(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】多層絶縁を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231201BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231201BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20231201BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532367
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021084048
(87)【国際公開番号】W WO2022117762
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】クロス デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ スチュアート マイケル ルアン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン ジョン アントニー
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】メリス ゲルゲリー
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB28
4B162AC10
4B162AC12
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4B162AD02
4B162AD08
4B162AD15
4B162AD16
4B162AD20
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーター(106)と、ヒーター(106)の少なくとも一部の周りに配設された複数の断熱の層(108)であって、ヒートスプレッダ層を備える複数の断熱の層(108)と、を備え、ヒートスプレッダ層がエアロゾル発生装置(100)のハウジング(102)を備える、エアロゾル発生装置(100)。熱を拡散することによって、ヒートスプレッダ層は、ハウジングの外表面上のホットスポットの形成を防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターの少なくとも一部の周りに配設される複数の断熱の層であって、ヒートスプレッダ層を備える、複数の断熱の層と、を備え
前記ヒートスプレッダ層が、前記エアロゾル発生装置のハウジングを備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記複数の断熱の層が、第一の断熱層および第二の断熱層をさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記複数の断熱の層が、放射反射体層をさらに備える、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記放射反射体層が、前記第一の断熱層および第二の断熱層の間に配設される、請求項2に依存する時に、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記ヒートスプレッダ層が、前記複数の断熱の層の最も外側の層である、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記ヒートスプレッダ層が、少なくとも200W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成される、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記ヒートスプレッダ層が、少なくとも300W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成される、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記ヒートスプレッダ層が、少なくとも400W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成される、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記ヒートスプレッダ層が、異方性であってもよく、これにより前記ヒートスプレッダ層に対して実質的に平行な方向での前記熱伝導率が、前記ヒートスプレッダ層に対して実質的に垂直な方向での熱伝導率と比較してより高い、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記ヒートスプレッダ層に対して実質的に平行な方向での前記熱伝導率が少なくとも700W/m・Kである、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記ヒートスプレッダ層が黒鉛を含む、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記第一の断熱層および第二の断熱層の前記熱伝導率が0.050W/m・K以下、好ましくは0.040W/m・K以下、より好ましくは0.030W/m・K以下である、請求項2~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置内の前記複数の断熱の層の全体的な厚さが、2mm未満である、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
エアロゾル発生物品を受容するための空洞をさらに備える、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記くぼみがヒーターを備える、請求項14に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
前記複数の断熱の層が、前記空洞の遠位端を横切ってさらに配置される、請求項14または15に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記複数の断熱の層が、前記空洞の実質的に全体を包囲する、請求項14~16のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項18】
前記ヒーターへの前記電力の供給を制御するように構成された電源および制御回路をさらに備え、前記複数の断熱の層の少なくとも一部分が、前記ヒーターと前記制御回路との間に配設される、請求項1~17のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項19】
前記ヒーターが、エアロゾル発生物品を受容するように配設された内部空間を備える管状ヒーターである、請求項1~18のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項20】
前記管状ヒーターが、前記管状基体上またはその中に配置された発熱体を有する管状基体を備える、請求項19に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項21】
前記発熱体が、前記管状基体の外部表面上に配置される、請求項20に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項22】
前記複数の断熱の層のうちの一つ以上を、エアロゾルをユーザーに搬送するための気流経路から分離するためのバリアをさらに備える、請求項1~21のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項23】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~22のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置に関する。具体的には、本開示は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生し、エアロゾルをユーザーの口の中に送達するように構成される、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生装置に関するが、排他的ではない。本発明は、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体が加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル発生装置は、当技術分野で知られている。こうした装置は、典型的に、電池および制御電子回路を保持するハウジングと、エアロゾル形成基体を受容または保持するための部分または空洞と、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように配設された電気ヒーターと、発生したエアロゾルをユーザーに送達するためのマウスピースと、を備える。
【0003】
エアロゾル形成基体は、例えば、たばこロッドまたはたばこプラグの形態にある、固体エアロゾル形成基体とすることができる。固体エアロゾル形成基体は、基体の外部または基体の内部に位置付けられたヒーターを使用して加熱することができる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体とすることができる。この場合、ヒーターは典型的に、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から発熱体へと移動する細長いウィックの周りに巻かれたワイヤのコイルの形態の発熱体を備える。
【0004】
電気的に作動するエアロゾル発生装置で遭遇する可能性がある問題は、ヒーターから外側ハウジングへと熱が伝達することに起因して、装置の外側ハウジングが高温になる可能性があることである。特に、ヒーターのすぐ上にある外側ハウジングの領域は、特に高温になる場合があり、外側ハウジング上にいわゆる「ホットスポット」を作り出す場合がある。こうした装置ではヒーターは、装置の外側ハウジングにより近いため、問題は、ヒーターがエアロゾル形成基体の外部に位置付けられる装置でより顕著である。外側ハウジングの温度が摂氏50度を上回って上昇すると、エアロゾル発生装置は、ユーザーにとっては保持するのが不快になる可能性がある。
【0005】
ヒーターから装置のハウジングへの熱伝達を低減するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。装置の使用全体を通して、保持するのが快適なままであるエアロゾル発生装置を提供することも望ましいことになる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施例によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、ヒーターの少なくとも一部の周りに配設された複数の断熱の層を備えてもよい。複数の断熱の層は、ヒートスプレッダ層を備えてもよい。
【0007】
本開示の実施例によると、エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターと、ヒーターの少なくとも一部の周りに配設された複数の断熱の層とを備えるエアロゾル発生装置が提供され、複数の断熱の層は、ヒートスプレッダ層を備える。
【0008】
本明細書で使用される場合、「ヒートスプレッダ」または「ヒートスプレッダ層」という用語は、熱源とヒートシンクまたは二次的な熱交換器との間で熱を伝達する熱交換器を指し、その表面積および幾何学的形状は一般的に熱源のものより大きい。ヒートシンクまたは二次的な熱交換器は、空気または周囲の雰囲気であってもよく、またヒートスプレッダは、例えば、単一片または材料のシートであってもよい。その場合、ヒートスプレッダは、シートの面積全体にわたって熱を分散することによって機能する。ヒートシンクまたは二次的な熱交換器は、熱源より低い温度である別の物体とすることができる。
【0009】
有利なことに、ヒートスプレッダ層は、その面積全体にわたって熱を拡散させて、外側ハウジングの表面上のホットスポットの形成を低減するのに役立つ。単一の断熱の層とは対照的に、複数の断熱の層を使用する利点は、異なる断熱層の異なる特性を活用することができることである。例えば、上述の配設では、複数の断熱の層のヒートスプレッダ層が、熱の拡散を容易にする一方で、複数の断熱の層の中の別の断熱層は、熱の装置の外側ハウジングへの伝達を低減または減速するのを支援する。これは、したがって、単一の断熱層だけしか使用しないのと比較して、装置の断熱特性を改善する。エアロゾル発生装置は、装置の外部の温度がより低く、かつホットスポットの発生が低減されるため、保持するのがより快適である。加えて、断熱を収容するための手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生装置内の空間は限定される。発明者らは、複数のより薄い断熱の層を使用することは、単一のより厚い絶縁の層を使用することと比較して改善された熱的性能を達成することを見出した。
【0010】
エアロゾル発生装置の外側ハウジングへの熱伝達を低減するさらなる利点は、エアロゾル形成基体を加熱するために装置によってより多くの熱が保持され、エアロゾル発生の改善につながることである。
【0011】
複数の断熱の層は、第一の断熱層を備えてもよい。複数の断熱の層は、第二の断熱層を備えてもよい。有利なことに、第一の断熱層および第二の断熱層の各々は、ヒーターからエアロゾル発生装置の外側ハウジングへの伝導および対流を介した熱伝達を低減するのに役立つ。
【0012】
複数の断熱の層は、放射反射体層をさらに備えてもよい。本明細書で使用される場合、「放射反射体」という用語は、熱的な放射を反射する物体を指す。例えば、放射反射体は、熱的な放射を反射する材料のシートを含んでもよい。その結果、放射反射体は、入射熱放射の一部分が反射体を通過するのを遮断または防止することによって、放射による熱伝達を低減する。したがって、放射反射体は、放射反射断熱材として作用する。
【0013】
有利なことに、放射反射体は、放射を介したエアロゾル発生装置の外側ハウジングへの熱伝達を低減するのに役立つ。
【0014】
放射反射体はヒーターから間隙を介することが好ましい。
【0015】
放射反射体層は、第一の断熱層および第二の断熱層の間に配設されてもよい。この配設は、放射反射体がヒーターと直接接触の状態になることを防止し、放射反射体を通した伝導を介した熱伝達を回避する。これはまた、放射反射体と直接接触しているヒーターによって引き起こされる場合がある、放射反射の反射表面の潜在的な変色または劣化を低減するのにも役立つ。加えて、この配設は、熱を戻すように反射する物体を提供し、すなわち、ヒーターおよび放射反射体の内側に配設された第一の断熱層および第二の断熱層のうちの一つは、放射反射体から反射した熱を受容することができる。
【0016】
放射反射体は、反射表面を生成する能力を有する任意の適切な材料から作製されてもよい。適切な材料としては、金属、金属合金、金属化ポリマー、ガラス、またはセラミックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
複数の断熱の層は、半径方向の断熱を提供するために、ヒーターの外部表面の実質的にすべての周りに配設されてもよく、またはヒーターの外部表面の実質的にすべてを囲んでもよい。複数の断熱の層の寸法は、ヒーターの寸法より大きくてもよく、これにより、複数の断熱の層は、より大きい断熱表面を提供するためにヒーターを越えて延びる。特に、複数の断熱の層の長さは、ヒーターの長さより長くてもよい。
【0018】
少なくとも一つの絶縁の層は、ヒーターの一方の端において、またはこれと対向して、すなわち、軸方向に断熱を提供するためにエアロゾル発生装置の長軸方向軸を横切って、配設されてもよい。少なくとも一つの絶縁の層は、ヒーターとエアロゾル発生装置の制御回路との間に配設されてもよい。少なくとも一つの絶縁の層は、複数の断熱の層を備えてもよい。
【0019】
ヒートスプレッダ層は、複数の断熱の層の最も外側の層であってもよい。この配設により、第一の断熱層および第二の断熱層を通過する任意の熱は、ヒートスプレッダの面積全体にわたって拡散し、これはホットスポットが生じる可能性を低減する。
【0020】
ヒートスプレッダ層は、第一の断熱層および第二の断熱層の間に配設されてもよい。この配設により、第一の断熱層および第二の断熱層のうちの一方を通過する任意の熱は、ヒートスプレッダの面積全体にわたって拡散し、また第一の断熱層および第二の断熱層のうちのもう一方は、ヒータースプレッダからの熱伝達を低減するためにさらなる絶縁の層を提供する。この配設は、ホットスポットが生じる可能性を低減する。
【0021】
ヒートスプレッダ層は、少なくとも200W/m・K、好ましくは少なくとも300W/m・K、より好ましくは少なくとも400W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成されてもよい。熱伝導率のこれらの範囲は、ヒートスプレッダ層の面積全体にわたる熱の拡散または分散において効果的であることが分かっている。
【0022】
ヒートスプレッダ層は、ヒートスプレッダ層に対して実質的に平行な方向での熱伝導率が、ヒートスプレッダ層に対して実質的に垂直な方向の熱伝導率と比較して高いように、異方性であってもよい。この異方性は、より多くの熱が、ヒートスプレッダ層の厚さを通過するより、ヒートスプレッダ層にわたって拡散または分散されることを意味する。したがって、こうした異方性ヒートスプレッダ層は、すべての方向で等しく熱を伝導する等方性ヒートスプレッダと比較して、熱の拡散または分布においてより効率的であり、またホットスポットが生じる可能性を低減する。
【0023】
ヒートスプレッダ層と実質的に平行な方向におけるヒートスプレッダ層の熱伝導率は、少なくとも700W/m・K、好ましくは少なくとも1100W/m・K、より好ましくは少なくとも1500W/m・Kであってもよい。ヒートスプレッダ層と実質的に平行な方向における熱伝導率は、700W/m・K~2000W/m・K、好ましくは1100W/m・K~2000W/m・K、より好ましくは1500W/m・K~2000W/m・Kであってもよい。熱伝導率のこれらの範囲は、ヒートスプレッダ層の面積全体にわたる熱の拡散または分散において効果的であることが分かっている。
【0024】
ヒートスプレッダ層と実質的に垂直な方向におけるヒートスプレッダ層の熱伝導率は、50W/m・K以下、好ましくは40W/m・K以下、より好ましくは30W/m・K以下であってもよい。
【0025】
ヒートスプレッダ層は、熱を効果的に拡散する能力を有する任意の適切な材料から作製されてもよい。適切な材料としては、アルミニウムおよび銅などの金属および金属合金、ならびに黒鉛が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ヒートスプレッダ層は、黒鉛を含んでもよい。より好ましくは、ヒートスプレッダ層は、熱分解黒鉛シートを含んでもよい。黒鉛は、特に効果的な熱拡散材料であることが分かっている。
【0026】
ヒートスプレッダ層は、エアロゾル発生装置のハウジングを含んでもよい。こうした配設は、別個のヒートスプレッダ層を含む必要性を回避し、またエアロゾル発生装置のハウジングを利用して熱を拡散させる。外側ハウジングは、第一の断熱層および第二の断熱層から受容した熱を、熱を周囲空気に散逸させることができる外側ハウジングの面積の少なくとも一部分にわたって拡散する。
【0027】
別の方法として、エアロゾル発生装置は、ヒートスプレッダ層に加えてハウジングをさらに備えてもよく、このハウジングはさらなる熱拡散機能を実施する。
【0028】
ハウジングは、少なくとも200W/m・K、好ましくは少なくとも300W/m・K、より好ましくは少なくとも400W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成されてもよい。熱伝導率のこれらの範囲は、外側ハウジングの表面積全体にわたる熱の拡散または分散において効果的であることが分かっている。
【0029】
ハウジングは、熱を効果的に拡散する能力を有する任意の適切な材料から作製されてもよい。適切な材料としては、アルミニウムおよび銅などの金属および金属合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
第一の断熱層の熱伝導率は、0.050W/m・K以下、好ましくは0.040W/m・K以下、より好ましくは0.030W/m・K以下であってもよい。第二の断熱層の熱伝導率は、0.050W/m・K以下、好ましくは0.040W/m・K以下、より好ましくは0.030W/m・K以下であってもよい。熱伝導率のこれらの範囲は、第一の断熱層および第二の断熱層を通した熱伝達を低減または減速するのに効果的であることが分かっている。
【0031】
第一の断熱層は、摂氏200度超、好ましくは摂氏250度超の動作温度を有してもよい。
【0032】
第二の断熱層は、摂氏200度超、好ましくは摂氏250度超の動作温度を有してもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「動作温度」という用語は、機械的性能もしくは熱的性能の感知できる劣化または損失を受けることなく材料を使用することができる温度を指す。
【0034】
第一の断熱層は、必要とされる熱伝導率を有する任意の適切な材料から作製されてもよい。適切な材料としては、ポリマー、セラミック、またはガラスが挙げられるが、これらに限定されない。また材料は、粒子、ビーズ、フィルム、シート、発泡体、繊維、エアロゲル、またはブロックとして形成されてもよい。例えば、第一の断熱層は、ポリイミドエアロゲル、ポリイミド発泡体、セラミック紙、アラミド繊維紙、ポリイミドフィルム、シリコーン発泡体もしくはスポンジ、ポリマーエアロゲル、ゴム、またはエアロゲル粒子、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。第一の断熱層は、ガス状であってもよい。第一の断熱層は、空気であってもよい。
【0035】
第二の断熱層は、必要とされる熱伝導率を有する任意の適切な材料から作製されてもよい。適切な材料としては、ポリマー、セラミック、またはガラスが挙げられるが、これらに限定されない。また材料は、粒子、ビーズ、フィルム、シート、発泡体、繊維、エアロゲル、またはブロックとして形成されてもよい。例えば、第一の断熱層は、ポリイミドエアロゲル、ポリイミド発泡体、セラミック紙、アラミド繊維紙、ポリイミドフィルム、シリコーン発泡体もしくはスポンジ、ポリマーエアロゲル、ゴム、またはエアロゲル粒子、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。第二の断熱層は、ガス状であってもよい。第二の断熱層は、空気であってもよい。
【0036】
エアロゾル発生装置内の複数の断熱の層の全体的な厚さは、2mm以下であってもよく、また好ましくは1.75mm以下であってもよい。この全体的な厚さは、複数の断熱の層が、空間が限定されている、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生装置内に適合することを可能にする。こうした厚さはまた、断熱層に適応するためにエアロゾル発生装置の寸法をより大きくしなければならないことも回避する。
【0037】
第一の断熱層は、3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下の非圧縮厚さを有してもよい。第一の断熱層は、約0.125mm~約2.5mm、好ましくは約1mm~約2.5mm、より好ましくは約1.5mm~約2.5mmの非圧縮厚さを有してもよい。これは、熱伝達を効果的に低減または減速するために、第一の断熱層のために適切な範囲の厚さであることが分かっている。
【0038】
第一の断熱層は、フィルムを含んでもよい。第一の断熱層は、約0.010mm~約1mm、好ましくは約0.020mm~約0.75mmの厚さを有してもよい。
【0039】
第二の断熱層は、3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下の非圧縮厚さを有してもよい。第二の断熱層は、約0.125mm~約2.5mm、好ましくは約1mm~約2.5mm、より好ましくは約1.5mm~約2.5mmの非圧縮厚さを有してもよい。これは、熱伝達を効果的に低減または減速するために、第二の断熱層のために適切な範囲の厚さであることが分かっている。
【0040】
第二の断熱層は、フィルムを含んでもよい。第二の断熱層は、約0.010mm~約1mm、好ましくは約0.020mm~約0.75mmの厚さを有してもよい。
【0041】
ヒーターは、一つ以上の電気発熱体を備えてもよい。電気発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、金含有合金、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(商標)、Kanthal(商標)、および他の鉄-クロム-アルミニウム合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料では、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、絶縁材料中に包埋、絶縁材料に封入、もしくは絶縁材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。別の方法として、電気ヒーターは、一つ以上の赤外線発熱体、フォトニック源、または誘導発熱体を含んでもよい。
【0042】
一つ以上の発熱体は、温度と比抵抗との間に明確な関係を有する金属または金属合金を使用して形成されてもよい。この様態で形成された発熱体は、動作中に、発熱体の加熱と、発熱体の温度のモニターとの両方に使用されてもよい。
【0043】
発熱体は剛直な担体材料もしくは基体内に、またはその上に配置されてもよい。発熱体は、セラミックまたはガラスなどの適切な絶縁材料上にトラックとして形成されてもよい。発熱体は、二つの絶縁材料の間に挟まれてもよい。
【0044】
ヒーターは、内部ヒーター、または外部ヒーター、または内部ヒーターおよび外部ヒーターの両方を含んでもよく、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体に対する位置を指す。
【0045】
内部ヒーターは、任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、内部ヒーターは、加熱ブレードの形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属管を有するケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーター、エアロゾル形成基体の中央を通って延びる一つ以上の加熱用の針またはロッドであってもよい。他の代替としては、加熱ワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、金、銀、タングステン、または合金ワイヤもしくは加熱プレートが挙げられる。
【0046】
外部ヒーターは任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部ヒーターは、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部ヒーターは、加熱コイル、一つまたは複数の金属グリッド、可撓性のプリント回路基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性の炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。
【0047】
ヒーターは、管の内部空間内にエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受容するように配設される管状ヒーターであってもよい。管状ヒーターは、支持体もしくは基体上に、またはその中に配置された発熱体を有する管状支持体または基体を備えてもよい。発熱体は、管の内側表面上、または管の外側表面上に配置されてもよい。一実施形態では、ヒーターは、管の外部円筒状表面を囲むKanthal(商標)発熱体を有する酸化アルミニウムセラミック管を含んでもよい。
【0048】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品もしくエアロゾル形成基体を含有または受容するための加熱チャンバをさらに備えてもよい。ヒーターは、加熱チャンバ内または加熱チャンバの外部に位置してもよく、または加熱チャンバの一部であってもよい。
【0049】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受容するための空洞をさらに備えてもよい。
【0050】
エアロゾル発生装置は、エアロゾルをユーザーに搬送するための気流経路から、複数の断熱の層のうちの一つ以上を分離するためのバリアを備えてもよい。バリアは、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受容するための空洞をライニングしてもよい。
【0051】
エアロゾル発生装置は、内部ヒーターおよび外部ヒーターに電力を供給するための電源または供与源をさらに備えてもよい。電源は、例えば、DC電圧源などの任意の適切な電源であってもよい。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。あるいは、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸もしくはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0052】
一実施形態では、エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙していることを示す気流を検出するセンサーをさらに含み、これは吸煙に基づく電気ヒーターの起動、または電気ヒーターの改善されたエネルギー管理を可能にする。センサーは、機械的装置、電気機械的装置、光学的装置、光学機械的装置および微小電気機械システム(MEMS)のうちのいずれかに基づくセンサーであってもよい。その実施形態では、センサーは電源に接続されてもよく、またシステムは、ユーザーが吸煙していることをセンサーが感知したときに電気ヒーターを起動するように配設される。代替的な実施形態では、エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙を開始するための、または長持ちする体験を可能にするための、手動で動作可能なスイッチをさらに備える。
【0053】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが片手の指の間に保持するのが快適である、手持ち式のエアロゾル発生装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生装置は、多角形の断面および一つの面上に形成された突出するボタンを有してもよく、この実施形態では、エアロゾル発生装置の外径は、平坦な面から反対側の平坦な面まで測定すると約12.7mm~約13.65mmであり、一方のエッジから反対側のエッジまで(すなわち、エアロゾル発生装置の一方の側上の二つの面の交点から、もう一方の側上の対応する交点まで)測定すると約13.4mm~約14.2mmであり、またボタンの頂部から反対側の底部の平坦な面まで測定すると約14.2mm~約15mmであってもよい。エアロゾル発生装置の長さは、約70mm~120mmであってもよい。
【0054】
エアロゾル発生装置は、ヒーター組立品への電力の供給を制御するよう構成された制御回路をさらに備えてもよい。制御回路は、マイクロプロセッサを備えてもよい。マイクロプロセッサは、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。制御回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、一部の実施形態では、制御回路は、センサー要素、スイッチ要素、ディスプレイ要素のうちのいずれかを備えてもよい。電力は装置の起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(毎回の吸煙ごとなど)供給されてもよい。電力は、例えば、パルス幅変調(PWM)によって、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0055】
エアロゾル発生装置のハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、二部品ハウジング、電源および制御回路を含有する第一のハウジング部品、およびエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受容するためのヒーターおよび空洞を含有する第二のハウジング部品を備えてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適する熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は、軽量で、かつ脆くないことが好ましい。
【0056】
本開示の実施例によると、上述の実施例のうちのいずれかによるエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムが提供される。また、エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備えてもよい。
【0057】
本開示の実施例によると、上述の実施例のうちのいずれかによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生装置内で加熱された時に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置から分離され、またエアロゾル発生物品を加熱するためにエアロゾル発生装置と組み合わせるように構成される。
【0059】
「遠位」、「上流」、「近位」、および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。本開示によるエアロゾル発生物品および装置は、使用時にユーザーへの送達のためにエアロゾルがエアロゾル発生物品または装置を通って出る近位端と、反対側の遠位端と、を有する。エアロゾル発生物品および装置の近位端は、口側端とも呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生物品または装置によって発生したエアロゾルを吸入するために、ユーザーはエアロゾル発生物品または装置の近位端を吸う。上流および下流という用語は、ユーザーが近位端を吸う時のエアロゾル発生物品を通るエアロゾルの移動の方向に関連する。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の遠位端の下流にある。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の下流端として呼ばれる場合もあり、またエアロゾル発生物品の遠位端は、エアロゾル発生物品の上流端として呼ばれる場合もある。
【0060】
一実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体だけからなってもよい。動作中、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に完全に含有されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置によって発生したエアロゾルを直接的に吸入するためにユーザーの口の中に定置される、エアロゾル発生装置の任意の部分であってもよい。エアロゾルはマウスピースを通してユーザーの口に搬送される。
【0061】
代替的な実施形態では、エアロゾル発生物品は、さらなる構成要素を備えてもよく、また動作中、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に含有されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品のマウスピースを直接吸煙してもよい。
【0062】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。
【0063】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル形成基体は、およそ10ミリメートル~およそ18ミリメートルの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態では、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ12mmの長さを有してもよい。
【0064】
一実施形態では、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ7.3mmの外径を有してもよいが、およそ7.0mm~およそ7.4mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ16mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ21mmまたはおよそ26mmであってもよいが、およそ5mm~およそ28mmの範囲内であってもよい。分離は、中空管によって提供されてもよい。中空管は、厚紙またはセルロースアセテートから作製されてもよい。
【0065】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素との両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0066】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの葉脈の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジ内で提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこはシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5重量%~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0068】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含むための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態では、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0069】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙もしくは紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0070】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は、担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または代替的に、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0071】
上記では、固体エアロゾル形成基体を参照したが、その他の形態のエアロゾル形成基体をその他の実施形態で使用してもよいことが当業者に明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体であってもよい。液体エアロゾル形成基体が提供される場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を備えることが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、容器または液体貯蔵部分内に保持されてもよい。別の方法として、または追加的に、液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料の中へと吸収されてもよい。多孔性担体材料は、任意の適切な吸収性のプラグまたは本体、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、もしくはセラミックで作製されてもよい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置の使用の前に、多孔性担体材料内に保持されてもよく、または別の方法として、液体エアロゾル形成基体材料は、使用中または使用の直前に多孔性担体材料の中へと放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶融し、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料の中へと放出することが好ましい。カプセルは随意に、液体と組み合わせた固体を含有してもよい。
【0072】
別の方法として、担体は、たばこ構成成分がその中に組み込まれた不織布繊維または繊維の束であってもよい。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含んでもよい。
【0073】
上記の実施例のうちの一つに関して記述される特徴は、本開示の他の実施例に等しく適用されてもよい。
【0074】
本発明は特許請求の範囲で定義される。しかしながら、下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0075】
実施例1: エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターと、ヒーターの少なくとも一部の周りに配設された少なくとも一つの断熱の層と、を含む、エアロゾル発生装置。
【0076】
実施例2:エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバと、加熱チャンバの少なくとも一部の周りに配設された少なくとも一つの断熱の層と、を含む、エアロゾル発生装置。
【0077】
実施例3:エアロゾル発生装置が、ヒーターの少なくとも一部の周りに配設された複数の断熱の層を備える、実施例1または実施例2によるエアロゾル発生装置。
【0078】
実施例4:少なくとも一つの断熱の層または複数の断熱の層が、ヒートスプレッダ層を含む、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0079】
実施例5:複数の断熱の層が、第一の断熱層をさらに含む、実施例3または実施例4による実施例によるエアロゾル発生装置。
【0080】
実施例6:複数の断熱の層が第二の断熱層をさらに含む、実施例5によるエアロゾル発生装置。
【0081】
実施例7:複数の断熱の層が、放射反射体層をさらに備える、実施例3~実施例6のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0082】
実施例8:放射反射体層が、第一の断熱層および第二の断熱層の間に配設される、実施例7によるエアロゾル発生装置。
【0083】
実施例9:ヒートスプレッダ層が、複数の断熱の層の最も外側の層である、実施例4~実施例8のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0084】
実施例10:ヒートスプレッダ層が、第一の断熱層および第二の断熱層の間に配設される、実施例6から実施例9のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0085】
実施例11:ヒートスプレッダ層が、少なくとも200W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成される、実施例4~実施例10のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0086】
実施例12:ヒートスプレッダ層が、異方性であってもよく、これによりヒートスプレッダ層に対して実質的に平行な方向での熱伝導率が、ヒートスプレッダ層に対して実質的に垂直な方向での熱伝導率と比較してより高い、実施例4~実施例11のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0087】
実施例13:ヒートスプレッダ層に対して実質的に平行な方向での熱伝導率が少なくとも700W/m・Kである、実施例12によるエアロゾル発生装置。
【0088】
実施例14:ヒートスプレッダ層が黒鉛を含む、実施例4~実施例13のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0089】
実施例15:ヒートスプレッダ層がエアロゾル発生装置のハウジングを備える、実施例4~実施例13のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0090】
実施例16:ハウジングをさらに備え、ハウジングが、少なくとも200W/m・Kの熱伝導率を有する材料から形成される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0091】
実施例17:第一の断熱層および第二の断熱層の熱伝導率が0.050W/m・K以下、好ましくは0.040W/m・K以下、より好ましくは0.030W/m・K以下である、実施例6~実施例16のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0092】
実施例18:エアロゾル発生装置内の複数の断熱の層の全体的な厚さが、2mm未満である、実施例3~実施例17のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0093】
実施例19:ヒーターが、管状ヒーターであり、また管の内部空間内にエアロゾル発生物品を受容するように配設される、先行する実施例のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0094】
実施例20:管状ヒーターが、基体上または基体内に配置された発熱体を有する管状基体を備える、実施例19によるエアロゾル発生装置。
【0095】
実施例21:発熱体が管の外部表面上に配置される、実施例19または実施例20によるエアロゾル発生装置。
【0096】
実施例22:エアロゾル発生物品を受容するための空洞をさらに備える、いずれかの先行する実施例によるエアロゾル発生装置。
【0097】
実施例23:複数の断熱の層のうちの一つ以上を、エアロゾルをユーザーに搬送するための気流経路から分離するためのバリアをさらに備える、実施例3~実施例22のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0098】
実施例24:バリアがエアロゾル発生物品を受容するための空洞をライニングする、実施例23によるエアロゾル発生装置。
【0099】
実施例25:実施例1~実施例24のいずれかによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【0100】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、電気ヒーターおよび多層断熱を示す一つの実施形態による、エアロゾル発生装置の一部の概略部分断面である。
【
図2】
図2は、装置内に受容されたエアロゾル発生物品を示す、別の実施形態によるエアロゾル発生装置の内部の概略図である。
【
図3】
図3Aは、
図2でAと標識されたエリアの拡大断面であり、ヒーターおよび一つの実施形態による多層断熱配設を示す。
図3Bは、
図2でAと標識されたエリアの拡大断面であり、ヒーターおよび別の実施形態による多層断熱配設を示す。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、エアロゾル発生装置の断熱性能を試験するための二つの異なる試験配設を示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1は、電気ヒーター12、および電気ヒーター12とハウジング16との間に配設された複数の断熱の層14を有する、エアロゾル発生装置10の一部を示す。電気ヒーターは管状であり、また同様の直径のエアロゾル発生物品(図示せず)を受容するための直径Dを有する内部空間を有する。したがって、電気ヒーターは、エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体に対して外部に位置付けられる。電気ヒーター12の管状構造は、酸化アルミニウムセラミックから作製され、Kanthal(商標)から作製された発熱体18は、その外部の円筒状表面を蛇行するまたはうねるような様式で囲む。発熱体18は、電気ヒーター12の一方の端に配設され、かつ制御回路(図示せず)を介して電気ヒーター12を電源(図示せず)に接続するための電気リード(図示せず)に接続された二つの端18aおよび18bを有する。電気ヒーター12は、およそ摂氏210度の温度に加熱されて、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成される。
【0103】
図1は、本開示による、複数の断熱の層14に対する一般的な構造を示し、これは第一の断熱層20と、放射反射体22と、第二の断熱層24と、ヒートスプレッダ層26とを備える。層のうちの少なくとも一つは、例えば、放射反射体22は随意であり、またある特定の実施形態では、下記に考察するように、省略されてもよい。さらに、ヒートスプレッダ層26は、エアロゾル発生装置10の別の構成要素、例えば、下記で考察する実施形態のうちの一つにおける場合の、外側ハウジング16によって置き換えられてもよい。
【0104】
第一の断熱層20は、ヒーター12の動作温度に耐える能力を有するように、高い動作温度(すなわち、おおよそ摂氏250度以上)を有する。断熱材であることに加えて、第一の断熱層20はまた、接触する場合があるいずれかの電気構成要素の接続の短絡を回避するための電気絶縁体でもある。Kapton(商標)テープなどの薄膜絶縁体が使用されてもよい。あるいは、より厚い発泡体またはエアロゲル絶縁体が使用されてもよい。
【0105】
放射反射体22は、第一の断熱層20に隣接して、かつ外側に配設されるが、異なるように位置してもよい。放射反射体22は、一般的に、ヒーター12に面する反射表面を有する薄い金属箔または金属化材料から形成される。放射反射体22は、その中で熱放射が反射することができる空間があるように、例えば、空気または断熱の層によって、ヒーター12から間隙を介していることが重要である。さらに、放射反射体22がヒーターと接触して位置していた場合、熱は、放射反射体22を通した伝導によって伝達することになり、その有効性を低減し、かつ放射反射体22の反射表面がヒーター12によって変色、または別の方法で劣化するリスクを生じる。
【0106】
第二の断熱層24は、放射反射体22に隣接し、かつ外側に配設されるが、異なるように位置してもよい。第二の断熱層20は、高い動作温度(すなわち、摂氏おおよそ200度以上)を有する。第二の断熱層24はヒーター12からさらに離れて位置し、また第一の断熱層20によって少なくとも部分的に保護されるため、第二の断熱層24の動作温度は第一の断熱層20ほど高くする必要はない。エアロゲルフィルムなどの薄膜絶縁体が使用されてもよく、または代替的に、より厚い発泡体またはエアロゲル絶縁体が使用されてもよい。
【0107】
ヒートスプレッダ層26は、第二の断熱層24に隣接し、かつ外側に配設されるが、異なるように位置してもよい。ヒートスプレッダ層26は、典型的に、高い熱伝導率(すなわち、少なくとも200W/m・K)を有する材料のシートまたは箔から作製される。しかしながら、好ましい実施形態では、熱分解黒鉛シートなどの異方性ヒートスプレッダ層26が使用される。これは、シートの平面と平行な方向(すなわち、x-y方向)の比較的高い熱伝導率(すなわち、700W/m・K超)と、シートと垂直な方向(すなわち、z方向)の比較的低い熱伝導率(すなわち、30W/m・K未満)とを有する。その結果として、ヒートスプレッダ層26は、層内で効果的に、すなわち、ヒートスプレッダ層26に平行な方向に、熱を拡散または分散するが、層の厚さを通した、すなわち、ヒートスプレッダ層26に垂直な方向での熱伝達を低減する。熱を拡散することによって、ヒートスプレッダ層26は、ハウジング16の外表面上にホットスポットが形成されるリスクを低減するのに役立つ。層の厚さを通した熱伝達を低減することによって、ヒートスプレッダ層26は、ヒーター12によって生成した熱からハウジングを断熱するために効果的に役立つ。
【0108】
ハウジング16は、ヒートスプレッダ層26に隣接して、かつ外側に配設される。複数の断熱の層14は、ヒーター12から外側ハウジング16への熱の伝達を低減し、それによって外側ハウジング、またはその一部が過度に高温になる(すなわち、摂氏50度の温度を超える)可能性を低減し、ハウジング16を、ユーザーが保持するために不快ではない温度に維持するのに役立つ。この実施例では、ハウジング16は、それ自体が適度な断熱体であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製される。しかしながら、ハウジング16は、外側ハウジング16がヒートスプレッダとしても作用するように、より高い熱伝導率を有する材料から作製することが可能である。
【0109】
図2は、エアロゾル発生装置100と、エアロゾル発生装置100内に受容されたエアロゾル発生物品200との内部を示す。エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200は一緒に、エアロゾル発生システムを形成する。
図2では、エアロゾル発生装置100は、簡略化された様態で示される。具体的には、エアロゾル発生装置100の要素は、実寸に比例して描かれていない。さらに、本実施形態の理解のために関連しない要素は、省略されている。
【0110】
エアロゾル発生装置100は、電源103と、電気ヒーター106と、制御回路105と、複数の断熱の層108とを含有するハウジング102を備える。電源103は電池であり、この実施例では、これは再充電可能なリチウムイオン電池である。制御回路105は、電源103およびヒーター106の両方に接続され、電源103から電気ヒーター106への電気エネルギーの供給を制御して、電気ヒーター106の温度を調節する。
【0111】
ハウジングは、エアロゾル発生装置100の近位端または口側端に開口部104を有し、それを通してエアロゾル発生物品200が受容される。エアロゾル発生装置100および複数の断熱の層108を、
図2では断面で示す。複数の断熱の層108は、ヒーター106と、ハウジング102内でエアロゾル発生物品200がその中に受容される空洞110を包囲する。具体的には、複数の断熱の層108は、ハウジング102への熱伝達を低減するために、ヒーター106および空洞110の両方を囲み、また制御回路105への熱伝達を低減するために、空洞110の遠位端を横切って配設される。複数の断熱の層108は、断熱層の様々な異なる配設を有することができ、そのうちの二つが、
図3Aおよび
図3Bを参照しながら下記に記述される。
【0112】
ヒーター106は管状であり、また
図1のヒーターと同じ設計を有する。エアロゾル発生物品200は、エアロゾル発生装置100内にエアロゾル発生物品200が受容される時、管状ヒーター106内の内部空間を通過する。
【0113】
エアロゾル発生物品200は、端プラグ202と、エアロゾル形成基体204と、中空管206と、マウスピースフィルター208と、紙ラッパー210と、を備える。エアロゾル形成基体204は、たばこ材料またはたばこ系材料のプラグを備える。エアロゾル発生物品200がエアロゾル発生装置100内に完全に受容される時、エアロゾル形成基体204はヒーター106内に位置され、これによりヒーター106は、エアロゾルを形成するためにエアロゾル形成基体204を加熱することができる。端プラグ202およびマウスピースフィルター208は、セルロースアセテート繊維から形成される。
【0114】
エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生物品200の存在を検出するためのセンサー(図示せず)と、ヒーター106を起動するためのボタンなどのユーザーインターフェース(図示せず)と、例えば、電池電力の残量、加熱ステータス、およびエラーメッセージなどの情報をユーザーに提示するためのディスプレイまたはインジケータ(図示せず)と、をさらに備えてもよい。
【0115】
図3Aおよび
図3Bは、
図2でAと標識されたエリアの拡大概略図であり、ヒーター106と、複数の断熱の層108と、およびハウジング102とを含むエアロゾル発生装置100の一部を通した断面を示す。
図3Aおよび
図3Bは簡略化されており、またエアロゾル発生装置100の要素は実寸に比例して描かれていない。
【0116】
さらに、複数の断熱の層108内のいくつかの断熱層は、発泡体もしくはエアロゲルまたは別の圧縮性構造から形成されるため、圧縮性である。これは、複数の断熱の層108が、エアロゾル発生装置100内のプロファイルの変化に適合することを可能にするため、有益である。
図2で分かるように、エアロゾル発生装置に沿った内部プロファイルは、例えば、エアロゾル発生物品200が電気ヒーター106を通して出入りし、またハウジングがその口側端に向かってテーパ状になる点で変化する。輪郭が狭くなる点で、複数の断熱の層108内における任意の圧縮性材料は圧縮されることになる。しかしながら、発明者らは、関与する圧縮の量は、断熱層の熱的性能にいかなる感知できる程度の悪影響も及ぼさないことを見出した。以下の考察では、材料の厚さに対する任意の参照は、その非圧縮厚さに対するものである。
【0117】
図3Aは、
図2のエアロゾル発生装置100における使用のための、複数の断熱の層の第一の配設108aを示す。複数の断熱の層の第一の配設108aは、第一の断熱層120と、ヒートスプレッダ層122と、第二の断熱層124とを備える。
【0118】
第一の断熱層120は、2.5mmの厚さを有するポリイミドエアロゲルスリーブを含む。適切なポリイミドエアロゲルスリーブとしては、米国マサチューセッツ州ボストンのAerogel Technologiesによって製造されたAirloy X116ポリイミドエアロゲルから作製されたスリーブが挙げられるが、これに限定されない。
【0119】
ヒートスプレッダ層122は、25マイクロメートルの厚さを有する熱分解黒鉛シートを備える。適切な熱分解黒鉛シートとしては、米国ニュージャージー州ニューアークのPanasonicによって供給される部品番号EYGA121803KVが挙げられるが、これに限定されない。
【0120】
第二の断熱層124は、1mmの厚さを有するポリマーエアロゲルを備える。適切なポリマーエアロゲルとしては、米国マサチューセッツ州スペンサーのBlueshift Materialsによって供給されるAerozeroポリマーフィルムまたはブロックが挙げられるが、これに限定されない。
【0121】
図3Bは、
図2のエアロゾル発生装置100における使用のための、複数の断熱の層の第二の配設108bを示す。複数の断熱の層の第二の配設108bは、第一の断熱層130と、放射反射体132と、第二の断熱層134と、ヒートスプレッダ層を形成するハウジング102とを備える。
【0122】
第一の断熱層130は、25マイクロメートルの厚さを有するポリイミドフィルムを含む。適切なポリイミドフィルムとしては、米国デラウェア州ウィルミントンのDuPontが供給するKapton(商標)テープが挙げられるがこれに限定されない。
【0123】
放射反射体132は、0.016mmの厚さを有するアルミ箔を備える。必要とされる厚さの任意の適切なアルミ箔を使用してもよい。
【0124】
第二の断熱層134は、2.5mmの厚さを有するポリイミド発泡体を備える。適切なポリイミド発泡体としては、スウェーデンのトレレボリのTrelleborgによって供給されるIntek(商標)PFI-1120ポリイミドフォームが挙げられるが、これに限定されない。
【0125】
ヒートスプレッダ層を形成するために、
図2のエアロゾル発生装置のポリマー系のハウジング102は、17mmの内径および外径18.5mmを有する管状アルミニウムハウジングで置き換えられる。アルミニウムは、プラスチックより高い熱伝導率を有し、ハウジングの面積全体にわたって熱を拡散するのに役立つ。任意の適切なアルミニウムハウジングを使用してもよい。
【0126】
試験
単一の層だけを使用することと比較して、複数の断熱の層使用することの熱的性能を決定するために、
図3Aおよび
図3Bの配置の各々の試験例を調製し、
図2のエアロゾル発生装置100で試験した。対照として、単一の絶縁の層だけを含むさらなる試験例を調製し、これも
図2のエアロゾル発生装置100で試験した。
【0127】
温度を測定するために、熱電対を使用し、各試験に関して下記に記述するように、エアロゾル発生装置100上の関連する試験点に取り付けた。ヒーター106は、外部の実験室電源によって電力供給された。エアロゾル発生装置を水平にかつ静止して保持し、およそ摂氏23~25度の周囲温度で試験した。
【0128】
図4Aおよび
図4Bで分かるように、エアロゾル形成基体またはフィルターまたはプラグを有しない空の紙管300が、
図2のエアロゾル発生物品200の代わりに試験に使用された。これは、エアロゾル形成基体204によって発生したエアロゾル内で何らかの熱が散逸されるために、最悪の事例のシナリオをシミュレートするために、すべての熱が装置100に散逸されるように、空の紙管300を使用した。
【0129】
エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200は、表1に示す寸法を有した。
【表1】
【0130】
以下の試験方法を使用した。
・ 12ワットの電力制限を超えることなく、ヒーターをできるだけ迅速に摂氏210度に加熱する。
・ ヒーターの温度を制御して、ヒーターを6分の間、摂氏210度に維持する。
・ 電力と温度を6分目に記録する。
【0131】
試験例1
試験例1は、
図3Aに示す複数の断熱の層の第一の配設108aの構造を有した。複数の断熱の層108aは、ヒーター106および紙管300を含有する空洞110を円周方向で包囲した。空洞110の遠位端において紙管と制御回路105との間の間隙内に、
図3Aの第一の断熱層120と同一のポリイミドエアロゲルの単一の層が配設された。
【0132】
対照として、さらなる試験例を、
図3Aの第一の断熱層120と同等の単一の断熱の層、すなわち、米国マサチューセッツ州ボストンのAerogel Technologiesによって製造されたAirloy X116ポリイミドエアロゲルから作製され、かつ2.5mmの厚さを有するスリーブを有して準備した。
【0133】
図4Aで分かるように、熱電対が、以下の点に取り付けられた。
・ 点X1、紙管の外側上で、ヒーター106の内側に位置する点。
・ 点X2、ハウジング102の外側上で、ヒーター106の中間点の上にある点。
・ 点X3、ハウジング102の外側上で、点X2の左側の(装置の近位端に向かう)点。
・ 点X4、ハウジング102の外側上で、点X2の右側の(装置の遠位端に向かう)点。
・ 点X5、ヒーター106からの電気リードが制御回路105に接続される点。
【0134】
測定X3およびX4は、熱分解黒鉛シートのヒートスプレッダの性能、およびホットスポットを低減するために熱を拡散する能力を評価するためになされた。
【0135】
試験例1の試験の結果を下記の表2に示す。
【表2】
【0136】
結果は、試験例1の多層断熱が、対照の単一の層断熱と比較して、断熱性能を改善したことを示す。温度測定X2、X3、およびX4から分かるように、ハウジングの外側上の温度は、試験例1については対照よりかなり低い。試験例1に対するこれらの温度の各々は、快適さの閾値温度である摂氏50度を下回る。試験例1の温度測定X2、X3、およびX4の間の偏差も、対照と比較してより少なく、ヒートスプレッダ層が、ホットスポットの形成を低減するためにその面積全体にわたって熱を拡散させるのに有効であることを示す。
【0137】
さらに、試験例1でヒーターを摂氏210度に保持するために必要とされる電力は、対照と比較してより低く、多層がシステムの効率を改善するために役立つことを示す。加えて、試験例1では温度X5はより低く、配設がヒーター106によって生成した熱から制御回路を保護するために役立つことを示す。
【0138】
試験例2
試験例2は、
図3Bに示す複数の断熱の層の第一の配設108bの構造を有した。複数の断熱の層108bは、ヒーター106および紙管300を含有する空洞110を円周方向で包囲した。
図3Bに関して上記で考察したように、
図2のエアロゾル発生装置のポリマー系ハウジング102は、アルミニウムハウジングで置き換えられて、ヒートスプレッダ層を提供する。
【0139】
対照として、さらなる試験例を、
図3Bにおける第二の断熱層134と同等の単一の断熱の層、すなわち、スウェーデンのトレレボリのTrelleborgによって供給されるIntek(商標)PFI-1120ポリイミド発泡体から作製され、かつ2.5mmの厚さを有するスリーブを有して準備した。対照は、
図2のエアロゾル発生装置の標準的なポリマー系ハウジング102とともに使用された。
【0140】
図4Bで分かるように、熱電対が、以下の点に取り付けられた。
・ 点Y1、紙管の外側上で、ヒーター106の内側に位置する点。
・ 点Y2、ハウジング102の外側上で、ヒーター106の中間点の上にある点。
・ 点Y3、ヒーター106からの電気リードが制御回路105に接続される点。
【0141】
試験例2の試験の結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0142】
結果は、試験例2の多層断熱が、対照の単一の層断熱と比較して、断熱性能を改善したことを示す。温度測定Y2から分かるように、ハウジングの外側上の温度は、試験例2については対照よりかなり低い。試験例2に対する温度測定Y2は、快適さの閾値温度である摂氏50度をはるかに下回る。温度測定Y2はまた、高い熱伝導率(すなわち、200W/m・K超)を有するハウジング材料の使用が、有効な熱拡散を提供することができることも示す。
【0143】
試験例3
第三の試験例も準備された。試験例3は、複数の断熱の層については試験例1と同じ構造を有する、すなわち、
図3Aの複数の断熱の層第一の配設108aを有する。しかしながら、試験例3では、
図2のエアロゾル発生装置のポリマー系ハウジング102は、15mmの直径を有する銅管状ハウジングと置き換えられて、
図3Aの熱分解黒鉛シートヒートスプレッダ層122に対して追加的なヒートスプレッダ層を提供する。
図4Bの熱電対の配置を使用して、温度を測定した。
【0144】
試験例3の試験の結果を下記の表4に示す。
【表4】
【0145】
表4から分かるように、試験例3のハウジングの外側上の温度(温度測定Y2)は、試験例1の等価温度(温度測定X2)より摂氏7度低い。これは、したがって、高い熱伝導率(すなわち、200W/m・K超)を有するハウジング材料の使用は、エアロゾル発生装置の熱拡散性能をさらに改善することができることを示す。
【国際調査報告】