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▶ バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

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  • 特表-ポリオレフィン解重合用複合触媒 図1A
  • 特表-ポリオレフィン解重合用複合触媒 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ポリオレフィン解重合用複合触媒
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/50 20060101AFI20231201BHJP
   C08J 11/16 20060101ALI20231201BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231201BHJP
【FI】
C08F8/50
C08J11/16 ZAB
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531683
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2021084260
(87)【国際公開番号】W WO2022122596
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,218
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ナギー、サンドール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ダニエル、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、クリストファー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラメージ、デイヴィッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブリタ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ハリナン、ノエル シー.
【テーマコード(参考)】
4F401
4H039
4J100
【Fターム(参考)】
4F401AA02
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA24
4F401AA26
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401CB01
4F401CB14
4F401EA11
4F401EA12
4F401EA17
4F401EA22
4F401EA32
4F401EA48
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4H039CL30
4J100AA02P
4J100CA01
4J100GC29
4J100HA51
4J100HB20
4J100HB36
4J100HB37
4J100HB57
4J100HB61
(57)【要約】
ポリオレフィン系廃棄物を解重合して有用な石油化学製品にするための触媒組成物及び使用方法が記載されている。組成物は、少なくとも1種のゼオライト触媒と、固体無機材料である1種以上の助触媒との複合物である。これらの複合触媒は、熱とともに使用され、供給流の解重合反応速度を速め、存在する可能性のある非ポリオレフィンポリマーの被毒効果を抑制する。これにより、解重合ユニット内の滞留時間が短縮され、より効率的なプロセスが得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを解重合するための複合触媒であって、
a)少なくとも1種のゼオライトと、
b)少なくとも1種の固体無機助触媒と、を含む、複合触媒。
【請求項2】
前記少なくとも1種のゼオライトは、βゼオライト、ゼオライトソコニーモービル-5(ZSM-5)、Yゼオライト、超安定Yゼオライト、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項3】
前記少なくとも1種の固体無機助触媒は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、又は4価金属リン酸塩である、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項4】
前記少なくとも1種の固体無機助触媒は、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、Sr(OH)2、CaO、Al2O3、及びZr(HPO4)2からなる群から選択される、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項5】
Ca(OH)2と、βゼオライト、Yゼオライト又はZSM-5とを含む、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項6】
Zr(HPO4)2と、βゼオライト、Yゼオライト又はZSM-5とを含む、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項7】
前記固体無機助触媒の総量が前記複合触媒の約20~約90重量%である、請求項1に記載の複合触媒。
【請求項8】
ポリマーを解重合する方法であって、
a)約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、ポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒とを加えるステップと、
b)前記ポリオレフィン系供給流を前記複合触媒と反応させて、前記ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種のゼオライトは、βゼオライト、ゼオライトソコニーモービル-5(ZSM-5)、超安定Yゼオライト、Yゼオライト、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の固体無機助触媒は、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、Sr(OH)2、CaO、Al2O3、及びZr(HPO4)2からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複合触媒は、βゼオライトとCa(OH)2とを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複合触媒の存在量は、前記ポリオレフィン系供給流の0重量%超~約20重量%である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリオレフィン系供給流は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組み合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオレフィン系供給流は、少なくとも1種の非ポリオレフィン成分を最大10%有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種の非ポリオレフィン成分は、高酸素含有量、窒素含有部分、又はその両方を有するポリマーである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーは、ナイロンポリマー、セルロース、ポリアラミド、ポリウレタン、及びポリビニルポリマーからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリオレフィン系供給流は、ポストコンシューマ廃棄物又はポストインダストリアル廃棄物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の非ポリオレフィン成分は、少なくとも1つの窒素原子を有する顔料である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリオレフィン系供給流は、ポストインダストリアル廃棄物及びポストコンシューマ廃棄物の両方を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
ポリマーを解重合する方法であって、
a)約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、最大10重量%の非ポリオレフィン成分を有するポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒と、を加えるステップと、
b)前記ポリオレフィン系供給流を前記複合触媒と反応させて、前記ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2020年12月7日に出願された米国仮特許出願第63/122,218号の優先権を主張する特許協力条約に基づいて提出されたものであり、当該出願のすべての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
連邦政府が後援する研究報告書
該当なし。
マイクロフィッシュ付録を参照
該当なし。
【技術分野】
【0002】
本願は、有用な石油化学製品を形成するためにポリオレフィンに富むプラスチック廃棄物を解重合するための触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生活水準の向上及び都市化の進展により、ポリマー製品、特にポリオレフィンプラスチックに対する需要が高まっている。ポリオレフィンは、その際立った性能及びコスト特性で、商業的プラスチック用途においてよく使用されている。例えば、ポリエチレン(PE)は、強度が高く、非常に強靭で、耐久性に優れているため、最も広く使用され、認知されているポリオレフィンの1つとなっている。これは、様々な用途のために高度に設計されることを可能にする。同様に、ポリプロピレン(PP)は、機械的に強いが可撓性であり、耐熱性があるとともに、塩基や酸などの多くの化学溶媒に対して耐性がある。そのため、包装やラベル、繊維製品、プラスチック部品、さまざまなタイプの再利用可能な容器など、さまざまな最終用途産業に好適である。
【0004】
ポリオレフィンプラスチックに対する需要の不利な面は、廃棄物の増加である。ポストコンシューマのプラスチック廃棄物は、通常、埋め立てで終わり、約12%が焼却され、約9%がリサイクルに回される。埋立地では、ほとんどのプラスチックは急速に分解せず、埋立地の過度な負担の主な廃棄物源となっている。また、焼却は、二酸化炭素の形成及び他の温室効果ガスの排出を引き起こすため、プラスチック廃棄物を処理する理想的な解決策ではない。そのため、環境に配慮しつつ、埋立地の負担を軽減するためのプラスチック廃棄物のリサイクル方法の開発に関心が集まっている。
【0005】
プラスチック廃棄物のリサイクルの欠点は、商業的に使用可能な製品又は所望の製品をうまく製造することが難しいことである。現在、プラスチック廃棄物のリサイクルには、材料の洗浄や機械的な再加工が含まれている。しかし、得られたペレットは食品残留物や染料、香料で汚染されたままであった。これらの汚染物質は、性能と外観の両方に基づいて、ほとんどの用途に適していない。さらに、特定のポリマーの純粋な流れを得ることが困難であるため、混合プラスチック廃棄物流れは、リサイクル後に所望の特性を有しない可能性がある。
【0006】
最近の進歩は、ポリオレフィンプラスチック廃棄物を燃料源や商業的に重要な原材料などの利用可能な製品に変換することに焦点を当てている。ガス、ガソリン留分、灯油留分、ディーゼル留分、及びワックスの様々な生成物を生成するように、プラスチック廃棄物流れを熱分解してから触媒解重合する方法が開発されてきた。残念なことに、触媒自体はポリオレフィン廃棄物原料に含まれる他の化学物質によって汚染されやすい傾向があり、ポリオレフィン廃棄物を有用な製品クラスに完全に分解するために多くのエネルギーを必要とするため、プロセスは高価で時間がかかることになる。
【0007】
ポリオレフィンのリサイクルが進んでいるにも拘わらず、ポリオレフィンを豊富に含む廃棄物原料を有用な石油化学製品に変換する強固なプロセスの開発が求められている。理想的には、これらのプロセスは、廃棄物原料中に存在する可能性のある他のポリマーや汚染物質による「中毒」を克服する。
【発明の概要】
【0008】
本願は、ポリオレフィン系材料を無酸素条件下で熱分解重合するための新規な組成物及び方法を提供する。本明細書で開示されている組成物は、供給流中に存在する可能性のある非ポリオレフィン成分(NPC)又は非ポリオレフィン成分の分解生成物からのいかなる被毒効果も抑制しつつ、解重合反応速度を速めるための相乗効果を有する複数の触媒の複合物である。具体的には、ゼオライト触媒を少なくとも1種の固体無機助触媒と混合して、強固な解重合複合触媒を形成する。この強固な解重合複合触媒は、その後、解重合ユニット内でポリオレフィン系廃棄物と混合され、熱分解と呼ばれるプロセス中に無酸素条件下で加熱され、有用な石化生成物を迅速に生成する。
【0009】
より詳細には、ゼオライトはポリオレフィン廃棄物の接触分解に用途が見出されている。ゼオライトは、ゼオライトを含まない解重合反応よりも速く(解重合半減期が短い)、通常よりも低い温度で進行するポリオレフィンのカチオン解離を開始する。しかし、ゼオライトの触媒能は、供給流中に存在する可能性のある非ポリオレフィン成分、又は解重合プロセス中に生成される非ポリオレフィン成分の分解生成物によって抑制されることがある。特に、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース及びリグニンなど、窒素や酸素を多く含むポリマーのような非ポリオレフィン成分は、分解生成物を形成し、それによってゼオライトの触媒能を「害する」ことが知られている。代替的には、コンシューマ製品に使用されている窒素含有顔料はゼオライトの触媒能を損なう可能性がある。これらの生成物は、触媒を不活性化するほどではなく、解重合のメカニズムを妨害し、したがって速度を遅くする可能性がある。ゼオライト及び非ポリオレフィン成分の種類及び濃度に応じて、解重合速度は、最大85%以上、又は望ましくない成分のレベルに依存してそれ以上低下することがある。これにより、非ポリオレフィン成分の存在により、ゼオライトを用いたポリオレフィンの解重合のためのエネルギー及び時間が増加する。
【0010】
少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを組み合わせた新規な複合触媒が開示される。この複合触媒は、熱分解反応時に非ポリオレフィン成分がゼオライトに及ぼす影響を解決し、助触媒はゼオライトの触媒能を回復することができる。しかし、供給流中にゼオライト抑制成分や分解生成物が存在しない場合でも、複合触媒の成分は、ポリオレフィンの解重合反応速度を速める相乗効果を有することも見出された。これにより、複合触媒を使用しない場合やゼオライトのみを使用する場合に比べて、より迅速な解重合反応が得られる。その後、液体解重合生成物をそのまま使用してもよいし、代替供給原料として例えばオレフィンクラッカー内でさらに加工してもよい。
【0011】
本明細書に記載の複合触媒及び方法は、ポストインダストリアル廃棄物及びポストコンシューマ廃棄物を含む任意のポリオレフィン材料を処理するために使用することができ、混合ポリオレフィン/非ポリオレフィン流れを含むことができる。埋立地の過度な負担及び廃棄物からの原材料生成の可能性を考慮して、ポストコンシューマポストコンシューマのポリオレフィン廃棄物の処理は特に重要である。本明細書に記載の方法は、廃棄物を埋立地の処理センター又は他のリサイクルセンターで分別した後、ポリオレフィン系材料をガラスや金属などの他のリサイクル可能な材料から分離するためのポストコンシューマ廃棄物の処理に関するものである。しかしながら、これらの非ポリオレフィン成分及び/又はその分解生成物がゼオライトに及ぼす悪影響を抑制する固体無機助触媒の能力により、セルロース(紙)、ポリビニルポリマー、ナイロン等の非ポリオレフィンポリマーを完全に除去する必要はない。
【0012】
本開示は、以下の実施形態の任意の組み合わせのいずれかを含む。
【0013】
ポリマーを解重合するための複合触媒は、少なくとも1種のゼオライトと、少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む。
【0014】
ポリマーを解重合する方法であって、約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、ポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒とを加えるステップと、ポリオレフィン系供給流を複合触媒と反応させて、ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含む。
【0015】
ポリマーを解重合する方法であって、約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、最大10重量%の非ポリオレフィン成分を有するポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒とを加えるステップと、ポリオレフィン系供給流を複合触媒と反応させて、ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含む。
【0016】
ポリマーを解重合する方法であって、約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、ポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒とを加えるステップと、ポリオレフィン系供給流を複合触媒と反応させて、ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含み、ポリオレフィン系供給流の解重合速度が、複合触媒を使用しないときのポリオレフィン系供給流の解重合速度よりも少なくとも10%高い。
【0017】
ポリマーを解重合する方法であって、約200℃~約600℃の温度に加熱された反応器に、最大10重量%の非ポリオレフィン成分を有するポリオレフィン系供給流と、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む複合触媒とを加えるステップと、ポリオレフィン系供給流を複合触媒と反応させて、ポリオレフィン系供給流を解重合するステップと、を含み、ポリオレフィン系供給流の解重合速度が、複合触媒を使用しないポリオレフィン系供給流の解重合速度よりも少なくとも10%高い。
【0018】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、固体無機助触媒は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、ケイ酸塩、又は4価金属リン酸塩である。
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、少なくとも1種の固体無機助触媒は、Ca(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、CaO、Al、及びZr(HPO)からなる群から選択される。
【0019】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、固体無機助触媒の総量が、複合触媒の約20~約90重量%である。
【0020】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、少なくとも1種のゼオライトは、βゼオライト、ゼオライトソコニーモービル-5(ZSM-5)、超安定Yゼオライト、Yゼオライト、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、H-超安定Yゼオライトが使用される。
【0021】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、複合触媒は、βゼオライト、ZSM-5ゼオライト、Yゼオライト、Ca(OH)及びAlを含む。
【0022】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法において、複合触媒はβゼオライト及びCa(OH)を含む。
【0023】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、複合触媒の存在量は、ポリオレフィン系供給流の0重量%超~約20重量%である。
【0024】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、ポリオレフィン系供給流は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせである。
【0025】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、ポリオレフィン系供給流は、最大10%の少なくとも1種の非ポリオレフィン成分を有する。
【0026】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、少なくとも1種の非ポリオレフィン成分は、少なくとも1つの窒素原子を有する顔料である。
【0027】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、少なくとも1種の非ポリオレフィン成分は、高酸素含量、窒素含有部分、又はその両方を有するポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ナイロンポリマー、セルロース、ポリアラミド、ポリウレタン、及びポリビニルポリマーからなる群から選択される。
【0028】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、ポリオレフィン系供給流は、ポストコンシューマ廃棄物又はポストインダストリアル廃棄物である。
【0029】
本明細書に記載のいずれかの組成物又は方法であって、ポリオレフィン系供給流は、ポストインダストリアル廃棄物及びポストコンシューマ廃棄物を含む。
【0030】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を導入するために提供される。本概要は、請求項に係る主題の主要又は基本的な特徴を識別することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を限定するための補助として使用することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】βゼオライト(1A)とZSM-5ゼオライト(1B)とを異なる固体無機助触媒で混合した複合触媒を用いた、3重量%のセルロースを含むHDPE供給流の解重合半減期である。
図1B】βゼオライト(1A)とZSM-5ゼオライト(1B)とを異なる固体無機助触媒で混合した複合触媒を用いた、3重量%のセルロースを含むHDPE供給流の解重合半減期である。 定義
【0032】
本明細書で使用されるように、「滞留時間」は、解重合ユニットにおいて、1バッチ分のポリマー廃棄物を解重合するのに必要な時間を指す。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「解重合半減期」(depolymerization half time)又は「解重合の半減期」(half time of depolymerization)は、TGA熱分解反応中に特定の温度でサンプルの50%質量損失を達成するのに必要な時間を指す。解重合半減期は、大規模な産業用解重合反応器に必要な滞留時間に関係している。
【0034】
本明細書で使用されるように、「熱分解」は、酸素の非存在下で起こる熱分解重合反応を指す。
【0035】
供給流に関して使用される「純粋な」という用語は、100%ポリオレフィンである原料を意味するが、供給物が1種類のポリオレフィンのみを含有することを意味するわけではない。逆に、「純粋な」供給流は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせのようなポリオレフィンの混合物を有することができる。
【0036】
材料、供給物、又は廃棄物流に関して使用される「ポリオレフィン系」及び「ポリオレフィンに富む」という用語は、少なくとも80%がポリオレフィンである混合物を意味するように交換可能に使用される。
【0037】
本明細書で使用されるように、「非ポリオレフィン成分」とは、流れ中に存在するポリオレフィンの解重合を触媒するゼオライトの能力を低下させることができる、ポリオレフィン系原料又は廃棄物流中に存在する材料を意味する。非ポリオレフィン成分の例としては、酸素及び/又は窒素の含有量が高い非ポリオレフィン系重合体が挙げられる。
【0038】
本明細書で使用されるように、「ポストコンシューマ廃棄物」は、材料流の最終消費者によって生成される廃棄物を指す。
【0039】
本明細書で使用されるように、「ポストインダストリアル廃棄物」は、製品の製造プロセス中に生成される廃棄物を指す。
【0040】
本明細書で使用されるように、「供給流」とは、解重合用ポリオレフィン系材料の供給を意味する。解重合ユニットによれば、供給流は、材料の連続供給であってもよいし、材料のバッチであってもよい。供給流は、純粋なポリオレフィンであってもよいし、ポリオレフィンと非ポリオレフィン成分との混合物であってもよい。
【0041】
「廃棄物流」とは、もはや有用ではないとして廃棄された材料を含む供給流のことであり、ポストインダストリアル廃棄物及びポストコンシューマ廃棄物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書で使用されるように、「被毒」及び「触媒被毒」という用語は、処理された供給流中の少なくとも1種の非ポリオレフィン成分がゼオライト触媒を部分的又は完全に不活性化することを意味する。
【0043】
本明細書で使用されるように、「ゼオライト」又は「ゼオライト触媒」という用語は、共有酸素原子を介して互いに四面体配位したケイ素原子とアルミニウム原子のネットワークを含む剛直な構造を有する、天然及び合成の両方の広範なアルミノケイ酸塩結晶固体を指す。このようなリジッドフレームは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、水素、マグネシウム、カルシウム及び水分子のような、カチオンによって占有され得るチャネル又は相互に接続された空隙を含有する。本明細書で使用したゼオライトはシリカ含有率が高く(Si/Al比が5を超える)、ゼオライトの構造骨格が分解時に使用される高温に耐えられるだけでなく、ゼオライト全体の酸性度を高めることができる。本開示におけるゼオライトの多くは、強酸性部位の存在を確実にするためにH型で使用される。
【0044】
ここに記載されているすべての濃度は、特に明記されていない限り、重量%(「wt.%」)で表されている。
【0045】
特許請求の範囲又は明細書において、用語「含む」と組み合わせて使用される場合、「1つ(a)」又は「1つ(an)」の用語の使用は、文脈に別段の規定がない限り、1つ又は複数の語を意味する。
【0046】
「約」という用語は、表示値に測定の誤差限界加えた値または引いた値、又は、10%を加えた値または引いた値を指す。
【0047】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、「および/または」を意味する。ただし、代替案のみを意味することが明示的に示されている場合、または代替案が相互に排他的である場合は、この限りでない。
【0048】
「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」という用語(並びにそれらの変形)は、オープン連結動詞であり、請求項で使用される場合、他の要素の追加を可能にする。
【0049】
「で構成される」というフレーズは閉じ型であり、追加要素はすべて除外される。
【0050】
「本質的に……から構成される」というフレーズは、追加の材料要素を除外するが、本発明の本質を実質的に変更しない非材料要素を含むことを可能にする。
【0051】
本明細書では、以下の略語が使用される。
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示は、ポリオレフィン系材料を商業的に重要な原料にリサイクルするための触媒組成物を提供する。具体的には、少なくとも1種のゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とを混合して、解重合ユニット内でポリオレフィン系供給流を解重合するための複合触媒を形成する。複合触媒の成分は、相乗的に作用して解重合速度を高め、解重合ユニットにおいてポリオレフィン系供給流が費やす時間を短縮させる。解重合速度の改善は、固体無機助触媒の非存在下でゼオライトの触媒活性を低下させる可能性がある供給流中に非ポリオレフィン成分が存在する場合でも起こる。
【0053】
ゼオライトは、ポリオレフィンの熱分解重合などの化学反応を起こすことができる多数の細孔と酸性活性部位を有する開放三次元結晶構造を有する固体酸触媒である。解重合は、ゼオライトの酸性部位に起因する水素移動反応により中間カルベニウムイオンを生成し、その後解凍することにより行われる。本質的にゼオライトは強酸性部位に依存してポリオレフィンを分解する。この分解プロセスはゼオライトの表面から始まる。なぜなら、ポリマーはこれらの固体の内部空隙に入る前に、開口部の大きさが小さいため、より小さな分子に粉砕する必要があるからである。これにより、ポリオレフィンと触媒との接触が増え、解重合速度が速く、解重合ユニット内での滞留時間が短くなる。
【0054】
ゼオライトは、特定の供給流の特性を解決するために、酸性度や空隙サイズを調整する能力を含む、ポリオレフィンを解重合するための多くの利点を有する。加えて、ゼオライトは不均一系触媒であり、解重合生成物からの分離や再利用が容易である。
【0055】
しかしながら、ゼオライト触媒は、窒素含有基および/または高酸素含有量を有するポリマー、および/またはフルフルアルなどのそれらの解重合生成物などの非ポリオレフィン成分の存在下で被毒を受けやすく、触媒活性が低下する。加えて、酸素や窒素の含有量が高い基材の多くは、ゼオライト上にコークス堆積物を形成し、ゼオライトの活性をさらに低下させる可能性がある。リサイクル施設で複数の分離ステップを経ても、ポリオレフィン廃棄物の供給流はほとんど純粋ではなく、非ポリオレフィン成分を少量添加することで、ゼオライトの触媒能が抑制され、解重合速度が85%低下する。
【0056】
本願の組成物及び方法は、少なくとも1種のゼオライトを、ポリオレフィン系供給流中の非ポリオレフィン成分による被毒効果を抑制し、ポリオレフィンを分解するゼオライトの能力を回復する固体無機助触媒と組み合わせることによって、これらの問題を克服する。非ポリオレフィン成分によるゼオライトの抑制を低減及び/又は防止することに加えて、固体無機助触媒は、ゼオライトと予期せぬ相乗効果を発揮して、純粋又は非純粋なポリオレフィン流の解重合速度をゼオライト単独よりも大幅に向上させる。液体助触媒はゼオライト触媒を殺してしますので、助触媒は固体でなければならず、固体のままである必要がある。
【0057】
より詳細には、複合触媒は、少なくとも1種のゼオライトと、少なくとも1種の固体無機助触媒とを含む。複合触媒には、ポリオレフィンの解重合反応を触媒し得るゼオライト触媒を用いることができる。いくつかの実施形態では、複合触媒は、βゼオライト(β)、ゼオライトソコニーモービル-5(ZSM-5)、Yゼオライト(Y)、超安定Yゼオライト(USY)、非晶質酸性AlSiOx、例えばSiral(登録商標)40、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、商業的に入手可能なゼオライトを含む。ゼオライトの組み合わせは、特定のポリオレフィン系原料含有量に対処するのに使用されることができ、又は複合材料に高価なゼオライトのみを使用することに関連するコストを相殺するために使用することができる。
複合触媒における固体無機助触媒は、酸性又は塩基性を有する無機材料であり、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酸化物又は水酸化物であってもよい。前述のように、ゼオライトは強酸性部位に依存してポリオレフィンの解重合を開始する。これにより、酸性の助触媒化合物は、ゼオライトの開始方法に影響を与えることなく助触媒として使用することができる。しかし、意外なことに、ゼオライトの酸性部位を中和したり、ポリオレフィンを分解する能力に影響を与えたりすることなく、塩基性助触媒化合物も使用できることがわかった。Ca(OH)などの塩基は、ポリ塩化ビニルなどの酸含有プラスチック(を解重合する際に反応器を腐食から保護するために使用されている。しかし、それらは解重合反応を触媒するために使用されておらず、ましてやゼオライトと組み合わせて使用されていない。
いくつかの実施形態では、固体無機助触媒は、金属酸化物又は金属水酸化物である。任意の既知の金属酸化物又は金属水酸化物を用いることができ、これには、第2族~第8族及び第11族~第16族の金属を含有する金属酸化物又は金属水酸化物、ランタノイド及びアクチノイドが含まれる。固体無機助触媒の例は、Ca(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、NaOH、KOH、CaO、及びAlを含む。代替的には、4価の金属リン酸塩(M(HPO))、及びリン酸水素塩を用いてもよく、ここで、MはZr、Ti又はSnである。固体無機助触媒の任意の組み合わせを使用することができる。いくつかの実施形態では、複合触媒は、Al及びCa(OH)の両方を有する。
【0058】
複合触媒中の固体無機助触媒の量は、ポリオレフィン原料の含有量、並びに非ポリオレフィン成分の種類(もしあれば)及び供給流中のその量に依存する。いくつかの実施形態では、固体無機助触媒の総量は、複合触媒の約20重量%~約90重量%の間であり、残部はゼオライトの全量である。他の実施形態では、固体無機助触媒の総量は、複合触媒に対して、約20重量%~約60重量%の間、約40重量%~約75重量%の間、約70重量%~約90重量%の間、約50重量%~約75重量%の間である。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態では、複合触媒は、βゼオライトと、Ca(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、CaO、Al、又はZr(HPO)との組み合わせであり、βゼオライトの存在量は複合触媒の約25~約50重量%である。代替的には、複合触媒は、ZSM-5と、Ca(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、CaO、Al、又はZr(HPO)との組み合わせであり、ZSM-5の存在量は、複合触媒の約25~約50重量%である。本開示のさらなる実施形態では、複合触媒は、βゼオライト、ZSM-5又はそれらの組み合わせと、Ca(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、CaO、Al、又はZr(HPO)との混合物を有し、ゼオライトの総量は、複合触媒の約25~約50重量%である。
【0060】
ここまで記載された複合触媒は、単一ポリオレフィン成分又は任意の量のポリオレフィン成分の混合物を含む材料を含む供給流を熱分解又は解重合するために使用され得る。任意のポリオレフィンは、ポリエチレン(高密度及び低密度の両方)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリブテン-1、ポリイソブテン及びこれらのコポリマーを含むがこれらに限定されない供給流中に存在することができる。さらに、供給流は特定の形態に限定されないので、フィルム、発泡体、テキスタイル、又は他の形状の材料を本願の方法で処理することができる。ポリオレフィンは、ポストコンシューマ廃棄物流、ポストインダストリアル廃棄物流、又はこれらの組合せを含む廃棄物流から得ることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、供給流は、ゼオライトの触媒活性を低下させる1種又は複数種の非ポリオレフィン成分をさらに含む。代替的には、供給流は、ゼオライトの触媒活性を低下させる分解生成物を生成する1種又は複数種の非ポリオレフィン成分をさらに含んでいてもよい。多くの化学物質がこのカテゴリーに属しているが、ポリオレフィン系供給流、特に供給流が廃棄物流である場合には、非ポリオレフィン系ポリマーが最も存在する可能性が高い。特に、ポリアラミド、アクリレート、ナイロン、ポリウレタン、セルロース及びポリビニルポリマーなどの窒素又は高酸素含有量の非ポリオレフィン系ポリマーが供給流中に存在していてもよい。これらのポリマーは廃棄物現場でよく見られ、ポリオレフィンと完全に分離するのは難しい。これらのポリマーの多くは、フルフラール、カプロラクタム、種々のアミン、フェノール、エステルなど、ゼオライトの触媒能を低下させる問題のある生成物に分解される。代替的には、窒素含有顔料のような非ポリオレフィン成分は、ポリオレフィン系廃棄物流中に存在することができ、ゼオライトの触媒活性を低下させることができる。
【0062】
ポリオレフィン系供給流は、解重合ユニット内で複合触媒および任意の添加剤と混合され、そこで複合触媒によって触媒される熱解重合反応を受けることになる。解重合ユニットの作動温度は、約200℃~約600℃の間である。代替的には、解重合ユニットの温度は、約225℃~約500℃の間である。別の代替例では、解重合ユニットの温度は、約250℃~約450℃の間であるポリオレフィン系供給流は、供給流の完全な解重合には滞留時間が必要であるので、解重合ユニット内でバッチ処理することができる。各バッチの推定滞留時間は、解重合ユニットの設計に依存して、約30分~約300分になる。代替的には、推定滞留時間は、約60分間である。
【0063】
本方法で使用される複合触媒の量は、解重合ユニットの要件によって制限され得る。複合触媒は、解重合反応中にユニット内のデッドボリュームに寄与する固体である。デッドボリュームが低いほど、解重合可能なポリマーが多くなる。一部の解重合ユニットでは、デッドボリュームの量が20体積%以下に制限されている。したがって、本方法のいくつかの実施形態では、複合触媒の量は、解重合ユニットに対して、20体積%未満、0体積%超~10体積%の間、8体積%超~17体積%、13体積%超~20体積%の間である。いくつかの実施形態では、解重合ユニットは、固体の最小体積(3体積%未満)を許容する。
【0064】
解重合ユニットのタイプに応じて、砂などの任意の添加剤をポリオレフィン系供給流と複合触媒との混合物に添加してもよい。これらの任意の添加剤の一部は、解重合ユニットのデッドボリュームに寄与し、複合触媒の量をさらに制限する可能性がある。一例として、スクリューキルン解重合反応器は熱伝導体として砂を使用するため、複合触媒に利用できるデッドボリュームの量が制限される。
【0065】
いくつかの実施形態では、複合触媒は、バッチ式ポリオレフィン系供給流の20重量%以下の量で存在する。代替的には、複合触媒の量は、バッチ式ポリオレフィン供給流に対して0重量%超~5重量%である。さらに別の態様では、複合触媒は、バッチ式ポリオレフィン供給流の2重量%又は2.5重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、複合触媒の量は、バッチ式ポリオレフィン供給流の10~15重量%である。
【0066】
ここで開示される複合触媒、およびそれらを使用してポリオレフィン系供給流を解重合する方法は、以下の実施例に関して例示される。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲の実施形態を実証するために含まれている。しかしながら、これらは例示的なものに過ぎず、本発明は、非ポリオレフィン成分の有無にかかわらず、ポリオレフィンベースの供給原料と複合触媒との任意の組み合わせに広く適用することができる。当業者は、本明細書の開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更を加えても同様の結果が得られることを理解するはずである。以下の実施例は、添付の特許請求の範囲を限定又は定義するものとして決して理解されるべきではない。
実施例
【0067】
さまざまなポリオレフィン系供給物と複合触媒とを解重合ユニット内で組み合わせて解重合し、前記方法に従って分析することにより、ポリオレフィン系組成物の解重合を触媒する複合触媒の能力を評価する。
【0068】
特に明記されていない限り、解重合ユニットは熱重量分析(TGA)装置である。TGA熱分解反応は、MettlerToledoTGA/DSC3+(MettlerToledo,オハイオ州コロンバス)中で、均一なサンプルを窒素下、10K/minで解重合温度375℃まで加熱し、1時間保持する。この値が60分未満であれば、特定温度での解重合半減期(質量損失が50%に達するまでの時間と定義される)を直接記録するか、一次分解反応速度論の仮定の下でt1/2=0.693/kとする。ただし、kはLn(C/C)を用いて時間プロットでグラフ化した1次速度定数である。
【0069】
解重合半減期は、大規模な解重合ユニットに必要な滞留時間と関係がある。半減期が短いほど、解重合ユニットにおけるポリマー供給バッチの滞留時間が短くなり、解重合速度kが速くなる。
実施例1:助触媒
【0070】
ポストコンシューマポリオレフィン廃棄物の解重合は、ポリオレフィンのみを含む供給流を得ることができないため、複雑になっている。廃棄物が埋立地やリサイクルセンターで複数の分離ステップを経たとしても、一定の量の非ポリオレフィン系ポリマーが廃棄物原料中に残存する可能性がある。非ポリオレフィン系ポリマーは、ポリオレフィンの解重合に一般的に使用されているゼオライトなどの触媒と干渉する。上記のように、アラミド、アクリレート、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルポリマーなどの窒素又は高酸素含有量のポリマーは、ゼオライトの触媒能を「害する」ことが知られている。固体無機助触媒をゼオライトと組み合わせて、混合ポリオレフィン系原料を分解するゼオライトの触媒能力を向上させることができるかどうかを評価するために、最初の一連のサンプルを調製した。
【0071】
高密度ポリエチレン(HDPE)(グレードACP9255、LyondellBasell製品)と、セルロース3重量%(SigmaAldrich)と、酸素含有量の高いポリマーとを含むポリオレフィン系原料混合物を調製した。セルロースは、リサイクル可能な一般的な材料であり、しばしば紙や木材の不純物として都市のプラスチック廃棄物流れに含まれている。セルロースは、酸素含量が高いため、以下の表1に示すように、ゼオライトの触媒能を低下させることができるフルフラールなどの分解生成物を多く生成する。3重量%まで少ないセルロースでも、純粋なHDPE供給流に比べて、解重合半減期が14倍に増加する可能性がある。
【0072】
【表2】
【0073】
そこで、ポリオレフィンの解重合に使用されるゼオライトを、図1A(βゼオライト、CP811E-75)及び図1B(ZSM-5、CBV3014H)のx軸に示すように、各種固形成分と組み合わせて、固体成分が助触媒として作用して、セルロースがゼオライトに対して及ぼす抑制を相殺し、分解プロセスを改善できるか否かを判定した。
【0074】
HAAKMiniCTW複合機において、4.7gのHDPEと0.15gのセルロースと0.2gの複合触媒とを200℃、200RPMで5分間溶融複合することにより、均一なサンプルを調製した。この複合触媒は、0.15gの固体無機助触媒と0.05gのβゼオライト又はZSM-5とを組み合わせたものである。均質なサンプルを窒素下で解重合温度375℃に10K/minで加熱し、1時間保持した。
【0075】
これらの初期反応の結果を図1A-Bと表1に示す。セルロース又は触媒を含まないHDPEの解重合半減期は1733分である。セルロースを添加することにより、解重合半減期は2000分よりも長く増加する。しかし、βゼオライトを添加することにより、解重合半減期はHDPEのみで3分、3重量%のセルロースを含むHDPEで約42分と大幅に減少する。この2つのサンプルの解重合半減期の差は、セルロースがβゼオライトの触媒能を破壊したことによると考えられる。表1には示されていないが、βゼオライトよりも安価な代替物であるZSM-5ゼオライト(CBV3014H)は、HDPEと3重量%セルロースを含むHPDEの解重合半減期を短縮させ、しかし、この低下の程度はβゼオライトで観察されたほど大きくはなかった。
【0076】
βゼオライト及びZSM-5ゼオライトに多数の固体無機成分を添加し、3重量%セルロースを含むポリオレフィン系組成物の重合半減期をさらに低減する助触媒としての可能性を評価した。図1Aに示すように、解重合半減期が最も改善された成分は、Ca(OH)、Al(酸性)、CaO、酸性エロサイト(AlSi(OH))、及び天然非酸性ゼオライトNM-CAである。実際、CaOとCa(OH)は、βゼオライト単独と比較して、解重合半減期をそれぞれ約43%及び71%短縮させた。残りの添加剤は、βゼオライト単独よりも解重合半減期を大きく減少させなかったか(タルク、CaCO)、又は解重合半減期をわずかに変化させただけであった(Al(OH))。
【0077】
図1Bは、ゼオライトとしてZSM-5を用いた第2群の結果を示す。ZSM-5ゼオライトは、βゼオライトのより安価な代替物であるが、図1Bに示すように、ZSM-5を含む複合触媒は、現在のポリオレフィン系供給流の分解速度を同程度増加させない。しかし、いずれの組み合わせも、触媒されていない解重合反応よりも早く解重合が起こった。ZSM-5ゼオライトとCa(OH)の組み合わせは、解重合半減期の改善に最も効果があった。
【0078】
さらに、図1A~1Bは、いくつかの固体無機材料が異なるゼオライトにどのように適しているかを示している。例えば、βゼオライトと組み合わせた場合、CaOは2番目に短い解重合半減期を示したが、ZSM-5と組み合わせた場合、その解重合半減期は5番目に短い。これにより、ZSM-5を用いる場合、Ca(OH)又はAl(OH)を選択することができる。
【0079】
解重合速度を向上させて滞留時間を短縮し、ポリオレフィンのリサイクルコストを低減することが期待される。図1A~Bに示す全ての組成物は、混合ポリマー原料給の無触媒の解重合反応よりもはるかに速い(k値がより高い)ため、コストを削減することができる。さらにコストを節約するために、複合触媒は、上記の工業規模の解重合装置におけるポリオレフィン系廃棄物の滞留時間を大幅に増加させることなく、ベータゼオライトなどのより高価なゼオライトと、ZSM-5ゼオライトまたはゼオライトYなどのより低コストのゼオライトを組み合わせることができ、非ゼオライト助触媒を使用すると、ベータゼオライト自体の能力が向上する。
複合触媒に添加されたすべての成分は、この特定のポリマー原料の解重合を改善したが、一部の潜在的な助触媒は、他の成分よりも解重合半減期を大幅に減少させることが明らかになった。この実施例の目的のために、βゼオライトと比較して解重合半減期を約5%以上減少させる成分は、本ポリマー原料混合物の「助触媒」とみなされ、後の実施例で最適化される。しかしながら、異なる「毒」を有する異なるポリマー原料混合物の使用は、図1Aの一部又はすべての代替成分により、解重合半減期を5%以上減少させることができる。
【0080】
また、図1A~Bと同様の構成要素には同一の符号を付している。本実施例に含まれない場合であっても、解重合速度を増加させることが期待される。例えば、石灰としても知られるCa(OH)は、入手が最も容易な金属水酸化物であるので、本実施例のために選択される。但し、KOH、Mg(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)等の他の金属水酸化物も助触媒として用いることができる。しかし、現在のポリオレフィン系原料では、これらのすべての類似化合物は、Ca(OH)ほど解重合速度を向上させない可能性がある。具体的には、表19に示すポストコンシューマ廃棄物流のように、同じ廃棄物原料に対して同じ活性を持たない可能性がある。
【0081】
別の例として、KOHはセルロースを含む原料を解重合するのに適した助触媒ではない。セルロースが分解されると水が発生し、KOHが加水分解されて解重合ユニットでスラッシュとなり、ゼオライトが不活性する。しかし、KOHは、水を生成する材料の代わりに、非ポリオレフィン材料を含むポリオレフィン系原料の助触媒として使用することができる。例えば、ナイロンは水を作らない。
【0082】
ポリオレフィンの種類が複合触媒の性能に影響を与えることはないと予想される。表2に、ZSM-5ゼオライトとCa(OH)からなる複合触媒とセルロースを混合したLDPE(NA214グレード、LyondellBasell製品)の解重合結果を示す。前述したように、複合触媒は、複合物のいずれかの成分単独よりも、解重合半減期を大幅に改善する。
【0083】
【表3】
【0084】
表1~2と図1A~Bの結果に基づき、固体無機助触媒として、CaO、Ca(OH)及び/又はAlからなる複合触媒を用いてゼオライトと共にさらに評価した。これらの評価結果を以下の実施例2及び3に示す。
実施例2:セルロース濃度の影響
【0085】
この実施例では、さまざまな量のCa(OH)及び/又はAlを含むβゼオライトを含む複合触媒による、さまざまな量のセルロースを含むポリオレフィン系組成物の解重合性を評価するための組成物を調製した。
【0086】
前述したように、解重合ユニットとしてTGAを使用してさまざまなサンプルを処理し、1%βゼオライトを添加した複合触媒とHDPEおよびセルロース組成物を200℃および200RPMのHAAKMiniCTW複合機内にて投入して5分間溶融複合することによってサンプルを調製した。サンプルを窒素下で解重合温度375℃に10K/minで加熱し、1時間保持した。
【0087】
組成物とその解重合半減期を表3に示す。
【表4】
【0088】
表3の結果から、各複合触媒は解重合半減期を短縮させることができたが、解重合半減期はセルロース量の増加によって確実に増加し、反応速度が低下した。予想外なことに、Alを含む複合触媒は、Ca(OH)を含む複合触媒よりも、濃度を高くしたときの性能が優れている。Ca(OH)を含む複合触媒は、解重合半減期が長いだけでなく、Ca(OH)の濃度が高くなるにつれて解重合半減期の差が3重量%のセルロースに対して約10%である。対照的に、Alを含む複合触媒は、解重合半減期が短く(0.15gで63分、Ca(OH)0.15gで81分)、高濃度で半減期が減少した。Alの量を0.5gに増加させた場合、解重合半減期の変化は3重量%セルロースに対して約50%である。
【0089】
6重量%のセルロースに対して解重合半減時間は同じ範囲のAl濃度では約55%減少した一方、7重量%のセルロースを含むポリオレフィンベースの原料の場合、解重合半減時間は、同じ範囲のAl濃度では約45%減少した。
【0090】
複合触媒において、Ca(OH)とAlの組み合わせを用いることにより、βゼオライトAlのみを含む複合触媒よりも確実に解重合半減期が改善される。
【0091】
もう1つの驚くべき結果は、HDPEのみの流れの解重合半減期の改善である。2種類の固体無機助触媒はいずれもβゼオライトと相乗効果があり、複合触媒はHDPEのみの原料の解重合半減期を3分(βゼオライトのみを触媒とする)から1~2分に短縮した。これは予想外であり、固体無機助触媒がポリマー溶融物中のβゼオライトを「見る」ことができなかったため、すべての複合触媒成分が互いに干渉することなく動作するようになった。
【0092】
選択した活性アルミナ含有複合触媒も400℃の温度で評価されたこれらの組成物及びこれらの上昇温度での解重合半減期を表4に示す。前述したように、活性アルミナの量を増やすことにより、活性アルミナなしの反応に比べて解重合半減期が短縮され、反応が1.7倍から2.7倍加速された。
【0093】
【表5】
【0094】
これにより、Ca(OH)及び/又はAlのいずれも、セルロースが存在するポリオレフィンの解重合速度を高めて解重合反応を向上させることができる。特にAlは、ある温度範囲で反応を改善できることを示している。
実施例3:H-USYゼオライト
【0095】
実施例1及び2は、複合触媒に用いられる各種β及びZSM-5ゼオライトの使用に焦点を当てている。この実施形例では、複合触媒は、異なる量の異なるゼオライトH-USY及びCaOを用いて調製される。組成物とその解重合半減期を表5に示す。
【0096】
【表6】
【0097】
セルロースが存在する場合、H-USY及びCaO自体は、解重合半減期をそれぞれ1.6倍及び1.2倍短縮させた。しかし、H-USYとCaOを複合触媒として組み合わせることで、HDPEとセルロースとの非触媒反応に比べて解重合反応が2倍に加速した。
実施例4:ナイロン
【0098】
複合触媒は、ポリオレフィンとセルロース等の高酸素含有ポリマーとを混合した場合に良好な性能を発揮する。この実施例では、ポリオレフィン系原料に窒素含有ポリマーであるナイロン12を添加した場合の複合触媒の性能を評価した。ポリオレフィン系原料には、ナイロン12(Sigma-Aldrich)とLDPE中のセルロース(NA214グレード、LyondellBasell製品)がそれぞれ0.1gずつ含まれている。
【0099】
本願の実施形態における複合触媒は、異なる量のZSM-5ゼオライトと固体無機助触媒とを含む。前述したように、種々の実施例を、解重合ユニットとしてTGAを使用して処理し、ただし、サンプルを、窒素下で解離温度400℃まで10K/minで加熱し、1時間保持した。LDPE、ナイロン12及び任意にセルロースを複合触媒と共に、HAAKMiniCTW複合機にて200℃、200RPMで5分間溶融複合することによりサンプルを調製した。各組成物とその解重合半減期を表6~9に示す。
【0100】
【表7】
【0101】
比較組成物1自体は、触媒又は非ポリオレフィン成分を含まないLDPEである。この組成物の400℃での解重合半減期は144分である。この解重合の速度定数(k)は0.0048である。これは、この実施例の残りのサンプルを比較するベースライン値である。
【0102】
比較組成物2は、LDPEにセルロース1g及びナイロン121gを組み合わせ、ZSM-5ゼオライトのみを触媒とする。ZSM-5は、固体無機助触媒を使用しない場合、400℃での解重合半減期を151分に増加させた。比較例3は、Zr(HPO)を単独で含み、ゼオライトを含まず、解重合半減期を193分に増加させた。比較例3は、ナイロン12とセルロースの両方がLDPEの分解を遅らせること、及びZr(HPO)とゼオライトのいずれも不活性であることを示している。
表6に示す結果は、ZSM-5とZr(HPO)を組み合わせた複合触媒に関するものである。しかしながら、ZSM-5とZr(HPO)の組み合わせは、速度定数を5倍に増加させ、解重合半減期を少なくとも73%、約38分に短縮させた(組成物1)。
【0103】
複合触媒の濃度が0.375gから0.75gに増加するにつれて、解重合半減期の低下が大きくなる驚くべきことに、複合触媒中のZr(HPO)の量が増加すると、解重合半減期に最大の差が認められた。組成物2中のZr(HPO)の量を組成物1と比較して2倍にすると、解重合半減期が9分短縮された。しかし、組成物1と比較して、組成物3中のZSM-5量を2倍にすると、解重合半減期が6分低下した。これは、比較例3では、Zr(HPO)自体が解重合半減期を約34%増加させ、不活性であると考えられていることから驚くべきことである。対照的に、比較例3のZSM-5単独では、解重合半減期を約5%増加させ、活性であると考えられた。したがって、複合触媒中のZr(HPO)の増加は、解重合半減期を短縮させる駆動力にはならないと予想される。しかし、表6の結果から、Zr(HPO)は、それ自体0.5gでは不活性であり、ZMS-5と組み合わせることにより、複合触媒の触媒効果を大幅に高めることができることが示された。このことから、Zr(HPO)とZMS-5のようなゼオライトを組み合わせた場合に相乗効果があることが示唆された。
【0104】
表7に示す結果は、ZSM-5とAl及び/又はCa(OH)を組み合わせた複合触媒に関するものである。
【0105】
【表8】
【0106】
固体無機助触媒はいずれも解重合半減期の短縮に寄与するが、組成物9~10中のCa(OH)を用いた場合の短縮は、Al.を用いた組成物6~7よりも若干大きい。この傾向は、実施例2で観察されたHDPE/セルロース原料の傾向とは逆である。HDPEからLDPEへの変更ではなく、ナイロン12の添加が、Ca(OH)が少し良くなった理由だと考えられている。しかし、ZSM-5の量を増やすと、組成物8と組成物11の両方が37分の解重合半減期を有するため、これら2つの固体無機助触媒間の差異がなくなる。
【0107】
表7に示すように、複合触媒が0.25gのZSM-5と0.5gの固体無機助触媒(約15重量%)を含有する場合、解重合半減期の最大の改善が観察された。これらの含有量は、組成物の8、11、13の約15重量%である。これらの結果から、ゼオライトと固体無機助触媒の組み合わせは解重合反応を改善することができる一方、ポリオレフィン原料ごとに2つの成分の量を変えてカスタマイズできることを示している。さらに、解重合半減期の短縮は、大規模な工業用反応器でのより短い滞留時間に繋がる。
【0108】
触媒複合物体は、ナイロンとセルロースだけでなくセルロースのみを含むポリオレフィン原料でも良好に機能する。これにより、ナイロンとLDPEとを混合した一連の組成物が調製され、解重合された。これらの組成物とその解重合結果を表8~9に示す。
【0109】
【表9】
【0110】
表8は0.5gのナイロン6を使用した一連の原料を示している。組成物14にナイロン6を添加することにより、解重合半減期が144分(比較組成物1)から161分に増加した。組成物15にゼオライトを添加しても、LDPE/ナイロン6原料の解重合半減期は改善されなかった。対照的に、Ca(OH)を添加することにより、解重合半減期は、比較組成物1で観察される時間よりも短い139分に短縮された。しかしながら、組成物17の結果は、ゼオライトとCa(OH)の組み合わせによる相乗効果を示す。組成物17中の複合触媒は、解重合半減期を約42%短縮し、83分とした。
【0111】
表9は、ナイロン12の量が異なる一連の原料を示している。組成物14におけるナイロン6の作用とは異なり、0.5gのナイロン12の添加により、解重合半減期が144分(比較組成物18)から107分に短縮された。組成物19にゼオライトを添加することにより、解重合半減期が103分と僅かに短縮された。組成物20にCa(OH)を添加することにより、解重合半減期が124分に増加した。しかしながら、組成物21中のゼオライトとCa(OH)との組み合わせにより、解重合半減期が131分に増加した。これらの結果から、非ポリオレフィン成分(例えば0.5gナイロン)の量が増加するにつれて、反応速度損失を補うために、より高担持量の複合触媒が必要になると考えられる。
【0112】
【表10】
【0113】
組成物22~28は、ナイロン12の使用量が少ない。Ca(OH)を助触媒として使用する組成物は、すべて、半減期を短縮させて解重合反応を改善することができた。
【0114】
さらに、複合触媒中のゼオライトの量を増加させることにより、更なる改善が示された。例えば、ゼオライト0.25gを含む組成物25の解重合半減期は、ゼオライト0.125gを含む組成物23の解重合半減期より54分短い。両組成物には、同量のCa(OH)が使用された。
【0115】
組成物26~28は、Ca(OH)に代えて、Alを固体無機助触媒として含む。この助触媒は、Ca(OH)よりも解重合反応に積極的な影響を与えた。ゼオライトを含まない組成物26は、比較組成物1よりも長い半減期を有するので、これは予想外である。しかしながら、ゼオライトと組み合わせると、Alは相乗効果を有し、解重合半減期が少なくとも88%短縮された。
実施例5:その他のポリマー組成物
【0116】
この複合触媒は、ポリオレフィンにセルロース等の高酸素含有ポリマーとナイロン6、12等の高窒素含有ポリマーとを混合すると良好に機能した。この実施例では、LDPEを種々のポリマーに組み合わせた一連の原料を、ZSM-5、Ca(OH)、及びZSM-5とCa(OH)を含む複合触媒で解重合した。結果を表10~15に示し、LDPEのみを含むサンプルの解重合半減期144分と比較することができた。
【0117】
【表11】
【0118】
表10の原料には、ポリウレタンが含まれている。ポリウレタンのみを転化すると、解重合反応が16分向上した。複合触媒は、非触媒反応と比較して解重合半減期を約47%短縮させ、Ca(OH)のみを用いた反応と比較して約56%短縮させた。
【0119】
【表12】
【0120】
表11の原料には、エチレンビニルアルコール(EvOH)が含まれている。複合触媒は、非触媒反応と比較して、解重合半減期を約94%短縮させた。
【0121】
【表13】
【0122】
表12の原料には、エチレン酢酸ビニル(EVA)が含まれている。複合触媒は、非触媒反応と比較して解重合半減期を約98%短縮させた。驚くべきことに、ZSM-5ゼオライトのみを用いた組成物では、同量の短縮であった。
【0123】
【表14】
【0124】
表13の原料には、アクリレートコポリマーが含まれている。アクリレートコポリマーのみを添加すると、解重合反応が22分向上した。複合触媒は、非触媒反応と比較して、解重合半減期を約89%短縮させた。
【0125】
【表15】
【0126】
表14の原料には、PETが含まれている。PETのみを添加すると、解重合反応が5分向上した。4種類の異なる非触媒反応を行った。複合触媒は、同じ原料を使用した無触媒反応と比較して、解重合半減期を約98.5%短縮させた。
【0127】
【表16】
【0128】
表15の原料には、ポリ(ブチルメタクリレート)が含まれている。ポリ(ブチルメタクリレート)のみを添加すると、解重合反応が25分向上した。複合触媒は、同じ原料を使用した無触媒反応と比較して、解重合半減期を約72%短縮させた。
【0129】
実施例5のすべてのサンプルにおいて、ZSM-5ゼオライト及びCa(OH)を含む複合触媒を使用して、解重合半減期を少なくとも約50%を超えて短縮させた。複合触媒は、ポリ(ブチルメタクリレート)とプラスチックボトルを除いて、ゼオライト単独と同等か、それを上回る性能を示した。
実施例6:ポストコンシューマ廃棄物
【0130】
この実施例は、ポリオレフィン系ポストコンシューマ廃棄物流の解重合のためのゼオライトと固体無機助触媒との組み合わせの相乗効果に焦点を当てている。
【0131】
粒状ポリオレフィン:評価された第1ポストコンシューマ廃棄物流は、ポリオレフィンを主成分とする分類済みポストコンシューマ廃棄物流(高密度ポリエチレン含有量90%超、SUEZ社)から得られ、造粒された。前述のように、解重合ユニットはTGA機器である。HAAKMiniCTW複合機にて、造粒されたポストコンシューマ廃棄物流5gと各種触媒を200℃、200RPMで溶融複合することにより均一なサンプルを調製した。MettlerToledoTGA/DSC3+(MettlerToledo、オハイオ州コロンバス)中で、均一なサンプルを窒素下、10K/minで400℃の解重合温度に加熱し、1時間保持した。
【0132】
4つの異なる触媒は、粒状ポストコンシューマ廃棄物流を解重合するために使用された。第1触媒は、βゼオライト0.25gのみであり、組成物15に用いられる。第2触媒は、組成物16に使用される0.25gの非晶質AlSiOxゼオライトのみである。第3触媒はZSM-5ゼオライトのみであり、組成物17~18において異なる量で使用された。最終触媒は、0.25gの助触媒と0.125gのZSM-5ゼオライトを組み合わせた0.375gの複合触媒である。組成物19~21には、複合触媒が使用されている。組成物及び解重合半減期を表17に示す。
【0133】
【表17】
【0134】
触媒を用いない解重合の比較例17では、解重合半減期は239分であった。触媒(ゼオライト触媒であっても複合触媒であっても)の添加により解重合半数倍が短縮された。ゼオライトのみを含む混合物の場合、0.25gのゼオライト(混合物の5%)は最も短い解重合半減期をもたらした。組成物17~18を比較すると、ZSM-5量の減少により、解重合半減期が3倍以上になった。
【0135】
複合触媒は、組成物18中の混合物と同量のゼオライトを使用した。組成物18にZSM-5ゼオライト0.125gのみを用いた場合と比較して、組成物19~20に複合触媒(いずれの助触媒も)を用いた場合に観察される解重合半減期は半分以上短縮された。これにより、助触媒とゼオライトとの組み合わせによる相乗効果を示した。なお、Zr(HPO)をZSM-5とともに使用すると、大量のZSM-5を使用した組成物18よりも改善が示された。助触媒がゼオライトに対して備える相乗効果が示された。
【0136】
細断された都市ポリオレフィン:評価された2番目のポストコンシューマプラスチック流れは、PEとPPの組み合わせ(約1:1:比率)を含む細断された都市ポリオレフィン廃棄物流(MPO)であった。前述のように、解重合ユニットはTGA機器である。5gのMPO流と0.125~0.25gのゼオライト又は0.375~0.5gの複合触媒とを、HAAKMiniCTW複合機にて200℃、200RPMで5分間溶融複合することにより、均一なサンプルを調製した。複合触媒は、助触媒0.25gとゼオライト0.125g又は0.25gとを組み合わせたものである。
【0137】
MettlerToledoTGA/DSC3+(MettlerToledo、オハイオ州コロンバス)にて、均一なサンプルを窒素下、10K/minで400℃の解重合温度に加熱し、1時間保持した。解重合半減期を表18に示す。
【0138】
【表18】
【0139】
比較組成物18は触媒を含まないMPOであり、ベースライン解重合半減期は204分である。粒状ポリオレフィンと同様に、MPOの解重合半減期は触媒の添加により短縮された。観察された解重合半減時間も、どの助触媒を使用したかに関係なく、複合触媒を使用した場合、ゼオライトのみを使用した場合と比較して、少なくとも10%短縮された実際に、組成物26および27のβゼオライトに固体無機共触媒を添加すると、組成物25と比較して、半減時間が75%短縮された。したがって、これは、本開示の複合触媒がいずれかの成分単独と比較してどれほど効果的であるかを示している。
【0140】
多層包装フィルム:表19は多層包装フィルムのポストコンシューマ廃棄物の解重合結果を示しており、ここで、複合触媒は、各種ゼオライトとAl、Ca(OH)、Ba(OH)、Mg(OH)又はSr(OH)のいずれかとを組み合わせた。多層フィルム混合物には、接着結合層およびバリアフィルムが組み込まれたポリオレフィン包装フィルムが含まれていたこれらの接着結合層とバリアフィルムは、EVA、EVOH、ポリアミンなどの非ポリオレフィンポリマーから形成される。
【0141】
表19の各ゼオライトにCa(OH)を添加すると、解重合半減期が短縮された。実際、Ca(OH)自体は半減期を330分(比較組成物19)から248分(組成物31)に短縮することができた。しかしながら、予想外なことに、Ca(OH)の量を増加させても、解重合半減期に大きな変化は生じなかった。組成物39のCa(OH)量は組成物38の2倍であるが、半減期をさらに2分(~5%)だけ短縮させたたけであった。組成物42及び43も参照され、Ca(OH)の重量を2倍にすると、実質的に約70%の半減期が増加する。しかし、この半減期の違いは、組成物42が1:1、組成物43が1:4の割合(ゼオライト:Ca(OH))である成分の割合にも起因する。いずれにしても、この特定の原料流に対しては、ゼオライトに加えてプラスの効果を見るために、Ca(OH)は5重量部しか必要ではなかった。
【0142】
Mg(OH)を添加しても、ゼオライトのみを用いた触媒と比較して解重合半減期を短縮させることができた。対照的に、Ba(OH)及びSr(OH)の添加は、解重合半減期を増加させ、このような特に廃棄物原料の解重合速度を遅らせた。しかし、他の種類の原料や異なる粒径を使用する場合、それらの活性はCa(OH)及びMg(OH)を上回る可能性がある。
【0143】
表19は、また、組成物33及び41における2つの異なるZSM-5ゼオライトとともにAlを使用することも示している。しかし、ゼオライトのみを含む組成物と比較して、組成物33のみが解重合半減期の改善を示し、同じ成分の異なる組み合わせが同じ供給流に対してそれほど効果的でない可能性があることをさらに示している。
【0144】
【表19】
【0145】
実施例6における各ポストコンシューマ廃棄物流が受けた解重合半減期のこれらの短縮は、大規模工業用反応器におけるより短い滞留時間に転化される。さらに、固体無機助触媒がゼオライトと組み合わせた場合、供給流中に非ポリオレフィン成分が存在しない場合でも、相乗効果が得られることを示した。これらの結果はまた、本明細書で開示されている複合触媒が、ポストコンシューマ供給源から得られる現実世界供給流を解重合するのに有用であることを示している。
【0146】
上記の実施例は、ゼオライトと少なくとも1種の固体無機助触媒とからなる本明細書で説明されている触媒組成物は、助触媒を使用しない方法に比べて、改善されたエネルギー効率で(すなわち、より費用対効果の高い)ポリオレフィン系流の解重合を触媒することができることを示している。ポリオレフィン系流がゼオライト触媒能を抑制することができる他のポリマーを含む場合、又は供給流がポストコンシューマの供給源から得られる場合にも、解重合反応の改善が観察された。
実施例7:ゼオライト/担持Zr(HPO)触媒系
【0147】
下記表20に示すように、高密度ポリエチレン(HDPE;等級ACP9255、LyondellBasell製品)2.5g、ポリプロピレン(MOPLENHP522H、LyondellBasell製品)2.5g、ナイロン6(Sigma-Aldrich)0.25g、H-USY触媒0.125g及び添加剤を、HAAKMiniCTW複合機にて200C、200RPMで5分間溶融複合して、均一な混合ポリオレフィン系サンプルを調製した。
【0148】
MettlerToledoTGA/DSC3+(MettlerToledo、オハイオ州コロンバス)において、均一なサンプルを、窒素下、10K/minで400Cの解重合温度に加熱し、1時間保持した。
【0149】
組成物及びその解重合半減期を表20、21に示す。本明細書で示されるように、Zr(HPO)とリン酸又はリン酸アンモニウムとを担体の存在下で反応させて調製される担持ZrOClに基づく添加剤は、サンプルの解重合に有効であった。
【0150】
添加剤の製造:初期湿潤技術によりSiO担持ZrP添加剤を形成した。例えば、ZrOCl(Sigma-Aldrich)HO溶液をシリカに含浸させ、得られた混合物を110Cで2時間乾燥させた。得られた粉末にHPO溶液(Sigma-Aldrich)のさまざまな量を含浸させ、110Cで2時間乾燥させて、自由流動性の粉末を得た。ベントナイト(F-20X、EngineeredClaysCo.)に担持されたZrP添加剤も同様に、ZrOClとリン含有試薬との反応により形成された。例えば、ベントナイトサンプルとZrOClのHO 30ml中の溶液を混練混合し、得られたペーストをCで2時間乾燥させた。次いで、得られた粉末をHPO溶液又はリン酸アンモニウム(一塩基性酸又は二塩基性酸;Sigma-Aldrich)のさまざまな量と混練して混合し、Cで2時間乾燥させたペーストを得た。
【0151】
【表20】
【0152】
【表21】
【0153】
上記の実施例は、ゼオライトと少なくとも1つのジルコニウム系添加剤とからなる本明細書で説明されている触媒組成物は、添加剤を使用しない方法と比較して、ポリオレフィン系流の解重合を迅速に触媒できることを示している。
実施例8:ゼオライト/ZrHP触媒系1
【0154】
押出機からのプラスチック廃棄物供給入口、解重合触媒供給入口、及び生成ガス出口を備えた、機械的に攪拌されたジャケット付き反応器を有する解重合反応器を含む解重合装置において、以下の実験ステップを実施した。反応器から抜き出されたたガスを凝縮ユニットに送り、そこから非凝縮ガスと熱分解油とを得た。温度を監視及び記録するために、熱電対を反応器内に配置した。
【0155】
実施例8では、97重量%のポリオレフィン含有量を有し、他の一般的なポリマー(例えば、PET、PS、PA及びPU)の微量及び無機汚染物質を残部として含むプラスチック廃棄物供給原料を使用した。プラスチック廃棄物供給原料をホッパーに投入して押出機に供給する前に均質化して造粒した。押出機は290℃の温度で作動され、4キログラム/時の速度で連続的に解重合反応器に排出した。
【0156】
解重合反応器は、4バールの圧力及び約400℃の温度で作動された。触媒は、引用によって本明細書に組み込まれているWO2008/022900に開示されているシステムと同様のシリンジシステムを用いて、白色油中の懸濁液の形態で反応器に連続的に注入された。総解重合時間は約3時間であった。解重合期間が終了すると、反応器を冷却し、洗浄のために開放した。
【0157】
反応器で生成された気相を、25℃で作動する冷却/洗浄塔から形成された凝縮ユニットに送った。選択された冷却温度は、重質炭化水素を凝縮させ、非常に軽質な炭化水素をガス流の形で放出することを可能にする。ガス流を排気口に送った。凝縮油をGC-FIDで分析した。
【0158】
化合物の数は非常に多いので、特定の炭化水素を内部保持時間基準とし、得られた化合物を保持時間に従ってグループ化し、分析結果を報告した。
【0159】
比較例21:添加剤を含まないH-USYゼオライトの評価
実施例8で説明したプロセス設定において、H-USY型ゼオライト(CBV400-CAS番号1318-02-1、ZeolystInternational)のサンプルを試験した。触媒は、反応相物質に対して3重量%の割合となるような量で反応器に供給した。
【0160】
反応器は4バールで作動し、記録された内部温度は403℃であった
【0161】
表22は、製品の生産における結果(供給原料に関する)を報告し、生産された油サンプルのGC-FID分析レポートを添付したものである。残留含有量は、不活性原料からの成分(つまり、実際のプラスチック廃棄物)を除いて計算された。
【0162】
発明実施例58:触媒系(H-USY+リン酸水素ジルコニウム(IV)の評価
実験試験は、比較例21について記載したように行った。ただし、H-USY型ゼオライト(CBV400、CASNo.1318-02-1、ZeolystInternationalより得られる)とリン酸水素ジルコニウム(IV)(CASNo.13772-29-7、Merckより得られる)の混合物を1:1重量%含む白色油スラリーを調製して反応器(1)に添加した点が異なる。ここで用いる「ZrHP」とは、リン酸水素ジルコニウム(IV)を指す。
【0163】
固体触媒混合物は、4重量%の混合固体触媒混合物(2重量%のHYゼオライト+2重量%のZrHP)と反応相物質とを含む。温度は407℃に維持され、圧力は4バールに調整された。実験試験の結果は、発明実施例58として表22に示されている。
【0164】
残留含有量は、不活性原料からの成分(つまり、実際のプラスチック廃棄物)を除いて計算された。
【0165】
【表22】
【0166】
発明実施例58は、比較例21と比較して、残留率が低く、触媒活性が高いことを示している。発明実施例58の回収油は、沸点が434℃を超える炭化水素を含まない。比較例21は、沸点が434℃を超える炭化水素を3重量%含んでいた。加えて、発明実施例58では、沸点が365℃~434℃の間にある回収油の割合は、比較例21の4重量%に対して2重量%である。
実施例9:ゼオライト/ZrHP触媒系2
【0167】
実施例8に記載のように調製された同じプラスチック廃棄物原料30g(30g)を、熱電対と窒素ガス導入口を備えた3つのネックを有する500ml円形ガラス反応器に投入した。その後、ガラス反応器に所定量の固体触媒を導入した。2つのガラスコンデンサを直列に接続し、油浴(クライオスタットジュラボ)を使用して、それぞれ110℃と-8℃に保持した。反応器を電気加熱システム(すなわち、マントル浴)に置き、温度を450℃に上げた。熱分解プロセスを2時間(最長)行い、油を回収した後、分析を行った。
【0168】
比較例22:添加剤を含まないH-USYゼオライトの評価
実施例9に記載の実験装置を用いて、H-USY型ゼオライト(CBV400、CASNo.1318-02-1、ZeolystInternational)のサンプルを試験した。触媒は、触媒と供給原料との合計質量の2.5重量%を含むように反応器に供給された。
【0169】
表23に、製品の生産における結果(供給原料に関する)と、生産された油サンプルのGC-FID分析の報告を示す。残留含有量は、不活性原料からの成分(つまり、実際のプラスチック廃棄物)を除いて計算された。開始温度(T開始)は、第1液滴が第1凝縮器に集められた温度を示す。
【0170】
発明実施例59:複合系(H-USY+リン酸水素ジルコニウム(IV)
比較例22で述べたように実験を行ったが、ZrHPを触媒材料に組み込んだ点が異なる。発明実施例59の固体触媒混合物は、5重量%の混合固体触媒混合物(2.5重量%のH-USY+2.5重量%のZrHP)と反応相物質とを含む。発明実施例59の実験結果を表23に示す。
【0171】
残留含有量は、不活性原料からの成分(つまり、実際のプラスチック廃棄物)を除いて計算させた。発明実施例59の残留含有量は、比較例22の残留含有量と同等であるが、発明実施例59は、比較実施例22と比較して、触媒活性の増加により、より熱分解生成物が生成されることを示すより高い量の軽い化合物を生成した。例えば、発明実施例59の98℃未満の油の留分は25重量%、98℃~203℃までの油の留分は57重量%であり、比較例22の比較用の17重量%、45重量%を大幅に上回った。
【0172】
比較例23:ZrHP
実施例9の実験装置では、同じプラスチック廃棄物供給原料30gを用いて実験試験を行い、実施例8で述べたように調製した。しかし、この実験では、プラスチック廃棄物供給原料にリン酸水素ジルコニウム(IV)のみを添加した(CASNo.13772-29-7、Merckより入手可能)。ZrHPは、ZrHPと反応相物質の合計質量に対して2.5重量%を占める。比較例23の結果を表23に示す。
【0173】
【表23】
【0174】
比較例23は、解重合触媒としての活性を示さず、反応器内に非常に高い残留率(22重量%)を残し、沸点が203℃~434℃の範囲にある成分を高い割合(70重量%)で含む油を生成した。
図1A
図1B
【国際調査報告】