(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】プログラム可能なスイッチを使用した集積回路セキュリティ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20231201BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20231201BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20231201BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20231201BHJP
【FI】
H01L27/04 F
H10B63/10
H10N70/00 A
G06F21/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532352
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021082178
(87)【国際公開番号】W WO2022122340
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【復代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】レオバンドン,エフェンディ
【テーマコード(参考)】
5F038
5F083
【Fターム(参考)】
5F038DF04
5F038DF05
5F038DF10
5F038EZ01
5F038EZ14
5F083FZ10
5F083GA27
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083PR07
5F083PR40
(57)【要約】
集積回路内に備えられている複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたセキュリティキーが提供される。該複数のプログラム可能なスイッチが、該複数のプログラム可能なスイッチを導電性にするように設定される。リセットパルスが、該受信したセキュリティキーに基づいて、該複数のプログラム可能なスイッチに含まれるプログラム可能なスイッチの第1の組に適用される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路内に備えられている複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたセキュリティキーを1以上のコンピュータプロセッサによって受信すること;
前記複数のプログラム可能なスイッチが該複数のプログラム可能なスイッチを導電性にするように1以上のコンピュータプロセッサによって設定すること;及び、
前記受信したセキュリティキーに基づいて、前記複数のプログラム可能なスイッチに含まれるプログラム可能なスイッチの第1の組にリセットパルスを1以上のコンピュータプロセッサによって適用すること
を含む方法。
【請求項2】
前記複数のプログラム可能なスイッチが、不揮発性論理デバイスの1組を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のプログラム可能なスイッチが該複数のプログラム可能なスイッチを導電性にするように1以上のコンピュータプロセッサによって設定することが、
前記集積回路を、前記複数のプログラム可能なスイッチ内に含まれている相変化物質の結晶化温度よりも高い温度に、1以上のコンピュータプロセッサによって加熱すること;及び、
前記集積回路を周囲室温まで、1以上のコンピュータプロセッサによって冷やすこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記集積回路内に備えられている前記複数のプログラム可能なスイッチを設定することにより、該集積回路が機能しなくなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プログラム可能なスイッチの前記第1の組に前記リセットパルスを適用することが、前記プログラム可能なスイッチを開いて、該プログラム可能なスイッチを非導電性にする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セキュリティキーが、
プログラム可能なスイッチの前記第1の組とプログラム可能なスイッチの第2の組とで構成され;
前記複数のプログラム可能なスイッチのうち、前記集積回路が機能する為に開いていることが要求されるプログラム可能なスイッチの前記第1の組を定義し;及び、
前記複数のプログラム可能なスイッチのうち、前記集積回路が機能する為に閉じられることが要求されるプログラム可能なスイッチの前記第2の組を更に定義する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたピンの接続を1以上のコンピュータプロセッサによって断つこと;及び、
前記複数のプログラム可能なスイッチから電力を1以上のコンピュータプロセッサによって除去すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたピンの接続を1以上のコンピュータプロセッサによって断つことが、
閾値を超える電流を1以上のコンピュータプロセッサによって入力して、前記複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられた電子ヒューズを過負荷にし、その結果、前記複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられた配線に電気的開路をもたらすこと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記集積回路の寿命が、前記複数のプログラム可能なスイッチを構成する相変化物質の選択と、該集積回路が動作するであろう周囲温度とに基づいて制御されることができ;及び、
前記集積回路の前記寿命が、前記相変化物質が非晶質状態から、より安定した結晶質状態に自然に戻るまでの該集積回路の動作時間である、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プログラム可能なスイッチであって、
第1の電極及び第2の電極、ここで、前記第1の電極及び前記第2の電極は、第1の面において相変化物質によって分離されている;
前記相変化物質の第1の側の第1のヒーター;並びに、
前記相変化物質の第2の側の第2のヒーター、ここで、前記第1のヒーターと前記第2のヒーターとは、前記第1の面と直交する第2の面において前記相変化物質によって分離されて互いに向かい合う、
を備えている、前記プログラム可能なスイッチ。
【請求項11】
前記第1のヒーターと前記第2のヒーターとの両方に電流を印加することにより、前記相変化物質の状態に変化を起こす、請求項10に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項12】
前記印加された電流がリセットパルスであり、及び前記相変化物質の前記状態への変化が結晶質から非晶質である、請求項11に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項13】
前記印加された電流がセットパルスであり、及び相変化物質の状態への変化が非晶質から結晶質である、請求項11に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項14】
前記リセットパルスが、
前記相変化物質の温度をその融点よりも高い温度に上昇させる電流パルスであり、その後、該相変化物質に非晶質領域を形成する第1の冷却が行われる;及び、
メルトクエンチとして知られている、
請求項12に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項15】
前記セットパルスが、前記相変化物質の温度をその結晶化温度よりも高くする電流パルスであり、その後、十分に結晶化した相変化物質を作り出す第2の冷却が行われる、請求項13に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項16】
前記第1のヒーターと前記第2のヒーターに入力される電流の組み合わせを適用することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の導電率がNAND真理値表に従うように、前記相変化物質の状態を変化させる、請求項10に記載のプログラム可能なスイッチ。
【請求項17】
機能集積回路のバックエンドオブライン製造プロセスの間に、ビア及びワイヤと列を成して複数の不揮発性論理デバイスを形成すること、ここで、前記複数の不揮発性論理デバイスにおける各不揮発性論理デバイスは、
相変化物質によって分離された2つの電極;及び、
前記相変化物質の向かい合う2つの側に配置された2つのヒーター
を備えている;
前記複数の不揮発性論理デバイスの前記2つのヒーターに電気的に接続されたロック回路を形成すること、ここで、前記ロック回路は、前記機能集積回路のバックエンドオブライン配線と電気的に分離されている;並びに、
前記2つのヒーターの各々に電流を流すことにより、前記相変化物質の状態を変化させること
を含む方法。
【請求項18】
前記2つの電極及び前記ワイヤが銅から構成されていること;並びに、
前記ビアがタングステンで構成されていること
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記相変化物質が、テルル化ゲルマニウムアンチモン、テルル化ゲルマニウム、テルル化アンチモン、及びガリウムアンチモンから成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記2つのヒーターが、
前記2つのヒーターの各ヒーターを通じて流れる電流に基づいて発熱する抵抗ヒーターであり;
前記相変化物質から電気的に絶縁されており;及び、
前記相変化物質に熱的に結合されている、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に集積回路(すなわち、コンピュータチップ、又は単にチップ)の分野に関し、より特には、プログラム可能なスイッチを用いたコンピュータチップの為のセキュリティ機構を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータチップは、世界に革命をもたらした。これらのチップは、屋内のロボット掃除機から屋外のロボット芝刈り機まで、多くの消費者製品において使用されている。チップの製造方法の改善により、基本的な数学的機能のみを実行することができる最初の携帯型電卓から、片手で保持して操作できる今日の最新のスマートフォンへと進化した。コンピュータチップの売り上げは、今年、全世界で4,000億ドルを超えると予想されている。儲かる市場があるので、企業は自社のチップ設計が競合他社によってコピーされないように保護する方法を必要としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの実施態様は、プログラム可能なスイッチを使用してコンピュータチップのセキュリティ機構を提供する為の方法を含む。1つの実施態様において、集積回路内に備えられている複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたセキュリティキーが受信される。該複数のプログラム可能なスイッチは、該複数のプログラム可能なスイッチを導電性にするように設定される。該受信したセキュリティキーに基づいて、該複数のプログラム可能なスイッチに含まれるプログラム可能なスイッチの第1の組に、リセットパルスが適用される。
【0004】
1つの観点に従うと、方法が提供され、該方法は、集積回路内に備えられている複数のプログラム可能なスイッチに関連付けられたセキュリティキーを1以上のコンピュータプロセッサによって受信すること;該複数のプログラム可能なスイッチが該複数のプログラム可能なスイッチを導電性にするように1以上のコンピュータプロセッサによって設定すること;及び、該受信したセキュリティキーに基づいて、該複数のプログラム可能なスイッチに含まれるプログラム可能なスイッチの第1の組にリセットパルスを1以上のコンピュータプロセッサによって適用することを含む。
【0005】
他の観点に従うと、プログラム可能なスイッチが提供され、該プログラム可能なスイッチは、第1の電極及び第2の電極、ここで、該第1の電極及び該第2の電極は、第1の面において相変化物質によって分離されている;該相変化物質の第1の側の第1のヒーター;並びに、該相変化物質の第2の側の第2のヒーター、ここで、該第1のヒーターと該第2のヒーターとは、該第1の面と直交する第2の面において該相変化物質によって分離されて互いに向かい合う、を備えている。
【0006】
他の観点に従うと、方法が提供され、該方法は、機能集積回路のバックエンドオブライン製造プロセス(back end-of-line manufacturing process)の間に、ビア及びワイヤと列を成して複数の不揮発性論理デバイスを形成すること、ここで、該複数の不揮発性論理デバイスにおける各不揮発性論理デバイスは、相変化物質によって分離された2つの電極及び該相変化物質の向かい合う2つの側に配置された2つのヒーターを備えている;該複数の不揮発性論理デバイスの該2つのヒーターに電気的に接続されたロック回路を形成すること、ここで、該ロック回路は、該機能集積回路のバックエンドオブライン配線と電気的に分離されている;並びに、該2つのヒーターの各々に電流を流すことにより、該相変化物質の状態を変化させることを含む。
【0007】
本発明の好ましい実施態様は、単なる例示であり、以下の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施態様に従う、プログラム可能なスイッチ(PS:programmable switches)の在りうる位置を示すコンピュータチップの断面を図示する。
【
図2】
図2は、本発明の1つの実施態様に従う、PSの3次元(3D)構造を図示する。
【
図3】
図3は、本発明の1つの実施態様に従う、PS、関連付けられた回路、及びチップ回路の上面図を図示する。
【
図4】
図4は、本発明の1つの実施態様に従う、PSの上面図、及び様々な回路における電流の流れを図示する。
【
図5A】
図5Aは、本発明の1つの実施態様に従う、PSの上面図、様々な回路における電流の流れ、及び非晶質領域の形成を図示する。
【
図5B】
図5Bは、本発明の1つの実施態様に従う、PSの上面図、様々な回路における電流の流れ、及び複数の非晶質領域の形成を図示する。
【
図6】
図6は、本発明の1つの実施態様に従う、
図5A及び関連付けられた論理テーブルを図示する。
【
図7A】
図7Aは、本発明の1つの実施態様に従う、PSを製造する為の簡略化されたプロセスフロー図を図示する。
【
図7B】
図7Bは、本発明の1つの実施態様に従う、PSを製造する為の簡略化されたプロセスフロー図を図示する。
【
図7C】
図7Cは、本発明の1つの実施態様に従う、PSを製造する為の簡略化されたプロセスフロー図を図示する。
【
図7D】
図7Dは、本発明の1つの実施態様に従う、PSを製造する為の簡略化されたプロセスフロー図を図示する。
【
図8】
図8は、本発明の1つの実施態様に従う、PSを用いてコンピュータチップの為のセキュリティ機構を提供するフローチャート図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施態様は、世界中の多くの企業がコンピュータチップを製造していることを認識する。幾つかの事例においては、企業は独自のチップを製造し、他の事例においては、第1の企業が第2の企業に下請けに出して、それらのチップを製造し、又は電気的に試験することがある。今日、該チップに含まれる知的財産は、ロジッククロック方法(logic lock method)を使用することによって保護されることができる。本明細書では、追加の論理回路が既存の機能論理回路の間に挿入される。これらの追加の論理回路への入力はキーとして扱われ、キー無しには、該チップは意図した通りに機能しない。ロジッククロック方法には以下の幾つかの欠点がある。(i)貴重なチップのスペース(real estate)が該追加の論理回路によって占有される;(ii)該追加の論理回路は電力を消費する;及び、(iii)該追加の論理回路は該機能論理回路の動作に遅延をもたらしうる。該チップを保護し且つこれらの欠点を克服することができる保護方法が必要である。
【0010】
本発明の実施態様により、プログラム可能なスイッチ(PS)を使用してコンピュータチップにセキュリティ機構を提供する為のアプローチがあることが認識される。1つの実施態様において、任意の数のPSが、チップの標準的な該機能論理回路内に挿入される。PSは、相変化物質(PCM:phase change material)で構成されている。結晶質状態(crystalline state)において、PCMは高い導電性を有し、及びPSは「閉じている」(closed)とみなされる。非晶質状態(amorphous state)において、PCMは高抵抗(すなわち、低コンダクタンス)であり、及びPSは「開いている」(open)とみなされる。PCMの状態は、PSの一部として製造される近接ヒーター(proximity heaters)によって制御されることができる。該チップが適切に機能する為に、或る数のPSが「閉じている」べきであるとされ、及び或る他の数のPSが「開いている」べきであることを要求することによって、余分なスペース(real estate)を必要とせず、一定の電力を必要とせず、及び該チップの性能に影響を与えないセキュリティキーが該チップ内に設計されることができる。このセキュリティキーの利用は、知的財産が盗まれるのを防ぐ簡単な保護メカニズムを提供することによって、集積回路(すなわち、コンピュータチップ)の技術を向上させる。
【0011】
本明細書における「1つの実施態様」(one embodiment)、「1つの実施態様」(an embodiment)、「例示的実施態様」等への言及は、記載された実施態様が特定の特徴、構造、又は特性を含みうるが、全ての実施態様が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まない可能性があることを示すものである。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施態様に関連して記載されている場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施態様に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提示される。
【0012】
本明細書の以下の説明の目的の為に、用語「上方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「上に」、「下に」、及びその派生語は、図面において配向された、開示された構造及び方法に関するべきである。用語「重畳する」、「頂部」、「上に位置する」、又は「頂部に位置する」は、第1の要素、例えば第1の構造、が第2の要素、例えば第2の構造、の上に存在することを意味し、介在要素、例えば界面構造、が第1の要素と第2の要素との間に存在してもよい。語「直接接触」は、第1の要素、例えば第1の構造、と、第2の要素、例えば第2の構造、とが、2つの要素の界面で中間的な導電層、絶縁層又は半導体層を介すること無しに接続されていることを意味する。
【0013】
本明細書において言及される場合に、単数形として言及される或る要素はまた、複数形であるとみなされることができる。以下の例において、語「X」は、単一の「X」と2以上の「X」の両方、例えば、「プログラム可能なスイッチ」、「PS」及び「ビア」、を云う。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明されるであろう。
【0015】
図1は、本発明の1つの実施態様に従う、一般的に100と称される相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide semiconductor)コンピュータチップの例示的な断面である。
図1は、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0016】
一般的にCMOSチップは、2つの部分、すなわち、フロントエンドオブライン(FEOL:front-end-of-line)とバックエンドオブライン(BEOL:back-end-of-line)、で製造される。一般的に、FEOL処理において、夫々のデバイス(例えば、トランジスタ、キャパシタ、抵抗器等)がシリコンベース上でパターン形成される。BEOL処理は、該チップの金属相互接続層の形成を含む。BEOLは、コンタクト、絶縁層、金属レベル、及びチップからパッケージへの接続の為のボンディングサイトを備えている。本発明の好ましい実施態様のPSは、BEOLで製造される。
【0017】
1つの実施態様において、断面100は、M3金属102(ここで、M3は該チップの層4を指す)、誘電体104、M3/M2ビア106、誘電体108、プログラム可能なスイッチ(PS)110、M2金属112、M2/M1ビア114、誘電体116、誘電体118、M1金属120、M1/FETビア122(ここで、FETはフィールド効果トランジスタ(field effect transistor)である)、FETゲート124、FETソース126A、FETドレイン126B、及びシリコン128を備えている。FETソース126A、FETゲート124、及びFETドレイン126Bの組み合わせは、1つのFETを構成する。1つの実施態様において、PS 110以外の、断面100を構成する構造のバランスは、現在製造されているコンピュータチップ中に含まれている。
【0018】
1つの実施態様において、FETゲート124は、シリコン128で構成されるベース層の上に配置されている。FETソース126A及びFETドレイン126Bは、シリコン128中のドープされた領域であり、且つFETゲート124に隣接する。誘電体118は、シリコン及びFETの上に堆積される。誘電体118中に穴(すなわち、ビア)が形成され、そして、タングステン又は他の適切な材料で充填されて、M1/FETビア122(すなわち、M1金属120と、FETソース126A及びFETドレイン126Bのうちの一方との間の相互接続部)を形成する。化学的機械的平坦化(CMP:Chemical mechanical planarization)は、誘電体118上のM1/FETビア122の過剰分を除去する為に使用される。誘電体116は、デバイス上に堆積され、そして、M1金属120がその中に堆積されるところのトレンチを形成するようにパターン化されて、全体的な第1層の回路を形成する。次に、CMPが使用されて、誘電体116上のM1金属120の余剰分を除去する。このプロセスは、該構造の残りの金属層について繰り返される。PS 110がどのように製造されるかの議論が、本明細書において、
図7A~
図7Dの議論において後述されている。
【0019】
M3金属102、M2金属112、M1金属120は一般的に、銅及びアルミニウムのうちの1つで構成されている。M3/M2ビア106、M2/M1ビア114、及びM1/FETビア122は、夫々、誘電体108、誘電体116、及び誘電体118における穴であり、層の間の電気接続を提供する為にタングステンで充填されている。誘電体108、誘電体116、及び誘電体118は、該構造体の部分間の電気的絶縁を提供する材料である。二酸化ケイ素(SiO2)又は低誘電率を有する任意の材料が、チップ製造における誘電体材料として一般的に使用される。FETソース126A、FETゲート124、及びFETドレイン126Bは、FETデバイスを構成する3つの端子であり、それは、FETソース126AとFETドレイン126Bとを接続するチャネル内の電流の流れを制御する為の電場(electric field)を使用するトランジスタである。FETは一般的に、シリコン系のチャネルで構成されるが、他の材料、例えば、シリコンゲルマニウム合金及びIII-V族半導体、が使用されうる。
【0020】
図2は、本発明の1つの実施態様に従う、一般的に200と称されるPSの3D構造を図示する。
図2は、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0021】
1つの実施態様において、PS 200は、相変化物質(PCM)202、ヒーター204、ヒーター205、スペーサ側壁206、及びハードマスク208を備えている。PCM 202は、1つ又は2つの下記の状態、すなわち、結晶質状態及び非晶質状態、であることができる。結晶質状態において、PCM 202は導電性である。非晶質状態において、PCM 202は非導電性である。PCM202の例は、テルル化ゲルマニウムアンチモン(Ge2Sb2Te5)、テルル化ゲルマニウム(GeTe)、テルル化アンチモン(Sb2Te3)、GaSb(ガリウムアンチモン)等を包含するが、これらに限定されない。この実施態様において、テルル化ゲルマニウムが、PCM 202の為に使用される。ヒーター204及びヒーター205は、抵抗ヒーター(すなわち、電流がそれらを通じて流れる場合に熱を発するデバイス)である。例えば、ヒーター204及びヒーター205は、窒化タンタル(TaN)で構成されることができる。ヒーター204及びヒーター205は、
図2において示されているように、PCM 202の反対側で互いに向き合っている。一般的に、ヒーター204とヒーター205とを備えている面は、PCM 202の主面に直交している。ヒーター204及びヒーター205は、PCM 202から電気的に絶縁され、スペーサ側壁206によってPCM 202に熱的に結合される。従って、スペーサ側壁206は、電気絶縁体及び熱伝導体の両方である。スペーサ側壁206の例は、窒化アルミニウム(AlN)及び六方晶窒化ホウ素(hex-BN)を包含するが、これらに限定されるものでない。この実施態様において、窒化アルミニウムがスペーサ側壁206の為に使用される。ハードマスク208は、製造プロセスの間にPCM 202を画定する(すなわち、エッチングする)為に使用される。ハードマスク208はまた、ヒーター204、ヒーター205、スペーサ側壁206、及びハードマスク208の頂部が全て概ね同じレベル(すなわち、同じ面上)になるように行われる化学的機械的平坦化(CMP)プロセス中の「ストップ層」として役立つ。
【0022】
図3は、本発明の1つの実施態様に従う、一般的に300と称されるPSの上面図を図示する。
図3は、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0023】
1つの実施態様において、PS 300は、先に説明された、PCM 202、ヒーター204、ヒーター205、及びスペーサ側壁206を備えている。また、PS 300には、以下の新しい特徴、すなわち、PS入力302A、PS出力302B(それらは、PCM 202によって分離された2つの電極である)、ヒーター204入力304A、ヒーター204出力304B、ヒーター205入力305A、及びヒーター205出力305Bが含まれている。PS入力302A、PS出力302B、ヒーター204入力304A、ヒーター204出力304B、ヒーター205入力305A、ヒーター205出力305Bは、電流を流す配線(すなわち、電極)入力である。入力電流及び出力電流には固有の方向性がないことに留意されたい。しかしながら、この実施態様において、電流はヒーター204入力304Aに沿ってヒーター204に流れ、ヒーター204出力304Bに沿ってヒーター204から流出する。同様に、1つの実施態様において、電流はヒーター205入力305Aに沿ってヒーター205に流れ、ヒーター205出力305Bに沿ってヒーター205から流出する。PS 202の導電性(すなわち、スイッチを開けること又は閉じること)、すなわちPS 202を流れる電流を制御することは、ヒーター204及びヒーター205がどのように加熱若しくは冷却又は加熱且つ冷却されるかによって制御される。PS入力302A及びPS出力302Bは、該チップの該機能論理回路の一部である。ヒーター204入力304A、ヒーター204出力304B、ヒーター205入力305A、及びヒーター205出力305Bは、ヒーター204及びヒーター205に専用の回路であり、これらの回路はデバイスの該機能論理回路から独立している。PS入力302A及びPS出力302Bは、
図1のM1金属120、M2金属112、M3金属102、M1/FETビア122、M2/M1ビア114、及びM3/M2ビア106のいずれかであることができる。
【0024】
図4は、一般的に400と称されるPSを図示し、本発明の1つの実施態様に従う、PSの電流の流れとPS 300を備えている該機能論理回路の電流の流れとを示す、
図3のPS 300の上面図を図示する。
図4は、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0025】
1つの実施態様において、電流の流れ402Aで示されているように、電流はPS入力302Aに沿ってPS 300に運ばれ、該電流はPCM 202(すなわち、PS 300の一部)を通じて流れ、そして、該電流は、(電流の流れ402Bによって示されているように)PS出力302Bに沿ってPCM 202から流出する。電流の流れ402A及び電流の流れ402Bは、コンピュータチップの動作電流の一部である。ここで、PS 300が「閉じている」場合に、電流の流れ402A及び電流の流れ402Bによって示されているように、電流はプログラム可能なスイッチを通過することができる。PS 300が「開いている」場合に、電流の流れ402A及び電流の流れ402Bのいずれかを通じて電流が流れない。電流の流れ404Aによって示されているように、電流はヒーター204入力304Aに沿ってヒーター204に運ばれ(それにより、ヒーター204はPCM 202に熱を与える)、ヒーター204から出た電流は、(電流の流れ404Bによって示されているように)ヒーター204出力304Bに沿って流れる。電流の流れ405Aによって示されているように、電流はヒーター205入力305Aに沿ってヒーター205に運ばれ(それにより、ヒーター205はPCM 202に熱を与える)、ヒーター205の電流出(current out)は、(電流の流れ405Bによって示されているように)ヒーター205出力305Bに沿って流れる。
【0026】
1つの実施態様において、PCM 202が初期に結晶質状態にあり、及び電流の流れ404A及び電流の流れ405Aがリセットパルスである場合に、PCM 202における結晶領域は状態が変化し、そして、非晶質になる。該リセットパルスは、PCMの温度をその融点を超える温度に上昇させ、引き続き、PCMのクエンチング(すなわち、急冷をもたらす電流の高速減少)を行う電流の流れ(すなわち、パルス)である。急速冷却は、PCMが結晶化するのに十分な時間を与えず、非晶質領域をもたらす。このプロセスはまた、「メルトクエンチ」(melt-quench)として知られている。PCM 202が初期に非晶質状態にあり、及び電流の流れ404A及び電流の流れ405Aがセットパルスである場合に、PCM 202における非晶質領域は状態が変化し、そして、結晶質になる。該セットパルスは、PCMの温度を該PCMの結晶化温度を超える温度に上昇させ、引き続き、PCMの温度をゆっくりと下降させる電流の流れである。この設定処理によりPCMは非晶質状態から結晶質状態に変化する。1つの例として、Ge2Sb2Te5(ゲルマニウムアンチモンテルル合金)の場合、結晶化温度は約160℃であり、及び融点は約600℃である。別の例として、テルル化アンチモン(Sb2Te3)及びテルル化ゲルマニウム(GeTe)の融点は夫々約620℃及び725℃である。
【0027】
図5Aは、本発明の1つの実施態様に従う、
図3のPS 300、関連付けられた回路、及び
図4の電流の流れ、並びにPCMの非晶質領域を図示する、一般的に500と称されるPSを図示する。
図5Aは、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0028】
1つの実施態様において、電流の流れ404A(リセット電流パルス(reset current pulse))がヒーター204を通じて流れる(すなわち、電流はヒーター204入力304Aに沿って流れ込み、そして、ヒーター204出力304Bに沿って流れ出る)場合に、ヒーター204は熱パルスを発し、PCM 202の構造がヒーター204に隣接する非晶質領域502を形成することを開始させる。従って、ヒーター204が加熱する(電流の流れ404Aによって引き起こされる)場合に、ヒーター204に近接する非晶質領域502が、PCM 202において形成される。PCM 202における非晶質領域502は、PCM 202の全幅にわたって延在しないので、電流の流れ402Aは依然としてPCM202を通じて流れることができる(すなわち、PCM 202の一部は結晶質のままであり、それ故に、高導電性で、PSは「閉じている」状態を維持する)。
【0029】
図5Bは、本発明の1つの実施態様に従う、
図5AのPS 500、及び第2の非晶質領域を図示する、一般的に550と称されるPSを図示する。
図5Bは、1つの実装の例示に過ぎず、実装されうる異なる実施態様に関していかなる制限も意味しない。図示された実施態様に対する多くの変更が、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱すること無しに当業者によってなされうる。
【0030】
1つの実施態様において、非晶質領域502は、上述されたように形成される。同様に、電流の流れ405A(リセット電流パルスでもある)がヒーター205を通じて流れ(すなわち、電流はヒーター205入力305Aに沿って流れ込み、そして、ヒーター205出力305Bに沿って流れ出る)、ヒーター205に熱パルスを与え、PCM 202において非晶質領域552を結果として形成する。ここで、非晶質領域502と非晶質領域552とが合体するので、PCM 202の結晶部分を通る電流経路は利用することができず、PSは現在「開いている」。
【0031】
従って、セットパルスとリセットパルスを適切なプログラム可能なスイッチで利用することによって、各PSはセキュリティキーに従って個別に「閉じている」又は「開いている」ことができる。該セキュリティキーに従った場合、該チップは十分に機能する。該セキュリティキーが正確に守られていない場合、該チップは機能しない。
【0032】
図6は、一般的に600と称されるPSを図示し、該PSは、単一の非晶質領域552を有する
図4のPS 400である。
図6に含まれているNAND真理値表602を実装する論理デバイスとしてどのようにPSが機能しうるかについての議論において、PS 600が使用されるであろう。
【0033】
1つの実施態様において、PCM202の初期状態は、結晶質であり、従って、導電性である。電流がヒーター204及びヒーター205を通じて流れない(すなわち、電流の流れ404A及び電流の流れ405Aが両方ともゼロである)場合に、PCM 202は十分に結晶のままであり、PS 600は導電性のままである。このことは、「入力」404A及び「入力」405Aが共に「0」であり且つ「出力」402Bが「1」である(すなわち、PS 600が導電性である)ことがNAND真理値表602において示されている。電流の流れ404Aがゼロであり且つ電流の流れ405Aがリセットパルスである場合、単一の非晶質領域がPCM 202において形成される。このことは、「入力」404Aが「0」であり(すなわち、電流なし)であり且つ「入力」405Aが「1」である(すなわち、リセットピューレ)であることがNAND真理値表602において示されている。この状況において、非晶質領域552がヒーター205に隣接して形成される。該パルスが逆である場合(すなわち、「入力」404Aが「1」であり且つ「入力」405Aが「0」である)、非晶質領域552は形成されず、ヒーター204に隣接する非晶質領域PCM 202(
図6には示されていないが
図5Aにおいて示されている)によって置き換えられるであろう。いずれの場合も、PS 600は、NAND真理値表602において示されているように導電性を維持する(すなわち、「入力」404A及び「入力」405Aのうちの一方が「0」であり、他方は「1」であり、PSが閉じていることを示す「出力」402Bが「1」の結果を生じる)。最後に、電流の流れ404A及び電流の流れ405Aの両方がリセットパルスである場合に、非晶質領域552がヒーター205に隣接して形成され、別の非晶質領域がヒーター204(
図6には示されていないが
図5Bにおいて示されている)に隣接して形成される。2つの非晶質領域が合体する為に、PS 600は非導電性になり、PSは開いている。このことは、「入力」404A及び「入力」405Aの両方が「1」であり、対応する「出力」402Bが「0」であることがNAND真理値表602において示されている。
【0034】
図7A~
図7Dは、PSの形成の簡略図を図示する。
図7Aにおいて、該相変化物質(すなわち、PCM 202)は、既存の金属層(すなわち、M2金属112)内に形成された間隙に堆積される。PCM 202の余剰分は、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etching)を使用して、PCM 202のみを残して除去されることができる。良好な熱伝導体及び貧弱な電気伝導体の両方である絶縁物質がブランケット堆積され、スペーサ側壁206が、反応性イオンエッチングプロセスを使用して絶縁物質から形成される。PCM 202を画定する為に使用されたハードマスク208は、PCM 202の上に残っていることに留意されたい。
【0035】
図7Bにおいて、誘電体702(
図1における誘電体116に相当)は、PS構造体の上に堆積される物質である。誘電体702の上面は、誘電体702の上部とハードマスク208の上部が同一面であることを結果としてもたらす化学的機械平坦化(CMP)プロセスを使用して平坦化される。
【0036】
図7Cにおいて、誘電体702におけるトレンチは、エッチングプロセスによってPCM 202の両側において作成される。このことは、単に、スペーサ側壁206に隣接する誘電体702の一部を除去することである。
【0037】
図7Dにおいて、ヒーター204及びヒーター205は、以前に作成されたトレンチを抵抗性物質、例えば窒化タンタル(TaN)、で充填することによって形成される。構造体全体は、CMPプロセスを使用して再び平坦化され、構造体の特徴の全ての上面が同じ面を結果として生じる。
【0038】
図8は、任意の数のプログラム可能なスイッチによって保護されているコンピュータチップをユーザが「アンロック」(unlock)する為の方法論を図示するワークフロー800のフローチャート図である。1つの実施態様において、ワークフロー800は、適切なセキュリティキーにアクセスするユーザによって実行される。
【0039】
1つの実施態様に従うと、工程802で、ユーザはデバイスを「設定」する。言い換えれば、該ユーザは、コンピュータチップ(すなわち、集積回路)中に備えられている複数のプログラム可能なスイッチ(PS)の各々を設定する。1つの実施態様において、チップ上の各PS(多数のプログラム可能なスイッチが存在することができる)の実際のプログラミングは一般的に、該チップ上の別の回路によって行われる。幾つかの実施態様において、該回路は、後述されているように該ユーザからセキュリティキーを受け取り、そして、1以上のコンピュータプロセッサを介してデバイスを設定するところのステートマシン又はマイクロコントローラを備えていてもよい。1つの実施態様において、該ユーザは、PS内の相変化物質(PCM)を結晶化させて導電性構造を形成させる各PSについてのセットパルスを使用することによって各PSを設定する。別の実施態様において、該ユーザはチップ全体をPCMの結晶化温度よりも高い温度に加熱し、そして、該チップを周囲室温まで冷却する。このプロセスにより、全てのPSが導電性に設定される。該デバイス(すなわち、コンピュータチップ)が設定された後、PSの全ては導電性であるが、該チップは機能しなくなる。更に、「設定」されたプログラム可能なスイッチは、導電性で電流が流れる為に、「閉じている」とみなされる(「閉じている」(すなわち、「オン」の位置に配置されている)場合に照明が点灯し、及び「開いている」(すなわち、「オフ」の位置に配置されている)場合に照明が消灯するところの照明スイッチに類似する)。例えば、300個のPSを持つチップの場合、300個の全てが閉じるように「設定」される。
【0040】
1つの実施態様において、該ユーザは工程804においてセキュリティキーを受け取る。言い換えれば、該ユーザは、コンピュータチップに関連付けられたセキュリティキーを受け取る、又は取得する。1つの実施態様に従うと、該セキュリティキーは、該チップが正しく機能するように、どのPSが「開いている」べきであり、且つどのPSが「閉じている」べきかを定義する。該セキュリティキーは、チップ製造者であってもよいチップ設計者によって提供される。この例において、該デバイスが機能する為には、300個のPSのうちの第1の組は「閉じている」ままであるべきであり、一方、300個のPSのうちの第2の組は「開いている」(すなわち、非導電性にされる)べきであることを、該セキュリティキーは記載する。
【0041】
1つの実施態様に従うと、工程806において、該ユーザは、該デバイスが機能する為に「開いてい」なければならないプログラム可能なスイッチを識別する。言い換えれば、該ユーザは、PCMの状態を結晶質から非晶質に変えることによって非導電性になるようにリセットされなければならないPSのリストを該セキュリティキーから識別する。該識別することは、該ユーザが該セキュリティキーを入力することで行われることができ、及び該マイクロコントローラは、様々なPSを識別し、更に、必要なときにPSをプログラムする。例において、300個のプログラム可能なスイッチ(すなわち、「1」~「300」)のうち、奇数番号に関連付けられたPSが「開いている」必要がある(すなわち、PS番号「1」、「3」、「5」、・・・、「297」及び「299」)。
【0042】
1つの実施態様において、工程808において、該ユーザは、該デバイスが機能する為に「閉じられてい」なければならないプログラム可能なスイッチを識別する。言い換えれば、該ユーザは、PCMの状態を非晶質から結晶質に変えることによって導電性になるようにセットされなければならないPSのリストを該セキュリティキーから識別する。ここで、該デバイスは以前の工程で「セット」されたので、「セット」されなければならないPSのこのリストに関して、該ユーザによるアクションは必要でない。各PSの初期状態が不明であり、且つ該ユーザが該デバイスの「セット」工程を実行しなかった状況において、どのPSが「セット」(すなわち、閉じる)されるべきかを知ることが重要であろう。例において、300個のプログラム可能なスイッチ(すなわち、「1」~「300」)のうち、偶数番号に関連付けられたPSが「閉じている」必要がある(すなわち、PS番号「2」、「4」、「6」、・・・、「298」及び「300」)。一般的に、該プログラム可能なスイッチの位置は、この例において使用されているような「奇数」と「偶数」というよりは寧ろ、完全にランダムであろう。
【0043】
1つの実施態様に従うと、工程810において、リセットパルスが適切なプログラム可能なスイッチに印加される。言い換えれば、該デバイスが機能する為に「開いてい」なければならないPSの組を識別することに応答して、該ユーザは、リセットパルスを上記PSの各々に印加する。1つの実施態様において、該リセットパルスは、PCMの状態を結晶質(及び導電性)から非晶質(及び非導電性)に変更する。一旦完了すると、PSの各々は「開いている」。例において、リセットパルスは、奇数番号のPSの各々に印加される。
【0044】
1つの実施態様において、工程812において、各PSに関連付けられたピンが、電子ヒューズを用いて接続を断たれる。言い換えれば、各PSは、その関連付けられた入力ピンから電気的に絶縁される。1つの実施態様に従うと、該ユーザは、各PSに関連付けられた配線(すなわち、回路)内に組み込まれた電子ヒューズを「過負荷」させる閾値を超える入力電流を提供し、従って、該配線に電気的な開通を生じさせる。該ピンと該関連付けられたPSとの接続を断った結果として、夫々のPSはもはや「セット」する又は「リセット」する(すなわち、「閉じられる」又は「開かれる」)ことができない。該デバイスは、(PSが該セキュリティキーに従って「開かれた」又は「閉じられた」と仮定して)永久に機能するようにセットされる。別の実施態様に従うと、電子ヒューズの使用は任意であり(すなわち、電子ヒューズをPSに関連付けられた配線に含める必要はない)、及び該電子ヒューズを含めないことによってプログラム可能なスイッチの動作が影響を受けることはない。例において、該ユーザは、閾値を超える電流を入力することによって、300個のPSの各々に関連付けられた電子ヒューズの各々を過負荷にさせる。
【0045】
1つの実施態様に従うと、電力は、工程814において、全てのプログラム可能なスイッチから除去される。言い換えれば、PSの全てが該セキュリティキーに従って「開いている」又は「閉じている」にセットされ、該電子ヒューズがPSの全てについて開かれていると(そのように装備されている場合)、PSが機能する為に一定の電力は必要ないので、電力が該デバイスから除去される(すなわち、PSは十分に非晶質のPCMについてはセットパルス、又は十分に結晶質のPCMについてはリセットパルスが印加されるまでその状態を維持するであろう)。
【0046】
該プログラム可能なスイッチを実装する為に相変化物質を使用することにより、幾つかの利点が提供される。第1に、電子ヒューズが開かれない限り、PSは該セキュリティキーに従って複数回開閉されることができる。例えば、チップ製造業者は、チップを製造し、該チップを社内で電気的にテストし、該チップを無効にし、非信頼企業(non-trusted company)による目視検査の為に該チップを送り、該チップを受け取り、該チップを有効にし、社内で再び電気的にテストし、該チップを無効にし、別の非信頼企業に識別マーキングを行う為に該チップを送り、該チップを受け取り、該チップを有効にし、そして、モジュールへの該チップの包装を継続しうる。
【0047】
PCMを用いる第2の利点は、該チップを無効にする為に該チップの電気的プロービング(electrical probing)を必要としないことである。プロービングはまた該チップに意図しない損傷を与える可能性がある故に、PCMの結晶化温度を越える温度で該チップをアニールするだけで、全てのPSが結晶化して導電性になり、それは該チップを使用不能にする。
【0048】
PSの第3の利点は、該チップ内にどのレベルの金属でも配置されることができることである。
図1は、M3金属102、M2金属112、M1金属120、M3/M2ビア106、M2/M1ビア114、及びM1/FETビア122でのPS挿入を示す。更に、PSは、既存の論理回路の間に挿入されるべき追加の論理回路を必要とするロジッククロックによって必要とされる領域と比較して、より少ないチップの「スペース」(real estate)を必要とする。
【0049】
PSの第4の利点は、「開いている」又は「閉じている」に一旦設定されると、PSは電力無しにその状態を維持するであろうことである。これは、PSが不揮発性メモリ(すなわち、メモリを保持する為に一定の電力を必要としない)を形成する為である。これは、適切に機能する為に電源を供給される必要がある現在のロジッククロック方式と異なる。
【0050】
PSの第5の利点は、PCMの選択に基づいて、PSが「開いている」を維持する期間が制御されることができる(すなわち、集積回路の寿命を制御できる)ことである。この持続時間(duration)は、相変化物質が非晶質相中にとどまった後、より安定な結晶質相へと自ら(すなわち、自然に)移行する(すなわち、復帰する)までの平均時間(すなわち、動作時間又は寿命)である。この保持時間(retention time)は、周囲温度と物質の組成(すなわち、用途の為に選択された特定のPCM)に依存する。この時間は、少なくとも10年から数分まで調整されることができる。該保持時間を制御する能力により、製造者はチップを特定の使用期間まで有効にすることができ、それ以降はチップの機能が停止する可能性がある。
【0051】
本明細書において使用されている語は、特定の実施態様を説明する目的のみのものであり、本発明を限定することを意図するものでない。本明細書において使用される場合、単数形「1つ」(a)、「1つ」(an)及び「該」(the)は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形をまた含むように意図されている。本明細書において使用される場合、語「含む」(comprises)若しくは「含んでいる」(comprising)又はそれらの組み合わせは、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、若しくはコンポーネント又はそれらの組み合わせの存在を規定するが、1以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、コンポーネント、若しくはそれらの組み合わせの存在或いは追加、又はそれらの組み合わせを排除しないことが更に理解されるであろう。
【0052】
チップが有効化及び無効化されることを可能にするPCMベースのPS、PSを製造するプロセス、及び無効化されているチップを「アンロックする」(unlocking)為の方法(それらは例示であって限定するものでない)の実施態様を説明したが、上記の教示に照らして当業者によって修正及び変形がなされうることに留意されたい。それ故に、添付の特許請求の範囲によって概説される本発明の範囲内にある、開示された特定の実施態様において変更がなされうることが理解されるべきである。
【国際調査報告】