(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】持効型神経成長因子ポリペプチド及びその用途
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20231201BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231201BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231201BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231201BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231201BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231201BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231201BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20231201BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231201BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20231201BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231201BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231201BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231201BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231201BHJP
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A61P 13/00 20060101ALI20231201BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231201BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231201BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231201BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231201BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231201BHJP
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A61P 1/02 20060101ALI20231201BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20231201BHJP
C07K 14/48 20060101ALN20231201BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20231201BHJP
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C12N 15/12 20060101ALN20231201BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K38/18
A61P25/00
A61P27/16
A61P17/02
A61P9/10
A61P21/00
A61P27/02
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A61P9/00
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A61P37/06
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A61P1/02
A61K47/68
C07K14/48
C07K16/00
C12N15/13
C12N15/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530581
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2021131614
(87)【国際公開番号】W WO2022105847
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/129925
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521225823
【氏名又は名称】舒泰神(北京)生物製薬股フン有限公司
【氏名又は名称原語表記】STAIDSON (BEIJING) BIOPHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.36, Jinghai Er Road, Beijing Economic-Technological Development Area Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,レイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
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4H045FA74
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(57)【要約】
本発明は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含む持効型神経成長因子(NGF)ポリペプチド、及びその製造方法と用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N端からC端までNGF部分とFc部分とを含むポリペプチドであって、前記NGF部分は配列番号1~3のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、前記Fc部分はIgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来する、持効型神経成長因子(NGF)ポリペプチド。
【請求項2】
前記NGF部分がポリペプチドリンカーを介してFc部分に融合されている、請求項1に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドリンカーが配列番号68~72のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドリンカーがアミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、前記nが1、2、3、4、5及び6のうちのいずれか1つである)を含む、請求項2又は3に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項5】
前記Fc部分が配列番号7又は8のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来する、請求項1~4のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項6】
前記Fc部分が、配列番号8に対するE233、L234、L235、G236、G237、N297、A327、A330及びP331から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む、請求項5に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項7】
前記Fc部分が、配列番号8に対してE233P、L234V、L234A、L235A、L235E、G236del、G237A、N297A、A327G、A330S及びP331Sから選択された1つ又は複数の変異を含む、請求項5又は6に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項8】
前記Fc部分が、配列番号7又は8のアミノ酸配列の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している、請求項5~7のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項9】
前記Fc部分が、配列番号8に対してL234A、L235A、およびP331S変異を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項10】
前記Fc部分が配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項11】
前記持効型NGFポリペプチドが、配列番号62~64のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項12】
前記Fc部分が、配列番号8に対してE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項13】
前記Fc部分が配列番号15又は16のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項14】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号66のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項15】
前記Fc部分が、配列番号8に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項16】
前記Fc部分が配列番号13又は14のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項17】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号65のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項18】
前記Fc部分が配列番号8に対してN297A変異を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項19】
前記Fc部分が配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項20】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号61のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項21】
前記Fc部分が配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来する、請求項1~4のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項22】
前記Fc部分が、配列番号17に対するS228、F234及びL235から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む、請求項21に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項23】
前記Fc部分が、配列番号17に対してS228P、F234A及びL235Aから選択された1つ又は複数の変異を含む、請求項21又は22に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項24】
前記Fc部分が配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項21~23のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項25】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号67のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項26】
静脈注射、筋肉注射、眼内注射又は皮下注射によってヒト個体に投与された場合、少なくとも10時間の半減期を有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項27】
前記持効型NGFポリペプチドは、配列番号3又は4のアミノ酸配列を有するNGF部分を含むNGFポリペプチドと比較して、引き起こした痛みが少ない、請求項1~26のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項29】
請求項28に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項30】
請求項29に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項31】
請求項1~27のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチドと、薬学的に許容されるキャリア及び/又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項32】
NGF関連疾患を治療するための医薬品の調製における、請求項1~27のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド、請求項28に記載の単離された核酸、請求項29に記載のベクター、請求項30に記載の宿主細胞、又は請求項31に記載の医薬組成物、の使用。
【請求項33】
前記NGF関連疾患が神経系疾患である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記神経系疾患が、新生児低酸素性虚血性脳症、脳性麻痺、重症疾患ミオパシー、神経性難聴、反回神経損傷、外傷性脳損傷、歯神経損傷、脳卒中、ダウン症、筋萎縮性脊髓側索硬化症、多発性硬化症、脊髓性筋萎縮症、びまん性脳損傷、胸腺異形成、視神経挫傷、濾胞性異形成、脊髓損傷、緑内障、神経栄養性角膜炎、視神経損傷、視神経脊髄炎、網膜関連疾患、尿失禁、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、認知症、高血圧性脳出血神経機能障害、脳小血管疾患、急性虚血性脳卒中、角膜内皮ジストロフィー、糖尿病性神経障害、糖尿病性足潰瘍、神経性皮膚潰瘍、褥瘡、神経栄養性角膜潰瘍、糖尿病性角膜潰瘍及び黄斑円孔からなる群より選択される、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記神経系疾患が、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病、又は神経栄養性角膜炎である、請求項33又は34に記載の使用。
【請求項36】
前記NGF関連疾患が非神経系疾患である、請求項32に記載の使用。
【請求項37】
前記非神経系疾患が、脾臓萎縮、脾臓挫傷、卵巣予備能低下、早発卵巣不全、卵巣過剰刺激症候群、卵巣遺残症候群、卵胞異形成、精子形成障害(例えば、精子軽減症、精子無力症、精子軽減無力症)、虚血性潰瘍、ストレス性潰瘍、リウマチ性潰瘍、肝線維症、角膜潰瘍、火傷、口腔潰瘍及び静脈性下肢潰瘍からなる群より選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記非神経系疾患が早発卵巣不全又は精子形成障害である、請求項36又は37に記載の使用。
【請求項39】
前記医薬組成物が一個体当たり0.01μg~1000μgの用量で投与される、請求項32~38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記医薬組成物が1週間に1回又は1ヶ月間に1回の投与頻度で投与される、請求項32~39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項41】
前記医薬組成物が、経口、皮下、静脈、脳内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、又は眼内より投与されるか、或いは局所に投与される、請求項32~40のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、2020年11月19日に出願された国際特許出願No.PCT/CN2020/129925の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
(配列表をASCII TEXTテキストファイルとして提出)
【0002】
以下に提出されたASCII TEXTテキストファイル(ファイル名:202009094982_SEQLIST.txt、記録日:2020.09.09、サイズ:169KB)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:コンピューター読み取り可能な形式(CRF)の配列表。
【技術分野】
【0003】
本発明は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含む持効型神経成長因子(NGF)ポリペプチド、及びその製造方法と用途に関する。
【背景技術】
【0004】
神経栄養因子は、脊椎動物の神経系の発生及び成熟段階におけるニューロンの生存と維持に重要な、相同性の高い成長因子のファミリーである。神経栄養因子の産生が制限されるのは、末梢神経系(PNS)又は中枢神経系(CNS)ニューロンの変性又は死亡につながる恐れがある。
【0005】
神経成長因子(NGF)は、神経栄養因子ファミリー中の最初に発見されたメンバーであり、1953年にイタリアの科学者Levi-Montlciniによってマウスの肉腫細胞で最初に発見された。NGFは神経成長調節因子であり、ニューロンに栄養を提供し、神経突起成長を促進するという2つの生物学的機能を持ち、中枢及び末梢神経ニューロンの発生、分化、成長、再生及び機能発現において重要な調節的役割を果たす。NGFはα、β及びγの3つのサブユニットを含む。βサブユニットは、2本の一本鎖が非共有結合で結合した活性領域である。
【0006】
NGFは何十年も研究されてきた。しかし、実用化における制限や問題などの根本的な原因で、市販されているNGF製品は非常に少なく、その大半の製品は主に角膜潰瘍、視神経挫傷及び視覚障害などの眼科疾患の治療に使用されるものである。
【0007】
他のタンパク質と同様に、NGFの生物活性はその二次構造と三次構造に依存するため、調製、精製、保存及び投与中にその生物活性を維持することが特に重要である。
【0008】
さらに、治療中、NGFは一部の患者に耐え難い疼痛を引き起こすことが、その使用をある程度制限している。疼痛は、神経生理学的メカニズムに従って、感覚痛と神経因性疼痛の2つに分類される。前者は、侵害刺激によって直接引き起こされ、組織損傷又は炎症反応に関連し、炎症性疼痛とも呼ばれる。後者は、体性感覚神経系損傷又は疾患によって直接引き起こされる慢性疼痛である。NGFは、炎症媒質の放出、イオンチャネルの開放及び神経線維の成長の促進に影響を与えることで疼痛を引き起こし、疼痛の病態生理学的プロセスに関与する。イオンチャネルと分子シグナル伝達を調節することで疼痛の発生に関与する。一部の学者は、NGFが疼痛誘発物質の発現を促進することによって疼痛を引き起こす場合もあり、しかも生物の損傷後のニューロンの出芽と再生を変化させる可能性があると推測している。研究によると、ヒトに痛覚過敏を引き起こさないNGFの最大投与量は0.03μg/kgであった(Petty et al.,Ann Neurol.1994, 36(2):244-246)。しかしながら、このような低用量はNGFの適用を制限し、中枢神経系などの適応症の拡大も制限する。
【0009】
NGFは、タンパク質薬剤として、神経成長を促進する活性部分が主にβ-NGFにある。β-NGFは、沈降係数が2.5S、分子量が13.5KDaであり、そして代謝過程で糸球体によって容易にろ過されるため、体内での半減期が短くなる。研究によると、β-NGF薬剤が1日1回の注射頻度としてマウスに筋肉注射されると、T1/2(β)=2.2h、Tmax=0.5hであった。NGFは、注射期限において注射部位又は注射側下肢に有害な疼痛反応を示すために、総投与回数及び投与頻度を減らすことが望ましい。
【0010】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、特許出願及び開示された特許出願の開示は、参照によりその全部が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含むポリペプチドであって、前記NGF部分が配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号1~3のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列)を含み、前記Fc部分がIgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来する、持効型神経成長因子(NGF)ポリペプチドに関する。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかの持効型NFGポリペプチドは、NGF部分がペプチドリンカーを介してFc部分に融合されている。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68~99のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、例えば、配列番号68~72或いは配列番号68又は69のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかの持効型NGFポリペプチドは、Fc部分が配列番号7又は8のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8に対するE233、L234、L235、G236、G237、N297、A327、A330及びP331から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8に対して、E233P、L234V、L234A、L235A、L235E、G236del、G237A、N297A、A327G、A330S及びP331Sから選択された1つ又は複数の変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8に対してL234A、L235A、およびP331S変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは配列番号62~64のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8に対してE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号15又は16のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは配列番号66のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号13又は14のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは配列番号65のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号8に対してN297A変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかの持効型NGFポリペプチドは、Fc部分が、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対するS228、F234及びL235から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対してS228P、F234A及びL235Aから選択された1つ又は複数の変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかの持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、持効型NGFポリペプチドの半減期が、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)である。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記のいずれかの持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列のNGF部分を含むNGFポリペプチドと比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0017】
また、本発明の他の態様は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸、前記核酸を含むベクター、前記核酸又はベクターを含む宿主細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞、Hela細胞又はCOS細胞)、組成物(例えば、医薬組成物)又はキット、及び本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドを含む製品に関する。本発明の別の態様は、個体(例えば、ヒト)におけるNGF関連疾患(例えば、神経系疾患又は非神経系疾患)を治療するために、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチド又はそれを含む医薬組成物を使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、ヒト野生型IgG1 Fc IGHG1*05とIgG1 Fc天然変異体IGHG1*03(
図1A)の配列アラインメントを示すものである。
【
図1B】
図1Bは、修飾されたIgG1 Fc M1-5とIGHG1*03(
図1B)配列アラインメントを示すものである。
【
図1C】
図1Cは、修飾されたIgG1 Fc M3-5とIGHG1*03(
図1C)配列アラインメントを示すものである。
【
図1D】
図1Dは、修飾されたIgG1 Fc M5-5とIGHG1*03(
図1D)の配列アラインメントを示すものである。
【
図1E】
図1Eは、修飾されたIgG1 Fc M7とIGHG1*03(
図1E)配列アラインメントを示すものである。
【
図1F】
図1Fは、修飾されたIgG4 Fcとヒト野生型IgG4 Fc(
図1F)の配列アラインメントを示すものである。
【
図2】
図2は、シグナルペプチド(SP)、プロペプチド及び成熟NGFを含むプレプロNGF構造を示すものである。主要な切断部位でのフリン切断は、プロNGFから成熟NGFへのプロセッシングの責任を担当する。
【
図3A】
図3Aは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-4-12PAA)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3B】
図3Bは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(FD-G4Fc)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3C】
図3Cは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(WM-G24Fc)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3D】
図3Dは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3E】
図3Eは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-1-15M7)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3F】
図3Fは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-1-15M7)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3G】
図3Gは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-L3Fc10M7)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3H】
図3Hは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-L3Fc10-M3-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3I】
図3Iは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-118-L3Fc10-M3-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3J】
図3Jは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3K】
図3Kは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-LFc10-M1-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3L】
図3Lは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M5-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図3M】
図3Mは、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc1оM7-5)の凝集体パーセンテージ、断片含有量パーセンテージ及び単量体含有量パーセンテージを示すものである。
【
図4A】
図4Aは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-4-12PAA)の検出結果を示すものである。
【
図4B】
図4Bは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(FD-G4Fc)の検出結果を示すものである。
【
図4C】
図4Cは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(WM-G24Fc)の検出結果を示すものである。
【
図4D】
図4Dは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM)の検出結果を示すものである。
【
図4E】
図4Eは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-1-15M7)の検出結果を示すものである。
【
図4F】
図4Fは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-1-15M7)の検出結果を示すものである。
【
図4G】
図4Gは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-L3Fc10M7-5)の検出結果を示すものである。
【
図4H】
図4Hは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-L3Fc10-M3-5)の検出結果を示すものである。
【
図4I】
図4Iは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(NGF-118-L3Fc10-M3-5)の検出結果を示すものである。
【
図4J】
図4Jは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5)の検出結果を示すものである。
【
図4K】
図4Kは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M1-5)の検出結果を示すものである。
【
図4L】
図4Lは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M5-5)の検出結果を示すものである。
【
図4M】
図4Mは、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)法により測定した40℃安定性加速試験における異なる時点での成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10M7-5)の検出結果を示すものである。
【
図5A】
図5Aは、各NGF-Fc融合タンパク質処理下でのTF-1細胞の増殖活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF、NGF改変体118aa(mNGF118)及び組換えヒトNGF(rhNGF)は対照とした。
【
図5B】
図5Bは、各NGF-Fc融合タンパク質処理下でのTF-1細胞の増殖活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF、NGF改変体118aa(mNGF118)及び組換えヒトNGF(rhNGF)は対照とした。
【
図6A】
図6Aは、ラットにおける上頸神経節(SCG)の成長に対する各NGF-Fc融合タンパク質の生物活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF及びmNGF118は対照とする。PBSは陰性対照とした。
【
図6B】
図6Bは、ラットにおける上頸神経節(SCG)の成長に対する各NGF-Fc融合タンパク質の生物活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF及びmNGF118は対照とする。PBSは陰性対照とした。
【
図6C】
図6Cは、ラットにおける上頸神経節(SCG)の成長に対する各NGF-Fc融合タンパク質の生物活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF及びmNGF118は対照とする。PBSは陰性対照とした。
【
図6D】
図6Dは、ラットにおける上頸神経節(SCG)の成長に対する各NGF-Fc融合タンパク質の生物活性の結果を示すグラフである。ただし、SuTaiSheng
RマウスNGF及びmNGF118は対照とする。PBSは陰性対照とした。
【
図7A】
図7Aは、血漿中の2-118-L3Fc10-M3-5、2-118-L3G4-BM及び対照群mNGF118(Fc融合のないβ-NGF118aa変異体)の薬物動態学(PK)曲線を示すグラフである。
【
図7B】
図7Bは、筋肉注射用量が235μg/kgであった場合のそれら(
図7A)のインビボでの半減期を示すものである。
【
図8】
図8は、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)で処理された糖尿病マウスの創傷治癒率を示すグラフである。ただし、PBS処理は陰性対照とした。
【
図9A】
図9Aは、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)で処理されたヒト卵巣顆粒膜腫瘍細胞株(KGN)の増殖率を示すグラフである。
【
図9B】
図9Bは、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)で処理されたヒト卵巣顆粒膜腫瘍細胞株(KGN)の分泌されたエストロゲン濃度を示すグラフである。
【
図9C】
図9Cは、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)で処理されたラット早発卵巣不全動物疾患モデルにおける異なるレベルでの卵胞の数を示すグラフである。
【
図10A】
図10Aは、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)又は陰性対照になる0.9%塩化ナトリウム溶液で処理された神経栄養性角膜炎動物モデルにおける角膜フルオレセインナトリウム染色スコアを示すグラフである。
【
図10B】
図10Bは、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)又は陰性対照になる0.9%塩化ナトリウム溶液で処理された神経栄養性角膜炎動物モデルにおける平均角膜神経長を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。用語「持効型NGFポリペプチド」、「持効型NGF-Fc融合タンパク質」及び「持効型NGF構築物」は交換可能に使用される。
【0020】
NGFは、中枢及び末梢神経ニューロンの発生、分化、成長、再生及び機能的発現において重要な調節的役割を果たす。NGFは、弱視、神経腫、様々な神経損傷及び神経系疾患などの神経系の成長異常の治療に使用されている。しかし、NGFは、痛みを引き起こすか、インビボでの半減期が短いので、痛覚過敏を避けるための低用量制限、及び頻繁ななどの副作用により、NGFの幅広い適用が制限される。より長い半減期及び/又はより大きい分子量を有する部分にタンパク質系薬剤を融合させることは、特定のタンパク質薬剤に持効型活性を付与するための1つの戦略である。しかし、タンパク質薬剤の半減期を延長しながら生物活性を増加又は維持するかは、依然として臨床的に困難な問題である。
【0021】
本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、以下の一つまたは複数の優れた効果を有する。1)本発明による持効型NGFポリペプチドではインビトロとインビボの両方で生物活性が高く(例えば、上頸神経節の成長を促進する)、既存のNGF-Fc融合タンパク質又はNGF薬物よりも優れている。2)本発明による持効型NGFポリペプチドでは、インビボで半減期が長く、融合部分のないNGFタンパク質よりもはるかに長いだけでなく、既存のNGF-Fc融合タンパク質よりも大幅に長いため、投与頻度及び総投与回数が軽減し、患者に利便性を提供し、コストを削減することが図れる。3)本発明による持効型NGFポリペプチドによれば、痛みなどの副作用の軽減、さらには無痛を図れるため、患者の耐用量が増加し、適応症範囲の拡大及び中枢神経系への適用が可能になる。4)本発明による持効型NGFポリペプチドによれば、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)が低減又は最小化されるので、治療中に望ましくない免疫応答を回避する。5)本発明による持効型NGFポリペプチドでは、優れた熱安定性を有する(例えば、高い融解温度(Tm)及び/又は高い凝集開始温度(Tagg))。6)本発明による持効型NGFポリペプチドでは、断片化、凝集体の形成及び/又は凝集体の成長が少ないか全くないという、加速ストレス(例えば、加熱)下で優れた安定性を示し、薬物特性が維持される。7)本発明による持効型NGFポリペプチドでは、例えば、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病及び神経栄養性角膜炎などの神経系疾患、早発卵巣不全及び精子形成障害(例えば、精子軽減症、精子無力症、精子軽減無力症)などの非神経系疾患といったNGF関連疾患のインビボでの治療に非常に有効であり、Fcに融合されていないNGF部分と比較して、同等又はそれ以上の治療効果を有する。
【0022】
そこで、本発明の一態様は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含むポリペプチドであって、前記NGF部分が配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、前記Fc部分がIgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来する、持効型NGFポリペプチドに関する。
【0023】
また、本発明の別の態様は、前記持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸、前記核酸を含むベクター、前記核酸又はベクターを含む宿主細胞、前記持効型NGFポリペプチドの生産方法、医薬組成物、及び前記持効型NGFポリペプチドを含む生産製品、ならびに疾患(例えば、糖尿病性神経障害や、アルツハイマー病、神経栄養性角膜炎などのニューロンの変性又は損傷に関連する神経系疾患、早発卵巣不全や精子形成障害などの非神経系疾患)を治療するために前記持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物を使用する方法に関する。
I.定義
【0024】
文脈が明確に別段の指示をしない限り、本発明の実施には、以下に詳述される当技術分野の技術的範囲内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学及び組換えDNA技術の従来の方法を採用する。前記技術については、文献で十分に説明されていて、Current Protocols in Molecular Biology or Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.(2009);Ausubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology,3rd ed.,John Wiley & Sons,1995;Sambrook and Russell,Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition,2001);Maniatis et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1982);DNA Cloning: A Practical Approach,vol.I&II (D.Glover,ed.);Oligonucleotide Synthesis (N.Gait,ed.,1984);Nucleic Acid Hybridization (B.Hames & S.Higgins,eds.,1985);Transcription and Translation (B.Hames & S.Higgins,eds.,1984);Animal Cell Culture (R.Freshney,ed.,1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning (1984)及び他の同様の参考資料を参照のこと。
【0025】
本明細書で使用される場合、「処理」又は「治療すること」は、臨床結果を含む、有益又は望ましい結果を図るためのアプローチである。本発明の目的によれば、前記有益又は望ましい臨床結果としては、以下に限定されないが、疾患によって引き起こされた一つ又は複数の症状を緩和すること、疾患の範囲を軽減すること、疾患を安定させる(例えば、疾患の悪化を予防又は遅延させる)こと、疾患の蔓延を予防又は遅延させること、疾患の再発を予防又は遅延させること、疾患の進行を遅延又は遅らせること、疾患の状態を改善すること、疾患を緩和する(部分的又は全体的)こと、疾患の治療に必要な一つ又は複数の他の薬物の用量を減らすこと、疾患の進行を遅延させること、生存の品質を改善すること及び/又は生存期間を延長することのうちの一つ又は複数が挙げられる。また、「治療」には、疾患の病理学的結果を軽減することも含まれる。本発明の方法は、治療に関するこれらの任意の1つ又は複数の側面を考慮してなされるものである。例えば、この疾患によって引き起こされた症状の軽減、この疾患を患う患者の生活の質の改善、疾患の治療に必要な他の薬物の用量の削減、及び/又は個体の生存期間の延長を含むがこれらに限定されない、この疾患に関連する1つ又は複数の症状が緩和又は除去される場合は、この患者は「治療」に成功したと見なされる。
【0026】
用語「予防」、及び「予防される」、「予防する」などの類似の単語は、疾患又は病気の再発の可能性を予防、阻害又は低減する方法を意味する。また、これは、疾患又は病気の再発を遅延させること或いは疾患又は病気の再発を遅延させることも指す。本明細書で使用される場合、「予防」及び類似の単語には、疾患又は病気が再発する前に、疾患又は病気の強度、影響、症状及び/又は負担を軽減することも含まれる。
【0027】
本明細書で使用される場合、疾患の進行を「遅延させる」ことは、疾患の進行を延ばすこと、阻害すること、遷延すること、遅らせること、安定させること及び/又は遅くすることを意味する。遅延される時間は、疾患の病歴及び/又は治療を受ける個体によって異なる場合がある。疾患の進行を「遅延させる」方法とは、この方法を使用しない場合と比較して、特定の時間範囲内で疾患の進行確率を低下させ、かつ/又は特定の時間範囲内で疾患の程度を低下させる方法を指す。このような比較は、通常、統計的に有意な個体数を使用した臨床研究に基づいて行われる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」とは、特定の障害、病気又は疾患を治療する、例えば、1つ又は複数の症状を改善、軽減、減弱及び/又は遅延させるのに十分な薬物の用量又は医薬組成物の用量を指す。いくつかの実施形態において、有效量は、疾患の進行を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施形態において、有效量は、疾患の再発を予防又は遅延させるのに十分な量である。有效量は1回又は複数回で投与される量とされてもよい。いくつかの実施形態において、薬物又は組成物の有效量によれば、(i)ニューロンの生存を支持すること、(ii)神経突起成長を促進すること、(iii)神経化学的分化を増強すること、(iv)膵β細胞の増殖を促進すること、(v)自然免疫及び/又は獲得免疫を誘導すること、(vi)疾患の発生及び/又は再発を予防又は遅延させること、かつ/又は(vii)この疾患に関連する1つ又は複数の症状をある程度緩和することを図れる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「個体」又は「主体」とは、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯類又は霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。いくつかの実施形態において、前記個体とはヒトを指す。
【0030】
用語「定常ドメイン」とは、免疫グロブリン分子の一部を指し、抗原結合部位の可変ドメインを含む免疫グロブリン分子の別の部分と比較して、さらなる保存性のアミノ酸配列を有するものである。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2及びCH3ドメイン(CHと通称される)及び軽鎖のCHL(又はCL)ドメインを含む。免疫グロブリン重鎖(CH)定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラス又はサブタイプに分類することができる。免疫グロブリンには、重鎖がそれぞれα、δ、ε、γ及びμであるIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスがある。CH配列および機能の比較的小さな違いに基づいて、γおよびαはさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトには、IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2のサブクラスが発現される。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「Fc領域」、「断片結晶領域」、「Fcドメイン」又は「Fc部分」は、免疫グロブリン重鎖のC端領域を定義するために使用され、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の区画は場合によって異なることがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226位置のアミノ酸残基又はPro230から始まり、そのカルボキシル末端まで伸びると定義されるのが一般である。Fc領域のC端のリジン(EU番号付けシステムによる447残基)は、例えば、タンバク質の生産又は精製中に除去されてもよく、タンバク質をコードする核酸の組換え操作によって除去されてもよい。本明細書に記載されている構築物で使用するための適切な天然配列Fc領域には、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3及びIgG4が含まれる。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語IgG「サブタイプ」又は「サブクラス」とは、定常ドメインの化学的及び抗原的特性によって定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを指す。免疫グロブリンは、主にIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスに分類され、さらにその幾つがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2などのサブクラス(サブタイプ)に分類されることがある。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、γ、E、γ及びμと呼ばれる。クラスが異なる免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元配置は周知であり、Abbasらの《細胞及び分子免疫学》第4版(W.B.Saunders,Co.,2000)に詳細に記載されている。
【0033】
「Fc受容体」又は「FcR」は、Fc含有構造(例えば、抗体)中のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRはヒトFcR天然配列である。さらに、好ましいFcRとしては、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、例えば、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIなどの受容体サブクラス、ならびにこれらの受容体の対立遺伝子多様体及び選択的にスプライシングされたこれらの形態が挙げられる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、それらは類似のアミノ酸配列を持ち、主に細胞質ドメインが異なる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む(M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照のこと)。Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994)及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)には、FcRsについて概説されている。本明細書における用語「FcR」には、将来にFcRsとして同定される可能性のあるものを含むほかのFcRsが包含される。
【0034】
用語「Fc受容体」又は「FcR」には、胎児への母体IgGの転移を担う新生児受容体FcRnも含まれる。Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994)を参照のこと。FcRnへの結合を測定する方法は周知である(Ghetie and Ward,Immunol.Today 18:(12):592-8(1997);Ghetie et al.,Nature Biotechnology 15(7):637-40(1997);Hinton et al.,J.Biol.Chem.279(8):6213-6(2004);WO 2004/92219(Hinton et al.)を参照のこと)。インビボ及び血清中のFcRnに結合するヒトFcRn高親和力結合ポリペプチドの半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又はトランスフェクトされたヒト細胞株、或いは多様体Fc領域を有するポリペプチドを投与した霊長類において測定することができる。WO2004/42072(Presta)には、FcRsへの結合を増強又は減弱する抗体改変体について詳述されている。Shield et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと。
【0035】
「抗体エフェクター機能」とは、Fc含有構造(例えば、抗体)中のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列改変体Fc領域)によって引き起こされる生物活性を指し、Fcサブタイプに従って変化する。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えば、B細胞受容体)及びB細胞活性化が挙げられる。抗体エフェクター機能を「低下又は最小化する」とは、野生型又は修飾されていないFc含有構造(例えば、抗体)の場合と比較して少なくとも50%(或いは60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)と低下することを意味する。抗体エフェクター機能は、当業者なら容易に決定及び測定し得る。好ましい実施形態では、補体結合、補体依存性細胞傷害及び抗体依存性細胞傷害の抗体エフェクター機能は影響を受けることがある。いくつかの実施形態において、エフェクター機能は、グリコシル化を除去した定常ドメインにおける変異、例えば「エフェクター機能のない変異」によって除去される。いくつかの実施形態において、エフェクター機能のない変異体は、CH2領域におけるN297A又はDANA変異(D265A+N297A)である。Shields et al.,J.Biol.Chem.276(9):6591-6604(2001)を参照のこと。また、エフェクター機能の低下又は除去をもたらす他の変異には、K322A及びL234A/L235A(LALA)がある。また、エフェクター機能は、グリコシル化しない宿主細胞(例えば、大腸菌)又はエフェクター機能の促進に無効又は有効性の低いグリコシル化パターンの変化を引き起こす宿主細胞において発現されるような生産技術により、低下又は除去することができる(例えば、Shinkaw et al.,J.Biol.Chem.278(5):3466-3473(2003)を参照のこと)。
【0036】
「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」又はADCCとは、分泌型Ig(又はリガンド-Fc構造)が特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞(NK)、好中球及びマクロファージ)の上に存在するFc受容体(FcRs)に結合することにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を持っている(又はリガンド受容体を持っている)標的細胞に特異的に結合できるようにし、その後に細胞毒素で標的細胞を殺すという細胞傷害の形態を指す。抗体(又はFcを含む構造)は、細胞傷害性細胞を「武装」させ、このメカニズムによって標的細胞を殺すために必要である。ADCCを媒介する主な細胞は、NK細胞であり、FcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞Fcの発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)第464頁のTable 2に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためには、U.S.Pat.No.5,500,362又は5,821,337に詳述されているように、インビトロADCCアッセイを行うことができる。このタイプのアッセイに適したエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK)が含まれる。代替としてまたは追加として、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,PNAS(USA)95:652~656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することもできる。
【0037】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」とは、補体の存在下で標的細胞が溶解することになることを指す。古典的な補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が、Fcに融合したリガンドを介して同族受容体に結合している(適切なサブクラスの)Fc含有構造に結合することによって開始する。補体活性化を評価するために、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているように、CDCアッセイを行うことができる。Fc領域のアミノ酸配列が改変されてC1q結合能力が増加又は軽減した抗体改変体は、U.S.Pat.No.6,194,551B1及びWO99/51642に詳述されている。これらの特許刊行物の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。Idusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)を参照のこと。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」又は「特異的に用いられる」とは、測定可能かつ再現可能な相互作用のことを指し、例えば、リガンドと受容体との間の結合について、生体分子を包含する分子の不均一な集団が存在する場合はリガンドの存在を決定することができる。例えば、受容体に特異的に結合するリガンドは、他の受容体に結合する場合によりも、高い親和性、高い親和力、容易にかつ/又は長い持続時間で目的の受容体に結合する。いくつかの実施形態において、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)法によって測定されるところ、無関係の受容体へのリガンド結合の程度は、目的の受容体へのリガンド結合の程度に対する10%未満であった。いくつかの実施形態において、標的受容体に特異的に結合するリガンドの平衡解離定数は(Kd)≦10-5M、≦10-6M、≦10-7M、≦10-8M、≦10-9M、≦10-10M、≦10-11M又は≦10-12Mである。いくつかの実施形態において、リガンドは、異なる種で保存性受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、特異的結合は排他的結合を含むが、これを必要としない。リガンドの結合特異性は、当技術分野で知られている方法を使用して実験的に決定することができる。例としては、ウエスタンブロット、ELISA-、RIA-、ECL-、IRMA-、EIA-、BIACORETM-テスト及びペプチドスキャンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「結合親和力」とは、一般に、分子(例えば、リガンド)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、受容体)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。特に断りがない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和力」とは、結合対のメンバー間の1:1相互作用を反映可能な固有の結合親和力を指す。結合親和力は、Kd、Koff、Kon又はKaで表すことができる。本明細書で使用される場合、用語「Koff」とは、リガンド/受容体複合体からのリガンドの解離の速度定数を指し、動力学的選択装置によって決定され、s-1の単位で表される。本明細書で使用される場合、用語「Kon」とは、リガンドが受容体に結合してリガンド/受容体複合体を形成するところの結合速度定数を指し、M-1s-1の単位で表される。本明細書で使用される場合、平衡解離定数「Kd」という用語は、特定のリガンドと受容体とが相互作用する場合の解離定数を指し、受容体溶液でリガンドが全体の受容体結合部位の半分を占めて平衡に達したときに必要なリガンド濃度を指し、Koff/Konに等しく、Mの単位で表される。Kdの測定は、すべての結合分子が溶液中にあることを前提条件とする。受容体が細胞膜上にある場合、対応する解離速度定数はEC50として表され、Kdの適切な近似値である。親和定数Kaは、解離定数Kdの逆数であり、M-1の単位で表される。解離定数(Kd)は、リガンドと受容体の間の親和力を反映する指標として使用される。前記方法を使用して得られたKd値は、M(mol/L)の単位で表される。
【0040】
半阻害濃度(IC50)は、特定の生物学的又は生化学的機能を阻害する中の物質(例えば、リガンド)の有効性の尺度であり、特定の生物学的プロセスを半分に阻害するために必要な特定の薬物又は他の物質(阻害剤、例えばリガンド)の量を表し、その値が通常にモル濃度として表される。IC50は、アゴニスト薬物又は他の物質(例えば、リガンド)の「EC50」に相当する。EC50は、インビボで最大効果の50%を得るために必要な血漿濃度を表すこともある。本明細書で使用される場合、「IC50」は、インビトロで受容体生物活性の50%を中和するために必要なリガンドの有効濃度を示すために使用される。IC50又はEC50は、FACS分析(競合的結合アッセイ)によるリガンド結合の阻害、細胞ベースのサイトカイン放出アッセイ又は増幅された発光近接均一アッセイ結合免疫吸着アッセイ(AlphaLISA)といったバイオアッセイによって測定することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「共有結合」とは、2つの原子間に1つ又は複数の電子を共用することによって形成される安定した結合を指す。共有結合の例としては、ペプチド結合及びジスルフィド結合が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「ペプチド結合」とは、アミノ酸のカルボキシ基と隣接するアミノ酸のアミン基との間に形成した共有結合を指す。本明細書で使用される場合、「ジスルフィド結合」とは、2つの硫黄原子間で形成される共有結合を指し、例えば、2つのFc断片が1つ又は複数のジスルフィド結合によって結合される。2つの断片の間にある1つ又は複数のジスルフィド結合は、2つの断片におけるチオール基を連結することによって形成された場合がある。いくつかの実施形態において、2つのFc断片の1つ又は複数のシステインの間に1つ又は複数のジスルフィド結合が形成された場合がある。ジスルフィド結合は、2つのチオール基の酸化により形成された場合がある。いくつかの実施形態において、共有連結は、共有結合によって直接になされる。いくつかの実施形態において、共有連結は、ペプチド結合又はジスルフィド結合による直接な連結である。
【0042】
ペプチド又はポリペプチド配列の「アミノ酸配列同一性のパーセンテージ(%)」又は「相同性」は、特定のポリペプチド又はポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、配列が整列されてギャップが導入された(必要な場合)後に配列同一性のパーセンテージが最大化され、しかも任意の保存的置換を配列同一性の一部とするように考慮しなかったものである。アミノ酸配列同一性パーセンテージを決定するためには、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)、又はMUSCLEソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当技術分野の技術範囲内の様々なアラインメント態様により行うことができる。比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含むアラインメント測定に用いられる適切なパラメータは、当業者が決定し得るものである。
【0043】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「C端」とは、隣接するアミノ酸残基のカルボキシ基とペプチド結合を形成するためにアミン基を給与する、ポリペプチドの最後のアミノ酸残基を指す。本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「N末端」とは、隣接するアミノ酸残基のアミン基とペプチド結合を形成するためにカルボキシ基を給与する、該ポリペプチドの最初のアミノ酸を指す。
【0044】
「単離された」ポリペプチドとは、それが生産されたための環境(例えば、天然又は組換え)の成分から同定、単離及び/又は回收されたポリペプチドを指す。単離されたポリペプチドは、それが生産されたための環境における他のすべての成分と関連していないことが好ましい。組換えトランスフェクト細胞によって産生された汚染成分などの生産環境の汚染成分は、ポリペプチドの研究、診断又は治療を妨げることが多く、酵素、ホルモン及び他のタンパク質溶質又は非タンパク質溶質を含む場合がある。(1)いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチド含有量が重量で95%を超えるように精製され、例えば、ポリペプチド含有量が重量で99%を超えることがローリー法によって決定されたいくつかの実施形態がある。(2)いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、スピニングカップシーケンサーを使用して少なくとも15個のN端残基又は内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度に精製される。(3)いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、クーマシーブルー又は好ましい銀染色を用いた非還元性又は還元性条件下でのSDS-PAGEにより均一性を達成するまで精製される。単離されたポリペプチドには、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの要素が存在しないため、組換え細胞内のインサイチューのポリペプチドが含まれる。けれども、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程を受けるのが普通である。
【0045】
構築物(本明細書に記載されているNGFポリペプチドのように)をコードする「単離された」核酸分子は、それが生産されたための環境に一般的に関連する少なくとも1つの不純物を含む核酸分子から同定及び単離されたものである。単離された核酸は、それが生産されたための環境のすべての成分に関連していないことが好ましい。例えば、本明細書に記載されているポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、自然界で発見された時の形式又は形態ではないもので存在する。従って、単離された核酸分子は、細胞に自然に存在する、本明細書に記載されているポリペプチドをコードする核酸とは異なる。単離された核酸は、該核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、該核酸分子は染色体外に、又はその自然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0046】
用語「制御配列」とは、特定の宿主生物において作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば、原核生物に適した制御配列には、プロモーター、任意のオペレーター配列及びリボソーム結合部位が含まれる。また、真核細胞がプロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0047】
「作動可能に連結されること」は、核酸が別の核酸配列と機能的に関係を確立したということである。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAがポリペプチド分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、前記DNAはポリペプチドのDNAに作動可能に連結されるようになる。プロモーター又はエンハンサーが配列の転写に影響を及ぼす場合、前記プロモーター又はエンハンサーはコード配列に作動可能に連結されるようになる。或いは、リボソーム結合部位が翻訳を容易にする位置にある場合、前記リボソーム結合部位はコード配列に作動可能に連結されるようになる。一般に、「作動可能に連結されたこと」は、連結されているDNA配列が連続していることを意味し、分泌リーダーの場合、連続しているだけでなく読み取る段階(reading phase)にもあることを意味する。ただし、エンハンサーは連続している必要はない。連結は、適切な制限部位での連結によって達成される。このような部位は存在しない場合、常法に従って合成されたオリゴヌクレオチドアプタマー又はリンカーが使用される。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」とは、それが連結された別の核酸分子を増幅することができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造であるベクター、及び既知の宿主細胞のゲノムに導入されるベクターが含まれる。特定のベクターは、それらが連結された核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「トランスフェクト」又は「形質転換」又は「形質導入」とは、外因性核酸が宿主細胞に移入又は導入されるプロセス過程を指す。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換又は形質導入されたものである。前記細胞には、初代試験細胞とその子孫が含まれる。
【0050】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」は、交換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞(このような細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、一次形質転換細胞及び継代数にかかわらずそれから生じた子孫が含まれる。子孫は、変異を含んで、その核酸が親細胞と同一でない場合がある。本明細書には、元の形質転換細胞からスクリーニング又は選択されたそれと同じ機能又は生物活性を有する変異子孫が含まれる。
【0051】
用語「医薬製剤」又は「医薬組成物」とは、有効成分の生物活性を有効にする形態であり、しかも投与される被検者に対して許容できないほどの毒性を示す追加成分を含まない制剤を指す。このような制剤は無菌である。「無菌」制剤は、無菌であるか、又は任意の生きている微生物やその胞子を含まないものである。
【0052】
本明細書に記載されている本発明の実施形態は、「...からなる」及び/又は「本質的に...からなる」実施形態を含むと理解されるべきである。
【0053】
本明細書に言及される「約」は、値又はパラメータであり、その値又はパラメータ自体に対するバリアントを含む(及び説明する)ものである。例えば、「約X」に関する記述には、「X」の記述が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される場合、値又はパラメータ「ではない」と言及することは、一般に、特定の値又はパラメータを「除く」ことを意味して示している。例えば、この方法はX型がんの治療に使用できないことは、この方法は通常にX型がん以外のがんの治療に使用されることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「約X~Y」は、「約X~約Y」と同じ意味を有する。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一」、「1つ」、「この」及び「該」は、別段の指示をしない限り、複数の対象を含むことがある。
II.持効型NGFポリペプチド
【0057】
本発明の一態様は、N端からC端までNGF部分とFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、前記持効型NGFポリペプチドは、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、IgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちのいずれか)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分に比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0058】
いくつかの実施形態において、NGF部分はペプチドリンカーを介してFc部分に融合されている。そして、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、ペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、Fc部分IgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、持効型NGFポリペプチドは、なくとも約10時間(例えば、少なくとも約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90又は100時間のいずれか)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0059】
いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgG1 FcなどのIgG1 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、野生型IgG1 Fc(例えば、ヒトIgG1 Fc)又はその天然変異体である。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来する。そして、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8の最初の5個のアミノ酸を欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対するE233、L234、L235、G236、G237、N297、A327、A330及びP331から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)IgG1 Fcに由来し、かつ、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してE233P、L234V、L234A、L235A、L235E、G236del、G237A、N297A、A327G、A330S及びP331Sから選択された1つ又は複数の変異を含むFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対するL234、L235及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してL234A、L235A及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してL234A、L235A及びP331S変異を含み(或いは本質的にそれからなり、又はそれからなり)、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失しているFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号62~64のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対するE233、L234、L235、G236、A327、A330及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対するE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含み(或いは本質的にそれからなり、又はそれからなり)、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失しているFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号15又は16のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号66のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対するL234、L235、G237、A330及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含み(或いは本質的にそれからなり、又はそれからなり)、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失しているFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。そして、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号13又は14のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。従って、いくつかの実施形態において、配列番号65のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対する位置N297に1つの変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対する1つのN297A変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)のアミノ酸配列を含むIgG1 Fcに由来し、配列番号7又は8(例えば、配列番号8)に対する1つのN297A変異を含み(或いは本質的にそれからなり、又はそれからなり)、かつ配列番号7又は8(例えば、配列番号8)の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失しているFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号61のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0064】
いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgG4 FcのようなIgG4 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は野生型IgG4 Fc(例えば、ヒトIgG4 Fc)又はその天然変異体である。いくつかの実施形態において、Fc部分は配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来する。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17の最初の5個のアミノ酸を欠失している。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来し、かつ配列番号17に対するS228、F234及びL235から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来し、配列番号17に対するS228、F234及びL235である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来し、かつ配列番号17に対してS228P、F234A及びL235Aから選択された1つ又は複数の変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号17のアミノ酸配列を含むIgG4 Fcに由来し、かつ配列番号17に対するS228P、F234A及びL235A変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のいずれか(例えば、配列番号1~3のいずれか)のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、任意選択的なペプチドリンカー(例えば、配列番号68~99のうちのいずれか1つであるか、又は配列番号68~72のうちのいずれか1つである)と、配列番号18のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)Fc部分とを含む持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、nは1、2、3、4、5又は6である)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号67のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号34、36、38、40、42、44及び46のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号34、36、38、40、42、44及び46のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み(或いは本質的に該アミノ酸配列からなり、又は該アミノ酸配列からなり)、かつ配列番号6のシグナルペプチド配列を含まない持効型NGFポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって個体(例えば、ヒト)に投与された場合、少なくとも10時間(例えば、半減期が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90および100時間のうちの少なくとも一つである)の半減期を有する。いくつかの実施形態においてにおいて、持効型NGFポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含むNGF部分と比較して、引き起こした痛みが少ない(例えば、痛みを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減らす)。
NGF部分
【0066】
発現した最初のNGFは、α-NGF、β-NGF及びγ-NGFという3つのタンパク質(比率2:1:2)からなる7S、130kDaの複合体である。前記複合体のγサブユニットは、セリンプロテアーゼとしてβサブユニットのN端を切断し、それによってタンバク質を機能的なNGFに活性化する。ヒトNGF遺伝子は、第1染色体の短腕に位置し、完全なNGFエクソンが241個のアミノ酸をコードし、プレプロNGF(preproNGF)前駆体(配列番号50)として一般に呼ばれている。プレプロNGF前駆体は、シグナルペプチド配列(配列番号6)、プロペプチド(配列番号5)及び成熟のNGF配列(β-NGF、配列番号4)を含む。プレプロNGF前駆体のシグナルペプチドはプロNGF(proNGF)前駆体(223個のアミノ酸、配列番号54)を形成するように小胞体で切断される。プロNGF前駆体は、小胞体にホモ二量体として存在し、その後ゴルジ体に移動する。ゴルジ体において、プロNGF前駆体の二量体は、プロペプチドの3つのフリンモチーフ(Furin motif)でフリンによって切断される。成熟β-NGF二量体は、成熟NGF配列-1及び-2位置に位置するフリンモチーフがフリンによって切断されて形成し、各単量体が118又は120個のアミノ酸を含む。その後、成熟したβ-NGF二量体は細胞外に輸送される。一部の切断されていないプロNGF前駆体は同様に細胞外に分泌される。NGFの構造は
図2に示されている。
【0067】
NGFは、雄マウス顎下腺や、ウシ精漿、ヘビ毒、モルモット前立腺、ヒト胎盤組織などの様々な種に豊富に存在する。マウスNGFとヒトNGFとは、90%と高いアミノ酸配列相同性を有する。
【0068】
NGFがトロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)および低親和力のNGF受容体(LNGFR/p75NTR)のいずれかに結合することは、神経変性疾患に関連する。NGFはTrkA受容体に結合すると、受容体のホモ二量体化が促進され、そしてチロシンキナーゼ断片の自己リン酸化が引き起こされ、PI3-キナーゼ、ras及びPLCシグナル経路が活性化される。p75NTR受容体がTrkAと同様に形成し得るヘテロ二量体がNGFに対してもっと高い親和力と特異性を持っている。一方、プロNGFがp75NTR及びソーティリンに高親和力で結合し、シグナル複合体を生じる。該シグナル複合体は、NRAGE及びRacを動員してJNKシグナル伝達カスケードを活性化し、その結果、主にアポトーシスが促進される。プロNGFがp75NTRに結合すると、NFκBの活性化が促進され、それによってニューロンの生存が誘導されることもある。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「NGF部分」とは、NGF分子、その種変異体、断片、変異体又はその誘導体を指す。NGF部分は、切断されたバージョン、翻訳後修飾されたバージョン、ハイブリッド変異体、ペプチド模倣物、生物学的に活性な断片、欠失変異体、置換変異体又は挿入変異体でよい。これらの変異体は、NGF受容体によりシグナル伝達を誘導するようにNGF受容体に結合するという親NGFの活性を少なくともある程度で維持できるものである。本明細書に記載されている「親としてのNGF」又は「親NGF」とは、それから設計、修飾又は誘導体化してNGF部分を得るNGF参照配列を指す。
【0070】
いくつかの実施形態において、NGF部分は野生型NGFである。いくつかの実施形態において、NGF部分はNGF天然変異体である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、NGF類似物であり、一例として、6個以下のアミノ酸(例えば、6、5、4、3、2及び1個のアミノ酸)の変異を含むNGFである。いくつかの実施形態において、NGF部分はNGF誘導体である。本明細書で使用される場合、用語「NGF誘導体」とは、NGFアミノ酸配列又はNGF類似物を有する分子を指すが、1つ又は複数のアミノ酸基、α炭素原子、アミノ末端又はカルボキシル末端で付加された化学修飾をさらに有することがある。化学修飾としては、化学基の付加、新しい化学結合の生成、及び化学基の除去が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸側基の修飾としては、リジンのεアミノアシル化;アルギニン、ヒスチジン又はリジンのN-アルキル化;グルタミン酸又はアスパラギン酸のカルボキシ基のアルキル化;グルタミン又はアスパラギンの脱アミノ化が挙げられるが、これらに限定されない。アミノ末端の修飾としては、脱アミノ化、N-低級アルキル、N-ジ低級アルキル及びN-アシル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。カルボキシル末端の修飾としては、アミド、低級アルキルアシル、ジアルキルアミド及び低級アルキルエステル修飾が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、低級アルキル基はC1~C4アルキル基である。さらに、1つ又は複数の側基又は末端基については、化学分野の当業者が知られている保護基により保護されてもよい。アミノ酸のα炭素は、モノメチル化されてもよく、ジメチル化されてもい。いくつかの実施形態において、NGF部分は、ポリエチレングリコール化NGFのような修飾NGF、又はグリコシル化NGFのような共有結合修飾NGFである。
【0071】
NGF部分は、任意の生物に由来することができ、例えば、家畜(例えば、ウシや、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ロバ、ウマなど)、霊長類(例えば、ヒトおよび、サルやチンパンジーなどのヒト以外の霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウスや、ラット、アレチネズミ、ハムスターなど)を含むがこれらに限定されない哺乳動物に由来することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、NGF部分はヒトNGF(hNGF)である。いくつかの実施形態において、NGF部分は野生型(wt)hNGFである。いくつかの実施形態において、NGF部分はhNGF天然変異体である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、6個以下のアミノ酸(例えば、6、5、4、3、2又は1個のアミノ酸)変異を含むhNGFのようなhNGF類似物である。いくつかの実施形態において、NGF部分はhNGF誘導体である。本出願に適用されるNGF部分は、当技術分野で周知されているhNGFの多くの活性断片、類似物及び誘導体うちのいずれかの一種とされてもよい。
【0073】
本明細書に記載されているように、NGF部分は、ヒト組織又は他の供給源などの様々な供給源から単離されたNGFとされてもよいし、組換え又は合成法によって調製されたNGFとされてもよい。いくつかの実施形態において、NGF部分は、組換えNGFであり、例えば、組換えhNGF(rhNGF)である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、マウスNGFであり、例えば、組換えマウスNGFである。
【0074】
いくつかの実施形態において、NGF部分は全長NGFである。いくつかの実施形態において、NGF部分は、NGFの機能的断片である。該NGFの機能的断片は、全長NGF分子の大半又は全部の生物活性を産生可能なものであり、例えば、全長β-NGFの大半又は全部の生物活性を産生することができる。いくつかの実施形態において、NGF部分は、プレプロNGF(例えば、ヒトプレプロNGF)又はその活性断片であり、つまり、シグナルペプチド、プロペプチド及びβ-NGFの全長又は断片を全部含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号47~50のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、プロNGF(例えば、ヒトproNGF)又はその活性断片、つまり、プロペプチド及びβ-NGFの全長又は断片を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号51~54のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は成熟NGF又はその活性断片、つまり、β-NGF(例えば、ヒトβ-NGF)の全長又は活性断片を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は野生型ヒトβ-NGF(配列番号4)である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、最後の2個のアミノ酸が切断された野生型ヒトβ-NGF(配列番号3)である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、β-NGFのN端に、異なる又は同じのNGF分子に由来するシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、β-NGFのN端にプロペプチドを含む。いくつかの実施形態において、プロペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、NGF部分は、変異体又はNGF改変体であり、例えば、野生型NGFの大半或いは全部の生物活性を産生可能なNGF改変体又は変異体である。変異NGF部分には、NGF分子(例えば、成熟β-NGF)における1つ又は複数のアミノ酸部位での変異が含まれることがある。いくつかの実施形態において、変異NGF部分には、NGFにおける1つ又は複数のアミノ酸部位でのアミノ酸置換が含まれることがある。いくつかの実施形態において、変異NGF部分には、NGFにおける1つ又は複数のアミノ酸部位でのアミノ酸欠失又は挿入が含まれる。いくつかの実施形態において、変異NGF部分には、NGFにおける1つ又は複数のアミノ酸の修飾が含まれる。
【0076】
いくつかの実施形態において、NGF部分は、1つ又は複数の保存的アミノ酸配列置換を有する。「保存的置換」とは、置換されるアミノ酸と同じの正味電荷、ほぼ同じのサイズ及び形状を有する別のアミノ酸で置換を行うことを指す。側鎖での炭素原子とヘテロ原子の総数の差が4を超えない場合、脂肪族又は置換脂肪族アミノ酸側鎖を持っているアミノ酸のサイズがほぼ同じであると考えられる。その側鎖の分岐数の差が1を超えない場合、アミノ酸の形状がほぼ同じであると考えられる。側鎖にフェニル基又は置換フェニル基を有するアミノ酸は、サイズ及び形状がほぼ同じであると考えられる。特に断りがない限り、保存的置換には、天然アミノ酸を使用することが好ましい。それについて、以下の「アミノ酸置換基」節を参照のこと。
【0077】
「アミノ酸」は、本明細書でその最も広い定義で使用されており、つまり、天然に存在するアミノ酸配列と非天然に存在するアミノ酸配列とも包含し、またアミノ酸の類似物及び誘導体を包含する。後者には、アミノ酸部分を含む分子が含まれる。本明細書に記載されているアミノ酸には、例えば、タンバク質の形成に関与する天然L-アミノ酸;D-アミノ酸;アミノ酸の類似物や誘導体などの化学的に修飾されたアミノ酸;ノルロイシンや、β-アラニン、オルニチン、GABAなどのタンバク質の形成に関与しない天然アミノ酸;ならびに当技術分野で知られているアミノ酸特性を有する化学合成的化合物が含まれる。これは、前記広い定義によれば、当業者が分かれることである。本明細書で使用される場合、用語「タンバク質の形成」とは、代謝経路を介して細胞のペプチド、ポリペプチド又はタンバク質を合成できるアミノ酸を指す。
【0078】
合成的非天然アミノ酸、置換アミノ酸又は一つ又は複数のD-アミノ酸を含む非天然アミノ酸を本発明の持効型NGFポリペプチド(又はNGF部分)に挿入することにより、様々な利点が得られる。D-アミノ酸を含むポリペプチドは、L-アミノ酸を含むポリペプチドと比較して、インビトロ及びインビボで示した安定性が高い。従って、良好な細胞内安定性を図る場合に、D-アミノ酸を添加することによりポリペプチドを構築するのが特に有用である。特に、D-ペプチド及びその類似物は、内在性ペプチダーゼ及びプロテアーゼ活性に耐性があるため、必要に応じて分子のバイオアベイラビリティの向上、およびインビボでのその寿命の延長に用いられる。ただし、D-ペプチド及びその類似物は、II型主要組織適合性複合体(MHC)によるヘルパーT細胞への提示が制限されているために効率的に処理することができなく、被検者において体液性免疫応答を誘発するのが困難である。
【0079】
いくつかの実施形態において、NGF部分は、変異体又はNGF改変体であり、野生型NGFに比較すると、副作用(例えば、痛み)を軽減又は解消する程度が高い。いくつかの実施形態において、変異体又はNGF改変体であるNGF部分は、野生型NGFと比較すると、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のうちのいずれか1つ)の痛みを軽減し、例えば、投与後の1つ又は複数の時点(例えば、すべての時点)で少なくとも5%の痛みを軽減する。いくつかの実施形態において、変異体又はNGF改変体であるNGF部分は、野生型NGFと比較すると、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のうちのいずれか1つ)の疼痛閾値を増加させる。例えば、いくつかの実施形態において、個体の疼痛閾値は約8であり、野生型NGFを投与した後、疼痛閾値は約6に低下したが、変異体又はNGF改変体(あるいは本明細書に記載されているそれを含む持効型NGFポリペプチド)を投与した後、疼痛閾値は8程度に維持され、例えば、痛みは約25%軽減したか又は疼痛閾値は約25%増加した。いくつかの実施形態において、NGF部分は、特許CN107286233A、WO2017157325及びWO2017157326に記載された変異体又はNGF改変体であり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、NGF部分は、ヒト野生型β-NGF配列(配列番号4)に対して、ヒト野生型β-NGF配列(配列番号4)に対するF12E変異を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、NGF部分は、ヒト野生型β-NGF配列(配列番号4)に対してF12E変異を含み、かつ最後の2個のアミノ酸が切断される。いくつかの実施形態において、NGF部分は、配列番号1で示されるアミノ酸配列(以下、「mNGF118」とも呼ばれる)を含む。
【0080】
本明細書に記載されているように、NGF部分又は持効型NGFポリペプチドのアミノ酸配列改変体は、タンバク質をコードする核酸配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することがある。前記修飾には、例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチドのアミノ酸配列における残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換が含まれる。最終構築物は、リガンド-受容体結合の保持・改良、生物活性の保持・増強(例えば、ニューロンの成長、維持、増殖及び/又は生存の促進)、半減期の保持・増強、ADCC/CDCの保持・低減、疼痛誘発活性の保持・軽減といった所望の特性を有する限り、欠失、挿入、置換又はそれらの任意の組み合わせにより得ることができる。
【0081】
表Aには保存的置換が示されている。より多くの実質的な置換は、アミノ酸側鎖クラスに関する以下のセクションでさらに詳述されるように、表1で「置換の例」という表題の欄で提供される。アミノ酸は、一般的な側鎖の特性に従って、(1)疎水性のノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性のCys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性のAsp、Glu;(4)塩基性のHis、Lys、Arg;(5)鎖の向きに影響を与える残基であるGly、Pro;(6)芳香族のTrp、Tyr、Pheと分類される。非保存的置換では、これらのカテゴリにおける1つのメンバーを別のカテゴリにおけるメンバーに置換する必要がある。アミノ酸置換をタンバク質構築物に導入し、そしてスクリーニングにより上記した所望の活性に適合する製品を得ることができる。
【0082】
【0083】
本明細書に記載されているように、持効型NGFポリペプチドはC端にFc部分を含む。
いくつかの実施形態において、Fc部分は、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、ならびにそれらのサブクラスのうちのいずれか1つに由来する。すべての免疫グロブリンの中で、IgGは血清含有量が最も高く、半減期が最も長い。他の免疫グロブリンとは異なり、Fc受容体(FcRs)に結合した後、IgGは効果的に再利用される可能性がある。いくつかの実施形態において、Fc部分は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)に由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgGに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分はCH2及びCH3を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、ヒンジ領域の全部又は一部をさらに含む。いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgG1又はヒトIgG4に由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分の2つのサブユニットは、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4又はそれ以上)のジスルフィド結合を介して二量体化される。いくつかの実施形態において、Fc部分は、各サブユニットが全長Fc配列を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、二量体化過程におけるジスルフィド結合のミスペアリングが低減するように、各サブユニットがN端切断型Fc配列を含み、例えば、各サブユニットがN端システインが少ない切断型Fcドメインを含む。いくつかの実施形態において、Fc部分はN端で切断され、例えば、完全な免疫グロブリンFcドメインの最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸が欠失している。いくつかの実施形態において、Fc部分は、挿入、欠失及び/又は置換といった1つ又は複数の変異を含む。
【0084】
本発明では、本明細書に記載されているような高い生物活性、長い半減期及び低い免疫毒性(例えば、ADCC及び/又はCDC)を持効型NGFポリペプチドに提供できるFc断片をスクリーニングにより得ることを期待している。
【0085】
Fcドメインによれば、Fc含有タンパク質は、補体を活性化してFc受容体(FcRs)と相互作用する可能性がある。このような固有の免疫グロブリン特性は、NGF-Fc融合タンパク質がNGF受容体を発現する好ましい細胞を標的とするかわりにFc受容体を発現する細胞を標的とすることを引き起こす恐れがあるので、不利であると考えられている。さらに、Fc融合タンパク質は、半減期が長く、全身毒性を有するために、治療に適用されることが困難になっている。従って、いくつかの実施形態において、Fc部分は、FcRへの結合を改変するために、特に、Fcγ受容体(ADCCに関与する)への結合及び/又はエフェクター機能を改変するために、例えば、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を改変するために、改造される(例えば、1つ又は複数のアミノ酸変異を含む)。好ましくは、このようなアミノ酸の変異は、FcRn受容体(半減期に関与する)への結合を軽減させるものではない。
【0086】
1つ又は複数のADCC、ADCP又はCDCといったエフェクター機能を除去するように変異されたFc部分(例えば、ヒトIgG1 Fc)は、以下、「エフェクター機能のない」又は「エフェクター機能がほぼない」Fc部分と呼ばれる。いくつかの実施形態において、Fc部分は、例えば、(例えば、各Fcサブユニット内に)L234A、L235E、G237A、A330S及びP331Sに選択された1つ又は複数の変異を含むエフェクター機能のないヒトIgG1 Fcである。IgG1 FcにおけるK322A、L234A及びL235Aの組み合わせによれば、FcγRとC1qの結合を完全に無効にするのに十分である(Hezareh et al.,J Virol 75,12161-12168,2001)。L234F/L235E/P331Sの三重変異が非常に類似した効果を持っていることはMedImmuneにより発見された(Oganesyan et al.,Acta Crystallographica 64,700-704,2008)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、IgG1 FcドメインのN297上のグリコシル化修飾を含み、これは最適なFcR相互作用に必要であることが知られている。Fc部分修飾は、Wangらによって言及された任意の適切なIgG Fc操作であってもよい。参照になる「抗体エフェクター機能を調節するためのIgG Fcエンジニアリング」、Protein Cell.2018 Jan;9(1):63-73」の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、本明細書に記載されているように、ADCC及び/又はCDCを有さないか、又は検出可能なADCC及び/又はCDCを有さない。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、本明細書に記載されているように、同じNGF部分を含むが野生型又は非修飾Fc断片であるNGF-Fc構築物と比較して、ADCC及び/又はCDCが少なくとも5%(少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のうちのいずれか1つ)軽減した。
グリコシル化変異体
【0088】
いくつかの実施形態において、Fc部分又は持効型NGFポリペプチドを改変することにより構築物のグリコシル化の程度を増加又は軽減する。アミノ酸配列を改変することによりFc部分にグリコシル化部位を追加又は削除することが可能になり、1つ又は複数のグリコシル化部位を作成又は除去するようにする。
【0089】
哺乳動物細胞によって産生された天然のFc含有タンパク質は、N-結合を介してFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に連結されている、2分岐糖鎖構造のオリゴ糖を含むことが一般である。Wright et al.,TIBTECH 15:26-32(1997)を参照のこと。オリゴ糖には、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース及びシアル酸、ならびに2分岐糖鎖構造のオリゴ糖における「ステム」上のGlcNAcに付着されたフコースなどの様々な炭水化物が含まれることがある。いくつかの実施形態において、Fc部分におけるオリゴ糖に対しては、特定の改善特性を生じるように修飾を行うことができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているFc部分又は持効型NGFポリペプチドは、Fc部分に(直接的又は間接的に)付着されているフコースを欠いた炭水化物構造を有する。例えば、そのようなFc部分又は持効型NGFポリペプチドは、その中のフコース含有量が1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%の範囲である可能性がある。WO2008/077546に記載されるように、フコースの含有量は、MALDI-TOF質量分析を使用してAsn297(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)に連結した全部の糖構造の合計に対するAsn297に連結した糖鎖内のフコースの平均含有量を測定することによって決定される。Asn297とは、Fc領域の297位にあるアスパラギン残基を指す(Fc領域残基についてEU番号付けシステムを使用した)。ただし、Fc領域に小さな配列変化があるため、Asn297は、297位の約±3個のアミノ酸の上流又は下流、つまり、294と300位の間に位置することもある。このようなフコシル化改変体は、増強されたADCC機能を有する可能性がある。US Patent Publication Nos.US 2003/0157108(Presta,L.),US 2004/0093621(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照のこと。「アフコシル化」又は「フコース欠損」の抗体改変体に関連する刊行物の例としては、US 2003/0157108;WO 2000/61739;WO 2001/29246;US 2003/0115614;US 2002/0164328;US 2004/0093621;US 2004/0132140;US 2004/0110704;US 2004/0110282;US 2004/0109865;WO 2003/085119;WO 2003/084570;WO 2005/035586;WO 2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。アフコシル化Fc含有タンパク質を産生できる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化機能を欠いたLec13 CHO細胞(Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);US Pat Appl No US 2003/0157108 A1,Presta,L;及びWO 2004/056312 A1,Adams et al.,特に実施例11を参照のこと)、α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子やFUT8ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及びWO2003/085107を参照のこと)が挙げられる。
エフェクター機能変異体
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明では、ある適用にとって理想的な候補になるように、Fc部分又は持効型NGFポリペプチドとしてFcエフェクター機能の全部ではないが一部を有するものを使用する。該適用においては持効型NGFポリペプチドのインビボでの半減期が重要であるが、あるエフェクター機能(CDCやADCCなど)は必須ではないか或いは有害である。CDC及び/又はADCC活性の軽減/枯渇を決定するためには、細胞毒性アッセイをインビトロ又はインビボで行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施することにより、Fc部分又は持効型NGFポリペプチドはFc(R結合を欠いている(従って、ADCC活性を欠いている可能性がある)がFcRn結合能力を保持していることを確認できる。ADCCを媒介する主要な細胞としては、ナチュラルキラー細胞(NK)はFcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現については、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)第464頁の表2に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために使用されるインビトロアッセイの非限定的な例としては、U.S.Patent No.5,500,362(Hellstrom,I.et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)参照)及びHellstrom,I.et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)参照)に詳述されている。或いは、非放射性検出法(フローサイトメトリー用のACTITM非放射性毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA)及びCytoTox 96R非放射性毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)参照)を使用してもよい。この検出に適したエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びNK細胞がある。さらに、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652~656(1998)に記載された動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。また、C1q結合アッセイを行うことにより、持効型NGFポリペプチドがC1qに結合することができないからCDC活性を欠いていることを決定することもできる。それについて、WO2006/029879及びWO2005/100402のC1qとC3cを組み合わせた酵素結合免疫吸着アッセイを参照のこと。補体活性を評価するためにCDCアッセイを行うことができる(Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003)及びCragg,M.S.及びM.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)参照)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期は、当技術分野で知られている方法を使用して決定することができる(Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)参照)。
【0092】
エフェクター機能が低下したFc部分は、Fc領域における第238、265、269、270、297、327及び329位のうちの1つ又は複数の残基の置換を含む(U.S.特許No.6,737,056)。このようなFc変異体は、アミノ酸部位265、269、270、297及び327のうちの2つ以上の部位での置換を含み、また、265及び297残基がアラニンに置換されたいわゆる「DANA」Fc変異体を含む(US特許No.7,332,581)。FcRsへの結合が増強又は軽減された特定の抗体改変体については、U.S.特許No.6,737,056;WO 2004/056312,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2): 6591-6604(2001)に詳述されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、US特許No.6,194,551、WO99/51642及びIdusogie et al.,J.Immunol.164:4 178-4184(2000)に記載されるように、C1q結合及び/又はCDCを改変する(即ち、増加又は軽減させる)ように改造されている。
【0093】
いくつかの実施形態において、Fc部分は、1つ又は複数のアミノ酸置換を含むことにより、半減期および/又は新生児Fc受容体(FcRn)への結合が向上するようになる。半減期及び新生児FcRnへの結合が増強された抗体は、母体IgGsの胎児への移行に関与し(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994)参照)、また、US2005/0014934A1(Hintonら)に詳述されている。1つ又は複数の置換を有するFcドメインを含むそれらの抗体により、Fc領域のFcRnへの結合が向上する。このようなFc変異体には、Fc領域の1つ又は複数の残基置換、例えばFc領域の434残基の置換を有するものが含まれる(US特許No.7,371,826)。
【0094】
Fcドメイン変異体のさらなる例については、Duncan及びWinter,Nature 322:738-40(1988);U.S.特許No.5,648,260;U.S.特許No.5,624,821;及びWO 94/29351を参照のこと。
システイン操作変異体
【0095】
いくつかの実施形態においては、Fcドメインの1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換される、システイン操作のFc部分又は持効型NGFポリペプチドを作成することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、置換残基は、Fc部分又は持効型NGFポリペプチド上の接近可能な部位で現れる。これらの残基をシステインで置換することにより、活性チオール基はFc部分又は持効型NGFポリペプチドの接近可能な部位に配置され、また持効型NGFポリペプチド複合物を作成するために、分子を薬物部分やリンカー-薬物部分などの他の部分に結合させるために使用できる。いくつかの実施形態において、重鎖A118(EU番号付けシステム)及び重鎖FcドメインS400(EU番号付けシステム)のうちのいずれか1つ又は複数の残基がシステインで置換されていることがある。システイン操作分子は、U.S.Patent No.7,521,541に記載されるように生成することができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、Fc部分はIgG1 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgG1 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は野生型IgG1 Fc(IGHG1*05)に由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分はIgG1天然変異体(例えば、IGHG1*05に対してD239E及びL241Mの二重変異を含むIGHG1*03)である。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号8のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分はgG1 Fcのヒンジ領域を含まない。いくつかの実施形態において、Fc部分は、IgG1 FcのN端から最大5個のアミノ酸を切断したものを含み、例えばIgG1 FcのN端から1番目、最初の2個、最初の3個、最初の4個又は最初の5個のアミノ酸を切断したものを含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、1つ又は複数のエフェクター機能のない変異及び/又は脱グリコシル化変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するE233、L234、L235、G236、G237、N297、A327、A330及びP331から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するE233P、L234V、L234A、L235A、L235E、G236del、G237A、N297A、A327G、A330S及びP331Sから選択された1つ又は複数の変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8の最初(N端)の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対する位置N297に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対してN297A変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するL234、L235及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するL234A、L235A及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するL234、L235、G237、A330及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号13又は14のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対するE233、L234、L235、G236、A327、A330及びP331である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号7又は8に対してE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号15又は16のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。
【0097】
いくつかの実施形態において、Fc部分はIgG4 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分はヒトIgG4 Fcに由来する。いくつかの実施形態において、Fc部分は野生型IgG4 Fcである。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分はIgG4天然変異体である。いくつかの実施形態において、Fc部分はIgG4のヒンジ領域を含まない。いくつかの実施形態において、Fc部は、IgG4のN端から最大5個のアミノ酸を切断したものを含み、例えば、IgG4のN端から1番目、最初の2個、最初の3個、最初の4個又は最初の5個のアミノ酸を切断したものを含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、1つ又は複数のエフェクター機能のない変異及び/又は脱グリコシル化変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対するS228、F234及びL235から選択された1つ又は複数の位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対するS228、F234及びL235である位置に変異を含む(或いは、本質的にそれからなるか、又はそれからなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対してS228P、F234A及びL235Aから選択された一つまたは複数の変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17に対するS228P、F234A及びL235Aから選択された変異を含む。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号18のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号17の最初(N端)の5個のアミノ酸をさらに欠失している。いくつかの実施形態において、Fc部分は、配列番号19又は20のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。
リンカー
【0098】
NGF部分及びFc部分は、任意選択的なリンカー(例えば、ペプチドリンカー、非ペプチドリンカー)によって連結されている。いくつかの実施形態において、このリンカーは柔軟なリンカーである。いくつかの実施形態において、このリンカーは安定したリンカーである。理想的なリンカーは、一般に、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの正確な折り畳み及び立体配座に影響を与えないか、又は著しく影響を与えない。好ましくは、このリンカーは、持効型NGFポリペプチドに柔軟性を付与し、NGFの生物学的機能を保持・改善し、かつ/又はインビボでの持効型NGFポリペプチドの半減期及び/又は安定性に著しく影響を与えない。いくつかの実施形態において、リンカーは安定したリンカーである(例えば、プロテアーゼ、特にMMPによって切断できないもの)。
【0099】
いくつかの実施形態において、このリンカーはペプチドリンカーである。ペプチドリンカーは、長さが任意でよい。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーの長さは、1個~10個のアミノ酸、3個~18個のアミノ酸、1個~20個のアミノ酸、10個~20個のアミノ酸、21個~30個のアミノ酸、1個~30個のアミノ酸、10個~30個のアミノ酸、1個~50個のアミノ酸、5個~40個のアミノ酸、12個~18個のアミノ酸、4個~25個のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、このペプチドリンカーの長さは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、このペプチドリンカーの長さは、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個のアミノ酸のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、このペプチドリンカーの長さは、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50個のアミノ酸のうちのいずれか1つである。好ましくは、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに対しては、潜在的な望ましくないドメイン相互作用を防止するために、ペプチドリンカーを添加することによりインビボでの機能及び安定性の最適化が行われる。いくつかの実施形態において、リンカーの長さは、望ましくないドメイン相互作用を防止するか、かつ/又は生物学的機能及び/又は安定性を最適化するために必要な長さを超えない。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーの長さは、最大30個のアミノ酸であり、例えば、最大20個のアミノ酸、又は最大15個のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、リンカーの長さは、5個~30個のアミノ酸、又は5個~18個のアミノ酸である。
【0100】
ペプチドリンカーは、天然に存在する配列を有しても良いし、非天然に存在する配列を有していてもよい。例えば、抗体重鎖ヒンジ領域に由来する配列をリンカーとして使用することができる。一例としては、WO1996/34103を参照のこと。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ヒンジである。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、変異ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ヒンジである。いくつかの実施形態において、リンカーは柔軟なリンカーである。典型的な柔軟なリンカーとしては、グリシンポリマー(G)n(配列番号73)、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n(配列番号74)、(GGS)n(配列番号75)、(GGGS)n(配列番号76)、(GGS)n(GGGS)n(配列番号77)、(GSGGS)n(配列番号78)、(GGSGS)n(配列番号79)又は(GGGGS)n(配列番号70)を含み、ただし、nは少なくとも1の整数である。)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当技術分野で知られている他の柔軟なリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されていないため、成分間の中性鎖として機能する。グリシンは、アラニンよりも多くのphi-psi空間を持ち、かつより長い側鎖を持つ残基を持ち、制限が少なくなる(Scheraga,Rev.Computational Chem.11 173-142(1992)参照)。柔軟なリンカーの例としては、GG(配列番号86)、GGSG(配列番号87)、GGSGG(配列番号88)、GSGSG(配列番号89)、GSGGG(配列番号90)、GGGSG(配列番号91)、GSSSG(配列番号92)、GGSGGS(配列番号93)、SGGGGS(配列番号94)、GGGGS(配列番号95)、(GA)n(配列番号96、nは少なくとも1の整数)、GRAGGGGAGGGG(配列番号97)、GRAGGG(配列番号98)、GSGGGSGGGGSGGGGS(配列番号80)、GGGSGGGGSGGGGS(配列番号81)、GGGSGGSGGS(配列番号82)、GGSGGSGGSGGSGGG(配列番号83)、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号84)、GGSGGSGGSGGSGGSGGS(配列番号85)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号68)、GGGGGGSGGGGSGGGGSA(配列番号69)、GSGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号71)、KTGGGSGGGS(配列番号72)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンカーは、配列ASTKGP(配列番号99)を含む。設計された持効型NGFポリペプチドは、理想的な持効型NGFポリペプチドの構造や機能を提供するように、全部又は一部の柔軟なリンカーを含有させることによりリンカーが1つの柔軟なリンカー部分とより少ない柔軟な構造を提供する1つ又は複数の部分とを含むことを可能にすることができるのは、当業者なら一般に認識できるだろう。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、セリン-グリシンリッチである。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68~72のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、前記nは1、2、3、4、5及び6のうちのいずれか1つの整数であり、好ましくはnは2~6の整数であり、より好ましくはnは3又は4の整数である。)を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号68又は69のアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)。
【0101】
リンカーに関する他の考慮事項には、得られた持効型NGFポリペプチドの物理的又は薬物動態学的特性への影響が含まれ、例えば、溶解性や、親油性、親水性、疎水性、安定性(多かれ少なかれ安定性及び計画的分解)、剛性、柔軟性、免疫原性、NGF部分/NGF受容体への結合、コロイド又はリポソームの結合能力などがある。
結合親和力
【0102】
分子(例えば、NGF部分又はNGF部分を含むNGFポリペプチド)とその結合対象(例えば、TrkAなどのNGF受容体)の結合親和力は、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、メソスケールディスカバリー(MSD)電気化学発光、ビーズベースのマルチプレックスイムノアッセイ(MIA)、RIA、表面プラズモン共鳴(SPR)、ECL、IRMA、EIA、Biacoreアッセイ、オクテット分析、ペプチドスキャンなど、当技術分野で知られている任意の適切なリガンド結合アッセイ又は抗体/抗原結合アッセイによって決定することができる。例えば、様々な標識試薬で標識されたNGF部分、NGF部分を含むNGFポリペプチド又はその受容体(例えば、TrkA)、又はそのサブユニットを使用して、簡単に分析することが可能であり、またBiacoreX(アマシャムバイオサイエンス)を使用することができる。なお、BiacoreXは、市販の測定キット又は類似のキットであり、キットに付属の取扱説明書及び実験操作方法に従って操作することができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドとそれらの受容体との相互作用、機能及び活性は、タンバク質マイクロアレイを使用して大規模に分析される。タンバク質マイクロアレイは、一連の捕捉タンパク質(例えば、NGF受容体又はそのサブユニット)に結合する支持面を持っている。その後、蛍光標識プローブ分子(例えば、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチド)をアレイに添加し、結合した捕捉タンパク質と相互作用させ、蛍光シグナルを放出してレーザースキャナーによって読み取る。
【0104】
結合親和力は、SPR(Biacore T-200)を用いて測定することもできる。例えば、EDC/NHS化学法を使用して抗ヒトIgG抗体をCM-5センサーチップの表面に結合する。次に、ヒトTrkA-Fc融合タンパク質を、この表面の捕捉リガンドとして使用する。本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの一連の希釈液を捕捉したリガンドに結合させ、そしてNGFとTrkAとの結合及び解離をリアルタイムでモニターすることができる。解離定数(Kd)と解離速度定数は、BIA評価ソフトウェアを使用した動力学的分析によって決定することができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドは、その受容体(例えば、TrkA)又はそのサブユニットとの結合Kdは、≦10-5M、≦10-6M、≦10-7M、≦10-8M、≦10-9M、≦10-10M、≦10-11M及び≦10-12Mのうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、野生型NGFは、その受容体(例えば、TrkA)又はそのサブユニットとの結合Kdが、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドと同受容体(例えば、TrkA)又はそのサブユニットとの間の結合Kd値に近い(例えば、等しい)か、又は少なくとも約1.5倍(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500及び1000倍のうちのいずれか1つ)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドは、その受容体(例えば、P75)又はそのサブユニットとの結合Kdが、野生型NGFと同受容体(例えば、P75)又はそのサブユニットとの間の結合Kdに近い(例えば、等しい)か、又は少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500及び1000倍のうちのいずれか1つ)である。
【0106】
いくつかの実施形態において、NGF部分は、変異又は修飾(例えば、翻訳後修飾)を含み、変異/修飾NGF部分(又は持効型NGFポリペプチド)とその受容体(例えば、TrkA)又はそのサブユニットとの間の結合のKdは、野生型NGFと同受容体(例えば、TrkA)との間の結合のKdに近い(例えば、等しい)か、又は少なくとも約2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500及び1000倍のうちのいずれか1つ)である。いくつかの実施形態において、NGF部分は、変異又は修飾(例えば、翻訳後修飾)を含み、野生型NGFとその受容体(例えば、P75)又はそのサブユニットとの間の結合のKdは、変異/修飾NGF部分(又は持効型NGFポリペプチド)と同受容体(例えば、P75)との間の結合のKdに近い(例えば、等しい)か、又は少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500及び1000倍のうちのいずれか1つ)である。
生物活性
【0107】
NGF、NGF部分又は持効型NGFポリペプチドの生物活性を決定するための本明細書に記載されている様々な方法は、当技術分野で知られている。例えば、生物活性は、CN103376248A及びCN108727486Aに記載されるように(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)、TF-1細胞増殖試験によって評価することができる。以下の実施例4を参照のこと。また、生物活性は、新生児ラットの上頸神経節(SCG)の成長を促進する能力(以下の実施例5を参照)、又はニワトリ胚後根神経節の成長を促進する能力(WO2017157326を参照、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に基づいて決定することもできる。また、生物活性は、以下の状況:i)糖尿病性神経障害の動物モデル/患者における創傷治癒の改善(例えば、実施例7を参照);ii)アルツハイマー病の動物モデル/患者における空間認識、記憶及び/又は学習能力の改善(例えば、実施例8を参照);iii)卵巣顆粒膜腫瘍細胞株の増殖及び/又はエストロゲン分泌の改善及び/又は早発卵巣不全動物モデル/患者における卵胞軽減の改善(例えば、実施例9を参照);iv)精子形成障害動物モデル/患者における、精子数及び/又は運動性の軽減の救済、及び/又は精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び/又は精巣上体管細胞断片に対する治療効果(例えば、実施例10を参照);又はv)神経栄養性角膜炎動物モデル/患者における、損傷した角膜の完全性の回復(例えば、フルオレセインナトリウム染色試験による)及び/又は損傷した角膜神経の救済(例えば、角膜神経の長さの測定による)(例えば、実施例11を参照)が存在するかどうかに基づいて決定することもできる。なお、当技術分野で知られている任意の適切なアッセイプロトコルを本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの生物活性の検出に適用することができる。
【0108】
バイオアッセイは、NGFの生物活性に焦点を当て、それを読み取り値として使用する。バイオアッセイでは、敏感な細胞株(例えば、初代細胞培養物又は試験サンプルに依存及び/又は応答するインビトロ適応細胞株)又は動物モデル/NGF関連疾患を有するヒトにおいてサンプルの活性がテストされ、そして該活性(例えば、細胞増殖)の結果が標準的なNGF製剤又は対照群(例えば、マウスNGF、mNGF118又は既知の持効型NGFポリペプチド)と比較される。NGFの生物活性の他の側面には、(i)ニューロンの生存の支持;(ii)神経突起成長の促進;(iii)神経化学的分化の増強;(iv)膵β細胞の増殖の促進;(v)自然免疫及び/又は獲得免疫の誘導;(vi)損傷した神経細胞の修復及び/又は損傷の予防(例えば、神経栄養性角膜炎);(vii)卵巣顆粒膜腫瘍細胞株の増殖及び/又はエストロゲン分泌の促進;(viii)創傷治癒の促進(例えば、糖尿病性神経障害において);(ix)神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を有する被検者における空間認識、記憶及び/又は学習能力の改善;(x)神経変性疾患の治療及び/又は予防;(xi)精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び/又は精巣上体管細胞断片の治療;(xii)精子数及び/又は運動性の軽減の救済、又は精子数及び/又は運動性の増加(例えば、精子形成障害において);及び/又は(xiii)卵胞数及び/又は機能の軽減の改善、又は卵胞数及び/又は機能の増加(例えば、早発卵巣不全において)が含まれる。これらのすべての活性は、ニューロン生存アッセイ又は神経突起成長アッセイなどのインビトロ及び/又はインビボアッセイを使用して測定できる。
【0109】
例えば、TF-1細胞増殖試験において、96ウェルプレートでサンプル(例えば、持効型NGFポリペプチド)と対照群(例えば、ベクター又はSuTaiShengRマウスNGF)の連続希釈液を調製し、次にTF-1細胞を各ウェルに加え、37°C、5%CO2の加湿インキュベーターで培養する。数日間(例えば、3日間)培養した後、MTS溶液を細胞懸濁液の各ウェルに加え、37°C、5%CO2の条件下で3時間培養した。その後、490nmと650nmでの吸光度を分光光度計で測定することにより、NGF部分又は持効型NGFポリペプチドがどうようにTF-1細胞増殖を促進するかを示す。対照試料に対してデータを正規化することができる。例示的な方法については、実施例4を参照のこと。
【0110】
本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの生物活性を測定するには、細胞シグナルアッセイを使用することもできる。市販されている様々な細胞シグナルアッセイキットを使用して、シグナル伝達に関与する酵素反応中に生成されたADPや、AMP、UDP、GDP、成長因子などの分析物を検出したり、総シグナルタンパク質とリン酸化形態のシグナルタンパク質を定量するためのホスファターゼアッセイを行ったりする。例えば、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドを細胞と共培養した後、特定のキナーゼが活性であるかどうかを決定するために、細胞溶解物を放射性リン酸塩の存在下で酵素の既知のマトリックスに曝露させる。生成物を電気泳動(免疫沈殿の有無にかかわらず)によって分離し、次にゲルをX線フィルムに曝させることにより、タンバク質に同位体が含まれているかどうかが判断される。いくつかの実施形態において、シグナルタンパク質の位置を確定するには、免疫組織化学により本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの細胞での生物活性を測定する。例えば、シグナルタンパク質自体又は活性化された状態にあるシグナルタンパク質に対する抗体を使用することができる。これらの抗体は、リン酸塩又は他の活性化立体配座を含む認識エピトープを持っている。いくつかの実施形態において、蛍光タンパク質遺伝子、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)を目的のタンバク質をコードする遺伝子ベクターに組み込むことにより、特定のシグナルタンパク質の移動(例えば、シグナル分子の核移行)を追跡することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの細胞での生物活性は、ウエスタンブロットによって検出される。例えば、すべてのチロシンリン酸化タンパク質(又はセリンやスレオニンなどの他のリン酸化アミノ酸)は、抗リン酸化チロシン抗体(又は他のリン酸化アミノ酸に対する抗体)による経時的刺激後に得られた細胞溶解液によるウエスタンブロットで検出することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの細胞での生物活性は、免疫沈殿によって決定することができる。例えば、特定のシグナルタンパク質又はすべてのチロシンリン酸化タンパク質に対する一次抗体をビーズに架橋する。そして、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドとともにインキュベートした細胞を、プロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液で溶解し、次に抗体被覆ビーズとともにインキュベートする。次に、SDS電気泳動を使用してタンバク質を単離し、そして前記のウエスタンブロットステップによってタンバク質を同定する。いくつかの実施形態において、タンバク質-タンバク質(例えば、シグナルタンパク質)の直接的な相互作用は、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)結合又は「プルダウン」アッセイを使用することにより決定してもよい。
【0111】
例えば、細胞成長の促進におけるNGFの生物活性を反映するためには、RAS/ERK1/2シグナルを測定することができ、例えば当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用してERK1/2をリン酸化する。例えば、ERK1/2リン酸化を測定するためには、この分子のリン酸化状態にある特異的な抗体を使用できる(任意選択にフローサイトメトリー分析と組み合わせてもよい)。例えば、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドとともに37℃でニワトリ胚後根神経節(DRGs)又はTF-1細胞をインキュベートする。インキュベート直後に、リン酸化状態と透過性を維持するために細胞を固定する。抗リン酸化ERK1/2の抗体、例えば、Alexa488結合抗ERK1/2 pT202/pY204(BD Biosciences)で細胞を染色し、そしてフローサイトメトリーで分析を行う。NGFの生物活性を反映するためには、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用してPI 3-キナーゼシグナルを測定することもできる。例えば、リン酸化S6リボソームタンパク質に特異的な抗体を使用してPI 3-キナーゼシグナル伝達を測定することができる(任意選択にフローサイトメトリー分析と組み合わせてもよい)。
【0112】
また、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの生物活性は、例えば、指示細胞の増殖、シグナル伝達の誘導又は阻害、あるいは組織の体積及び/又は重量を測定するようなインビボ又はインビトロでの実験により反映することができる。
【0113】
例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチドのSCGインビボ成長の促進における生物活性を研究するためには、SCGインビボ成長アッセイにおいて、新生児ラットの首に単回注射又は複数回注射でサンプル(例えば、持効型NGFポリペプチド)及び対照群(例えば、PBS又はSuTaiShengRマウスNGF)を皮下注射し、注射の数日後、これらのラットを殺してSCGを分離し、SCGを秤量し、また形態を記録することができる。例示的な方法については、実施例5を参照のこと。
【0114】
また、後根神経節の成長を促進する際のNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの生物活性を反映するためには、後根神経節成長アッセイにおいて、様々な濃度のサンプル(例えば、持効型NGFポリペプチド)又は対照群(例えば、PBS又はSuTaiShengRマウスNGF)の培地にニワトリ胚後根神経節(例えば、8日齢)を添加し、5%CO2及び37°Cの飽和湿度インキュベーターで例えば24時間培養し、そして後根神経節の成長状態をモニターすることができる。なお、実験にNGF標準品を用いられた場合、サンプルの特定の生物活性をAU/mgとして計算する可能性もある。被験サンプルの比活性(AU/mg)=参照物質の比活性(AU/ml)×[サンプルの前希釈係数×この希釈点での対応する参照物質の比活性(AU/ml)/参照物質の実際の比活性(AU/ml)]。例示的な方法については、WO2017157326の実施例5を参照のこと。
【0115】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分(又は持効型NGFポリペプチド)は、野生型NGF(又は野生型NGFを含むのポリペプチド)と比較してその生物活性が保持/増強/低減するように、変異又は修飾(例えば、翻訳後修飾)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている変異又は修飾NGF部分又は持効型NGFポリペプチドは、野生型NGF(又は野生型NGFを含むポリペプチド)と比較して、生物活性(例えば、細胞成長の促進)が同様(例えば、等しい)又は少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1000、5000又は10000倍又はそれ以上)になる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、NGF部分(例えば、持効型NGFポリペプチドの対応するNGF部分)と比較して、生物活性が同様(例えば、等しい)又は少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍又はそれ以上)になる。
薬物動態学(PK)
【0116】
薬物動態学(PK)とは、被検者に投与された薬物(例えば、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチド)の吸收、分布、代謝及び排泄のことを指す。臨床的有用性を決定するのに使用できる薬物動態パラメータとしては、血清/血漿中濃度、経時的な血清/血漿中濃度、最高血清/血漿中濃度(Cmax)、最高濃度到達時間(Tmax)、消失半減期(t1/2)、投与間隔内の濃度-時間曲線下面積(AUCτ)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
薬物、例えば、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチド又は対照薬物(例えば、SuTaiShengRマウスNGF)のPK曲線を得るための技術は、当技術分野で知られているものである。Heller et al.,Annu Rev Anal Chem,11,2018;Ghandforoush Sattari et al.,J Amino Acids,Article ID 346237,Volume 2010を参照のこと。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドのPK曲線は、個体の血液、血漿又は血清サンプルで測定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているNGF部分又は持効型NGFポリペプチドの個体におけるPK曲線は、質量分析技術(例えば、LC-MS/MS又はELISA)により測定される。また、PK曲線において、当技術分野で知られている任意の方法によってPKSolver V2ソフトウェアを使用して、非コンパートメント分析などのPK分析を行うことができる(Zhang Y.et al.,"PKSolver:An add-in program for pharmacokinetic and pharmacodynamic data analysis in Microsoft Excel,"Comput Methods Programs Biomed.2010;99(3):306-1)。例示的な方法については、実施例6を参照のこと。
【0118】
「C」は、被検者血漿、血清又は任意の適切な体液又は組織中の薬物(例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチド)濃度を表し、通常に、ナノグラム/ミリリットルなどの単位体積当たりの質量として表される。便宜上、血清又は血漿中の薬物濃度は、本明細書で「血清濃度」又は「血漿濃度」と呼ばれる。投与後の任意の時点(例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチド、例えば、静脈注射、腹腔注射又は皮下注射)での血清/血漿濃度は、Ctime又はCtと呼ばれる。投与期間中の最大血清/血漿薬物濃度はCmaxと呼ばれる。Cminとは、投与間隔の終点での最小血清/血漿薬物濃度を指す。Caveは、投与間隔中の平均濃度を指す。
【0119】
用語「バイオアベイラビリティ」とは、薬物(例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチド)が体循環を通過して作用部位に入る程度又は速度を指す。
【0120】
「AUC」は、血清/血漿中濃度-時間曲線下面積を表し、具体的に、投与間隔内の濃度-時間曲線下面積(AUCτ)、「総曝露」又は「経時的な総薬物曝露」(AUC0-last又はAUC0-inf)、投与後t時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)があり、バイオアベイラビリティの最も信頼できるスケールであると考えられている。
【0121】
最高血清/血漿中濃度到達時間(Tmax)は、投与(例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチド)後に最高血清/血漿中濃度(Cmax)に達するまでの時間である。
【0122】
消失半減期(t1/2)とは、血漿又は血清(又は他の生物的マトリックス)中に測定された薬物濃度(例えば、NGF部分又は持効型NGFポリペプチド)が、特定の時点でのその濃度又は量の半分に低下するのに必要な時間を指す。例えば、薬物が静脈投与後に分散及び消失するので、血漿又は血清中の薬物濃度が低下する。静脈投与後の血漿又は血清中薬物濃度の経時的な曲線では、最初の段階又は急速な低下段階が主に分散に起因し、その後段階の低下が通常により遅くて主に消失に起因したと考えられているが、分散及び消失の両方がその二つ段階で起こることがある。分布は、十分な時間が経過した後に完了すると想定される。消失半減期は、血漿/血清中濃度-時間曲線の終末期又は消失(主要)段階によって决定されるのが一般である。それについて、Michael Schrag及びKelly Regal、「臨床前薬物開発における毒理学の総合ガイド」の「第3章-薬物動態学及び毒性動態学」2013を参照のこと。
【0123】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、少なくとも5時間の半減期(例えば、ヒトへの注射などの静脈注射、皮下注射又は筋肉注射)を有し、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250又は300時間のうちのいずれか1つ、あるいはそれ以上の半減期を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、5時間~300時間の半減期(例えば、ヒトへの注射などの静脈注射)を有し、例えば、8時間~100時間、10時間~60時間、15時間~60時間及び20時間~58時間のうちのいずれか1つの半減期を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、単回静脈注射又は注入、単回筋肉注射又は単回皮下注射などの単回投与として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、約55時間の循環半減期を有する。
【0124】
いくつかの実施形態において、NGF部分は、半減期が1時間~2.5時間であり、例えば、半減期が1.5時間~2.4時間である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの循環半減期は、対応するNGF部分(即ち、持効型NGFポリペプチドに含まれるFcに融合されていないNGF部分)又は野生型NGFの循環半減期に対する5倍になり、例えば、対応するNGF部分又は野生型NGFの循環半減期に対する少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90及び100倍のうちのいずれか1つ又はそれ以上になる。
疼痛誘発活性
【0125】
NGFは、動物及びヒトに痛みを引き起こす可能性があるので、痛みの標的として知られている。NGFは、特に成人において、中枢及び末梢神経サブセットの健康と生存を促進する可能性がある(Huang及びReichardt,Ann.Rev.Neurosci.24:677-736(2001))。また、NGFは、これらのニューロンの機能・特性の調節にも寄与し、侵害受容器と呼ばれる感覚痛受容体の感受性又は興奮性に対して緊張制御することができる(Priestley et al.,Can.J.Physiol.Pharmacol.80:495-505(2002);Bennett,Neuroscientist 7:13-17(2001))。侵害受容器により、様々な有害な刺激が知覚されて中枢神経系に伝達され、痛みが生じる(侵害受容)。侵害受容器にNGF受容体がある。NGFの発現は、損傷した組織や炎症を起こした組織で増加し、またヒトの痛みの状態でアップレギュレートされる。NGFによる侵害受容・痛みは、高親和力NGF受容体であるtrkA(チロシン受容体キナーゼA)によって媒介される(Sah et al.,Nat.Rev.Drug Disc.2:460-72(2003))。
【0126】
「痛み」とは、経験的現象として広く定義されており、痛みを経験する個体にとって非常に主観的ものであり、環境や文化的背景を含む個体の心理状態にも影響される。「生理的」痛みは、実際又は潜在的な組織損傷を引き起こす原因になる、第三者が知覚する刺激に関連している場合が多い。痛みは、この意味で、国際疼痛学会(IASP)によると、「実際の又は潜在的な組織損傷に関連する感覚的及び感情的な経験、又はそのような損傷の観点から記述されるもの」とされている。ただし、識別可能な原因がない痛みの幾つの例がある。一例としては、知覚可能な痛みを引き起こすいわゆる証拠もない状況下で、心理的障害のある人が心因性要因又は時々持続して現れる知覚可能な痛みの症候群に起因した既存の身体的痛みの悪化を含む心因性疼痛がある。
【0127】
痛みには、侵害受容性疼痛、神経因性/神経性疼痛、突発的な痛み、アロディニア、痛覚過敏、知覚過敏、異常感覚、感覚異常、痛覚過敏、幻肢痛、心因性疼痛、無感覚麻痺、神経痛、神経炎が含まれる。また、他の分類として、悪性疼痛、狭心症痛及び/又は原発性疼痛、複雑性局所疼痛症候群I、複雑性局所疼痛症候群IIが含まれる。痛みの種類と症状が相互に排他的である必要はない。これらの用語の定義はIASPと一致している。
【0128】
侵害受容性疼痛は、末梢神経ニューロンにおける特殊な侵害受容器が侵害刺激に応答して、侵害刺激を活動電位としてコードすることによって引き起こされる。侵害受容器は、一般にAδ線維及び(ポリモーダル)C線維にあり、皮膚の下方、腱、関節及び体の器官で終了する遊離な神経終末である。後根神経節(DRG)ニューロンにより、末梢と脊髓の間の通信部位が提供される。脊髓で処理され、脳幹及び視床部位に到達した後、最後的に大脳皮質に到達したシグナルは、いつもではないがそこで痛みを引き起こす。侵害受容性疼痛は、身体組織を刺激又は損傷する可能な様々な化学的や、熱的、生物学的(例えば、炎症)、機械的事象によって引き起こされる可能性があり、侵害受容器で侵害受容活性を引き起こすのに必要な強度の特定の最小閾値を超えることが一般である。
【0129】
神経因性疼痛は、通常、末梢神経系又は中枢神経系の機能異常に起因し、それぞれ末梢神経因性疼痛又は中枢神経因性疼痛を引き起こし、IASPによって、神経系の原発性病変又は機能障害に起因するかまたは引き起こされる痛みとして定義される。神経因性疼痛は、特に慢性疾患において、神経系への実際の損傷を伴うことがよくある。炎症性侵害受容性疼痛は、通常、組織の損傷及びそれが引き起こした炎症過程に起因する。神経因性疼痛は、組織への観察可能な損傷が明らかに治癒した後(例えば、数か月又は数年)も持続する可能性がある。
【0130】
神経因性疼痛が存在する場合、影響された領域による感覚情報処理が異常になり、また、通常に痛みを引き起こさない無害な刺激(例えば、熱刺激、触覚/圧力刺激)が痛みを引き起こす恐れ(即ち、アロディニア)、または有害な刺激が正常な痛み刺激に対して過剰な痛みの知覚(即ち、痛覚過敏)を誘発する恐れになる。さらに、正常な刺激は、電気的なうずき又はショック又は「しびれ」に似た感覚(即ち、感覚異常)及び/又は不快な感覚(即ち、異常感覚)を引き起こす可能性がある。突発的な痛みは、既存の慢性疼痛の悪化である。痛覚過敏は、刺激に対する異常な痛み反応によって引き起こされる疼痛症候群である。なお、その刺激は、反復的であり、またそれに伴って、患者が痛み経験として識別できる最小の痛みと考えられている疼痛の閾値が増加する場合が多い。
【0131】
神経因性疼痛の例としては、触覚性アロディニア(例えば、神経損傷後に誘発される)、神経痛(例えば、疱疹後(又は帯状疱疹後)神経痛、三叉神経痛)、反射性交感神経性ジストロフィー/カウザルギー(神経外傷)、がん性疼痛(例えば、がん自体又は炎症などの関連状態による痛み、又は化学療法、手術又は放射線療法などの治療による痛み)、幻肢痛、閉じ込め神経障害(例えば、手根管症候群)、及び末梢神経障害などの神経障害(例えば、糖尿病、エイズ、慢性的なアルコール使用、他の毒素への曝露(多くの化学療法を含む)、ビタミン欠乏症、及び他の様々な疾患)が挙げられる。神経因性疼痛は、様々な原因(例えば、外科手術、創傷、帯状疱疹、糖尿病性神経障害、脚又は腕の切断、がんなど)による神経損傷後の神経系の病理学的手術によって引き起こされる痛みを含む。神経因性疼痛に関連する疾患は、外傷性神経損傷、脳卒中、多発性硬化症、脊髓空洞症、脊髓損傷及びがんを含む。
【0132】
痛みを引き起こす刺激は、よく炎症反応を引き起こすが、その炎症反応自体が痛みを引き起こす場合もある。痛みは、侵害受容因子と神経障害因子の複雑な混合因子によって引き起こされるような場合もある。例えば、慢性疼痛は、通常、炎症性侵害受容性疼痛又は神経因性疼痛、又はその両方の混合を含む。最初の神経系の機能障害又は損傷は、炎症性メディエーターの神経放出及びその後の神経因性炎症を引き起こす可能性がある。例えば、片頭痛は、神経因性疼痛と侵害受容性疼痛の混合として現れることがある。さらに、筋膜痛は、筋肉からの侵害受容入力に続発する可能性があるが、異常な筋肉活動は、神経系疾患の結果である可能性がある。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、Fc融合のない対応するNGF部分、野生型NGF、又は本明細書に記載されていない他のNGF-Fc融合タンパク質と比較して(以下、「対照NGF構築物」と呼ばれる)、被検者に疼痛を誘発する活性が低下しているか、又は全くない。いくつかの実施形態において、疼痛は、急性疼痛、短期疼痛、持続性又は慢性侵害受容性疼痛、あるいは持続性又は慢性神経因性疼痛である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、対照NGF構築物(例えば、野生型β-NGF)と比較すると、引き起こした痛みが少なくとも10%軽減し、また、対照のNGF構築物と比較すると、痛みが少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%軽減する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、被検者に投与されると、痛みを引き起こさない。
【0134】
疼痛誘発活性は、WO2017157325、WO2017157326及びCN108727486A(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、当技術分野で知られている任意の方法によって測定することができる。いくつかの実施形態においては、疼痛が疼痛閾値によって測定される。疼痛閾値は高いほど疼痛は少ない。
【0135】
例えば、痛みを引き起こす活動は、患者に経験した痛みの質と強さを様々な評価スケールで評価するように依頼することで測定できる。言葉による痛み評価スケールでは、それぞれ0~3のスコアとして言葉で痛みなし、軽度の痛み、中等度の痛み及び重度の痛みの程度を説明する。或いは、0(痛みなし)から10(最悪な痛み)までの数値の疼痛評価スケールに従って痛みを評価するように患者が要求される場合がある。そこに痛みのない状態から最悪と考えられる痛みまでの痛みを表す言葉がある垂直線又はレベル線のあるビジュアルアナログスケール(VAS)では、患者が当時の痛みのレベルを表す点に記号ように求められる。McGillペインインデックスによれば、患者が、パンディング、バーニング、ピンチングなどの一連の短いリストから自分の痛みを最もよく表す単語を選択することで、痛みの質と強さの両方を説明できる。VAS又は数値スケールの使用が困難になる成人(例えば、FACES顔面又は非言語患者)では、行動評価尺度などの他の痛み評価スケールを使用できる。機能的活動性スコアでは、患者に痛みのある領域に関連するタスクを実行するように求めることによって、痛みによって患者が妨げられている程度を反映する。これらのタイプの評価スケールを使用して疼痛スコアを改善する。例えば、疼痛スコアの改善は、被験NGF構築物(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)は対照NGF構築物に比べて、痛みの副作用が少なくなること、を潜在的に示している。
【0136】
いくつかの実施形態において、ホットプレート法(54~55℃)によりマウスで本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの疼痛誘発活性を測定して疼痛閾値を決定することができる。簡単に言えば、反応条件を満たしたマウスに麻酔をかけた後、神経クランプ法によりマウス坐骨神経損傷モデルを確立し、それに対して、偽手術群には坐骨神経をクランプせずに坐骨神経のみを分離する。次に、マウスが偽手術群、損傷対照群(正常生理食塩水)及び実験群(本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドで処理、及び/又はマウスβ-NGFなどの対照NGFで処理)という3つの群に分けられる。各マウスの疼痛閾値は、手術前と手術後の様々な時点で測定できる後足をなめる潜伏時間で表される。疼痛閾値の増加%=(損傷後10日目の疼痛閾値-損傷前の疼痛閾値)×100%/損傷前の疼痛閾値。
【0137】
本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの疼痛誘発活性は、機械的刺激に対するマウスの足屈曲反応を測定して疼痛閾値を決定することにより、マウスで試験することもでき、また、短期間の疼痛誘発条件でも長期間の疼痛誘発条件下でも測定できる。簡単に言えば、反応条件を満たしたマウスに本明細書に記載されているベクター又は本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド(又はマウスβ-NGFなどの対照NGF;様々な濃度で行われる)を皮下注射し、次に、注射後の機械的刺激に対する足屈曲反応(例えば、異なる時点で)を測定することにより、治療後の疼痛閾値が反映される。
【0138】
本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの疼痛誘発活性は、行動アッセイによっても試験してもよい。例えば、ラットの関節に本明細書に記載されているベクター又は持効型NGFポリペプチド(又はマウスβ-NGFなどの対照NGF;様々な濃度で行われる)を投与し、次に、投与後(例えば、異なる時点で)の脚上げの持続時間及び脚上げの回数を記録することにより被験薬が痛みを引き起こすかどうかを検出し、脚上げの合計持続時間を計算する。脚上げの合計時間が短い場合は、疼痛誘発活性が少ないことを意味する。
安定性
【0139】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、物理的安定性、化学的安定性及び/又は生物学的安定性などの優れた安定性を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、熱安定性に優れ、例えば、高い融解温度(Tm)及び/又は高い凝集開始温度(Tagg)を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、加速ストレス(例えば、高温)で安定性に優れていて、例えば、断片化、凝集体の形成及び/又は凝集体の増加が少ないか又は全くない。
【0140】
タンバク質の安定性、特に凝集に対する感受性は、主にタンバク質分子の立体配座及びコロイド安定性に依存する。最も一般的な凝集形式である非天然タンバク質の凝集の最初のステップは、分子構造のわずかな摂動、例えば、タンバク質の部分的なアンフォールディング、即ち立体配座変化であると考えられていて、タンバク質の立体配座安定性によって决定される。2番目のステップには、部分的に展開された分子は、拡散とランダムなブラウン運動によって駆動されて近接し、凝集体を形成する。2番目のステップは、主に分子のコロイド安定性によって决定される(Chi et al.,Roles of conformational stability and colloidal stability in the aggregation of recombinant human granulocyte colony stimulating factor.Protein Science,2003 May;12(5):903-913を参照のこと)。本明細書で使用される場合、用語「安定性」は、一般に、生物活性物質(例えば、タンバク質)の完全性を維持するか、又は分解、変性、凝集又はアンフォールディングを最小限に抑えることを指す。本明細書で使用される場合、「改良された安定性」とは、分解、変性、凝集又はアンフォールディングを引き起こす可能な条件下で、目的タンバク質(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)は、対照群タンバク質(例えば、他のNGF-Fc融合タンパク質)より、安定性がもっと優れていることを意味する。
【0141】
示差走査熱量測定(DSC)及び示差走査蛍光(DSF)は、タンバク質製剤の安定性を予測するための手段として当技術分野でよく知られていて、具体的には、所定の製剤中のタンバク質のアンフォールディング温度(Tm)を決定するために使用できる。所定の製剤中のタンバク質の高いTm測定値を、長期安定保存に利用可能な高信頼性かつ安定したタンバク質製剤と相関させることは、当技術分野における標準的な慣行である。
【0142】
「安定した」タンバク質(又は製剤)、例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドでは、製造及び/又は保存中、その物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を実質的に保持している。タンバク質安定性を測定するためには、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)、およびJones,A.(1993)Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90に概説されているように、当技術分野において様々な分析技術がある。例えば、一実施形態において、タンバク質の安定性については、溶液中の単量体タンバク質のパーセンテージに基づいて決定したところ、分解(例えば、断片化)及び/又は凝集タンバク質のパーセンテージが比較的に低い。好ましくは、タンバク質(又は製剤)は、室温(約30°C)又は40°Cで少なくとも1か月安定し、かつ/あるいは約2~8°Cで少なくとも6か月又は少なくとも1年間又は少なくとも2年間安定する。さらに、このタンバク質(又は製剤)は、冷凍(例えば、-70℃)及び解凍後(以下で「凍結-解凍サイクル」と呼ばれる)に安定することが好ましい。
【0143】
タンバク質、例えば本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、色及び/又は透明度の目視的検査、あるいは紫外線光散乱又はサイズ除去クロマトグラフィーによる測定で、凝集、沈殿及び/又は変性などの不安定の徴候が実質的になければ、製剤中で「その物理的安定性が保持される」と言える。なお、凝集は、個々のタンバク質分子又は複合体が共有結合又は非共有結合して凝集体を形成するプロセスであり、目に見える沈殿物が形成された程度まで進行する場合がある。
【0144】
タンバク質、例えば本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、所与の期間の化学的安定性によりその生物活性(例えば、上記の「生物活性」節に記載された)が依然として保持できれば、このタンバク質が製剤中で「その化学的安定性を保持している」と言える。化学的安定性は、例えばタンバク質の化学的変化形態を検出及び定量化することにより評価することができる。また、化学変化は、サイズ変化(例えば、剪断)を伴う場合があるが、サイズ除去クロマトグラフィー、SDS-PAGE及び/又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価できる。他のタイプの化学変化は、例えば、電荷変化(例えば、脱アミド化又は酸化による変化)を包含し、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより評価できる。
【0145】
タンバク質、例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、医薬製剤において所望の目的に対して生物活性を示した場合、このタンバク質は製剤中で「その生物活性を保持している」と言える。例えば、タンバク質は、製剤中の生物活性が、製剤に調製されたときの生物活性に対する30%、20%又は10%(分析誤差範囲内)になる場合、その生物活性が保持されている。
【0146】
タンバク質(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)の安定性は、製剤の組成以外の他の特性に依存することが当業者に知られている。例えば、安定性は、温度、圧力、湿度、pH値及び外部放射に影響される場合がある。タンバク質製剤中のタンバク質(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)の安定性は、様々な方法で決定することができる。いくつかの実施形態において、タンバク質の安定性は、サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)により決定する。SECは、分析物(例えば、タンバク質などの高分子)の流体力学的サイズ、拡散係数及び表面特性に基づいて分析物を分離するものである。従って、例えば、SECによれば、様々な変性状態のタンバク質及び/又は分解されたタンバク質から、本明細書に記載されている天然の三次元立体配座の持効型NGFポリペプチドを分離することができる。SECは、通常、固定相が、ガラス又はスチールカラム内の緻密な三次元マトリックスに充填された不活性粒子で構成され、移動相が純水、水性緩衝液、有機溶媒、それらの混合物又は他の溶媒である。固定相の粒子は、所定のサイズより小さい物質しか侵入できない小さなウェル及び/又はチャネルを具備する。従って、大粒子はこれらの細孔及びチャネルから除去されるが、小粒子は移動相から転送される。粒子が固定細孔に固定化されている時間は、粒子が細孔にどれだけ侵入できるかに依存する。移動相の流れから転送されることによりクロマトカラムから溶出するのに必要な時間が長くなるので、粒子はサイズの違いに基づいて分離されるようになる。実施例3に提供される例示的な方法を参照のこと。
【0147】
いくつかの実施形態において、タンバク質(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)又はその断片は、SECを同定技術と組み合わせることにより、同定されるか又は特徴付けられる。タンバク質の同定及び特徴付け手段としては、様々であり、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)、イムノアッセイ、電気泳動、紫外/可視/赤外分光法、ラマン分光法、表面増強ラマン分光法、質量分析法、ガスクロマトグラフィー、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導タンバク質アンフォールディング技術、固有トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定及び/又はANSタンパク質結合などのクロマトグラフィー技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
いくつかの実施形態において、サンプル製剤(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドを含む)及び対照製剤(例えば、他のNGF-Fc融合タンパク質又は標準品を含む)は、以下の実施例3に記載されるように、単量体の含有量、凝集体及び/又は断片化タンパク質(及び/又は断片の増加パーセンテージ、凝集体の増加パーセンテージなど)を決定するために、処理段階の前に任意選択に測定される。次に、各タンバク質製剤は処理段階を経る。例えば、各タンバク質製剤を特定の温度(例えば、40℃、25℃又は5℃)で長期間(例えば、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月又はそれ以上)保存する。いくつかの実施形態において、タンバク質製剤は、攪拌ストレス試験などの物理的ストレス試験を受ける。いくつかの実施形態において、タンバク質製剤は、加速安定性試験を受け、例えば高温(例えば、40℃)、高湿度及び/又は低pH値などを含む加速ストレス下で処理される。いくつかの実施形態において、タンバク質製剤は冷凍-解凍サイクルを経る。いくつかの実施形態において、同じタンバク質製剤のサンプルは、異なる処理を受け、例えば、異なる温度で一定時間保存される。処理段階の後、タンバク質製剤を測定し、タンバク質の単量体、凝集体及び/又は断片の含有量(及び/又は断片の増加パーセンテージ、凝集体の増加パーセンテージなど)を決定する。いくつかの実施形態において、タンバク質製剤は、融解温度(Tm)及び/又は凝集開始温度(Tagg)を測定するために、連続加熱下で処理され、例えば、約20℃から約95℃まで温度を上昇させる(例えば、約0.3℃/minの加熱速度で)。TmとTaggは、蛍光タンパク質分析装置を使用して、それぞれ266nm/473nmでの蛍光吸光度と光散乱の変化によって測定できる。Tmが高いほど、熱安定性が高くなる。Taggが高いほど、凝集が難くなる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、Tmが50℃以上であり、例えば、Tmが51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃又は75℃のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、Taggが50℃以上であり、例えば、Taggが51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃又は85℃のうちのいずれか1つである。
【0149】
安定性、例えば組成物又は製剤の物理的安定性は、サンプルの見かけの光減衰(吸光度又は光密度)の測定などの、当技術分野で周知の方法によって評価することができる。この光減衰測定は、製剤の濁度に関連している。製剤の濁度は、溶液に溶解したタンバク質の固有の特性であり、比濁分析法によって比濁分析法濁度単位(NTU)で測定される。
【0150】
濁度は、例えば、溶液中の一つ又は複数の成分(例えば、タンバク質及び/又は塩)の濃度の関数として、製剤の「乳白色」又は「乳白色の外観」とも呼ばれ、濁度が既知の懸濁液から作成された標準曲線を使用して計算できる。医薬組成物の濁度を測定するためには、参照基準として欧州薬局方基準(欧州薬局方、第4版、欧州委員会薬品品質局(EDQM)、ストラスブール、フランス)を使用することができる。欧州薬局方基準によれば、透明な溶液は、濁度が約3である対照懸濁液に対して、その以下の濁度を有するものとして定義される。相関又は非理想的な効果がない場合に、濁度の測定には通常、濃度に従って直線的に変化するレイリー散乱が検出される可能性がある。医薬タンバク質の物理的安定性を評価するための他の方法は、当技術分野で周知であり、例えば、サイズ除去クロマトグラフィー又は分析用超遠心法である。
【0151】
いくつかの実施形態において、安定性とは、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドを含む製剤が検出できないほどの低粒子形成レベルを有することを指す。本明細書に用いられる語句「検出できないほどの低粒子形成レベル」とは、HIAC分析又は目視的分析によって決定される場合、30個の粒子/ml未満、20個の粒子/ml未満、15個の粒子/ml未満、10個の粒子/ml未満、5個の粒子/ml未満、2個の粒子/ml未満又は1個の粒子/ml未満を含むサンプルを指す。いくつかの実施形態において、HIAC分析又は目視的分析によって、持効型NGFポリペプチド製剤中の粒子は検出されない。
【0152】
「実質的なタンバク質凝集」とは、タンバク質製剤におけるタンバク質の凝集レベルが、対照タンバク質製剤におけるタンバク質の凝集レベルよりも著しく高いことを指す。対照タンバク質製剤としては、保存又は処理前(例えば、高温、湿度、pH及び/又は長期保存の前などの不安定な条件に供する前)の同じのタンバク質製剤であってもよく、同じ条件下で測定される異なるタンバク質製剤(例えば、他のNGF-Fc融合タンパク質、又はFcと融合されていないNGF部分)であってもよい。
【0153】
「タンバク質凝集を実質的に含まない」とは、本発明のタンバク質(又は製剤)が対照製剤よりも明らかに高いレベル又はパーセンテージのタンバク質凝集を有さないことを意味し、例えば、タンバク質(又は製剤)の凝集レベルが、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%又は0.1%未満である。タンバク質の凝集レベルは、本明細書の実施例3に記載されるように、当技術分野で知られている標準的な技術を使用して決定することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、タンバク質の凝集が(例えば、加速安定性試験において)実質的にない。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、最大15%のタンバク質の凝集を有し、例えば、最大14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0.5%などタンバク質凝集を有する(例えば、加熱などの加速安定性試験条件下)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、(例えば、加熱などの加速安定性試験条件下で)タンバク質の凝集がない。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、15%を超えない凝集体の増加を有し、例えば、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を超えない凝集体の増加を有する。いくつかの実施形態において、安定性はSECによって測定される。いくつかの実施形態において、安定性はCE-SDSによって測定される。
【0154】
いくつかの実施形態において、安定性とは、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド断片化の軽減を指す。本明細書に用いられる用語「検出できないほどの低断片化レベル」とは、サンプルは80%、85%、90%、95%、98%又は99%以上の全タンバク質を含み、例えば、HPSECによって決定した単一のピーク、又は還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)によって決定した複数のピーク(例えば、サブユニットと同じ数のあるピーク)において、分解されていないタンバク質又はその分解されていない断片を表し、全タンバク質の5%、4%、3%、2%、1%又は0.5%を超える他の単一のピークを含まないことを指す。本明細書に用いられる用語「還元キャピラリーゲル電気泳動」とは、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドなどのFc含有タンバク質中のジスルフィド結合を還元するのに十分な還元条件下でのキャピラリーゲル電気泳動を指す。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、0%~15%の断片、例えば、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)0%~12%の断片を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、30%を超えない断片を有し、例えば、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を超えない断片を有する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)断片がない。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、断片の増加が30%を超えなく、例えば、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)断片の増加が29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%を超えない。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、少なくとも75%のメインピークを有し、例えば、(例えば、加速加熱などの加速安定性試験条件下で)少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%のメインピークを有する。いくつかの実施形態において、安定性はSECによって測定される。いくつかの実施形態において、安定性はCE-SDSによって測定される。
持効型NGFポリペプチド誘導体
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書に言及される持効型NGFポリペプチドは、当技術分野で知られており、かつ容易に入手できる追加の非タンパク質部分を含むように、さらに修飾することができる。持効型NGFポリペプチド誘導体に適した非タンパク質部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミド酸(ホモポリマー又はランダム共重合体)、デキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロピレンオキサイド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチレンポリオール(例えば、グリセリン)、ポリビニルアルコール及びその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性により、製造に利点がある場合がある。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。持効型NGFポリペプチドに連結されるポリマーは、数が異なってもよく、また、ポリマーが複数連結される場合、ポリマーは同じ分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、改善される持効型NGFポリペプチドの特定の特性又は機能、持効型NGFポリペプチド誘導体が特定の条件下で治療に使用されるかどうかなどを含むがこれらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
【0156】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、発色団、蛍光団(例えば、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、及びその誘導体)、蛍光タンパク質(例えば、GFP、フィコビリタンパク質及びその誘導体)、リン光系染料(例えば、ジオキセタン、キサンテン又はカルボシアニン色素、ランタニドキレート)、タンデム系染料(tandem dye)(例えば、シアニン-フィコビリプロテイン誘導体、及びキサンテン-フィコビリプロテイン誘導体)、粒子(例えば、金クラスター、コロイド金、ミクロスフェア、量子ドット)、ハプテン、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、ルシフェラーゼ)及び放射性同位体(例えば、125I、3H、14C、32P)から選択されたラベルをさらに含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチドは、生物学的に活性なタンバク質、ポリペプチド又はその断片を一つ又は複数含むように、さらに修飾することができる。本明細書で使用される場合、「生物活性」又は「生物学的活性」は交換可能に使用され、特定の機能を実行するためにインビボで生物活性を示すことを指す。例えば、タンバク質、DNAなどの特定の生体分子に結合し、この生体分子の活性を促進又は阻害することを意味する。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なタンバク質又はその断片には、疾患又は症状の予防又は治療のために活性医薬品として患者に投与されるタンバク質及びポリペプチド、診断試験又はインビトロ検出で使用される酵素などの診断目的で使用されるタンバク質及びポリペプチド、ならびにワクチンなどの疾患を予防するために患者に投与されるタンバク質及びポリペプチドが含まれる。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なタンバク質又はその断片は、免疫刺激/免疫調節、膜輸送又は酵素活性を有する。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なタンバク質、ポリペプチド又はその断片は、酵素、ホルモン、成長因子、サイトカイン又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なタンバク質、ポリペプチド又は断片は、目的ペプチド(例えば、抗原又は他のタンバク質)を特異的に認識することができる。
【0158】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに含まれ得る生物学的に活性なタンバク質又はその断片は、抗原結合タンバク質(例えば、抗体)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに含まれ得る生物学的に活性なタンバク質又はその断片は、抗体を連想させる抗原結合ドメインを含む小さな人工タンバク質である抗体模倣物である(GGeering及びFussenegger,Trends Biotechnol.,33(2):65-79,2015)。これらの分子は、既存のヒト足場タンパク質に由来し、単一のポリペプチドで構成される。本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに含まれ得る抗体模倣物としては、例えば、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin;完全合成アンキリンリピート配列を3~5個含み、かつ両端にN端及びC端のキャップドメインがあるもの)、親和力多量体(アビマー;標的に対する親和力が低い複数のAドメインを含む高親和力タンバク質)、又は抗凝固剤(脂質足場に基づいて、4つのアクセス可能な、かつ配列がランダムである可能なループを備えるもの)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに含まれ得る生物学的に活性なタンバク質又はその断片は、アルマジロリピートユニット(特性、リピートアミノ酸配列の長さが約40個の残基である)を含むアルマジロリピートタンパク質(例えば、β-カテニン、α-インポーチン、プラコグロビン、腺腫性ポリープ症(APC))である。各アルマジロリピートユニットは、ヘアピン構造を形成する一対のαヘリックスで構成される。前記のαソレノイド構造は、繰り返しの複数のコピーにより形成される。アルマジロリピートタンパク質は、特定の保存性側鎖あるいはペプチドの遊離N-又はC-末端との相互作用を必要とせずに、ペプチド主鎖の固定の結合態様に依存して、様々な種類のペプチドに結合することができる。残基によりペプチド残基を認識する可能性、およびリピートタンパク質の固有のモジュール性により、アルマジロリピートタンパク質がペプチド結合のための汎用的な足場として用いられるのは期待されている。
III.持効型NGFポリペプチドをコードするベクター
【0159】
また、本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする核酸を含むベクターに関する。また、本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする核酸を含む単離された宿主細胞(例えば、CHO細胞、HEK 293細胞、Hela細胞又はCOS細胞)、又は本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする核酸を含むベクターに関する。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、持効型NGFポリペプチドのN端のシグナルペプチド配列(例えば、配列番号6)をさらにコードする。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、持効型NGFポリペプチドのN端のプロペプチド配列(例えば、配列番号5)をさらにコードする。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、その後に持効型NGFポリペプチドのN端のプロペプチド配列(例えば、配列番号5)が続いているシグナルペプチド配列(例えば、配列番号6)をさらにコードする。
【0160】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号1~3のいずれか)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、IgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号61~67のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸に関する。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、5’端に配列番号6のシグナルペプチド配列をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、5’端に配列番号5のプロペプチド配列をコードする核酸配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、単離された核酸(5’から3’まで)は、配列番号6のシグナルペプチド配列をコードする核酸配列、およびその後の5’端に位置する配列番号5のプロペプチド配列をコードする核
酸配列をさらに含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号34、36、38、40、42、44及び46のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸に関する。いくつかの実施形態において、配列番号6のシグナルペプチド配列を含まずに、配列番号34、36、38、40、42、44及び46のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチドをコードする単離された核酸に関する。いくつかの実施形態において、配列番号33、35、37、39、41、43及び45のいずれかの核酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)単離された核酸に関する。
【0162】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする核酸を含むベクターは、哺乳動物の細胞(例えば、CHO細胞、HEK 293細胞、Hela細胞、COS細胞)などの真核細胞における複製及び統合に適している。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターはpTT5などの非ウイルスベクターである。
【0163】
哺乳動物の細胞へ遺伝子を導入するためには、多数のウイルスベースの系が開発されてきた。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、及びそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスベクター技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、ならびにウイルス学及び分子生物学の他のハンドブックに詳述されている。レトロウイルスは、遺伝子送達システムの便利なプラットフォームを提供する。当技術分野で知られている技術を使用して、異種核酸をベクターに挿入してレトロウイルス粒子にパッケージングすることができる。次に、組換えウイルスを単離してインビトロ又はエクスビボで遺伝子操作された哺乳動物の細胞に送達することができる。多くのレトロウイルス系は当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、アデノウイルスベクターを使用する。多くのアデノウイルスベクターは当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターを使用する。いくつかの実施形態において、自己不活化型レンチウイルスベクターを使用する。例えば、構築物のタンパク質コード配列を有する自己不活化型レンチウイルスベクターは、当技術分野で知られている実験方法を使用してパッケージングすることができる。得られたレンチウイルスベクターは、当技術分野で知られている方法を使用して哺乳動物の細胞に形質導入するために使用することができる。レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)に由来するベクターは、導入遺伝子の長期的かつ安定した統合と子孫細胞での増殖を可能にするため、長期的な遺伝子形質導入を実現するのに適したツールである。レンチウイルスベクターも免疫原性が低く、非増殖細胞に形質導入できる。
【0164】
いくつかの実施形態において、ベクターは非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターはpTT5ベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、眠れる森の美女(Sleeping Beauty(SB))トランスポゾンシステム又はPiggyBacトランスポゾンシステムなどのトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ポリマーベースの非ウイルスベクターであり、例えば、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、またはデンドリマーである。いくつかの実施形態において、ベクターは、例えば、カチオン性リポソーム、脂質ナノエマルジョン及び固体脂質ナノ粒子(SLN)などのカチオン性脂質ベースの非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターは、ペプチドベースの非ウイルス遺伝子ベクター、例えば、ポリ-L-リジンである。ゲノム編集に適した任意の既知の非ウイルスベクターは、持効型NGFポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入するために使用することができる。それについて、Yin H.et al.,Nature Rev.Genetics(2014) 15:521-555; Aronovich EL et al.,「The Sleeping Beauty transposon system:a non-viral vector for gene therapy.」 Hum.Mol.Genet.(2011) R1: R14-20和Zhao S.et al.,「PiggyBac transposon vectors:the tools of the human gene editing.」 Transl.Lung Cancer Res.(2016)5(1):120-125(援用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドをコードする任意の1つ又は複数の核酸又はベクターは、エレクトロポレーション、ソノポレーション、フォトポレーション、マグネトフェクション、ハイドロポレーションを含むがこれらに限定されない物理的手段によって宿主細胞(例えば、CHO、HEK 293、Hela又はCOS)に導入される。
【0165】
いくつかの実施形態において、ベクターは、ベクター(例えば、レンチウイルスベクター、pTT5ベクター)でトランスフェクトされた宿主細胞の集団から、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドを発現する細胞を選択するための選択マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子を含む。宿主細胞で発現できるように、選択可能なマーカーとレポーター遺伝子の両方が適切な調節配列で囲まれることができる。例えば、ベクターは、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及び核酸配列の発現を調節するためのプロモーターを含むことがある。
【0166】
核酸は、当技術分野で既知の任意の分子クローニング法によりベクターにクローニングすることができ、例えば、制限エンドヌクレアーゼ部位及び1つ又は複数の任意選択的なマーカーを使用してクローニングする。いくつかの実施形態において、核酸はプロモーターに作動可能に連結されている。原核細胞又は真核細胞(例えば、哺乳動物の細胞)において遺伝子発現を行うための様々なプロモーターが開発された。本発明には、当技術分野で知られている任意のプロモーターを使用することができる。プロモーターは、構成的プロモーターと、誘導性プロモーターなどの調節プロモーターに大別される。
【0167】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドをコードする核酸は、作動可能に構成的プロモーターに連結されている。構成的プロモーターは、異種遺伝子(導入遺伝子としても知られる)が宿主細胞において構成的発現することを可能にする。本明細書のプロモーターとしては、例えば、CMVプロモーター(CMV)、ヒト伸長因子-1α(hEF1α)、ユビキチンCプロモーター(UbiC)、ホスホグリセロキナーゼプロモーター(PGK)、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、CMV初期エンハンサー(CAGG)と結合したニワトリβ-アクチンプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ポリオーマエンハンサー/単純ヘルペスチミジンキナーゼ(MC1)プロモーター、βアクチン(β-ACT)プロモーター、「骨髓増生性肉腫ウイルスエンハンサー、陰性対照領域の削除、d1587revプライマー結合部位置換(MND)」プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。これらの構成的プロモーターが導入遺伝子の発現を駆動するところの效率は、多くの研究で広く比較されている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドをコードする核酸は、CMVプロモーターに作動可能に連結されている。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドをコードする核酸は、誘導性プロモーターに作動可能に連結されている。誘導性プロモーターは、調節プロモーターのカテゴリーに属する。誘導性プロモーターは、物理的条件、宿主細胞の微小環境又は宿主細胞の生理学的状態、誘導剤(即ち、誘導薬剤)又はそれらの組み合わせなどの1つ又は複数の条件によって誘導されることができる。いくつかの実施形態において、誘導条件は、宿主細胞において内在性遺伝子の発現を誘導しない。いくつかの実施形態において、誘導条件は、誘導剤、放射線(例えば、電離放射線、光)、温度(例えば、熱)、レドックス状態及び宿主細胞の活性化状態から選択される。いくつかの実施形態において、誘導性プロモーターは、NFATプロモーター、TETONRプロモーター、又はNFκBプロモーターでよい。
IV.製造方法
【0169】
本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドを作成する方法にも関する。従って、いくつかの実施形態において、(a)コードされる持効型NGFポリペプチドを効果的に発現できる条件下で、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドをコードする核酸又はベクターを含む宿主細胞(例えば、CHO細胞、HEK 293細胞、Hela細胞又はCOS細胞)を培養する工程;及び(b)発現された持効型NGFポリペプチドを前記宿主細胞から得る工程を含む、持効型NGFポリペプチドを調製する方法に関する。いくつかの実施形態において、工程(a)は、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドをコードする核酸又はベクターを含む宿主細胞を産生することをさらに含む。本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、当技術分野で知られているか、又は本明細書に記載されている任意の方法を使用して作成することができる。例示的な方法については、実施例1を参照のこと。
【0170】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは、真核細胞、例えば、哺乳動物の細胞で発現される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドは原核細胞で発現される。本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドが原核細胞で発現される場合、産生されたプロNGF-(任意選択的なリンカー)-Fc部分は、プロペプチド配列にプロセッシングされることができない。従って、原核細胞発現に使用される場合、持効型NGFポリペプチドをコードする核酸は、プロペプチド配列(例えば、配列番号5)をコードする核酸配列なしで設計することができる。
1.原核細胞の組換え生成物
a)ベクター構築
【0171】
本発明のタンバク質構築物をコードするポリ核酸配列は、標準的な組換え技術を使用して得ることができる。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機又はPCR技術を使用して合成できる。ポリペプチドをコードする配列を得たら、すぐにその配列を原核宿主において異種ポリヌクレオチドを複製及び発現できる組換えベクターに挿入する。本発明には、当技術分野で知られる入手可能な多くのベクターを使用することができる。ベクターは、ベクターに挿入される核酸のサイズ、及びベクターでトランスフェクションされる特定の宿主細胞に主に考慮して、適切に選択する。各ベクターは、このベクターの機能(異種ポリヌクレオチドの増幅又は発現、又はその両方)及びこのベクターとそれが存在する特定の宿主細胞との適合性に応じて、様々な成分を含む。ベクター構成要素は、一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入及び転写終結配列を含むが、これらに限定されない。
【0172】
一般に、プラスミドベクターは、宿主細胞と適合する種に由来するレプリコン及び制御配列を含有し、これらの宿主細胞とともに使用されている。ベクターは、通常、複製部位と、形質転換細胞において表現型選択を提供できるマーカー配列とを有する。例えば、大腸菌は、通常、大腸菌に由来するプラスミドであるpBR322で形質転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含むため、形質転換細胞を識別する簡単な方法を提供する。pBR322、その誘導体、又は他の細菌プラスミド又はファージは、微生物が内在性タンバク質を発現するために用いられるプロモーターを含むか、又は修飾されてそのプロモーターを含むことがある。特異的抗体の発現に用いられるpBR322誘導体の例については、Carter et al.,U.S.Pat.No.5,648,237に詳述されている。
【0173】
さらに、宿主微生物と適合するレプリコンと制御配列とを含むファージベクターは、これらの宿主細胞とともに形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、GEMTM-11などのファージは、大腸菌LE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために用いられる組換えベクターの作成に使用することがある。
【0174】
プロモーターは、下流の遺伝子発現を調節する、シストロンの上流(5′)に位置する非翻訳調節配列である。原核生物のプロモーターは、一般に、誘導性と構成性の2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件の変化(例えば、栄養素の有無や温度の変化)に応答して、シストロンの転写レベルを開始及び増加させるプロモーターである。
【0175】
潜在的な宿主細胞によって認識される多くのプロモーターはよく知られている。プロモーター配列は、制限エンドヌクレアーゼによってソースDNAから移動・単離されて、そして、プロモーターポリペプチドをコードするシストロンDNAに作動可能に連結されるように、本出願のベクターに挿入される。天然のプロモーター配列及び多くの異種プロモーターのいずれか一方も、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を指示するために利用可能である。いくつかの実施形態において、異種プロモーターは、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比較して、より多くの転写を可能にし、かつ発現された標的遺伝子の収量が高いので、利用される。
【0176】
原核宿主に適するプロモーターには、PhoAプロモーター、-ガラクトシダーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びtacやtrcプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれる。ただし、細菌で機能できる他のプロモーター(例えば、他の既知の細菌又はファージプロモーター)を適用してもよい。それらの核酸配列は開示されているので、当業者がリンカー又はアプタマーを使用して任意の所望の制限部位を提供し、そして、目的の軽鎖及び重鎖をコードするシストロンにそれらを連結することができる(Siebenlist et al.,(1980) Cell 20:269)。
【0177】
いくつかの実施形態において、組換えベクター内の各シストロンは、発現されるポリペプチドの膜貫通移動を直接指示する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であってもよいし、ベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。本発明に選択されるシグナル配列としては、宿主細胞によって認識・処理される(即ち、シグナルペプチダーゼによって切断される)可能性のあるものである。異種ポリペプチドの固有シグナル配列を認識及び処理できない原核宿主細胞では、シグナル配列が、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamP、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択された原核シグナル配列によって置換される。
【0178】
いくつかの実施形態において、本出願のタンバク質構築物の生産は、宿主細胞の細胞質で起こり得るため、いずれかのシストロン内に分泌シグナル配列が存在する必要はない。いくつかの実施形態において、ポリペプチド成分が発現され、折り畳まれ、組み立てられて、細胞質内でタンバク質構築物を形成する。いくつの宿主株(例えば、大腸菌trxB-株)により、ジスルフィド結合の形成に有利な細胞質条件を提供し、それによって発現されたタンバク質サブユニットが適切に折り畳まれかつ組み立てれることが可能になる。それについて、Proba及びPullthun,Gene,159:203(1995)を参照のこと。
b)原核宿主細胞
【0179】
本出願のタンバク質を発現するのに適する原核宿主細胞としては、古細菌及び真正細菌が含まれ、例えば、グラム陰性菌又はグラム陽性菌である。使用可能な細菌の例としては、大腸菌、バチルス(例えば、枯草菌)、エンテロバクター、シュードモナス(例えば、緑膿菌)、サルモネラ菌、セラチア・マルセッセンス、クレブシエラ、プロテウス、シゲラ、リゾビア、ビトレオシラ、およびパラコッカスが挙げられる。いくつかの実施形態において、グラム陰性細胞を使用する。いくつかの実施形態において、大腸菌細胞が本発明の宿主として使用される。大腸菌株の例としては、W3110株(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219;ATCC Deposit No.27,325)及びその誘導体が挙げられ、遺伝子型W3110 AfhuA(AtonA)ptr3 lac Iq lacL8 AompT A(nmpc fepE)degP41 kanRを有する33D3株(U.S.Pat.No.5,639,635)が挙げられる。また、E.coli 294(ATCC 31446)、E.coli B、E.coli 1776(ATCC 31537)及びE.coli RV308(ATCC 31608)などの他の株及びそれらの誘導体を適用してもよい。これらの例は説明のためのものであり、限定的なものではない。上述の既知の遺伝子型のいずれかの細菌誘導体を構築するための方法は、当技術分野で知られており、例えばBass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に詳述されている。細菌細胞におけるレプリコンの複製可能性を考慮すれば、通常、適切な細菌を選択する必要がある。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177又はpKN410などの既知のプラスミドを使用してレプリコンを提供する場合、大腸菌、セラチア又はサルモネラが宿主として使用される。
【0180】
一般に、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌し、細胞培養に追加のプロテアーゼ阻害剤を適切に添加する必要がある。
c)タンパク質生産
【0181】
宿主細胞を上記の発現ベクターでトランスフェクションし、適切に改良された従来の栄養培地で培養し、それにより、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅する。トランスフェクションとは、原核宿主にDNAを導入して、DNAが染色体外のエレメントとして又は染色体統合によって複製されることを可能にすることを意味する。トランスフェクションは、使用される宿主細胞に応じて、そのような細胞に適用できる標準的な技術を使用して行われる。通常、多量の細胞壁バリアを持つ細菌細胞には、塩化カルシウムによるカルシウム処理が使用される。別のトランスフェクション法としては、ポリエチレングリコール/ジメチルスルホキシドの使用、エレクトロポレーションがある。
【0182】
本発明のタンバク質構築物を生産するために使用される原核細胞は、当技術分野で知られており、選択される宿主細胞の培養に適した培地で成長される。適切な培地は、ルリア ブロス(LB)及び必要な栄養補助剤を含む。いくつかの実施形態において、培地は、発現ベクターを含む原核細胞の成長を選択的に可能にするために、発現ベクターの構造に基づいて選択された選択剤をさらに含む。例えば、アンピシリンは、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の成長のために培地に添加される。
【0183】
培地には、炭素源、窒素源及び無機リン酸塩源に加えて、任意の必要な補助剤を、適切な濃度で単独で、又は他の補助剤又は培地(例えば、複合窒素源)との混合物として追加することもできる。任意選択に、培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリスリトール及びジチオスレイトールからなる群から選択された一つ又は複数の還元剤を含んでもよい。原核宿主細胞は、適切な温度で培養される。例えば、大腸菌の成長の場合、温度範囲は、20°C~39°Cであることが好ましく、25°C~37°Cであることがより好ましく、30°Cであることがさらに好ましい。培地のpH値は、主に宿主生物によって決められるが、5から9までの間の任意のpH値でよい。大腸菌の場合、pH値は、6.8~7.4であることが好ましく、7.0であることがより好ましい。
【0184】
誘導性プロモーターが本発明の発現ベクターに使用される場合、タンバク質発現は、プロモーターの活性化に適した条件下で誘導される。本発明の一態様では、PhoAプロモーターはポリペプチドの転写を制御するために使用される。従って、形質転換された宿主細胞は、リン酸塩制限培地で培養されて誘導される。リン酸塩制限培地は、C.R.A.P培地である(Simmons et al.,J.Immunol.Methods(2002),263:133-147を参照のこと)ことが好ましい。なお、当分野において知られているように、使用されるベクター構造によっては、当技術分野で知られている他の様々な誘導剤を使用してもよい。
【0185】
本発明で発現されるタンバク質構築物は、宿主細胞のペリプラズムに分泌され、そこから回収される。タンバク質の回収には、通常、浸透圧ショックや、超音波処理、溶解などの手段によって、微生物を破壊することが含まれる。細胞が破壊されると、遠心又はろ過によって細胞断片又は細胞全体を除去できる。例えば、アフィニティー樹脂クロマトグラフィーによってタンバク質をさらに精製することができる。或いは、タンバク質を培地に輸送してそこで単離することができる。細胞を培地から除去し、培地の上清をろ過及び濃縮して、産生されたタンバク質をさらに精製することができる。発現されたポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウエスタンブロット試験などの一般的な方法によってさらに単離及び同定することができる。
【0186】
或いは、発酵プロセスを通じてタンバク質を大規模に生産する。組換えタンパク質の生産には、様々な大規模フェドバッチ発酵の手順を利用することができる。大規模な発酵は、容量が少なくとも1000リットル、好ましく1000~100000リットルであり、発酵槽として、攪拌翼により酸素および栄養物質、特にグルコース(炭素/エネルギーが優先)を分配するものが使用される。小規模発酵とは、一般に、容量が100リットルであり、1リットル~100リットルの範囲である発酵槽での発酵を指す。
【0187】
発酵中には、通常、細胞が適切な条件下で所望の密度に増殖した後にタンバク質発現の誘導が開始し、例えば、OD550が約180~220である時に、細胞が初期静止期にある。使用されるベクター構造に応じて、当技術分野で知られている誘導剤、および上記の様々な誘導剤を使用することができる。誘導前には、細胞を短期間増殖させることができる。細胞が約12~50時間誘導されるのが普通であるが、それより長い又は短い誘導時間で行われることもある。
【0188】
本発明のタンバク質構築物の収量及び品質を改善するために、様々な発酵条件を改善することができる。例えば、分泌されたポリペプチドの正しい組み立てと折り畳みを改善するためには、Dsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD又はDsbG)やFkpA(シャペロン活性を持つペプチジルプロリルシス-トランスイソメラーゼ)などのシャペロンタンパク質を過剰発現するための追加のベクターを使用して、宿主原核細胞を同時形質転換することができる。シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞で産生された異種タンパク質の正確な折り畳みおよび溶解を促進するのに役立つことが示されている。Chen et al.,(1999)J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiou et al.,U.S.Pat.No.6,083,715;Georgiou et al.,U.S.Pat.No.6,027,888;BothmannおよびPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17100-17105;RammおよびPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17106-17113;Arie et al.,(2001)Mol.Microbiol.39:199-210。
【0189】
発現した異種タンバク質(特にタンパク質分解感受性タンバク質)の加水分解を最小限に抑えるためには、タンパク質分解酵素を欠いた特定の宿主株を本発明に使用することができる。例えば、宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びそれらの組み合わせなどの既知の細菌プロテアーゼをコードする遺伝子が遺伝子変異を起こることを可能にする。また、Joly et al.,(1998),supra;Georgiou et al.,U.S.Pat.No.5,264,365;Georgiou et al.,U.S.Pat.No.5,508,192;Hara et al.,Microbial Drug Resistance,2:63-72(1996)に詳述されているように、いくつかの大腸菌プロテアーゼ欠損株を使用することができる。
【0190】
本発明に記載されるタンバク質構築物をコードする発現系における宿主細胞としては、タンパク質分解酵素を欠いていて、かつ一つ又は複数のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換された大腸菌株を使用することができる。
d)タンパク質の精製
【0191】
本発明で生産されるタンバク質構築物は、さらなる分析及び使用に用いられる実質的に均一な製剤を得るために、当技術分野で知られている標準的なタンバク質精製法を使用してさらに精製することができる。適切な精製手順の例としては、イムノアフィニティーカラム又はイオン交換カラムによる分留、エタノール沈殿、逆相液相クロマトグラフィーHPLC、シリカ又は陽イオン交換樹脂(例えば、DEAE)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及びデキストランゲルG-75などのゲルによるろ過が挙げられる。
【0192】
いくつかの実施形態において、固相に固定化されたプロテインAは、本明細書に記載されているFc領域を含むタンバク質構築物の免疫親和性精製に使用される。プロテインAは、黄色ブドウ球菌に由来する42 kDaの表面タンパク質であり、Fc含有構造、例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドに対して高い結合親和力を有する。Lindmark et al.,(1983)J.Immunol.Meth.62:1-1。プロテインAを固定化するための固相は、ガラス又はシリカ表面を含むカラムであることが好ましく、制御細孔ガラスカラム又はケイ酸カラムであることがより好ましい。一部の適用では、夾雑物の非特異的付着を防ぐために、グリセロールなどの試薬でクロマトカラムがコーティングされている。次に、固相を洗浄して固相に非特異的に結合した夾雑物を除去する。最後に、溶出により固相から目的のタンパク質構築物を回収する。
2.真核細胞の組換え生成物
【0193】
真核発現の場合は、ベクター成分として、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター及び転写終結配列のうちの1つ又は複数がふくまれるが、これらに限定されない。
a)シグナル配列要素
【0194】
真核宿主用のベクターは、シグナル配列、あるいは成熟したタンパク質又はポリペプチドのN端に特定の切断部位を有する他のポリペプチドをコードするための挿入物であってもよい。選択される異種シグナル配列としては、宿主細胞によって認識されて加工された(即ち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものが好ましい。哺乳動物の細胞の発現では、哺乳動物シグナル配列及び単純ヘルペスgDシグナルといったウイルス分泌リーダーが得られる。この前駆体領域のDNAは、リーディングフレームで本出願のタンバク質構築物をコードするDNAに連結されている。
b)複製起点
【0195】
一般に、哺乳動物発現ベクターには、複製起点要素を必要としない(ただし、SV40起点は、初期プロモーターを含むという理由だけでよく使用されている)。
c)選択遺伝子要素
【0196】
発現及びクローニングのベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含むことができる。典型的な選択遺伝子は、以下のタンバク質:(a)抗生物質又は他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート又はテトラサイクリンに耐性があるタンバク質、(b)栄養要求性欠乏症を補うタンバク質、又は(c)複雑な培地には提供できない重要な栄養素を提供するためのタンバク質、をコードするものであり、例えばバチルスD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。
【0197】
薬物を利用して宿主細胞の成長を阻止するのが選択スキームの一例である。異種遺伝子により成功にトランスフェクションされたこれらの細胞は、薬剤耐性を有するタンバク質を産生するため、選択スキームを生き延びる。このような優性選択の例として、ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンといった薬剤が使用される。
【0198】
哺乳動物の細胞に適する選択マーカーの別の例としては、本出願に記載されるタンバク質構築物をコードする核酸を取り込む能力のある細胞を識別できる選択的なマーカーであり、例えば、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及び-IIであり、霊長類のメタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどであることが好ましい。
【0199】
例えば、DHFR選択遺伝子でトランスフェクションされた細胞に対しては、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培地ですべての形質転換体を培養することにより同定する。野生型DHFRを使用する場合、宿主細胞としては、DHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えば、ATCC CRL-9096)を適用することができる。
【0200】
或いは、ポリペプチドをコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3′-ホスホトランスフェラーゼ(APH)や同時トランスフェクションされた宿主細胞(特に、内在性DHFR含有野生型宿主)などの別の選択マーカーを使用して、選択的標識を含有する培地で細胞を成長させることによって選択してもよい。ここで、前記選択的標識は、例えば、カナマイシンや、ネオマイシン、G418などのアミノグリコシド系抗生物質である。U.S.Pat.No.4,965,199を参照のこと。
d)プロモーター要素
【0201】
発現及びクローニングベクターは、一般に、宿主によって認識され、所望のポリペプチド配列をコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む。真核遺伝子は、ほどんど、転写起点から約25~30個の塩基上流にATリッチ領域を持っている。遺伝子の転写起点から70~80個の塩基上流には、CNCAAT領域(ただし、Nは任意のヌクレオチドである)という別の配列が見られることが多い。また、ほとんどの真核生物の3′端には、コード配列の3′端にポリAテールを追加するためのシグナルである可能性があるAATAAA配列がある。これらの配列は、真核細胞発現ベクターに挿入できる。上記のセクション「III.持効型NGFポリペプチドをコードするベクター」を参照のこと。
【0202】
哺乳動物宿主細胞ベクターにおけるポリペプチドの転写は、プロモーターよって制御される。このようなプロモーターとしては、宿主細胞系と適合性があれば、例えば、ポリオーマ、ニワトリ痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウィルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及び最適なシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスゲノムから得られたプロモーター;アクチンプロモーターや、免疫グロブリンプロモーターなどの異種哺乳動物に由来するプロモーター;熱ショックプロモーターからのプロモーターを使用することができる。
【0203】
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含むSV40制限断片として便利に得られる。ヒトサイトメガロウィルスの前初期プロモーターは、HindIII E制限断片として便利に得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用して哺乳動物宿主中でDNAを発現させるためのシステムは、U.S.Pat.No.4,419,446に開示されている。このシステムに関する改良は、U.S.Pat.No.4,601,978にさらに詳述されている。インターフェロンcDNAが単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でヒトマウス細胞に発現されることについては、Reyes et al.,Nature 297:598-601(1982)を参照のこと。或いは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端リピード配列をプロモーターとして使用することができる。
e)エンハンサー要素
【0204】
本出願タンバク質構築物をコードするDNAの高等真核生物による転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加されることが普通である。多くのエンハンサー配列(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)は、哺乳動物の遺伝子から発見された。なお、通常に、真核細胞ウイルスのエンハンサーが使用される。例としては、複製起点の末端(100-270 bp)にあるSV40エンハンサー、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の末端にあるポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核生物のプロモーターを活性化する増強要素については、Yaniv,Nature 297:17-18(1982)を参照のこと。エンハンサーは、ポリペプチドコード配列の5′又は3′でベクターにスプライシングすることができるが、好ましくはプロモーターの5′に位置する。
f)転写終結要素
【0205】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト又は他の多細胞生物の有核細胞)で使用される発現ベクターは、mRNAの転写終結および安定化に必要な配列をさらに含む。これらの配列は、通常に、真核又はウイルスのDNA又はcDNAの5′端の非翻訳領域、たまには3′端の非翻訳領域から得ることができる。これらの領域は、ポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチド断片を含む。適切な転写終結要素としては、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域がある。WO94/11026及びそこに開示された発現ベクターを参照のこと。
g)宿主細胞の選択とトランスフェクション
【0206】
本明細書に記載されているベクターにおけるDNAのクローニング又は発現に好適な宿主細胞には、脊椎動物宿主細胞のような本明細書に記載されている高等真核細胞が含まれる。脊椎動物細胞の培養増殖(組織培養)は、日常の手順になっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例としては、SV40形質転換サル腎臓CV1系(COS-7,ATCC CRL 1651);サル腎臓組織に由来するCOS線維芽細胞様細胞株;ヒト胎児腎臓系(懸濁培養成長のための293又は293細胞サブクローン,Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスのセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA,ATCC-ccl2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC-ccl34);バッファロ-ラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞及びヒト肝癌細胞株(Hep G2)が挙げられる。
【0207】
宿主細胞を上記の発現ベクター又はクローニングベクターでトランスフェクションしてタンバク質構造を産生し、そして適切に改良された従来の栄養培地で培養することより、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅する。
h)宿主細胞の培養
【0208】
本発明のタンバク質構築物を生産するために使用される宿主細胞は、様々な培地で培養することができる。市販されている培地は、Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM),Sigma)、RPMI-1640(Sigma)及びダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM),Sigma)などを挙げることができ、宿主細胞の培養に好適である。また、宿主細胞の培地としては、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、U.S.Pat.No.4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655又は5,122,469、WO 90/03430、WO 87/00195又はU.S.Pat.Re.30,985に記載された任意の培地を使用することができる。これらの培地には、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えば、インスリンや、トランスフェリン、上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウムや、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPE)、ヌクレオチド(例えば、アデノシンやチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬物)、微量元素(通常に、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義されている)及びグルコース若しくは同等のエネルギー源を補充してもよいし、他の任意の必要な補助剤を当業者に知られている適切な濃度で添加してもよい。温度やpHなどの培養条件は、業者なら自明であるように、宿主細胞の発現に使用された条件とされる。
i)タンパク質精製
【0209】
組換え技術を使用する場合、本発明のタンバク質構築物は、ペリプラズム中、細胞内で産生されてもよいし、培地に直接分泌されてもよい。タンバク質構築物が細胞内で産生された場合、単離のためには、まず、遠心又は限外ろ過によって粒子断片(即ち、宿主細胞又は溶解断片)を除去する。大腸菌のペリプラズムに分泌された抗体の単離手順について、Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992)に詳述されている。簡単に言えば、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下で細胞体を約30分間熔解し、そして細胞断片を遠心により除去する。タンバク質構築物が培地に分泌された場合は、通常に、まずにAmicon又はMillipore Pellicon限外ろ過装置などの市販のタンバク質濃縮フィルターを使用してそのような発現系の上清を濃縮させる。上記の任意の操作には、タンバク質分解を阻害するためにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を添加してもよく、また外来夾雑物の成長を防ぐために抗生物質を添加してもよい。
【0210】
細胞から調製されたタンバク質組成物を精製するには、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及びアフィニティークロマトグラフィーを用いることができ、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーの精製技術を使用する。Fc含有タンパク質構築物に存在する免疫グロブリンFcドメインの種及びサブタイプによっては、親和リガンドとしてプロテインAを適用する場合がある。プロテインAは、1、2又は4つの重鎖を含むヒト免疫グロブリンに基づくFc含有タンバク質の精製に使用できる(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))。タンバク質Gは、マウスサブタイプ及びヒト3型(Guss et al.,EMBO J.5:15671575(1986))に推奨される。親和リガンドを連結するためのマトリックスとしては、通常にアガロースを使用するが、他のマトリックスを利用してもよい。アガロースに比べて、機械的に安定したマトリックス(例えば、制御細孔ガラスやポリ(スチレン-ジビニル)ベンゼン)を使用すれば、より速い流速及びより短い時間で処理できる。CH3ドメインを含むタンバク質構築物を精製する場合には、Bakerbond ABXTMresinを使用することができる(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)。また、回収されるタンバク質構築物によっては、イオン交換カラム分留や、エタノール沈殿、逆相液相クロマトグラフィーHPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSETMクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿などの他のタンバク質精製技術を使用することもある。
【0211】
いずれかの前精製工程の後、目的のタンバク質構築物と夾雑物とを含む混合物については、pH値約2.5~4.5の溶出緩衝液を使用するような低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよく、また低塩濃度(例えば、0~0.25Mの塩)で実施することが好ましい。
V.医薬組成物
【0212】
さらに、本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチド、ならびに任意選択に薬学的に許容されるキャリア及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含むNGF部分と、IgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチド、及び任意選択に薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態として、所望の純度を有する本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドを任意選択に薬学的に許容されるキャリア、賦形剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することにより調製することができる。
【0213】
凍結乾燥した持効型NGFポリペプチドを希釈剤に溶解してタンバク質を均一に分散させることにより、組換え製剤を調製することができる。本発明に用いられる医薬的に許容される(ヒトに投与されると、安全で毒性のないものである)希釈剤の例としては、無菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水)、無菌生理食塩水、リンゲル液又はデキストロース溶液、又は塩及び/又は緩衝剤の水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの均一な集団を含む。均一な集団とは、持効型NGFポリペプチドが互いに同一であること、例えば、同じ持効型NGFポリペプチド構造、同じNGF部分、同じリンカー(もしあれば)、及び同じFc部分のことを意味する。いくつかの実施形態において、医薬組成物における持効型NGFポリペプチドは、少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のいずれか)が均質である。
【0215】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本質的に、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド及び任意選択に薬学的に許容されるキャリアからなる(例えば、からなる)。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、プロNGF-Fc又はプレプロNGF-Fc融合タンパク質を含まない。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、最大5%(例えば、最大4%、3%、2%及び1%のうちのいずれか)のプロNGF-Fc又はプレプロNGF-Fc融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、宿主細胞(例えば、CHO)タンバク質を含まない。
【0216】
医薬組成物は、好ましく安定であり、その中に含まれるタンバク質が、貯蔵中にその物理的安定性、化学的安定性及び完全性を本質的に保持している。タンバク質の安定性を測定するためには、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991);Jones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)で概説されているように、当技術分野おいて様々な分析技術が利用可能である。安定性は、選択した温度及び選択した時間で測定すればいい。加速スクリーニングの場合、製剤を40℃で2週間から1か月保存している間で安定性を測定すればいい。製剤が2~8℃で保存される場合は、製剤が一般に30℃又は40℃で少なくとも1か月安定であり、かつ/又は2~8℃で少なくとも2年間安定である必要がある。製剤が30℃で保存される場合は、製剤が一般に30℃で少なくとも2年間安定であり、かつ/又は40℃で少なくとも6か月間安定である必要がある。タンバク質の安定性の指標としては、例えば、貯蔵中の凝集の程度が使用できる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの安定製剤は、10%未満(好ましくは5%未満)の本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドの凝集体を含有すればよい。
【0217】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、2~25℃(例えば、2~8℃)で、少なくとも20日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年又はそれ以上など、少なくとも15日の貯蔵寿命を有する。本明細書で使用されている「貯蔵期間」とは、医薬製剤が特定の保存条件下、例えば2~8℃で保存される場合に、その保存期間において医薬製剤中の治療用タンバク質(例えば、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド)などの有効成分が最小の分解(例えば、5%を超えない分解、具体的に、4%、3%、又は2%を超えない分解)を有することを指す。タンバク質又は製剤の安定性を評価するための例示的な技術としては、凝集などを検出するためのサイズ除去クロマトグラフィー(SEC)-HPLC、タンバク質断片などを検出するための逆相液相クロマトグラフィー(RP)-HPLC、タンバク質の電荷の変化を検出するためのイオン交換HPLC、タンバク質の立体配座の変化を検出するための質量分析、蛍光分光法、円二色性(CD)分光法、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)及びラマン分光法がある。これらの技術を単独又は組み合わせて使用すれば、医薬製剤中のタンバク質の分解を評価し、そしてその製剤の貯蔵寿命を決定することができる。いくつかの実施形態において、本発明の医薬製剤は、2~8°Cで保存される場合、少なくとも15日以内(例えば、少なくとも20日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年又はそれ以上)で5%を超えない(例えば、4%、3%、2%又は1%を超えない)分解(例えば、断片化、凝集又はアンフォールディング)を示す。
【0218】
許容されるベクター、賦形剤又は安定剤としては、使用される用量及び濃度で被検者に対して無毒であるものであり、例えば、緩衝液;アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;防腐剤、等張剤(例えば、塩化ナトリウム)、安定剤、金属錯体(例えば、亜鉛-タンバク質錯体);EDTAなどのキレート剤、及び/又は非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0219】
生理学的に許容されるベクターの例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンなどの抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメチルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブタノール又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(10個の残基未満)ポリペプチド;血清アルブミンや、ゼラチン、免疫グロブリンなどのタンバク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコースや、マンノース、デキストリンなどの他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロースや、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、亜鉛-タンバク質錯体);及び/又はTWEENTMや、ポリエチレングリコール(PEG)、PLURONICSTMなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0220】
緩衝液は、特に安定性がpH値に依存する場合に、治療効果を最適化する範囲内でpH値を制御するために使用される。緩衝液は、約50mM~約250mMの濃度範囲で存在することが好ましい。本出願に好適な緩衝液としては、有機酸及び無機酸ならびにそれらの塩があり、例えば、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、または酢酸塩である。さらに、緩衝液は、ヒスチジン、またはトリメチルアミン塩であってもよく、例えば、トリス(Tris)である。
【0221】
防腐剤は、微生物の増殖を防ぐために添加され、通常に0.2%~1.0%(w/v)の範囲で存在する。例えば、防腐剤の添加により、複数回使用(複数回の投与量)のための製剤の生産を容易にすることができる。本出願に好適な防腐剤としては、例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメチルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブタノール又はベンジルアルコール;メチルやプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール及びm-クレゾールが挙げられる。
【0222】
「安定剤」とも呼ばれる等張化剤は、組成物中液体の張性を調節・維持するために使用される。等張化剤は、大きな荷電生体分子(例えば、タンバク質)と一緒に使用される場合、アミノ酸側鎖の荷電基と相互作用することにより、分子間や分子内に相互作用が起こる可能性が少なくなるため、「安定剤」と呼ばれることがよくある。また、等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、0.1%~25%(重量として)、好ましくは1%~5%の間の任意の量で存在し得る。等張化剤は、多価糖アルコールであることが好ましく、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールなどの三価以上の糖アルコールであることがより好ましい。
【0223】
他の賦形剤には、(1)充填剤、(2)溶解促進剤、(3)安定剤、及び(4)変性又は容器壁への付着を防止するための製剤のうちの一つ又は複数の製剤が含まれる。そのような賦形剤には、多価糖アルコール(上記の通り);アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなどのアミノ酸;スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース、ミオイニシトース、ガラクトース、ガラクチトール、グリセリン、シクロヘキサノール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコールなどの有機糖又は糖アルコール;尿素、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;ヒト血清アルブミンや、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、他の免疫グロブリンなどの低分子量タンバク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;単糖類(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);ラフィノースなどの三糖類;デキストリンやデキストランなどの多糖類が含まれる。
【0224】
非イオン性界面活性剤又は洗浄剤(「湿潤剤」とも呼ばれる)の存在は、タンバク質の可溶化に寄与し、そして攪拌による凝集からタンバク質を保護する。これにより、活性タンパク質を変性させることなく、製剤をせん断表面にさらすことが可能になる。非イオン性界面活性剤は0.05mg/ml~1.0mg/ml、好ましく0.07mg/ml~0.2mg/mlの範囲で存在する。
【0225】
適切な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONICRポリオール、TRITONR、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEENR-20、TWEENR-80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセリル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。陰イオン洗浄剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホン酸ジオクチルナトリウムなどを使用することができる。カチオン洗浄剤としては、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0226】
医薬組成物は、インビボ投与に用いられるために、無菌にしなければならない。無菌フィルターによるろ過によって医薬組成物を無菌にすることができる。前記医薬組成物は、通常に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針が突き刺せる栓を有する静脈注射溶液バッグ又はバイアルに入れられる。
【0227】
持続放出製剤として調製されることができる。持続放出製剤の適切な例としては、そのマトリックスがフィルム又はマイクロカプセルといった成形品の形態でアンタゴニストを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(U.S.Pat.No.3,773,919)、L-グルタミン酸とL-グルタミン酸エチルの共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドからなる注射ミクロスフェア)といった分解性乳酸-グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0228】
治療される特定の適応症の必要に応じて、本明細書に記載されている医薬組成物は、複数の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する化合物を含んでいてもよい。そのような分子は、所望の目的を達成するために適切な量で組み合わされる。
【0229】
有効成分は、例えば、ゲル技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)、又はマクロエマルションにおけるヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル若しくはゼラチンマイクロカプセル、及びポリメチルメタクリレートマイクロカプセルに封入されることもある。これらの技術については、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに開示されている。
【0230】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は使い捨て密封バイアルなどの使い捨てバイアルに装入されている。いくつかの実施形態において、医薬組成物は再利用可能なバイアルに装入されている。いくつかの実施形態において、医薬組成物は容器にバルクで装入されている。いくつかの実施形態において、医薬組成物は凍結保存される。
VI.疾患の治療方法
【0231】
本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド及びそれらの組成物(例えば、医薬組成物)は、診断、分子検出、及び治療などの様々な用途において有用である。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物を個体に有効量で投与することを含む、個体(例えば、ヒト)の疾患(例えば、神経系疾患などのNGF関連疾患)を治療する方法に関する。本明細書に用いられる用語「NGF関連疾患」とは、NGF受容体シグナル伝達の障害によって引き起こされるか、あるいはそれに関連する任意の疾患又は障害(例えば、NGFの量が不十分であること、及び/又は結合親和力が低下することによるもの)、あるいは治療ためにNGFの生物活性を必要とする疾患又は障害(例えば、治療時にニューロンの成長、維持、増殖及び/又は生存を必要とする傷害/損傷)を指す。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド(又はその医薬組成物)は、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって投与される。
【0232】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、N端からC端まで、配列番号1~4のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号1~3のいずれか)を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)NGF部分と、IgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来するFc部分とを含む持効型NGFポリペプチド(又はその医薬組成物)を個体に有効量で投与することを含む、個体(例えば、ヒト)の疾患(例えば、神経系疾患(例えば、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病、又は神経栄養性角膜炎)或いは非神経系疾患(例えば、早発卵巣不全又は精子形成障害)などのNGF関連疾患)を治療する方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号61~67のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む(或いは、本質的に該アミノ酸配列からなるか、又は該アミノ酸配列からなる)持効型NGFポリペプチド(又はその医薬組成物)を個体に有効量で投与することを含む、個体(例えば、ヒト)の疾患(例えば、神経系疾患(例えば、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病又は神経栄養性角膜炎)又は非神経系疾患(例えば、早発卵巣不全又は精子形成障害)などのNGF関連疾患)を治療する方法に関する。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド(又はその医薬組成物)は、静脈注射、筋肉注射又は皮下注射によって投与される。
【0233】
本明細書に記載されている方法は、神経系疾患(neurological disease)及び非神経系疾患(non-neurological disease)の治療に適用可能である。
【0234】
神経系疾患(nervous system disease)とは、中枢神経系及び/又は末梢神経系のニューロン変性又は損傷に関連する疾患を指す。神経系疾患の具体例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、顔面神経炎、頭蓋脳若しくは脊髓の外傷、急性脳血管疾患、脳萎縮、末梢神経障害、及び他のニューロンの壊死又は喪失を特徴とする疾患、ならびに中枢ニューロン、末梢神経ニューロン若しくは運動ニューロンの損傷(ただし、外傷、火傷、腎不全、損傷又は化学品/薬物によって引き起こされた神経損傷、例えば、化学品/薬物によって引き起こされた急性脳血管中枢神経損傷を除く)が挙げられるが、これらに限定されない。神経系疾患には、糖尿病、エイズ又は化学療法に関連する神経障害などの特定の疾患に関連する末梢神経障害がさらに含まれる。いくつかの実施形態において、神経系疾患は、多発性梗塞性認知症、血管性認知症、アルコール依存症による器質的脳疾患による認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症、ハンチントン舞踏病、ダウン症、神経性難聴、メニエール病、脳卒中、ALS、ベル麻痺、脊髄性筋萎縮症を伴う疾患、麻痺を伴う疾患、末梢神経障害、外傷による神経損傷、火傷による神経損傷、腎機能障害による神経損傷、損傷による神経損傷、化学療法の毒副作用による神経損傷、手術による神経損傷、虚血による神経損傷、感染による神経損傷、代謝性疾患による神経損傷及び栄養不足による神経損傷からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、神経系疾患は、糖尿病末梢神経障害、毒素誘発性末梢神経障害、化学療法誘発性末梢神経障害、HIV関連末梢神経障害、及び運動ニューロンに影響を及ぼす末梢神経障害からなる群より選択された末梢神経障害である。いくつかの実施形態において、神経系疾患は、新生児低酸素性虚血性脳病、脳性麻痺、重症疾患ミオパシー、神経性難聴、反回神経損傷、外傷性脳損傷、歯神経損傷、脳卒中、ダウン症、ALS、多発性硬化症、脊髄性筋萎縮症、びまん性脳損傷、胸腺異形成、視神経挫傷、濾胞性異形成、脊髓損傷、緑内障、神経栄養性角膜炎、視神経損傷、視神経脊髄炎、網膜関連疾患、尿失禁、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、認知症、高血圧性脳出血神経機能障害、脳小血管疾患、急性虚血性脳卒中、角膜内皮ジストロフィー、糖尿病性足潰瘍、神経性皮膚潰瘍、褥瘡、神経栄養性角膜潰瘍、糖尿病性角膜潰瘍及び黄斑円孔からなる群より選択される。
【0235】
非神経系疾患には、脾臓萎縮、脾臓挫傷、卵巣予備能低下、早発卵巣不全(POF)、卵巣過剰刺激症候群、卵巣遺残症候群、卵胞異形成、精子形成障害(例えば、精子軽減症(oligozoospermia又はoligospermia)、精子無力症、精子軽減無力症、無精子症、奇形精子症、無奇形精子症(oligoasthenoteratozoospermia,OAT症候群))、虚血性潰瘍、ストレス性潰瘍、リウマチ性潰瘍、肝線維化、角膜潰瘍、火傷、口腔潰瘍、及び静脈性下肢潰瘍が含まれる。
【0236】
いくつかの実施形態において、疾患(例えば、神経系疾患(例えば、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病又は神経栄養性角膜炎)又は非神経系疾患(例えば、早発卵巣不全又は精子形成障害)などのNGF関連疾患)を治療する方法は、以下の一つ又は複数の生物活性を有する:(i)ニューロンの生存の支持;(ii)神経突起成長の促進;(iii)神経化学的分化の増強;(iv)膵β細胞の増殖の促進;(v)自然免疫及び/又は獲得免疫の誘導;(vi)損傷した神経細胞(例えば、角膜神経)の修復及び/又は損傷の防止(例えば、神経栄養性角膜炎中);(vii)卵胞細胞の増殖及び/又はエストロゲン分泌の促進;(viii)創傷治癒の促進(例えば、糖尿病性神経障害中);(ix)神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を有する被検者における空間認識、記憶及び/又は学習能力の改善;(x)神経変性疾患の治療及び/又は予防;(xi)精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び/又は精巣上体管細胞断片の治療;(xii)精子数及び/又は運動性の軽減の救済、或いは精子数及び/又は運動性の増加(例えば、精子形成障害中);(xiii)卵胞数及び/又は機能の軽減の予防/逆転、或いは卵胞数及び/又は機能の増加(例えば、早発卵巣不全中);及び/又は(xiv)患者の生存期間の延長。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介されるニューロン生存を支持する方法によれば、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上のニューロン生存率を実現することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される神経突起成長を促進する方法によれば、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上を含む)の神経突起成長を促進することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される神経化学的分化を増強する方法によれば、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の神経化学的分化を増強することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される膵β細胞増殖を促進する方法によれば、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上を含む)の膵β細胞増殖を促進することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される排卵を誘発する方法によれば、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の排卵を増強することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される自然免疫及び/又は獲得免疫を誘導する方法によれば、少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の自然免疫及び/又は獲得免疫を誘導することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介されるニューロン損傷を修復及び/又は予防する方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上)のニューロン損傷を修復及び/又は予防するか、又は少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の修復及び/又は予防効果を有することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される卵巣顆粒膜細胞増殖及び/又はエストロゲン分泌を促進する方法によれば、少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の卵巣顆粒膜細胞増殖及び/又はエストロゲン分泌を促進することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される創傷治癒を促進する方法によれば、少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上)の創傷治癒を促進することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を有する患者の空間認識、記憶及び/又は学習能力を改善する方法によれば、少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50倍以上を含む)の空間認識、記憶及び/又は学習能力を改善することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される神経変性疾患を治療及び/又は予防する方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上)の神経変性疾患を治療及び/又は予防することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び/又は精巣上体管細胞断片を治療する方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上)の精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び/又は精巣上体管細胞断片を治療することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される精子数及び/又は運動性の軽減を救済する方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上)の精子数及び/又は運動性の軽減を救済することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される精子数及び/又は運動性を増加させる方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%又はそれ以上)の精子数及び/又は運動性を増加させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される卵胞数及び/又は機能の低下を救済する方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上)の卵胞数及び/又は機能の低下を救済することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される卵胞数及び/又は機能を増加させる方法によれば、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%又はそれ以上)の卵胞数及び/又は機能を増加させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又は医薬組成物によって媒介される個体(例えば、ヒト)の生存期間を延長する方法によれば、個体の生存期間を少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24か月又は2、3、4、5、6、7、8、9、10年又はそれ以上の時間を延長することができる。
【0237】
本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物の投与は、注射又は注入を含む任意の便利な方法で行うことができる。投与経路は、単回又は複数回のボーラス注射又は適切な方法での長期注入など、既知・認識されている方法に従う。持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、経口、皮下、静脈、脳内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、眼内、局所、経動脈、皮内、結節内、腔内、髓内、髄腔内、脳室内、脳内、脊髓内、髄腔内、病巣内又は眼内より投与することができる。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は全身投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、注入(例えば、静脈注入)によって個体に投与される。免疫治療に用いられる注入技術は、当技術分野で知られている(Rosenberg et al.,New Eng.J.ofMed.319:1676(1988)を参照)ものである。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、皮内又は皮下(即ち、皮膚下)注射によって個体に投与される。皮下注射の場合、注射器を使用して持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物を注射することができる。また、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物を投与するための他の装置としては、例えば、注射装置;注射ペン;自動注射器装置、無針装置;及び皮下パッチ送達システムがある。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、静脈注射によって投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、脳又は脊椎に直接注射される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、損傷又は傷害部位に局所投与され、例えば、創傷組織に直接に投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、持続放出又は徐放技術によって投与される。
【0238】
本発明の医薬組成物の用量及び所望の薬物濃度は、特定の用途に応じて変化してもよい。投与用量又は投与経路は、当業者がその能力範囲で適切に決定し得るものである。人間の治療に有効な投与量は、動物実験から提供された信頼性のある情報により決定することができる。有効量の種間類推は、Mordenti,J.Chappell,W."The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics,"In Toxicokinetics and New Drug Development,Yacobi et al.,Eds,Pergamon Press,New York 1989,pp.42-46の原則に従って行うことができる。
【0239】
持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物のインビボ投与が使用される場合、通常の用量は、投与経路及び哺乳動物の種類に応じて、哺乳動物の体重1kg当たり0.01μgから10mgまで変化すればいい。本出願の範囲内では、異なる製剤が異なる治療及び異なる疾患に有効であり、また特定の器官又は組織を治療するために用いられる投与経路が別の器官又は組織への投与経路とは異なり得ることを意図している。さらに、用量は、1回又は複数回の個別投与によって、或いは持続注入によって投与されることがある。数日以上の反復投与の場合、治療は、病状に応じて、疾患症状が所望のように抑制される程度までに持続すればよい。ただし、他の用量スキームも有用であり得る。この治療の進行状況は、従来の技術と分析によって簡単に監視できる。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、0.01μg/kg~10mg/kgの用量で投与され、例えば、0.01μg/kg~1μg/kg、1μg/kg~100μg/kg、100μg/kg~500μg/kg、500μg/kg~1mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、又は0.01μg/kg~1mg/kgの範囲のいずれかの用量で投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、個体(例えば、ヒト)当たり0.01μg~1000μgの用量で投与され、例えば、個体当たり0.01μg~1μg、1μg~500μg、500μg~1000μg、1μg~300μg、又は100μg~1000μgの範囲のいずれかの用量で投与される。
【0240】
いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1回投与される(例えば、ボーラス注射)。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、複数回(例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上)投与される。複数回投与される場合、それらは同じ又は異なる経路で行っても良いし、同じ部位又は他の部位で行ってもよい。持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1日に1回の頻度から1年に1回の頻度で投与することができる。投与間隔は、24時間から1年の範囲内の任意の時間としてもよく、不規則になることもある(例えば、腫瘍の進行に伴う)。いくつかの実施形態において、投与計画に中断はない。特定の患者に対する最適な用量及び治療計画は、医学分野の当業者が患者の疾患の徴候を監視し、それに応じて調整すればよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1日1回(毎日投与)、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、5か月に1回、6か月に1回、7か月に1回、8か月に1回、9か月に1回又は1年に1回投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、3日に1回投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1ヶ月間に1回投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1日1回点滴投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1日3回点滴投与される。いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、1日5回点滴投与される。
【0241】
いくつかの実施形態において、持効型NGFポリペプチド又はその医薬組成物は、2、3、4、5又はそれ以上の用量のいずれかなどの分割用量で投与される。いくつかの実施形態において、分割用量は、1週間、1か月、2か月、3か月又はそれ以上にわたって投与される。いくつかの実施形態において、用量は均等に分割される。いくつかの実施形態において、分割用量は、総用量に対する20%、30%及び50%である。いくつかの実施形態において、連続する分割用量間の間隔は、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月又はそれ以上である。数日以上に反復投与される場合、治療は、病状に応じて、疾患症状が所望のように抑制される程度まで持続される。ただし、他の用量スキームも有用であり得る。このような治療の進行状況は、従来の技術と分析によって容易に監視される。
VII.製品及びキット
【0242】
また、本発明は、本明細書に記載されている任意の持効型NGFポリペプチドを含むキット、単位用量、及び製品に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている任意の1つの医薬組成物を含むキットに関し、また該キットには好ましく本明細書に記載されている疾患(例えば、神経系疾患)の治療における使用などに関するその使用説明書が提供される。
【0243】
本発明に係るキットは、例えば疾患の治療に用いられる、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドを含む1つ又は複数の容器を含む。例えば、疾患(例えば、神経系疾患)を治療するために持効型NGFポリペプチドを投与することを説明する説明書が含まれる。キットは、個体が疾患を患うかどうか、及び疾患の段階を特定することに基づいて、治療に適する個体(例えば、ヒト)を選択するための説明をさらに含んでもよい。持効型NGFポリペプチドの使用に関する説明書には、一般に、予測される治療の用量、投与計画、及び投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)又はサブユニット用量でよい。本発明に係るキットに提供される説明書としては、典型的に、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙)に書かれた説明書であるが、機械可読の説明(例えば、磁気ディスク又は光ディスクに保存された説明書)であってもよい。本出願のキットは、適切な包装に入っている。適切な包装としては、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟な包装(例えば、密封されたマイラー又はビニール袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、包装としては、特定のデバイスと組み合わせて使用される包装であってもよく、例えば、ミニポンプなどの注入装置である。キットは、無菌アクセスポートを有することがある(例えば、容器は、静脈注射溶液バッグであってもよく、皮下注射針が突き刺せる栓を有するバイアルであってもよい)。ただし、この組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載されている持効型NGFポリペプチドである。容器は、第2の医薬活性剤をさらに含んでも良い。キットは、必要に応じて、緩衝液や解釈情報などの追加の成分を提供する場合がある。一般に、キットは、容器と、容器上又は容器に付随するラベル又は添付文書とを含む。
【0244】
従って、本発明は、またバイアル(例えば、密封されたバイアル)、ボルト、ジャー、柔軟な包装などを含む製品にも関する。この製品は、容器と、容器上又は容器に付随するラベル又は添付文書とを含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器などが含まれる。容器は、ガラスやプラスチックなどの様々な素材で作成したものであればよい。一般に、容器は、本明細書に記載されている疾患又は障害(例えば、神経系疾患)を治療するのに有効な組成物を収容し、しかも無菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈注射溶液バッグであってもよく、皮下注射針が突き刺せる栓を有するバイアルであってもよい)。ラベル又は添付文書には、この組成物が個体の特定の病気を治療するために使用されることが示されている。ラベル又は添付文書には、個体に組成物を投与するための説明書がさらに含まれる。ラベルには、再構成及び/又は使用の指示が示されていることがある。医薬組成物を収容する容器は、製剤再構成のために繰り返して使用(例えば、2~6回の投与)できるような複数回使用可能なバイアルであってもよい。添付文書とは、治療製品の市販パッケージに通常含まれる説明書を指し、そこにそのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、用量、投与、禁忌症、及び/又は警告に関する情報が含まれる。さらに、製品は、注射用静菌水(BWFI)や、リン酸塩緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を具備する第2の容器をさらに含んでもよいし、商業的及び使用者の観点から、他の緩衝液や、希釈剤、フィルター、針、注射器などの他の必要な材料をさらに含んでもよい。
【0245】
キット又は製品は、複数の単位用量の医薬組成物及び使用説明書を含み、病院薬局及び調剤薬局などの薬局で保管及び使用するのに十分な量で包装される。
【実施例】
【0246】
以下の実施例は、本発明の例示として用いられるものであることを意図し、従って、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。なお、以下の実施例及び詳細な説明は、限定ではなく例示として提供されている。
実施例1:NGFポリペプチドの調製
プラスミドの構築
【0247】
プレプロNGF-Fc融合タンパク質2-118-L3Fc10-M1-5(配列番号34)を例として、プラスミドの構築を説明する。他のプレプロNGF-Fc融合タンパク質及び対照プレプロ-mNGF118(配列番号47)に対して、同様な方法を使用してプラスミドを構築した。ただし、対照プレプロ-mNGF118は、F12E変異を有し、β-NGF部分のC端で2つのアミノ酸(Arg-Ala)が切断されたプレプロNGFであった。FD-G4Fc(CN105273087Aを参照)及びWM-G24Fc(CN106008722Aを参照)構築物を対照とした。NGF-1-15M7(rhNGF-Fc1)、NGF-L3Fc10M7-5(rhNGF-Li-Fc1)、2-1-15M7(rhNGF-(F12E)-Fc1)及びNGF-4-12PAA(rhNGF-Fc4)を、WO2017157325に記載される通りに構築した。異なるNGFポリペプチドの構造を表2に示し、Fc部分の配列アラインメントを
図1A~1Fに示す。
【0248】
【0249】
様々なプレプロNGF-Fc融合タンパク質(例えば、「2-118-L3Fc10-M1-5」)又はプレプロ-mNGF118対照をコードする核酸を合成し、pSC-Tベクターにクローニングした(例えば、「pSC-2-118-L3Fc10-M1-5」)(Shanghai Jierui Bio-Engineering Co.,Ltd.Beijing Branchによって合成及びクローニングされた)。様々なプレプロNGF-Fc融合タンパク質又はプレプロ-mNGF118対照をコードする核酸を、それぞれHindIII及びXhoI制限部位を持つPCRプライマーを使用して増幅し、次にPCR生成物を内在性真核細胞発現ベクターpTT5にサブクローンした(例えば、「pTT5-2-118-L3Fc10-M1-5」)。
組換えタンパク質の発現
【0250】
293F細胞を、様々なプレプロNGF-Fc融合タンパク質(例えば、pTT5-2-118-L3Fc10-M1-5)又はプレプロ-mNGF118対照をコードする核酸を持っている真核細胞発現ベクターpTT5でトランスフェクトし、37℃、8%CO2、120rpmで5日間培養した。発現タンパク質を含む上清を回収した。
組換えタンパク質の精製
発現したNGF-Fc融合タンパク質は、まずにプロテインAアフィニティー精製によって前精製し、次に異なる疎水性に基づいて、HiTrapTM Butyl HPカラム(GE Healthcare)を使用して宿主タンパク質からさらに単離した。次に、Superdex 200ゲルろ過カラム(GE Life Sciences)を使用して残留凝集物を除去し、精製された成熟NGF-Fc融合タンパク質を得た。成熟したmNGF118対照は、HiTrapTM Butyl HPカラム(GE Healthcare)で精製した後に、Superdex 200ゲルろ過カラム(GE Life Sciences)で精製した。これらのタンパク質は、SDS-PAGEによって同定したところ、純度が90%以上であった。
実施例2:成熟NGF-Fc融合タンパク質の熱安定性の研究
【0251】
蛍光タンパク質分析装置UNcle(Uncheed Labs)により266nm/473nmで加熱中のサンプルの蛍光吸光度及び光散乱の変化を測定し、サンプルの融解温度(Tm)及び凝集開始温度(Tagg)をそれぞれ計算した。ただし、初期温度を20℃、最終温度を95℃に設定し、加熱速度を0.3℃/minとし、各サンプルに対して3回繰り返して測定した。結果を表3にまとめる。
【0252】
【0253】
融解温度(Tm)
表3に示すように、IgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で(FD-G4Fc、WM-G24Fc、NGF-4-12PAA、及び2-118-L3G4-BM)、ひいては検出したすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中でも、2-118-L3G4-BMは、融解温度(Tm)最高であり、即ち熱安定性が最適であった。
IgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3Fc10-M1-5は、類似のTmを示した他のタンパク質より、Tm(即ち、より悪い熱安定性)が低かった。
凝集開始温度(Tagg)
【0254】
表3に示すように、IgG1由来のFc断片を含む成熟NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M1-5を除く)は、IgG4由来のFc断片を含む成熟NGF-Fc融合タンパク質と比較して、Taggが高かった。これは、IgG1由来のFc断片を含む成熟NGF-Fc融合タンパク質が加熱中に凝集し難いことを示した。
【0255】
2-118-L3G4-BMはIgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で一番Taggが高かったことから、2-118-L3G4-BMは他のIgG4由来のFc融合構築物と比較して加熱中の抗凝集性能が優れていることが分かった。
【0256】
2-118-L3Fc10-M1-5はIgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で一番Taggが低かった(一番加熱中の抗凝集性能が悪かった)ことに対して、NGF-1-15M7及び2-1-15M7は比較的低いTaggを示し、残りのIgG1由来のFc融合構築物は、類似した高いTaggを示した。
実施例3:成熟NGF-Fc融合タンパク質の加速安定性試験
【0257】
成熟NGF-Fc融合タンパク質をPBSで最終濃度2mg/mlまで希釈し、40℃でインキュベートした。インキュベーション期間に0日目(図では「0時間」)、3日目、7日目、9日目及び14日目にサンプルを採取し、-80℃で保存した。サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)およびドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)によって、サンプルの分解と凝集を検出した。
サイズ除去クロマトグラフィー(SEC)検出法
【0258】
SECは、分子がカラムに充填された樹脂を通過するときに、分子のサイズが異なることにより分子を分離するものである。タンバク質サンプルを4℃で、10000gで5分間遠心し、そして沈殿をPBSで再懸濁した。、WatersR ACQUITY UPLCRH-Class Bio Tunable UV(TUV)検出器を使用して、注入量を20μl、波長を280nm、流速を0.25ml/min、総実行時間を17分間とした条件下で、384ウェルプレートに移した80~100μlのサンプルを検出した。なお、移動相緩衝液は、100mMのPB(80mMのNa2HPO4、20mMのNaH2PO4)、300mMのNaCl、10%アセトニトリルを含み、pH7.2であった。
【0259】
表3及び
図3A~3Dに示すように、IgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3G4-BM及びFD-G4Fcは、凝集体の増加及び断片生成の面でWM-G24Fc及びNGF-4-12PAAより安定性が優れた。加速ストレス中に、2-118-L3G4-BM及びFD-G4Fcは断片のパーセンテージが2.1%未満であったが、NGF-4-12PAAは、断片のパーセンテージが49.59%に達し(
図3A)、明らかに断片化された。WM-G24Fcは、凝集体が大幅に増加し(凝集体のパーセンテージが49.15%に達した)、しかも加速ストレス中に明らかに断片化も示した(
図3C)。2-118-L3G4-BM及びFD-G4Fcは単量体のパーセンテージが85%以上であったが、WM-G24Fc及びNGF-4-12PAAは単量体のパーセンテージが時間とともに大幅に低下した。FD-G4Fcは2-118-L3G4-BMより加速ストレス中に凝集体の形成が多くてもっと断片化されたことから、2-118-L3G4-BMはFD-G4Fcより抗断片化及び抗凝集活性が優れたことが分かった。
【0260】
表4及び
図3E~3Mに示すように、IgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3Fc10-M3-5、2-118-L3Fc10-M5-5、2-118-L3Fc10-M7-5及びNGF-118-L3Fc10-M3-5は、加速ストレス中に他のIgG1由来のFc融合タンパク質よりも安定性が優れていて、断片の形成が検出(0%)できないほど少なく、凝集体の増加が少なかった。2-118-L3Fc10-M1-5は、NGF-1-15M7や、NGF-L3Fc10M7-5、2-1-15M7などのIgG1由来のFc融合タンパク質より安定性が優れたが、或いはそれらに匹敵した。
【0261】
【0262】
ドデシル硫酸ナトリウムキャピラリー電気泳動(CE-SDS)検出法
キャピラリー電気泳動では、分子の電荷とサイズによって変化する電気泳動移動度に従って、サンプルがキャピラリー内で分離される。まず、40μlの1×サンプル緩衝液と10μlのタンバク質サンプルを遠心管で混合し、タンバク質の最終濃度が0.4μg/μlの混合液50μlを得た。混合液に、再構成された25×内部標準(Internal Standard)1μlを添加した後、250mMヨードアセトアミド2.5μlを添加した。混合液全体をボルテックスして70℃で10分間培養し、冷却後、よく混合して遠心した。処理されたサンプル上清50μlを96ウェルプレートに移した。96ウェルプレートを1000gで10分間遠心した後、標準的な実験方法に従ってMauriceシステム(ProteinSimple)に置いてCE-SDS検出を行った。
【0263】
表5及び
図4A~4Dに示すように、IgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、加速ストレス中に、NGF-4-12PAA及びWM-G24Fcは非常に明らかに断片化されたが、2-118-L3G4-BMは断片化の程度が最も低かった。これは、SECの結果と一致している。FD-G4Fc(
図4B)はメインピークの右側に凝集体ピークが現れたが、2-118-L3G4-BM(
図4D)では凝集体ピークが見られなかった。このように、SECの結果と一致しているように、2-118-L3G4-BMは他のIgG4由来のFc融合タンパク質より加速ストレス中の安定性が優れた。
【0264】
表5及び
図4E~4Mに示すように、IgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3Fc10M7-5、NGF-118-L3Fc10-M3-5及び2-118-L3Fc10-M3-5は、加速ストレス中の安定性が最も良く、断片ピークが見られなく(
図4I、4J及び4Mを参照)、14日目のサンプルの断片の増加が0%であった。2-118-L3Fc10-M5-5は、断片の増加が少なく(14日目に断片が5.8%増加した)、安定性が良好であった。それに対して、IgG1由来のFc断片を含む他のNGF-Fc融合タンパク質(例えば、NGF-L3Fc10M7-5)は、断片を形成しやすかった。
【0265】
【0266】
SEC及びCE-SDSの結果をまとめると、1)IgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3G4-BMはFD-G4Fcより加速安定性が優れていて、またWM-G24Fc及びNGF-4-12PAAよりも加速安定性が明らかに優れたこと;2)IgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質の中で、2-118-L3Fc10M5-5は良好な加速安定性を有するが、それにもまして、2-118-L3Fc10-M3-5、NGF-118-L3Fc10-M3-5及び2-118-L3Fc10M7-5は、他のすべての構築物と比べて加速安定性が一番優れたこと;3)IgG1由来のFc断片を含む成熟NGF-Fc融合タンパク質は、IgG4由来のFc断片を含む成熟NGF-Fc融合タンパク質と比較して、加速ストレス条件下での抗凝集特性が優れていること、が分かった。
実施例4:NGF-Fc融合タンパク質の生物活性を評価するためのTF-1細胞増殖試験
【0267】
TF-1細胞増殖試験を使用して、様々なNGF-Fc融合タンパク質の生物活性を検出した。
TF-1細胞は、因子依存性ヒト赤血球白血病細胞株である。TF-1細胞を基本培地(RPMI 1640培地+10%FBS)に再懸濁し、5.0×104個の細胞/mlの懸濁液を得た。SuTaiShengRマウスNGF(標準対照)標準溶液を調製し、様々なNGF-Fc融合タンパク質のテスト溶液及びmNGF118(変異体β-NGF 118aa)とrhNGF(組換えヒト野生型β-NGF 120個のアミノ酸、配列番号4、実施例1に記載される調製及び精製のように)対照溶液を調製し、最終的なタンパク質が事前に標識された96ウェルプレートで200U/ml×100μl/ウェルになるようにした。次に、標準対照(SuTaiShengRマウスNGF)、被験NGF-Fc融合タンパク質、又は対照溶液を含む96ウェルプレートの各ウェルに、5.0×104個の細胞/mlのTF-1細胞懸濁液100μlを加え、37℃、5%CO2の加湿インキュベーターで72時間培養した。CellTiter 96R AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega,Cat#G3581)中の分析溶液20μlを細胞懸濁液の各ウェルに加え、37°C、5%CO2で3時間培養した。分光光度計を使用して、490nmと650nmでウェルプレートの吸光度を測定した。記録したデータを標準NGF対照(SuTaiShengRマウスNGF)に対して標準化した。
【0268】
図5Aに示すように、IgG1由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質中で(rhNGF、mNGF118及びSuTaiSheng
RマウスNGFを含むすべてのNGF構築物中でも)、2-118-L3Fc10-M3-5は一番生物活性が高かった。加速安定性試験で(実施例3を参照)、2-118-L3Fc10-M3-5は、3つの最も安定な構築物の中で(2-118-L3Fc10-M3-5、NGF-118-L3Fc10-M3-5及び2-118-L3Fc10M7-5)一番生物活性が高かった。
図5Bに示すように、IgG4由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質は、TF-1細胞の増殖を促進する生物活性を有する。また、2-118-L3G4-BMは、標準対照SuTaiSheng
RマウスNGFに匹敵する生物活性を示した。
実施例5:ラットにおける様々なNGF-Fc融合タンパク質の生物活性試験
【0269】
上頸神経節(SCG)は、約30000個のニューロンで構成される組織であり、特に出生前及び出生後の発達中に、NGFに対して最も敏感な組織の1つである。TF-1細胞増殖試験において(実施例4を参照)、IgG1-又はIgG4-由来のFc断片を含む特定のNGF-Fc融合タンパク質は、非常に高い生物活性を示した。各種のNGF-Fc融合タンパク質をラットSCGに注射し、注射後の様々な時点でSCGサイズを測定し、インビボでSCG増殖を促進するNGF-Fc融合タンパク質の活性を評価した。
【0270】
新生児Sprague-Dawley(SD)ラットの首に、各種のNGF-Fc融合タンパク質又はNGF対照(SuTaiSheng
RマウスNGF又は変異体NGF118)を皮下注射し、次にラットを犠牲にしてSCGを分離した。PBSインフュジョンを陰性対照とした。
図6Aに示すように、NGF対照タンパク質(SuTaiSheng
RマウスNGF又は変異体NGF118)又はPBSを0日目、1日目、2日目及び3日目に1日1回注射し、次に4日目にSCGを得た。2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BMを0日目に同じ用量で単回注射し、次に4日目にSCGを得た。簡単に言えば、断頭後、ラットの頭を手術台に固定し、綿球で血液を吸い取り、まず気管と大後頭孔を見つけ、次に気管の斜め後方側の頸動脈鞘組織を見つけ、マイクロピンセットでSCGを取り出し、PBSを含有するペトリ皿に入れた後、解剖顕微鏡下でSCGを分離した。単離されたSCGの表面の余分な液体をティッシュペーパーで取り除き、次にSCGをきれいな表面皿に置いて重量を測定した。SCGの形態を
図6Bに示す。記録されたデータをStudent t検定で分析した。**はPBS治療群と比較して有意差があることを示し、n.s.はPBS治療群と比較して「有意差なし」を示した。
図6Cに示すように、2nMの用量で、変異体β-NGF 118aa(mNGF118)、SuTaiSheng
RマウスNGF及び2-118-L3Fc10-M3-5は、PBS陰性対照群と比較してSCG増殖に有意な促進効果がなく、統計的に有意差がなかった。一方、2-118-L3G4-BMは、PBS対照群と比較してSCG増殖を有意に促進した(**p<0.01)。5nMの用量の場合、NGF対照群(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)とNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)のどちらも、PBS治療群と比較してインビボでSCG増殖を有意に促進し(**p<0.01)、試験された4つのNGFタンパク質の間にはSCG増殖を促進する活性に有意差が見られなかった(n.s.はp>0.05を示す)(
図6D)。従って、用量を2nMにした場合でも、2-118-L3G4-BMは、SuTaiSheng
RマウスNGF又は変異体β-NGF 118aa(mNGF118)と比較して、単回皮下注射によりインビボでSCG増殖を促進する活性が優れた。高用量(5nM)の場合では、2-118-L3G4-BMまたは2-118-L3Fc10-M3-5のうちのどちらによる単回治療も、SCG増殖の促進に対して同様な活性を示した。
実施例6:ラットにおける各種のNGFポリペプチドの薬物動態学(PK)研究
【0271】
各種のNGF構築物を成体ラットに注射して、PKプロファイルを検出した。
【0272】
24匹の雄SDラット(6~8週齢、約250g~300g/匹)をランダムに3群(各群8匹)に分け、2-118-L3Fc10-M3-5、2-118-L3G4-BM、およびmNGF118(Fc融合を伴わない変異体β-NGF 118個のアミノ酸)をそれぞれ235μg/kg筋肉注射した。注射前(0時間)又は注射後1時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、120時間、168時間、216時間及び288時間に、眼窩後静脈血150μlをそれぞれ採取した。採血後に血漿を分離し、次にNGF含有量をHuman NGF Matched ELISA Antibody Pair Set(Sino Biological,SEK11050)で検出した。Y軸に450nm~630nmでの標準の平均ODs値をプロットし、X軸に標準の濃度をプロットし、R2>0.98の要件で標準曲線の線形方程式を作成した。次に、標準曲線の線形方程式に従って、それぞれのサンプルの血漿濃度を計算した。GraphPad Prism 5.0を使用してサンプル濃度対時間の半対数プロットを作成し、Phoenix WinNonlin 6.2をPK分析に使用し、GraphPad Prism 5.0を使用して半減期散布図をプロットした。
【0273】
図7Aに示すように、単回筋肉注射後、NGF-Fc融合タンパク質の群は、Fcに融合されていないmNGF118対照群と比較して、経時的な血漿濃度が高かった。単回筋肉注射後、2-118-L3G4-BMは、2-118-L3Fc10-M3-5と経時的に同様の血漿濃度を示した。
図7Bに示すように、2-118-L3G4-BM(55時間)と2-118-L3Fc10-M3-5(55時間)とは、半減期がほぼ同じであるが、Fcに融合されていないmNGF118対照群(半減期1.75時間)と比べると、半減期がかなり長かった(約31倍)。これらの結果から、2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5の単回投与がインビボでのSCG増殖の促進に対して、Fcに融合されていないNGF対照群の連続注射(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)と同様の活性を示したことの原因は、さらに明らかになった(
図6Dを参照)。
【0274】
wtNGF120(即ち、「rhNGF」、ヒト野生型β-NGF 120個のアミノ酸、配列番号4)、NGF-1-15M7(rhNGF-Fc1)、NGF-L3Fc10M7-5(rhNGF-Li-Fc1)、2-1-15M7(rhNGF-(F12E)-Fc1)及びNGF-4-12PAA(rhNGF-Fc4)の半減期は、WO2017157325の表2に詳述されていて、表6にまとめた。この実験で検出したmNGF118の半減期(1.75時間)は、WO2017157325で検出したwtNGF120の半減期(1.8時間)と同様であった。表6に示すように、NGF-1-15M7(rhNGF-Fc1)、NGF-L3Fc10M7-5(rhNGF-Li-Fc1)及び2-1-15M7(rhNGF-(F12E)-Fc1)構築物は、Fc融合のないwtNGF120又はmNGF118対照群よりも、インビボ半減期が17倍以上延長し、NGF-4-12PAA(rhNGF-Fc4)よりも1.4倍長かった。ここで検出した2-118-L3G4-BM(55時間)の半減期は、2-118-L3Fc10-M3-5(55時間)の半減期とほぼ同じになり、両方ともFc融合のないwtNGF120又はmNGF118対照群の31倍程度であり、また、以前に測定されたIgG1-又はIgG4-由来のFc断片を含むすべての成熟NGF-Fc融合タンパク質よりもはるかに長かった。
【0275】
【0276】
実施例7:NGF-Fc融合タンパク質による糖尿病性神経障害の創傷治癒の促進
糖尿病性神経障害は、糖尿病に伴う一般的な慢性合併症の1つであり、それを患う患者には、創傷治癒の遅延、局所での様々な程度の感染や、潰瘍、炭疽などが現れ、足趾や下肢切断の恐れもある。この実施例には、糖尿病性神経障害の動物モデルに対するNGF-Fc融合タンパク質による治療効果に関する研究を記述した(例えば、創傷治癒に基づいた評価)。
CD-1マウスは、北京維通利華実験動物技術有限公司から入手された。標準的な方法を採用して糖尿病の動物モデルを構築した(例えば、Graiani G.et al.,Nerve growth factor promotes reparative angiogenesis and inhibits endothelial apoptosis in cutaneous wounds of Type 1 diabetic mice.Diabetologia.2004,47(6):1047-54を参照のこと)。糖尿病誘発の4週間後、マウスを麻酔し、使い捨ての皮膚穿孔装置を使用して肩甲骨の間の左右に直径4mmの全層皮膚創傷1つずつを得た。50μg/mlSuTaiShengRマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)を20μl/回の用量で右側創傷に投与した。等量のPBSインフュジョンを左側創傷に投与した(陰性対照とした)。PBS、SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118を0日目(マウスの背中に穿孔した後)、1日目、2日目及び3日目に1日1回投与した。2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BMを、0日目に同じ用量で単回投与した。穿孔直後の創傷面積を測定し、0日目の創傷面積として記録し、4日目及び7日目で創傷面積を測定して創傷治癒率を計算した。記録されたデータをStudent t検定によって分析し、縦棒グラフとしてGraphPad Prism 8.0.1によってプロットした。
【0277】
図8に示すように、7日目には、4日目と比較して、すべての群で創傷治癒が改善された。SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118及びNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)はすべて、PBS陰性対照と比較して糖尿病の創傷治癒を有意に促進した(p<0.01)。具体的には、4日目に、PBS治療群の平均創傷面積は、SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質治療群の約1.3倍であった。上記の結果は、SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質により、糖尿病マウスの創傷治癒が遅いという欠陥を効果的に改善することができたことを示した。さらに、7日目に、NGF-Fc融合タンパク質の投与による糖尿病マウスの創傷治癒率は、SuTaiSheng
RマウスNGF及びmNGF118治療群よりも高かった。この結果から、NGF-Fc融合タンパク質はNGF(例えば、SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)よりインビボ治療効果が優れたことが示された。
実施例8:アルツハイマー病に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果
【0278】
アルツハイマー病は、主な臨床症状として進行性記憶喪失を伴う中枢神経系の変性疾患であり、高齢者に発症する場合が多く、病因が複雑である。この実施例には、インビボでのADに対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果の研究を記述した(例えば、動物の行動変化による評価)。
【0279】
Wistarラットを採用し、標準的な方法でAD動物モデルを構築した(例えば、「Wenk GL,Harrington CA,Tucker DA,et al.Basal forebrain neurons and memory: a biochemical,histological and behavioural study of differential vulnerability to ibotenate and quisqualate.Behav Neurosci,1992,106: 909-923.」を参照のこと)。簡単に言えば、Wistarラットにイボテン酸(IBO)を定位注射した。IBO注射の2日後、ADモデルラットを麻酔して仰向けに寝かせた。150μg/mlのNGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118実験群)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)を、100μl/回の総用量で鼻腔投与した。同体積量のPBSを投与したADモデルラットを陰性対照とした。NGF又はPBSを1日1回、連続7日間投与した。NGF-Fc融合タンパク質は、1日目のみに単回投与した。7日目にモリス水迷路試験によってラットの行動変化を評価した。簡単に言えば、モリス水迷路装置を使用して、実験前にラットをプラットホームに登るように訓練し、実験当日、ラットがプラットホームを探すのにかかる時間(潜伏時間;水に入ってからプラットホームに登ったまでの時間)及びプラットホームを取り外してから120s以内に元のプラットホームの位置を横切った回数を記録した。記録されたデータをStudent t検定で分析した。
【0280】
表7に示すように、SuTaiShengRマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理されたADモデルラットは、陰性対照群と比較してプラットホームを探すのにかかる時間が有意に短くなり(*p<0.05)、プラットフォームを横切った回数が有意に増加した(*p<0.05)。従って、本明細書に記載されているNGFおよびNGF-Fc融合タンパク質のいずれか一方によれば、ADモデルラットの空間認知、記憶及び学習能力を効果的に改善することができる。さらに、2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5で処理されたADモデルラットは、NGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)で処理されたラットと比較してプラットホームを探すのにかかる時間が短く、プラットフォームを横切った頻度が高かった。これらのデータから、NGF-Fc融合タンパク質はADに対するインビボ治療効果が優れたことが示された。
【0281】
【0282】
実施例9:早発卵巣不全に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果
早発卵巣不全(POF)とは、エストロゲン値の低下、卵胞生成ホルモン値の上昇及びゴナドトロピン値の上昇を伴うことが多く、その病因とメカニズムが複雑で、卵巣の機能不全に起因した40歳未満の自然無月経を指す。この実施例には、インビトロヒト卵巣顆粒膜腫瘍細胞株(KGN)増殖試験及びKGNエストロゲン分泌アッセイならびにPOFモデルラットを用いたPOFの治療に対するNGF-Fc融合タンパク質の効果に関する研究について記述した。
【0283】
KGN増殖試験においては、試験の前日に100ulのKGN懸濁液(1×104細胞/mL)を96ウェルプレートの各ウェルに加えた。実験前に無血清DMEM培地を交換した。培地交換後、培地中の最終濃度が10μg/mLになるように、SuTaiShengRマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)を実験群のウェルにそれぞれ加え、陰性対照群に対しては、培地交換後に何の処理も行われなかった。各群に4つの重複ウェルを設置し、48時間後に10uLのCCK-8(DOJINDO、#CK04)を各ウェルに加えて生細胞を測定した。1時間インキュベート後、450nmでの吸光値を測定し、記録されたデータをStudent t検定で分析し、GraphPad Prism 8.0.1を使用して縦棒グラフをプロットした。
【0284】
図9Aに示すように、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)及NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)のいずれか一方も、PBS陰性対照群と比較してKGNの増殖を有意に促進した(p<0.05)。それに対して、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理されたKGNは、NGFで処理されたKGNと比較して増殖率がわずかに高かった。
【0285】
KGNエストロゲン分泌アッセイでは、24ウェルプレートに1×105細胞/ウェルで播種し(細胞のコンフルエンスが約80%であった)、次に無血清培地に交換した。培地交換後、培地中の最終濃度が10μg/mlになるように、SuTaiShengRマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)を実験群のウェルにそれぞれ加えた。陰性対照群は、培地交換後に何の処理も行われなかった。各群に4つの重複ウェルを設置し、18時間インキュベート後、2回洗浄し、2.2×10-8Mのテストステロン(Beijing Solarbio Life Science & Technology Co.,Ltd,、#IT0110)及び0.01IU/mlのヒツジ卵胞刺激ホルモン(National Health Physics Program、Ovine FSH)で24時間処理後、上清を採取して1.6倍に希釈し、R&D Systems製のエストロゲン測定キット(KGE014)を使用して、450nmでの吸光値を測定し、分泌されたエストロゲン濃度を計算し、記録されたデータをStudent t検定で分析し、GraphPad Prism 8.0.1を使用して縦棒グラフをプロットした。
【0286】
図9Bに示すように、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)及NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)のいずれか一方も、陰性対照群と比較してKGNエストロゲン分泌を有意に促進した(p<0.05)。それに対して、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理されたKGNは、NGFで処理されたKGNと比較してわずかに高いエストロゲン分泌を示した。
【0287】
4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド(VCD)は、雌マウスの卵巣の原始卵胞と一次卵胞を選択的に破壊できるが、二次卵胞と和洞卵胞には影響せず、雌マウスのPOFをもたらした。POFの治療におけるNGF-Fc融合タンパク質のインビボ効果をさらに研究するために、VCDをSDラットに2週間連続して腹腔注射してPOFラットモデルを構築した(例えば、Muhammad FS et al.,Effects of 4-vinylcyclohexene diepoxide on peripubertal and adult Sprague-Dawley rats:ovarian,clinical,and pathologic outcomes[J].Comp Med,2009,59(1):46-59.を参照)。NGF投与は、モデル確立の開始時に行われ、1日目として記録された。皮下注射が採用され、NGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)実験群の注射用量は10μg/kg bwであり、同量の無菌生理食塩水を陰性対照とした。SuTaiShengRマウスNGF、mNGF118又は無菌生理食塩水を隔日で投与し、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)を週1回投与した。42日後、すべてのラットを安楽死させ、卵巣組織を固定した後に定期的にパラフィンに包埋し、切片にしてH&E(ヘマトキシリンとエオシン)で染色し、すべてのレベルの卵胞を数えた。記録されたデータをStudent t検定で分析し、GraphPad Prism 8.0.1を使用して縦棒グラフをプロットした。
【0288】
図9Cに示すように、SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118及びNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)はすべて、陰性対照群と比較して一次卵胞の数を有意に増加させており(p<0.05)、POFによる一次卵胞数の軽減を逆転させるのに優れた効果があることを示した。SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理されたPOFラットモデルは、陰性対照群と比較して、原始卵胞及び二次卵胞の数が多かった。
実施例10:精子軽減無力症に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果
【0289】
精子軽減無力症は、主に精子数の軽減及び/又は精子の運動性の低下として現れる。精子は、精巣の精細管で増殖能力を持つ生殖細胞が一連の分裂分化によって形成されるが、熱ストレスは、増殖細胞の分裂、分化及び精子形成に影響を与える可能性がある。この実施例には、マウス精子形成障害モデルにおける精子軽減無力症(精子軽減症及び精子無力症)に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果の研究について記述した。
本実験では、C57BL/6JSHjhマウス(Shanghai Jihui Experimental Animal Breeding Co.,Ltd)を使用した。実験群には、鼠径部皮下注射の投与方法を採用し、20μg/kg bw/回のNGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)又は60μg/kg bw/回のNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)をそれぞれ注射した。正常対照群又は精子形成障害モデル対照群には、等量の0.9%塩化ナトリウムインフュジョンを注射した。初回投与(NGF、NGF-Fc融合タンパク質又は塩化ナトリウム)の日を1日目とした。マウス精巣における熱ストレスによる精子形成障害の動物モデルを構築するために、初回投与から4時間後にマウスを麻酔し、マウス精巣が陰嚢に下降した後、精子形成障害モデル対照群、NGF実験群及びNGF-Fc融合タンパク質実験群のマウスの下腹部(後肢、テール及び陰嚢)を42℃の恒温水槽に30分間浸し、正常対照群のマウスの下腹(後肢、テール及び陰嚢)を25℃の恒温水槽に30分間浸した。SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118は隔日で1回投与し、2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5は週2回投与した。正常対照群又はモデル対照群には、隔日で等量の0.9%塩化ナトリウムインフュジョンを注射した。合計5週間投与した。投与後37日目にマウスを安楽死させ、精巣上体の左尾を採取して重量を量り、37℃に予熱したM199培養液に入れ、細かく切ってインキュベーターに37℃で5分間インキュベートし、精子懸濁液を吸引し、M199培養液で1:6で希釈し、均一に混合した後に希釈液を取り、TOX IVOS精子分析装置で精子数及び精子の運動性を検出した。記録したデータはStudent t検定で分析した。
【0290】
表8に示すように、精子形成障害モデル対照群は、正常対照群よりも精子数及び精子の運動性が有意に低く、動物モデルの構築に成功したことが示された。NGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5和2-118-L3G4-BM)実験群におけるマウスの精子数和精子の運動性は、精子形成障害モデル対照群と比較して有意に増加した。これらの結果から、NGF又はNGF-Fc融合タンパク質の皮下注射が、精子形成障害(例えば、精子無力症、精子軽減症及び精子軽減無力症)における精子数の軽減及び精子の運動性の低下を効果的に救済できたことが分かった。
【0291】
【0292】
NGF及びNGF-Fcの治療効果をさらに研究するために、上記の安楽死させたマウスの右の精巣及び精巣上体を採取し、重量を量った後に10%中性ホルマリンで固定し、包埋し、切片にしてH&Eで染色し、組織病理学的病変を評価した。表8に示すように、NGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)及びNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5和2-118-L3G4-BM)は、熱ストレスによる精巣精細管萎縮、精細管精子形成障害及び精巣上体管細胞断片症状に対して有意な治療効果を示した。
【0293】
さらに、NGF-Fc融合タンパク質は、NGFと同等又はそれ以上の治療効果(精子数、精子の運動性、組織病理学)を示した。
【0294】
【0295】
実施例11:神経栄養性角膜炎に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果
神経栄養性角膜炎は、角膜上皮の治癒障害に起因した変性疾患であり、主に角膜の感受性の低下を特徴としている。この実施例には、神経栄養性角膜炎のラットモデルにおける神経栄養性角膜炎に対するNGF-Fc融合タンパク質の治療効果の研究について記述した(例えば、角膜フルオレセインナトリウム染色試験及び角膜神経長測定により行われる)。
【0296】
神経栄養性角膜炎の動物モデルを確立するために、3日齢のSDラットに8mg/mlのカプサイシン溶液(Shanghai McLean Biochemical Technology Co.,Ltd.、#C10831884)を50μl/匹の用量で単回皮下注射した。カプサイシン注射の2週間後、60μg/mlのNGF(SuTaiShengRマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3Fc10-M3-5又は2-118-L3G4-BM)を、点眼剤の形で約2時間間隔で1日6回、20μl/目/回で両眼に投与した。陰性対照として、同量の0.9%塩化ナトリウム溶液を同頻度で投与した。投与の初日をD1と記録した。2週間連続投与し、D15に各群で1回投与した。
【0297】
次に、角膜フルオレセインナトリウム染色を行い、NGF-Fc融合タンパク質の治療効果を評価した。角膜フルオレセインナトリウム染色スコアにより、角膜の完全性と損傷の程度を直接に示すことができる。無傷の角膜は着色されず、損傷した角膜のみが着色され、スコアが高いほど角膜損傷の程度が高くなる。簡単に言えば、フルオレセインナトリウム溶液(3μL、0.5%)を動物の目に滴下して1.5分間染色した。次に、動物の結膜嚢を1.25mLの無菌生理食塩水で約10sごとに3回連続して洗浄した。各洗浄後、動物の目の周りの残留生理食塩水をティッシュペーパーで吸い取った。染色5分間後、細隙灯(+コバルトブルーフィルター)で眼球表面を観察し、写真を撮影してスコアを付けた。改良されたNEI蛍光染色グレーディング法はスコアリング標準として使用した。具体的には、各角膜を5つの領域(1-中央領域、2-上方、3-側頭、4-鼻側、5-下方)に分割し、各領域の染色スコアは最大8点であった。ここで、0点は着色されていないことを示し、1点は点状着色の面積が対応する領域の面積の1%~25%であることを示し、2点は点状着色の面積が対応する領域の面積の26%~50%であることを示し、3点は点状着色の面積が対応する領域の面積の51%~75%であることを示し、4点は点状着色の面積が対応する領域の面積の76%~100%であることを示した。着色されあ領域が緻密でありかつ/又はその領域に明らかな融合が見られる場合、対応する領域の着色された領域に占める面積に応じて、1、2、3、4の追加点がさらに与えられた。即ち、着色面積1%~25%で1点の加点、着色面積26%~50%で2点の加点、着色面加51%~75%で3点の加点、着色面積76%~100%で4点の加点が与えられた。各目の最大合計スコアは40点であった。0日目(最初の治療前)、4日目、8日目及び14日目に合計4回測定した。角膜フルオレセインナトリウム染色の合計スコアを計算した。記録されたデータをSPSS13.0で処理し、GraphPad Prism 8.0.1を使用して縦棒グラフをプロットした。
【0298】
図10Aに示すように、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理された実験群は、陰性対照群よりも神経栄養性角膜炎ラットモデルの角膜フルオレセインナトリウム染色スコアが有意に低かった(4日目及び8日目にp<0.01;14日目にp<0.001)ことから、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)が損傷角膜の完全性を有意に回復できたことが示された。それに対して、NGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理された角膜は、NGFで処理された角膜と比較して角膜フルオレセインナトリウム染色スコアがわずかに低かった。
【0299】
角膜神経計数試験をさらに実施してその治療効果を研究した。15日目に、投与の1時間後にラットを安楽死させ、右眼球を採取し、角膜縁に沿って角膜を摘出し、洗浄し、平らにし、染色してスライドガラスに固定した。光学顕微鏡(×200倍)で角膜神経線維の形態を観察し、角膜を中心から放射状に4葉に分割し、4葉のそれぞれから角膜神経が最も多い鮮明な視野を選んで撮影し、各視野における角膜神経の長さを測定し、4つの視野の角膜神経の平均長を最終結果とした。データは、SPSS13.0を使用して処理し、GraphPad Prism 8.0.1により縦棒グラフとしてプロットした。
【0300】
図10Bに示すように、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)で処理された神経栄養性角膜炎ラットモデルは、陰性対照群よりも平均角膜神経長が有意に長かった(p<0.05)。具体的には、SuTaiSheng
RマウスNGF、mNGF118、2-118-L3G4-BMおよび2-118-L3Fc10-M3-5)で処理された平均角膜神経長は、それぞれ陰性対照群の約1.14倍、1.14倍、1.21倍及び1.18倍であった。上記の実験結果は、NGF(SuTaiSheng
RマウスNGF又はmNGF118)又はNGF-Fc融合タンパク質(2-118-L3G4-BM又は2-118-L3Fc10-M3-5)が、神経栄養性角膜炎によって引き起こされた角膜神経の損傷を効果的に改善できることを示した。
【0301】
配列表
配列番号1(変異型ヒト β-NGF, 118aa)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVR
配列番号2(変異型ヒト β-NGF, 120aa)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号3(野生型ヒト β-NGF, 118aa)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVR
配列番号4(野生型ヒト β-NGF, 120aa)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号5(NGF ポリペプチド, 103aa)
EPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKR
配列番号6(NGF シグナルペプチド, 18aa)
MSMLFYTLITAFLIGIQA
配列番号7(ヒト野生型 IgG1 Fc IGHG1*05)
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号8(ヒト野生型 IgG1 Fc IGHG1*03, 天然変異体)
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号9(修飾 IgG1 Fc M1 [IGHG1*03に対するN297A])
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10(修飾 IgG1 Fc M1-5 [IGHG1*03に対するN297A, N' 5aa 切断])
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号11(修飾 IgG1 Fc M3 [IGHG1*03に対するL234A+L235A+P331S])
EPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号12(修飾 IgG1 Fc M3-5 [IGHG1*03に対するL234A+L235A+P331S, N' 5aa 切断])
DKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号13(修飾 IgG1 Fc M5 [IGHG1*03に対するL234A+L235E+G237A+A330S+P331S])
EPKSCDKTHTCPPCPAPEAEGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号14(修飾 IgG1 Fc M5-5 [IGHG1*03に対するL234A+L235E+G237A+A330S+P331S, N' 5aa 切断])
DKTHTCPPCPAPEAEGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号15(修飾 IgG1 Fc M7 [IGHG1*03に対するE233P+L234V+L235A+G236del+A327G+A330S+P331S])
EPKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号16(修飾 IgG1 Fc M7-5 [IGHG1*03に対するE233P+L234V+L235A+G236del+A327G+A330S+P331S, N' 5aa 切断])
DKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号17(ヒト野生型 IgG4 Fc)
ESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号18(修飾 IgG4 Fc [S228P+F234A+L235A])
ESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号19(修飾 IgG4 Fc-FD)
SKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号20(修飾 IgG2/4 Fc)
VERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号21(FD-G4Fc核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、 β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾 IgG4 Fc はイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaGGCTCCGGCGGCGGCTCCGGTGGCGGCGGCTCAGGAGGAGGAGGCTCCGGTGGTGGTGGTTCCTCCAAGTATGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAGGGGggaccatcagtcttcctgttccccccaaaacccaaggacactctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccaggaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggatggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagttcaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccgtcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagagccacaggtgtacaccctgcccccatcccaggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggaaagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaggctaaccgtggacaagagcaggtggcaggaggggaatgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctCCGggtaaa
配列番号22(FD-G4Fcのアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、 β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾 IgG4 Fc はイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号23(WM-G24Fcの核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、 β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾 IgG2/4 Fc はイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaAAGACCGGCGGTGGCTCCGGCGGCGGCTCCGTGGAGCGGAAGTGCTGCGTGGAGTGCCCCCCCTGCCCCGCTCCCCCCGTGGCTGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
配列番号24(WM-G24Fcのアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、 β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾 IgG2/4 Fc はイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRKTGGGSGGGSVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号25(NGF-1-15M7の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaagagccGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTCCAGTCGCAGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCATCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号26(NGF-1-15M7のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAEPKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号27(NGF-L3Fc10M7-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaagagccggcggtggcggctccggcggtggcggctccggcggtggcggctccGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTCCTGTCGCCGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCATCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号28(NGF-L3Fc10M7-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号29(2-1-15M7の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa) は太字、修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaagagtcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaagagccGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTCCAGTCGCAGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCATCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号30(2-1-15M7のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa) は太字、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAEPKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号31(NGF-4-12PAAの核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、修飾IgG4 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaagagccgagtccaaatatggtcccccatgcccaccctgcccagcacctgaggctgcggggggaccatcagtcttcctgttccccccaaaacccaaggacactctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccaggaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggatggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagttcaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccgtcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagagccacaggtgtacaccctgcccccatcccaggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggaaagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaggctaaccgtggacaagagcaggtggcaggaggggaatgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctctgggtaaa
配列番号32(NGF-4-12PAAのアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa) は太字、修飾IgG4 Fcはイタリック体で太字)
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配列番号33(2-118-L3Fc10-M1-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
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配列番号34(2-118-L3Fc10-M1-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号35(2-118-L3Fc10-M3-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
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配列番号36(2-118-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号37(NGF-118-L3Fc10-M3-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaattctcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaggcggtggcggctccggcggtggcggctccggcggtggcggctccgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagccgctgggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctatagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtccccgggtaaa
配列番号38(NGF-118-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号39(2-L3Fc10-M3-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaagagtcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaagagccggcggtggcggctccggcggtggcggctccggcggtggcggctccgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagccgctgggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctatagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtccccgggtaaa
配列番号40(2-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号41(2-118-L3Fc10-M5-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaagagtcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaggcggtggcggctccggcggtggcggctccggcggtggcggctccGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCTGAGGGGGCACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAAGCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号42(2-118-L3Fc10-M5-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAEGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号43(2-118-L3Fc10M7-5の核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaagagtcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaggcggtggcggctccggcggtggcggctccggcggtggcggctccGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTCCTGTCGCCGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCATCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号44(2-118-L3Fc10M7-5のアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG1 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号45(2-118-L3G4-BMの核酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG4 Fcはイタリック体で太字)
atgagcatgttgttctacactctgatcacagcttttctgatcggcatacaggcggaaccacactcagagagcaatgtccctgcaggacacaccatcccccaagcccactggactaaacttcagcattcccttgacactgcccttcgcagagcccgcagcgccccggcagcggcgatagctgcacgcgtggcggggcagacccgcaacattactgtggaccccaggctgtttaaaaagcggcgactccgttcaccccgtgtgctgtttagcacccagcctccccgtgaagctgcagacactcaggatctggacttcgaggtcggtggtgctgcccccttcaacaggactcacaggagcaagcggtcatcatcccatcccatcttccacaggggcgaagagtcggtgtgtgacagtgtcagcgtgtgggttggggataagaccaccgccacagacatcaagggcaaggaggtgatggtgttgggagaggtgaacattaacaacagtgtattcaaacagtacttttttgagaccaagtgccgggacccaaatcccgttgacagcgggtgccggggcattgactcaaagcactggaactcatattgtaccacgactcacacctttgtcaaggcgctgaccatggatggcaagcaggctgcctggcggtttatccggatagatacggcctgtgtgtgtgtgctcagcaggaaggctgtgagaGGAGGGGGAGGCGGAGGTTCAGGGGGTGGTGGTTCCGGcGGCGGGGGATCCGCCgagtccaaatatggtcccccatgcccaccctgcccagcacctgaggctgcggggggaccatcagtcttcctgttccccccaaaacccaaggacactctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccaggaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggatggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagttcaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccgtcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagagccacaggtgtacaccctgcccccatcccaggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggaaagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaggctaaccgtggacaagagcaggtggcaggaggggaatgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctctgggtaaa
配列番号46(2-118-L3G4-BMのアミノ酸配列; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、 修飾IgG4 Fcはイタリック体で太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号47(変異型ヒト プレプロNGF, 239aa; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVR
配列番号48(変異型ヒト プレプロNGF, 241aa; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa)は太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号49(野生型ヒト プレプロNGF, 239aa; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 118aa)は太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVR
配列番号50(野生型ヒト プレプロNGF, 241aa; シグナルペプチドはイタリック体、 プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa)は太字)
MSMLFYTLITAFLIGIQAEPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号51(変異型ヒト proNGF, 221aa; プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体118aa)は太字)
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配列番号52(変異型ヒト proNGF, 223aa; プロペプチドは四角内、β-NGF(変異体120aa)は太字)
EPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号53(野生型ヒト proNGF, 221aa; プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 118aa)は太字)
EPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVR
配列番号54(野生型ヒト proNGF, 223aa; プロペプチドは四角内、β-NGF(野生型 120aa)は太字)
EPHSESNVPAGHTIPQAHWTKLQHSLDTALRRARSAPAAAIAARVAGQTRNITVDPRLFKKRRLRSPRVLFSTQPPREAADTQDLDFEVGGAAPFNRTHRSKRSSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRA
配列番号55(成熟FD-G4Fcのアミノ酸配列; β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG4 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSSKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号56(成熟WM-G24Fcのアミノ酸配列;β-NGF(野生型 118aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG2/4 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRKTGGGSGGGSVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号57(成熟NGF-1-15M7のアミノ酸配列;β-NGF(野生型 120aa) は太字、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAEPKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号58(成熟NGF-L3Fc10M7-5のアミノ酸配列;β-NGF(野生型 120aa) は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号59( 成熟2-1-15M7のアミノ酸配列;β-NGF(変異体120aa)は太字、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAEPKSCDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号60(成熟NGF-4-12PAAのアミノ酸配列;β-NGF(野生型 120aa)は太字、修飾 IgG4 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号61(成熟2-118-L3Fc10-M1-5のアミノ酸配列;β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号62(成熟2-118-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列;β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号63(成熟NGF-118-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列;β-NGF(野生型 118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEFSVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号64(成熟2-L3Fc10-M3-5のアミノ酸配列;β-NGF(変異体120aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRRAGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号65(成熟2-118-L3Fc10-M5-5のアミノ酸配列;β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPEAEGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号66(成熟2-118-L3Fc10M7-5のアミノ酸配列;β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG1 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGSGGGGSGGGGSDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号67(成熟2-118-L3G4-BMのアミノ酸配列;β-NGF(変異体118aa)は太字、リンカーに下線が引かれ、修飾 IgG4 Fcはイタリック体で太字)
SSSHPIFHRGEESVCDSVSVWVGDKTTATDIKGKEVMVLGEVNINNSVFKQYFFETKCRDPNPVDSGCRGIDSKHWNSYCTTTHTFVKALTMDGKQAAWRFIRIDTACVCVLSRKAVRGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号68(リンカー)
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号69(リンカー)
GGGGGGSGGGGSGGGGSA
配列番号70(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GGGGS)n
配列番号71(リンカー)
GSGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号72(リンカー)
KTGGGSGGGS
配列番号73(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(G)n
配列番号74(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GS)n
配列番号75(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GGS)n
配列番号76(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GGGS)n
配列番号77(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GGS)n(GGGS)n
配列番号78(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GSGGS)n
配列番号79(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GGSGS)n
配列番号80(リンカー)
GSGGGSGGGGSGGGGS
配列番号81(リンカー)
GGGSGGGGSGGGGS
配列番号82(リンカー)
GGGSGGSGGS
配列番号83(リンカー)
GGSGGSGGSGGSGGG
配列番号84(リンカー)
GGSGGSGGGGSGGGGS
配列番号85(リンカー)
GGSGGSGGSGGSGGSGGS
配列番号86(リンカー)
GG
配列番号87(リンカー)
GGSG
配列番号88(リンカー)
GGSGG
配列番号89(リンカー)
GSGSG
配列番号90(リンカー)
GSGGG
配列番号91(リンカー)
GGGSG
配列番号92(リンカー)
GSSSG
配列番号93(リンカー)
GGSGGS
配列番号94(リンカー)
SGGGGS
配列番号95(リンカー)
GGGGS
配列番号96(リンカー; nは少なくとも1の整数である)
(GA)n
配列番号97(リンカー)
GRAGGGGAGGGG
配列番号98(リンカー)
GRAGGG
配列番号99(リンカー)
ASTKGP
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N端からC端までNGF部分とFc部分とを含むポリペプチドであって、前記NGF部分は配列番号1~3のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、前記Fc部分はIgG1 Fc又はIgG4 Fcに由来する、持効型神経成長因子(NGF)ポリペプチド。
【請求項2】
前記NGF部分がポリペプチドリンカーを介してFc部分に融合されてい
て、
前記ポリペプチドリンカーは配列番号68~72のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、かつ/或いは、
前記ポリペプチドリンカーはアミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号70、ただし、前記nが1、2、3、4、5及び6のうちのいずれか1つである)を含む、請求項1に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項3】
前記Fc部分がIgG1 Fcに由来し、
前記Fc部分が配列番号7又は8のアミノ酸配列を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が、配列番号8に対するE233、L234、L235、G236、G237、N297、A327、A330及びP331から選択された1つ又は複数の位置に変異を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が、配列番号8に対してE233P、L234V、L234A、L235A、L235E、G236del、G237A、N297A、A327G、A330S及びP331Sから選択された1つ又は複数の変異を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が、配列番号7又は8のアミノ酸配列の最初の5個のアミノ酸をさらに欠失している、請求項1
又は2に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項4】
前記Fc部分が、配列番号8に対してL234A、L235A、およびP331S変異を含
み、かつ/或いは、
前記Fc部分が配列番号11又は12のアミノ酸配列を含む、請求
項3に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項5】
前記持効型NGFポリペプチドが、配列番号62~64のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、請求項
4に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項6】
前記Fc部分が、配列番号8に対してE233P、L234V、L235A、G236del、A327G、A330S及びP331S変異を含
み、かつ/或いは、
前記Fc部分が配列番号15又は16のアミノ酸配列を含む、請求項
3に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項7】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号66のアミノ酸配列を含む、請求項
6に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項8】
前記Fc部分が、配列番号8に対してL234A、L235E、G237A、A330S及びP331S変異を含
み、かつ/或いは、
前記Fc部分が配列番号13又は14のアミノ酸配列を含む、請求項
3に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項9】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号65のアミノ酸配列を含む、請求項
8に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項10】
前記Fc部分が配列番号8に対してN297A変異を含
み、かつ/或いは、
前記Fc部分が配列番号9又は10のアミノ酸配列を含む、請求項
3に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項11】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号61のアミノ酸配列を含む、請求項
10に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項12】
前記Fc部分がIgG4 Fcに由来
し、
前記Fc部分が配列番号17のアミノ酸配列を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が、配列番号17に対するS228、F234及びL235から選択された1つ又は複数の位置に変異を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が、配列番号17に対してS228P、F234A及びL235Aから選択された1つ又は複数の変異を含み、かつ/或いは、
前記Fc部分が配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項
1又は2に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項13】
前記持効型NGFポリペプチドが配列番号67のアミノ酸配列を含む、請求項
12に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項14】
静脈注射、筋肉注射、眼内注射又は皮下注射によってヒト個体に投与された場合、少なくとも10時間の半減期を有
し、かつ/或いは、
前記持効型NGFポリペプチドは、配列番号3又は4のアミノ酸配列を有するNGF部分を含むNGFポリペプチドと比較して、引き起こした痛みが少ない、請求項
1又は2に記載の持効型NGFポリペプチド。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項16】
請求項
15に記載の
単離された核酸を含む、ベクター。
【請求項17】
請求項
16に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項18】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の持効型NGFポリペプチド
、又は請求項15に記載の単離された核酸、又は請求項16に記載のベクター、又は請求項17に記載の宿主細胞と、薬学的に許容されるキャリア及び/又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
個体におけるNGF関連疾患を治療するため
に用いられ、
前記NGF関連疾患は、神経系疾患又は非神経系疾患であり;
好ましくは、
前記神経系疾患は、新生児低酸素性虚血性脳症、脳性麻痺、重症疾患ミオパシー、神経性難聴、反回神経損傷、外傷性脳損傷、歯神経損傷、脳卒中、ダウン症、筋萎縮性脊髓側索硬化症、多発性硬化症、脊髓性筋萎縮症、びまん性脳損傷、胸腺異形成、視神経挫傷、濾胞性異形成、脊髓損傷、緑内障、神経栄養性角膜炎、視神経損傷、視神経脊髄炎、網膜関連疾患、尿失禁、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、認知症、高血圧性脳出血神経機能障害、脳小血管疾患、急性虚血性脳卒中、角膜内皮ジストロフィー、糖尿病性神経障害、糖尿病性足潰瘍、神経性皮膚潰瘍、褥瘡、神経栄養性角膜潰瘍、糖尿病性角膜潰瘍及び黄斑円孔からなる群より選択され、かつ/或いは、
前記非神経系疾患は、脾臓萎縮、脾臓挫傷、卵巣予備能低下、早発卵巣不全、卵巣過剰刺激症候群、卵巣遺残症候群、卵胞異形成、精子形成障害(例えば、精子軽減症、精子無力症、精子軽減無力症)、虚血性潰瘍、ストレス性潰瘍、リウマチ性潰瘍、肝線維症、角膜潰瘍、火傷、口腔潰瘍及び静脈性下肢潰瘍からなる群より選択され;
より好ましくは、
前記神経系疾患は、糖尿病性神経障害、アルツハイマー病、又は神経栄養性角膜炎であり、かつ/或いは、
前記非神経系疾患は、早発卵巣不全又は精子形成障害である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬組成物が一個体当たり0.01μg~1000μgの用量で投与され、
かつ/或いは、
前記医薬組成物が1週間に1回又は1ヶ月間に1回の投与頻度で投与され、かつ/或いは、
前記医薬組成物が経口、皮下、静脈、脳内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内若しくは眼内より投与されるか、又は局所に投与される、請求項
18に記載の
医薬組成物。
【国際調査報告】