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特表2023-551441グリコシド系誘導体及びその製造方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】グリコシド系誘導体及びその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/10 20060101AFI20231201BHJP
   C07D 407/12 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20231201BHJP
   C07H 15/26 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20231201BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C07D309/10
C07D407/12 CSP
A61K31/357
C07H15/26
A61K31/7004
A61K31/351
C07D407/14
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530606
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021131604
(87)【国際公開番号】W WO2022105845
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011302722.4
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.NONIDET
(71)【出願人】
【識別番号】521189282
【氏名又は名称】ベイジン・インクリーズ・イノベーティブ・ドラッグ・カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ホーンウー
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,チュンメイ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ジヘ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057BB02
4C057CC05
4C057DD02
4C057JJ14
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB03
4C063BB06
4C063BB08
4C063CC78
4C063CC79
4C063CC82
4C063DD76
4C063DD78
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA07
4C086BA15
4C086EA02
4C086GA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、グリコシド系誘導体及びその製造方法と応用を提供する。具体的には、本発明は、下記の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩であるグリコシド系誘導体を提供する。本発明によるグリコシド系誘導体は、II型糖尿病又はI型糖尿病の治療に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、グリコシド系誘導体。
【化1】
(式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、R、R、Rは、独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、並びにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
或いは、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したヘテロシクリル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、かつ/又は前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
、R、R、R10は、独立して、水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択され、
前記R11、R11aは、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。)
【請求項2】
前記R、R、R、R、R、Rは、独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C2~C16アルコキシアルコキシ基、C3~C6シクロアルキル基、C6~C12アリール基、C2~C12ヘテロアリール基、-O-C6~C12アリール基、-O-C2~C12ヘテロアリール基、-OCH-C6~C12アリール基、-OCH-C2~C12ヘテロアリール基、-O-C2~C6ヘテロシクリル基、-OCH-C2~C6ヘテロシクリル基、C1~C6エステル基、-NR1111a、並びにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
或いは、前記R及びRは、一緒になって、ベンゼン環に縮合した、N、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基、C3~C6シクロアルキル基、C6~C12アリール基、又はC2~C12ヘテロアリール基を形成し、
前記R、R、R、R10は、独立して、水素、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC1~C6アルキルチオ基からなる群より選択され、
前記R11、R11aは、独立して水素原子及びC1~C6アルキル基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項3】
前記Aは酸素原子又は-CH-であり、
前記Bは酸素原子であり、
前記R、R、R、R、R、Rは、独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素、塩素、臭素、-CN、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、n-プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、フェノキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、ベンジルオキシ基、-OCH-ピリジル基、-OCH-ピリミジニル基、-OCH-ピロリル基、-OCH-チエニル基、-OCH-フラニル基、-OCH-オキサゾリル基、-OCH-チアゾリル基、-OCH-イミダゾリル基、-OCH-トリアゾリル基、メチルエステル基、エチルエステル基、イソプロピル基エステル基、スルホン酸エステル基、アミノ基、ヘキサヒドロピリジル基、ヘキサヒドロピラジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロピロリル基及びテトラヒドロオキサゾリル基からなる群(それらの基の1つ又は複数の水素原子は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい)より選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項4】
前記R及びRは、一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロヘキシル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ヘキサヒドロピリジル基、ヘキサヒドロピラジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロピロリル基、テトラヒドロオキサゾリル基又はジオキサンを形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項5】
前記R、R、R、R10は、独立して、水素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基又はn-ヘキシルチオ基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項6】
下記の式IIで表される化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体。
【化2】
(式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、並びにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
10は水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択され、
前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。)
【請求項7】
前記R、R、R、Rは、独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素、塩素、臭素、-CN、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C2~C16アルコキシアルコキシ基からなる群より選択され、
前記R10は、水素、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC1~C6アルキルチオ基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項6に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項8】
前記Rは、C1~C3アルキル基及びC1~C3アルコキシ基からなる群より選択され、
前記R、R、Rは水素であり、
前記R10は、水素、ヒドロキシ基、C1~C3アルキル基、C1~C3アルコキシ基及びC1~C3アルキルチオ基からなる群より選択され、
前記C1~C3アルキル基、C1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよいことを特徴とする、請求項6又は7に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項9】
Aは酸素原子又は-(CH)-であり、
Bは酸素原子であり、
及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合した5~6員のヘテロシクリル基を形成するか、又はベンゼン環に縮合したシクロブタニル基を形成し、前記5~6員のヘテロシクリル基は、O及びSから選択された1又は2個のヘテロ原子を含む5~6員のヘテロシクリル基であり、
は、CH(CH-、CH(CHO-及びハロゲンからなる群より選択され、nが0、1、2及び3から選択され、
は水素であり、
或いは、R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10は、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項10】
Aは酸素原子又は-(CH)-であり、
Bは酸素原子であり、
及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合した5~6員のヘテロシクリル基を形成するか、又はベンゼン環に縮合したシクロブタニル基を形成し、前記5~6員のヘテロシクリル基は、1又は2個の酸素原子を含む5~6員のヘテロシクリル基であり、
は、CH(CH-、CH(CHO-及びハロゲンからなる群より選択され、nが0、1、2及び3から選択され、
は水素であり、
或いは、R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10は、ヒドロキシメチル基、メトキシ基及びメチルチオ基からなる群より選択される、請求項9に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項11】
Aは酸素原子であり、
Bは酸素原子であり、
はC1~C3アルコキシ基からなる群より選択され、
は水素であり、
はハロゲンから選択され、好ましくはフッ素、塩素又は臭素であり、
は水素であり、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10はヒドロキシアルキル基から選択され、好ましくはヒドロキシメチル基である、請求項1~7のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体。
【請求項12】
以下の構造のいずれかを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体:
【化3】
【化4】
【請求項13】
下記の式IIIで表される化合物から脱保護反応を経て、下記の式I-aで表される化合物を製造することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体の製造方法。
【化5】
(式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
或いは、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したヘテロシクリル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、
10はヒドロキシメチル基であり、
前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよく、
12は、アルキル基、トリメチルシリル基、ベンジル基、ホルミル基、アセチル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基又はt-ブチルジメチルシリル基である。)
【請求項14】
下記の式VIIで表される化合物から硫化反応、脱保護反応を経て、下記の式I-aで表される化合物を製造することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体の製造方法。
【化6】
(式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
或いは、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したヘテロシクリル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、
10はメチルチオ基であり、
前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよく、
12はアルキル基、トリメチルシリル基、ベンジル基、ホルミル基、アセチル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基又はt-ブチルジメチルシリル基である。)
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体又は請求項13若しくは14に記載の製造方法により製造されたグリコシド系誘導体と、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤、媒体又はそれらの組み合わせとを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項16】
糖尿病及びその合併症を予防、治療若しくは軽減するための医薬品の製造における請求項1~12のいずれか1項に記載のグリコシド系誘導体、又は請求項13若しくは14に記載の製造方法により製造されたグリコシド系誘導体、又は請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
前記糖尿病がII型糖尿病又はI型糖尿病であり、前記合併症がII型又はI型糖尿病による心血管疾患であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この出願は、2020年11月19日に中国国家知識産権局に出願され、発明の名称「グリコシド系誘導体及びその製造方法と応用」である中国特許出願202011302722.4の優先権を主張し、その内容が援用により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学薬品の技術分野、特にグリコシド系誘導体及びその製造方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、世界中の4億人以上の糖尿病患者のうちで、中国の糖尿病患者は約1億1000万人であるため、糖尿病治療薬の市場価値が高い。糖尿病は、インスリンの絶対的又は相対的な欠乏、やインスリンに対する標的細胞の感受性の低下に起因する糖代謝の障害を主症状とする慢性の総合疾患であり、その中でも2型(II型)糖尿病の発生は、末梢インスリン抵抗とβ細胞機能欠陥が共同作用した結果である。
【0004】
本願の設計構想は漢方薬マンゴーの葉から由来する。マンゴーの葉は、血糖値を下げるために民間で使用されている。現代の薬理学的研究によると、マンゴーの葉に含まれる血糖降下用活性成分が天然物マンギフェリンであることが分かる。本願の化合物は、マンギフェリンをリード化合物として、2シリーズの構造最適化により得られた。
【0005】
文献によると、マンギフェリンはインスリン細胞の再生能力、インスリンレベル、インスリン感受性、グルコース利用率などを高めることにより直接的な血糖降下作用を発揮すること、腹腔内にマンギフェリンを注射することにより、酸化的損傷による糖尿病ラットにおける糖化ヘモグロビンの量を大幅に低下させる可能性があること、マンギフェリンは糖尿病性腎症に対して一定の治療効果を持つこと、及びマンギフェリンにより、糖尿病に引き起こした酸化ストレス下の心血管疾患を遅らせる可能性があることが報告された。
【0006】
しかしながら、マンギフェリンには、化合物の水溶性が低く、経口バイオアベイラビリティが低く、血糖降下作用が比較的穏やかなことであるという欠点がある。そこで、発明者らは、マンギフェリンの薬物動態特性を改善し、その生体利用率を高めることで、血糖値を下げて糖尿病合併症のリスクを低減させるという薬効を増強するとともに、人体への毒副作用を低減させるという目的で、マンギフェリンの構造を最適化した。
【0007】
マンギフェリンの化学構造が血糖降下薬であるSGLT-2阻害剤化合物の構造と類似しているため、SGLT-2を薬効の標的とするようにマンギフェリンの化学構造を最適化した。インビトロでのSGLT-2標的阻害活性に関するスクリーニングでは、良好な血糖降下活性を有する一連の化合物を発見し、さらにインビボでの動物実験研究により、この一連の化合物が1型と2型糖尿病動物モデルの両方に有効であることを確認した。そして、ダパグリフロジンと比較して、統計的に有意な利点がある。
【0008】
SGLT-2阻害剤類の血糖降下薬は、他の血糖降下薬と比較して、心血管に有益であるという利点がある。しかし、従来技術におけるSGLT-2阻害剤化合物は、生物活性、薬効の持続時間、安全性などの面で依然として満足のいくものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、治療効果が高く、安全性が高く、薬効の持続時間が長く、患者への投薬回数が少ないSGLT-2阻害剤化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、下記の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩であるグリコシド系誘導体を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
或いは、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したヘテロシクリル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、及び/又は前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
、R、R、R10は独立して、水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択され、
前記R11、R11aは独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0013】
さらに好ましくは、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0014】
本発明において好ましくは、前記Aは酸素原子又は-CH-である。
【0015】
本発明において好ましくは、前記Bは酸素原子である。
【0016】
本発明において好ましくは、前記R、R、R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C2~C16アルコキシアルコキシ基、C3~C6シクロアルキル基、C6~C12アリール基、C2~C12ヘテロアリール基、-O-C6~C12アリール基、-O-C2~C12ヘテロアリール基、-OCH-C6~C12アリール基、-OCH-C2~C12ヘテロアリール基、-O-C2~C6ヘテロシクリル基、-OCH-C2~C6ヘテロシクリル基、C1~C6エステル基、-NR1111a、ならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択される。
【0017】
ここで、前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、さらに好ましくは水素原子又はC1~C6アルキル基である。本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記R11、R11aは独立して、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル及びイソヘキシル基からなる群より選択される。
【0018】
さらに好ましくは、前記R、R、R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素、塩素、臭素、-CN、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、n-プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、フェノキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、ベンジルオキシ基、-OCH-ピリジル基、-OCH-ピリミジニル基、-OCH-ピロリル基、-OCH-チエニル基、-OCH-フラニル基、-OCH-オキサゾリル基、-OCH-チアゾリル基、-OCH-イミダゾリル基、-OCH-トリアゾリル基、メチルエステル基、エチルエステル基、イソプロピル基エステル基、スルホン酸エステル基、アミノ基、ヘキサヒドロピリジル基、ヘキサヒドロピラジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロピロリル基及びテトラヒドロオキサゾリル基からなる群より選択される。
【0019】
本発明において、上記基の1つ又は複数の水素原子は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0020】
さらに好ましくは、前記置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及びニトロ基からなる群より選択される。
【0021】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記フェノキシ基は、具体的には、
【0022】
【化2】
などである。
【0023】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-O-C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0024】
【化3】
などである。
【0025】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-OCH-C6~C12アリール基は、具体的には、PhCHO-、
【0026】
【化4】
などである。
【0027】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-OCH-C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0028】
【化5】
などである。
【0029】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C6~C12アリール基は、具体的には、フェニル基、p-メチルフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-クロロフェニル基、m-メトキシフェニル基、又は
【0030】
【化6】
などである。
【0031】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0032】
【化7】
などである。
【0033】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6アルキル基は、具体的には、-CF、CHF、CHFなどである。
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6アルコキシ基は、具体的には、-OCHF、-OCFなどである。
【0035】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C2~C16アルコキシアルコキシ基は、具体的には、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、n-プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシなどである。
【0036】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-O-C2~C6ヘテロシクリル基は、具体的には、
【0037】
【化8】
などである。
【0038】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6エステル基は、具体的には、
【0039】
【化9】
などである。
【0040】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-NR1111aは、具体的には、アミノ基、
【0041】
【化10】
などである。
【0042】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記N、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基は、具体的には、
【0043】
【化11】
などである。
【0044】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合した、N、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基、C3~C6シクロアルキル基、C6~C12アリール基又はC2~C12ヘテロアリール基を形成する。
【0045】
本発明において好ましくは、前記R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロヘキシル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ヘキサヒドロピリジル基、ヘキサヒドロピラジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロピロリル基、テトラヒドロオキサゾリル基又はジオキサンを形成する。
【0046】
前記ジオキサンは、好ましくは1,4-ジオキサン、即ちジオキサン基である。
【0047】
本発明において好ましくは、前記R、R、R、R10は独立して水素、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC1~C6アルキルチオ基からなる群より選択される。
【0048】
さらに好ましくは、前記R、R、R、R10は独立して、水素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基及びn-ヘキシルチオ基からなる群より選択される。
【0049】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記グリコシド系誘導体は、下記の式I-aで表される化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【0050】
【化12】
式中、R、R、R、R、R、R、R10の定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0051】
好ましくは、R10はヒドロキシメチル基又はメチルチオ基である。
【0052】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記グリコシド系誘導体は、下記の式IIで表される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0053】
【化13】
式中、Aは酸素原子、-(CH-又は-NH-であり、mは1、2又は3であり、
Bは酸素原子又は硫黄原子であり、
、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択され、
10は水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択され、
前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、
ここで、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0054】
さらに好ましくは、前記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-O-アリール基、-O-ヘテロアリール基、-OCH-アリール基、-OCH-ヘテロアリール基、-O-ヘテロシクリル基、-OCH-ヘテロシクリル基、エステル基、-NR1111a、ヘテロシクリル基、アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0055】
本発明において好ましくは、前記Aは酸素原子又は-CH-である。
【0056】
本発明において好ましくは、前記Bは酸素原子である。
【0057】
本発明において好ましくは、前記R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C2~C16アルコキシアルコキシ基、C3~C6シクロアルキル基、C6~C12アリール基、C2~C12ヘテロアリール基、-O-C6~C12アリール基、-O-C2~C12ヘテロアリール基、-OCH-C6~C12アリール基、-OCH-C2~C12ヘテロアリール基、-O-C2~C6ヘテロシクリル基、-OCH-C2~C6ヘテロシクリル基、C1~C6エステル基又は-NR1111aならびにN、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含有する3~14員のヘテロシクリル基からなる群より選択される。
【0058】
ここで、前記R11、R11aは独立して水素原子及びアルキル基からなる群より選択され、さらに好ましくは水素原子又はC1~C6アルキル基である。本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記R11、R11aは独立して、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、又はイソヘキシル基などから選択される。
【0059】
さらに好ましくは、前記R、R、R、Rは独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、-CN、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、およびC2~C16アルコキシアルコキシ基からなる群より選択される。
【0060】
さらに好ましくは、前記RはC1~C3アルキル基及びC1~C3アルコキシ基からなる群より選択され、
、R、Rは水素である。
【0061】
前記C1~C3アルキル基、C1~C3アルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0062】
さらに好ましくは、前記R、R、R、Rは、独立して、水素、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素、塩素、臭素、-CN、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、n-プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、フェノキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、ベンジルオキシ基、-OCH-ピリジル基、-OCH-ピリミジニル基、-OCH-ピロリル基、-OCH-チエニル基、-OCH-フラニル基、-OCH-オキサゾリル基、-OCH-チアゾリル基、-OCH-イミダゾリル基、-OCH-トリアゾリル基、メチルエステル基、エチルエステル基、イソプロピル基エステル基、スルホン酸エステル基、アミノ基、ヘキサヒドロピリジル基、ヘキサヒドロピラジニル基、モルホリニル基、テトラヒドロピロリル基及びテトラヒドロオキサゾリル基からなる群より選択される。
【0063】
本発明において、上記基の1つ又は複数の水素原子は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0064】
さらに好ましくは、前記置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及びニトロ基からなる群より選択される。
【0065】
本発明の幾つかの実施形態において、
Aは-(CH)-又は酸素原子であり、
Bは酸素原子であり、
及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合した5~6員のヘテロシクリル基を形成するか、又はベンゼン環に縮合したシクロブタニル基を形成し、前記5~6員のヘテロシクリル基は、O及びSから選択された1又は2個のヘテロ原子を含む5~6員のヘテロシクリル基であり、
は、CH(CH-、CH(CHO-及びハロゲンからなる群より選択され、nは0、1、2及び3から選択され、
は水素であり、
或いは、R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10は、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基からなる群より選択される。
【0066】
本発明の他の実施形態では、
Aは-(CH)-又は酸素原子であり、
Bは酸素原子であり、
及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合した5~6員のヘテロシクリル基を形成するか、又はベンゼン環に縮合したシクロブタニル基を形成し、前記5~6員のヘテロシクリル基は、1又は2個の酸素原子を含む5~6員のヘテロシクリル基であり、
は、CH(CH-、CH(CHO-及びハロゲンからなる群より選択され、nは0、1、2及び3から選択され、
は水素であり、
或いは、R及びRは一緒になって、ベンゼン環に縮合したシクロペンチル基又はオキサシクロペンチル基を形成し、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10は、ヒドロキシメチル基、メトキシ基及びメチルチオ基からなる群より選択される。
【0067】
本発明の幾つかの実施形態において、
Aは酸素原子であり、
Bは酸素原子であり、
はC1~C3アルコキシ基からなる群より選択され、
は水素であり、
はハロゲンから選択され、好ましくはフッ素、塩素又は臭素であり、
は水素であり、
及びRは水素であり、
、R及びRはヒドロキシ基であり、
10はヒドロキシアルキル基から選択され、好ましくはヒドロキシメチル基である。
【0068】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記フェノキシ基は、具体的には、
【0069】
【化14】
などである。
【0070】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-O-C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0071】
【化15】
などである。
【0072】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-OCH-C6~C12アリール基は、具体的には、PhCHO-、
【0073】
【化16】
などである。
【0074】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-OCH-C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0075】
【化17】
などである。
【0076】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C6~C12アリール基は、具体的には、フェニル基、p-メチルフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-クロロフェニル基、m-メトキシフェニル基、又は
【0077】
【化18】
などである。
【0078】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C2~C12ヘテロアリール基は、具体的には、
【0079】
【化19】
などである。
【0080】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6アルキル基は、具体的には、-CF、CHF、CHFなどである。
【0081】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6アルコキシ基は、具体的には、-OCHF、-OCFなどである。
【0082】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C2~C16アルコキシアルコキシ基は、具体的には、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、n-プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシなどである。
【0083】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-O-C2~C6ヘテロシクリル基は、具体的には、
【0084】
【化20】
などである。
【0085】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記C1~C6エステル基は、具体的には、
【0086】
【化21】
などである。
【0087】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記-NR1111aは、具体的には、アミノ基、
【0088】
【化22】
などである。
【0089】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、N、O、S、SO及び/又はSOから選択された1~4個のヘテロ原子を含む上記の3~14員のヘテロシクリル基は、具体的には、
【0090】
【化23】
などである。
【0091】
本発明において好ましくは、前記R10は、水素、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基及びC1~C6アルキルチオ基からなる群より選択される。
【0092】
さらに好ましくは、R10は、水素、ヒドロキシ基、C1~C3アルキル基、C1~C3アルコキシ基及びC1~C3アルキルチオ基からなる群より選択される。
【0093】
前記C1~C3アルキル基、C1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキルチオ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0094】
さらに好ましくは、前記R10は、水素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、およびn-ヘキシルチオ基からなる群より選択される。
【0095】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記グリコシド系誘導体は、以下の構造のいずれかを有する化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記グリコシド系誘導体は、以下の構造のいずれかを有する化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【0100】
【化27】
【0101】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、前記グリコシド系誘導体は、以下の構造を有する化合物又はその薬学的に許容される塩:
【0102】
【化28】
【0103】
本発明の第2の目的は、下記の式IIIで表される化合物から脱保護反応を経て、下記の式I-aで表される化合物を製造することを含む、上記グリコシド系誘導体の製造方法を提供することである。
【0104】
【化29】
式中、前記A、B、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0105】
10はヒドロキシメチル基である。
【0106】
12は、アルキル基(アルキル基は、一例として、C1~C6アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、又はイソヘキシル基を例示することができる)、TMS-(トリメチルシリル基)、Bn-(ベンジル基)、ホルミル基、Ac-(アセチル基)、THP-(テトラヒドロピラニル基)、MOM-(メトキシメチル基)、又はTBDMS-(t-ブチルジメチルシリル基)である。
【0107】
12がTMS-又はTBDMS-である場合、脱保護試薬は、一例として、TBAFである。一例としては、R12がBn-である場合、脱保護反応の条件はH/Pd-C、H/Pt-C、又はH/Pd(OH)-Cなどである。一例としては、R12がAc-である場合、脱保護反応の条件は強塩基条件(例えば、水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液など)又は強酸条件である。一例としては、R12がTHP-又はMOM-である場合、脱保護反応の条件は酸性条件(例えば、塩酸水溶液、塩化水素酢酸エチル溶液(HCl(g)/EtOAc)、塩化水素メタノール溶液(HCl(g)/CHOH)、塩化水素エタノール溶液(HCl(g)/EtOH)、又は塩化水素ジオキサン溶液(HCl(g)/ジオキサン))である。一例としては、R12がメチル基などである場合、脱保護試薬は濃塩酸、臭化水素酸、濃硫酸又は三臭化ホウ素である。
【0108】
上記製造方法において、好ましい実施態様として、前記式IIIで表される化合物は、式IVで表される化合物から製造される。
【0109】
【化30】
ここで、前記A、B、R、R、R、R、R、R、R12の定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0110】
例示的には、式IVで表される化合物から式IIIで表される化合物を製造するための反応条件はBF.EtOである。
【0111】
上記製造方法において、好ましい実施態様として、前記式IVで表される化合物は、式Vで表される化合物と式VIで表される化合物と反応させることにより製造される。
【0112】
【化31】
ここで、前記A、B、R、R、R、R、R、R、R12の定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0113】
13は、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-OMs、-OTs、-OTfである。
【0114】
式Vで表される化合物及び式VIで表される化合物から式IVで表される化合物を製造するための反応試薬は、一例として、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、又はn-BuLi(N-ブチルリチウム)などである。
【0115】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記グリコシド系誘導体の反応経路は以下の通りである:
【0116】
【化32】
【0117】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記グリコシド系誘導体の反応経路は以下の通りである:
【0118】
【化33】
【0119】
本発明は、上記グリコシド系誘導体の別の製造方法であって、下記の式VIIで表される化合物から硫化反応、脱保護反応を経て、下記の式I-aで表される化合物を製造することを含む、製造方法を提供する。
【0120】
【化34】
ここで、前記A、B、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0121】
10はメチルチオ基である。
【0122】
好ましくは、BはO原子である。
【0123】
12は、アルキル基(アルキル基は、一例として、C1~C6アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、又はイソヘキシル基を例示することができる)、TMS-(トリメチルシリル基)、Bn-(ベンジル基)、ホルミル基、Ac-(アセチル基)、THP-(テトラヒドロピラニル基)、MOM-(メトキシメチル基)、又はTBDMS-(t-ブチルジメチルシリル基)である。
【0124】
例示的には、前記硫化反応における硫化試薬はチオ尿素である。
【0125】
例示的には、R12がTMS-又はTBDMS-である場合、脱保護試薬はTBAFである。R12がBn-である場合、脱保護反応の条件は、一例として、H/Pd-C、H/Pt-C、又はH/Pd(OH)-Cなどである。R12がAc-である場合、一例として、脱保護反応の条件は強塩基条件(例えば、水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液など)又は強酸条件である。R12がTHP-又はMOM-である場合、一例として、脱保護反応の条件は酸性条件(例えば、塩酸水溶液、塩化水素酢酸エチル溶液(HCl(g)/EtOAc)、塩化水素メタノール溶液(HCl(g)/CHOH)、塩化水素エタノール溶液(HCl(g)/EtOH)、又は塩化水素ジオキサン溶液(HCl(g)/ジオキサン))である。R12がメチル基などである場合、一例として、脱保護試薬は濃塩酸、臭化水素酸、濃硫酸又は三臭化ホウ素である。
【0126】
上記製造方法において、好ましい実施態様として、前記式VIIで表される化合物は、式VIIIで表される化合物から製造される。
【0127】
【化35】
ここで、前記A、B、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0128】
例示的には、式VIIIで表される化合物から式VIIで表される化合物を製造するための反応条件は、ACO、DMAP、TEAである。
【0129】
上記製造方法において、好ましい実施態様として、前記式VIIIで表される化合物は、下記の式IXで表される化合物から製造される。
【0130】
【化36】
ここで、前記A、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0131】
例示的には、前記式IXで表される化合物から式VIIIの化合物を製造するための条件は、AcOH、HOである。
【0132】
上記製造方法において、好ましい実施態様として、前記式IXで表される化合物は、下記の式Vで表される化合物と下記の式Xで表される化合物と反応させた後、還元反応を経て製造される。
【0133】
【化37】
ここで、前記A、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0134】
13は、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-OMs、-OTs、-OTfである。
【0135】
例示的には、式Vで表される化合物と式Xで表される化合物との反応に用いられる触媒はt-BuMgClである。
【0136】
例示的には、上記還元反応の条件は、CeCl、NaBHである。
【0137】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記グリコシド系誘導体の反応経路は以下の通りである:
【0138】
【化38】
【0139】
本発明の第3の目的は、下記の式IVで表される構造を有する中間体化合物又はその塩を提供することである:
【0140】
【化39】
式中、前記A、B、R、R、R、R、R、R、R12の定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0141】
また、本発明は、下記の式IXで表される構造を有する別の中間体化合物又はその塩を提供する:
【0142】
【化40】
式中、前記A、R、R、R、R、R、Rの定義は上記と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0143】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、上記中間体は、以下の構造のいずれかを有する:
【0144】
【化41】
【0145】
本発明の第4の目的は、上記グリコシド系誘導体又は上記製造方法により製造されたグリコシド系誘導体と、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤、媒体又はそれらの組み合わせとを含む医薬組成物を提供することである。
【0146】
本発明において、前記担体、賦形剤、希釈剤、補助剤、媒体の種類は、特に限定されず、例えば当業者に周知の適用可能な担体、賦形剤、希釈剤、補助剤、媒体を挙げることができる。
【0147】
本発明の第5の目的は、糖尿病及びその合併症を予防、治療又は軽減するための医薬品の製造における上記グリコシド系誘導体、又は上記製造方法により製造されたグリコシド系誘導体、又は上記医薬組成物の応用を提供することである。
【0148】
本発明において、上記糖尿病は、I型糖尿病及びII型糖尿病から選択され得、好ましくはII型糖尿病である。
【0149】
上記合併症は、好ましくはII型糖尿病による心血管疾患である。
【0150】
本発明で提供される上記グリコシド系誘導体、又は上記製造方法により製造されたグリコシド系誘導体、又は上記医薬組成物は、II型糖尿病の成人患者における血糖コントロールを改善するか、又は心血管を保護するために使用することができ、低血糖のリスクを引き起こすことなく、迅速かつ安全に血糖を低下させることができる。
【0151】
本発明において、上記グリコシド系誘導体は、糖尿病及びその合併症を予防、治療又は軽減するための他の薬物と併用することができる。
【0152】
本発明の第6の目的は、上記グリコシド系誘導体、又は上記製造方法により製造されたグリコシド系誘導体、又は上記医薬組成物を生体試料又は患者に接触させることを含む、糖尿病及びその合併症を予防、治療又は軽減するための方法を提供することである。特定の一態様では、糖尿病及びその合併症を予防、治療又は軽減するための前記方法は、本発明に係るグリコシド系誘導体、又は上記製造方法により製造されたグリコシド系誘導体、又は上記医薬組成物を、それを必要とする患者に適用することを含む。
【0153】
従来技術と比較して、本発明は、式Iで表される構造を有するグリコシド系誘導体又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【発明の効果】
【0154】
従来技術と比較して、本発明は、以下のような技術的効果を有する。
1.本発明は、II型糖尿病に対して治療効果を有する新規グリコシド系誘導体を提供する。従来技術と比較して、本発明によるグリコシド系誘導体では、高用量、中用量、低用量のいずれかの量で使用される場合にも、II型糖尿病に対して優れた治療効果を有する。
【0155】
2.本発明によるグリコシド系誘導体の製造方法では、安価で入手しやすい化工製品を出発原料として採用され、しかも各工程の合成収率が高いため、生産コストが低く、工業生産により適している。
【発明を実施するための形態】
【0156】
用語:
特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲を包含する本出願で使用される用語は、以下のように定義される。明細書及び添付の特許請求の範囲において、特に断りがない限り、数字で修飾されていない名詞は、一般に複数のものを指す場合があることに留意されたい。特に明記しない限り、質量分析や核磁気、HPLCなどの生化学及び薬理学に慣用されている方法が使用される。
【0157】
本明細書で使用される用語「アルキル基」は、所定の炭素数を有する分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意図している。例えば、「C1~C6アルキル基」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基の例としては、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(例えば、n-プロピル基及びイソプロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基)及びペンチル基(例えば、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルキル基はC1~C6アルキル基であり、より好ましいアルキル基はC1~C4アルキル基である。
【0158】
用語「アルコキシ基」又は「アルキルオキシ基」とは、-O-アルキル基を指す。「C1~C6アルコキシ基」(又はアルキルオキシ基)は、C1、C2、C3、C4、C5及びC6アルコキシ基を包含することを意図している。好ましいアルコキシ基はC1~C6アルコキシ基であり、より好ましいアルコキシ基はC1~C4アルコキシ基である。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例えば、n-プロポキシ基及びイソプロポキシ基)及びt-ブトキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「アルキルチオ基」又は「チオアルコキシ基」は、架橋硫黄を介して連結した、所定の数の炭素原子を有する上記で定義したアルキル基を表し、例えばメチル-S-又はエチル-S-である。
【0159】
用語「カルボニル基」とは、炭素と酸素の2つの原子が二重結合によって結合されてなされた有機官能基(C=O)を指す。
【0160】
用語「アリール基」とは、合計5~12個の環員を有する単環式、二環式又は三環式の環式系を指し、前記環式系における少なくとも1つの環は芳香族環であり、かつ前記環式系における各環は3~7個の環構成原子を含む。単環式アリールは、フェニル基を指す。二環式及び二環式以上のアリールは、ナフチル基やアントラセニル基などを指す。また、このアリール二環式環は、ベンゼン環にシクロアルキル基、又はシクロアルケニル基、又はシクロアルキニル基が縮合されているものであってもよい。アリール基はC6~C12アリール基であることが好ましい。本発明の特定の実施形態では、「アリール基」とは、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基及びテトラヒドロナフチル基を含むがこれらに限定されない芳香族環系を指す。用語「アラルキル基」又は「アリールアルキル基」とは、アリール環に結合したアルキル基の残基を指し、非限定的な例としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。縮合されたアリール基は、シクロアルキル式環又は芳香族環上の適切な位置で別の基に結合することができる。例えば、環系から引かれた矢印線は、任意の適切な環原子に連結可能な結合を表す。
【0161】
用語「シクロアルキル基」とは、単環式又は二環式環状アルキル基を指す。単環式環状アルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びノルボルニル基を含むがこれらに限定されないC3~C8環状アルキル基を指す。1-メチルシクロプロピル基及び2-メチルシクロプロピル基などの分岐シクロアルキル基は、「シクロアルキル基」の定義に含まれる。二環式環状アルキル基には、橋かけ環、スピロ環又は縮合環式シクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基はC3~C6シクロアルキル基であることが好ましい。
【0162】
「ハロ」又は「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。「ハロアルキル基」は、所定の炭素数を有し、1つ又は複数のハロゲンで置換された分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意図している。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基及びヘプタクロロプロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキル基の例としては、所定の炭素数を有し、1つ又は複数のフッ素原子で置換された分岐鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意図した「フルオロアルキル基」も挙げられる。
【0163】
「ハロアルコキシ基」又は「ハロアルキルオキシ基」は、架橋酸素を介して結合した、所定の数の炭素原子を有する上記で定義したハロアルキル基を意味する。例えば、「C1~C6ハロアルコキシ基」は、C1、C2、C3、C4、C5及びC6のハロアルコキシ基を包含することを意図している。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基及びペンタフルオロエトキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「ハロアルキルチオ基」又は「チオハロアルコキシ基」は、架橋硫黄を介して結合した、所定の数の炭素原子を有する上記で定義したハロアルキル基を表し、例えばトリフルオロメチル-S-及びペンタフルオロエチル-S-を挙げることができる。
【0164】
用語「ヘテロアリール基」は、安定な3員、4員、5員、6員、又は7員の芳香族単環式環又は芳香族二環式環、或いは7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員又は14員の芳香族多環式複素環を意味し、完全に不飽和、部分的に不飽和であり、かつ炭素原子と、N、O及びSから独立して選択された1、2、3又は4個のヘテロ原子とを含むものである。「ヘテロアリール基」としては、以下の任意の多環式基が挙げられ、これらの多環式基における上記で定義された任意の複素環がベンゼン環に縮合されていて、窒素及び硫黄のヘテロ原子が、任意に酸化されることがある。窒素原子は、置換又は非置換である(即ち、N又はNR(但し、RがH又は定義される別の置換基である)である)。複素環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子でその側基に連結することができる。本明細書に記載されるヘテロシクリル基は、得られる化合物が安定になれば、炭素又は窒素原子上で置換されていてもよい。複素環中の窒素は、任意に四級化されることがある。好ましくは、複素環中のS及びO原子の総数が1を超えると、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。好ましくは、複素環中のS及びO原子の総数は1を超えない。好ましいヘテロアリール基は5~12員のヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル基、アゼチジニル基、アゾシン(azocine)基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾテトラゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンズイミダゾリニル基、カルバゾリル基、4aH-カルバゾリル基、カルボリニル基(carbolinyl)、クロマニル基、クロメニル基、シンノリニル基、デカヒドロキノリニル基、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル基、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラニル基、フラニル基、フラザニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリル基、1H-インダゾリル基、イミダゾピリジル基、インドレニル基(indolenyl)、ジヒドロインドリル基、インドリジニル基、インドリル基、3H-インドリル基、イサチノイル基(isatinoyl)、イソベンゾフラニル基、イソクロマニル基、イソインダゾリル基、イソジヒドロインドリル基、イソインドリル基、イソキノリニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾロピリジル基、イソオキサゾリル基、イソオキサゾロピリジル基、メチレンジオキシフェニル基、モルホリニル基、ジアザナフチル基、オクタヒドロキノリニル基、オキサジアゾリル基、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,5-オキサジアゾリル基、1,3,4-オキサジアゾリル基、オキサゾリジニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピリジル基、オキサゾリジニル基、ペリミジニル基、オキシインドリル基、ピリミジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイル基、フェノキサジニル基、フタラジニル基、ピペラジニル基、ピペリジン基、ピペリジノニル基、4-ピペリジノニル基、ピペロニル基、プテリジニル基、プリニル基、ピラニル基、ピラジニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾロピリジル基、ピラゾリル基、ピリダジニル基、ピリドキサゾリル基、ピリジミダゾリル基、ピリドチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、2-ピロリドニル基、2H-ピロリル基、ピロリル基、キナゾリニル基、キノリニル基、4H-キナジニル基、キノキサリニル基、キヌクリジニル基、テトラゾリル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、6H-1,2,5-チアジアジニル基、1,2,3-チアジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,2,5-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、チアントレニル基、チアゾリル基、チエニル基、チアゾロピリジル基、チエノチアゾリル基、チエノオキサゾリル基、チエノイミダゾリル基、チエニル基、トリアジニル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、1,2,5-トリアゾリル基、1,3,4-トリアゾリル基及びキサンテニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、インドリル基、イソインドリル基、イソジヒドロインドリル基、1H-インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル基、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリニル基、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラニル基、クロマニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノキサリニル基及び1,2,3,4-テトラヒドロ-キナゾリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、ヘテロアリール基は、C2~C12ヘテロアリール基又はC5~C12ヘテロアリール基であることが好ましい。
【0165】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル基」又は「ヘテロシクロアルキル基」は、単環式ヘテロシクロアルキル系、又は二環式ヘテロシクロアルキル系を指す。単環式ヘテロシクロアルキル基は、O、N、S、Pから選択された少なくとも1つを含む、3~8員の飽和又は不飽であるが芳香性ではない環状アルキル系を指す。好ましいヘテロシクロアルキル基は、3~12員のヘテロシクリル基又は3-6員のヘテロシクリル基であり、好ましいヘテロシクリル基は-O-C2-C6ヘテロシクリル基である。
【0166】
本明細書で使用される用語「置換」は、通常の原子価が維持されかつ前記置換が安定な化合物をもたらすという条件で、少なくとも1つの水素原子が非水素基によって置換されることを意味する。
【0167】
任意の変数が化合物の任意の組成又は式に1回以上現れた場合は、毎回出現時のその定義と他のすべての出現時の定義とは無関係である。従って、例えば、ある基が0、1、2又は3個のRで置換されていることが示されている場合、前記基は任意に最大3個のR基で置換されていてもよく、しかも各出現時にRは独立してRとして定義されたものから選択される。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0168】
本明細書で使用される用語「患者」とは、本発明の方法によって治療される生物を指す。そのような生物としては、好ましくは哺乳動物(例えば、マウス、猿/サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)が挙げられるが、これらに限定されず、最も好ましくはヒトを指す。
【0169】
本明細書で使用される用語「有効量」は、例えば、研究者又は臨床医によって求められる組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する薬物又は薬剤(即ち、本発明に係る化合物)の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」は、上記の量を受けていない対応する被検者と比較して、該量によって、疾患、病気若しくは副作用の改善、治療、治癒、予防若しくは軽減、或いは疾患若しくは病気の進行速度の低下を図れる量を意味する。有効量は、1回若しくは複数回の投与、適用又は用量で与えることができ、特定の製剤又は投与経路によって限定されることを意図するものではない。また、この用語は、正常な生理学的機能の増強を図れるその範囲内の有効量を包含する。
【0170】
本明細書で使用される用語「治療」は、病気、疾患、障碍の改善などの任意の効果をもたらすことを包含し、例えば、軽減、減少、調節、改善又は排除であり、或いはその症状の改善である。本明細書で使用されるように、ある化合物又は医薬組成物を投与することにより、疾患、症状又は状況を改善することができ、特にその重症度を改善し、発症を遅らせ、病状の進行を遅らせるか、又は病状の持続時間を短縮することができる。固定的投薬若しくは一時的投薬であれ、継続的投薬若しくは断続的投薬であれ、投薬に関連する状況に起因できるものである。本明細書で使用される用語「予防」とは、疾患又は症状が発生する前に疾患の発生を防止、遮断、排除すること、或いは病気の進行を妨げたり遅らせたりすることを意味する。
【0171】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」とは、特にインビボ又はエクスビボの診断又は治療における適用を図れる、活性剤と不活性担体又は活性担体との組み合わせである組成物を指す。
【0172】
用語「薬用的」又は「薬学的に許容される」は、本明細書では、合理的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応及び/又は他の問題又は合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適した、合理的な利益/リスク比に見合った化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指すために使用される。
【0173】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」、「薬用的可能な担体」は、液体又は固体の填充剤、希釈剤、賦形剤、製造補助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸)又は溶媒封入物質といった薬用的物質、組成物又は媒体を意味し、ある臓器又は体の一部から別の臓器又は体の一部への活性化合物の運搬又は輸送に関するものである。各担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に無害であるという意味で「許容可能」でなければならない。
【0174】
本発明をさらに説明するために、本発明で提供されるグリコシド系誘導体及びその製造方法と応用について、以下に実施例に合わせて詳細に説明する。
【0175】
実施例の調製:
実施例1 化合物1の調製
【0176】
【化42】
【0177】
(1)攪拌条件下で、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルボロン酸(2.30g、12.806mmol、1.3当量)及び5-ブロモ-2-メトキシフェノール(2.00g、9.851mmol、1.00当量)のジクロロメタン(50.00mL)溶液に、Cu(AcO)(1.97g、10.836mmol、1.1当量)及びピリジン(2.34g、29.552mmol、3当量)を加え、室温で、得られた混合物を空気雰囲気下で48時間攪拌した。上記混合物に100mLのHOを加えた。得られた混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(1x100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(5:1)で溶出し、6-(5-ブロモ-2-メトキシフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(1134mg、収率34.14%)を灰白色固体として得た。
【0178】
反応経路は以下の通りである:
【0179】
【化43】
【0180】
(2)窒素保護、攪拌条件下で、6-(5-ブロモ-2-メトキシフェノキシ)-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(100.00mg、0.297mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(1.00mL)溶液に、n-BuLi(0.24mL、0.594mmol、2.00当量)を-78℃の滴下温度下で滴下した。得られた混合物を-78℃、窒素雰囲気下で1時間攪拌した。上記混合物に(3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]オキサン-2-オン(479.26mg、0.890mmol、3.00当量)のテトラヒドロフラン(1.00mL)溶液を-78℃の滴下温度下で滴下した。得られた混合物を-78℃でさらに1時間攪拌した。反応系を室温まで昇温し、反応を室温で飽和NHCl(aq.)でクエンチし、得られた混合物をEA(2×3mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で蒸留して濃縮した。粗生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップに使用した。
【0181】
反応経路は以下の通りである:
【0182】
【化44】
【0183】
(3)窒素保護、攪拌条件下で、(3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-オキシル)-4-メトキシフェニル]オキサン-2-オール(540.00mg、1.00当量)及びTES(157mg)のアセトニトリル(4ml)溶液に、BF-EtOを-30℃の滴下温度下で滴下し、30min反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、反応を室温でKCO(aq)で1hクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配40%~85%、溶出時間10分間および検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。6-[2-メトキシ-5-[(2R,3S,4R,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]オキサン-2-イル]フェノキシ]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(470mg、収率85.9%)を灰白色固体として得た。
【0184】
反応経路は以下の通りである:
【0185】
【化45】
【0186】
(4)6-[2-メトキシ-5-[(2R,3S,4R,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]オキシ-2-イル]フェノキシ]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(500.00mg、1.00当量)及び15%Pd/Cをメタノール溶液中、50℃、水素雰囲気で一晩攪拌した。得られた混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配10%~50%、溶出時間30分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(2S,3R,4R,5S,6R)-2-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-オキシル)-4-メトキシフェニル]-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3,4,5-トリオール(140mg、収率52.0%)を灰白色固体として得た。
【0187】
反応方程式は以下の通りである:
【0188】
【化46】
【0189】
LC-MS: (ES, m/z): [M-1] =419;
1H NMR: (400 MHz, Methanol-d4) δ 7.22 (dd, J= 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.13 - 7.03 (m, 2H), 6.74 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.44 - 6.36 (m, 2H), 4.24 - 4.16 (m, 4H), 4.07 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.88 (dd, J = 12.0, 1.5 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.76 - 3.65 (m, 1H), 3.51 - 3.32 (m, 5H).
【0190】
実施例2 化合物2の調製
(1)THF(15ml)中の6-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(4.40g、1.00当量)及びMg(2.00g、5.00当量)の溶液を50℃窒素雰囲気条件下で攪拌した。得られた混合物を窒素雰囲気下で室温で2h攪拌した。上記混合物に5-ブロモ-2-メチルベンズアルデヒド(3.00g、1.00当量)を滴下し、反応系温度を0℃に保ち、10分以内に滴下を完了した。得られた混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、反応を0℃で氷水混合物でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3x30mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配20%~70%、5分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(5-ブロモ-2-メチルフェニル)(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)メタノール(4.8g、収率69.6%)を灰白色固体として調製した。
【0191】
反応経路は以下の通りである:
【0192】
【化47】
【0193】
(2)(5-ブロモ-2-メチルフェニル)(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)メタノール(4.80g、1.00当量)及びTES(3.4g、2.0当量)をアセトニトリル(80mL)に加えて混合物を形成し、窒素雰囲気下、攪拌の条件下で、上記混合物にBF-EtOを-30℃の滴下温度下で滴下した。得られた混合物を窒素雰囲気下、-30℃で1時間攪拌した。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、反応を-20℃でKCOでクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×70mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相MeOH-水、勾配20%~60%、25分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。6-[(5-ブロモ-2-メチルフェニル)メチル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(3.6g、収率78.0%)を灰白色固体として調製した。
【0194】
反応経路は以下の通りである:
【0195】
【化48】
【0196】
(3)攪拌、窒素保護条件下で、6-[(5-ブロモ-2-メチルフェニル)メチル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサン(3.60g、1.20当量)のテトラヒドロフラン混合物に、n-BuLi(1.2eq)を-78℃の滴下温度下で滴下した。
【0197】
攪拌しながら、窒素保護条件下で、(3aS,5S,6S,6aS)-2,2-ジメチル-5-(モルホリン-4-カルボニル)-テトラヒドロフラン[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール(2.50g、1.00当量)のテトラヒドロフラン(15mL)混合物に、t-BuMgCl(6.1mL)を0℃の滴下温度下で30分間にわたって滴下した。
【0198】
上記で得られた溶液を混合し、-78℃で30min攪拌反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、室温でNHCl(aq.)(5mL)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配15%~60%、溶出時間20分間、検出器UV254の条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(3aR,5S,6R,6aR)-5-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルベンゾイル]-2,2-ジメチル-テトラヒドロフラン[2,3-d][1,3]ジオキシン-6-オール(4.6g、収率95.0%)を灰白色固体として調製した。
【0199】
反応経路は以下の通りである:
【0200】
【化49】
【0201】
(4)窒素保護、攪拌条件下で、(3aR,5S,6R,6aR)-5-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルベンゾイル]-2,2-ジメチル-テトラヒドロフラン[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール(4.60g、1.00当量)及びCeCl・7HO(5.20g、1.30当量)のメタノール(20mL)溶液に、NaBH(0.50g、1.20当量)を加え、-30℃で30min反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、-30℃でHCl(2N)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×40mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配10%~50%、溶出時間10分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(3aR,5R,6S,6aR)-5-[[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル](ヒドロキシ)メチル]-2,2-ジメチル-テトラヒドロフラン[2,3-d][1,3]ジオキシン-6-オール(2.6g、収率56.2%)を灰白色固体として得た。
【0202】
反応経路は以下の通りである:
【0203】
【化50】
【0204】
(5)(3aR,5R,6S,6aR)-5-[[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル](ヒドロキシ)メチル]-2,2-ジメチル-テトラヒドロフラン[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール(2.60g、1.00当量)及びAcOH(20mL)をHO(20mL)中、100℃で4h攪拌反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、反応系を減圧下で濃縮し、得られた濃縮物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配10%~40%、溶出時間15分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(2S,3S,4R,5R)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]オキサン-2,3,4,5-テトラオール(2.25g、収率95.0%)を灰白色固体として得た。
【0205】
反応経路は以下の通りである:
【0206】
【化51】
【0207】
(6)攪拌条件下で、(2S,3S,4R,5R)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]オキサン-2,3,4,5-テトラオール(2.25g、1.00当量)及びAcO(3.55g)のアセトニトリル(20mL)溶液に、TEA(3.52g、6.00当量)及びDMAP(8.00mg、0.01当量)を加え、室温で1.5h攪拌反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相メタノール-水、勾配40%~70%、溶出時間10分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。3,4,5-トリ(アセトキシ)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]オキサン-2-イルアセテート(2.08g、純度64.5%)を灰白色固体として得た。
【0208】
反応経路は以下の通りである:
【0209】
【化52】
【0210】
(7)攪拌条件下で、4,5-ビス(アセトキシ)-2-(カルバモイルチオ)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]オキサン-3-イルアセテート(1.55g、1.00当量)及びDIPEA(1.80g、5.00当量)の1,4-ジオキサンの混合溶液に、CHI(1.20g、3.00当量)を加え、室温で24h反応させた。反応をLCMSにより監視した。反応終了後、反応を室温で氷水混合物でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配50%~70%、溶出時間20分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。4,5-ビス(アセトキシ)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]-2-(メチルチオ)オキシ-3-イルアセテート(1.09g、収率71.8%)を灰白色固体として得た。
【0211】
反応経路は以下の通りである:
【0212】
【化53】
【0213】
(8)攪拌条件下で、THF(4mL)、MeOH(8mL)、水(8mL)の混合溶液に、4,5-ビス(アセトキシ)-6-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]-2-(メチルチオ)オキシ-3-イルアセテート(1.09g、2.00mmol)を加え、室温で1時間反応させ、この混合物を飽和NaHSO(aq.)でpHが2になるように酸性化した。得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を減圧下で蒸留して濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相アセトニトリル-水、勾配10%~50%、溶出時間15分間、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。2-[3-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルメチル)-4-メチルフェニル]-6-(メチルチオ)オキサン-3,4,5-トリオール(520.1mg、収率44.6%)を灰白色固体として得た。
【0214】
反応経路は以下の通りである:
【0215】
【化54】
【0216】
LC-MS: (ES, m/z):[M+23] =441。
1H NMR:(400 MHz, DMSO-d6) δ 7.09 (s, 3H), 6.77 - 6.70 (m, 1H), 6.62 - 6.56 (m, 2H), 5.19 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.08 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.84 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 3.81 (s, 2H), 3.32 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 3.31 - 3.13 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.05 (d, J = 14.1 Hz, 3H).
【0217】
実施例3 化合物3の調製
(1)攪拌条件下で、4-エトキシフェニルボロン酸(5.20g、31.329mmol、1.30当量)及び5-ブロモ-2-クロロフェノール(5.00g、24.102mmol、1.00当量)のジクロロメタン(100mL)の混合溶液に、Cu(AcO)(4.82g、26.512mmol、1.1当量)及びピリジン(5.72g、72.307mmol、1.1当量)を加え、室温で2日間反応させた。水(100mL)で反応をクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相を真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PEで溶出し、4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-エトキシフェノキシ)ベンゼン(1.2g、収率15.20%)を灰白色固体として得た。
【0218】
反応方程式は以下の通りである:
【0219】
【化55】
【0220】
(2)窒素雰囲気、攪拌の条件下で、4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-エトキシフェノキシ)ベンゼン(900.00mg、2.747mmol、1.00当量)のTHF(15.00mL)溶液に、n-BuLi(2.20mL,5.500mmol、2.00当量)を-78℃の滴下温度下で滴下した。1時間後、-78℃の条件下で上記混合物に(3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]オキサン-2-オン(3.70g、6.868mmol、2.50当量)のTHF(5.00mL)溶液を滴下した。反応系を-78℃で1h攪拌反応を続けた。反応系を室温まで昇温し、飽和NHCl(aq.)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(3x100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残留物をC18シリカゲルカラム、移動相FA-水の条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィー精製した。(2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-[4-クロロ-3-(4-エトキシフェノキシ)フェニル]オキサン-2-オール(1.2g、収率55.48%)を灰白色固体として得た。
【0221】
反応経路は以下の通りである:
【0222】
【化56】
【0223】
(3)(2R,3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-6-[(ベンジルオキシ)メチル]-2-[4-クロロ-3-(4-エトキシフェノキシ)フェニル]オキサン-2-オール(1.25g、1.588mmol、1.00当量)のアセトニトリル(20mL)溶液をフラスコに入れ、フラスコを真空引きし、窒素置換を3回行った。そして、反応系を-30℃に冷却し、数分後、-30℃でトリエチルシラン(0.69g、4.763mmol、3.00当量)及びBF-EtO(0.34g、2.381mmol、1.50当量)を加え、反応系を-30℃で1時間攪拌し、そして温度を室温まで自然に上昇させた。反応をKCO(5mL)でクエンチし、混合物をEA(2x200mL)で抽出した。合わせた有機相を減圧下で濃縮した。残留物をC18シリカゲルカラム、移動相FA-水、検出器UV254nmの条件下で逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。(2R,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-[4-クロロ-3-(4-エトキシフェノキシ)フェニル]オキサン(1.2g、収率97.99%)を無色油状として得た。
【0224】
反応経路は以下の通りである:
【0225】
【化57】
【0226】
(4)室温、攪拌の条件下で、(2R,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリ(ベンジルオキシ)-2-[(ベンジルオキシ)メチル]-6-[4-クロロ-3-(4-エトキシフェノキシ)フェニル]オキサン(500.00mg、0.648mmol、1.00当量)のMeOH(50mL)溶液に、Pd/C(150.00mg、1.410mmol、2.17当量)を加えた。水素雰囲気下、この混合物を室温、5atmの圧力下で一晩攪拌した。得られた混合物をろ過、フィルターケーキをMeOHで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を分取液相クロマトグラフィーにより、XBridge Prep OBD C18クロマトカラム(19×250mm、5um)移動相A水(0.05%NHO)、移動相Bアセトニトリル、流速25mL/min、勾配25B~40B、溶出時間12min、UV検出器254nm、11.02のRT1の条件下で精製した。(2R,3R,4R,5S,6R)-2-[4-クロロ-3-(4-エトキシフェノキシ)フェニル]-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3,4,5-トリオール(92mg、収率34.03%)を灰白色固体として得た。
【0227】
反応経路は以下の通りである:
【0228】
【化58】
【0229】
LC-MS 3: (ES, m/z): [M-1]=409
H-NMR 3: 1H NMR (400 MHz, Methanol-d4) δ 7.42 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.2, 1.9 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.89 (s, 4H), 4.11 - 3.95 (m, 3H), 3.85 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.71 - 3.54 (m, 1H), 3.56 - 3.34 (m, 3H), 3.21 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 1.38 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0230】
また、本発明では、同様な方法を採用して以下の化合物を製造した。それらの化合物の構造式及び質量分析データを以下の表に示す。
【0231】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0232】
本発明によるグリコシド系誘導体の薬効を評価するために、以下の生物活性に関する実施例の研究を行った。
【0233】
生物活性に関する実施例:
試験例1-インビトロSGLT2阻害活性
【0234】
SGLT2過剰発現細胞モデルを確立することにより、蛍光グルコース(2-[N-(7-ニトロ-2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-D-グルコース、2-deoxy-1-[(7-nitro-2,1,3-benzoxadiazol-4-yl)amino]-D-glucose、1-NBDG)トレーサー法を使用し、SGLT2を介したグルコース取り込みに対する化合物の影響を調査し、SGLT2阻害活性を有する候補化合物を発見した。
【0235】
1.材料及び方法
(1)材料
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOから構築された人源SGLT2過剰発現細胞株(CHO-SGLT2)を、1640培地(Gibco)と10%の輸入ウシ胎児血清で培養し(Gibco、10270)、1:3で継代し、週3回培養液交換した。蛍光検出細胞培養プレート及び他の培養フラスコはcorning社から購入した。ダパグリフロジン(dapagliflozin)は陽性対照とし、被験化合物は化合物2及び化合物3であった。それらの化合物を適量に秤量し、DMSOで100mMストック溶液を調製し、4℃で暗所で保存した。
【0236】
(2)主な試薬
コリン緩衝液(Choline buffer)の調製:140mM 塩化コリン、5mM KCl、2.5mM CaCl、1mMmgSO、1mM KHPO、10mM HEPES、Tris baseでpH=7.4に調整した。0.22μmの膜でろ過した。
【0237】
ナトリウム塩インキュベーション溶液(Na Sodium buffer)の調製:140mM NaCl、5mM KCl、2.5mM CaCl、1mMmgSO、1mM KHPO、10mM HEPES、Tris baseでpH=7.4に調整した。
【0238】
中性分解液の調製:1% Nonidet P-40、1% デオキシコール酸ナトリウム、40mM KCl、20mM Tris base、pH=7.4に調整した。
【0239】
(3)機器
多機能マイクロプレートリーダーBiotek Synergy2
【0240】
(4)NBDGの細胞への取り込みの検出:
1-NBDG取り込み検出の前に、CHO-SGLT2細胞を消化し、96ウェル細胞培養プレートに細胞数4万/ウェルで播種し、細胞を48時間培養し続けた後、培地を吸引して廃棄し、各ウェルにコリン緩衝液100μlを加え、細胞を37℃で30min飢餓状態にし、コリン緩衝液を廃棄し、100μMの1-NBDGと被験化合物(Compound)を含む新たに調整したナトリウム塩インキュベーション溶液100μlを加え、溶媒DMSOを被験化合物の陰性対照(Control)とし、1-NBDGを含まないナトリウム塩インキュベーション溶液をブランク対照(Blank)とした。1時間培養を続けた後、インキュベーション溶液を吸引し、細胞をコリン緩衝液で3回洗浄し、各ウェルに中性分解液50μlを加え、細胞を氷上で10min分解し、各ウェルの蛍光値を多機能マイクロプレートリーダーEm=485/20nm、Ex=528/20nmで検出した。
【0241】
(5)計算方法及び統計方法
各化合物の固定濃度に対して少なくとも3回の実験を繰り返し、データをmean±SEMとして表した。1-NBDG細胞内取り込み量=蛍光値1-NBDG-蛍光値Blankを計算した。SGLT2グルコース取り込み阻害率(%)=(取り込み量control-取り込み量compound)/取り込み量control×100%を計算した。Graphpad Prismソフトウェアを使用して濃度-阻害率曲線を作成し、IC50値を計算した。
【0242】
2.結果
各化合物について、予備実験結果に従って、ストック溶液を10/20倍で希釈し、いくつかの濃度勾配を設定した(表1参照)。細胞1-NBDG取り込みに対する様々な濃度での化合物の影響は、特定の濃度での各化合物によるSGLT2阻害率として示した(表1)。各化合物の濃度-阻害率曲線(図4)を作成し、陽性対照ダパグリフロジン(dapagliflozin)の最大阻害活性を100%として、各化合物の相対的最大活性(Max%)、化合物のSGLT2阻害のIC50値を算出した(表2)。
【0243】
【表2】
【0244】
【表3-1】
【0245】
以上の結果より、本発明に係る化合物は良好なSGLT2阻害活性を有することが分かった。
【0246】
試験例2 本発明に係る化合物のインビボ活性の評価(正常マウスにおける経口ブドウ糖負荷後の血糖値への影響)
【0247】
1.材料及び方法
(1)動物
北京維通利華実験技術有限公司から購入したICRマウス(雄、18~20g)は、4日間適応的に飼育され、無作為に各群に8匹マウスで正常対照群、陽性対照群、2つの被験化合物群の4群に分けられた。
【0248】
(2)化合物及び用量の設定
本発明に係る化合物2を例として、2mg/kg及び4mg/kgの2つの用量で動物実験を行い、陽性対照薬であるダパグリフロジン(dapagliflozin)の用量を2mg/kgとした。前記ストック溶液を再蒸留水で適切な濃度に希釈した。
【0249】
(3)実験計画
マウスを一晩絶食させ、正常対照群には0.5%DMSOの再蒸留水で胃内投与し(注:ストック溶液はDMSOで調製したもの)、陽性対照群にはダパグリフロジン2mg/kgを胃内投与し、2つの被験化合物群には化合物2をそれぞれ2mg/kg及び4mg/kgで胃内投与した。1時間後、0分時点(空腹)の血を採取し、その後、各群のマウスにそれぞれグルコース(2.0g/kg)溶液を胃内投与した。グルコース投与30分後、60分後及び120分後に採血し、グルコースオキシダーゼ-ペルオキシダーゼ法により血糖値を測定し、血糖曲線下面積を算出した。
【0250】
(4)統計的方法
データをmean±SDで表し、複数群間の比較に一元配置分散分析を採用し、2群間の比較にダネットの検定(Dunnett’s t test)を採用した。Graphpad Prismソフトウェアを使用して統計グラフを作成した。
【0251】
結果を表5と表3に示す。
表5は、正常ICRマウスにおける経口ブドウ糖負荷後の血糖曲線及び血糖曲線下面積に対する化合物2の影響を示すグラフである。***p<0.001,vs.Nor group。
【0252】
【表4】
【0253】
正常対照群(Nor)と比較して、陽性対照薬のダパグリフロジン(dapagliflozin)は、空腹時血糖を低下させただけでなく(P<0.001)、ブドウ糖負荷後の各時点での血糖値を有意に低下させ(P<0.001)、血糖曲線下面積(AUC)を35.2%低下させた(P<0.001)。2mg/kg及び4mg/kgの2つの投与量で投与された被験化合物2は、空腹時血糖を低下させ(P<0.001)、ブドウ糖負荷後の各時点での血糖値を有意に37.4%と低下させ(P<0.001)、血糖曲線下面積(AUC)も有意に42.9%と低下させ(P<0.001)、陽性対照薬のダパグリフロジンよりも優れていた。
【0254】
試験例3 インビボでの抗アロキサン糖尿病モデルマウスにおける本発明に係る化合物の薬効作用に関する研究
【0255】
1.材料及び方法
(1)動物
アロキサン糖尿病マウスを使用した。正常ICRマウス(雄、22~24g)を、正常群、モデル群(con)、陽性対照群、及び4つの投与量の被験化合物群(n=11)に無作為に分けて、アロキサンを注射していないマウスを正常対照群(n=10)とした。
【0256】
(2)被験化合物及び投与量の設定
例になる本発明に係る化合物2に対して、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kgの4つの投用量を設定した。陽性対照薬のダパグリフロジン(dapagliflozin)の投用量を2.0mg/kgとした。
【0257】
(3)実験計画
薬は胃内投与によってマウスに投与された。陽性対照群にダパグリフロジン(2.0mg/kg)を与え、被験群に化合物2をそれぞれ異なる投与量(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)で与えた。
【0258】
単回投与:マウスを3時間絶食させた後に空腹の血(0分)を採取し、その後、各群のマウスに薬をそれぞれ胃内投与し、1時間投与後に、グルコース(2.0mg/kg)溶液をそれぞれ胃内投与した。グルコース投与30分後、60分後、120分後及び180分後に採血し、グルコースオキシダーゼ-ペルオキシダーゼ法により血糖値を測定し、血糖曲線下面積を算出した。
【0259】
連続投与6日目、マウスを絶食させず、それぞれ投与前(0時)、投与1時後、2時後、4時後、8時後及び24時後に採血して血糖値を測定した。
【0260】
連続投与9日目、マウスを1時間絶食させた後にそれぞれ胃内投与し、1時間投与後、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行った。
【0261】
連続投与16日目、マウスを絶食させず、それぞれ1時間投与後に尿を採取して尿糖濃度を測定した。
【0262】
連続投与22日目、マウスを1時間絶食させた後にそれぞれ胃内投与し、1時間投与後に採血して空腹時血糖を測定した。
【0263】
連続投与28日目、マウスを絶食させず、それぞれ1時間投与後に採血してランダム血糖値を測定した。
【0264】
連続投与32日目、マウスを絶食させず、採血して糖化ヘモグロビン(HbA1c)。
【0265】
(4)統計的方法
データをmean±SEM(n=10~11)で表し、複数群間の比較に一元配置分散分析を採用し、2群間の比較にダネットの検定を採用した。Graphpad Prismソフトウェアを使用して統計グラフを作成した。
【0266】
2.結果
(1)化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を単回投与することにより、アロキサン糖尿病マウスにおけるブドウ糖負荷後の血糖値及び血糖曲線下面積(AUC)を有意に低下させることができた。同じの投与量の条件下で、作用の強さは陽性対照薬よりも優れていた。
【0267】
(2)化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を6日間連続投与したことで、アロキサン糖尿病マウスにおける非絶食時の血糖値が有意に低下し(p<0.001又はp<0.01)、血糖曲線下面積(AUC)が減少し、経口ブドウ糖負荷が改善された。ダパグリフロジン(2.0mg/kg)は、血糖降下作用が8時間後に有意に弱まり、24時間後に有意な作用はなくなったが、化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)は8時間から24時間までも良好な血糖降下活性を示した。化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)はダパグリフロジン(2.0mg/kg)と比較して、薬効作用持続時間が陽性対照薬のダパグリフロジンよりも有意に長かった(p<0.05、p<0.01又はp<0.001)。
【0268】
(3)化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を連続複数回投与したことにより、9日目及び22日目に、アロキサン糖尿病マウスの空腹時血糖値を有意に低下させることができた(p<0.001)。化合物2(1.0mg/kg及び2.0mg/kg)は陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)と比較して、血糖値をより顕著に低下させることができ(p<0.01)、その作用の強さが陽性対照薬よりも有意に優れていた。
【0269】
(4)化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を28日間連続投与したことにより、アロキサン糖尿病マウスのランダム血糖値を有意に低下させることができた(p<0.001)。化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)は、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)と比較して、血糖値をより顕著に低下させることができた(p<0.05、p<0.01)。化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を32日間連続投与したことにより、アロキサン糖尿病マウスの糖化血糖タンパク質のレベルを有意に低下させることができた。化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)は、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)と比較して、32日目に糖化ヘモグロビンを有意に低下させることもてき(p<0.05)、その作用の強さが陽性対照薬よりも顕著に優れていた。
【0270】
(5)化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を16日間連続投与したことにより、アロキサン糖尿病マウスの尿糖濃度を有意に増加させることができ、その作用の強さが陽性対照薬よりも優れていた。
【0271】
試験結果を以下の表4~表7に示す。
【0272】
【表5】
【0273】
【表6】
【0274】
【表7】
【0275】
【表8】
【0276】
なお、本発明に係る化合物2(0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を22日間連続投与したことにより、アロキサン糖尿病マウスの体重、食物摂取、飲料水に有意な影響はなく、それが良好な安全性を有することを示した。
【0277】
試験例4 自然発症2型糖尿病db/dbマウスに対する本発明に係る化合物の薬効作用
【0278】
1.材料及び方法
(1)動物
自然発症2型糖尿病db/dbマウス及びその正常対照マウスdb/mマウス(雄、5~6週齢)、db/dbマウスは、ランダム血糖値、空腹時血糖、40分血糖低下率、血中トリグリセリド、血中総コレステロール及び体重に応じて、ランダムにモデル群(con)、陽性対照群及び被験化合物の3つの用量群(n=10)である6つの群に分けられた。
【0279】
(2)化合物及び用量の設定
試験には、例として本発明に係る化合物2を使用し、0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kgの3つの投与量を設定した。陽性対照薬は、ダパグリフロジン(dapagliflozin)の投与量を2.0mg/kgとした。
【0280】
(3)実験計画
マウスに胃内投与によって薬を投与した。陽性対照群にはダパグリフロジン(2.0mg/kg)を与え、3つの化合物2群にはそれぞれ0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kgの化合物2を与えた。
【0281】
マウスを2時間絶食させた0時後に(空腹)血を採取し、その後、各群のマウスにそれぞれ胃内投与し、投与1時後、2時後、4時後、6時後、8時後及び24時後に採血し、グルコースオキシダーゼ-ペルオキシダーゼ法により血糖値を測定し、血糖曲線下面積を算出した。同時に、投与2時後及び4時後に尿を採取して尿糖濃度を測定した。
【0282】
連続投与15日目、マウスを絶食させた前に採血してランダム血糖値を測定し、絶食させて化合物を与えた後2時間後に採血して空腹時血糖を測定した。
【0283】
連続投与22日目、マウスを絶食させて化合物を与えた後2時間後に採血して血糖値、血中トリグリセリド及び総コレステロールを測定した。
【0284】
連続投与28日目、マウスを絶食させず、それぞれ採血してランダム血糖値及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)を測定した。
【0285】
(4)統計的方法
データをmean±SEM(n=10)で表し、複数群間の比較に一元配置分散分析を採用し、2群間の比較にダネットの検定により行った。Graphpad Prismソフトウェアを使用して統計グラフを作成した。
【0286】
2.結果
(1)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を単回投与したことにより、自然発症2型糖尿病db/dbマウスの投与後1時後、2時後、4時後、6時後、8時後及び24時後での空腹時血糖値を有意に低下させ(p<0.001又はp<0.01)、血糖曲線下面積(AUC)を有意に低下させることができた。化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)は、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)と比較して、作用の強さが陽性対照薬(p<0.01又はp<0.001)よりも有意に優れていた。化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を単回投与したことにより、自然発症2型糖尿病db/db糖尿病マウスの血糖値を最大24時間続いて低下させることができ、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)よりも有意に長かった。
【0287】
(2)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を単回投与したことにより、投与2時後にdb/dbマウスの尿糖濃度は増加したが、投与4時後にdb/dbマウスの尿糖濃度は増加しないようになった。化合物2は、陽性対照薬のダパグリフロジンと同じ作用を有することが分かった。
【0288】
(3)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を連続複数回投与したことにより、異なる用量で自然発症2型糖尿病db/dbマウスの空腹時血糖及びランダム血糖値を有意に低下させることができた。同じの投与量の条件下で、化合物2(2.0mg/kg)は、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)よりも、薬効が有意に強かった(p<0.001、p<0.01又はp<0.05)。
【0289】
(4)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を連続投与した22日目に、異なる用量で自然発症2型糖尿病db/db糖尿病マウスの血中トリグリセリド(TG)レベルを有意に低下させることができ、血中コレステロール濃度に影響を及ぼさなかった。本発明に係る化合物2と陽性薬陽性対照薬のダパグリフロジンとの間に差はなかったことが分かった。
【0290】
(5)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を28日間連続投与したことにより、異なる投与量で自然発症2型糖尿病db/db糖尿病マウスの糖化血糖タンパク質レベルを有意に低下させることができた。同じの投与量の条件下で、本発明に係る化合物2(2.0mg/kg)は、陽性対照薬のダパグリフロジン(2.0mg/kg)よりも作用が強かったことが分かった。
【0291】
(6)本発明に係る化合物2(0.5mg/kg、1.0mg/kg及び2.0mg/kg)を連続投与したことにより、自然発症2型糖尿病db/dbマウスの体重、食物摂取及び飲料水に有意な影響はなかった。
【0292】
結果を以下の表8~11に示す。
【0293】
【表9】
【0294】
【表10】
【0295】
【表11】
【0296】
【表12】
【0297】
上記の結果から、本発明に係る化合物2は、自然発症2型糖尿病マウスに対して、陽性対照薬のダパグリフロジンよりも優れた血糖降下持続時間、陽性対照薬よりも強い空腹時血糖低下薬効及びランダム血糖値低下薬効、及び陽性対照薬よりも強い糖化血糖タンパク質レベルの低下効果を有するような特に有利な効果をもっていることが分かった。上記の結果は、本発明に係る化合物が優れた薬効効果と良好な安全性を有することを示した。
【0298】
試験例5 本発明に係る化合物の安全性研究
本発明に係る化合物に対して以下のマウス急性毒性研究を行った。
【0299】
1.試験の目的
本発明に係る化合物2を例として、ダパグリフロジンをマウスに経口投与したことによる急性毒性反応の強さと比較した。
【0300】
2.用量の設定
マウスに化合物2とダパグリフロジンを一括的に3000mg/kgで胃内投与し、化合物2とダパグリフロジンによる急性毒性の違いを比較した。
【0301】
3.指標の検出頻度と検出方法
3.1一般的な状態観察及び死亡率
投与後、ケージのそばで1日1回、7日間連続的に、特に投与後4時間以内に動物を観察し、その毒性の反応症状及び死亡時間を記録した。
【0302】
3.2試験群
マウスは、体重に応じて各群10匹で半分が雄、半分が雌でブランク対照群、ダパグリフロジン群、及び化合物2群という3つの群にランダムに分けられた。投与前日に動物を17時間絶食させて水を禁止せず、各供試品群には対応する供試品を胃内投与し、ブランク対照群には等用量の溶媒を1回胃内投与した。
【0303】
4.実験結果
化合物2群とダパグリフロジン群には3000mg/kgの等用量で供試品溶液をマウスに胃内投与したところ、化合物2群はダパグリフロジン群よりもの毒性が有意に低かった。また、両群における動物の死亡率には大きな性差があり、死亡したのがすべて雄で、雌は死亡しなかった。
【0304】
【表13】
【0305】
上記の実施形態の説明は、本発明の方法及びその要旨を理解するために用いられるものですぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良及び修飾を実行し得、これらの改良及び修飾も本発明の特許請求の範囲の保護範囲内にあることに留意する必要がある。
【国際調査報告】