(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】加工施設での食品追跡方法および食品を加工するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A22C 17/00 20060101AFI20231201BHJP
A22C 21/00 20060101ALI20231201BHJP
A22C 25/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A22C17/00
A22C21/00 Z
A22C25/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532155
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2021084176
(87)【国際公開番号】W WO2022117820
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521162931
【氏名又は名称】マレル・サーモン・アクティエセルスカブ
【氏名又は名称原語表記】Marel Salmon A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】ケア,アナス
(72)【発明者】
【氏名】アナスン,マーティン
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA05
4B011FA06
4B011KA01
4B011KA04
4B011KA05
4B011KE25
(57)【要約】
加工施設を通る食品の流れにおいて食品を追跡する方法およびシステム。食品は、チェックイン画像が撮影されるチェックイン位置において受け取られ、チェックイン画像に基づいて固有識別記号、UII、が生成される。食品は、処理されて、チェックアウト画像が撮影されるチェックアウト位置に移動される。食品の自動追跡を容易にするために、生成されたUIIにチェックアウト画像が割り当て可能かどうかを確立するように認識プロセスを実行し、この場合、データレコードが認識されたUIIとともに生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理施設を通る食品の流れにおいて食品を追跡する方法であって、
チェックイン位置において前記食品を受け取り、
前記食品の少なくとも1つのチェックイン画像を取得し、
前記チェックイン画像から固有識別記号(UII)を生成し、
前記処理施設を通る前記食品の流れにおいて、前記食品または前記食品の断片をチェックアウト位置に移動させ、
前記チェックアウト位置で、前記食品または前記食品の断片の少なくとも1つのチェックアウト画像を取得し、
生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能かどうかを確立するように構成された認識プロセスを実行し、
生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であると確立された場合、割り当てられた前記UIIを含むデータレコードを定める
ことを備える、方法。
【請求項2】
前記データレコードをデータベースに格納すること、または前記データレコードを包装用等のラベル上に印刷することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記食品または前記食品の断片の更なる処理のための第1処理ステーションを画定し、
前記食品または前記食品の断片の更なる処理のための第2処理ステーションを画定し、
前記認識プロセスにより、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であることが確立された場合に、前記第1および第2処理ステーションの一方を選択し、
前記認識プロセスにより、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て不可能であることが確立された場合に、前記第1および第2処理ステーションの他方を選択する
ことを更に備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記チェックイン画像から複数のUIIを生成することを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のUIIは、前記複数のUIIが前記食品の異なる部分に関連するように、前記チェックイン画像の一部分に関連するUIIと、前記チェックイン画像の他の部分に関連する他のUIIとを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記異なる部分は、重なり合う部分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のUIIが同一の前記チェックイン画像から生成された場合または前記複数のUIIが同一の前記食品から生成された場合、前記複数のUIIをUIIのセットにグループ化することを更に備える、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
食品の前記流れにおいて1以上の食品のキューを確立し、
前記認識プロセスによりチェックアウト画像をUIIに割り当て可能であることが確立された場合に、当該UIIを前記キューから削除する
ことを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記認識プロセスにより、1以上のチェックアウト画像が、UIIのセットのうち所定の数のUIIに割り当て可能であることが確立された場合、当該UIIのセットの全てのUIIを削除することを備える、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
各UIIに前記UIIが生成されたときに確立するチェックイン時刻を割り当て、
前記チェックイン時刻から所定時間経過したときに前記キューからUIIを削除する
ことを更に備える、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記食品に関連するメタデータを受け取り、
前記メタデータを前記データレコードに追加する
ことを備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記メタデータは、
前記処理施設の前記処理ステーションまたは人間オペレータ;
前記食品の原産地;および
前記食品の重量、大きさ、形状、または品質
の少なくとも1つに関連する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記チェックイン画像において望ましくない食品の部分を識別し、
前記望ましくない食品の部分を含まない画像の一部から少なくとも1つのUIIを生成する
ことを備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記チェックイン画像において望ましくない食品の部分を識別し、
前記望ましくない食品の部分を含む画像の一部から少なくとも1つのUIIを生成する
ことを備える、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記望ましくない食品の部分の識別に応じて、前記食品または前記食品の断片に等級をつけることを備える、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記認識プロセスによりチェックアウト画像がUIIに割り当て可能であることが確立されるか、または前記認識プロセスによりチェックアウト画像がUIIに割り当て可能であることが確立されないかに応じて、前記食品または前記食品の断片に等級をつけることを備える、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記チェックイン画像に基づいて、前記食品を前記食品の断片に意図して切断することを定義するポーショニングプランを定義し、
意図された前記食品の前記断片のそれぞれについて少なくとも1つのUIIを生成する、
ことを備える、請求項1から16に記載の方法。
【請求項18】
処理ステーションにおいて前記食品を意図された前記断片に切断することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記UIIは、前記食品の構造的固有性に基づいて生成されるか、前記食品または前記食品の断片の大きさまたは形状に基づいて生成されるか、前記食品の色または色分布に基づいて生成されるか、またはこれらの組み合わせに基づいて生成される、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記食品は、野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物、またはこれらのスライスから構成される群から選択される、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記食品は、サケの切り身等のサケである、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
食品の前記流れにおける各食品または各食品の前記断片は、少なくとも第1カテゴリおよび第2カテゴリに分類され、前記分類は、前記チェックイン位置と前記チェックアウト位置との間で実行され、
前記第1カテゴリの食品または食品の断片は前記チェックアウト位置に導かれ、前記第2カテゴリの食品または食品の断片は、前記チェックアウト位置に導かれない、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2カテゴリの食品または食品の断片は、代替のチェックアウト位置に導かれる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、
前記第2カテゴリに分類された食品または食品の断片のためのUIIを前記キューから削除する
ことを備える、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記チェックアウト位置で各食品または各食品の断片のためのデータレコードを定義し、
生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であることが確立された場合、前記食品または前記食品の一部に前記UIIを割り当てる、
請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
処理施設を通る食品の流れにおいて食品を追跡するためのシステムであって、
前記処理施設のチェックイン位置に配置され、前記食品のチェックイン画像を撮影するように構成されたチェックインカメラと、
前記チェックイン画像から固有識別記号(UII’s)を生成するように構成された処理構造体と、
前記処理施設のチェックアウト位置に配置され、前記食品または前記食品の断片のチェックアウト画像を撮影するように構成されたチェックアウトカメラと
を備え、
前記処理構造体は、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能かどうかを確立する認識プロセスを実行するように構成されており、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であると確立された場合、割り当てられた前記UIIを含むデータレコードを定めるように構成されている、システム。
【請求項27】
前記認識プロセスにより、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であることが確立された場合に少なくとも2つの更なる処理ステーションの1つを選択するように構成されており、記認識プロセスにより、生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て不可能であることが確立された場合に前記少なくとも2つの更なる処理ステーションの他の1つを選択する、処理セレクタを更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記処理構造体は、前記チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、前記認識プロセッサにより前記チェックアウト画像が前記UIIに割り当て可能であることが確立されたとき、前記キューから当該UIIを削除するように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記処理構造体は、各UIIが生成されたときに前記各UIIにチェックイン時刻を割り当て、所定時間経過したときに前記キューからUIIを削除するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記チェックイン位置から前記チェックアウト位置までの前記食品のリードタイムを決定するように構成されたセンサを備え、
前記処理構造体は、前記リードタイムに基づいて前記所定時間を動的に更新する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記食品を前記チェックイン位置から前記チェックアウト位置に搬送するように構成されたコンベアシステムを備える、請求項27から30のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工施設を通る食品を追跡するための方法およびシステム、特に、食品が食品の流れで受け取られ、チェックイン位置でチェックイン画像が取得される方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
食品加工工場では、食品は、トリミング、フィレッティング、選別、または骨除去等のためのワークステーションに順次搬送されることが多い。
【0003】
ワークステーションはコンベアに沿って配置されることが多く、オペレータ、ロボット、またはナイフ等の処理手段は、食品が移動している間、または加工後に食品がコンベアに戻される中間加工テーブルに置かれている間のいずれかに、食品にアクセスすることができる。
【0004】
加工中に食品を一意に識別することが一般的に知られている。一例では、食肉用に飼育される動物は、通常、バーコード、番号、または電子的に読み取り可能な他の形式の固有識別タグが付けられる。そのような識別により、重量、脂肪率、品質、加工施設内の加工ラインに関連するデータの識別が可能になる。必要であれば、そのようなデータは、例えば汚染を追跡するため、または一般的に食品の認証に関する顧客要件を満たすために有用であり得る。
【0005】
タグ、ラベル、および別個に適用される類似の識別子は、加工中に意図せず、食品から分離することがあり、それにより役に立たなくなることがあるが、印刷されたマーク、焼き付けられたエンボス、および食品に直接付けられた類似の物理的なマーキングは、例えば審美的な理由から望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【0006】
加工中に食品を追跡する能力を向上するために、本開示は、第1態様において、処理施設を通る食品の流れにおいて食品を自動的に追跡する方法を提供する。
【0007】
本方法は、
チェックイン位置において前記食品を受け取り、
前記食品の少なくとも1つのチェックイン画像を取得し、
前記チェックイン画像から固有識別記号(UII)を生成し、
前記処理施設を通る前記食品の流れにおいて、前記食品または前記食品の断片をチェックアウト位置に移動させ、
前記チェックアウト位置で、前記食品または前記食品の断片の少なくとも1つのチェックアウト画像を取得し、
生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能かどうかを確立するように構成された認識プロセスを実行し、
生成された前記UIIに前記チェックアウト画像が割り当て可能であると確立された場合、割り当てられた前記UIIを含むデータレコードを定義する
ことを備える。
【0008】
特に、食品は、チェックイン位置および食品のチェックイン画像を提供するカメラから、処理ステーションを通過して、さらにチェックアウト位置およびチェックイン画像を提供する別のカメラまでの経路を形成するコンベアシステムにより処理施設内を移動することができる。
【0009】
認識プロセスは、少なくとも1つのチェックアウト画像から、生成されたUIIの1つに当該チェックアウト画像が割り当てられ得るかどうかを、認識することである。
【0010】
UIIがチェックアウト画像で認識されるため、食品自体の画像が識別の役割を果たし、チェックイン位置とチェックアウト位置との間において、タグ、ラベル、または類似の物理的な識別マークを回避することができる。
【0011】
データレコードは、データベースに格納されてもよく、チェックアウト位置で食品または食品の包装に貼り付けられてもよい。
【0012】
食品は、例えば、野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物から構成されるリストからの品目であってもよい。食品は、複数の断片に切断されてもよい。すなわち、本明細書において用語「断片」は、食品から切り出された部分を指す。用語「部分」は、必ずしも食品から切り出されておらず、したがって必ずしも食品の断片を形成する必要がない食品の領域を指す。
【0013】
UIIは、数値フォーマット、例えば整数を含む例えばデータ文字列であってもよく、例えば、画像をそのような数値フォーマットに変換するアルゴリズムを使用するプロセスにより定められてもよい。
【0014】
チェックイン画像および/またはチェックアウト画像は、電磁放射線を捉えるカメラ、例えばライン型またはマトリクス型のCCDカメラまたは可視域の外側の電磁放射線を捉えるカメラ、例えばX線カメラを含む任意の種類のカメラを含む、本分野で既知の画像撮影手段を用いて撮影されてもよい。チェックイン画像および/またはチェックアウト画像は、超音波を用いて撮影されてもよい。
【0015】
処理ステーションは、食品の選別、計量、切断、スライス、トリミング、ピンボーン除去、バッチング、包装、または単に計数、または食品の登録のためのステーションの1以上または組み合わせを含んでもよい。したがって、食品は、処理ステーションを通過した後に複数の断片に切断されてもよい。
【0016】
食品は、特に、コンベアシステム、例えばコンベアベルトを用いて移動させることができる。
【0017】
本明細書において「少なくとも1つのチェックアウト画像から、生成されたUIIを認識する」とは、チェックアウト位置において、チェックアウト画像に基づいて、食品が元々割り当てられたUIIに割り当てられることを意味する。
【0018】
一実施形態では、本明細書ではチェックアウトUIIとして参照される、追加のUIIがチェックアウト画像に基づいて生成される。チェックアウトUIIは、同じ方法、例えばチェックイン画像に基づいてUIIを生成するために使用されるアルゴリズムおよび手順と同じアルゴリズムおよび手順を用いて、生成される。その後、チェックアウトUIIは、UIIと比較される。
【0019】
認識プロセスは、チェックアウトUIIがUIIと一致した場合、または少なくとも部分的にUIIと一致した場合に、生成されたUIIの1つにチェックアウト画像が割り当て可能であることを認識する。
【0020】
UIIおよびチェックアウトUIIが例えばデータ文字列に含まれる数値である場合、認識プロセスは、数値またはデータ文字列を比較し、距離または重なりの特定の量を評価することを含んでもよい。
【0021】
一例では、チェックイン画像が数字の第1の配列に変換され、そのプロセスは、チェックアウト画像で数字の第2の配列を定めるために繰り返される。その結果、第2の配列は、例えば全ての桁、または一部の桁、例えば15桁のうち12桁が同一になる可能性がある。認識プロセスは、重なり合う桁数の閾値を定義することを含んでもよく、例えば、15桁のうち少なくとも10桁とする閾値は、UIIが「認識された」と見なすための限界値である。15桁のうちの10桁よりも少ない桁数が同一である場合、認識プロセスは、「認識不足」と返してもよく、そうでなければ、認識されたUIIを返してもよい。
【0022】
方法は、加工施設に関連するメタデータ、または食品に関連するメタデータ、例えば食品が受け取ったデータ、すなわちチェックイン位置に進入する前に得られたデータとUIIを結合するステップを含んでもよい。
【0023】
そのようなメタデータの例には、農場または食品が元々生産された場所に由来するデータ、または単にそのような農場または場所の識別子が含まれてもよい。メタデータは、食品の重量、大きさ、形状、または品質に関連する情報を含んでもよく、例えば、野菜への農薬の使用または動物に使用されたワクチンが含まれてもよい。
【0024】
処理ステーションに関連するメタデータの例には、加工に使用される装置の識別、食品を処理または加工するオペレータの識別が含まれてもよく、例えば温度または湿度等の環境のパラメータを特定してもよい。
【0025】
一例では、メタデータは、処理ステーションの能力、例えば入ってくる食品または食品の断片を、異なるチェックアウト位置で施設を出る異なるカテゴリ(例えば、いくつかの食品または食品の断片が異なる等級付けをされるか、いくつかの食品または食品の断片が不合格になる)に分割する性能に能力する
【0026】
メタデータおよびUIIは、データファイルで結合されもよい。これにより、食品または食品の断片の画像は、メタデータに関連付けられる。
【0027】
本方法は、更なる処理ステーションを定めるステップと、食品または食品の断片用の定められた加工ステーションを選択し、選択された加工ステーションとUIIの識別を含むデータファイルを生成するステップとを含んでもよい。更なる処理ステーションの選択は、例えば、メタデータ中の情報に基づいてもよい。
【0028】
本明細書において、「加工ステーション」および「処理ステーション」という用語は、別段の定めがない限り、互いに置き換えてもよい。
【0029】
例として、メタファイルは、チェックイン画像に基づいて生成された特定のUIIを有する食品が、トリミング等の更なる処理を行うことなしに包装されることを正当化する特定の品質パラメータを有すること表してもよく、食品が不合格であること等を指定してもよい。
【0030】
本方法は、定められた更なる加工ステーションの特定の1つを選択することと、UIIが少なくとも1つのチェックアウト画像から認識できないときに、当該特定の1つを食品または食品の断片に割り当てることを更に備えてもよい。食品が、例えば、チェックアウト位置で認識されないことがあり、この場合、食品の識別は利用することができない。一例として、そのような食品は低価格で販売されるか、または異なる文脈、例えば前加工食品で、例えば調理済みの状態で使用されるかを決定してもよい。
【0031】
本方法は、チェックイン画像中の望ましくない食品の部分を識別し、望ましくない食品の部分を含まない画像の部分からUIIを生成するステップを備えてもよい。そのような望ましくない食品の部分の例としては、脂肪、骨、軟骨等を多く含む部分、例えば血痕により生じた望ましくない色を有する部分、例えば青いプラスチック、針等の異物、または食品の欠陥等がある。
【0032】
チェックアウト画像に基づいてUIIを認識できるようにするため、UIIを定めるために必要な画像情報よりも多くの画像情報に基づいてUIIを生成し、これによりチェックイン画像とチェックアウト画像との間の変化に対して認識プロセスをロバストにすることが望ましい場合がある。そのようなプロセスは、当該技術分野に存在しており、一般的にUIIの生成と後続のUIIの識別のために含まれる冗長な画像データに基づいている。一例では、UIIは少なくとも15桁で構成されるが、認識をよりロバストにするために、20桁以上で生成されることがある。
【0033】
本方法は、各食品に複数のUIIを確立することを含んでもよい。UIIは、例えば、食品の異なる部分に確立されてもよい。これにより、例えば、望ましくない部分が切り取られた場合、または食品がチェックイン位置とチェックアウト位置との間の処理ステーションで断片に切り分けられた場合に、個々の断片のUIIを識別できることがある。
【0034】
本方法は、例えば、チェックイン画像において、食品を断片への切り分けを定めるポーショニングプランを定め、食品の断片のそれぞれにUIIを生成することを備えてもよい。食品の各断片は、これにより、チェックアウト位置で個々に認識できる。
【0035】
本方法は、食品の構造的固有性に基づいたUIIの生成を備えてもよい。食品の構造的固有性の例としては、脂肪、骨、または筋繊維のパターン、軟骨、筋、および他の食品固有の構造がある。UIIは、食品の大きさまたは形状に基づいて生成されてもよく、食品の色または色分布に基づいて生成されてもよく、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。一例では、UIIは、例えば食品がコンベアベルトで搬送されている間にラインスキャンカメラにより撮影されたチェックイン画像により決定される食品の厚みプロファイルに基づいて生成される。
【0036】
本方法は、チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、チェックアウト画像で認識されたUIIをキューから削除するステップを備えてもよい。
【0037】
複数のUIIが1つの同一のチェックイン画像のために生成された場合、これらのUIIは、UIIのセットにグループ化されてもよく、本方法は、1以上のチェックイン画像がUIIのセットのうち所定の数のUIIに割り当て可能であることを認識プロセスが確立する場合に、キューから当該UIIのセットの全てのUIIを削除するステップを含んでもよい。所定の数は、「UIIのセットの全てのUII」または一定の割合、例えばUIIのセットの90%のUIIがチェックアウト画像で認識された場合であってもよい。これにより、当該食品に由来する断片の大部分がチェックアウト位置を通過した時点で、キューを減少することができる。
【0038】
チェックイン時刻を各UIIに割り当てることで、UIIがいつ生成されたかを確立することができる。その後、UIIは、所定時間が経過したときに、キューから削除されてもよい。これにより、キューにおけるUIIの数が、キューが関連するUIIのみを含むレベルまで抑えられ、これにより迅速でより効率的な認識プロセスを可能にすることができる。
【0039】
キューは、チェックアウト画像で潜在的に認識可能なUIIの量が比較的少ない移動ウィンドウを定め、誤ったUIIを認識するリスクを制限する。特に、認識プロセスがUIIとチェックアウトUIIとの間の最良の一致の評価を含む場合、UIIとチェックアウトUIIとが必ずしも一致しない場合でさえも正しい認識を提供する能力を向上することができる。
【0040】
本方法は、多種多様な食品、例えば、野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物に対して実行されてもよい。特に、本方法は、魚の切り身、例えばサケの切り身、肉、牛肉、豚肉、鳥肉の切り身、またはそれらのスライス等の肉を処理するときに使用されてもよい。
【0041】
一実施形態では、食品または食品の断片は、少なくとも第1カテゴリおよび第2カテゴリに分類される。分類は、チェックイン位置とチェックアウト位置との間で実行され、例えば、異なる品質基準に関連付けられてもよい。一実施形態では、第1カテゴリの食品または食品の断片は、チェックアウト位置に導かれ、第2カテゴリの食品または食品の断片は、チェックアウト位置に導かれない。
【0042】
一例では、第2カテゴリの食品または食品の断片は、排除されてもよく、他のチェックアウト施設に輸送されてもよい。施設は、例えば、異なるカテゴリに関連する2,3またはより多くの異なる出口を備えてもよい。
【0043】
チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューが確立されてもよい。このキューは、前述したキュー、すなわち食品または食品の断片がチェックアウト位置を通過したとき、またはタイムアウト時間が終了したときに更新されるキューであってもよい。
【0044】
食品または食品の断片は、食品または食品の断片が第2カテゴリまたはチェックアウト位置を通過することが想定されていない他のカテゴリとして分類されたとき、キューから削除されてもよい。この場合、当該食品は、代替のチェックアウト位置を通過してもよい。この特徴は、例えば食品または食品の断片がチェックイン位置とチェックアウト位置との間で不合格となったときに、使用されてもよい。ここで、「不合格(rejected)(または排除される)」とは、「特定の用途に適していない」ことを意味しており、したがって、別の用途(食用を含んでもよい)のために食品または食品の断片を格下げすることを含んでもよい。
【0045】
生成されたUIIにチェックアウト画像が割り当てられ得る食品または食品の断片について、割り当てられたUIIを有するデータレコードを生成することに加えて、本方法は、チェックアウト位置を通過する全ての食品のためにデータレコードを定めることを備えてもよい。この場合、チェックアウト位置で、各および全ての食品についてチェックアウトIDが定められ、データレコードは、チェックアウトIDを含んでもよく、チェックアウト画像を生成されたUIIに割り当てることができる場合にはUIIを任意に含んでもよい。UIIが割り当てられなかった場合、データレコードは、単に省略されてもよく、UIIが割り当てられなかったという情報を含んでもよい。
【0046】
第2態様では、本開示は、自動追跡能力を有する、食品を処理するためのシステムを提供する。
そのようなシステムは、
チェックイン位置から、少なくとも1つの加工ステーションおよびチェックアウト位置に、前記食品を移動させるように構成された少なくとも1つのコンベアと、
前記チェックイン位置に配置され、前記食品のチェックイン画像を撮影するように構成されたチェックインカメラと、
前記チェックイン画像から固有識別記号(UII’s)を生成するように構成された処理構造体と、
前記チェックアウト位置に配置され、前記食品または前記食品の断片のチェックアウト画像を撮影するように構成されたチェックアウトカメラと
を備える。
【0047】
処理構造体は、生成されたUIIにチェックアウト画像が割り当て可能であるかを確立するように構成された認識プロセスを実行し、生成されたUIIにチェックアウト画像が割り当て可能であることが確立された場合、割り当てられたUIIを含むデータレコードを、例えばチェックアウトIDとの組み合わせで定めるように構成されている。
【0048】
第1態様の方法に対応して、処理構造体は、チェックアウト位置を通過するそれぞれのおよび全ての食品または食品の断片にデータレコードを定めてもよく、UIIが認識されたか否かに応じて、UIIがデータレコードに含まれるか、または省略される。
【0049】
処理構造体は、チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、チェックアウト画像で認識されたUIIをキューから削除するように構成されてもよい。
【0050】
システムは、各UIIが生成されたとき各UIIにチェックイン時刻を割り当て、所定時間が経過したとき、キューからUIIを削除するように更に構成されてもよい。
【0051】
システムは、チェックイン位置からチェックアウト位置までの食品のリードタイムを決定するように構成されており、所定時間は、リードタイムに基づいて動的に更新される。
【0052】
システムは、特に、送り込みセクションと送り出しセクションとの間に隙間を形成することを可能にするコンベア構造を備えてもよく、送り込みと送り出しは、2つのセクションの間の隙間に対する相対位置であり、送り込みおよび/または送り出しセクションは、隙間に対して相対的に移動可能である。間隙に関連して、ナイフが配置されてもよく、食品を切断/小分けするための切断プロセス中に、切断断片が間隙に導かれてもよく、または食品の末端部が間隙に導かれてもよい。
【0053】
そのような構造は、隙間おいてプロセスが実行されるか否かに関わらず、チェックイン位置とチェックアウト位置との間の位置で、食品または食品の断片の排除を可能にすることがある。サケの処理および一般的な魚の処理の場合、食品は、魚全体である場合があり、食品の断片は、チェックイン位置とチェックアウト位置との間で通常排除される尾部および頭部を含む場合がある。
【0054】
また、第2態様に係るシステムは、本開示の第1態様に係る方法から見て暗黙の任意の特徴を含んでもよい。
【0055】
(実施形態のリスト)
[実施形態1]
処理施設を通る食品の流れにおいて食品を追跡する方法であって、
前記食品を受け取り、
前記食品をチェックイン位置に移動させ、
前記食品の少なくとも1つのチェックイン画像を取得し、
前記チェックイン画像から少なくとも1つの固有識別記号(UII)を生成し、
前記食品を前記チェックイン位置から少なくとも1つの処理ステーションに移動させ、
前記食品または前記食品の断片を前記処理ステーションからチェックアウト位置に移動させ、
前記チェックアウト位置で、前記食品または前記食品の断片の少なくとも1つのチェックアウト画像を取得し、
前記少なくとも1つのチェックアウト画像から生成された前記UIIを認識する
ことを備える、方法。
【0056】
[実施形態2]
前記チェックイン画像から複数のUIIを生成することを備える、実施形態1に記載の方法。
【0057】
[実施形態3]
前記複数のUIIは、前記チェックイン画像の一部分に関連するUIIと、前記チェックイン画像の異なる部分、つまり食品の異なる部分に関連する他のUIIとを有する、実施形態2に記載の方法。
【0058】
[実施形態4]
前記異なる部分は、重なり合う部分である、実施形態3に記載の方法。
【0059】
[実施形態5]
各食品について、同一の食品に属するUIIの間の関係を定めるUIIのセットを定めることを備える、実施形態2から4のいずれかに記載の方法。
【0060】
[実施形態6]
前記チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、前記チェックアウト画像で認識されたUIIをキューから削除することを備える、実施形態1から5のいずれかに記載の方法。
【0061】
[実施形態7]
前記UIIのセットのうち所定の数のUIIが前記チェックアウト画像で認識されたとき、当該UIIのセットから全てのUIIを削除することを備える、実施形態5または6に記載の方法。
【0062】
[実施形態8]
前記UIIが生成されたときに確立されるチェックイン時刻を各UIIに割り当て、
所定時間経過したときに前記キューからUIIを削除することを更に備える、実施形態6または7に記載の方法。
【0063】
[実施形態9]
前記UIIを、前記処理ステーションと関連するメタデータ、前記食品が受け取ったメタデータ、またはチェックイン位置で取得されたメタデータと結合する、実施形態1から8のいずれかにに記載の方法。
【0064】
[実施形態10]
前記チェックアウト位置の後に前記食品を処理するための更なる処理ステーションを定め、前記食品または前記食品の断片用の定められた加工ステーションを選択し、選択された前記加工ステーションと前記UIIの認識を含むデータファイルを生成することを含む、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
【0065】
[実施形態11]
前記選択は、前記メタデータ中の情報に基づく、実施形態9または10に記載の方法。
【0066】
[実施形態12]
定められた前記更なる加工ステーションの特定の1つを選択し、前記UIIが少なくとも1つのチェックアウト画像から認識できないときに、当該特定の1つを前記食品または前記食品の断片に割り当てることを備える、実施形態10または11に記載の方法。
【0067】
[実施形態13]
前記チェックイン画像中の望ましくない食品の部分を識別し、前記望ましくない食品の部分を含まない前記画像の部分から少なくとも1つのUIIを生成することを備える、実施形態1から12のいずれかに記載の方法。
【0068】
[実施形態14]
前記チェックイン画像中の望ましくない食品の部分を識別し、前記望ましくない食品の部分を含む前記画像の部分から少なくとも1つのUIIを生成することを備える、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
【0069】
[実施形態15]
前記望ましくない食品の部分を含む前記画像の一部から少なくとも1つのUIIを識別し、前記認識に基づいて前記望ましくない食品の部分を含む食品または前記食品の断片を排除する、実施形態14に記載の方法。
【0070】
[実施形態16]
前記食品の断片への切り分けを定めるポーショニングプランを、前記チェックイン画像に基づいて定め、前記食品の断片のそれぞれに少なくとも1つのUIIを生成することを備える、実施形態1から15のいずれかに記載の方法。
【0071】
[実施形態17]
前記UIIは、前記食品の構造的固有性に基づいて生成されるか、前記食品または前記食品の断片の大きさまたは形状に基づいて生成されるか、前記食品の色または色分布に基づいて生成されるか、これらの組み合わせである、実施形態1から16のいずれかに記載の方法。
【0072】
[実施形態18]
前記食品は、野菜、果物、肉、鳥肉、魚、および水産物、またはこれらのスライスから構成される群から選択される、実施形態1から17のいずれかに記載の方法。
【0073】
[実施形態19]
前記食品は、サケの切り身等のサケである、実施形態1から18のいずれかに記載の方法。
【0074】
[実施形態20]
前記食品は、少なくとも第1カテゴリおよび第2カテゴリに分類され、前記分類は、前記チェックイン位置と前記チェックアウト位置との間で実行され、前記第1カテゴリの前記食品または前記食品の断片は、前記チェックアウト位置に導かれ、前記第2カテゴリの前記食品または前記食品の断片は、前記チェックアウト位置に導かれない、実施形態1から19のいずれかに記載の方法。
【0075】
[実施形態21]
前記チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、前記第2カテゴリに分類された食品または食品の断片のためのUIIを前記キューから削除することを備える、実施形態20に記載の方法。
【0076】
[実施形態22]
自動追跡能力を有する、食品を処理するためのシステムであって、
チェックイン位置から、少なくとも1つの加工ステーションおよびチェックアウト位置に、前記食品を移動させるように構成された少なくとも1つのコンベアと、
前記チェックイン位置に配置され、前記食品のチェックイン画像を撮影するように構成されたチェックインカメラと、
前記チェックイン画像から固有識別記号(UII’s)を生成するように構成された処理構造体と、
前記チェックアウト位置に配置され、前記食品または前記食品の断片のチェックアウト画像を撮影するように構成されたチェックアウトカメラと
を備え、
前記処理構造体は、少なくとも1つの前記チェックアウト画像から、生成された前記UIIを認識するように構成されている、システム。
【0077】
[実施形態23]
前記処理構造体は、前記チェックイン位置でチェックイン画像が取得された食品のUIIのキューを確立し、前記キューから、前記チェックアウト画像で認識されたUIIを削除するように構成されている、実施形態22に記載のシステム。
【0078】
[実施形態24]
前記処理構造体は、各UIIが生成されたときに前記各UIIにチェックイン時刻を割り当て、所定時間経過したときに前記キューからUIIを削除するように構成されている、実施形態23に記載のシステム。
【0079】
[実施形態25]
前記チェックイン位置から前記チェックアウト位置までの前記食品のリードタイムを決定するように構成されたセンサを備え、前前記所定時間を記リードタイムに基づいて動的に更新される、実施形態24に記載のシステム。
【0080】
(図面のリスト)
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1は、本開示に係るシステムの主要な構成要素を模式的に示す。
【
図2】
図2は、本開示に係るシステムの更なる詳細を示す。
【
図3】
図3は、識別可能な構造的固有性を有する食品を示す。
【
図4】
図4は、低品質の領域、例えば、望ましくない要素を有する食品を示す。
【
図5】
図5は、ポーショニングプランが重ねられた
図4の食品を示す。
【
図6】
図6は、チェックアウト画像で複数のUIIが生成された食品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
詳細な説明および具体例は、実施形態を示すものであるが、本開示の精神および範囲が詳細な説明から当業者に明らかになるため、例示のみを目的としている。
【0083】
図1は、S1,S2,S3と名付けられた3つのステーションを備えるシステムを模式的に示す。3つのステーションは、例えば、コンベアにより接続されてもよく、単に、テーブルの3つの異なる位置に配置された3つのステーションであってもよい。S1は、チェックイン位置を表してもよい。S2は、処理ステーション、例えば食品を処理するか他の方法で処理する加工ステーションを表してもよい。そのような処理の例としては、食品の選別、計数、マーキング、フィレッティング、トリミング、計量、バッチング、または任意の類似する種類の既知の処理が挙げられる。S3は、チェックアウト位置を表してもよい。
【0084】
図2は、
図1に模式的に図示されたそのようなシステムの一例を示す。
図2では、システム201は、さらに詳細に示されている。例示されたシステムは、食品202のオペレータ支援処理のために構成されているが、完全自動処理のために構成されてもよく、食品の単純な処理(例えば包装のための食品の単純な登録)のために構成されてもよい。
【0085】
図示されたシステムは、システムに進入した各食品が食品処理システムを出るときに認識されることを可能にする自動追跡機能を有する。図示された施設は、入口204から出口205に食品を搬送するコンベア203を備える。
【0086】
チェックイン位置206は、コンベアに沿って定められている。この位置には、チェックインカメラ207が、食品のチェックイン画像を撮影するように、配置されている。図示された実施形態では、チェックインカメラは、コンベアの上方に配置されており、食品の細部を認識するのに十分な光を提供するためにランプ208が配置されてもよい。カメラ207は、可視光の反射に基づいているが、代替的な実施形態では、カメラは、X線ベースまたは超音波ベース等であってもよい。
【0087】
チェックアウトカメラ209がチェックアウト位置210に配置されており、例えばランプ211等の支援により、食品または食品の断片のチェックアウト画像を撮影することができる。カメラ207,209は、対応するランプ208,211の前に配置されてもよいが、ランプがカメラの前または任意の他の適切な位置に配置されてもよい。
【0088】
チェックイン位置とチェックアウト位置との間では、処理ステーションで食品が処理される。この場合、処理ステーションは、2つの加工テーブル212,213を備える。代替的には、このような処理ステーションは、自動加工装置を備えてもよい。
【0089】
オペレータ214,215が、各加工テーブルに割り当てられてもよい。各テーブルおよび各オペレータは、例えば識別番号の形式で個々のIDを有している。
【0090】
コンピュータ216は、例えばローカルエリアネットワーク、すなわちLAN217を介して、チェックインカメラおよびチェックアウトカメラから撮影画像を受け取るように構成されたデータ入力部を備える。対応するソフトウェアコードを有するCPUは、処理構造体を形成し、チェックイン画像に基づいて固有識別記号(UII)を生成し、チェックアウト画像でそのUIIを識別するように構成されている。コンピュータ216は、製品カード218により象徴されるデータレコード218を生成してもよい。データレコードは、UIIと他の種類のデータ、例えば食品または食品の処理に関連するメタデータ、例えばオペレータのID等を含んでもよい。
【0091】
各テーブルは、オペレータが食品を識別し、食品に関連する情報を生成することを可能にする、例えばタッチスクリーン219,220の形式のコンピュータインターフェースを有してもよい。そのような情報は、オペレータのID、テーブルのID、または食品に関連する視覚的に観察された問題、例えばオペレータにより観察された品質パラメータを特定してもよい。情報は、LAN217によってコンピュータ216または他の場所、例えば監督者222がデータを確認することができる監督者コンピュータシステム221に送信されてもよい。データは、データレコード218にメタデータとして含まれてもよい。データ、例えばデータレコードに含まれるようなデータは、例えば、隣接する処理ステーションにエクスポートされてもよく、食品または食品の断片を消費者に至るまで追跡するためにエクスポートされてもよい。
【0092】
出口は、食品または食品の断片を、例えば更なる加工、包装、検査、または排除等のための隣接する処理ステーションに配送するために配置されてもよい。
【0093】
システムは、チェックアウト位置での食品または食品の断片の認識に応じて、食品が後続の加工ステーションの一方または他方に向けられるように、処理構造体により制御され得るダイバータを備えてもよい。一例として、処理構造体は、対応するUIIを有するN個の特定食品のリストを有してもよい。これらのN個の食品が特定顧客用に包装される場合、食品ダイバータは、これらの特定食品が特定顧客専用の包装ステーションに導かれるように処理構造体により制御されてもよい。特定食品がチェックアウト位置で認識できない場合、処理構造体は、予め選択された後続の加工ステーション、例えば、認識されなかった食品用の行動を決定できる人間オペレータを有する加工ステーションを使用してもよい。
【0094】
UIIは、食品の構造的固有性に基づいて生成されてもよい。このような構造的固有性の例としては、脂肪、骨、筋肉、繊維パターンの形状および大きさがある。UIIは、食品の形状または大きさに基づいて生成されてもよく、食品の色または色分布に基づいて生成されてもよい。
【0095】
特に、チェックイン画像は、この固有の特徴の最良な画像を得るために用意された食品の画像であってもよい。
【0096】
図3は、魚、特にサケの切り身を図示している。図示されたサケは切り身になっている。このプロセスは、肉および脂肪の構造を明らかにし、その構造は、UIIを定める固有の「指紋」を表す良好な画像を得るために使用され得る。切り身にすることが望ましい場合、システムは、特に、切り身の指紋構造を含むチェックイン画像を使用可能にするために、チェックイン位置よりも前にフィレッティングステーションを含んでもよい。
【0097】
ボックス301で示されたグレー領域は、通常、切り取られ、別の処理のために排除される。グレー領域301内のサケの断片は、チェックアウト位置を通過することが想定されていない食品として分類されてもよい。したがって、チェックアウト画像内の残りのUIIのより迅速にまたはよりロバストな識別を容易にするために、UIIのキューからそのような食品の断片からのUIIを除去することが目的である場合がある。
【0098】
図4に図示された食品は、チェックイン画像に撮影されている。処理構造体は、血痕402を識別する。そのような血痕は、一般的に望ましくなく、したがって通常加工中に切り取られる。
【0099】
上記切り取りはチェックイン位置からチェックアウト位置との間で実行されることがあるため、UIIを生成する目的のため血痕周辺の領域を使用しないか、食品の一部、すなわち画像の一部の除去に対してロバストな原則に基づいて少なくともUIIを生成することが望ましい。
【0100】
このような食品の望ましくない要素が除去される場合、チェックアウト画像内のUIIを認識する処理構造体の能力が損なわれることがある。したがって、処理構造体は、そのような望ましくない食品の部分を識別すると、血痕402の周囲に枠403を生成し、枠403を含まない画像の一部からUIIを生成するようにプログラムされる。
【0101】
図5は、
図4の食品を図示しているが、食品を断片に切断するための切断線501を定めるポーショニングプランが重ねられている。ポーショニングプランは、チェックイン位置とチェックアウト位置との間に配置されたポーショニングカッターを制御するために使用される。このプロセスに起因して、UIIを認識することが困難になることがあり、そのため、処理構造体は、ポーショニングプランにしたがって断片のそれぞれのためにUIIを生成するために構成されている。
【0102】
図6は、チェックイン画像中に複数のUIIが生成された食品を図示している。生成されたUIIは、61-90と固有に番号付けされており、食品の異なる固有の部分に関連している。代替的な実施形態では、UIIの少なくともいくつかは、食品の重なり合う部分に関連することがある。
【0103】
コンピュータ216は、同じ食品に関連するこれらのUIIの全てについて、同一の食品に属するUIIの間の関係を定めるUIIのセットを定めることがある。一例として、全てのUII61-90がUII1-61,1-62,1-63...1-90として定義されてもよく、これによりこれらが1番の食品に属することを定義してもよい。
【0104】
図7は、食品がチェックイン位置S1に進入してからチェックアウト位置S3から出るまでの期間として本明細書で定義されるリードタイムを示すタイムラインTを示している。システムの具体的なレイアウトに応じて、有限個の食品が、例えば同時にまたは連続して加工されている。システムの効率を高めるため、特に、チェックアウト画像から生成されたUIIを認識する処理構造体の能力を高めるために、処理構造体によって考慮される食品の数を減らすことが有益になる場合がある。
【0105】
図7では、Aが付された5つの食品がチェックイン位置S1に進入する。Bが付された7つの食品が処理されている。これらの5つが流れにあり、7つの食品の2つ、すなわちB’が付された食品がチェックイン位置S1とチェックアウト位置S3との間で現在待機している。食品を待機させる理由は、例えば、入ってくる食品のための加工ニーズが不均一であることに起因して、利用可能なリソースが不足するためである。複数の連続した食品が特定の加工を必要とする場合、食品を処理する能力により、加工が可能になるまで、食品の待機が必要となる場合がある。
【0106】
コンピュータ216は、Bが付された食品のUIIのキューが格納されるメモリを備えている。
【0107】
食品がチェックイン位置に到着するたびに、キューは新しいUIIで更新される。食品がチェックアウト位置から出て、特定のUIIを有するためにチェックアウト画像から認識される度に、対応するUIIがキューから削除される。このようにして、キューは、限られた数の利用可能なUIIのみを含み、UIIを正確に認識するための能力を高めることができる。この特徴は、UIIが特徴、例えば構造、大きさ、形状、または色に基づいて生成される場合に特に関連し、これらの特徴は、比較的少量の食品では統計的に良好な確率で固有であると考えられるが、多量の食品では固有であるとは考えられない。
【0108】
図7は、コンピュータに時計が組み込まれていることをタイムラインTで示している。この時計は、各UIIが生成されたときに各UIIにチェックイン時刻を割り当てる処理構造体の機能を示している。特定のレイアウトに関する知識に基づいて、食品が、通常所定の時点でシステムから出たと判断されてもよい。したがって、チェックイン時刻は、所定の期間が経過したときにUIIをキューから削除するために使用されてもよい。これは、例えば、何らかの理由で待機中の食品B’が排除された場合に発生する可能性がある。
【0109】
ある実施態様では、チェックインカメラとチェックアウトカメラは、コンベアベルトに沿って配置されたCCDカメラである。カメラは、処理構造体とデジタル画像を通信する。処理構造体は、チェックインカメラまたはチェックアウトカメラから固有のデータレコードにデジタル画像を変換可能なコンバータを提供する画像認識ユニットを有する。通信ユニットは、例えばラベルを認識するため、食品を後で認証するため、またはデータレコードをデータベースに格納するために、データレコードを他のコンピュータに出力可能である。
【0110】
内部では、データレコードは、メモリに保存されており、マイクロプロセッサ形式の画像信号処理ユニットが、チェックアウト画像とチェックイン画像が同じ食品からのものであるかどうかを検証する再構成処理を実行するように構成されている。マイクロプロセッサは、画像中の特徴を認識するために開発された標準的なソフトウェアと類似の技術で開発されたソフトウェアでプログラムされてもよい。このようなシステムは、例えば、顔検出または指紋認識のために広く開発されている。
【0111】
処理構造体は、カメラからの入力を処理するように構成されたフレームバッファおよび他の機能を有するビデオカードを含んでもよく、UIIは、例えば、顔認識、指紋認識等のために利用可能な標準的なプロセッサ機能に基づいて生成されてもよい。このようなプロセッサは、画像のUIIを表す固有のデータ文字列を提供してもよい。
【国際調査報告】