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特表2023-551506熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/12 20060101AFI20231201BHJP
   C08L 55/02 20060101ALI20231201BHJP
   C08L 35/06 20060101ALI20231201BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L55/02
C08L35/06
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532537
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2021017409
(87)【国際公開番号】W WO2022114779
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0165199
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨンスプ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC06W
4J002BH01Y
4J002BN15X
4J002CL00Z
4J002CL01Z
4J002CL03Z
4J002CL085
4J002FD016
4J002FD026
4J002FD046
4J002FD066
4J002FD096
4J002FD115
4J002FD136
4J002FD166
4J002FD176
4J002FD186
4J002FD206
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体20重量%~50重量%;(B)ポリアミド樹脂5重量%~25重量%;および(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体10重量%~30重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体1重量部~15重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体20重量%~50重量%;(B)ポリアミド樹脂5重量%~25重量%;および(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体10重量%~30重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体1重量部~15重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるコア、および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むコア-シェル構造である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、平均粒径が0.2μm~1.0μmである、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(g-ABS)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に、芳香族ビニル化合物から由来する成分55重量%~80重量%、およびシアン化ビニル化合物から由来する成分20重量%~45重量%を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/molである、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体は、100重量%を基準に、N-フェニルマレイミドから由来する成分20重量%~55重量%を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が150℃~200℃である、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(D)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
難燃剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、滑剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、顔料、染料から選ばれる少なくとも一つの添加剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂に代表されるスチレン系樹脂は、その優れた成形性、機械的特性、外観、2次加工性等によって多様な用途に広範囲に使用されている。
【0003】
スチレン系樹脂を用いて製造される成形品は、塗装/無塗装が要求される様々な製品に広範囲に適用することができ、例えば、自動車および/または電子機器の各種内/外装材等に適用され得る。
【0004】
このうち、各種内/外装材に美的効果を与えるための方案として、スチレン系樹脂を用いて製造された成形品に塗装作業を行う場合がある。塗装の方法は特に制限されないが、一般に広く用いられる塗装方式としては静電塗装を挙げることができる。この静電塗装は、成形品の表面に電気伝導性を付与した後に塗装を行う方法であり、大抵は、表面抵抗の高いプラスチック系列の成形品に静電塗装を適用するためには、成形品の表面に導電性プライマー(primer)等の前処理を施す必要がある。
【0005】
導電性プライマーの塗布は、工程数および製造時間を増加させるため、近年では、スチレン系樹脂に各種導電性物質(例えば、炭素ナノチューブ等)および/または導電性発現添加剤をさらに含ませることにより、成形品自体が一定レベル以上の電気伝導性を内在するようにさせる方法が提案されている。
【0006】
しかし、スチレン系樹脂に導電性物質および/または導電性発現添加剤を添加する場合、スチレン系樹脂の物性バランスが損傷されることにより、予期しなかった各種物性の低下が生じるおそれがある。
【0007】
これにより、優れた電気伝導性および諸般の物性バランスを保つことのできる熱可塑性樹脂組成物の開発が必要な実情にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導電性、耐衝撃性、塗装付着力および耐水信頼性が全て優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0009】
別の具現例では、前記熱可塑性樹脂から製造された成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一具現例によると、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体20重量%~50重量%;(B)ポリアミド樹脂5重量%~25重量%;および(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体10重量%~30重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体1重量部~15重量部を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0011】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるコア、および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むコア-シェル構造になり得る。
【0012】
前記ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径は、0.2μm~1.0μmになり得る。
【0013】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(g-ABS)になり得る。
【0014】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に、芳香族ビニル化合物から由来する成分55重量%~80重量%、およびシアン化ビニル化合物から由来する成分20重量%~45重量%を含むことができる。
【0015】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/molになり得る。
【0016】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体になり得る。
【0017】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0018】
前記(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体は、100重量%を基準に、N-フェニルマレイミドから由来する成分20重量%~55重量%を含み得る。
【0019】
前記(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が150℃~200℃になり得る。
【0020】
前記(D)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物になり得る。
【0021】
一具現例によると、前記熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、滑剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、顔料、染料から選ばれる少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0022】
別の一具現例によると、前述の熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品が提供される。
【発明の効果】
【0023】
電気伝導性、耐衝撃性、塗装付着力および耐水信頼性が全て優れた熱可塑性樹脂組成物と、それを用いた成形品を提供することができる。
【0024】
また、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた成形品は、優れた電気伝導性および諸般の物性バランスを表すため、塗装、無塗装に使用する様々な製品の成形に広範囲に適用することができ、特に、静電塗装が必要な塗装用成形品に有用に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明の実施のための形態]
以下、本発明の具現例を詳しく説明する。但し、これは例として提示するものであり、これによって本発明が制限されるのではなく、本発明は後述の請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0026】
本明細書において特に言及しない限り、「共重合」とは、ブロック共重合、ランダム共重合、グラフト共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体を意味する。
【0027】
本明細書において特に言及しない限り、ゴム質重合体の平均粒径とは、体積平均直径であり、動的光散乱(Dynamic light scattering)分析装備を用いて測定したZ-平均粒径を意味する。
【0028】
本明細書において特に言及しない限り、重量平均分子量は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社のLF-804,標準試料はShodex社のポリスチレンを使用)したものである。
【0029】
一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物は、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体20重量%~50重量%;(B)ポリアミド樹脂5重量%~25重量%;および(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体10重量%~30重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体1重量部~15重量部を含む。
【0030】
以下、前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる各成分について具体的に説明する。
【0031】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
一具現例において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂組成物に優れた耐衝撃性を付与する。一具現例において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体成分からなる中心部(コア,core)と、その中心部に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物をグラフト重合反応させてシェル(shell)を形成したコア-シェル(core-shell)構造を有することができる。
【0032】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を添加し、乳化重合、塊状重合等の通常の重合方法によってグラフト重合することにより製造できる。
【0033】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、ブタジエンゴム質重合体、ブタジエン-スチレンゴム質重合体、ブタジエン-アクリロニトリルゴム質重合体、ブタジエン-アクリレートゴム質重合体およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0034】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0035】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0036】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体のコアを形成するブタジエン系ゴム質重合体は、平均粒径が0.2μm~1.0μmになり得る。例えば、前記ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径は、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上または0.9μm以上、および、1.0μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、または0.3μm以下になり得る。前記ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径が前記範囲を満たす場合、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐衝撃性および外観特性を表すことができる。
【0037】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体100重量%に対して、前記ブタジエン系ゴム質重合体は、40重量%~70重量%で含まれ得る。一方、前記ブタジエン系ゴム質重合体成分からなる中心部にグラフト重合される前記芳香族ビニル化合物と、前記シアン化ビニル化合物の重量比は、6:4~8:2になり得る。
【0038】
一具現例において、前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体になり得る。
【0039】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、基礎樹脂100重量%に対して20重量%~40重量%、例えば、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、または35重量%以上、および、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%で含まれ得る。前記重量範囲内で、それを含む熱可塑性の樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた耐衝撃性および耐水信頼性を表すことができる。
【0040】
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
一具現例において、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させ、構成要素間の相溶性を一定レベルに保つことができる。
【0041】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/mol、例えば、80,000g/mol以上、85,000g/mol以上、または90,000g/mol以上、および、300,000g/mol以下、250,000g/mol以下、または200,000g/mol以下になり得る。
【0042】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を含む単量体混合物を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の通常の重合方法によって製造することができる。
【0043】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0044】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0045】
前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に、前記芳香族ビニル化合物から由来する成分を55重量%~80重量%、例えば、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、または75重量%以上、および、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、または60重量%以下で含まれ得る。
【0046】
また、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に、前記シアン化ビニル化合物から由来する成分を20重量%~45重量%、例えば、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、または40重量%以上、および、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下で含まれ得る。
【0047】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)になり得る。
【0048】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、基礎樹脂100重量%に対して、20重量%~50重量%、例えば、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、または45重量%以上、および、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下になり得る。前記重量範囲内で、これを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた成形性および機械的物性を表し得る。
【0049】
(B)ポリアミド樹脂
一具現例において、ポリアミド樹脂は、熱可塑性樹脂組成物が優れた電気伝導性を具現できるようにする。例えば、熱可塑性樹脂組成物に電気伝導性を付与するために含む、後述する(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体を過量で含まなくても、前記ポリアミド樹脂を含むことにより、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物は優れた電気伝導性を有することができる。
【0050】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂としては、当該技術分野で知られている多様なポリアミド樹脂、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物を使用することができ、特に制限されるのではない。
【0051】
前記芳香族ポリアミド樹脂は、主鎖に芳香族基を含むポリアミドとして、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、またはこれらの混合物になり得る。
【0052】
前記全芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重合体を意味し、前記半芳香族ポリアミドは、アミド結合間に最低でも一つの芳香族単位と最低でも一つの非芳香族単位を一緒に含む重合体を意味する。例えば、前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の重合体であるか、或いは脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重合体になり得る。
【0053】
一方、前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の重合体を意味する。
【0054】
前記芳香族ジアミンの例としては、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
前記芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、(1,3-フェニレンジオキシ)ジアセチック酸等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
前記脂肪族ジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ピペラジン等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
前記脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0059】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、少なくともポリアミド6を含むことができる。
【0060】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、基礎樹脂100重量%に対して、5重量%~40重量%、例えば5重量%~35重量%、例えば5重量%~30重量%、例えば5重量%~25重量%、例えば5重量%~20重量%で含まれ得る。
【0061】
前記ポリアミド樹脂の含量が前述の範囲を満たす場合、これを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品は、ポリアミド樹脂に起因する優れた機械的物性および電気伝導性を表すことができる。
【0062】
(C)N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物(PMI-SM-MAH)共重合体
一具現例において、N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、これを含む熱可塑性樹脂組成物を静電塗装に適用すると、表面抵抗が低くなり、気泡が発生しないため外観に優れ、塗装付着力もまた、優れた状態を保つことができる。
【0063】
一具現例において、前記N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、N-フェニルマレイミド、スチレン、およびマレイン酸無水物の混合物を重合させたり、或いはスチレンおよびマレイン酸無水物共重合体のイミド化反応によって製造することができる。
【0064】
一具現例において、前記N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、N-フェニルマレイミドから由来する成分10重量%~55重量%、例えば15重量%~55重量%、または15重量%~50重量%と、スチレンから由来する成分40重量%~80重量%、およびマレイン酸無水物から由来する成分1重量%~10重量%を含むことができる。
【0065】
前記重量範囲内で、前記N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた電気伝導性および耐水信頼性を表すことができる。
【0066】
前記N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が145℃~200℃、例えば155℃~200℃、例えば165℃~200℃になり得、これに制限されるのではない。
【0067】
前記N-置換マレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、重量平均分子量(Mw)が10,000g/mol~300,000g/mol、例えば15,000g/mol~150,000g/molになり得る。前記N-置換マレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体の重量平均分子量が前記範囲にある時、これを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた物性バランスを保ちながら、同時に優れた電気伝導性を表し得る。
【0068】
一具現例において、前記N-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体は、基礎樹脂100重量%に対して、10重量%~30重量%、例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、または25重量%以上、および30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、または15重量%以下で含まれ得る。前記範囲内で、これを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた電気伝導性および耐水信頼性を表し得る。
【0069】
(D)ポリエーテル-エステル-アミド(polyether-ester-amide)ブロック共重合体
一具現例において、ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品に所定の電気伝導性を表すようにすることができる。
【0070】
また、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた耐水信頼性を保ちつつ、前述の電気伝導性を表すようにすることができる。
【0071】
一具現例において、ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体として、例えば、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物を使用することができる。
【0072】
一具現例において、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩としては、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナント酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノペラルゴン酸、ω-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のようなアミノカルボン酸類;ε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のようなラクタム類;およびヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩、ヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸の塩等のようなジアミン-ジカルボン酸塩等を例示することができる。例えば、12-アミノドデカン酸、ε-カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩等が使用できる。
【0073】
一具現例において、前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックまたはランダム共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体等を例示することができる。例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体等を使用できる。
【0074】
一具現例において、前記の炭素数4~20のジカルボン酸としては、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸等を例示することができる。
【0075】
一具現例において、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩と前記ポリアルキレングリコールの結合は、エステル結合になり得、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸塩と前記の炭素数4~20のジカルボン酸の結合は、アミド結合になり得、また、前記ポリアルキレングリコールと前記の炭素数4~20のジカルボン酸の結合はエステル結合になり得る。
【0076】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、公知の合成方法によって製造することができ、例えば、日本特許公報昭56-045419および日本特許公開昭55-133424に開示されている合成方法に従って製造することができる。
【0077】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、ポリエーテルエステルブロックを10重量%~95重量%含むことができる。前記範囲で、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物の電気伝導性および耐熱性等に優れ得る。
【0078】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、前記基礎樹脂100重量部に対して、1重量部~15重量部、例えば、1重量部以上、5重量部以上、または10重量部以上、および、15重量部以下、10重量部以下、または5重量部以下で含まれ得る。前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体の含量が前述の範囲を満たす場合、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品は優れた耐水信頼性を保ちつつ、同時に優れた電気伝導性を表すことができる。
【0079】
(E)添加剤
一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物は、前記成分(A1)~(D)以外にも、優れた難燃性、抗菌性、帯電防止性、耐候性、耐光性、耐衝撃性、耐熱性、および外観特性を発現することができると共に、別の物性の低下が発生しなく、同時に各物性間のバランスを合わせるために、或いは前記熱可塑性樹脂組成物の最終用途に従って必要な1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0080】
具体的には、前記添加剤としては、難燃剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、滑剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、顔料、染料等を使用することができ、これらは単独で或いは2種以上の組合せで使用することができる。
【0081】
これら添加剤は、熱可塑性樹脂組成物の物性を阻害しない範囲内で適切に含むことができ、具体的には、基礎樹脂100重量部に対して20重量部以下で含まれ得るが、これに制限されるのではない。
【0082】
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物を製造する公知の方法によって製造され得る。
【0083】
例えば、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、本発明の構成成分とその他の添加剤を同時に混合した後、押出器内で溶融混練してペレット(pellet)形態に製造することができる。
【0084】
一方、別の具現例では、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された成形品を提供する。前記成形品は、前記熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形、押出成形等、当該技術分野で公知の多様な方法で製造することができる。
【0085】
このように、前記成形品は、優れた電気伝導性、耐衝撃性、塗装付着力および耐水信頼性を有するため、各種電気電子部品、建築材料、スポーツ用品、自動車の内/外装部品に有利に使用することができる。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例であるだけで、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【0087】
実施例1~2および比較例1~5
実施例1~2および比較例1~5の熱可塑性樹脂組成物は、それぞれ下記表1に記載の成分含量比に従って製造した。
【0088】
表1において、(A1)、(A2)、(B)、(C)および(C’)は基礎樹脂に含まれるものであり、基礎樹脂の総重量を基準にした重量%で表し、(D)は基礎樹脂に添加されるものであり、基礎樹脂100重量部に対する重量部で表した。
【0089】
表1に記載の成分を二軸押出器(L/D=44,Φ=35mm)の供給部(バレル温度:約260℃)に定量的に連続投入して、押出/加工してペレット形態の熱可塑性樹脂組成物を製造した。次いで、前記のペレット化された熱可塑性樹脂組成物を約80℃で約2時間乾燥した後、シリンダー温度約250℃、金型温度約60℃の6oz射出成形機を使用して物性評価用試片をそれぞれ製造した。
【0090】
【表1】
【0091】
前記表1に記載の各構成に対する説明は次の通りである。
【0092】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
ブタジエンゴム質重合体からなるコア(平均粒径:約0.25μm)約58重量%にアクリロニトリルとスチレン(アクリロニトリル:スチレン重量比=約2.5:約7.5)が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むアクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(ロッテケミカル社)
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
アクリロニトリル約28重量%およびスチレン約72重量%を含む単量体混合物から共重合された重量平均分子量が約110,000g/molのスチレン-アクリロニトリル共重合体(ロッテケミカル社)
(B)ポリアミド樹脂
融点(Tm)が約223℃で、相対粘度が約2.3のポリアミド6樹脂(ケイピーケムテック社,EN-300)
(C)N-フェニルマレイミド-芳香族ビニル-マレイン酸無水物共重合体
ガラス転移温度(Tg)が約196℃で、N-フェニルマレイミド由来成分含量が約49重量%のN-フェニルマレイミド-スチレン-マレイン酸無水物共重合体(Denka社,MS-NB)
(C’)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体(Fine Blend Polymer社,SAM-010)
(D)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体
ポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(PA6-b-PE0)(Sanyo社,PELECTRON AS)
物性評価
実験結果を下記表2に表した。
【0093】
(1)電気伝導性(単位:Ω/sq):表面抵抗測定装置(製造社:SIMCO-ION社,装置名:Worksurface Tester ST-4)を使用して、100mmx100mmx2mmの試片に対して表面抵抗を測定した。表面抵抗が低いほど電気伝導性が優れると評価した。
【0094】
(2)耐衝撃性(単位:kgf・cm/cm):ASTM D256によって1/4”厚の試片に対するノッチアイゾット衝撃強度を測定した。
【0095】
(3)耐水信頼性:100mmx100mmx2mmの試片を温度60±2℃に調整した温水中に96時間浸漬させた後、水洗いし、エアブロワー(air blower)を用いて水気を取り除き、乾燥した後、標準条件(23±2℃,50±5% RH)で1時間放置し、変退色の有無を観察する方式で耐水評価を行った。耐水評価後、表面の気泡の発生の有無を確認して耐水信頼性を評価した。
【0096】
(X:気泡発生なし,○:一部の表面に気泡発生,◎:試片全体に気泡発生)
(4)塗装付着力(単位:等級):静電塗装した100mmx100mmx2mmの試片にASTM D3359によって1mm間隔で格子状の切り込みを入れ、その上にテープ(tape)を貼った後、剥がして、テープ剥離後の試片の表面の状態によって等級を評価した。評価用テープは、JIS Z 1522規格Nichiban CT-24テープを使用した。
【0097】
【表2】
【0098】
表1および表2から、実施例1~2のように、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、マレイン酸無水物-芳香族ビニル-マレイン酸無水物およびポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体を、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物を形成する含量で使用することにより、比較例に比べて優れた電気伝導性、耐衝撃性、耐水信頼性および塗装付着力を表す熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品を提供できるということを確認することができる。
【0099】
以上で、本発明の好ましい具現例に対して詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、添付の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【国際調査報告】