(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】クローズドセル層を有するシート
(51)【国際特許分類】
B32B 3/26 20060101AFI20231201BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20231201BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20231201BHJP
B32B 3/28 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B32B3/26 A
B65D65/40 D
B65D81/03
B32B3/28 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532697
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2021017719
(87)【国際公開番号】W WO2022114877
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0163039
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165530
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523198095
【氏名又は名称】ドンソン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGSUNG CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、スミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、グンモ
【テーマコード(参考)】
3E066
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E066AA22
3E066CA01
3E066KA08
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB84
4F100AG00
4F100AJ02A
4F100AJ02B
4F100AJ03A
4F100AJ03B
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4F100AK01A
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4F100BA10C
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4F100EC03
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4F100HB31
4F100JK10
4F100YY00B
(57)【要約】
本発明は、クローズドセル層を有するシートに関するものであり、具体的には、環境に優しい樹脂フィルム上に形成された複数のクローズドセルと、所定のイメージが印刷された印刷部とを含む環境に優しいシートを提供する。本発明に係るシートは、外部からの衝突や厳しい外部環境の条件下でも変形や破損などが防止され、クローズドセルの形態保持性、クローズドセルの弾性保持、及びシートの形態耐久性を向上させ得るとともに、特定のイメージを印刷することで識別力を有することができ、環境にやさしいという利点を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の樹脂フィルム層と、
上記第1の樹脂フィルム層の一面に形成され、所定の間隔で離間した複数のクローズドセルを含むセル層と、
上記第1の樹脂フィルム層の少なくとも一面に形成され、所定の色又は模様を有する印刷部と、を含み、
上記クローズドセルは、所定の空気で充填されており、
空気で充填されたクローズドセルの最大高さ(H
max)と最低高さ(H
min)との比率は、1:0.6~0.95である、クローズドセルを有するシート。
【請求項2】
上記クローズドセル内部の空気密度は、0.001~0.5g/cm
3である、請求項1に記載のクローズドセルを有するシート。
【請求項3】
ガラス板上に配置されたクローズドセル層を有するシート上に、重さ5kgの鉄球を60cmの高さから自由落下させた時に亀裂が発生しない、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項4】
上記第1の樹脂フィルム層及びセル層のうちの少なくとも1つは、生分解性高分子を含む、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項5】
上記生分解性高分子は、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、及びPBS(ポリブチレンサクシネート)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項4に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項6】
上記セル層は、
上記第1の樹脂フィルム層の一面上に第2の樹脂フィルム層の一面を貼り合わせて融着された接合部と、
上記第1の樹脂フィルム層と上記第2の樹脂フィルム層とが非融着であり、これらの間に空気で密封されたクローズドセルが設けられた非接合部と、
を含む、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項7】
上記セル層は、複数のクローズドセルを繰り返して配列して設けられる所定のエンボスパターンを含む、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項8】
上記エンボスパターンの水平断面形状は、円形、半円形、扇形、及び多角形からなる群から選択される、請求項7に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項9】
上記印刷部は、
上記第1の樹脂フィルム層の他面上に形成されるか、
上記セル層と接触する上記第1の樹脂フィルム層の一面上に形成されるか、又は
これらの両方に形成される、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項10】
上記印刷部は、上記第1の樹脂フィルム層の他面上に所定の色又は模様が印刷されたプリント層を積層して形成される、請求項1に記載のクローズドセル層を有するシート。
【請求項11】
上記プリント層は、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、PBS(ポリブチレンサクシネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の生分解性高分子を含む、請求項10に記載のクローズドセル層を有するシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローズドセル層を有する環境にやさしいシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートは、いわゆる発泡(bubble)プラスチック材料を形成するため、一緒に積層された2つのプラスチックシート層から構成されている。このような発泡形状は、1枚のシート上に真空成形されるが、実質的に平坦なシートに積層されることで2つの層の間に密封された発泡を形成している。上記発泡は、一般に円形、円筒形の形状を呈しており、その他、六角形、ダイヤモンド形状、部分球状の発泡も知られている。
【0003】
一例として、米国登録特許第4,869,939号は、隣接したセル同士が中間通路を介して互いに流動的な構造を有するセル配列を含むエアーバブルのセルからなるシートを開示している。また、特開2003-2377842号は、中間連結通路によってグループで連結されたエアーセルを有するシートを開示している。
【0004】
しかし、上記のようなシートは、外部からの衝撃や厳しい外部環境の条件下で生じる変形及び/又は破損を防止する効果が十分でなく、エアーセルの形態保持や耐久性の面でも不十分である。さらに、一般的なプラスチック材料の使用によって、環境に悪影響を及ぼすことがあり、識別力の面でも限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、外部衝撃や厳しい外部環境の条件下で変形や破損などを防止することができ、クローズドセルの形態保持性、クローズドセルの弾性保持、及びシートの形態耐久性を向上させ得ると共に、特定のイメージを印刷することで識別力を有し、また、環境にやさしいクローズドセル層を有するシートを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的及び利点は、後述の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲によって、より明確に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を達成するため、本発明は、第1の樹脂フィルム層と、上記第1の樹脂フィルム層の一面に形成され、所定の間隔で離間した複数のクローズドセルを含むセル層と、上記第1の樹脂フィルム層の少なくとも一面に形成され、所定の色又は模様を有する印刷部とを含み、上記クローズドセルは、所定の空気で充填されており、空気で充填されたクローズドセルの最大高さ(Hmax)と最低高さ(Hmin)との比率は、1:0.6~0.95である、クローズドセル層を有するシートを提供する。
【0008】
本発明の一実施例において、上記クローズドセル内部の空気密度は、0.001~0.5g/cm3であり得る。
【0009】
本発明の一実施例において、上記クローズドセル層を有するシートは、ガラス板上に配置されたクローズドセル層を有するシート上に、重さ5kgの鋼球を60cmの高さから自由落下させた時、亀裂が発生しない。
【0010】
本発明の一実施例において、上記第1の樹脂フィルム層及びセル層のうち少なくとも一つは、生分解性高分子を含んでいる。
【0011】
本発明の一実施例において、上記生分解性高分子は、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、及びPBS(ポリブチレンサクシネート)からなる群から選択される1種以上を含んでいる。
【0012】
本発明の一実施例において、上記セル層は、上記第1の樹脂フィルム層の一面上に第2の樹脂フィルム層の一面を貼り合わせて融着された接合部と、上記第1の樹脂フィルム層と上記第2の樹脂フィルム層とが非融着であり、これらの間に空気で密封されたクローズドセルが設けられた非接合部と、を含んでいる。
【0013】
本発明の一実施例において、上記セル層は、複数のクローズドセルを繰り返して配列して設けられる所定のエンボスパターンを含んでいる。
【0014】
本発明の一実施例において、上記エンボスパターンの水平断面形状は、円形、半円形、扇形、及び多角形からなる群から選択される。
【0015】
本発明の一実施例において、上記印刷部は、上記第1の樹脂フィルム層の他面上に形成されるか、上記セル層と接触する上記第1の樹脂フィルム層の一面上に形成されるか、又はこれらの両方に形成されている。
【0016】
本発明の一実施例において、上記印刷部は、上記第1の樹脂フィルム層の他面上に所定の色又は模様が印刷されたプリント層を積層して形成されている。
【0017】
本発明の一実施例において、上記プリント層は、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、PBS(ポリブチレンサクシネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の生分解性高分子を含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施例によるクローズドセル層を有するシートによれば、外部衝撃や厳しい外部環境の条件下で生じる変形や破損などが防止され、クローズドセルの形態保持性、クローズドセルの弾性保持、及びシートの形態耐久性を向上させ得ると共に、特定のイメージを印刷することで識別力を有し、また、環境にやさしいという利点が得られる。
【0019】
本発明による効果は、上述した内容によって制限されず、より様々な効果が本明細書中に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例に係るクローズドセル層を有するシートの断面図である。
【
図2】本発明に係るクローズドセル層を有するシートに備えられるクローズドセルの圧力印加による最大高さ(H
max)及び最低高さ(H
min)を示す概念図である。
【
図3】本発明に係るクローズドセル層を有するシートに備えられる接合部130及び非接合部140の種々の実施形態を示す平面模式図である。
【
図4】本発明に係るクローズドセル層を有するシートに備えられる接合部130及び非接合部140の様々な実施形態を示す平面模式図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るクローズドセル層を有するシートに備えられる接合部130及び非接合部140の種々の実施形態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るクローズドセル層を有するシートに備えられる接合部130及び非接合部140の種々の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るクローズドセル層を有するシートに備えられる接合部130及び非接合部140の様々な実施形態を示す斜視図である。
【
図8】本発明のクローズドセル層を有するシートに備えられる印刷部の種々の実施形態を示す断面図である。
【
図9】本発明のクローズドセル層を有するシートに備えられる印刷部の種々の実施形態を示す断面図である。
【
図10】本発明のクローズドセル層を有するシートに備えられる印刷部の種々の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
100:クローズドセル層を有するシート
120:クローズドセル層
120a:クローズドセル
121:第1の樹脂フィルム層
122:第2の樹脂フィルム層
130:接合部
140:非接合部
150:印刷部
160:プリント層
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施例の構成及び作用について詳述する。
【0023】
なお、各図面の構成要素に参照符号を付するにあたり、同じ構成要素に限っては、例え他の図面上に示されても、なるべく同じ符号を有するようにしていることに留意されたい。
【0024】
また、本明細書に開示する本発明の実施例についての特定の構造的又は機能的説明は、本発明による実施例を説明するために例示されたものであり、本発明による実施例は、様々な形態で実施でき、本明細書で示される実施例に限定されるものと解釈されてはならない。
【0025】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるが、特定の実施例を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むものと理解しなければならない。各図面を説明するにあたって類似の参照符号を構成要素に付している。
【0026】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるが、上記構成要素は、当該用語によって限定されてはならない。当該用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく第1の構成要素を第2の構成要素に命名することができ、これと同様に第2の構成要素を第1の構成要素に命名することができる。
【0027】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とは、特に言及しない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全体において、「上に」又は「上方に」とは、対象部分の上又は下に位置する場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含むことを意味し、必ずしも重力方向を基準として上方に位置することを意味するものではない。また、本願の明細書全体において、「平面上」とは、対象部分を上から見た場合のことを意味し、「断面上」とは、対象部分を垂直に切った断面を横から見た場合のことを意味する。
【0028】
別に定義しない限り、技術又は科学用語を含む、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されたような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、特に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されてはならない。
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施例をさらに説明する。図面上の同一の構成要素には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する。
【0030】
図1は、本発明に係るクローズドセル層を有するシートの一実施例を概略的に示す断面構造図である。
【0031】
図1に示されるように、本発明の一実施例に係るクローズドセル層を有するシート100は、第1の樹脂フィルム層121と、上記第1の樹脂フィルム層121の一面に形成され、所定の間隔で離間した複数のクローズドセル120aを含むセル層120と、上記第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面に形成され、所定の色又は模様を有する印刷部150とを含み、上記クローズドセル120aは、圧力印加による高さ変化率が所定の範囲を有するように所定の空気で充填されている。
【0032】
このように、密封されたクローズドセル120aは、圧力印加によるクローズドセル120aの高さ変化率が制御され、内部の空気密度が特定の範囲に調節されることにより、外部から一定の圧力が印加されても、クローズドセル120aの弾性及びシートの形態耐久性を保持して向上させることができるという点で、従来のシートと差別化される。
【0033】
また、上記第1の樹脂フィルム層121及び/又はセル層120は、生分解性高分子で構成され、従来のシートに比べて、環境に優しく、また、印刷部150を含んでいるため、可読性と識別力を高めることができる。
【0034】
以下、クローズドセル層を有するシート100の各構成について詳述する。
【0035】
第1の樹脂フィルム層
本発明によるクローズドセル層を有するシート100において、第1の樹脂フィルム層121は、複数のクローズドセル120aを支持して保護する役割を果たす。また、後述する印刷部150を形成するためのコーティング基材又は基材フィルムとして使用され得る。
【0036】
上記第1の樹脂フィルム層121としては、特に制限されず、当該技術分野で公知のプラスチックフィルムを制限なく使用することができる。環境を考慮して、上記第1の樹脂フィルム層121は、当該技術分野で公知の通常の生分解性高分子で構成されることが好ましい。
【0037】
本発明において、生分解性高分子とは、光、熱及び水分などの環境条件下で化学構造が著しく変化し、その物質の変化が測定される高分子であって、生崩壊性高分子(Disintegrable Polymer)、生分解性高分子(Biodegradable Polymer)などを含む概念である。具体的には、生分解性高分子(又は、生分解性プラスチック)は、土壌埋立てによって100%自然に分解されるプラスチックであるため、従来の疎水性プラスチックとは異なり、土壌埋立てによる環境負荷が低いため、環境にやさしい。このような生分解性高分子の生分解度は、特に限定されない。例えば、生分解度が80%以上、具体的には80~100%であり得る。なお、生分解度は、KS M ISO 14855-1規格に準拠している。
【0038】
通常、生分解性高分子は、天然高分子系、合成高分子系、微生物生産高分子、及び天然物高分子と合成高分子とのブレンド(Blend)に分類される。使用可能な天然高分子系生分解性高分子としては、例えば、穀物から抽出される澱粉(デンプン、スターチ)、エビやカニの殻から得られるキチン(chitin)、セルロース(cellulose)、又はこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに制限されない。このような天然高分子系生分解性高分子は、合成系生分解性高分子に比べて加工性が劣るが、価格が相対的に安価である。特に、澱粉は、価格が安価であり、加工性を向上させ得る種々の変形技術を採用することができる。
【0039】
また、化学合成による合成系生分解性高分子としては、例えば、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、PBS(ポリブチレンサクシネート)又はこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに制限されない。このような合成系生分解性高分子は、生産が比較的容易であり、物性の調節が容易であるため、様々な機能を付与することができる。
【0040】
また、上記天然系及び合成系の生分解性高分子を混用することができる。この場合、生分解性に優れた澱粉と合成系高分子とをブレンディング(blending)することによって、生分解性を向上させ、費用を低減することができる。一例として、澱粉とPLA、澱粉とPCL、澱粉と脂肪族ポリエステルなどの混用を行うことができ、このとき、これらの混合比率は、適宜調節可能である。一具体例として、PLA(ポリラクチド)及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)の混合からなる上記第1の樹脂フィルム層121は、シートの生分解性を維持しながらも耐久性及び熱的機械的特性を向上させ得る長所を有する。
【0041】
上記第1の樹脂フィルム層121の厚さは、特に制限されず、当該技術分野で使用される通常の厚さ範囲内で適宜調節することができる。
【0042】
セル層
本発明によるクローズドセル層を有するシート100において、セル層120は、第1の樹脂フィルム層121の一面上に形成され、所定の間隔で離間した複数のクローズドセル120aを含む。
一具体例として、上記セル層120は、対向して配置される第1の樹脂フィルム層121の一面の少なくとも一部と第2の樹脂フィルム層122の一面の少なくとも一部とを貼り合わせて形成された接合部130と、これら121、122が部分的に非接合状態で分離された非接合部140とを含む。より具体的に、上記接合部130とは、第1の樹脂フィルム層121の一面上に第2の樹脂フィルム層122の一面を貼り合わせて密着された平坦部(flat)を意味する。また、非接合部140とは、第1の樹脂フィルム層121と第2の樹脂フィルム層122とが部分的に融着されておらず、これらの間の内部空間に所定の空気が充填された凸部を意味する。このような非接合部140には、所定の空気で内部が密封されたクローズドセル120aが設けられる。
【0043】
上記セル層120を構成する第2の樹脂フィルム層122としては、当該技術分野で公知のプラスチックフィルムを制限なく使用可能であり、具体的には、上述した第1の樹脂フィルム層121を構成する材料と同一又は異なる生分解性高分子を使用することが好ましい。
【0044】
一具体例として、上記第2の樹脂フィルム層122としては、互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立して、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、PBS(ポリブチレンサクシネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上が挙げられる。好適な一具体例として、PLA(ポリラクチド)及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)の混合からなる上記第2の樹脂フィルム層122は、シートの生分解性を維持しながら耐久性及び熱的機械的特性を向上させ得る長所を有する。
【0045】
平坦部である接合部130と凸部である非接合部140とは、交互に繰り返して配列されるが、これらは、一定の間隔で離間して配置される。この場合、外部衝撃や厳しい外部環境の条件下で接合部130及び非接合部140の形態を保持することができるという点で好ましい。
【0046】
また、非接合部140は、空気で密封された所定パターン形状のクローズドセル120aを有する。このような非接合部140は、当該技術分野で公知の常法により製造され得る。一例として、第1の樹脂フィルム層121と第2の樹脂フィルム層122との貼り合わせを行う時、両層121、122の接触部のうちの一部を非接触となるようにした後、上記非接触部同士の間の空間に空気を注入し、空気注入部を取り囲む第1の樹脂フィルム層121と第2の樹脂フィルム層122との接触部を貼り合わせ及び/又は融着などによって密封させて製造することができる。なお、空気を密封させる方法は、特に限定されない。
【0047】
また、空気で密封されたクローズドセル120a内部の空気密度は、弾性保持及び形態耐久性の向上を考慮して、所定の範囲に調節することが好ましい。一例として、上記空気密度は、0.001~0.5g/cm3であってもよく、具体的には、0.001~0.4g/cm3、0.005~0.4g/cm3、0.01~0.4g/cm3、0.05~0.3g/cm3、0.05~0.2g/cm3の範囲内で、非接合部140の面積、形状及び/又はパターンに応じて調節してもよい。このような空気密度は、通常の気体密度測定方法を用いて測定可能であり、一例として、1atm及び15℃の条件下で測定してもよい。上述した空気密度を満たす空気で密封されたクローズドセル120aを有する本発明のシート100は、クローズドセル120aの弾性保持及びシートの形態耐久性を向上させ得る長所を有する。
【0048】
なお、
図2は、本発明に係るクローズドセル層120に備えられたクローズドセル120aの圧力印加による最大高さ(H
max)及び最低高さ(H
min)を概念的に示す図である。
【0049】
図2に示されるように、一面に複数のクローズドセル120aが設けられたセル層120の上部に一定の圧力を加えると、クローズドセル120aの高さが低くなる。このとき、クローズドセル120aの内部に充填された空気密度によって、最大高さ(H
max)及び最低高さ(H
min)が変化し、クローズドセルを形成する材質の物性にも影響することになる。なお、クローズドセル120aの最大高さ(H
max)及び最低高さ(H
min)の測定方法については、当技術分野で公知の常法により求めることができる。一例として、1atm及び15℃の条件下で一定の圧力を加える前のクローズドセルの最大高さ(H
max)を測定した後、一定の圧力を次第に印加しながらクローズドセル120aの形態が損なわれる直前の高さを最低高さ(H
min)として測定し、最大高さ(H
max)に対する最低高さ(H
min)の比率を求めることができる。なお、その測定方法は、特に限定されない。
【0050】
具体的には、空気で密封されたクローズドセル120aの高さは、外部から印加される所定の圧力によって変化することになる。このとき、印加圧力によるクローズドセル120aの高さ変化は、弾性保持及び形態耐久性の向上を考慮して所定の範囲に調節されることが好ましい。一例として、クローズドセル120aの最大高さ(Hmax)に対する最低高さ(Hmin)の比率は、1:0.6~0.95であり、上述した範囲内で非接合部140の面積形態及びパターンによって調節することができる。上記クローズドセル120aの最大高さ(Hmax)に対する最低高さ(Hmin)の比率が上述した数値範囲を満たす場合は、クローズドセル120aの弾性保持及びシートの形態耐久性を向上させ得る長所が得られる。
【0051】
本発明に係るクローズドセル120aは、その内部に所定の空気が密封されることでシート100のクッション性を付与し、外部表面が屈曲するように形成されることで視覚的にもクッション感が得られる長所を有する。即ち、接合部130と非接合部140とが交互に繰り返して配置されることで、複数のクローズドセル120aが一定の間隔で形成されたクローズドセル層120を備え、このようなクローズドセル層120は、外部衝突や厳しい外部環境の条件下での変形や破損防止の効果及びクローズドセルの形態維持の効果を同時に実現し得るシートを提供することができる。
【0052】
上記セル層120の一面、具体的には、第1の樹脂フィルム層121と接しないセル層120の表面は、複数のクローズドセル120aを繰り返して配列して設けられる所定のエンボス(emboss)パターンを含む。具体的には、セル層120は、非接合部140の領域に形成される複数のクローズドセル121と、上記クローズドセル121が形成されていない平らな接合部130の領域とが交互に配置されてなる規則的なエンボスパターンを有する。このようなエンボスパターンは、第1の方向に沿って形成されるパターンの幅、上記第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成されるパターンの長さ、及び上記第1の方向及び上記第2の方向に直交しかつ上記第1の樹脂フィルム層121に垂直な方向に沿って形成されるパターンの高さを有する。なお、上記エンボスパターンの各パターンの幅、パターンの長さ及び/又はパターンの高さは、特に制限されず、使用用途に応じて適宜調節することができる。一例として、エンボスパターンをなす各パターンの幅、長さ及び/又は高さは、実質的に同一であってもよい。
【0053】
また、エンボスパターンの水平断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、半円形、扇形、三角形、又は三角形以上の多角形であってもよい。その他、当技術分野で公知の様々なパターン形状を制限なく適用することができる。また、セル層120の一面に形成されたエンボスパターンの垂直断面形状は、特に制限されず、例えば、円柱、半球形、又は少なくとも一面が凸曲面を有する多面体形状であってもよい。
【0054】
さらに、複数のクローズドセル120aのうちのいずれか一つと、これと隣接する他のクローズドセル120aのうちのいずれか一つとの間には、所定の離間距離が設けられている。上記離間距離は、特に制限されず、例えば、上述したパターンの幅及びパターンの長さのうちのいずれか一つと同一であるか、又は、より小さく形成されてもよい。また、セル層120の高さは、特に制限されず、例えば、セル層120の一面に設けられる複数のクローズドセル120aのパターンの高さと実質的に同一であってもよい。
【0055】
本発明では、シートの変形や破損防止の効果及びクローズドセルの形態維持の効果を考慮して、複数のクローズドセル120aの全面積や個数を自由に調節することができる。
【0056】
印刷部
本発明によるクローズドセル層を有するシート100は、上記第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面に形成され、所定の色又は模様を有する印刷部150を含む。このような印刷部150は、様々な色、模様、及び/又はパターンを具現することにより、従来のシートに比べて、可読性を高めて優れた識別力を発揮することができる。
【0057】
上記印刷部150の色、模様及び/又はパターンとしては、特に制限されず、使用用途又は使用者のニーズに応じて適宜適用することができる。一例として、印刷部150は、当該技術分野で公知の通常の顔料を含有する有色形態であるか、又は所定の模様及び色を同時に含む形態であってもよい。
【0058】
印刷部150の形成位置は、特に限定されない。一例として、上記第1の樹脂フィルム層121の他面上に形成され、又は上記セル層120と接触する上記第1の樹脂フィルム層121の一面上に形成され、又はこれらの両方に形成されてもよい。また、形成される印刷部150の大きさ/面積は、特に制限されず、平面上で第1の樹脂フィルム層121と実質的に同一の大きさ/面積を有するか、又は、より小さく形成されてもよい。具体的には、印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面、例えば、他面の全体に全面的に形成されてもよく、又は一部の領域に部分的に形成されてもよい。
【0059】
また、印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121及び/又は第2の樹脂フィルム層122上に直接印刷により所定の色、模様及び/又はパターンを形成してもよく、又は、所定の色及び/又は模様が既に形成されたプリント層160を別途に使用して第1の樹脂フィルム層121上に積層させて形成してもよい。
【0060】
一例として、第1の樹脂フィルム層121及び/又は第2の樹脂フィルム層122上に直接印刷を施して印刷部150を形成する場合、当技術分野で公知の通常の印刷法を用いることができる。使用可能な印刷法としては、例えば、グラビア印刷法(Gravure Printing)、転写印刷法(Transfer Printing)、デジタル印刷法(Digital Printing)、オフセット印刷法(Offset Printing)、フレキソ印刷法(Flexographic Printing)、スクリーン印刷法(Screen Printing)、リソグラフ印刷法(RISO Printing)又はロータリースクリーン印刷法(Rotary Screen Printing)などが挙げられるが、これらに制限されない。具体的に、印刷部150は、上記のような印刷法によって第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面、例えば、他面の全体に全面的に形成されてもよく、又は他面の一部領域に部分的に形成されてもよい。このように第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面に特定のイメージを直接印刷する場合は、識別力を有するとともに、別途の印刷工程にかかる費用を削減してコストを低減できるため、製品の競争力を向上させることができる。
【0061】
また、本発明では、第1の樹脂フィルム層121の少なくとも一面、具体的には、他面上に所定の色及び/又は模様が形成されたプリント層160を積層させて印刷部150を形成してもよい。この場合、第1の樹脂フィルム層121と、転写模様を有する印刷部150との間の接着力の向上を図るため、これらの間の接着力を強化させる当技術分野で公知の通常の接着剤層をさらに含んでもよい。その他、転写模様を有する離型紙を用いて印刷部150を形成してもよい。
【0062】
本発明によるクローズドセル層を有するシート100を製造する方法は、特に制限されず、当技術分野で公知の通常のシート製造装置を使用して製造することができる。
【0063】
一例として、上記シート製造装置としては、ホッパー、押出機、及びローラーを備える装置を制限なく使用することができ、このとき、ローラーは、様々な形状を製造するための成形ローラー、加圧ローラー、ガイドローラー、及び支持ローラーのうちの少なくとも1つ以上を備えることができる。また、押出及び/又は成形時において、温度及び圧力は、特に制限されず、当技術分野で公知の通常の範囲内で適宜調節することができる。例えば、フィルムを構成する樹脂の軟化点以上の温度であってもよい。
【0064】
以下、本発明の一実施例によって、クローズドセル層を有するシートの様々な変形例について、
図3~
図10を参照して説明する。
【0065】
図3及び
図4は、本発明に係るクローズドセル層を有するシート100の一面に備えられた接合部130及び非接合部140の様々な実施形態を示す平面模式図である。
【0066】
図3に示されるように、非接合部140の平面形状、具体的には、非接合部140の領域に設けられる複数のクローズドセル120aの平面形状は、円形パターンであってもよい。なお、
図4中、非接合部140の領域に設けられる複数のクローズドセル120aの平面形状は、矩形パターンであってもよい。
【0067】
本発明において、
図3及び
図4には、クローズドセル層を有するシート100の一面に備えられる非接合部140の平面形状が具体的に例示されている。しかし、これに限定されず、当該技術分野で公知の様々な形態と大きさを有するように変形することが可能である。
【0068】
図5~
図7は、本発明に係るクローズドセル層を有するシート100の一面に備えられる接合部130及び非接合部140の様々な実施形態を示す概略斜視図である。
【0069】
図5及び
図6に示された非接合部140の平面形状は、いずれも円形パターンを呈しているが、非接合部140の垂直断面形状、具体的には非接合部140の領域に設けられる複数のクローズドセル120aのエンボスパターンは、それぞれ、円柱形状又は半球形状であってもよい。
【0070】
また、
図7に示された非接合部140の平面形状は、
図4のように矩形パターンの形状を有しているが、上記非接合部140の垂直断面形状、具体的には非接合部140の領域に設けられる複数のクローズドセル120aのエンボスパターンは、一面が凸曲面を有する多面体(ポリゴン)形状であってもよい。
【0071】
上述したように、本発明では、非接合部140と、上記非接合部140の領域に設けられるクローズドセル120aのパターン形状を種々に変形して実施することにより、本発明によるクローズドセル層を有するシート100の使用目的及び用途に応じて幅広く適用できる長所を有する。
【0072】
また、本発明によるシート100に設けられるクローズドセル120aは、接合部130と非接合部140とが交互に規則的に配置された構成を有し、このとき、クローズドセル120aの形状と非接合部140の形状とは互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。具体的には、接合部140とは、第1の樹脂フィルム層121の一面(例えば、上部)に形成される底面のパターン、即ち、平面形状を意味し、クローズドセル120aとは、第1の樹脂フィルム層121の一面(上部)と第2の樹脂フィルム層122の一面とが部分的に接合され、これら121、122の間の内部空間に形成される密閉部を意味するという点で、クローズドセル120aのパターン形状と非接合部140の平面形状とは、互いに異なっていてもよい。
【0073】
なお、本発明において、
図5~
図7には、非接合部140の領域に設けられるクローズドセル120aのパターンの断面形状が具体的に例示されている。しかし、これに限定されず、当該技術分野で公知の様々な形態と大きさを有するように変形することが可能である。
【0074】
図8~
図10は、本発明のクローズドセル層を有するシート100に備えられる印刷部150の様々な実施形態を示す断面図である。
【0075】
図8は、本発明に係るクローズドセル層を有するシートの他の実施例を概略的に示す図である。
【0076】
図8に示されるように、本発明の他の一実施例に係るクローズドセル層を有するシートは、印刷部150が第1の樹脂フィルム層の他面の一部に単独で形成されている
図1と比較して、第1の樹脂フィルム層121の他面の一部に形成された第1の印刷部150、及び複数のクローズドセルが形成されたセル層120の表面の一部に形成された第2の印刷部150の両方を含んでいる。
【0077】
特に、複数のクローズドセルが形成されたセル層120の表面、即ち、第2の樹脂フィルム層122の外側面(他面)の上部に形成された第2の印刷部150を備えるシートの場合は、平面上に単独で形成された印刷パターン(例えば、第1の印刷部)を有するものに比べて、立体感を付与することができ、視覚的に特定の印刷パターンの可読性や視認性を高める効果が得られる。
【0078】
なお、第2の樹脂フィルム層122の他面に第2の印刷部150を形成する方法は、特に制限されず、上述した第1の樹脂フィルム層121上に第1の印刷部150を直接印刷する方法と同様にして実施することができる。例えば、当該技術分野で公知の通常のグラビア印刷法、転写印刷法、デジタル印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、リソグラフ印刷法、又はロータリースクリーン印刷法などを採用することができる。
【0079】
また、第2の印刷部150は、上述した印刷工程によって、所定の模様、デザイン、パターンが一面に印刷された第2の樹脂フィルム層122を第1の樹脂フィルム層121と貼り合わせて製造してもよく、又は印刷されていない第1の樹脂フィルム層121と第2の樹脂フィルム層122とを対向配置させて貼り合わせ及び接合を行った後、非接合部140領域の一部、即ち、第2の樹脂フィルム層122の他面(例えば、外側面の上部)上に直接印刷を施して第2の印刷部150を形成してもよい。クローズドセル120aの形態安定性及び耐久性を考慮して、前者の方法で第2の印刷部150を形成することが好ましい。
【0080】
図9は、本発明に係るクローズドセル層を有するシートの他の実施例を概略的に示す図である。
【0081】
図1に示された印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121の他面の一部に形成されているが、
図9に示された印刷部150の他の一実施例では、クローズドセル層120と接触する第1の樹脂フィルム層121の一面、即ち、第2の樹脂フィルム層121と貼り合わせられる第1の樹脂フィルム層121の一面(内側面の上部)に印刷部150が設けられている。このとき、印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121の一面の全体に全面的に形成されるか、又は一部の領域に部分的に形成されてもよい。
【0082】
上述したように、第1の樹脂フィルム層121の内側面、即ち、第2の樹脂フィルム層122と接触する面の上部に印刷部150を形成する場合、外部衝撃や厳しい環境から印刷部150を保護することができ、印刷部150の保持力及び製品競争力を向上させることができる。また、第1の樹脂フィルム層121と第2の樹脂フィルム層122との間に介在される印刷フィルムの一部を一定の配列で積層させることで目的のパターンやイメージを示す効果を得ることもできる。
【0083】
上記印刷フィルムとは、所定の色、イメージ、及び/又は模様などが上述した印刷方法で印刷されたフィルムを意味する。このような印刷フィルムとしては、当該技術分野で公知のプラスチックフィルムを制限なく使用することができ、具体的には、上述した第1の樹脂フィルム層121を構成する材料と同一又は異なる生分解性高分子を使用することが好ましい。
【0084】
一具体例として、上記印刷フィルムとしては、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート))、PBS(ポリブチレンサクシネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上が挙げられる。好適な一具体例では、PLA(ポリラクチド)及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)の混合からなる上記印刷フィルムは、シートの生分解性を維持しながらも耐久性及び熱的機械的特性を向上させ得る長所を有する。
【0085】
図10は、本発明に係るクローズドセル層を有するシートの他の実施例を概略的に示す図である。
【0086】
図10に示されるように、本発明による印刷部150の他の実施例では、上記印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121の他面上に特定のイメージが印刷されたプリント層160を積層させて形成されている。
【0087】
上記印刷部150は、第1の樹脂フィルム層121の他面上に直接、印刷法で形成されてもよく、別途のプリント層160を積層させて形成されてもよい。なお、特定のイメージが印刷されたプリント層160を第1の樹脂フィルム層121の他面上に積層させて印刷部150を形成する場合、プリント層160に所定のイメージを別途に印刷することが可能であるため、イメージの精密化、及び解像度を高めることができる。また、プリント層160がさらに積層されることにより、外部衝撃や厳しい外部環境によるシートの破損などを防止し、耐久性をさらに向上させ得る長所を有する。
【0088】
上記プリント層160としては、特に制限されず、例えば、特定のイメージで印刷されたフィルムやシートが挙げられる。このようなプリント層160としては、当該技術分野で公知のプラスチックフィルムやシートを制限なく使用することができ、具体的には、上述した第1の樹脂フィルム層121を構成する材料と同一又は異なる生分解性高分子を使用することが好ましい。
【0089】
一具体例として、上記プリント層160としては、澱粉、セルロース、キチン、PLA(ポリラクチド)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、PCL(ポリ-ε-カプロラクトン)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、PGA(ポリグリコール酸)、AP(脂肪族ポリエステル)、PHBV(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上が挙げられる。 好適な一具体例では、PLA(ポリラクチド)及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)の混合からなる上記プリント層160は、 シートの生分解性を維持しながらも耐久性及び熱的機械的特性を向上させ得る長所を有する。上述した本発明のクローズドセル層を有するシート及びその変形例は、環境にやさしい樹脂フィルム上に形成され、所定の空気で密封された複数のクローズドセル、及び所定のイメージが印刷された印刷部を備えることにより、外部衝撃や厳しい環境の条件下で生じる変形や破損などを防止することができ、クローズドセルの形態保持性、クローズドセルの弾性保持、及びシートの形態耐久性を有意に向上させることができる。また、高い可読性と識別力、及び環境にやさしいという利点が得られる。このような本発明によるクローズドセル層を有するシートは、当該技術分野において、シートが使用される全ての技術分野に制限なく適用可能である。
【0090】
[実施例1]
本実施例では、ホッパー、押出機、及び少なくとも一つ以上のローラーを備える通常のシート製造装置を使用し、このとき、クローズドセル層を形成するためのローラーとして、半円形状を有する成形ローラーを適用している。
【0091】
具体的には、第1の樹脂フィルム層及び第2の樹脂フィルム層を構成する生分解性樹脂として、PBAT90重量%及びPLA9重量%を使用し、添加剤として、潤滑剤(モンタンワックス)0.5重量%、1次酸化防止剤(フェノール系)0.3重量%、及び2次酸化防止剤(ホスフィト系)0.2重量%を混合して生分解性樹脂の原料を製造した。製造された生分解性樹脂の原料をシート製造装置のホッパーに挿入した後、Tダイによって第1の樹脂フィルム及び第2の樹脂フィルムをそれぞれ押し出した。 押し出された第2の樹脂フィルムは、
図3に示されるような閉鎖型の半円形状を有する成形ローラーに圧着し、上記第1の樹脂フィルムは、形状を有しない平らなローラーに圧着した。次に、第2の樹脂フィルムの一面と第1の樹脂フィルムの一面とを互いに対向させて貼り合わせを行った後、接合させて第1の樹脂フィルムの上部にクローズドセル層を形成した。なお、成形ローラーは、半円の直径を7mm、高さを3.5mmに調節してクローズドセル層を形成した。次に、クローズドセル層が形成されたフィルムは、冷却を行いながら移送ローラーを通じてロール状に巻き取ることでクローズドセル層を有するシートを製造した。また、製造されたクローズドセル層を有するシートの第1の樹脂フィルム層の上面及び第2の樹脂フィルム層の下面にデジタル印刷法で任意の形状をプリントすることで印刷部を形成した。
【0092】
上記のように製造された実施例1のクローズドセル層を有するシートは、KS M ISO14855-1規格に準拠して測定した生分解度が、98%であった。
【0093】
[実施例2]
閉鎖型の半円形状を有する成形ローラーの代わりに、
図4のような閉鎖型の四角柱形状を有する成形ローラーを適用し、上記成形ローラーを、四角柱形状を5mm×10mm、高さを3.0mmに調節して適用した以外は、上記実施例1と同様にして実施例2のクローズドセル層を有するシートを製造した。
【0094】
上記のように製造された実施例2のクローズドセル層を有するシートは、KS M ISO14855-1規格に準拠して測定した生分解度が、98%であった。
【0095】
[比較例1]
所定の形状を有する成形ローラーの代わりに、平らなローラーに圧着した以外は、実施例1と同様にして比較例1のシートを製造した。
【0096】
比較例1によるシートは、実質的に二重(double layered)樹脂層が接合された一般のフィルムと同様であり、クローズドセル層を有していない。これにより、外部衝突や厳しい外部環境の条件下で変形や破損などを防止できないことが分かる。
【0097】
[比較例2]
成形ローラーを、半円の直径を3mm、高さを1.5mmに調節してクローズドセル層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施した。
【0098】
[比較例3]
成形ローラーを、半円の直径を15mm、高さを10mmに調節してクローズドセル層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施した。
【0099】
[評価例1]
実施例1~2及び比較例1で製造されたクローズドセル層を有するシートを用いて、クローズドセル内部の空気密度、これによる高さ比率及び外部衝撃吸収の評価を下記のように行った。
【0100】
(1)気体密度の測定
空気で密封されたクローズドセルのうち任意に一つのセルを選択し、セルの形態を保つようにして切断した後、切断されたサンプルであるセルの重量(b)を測定した。次に、セル内部の空気を抜き出して、空気が除去されたセルの重量(a)及び空気の体積(V)を測定し、下記式1のように空気の密度を計算した。
[式1]
空気の密度(d)=空気の質量/空気の体積=b-a/V
【0101】
(2)クローズドセルの最大高さ(H
max)に対する最低高さ(H
min)の比率の測定
上述した
図2に示すような測定方法によって、それぞれクローズドセル120aの最大高さ(H
max)及び最低高さ(H
min)を測定した後、これらの比率で示した。なお、最大高さ(H
max)は、1atm及び15℃の条件下、圧力を加えない状態でクローズドセルの初期高さとし、最低高さ(H
min)は、同様な条件下でクローズドセルに一定の圧力を次第に印加しながら、セルの形態が損なわれる直前の高さと設定した。また、クローズドセルの損傷時の圧力を破壊圧力と定義した。
【0102】
(3)外部衝撃吸収の評価
A4用紙規格の2mm厚さのガラス板を、実施例1~2及び比較例1~2で製造されたシート1枚で覆った後、60cmの高さから重量5kgの鋼球を5回落下させ、ガラス板上での破壊程度を後述の基準によって評価した。
優秀:ガラス板上での損傷回数が0である
良好:ガラス板上での損傷回数が1~2回である
不良:ガラス板上での損傷回数が3~5回である
【0103】
【0104】
[評価例2]
実施例1~2による生分解性樹脂原料から製造されたフィルム原反(厚さ45μm、2layer)を使用して試験片を製造した。各試験片を用いて、ASTM D 412に準拠して物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
【0105】
【0106】
上記表1及び表2から分かるように、実施例1及び2で製造されたクローズドセル層を有するシートは、外部衝撃や厳しい外部環境の条件下での変形や破損などを防止し、シートの弾性、耐久性及びクローズドセルの形態保持性を保持させ得るとともに、特定のイメージを印刷することで識別力を有することができ、環境にやさしいという利点が得られると予想される。しかし、比較例1では、クローズドセル層が形成されていないため、外部衝撃から保護する効果が得られず、比較例2及び3では、実施例1及び2に比べて低い圧力でクローズドセルが破壊され、実施例1~2に比べて耐久性が低下し、外部衝撃に対する保護が十分でないことが分かった。
【0107】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々に変更及び修正して実施できることはいうまでもない。
【国際調査報告】