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特表2023-551521電池セル及びそれを含む電池モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】電池セル及びそれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20231201BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20231201BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20231201BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M50/105
H01M50/198
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532826
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022009785
(87)【国際公開番号】W WO2023282631
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0088728
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081996
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC10
5H011DD13
5H011EE04
5H011GG01
5H011HH02
5H011KK00
5H011KK01
5H012AA03
5H012BB04
5H012BB11
5H012DD01
5H012EE01
5H012EE03
5H012FF01
5H012GG01
5H012JJ02
5H012JJ10
(57)【要約】
本発明の一態様による電池セルは、電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、前記リードフィルムにガス排出誘導部が挿入されており、前記シーリング部は、前記ガス排出誘導部上に位置する第1シーリング部及び前記第1シーリング部の両側に位置する第2シーリング部を含み、前記電極リードの突出方向を基準にして、前記第1シーリング部の幅は前記第2シーリング部の幅よりも狭い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、
前記リードフィルムにガス排出誘導部が挿入されており、
前記シーリング部は、前記ガス排出誘導部上に位置する第1シーリング部及び前記第1シーリング部の両側に位置する第2シーリング部を含み、
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記第1シーリング部の幅は前記第2シーリング部の幅よりも狭い、電池セル。
【請求項2】
前記電極リードの突出方向の垂直方向を基準にして、前記第1シーリング部の長さは前記ガス排出誘導部の長さよりも長い、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記ガス排出誘導部は、前記第1シーリング部の中心に位置している、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1シーリング部は、前記第2シーリング部を基準にして凹んでいるパターンを有する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1シーリング部は、前記シーリング部の内側を基準にして外側に向かって凹んでいるパターンを有する、請求項4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1シーリング部と前記収納部との間に収納延長部が位置している、請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記電池ケースの外側を基準にして、前記収納延長部の端部は前記収納部の端部よりも外側に位置している、請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記ガス排出誘導部は、前記電極リードの突出方向に沿って延在しており、前記電池ケースの外側に隣接した前記ガス排出誘導部の端部は、前記リードフィルムで覆い包まれている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記電池ケースの内側に隣接した前記ガス排出誘導部の端部は、前記電池ケースの内部に露出している、請求項8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの界面にガス排出経路が形成されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの間の接着力は、前記リードフィルムと電極リードとの間の接着力または前記リードフィルムと前記シーリング部との間の接着力よりも小さい、請求項10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記ガス排出誘導部は、ポリイミド及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも一つからなるフィルム層である、請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記ガス排出誘導部は、液状樹脂からなるコーティング層である、請求項11に記載の電池セル。
【請求項14】
前記ガス排出誘導部は、酸化カルシウム(CaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO)、酸化バリウム(BaO)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)のうちの少なくとも一つを含むゲッター(getter)材料をさらに含む、請求項11に記載の電池セル。
【請求項15】
前記ガス排出誘導部は、前記電極リード上に位置し、前記ガス排出誘導部と前記電極リードとの間に接着層が形成されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項16】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの間の接着力は、前記接着層と前記ガス排出誘導部との間の接着力及び前記接着層と前記電極リードとの間の接着力の少なくとも一つよりも小さい、請求項15に記載の電池セル。
【請求項17】
前記接着層は、接着性テープまたは接着性バインダーからなる、請求項15に記載の電池セル。
【請求項18】
前記リードフィルムのガス透過度(permeability)が60℃で20~60バーラーである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項19】
前記リードフィルムの水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02g~0.2gである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項20】
前記ガス排出誘導部のガス透過度が60℃で40バーラー以上である、請求項1に記載の電池セル。
【請求項21】
請求項1に記載の電池セルを含む電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及びそれを含む電池モジュールに関し、より具体的には、ガス排出性能を向上させた電池セル及びそれを含む電池モジュールに関する。本出願は、2021年7月6日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0088728号及び2022年7月4日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0081996号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急増している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置のエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0003】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に収納されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型ケースに収納されているパウチ型電池とに分けられる。ここで、電池ケースに収納される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を備え、充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長尺シート型の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極とを、分離膜を介在した状態で順次に積層した積層型とに分けられる。
【0004】
中でも、特に積層型または積層/折畳み型電極組立体をアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに収納した構造のパウチ型電池は、製造コストが低くて軽量であり、変形が容易であるなどの理由から使用が次第に増加している。
【0005】
図1は従来の電池セルの上面図であり、図2図1のa-a’に沿った断面図である。
【0006】
図1及び図2を参照すると、従来の電池セル10は、電極組立体11が収納部21に収納され、外周辺が密封された構造のシーリング部25を含む電池ケース20を含む。また、電池セル10は、電極組立体11に含まれた電極タブ15と電気的に接続され、シーリング部25を通って電池ケース20の外側に突出している電極リード30を含み、電極リード30の上下部とシーリング部25との間にはリードフィルム40が位置する。
【0007】
しかし、近年、電池セルのエネルギー密度の増加とともに、電池セルの内部で発生するガス量も増加する問題がある。従来の電池セル10の場合、電池セルの内部で発生したガスを排出可能な部品が含まれておらず、長期保管時にガス発生によって電池ケース20が破裂するベンティング現象が発生するおそれがある。さらに、ベンティング現象によって損傷された電池セルは水分が内部に浸透し得、副反応が生じ、電池性能の低下及び追加的なガス発生につながるという問題がある。そこで、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させた電池セルを開発する必要性が高くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ガス排出性能を向上させた電池セル及びそれを含む電池モジュールを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に制限されず、言及されていない課題は、本明細書及び添付の図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による電池セルは、電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、前記リードフィルムにガス排出誘導部が挿入されており、前記シーリング部は、前記ガス排出誘導部上に位置する第1シーリング部及び前記第1シーリング部の両側に位置する第2シーリング部を含み、前記電極リードの突出方向を基準にして、前記第1シーリング部の幅は前記第2シーリング部の幅よりも狭い。
【0011】
前記電極リードの突出方向の垂直方向を基準にして、前記第1シーリング部の長さは前記ガス排出誘導部の長さよりも長くなり得る。
【0012】
前記ガス排出誘導部は、前記第1シーリング部の中心に位置し得る。
【0013】
前記第1シーリング部は、前記第2シーリング部を基準にして凹んでいるパターンを有し得る。
【0014】
前記第1シーリング部は、前記シーリング部の内側を基準にして外側に向かって凹んでいるパターンを有し得る。
【0015】
前記第1シーリング部と前記収納部との間に収納延長部が位置し得る。
【0016】
前記電池ケースの外側を基準にして、前記収納延長部の端部は前記収納部の端部よりも外側に位置し得る。
【0017】
前記ガス排出誘導部は、前記電極リードの突出方向に沿って延在しており、前記電池ケースの外側に隣接した前記ガス排出誘導部の端部は、前記リードフィルムで覆い包まれ得る。
【0018】
前記電池ケースの内側に隣接した前記ガス排出誘導部の端部は、前記電池ケースの内部に露出し得る。
【0019】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの界面にガス排出経路が形成され得る。
【0020】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの間の接着力は、前記リードフィルムと電極リードとの間の接着力または前記リードフィルムと前記シーリング部との間の接着力よりも小さくなり得る。
【0021】
前記ガス排出誘導部は、ポリイミド及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも一つからなるフィルム層であり得る。
【0022】
前記ガス排出誘導部は、液状樹脂からなるコーティング層であり得る。
【0023】
前記ガス排出誘導部は、酸化カルシウム(CaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO)、酸化バリウム(BaO)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)のうちの少なくとも一つを含むゲッター(getter)材料をさらに含み得る。
【0024】
前記ガス排出誘導部は、前記電極リード上に位置し、前記ガス排出誘導部と前記電極リードとの間に接着層が形成され得る。
【0025】
前記ガス排出誘導部と前記リードフィルムとの間の接着力は、前記接着層と前記ガス排出誘導部との間の接着力及び前記接着層と前記電極リードとの間の接着力よりも小さくなり得る。
【0026】
前記接着層は、接着性テープまたは接着性バインダーからなり得る。
【0027】
前記リードフィルムのガス透過度(permeability)は、60℃で20~60バーラー(barrer)であり得る。
【0028】
前記リードフィルムの水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02g~0.2gであり得る。
【0029】
前記ガス排出誘導部のガス透過度は、60℃で40バーラー以上であり得る。
【0030】
本発明の他の一態様による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ガス排出誘導部上に位置したシーリング部の長さが相対的に短い電池セル及びそれを含む電池モジュールを提供することで、ガス排出性能を向上させることができる。
【0032】
具体的には、本発明の一実施形態によれば、ガス排出誘導部とリードフィルムとの界面にガス排出経路を形成できて相対的に製造工程が容易であるだけでなく、電池セル内のガスを効果的に外部に向かって排出することができる。
【0033】
本発明の他の実施形態によれば、シーリング部が第1シーリング部及び第2シーリング部を含み、第1シーリング部の幅と第2シーリング部の幅とを異ならせることで、リードフィルムとシーリング部との間のシーリング強度を低くして、内圧上昇時にリードフィルムが内部の圧力によってガス排出誘導部から剥離し易く、ガス排出誘導部とリードフィルムとの間にガス排出経路を容易に形成することができる。
【0034】
本発明のさらに他の実施形態によれば、リードフィルム上に第1シーリング部によってシーリングされない部分が形成されることで、該当部分は内圧上昇時に内部気体と直接接するようになる。したがって、リードフィルムが内部の圧力によってガス排出誘導部からより容易に剥離可能である。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態によれば、ガス排出誘導部の形状を調節することで、ガス排出誘導部のガス排出性能、リードフィルムの耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じてガス排出誘導部の形状を変えて、製造工程を簡便にし、コストを節減することができる。
【0036】
本発明のさらに他の実施形態によれば、リードフィルムのガス透過度及び水分浸透量を所定の範囲にすることで、電池セルの内部で発生するガスを排出しながらも、外部からの水分浸透をより効果的に防止することができる。
【0037】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は本明細書及び添付された図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来の電池セルの上面図である。
図2図1のa-a’に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
図4】(a)は図3の二点鎖線領域を拡大して示した図であり、(b)は本発明の他の実施形態による図3の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
図5図4の(a)の電池セルにおいて、図3のA-A’に沿った断面図である。
図6】ガス排出誘導部の多様な形状を示した図である。
図7図5の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
図8図7のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。
図9図7のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。
図10図9のガス排出経路を示した斜視図である。
図11】本発明の他の実施形態による電池セルにおいて、図3のA-A’に沿った断面図である。
図12図11の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
図13図12のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。
図14図12のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。
図15】比較例において、図1の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
図16】比較例において、図1のa-a’に沿った断面図である。
図17図16の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0040】
本発明を明確に説明するため、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通して同一または類似の構成要素に対しては、同じ参照符号を付することにする。
【0041】
また、図示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示されているため、本発明が図示によって限定されることはない。図面においては、多様な層及び領域を明確に示すため、厚さを拡大して示している。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示している。
【0042】
また、明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0043】
また、明細書の全体において、「平面図」とするとき、これは対象部分を上方から眺めた場合を意味し、「断面図」とするとき、これは対象部分を垂直に切った断面を側方から眺めた場合を意味する。
【0044】
以下、本発明の実施形態による電池セルについて説明する。但し、ここでは電池セルの一端部を基準にして説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、電池セルの他端部の場合にも同一または類似の説明が適用され得る。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
【0046】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による電池セル100は、電極組立体110が取り付けられる収納部210、及び該収納部210の外周辺が密封されて形成されたシーリング部250を含む電池ケース200と、電極組立体110に含まれた電極タブ150と電気的に接続され、シーリング部250を通って電池ケース200の外側に突出している電極リード300と、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方において、シーリング部250に対応する部分に位置するリードフィルム400と、を含む。例えば、電池セル100は、X軸方向に長辺を有し、Y軸方向に短辺を有し、Z軸方向はX軸またはY軸の長さに比べて短く形成されることで、略長方形の板状型セルであり得る。電池セル100の短辺側に電極リード300が形成され得る。このような電池セル100は、Z軸方向に集積し、複数の電池セル100を面対面で積層してエネルギー密度を高めるのに効率的な構造である。
【0047】
電池ケース200は、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなり得る。より具体的には、電池ケース200は、ラミネートシートからなり、最外郭を成す外側樹脂層、物質の通過を防止する遮断性金属層、及び密封のための内側樹脂層で構成され得る。
【0048】
電極組立体110は、ゼリーロール型(巻取型)、積層型(スタック型)、または複合型(積層/折畳み型)の構造からなり得る。より具体的には、電極組立体110は、正極、負極、これらの間に配置される分離膜を含み得る。
【0049】
電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ150と電気的に接続され、シーリング部250を通って電池ケース200の外側に突出している。また、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方において、シーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、シーリング部250とともに熱融着またはプレス融着時に電極リード300で短絡が発生することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0050】
図3を参照すると、リードフィルム400は、電極リード300よりも広い幅を有し得る。ここで、リードフィルム400の幅とは、電極リード300の突出方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)におけるリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、電極リード300の幅とは、電極リード300の突出方向と直交する方向における電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0051】
リードフィルム400は、電極リード300の突出方向を基準にしてシーリング部250の長さよりも長く、電極リード300の長さよりも短い長さを有し得る。ここで、リードフィルム400の長さとは、電極リード300の突出方向におけるリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。シーリング部250の長さとは、電極リード300の突出方向におけるシーリング部250の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。電極リード300の長さとは、電極リード300の突出方向における電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。これにより、リードフィルム400は、電極リード300の電気的接続を妨害しないとともに、電極リード300の側面が外部に露出することを防止することができる。
【0052】
図4の(a)は図3の二点鎖線領域を拡大して示した図であり、図4の(b)は本発明の他の実施形態による図3の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
【0053】
図3及び図4を参照すると、リードフィルム400にガス排出誘導部450が挿入されており、シーリング部250は、ガス排出誘導部450上に位置する第1シーリング部251、及び第1シーリング部251の両側に位置する第2シーリング部255を含む。換言すると、第2シーリング部255は、ガス排出誘導部450が位置しない部分に位置し得る。より具体的には、前記第1シーリング部251と前記第2シーリング部255とは互いに一体化され得る。
【0054】
また、図4を参照すると、電極リード300の突出方向を基準にして、第1シーリング部251の幅D1は第2シーリング部255の幅D2よりも狭い。ここで、第1シーリング部251の幅とは、電極リード300の突出方向における第1シーリング部251の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。第2シーリング部255の幅とは、電極リード300の突出方向における第2シーリング部255の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。より具体的には、第1シーリング部251においてリードフィルム400と接する面の幅D1は、第2シーリング部255においてリードフィルム400と接する面の幅D2よりも狭い。すなわち、電極リード300の突出方向を基準にして、リードフィルム400においてガス排出誘導部450が位置した部分のうちの少なくとも一部は、第1シーリング部251によって覆われていない。
【0055】
また、図4を参照すると、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして、第1シーリング部251の長さL1は、ガス排出誘導部450の長さL2よりも長くなり得る。ここで、第1シーリング部251の長さとは、電極リード300の突出方向と直交する方向における第1シーリング部251の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。ガス排出誘導部450の長さとは、電極リード300の突出方向と直交する方向におけるガス排出誘導部450の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。換言すると、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして、リードフィルム400においてガス排出誘導部450が位置した部分のうちの少なくとも一部は第1シーリング部251によって覆われていない。より具体的には、ガス排出誘導部450は、第1シーリング部251の中心に位置し得る。但し、ガス排出誘導部450の位置はこれに限定されず、第1シーリング部251内に位置するものであれば本実施形態に含まれる。
【0056】
ここで、第1シーリング部251の長さは、電池セル100の密封性を維持しながらも、後述されるガス排出経路のガス排出程度によって調節可能である。
【0057】
以上の構成のように、本実施形態による電池セル100は、電極リード300の突出方向を基準にして、ガス排出誘導部450上に位置する第1シーリング部251の幅D1が相対的に狭く形成されることで、ガス排出誘導部450上に位置するリードフィルム400の少なくとも一部は第1シーリング部251によってシーリングされていない。換言すると、リードフィルム400において第1シーリング部251によってシーリングされていない部分が露出し得る。
【0058】
すなわち、リードフィルム400のうち第1シーリング部251によってシーリングされていない部分は、シーリング部250のシーリング強度が低くなって、内圧上昇時にリードフィルム400が内部の圧力によってガス排出誘導部450から剥離し易く、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間にガス排出経路を容易に形成できる。
【0059】
また、図4のように、シーリング部250において第1シーリング部251は、第2シーリング部255を基準にして凹んでいるパターンを有し得る。一例として、図3及び図4の(a)のように、シーリング部250において、第1シーリング部251はシーリング部250の内側を基準にして外側に向かって凹んでいるパターンを有し得る。他の例として、図4(b)のように、図3及び図4の(a)に形成された第1シーリング部251と反対に、第1シーリング部251は、シーリング部250の外側を基準にして内側に向かって凹んでいるパターンを有し得る。この場合、シーリング部250は第1シーリング部251に凹み部250Aを含み得る。また、他の例として、図4の(a)及び(b)のように、シーリング部250において第1シーリング部は、シーリング部250の内側を基準にして外側に向かって凹んでいるパターン及びシーリング部250の外側を基準にして内側に向かって凹んでいるパターンを両方とも有し得る。
【0060】
上述したように、シーリング部250は、第2シーリング部255と異なって、第1シーリング部251に凹んでいるパターンが形成されているため、リードフィルム400上に第1シーリング部251によってシーリングされない部分が存在する。すなわち、リードフィルム400とシーリング部250との間のシーリング強度が低下して、内圧上昇時にリードフィルム400が内部の圧力によってガス排出誘導部450から剥離し易くなり、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間にガス排出経路が形成され易い。
【0061】
より望ましくは、シーリング部250は、図4の(a)のような第1シーリング部251のパターンを有し得、リードフィルム400において第1シーリング部251によってシーリングされていない部分は内圧上昇時に内部の気体と直接接し得る。すなわち、内部の圧力によってリードフィルム400がガス排出誘導部450からより容易に剥離可能である。
【0062】
但し、シーリング部250のパターンはこれに限定されず、シーリング部250の一部がシーリングされない部分が形成され、ガス排出誘導部450上に位置するリードフィルム400の一部が露出しているパターンであれば、本実施形態に含まれ得る。
【0063】
以下、図4の(a)の電池セルを基準にして説明する。図5は、図4の(a)の電池セルにおいて、図3のA-A’に沿った断面図である。
【0064】
また、図3図4の(a)、及び図5を参照すると、電池ケース200は収納延長部210Aをさらに含み得る。より具体的には、電池ケース200において、収納延長部210Aは第1シーリング部251と収納部210との間に位置し得る。換言すると、収納延長部210Aは、収納部210を基準にして電極リード300が突出している方向に延びて、第1シーリング部251の端部と連結されている領域であり得る。
【0065】
また、電池ケース200において、電池ケース200の外側を基準にして、収納延長部210Aの端部は収納部210の端部よりも外側に位置し得る。換言すると、電池ケース200の内側を基準にして、収納部210の端部は第2シーリング部255の端部と連結され、収納延長部210Aの端部は第1シーリング部251の端部と連結されている。この場合、電池ケース200の内側を基準にして、第1シーリング部251の端部が第2シーリング部255の端部よりも外側に位置することによって、収納延長部210Aの端部は収納部210の端部よりも外側に位置し得る。このとき、リードフィルム400を基準にして、収納延長部210Aが傾いた角度は、収納部210が傾いた角度よりも小さくなり得る。
【0066】
以上の構成のように、本実施形態による電池セル100は、収納部210の側面の長さよりも相対的に長い収納延長部210Aを含むことで、リードフィルム400と収納延長部210Aとの間の空間でリードフィルム400が内部の圧力によってガス排出誘導部450から剥離し、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間にガス排出経路を容易に形成可能である。
【0067】
また、図4及び図5を参照すると、ガス排出誘導部450は、電極リード300の突出方向に沿って延在し得る。より具体的には、ガス排出誘導部450において、電池ケース200の外側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、リードフィルム400で覆い包まれ得る。換言すると、電池ケース200の外側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、電池ケース200の外部に露出していない。
【0068】
また、電池ケース200の内側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、電池ケース200の内部に露出し得る。換言すると、電池ケース200の内側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、リードフィルム400の端部と同じ垂直線上に位置するか、または、リードフィルム400の端部よりも電池ケース200の内側に位置し得る。
【0069】
このようにリードフィルム400において、電池ケース200の外側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、電池ケース200の外側に露出せず、リードフィルム400及びシーリング部250による電池ケース200の密封力が向上できる。さらに、リードフィルム400において、電池ケース200の内側に隣接したガス排出誘導部450の端部は、電池ケース200の内側に露出し、ガス排出誘導部450によって形成されたガス排出経路に電池セル100内で発生したガスが流れ込み易く、外側に向かって効果的に排出される。
【0070】
図5をさらに参照すると、ガス排出誘導部450の上面にあるリードフィルム400の厚さH(Z軸方向の高さ)は、100μm~300μmまたは100μm~200μmであり得る。リードフィルム400の厚さHが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスが外側へとより容易に排出される。
【0071】
図5をさらに参照すると、電極リード300の突出方向を基準にして、ガス排出誘導部450の前面を覆い包むリードフィルム400の幅Wは、2mm以上または2mm~3mmであり得る。リードフィルム400の幅Wが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200の内部で発生したガスが外側に排出される過程でリードフィルム400が破れることを防止することができる。
【0072】
また、前記ガス排出誘導部450の厚さDは、50μm~150μmであり得る。前記ガス排出誘導部450の厚さが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスを外側へとより容易に排出可能である。図6は、ガス排出誘導部の多様な形状を示している。ガス排出誘導部450は、電池ケース200内部のガスを排出するために所定パターンで形成され得る。
【0073】
一例として、ガス排出誘導部450は、図4のように、電極リード300の突出方向に沿って延在している長方形状であり得る。但し、これに限定されず、ガス排出誘導部450は、図6の(a)のように円形、図6の(b)のように楕円形、その他にも線形、曲線型などの多様な形状を有し得る。
【0074】
他の例として、ガス排出誘導部450は、図6の(c)のように電極リード300の突出方向に沿って延在している第1ガス排出誘導部450a、及び電極リード300の突出方向の垂直方向に延在している第2ガス排出誘導部450bを含み得る。特に、前記第1ガス排出誘導部450aと前記第2ガス排出誘導部450bとは互いに連結され得る。ここで、前記第2ガス排出誘導部450bは、図6の(c)のように、シーリング部250を基準にしてシーリング部250の外側であって且つリードフィルム400の内側に位置するか、または、図6の(d)のように、シーリング部250を基準にしてシーリング部250の内側であって且つリードフィルム400の外側に位置し得る。または、前記第2ガス排出誘導部450bは、図6の(e)のように、シーリング部250を基準にしてリードフィルム400の外側及びリードフィルム400の内側の両方に位置し得る。但し、ガス排出誘導部450は上述した形状に限定されず、リードフィルム400に適切な形状で挿入され得る。
【0075】
このようにリードフィルム400に挿入されているガス排出誘導部450の形状を調節することで、ガス排出誘導部450のガス排出性能並びにリードフィルム400の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じてガス排出誘導部450の形状を変えて、製造工程を簡便にし、コストを節減することができる。
【0076】
一例として、ガス排出誘導部450は、図4のように、リードフィルム400に一つ含まれ得る。他の例として、ガス排出誘導部450は、リードフィルム400内に複数個挿入され、互いに離隔して位置し得る。
【0077】
このようにリードフィルム400に挿入されているガス排出誘導部450の個数を調節することで、ガス排出誘導部450のガス排出性能並びにリードフィルム400の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じてガス排出誘導部450の個数を最小化し、製造工程を簡便にし、コストを節減することができる。図7図5の二点鎖線領域を拡大して示した図であり、図8及び図9図7のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。図10は、図9のガス排出経路を示した斜視図である。図8及び図10において、ガスの移動経路は点線矢印で示した。
【0078】
図7図9を参照すると、本実施形態では、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面にガス排出経路が形成され得る。より具体的には、図7のように、リードフィルム400において、第1シーリング部251によってシーリングされない部分は、電池セル100の内圧上昇時に内部の気体によって加圧され得る。リードフィルム400のうちの第1シーリング部251によってシーリングされない部分は、小さい内圧によっても、図7の太い矢印方向に移動するようになる。その後、図8のように、リードフィルム400とガス排出誘導部450との界面が剥離し、リードフィルム400の剥離部分400Aは収納延長部210Aと隣接して位置し得る。
【0079】
その後、リードフィルム400の剥離部分400Aとガス排出誘導部450との界面にさらに圧力が加えられることによって、図9のように、リードフィルム400とガス排出誘導部450との界面のうちの少なくとも一部が離隔するようになる。このように前記ガス排出経路は、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面のうちの少なくとも一部が電池ケース200で発生したガスの圧力によって離隔した空間を意味し得る。すなわち、図9の点線矢印方向のように、前記ガス排出経路は、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面が離隔した空間にガスが流れ込み、外側へと排出される経路を意味し得る。
【0080】
ここで、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間の接着力は、リードフィルム400と電極リード300との間の接着力またはリードフィルム400とシーリング部250との間の接着力よりも小さいものであり得る。より具体的には、電池セル100内で発生したガスによって電池ケース200内部の圧力が上昇する場合、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面の接着力がリードフィルム400と他の構成要素との間の接着力よりも相対的に小さいため、図8及び図9のようにガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面のうちの少なくとも一部が電池セル100で発生したガスの圧力によって互いに離隔し得る。
【0081】
すなわち、本実施形態では、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間の相対的に低い接着力により、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間が剥離しながらガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面に形成された前記ガス排出通路に電池セル100内部のガスが流れ込み、ガス排出通路に沿ってガスが移動し、最終的にはリードフィルム400を通って排出される。前記ガス排出通路に流れ込んだガスは、外部との圧力差によって外部に向かって排出され得る。
【0082】
さらに、本実施形態では、図10のように、ガス排出誘導部450上に位置するリードフィルム400に、第1シーリング部251によってシーリングされない部分が含まれているため、相対的に低い内圧によってもリードフィルム400がガス排出誘導部450から容易に剥離可能である。すなわち、本実施形態では前記ガス排出経路も容易に形成され、ガス排出性能もより向上するという利点がある。
【0083】
但し、前記ガス排出経路は、図9のようにガス排出誘導部450の上面とリードフィルム400との界面のうちの少なくとも一部が離隔している場合だけでなく、ガス排出誘導部450の下面とリードフィルム400との界面のうちの少なくとも一部も一緒に離隔している場合も本実施形態に含まれ得る。一例として、ガス排出誘導部450は、ポリイミド(PI)及びポリエチレンテレフタレート(PET)の少なくとも一つからなるフィルム層であり得る。他の例として、ガス排出誘導部450は、液状樹脂からなるコーティング層であり得る。但し、ガス排出誘導部450の形態またはそれを構成する物質はこれに限定されず、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面の接着力がリードフィルム400と他の構成要素との間の接着力よりも相対的に低くなる形態または物質であれば本実施形態に含まれ得る。
【0084】
このように本実施形態による電池セルは、ガス排出誘導部450とリードフィルム400との間の相対的に低い接着力のためガス排出誘導部450とリードフィルム400との界面にガス排出経路を形成することができ、相対的に製造工程が容易であるだけでなく、電池セル100内のガスを効果的に外部に向かって排出することができる。
【0085】
図4及び図5をさらに参照すると、電極リード300の突出方向を基準にして、ガス排出誘導部450の一端部はシーリング部250の内側面よりも内側に位置し得る。本明細書において、前記シーリング部250の内側面とは、電池ケース200の内部と隣接したシーリング部250の端部を意味し、シーリング部250の内側面よりも内側に位置するとは、シーリング部250の内側面よりも電池ケース200の内側に位置することを意味する。ガス排出誘導部450の一端部がシーリング部250の内側面よりも内側に位置する場合、シーリング部250による干渉を受けず、ガス排出誘導部450にガスが流れ込み易い。
【0086】
また、電極リード300の突出方向を基準にして、ガス排出誘導部450の他端部はシーリング部250の外側面よりも外側に位置し得る。本明細書において、前記シーリング部250の外側面とは、電池ケース200の外部と隣接したシーリング部250の端部を意味し、シーリング部250の外側面よりも外側に位置するとは、シーリング部250の外側面よりも電池ケース200の外側に位置することを意味する。例えば、シーリング部250の外側面とガス排出誘導部450の他端部との間に間隔Pを設ける。このようにガス排出誘導部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、ガス排出誘導部450に流れ込んだガスを外側へとより容易に排出可能である。例えば、ガス排出誘導部450の他端部がシーリング部250による干渉を受けず、ガス排出誘導部450に流れ込んだガスを外側へとより容易に排出可能である。
【0087】
これにより、電池セル100の内部で発生したガスはガス排出誘導部450に向かって流れ、ガス排出誘導部450に流れ込んだガスは、図9に示したように外部に向かって円滑に排出される。また、電池セル100の内部で発生したガスの外部排出量も増加する。このようにして、電池ケース200の内部で発生したガスがガス排出誘導部450内に流れ込み易くなり、ガス排出誘導部450の外側へとさらに容易に排出可能になる。
【0088】
さらに、図9に示したように、ガス排出誘導部450に流れ込んだガスは、ガス排出誘導部450上のリードフィルム400を通ってZ軸方向にさらに容易に排出され得る。例えば、ガス排出誘導部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、ガス排出誘導部450に流れ込んだガスはガス排出誘導部450の他端部とシーリング部250の外側面との間のリードフィルム400部分からZ軸方向に排出され得る。上述したようにガス排出誘導部450の上面にあるリードフィルム400の厚さHは100μm~300μmであり得、電極リード300の突出方向を基準にして、ガス排出誘導部450の前面を覆い包むリードフィルム400の幅Wは2mm以上または2mm~3mmであり得る。上記のようにガス排出誘導部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置すると、ガスがリードフィルム400のうちの相対的に薄い部分であるZ軸方向に沿って排出されるようになるため、ガス排出がより容易になる。さらに、ガスを排出するとき、シーリング部250によってガス排出経路が全部覆われると、ガス排出が円滑にならないため、上述したようにシーリング部250の外側面とガス排出誘導部450の他端部との間に間隔Pを設けることでガス排出を円滑にする効果がある。
【0089】
また、ガス排出誘導部450は、外側から流入される水分または内部で発生したフッ酸を吸収または吸着する機能を有する物質をさらに含み得る。より具体的には、ガス排出誘導部450はゲッター材料をさらに含み得る。ここで、ゲッター材料とは、化学的に活性化された金属膜によって気体が吸着される作用を用いて排気可能な材料を意味し得る。一例として、前記ゲッター材料は、酸化カルシウム(CaO)、塩化リチウム(LiCl)、シリカ(SiO)、酸化バリウム(BaO)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)のうちの少なくとも一つを含み得る。他の例として、前記ゲッター材料は、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)の構造を有し得る。但し、前記ゲッター材料はこれに限定されず、一般にゲッター材料として分類されるすべての種類の材料を含み得る。
【0090】
このように本実施形態では、ガス排出誘導部450が水分またはフッ酸を吸収または吸着可能な物質をさらに含むことで、ガス排出誘導部450は、電池セル100の外側から電池セル100の内部に流入される水分またはフッ酸の浸透をより最小化しながらも、電池セル100の内部で発生したガスを外側へとより容易に排出することができる。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記ガス排出誘導部450のガス透過度は60℃で40バーラー以上であり得る。例えば、前記ガス排出誘導部450の二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。
【0092】
例えば、ガス排出誘導部450は、上述したガス透過度の範囲を満足するポリオレフィン系、フッ素系、及び多孔性セラミック系のうちの少なくとも一つの物質を含み得る。前記ポリオレフィン系物質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルジフルオライド(polyvinyldifluoride、PVDF)からなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。前記フッ素系物質は、ポリテトラフルオロエチレン及びポリビニリデンフルオライドからなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。
【0093】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400のガス透過度は、60℃で20~60バーラー、または30~40バーラーであり得る。例えば、前記リードフィルム400の二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。また、リードフィルム400の厚さHが200μmであるときを基準にしてガス透過度が60℃で上述した範囲を満足し得る。前記リードフィルム400のガス透過度が上述した範囲を満足する場合、電池セルの内部で発生するガスをより効果的に排出可能である。
【0094】
本明細書において、ガス透過度はASTM F2476-20で測定し得る。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400の水分浸透量は、25℃、50%RHで10年の間に0.02g~0.2g、または0.02g~0.04g、または0.06g、または0.15gであり得る。前記リードフィルム400の水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、前記リードフィルム400から流入される水分の浸透をより効果的に防止可能である。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ガス透過度が60℃で20~60バーラーであり、且つ、水分浸透量が25℃、50%RHで10年の間に0.02g~0.2gであり得る。前記リードフィルム400のガス透過度及び水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、電池セル100の内部で発生するガスを排出しながらも、外部からの水分浸透をより効果的に防止可能である。
【0097】
前記リードフィルム400の水分浸透量は、ASTM F 1249方式を採択して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された装置を使用して測定し得る。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ポリオレフィン系の材料、エポキシ、及びポリ塩化ビニル(PVC)のうちの少なくとも一つからなる接着組成物からなり得る。前記ポリオレフィン系の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などであり得る。例えば、前記リードフィルム400は、上述したガス透過度及び/又は水分浸透量値を満足するポリエチレン、ポリプロピレンなどを含み得る。
【0099】
また、リードフィルム400は、上述した材料からなることで、電池セル100の気密性を維持することができ、内部電解液の漏れも防止することができる。
【0100】
以下、本発明の他の実施形態による電池セルについて説明する。但し、本実施形態による電池セルには、上述した電池セル100についての説明が大部分で適用され得るため、リードフィルム400に挿入されるガス排出誘導部450を電池セル100の相違点として中心に説明する。
【0101】
図11は、本発明の他の実施形態による電池セルにおいて、図3のA-A’に沿った断面図である。
【0102】
図3及び図11を参照すると、本実施形態は、図5と異なり、ガス排出誘導部450’が電極リード300’上に位置し得る。より具体的には、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との間には別途のリードフィルム400’が位置しない。すなわち、ガス排出誘導部450’は、電極リード300’に隣接したリードフィルム400’の一面内に挿入されており、電極リード300’と接して位置し得る。換言すると、本実施形態は、ガス排出誘導部450’が電極リード300’上に付着または固定された後、ガス排出誘導部450’の外面をリードフィルム400’が覆い包む構造であり得る。
【0103】
このようにガス排出誘導部450’が電極リード300’と隣接して位置することで、ガス排出誘導部450’を覆い包むリードフィルム400’の厚さも相対的に減るため、製造コストを節減可能であって製造工程が容易であるという利点がある。
【0104】
また、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との間には接着層470’が形成され得る。ここで、接着層470’は、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との界面に沿って延在し得る。このとき、接着層470’は、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との界面全体あるいは一部に形成され得る。
【0105】
一例として、接着層470’は、接着性テープまたは接着性バインダーからなり得る。但し、これに限定されず、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との間を固定可能な接着性能を有する物質であれば、制限なく適用され得る。
【0106】
これにより、ガス排出誘導部450’は、接着層470’によって電極リード300’に安定的に固定される。すなわち、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との間に相対的に高い接着力を有する接着層470’が形成されることで、電池セル100の内圧上昇による剥離を防止することができ、電池セル100のシーリング強度もより向上できる。
【0107】
図12図11の二点鎖線領域を拡大して示した図であり、図13及び図14は、図12のリードフィルムとガス排出誘導部との界面に形成されたガス排出経路を示した図である。図13及び図14において、ガスの移動経路は点線矢印で示した。
【0108】
図12図14を参照すると、本実施形態では、図7図10と同様に、ガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との界面にガス排出経路が形成され得る。但し、本実施形態は、図7図10と異なり、ガス排出誘導部450’が電極リード300’に接して位置し、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との間に接着層470’が形成されているため、ガス排出誘導部450’と電極リード300’との界面にはガス排出経路が形成されない。
【0109】
より具体的には、本実施形態では、ガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との間の接着力は、接着層470’とガス排出誘導部450’との間の接着力及び/又は接着層470’と電極リード300’との間の接着力よりも小さくなる。
【0110】
より具体的には、本実施形態において、電池セル100内部の圧力が上昇する場合、ガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との界面の接着力がリードフィルム400’と他の構成要素との間の接着力よりも相対的に小さいため、リードフィルム400のうちの第1シーリング部251によってシーリングされない部分は、小さい内圧によっても図12の太い矢印方向に移動するようになる。したがって、図13のようにガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との界面のうちの少なくとも一部が電池セル100の内圧によって互いに離隔し得る。
【0111】
さらに、本実施形態では、ガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との界面の接着力がガス排出誘導部450’と接着層470’との間の接着力及び/又は接着層470’と電極リード300’との間の接着力よりも小さいため、電池セル100の内圧増加時にガス排出誘導部450’と電極リード300’との界面が剥離することを防止することができる。
【0112】
すなわち、本実施形態では、ガス排出誘導部450’とリードフィルム400’との界面のみが剥離してガス排出経路を形成するため、ガス排出経路によるガス排出性能を維持しながらも電池セル100のシーリング強度を高めることができる。また、高いシーリング強度によって、電池セル100内で発生したガスが外部に排出されるときのベント圧力もより高くなり、安全性もより向上することができる。
【0113】
さらに、本実施形態では、リードフィルム400の剥離部分400A’とともに、ガス排出誘導部450’と接着層470’との間の接着力及び/又は接着層470’と電極リード300’との間の高い接着力によって、相対的に低い内圧でもリードフィルム400’とガス排出誘導部450’との界面がより容易に剥離可能である。すなわち、本実施形態では、前記ガス排出経路もより容易に形成でき、ガス排出性能もより向上するという利点がある。以下、本発明の比較例による電池セルを中心に説明する。比較例の場合、図3図10による実施形態と比較して説明されるが、図11図14による実施形態の場合にも同様に比較して説明され得る。
【0114】
図15は、比較例において、図1の二点鎖線領域を拡大して示した図である。図16は、比較例において、図1のa-a’に沿った断面図である。図17は、図16の二点鎖線領域を拡大して示した図である。
【0115】
図15図17を参照すると、比較例による電池セル10は、本発明の実施形態のようにガス排出誘導部45が含まれている構成を除き、図1及び図2の電池セル10と同一である。以下では、ガス排出誘導部45を中心に説明する。
【0116】
図15及び図17を参照すると、比較例による電池セル10は、ガス排出誘導部45が位置したリードフィルム40上にシーリング部25が形成されており、図3図10と異なって、シーリング部25の位置に関係なくシーリング部25の幅が一定に形成されている。これにより、ガス排出誘導部45上に位置するリードフィルム40はすべてシーリング部25によってシーリングされるようになる。
【0117】
図17を参照すると、比較例による電池セル10は、上述したように、ガス排出誘導部45上に位置するリードフィルム40がすべてシーリング部25によってシーリングされているため、相対的に低い内圧では電池セル10内部のガスによってリードフィルム40とガス排出誘導部45との界面が剥離し難い。すなわち、比較例による電池セル10の場合、リードフィルム40とガス排出誘導部45との界面にガス排出経路を形成するため、相対的に高い内圧が要求され、これによって電池セル10のガス排出性能及び安全性が低下するおそれがある。
【0118】
これと異なり、図3図10を参照すると、本実施形態による電池セル100は、ガス排出誘導部450上に位置する第1シーリング部251の幅D1が第2シーリング部255の幅D2よりも狭く、ガス排出誘導部450上に位置するリードフィルム400に、第1シーリング部251によってシーリングされない部分が含まれている。すなわち、比較例と異なって、本実施形態ではリードフィルム400のうちの第1シーリング部251によってシーリングされない部分が電池セル100内のガスと直接接して、相対的に低い内圧でもリードフィルム400がガス排出誘導部450から容易に剥離し得る。すなわち、本実施形態は、前記ガス排出経路をより容易に形成でき、ガス排出性能もより向上できるという利点がある。
【0119】
本発明の他の一実施形態による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成してもよい。
【0120】
上述した電池モジュール及びそれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段であり得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュール及びそれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0121】
以上、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の基本概念を用いた当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
100:電池セル
110:電極組立体
200:電池ケース
210:収納部
250:シーリング部
300:電極リード
400:リードフィルム
450:ガス排出誘導部
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図6(e)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】