IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サード ハーモニック バイオ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-551434選択的c-kitキナーゼ阻害剤の医薬組成物ならびにその作製および使用のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】選択的c-kitキナーゼ阻害剤の医薬組成物ならびにその作製および使用のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K9/48
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P11/06
A61P11/02
A61P37/08
A61P9/12
A61P1/16
A61P1/04
A61P17/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P25/00
A61P3/10
A61K47/12
A61K47/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530203
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021072503
(87)【国際公開番号】W WO2022109595
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,690
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/203,675
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
(71)【出願人】
【識別番号】523014957
【氏名又は名称】サード ハーモニック バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キーニー, グレッグ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】クォン, エリザベス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC29
4C076DD05
4C076DD42
4C076FF01
4C076FF36
4C076FF53
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA13
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、概して、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として有用なN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの医薬組成物、およびc-kitキナーゼ関連疾患の処置におけるその使用に関する。化合物1、N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドは、様々なアッセイおよび治療モデルで活性であり、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として作用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約35wt%~約55wt%の量のN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの微粒子を含む微粉化粉末ブレンドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドが、N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの遊離塩基形態Hを含む微粒子の形態である、請求項1および2のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項4】
N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの遊離塩基形態Hが、そのX線粉末回折パターンにおいて約12.8、約13.6、および約19.3度2シータから選択されるピークを有する結晶性固体形態である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記酸味剤が、クエン酸またはその塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記酸味剤が、無水クエン酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記酸味剤が、約200μm~約300μmのメジアン粒径(D50)を有する微粒子の形態でのクエン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(i)約35wt%~約55wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態でのN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量のSDS
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
(i)約45wt%~約50wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態でのN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%~約15wt%の量のSDS
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
(i)約50wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態でのN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド;
(ii)約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%の量のSDS
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドが、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)および約3未満のスパンを有する微粒子の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(i)約35wt%~約55wt%の量のN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドまたは薬学的に許容されるその塩;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、医薬組成物。
【請求項14】
前記N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドまたは薬学的に許容されるその塩が、N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド塩酸塩のHCl塩形態Iを含む微粒子の形態である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記酸味剤が、クエン酸またはその塩である、請求項13~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記酸味剤が、無水クエン酸である、請求項13~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記酸味剤が、約200μm~約300μmのメジアン粒径(D50)を有する微粒子の形態でのクエン酸である、請求項13~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項13~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
遊離塩基化合物に基づいて約20wt%~約91wt%の量でN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドを含む医薬組成物であって、前記N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドが、N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド塩酸塩のHCl塩形態Iを含む微粒子の形態である、医薬組成物。
【請求項20】
前記N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド塩酸塩のHCl塩形態Iが、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)および約3未満のスパンを有する微粒子の形態である、請求項14~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミド塩酸塩のHCl塩形態Iが、そのX線粉末回折パターンにおいて、約17.9、約25.6、および約26.5度2シータから選択されるピークを有する結晶性固体形態である、請求項13~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
経口投与に適切であるカプセル剤として製剤化される、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
患者においてc-kitキナーゼの活性を阻害する方法であって、前記患者に、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項24】
患者においてc-kitキナーゼ媒介性疾患または障害を処置する方法であって、前記患者に、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記c-kitキナーゼ媒介性疾患または障害が、肥満細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫性障害、代謝性疾患、線維症疾患、または皮膚疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記c-kitキナーゼ媒介性疾患または障害が、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、原発性肺高血圧症(PPH)、肺線維症、肝線維症、心臓線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、肥満細胞腫瘍、肥満細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病またはII型糖尿病である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物が、経口的に患者に投与される、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、概して、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として有用なN-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドの医薬組成物、およびc-kitキナーゼ関連疾患の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドは、最初にWO2013/033070A1で開示されたが、肥満細胞の枯渇に有用なc-kitキナーゼの選択的阻害剤であり、それゆえ、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、肺線維症、肝線維症、心臓線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、肥満細胞腫瘍、肥満細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病およびII型糖尿病を含む肥満細胞関連疾患を処置するのに有用である。
当該技術分野において依然として、c-kitキナーゼ阻害剤を送達するための新規な組成物およびそれを使用するc-kit関連疾患を処置するための方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願第2013/033070号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本開示の医薬組成物およびその組成物が、それを必要とする患者にc-kitキナーゼの選択的阻害剤を投与するのに有用であり、これに対して所望の特徴を示すことが今般見出された。概して、本明細書に開示される薬学的に許容される組成物は、本明細書に詳述される様々な疾患または障害を処置する、またはその重症度を軽減するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A図1Aは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、製剤1AのXRPDパターンを示す。
【0006】
図1B図1Bは、安定性試験の前の製剤1Aおよび化合物1形態Hの出発材料と比較した、25℃および60%相対湿度で保存した1週間および4週間後の製剤1AのXRPDパターンを示す。
【0007】
図1C図1Cは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、製剤1BのXRPDパターンを示す。
【0008】
図1D図1Dは、安定性試験の前の製剤1Bおよび化合物1形態Hの出発材料と比較した、25℃および60%相対湿度で保存した10日間および4週間後の製剤1BのXRPDパターンを示す。
【0009】
図1E図1Eは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、製剤1CのXRPDパターンを示す。
【0010】
図1F図1Fは、安定性試験の前の製剤1Cおよび化合物1形態Hの出発材料と比較した、25℃および60%相対湿度で保存した1週間および4週間後の製剤1CのXRPDパターンを示す。
【0011】
図2A図2Aは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、微粉化後の製剤3AのXRPDパターンを示す。
【0012】
図2B図2Bは、安定性試験の前の微粉化した製剤3A、化合物1形態Hの出発材料、および化合物1形態Hと比較した、25℃および60%相対湿度で保存した1週間および4週間後の微粉化した製剤3AのXRPDパターンを示す。
【0013】
図3A図3A、3Bおよび3Cは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、それぞれ製剤4A、4Bおよび4CのXRPDパターンを示す。
図3B図3A、3Bおよび3Cは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、それぞれ製剤4A、4Bおよび4CのXRPDパターンを示す。
図3C図3A、3Bおよび3Cは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、それぞれ製剤4A、4Bおよび4CのXRPDパターンを示す。
【0014】
図4A図4Aは、化合物1形態Hの出発材料と比較した、製剤5HのXRPDパターンを示す。
【0015】
図4B図4Bは、安定性試験の前の製剤5Hおよび化合物1形態Hの出発材料と比較した、25℃および60%相対湿度で保存した1週間および4週間後の製剤5HのXRPDパターンを示す。
【0016】
図5図5は、新鮮な製剤6Bと40℃/75%RHでの1か月および3か月の保存後の製剤6Bとを比較する、製剤6Bを含有するカプセルロットX11の溶解プロファイルを示す。
【0017】
図6図6は、安定性試験の前の製剤9Aと比較した、25℃および60%相対湿度で保存した1週間および4週間後の微粉化した化合物1 HCl塩形態Iの製剤9AのXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
本開示は、c-kitキナーゼをモジュレートする化合物の同定、およびc-kitキナーゼ関連疾患を処置するのにこれを使用する方法に少なくとも部分的に基づく。本明細書に開示されるのは、化合物1:
【化1】
およびその医薬組成物である。
【0019】
化合物1、N-(5-(5-((1R,2S)-2-フルオロシクロプロピル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2-メチルフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボキサミドは、様々なアッセイおよび治療モデルで活性であり、c-kitキナーゼの選択的阻害剤として作用する。
【0020】
改善された安定性、改善された経口生物学的利用能、および低毒性リスクのような特徴を付与する化合物1(例えば、その遊離塩基またはその塩)を含む薬学的に許容される組成物を提供するのが好ましい。したがって、本開示は、化合物1の医薬組成物を提供する。
【0021】
微粉化ブレンドの粉末化組成物:
一態様では、本発明は、対象への化合物1の経口投与用の医薬組成物を提供し、ここで、化合物1は、微粉化粉末の一部として製剤化される。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、
(i)化合物1;
(ii)酸味剤;
(iii)界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤(glidant)、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤(flavorant)の1つまたは複数を含む、またはこれらから本質的になる。一部の実施形態では、医薬組成物は、前述した構成要素のいずれかの1つまたは2つ以上を含む。例えば、一部の実施形態では、組成物は、2つまたはそれより多くの界面活性剤を含む。
【0022】
A.化合物1
上記の定義の通り、本発明の医薬組成物は、化合物1を含む微粉化粉末である。化合物1は、以下に示すスキーム1に概説される、本明細書に参照により組み込まれるWO2013/033070A1の実施例F110にしたがって調製することができる。
【化2】
【0023】
一部の実施形態では、医薬組成物は、化合物1の乾燥微粒子を含む微粉化粉末である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、非晶質化合物1を含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の結晶性固体形態を含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の結晶性遊離塩基の固体形態を含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の結晶性塩の固体形態を含む。
【0024】
一部の実施形態では、化合物1の結晶性固体形態は、無水物形態である。一部の実施形態では、化合物1の結晶性固体形態は、水和物形態である。一部の実施形態では、化合物1の結晶性固体形態は、一水和物である。一部の実施形態では、化合物1の結晶性固体形態は、半水和物である。一部の実施形態では、化合物1の結晶性固体形態は、二水和物である。
【0025】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、本明細書に参照により組み込まれるPCT/CN2020/090060に開示される、化合物1の結晶性固体形態を含む。
【0026】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Aを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Aからなる。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、下記の表Aに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表A】
【0027】
一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて約13.2、約15.2、および約19.7度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて約13.2、約15.2、および約19.7度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて約13.2、約15.2、および約19.7度2シータでの3つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、約175℃で吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、最大約180℃の温度でわずかな質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられる。
【0028】
形態Aは、以下の手順により単離することができる:約2.0gの非晶質化合物1を40mLのイソプロパノールに70℃で溶解し、3時間機械的に撹拌する。室温まで溶液を冷却し、終夜撹拌し続ける。沈殿物は終夜形成し、ろ過し、イソプロパノールで洗浄し、真空下60℃で終夜乾燥して、化合物1の形態Aを得る。
【0029】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、遊離塩基形態Aを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、用語「実質的に含まない」とは、化合物が有意な量の非晶質化合物1または他の結晶形態を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1形態Aを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1形態Aを含む。
【0030】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Hを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Hからなる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、下記の表Bに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表B】
【0031】
一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおいて約12.8、約13.6、および約19.3度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおいて約12.8、約13.6、および約19.3度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおいて約12.8、約13.6、および約19.3度2シータでの3つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約87℃、約125℃、約165℃および約175℃から選択される温度で1つまたは複数の吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、最大約112℃の温度で約5%の質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられる。
【0032】
形態Hは、以下の手順により単離することができる:約200mgの化合物1の形態Aを3.0mLのMeOH/HO(1:1、v/v)に添加し、室温で5日間、1000rpmで撹拌する。懸濁物を遠心分離し、固体を収集し、真空下で乾燥して、化合物1の形態Hを得る。
【0033】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、遊離塩基形態Hを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1形態Hを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1形態Hを含む。
【0034】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Hを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Hからなる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、下記の表Cに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表C】
【0035】
一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおいて約13.6、約18.0、および約26.4度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおける約13.6、約18.0、および約26.4度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおいて約13.6、約18.0、および約26.4度2シータでの3つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、約110℃、約125℃、約165℃および約173℃から選択される温度で1つまたは複数の吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Hは、最大約150℃の温度で約5.4%の質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられる。
【0036】
形態Hは、以下の手順により単離することができる:約10mgの化合物1の形態Aを1バイアルの水に添加し、室温で2週間放置する。懸濁物を遠心分離し、固体を収集し、真空下で乾燥して、化合物1の形態Hを得る。
【0037】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、遊離塩基形態Hを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1形態Hを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1形態Hを含む。
【0038】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Dを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1の遊離塩基形態Dからなる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、下記の表Dに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表D】
【0039】
一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される3つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される4つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される5つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される6つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでのピークから選択される7つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおいて約8.9、約9.9、約13.3、約15.3、約17.2、約17.7、約19.8、約26.1度2シータでの8つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、約175℃で吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Dは、最大約250℃の温度で最小の質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられる。
【0040】
形態Dは、以下の手順により単離することができる:約200mgの化合物1の形態Aを3.0mLのイソプロパノールに添加し、室温で5日間、1000rpmで撹拌する。懸濁物を遠心分離し、固体を収集し、真空下で乾燥して、化合物1の形態Dを得る。
【0041】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、遊離塩基形態Dを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1形態Dを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1形態Dを含む。
【0042】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1のHCl塩形態Iを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1のHCl塩形態Iからなる。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、約1:1のHClの化合物1に対するモル比を有する無水物形態である。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、約0.85:1のHClの化合物1に対するモル比を有する無水物形態である。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、下記の表Eに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表E】
【0043】
一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、そのX線粉末回折パターンにおいて約17.9、約25.6、および約26.5度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、そのX線粉末回折パターンにおいて約17.9、約25.6、および約26.5度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、そのX線粉末回折パターンにおいて約17.9、約25.6、および約26.5度2シータでの3つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、約258.6℃で吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1 HCl塩の形態Iは、最大約150℃の温度で最小の質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられる。
【0044】
形態Iは、以下の手順により単離することができる:約2gの化合物1遊離塩基を第1のバイアル中の20mLのイソプロパノールに添加し、撹拌して、懸濁物を得る。約250mgのHCl(36wt%)を第2のバイアル中の20mLのイソプロパノールに添加して、溶液を得る。第2のバイアルの内容物を第1のバイアルに添加し、室温で3日間撹拌する(500rpm)。バイアルの内容物をろ過し、室温で終夜、固体を真空下で乾燥して、化合物1 HCl塩の形態Iを得る。エタノールを含む代替的な溶媒もまた、イソプロパノールの代わりに使用することができる。
【0045】
一部の実施形態では、化合物1 HCl塩形態Iの微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、HCl塩形態Iを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1 HCl塩形態Iを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1 HCl塩形態Iを含む。
【0046】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1のフマル酸塩形態Jを含む。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、化合物1のフマル酸塩形態からなる。化合物1の形態Jは、約0.5:1のフマル酸の化合物1に対するモル比を有する無水物形態である。一部の実施形態では、化合物1の形態Jは、下記の表Fに列挙されるピークから選択される少なくとも1、2、3、4または5個のX線粉末回折スペクトルピークを有する形態である。
【表F】
【0047】
一部の実施形態では、化合物1フマル酸塩の形態Jは、そのX線粉末回折パターンにおいて約11.5、約14.9、および約15.6度2シータでのピークから選択される1つまたは複数のピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1フマル酸塩の形態Jは、そのX線粉末回折パターンにおいて約11.5、約14.9、および約15.6度2シータでのピークから選択される2つまたはそれより多くのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1フマル酸塩の形態Jは、そのX線粉末回折パターンにおいて約11.5、約14.9、および約15.6度2シータでの3つのピークを有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の形態Jは、約228℃で吸熱事象を有するDSCサーモグラムで特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1フマル酸塩の形態Jは、最大約147℃の温度で最小の質量損失、約200℃で約2%のみの質量損失を示すTGA曲線で特徴付けられ、形態Jが無水の非溶媒和形態であることを示唆する。
【0048】
形態Jは、以下の手順により単離することができる:約6.5gの化合物1遊離塩基および約1010mgのフマル酸粉末を容器に添加する。約130mLのイソプロパノールを容器に添加し、撹拌し、70℃まで3時間容器を加熱して、懸濁物を得る。約3時間にわたって室温まで懸濁物を冷却し、約18時間撹拌し続ける。懸濁物をろ過して、化合物1フマル酸塩の固体形態Jを収集する。
【0049】
一部の実施形態では、化合物1のフマル酸塩形態Jの微粒子は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、フマル酸塩形態Jを含み、非晶質化合物1および化合物1の他の結晶形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、微粒子は、少なくとも約95重量%の結晶性化合物1のフマル酸塩形態Jを含む。本開示の一部の実施形態では、微粒子は、少なくとも約99重量%の結晶性化合物1のフマル酸塩形態Jを含む。
【0050】
一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、約1.0μm、約1.1μm、約1.2μm、約1.3μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.7μm、約1.8μm、約1.9μm、または約2.0μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、約3未満、約2.5未満、約2未満、約1.5未満、約1未満、約0.8未満、または約0.5未満の粒径分布スパン([D90-D10]/D50)を有する。一部の実施形態では、化合物1の微粒子は、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)および約3未満のスパンを有する。
【0051】
一部の実施形態では、化合物1は、約20wt%~約70wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、化合物1は、約30wt%~約60wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、化合物1は、約35wt%~約55wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、化合物1は、約40wt%~約50wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、化合物1は、約20wt%、約30wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%、約40wt%、約41wt%、約42wt%、約43wt%、約44wt%、約45wt%、約46wt%、約47wt%、約48wt%、約49wt%、約50wt%、約51wt%、約52wt%、約53wt%、約54wt%、約55wt%、約56wt%、約57wt%、約58wt%、約59wt%、約60wt%、または約70wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、化合物1は、約50wt%の量で医薬組成物中に存在する。
【0052】
一部の実施形態では、医薬組成物は、遊離塩基の固体形態Hの形態で化合物1の微粒子を含み、微粒子は、約3.0未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有し、化合物1は、約50wt%の量で医薬組成物中に存在する。
【0053】
一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、微粒子は、約1.0μm、約1.1μm、約1.2μm、約1.3μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.7μm、約1.8μm、約1.9μm、または約2.0μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、微粒子は、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、微粒子は、約3未満、約2.5未満、約2未満、約1.5未満、約1未満、約0.8未満、または約0.5未満の粒径分布スパンを有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、微粒子は、約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径(D50)および約3未満のスパンを有する。
【0054】
一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、化合物1は、組成物中に存在する遊離塩基化合物1の量に基づいて、約20wt%~約91wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、化合物1は、組成物中に存在する遊離塩基化合物1の量に基づいて、約20wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約46wt%、約47wt%、約48wt%、約49wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、もしくは約90wt%、またはこれらの間のあらゆる範囲もしくは個々の整数(whole number)のwt%値の量で医薬組成物中に存在する。
【0055】
一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態で化合物1の微粒子を含み、本明細書に記載される1つまたは複数のさらなる構成要素をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、HCl塩形態Iの形態での化合物1の微粒子、ならびに酸味剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数、または任意のその組合せを含む。
【0056】
B.酸味剤
上記の定義の通り、本発明の医薬組成物は酸味剤を含む微粉化粉末である。
【0057】
一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、酢酸、フマル酸、乳酸、およびリンゴ酸、または前述した酸のいずれかの塩から選択される酸味剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸、アスコルビン酸、および酒石酸、または前述した酸のいずれかの塩から選択される酸味剤を含む。一部の実施形態では、酸味剤は、クエン酸またはその塩である。一部の実施形態では、酸味剤は、クエン酸である。一部の実施形態では、酸味剤は、無水クエン酸である。
【0058】
一部の実施形態では、酸味剤は、経口投与用の医薬組成物の製剤で通常利用される任意の酸味剤である。
【0059】
一部の実施形態では、酸味剤は、約5wt%~約55wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約10wt%~約45wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約10.5wt%、約11wt%、約12wt%、約12.5wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約33wt%、約34wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%、約40wt%、約41wt%、約42wt%、約43wt%、約44wt%、約45wt%、約46wt%、約47wt%、約48wt%、約49wt%、約50wt%、約51wt%、約52wt%、約53wt%、約54wt%、または約55wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約10wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約12.5wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約15wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約45wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、酸味剤は、約50wt%の量で医薬組成物中に存在する。
【0060】
一部の実施形態では、酸味剤は、約45wt%の量で医薬組成物中に存在する、クエン酸である。
【0061】
一部の実施形態では、酸味剤はクエン酸であり、クエン酸は、微粒子の形態である。一部の実施形態では、クエン酸微粒子は、約10μm、約20μm、約50μm、約75μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、約500μm、約550μm、もしくは約600μm、またはこれらの間のあらゆる値もしくは範囲のメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸の微粒子を含み、微粒子は、約100μm~約400μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸の微粒子を含み、微粒子は、約200μm~約300μmのメジアン粒径(D50)を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸の微粒子を含み、微粒子は、約250μmのメジアン粒径(D50)を有する。
【0062】
C.界面活性剤
上記の定義の通り、本発明の医薬組成物は、界面活性剤を含む微粉化粉末である。
【0063】
一部の実施形態では、医薬組成物は、ステアリン酸ポリオキシルエチレン、ステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS;あるいはラウリル硫酸ナトリウムとも呼ばれる、略称SLS)、ポロキサマー188(KOLLIPHOR(登録商標)P188)、ポロキサマー407(KOLLIPHOR(登録商標)P407micro)、ラウロイルポリオキシル-32グリセリド(GELUCIRE(登録商標)44/14)、モノオレイン酸グリセリルタイプ40(Peceol(商標))、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS)、およびジオクチルスルホスクシネート(DOSS)としても公知のビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネートから選択される界面活性剤を含む。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。一部の実施形態では、界面活性剤は、SDSである。一部の実施形態では、界面活性剤は、STEPANOL(登録商標)WA-100のようなSDSを含む市販品である。
【0064】
一部の実施形態では、界面活性剤は、経口投与用の医薬組成物の製剤で通常利用される任意の界面活性剤である。
【0065】
一部の実施形態では、界面活性剤は、約1wt%~約20wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、界面活性剤は、約5wt%~約15wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、界面活性剤は、約1wt%、2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約12.5wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、または約20wt%の量で医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、安定剤は、約5wt%の量で医薬組成物中に存在する。
【0066】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約5wt%の量のSDSである界面活性剤を含む。
【0067】
D.追加成分
上記の定義の通り、本発明の医薬組成物は、必ずしも限定されないが、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤から選択される1つまたは複数の追加成分を必要に応じて含む微粉化粉末である。
【0068】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の安定剤を含む。一部の実施形態では、安定剤は、有機ポリマーを含む。一部の実施形態では、安定剤は、セルロースまたはその誘導体を含む有機ポリマーを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。一部の実施形態では、安定剤は、有機ポリマーを含む。一部の実施形態では、有機ポリマーは、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、またはその組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体を含む有機ポリマーを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドンコポリマーを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを含む。
【0069】
一部の実施形態では、安定剤は、EUDRAGIT EPO、PVP K-30ポリマー(ASHLAND(商標))、KOLLIDON(登録商標)VA64(BASF(登録商標))、Plasdone K-29/32(ASHLAND(商標))、KLUCEL(商標)HPC(ASHLAND(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(AQUASOLVE(商標)HPMC-AS MF)およびHPMC PHARMACOAT(登録商標)603から選択される1つまたは複数の市販の安定剤を含む。
【0070】
一部の実施形態では、安定剤は、経口投与用の医薬組成物の製剤で通常利用される任意の安定剤である。
【0071】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の希釈剤、増量剤または充填剤を含む。一部の実施形態では、充填剤は、ソルビトール、イソマルト、マンニトール、デンプン、セルロース、リン酸水素カルシウム二水和物、ラクトース一水和物、アルファ化デンプン、またはその組合せから選択される。一部の実施形態では、充填剤は、微結晶性セルロースである。
【0072】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムタイプA(SoluTab)、デンプングリコール酸ナトリウムタイプA(Glycolys)、クロスポビドン(Polyplasdone XL 10)またはその組合せから選択される。
【0073】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の滑沢剤を含む。一部の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0074】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の流動促進剤を含む。一部の実施形態では、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0075】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて組成物の口当たりの良さ(palatability)を改善する1つまたは複数の甘味剤および矯味矯臭剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、限定されないが、バニラ香料またはイチゴ香料のような矯味矯臭剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、限定されないが、スクラロース、アスパルテーム、サッカリンナトリウムまたはサッカリンカルシウムのような甘味剤を含む。
【0076】
一部の実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて1つまたは複数の偶発的な追加成分を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物の製造過程で医薬組成物に導入される偶発的な追加成分を含む。一部の実施形態では、追加成分は溶媒である。一部の実施形態では、追加成分はイソプロパノールである。
【0077】
E.製剤
上述した通り、一部の実施形態では、医薬組成物は、以下:
(i)化合物1;
(ii)酸味剤;
(iii)界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、またはこれらから本質的になる、微粉化ブレンドである。
【0078】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)化合物1、または薬学的に許容されるその塩;
(ii)酸味剤;
(iii)界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0079】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0080】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0081】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の化合物1;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の酸味剤;
(iii)約5wt%~約15wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0082】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の化合物1;
(ii)約45wt%の量の酸味剤;および
(iii)約5wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0083】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性遊離塩基形態Hの形態での化合物1;
(ii)クエン酸;
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0084】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性遊離塩基形態Hの形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0085】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0086】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0087】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%~約15wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0088】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0089】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0090】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0091】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%~約15wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0092】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性遊離塩基形態H微粒子の形態での化合物1;
(ii)約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0093】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の化合物1または薬学的に許容されるその塩;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤;ならびに
必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0094】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の化合物1または薬学的に許容されるその塩;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の酸味剤;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0095】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の化合物1または薬学的に許容されるその塩;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の酸味剤;
(iii)約5wt%~約15wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0096】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の化合物1または薬学的に許容されるその塩;
(ii)約45wt%の量の酸味剤;および
(iii)約5wt%の量の界面活性剤
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0097】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性HCl塩形態Iの形態での化合物1;
(ii)クエン酸;
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0098】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性HCl塩形態Iの形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0099】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0100】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0101】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%~約15wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0102】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0103】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)無水クエン酸;および
(iii)SDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0104】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約35wt%~約55wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約5wt%~約50wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約1wt%~約20wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0105】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約45wt%~約50wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約10wt%~約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%~約15wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0106】
一部の実施形態では、医薬組成物は、
(i)約50wt%の量の、約3未満の粒径分布スパンを伴う約1.0μm~約2.0μmのメジアン粒径を有する、結晶性HCl塩形態I微粒子の形態での化合物1;
(ii)約45wt%の量の無水クエン酸;および
(iii)約5wt%の量のSDS
を含む、またはこれらから本質的になる。
【0107】
一部の実施形態では、上述される医薬組成物のいずれも、必要に応じて、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、着色剤、甘味剤および矯味矯臭剤の1つまたは複数をさらに含む。
【0108】
一部の実施形態では、医薬組成物は、本開示の微粉化粉末を含有するカプセル剤をさらに含む。一部の実施形態では、カプセル剤は、経口投与に適切である。一部の実施形態では、カプセル殻はゼラチンを含む。一部の実施形態では、カプセル剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。
【0109】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、経口投与用に製剤化した錠剤にプレスされる。
【0110】
化合物および薬学的に許容される組成物の使用
上で概して記載した通り、本明細書に記載される化合物1および薬学的に許容されるその固体組成物は、c-kitキナーゼの阻害剤である。本開示のc-kitキナーゼを阻害する化合物は、一部の実施形態では、in vitroまたはin vivoでの標的のc-kitキナーゼの活性を阻害することにおける使用を見出す。対象の方法の態様は、有効量のc-kitキナーゼを阻害する化合物(例えば本明細書に記載されるもの)を含む試料に接触させて、所望の活性が存在するか否かを決定することを含む。
【0111】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象においてc-kitキナーゼ媒介性疾患または障害を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に開示される医薬組成物、すなわち化合物1を含む医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、疾患または障害は、肥満細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫性障害、代謝性疾患、線維症疾患、または皮膚疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、原発性肺高血圧症(PPH)、肺線維症、肝線維症、心臓線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、肥満細胞腫瘍、肥満細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病またはII型糖尿病である。一部の実施形態では、投与は、経口投与である。
【0112】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてc-kitキナーゼ媒介性疾患または障害を処置することにおける使用のための、本明細書に開示される医薬組成物、すなわち化合物1を含む医薬組成物を提供する。さらに別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてc-kitキナーゼ媒介性疾患または障害を処置するための医薬の製造のための、本明細書に開示される医薬組成物、すなわち化合物1を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害は、肥満細胞関連疾患、呼吸器疾患、炎症性障害、自己免疫性障害、代謝性疾患、線維症疾患、または皮膚疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、原発性肺高血圧症(PPH)、肺線維症、肝線維症、心臓線維症、強皮症、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、蕁麻疹、皮膚症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、黒色腫、消化管間質腫瘍、肥満細胞腫瘍、肥満細胞症、アナフィラキシー症候群、食物アレルギー、I型糖尿病またはII型糖尿病である。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「組合せ」、「組み合わせた」、および関連する用語は、本開示による治療剤の同時投与または逐次的投与を指す。例えば、記載される医薬組成物は、別々の単位剤形で同時にまたは逐次的にまたは単一の単位剤形で共に、別の治療剤と投与することができる。
【0114】
本開示の医薬組成物が他の薬剤との併用療法で投与される場合、これらは、患者に逐次的にまたは同時に投与される。あるいは、本開示による医薬組成物または予防組成物は、化合物1と別の治療剤または予防剤との組合せを含む。特定の疾患または状態を処置するのに通常投与されるさらなる治療剤は、「処置される疾患または状態に適切な薬剤」と呼ぶことができる。
【0115】
一部の実施形態では、対象方法は、治療有効量の1つまたは複数のさらなる活性剤を投与することを含む。併用療法とは、c-kitを阻害する医薬組成物が単一の疾患または状態を処置するのに別の治療剤と組み合わせて使用することができることを意味する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、別の治療剤の投与と同時に投与される。
【0116】
対象医薬組成物は、様々な治療適用において他の治療剤と組み合わせて投与することができる。併用療法に対する目的の治療適用は、標的のc-kitキナーゼの活性が疾患進行における原因または複合因子である適用を含む。そのため、対象医薬組成物は、対象における標的のc-kitキナーゼの阻害が望ましい併用療法における使用を見出す。
【0117】
用語「処置」は、用語「治療方法」と本明細書で互換的に使用され、1)診断した病態、疾患または障害を治療する、遅延させる、その症状を軽減する、および/またはその進行を停止する治療的処置または措置、ならびに2)予防的/防止的措置の両方を指す。処置を必要とするものは、特定の医学的疾患または障害を既に有する個体、ならびに障害を最終的に有する個体(すなわちそのリスクのあるまたは防止的措置を必要とする個体)を含み得る。
【0118】
用語「対象」とは、本明細書で使用される場合、対象方法を実施する任意の個体または患者を指す。一般に、対象はヒトであるが、当業者に理解されるように、対象は動物であり得る。
【0119】
用語「治療有効量」、「有効用量」、「治療有効用量」、「有効量」などは、前記化合物を投与することにより求められている組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を惹起する対象化合物の量を指す。一般に、応答は、患者における症状の改善または所望の生物学的転帰のいずれかである。一部の実施形態では、このような量は、c-kitキナーゼを阻害するのに十分であるべきである。
【0120】
一部の実施形態では、本発明の使用のためのc-kitを阻害する化合物の有効量は、約10pg~1000mg、例えば、約10pg~50pg、約50pg~150pg、約150pg~250pg、約250pg~500pg、約500pg~750pg、約750pg~1ng、約1ng~10ng、約10ng~50ng、約50ng~150ng、約150ng~250ng、約250ng~500ng、約500ng~750ng、約750ng~1mg、約1pg~10pg、約10pg~50pg、約50pg~150pg、約150pg~250pg、約250pg~500pg、約500pg~750pg、約750pg~1mg、約1mg~50mg、約1mg~100mg、約50mg~100mg、約100mg~200mg、約200mg~300mg、約300mg~400mg、約400mg~500mg、約100mg~500mg、約500mg~1000mg、または約100mg~約1000mgの範囲の量である。量は、単一用量であり得る、または総1日量であり得る。総1日量は、約10pg~100mgの範囲であり得る、または約100mg~500mgの範囲であり得る、または約500mg~1000mgの範囲であり得る。一部の実施形態では、本発明での使用のためのc-kitを阻害する化合物の有効量は、約300mgである。一部の実施形態では、本発明での使用のためのc-kitを阻害する化合物の有効量は、約500mgである。一部の実施形態では、本発明での使用のためのc-kitを阻害する化合物の有効量は、約1gである。
【0121】
定義
本明細書で使用される場合、用語「約」は、量の参照に使用される場合には記載の値±前記値の10%を指す。一部の実施形態では、「約」は、記載の値±前記値の5%、前記値の±2%、または前記値の±1%を指す。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」、「投与すること」および「投与」とは、適切な医療行為で、治療効果をもたらすように提供された組成物またはそこに含有される活性剤を対象に送達する任意の方法を指す。
【0123】
本明細書で使用される場合、語句「有効量」または「治療有効量」の活性剤もしくは成分、または薬学的に活性な薬剤もしくは成分とは、投与の際に治療効果を有するのに十分な薬学的に活性な薬剤の量を指す。有効量の薬学的に活性な薬剤は、選択される薬学的に活性な薬剤の種類、処置されている特定の状態または複数の状態、状態の重症度、処置の期間、使用される組成物の具体的な構成要素、および同様の因子に応じて変化する。一般に、応答は、患者における症状の改善または所望の生物学的転帰のいずれかである。一部の実施形態では、このような量は、c-kitキナーゼを阻害し、c-kitキナーゼに関係する疾患または障害を処置するのに十分であるべきである。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「微粒子」とは、最大の断面寸法が約0.1μm~約1000μmである粒子を指す。用語「微粒子」はまた、この範囲外にある個々の粒子を含有し得る本開示の組成物を説明し、組成物中の粒子の平均粒径は、約0.1μm~約1000μmの範囲内に収まる。
【0125】
本明細書で使用される場合、語句「薬学的に許容される塩」とは、改変されていない化合物と同じ活性を有し、生物学的にも、その他の面でも望ましくないことがない、ある特定の成分の塩を指す。塩は、例えば有機酸または無機酸を用いて形成され得る。このような好適な酸は、酢酸、アセチルサリチル酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、重硫酸(bisulfic acid)、ホウ酸、酪酸、ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グリセリン酸、グリセロリン酸、グリシン、グルコヘプタン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸(naphthylanesulfonic acid)、ナフチル酸、ニコチン酸、亜硝酸、シュウ酸、ペラルゴン酸、リン酸、プロピオン酸、サッカリン、サリチル酸、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、チオグリコール酸、チオ硫酸、トシル酸、ウンデシレン酸、ならびに天然および合成に由来するアミノ酸を含む。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「保存剤」とは、細菌、真菌、酵母、カビ、他の微生物を阻害すること、および/または酸化を阻害することにより機能する任意の公知の薬学的に許容される保存剤を指す。好適な保存剤は、抗細菌剤および/または抗酸化剤を含むが、限定されない。好適な抗細菌剤は、ベンゾエート、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ソルベート、プロピオネート、および亜硝酸塩を含み得るが、限定されない。好適な抗酸化剤は、ビタミンC、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、亜硫酸塩、およびビタミンEを含み得るが、限定されない。本発明で使用するための他のこのような保存剤は、上におよび本明細書に記載される。
【0127】
用語「防止する」、「防止すること」、または「防止」とは、本明細書で使用される場合、多少にかかわらず、対象の、状態、疾患、障害もしくはその症状を発症する素因またはリスクのあらゆる軽減を指す。防止の目的で、対象は、任意の対象であり、好ましくは状態、疾患、障害を発症するリスクのある、またはこれらへの素因をもつ対象である。用語「防止」は、リスクのある個体において、臨床的に明らかな状態、疾患、障害の開始を完全に防止すること、または前臨床的に明らかな状態、疾患、障害の開始を防止することのいずれかを含む。これは、状態、疾患、障害を発症するリスクのある対象の予防的処置を含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒」とは、周囲温度で液体であり、1つもしくは複数の溶質は溶解することができる、または1つもしくは複数の物質は部分的に溶解もしくは懸濁することができる任意の薬学的に許容される媒体を指す。多くの溶媒は、化学的および薬学的分野で周知されており、本明細書および下記で考慮されている。
【0129】
語句「実質的に純粋である」とは、本明細書で使用される場合、個々の化合物形態を指し、これは、全ての他の形態ならびに形態の分解産物および任意の残留溶媒を実質的に有しておらず、別段指定しない限り、重量%基準で少なくとも85%純粋である。化合物形態は、重量%基準で少なくとも90%の純度、重量%基準で少なくとも93%の純度、重量%基準で少なくとも95%の純度、または重量%基準で少なくとも97%、98%、99%、もしくは99.5%の純度を有し得る。
【0130】
本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、任意の対象、特に診断、予後、または療法を所望される哺乳動物対象、例えばヒトを指す。
【0131】
本明細書で使用される場合、疾患、障害、または状態の「処置」または「処置すること」は、少なくとも1つのその症状の緩和、その重症度の軽減、またはその進行の遅延もしくは阻害を包含する。処置は、疾患、障害、または状態を完全に治癒することを意味する必要はない。本明細書で有用な組成物は、疾患、障害もしくは状態の重症度を軽減する、これらに関連する症状の重症度を軽減する、患者もしくは対象の生活の質に改善をもたらす、または疾患、障害もしくは状態の開始を遅延もしくは阻害することだけが必要である。
【0132】
本明細書で使用される場合、全てのパーセンテージは、別段指定しない限り、全組成物の重量による(すなわち、wt%である)。
【0133】
本明細書に記載される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、または比の範囲は、別段指定しない限り、その範囲内のあらゆる整数、および例えば整数の10分の1および100分の1のようなその端数、ならびに範囲内の任意の部分範囲の任意の濃度、パーセンテージ、または比を明白に開示し、含むと理解すべきである。
【0134】
例えば、ポリマーのサブユニット、サイズ、または厚さを含む任意の物理的特色に関して本明細書に記載される任意の数値範囲は、別段指定しない限り、開示される範囲または開示される範囲内のあらゆる部分範囲の任意の整数または整数の端数を明白に開示し、含むと理解すべきである。
【0135】
明確にする目的で、本明細書に記載される任意の方法または組成物またはプロセスの任意の要素または特色は、本明細書に記載される任意の他の方法または組成物またはプロセスの任意の他の要素または特色と組み合わせることができる。
【0136】
他の用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野におけるそれらの周知の意味で定義されることを意味する。
【0137】
本開示の態様の各々の全ての特色は、必要な変更を加えて全ての他の態様に適用する。本明細書で参照される参考文献の各々は、特許、特許出願、および論文を含むが限定されず、その全体に完全に提示されるかのように参照により組み込まれる。
【0138】
本明細書に記載される開示がより完全に理解されるために、以下の実施例を提示する。これらの実施例は、例示目的のためだけであり、任意の方法で本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【実施例
【0139】
以下の実施例に示す通り、ある特定の例示的な実施形態では、化合物および組成物は、以下の一般的な手順によって調製される。以下の実施例は、本医薬組成物の例示であり、これらの限定であることを意図するものではない。
材料および方法
化合物1の遊離塩基形態A、H、HおよびD、HCl塩形態I、ならびにフマル酸塩形態Jの調製
【化3】
【0140】
化合物1の形態A
化合物1の形態Aは、本明細書に参照により組み込まれるPCT/CN2020/090060に開示されるように調製した。
【0141】
手順A:約2.0gの非晶質化合物1(WO2013/033070A1の実施例F110で調製される)を、70℃で40mLのIPAに溶解し、3時間機械的に撹拌し、透明な溶液を得た。次いで、溶液をRTまで冷却し、終夜撹拌し続けた。沈殿物は終夜形成し、ろ過し、IPAで洗浄し、真空下60℃で終夜乾燥した。得られる材料の特徴付けにより、化合物1遊離塩基の結晶形態Aが実証された。
【0142】
化合物1の形態H
化合物1の形態Hは、本明細書に参照により組み込まれるPCT/CN2020/090060に開示されるように調製した。
【0143】
手順A:約200mgの化合物1の形態Aを3.0mLのMeOH/HO(1:1、v/v)に溶解し、RTで5日間、1000rpmで撹拌した。懸濁物を遠心分離し、固体を真空下で乾燥した。得られる材料の特徴付けにより、化合物1遊離塩基の結晶形態Hが実証された。
【0144】
化合物1の形態H
化合物1の形態Hは、本明細書に参照により組み込まれるPCT/CN2020/090060に開示されるように調製した。
【0145】
手順A:約10mgの化合物1の形態Aを、2週間、水を含有するバイアルに置いた。固体を懸濁物から単離し、形態Aが形態Hに変換していることを観察した。得られる材料の特徴付けにより、化合物1遊離塩基の結晶形態Hが実証された。
【0146】
化合物1の形態D
化合物1の形態Dを以下の通り調製した:
【0147】
手順A:50℃のスラリースクリーニング-約20mgの化合物1の形態Aを、HPLCバイアル中の0.5mLのIPAに懸濁した。試料を、50℃で約7日間、磁気撹拌し(およそ1000rpm)、残留する固体をXRPD分析用に単離した。
【0148】
手順B:50℃のスラリースクリーニング-約20mgの化合物1の形態Aを、HPLCバイアル中の0.5mLのCPMEに懸濁した。試料を、50℃で約7日間、磁気撹拌し(およそ1000rpm)、残留する固体をXRPD分析用に単離した。
【0149】
手順C:逆溶媒追加スクリーニング-約20mgの化合物1の形態AをDCMに溶解して、透明な溶液を得、溶液を磁気撹拌し(およそ1000rpm)、続いて沈殿物が出現するまでMTBEを添加した。得られた沈殿物をXRPD分析用に単離した。
【0150】
手順D:逆溶媒追加スクリーニング-約20mgの化合物1の形態Aをピリジンに溶解して、透明な溶液を得、溶液を磁気撹拌し(およそ1000rpm)、続いて沈殿物が出現するまでEtOAcを添加した。得られた沈殿物をXRPD分析用に単離した。
【0151】
手順E:204.5mgの化合物1の形態Aを3.0mLのIPAに懸濁し、RTで5日間、1000rpmで撹拌した。懸濁物を遠心分離し、固体を真空下で乾燥した。得られる材料の特徴付けにより、化合物1遊離塩基の結晶形態Dが実証された。
【0152】
化合物1の形態I
手順A:2008.0mgの化合物1遊離塩基を100mLの瓶に添加し、続いて20mLのイソプロパノールを添加して、懸濁物を得た。549.3mgのHCl(36wt%溶液)を20mLのバイアルに添加し、続いて20mLのイソプロパノールを添加してHCl溶液を得た。HCl溶液を100mLの瓶に添加し、混合物を室温で3日間撹拌した(500rpm)。混合物をろ過し、収集した固体を室温で終夜、真空下で乾燥した。得られた沈殿物をXRPD分析にかけた。
【0153】
化合物1の形態J
化合物1の形態Jは、本明細書に参照により組み込まれるPCT/CN2020/090060に開示されるように実質的に調製した。
【0154】
手順A:6.5gの化合物1および1009.775mgのフマル酸を反応器で混合した。130mlのイソプロパノールを、機械的に撹拌しながら混合物に添加した。系を撹拌しながら70℃で3時間加熱した。懸濁物を3時間にわたって室温に冷却し、さらに18時間撹拌し続けた。懸濁物を漏斗でろ過し、湿潤ケーキをイソプロパノールで洗浄し、真空下30℃で16時間、真空下60℃で22時間乾燥した。得られた固体をXRPD、DSC、TGA、NMRおよびHPLC(純度)で特徴付けた。得られる材料は、HPLCにより99.01%純粋であると決定された。NMR分析では、化合物1:フマル酸の比が1:0.5であることが示された。
【0155】
特徴付けの方法
PLM
偏光顕微鏡法(PLM)は、5メガピクセルCCDならびに20倍および50倍のいずれかの物理的レンズを備えたNikon LV100POLを使用して行った。
【0156】
XRPD
X線粉末回折(XRPD)分析は、以下のパラメーターでBruker D8 Advance回折計を使用して行った:
- 管:Cu:K-アルファ(λ=1.54060Å)。
- 発生器:電圧:40kV;電流:40mA;
- スキャン範囲:3~40度または2~40度;
- 走査速度:10度/分または19度/分;
- 試料回転速度:15rpm
【0157】
粉末分析用のPSD
約50mgの試料をトレイに置き、以下のパラメーターを使用してPSDで試験した。2つの並行試験を実行した。
【表18】
【0158】
UPLC
超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を使用して、ある特定の試料における化合物1の純度を測定した。以下のパラメーターを使用した:
【表19】
【0159】
HPLC
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、ある特定の試料における化合物1の純度を測定した。以下のパラメーターを使用した:
【表20】
【0160】
材料
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)99.0%はSIGMAから購入した。PVP-VA64はBASFから購入した。
【0161】
微粉化装置
jetmill粉砕は、Alpine Spiral Jet Mill 50 AS(ホソカワミクロン株式会社)を使用して実行した。
【0162】
粉末混合は、Turbula T2F 2リットル粉末ミキサーシェーカー(TURBULA(登録商標))を使用して実行した。
【0163】
(実施例1)
化合物1形態Hの微粉化
試料の調製および特徴付け
化合物1形態H(10g)を、jetmill粉砕システムの注入器に段階的に添加し、3~4バールに設定した気圧で1時間、微粉化した。微粉化プロセスを2回繰り返し、微粉化した化合物1の収集した試料を分析した。PLM撮像法およびXRPD(図1A)分析では、微粉化した化合物1が結晶性を保ち、形態H出発材料と同じXRPDパターンのままであったことが示された。粒径分布の結果、D10=0.59μm、D50=1.86μm、およびD90=4.62μmが示された。HPLC分析により、微粉化粉末は、98.88%純粋であることが見出され、これは出発材料とほぼ同一であった。
【表1A】
【0164】
製剤1Aの1週間および4週間の安定性試験
微粉化した製剤1Aの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、1週間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。製剤1Aについての1週間および4週間の安定性試験の結果は、以下の表1Bで報告する。1週間および4週間の試験後の出発材料と微粉化した材料とを比較したXRPDスペクトルは、図1Bに示す。
【0165】
1週間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤1AについてのPLMおよびXRPDパターンは両方とも、化合物1材料が出発材料と同じパターンを伴う結晶性を保ったことを示した。粒径分布の結果、1週間および4週間後に初期の試料と同様なD50が示された。純度HPLCの結果では非常にわずかな変化が示され、微粉化粉末が化学的に安定であったことを示した。
【表1B】
【0166】
より大規模な調製および特徴付け
化合物1形態H(275g)を、jetmill粉砕システムの注入器に段階的に添加し、3~4バールに設定した気圧、約10g/時間の供給速度で微粉化した。微粉化した化合物1の収集した試料を分析した。PLM撮像法およびXRPD(図1C)分析では、微粉化した化合物1が結晶性を保ち、形態H出発材料と同じXRPDパターンのままであったことが示された。粒径分布の結果、D10=0.56μm、D50=1.45μm、およびD90=4.93μmが示された(表1Cに示した粉砕前後の粒径)。HPLC分析により、微粉化粉末は、99.51%純粋であることが見出され、これは出発材料と同一であった。
【表1C】
* jetmill粉砕前の粒径; jetmill粉砕後の粒径
【0167】
製剤1Bの10日間および4週間の安定性データ
微粉化した製剤1Bの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、10日間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。製剤1Bについての10日間および4週間の安定性試験の結果は、以下の表1Dで報告する。10日間および4週間の試験後の出発材料と微粉化した材料とを比較したXRPDスペクトルは、図1Dに示す。
【0168】
10日間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤1BについてのPLMおよびXRPDパターンは両方とも、化合物1材料が未粉砕の出発材料と同じパターンを伴う結晶性を保ったことを示した。粒径分布の結果、10日間および4週間後に初期の試料と同様なD50が示された。純度HPLCの結果では非常にわずかな変化が示され、微粉化粉末が化学的に安定であったことを示した。
【表1D】
【0169】
さらにより大規模な調製および特徴付け
化合物1形態H(406g)を、jetmill粉砕システムの注入器に段階的に添加し、3~4バールに設定した気圧、約10g/時間の供給速度で微粉化した。微粉化した化合物1の2つのサブロット(製剤1Cおよび1D)を収集し、分析した。PLM撮像法およびXRPD(図1E)分析では、微粉化した化合物1の両方のサブロットが結晶性を保ち、形態H出発材料と同じXRPDパターンのままであったことが示された。粒径分布の結果、D10=およそ0.57μm、D50=およそ1.54μm、およびD90=およそ4.48μmが示された(表1Cに示した粉砕前後の粒径)。HPLC分析により、微粉化粉末は、99.51%純粋であることが見出され、これは出発材料と同一であった。
【表1E】
【0170】
製剤1Cの1週間および4週間の安定性試験
微粉化した製剤1Cの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、1週間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。製剤1Cについての1週間および4週間の安定性試験の結果は、以下の表1Fで報告する。1週間および4週間の試験後の出発材料と微粉化した材料とを比較したXRPDスペクトルは、図1Fに示す。
【0171】
1週間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤1CについてのPLMおよびXRPDパターンは両方とも、化合物1材料が未粉砕の出発材料と同じパターンを伴う結晶性を保ったことを示した。粒径分布の結果、1週間および4週間後に初期の1C試料および1Dの両方と同様なD50が示された。純度HPLCの結果では非常にわずかな変化が示され、微粉化粉末が化学的に安定であったことを示した。
【表1F】
【0172】
(実施例2)
化合物1形態Hの乾式ブレンド
試料の調製
未変性の化合物1形態H(6g)、粉砕したクエン酸(1.5g)およびラウリル硫酸ナトリウム(0.0075g)を45分間、粉末ミキサーシェーカーを使用してブレンドした。乾式ブレンドした後の試料の均質性をHPLCで分析した。結果は、以下の表2Aに示す。最終ブレンドの化合物1の負荷は80.0%であり、供給薬物負荷の79.9%と近かった。
【表2A】
【0173】
(実施例3)
化合物1形態Hブレンドの微粉化
試料の調製
化合物1形態H(10g)、PVP VA64(0.3g)およびラウリル硫酸ナトリウム(0.01g)を30分間、粉末ミキサーシェーカーを使用してブレンドした。乾式ブレンドした後の試料の均質性を、HPLCで分析した。結果は、以下の表3Aに示す。化合物1の負荷は96.7%であり、供給薬物負荷の96.9%と近かった。
【表3A】
【0174】
乾式ブレンド後の微粉化
約10gの製剤3Aを、jetmill粉砕器の注入器に添加し、3~4バールの注入器の気圧で微粉化した。微粉化した試料を収集し、XRPD、HPLCおよびPSDで分析した。分析の概要は、以下の表3Bで報告する。
【0175】
XRPDパターン(図2A)によると、微粉化した製剤3Aは、出発材料と同じパターンを伴う結晶性化合物1形態Hのままであった。粒径分布の分析では、D10=0.57μm、D50=1.59μm、D90=3.83μm、および2つピークを有する広範な分布プロファイルが示された。HPLCの結果、化合物1の薬物負荷は97.6%であり、初期の供給薬物負荷の96.9%と近いことが示され、試料が良好な均質性を有したことを示した。化合物1の純度は、出発材料とほぼ同じであった。
【表3B】
【0176】
1週間および4週間の安定性試験
微粉化した製剤3Aの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、1週間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。製剤3Aについての1週間および4週間の安定性試験の結果は、以下の表3Cで報告する。1週間および4週間の試験後の出発材料と微粉化した材料とを比較したXRPDスペクトルは、図2Bに示す。
【0177】
1週間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤3AについてのPLMおよびXRPDパターンは両方とも、化合物1材料が結晶性を保ったことを示したが、形態Hと微量の形態Hとの混合物であると考えられた。粒径分布の結果、1週間および4週間後にD50で軽微な変化が示された。純度HPLCの結果では非常にわずかな変化が示され、微粉化粉末が化学的に安定であったことを示した。
【0178】
(実施例4)
微粉化した形態Hのスケールアップした調製
パイロット試料の調製および特徴付け
化合物1形態H(20g)を、jetmill粉砕システムの注入器に段階的に添加し、3~4バールに設定した気圧で2時間、微粉化した。微粉化粉末(製剤4A)を収集し(79.3%収率)、PLM、XRPD、HPLCおよびPSD分析で特徴付けた。
【0179】
PLM画像およびXRPDパターン(図3A)によると、微粉化した製剤4Aは、出発材料と同じパターンを伴う結晶性化合物1形態Hのままであったが、特徴的な回折ピークの強度は、より小さい粒径により低下した。粒径分布の分析では、D10=0.66μm、D50=2.45μmおよびD90=5.53μmが示された。HPLCの結果、微粉化した化合物1の純度が98.80%であり、出発材料(98.3%)とほぼ同じであったことが示された。材料は、オフホワイト色の粉末に見え、静電気的で凝集形成した。
【表4A】
【0180】
400gスケールの微粉化
化合物1形態Hを、jetmill粉砕システムに添加し、3~4バールおよび3バールに設定した気圧、約10g/時間の供給速度で微粉化した。微粉化粉末を2つのロット(製剤4Bおよび4C)に収集し、PLM、XRPD、HPLCおよびPSD分析で特徴付けた。
【0181】
PLM画像およびXRPDパターン(図3Bおよび3C)によると、微粉化した製剤4Bおよび4Cは、出発材料と同じパターンを伴う結晶性化合物1形態Hのままであった。粒径分布の分析では、第1のロット(4B)ではD10=0.67μm、D50=2.48μmおよびD90=5.49μmを、第2のロット(4C)ではD10=0.65μm、D50=2.25μmおよびD90=4.91μmが示された。HPLCの結果、微粉化した化合物1の純度が、それぞれ98.69%および98.67%であり、出発材料(98.3%)とほぼ同じであったことが示された。両ロットの材料は、オフホワイト色の粉末に見え、静電気的で凝集形成した。
【表4B】
【0182】
(実施例5)
化合物1形態Hのさらなるブレンドした製剤
ローラー圧縮を介した乾式造粒
表5Aおよび5Bに列挙した粉末化成分は、ステアリン酸マグネシウムを除いて、30メッシュ(600μm)ふるいでスクリーニングし、25rpmで2分間V-ブレンダーを使用して混合した。ステアリン酸マグネシウムは、40メッシュ(425μm)ふるいを通してスクリーニングし、25rpmで2分間V-ブレンダーを使用して、潤滑しないプレミックスと混合した。TFC-Labローラー圧縮機(Vector Corporation)を使用して、厚さ約1mmのリボンを、ロール力500psi、ロール速度3rpm、およびスクリュー供給装置の速度30rpmを使用して得た。リボンを20メッシュ(850μm)ふるいを使用して造粒した。
【0183】
乾式造粒を介する加工は溶媒を含まず、化合物1に対する熱曝露を最小限にした。小規模の試作品は、ローラー圧縮で調製した。以下の製剤はまた、溶解度を改善することを試みるために界面活性剤および酸味剤を含む(表5A~5B)。
【表5A】
【表5B】
【0184】
湿式造粒製剤
表5Cおよび5Dに列挙した粉末化成分を、30メッシュふるいでスクリーニングし、25rpmで2分間V-ブレンダーを使用して混合した。混合物を1LのGMXボウルに移し、ミキサー/チョッパー速度250/1800rpmでアルコール溶液を用いて造粒した。溶媒を室温で蒸発させることにより除去した。乾燥材料を18メッシュ(1000μm)ふるいを使用して造粒した。
【0185】
製剤5Cおよび5Dを、高剪断造粒機を使用して、改変した「湿式造粒」アプローチを介して加工した。製剤5Cの調製では、熱曝露を避けるため、溶融した半固体の賦形剤(例えば、Gelucire、ビタミンE TPGS、Peceol)をメタノールに溶解し、溶液を、固相を組み込むための造粒液体として使用した。製剤5Dの調製では、液体界面活性剤(ポリソルベート80)を、最初にエタノールに溶解し、溶液を造粒液体として使用した。
【表5C】
(#) RTで蒸発
【表5D】
(#) RTで蒸発
【0186】
噴霧乾燥による非晶質共沈殿
化合物1形態Hを、400mLの溶媒(製剤5E=MeOH/DCM 1:1 v/v;製剤5Fおよび5G=MeOH)に溶解した。溶液をろ過して、未溶解の材料を除去した。ろ過後、100および400mLのDCMを、それぞれ透明な製剤5Fおよび5Gに添加した。次いで、ポリマーおよび界面活性剤(表5E~5Gに概説)を添加し、溶解した。溶液を、20±2g/分、入口温度65℃、噴霧圧0.15MPa、および空気流0.4m/分で、内部ノズル径711μmを伴うYamato LabスプレードライヤーモデルGB22を使用して噴霧乾燥した。全ての溶液を噴霧した後、65℃で10分間加熱し続けた。噴霧乾燥した材料を、換気フードで終夜静置した。
【表5E】
【表5F】
【表5G】
【0187】
噴霧乾燥によるさらなる非晶質共沈殿-製剤5H
化合物1形態H、Eudragit EPOおよびHPMC E3(25/37.5/37.5、wt%による)を、ガラスバイアルに添加し、1.6LのMeOH:HO(90:10 v/v)を添加し、固体を音波処理および磁気撹拌により完全に溶解して、約5mg/mLの標的化合物1濃度の透明な溶液を得た。溶液を、0.7mmのノズル、入口温度110℃、出口温度42~58℃、100%に設定した吸引器、55%に設定したポンプ、および45MPaのQ流を伴うBUCHI B290スプレードライヤーを使用して噴霧乾燥した(エラー!参照源は見出されず)。生成物を収集し、30℃で16時間、真空下で乾燥した。噴霧乾燥した材料を、PLM、SEM、XRPD、HPLCおよびmDSC試験で特徴付けた。PLM画像およびXRPDパターン(図4A)によると、非晶質の固体分散物である製剤5Hを生成した。HPLC結果によると、薬物負荷は26.1%であると決定され、純度は約98.6%であり、出発材料と同じであった。mDSCの結果、100℃でガラス転移が示された。
【0188】
製剤5Hの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、1週間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。製剤5Hについての1週間および4週間の安定性試験の結果は、以下の表5Hで報告する。1週間および4週間の試験後の出発材料と微粉化した材料とを比較したXRPDスペクトルは、図4Bに示す。
【0189】
1週間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤5HについてのPLMおよびXRPDパターンは両方とも、化合物1材料が非晶質を保ったことを示した。試料は、1週間後93℃で、4週間後110℃でガラス転移温度を提示した。純度HPLCの結果、非常にわずかな変化が示された。
【表5H】
【0190】
薬物製品
50mgの化合物1形態Hカプセル剤を、最終ブレンドをサイズ0のHPMCカプセルに充填することにより調製した。充填した最終ブレンドの重量は、API純度(98.68%)で補正した。
【表5I】
【0191】
安定性試験
噴霧乾燥した製剤5E、5Fおよび5G、ならびにカプセルロットX7を、最大4週間、2~8℃/75~95%RHでその元の調製バイアル、40℃/75%RHで40ccのHDPE密閉型(密封はしない)瓶、または25℃/60%RHでポリビニル加工のキャップ付きの15×45mmのガラス瓶で保存した。製剤5E、5Fおよび5Gの各々は、安定性試験の開始時に非晶質化合物1を含有することが見出された。
【0192】
製剤5Eの試料は、1週間後に40℃/75%RH条件下、および3週間後に2~8℃/75~95%RHで結晶化したが、25℃/60%RHで保存した試料は、非晶質のままだった。製剤5Fの試料は、APIのいかなる結晶化も示さなかったが、ラウリル硫酸ナトリウムに起因して軽微な結晶の反射(crystalline reflection)を示した。製剤5Gの試料は、2週間後に40℃/75%RH条件下で結晶化したが、カプセルロットX7は結晶化せず、製剤5GおよびカプセルロットX7は両方とも、25℃/60%RHおよび2~8℃/75~95%RHの条件で非晶質のままだった。
【0193】
揮発性物質含有量分析
溶媒を含む製剤に対して、揮発性物質含有量(含水量および残留溶媒)を、LODおよびTGAで推定した(表5J)。
【0194】
製剤5Cおよび5Dの試料を、RTで終夜乾燥した。ポビドンを含有する製剤5Eおよび5Gは、噴霧乾燥後に約4%の揮発性物質含有量を示し、周囲空気に曝露した場合に約5%に上昇した。これは、典型的には5%の含水量を含有するポビドンの吸湿性の結果と思われる。製剤5Fは、20~120℃のTGAでの約1%の重量損失を示し、終夜の水分取り込みは観察されなかった。
【表5J】
* (噴霧乾燥後/換気フードでの終夜乾燥後)
【0195】
(実施例6)
化合物1形態Hのさらなるブレンドした製剤
乾式ブレンド製剤
乾式ブレンド製剤6A~6Dは、0.5qtのV-ブレンダーを使用して調製した。粉末を、30メッシュふるいを通してスクリーニングした。賦形剤を、最初に25rpmで2分間混合し、次いで化合物1形態Hを添加し、4分間混合した。
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表6D】
【0196】
ローラー圧縮を介した乾式造粒
化合物1形態Hの乾式造粒製剤6Eおよび6Fを、実施例5に記載されるように調製した。
【表6E】
【表6F】
【0197】
薬物製品
製剤6A~6F由来の最終ブレンドを、ゼラチンカプセルに充填した(表6Gおよび6H)。カプセルのサイズは、ブレンド密度によって選択した。
【表6G】
【表6H】
【0198】
他の製剤
さらなるカプセル剤を製剤化し、サイズ0のHPMCカプセルに入れた。
【表6I】
【0199】
プラセボおよびAPI試験製剤
プラセボ製剤6Gおよび化合物1形態H製剤6Hを、それぞれ500および100gのスケールで調製した。粉末を、35メッシュふるい(0.5mm開口部)を通してスクリーニングし、25rpmでV-ブレンダーを使用して5分間混合した。最終製剤6Iのブレンドを、異なる薬物用量でゼラチンカプセルに充填した(表6L)。
【表6J】
【表6K】
【表6L】
【0200】
安定性試験
製剤6Bの化学的安定性は、40℃/75%RHで開放型および密閉型バイアルで保存した試料で評価した。結果の概説は、表6Mに示す。
【0201】
高湿度の曝露の存在でのオフホワイト色の粉末(初期試料)から灰色のペーストへの外観の著しい変化は、40℃/75%RHで開放型バイアルに保存した試料で観察された。開放型バイアルに保存した試料の外観の変化は、経時的な吸湿の結果と思われる。安定性試験を通して試料で観察された不純物プロファイルは、同時に分析したAPIのものと同等であった。バルクブレンドは、密閉型バイアルで保存した場合、少なくとも3か月間化学的に安定であった(表6M)。
【0202】
50mgの製剤6BロットX11のカプセル剤の溶解プロファイルは、図5に示した。より速く完全な放出が、1か月間40℃/75%RHで保存したカプセル剤で観察された。より遅い放出プロファイルは、1か月の保存後に試験したカプセル剤のプロファイルと比較した場合、3か月間40℃/75%RHで保存したカプセル剤から得られた。コロイド状の塊が、溶解の終了時にシンカー内部で観察された。この結果は、1か月の保存後の試料では観察されなかった。
【表6M】
【0203】
バルク/タップ密度からの粉末の流動特性
最終ブレンドのバルクおよびタップ密度(BDTD)は、タップ密度試験器(JV1000、Copley Scientific)を使用するUSP<616>の方法を使用して決定した。バルク密度は、メスシリンダー内の既知質量の粉末試料の体積を測定することにより決定した一方、タップ密度は、さらなる体積変化が観察されなくなるまでメスシリンダーを機械的にタップすることにより測定した。粉末の流動特性は、以下に記載されるバルクおよびタップ密度に対して測定した値を使用して得られたCarrの圧縮率(Compressibility Index)(CI)およびHausner比(H)の両方を使用して評価した:
CI=(タップ密度-バルク密度)/タップ密度×100%
H=タップ密度/バルク密度
値は、表6Nに概説するように解釈された。
【表6N】
【0204】
製剤6G(プラセボ)および6Hのバルクおよびタップ密度を決定し、結果を表6Oに概説する。化合物1の物理的特性は、製剤6Hについての最終BDTDがプラセボ製剤6Gのおよそ2分の1の稠密さであるような特性である。
【表6O】
【0205】
(実施例7)
有機脂質製剤
製剤7A
約60gのsolutol、30gのTPGS、および60gのPEG300を、700rpm、50℃で撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。4gの化合物1形態H(40メッシュふるいを通してふるいにかけて微細な粉末を形成)を、50℃に加熱した78mLのビヒクル溶液に添加した。溶液を25℃で撹拌して、均一に分散した溶液を形成した。
【0206】
製剤7B
約40gのプロピレングリコール、40gのLabrasol、10gのPluronic(登録商標)F68、および10gの水を、音波処理下、700rpmで撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約4gの化合物1形態H(40メッシュふるいを通してふるいにかけて微細な粉末を形成)を、40mLのビヒクル溶液に添加し、手で10分間振とうした。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加した。
【0207】
製剤7C
約21gのミグリオール812、42gのCapmul MCM、21gのトリアセチン、および56gのクレモフォールELを、音波処理下、700rpmで撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約4gの化合物1形態H(40メッシュふるいを通してふるいにかけて微細な粉末を形成)を、60mLのビヒクル溶液に添加し、10分間磁気撹拌して、均一な懸濁物を形成した。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加した。
【0208】
製剤7D
約1gのメチルセルロース、2gのTween(登録商標)80、および197gの0.01N HClを、音波処理下、700rpmで撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約4gの微粉化した化合物1形態H粉末を、15分間にわたって磁気撹拌しながら60mLのビヒクル溶液に添加して、均一な懸濁物を形成した。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加し、pHを0.8N NaOHを使用して3.0に調整した。
【0209】
製剤7E
約1gのメチルセルロース、2gのTween(登録商標)80、および197gの0.01N HClを、音波処理下、700rpmで撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約4gの微粉化した化合物1形態H粉末を、20分間にわたって磁気撹拌しながら60mLのビヒクル溶液に添加して、均一な懸濁物を形成した。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加し、pHを0.8N NaOHを使用して3.0に調整した。
【0210】
製剤7F
約1gのメチルセルロース、2gのTween(登録商標)80、および197gの0.01N HClを、音波処理下、700rpmで撹拌しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約400mgの微粉化した化合物1形態H粉末を、10分間にわたって磁気撹拌しながら6mLのビヒクル溶液に添加して、均一な懸濁物を形成した。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加し、pHを0.8N NaOHを使用して3.0に調整した。
【0211】
製剤7G
約1gのメチルセルロース、2gのTween(登録商標)80、および197gの0.01N HClを、700rpmで撹拌および音波処理しながら250mLのガラスバイアルに添加して、透明なビヒクル溶液を得た。約60mLのビヒクル溶液を125mLの瓶に添加した。ふるいにかけた化合物1形態J粉末を4.49g(HPLCアッセイ結果に基づいて計算)、磁気撹拌しながら約10分間でビヒクル溶液を含有する瓶に添加して、均一な懸濁物を得た。さらなるビヒクル溶液を、総体積が80mLになるように添加し、0.8N NaOHを使用してpHを3.0に調整した。
【0212】
(実施例8)
イヌにおけるin vivo薬物動態データ
動物飼育
新鮮な飲料水は、適宜、全ての対象に利用可能であった。対象は1日2回給餌した。PO投薬群では、対象は、投薬日前の午後(午後3:30~4:00)に給餌し、残った餌は、だいたい午後7:00に撤去した。餌は、投薬の4時間後まで与えなかった。
【0213】
製剤
カプセル製剤を使用する試験では、カプセル剤は、実施例5および6に記載されるように製剤化した。
【0214】
カプセル剤ではない微粉化ブレンドを使用する試験では、製剤は、水または水溶液中の均一で不透明な懸濁物/溶液として調製した。例えば、製剤5Bは、ガラスバイアルに正確に秤量し、撹拌を継続しながらゆっくりと水と混合した。適切な量の水を投薬溶液に添加し、標的投薬濃度を達成した。均一な不透明な懸濁物を得るまで撹拌した。
【0215】
各懸濁物/溶液の製剤の化合物1の濃度を、投薬溶液の底部、中間部および上部からアリコートを収集することにより、HPLC-UVまたはUPLCで確認した。全ての製剤試料を、分析するまでおよそ2~8℃で保存した。
【0216】
投与
対象を投薬後のおよそ4時間を通して終夜絶食した。対象は、投薬の各日、用量投与の前に秤量して、実際の用量体積を計算した。対象は、適切な製剤の単回の経口胃管投与を受けた。
【0217】
採血
血液試料を、投薬前および投薬後の様々な時点で収集した。例えば、ある特定の実験では、血液試料を、投薬の0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、16、24、30および48時間後に収集した。およそ0.5mLの血液を、各対象から末梢血管を介して各時点で収集した。血液試料を、カリウムEDTA(0.85mg~1.15mg)を含有する管に移す。次いで、血漿試料をおよそ2~8℃で10分間、3000gで血液試料を遠心分離することにより調製した。1アリコート(約200μL)をPK分析用に収集し、第2のアリコートをバックアップ用に収集した。次いで、全ての血漿試料をドライアイス上で凍結し、分析するまで-60℃またはそれより低い温度を維持した。
【0218】
分析
各試料における化合物1の血漿濃度は、以下に報告されるLC-MS/MSパラメーターを使用して決定した。
【表7】
血漿濃度データを、Phoenix WinNonlinソフトウェア(バージョン6.3、Pharsight、Mountain View、CA)を使用して非コンパートメント薬物動態分析にかけた。線形/対数台形法則を、PKパラメーターを得るのに適用した。定量下限未満だった個々の血漿濃度値を、PKパラメーターの計算から除外した。全ての血漿濃度および薬物動態パラメーターを、有効数字3桁で報告した。公称投与レベルおよび公称サンプリング時間を、全ての薬物動態パラメーターの計算に使用した。
【0219】
カプセルロットX8、X9
3匹の非ナイーブの雄ビーグル犬には、ロットX8およびX9(それぞれ、実施例4および2に記載されるように調製した製剤4Aおよび2Aを含有するカプセル剤)を、ロットX8に対して30mg/kg/日、ロットX9に対して125mg/kg/日(100mg/kg/日の活性物質(active))の総標的投与量で1日1回の経口投与で投薬した。
【0220】
投与の前に、前の実験からの試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする4日間のウォッシュアウト期間を設けた。ロットX9を投薬した1対象は、投薬後に軟便となったが、それ以外の全ての対象は、有害作用を伴わずに投与を許容した。
結果
【表8A】
【0221】
カプセルロットX16A、X17、X21、製剤7Aおよび7G
6匹の非ナイーブの雄ビーグル犬を、各3匹の対象の2つの群に分けた。全て、経口投与を介して100mg/kg/日の活性化合物の標的用量で、群1は、カプセルロットX16AおよびX17ならびに液体製剤7Aを投薬し、群2は、X21および製剤7Gを投薬した。X16Aは、1日1回、5つのカプセル剤として投与し、X17は、1日1回、3つのカプセル剤として投与し、X21は、1日1回、11~12個のカプセル剤として投与し、製剤7Aは、1日2回、50mg/mLの製剤を含む1mL/kgの投与量で投与し、製剤7Gは、1日1回、65mg/mLの製剤(50mg/mLの活性物質)を含む2mL/kgの投与量で投与した。
【0222】
各フェーズの間に、試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする3日間のウォッシュアウト期間を設けた。ロットX17を投与した1対象は、投薬後に軟便となった。全ての他の対象は、有害作用を伴わずに投与を許容した。
結果
【表8B】
【0223】
カプセルロットX1、X2、X3、X4、X5、X6、X8ならびに製剤5Bおよび7E
6匹の非ナイーブの雄ビーグル犬を、各3匹の動物/群の2つの群に分けた。群1は、本明細書の実施例5に記載されるように各々調製した、カプセルロットX1(200mg/kg;100の活性物質)、X3(200mg/kg;100の活性物質)、およびX5(250mg/kg;100の活性物質)を、1日1回の経口投与で投薬した。群2は、本明細書の実施例5および7に記載されるように各々調製した、カプセルロットX2(200mg/kg;100の活性物質)、X4(200mg/kg;100の活性物質)、X6(250mg/kg;100の活性物質)、再びX2(200mg/kg;100の活性物質)、X8(100mg/kg)、製剤5Bの水中の懸濁物(200mg/kg;100の活性;100mg/mLの投薬濃度;50の活性物質)、および製剤7E(100mg/kg;50mg/mLの投薬濃度)を、1日1回の経口投与で投薬した。X1~X6は、対象の体重に基づいて6~8個のカプセル剤として投薬し、X8は、3つのカプセル剤として投薬し、懸濁製剤は、2mL/kgで投薬した。
【0224】
各フェーズの間に、試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする3日間のウォッシュアウト期間を設けた。X5、X6およびX8を投薬した各試験の1対象は、投薬後に水様便または軟便となり、製剤5Bの懸濁物を投薬した1対象は、軟便となり、わずかに嘔吐した。全ての他の対象は、有害作用を伴わずに投与を許容した。
結果
【表8C】
【0225】
カプセルロットX10、X11、X12、X13、X14、X15、およびX16B
3匹の非ナイーブの雄ビーグル犬には、本明細書の実施例6に記載されるように各々調製した、カプセルロットX10(20mg/kg;10の活性物質)、X11(20mg/kg;10の活性物質)、X12(20mg/kg;10の活性物質)、X13(20mg/kg;10の活性物質)、X14(20mg/kg;10の活性物質)、X15(20mg/kg;10の活性物質)、およびX16B(10mg/kg)を、1日1回の経口投与で投薬した。各イヌには、対象体重により決定した1つのカプセル剤を投薬した。
【0226】
各対象は、化合物1の投与量を投与するおよそ30分前に、ペンタガストリン(0.25mg/mLおよび0.024mL/kg)を6μg/kgで筋内注射により投与した。ペンタガストリンは、ヒトの胃pHをより良好に模倣するように対象の胃pHを下げるのに役立った。各フェーズの間に、試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする3日間のウォッシュアウト期間を設けた。全ての対象は、有害作用を伴わずに投与を許容した。
結果
【表8D】
【0227】
製剤7A、7B、7Cおよび7D
3匹の非ナイーブの雄ビーグル犬には、本明細書の実施例7に記載されるように各々調製した、製剤7A、7B、7Cおよび7Dを、1日1回の経口投与で投薬した。製剤は、100mg/kgの化合物1の総標的投与量の50mg/mLの溶液の2mL/kgで投薬した。
【0228】
各フェーズの間に、試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする3日間のウォッシュアウト期間を設けた。製剤7Aおよび7Cを投薬した各試験の1対象は、投薬後に水様便または軟便となり、製剤7Aを投薬した異なる対象は、唾液分泌過剰を呈し、製剤7Cを投薬した異なる対象は、少量の嘔吐を生じた。全ての他の対象は、有害作用を伴わずに投与を許容した。
結果
【表8E】
【0229】
(実施例9)
化合物1 HCl形態Iの微粉化
試料の調製および特徴付け
化合物1のHCl塩形態Iを、30gの塩(材料および方法の節に記載されるように調製)をjetmillの注入器に段階的に添加し、4バールの注入器の気圧を使用して1時間微粉化することにより、微粉化粉末として調製した。微粉化したHCl塩粉末を収集し(86.3%収率、オフホワイト色の粉末)、PLM、XRPD、PSD、GCおよびHPLCで分析した。化合物1の微粉化したHCl塩形態IについてのXRPDパターンは、未粉砕形態Iの出発材料についての結晶性パターンと一致した。粒径分布の分析では、D10=0.62μm、D50=1.65μm、およびD90=3.75μmが示された。含水量は、未粉砕の出発材料(0.184%)よりわずかに高い0.343%であると測定したが、これは粒径の低減/表面積の増加に固有である吸湿性の増大に起因した可能性がある。微粉化粉末のイオンクロマトグラフィー分析では、HClの化合物1に対するモル比が、未粉砕の出発材料に類似した約0.85:1であったことが示された。残留イソプロパノールの含有量は、ガスクロマトグラフィーを介して3336ppmとして測定した。HPLC測定では、微粉化したHCl塩が99.80%の純度であると決定したが、これは未粉砕の出発材料(99.77%)とほぼ同一であった。いかなるさらなる賦形剤も添加物質も含まない化合物1の微粉化したHCl塩形態Iは、製剤9Aとして示される。
【表9A】
【0230】
製剤9Aの1週間および4週間の安定性試験
微粉化した製剤9Aの化学的および物理的安定性は、40mLのガラスバイアルに材料を入れ、ピンホールを開けたアルミホイルで覆い、1週間および4週間、25℃/60%RHの下、開放して保存することによって試験した。1週間および4週間、25℃/60%RH(開放)で保存した製剤9AについてのPLMおよびXRPD(図6)パターンは両方とも、化合物1 HCl塩材料が形態Iの出発材料と同じパターンを伴う結晶性を保ったことを示した。粒径分布の結果、1週間および4週間後に初期の試料と同様なD50が示された。純度HPLCの結果ではほとんど変化は示されず、HCl塩形態Iの微粉化粉末形態が化学的に安定であったことを示した。
【0231】
(実施例10)
化合物1形態Hのさらなるブレンドした製剤および関連するプラセボ製剤
さらなる乾式ブレンド製剤
プラセボ製剤10A(表10A)および化合物1形態Hの製剤10B(表10B)のブレンドを、それぞれ500および100gのバッチサイズで調製して、スケールアップした実現可能性を評価した。これらのブレンドに対して、粉末を35メッシュ(500μm)ふるいを通してスクリーニングし、V-ブレンダーを使用して25rpmで5分間混合した。
【0232】
製剤10C(表10C)を、微粉化した化合物1形態Hを使用して調製した。微粉化した化合物1形態Hとのブレンドの均一性および均質性を改善するために、クエン酸(顆粒グレード)を、乳棒と共に乳鉢を使用して粉砕し、秤量前に60メッシュ(250μm)でふるいにかけ、それにより低減した平均粒径のクエン酸を生成した(以下、微細顆粒「FG」クエン酸と呼ぶ)。他の粉末は、30メッシュふるいを通して共にスクリーニングし、V-ブレンダーを使用して25rpmで2.5分間混合した。この混合物を、30メッシュふるいを通して再びスクリーニングし、さらに2.5分間混合するためにV-ブレンダーに戻した。ブレンドを2つの部分(20および40g)に分けた。20gは直接カプセル化した。他の40gはローラー圧縮した。
【0233】
製剤10Cの40g部分のローラー圧縮は、Vector TFC-Laboを使用して実施した。ロールに付着/固着したブレンドを、全ての動作パラメーターで試験した。均一/規則的であるリボンは形成されなかったが、圧縮した材料は、へらでこすり取ることで回収し、20メッシュ(850μm)ふるいを通してスクリーニングした。製剤10D(表10D)を生成するステアリン酸マグネシウムの追加により、加工は著しく改善した。
【表10A】
【表10B】
【表10C】
*粉砕/手でスクリーニング(60メッシュ)
【表10D】
【0234】
製剤10Eを、製剤10C用に使用した粉砕60メッシュと同様であるPSDと一致するクエン酸無水物の微細顆粒(FG)とクエン酸無水物の粉末(P)との組合せを使用することにより調製した。FGおよびPの異なる組合せを調製し、粒径分布(PSD)およびバルク密度/タップ密度(BDTD)で分析し、FG/P 35:10の混合物を選択した。なぜならば、粒径分布が、製剤10Cで使用される粉砕およびスクリーニングされたクエン酸と最もよく一致したことから選択した。ラウリル硫酸ナトリウムは、0.5分間ブレンダーに単独で導入して、内壁をコーティングした。次いで、ブレンダーからの他の粉末およびSLSを、製剤10Cで行ったように、35メッシュ(500μm)ふるいを使用して共にスクリーニングし、混合した。新しいプラセボ製剤10F(表10F)はまた、製剤10Eと直接的な比較として、顆粒の無水クエン酸および粉末化した無水クエン酸の両方で製剤化した。
【表10E】
【表10F】
【0235】
最終ブレンドを、表10Gに示すように異なる薬物用量でゼラチンカプセルに充填した。
【表10G】
【0236】
(実施例11)
微粉化したHCl塩形態を利用する、イヌにおけるin vivo薬物動態試験
動物飼育
動物を収容している部屋は、相対湿度(40%~70%の標的とする平均範囲)および温度(18~26℃の標的とする平均範囲、この範囲からの任意の偏位は逸脱として文書化する)を、10~20回の換気/時間を伴って制御し、モニタリングした。部屋は、試験活動で中断する必要がある場合を除いて、12時間の明/暗サイクルを維持した。
【0237】
動物は、順化の期間、適用可能な動物保護の法律および規定にしたがうケージに2匹ずつ収容した。イヌは、実験の期間、ケージに個々に収容した。逆浸透水は、適宜、動物に利用可能であった。強化トイ(enrichment toy)もまた提供した。
【0238】
動物には、およそ220グラムのCertified Dog Diet daily(認証業者)を1日2回給餌した。これらの量は、群の餌消費量または個々の体重変化に基づいて必要に応じて調整した。
【0239】
動物には、経口投薬日前の午後(午後3:30~4:00)に給餌し、残った餌は、午後7:00に撤去した。投薬日には、餌は、プロトコールに指定されない限り、投薬の2時間後まで与えなかった。動物には、およそ220グラムの餌の量で投薬日に1回給餌した。
【0240】
製剤
カプセル製剤を、材料および方法の節で調製した未粉砕形態において微粉化した製剤9Aとして化合物1 HCl塩形態Iを使用し、微粉化した遊離塩基の製剤10Dおよび10Eを使用して調製した。水性懸濁製剤もまた、実施例8に記載されるのと類似の方法で調製した製剤10Eを使用して調製した。本試験で使用した製剤の概説は、以下の表11Aに記載する。
【表11A】
【0241】
投与
対象は、投薬後のおよそ2時間まで終夜絶食させた。対象を、投薬の各日、用量投与の前に秤量して、実際の用量体積を計算した。対象は、適切な製剤の単回の経口胃管投与を受けた。
【0242】
採血
血液試料を、投薬前および投薬後の様々な時点で収集した。血液試料を、投薬の0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、12、16、20、24、30および48時間後に収集した。およそ0.25mLの血液を、各対象から末梢血管を介して各時点で収集した。血液試料を、カリウムEDTA(0.85mg~1.15mg)を含有する管に移す。次いで、血漿試料を、収集の1時間以内に、およそ2~8℃で10分間、3200gで血液試料を遠心分離することにより調製した。血漿試料(約0.1mL)を、ポリプロピレンのマイクロ遠心分離管に収集し、バックアップとして保存した。全ての血漿試料をドライアイス上で凍結し、分析するまで-60℃以下を維持した。
【0243】
分析
試料およびデータの分析を、実施例8に報告するように行った。
【0244】
カプセルロットX34、X35、X36、およびX38、ならびに懸濁物X37
3匹の雄ビーグル犬には、カプセルロットX34、X35、X36、およびX38(表11Aに記載されるようにそれぞれ、化合物1 HCl塩形態I、未粉砕、製剤9A、製剤10E、および製剤10Dを含有するカプセル剤)、ならびに懸濁物ロットX37(表11Aに記載されるように製剤10Eを含有する水性懸濁物)を、10mg/kg/日の化合物1の総標的投与量で1日1回の経口投与で投薬した。
【0245】
各対象は、化合物1の投与量を投与するおよそ30分前に、ペンタガストリン(0.25mg/mLおよび0.024mL/kg)を6μg/kgで筋内注射により投与した。ペンタガストリンは、ヒトの胃pHをより良好に模倣するように対象の胃pHを下げるのに役立った。投与の前に、前の実験からの試験対象からの化合物1のクリアランスを可能にする3日間のウォッシュアウト期間を設けた。有害作用は、対象において観察されなかった。
結果
【表11B】
【0246】
当業者は、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載される具体的な組成物および手順に対する多くの均等物を認識する、または確認することができるだろう。このような均等物は、本開示の範囲内にあるとみなされ、以下の特許請求の範囲で網羅される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】