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特表2023-551489ギアシフト装置および関連するモビリティマシン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ギアシフト装置および関連するモビリティマシン
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/134 20100101AFI20231201BHJP
【FI】
B62M9/134
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532422
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021083182
(87)【国際公開番号】W WO2022112506
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】2012292
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2013339
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503041177
【氏名又は名称】ヴァレオ アンブラヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジョナタン、カイヨー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、バティスト、シーグワルト
(72)【発明者】
【氏名】カンタン、ドレ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、ローランス
(72)【発明者】
【氏名】ダビド、ルメア
(57)【要約】
本発明は、モビリティマシン用のギアシフト装置(100)であって、
前記装置は、ギアNo.1と称される第1ギアとトップギアとの間に複数のk個のギアを有し、
前記ギアシフト装置は、
‐軸Xを有する選択シャフト(200)であって、ウォームスクリュー(132)およびシャトル(155)を収容する選択シャフト(200)を中心として自由に回転するように構成された一連のk個の入力ピニオン(20、Fr~Fr)と、
‐軸Xを有する一連のk個の出力ピニオン(30、F~F)であって、中空シャフト(230)とともに回転する出力ピニオン(30、F~F)と、
‐前記シャトル(155)を前記ウォームスクリュー(132)に沿って複数の位置間で変位させるとともに、選択されたギアに係合するように構成されたギアシフトアクチュエータ(150)と、
を有するギアシフト装置に関する。
また、本発明は、このような装置を有するモビリティマシンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティマシン(900)用のギアシフト装置(100)であって、
前記装置は、ギアNo.1と称される第1ギアとギアkと称されるトップギアとの間に複数のk個のギアを有し、
前記ギアシフト装置は、
‐軸Xを有する選択シャフト(200)であって、ウォームスクリュー(132)およびシャトル(155)を収容する選択シャフト(200)を中心として自由に回転するように構成された一連のk個の入力ピニオン(20、Fr~Fr)と、
‐軸Xを有する一連のk個の出力ピニオン(30、F~F)であって、中空シャフト(230)とともに回転する出力ピニオン(30、F~F)と、
‐前記シャトル(155)を前記ウォームスクリュー(132)に沿って複数のk個の位置(P~P)間で変位させるとともに、選択されたギアに係合させるように構成されたギアシフトアクチュエータ(150)と、
を有するギアシフト装置。
【請求項2】
前記シャトル(155)は、ギア(i)に対応する各位置(Pi)において、入力ピニオン(Fri)と係合しそれが前記出力ピニオン(F)に噛み合うように構成され、
前記入力ピニオン(Fri)および出力ピニオン(F)は、前記ギア(i)に関連付けられる、
請求項1に記載のギアシフト装置。
【請求項3】
前記シャトル(155)は、少なくとも1つの復帰部材(152)を収容するように構成される、
請求項1または2に記載のギアシフト装置。
【請求項4】
前記シャトル(155)は、前記ウォームスクリュー(132)を囲む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項5】
枢動接続部を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項6】
前記ギアシフトアクチュエータ(150)は、モータ(140)と、減速ギア(130)または遊星歯車列(130’)と、を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項7】
前記ギアシフトアクチュエータ(150)は、前記モビリティマシンに乗っている人からのギア選択リクエスト、および/または前記モビリティマシンの制御ユニット(800)からのギア選択リクエストに従って、前記シャトル(155)を、所定の前記位置(P、P~P)間で変位させるように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項8】
前記シャトル(155)は、どのギア比も係合しないニュートラル位置(P0)と称される位置を取り得る、
請求項1~7のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項9】
前記ギアシフト装置は、レール(134)であって前記シャトル(155)がこれに沿って変位するレール(134)を有し、
前記レールは、特に前記選択シャフト(200)に配置される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項10】
内輪(30int)と外輪(30ext)とを有する遊星歯車列(130’)を有する、
請求項1~8のいずれか一項に記載のギアシフト装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のギアシフト装置(100)を有するモビリティマシン(900)、特に電動アシスト付きモビリティマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、「ソフト」モビリティと呼ばれるものの分野であり、より具体的には、電気推進力と筋肉の力とを組み合わせたモビリティマシン、例えば電動アシスト付き自転車の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車で走行する場合、動力が自転車に乗っている人(サイクリスト)により供給され、後輪を駆動するクランクセットの軸を中心として回転するクランクシステムを介して、一般的にはチェーンを介して、車輪に伝達される。
【0003】
自転車用のギアボックス(変速機)は、先行技術から知られている。具体的には、FR2975367A1号公報は、ギアボックスと、ギアを選択するための摺動シャトルと、を有する自転車用のギアシフト装置(変速装置)を開示している。シャトルの軸方向変位は、自転車のハンドルバーに配置された回転ハンドルに接続する2つのケーブルを介して制御される。このシステムには多くの部品が必要である。製造やメンテナンスも複雑である。特に、ケーブル制御には、正確で定期的な調整が必要である。自転車用のギアボックスの簡素化および自動化が求められている。
【0004】
物や人を輸送するクランクセットを動力源とする軽量の車両が多様化する中、信頼性が高く製造が容易な自動電気ギアボックスも必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
これらの要求に少なくとも部分的に応えるために、第1態様による本発明の主題は、モビリティマシン用のギアシフト装置(変速装置)であって、
前記装置は、ギアNo.1と称される第1ギアとギアkと称されるトップギアとの間に複数のk個のギアを有し、
前記ギアシフト装置は、
‐ウォームスクリューおよびシャトルを収容する選択シャフトを中心として自由に回転するように構成された一連のk個の入力ピニオンと、
‐特に前記モビリティマシンのクランクセットの軸を囲むように構成された中空シャフトとともに回転する一連のk個の出力ピニオンと、
‐前記シャトルを前記ウォームスクリューに沿って特に前記ギアNo.1~前記トップギアに対応する複数のk個の位置間で変位させるとともに、選択されたギア(ギア位置、ギア段)に係合させる、ギアシフトアクチュエータ(変速アクチュエータ)と、
を有するギアシフト装置である。
【0006】
ギア(ギア位置、ギア段)の各々は、ギアシフト装置の出力速度と入力速度との間に特定の比を有する。
【0007】
シャトルの位置の個数は、ギアシフト装置のギア(ギア位置、ギア段)の個数に少なくとも等しい。
【0008】
各ギア(ギア位置、ギア段)は、選択されたギアの入力ピニオンが対応する出力ピニオンと噛み合うシャトルの特定の位置に対応する。
【0009】
ユーザがペダルを漕ぐとすぐに、中空シャフトが回転することによりシャトルが駆動される。本発明により、ギア(ギア位置、ギア段)の変更時に、ウォームスクリューがギアシフトアクチュエータにより回転する。ウォームスクリューの回転運動は、シャトルの並進運動に変換されて、シャトルは選択されたギア(ギア位置、ギア段)に対応する位置に変位する。
【0010】
ここで、中空シャフトは選択シャフトであり、本願ではこれら2つの表現を等価に使用する。
【0011】
また、本発明は、かさばらないコンパクトなギアシフト装置を提供する。
【0012】
ギアシフトアクチュエータにより駆動されるウォームスクリューにより、従来技術のケーブルが不要となるため、より信頼性が高くメンテナンスが容易な解決策が提供される。
【0013】
ギアシフトアクチュエータは、シャトルの並進運動をもたらすための機械的手段、特に回転運動を並進運動に変換するための手段を有する。また、ギアシフトアクチュエータは、シャトルを移動させるための電気的手段、特に減速ギアセット(減速機セット)を有する。有利には、本発明によるギアシフト装置は、以下の特徴のうちの1つまたは別のものを、単独でまたは組み合わせて有する。
【0014】
‐前記シャトルは、ギアに対応する各位置において、関連付けられた入力ピニオンに、それが前記ギアに関連付けられた前記出力ピニオンに噛み合うよう係合するように構成される。
【0015】
‐ギアに対応する各位置において、入力ピニオンに、それが出力ピニオンに噛み合うよう係合し、前記入力ピニオンおよび出力ピニオンは、前記ギアに関連付けられる。
【0016】
‐前記シャトルは、特に前記選択シャフトの少なくとも1つのボールと協働するように構成された少なくとも1つの復帰部材を収容する。このボール/スプリング装置により、シャトルは、入力ピニオンに、それが関連付けられた出力ピニオンに噛み合うよう係合することができる。シャトルは、単数または複数の復帰部材、例えば1~6個の復帰部材を収容し得る。各ギア比について、単数または複数の復帰部材は、選択シャフトの単数または複数のボール、例えば1~6個のボールと協働する。任意のギア比について、選択シャフトのボールの個数は、特に、シャトルの復帰部材の個数以下である。
【0017】
‐前記シャトルは、前記ウォームを囲む。
【0018】
‐前記ギアシフト装置は、2~12個のギア、または5~9個のギアを有する。
【0019】
‐前記ギアシフト装置は、枢動接続部を有する。
【0020】
‐前記ギアシフトアクチュエータは、モータ、減速ギア(減速機)、および/または遊星歯車列を有する。減速ギア(減速機)は、特に、モータとウォームとの間に配置された複数のピニオンを有する。本願において、「減速ギアセット」という用語は、実施形態に応じて、モータ、減速ギア、および/または遊星歯車列を指すように使用される。
【0021】
‐前記ギアシフトアクチュエータは、前記モビリティマシンに乗っている人からのギア選択リクエスト、および/または前記モビリティマシンの制御ユニットからのギア選択リクエストに従って、前記シャトルを、所定の前記位置間で変位させるように構成される。
【0022】
‐前記シャトルは、どのギア比も係合しないニュートラル位置と称される位置を取り得る。換言すれば、シャトルは、それがいずれの入力ピニオンとも係合しない/入力ピニオンと出力ピニオンとの対が噛み合わない位置にある。特に、シャトルがニュートラル位置にある場合、異なる表現ではギアシフト装置がニュートラルギアにある場合、クランクセットの運動は、自転車を推進しない。
【0023】
‐シャトルは、後退移動位置を取り得る。後退移動位置は、トリガされると、ペダルを漕ぐ動作は前進のままで、モビリティマシンを後退移動において推進する。
【0024】
第1実施形態によれば、シフト装置は、レールであって前記シャトルがこれに沿って変位するレールを有する。このレールは、特に選択シャフトに収納される。シャトルは、その全長に亘って、レールが配置される少なくとも1つの軸方向チャネルを有し得る。したがって、このチャネル、またこれらのチャネルのうちの1つは、レールを保持する役割を果たす。
【0025】
ギア比を変更しない場合、ウォームスクリューは回転しない。
【0026】
ギア比の変更時には、ウォームスクリューはギアシフトアクチュエータにより回転する。
【0027】
特に、シャトルは、レールにナットを介して接続する。レールは、ナットの回転を防止する線状の当接部を構成する。ナットの軸方向移動により、シャトルが駆動されてギアがチェンジする。
【0028】
特に、ナットは、シャトルの内部に収容される。
【0029】
したがって、レールおよびナットは、シャトルの並進運動をもたらす機械的手段である。それらは、ウォームスクリューとシャトルとの間の枢動接続部を形成して、ウォームスクリューの回転運動をシャトルの並進運動に変換する。
【0030】
第2実施態様によれば、ギアシフト装置は、少なくとも1つの遊星歯車列を有する。これは、先行する実施形態のレールおよびナットに代わるものである。ここでは、遊星歯車列は、シャトルの並進運動をもたらす機械的手段の一部である。特に、遊星歯車列は、選択シャフトと一体である内輪と、ウォームと一体である外輪と、を有する二重遊星歯車列である。内輪および外輪の2つは、少なくとも3つの衛星ピニオンにより連結される。
【0031】
転動の定常状態において、ギアがトリガされると、シャトルは、前記ギアに対応する位置に配置される。これにより、対応する入力ピニオンと出力ピニオンとが噛み合う。
【0032】
ウォーム、選択シャフト、およびシャトルは、同一速度で回転する。
【0033】
ギア変更をすることを目的として、減速ギアセットは、減速ギアセットは、当初のギアおよび所望のギアにそれぞれ対応する位置間におけるシャトルの必要な変位に応じた所定の角度に亘って、外輪を一時的に回転させる。
【0034】
このようにして生じた内輪と外輪との角度的偏向の後、各輪の回転比は、一時的にもはや1に等しくない。シャトルは、こうして、選択された新しいギアに対応する新しい位置に到達するまで、並進運動において駆動される。
【0035】
別の態様によれば、本発明は、モビリティマシン用のトランスミッションアセンブリに関する。前記トランスミッションアセンブリは、特に前記マシンを推進するためのエネルギーの全部または一部を供給するように構成された電気モータと、上述のギアシフト装置と、を有する。
【0036】
さらに別の態様によれば、本発明は、上述のギアシフト装置を有するモビリティマシンに関する。
【0037】
マシンは、電力を減速ギアセット装置に供給するための特にバッテリである再充電可能なエネルギー源を有し得る。前記バッテリは、好適には、モビリティマシンの種々の部材、特に照明、光学ロケーション/ナビゲーションシステム等(このリストは非限定的である)に、エネルギーを供給するように構成される。
【0038】
1つの特定の実施形態において、モビリティマシンは、電動アシスト付きであり、例えば減速ギアを設けられた電気モータを有する。モビリティマシンは、特に、モビリティマシンの瞬時速度が閾値を下回った場合に、電気モータがトルクを提供できるように構成される。
【0039】
別の実施形態において、モビリティマシンは、電動アシスト付きでない。
【0040】
さらに別の態様によれば、本発明は、上述のギアシフト装置を制御するための方法に関する。
【0041】
特に、本方法は、ギアシフト装置の選択されたギアをトリガするステップを有する。このステップにおいて、制御ユニットは、選択したギアを示すユーザ側の命令に基づいて、ギアシフトアクチュエータを制御する。
【0042】
本発明の特徴、詳細および利点は、図面を参照しつつ例示を目的として以下になされる説明を読むことで、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の態様の1つによるモビリティマシンの図である。
図2図2は、図1のモビリティマシンのトランスミッションアセンブリを示す。
図3a図3aは、本発明の第1実施形態によるギアシフト装置の断面図を示す。
図3b図3bは、本発明の第1実施形態によるギアシフト装置の断面図を示す。
図3c図3cは、本発明の第1実施形態によるギアシフト装置の断面図を示す。
図4図4は、本発明によるギアシフト装置を収容するケーシングを示す。
図5図5は、本発明の第2実施形態によるギアシフト装置を断面で示す。
図6図6は、本発明の第2実施形態によるギアシフト装置を断面で示す。
図7a図7aは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7b図7bは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7c図7cは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7d図7dは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7e図7eは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7f図7fは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図7g図7gは、本発明の第1実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8a図8aは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8b図8bは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8c図8cは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8d図8dは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8e図8eは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8f図8fは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
図8g図8gは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの変形例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の態様の1つによるモビリティマシン900を示す。ここで、マシン900は、回転軸Xを有する電気モータ400を有する電動アシスト付き自転車である。前記電気モータは、前記マシンの推進力の一部を提供するように構成されている。
【0045】
電動アシストなしで走行する場合、動力が自転車に乗っている人(サイクリスト)により供給され、チェーンを介して後輪を駆動するクランクセットの軸Xpを中心として回転する2つのペダルを介して、車輪950に伝達される。
【0046】
図1に示すように、マシン900は、制御ユニット800と複数のセンサ80とを有している。センサ80は、特にクランクセットに、自転車フレームに、または車輪に配置されている。
【0047】
ここで、マシン900は、バッテリ910の形態にあるエネルギー貯蔵装置と、照明システム920と、軸Xpを有するクランクセット940と、ロケーションおよび/またはナビゲーションシステム980と、特に情報を表示できる、および/または前記ユーザのリクエストを考慮できるタッチスクリーンを有するヒューマン/マシンインターフェースシステム990と、をさらに有している。ヒューマン/マシンインターフェースシステム990は、特に、ロケーションシステム908に接続し、ナビゲーションインターフェースとして機能する。本発明は、特定のヒューマン/マシンインターフェースシステムに限定されず、当業者に知られる任意のシステムを備え得る。
【0048】
車輪950は、特にディスクブレーキ965を有するブレーキシステム960を設けられている。
【0049】
マシン900は、図2に示すトランスミッションアセンブリ700を有している。トランスミッションアセンブリ700は、本発明によるギアシフト装置100と、回転軸Xmを有する電気モータ300であって、マシン900を推進するための電力の一部を供給するための電気モータ300と、を有している。
【0050】
トランスミッションアセンブリ700は、ここではクランクセット940に配置されたケーシング600(図4に示す)に少なくとも部分的に収容されており、その軸はギアシフト装置100の出力軸Xと一致している。
【0051】
ギアシフト(変速)は、自動かつ電動である。
【0052】
図3a等に示すギアシフト装置100は、ギアNo.1と称される第1ギアとギア7と称されるトップギアとの間に、7個のギアを有している。
【0053】
ギアシフト装置100は、軸Xを有する参照符号F~Fの一連の7個の出力ピニオン30であって、中空シャフトとともに回転する出力ピニオン30と、参照符号Fr~Frの一連の7個の入力ピニオン20であって、選択シャフト200を中心として自由に回転するように構成された入力ピニオン20と、を有している。選択シャフト200は、ギアシフト装置100のウォームスクリュー132を囲むシャトル155を収容している。ギアシフトアクチュエータ150が、シャトル155をウォームスクリュー132に沿って、P~Pの7個の位置間で変位させるとともに、選択されたギアに係合するように構成されている。
【0054】
装置はコンパクトであり、選択シャフト200は中空である。
【0055】
ギアシフト装置150は、シャトルを移動させるための手段を、減速ギアセット(減速機セット)の形態で含んでいる。減速ギアセットは、モータ140および減速ギア(減速機)130を有している。ギアシフトアクチュエータ150は、シャトル155の並進運動をもたらすための機械的手段、特に回転運動を並進運動に変換するための手段も有している。
【0056】
ここで、減速ギアセットアセンブリは、ウォームスクリュー132の軸上のピニオン135と、中間ピニオン135と、モータ140の軸Xm上のピニオン135と、を有している。ピニオン135の歯は、図示のように直線状であり得るか、図示しない変形例において、らせん状であり得る。
【0057】
図3aに示すように、ギアは、ギアボックスのフリーピニオン30の下方にある摺動シャトル155によりシフトする。
【0058】
ギアシフトアクチュエータ(変速アクチュエータ)150は、らせん運動接続を介して、シャトルをウォームスクリュー132に沿って軸方向に変位させる。
【0059】
したがって、シャトル155は、選択されたギアiに対応する入力ピニオンFrの下方で停止する。フランス特許出願FR2975367A1(図5でより詳細に図示)に記載のスプリング/ボールシステムが、前記入力ピニオンFriの回転を阻止する。入力ピニオンFriは、トリガされると、出力ピニオンFiと噛み合って、出力ピニオンFiに、ひいては自転車の車輪に連結したチェーンスプロケットに力を伝達する。
【0060】
ウォームスクリュー132の回転案内は、例えばその端部の各々にある軸受を使用して確保される。図3aは、特に、減速ギア130のピニオン135の一側におけるニードルブッシュ、およびウォームスクリュー132の他端部におけるボール軸受を示す。
【0061】
図3bおよび図3cは、図3aのギアシフト装置の詳細図を示す。
【0062】
図3aに示すシャトル155は、ここではトップギアであるギアNo.7に対応する位置Pにあり、入力ピニオンFrに、これが出力ピニオンFと噛み合うように係合していることが図示されている。これに対して、図3bにおいて、シャトル155はギアNo.1に対応する位置Pにあり、ボール/スプリング装置により入力ピニオンFrに係合している。シャトルは、選択シャフト200のボール151と協働する復帰部材152を収納している。
【0063】
さらに、シャトル155は、ナット138によりレール134に接続している。
【0064】
マシン900がギアiにおいて、シフト(変更)なく転動する場合、ウォームスクリュー132は回転しない。
【0065】
図3cに示すように、ナット138を囲むシャトル155は、ここではクリップ137により保持された軸受136により回転することができる。
【0066】
ギア比をシフト(変更)する場合、ウォームスクリュー132がギアシフトアクチュエータ150により回転する。ウォームスクリュー132は、ギアシフトアクチュエータ150により回転することで、ナット138の軸方向移動が生じることによりシャトル155が駆動されてギアチェンジが行われる。このようにして実現された旋回接続により、ウォームスクリュー132の回転運動がシャトル155の並進運動に変換される。ストッパ133が、各端部におけるシャトル155の変位を制限する。ストッパ133は、例えば、図示のように中空であり、ウォームスクリュー132を支持するとともに案内する役割を果たす軸受136を収容している。
【0067】
図示しない変形例において、シャトル155は、どのギア比も係合しないニュートラル位置P0と称される位置を取り得る。
【0068】
上述のギアシフト装置の例において、ギアシフトアクチュエータ150は、直線状のピニオンを有している。本発明の文脈において、減速ギアセットは、らせん状ピニオンを有し得る。
【0069】
図4は、図1のモビリティマシン用のケーシング600をより詳細に示す。
【0070】
ケーシング600は、ギアシフト装置100の歯車装置を収容するように構成された第1ハウジング610を画定するクランクケース660を有している。クランクケース660は、互いに別個の複数の第2ハウジングも画定している。ハウジング640、630、615および680は、モビリティマシンの電気モータ400、減速ギア300、ギアシフトアクチュエータ150、および制御ユニット800をそれぞれ収容するように配置されている。第2ハウジングは、好適にはシールされている。特に、制御ユニット800を収納するように構成されたものはシールされている。
【0071】
ギアシフト装置100を収容するクランクケース660は、2つの横方向フランジ667により閉鎖されている。種々の第1および第2ハウジングがより明瞭に見えるように、ケーシング600を、図4において、空の状態で、1つのフランジ667のみを有するように示す。第1ハウジング610は、モビリティマシン900のクランクセットスピンドルの車軸を受容するための2つの対面する孔を、横方向フランジ667に有している。
【0072】
図5および図6は、第2実施形態に関する。ギアシフト装置100は、選択シャフト200と一体の内輪30intと、ウォームスクリュー132と一体の外輪30extと、を有する遊星歯車列130’を有している。内輪30intおよび外輪30extは、3つの衛星ピニオンにより連結されている。
【0073】
転動の定常状態において、ウォームスクリュー132、選択シャフト200、およびシャトル155は、同一速度で回転する。ギアを変更することを目的として、減速ギアセット140は、当初のギアおよび所望のギアにそれぞれ対応する位置間におけるシャトル155の必要な変位に応じた所定の角度に亘って、外輪を一時的に回転させる。このようにして生じた内輪30intと外輪30extとの角度的偏向の後、各輪の回転比は、一時的にもはや1に等しくない。シャトル155は、こうして、選択された新しいギアに対応する新しい位置に到達するまで、並進運動において駆動される。
【0074】
レールおよびナットを有する第1実施形態は、図3aに示すような、平行な軸を持つピニオンを有する減速ギアセット(減速機セット)の1つのタイプに限定されない。減速ギアセットのピニオンの軸は、垂直であってもよい。
【0075】
第1実施形態の図示の変形例において、特に図3aに示す例において、減速ギアセットは、複数のピニオン135を有するが、図7aは、減速ギアセット130が単一のピニオンに限定されている例に対応する。
【0076】
図7bは、ギアシフトアクチュエータ150が円錐歯車装置130を有する変形例を示す。
【0077】
図7cは、ギアシフトアクチュエータ150が、単数または複数の段を持つストレートカット歯車装置またはらせん歯車装置130を有する変形例を示す。
【0078】
図7dは、ギアシフトアクチュエータ150が連続的に可変のストレートカット歯車装置またはらせん歯車装置130を有する変形例を示す。
【0079】
図7eは、ギアシフトアクチュエータ150の変形例のウォームスクリュー130を示す。
【0080】
図7fおよび図7gは、ベルト130を有するギアシフトアクチュエータ150、およびチェーン130を有するギアシフトアクチュエータ150をそれぞれ示す。
【0081】
同様に、図8a~図8gは、本発明の第2実施形態によるギアシフトアクチュエータの様々な変形例を概略的に示す。
【0082】
図8aは、遊星歯車列130’を有する図5aに示す例に対応する。
【0083】
図8bは、ギアシフトアクチュエータ150が遊星歯車列130’および円錐歯車装置を有する変形例を示す。
【0084】
図8cは、ギアシフトアクチュエータ150が遊星歯車列130’および単数または複数の段を持つストレートカット歯車装置またはらせん歯車装置を有する変形例を示す。
【0085】
図8dは、ギアシフトアクチュエータ150が遊星歯車列130’および連続的に可変のストレートカット歯車装置またはらせん歯車装置を有する変形例を示す。
【0086】
図8eは、ギアシフトアクチュエータ150が遊星歯車列130’およびウォームを有する変形例を示す。
【0087】
図8fおよび図8gは、ギアシフトアクチュエータ150fが遊星歯車列130’およびベルトを有する変形例、およびギアシフトアクチュエータ150gが遊星歯車列130’およびチェーンと有する変形例をそれぞれ示す。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
【国際調査報告】