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特表2023-551529立体視画像再生のための3D出力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】立体視画像再生のための3D出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533216
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 DE2021200222
(87)【国際公開番号】W WO2022111775
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102020131595.3
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523200309
【氏名又は名称】ブラツェイェフスキー・メディ-テク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブラツェイェフスキー・ラインホルト
(57)【要約】
人間が視線の方向を大きく変えずに、イメージングシステムの使用場所も、イメージングシステムにより記録された、検査された対象物の3D画像も見ることができる、立体視画像再生のための3D出力装置を提供する。立体視画像再生のための3D出力装置1が提案され、3D出力装置1は、多関節アーム2を備えており、多関節アーム2はベースジョイントを備えており、多関節アーム2はベースジョイントを介して多関節アームベース5に可動に取り付けられてされており、また多関節アーム2はヘッドジョイントを備えており、3D出力装置1はまたビジュアライゼーション装置7を備えており、ビジュアライゼーション装置7はヘッドジョイントを介して多関節アーム2に可動に配置されており、3D出力装置1はまたビジュアライゼーション装置7のモニタハウジング8を備えており、3D出力装置1はまた、モニタハウジング8内に配置された左モニタ9及び右モニタ10を備えており、モニタハウジング8は、左モニタ9に割り当てられた左覗き窓11を備えており、左覗き窓11を介して左モニタ9を外から見ることができ、モニタハウジング8はまた右モニタ10に割り当てられた右覗き窓12を備えており、右覗き窓12を介して右モニタ10を外から見ることができ、また、左覗き窓11と右覗き窓12との間の距離は人間の典型的な瞳孔間距離に相当する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体視画像再生のための3D出力装置(1)であって、
多関節アーム(2)を備え、
ベースジョイントを備えており、ベースジョイントを介して多関節アーム(2)は多関節アームベース(5)に可動に取り付けられており、また、多関節アーム(2)はヘッドジョイントを備えており、
ヘッドジョイントを介して多関節アーム(2)に可動に配置された視覚化装置(7)を備えており、
視覚化装置(7)のモニタハウジング(8)を備え、
モニタハウジング(8)内に配置された左モニタ(9)及び右モニタ(10)を備えており、
モニタハウジング(8)は、左モニタ(9)に割り当てられた左覗き窓(11)を備えており、左覗き窓(11)を介して左モニタ(9)を外から見ることができ、
モニタハウジング(8)は右モニタ(10)に割り当てられた右覗き窓(12)を備えており、右覗き窓(12)を介して右モニタ(10)を外から見ることができ、
左覗き窓(11)と右覗き窓(12)との間の距離は人間の典型的な瞳孔間距離に相当する当該3D出力装置。
【請求項2】
モニタハウジング(8)が覗き窓ハウジング壁(13)を有しており、そこに左右の覗き窓(11、12)が配置されており、また、覗き窓ハウジング壁(13)は人間の頭の形に適応して湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の3D出力装置。
【請求項3】
覗き窓ハウジング壁(13)には左右の覗き窓(11、12)の間に鼻用のくぼみ(14)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の3D出力装置。
【請求項4】
モニタハウジング(8)が少なくとも一つの迷光保護シェード(15)を備えており、迷光保護シェード(15)により、左右の覗き窓(11、12)に進入する迷光が低減されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項5】
モニタハウジング(8)が、左モニタ(9)及び左覗き窓(11)を備える左ハウジング部分を有しており、
また、モニタハウジング(8)は、右モニタ(10)及び右覗き窓(12)を備える右ハウジング部分を有しており、
また、左覗き窓(11)を介して左モニタ(9)のみが見えるよう、及び、右覗き窓(12)を介して右モニタ(10)のみが見えるよう、左ハウジング部分(16)は右ハウジング部分(17)から少なくとも部分的に分離されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項6】
ヘッドジョイント(6)がヘッド回転継手(18a、18b、18c)を有しており、これを介して視覚化装置(7)は回転軸まわりに可動に多関節アーム(2)に取り付けられており、また自身の重さにより常に水平に向かれており、このとき左覗き窓(11)の中心を通り、及び右覗き窓(12)の中心を通って延びる直線は水平であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項7】
ヘッド回転継手(18a、18b、18c)が、多関節アーム(2)に配置されたピン(23)、及び、視覚化装置(7)に配置されたベアリングシェルを有しており、ベアリングシェルはピン(23)を包み込んでいることを特徴とする請求項6に記載の3D出力装置。
【請求項8】
多関節アーム(2)が少なくとも2つの多関節アーム節(3a、3b、3c、3d)を有しており、これらが中間回転継手(20a、20b)を介して互いに可動に接続されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項9】
多関節アームベース(5)が移動可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項10】
多関節アームベース(5)が固定装置を備えており、固定装置を用いて多関節アーム(2)を部屋の壁又は天井又は物体に固定可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項11】
3D出力装置が少なくとも一つの駆動装置を備えており、駆動装置により多関節アーム(2)及び/又は視覚化装置(7)の向きが設定されることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項12】
駆動装置が制御装置を備えていることを特徴とする請求項11に記載の3D出力装置。
【請求項13】
制御装置が音声制御を備えていることを特徴とする請求項12に記載の3D出力装置。
【請求項14】
制御装置にはユーザーの動きを捕捉してそれを評価し、それに応じて駆動装置を制御する動作制御装置が備えられていることを特徴とする請求項12又は13に記載の3D出力装置。
【請求項15】
制御装置は、手動操作可能な入力装置を備えていることを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項16】
多関節アーム(2)及び/又は視覚化装置(7)の設定された向きを固定できる固定装置が、3D出力装置に備えられていることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項17】
多関節アーム(2)には、多関節アーム(2)の向きを手動で設定できるグリップが備えられていることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項18】
多関節アーム(2)及び/又は視覚化装置(7)が交換可能な衛生アタッチメントを備えていることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【請求項19】
イメージングシステムを備えることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の3D出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視画像再生のための3D出力装置に関する。
【0002】
3Dイメージングシステムは例えば3D内視鏡又は3D顕微鏡に含まれている。3Dイメージングシステムは医学、生物学、技術、材料科学の分野においてとりわけ対象物及び構造の検査及び処理のために用いられている。カメラ又は画像センサとしては、例えばCMOS又はCCDといったイメージコンバータチップがよく用いられる。イメージャとも呼ばれる画像センサは、光学信号を電気信号に変換し、次にその電気信号は、対象物を検査する人間のためにディスプレイ又はモニタ上で光学的に見えるようにされる。三次元画像を生成するには、3Dイメージングシステムを用いて人間の左目用及び右目用に別個に画像データが記録される。そのために通常は左画像チャンネル及び右画像チャンネルが用いられる。
【0003】
3Dイメージングシステムにより記録された画像データは3D出力装置を用いて、人間が、検査された対象物の3次元の印象が得られるように可視化される。そのためには、左目用画像データ及び右目用画像データが表示される必要がある。左目用の画像データは人間の左目によってのみ知覚される必要がある。右目用の画像データは人間の右目によってのみ知覚される必要がある。そのために例えば、左目用画像データ及び右目用画像データを表示する3Dモニタなど、様々な機器が知られている。左目用と決められた画像データが人間の左目によってのみ知覚され、右目用と決められた画像データが人間の右目によってのみ知覚されるよう、対象物を検査している人間は通常、特殊なメガネを必要とする。そのようなメガネとしては例えば偏光フィルタメガネ、カラーフィルタメガネ、干渉フィルタメガネ、液晶シャッターメガネが挙げられる。さらに、人間の目に近接して頭部に装着される特殊なディスプレイユニット[Sichtgeraete]も知られている。そのようなディスプレイユニットは例えば3Dヘッドセットに組み込まれている。これらは3D映像メガネとも称され2つのディスプレイを備えている。
【0004】
従来技術より知られている3Dモニタの短所としては、その大きさのためにイメージングシステムの使用場所から空間的に離れたところに配置せざるを得ないことが挙げられる。そのため、人間が、イメージングシステムの使用場所及び3Dモニタの両方を観察するには、頭の向きを変えて視線の方向を変える必要がある。さらに人間は、偏光フィルタメガネ又は同等物など追加的に必要なメガネを装着することにより光強度が低下するため、制限を受ける。このことは、使用場所での観察の際、イメージングシステムを手動で操作する際、及び、追加の機器がある場合にそれを制御する際にとりわけ不便である。
【0005】
3Dヘッドセット又は3D映像メガネの短所として、これらは人間の頭部に固定する必要があり、目が覆われてしまうことが挙げられる。すると人間は、頭部にディスプレイユニットを装着している間は、イメージングシステムの使用場所、イメージングシステムそのもの、及び追加の機器がある場合はそれも見ることができない。人間がディスプレイユニット自体を外したい場合は、対象物の検査を中断するか、又は、第3者に依頼して頭部からディスプレイユニットを外してもらう必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に鑑み、本発明の課題は、視線の方向を大きく変えずに人間がイメージングシステムの使用場所も、イメージングシステムにより記録された、検査された対象物の3D画像も見ることができる、立体視画像再生のための3D出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を持つ、立体視画像再生のための3D出力装置により解決される。該出力装置は多関節アーム及び視覚化装置を特徴とする。多関節アームは、少なくとも一つの多関節アーム節、ベースジョイント及びヘッドジョイントを備えている。ベースジョイントは一つ又は複数の自由度を有することができる。ヘッドジョイントについても同様である。多関節アームはベースジョイントを介して多関節アームベースに可動に取り付けられている。多関節アームベースがあることにより、例えば移動可能な又はその他の方法で可動な台[Untersatz]により、又は部屋の壁、天井、又は床又は室内の物体に固定することにより、出力装置を室内に配置することができる。多関節アームベースは例えば、3D内視鏡又は3D顕微鏡を用いた検査で使用される構造物に固定することもできる。ヘッドジョイントにより視覚化装置は多関節アームに可動に配置される。視覚化装置はモニタハウジングを有しており、この中に左モニタ及び右モニタが配置されている。モニタハウジングは、左モニタに割り当てられた左覗き窓を備えており、この左覗き窓を介して左モニタを外から見ることができる。モニタハウジングはまた、右モニタに割り当てられた右覗き窓を備えており、この右覗き窓を介して右モニタを外から見ることができる。左覗き窓と右覗き窓との間の距離は、人間の典型的な瞳孔間距離に相当する。人間はモニタハウジングに頭部をつけて左目で左覗き窓を通して左モニタを、右目で右覗き窓を通して右モニタを見ることができる。
【0008】
左覗き窓と左モニタとの間には例えばレンズ又はプリズムといった光学コンポーネントを配置することができる。右覗き窓と右モニタとの間の空間についても同様である。
【0009】
左モニタ及び右モニタは、空間的に分離された2つの別個のモニタとすることができる。代替的に左モニタ及び右モニタは、ただ一つのモニタにおける領域に対応させることもできる。
【0010】
視覚化装置は、対象物の三次元画像データを生成する任意のイメージングシステムと連結することができる。視覚化装置はとりわけ、3D映像内視鏡又は3D顕微鏡に連結することができる。対応するイメージングシステムでは、左目用の画像データ及び右目用の画像データが生成される。これらの画像データはインターフェースを介して、左目用画像データは左モニタに、右目用画像データは右モニタに表示されるよう、視覚化装置に出力される。それにより対象物を検査する人間は、視覚化装置を用いて対象物の三次元画像の表現を受け取ることができる。左目用画像データが左モニタに、右目用画像データが右モニタに表示されるため、及び、ユーザーには、覗き窓が備えられた視覚化装置を通して左目用及び右目用の画像データが互いに別々に表示されるため、例えば偏光フィルタメガネ、カラーフィルタメガネ、干渉フィルタメガネ又は液晶シャッターメガネといった追加的なメガネを装着する必要はない。すべての画像データがただ一つのモニタ上に表示される既知の出力装置と比較すると、本発明の出力装置には、画像データを右目用及び左目用にそれぞれフィルタリングする追加的なメガネを人間が装着する必要がないという有利点がある。そのため、例えば3D映像内視鏡の使用場所、及び、場合によってはこれと一緒に用いられる器具など、モニタ以外の全ての領域への人間の視界が、光強度の観点において悪影響を受けることはない。その上、追加的な特殊メガネを用いないため、人間にとっての快適性が増し、また、視力矯正のためにメガネをかけている人もこの視覚化装置を使用することができる。
【0011】
ベースジョイント及びヘッドジョイントを備えた多関節アームにより、視覚化装置はその使用場所において設定及び向き調整を行うことができる。人間は多関節アーム及びこれら両方のジョイントを用いてビジュvアライゼーション装置を自身の身長及び姿勢に適応させることができるため、快適な状態において左目で左覗き窓を通して、及び右目で右覗き窓を通して見ることができる。さらに、出力装置は人間の身長及び姿勢に自動的に適応することもできる。多関節アームを用いて視覚化装置のポジションが設定されると、多関節アームを固定することができる。それにより、ユーザー又は第3の人間が視覚化装置又は多関節アームに意図せずに触れてしまった場合でも、視覚化装置のポジションを確実に保つことができる。
【0012】
人間の左目には左モニタに表現された画像情報が、右目には右モニタに表現された画像情報が直接的に表示される。イメージングシステムが、人間が器具を手動で操作する3D映像内視鏡である場合、人間は、内視鏡及び器具の使用場所も、及び、視覚化装置の両方の覗き窓を通して第1及び第2モニタも見ることができる。人間は頭の向きを少し変えるだけで両方を見ることができる。そのために人間は視覚化装置の向きを調整することにより、自身の姿勢及び視線の方向をあまり変えることなく、内視鏡及び器具の使用場所と、左右のモニタとの間で切り替えられるようにすることができる。その際、視覚化装置は多関節アームにより保持されているため、人間は、視覚化装置のポジション及び向きを一度うまく設定した後は、両手が自由になり、使用場所での操作を行うことができる。ただ一つのモニタが壁又はその他の保持部に固定され、そこに右目用及び左目用の全ての画像データが一緒に表示される場合と比較すると、本発明の出力装置には、イメージングシステムの使用場所の視界と視覚化装置の視界との間で切り替える際に人間が自身の姿勢及び視線の方向を変更する必要がないか、又はわずかに変更するだけですむという有利点がある。
【0013】
視覚化装置は多関節アームに固定されており、人間の体に固定されているわけではないため、人間はいつでも視覚化装置から離れること、及び/又は、視覚化装置を人間の視野からはずすことができる。例えば器具が正しく位置決めされているかを視覚的に点検するために、人間が一瞬だけ視覚化装置から目を離すことも可能である。点検が終われば、人間はただちに視覚化装置を再び覗き込むことができる。人間の頭部に固定されたディスプレイユニットと比較して、本発明の出力装置には、人間が左右のモニタから視線を外す際に両手を使って出力装置を頭部から取り外す必要がないという有利点がある。
【0014】
多関節アーム及び/又は視覚化装置の設定は、純粋に手動で、又は、電気的駆動装置の支援により行うことができる。純粋に手動で設定を行うには、それぞれの使用において最適なポジションになるよう人間は多関節アーム及び/又は視覚化装置の向きを両手で調整する。3D出力装置が電気的駆動装置を備えている場合、人間は、目的に合わせて駆動装置をオン及びオフにすることにより、多関節アーム及び/又は視覚化装置を所望のポジションに移動させることができる。電気的駆動装置が制御装置及び、人間又は人間の体の特定部分を捕捉するセンサ又はエンコーダ[Geber]を備えている場合、3D出力装置の設定は自動的に行うこともできる。この場合、人間は出力装置の設定を行うために多関節アームも、視覚化装置又は入力装置の場合はそれも触れる必要はない。この場合、設定は非接触的に行うことができる。
【0015】
有利には、3D出力装置は手動操作可能なイメージング装置と組み合わせられる。しかしながらこれを外科手術支援ロボットの構成部分とすることもできる。
【0016】
本発明のある有利な実施形態によるとモニタハウジングは覗き窓ハウジング壁を有しており、この中に左右の覗き窓が配置されている。覗き窓ハウジング壁は人間の頭の形に合わせて湾曲している。覗き窓ハウジング壁のこの形状により人間が両方の覗き窓を通して覗き込む際に頭部を覗き窓ハウジング壁に近づける際に迷光の進入を低減することができる。両方の覗き窓を通してモニタを見る際に、人間が頭部を覗き窓ハウジング壁につけると、覗き窓ハウジング壁は、人間の頭部を静かに保持することに役立つ。
【0017】
本発明のさらなる有利な実施形態によると覗き窓ハウジング壁には左右の覗き窓の間に鼻用のくぼみが設けられている。それにより人間は、鼻に邪魔されずに両目を直接的に両方の覗き窓に近づけることができる。
【0018】
本発明のさらなる有利な実施形態によると、左右の覗き窓に迷光が進入するのを防ぐため又は少なくとも低減するために、モニタハウジングは追加的に少なくとも一つの迷光保護シェードを備えている。迷光保護シェードは例えば覗き窓ハウジング壁に配置することができ、モニタハウジングの側方から突き出させることができる。人間が自身の頭部を覗き窓ハウジング壁につけて両方の覗き窓を通して覗き込むと、少なくとも一つの迷光保護シェードが額及びこめかみの領域において人間の頭部に接する。迷光保護シェードは、人間の頭部の三方において迷光を遮るための一続きのものとすることができる。しかしながら、迷光保護シェードは、一つの額領域用及び2つの側頭領域用の3部分に分かれたものとすることもできる。迷光保護シェードは、頭部が接したときに変形するよう柔らかいゴム状の材料製とすることができる。それにより人間がけがをすることを防げる。
【0019】
本発明のさらなる有利な実施形態によると、人間が左右の覗き窓を覗き込む際に迷光がモニタハウジングに進入するのを追加的に防ぐために、両方の覗き窓にはアイカップが設けられている。
【0020】
本発明のさらなる有利な実施形態によるとモニタハウジングは、左モニタ及び左覗き窓を備えた左ハウジング部分を有している。さらに、モニタハウジングは、右モニタ及び右覗き窓を備えた右ハウジング部分を有している。このとき、左覗き窓を介しては左モニタのみが見え、右覗き窓を介しては右モニタのみが見えるよう、左ハウジング部分は右ハウジング部分から少なくとも部分的に分離されている。それにより確実に、両方の覗き窓を通して覗く人間の左目には左目用の情報のみが、右目には右目用の情報のみが表示される。左右のハウジング部分は例えばモニタハウジング内の分離ウェブにより互いに分離することができる。また、視覚化装置を双眼鏡として実施し、左ハウジング部分を右ハウジング部分から空間的に分離することも可能である。この場合、両方のハウジング部分は2つの別個のハウジング部品として実施することができる。
【0021】
本発明のさらなる有利な実施形態によると、3D出力装置を人間の身長に適応させるために多関節アームベースは高さ調整可能であるように実施されている。
【0022】
本発明のさらなる有利な実施形態によると、室内において視覚化装置の向きを調整するために3D出力装置は少なくとも3つの回転自由度及び一つの並進自由度を有している。
【0023】
本発明のさらなる有利な実施形態によるとヘッドジョイントはヘッド回転継手を有しており、これを介して視覚化装置は回転軸まわりに自由に可動であるように多関節アームに取り付けられている。このとき、視覚化装置は自身の重さにより常に水平を向いている。視覚化装置が水平を向いていると、左覗き窓の中心を通り、及び右覗き窓の中心を通って延びる直線は水平である。外部の力の影響により視覚化装置が水平の向きからずれた場合、この外力がなくなった後は、視覚化装置は自ら水平の向きに戻る。視覚化装置にとって水平の向きは、安定した平衡状態である。有利には視覚化装置は、自身の重点が回転継手の回転軸の下に来るようヘッドジョイントに接続される。
【0024】
本発明のさらなる有利な実施形態によるとヘッド回転継手は、多関節アームに配置されたピン及び、このピンを包み込む、視覚化装置に配置されたベアリングシェルを有している。代替的に、ピンを視覚化装置に配置し、このピンを包み込むベアリングシェルを多関節アームに配置することもできる。
【0025】
本発明のさらなる有利な実施形態によるとヘッドジョイントには、回転継手に加えて少なくとも一つのさらなるジョイントが設けられており、このジョイントを用いて両方の覗き窓の向きが水平である場合に視覚化装置の傾きを設定可能である。この傾きを設定することにより、視覚化装置の向きを人間の視線の方向に適応させることができる。この設定が自動的に変わってしまわないよう、有利にはこの設定をロックすることができる。
【0026】
本発明のさらなる有利な実施形態によると多関節アームは少なくとも2つの多関節アーム節を有しており、これらは中間ジョイントを介して互いに可動に接続されている。中間ジョイントは一つ又は複数の自由度を有することができるため、多関節アーム節は室内で回転及び傾けることができる。多関節アーム節が動くことにより、視覚化装置はその高さと向きを人間のポジションに適応させることができる。多関節アーム節が一つだけである多関節アームに比較して、2つの多関節アーム節を持つ多関節アームには、より多くの設定可能性があるという有利点がある。両方の多関節アーム節は異なる形状とすることができ、及び/又は、異なる材料から製造することができる。3D出力装置の保管又は輸送のために、両方の多関節アーム節が互いに隣接するように多関節アームを折りたたむことができる。この状態においては多関節アームに必要な場所は特に少なくてすむ。応用例において例えば第1多関節アーム節は垂直に上方に向くことができ、第2多関節アーム節は、第1多関節アーム節に対して直角に向くことができる。
【0027】
本発明のさらなる有利な実施形態によると多関節アームベースは移動可能である。移動可能な多関節アームベースとしてはキャスター付き台枠又は台車といった移動可能な台が考えられる。それにより、3D出力装置を一つの使用場所から別の使用場所へと素早く簡単に移動させることができる。
【0028】
本発明のさらなる有利な実施形態によると多関節アームベースは、多関節アームを室内の壁又は天井又は床に固定できる固定装置を備えている。多関節アームベースはまた、固定装置を用いてテーブル、とりわけ手術台又は手術ロボットに直接的に固定することができる。多関節アームは固定装置から取り外すことができる。
【0029】
本発明のさらなる有利な実施形態によると少なくとも一つの駆動装置が備えられており、該駆動装置を介して多関節アーム及び/又は視覚化装置の向きを設定可能である。駆動装置は例えば一つ又は複数の電気モータを備えている。
【0030】
さらなる有利な実施形態によると駆動装置は制御装置を備えている。該制御装置は、所与の又はセンサ又はエンコーダを用いて捕捉されたサイズに応じて、多関節アーム及び視覚化装置の設定を行う。そのため例えば人間の自然な姿勢及び視線の方向を捕捉して、それに応じて3D出力装置の向きを自動的に調整することができる。例えば人間が、自身がガイドすべき内視鏡を見ている場合、この視線の方向は3D画像を見る際に保持される。駆動装置はまた、プログラムを用いて制御装置に従わせることができるため、多関節アーム及び/又は視覚化装置は特定の所与の設定に応じて位置決め及び向き調整を行える。その際、多関節アーム及び/又は視覚化装置は駆動装置により動かされるため、人間はこれらに触れることなく向き調整が行える。
【0031】
本発明のさらなる有利な実施形態によると制御装置は少なくとも一つのセンサを備えており、該センサは測定データを捕捉し、これを制御装置に伝達する。例えば光学センサを用いることができる。光学センサは、例えば人間に又は室内に取り付けられたマーキングを知覚する。この場合も、多関節アーム及び/又は視覚化装置は人間がこれらに触れることなく動くことができる。
【0032】
さらなる有利な実施形態によると制御装置には音声制御装置が設けられている。人間の音声コマンドはマイクを介して記録され、それに対応する駆動装置の制御信号へと変換される。
【0033】
さらなる有利な実施形態によると制御装置は動作制御装置を備えている。人間の動きが捕捉されて評価され、それにより駆動装置の制御が行われる。動きは望ましくはセンサを使用して捕捉される。
【0034】
本発明のさらなる有利な実施形態によると制御装置は、人間が手動で操作できる入力装置を備えている。該入力装置は制御ボタン及び制御レバーを備えることができる。その場合、多関節アーム及び視覚化装置の設定は、人間が相応のコマンドを入力することにより行われる。
【0035】
多関節アーム及び視覚化装置の設定は、人間が手動で力を作用させることにより純粋に手動で行うことができる。また、手動での制御は、人間が多関節アーム及び/又は視覚化装置に直接触れてガイドすることにより行うこともできる。これは例えば、モニタハウジングに頭部をつけ、これを前方に押すことにより行うことができる。
【0036】
本発明のさらなる有利な実施形態によると3D出力装置は、設定された多関節アーム及び/又は視覚化装置の向きを固定できる固定装置を備えている。該固定装置を用いてベースジョイント、ヘッドジョイント、及び場合によっては中間ジョイントをロックすることができる。ジョイントは個別に又は一緒にロックすることができる。その逆、つまり、ジョイントを可動な状態にする場合も同様である。ジョイントは例えば圧縮空気を用いてロックすることができる。固定及びロックの解除は、視覚化装置のモニタハウジングに配置された、手動で操作可能なスイッチ又は押しボタンを用いて行うことができる。代替的にスイッチ又は押しボタンは床に設けて足で操作することも可能である。
【0037】
本発明のさらなる有利な実施形態によると多関節アームにはグリップが設けられており、これを用いて多関節アームの向きを手動で設定できる。グリップは各多関節アーム節に設けることができる。視覚化装置にもグリップを設けることができる。滅菌環境においては、特定の面だけに触れられるようになっていることが重要である。グリップによりこれを確実に行うことができる。多関節アーム及び視覚化装置の残りの部分は滅菌状態のままである。
【0038】
本発明のさらなる有利な実施形態によると多関節アーム及び/又は視覚化装置は少なくとも一つの交換可能な衛生アタッチメントを備えている。該衛生アタッチメントは例えばシリコン材料製である。衛生アタッチメントはとりわけ、触れる場所、つまり例えばグリップ、制御レバー及び接触面に設けられる。無菌状態を確保するために、衛生アタッチメントは使用後に毎回洗浄、消毒、滅菌又は交換が行われる。この目的のために例えば簡単に接着できる又は嵌着できる固い又はフレキシブルなシリコンコンポーネントが用いられる。これらは接触面にねじ止めすることも可能である。シリコンコンポーネントはまた圧力を受けるとへこみ、人間の輪郭に適合するため、追加的に快適さも増す。出力装置のさらなる部分はきちんと滅菌カバー又は滅菌膜により覆われ、触れられることはない。
【0039】
本発明のさらなる有利な実施形態によると3D出力装置はイメージングシステムを備えている。医学分野においてはイメージングシステムとしてとりわけ内視鏡、顕微鏡、腹腔鏡、超音波装置、レントゲン装置又はその他の医学的イメージングシステムが用いられる。イメージングシステムは左光学チャンネルを介して人間の左目用の画像を、右光学チャンネルを介して人間の右目用の画像を記録する。それらの画像は視覚化装置に伝送される。そのために多関節アームの内部には視覚化装置の方向に延びる供給ラインを設けることができる。記録された画像はまた、無線インターフェースなどのインターフェースを介して視覚化装置に伝送することができる。無線インターフェースは、記録された画像を、検査された対象物と同じ室内にはない視覚化装置に伝送する場合、又は、複数の視覚化装置に伝送する場合にとりわけ活用される。
【0040】
本発明のさらなる有利点及び有利な実施形態は、以下の説明、図面、及び請求項からみてとれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面には本発明の実施例が表現されている。
図1】3D出力装置の斜視図である。
図2図1の3D出力装置の視覚化装置及び多関節アームの一つの節である。
図3】テーブルに位置決めされた図1の3D出力装置の斜視図である。
図4】視覚化装置が側方に旋回した図1の3D出力装置の側面図である。
図5図4の3D出力装置の上面図である。
図6】視覚化装置が回転した、図1の3D出力装置の側面図である。
図7図6の3D出力装置の上面図である。
図8】多関節アームの多関節アーム節が旋回した、図1の3D出力装置の側面図である。
図9図8の3D出力装置の上面図である。
図10】視覚化装置が上に傾けられた、図1の3D出力装置の側面図である。
図11図10の3D出力装置の上面図である。
図12図1の3D出力装置の視覚化装置の斜視図である。
図13図1の3D出力装置の視覚化装置の正面図である。
図14図1の3D出力装置の視覚化装置の側面図である。
図15図1の3D出力装置の視覚化装置の上面図である。
図16】人間が座ってテーブルについている状態での図1の3D出力装置の側面図である。
図17】人間が立ってテーブルについている状態での図1の3D出力装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、多関節アーム2、及びこの多関節アーム2に可動に配置された視覚化装置7を備える3D出力装置1の斜視図である。多関節アーム2は多関節アームベース5に可動に取り付けられている。多関節アームベース5として、ロック可能なダブルキャスター29を持つ移動可能な機器台車が使われている。多関節アームベース5は脚部28付きの支柱21、及び、脚部28に配置された複数のダブルキャスター29を有しており、そのうち少なくとも一つのダブルキャスターはロック可能である。多関節アームベース5の支柱21には、シャフト19が、高さ調整可能であるように及びその長軸まわりに回転可能であるように取り付けられている。このシャフトは多関節アームベース5の構成部分である。支柱21に関するシャフト19の回転運動は符号aで表現されている。シャフト19が上又は下に向かって動くと、多関節アーム2もそれに応じて上又は下に向かって動く。このようにして多関節アーム2はユーザーの身長に適合させることができる。支柱21には、機器及び器具、とりわけイメージング器具を置いておくための複数の機器台22が配置されている。多関節アーム2は3つの多関節アーム節、すなわち第1多関節アーム節3a、第2多関節アーム節3b、及び第3多関節アーム節3cを有している。
【0043】
第1多関節アーム節3aの端部は、ベースジョイントを介して多関節アームベース5に可動に接続されており、ベースジョイントは図1において符号4で示されたポジションに配置されている。ベースジョイントとしては、自由度を持つ回転継手が使われる。そのためにシャフト19の、第1多関節アーム節3aを向いた端部にフォーク状の取り付け部が設けられており、第1多関節アーム節3aはこの中に、図面には図示されていない軸のまわりに回転可能に取り付けられている。この軸は、多関節アーム2の第2の回転軸である。ベースジョイントの回転運動は符号bで示されている。
【0044】
多関節アームベースとは逆側にある第1多関節アーム節3aの端部は、第1中間回転継手を介して第2多関節アーム節3bの端部に可動に接続されている。第1中間回転継手のポジションは、符号20aにより示されている。第1中間回転継手は、多関節アーム2の第3の回転軸である。第1中間回転継手の回転運動は符号cで表されている。ベースジョイント及び第1中間回転継手の幾何学的な回転軸は平行である。その結果、第1多関節アーム節3a及び第2多関節アーム節3bは一つの共通の平面内において運動する。
【0045】
第1多関節アーム節3aとは逆側にある第2多関節アーム節3bの端部は、第2中間回転継手を介して第3多関節アーム節3cの端部に可動に接続されている。第2中間回転継手のポジションは符号20bで示されている。第2中間回転継手は多関節アーム2の第4の回転軸である。第2中間回転継手の回転運動は符号dで示されている。第2中間回転継手の幾何学的回転軸は、ベース回転継手[Basisdrehgelenk]及び第1中間回転継手の幾何学的回転軸に対して垂直に延びている。第2多関節アーム節3bに関する、第2中間回転継手まわりの第3多関節アーム節3cの動きによりこれら2つの多関節アーム節の間の角度は変化せず、第3多関節アーム節3cがその長軸まわりに回転することにつながる。
【0046】
第1中間回転継手及び第2中間回転継手も、ベースジョイントと同様、自由度を持つ回転継手である。
【0047】
第2多関節アーム節3bとは逆側にある第3多関節アーム節3cの端部は、ヘッドジョイントを介して視覚化装置7に接続されている。ヘッドジョイントのポジションは符号6で示されている。ヘッドジョイントは、第1ヘッド回転継手18a、第2ヘッド回転継手18b、第3ヘッド回転継手18c、及び、第2ヘッド回転継手18bと第3ヘッド回転継手18cとを結合する連結部分17を有している。第1、第2及び第3のヘッド回転継手18a、18b、18cは、多関節アーム2の第5、第6、第7回転軸である。第1ヘッド回転継手18aにより可能となった回転運動は符号eで示されている。第2ヘッド回転継手18bにより可能となった回転運動は符号fで示されている。第3ヘッド回転継手18cにより可能となった回転運動は符号gで示されている。第1ヘッド回転継手18a及び第2ヘッド回転継手18bの幾何学的回転軸は互いに垂直である。このとき第1ヘッド回転継手18aの幾何学的回転軸は水平に、第2ヘッド回転継手18bの幾何学的回転軸は垂直に延びている。第1ヘッド回転継手18a及び第2ヘッド回転継手18bはそれぞれ自由度を有している。
【0048】
連結部分17の第1端部には第2ヘッド回転継手18bが設けられており、この第1端部の反対側にある第2端部には第3ヘッド回転継手18cが設けられている。第3ヘッド回転継手18cにより、視覚化装置7は、ここでは縦長に構成された視覚化装置7の長軸Lまわりに回転運動が可能である。視覚化装置7の長軸Lは破線で示されている。
【0049】
多関節アーム2は、多関節アームベース5の回転継手、ベースジョイント、第1ヘッド回転継手18a、第2ヘッド回転継手18b、第3ヘッド回転継手18c、第1中間回転継手、及び第2中間回転継手と、合わせて7つの回転軸を有しており、これらを用いることにより視覚化装置7の設定が可能となる。さらに、支柱21内に高さ調整可能に取り付けられたシャフト19のおかげで、線形の自由度もある。
【0050】
多関節アーム2の多関節アーム節3a、3b、3c、及び、視覚化装置7は人間が手動で力を伝達することにより、又は、駆動装置の支援を受けて、動かすこと、及び、向き調整が行える。図面にはそのような駆動装置は図示されていない。その際、多関節アーム2及び視覚化装置7を第1のポジションから第2のポジションへと動かすためには、多関節アーム2のジョイントの全て又は一部のみが動かされる。多関節アーム2のジョイントは、図1には図示されていない固定装置を用いて設定されたポジションにおいてロックすることができる。
【0051】
第1多関節アーム節3aがベースジョイントにより動かされると、支柱21と第1多関節アーム節3aとの間に鋭角又は鈍角が形成される。多関節アーム2のベースジョイントが圧縮空気によりロックされると、第1多関節アーム節3aは、ベースジョイントのロックが解除されて第1多関節アーム節3aが動かされるまで、固定されたポジションにとどまる。このことは多関節アーム2のさらなるジョイント及び多関節アーム節3b、3cについても同様である。
【0052】
第1中間回転継手が圧縮空気によりロックされるもののベースジョイントはロックされない場合、第1多関節アーム節3aがベースジョイントにより動かされても、第1多関節アーム節3aと第2多関節アーム節3bとの間の角度は同じままである。この場合、第2多関節アーム節3bはベースジョイントにより動かされる。多関節アーム2の全てのジョイントがロックされると、ユーザーが意図せず多関節アーム2又は視覚化装置7に触れても、多関節アーム2及び視覚化装置7はもはや動かない。
【0053】
多関節アーム2を複雑に動かしたい場合でも、多関節アーム2の7つの回転軸により視覚化装置7の向き調整を素早く簡単に行うことができる。
【0054】
図2にはヘッドジョイント6が詳細に図示されている。ヘッドジョイント6は第1ヘッド回転継手18a、第2ヘッド回転継手18b、及び第3ヘッド回転継手18cを備えている。第1ヘッド回転継手18aは、接続部22を介して第2ヘッド回転継手18bにしっかりと接続されている。第1ヘッド回転継手18aの回転軸まわりの回転により、接続部22及び第2ヘッド回転継手18bは上に向かって又は下に向かって動かすことができる。第2ヘッド回転継手18bには連結部分17の端部が取り付けられているため、該連結部分は第2ヘッド回転継手18bを用いて回転できる。第2ヘッド回転継手18bとは逆側にある連結部分17の端部は第3ヘッド回転継手18cに取り付けられており、該連結部分はこれを介して視覚化装置7に可動に接続されている。そのために視覚化装置7にはプレート24がしっかりとねじ止めされている。その詳細図は図12に示されている。室内において視覚化装置7の向きを三次元で調整するために、多関節アーム節3a、3b、3cならびに視覚化装置はさまざまな回転継手のまわりにそれぞれ対応する矢印b、c、d、e、f、gの方向に動かすことができる。
【0055】
図3には図1の3D出力装置1をテーブル25につけて配置したところが図示されている。多関節アームベース5は床に配置されているため、多関節アームベースの支柱21は部分的にテーブル25より上に、及び部分的にテーブル25より下に配置されている。視覚化装置7はテーブル25より上に配置されている。第1多関節アーム節3aが動かされると、符号4で示されたポジションに配置されたベースジョイントにより、第1多関節アーム節3aがテーブル25の表面に近づいたり、又はこれから遠のいたりする。第2多関節アーム節3bが第1多関節アーム節3aに関して動かされると、視覚化装置7は破線の両矢印の方向に動く。本図では視覚化装置7の上面は、テーブル25の表面に対して距離をおいて水平に配置されている。
【0056】
図4及び図5は、図1の3D出力装置1であって、水平を向いた視覚化装置7が側方に旋回した状態での側面図及び上面図である。視覚化装置7の向きが水平であることは2本の破線により示されており、そのうちの1本は多関節アームベース5が配置された床の向きを、もう一本は視覚化装置7の向きを示している。視覚化装置7の側方への旋回の動きは、連結部分17が第1ヘッド回転継手18bまわりに動くことによりもたらされる。視覚化装置7が側方に旋回させられるのは、とりわけ、これを人間の視野から一時的に遠ざける場合である。
【0057】
図6及び図7は、図1の3D出力装置であって、視覚化装置7が第3ヘッド回転継手18cの回転軸まわりに回転した状態での側面図及び上面図である。第3ヘッド回転継手18cの回転軸は、視覚化装置7の長軸Lに同軸に配置されている。第3ヘッド回転継手18cは、連結部分17の、視覚化装置7のほうを向いた端部に配置されている。これまでの図とは異なり、本図では視覚化装置7の上面の向きが床に対して水平にはなっていない。第3ヘッド回転継手18cがロックされると、視覚化装置7は、第3ヘッド回転継手18cの回転軸まわりに回転したこのポジションにとどまる。第3ヘッド回転継手18cのロックが解除されると、視覚化装置7の上面は自動的に回転し、その重さに従って床に対して水平の向きである平衡状態に戻る。視覚化装置7を、第3ヘッド回転継手18cの回転軸まわりに回転させた向きにするのがとりわけ有利であるのは、図6には図示されていないイメージングシステムを、検査すべき対象物内で回転させ、そのイメージングシステムの回転をユーザーが自身の目で追いたい場合である。
【0058】
図8及び図9に図示されている実施例においては、第2多関節アーム節3bが追加的に、垂直な回転軸まわりに回転可能であるように第1多関節アーム節3aに取り付けられてされているか、又は、第2多関節アーム節3b自身が追加的な回転継手を有している。図8及び図9には、第1多関節アーム節3aに関してそのような回転継手まわりに第2多関節アーム節3bが回転した状態が図示されている。
【0059】
図10及び図11には、図1の3D出力装置であって、視覚化装置7が第1ヘッド回転継手18aの回転軸まわりに回転し、それにより上に向かって傾いている状態での側面図及び上面図が図示されている。視覚化装置7を第1ヘッド回転継手18aの回転軸まわりに回転させることにより、第2ヘッド回転継手18bが上に向かって動き、それにより第2ヘッド回転継手18bが第1ヘッド回転継手18aより上に配置される。視覚化装置7がこのように傾いた状態で配置されることは、人間がまっすぐに立った状態で視覚化装置7の左右の覗き窓11、12を上から覗き込んで検査すべき対象物を見る場合にとりわけ有利である。
【0060】
図12には視覚化装置7の斜視図が示されている。プレート24が4本のねじで視覚化装置7の上面に固定されていることが図からよくわかる。プレートは視覚化装置7の上面の側方の縁にほぼ接している。プレートの後方端部にはピン23が設けられており、このピンは図12には図示されていない連結部分17に回転可能に取り付けられている。モニタハウジング8には、調節可能及び取り外し可能に配置された上部迷光シェード15が配置されており、これにより、光が上から覗き窓ハウジング壁13の領域に入ることが防止される。さらに、モニタハウジング8の側面にはさらに2つの側方迷光シェード15が設けられており、これらにより、光が側方から覗き窓ハウジング壁13の領域に差し込むことを防止している。迷光シェード15は変形可能なシリコン材料からできている。覗き窓ハウジング壁13には、左右の覗き窓11、12の間に鼻用のくぼみ14が設けられている。人間は額と鼻を覗き窓ハウジング壁13につけるため、特殊なメガネを装着する必要がない。人間がメガネをかけていても、左右の覗き窓11、12を通して見る際にメガネを外す必要がない。このようにして人間は目の前にある対象物も、その対象物の3D画像も同時に鮮明に見ることができる。
【0061】
図13図14図15には図1の視覚化装置7の正面図、側面図、及び上面図が示されている。図13には、左右のモニタ9、10に検査された対象物の構造が表示されることが示されている。本図ではその構造は星形で示されている。左右のモニタ9、10はモニタハウジング8内において、円形に形成された左覗き窓11及びやはり円形に形成された右覗き窓11、12の延長線上に配置されている。覗き窓ハウジング壁13は迷光シェード15に接している。図13には鼻用のくぼみは図示されていない。図14には、視覚化装置7の上面がプレート24に固定されていることが示されている。それにより、視覚化装置7を素早く簡単に取り付けることができる。視覚化装置7はプレート24のピン23を介して、図14には図示されていない連結部分17に取り付けられている。迷光シェード15は、視覚化装置7の長手方向において動かすことができる。図15には、迷光シェード15がユーザーの頭の形に人間工学的に適応しており、覗き窓ハウジング壁から突き出していることが示されており、それによりメガネをかけているために左右の覗き窓に対して一定の距離があるユーザーであっても、周辺の光によりまぶしさを感じることがない。
【0062】
図16図1の3D出力装置1であって、人間26がテーブル25に座っている状態での側面図である。視覚化装置7の上面の向きはテーブル25の上面及び床に対して水平になっている。このことは、3本の破線により示されている。人間26はまっすぐ前を見ており、このとき自身が検査している対象物の外面を、及び、自身が検査している対象物の内面を3D画像の形で見ている。この3D画像は、人間26により制御されるイメージングシステムにより記録され、視覚化装置7に伝送される。人間26は、視覚化装置7から目を離すか、又はこれを動かして自身の視野から外すだけで現実の作業空間とバーチャル空間との間を切り替えられる。そのために人間は頭の向きを少し動かすだけでよい。人間26は視覚化装置7を例えば手で、又は入力装置を介して制御される一つ又は複数のモータを使って動かす。図から、視覚化装置7が人間26の頭部に固定されているわけではなく、多関節アーム2のみに固定されていることがよくわかる。そのため人間26は、視覚化装置7に触れることなくいつでもこれを外すことができる。例えば頭を後ろに引いたり、又は、側方にずらしたりするだけで、視覚化装置7から離れることができる。
【0063】
図17図1の3D出力装置であって、テーブル25のそばに人間26が立っている状態での側面図である。図から、人間26がいつでも視覚化装置7から離れられるだけでなく、図9に示された座ったポジションから図17に示される立ったポジションへと切り替えることにより、いつでも他の姿勢をとることができることも明らかである。3D表示装置1がセンサを備えている場合、多関節アーム2及び視覚化装置7は人間26の動きに従うこともできる。例えば人間が頭を前に動かしたり、又は対象物にさらに近づいたりした場合、多関節アーム2及び視覚化装置7は自動的に同じ距離だけ後方に移動することができる。
【0064】
本発明のすべての特徴は、個別でも、また、互いに任意に組み合わせても、本発明にとって重要なものとなり得る。
【符号の説明】
【0065】
1 3D出力装置
2 多関節アーム

3a 第1多関節アーム節
3b 第2多関節アーム節
3c 第3多関節アーム節
4 ベースジョイントのポジション
5 多関節アームベース
6 ヘッドジョイントのポジション
7 視覚化装置
8 モニタハウジング
9 左モニタ
10 右モニタ
11 左覗き窓
12 右覗き窓
13 覗き窓ハウジング壁
14 鼻用のくぼみ
15 迷光保護シェード
17 連結部分
18a 第1ヘッド回転継手
18b 第2ヘッド回転継手
18c 第3ヘッド回転継手
19 シャフト
20a 第1中間回転継手のポジション
20b 第2中間回転継手のポジション
21 支柱
22 機器台
22 接続部
23 ピン
24 プレート
25 テーブル
a 多関節アームベースのジョイントの回転運動
b ヘッドジョイントの回転運動
c 第1中間回転継手の回転運動
d 第2中間回転継手の回転運動
e 第1ヘッド回転継手の回転運動
f 第2ヘッド回転継手の回転運動
g 第3ヘッド回転継手の回転運動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】