とシーリング材にシール力を印加するように、より低い貯蔵温度でシーリング材より大きい比率で金属含有キャップを収縮させるように相対的に低いCTE(例えば、50×10-7/K以下)を有することがある。実施の形態において、シーリング材は、Ir、W、Ti、およびSiの少なくとも1つを含むことがある。実施の形態において、シーリング材は、高分子系複合体から作られる。
【0053】
ここに用いられているように、「表面粗さ」という用語は、Ra値またはSa値を称する。Ra値は、フィルタード粗さ(filtered roughness)の中心線からの偏差で決定されるフィルタード粗さプロファイルの算術平均値の尺度である。例えば、Ra値は、関係式:
【0054】
に基づいて決定することができ、式中、Hiは表面の表面高度測定値であり、HCLは、フィルタードプロファイルのデータ点の中での中心線(例えば、最大と最小の表面高度値の間の中心)表面高度測定値に対応する。Sa値は、数式1の面積外挿(areal extrapolation)で決定することができる。ここに記載されたRaまたはSa値を決定するためのフィルタ値(例えば、カットオフ波長)は、ISO 25718(2012)に見つかるであろう。表面高度は、光学干渉計、スタイラス系表面形状測定装置、またはレーザ共焦点顕微鏡などの様々な機器で測定することができる。ここに記載された表面(例えば、シール面またはその部分)の粗さを評価するために、実際的に大きい測定領域を使用して、大きい空間規模に亘り生じることのある変動性を評価すべきである。
【0055】
ここに用いられているように、「容器密閉完全性」という用語は、汚染物質の侵入の確率を維持する、またはガス透過率の可能性をガラス容器内に貯蔵される物質に基づく所定の閾値より低く減少させるために、閾値サイズより大きい間隙を含まない、ガラス容器と密閉アセンブリとの間(例えば、ガラス容器のシール面と栓との間)の界面でのシールの維持を称する。例えば、実施の形態において、容器密閉完全性は、USP<1207>(2016)に記載されたヘリウム漏れ試験中にヘリウム漏れ速度が1.4×10-6cm3/秒以下であれば、維持される。
【0056】
ここに記載されたガラス容器の実施の形態において、そのガラス容器を形成するガラス組成物の構成成分(例えば、SiO2、Al2O3、B2O3など)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で指定される。
【0057】
「実質的に含まない」という用語は、ガラス組成物中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記載するために使用される場合、その構成成分が、ガラス組成物に意図的に加えられていないことを意味する。しかしながら、そのガラス組成物は、0.05モル%未満の量で汚染物質または混入物としてその構成成分を微量で含有することがある。
【0058】
ここに用いられているような、「CTE」という用語は、特に明記のない限り、約-200℃から約300℃の温度範囲に亘る熱膨張係数を称する。
【0059】
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、および他の数量と特徴が、正確ではなく、正確である必要はないが、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて、近似である、および/またはそれより大きいかまたは小さいこともあることを意味する。値または範囲の端点を記載する上で、「約」という用語が使用される場合、言及される特定値または端点は含まれる。本明細書における数値または範囲の端点に「約」が付いているか否かにかかわらず、2つの実施の形態:「約」で修飾されているもの、および「約」で修飾されていないものが記述される。範囲の各々の端点は、他方の端点と関係してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0060】
ここに用いられているような方向を表す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれている図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0061】
ここに用いられているように、名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、成分に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような成分を2つ以上有する態様を含む。
【0062】
ここで
図1Aを参照すると、医薬製剤を貯蔵するための密閉ガラス容器100の1つの実施の形態が、断面で概略示されている。密閉ガラス容器100は、ガラス容器102およびガラス容器102の開口105を通じてガラス容器102に連結された密閉アセンブリ104を備える。密閉アセンブリ104は、栓106および金属含有キャップ108を含む。
図1Aに示された実施の形態において、栓106は、挿入部分117およびシール部分119を含む。挿入部分117は、シール部分119がガラス容器102の上部シール面110と接触するまで、ガラス容器102の開口105に挿入される。シール部分119は、次いで、金属含有キャップ108の圧着により上部シール面110に圧迫されて、上部シール面110にシールを形成する。ここに記載されるように、低い貯蔵温度でのガラス容器102の容器密閉完全性を確実に維持するために、ガラス容器102および密閉アセンブリ104の様々な態様が設計される。
【0063】
ガラス容器102は、概して、本体112を備える。本体112は、ガラス容器102の内面114と外面116の間に延在し、中心軸Aを有し、概して、内部容積118を取り囲む。
図1Aに示されたガラス容器102の実施の形態において、本体112は、概して、壁部分120および床部分122を含む。壁部分120は、踵部分124を通じて床部分122に移行する。図示された実施の形態において、ガラス容器102は、フランジ126、フランジ126から延在する首部128、胴部115、および首部128と胴部115との間に延在する肩部130を含む。床部分122は、踵部分124を通じて胴部115に連結されている。実施の形態において、ガラス容器102は、中心軸Aに対して対称であり、胴部115、首部128、およびフランジ126の各々は、実質的に円筒形である。本体112は、
図1Aに示されるように、内面114と外面116の間に延在する壁厚T
Wを有する。
【0064】
実施の形態において、ガラス容器102は、USP<660>に準拠するタイプ1Bのホウケイ酸ガラス組成物などのホウケイ酸ガラス組成物を含む、USP<660>に定義されたタイプI、タイプIIまたはタイプIIIのガラスから形成されることがある。あるいは、ガラス容器102は、ここに全て引用される米国特許第8551898号明細書に開示されたものなどのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物、またはここに全て引用される米国特許第9145329号明細書に記載されたものなどのアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス組成物から形成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、ソーダ石灰ガラス組成物から構成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、0×10-7/K以上かつ100×10-7/K以下(例えば、30×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下)の熱膨張係数を有するガラス組成物から構成される。
【0065】
ガラス容器102は、特定の形状因子(すなわち、バイアル(vial))を有すると
図1Aに描写されているが、ガラス容器102は、制限なく、Vacutainer(登録商標)、カートリッジ、注射器、アンプル、ビン、フラスコ、バイアル(phials)、管、ビーカーなどを含む、他の形状因子を有してもよいことを理解すべきである。さらに、ここに記載されたガラス容器は、制限なく、医薬品包装、飲料容器などを含む、様々な用途に使用してよいことを理解すべきである。
【0066】
ガラス容器102の壁厚TWは、実施に応じて様々であってよい。実施の形態において、ガラス容器102の壁厚TWは、6ミリメートル(mm)以下、例えば、4mm以下、2mm以下、1.5mm以下、または1mm以下であることがある。いくつかの実施の形態において、壁厚TWは、0.1mm以上かつ6mm以下、0.3mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ2mm以下、または0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがある。実施の形態において、壁厚TWは、0.9mm以上かつ1.8mm以下であることがある。壁厚TWは、ガラス容器102内の軸方向位置に応じて、変動することがある。
【0067】
図1Aに示されるように、フランジ126は、裏面132、外面136、および上部シール面110を有する。外面136は、フランジ126の外径を規定することがある。実施の形態において、密閉アセンブリ104の金属含有キャップ108は、どの適切な圧着方法(例えば、空気圧圧着装置など)によってフランジ126の周りに圧着される。密閉過程中、栓106が開口105に挿入され、圧着中に金属含有キャップ108に圧縮力が印加される。例えば、
図1Aに示されるように、金属含有キャップ108は、フランジ126の裏面132と接触して、栓106を圧縮状態に維持し、圧着過程後にシールを形成する底部分109を含む。栓106の圧縮により、金属含有キャップ108が適所に圧着された後に栓106に対する圧縮を維持する残留シール力がフランジ126内に生じる。実施の形態において、フランジ126の裏面132に直接接触する金属含有キャップ108の底部分109の長さは、-80℃以下の貯蔵温度で栓106内に残留シール力が維持されるのを促進するために、1mm以上の長さ(例えば、
図1Aに示されたX方向の)を有する。
【0068】
密閉ガラス容器100が-80℃以下(例えば、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃)の比較的低い貯蔵温度に冷却された場合、密閉ガラス容器100の構成要素の各々は、その要素の熱的性質に依存する体積収縮を経るであろう。
図1Aに示されるように、金属含有キャップ108の底部分109と上側部分113との間に配置される材料の体積は、栓106のシール部分119およびガラス容器102のフランジ126を含む。栓106とフランジ126の組合せが、金属含有キャップ108の収縮の量より大きい量だけ収縮すると、金属含有キャップ108によって与えられる栓106に対する圧縮が減少し、上部シール面110でのシールが破られる確率が増すであろう。
【0069】
例えば、
図1Aに示されるように、フランジ126と栓106の合計高さ138(例えば、
図1Aに示されたZ方向の)は、金属含有キャップ108の上側部分113と底部分109との間の距離とほぼ等しい。そのような状態で、金属含有キャップ108は、栓106を上部シール面110に圧迫して、シールを形成することができる。しかしながら、合計高さ138が金属含有キャップ108よりも大きい程度に収縮すると、栓106の圧縮が弱まり、残留シール力が減少するであろう。栓106の圧縮を維持するために、金属含有キャップ108、栓106、およびガラス容器102の収縮ΔLは、以下の関係式:
【0070】
【0071】
を満たすことがあり、ここで、各要素のΔLの収縮は、
【0072】
【0073】
で近似でき、式中、Liは、要素の初期寸法であり、α(T)は、金属含有キャップ108、栓106、およびガラス容器102の各々を構成する材料の温度依存性CTEである。
【0074】
実施の形態において、栓106は、高分子系材料(例えば、ブチルゴムまたは他の合成ゴム)から構成される。そのような材料は、-70℃以上かつ-45℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することがある。栓106は、Tgより低いと、固体として挙動し(例えば、弾性を失い)、上部シール面110でのシール力が減少するであろう。例えば、栓106がTgより低く冷却されると、栓106は、上部シール面110と金属含有キャップ108の上側部分113との間の間隙の全てを満たさず、シールが破れる確率が増加するであろう。すなわち、栓106は、ガラス転移温度より低く冷却されると、実際的に、2つの異なる材料:転移温度より高いときの弾性材料、および転移温度より低いときの固体材料として挙動する。ここでの式2によれば、フランジ126と金属含有キャップ108の上側部分113との間に配置された栓106の収縮は、初期温度Tiから最終温度TFに冷却されると:
【0075】
【0076】
として近似でき、式中、αglassは、栓106のゴムがガラス転移温度Tgより低いときに変わるガラス様材料のCTEを称する。実施の形態において、シールを維持するために、金属含有キャップ108および栓106は、金属含有キャップ108の収縮がガラス容器102および栓106の合計収縮以上となるように作られることがある。そのような関係を満たすのを容易にするために、金属含有キャップ108の収縮を増加させることができる、栓106とフランジ126の収縮を減少させることができる、またはその任意の組合せである。それに代えて、またはそれに加え、ガラス容器102の構造は、栓106に印加される初期キャッピング圧縮を増加させ、それによって、栓106の収縮の許容度を大きくするように設計されることがある。
【0077】
実施の形態において、金属含有キャップ108はアルミニウムから作られ、このアルミニウムは約240×10
-7/KのCTEを有することがある。栓106を構成する典型的なゴム(例えば、Butyl 325、Butyl 035など)は、300×10
-7/K以上のCTEを有することがある。すなわち、純粋にCTE差に関して、金属含有キャップ108は栓106ほどは収縮しない傾向にあり、より低い貯蔵温度ではシール力が減少する。上述したCTEの不一致に加え、
図1Aに示されるように、栓106は、金属含有キャップ108よりも大きい密閉アセンブリ104の体積百分率を占め、栓106がより大きい熱収縮を経る傾向をさらに悪化させるであろう。
【0078】
図1Aに示された実施の形態において、低い貯蔵温度での金属含有キャップ108の収縮を圧倒する栓の収縮のそのような傾向に対抗するために、ガラス容器102の構造は、金属含有キャップ108を圧着させる過程中に栓106の圧縮をより大きくするために、既存のガラス容器から逸脱するように変えられている。
図1Bは、肩部130から上方のガラス容器102の詳細図を示している。
図1Bに示されるように、上部シール面110は、傾斜シール面140を含む。傾斜シール面140は、フランジ126の外面136とガラス容器102の内面114との間に延在する。傾斜シール面140は、開口105の端部154に広がる平面152に対して角度150で延在する。平面152は、開口105でガラス容器102の上部に載る(例えば、傾斜シール面140の先端に載る)平面であることがある。実施の形態において、平面152は、ガラス容器102の基準点(例えば、床部分122、
図1A参照)から最も遠い上部シール面110の周りに延在する点を接続する。平面152は、ガラス容器102の中心軸Aに垂直な方向(例えば、
図1Bに示されたX方向)にガラス容器102の上部に広がることがある。実施の形態において、平面152は、開口105を画成する内面114の部分に垂直に延在する。
【0079】
ここに記載されたような角度150は、「フランジ角度」と称されることがある。平面152に対するフランジ角度は、様々な異なる方法で測定することができる。例えば、実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向を決定するために、ガラス容器102の画像を取得し、画像処理技術を使用して、平面152に対する傾斜シール面140の角度150を決定することができる。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の頂点(例えば、裏面132からZ方向に最も大きい距離を有する)と、傾斜シール面140の二番目に高い地点との間に延在する平面を見つけることによって測定される(例えば、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面の頂点と、平面152に対して頂点より低い傾斜シール面140の別の地点に載る平面により測定される)。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、内面114と外面136から内側に所定の距離(例えば、0.1mm、0.2mm、0.5mm、1.0mmなど)にある傾斜シール面140上の地点を接続することによって測定される。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の全てに亘って分布する複数の異なる地点に線形平面を曲線当てはめすることによって、測定される。
【0080】
実施の形態において、角度150は、5度超かつ45度以下(例えば、5度超かつ40度以下、5度超かつ40度以下、5度超かつ30度以下、5度超かつ20度以下、5度超かつ10度以下)である。実施の形態において、角度150は、ガラス容器102の周囲で実質的に均一である(例えば、複数の方位角の方向で測定した場合、測定値の各々は、互いの0.5度以内にあるであろう)。既存のガラス容器において、角度150は、典型的に、3度程度である。それゆえ、ガラス容器102において、平面152に対する上部シール面110の傾斜は、既存のガラス容器を少なくとも50%上回るだけ増加している。上部シール面110の傾斜がより大きいと、低い貯蔵温度での栓の圧縮が増加する傾向にある。角度150は、金属含有キャップ108を圧着した結果として、栓106内の圧縮勾配を生じさせるであろう。例えば、実施の形態において、栓106の圧縮は、圧縮栓が内面114により近づくように、外面136からの半径方向距離が増加するにつれて増加するであろう。内面114に近接したそのように大きい圧縮で、栓106が冷却により収縮したときに、シール内に間隙が形成されるのを防ぐことができる。
【0081】
図1Aを参照すると、角度150の結果として、金属含有キャップ108の上部113と上部シール面110との間の距離156は、中心軸Aからの半径方向距離の関数として、既存のガラス容器よりも大きい程度で変動するであろう。このことを考えると、栓106は、フランジ126の外面136の近くに配置された栓106の周囲領域よりも、開口105に近接して大きい程度で圧縮される。そのような大きい圧縮により、同じ圧着過程を使用して栓106の圧縮が大きくなり、栓106の収縮の許容度が高くなる。それに加え、傾斜シール面140は、開口105に近接して上述した式3における項L
i,stopperを減少させる。これにより、ここでの式1の関係を維持するのに必要な金属含有キャップ108の収縮の量が減少する。
【0082】
図1Bを参照すると、傾斜シール面140は、内面114に近接して配置された第1のエッジ142およびフランジ126の外面136に近接して配置された第2のエッジ144を含む。図示された実施の形態において、傾斜シール面140は、傾斜シール面140が上部シール面110に相当する(例えば、上部シール面110が傾斜シール面140に相当する)ように外面136と内面114との間の距離の全てに亘り延在する。実施の形態において、傾斜シール面140は、傾斜シール面140が上部シール面110の一部だけであるように、外面136と内面114との間の距離の一部だけ延在する。実施の形態において、傾斜シール面140は、栓106との十分な接触面積を促進するように3mm以上の長さ(例えば、平面152から角度150で延在する方向に)を有する。
【0083】
実施の形態において、
図1Aおよび1Bに示された上部シール面110および/または傾斜シール面140の様々な追加の特徴は、-80℃以下の貯蔵温度でシールを維持するために、調整することができる。例えば、実施の形態において、上部シール面110は、閾値(例えば、0.1μm、50nmなど)以下の表面粗さ(例えば、Ra値)を有する。そのような低い表面粗さは、冷却の際に、栓106が上部シール面110から引き離されるのを有益に防ぐ。実施の形態において、上部シール面には、欠陥(例えば、ひだ、隆起、畝など)が実質的にない。そのような欠陥は、上部シール面110と栓106との間の界面に間隙の形成をもたらし、それによって、シール品質を低下させることがある。傾斜シール面140の平坦度は、栓106と上部シール面110との間の密着を促進させるために閾値内に維持することができる。
【0084】
実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102と栓106との間の上部シール面110での摩擦を増加させるために、閾値(例えば、3μm、5μm、10μm)以上の表面粗さ(例えば、Sa値)を有する。そのような実施の形態において、上部シール面110の表面粗さは、その全体に亘り比較的均一であることがある。例えば、複数の異なる測定範囲(例えば、100μm×100μm)に亘る上部シール面110のSa値は、0.1μm以下しか変動しないことがある。実施の形態において、上部シール面110の粗さは、栓106の性質(例えば、表面粗さ)に少なくとも一部は基づいて決定されることがある。実施の形態において、上部シール面110の粗さは、金属含有キャップ108と、フランジ126と栓106との組合せとの間の収縮の差とほぼ等しいことがある。例えば、実施の形態において、上部シール面110の表面粗さは、金属含有キャップ108と、フランジ126と栓106との組合せとの間の予測収縮差の閾値以内にあることがある。そのような表面粗さを提供することにより、冷却後に、上部シール面110と栓106との間に少なくともある程度の接触が確実になるであろう。
【0085】
図1Aを参照すると、低い貯蔵温度での容器の密閉完全性を確実にするために、密閉アセンブリ104の構成要素(例えば、金属含有キャップ108および栓106)の組成は別として、密閉ガラス容器100に、傾斜シール面140以外に、追加の構造の変更を行うことができる。例えば、実施の形態において、フランジの厚さ158(例えば、上部シール面110と裏面132との間の距離)を、既存のガラス容器を上回って、増加させることができる。そのような実施の形態において、栓106と金属含有キャップ108の圧着過程を変えない場合、CTEが相対的に高い栓106を含有する金属含有キャップ108により囲まれる材料の合計高さ138の比率を減少させ、それによって、ここに記載された式1を満たすのに必要な金属含有キャップ108の収縮を低下させる。それに加え、またはそれに代えて、栓106のサイズ(例えば、シール部分119の厚さに関して)を減少させてもよい。実施の形態において、フランジの高さ158は、4.0mm以上であり、合計高さ138の少なくとも61%を構成する。
【0086】
低い貯蔵温度でシールを維持するために設計されることがある、
図1Aおよび1Bに関してここに記載されたガラス容器102の構造の態様に加え、低い貯蔵温度で式1が満たされるのを促進するために、密閉アセンブリ104に組成の調節を行うことができる。例えば、実施の形態において、金属含有キャップ108は、冷却の際にそのより大きい収縮を促進し、それゆえ、栓106のより大きい圧縮を促進するために、アルミニウムより大きいCTEの材料から作られる。実施の形態において、金属含有キャップ108は、金属含有キャップのCTEとガラス容器102のCTEとの間の差が180×10
-7/K以上となるように作られる。実施の形態において、金属含有キャップ108のCTEは、250×10
-7/K以上(260×10
-7/K以上、270×10
-7/K以上、280×10
-7/K以上、290×10
-7/K以上)である。実施の形態において、金属含有キャップ108は、アルミニウムのCTE以上(-70℃以下の所望の貯蔵温度で)かつ、栓106を作る材料のCTE以下のCTEを有する。
【0087】
実施の形態において、金属含有キャップ108は、アルミニウムに対してキャップのCTEを増加させるためにZnまたはMgを含む。実施の形態において、金属含有キャップ108は、Zn、Mg、Al、Cuの少なくとも1つを含む金属合金(例えば、ZAMAK合金)から作られる。実施の形態において、その金属合金は、5質量%未満のAlを含む。実施の形態において、金属含有キャップ108は、適切なPb-Sn合金などの他の金属合金から構成される。実施の形態において、どの適切な金属合金を使用してもよい。金属合金は、既存の圧着過程に有益に使用できるであろう。それゆえ、現行の瓶詰め過程は、ここに記載された改善されたシールを得るために、著しく変更する必要がない。
【0088】
実施の形態において、金属含有キャップ108は、高分子-金属複合材料から作られる。例えば、実施の形態において、金属含有キャップ108は、アルミニウム含有コーティングで被覆された高分子基質を含むアルミニウム-高分子複合体から作られる。実施の形態において、金属含有キャップ108は、中に高分子系強化剤が入れられたアルミニウム基質を含むアルミニウム-高分子複合体から作られる。
【0089】
実施の形態において、金属含有キャップ108は、密閉ガラス容器100の中心軸Aに沿って不均一である構造を有する。実施の形態において、金属含有キャップ108は、多層積層構造を有する。この多層積層構造は、金属層および少なくとも1つの高分子層を含むことがある。例えば、
図1Cは、金属含有キャップ108の実施の形態の上側部分113の断面図を概略示している。金属含有キャップ108は、アルミニウム層160、第1の多層構造162、および第2の多層構造168を含む。実施の形態において、金属含有キャップ108は、40体積%以上かつ90体積%以下のアルミニウム含有量を有する。実施の形態において、金属含有キャップ108のアルミニウム含有量の全ては、アルミニウム層160内に含まれ、第1と第2の多層構造162および168は、アルミニウムを実質的に含まない。実施の形態において、アルミニウム層160は、密閉ガラス容器に現在使用されているキャップの厚さ以下の厚さを有する。実施の形態において、アルミニウム層の厚さは、1μm以上かつ100μm以下である。実施の形態において、アルミニウム層160は中実アルミニウム層である。実施の形態において、アルミニウム層は、第1と第2の多層構造162と168の間に延在する複数の貫通孔を有する穴あきアルミニウム層である。貫通孔は、金属含有キャップ108内のアルミニウムの全体の体積百分率を有益に減少させ、それによって、第1と第2の多層構造162と168から構成される金属含有キャップ108の割合を増加させることができる。高分子材料の割合がそのように大きくなることにより、金属含有キャップ108の全体CTEが増加し、それによって、冷却の際のその収縮が大きくなり、シールの保守が容易になる。
【0090】
実施の形態において、第1と第2の多層構造162と168は、それぞれ、エラストマー層164および170と、ガラス質高分子層166および172とを含む。実施の形態において、ガラス質高分子層166および172は、25℃以上のガラス転移温度を有する高分子材料から作られる。ガラス質高分子層166および172は、現行の圧着過程に使用されるように十分に大きい程度まで金属含有キャップ108が剛性を維持するのを容易にしつつ、低い貯蔵温度に冷却した際に、エラストマー層164および170の材料がそれらのTgに到達する影響を減少させることができる。
【0091】
実施の形態において、エラストマー層164および170は、ブチルゴムから作られる。実施の形態において、エラストマー層164および170は、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸塩、およびEPDMエラストマー(例えば、PDMS)、またはそれらの任意の組合せなどの1つ以上の低Tgエラストマー材料から作られる。実施の形態において、エラストマー層164および170は、-100℃以下のガラス転移温度を有する。実施の形態において、エラストマー層164および170は、シリカナノ粒子(例えば、10nm以上かつ100nm以下の粒径を有する)などの添加剤を含む。実施の形態において、その添加剤は、エラストマー層164および170の30質量%以下を占める。ガラス質高分子層166および172も、そのような添加剤を含むことがある。その添加剤は、より低い貯蔵温度に冷却される際に、栓106の圧縮を最大にする、金属含有キャップ108と栓106との間のCTE不一致を提供するために、第1と第2の多層構造162と168の機械的性質を調整することができる。
【0092】
まだ
図1Cを参照すると、実施の形態において、金属含有キャップ108は、お互いの上に積み重ねられた複数(例えば、5以上、10以上、20以上、50以上、100以上)の図示された多層構造(例えば、アルミニウム層160および第1と第2の多層構造162と168を含む)を有する。実施の形態において、金属含有キャップ108は、200μm以上かつ300μm以下の全体厚(例えば、積層多層構造の合計厚)を有する。実施の形態において、金属含有キャップ108の厚さは、-70℃以下の温度に冷却されたときに、その収縮傾向を増加させるために医薬品容器を密閉するために現在使用されている金属キャップを上回って増加している。
【0093】
ここに記載された金属含有キャップ108への組成の変更に加え、栓106のCTEまたはガラス転移温度を低下させるために、栓106の組成が選択されることがある。栓106のそのような組成を選択することにより、その収縮が低下し、したがって、金属含有キャップ108を介した栓106の圧縮を維持するのに役立つであろう。例えば、実施の形態において、栓106の高分子配合物は、栓106のガラス転移温度が-75℃以下(例えば、-80℃以下、-85℃以下)であるように選択される(または添加剤が栓106に加えられる)ことがある。実施の形態において、栓106のガラス転移温度は、栓106が弾性を維持し、上部シール面110でシールを作るように密閉ガラス容器100の所望の貯蔵温度より低く(例えば、-80℃程度のドライアイス貯蔵温度以下に)低下されることがある。実施の形態において、栓106は、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸塩、およびEPDMエラストマー(例えば、PDMS)、またはそれらの任意の組合せなどの1つ以上の低Tgエラストマー材料から作られる。実施の形態において、そのエラストマー層は、-100℃以下のガラス転移温度を有する。
【0094】
実施の形態において、栓106は、典型的に使用されるゴムより低いCTEを有する高分子系複合材料から構成される。実施の形態において、栓106は、ゴム-充填剤混合物から作られる。例えば、実施の形態において、栓106は、15体積%までの充填材料を含む。実施の形態において、栓106は、40質量%以下の充填材料(例えば、30質量%以下の充填材料)を含む。充填材料が40質量%を超えると、栓106の弾性が低下するために、シール品質が低下するであろう。この充填材料は、栓を典型的に作るゴムのCTEより小さいCTE(例えば、50×10-7/K以下、20×10-7/K以下、10×10-7/K以下、5×10-7/K以下)を有することがある。実施の形態において、充填材料はケイ素を含む。例えば、実施の形態において、充填材料は、SiO2ガラス粒子を含む。実施の形態において、そのSiO2ガラス粒子は、10nm以上かつ100nm以下の粒径を有することがある。実施の形態において、そのSiO2ガラス粒子は、栓106のエラストマー材料内の粒子の分散状態を調整するために、オルガノシランで官能化されることがある。実施の形態において、充填材料は、ケイ酸塩(例えば、コージエライト、β-ユークリプタイト、β-スポジュメン)を含む。実施の形態において、充填材料は、高融点金属(例えば、Ir、W、Ti、Si)である。実施の形態において、充填材料は、Mg2PO4を含む。実施の形態において、充填材料は、SiO2、TiドープSiO2、ZrW2O8、またはAM2O8族中の他のセラミックなどの酸化物を含む。実施の形態において、充填材料は、比較的低いまたは負のCTEを有する任意の他の適切な材料を含む。実施の形態において、充填材料を含有する栓106のCTEは、300×10-7/K以下(例えば、290×10-7/K以下、280×10-7/K以下、270×10-7/K以下)である。ここに記載された充填材料を栓106に添加することにより、金属含有キャップ108と栓106との間のCTE差が減少し、それによって、密閉ガラス容器100が-80℃以下の貯蔵温度に冷却されたときに栓106が減圧される傾向が減少する。
【0095】
実施の形態において、栓106は、様々な組成を有する半径方向に不均一な構造を有する。例えば、
図1Dは、栓106の例示の実施の形態を断面で概略示している。図から分かるように、栓106は、挿入部分117およびシール部分119を画成する本体166を有する。実施の形態において、本体166は、ブチルゴムまたは任意の他の適切な栓材料など、室温で比較的高い弾性を有するエラストマー材料から作られる。本体166は、医薬品ガラス容器を密閉するために現在使用されている栓に、サイズと寸法が似ていることがある。例えば、図示された実施の形態において、シール部分119は、厚さ168および幅170を有する。実施の形態において、幅170は、シール部分119とガラス容器102の上部シール面110との間の接触面積を最大にするために、ガラス容器102の内面114と外面136との間の半径方向距離(
図1B参照)以上である。
【0096】
図1Dに示された実施の形態において、栓106は、シール部分119において低Tgセグメント172をさらに含む。低Tgセグメント172は、低Tgセグメント172がガラス容器102の上部シール面110に、その中に栓106が挿入された先に接触するように、シール部分119に配置されることがある。実施の形態において、栓106は、圧縮成形または射出成形により作られることがある。実施の形態において、本体166と低Tgセグメント172は、別々に形成され、互いに結合されることがある。例えば、
図1Dに示されるように、低Tgセグメント172は、シール部分119からわずかに突出している。そのような突出は、低Tgセグメント172が、本体166とは別々に作られ(例えば、射出成形または圧縮成形により)、後にそれに結合されることを示す。実施の形態において、一旦、栓106が作られ、ガラス容器102に挿入されたら、低Tgセグメント172は、本体166と低Tgセグメント172の両方が上部シール面110に押し付けられるように本体166中に圧縮される(例えば、金属含有キャップ108により)。
【0097】
実施の形態において、低Tgセグメント172は、本体166のシール部分119の幅170の10%以上かつ50%以下の半径方向幅174を有する。低Tgセグメント172は、本体166のシール部分119の10%以上かつ90%以下の厚さ176も有する。低Tgセグメント172は、貯蔵用途に応じて、シール部分119の1体積%以上かつ45体積%以下を占めることがある。実施の形態において、本体166に対する低Tgセグメント172の体積比は、ガラス容器102の寸法(例えば、フランジの厚さ152)および栓106と金属含有キャップ108の組成に依存するであろう。
【0098】
実施の形態において、低Tgセグメント172は、低Tgエラストマー材料から作られる。実施の形態において、低Tgエラストマー材料のガラス転移温度は、-75℃以下(例えば、-80℃以下、-90℃以下、-100℃以下、-110℃以下、-120℃以下)である。実施の形態において、低Tgセグメント172は、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸塩、およびEPDMエラストマー(例えば、PDMS)、またはそれらの任意の組合せなどの1つ以上の低Tgエラストマー材料から作られる。本体166と比べて低Tgセグメント172の相対的に低いガラス転移温度により、-70℃以下の比較的低い温度に冷却されたときに、シール部分119とガラス容器102の上部シール面110との間の接点での栓106の弾性率が有益に維持される。
【0099】
低Tgセグメント172の低Tgエラストマー材料は、本体166の材料よりも高いガス透過率を有することがある。実施の形態において、低Tgセグメント172のガス透過率を改善するために、この低Tgセグメントは30質量%までの充填材料を含む。実施の形態において、充填材料はケイ素を含む。例えば、実施の形態において、充填材料は、SiO2ガラス粒子を含む。実施の形態において、そのSiO2ガラス粒子は、10nm以上かつ100nm以下の粒径を有することがある。実施の形態において、そのSiO2ガラス粒子は、栓106のエラストマー材料内の粒子の分散状態を調整するために、オルガノシランで官能化されることがある。実施の形態において、充填材料は、ケイ酸塩(例えば、コージエライト、β-ユークリプタイト、β-スポジュメン)を含む。低Tgセグメント172の充填材料は、ガラス容器100の上部シール面110での接触と圧縮の維持を促進するために、本体166に対してそのCTEを低下させる。
【0100】
上述した手法(例えば、栓106のCTEおよび/またはTgを低下させること、金属含有キャップ108のCTEを増加させること、ここに記載された方法のいずれかでガラス容器102を構造的に変えること)のどの組合せを密閉ガラス容器100に使用してもよいことを認識すべきである。例えば、実施の形態において、傾斜シール面140は、シールを-80℃以下の温度にまだ維持しつつ、栓106の従来の材料(例えば、ブチルゴム)および金属含有キャップ108の従来の材料(例えば、アルミニウム)を使用できるように、栓106の圧縮を著しく増すことがある。上部シール面110が所定の要件(例えば、平坦度、表面粗さ、均一性など)を満たす場合、同様の結果が達成されるであろう。実施の形態において、傾斜シール面140は、-100℃以下(例えば、-125℃以下、-150℃以下、-170℃以下)の貯蔵温度でよりいっそう強力なシールを提供するように、密閉アセンブリ104に対する1つ以上の材料の変更(例えば、CTEの低下した栓106、CTEの増加した金属含有キャップ108)と組み合わされることがある。使用する構造または組成の変更の特定の組合せは、貯蔵用途に依存するであろう。
【0101】
実施の形態において、CTEの高い金属含有キャップ108(例えば、高分子-アルミニウム複合体から作られた)およびCTEの低い栓106(例えば、ゴム-SiO2複合体から作られた)の両方が使用されることがある。そのような実施の形態において、金属含有キャップ108と栓106との間の収縮差が組成の設計により減少することを考えると、ガラス容器102の構造を変更することが回避できる。そのように手法は、傾斜シール面140の角度150が約3度であることのある、既存のガラス容器に使用する場合に有益であろう。ガラス容器102および密閉アセンブリ104の最終的な構造は、実施に応じて、様々であろう。
【0102】
-80℃以下の貯蔵温度で容器の密閉完全性をまだ維持しつつ、
図1Aおよび1Bに関してここに記載されたガラス容器102の代替物を使用できることを理解すべきである。例えば、
図2Aは、別のガラス容器200の断面図を概略示している。ガラス容器200は、
図1Aおよび1Bに関してここに記載されたガラス容器102と類似の構成要素を備えることがある。したがって、
図2Aは、そのような同様の構成要素の組込みを示すように同様の参照番号を含んでいる。
【0103】
ガラス容器200は、ガラス容器200が、裏面204、外面206、および上部シール面208を有するフランジ202を備えているという点で、
図1Aおよび1Bに関して記載されたガラス容器102とは異なる。
図2Aに示されるように、上部シール面208は、ガラス容器200の開口105の端部154に広がる平面152に延在している。実施の形態において、上部シール面208は、ガラス容器200の中心軸Aに対して実質的に垂直(例えば、89.5度以上かつ90.5度以下の角度)に延在する。実施の形態において、上部シール面208は、開口105を画成するガラス容器200の内面114に実質的に垂直に延在する。そのような上部シール面208は、栓106(
図1A参照)と上部シール面208との間の接触面積を有益に増加させており、シールの完全性を維持する確率を増加させることができる。
【0104】
実施の形態において、上部シール面208は、栓106との接触の品質を向上させるために、
図1Aおよび1Bに関して記載された傾斜シール面に関してここに記載された表面特徴を有するように作られることがある。例えば、実施の形態において、上部シール面208は、上部シール面208と栓106との間の界面で形成される間隙の確率を減少させるために、閾値(例えば、0.1μm)以下の表面粗さを有する。実施の形態において、上部シール面208は、ここに記載された低い貯蔵温度のいずれかに冷却されたときのフランジ202および栓106の予測収縮に基づいて均一な表面粗さ(例えば、3μm以上、5μm以上)を有する。実施の形態において、上部シール面は、閾値以下の表面平坦度を有する。
【0105】
図2Aに示された例において、上部シール面208は、外面206から内面114まで延在する。上部シール面208は、本開示と整合性がとれる様々な異なる特徴を含んでよいことを理解すべきである。例えば、
図2Bは、平らな部分214、平らな部分214とフランジ202の外面206との間に延在する面取り部216、および平らな部分214と内面114との間に延在する丸まった角部218を含む上部シール面208を有するガラス容器210の断面図を概略示している。平らな部分214は、
図2Aに示された上部シール面208の全体のように平面152に延在することがある。実施の形態において、面取り部216は、平らな部分214に対して45度の角度で延在する。実施の形態において、面取り部216は、栓が多数の方向で上部シール面212を囲めることにより、栓106により作られたシールの完全性を向上させる。実施の形態において、上部シール面212は、丸まった角部218ではなく、平らな部分214と内面114との間に延在する、面取り部216と構造が似ている面取り部を有する。
図2Bに関してここに記載された特徴(例えば、面取り部216、丸まった角部218、少なくとも1つのシール特徴220)のいずれを、
図1Bに関してここに記載された傾斜シール面140に組み込んでもよい(例えば、上部シール面110は、傾斜シール面140と外面136との間に延在する面取り部を含んでもよい)ことを認識すべきである。
【0106】
ここで
図3を参照すると、密閉ガラス容器300の断面図が示されている。密閉ガラス容器300は、
図1Aおよび1Bに関してここに記載されたガラス容器102を備える。したがって、そのような同様の構成要素の組込みを示すように、
図3に同様の参照番号が使用されている。密閉ガラス容器300は、ガラス容器102に挿入されて、その中の開口105を密閉する密閉アセンブリ302を備える。密閉アセンブリ302は、開口105に挿入され、圧着された金属含有キャップ308により上部シール面110に圧迫された栓304を含む。実施の形態において、栓304および金属含有キャップ308は、
図1Aおよび1Bに関してここに記載された栓106および金属含有キャップ108に構造と機能が似ており、低い密閉温度での密閉完全性を向上させるために、ここに記載された材料のいずれから作られてもよい。
【0107】
図3に示された密閉アセンブリ302は、密閉アセンブリ302が金属含有キャップ308と栓304との間に配置されたシーリング材306を含むという点で、
図1Aおよび1Bに関してここに記載された密閉アセンブリ104とは異なる。シーリング材306は、実施に応じて、金属含有キャップ308および/または栓304に固定されることがある。実施の形態において、シーリング材306は、金属含有キャップ308および栓304の両方のCTEより小さいCTEを有する材料から作られる。シーリング材306を組み込むことにより、シーリング材306を組み込んでいない実施の形態と比べて、金属含有キャップ308内に配置される材料積層体(例えば、フランジ126、栓304、およびシーリング材306)の全体のCTE(例えば、平均CTE)を減少させることができる。全体のCTEをそのように減少させることにより、金属含有キャップ308内に配置される材料の収縮の全体量が減少し、それによって、栓304に対する圧迫の維持が容易になる。
【0108】
実施の形態において、シーリング材306は、50×10-7/K以下(例えば、25×10-7/K以下、10×10-7/K以下、5×10-7/K以下)のCTEを有する。実施の形態において、シーリング材は、高融点金属(例えば、Ir、W、Ti、Si)から作られる。実施の形態において、シーリング材306は、高分子またはゴム系複合体(例えば、栓106に関してここに記載されたものなど)から作られる。実施の形態において、シーリング材306は、SiO2、TiドープSiO2、ZrW2O8、またはAM2O8族中の他のセラミックなどの酸化物を含む。シーリング材306は、実施に応じて、どの適切なサイズまたは形状を有してもよい。実施の形態において、シーリング材306は、栓304に対する均一な圧迫の維持を促進するために、ガラス容器102の中心軸Aに対して対称である。
【0109】
図4A~4Dは、フランジ角度の関数としての栓の圧迫のシミュレーションを示す。
図4Aは、フランジ400の上部にある平面404(
図4Aの上部を参照のこと)に対して-3度の角度で延在する傾斜シール面402を有するフランジ400のシミュレーション結果を示す。
図4Bは、フランジ412の上部にある平面416(
図4Bの上部を参照のこと)に対して0度の角度で延在するシール面414を有するフランジ412のシミュレーション結果を示す。
図4Cは、フランジ424の上部にある平面428(
図4Cの上部を参照のこと)に対して2.4度の角度で延在する傾斜シール面426を有するフランジ424のシミュレーション結果を示す。
図4Dは、フランジ434の上部にある平面438(
図4Dの上部を参照のこと)に対して7度の角度で延在する傾斜シール面436を有するフランジ434のシミュレーション結果を示す。
【0110】
これらのシミュレーションは、それぞれ、
図4A、4B、4C、および4Dに示されたフランジ400、412、424、434に挿入され、約25重力ポンド(約111N)(例えば、24.8重力ポンド(約110N)以上かつ25.6重力ポンド(約114N))の残留シール力を提供するためにアルミニウムキャップ(図示せず)により圧着された栓406、418、428、および440の圧迫を予測している。次に、有限要素解析を行って、複数の温度での栓406、418、428、および440の圧迫をシミュレーションした。
図4A、4B、4C、および4Dの中央部分は、室温(例えば、25℃)でのシミュレーション結果を示す。フランジ400に対して圧着されている
図4Aの栓406により、25℃で圧迫プロファイル408が生じた。フランジ412に対して圧着されている
図4Bの栓418により、25℃で圧迫プロファイル420が生じた。フランジ424に対して圧着されている
図4Cの栓428により、25℃で圧迫プロファイル430が生じた。フランジ434に対して圧着されている
図4Dの栓440により、25℃で圧迫プロファイル442が生じた。圧迫プロファイル408、420、430、442の各々に示されるように、栓406、418、428、および440の各々は、シール面402、414、426、および436の各々のセグメントに沿って連続的加圧され(例えば、圧迫プロファイル408、420、430、442は、ゼロ圧迫を含むどのような間隙もないセグメントを含んでいる)、25℃で比較的大きい接触面積およびシールの存在を示す。
【0111】
図4A、4B、4C、および4Dの底部は、-80℃のより低い温度でのシミュレーション結果を示す。フランジ400に対して圧着されている
図4Aの栓406により、-80℃で圧迫プロファイル410が生じた。フランジ412に対して圧着されている
図4Bの栓418により、-80℃で圧迫プロファイル422が生じた。フランジ424に対して圧着されている
図4Cの栓428により、-80℃で圧迫プロファイル432が生じた。フランジ434に対して圧着されている
図4Dの栓440により、-80℃で圧迫プロファイル444が生じた。圧迫プロファイル410、422、および432の各々は、栓の圧迫がゼロである少なくとも1つの間隙を含み、減少した接触面積および破れたシールの可能性を示す。すなわち、シミュレーション結果によれば、5度未満のフランジ角度を有するフランジでは、より低い貯蔵温度で接触面積が減少した。
図4Dに示されたフランジ436の圧迫プロファイル444では、対照的に、-80℃で栓440の連続した圧迫が生じた。すなわち、圧迫プロファイル444は、傾斜シール面436でゼロ圧迫の間隙がないセグメントを含み、そのような温度でのシールの維持を示す。
【0112】
図4Eは、1℃/分の速度で冷却されたときの温度の関数としてのフランジ400、412、424、434との栓の接触面積のプロット446を示す。
図4Fは、5℃/分の速度で冷却されたときの温度の関数としてのフランジ400、412、424、434との栓の接触面積のプロット448を示す。
図4Eに示されるように、1℃/分の速度で冷却された場合、フランジ角度が7度である、
図4Dに示されたフランジ434は、室温での接触面積の少なくとも55%である接触面積を、-70℃以下の温度で維持している。フランジ434は、-100℃以下(例えば、-110℃以下、-120℃以下、-130℃以下、-140℃以下、-170℃以下)の温度でもそのような接触面積を維持している。そのような結果は、接触面積が、25℃と比べて、-70℃で40%未満となり、-90℃未満の温度では10パーセント未満に減少する、5度以下のフランジ角度を有する、フランジ400、412、424の結果と対照的である。すなわち、5度より大きい値を有するフランジ角度(例えば、
図1Aおよび1Bに関してここに記載された角度150)は、低い貯蔵温度での栓の接触面積の維持を容易にし、シールの維持を示している。
図4Fに示されたプロット448は、ガラスが冷却されたときに、栓の接触面積が、プロット446におけるよりも大きい比率で減少する(特に、フランジ400、412、および424について)ようであることを除いて、同様の結果を示す。それゆえ、5℃/分未満の速度でここに記載されたガラス容器を冷却すれば、シールの維持が促進されるであろう。
【0113】
先の記載に鑑みて、-70℃以下の貯蔵温度で容器の密閉完全性を維持できる密閉ガラス容器が開示されていることを理解すべきである。実施および貯蔵用途に応じて、そのガラス容器の構造は、貯蔵のための冷却中に密閉アセンブリの収縮を特に考慮して設計することができる。例えば、ガラス容器は、圧着過程中の栓の圧迫を増加させ、したがって、栓の収縮の許容度を増加させるように、ガラス容器の上部にある平面に対して5度より大きい角度で延在する傾斜シール面を含むことがある。シール面の特徴(例えば、表面粗さ、平坦度、面取り部やシール特徴などの他の特徴)も、収縮中に栓がシール面から離れるのを防ぐために調整することができる。さらに、シール完全性を維持する確率を大きくするために、ガラス容器の寸法(例えば、フランジの厚さ)も増加させることができる。ガラス容器に対する構造の変更に加え、熱収縮の場合に栓の配置を維持するために、キャップが、栓に対して適量の圧迫を維持することを確実にするために、密閉アセンブリの構成要素(例えば、キャップ、栓、任意の追加のシーリング材)の組成を選択してもよい。
【0114】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることも、またはどの装置についても、特定の向きが要求されていることも決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていない場合、または装置の請求項が、個々の構成部材に対する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくはそれらの工程が特定の順序に限定されるべきことが、請求項または説明において他に具体的に述べられていない場合、もしくは装置の構成部材に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、順序または向きがいかようにも暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成部材の順序、または構成部材の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0115】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0116】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0117】
実施形態1
ガラス容器において、
肩部、
前記肩部から延在する首部、および
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を画成する外面と、
前記外面と、前記ガラス容器に開口を画成する内面との間に延在する傾斜シール面であって、該傾斜シール面は、該傾斜シール面と、前記開口の端部に広がる平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、該平面に対してある角度で延在し、該角度は5度より大きい、傾斜シール面と、
を有するフランジ、
を備えたガラス容器。
【0118】
実施形態2
前記角度が45度以下である、実施形態1に記載のガラス容器。
【0119】
実施形態3
前記傾斜シール面の表面粗さが3μm以上である、実施形態1に記載のガラス容器。
【0120】
実施形態4
前記傾斜シール面の表面粗さが、前記ガラス容器に関連する密閉アセンブリが-80℃以下の温度に冷却されたときの該密閉アセンブリの推定収縮に少なくとも部分的に基づいて、予め決定される、実施形態3に記載のガラス容器。
【0121】
実施形態5
前記傾斜シール面が、0.1μm以下の表面粗さを有する、実施形態1に記載のガラス容器。
【0122】
実施形態6
前記傾斜シール面の平坦度が5μm以下である、実施形態1に記載のガラス容器。
【0123】
実施形態7
前記傾斜シール面が、前記内面に近接して配置された第1のエッジおよび前記外面に近接して配置された第2のエッジを有する、実施形態1に記載のガラス容器。
【0124】
実施形態8
前記第2のエッジが、前記外面の半径方向内側に配置され、前記ガラス容器が、前記傾斜シール面と該外面との間に延在する面取り部をさらに有する、実施形態7に記載のガラス容器。
【0125】
実施形態9
前記ガラス容器が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られる、実施形態1に記載のガラス容器。
【0126】
実施形態10
肩部、
前記肩部から延在する首部、
前記首部から延在するフランジ、および
前記首部と前記フランジに広がる開口を画成する内面、
を有するガラス容器であって、
前記フランジは、前記内面から延在する上部シール面を有し、
前記上部シール面は、前記内面に垂直に延在する平面に対して5度より大きい角度で延在する傾斜シール面を含む、および
前記上部シール面の一部は、少なくとも4mmの長さおよび5μm以下の表面平坦度を有する、
の少なくとも一方が成り立つ、ガラス容器。
【0127】
実施形態11
前記上部シール面が前記傾斜シール面を含み、前記角度が45度以下である、実施形態10に記載のガラス容器。
【0128】
実施形態12
前記角度が7度以上である、実施形態11に記載のガラス容器。
【0129】
実施形態13
前記傾斜シール面の表面粗さが3μm以上である、実施形態11に記載のガラス容器。
【0130】
実施形態14
前記上部シール面が、少なくとも4mmの長さおよび5μm以下の表面平坦度を有する部分を含み、
前記部分が、89.5度以上かつ90.5度以下の前記内面に対する角度で延在する、
実施形態10に記載のガラス容器。
【0131】
実施形態15
前記上部シール面が、前記フランジの外面から延在する面取りエッジを含む、実施形態10に記載のガラス容器。
【0132】
実施形態16
前記ガラス容器が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られる、実施形態15に記載のガラス容器。
【0133】
実施形態17
密閉ガラス容器において、
ガラス容器であって、
肩部、
前記肩部から延在する首部、および
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を画成する外面と、
前記外面から、開口を画成する前記密閉ガラス容器の内面まで延在するシール面と、
を有するフランジ、
を備えたガラス容器、および
密閉アセンブリであって、
前記フランジのシール面に広がり、前記開口を覆う栓、および
前記フランジに圧着され、前記栓を圧迫する金属含有キャップであって、この圧迫は、前記密閉ガラス容器が80℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉ガラス容器のヘリウム漏れ速度が該温度で1.4×10-6cm3/秒以下であるように前記シール面に維持される、金属含有キャップ、
を備えた密閉アセンブリ、
を備えた密閉ガラス容器。
【0134】
実施形態18
前記金属含有キャップの熱膨張係数(「CTE」)と前記栓のCTEとの差が、50×10-7/K以下である、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0135】
実施形態19
前記金属含有キャップのCTEが、250×10-7/K以上である、実施形態18に記載の密閉ガラス容器。
【0136】
実施形態20
前記金属含有キャップが、ZnおよびMgの少なくとも一方を含有する、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0137】
実施形態21
前記金属含有キャップが、アルミニウム含有高分子複合材料から作られる、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0138】
実施形態22
前記金属含有キャップが、Zn、Al、Mg、Cuの少なくとも1つを含む金属合金から作られる、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0139】
実施形態23
前記金属含有キャップがPb-Sn合金から作られる、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0140】
実施形態24
前記栓のCTEが、290×10-7/K以下である、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0141】
実施形態25
前記栓が、0質量%超かつ30質量%以下のケイ素系充填材料を含む高分子複合体から作られる、実施形態24に記載の密閉ガラス容器。
【0142】
実施形態26
前記ケイ素系充填材料がSiO2ガラス粒子を含む、実施形態25に記載の密閉ガラス容器。
【0143】
実施形態27
前記ケイ素系充填材料がケイ酸塩を含む、実施形態25に記載の密閉ガラス容器。
【0144】
実施形態28
前記栓のガラス転移温度が-75℃以下である、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0145】
実施形態29
前記シール面が、前記外面と前記内面との間に延在する傾斜シール面を含み、該傾斜シール面は、該傾斜シール面と、前記開口の端部に広がる平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するように、該平面に対してある角度で延在し、
前記角度が6度以上である、
実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0146】
実施形態30
前記シール面の表面粗さが3μm以上である、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0147】
実施形態31
前記栓と前記金属含有キャップとの間に配置されたシーリング材をさらに備え、該シーリング材が、該栓と該金属含有キャップのCTEより小さいCTEを有する、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0148】
実施形態32
前記シーリング材が、Ir、W、Ti、およびSiの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の密閉ガラス容器。
【0149】
実施形態33
前記シーリング材が高分子系複合体を含む、実施形態31に記載の密閉ガラス容器。
【0150】
実施形態34
前記シーリング材が、SiO2、TiドープSiO2、ZrW2O8、およびAM2O8セラミックの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の密閉ガラス容器。
【0151】
実施形態35
前記金属含有キャップが、前記密閉ガラス容器の中心軸に沿って組成が不均一である、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0152】
実施形態36
前記金属含有キャップが、アルミニウム層および該アルミニウム層と接触した少なくとも1つの多層構造を含む、実施形態35に記載の密閉ガラス容器。
【0153】
実施形態37
前記多層構造が、エラストマー層およびガラス質高分子層を含み、該ガラス質高分子層は、25℃超のガラス転移温度を有する、実施形態36に記載の密閉ガラス容器。
【0154】
実施形態38
前記金属含有キャップが、200μm以上かつ300μm以下である厚さを有する多層積層構造を含む、実施形態35に記載の密閉ガラス容器。
【0155】
実施形態39
前記栓が、半径方向に不均一な組成を有する、実施形態17に記載の密閉ガラス容器。
【0156】
実施形態40
前記栓が、前記シール面と接触した低Tgセグメントを含む、実施形態39に記載の密閉ガラス容器。
【0157】
実施形態41
前記低Tgセグメントが、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸塩、およびEPDMエラストマーの1つ以上を含む低Tgエラストマーを含む、実施形態40に記載の密閉ガラス容器。
【0158】
実施形態42
前記低Tgセグメントが、0質量%以上かつ30質量%以下の充填材料を含む、実施形態40に記載の密閉ガラス容器。
【0159】
実施形態43
前記充填材料がケイ素系粒子を含む、実施形態42に記載の密閉ガラス容器。
【符号の説明】
【0160】
100、300 密閉ガラス容器
102、200 ガラス容器
104、302 密閉アセンブリ
105 開口
106、304、406、418、428、440 栓
108、308 金属含有キャップ
110、208 上部シール面
112 本体
114 内面
115 胴部
116 外面
120 壁部分
122 床部分
124 踵部分
126、202、400、412、424、434 フランジ
128 首部
130 肩部
132、204 フランジの裏面
136、206 フランジの外面
140 傾斜シール面
150 角度
152、404、416、428、438 平面
160 アルミニウム層
164、170 エラストマー層
162、168 多層構造
166、172 ガラス質高分子層
216 面取り部
218 丸まった角部
306 シーリング材
【国際調査報告】