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特表2023-551531医療処置の生成及び評価のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】医療処置の生成及び評価のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20231201BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533225
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021061106
(87)【国際公開番号】W WO2022119800
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/120,191
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウパドラスタ,プラサド ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステガー,ジョン,ライアン
(57)【要約】
システムは、プロセッサとコンピュータ可読命令が格納されたメモリを含み得る。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されるとき、システムにロボット支援マニピュレータで処置を実行するための処置計画を生成させ得る。処置計画は、第1の複数の処置入力に基づき得る。システムはまた、処置の実行からパフォーマンス指標を生成し、パフォーマンス指標に基づいて実行された処置を評価して処置評価情報を生成し、処置評価情報を格納し得る。システムはまた、格納された処置評価情報と第2の複数の処置入力に基づいて第2の処置計画を生成し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
プロセッサ;及び
コンピュータ可読命令が格納されたメモリ、を有し、前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記システムに:
ロボット支援マニピュレータで処置を実行するための処置計画を生成させ、前記処置計画は第1の複数の処置入力に基づき;
前記処置の前記実行からパフォーマンス指標を生成させ;
処置評価情報を生成するために前記実行された処置を前記パフォーマンス指標に基づいて評価させ;
前記処置評価情報を格納させ;
格納された前記処置評価情報と第2の複数の処置入力に基づいて、第2の処置計画を生成させる、
システム。
【請求項2】
前記第1の複数の処置入力は、前記処置の処置タイプを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の複数の処置入力は、外科医情報を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数の処置入力は、患者情報を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の複数の処置入力は、以前の処置情報を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロボット支援マニピュレータの環境において、ディスプレイデバイスに前記処置計画を表示することをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
表示される前記処置計画は、前記ロボット支援マニピュレータの前記環境のライブ画像及び前記環境内の少なくとも1つのコンポーネントの仮想画像を含む拡張現実画像を含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
表示される前記処置計画は、以前に記録された処置の少なくとも一部のビデオデモンストレーションを含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記処置はセットアップ命令のセットを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の間の前記ロボット支援マニピュレータからの運動学的情報に基づくスコアである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の少なくとも1つのコンポーネントプロセスの経過時間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の間のスタッフ介入の量である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記パフォーマンス指標は、予後品質指標である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
実行された前記処置を評価することは、前記パフォーマンス指標をベンチマーク指標と比較すること及び最適で内結果を識別することを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記最適でない結果は遅延である、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記最適でない結果はミスである、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
実行された前記処置を評価することは、前記パフォーマンス指標をベンチマーク指標と比較すること及びモデル結果を識別することを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
フィードバック通信を提供することをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
実施された前記処置を評価した後に、改訂された処置計画を生成することをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
システムであって:
プロセッサ;及び
コンピュータ可読命令が格納されたメモリ、を有し、前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記システムに:
ロボット支援マニピュレータの計画された処置の処置タイプを受信させ;
前記計画された処置を受ける患者の患者情報のセットを受信させ;
受信した前記処置タイプ及び前記患者情報のセットに基づいて、以前の処置データの分析を生成させ;
前記分析に基づいて、前記計画された処置のセットアップ命令のセットを生成させる、
システム。
【請求項21】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、さらに前記システムに、前記ロボット支援マニピュレータを操作する外科医の外科医情報のセットを受信させる、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記分析は、前記処置タイプ及び前記患者情報のセットに基づいて、前記以前の処置データ内のモデルの以前の処置を識別することを含む、
請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記セットアップ命令のセットを生成することは、前記モデルの以前の処置から前記セットアップ命令のセットを決定することを含む、
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記分析は、モデルの以前の処置を生成するために、前記以前の処置データにおける最適なプロセスを組み合わせることを含む、
請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記分析を生成することは、前記処置タイプ及び前記患者情報のセットに基づいて、前記以前の処置データにおけるパフォーマンス指標を分析することを含む、
請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記パフォーマンス指標は、以前の処置中の前記ロボット支援マニピュレータからの運動学的情報に基づくスコアである、
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記パフォーマンス指標は、以前の処置中の少なくとも1つのコンポーネントプロセスの経過時間である、
請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記パフォーマンス指標は、以前の処置中のスタッフ介入の量である、
請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記パフォーマンス指標は予後品質指標である、
請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記ロボット支援マニピュレータの環境において、ディスプレイデバイスに前記セットアップ命令を表示することをさらに含む、
請求項20に記載のシステム。
【請求項31】
表示される前記セットアップ命令は、前記ロボット支援マニピュレータの前記環境のライブ画像及び前記環境内の少なくとも1つのコンポーネントの仮想画像を含む拡張現実画像を含む、
請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
表示される前記セットアップ命令が、以前に記録された処置の少なくとも一部のビデオデモンストレーションを含む、
請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記患者情報のセットは、1つ以上の患者四肢の位置を含む、
請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照される出願
本出願は、2020年12月1日に出願された米国仮出願63/120,191の利益を主張するものであり、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR GENERATING VIRTUAL REALITY GUIDANCE」と題する2020年12月1日に出願された米国仮出願第63/120,175号、及び「SYSTEMS AND METHODS FOR PLANNING A MEDICAL ENVIRONMENT」と題する2020年12月1日に出願された米国仮出願第63/120,140号の全体が参照により組み込まれる。
【0003】
本開示は、ロボット支援医療処置のためのシステム及び方法、より具体的には、ロボット支援医療システムの動作モードに基づく医療環境計画の開発に向けられている。
【背景技術】
【0004】
遠隔操作ロボット又はロボット支援システムで医療処置を実行するための計画ツールは、多くの場合汎用的(generic)であり、特定の外科医、患者、又はその他のパラメータには適応可能でない。さらに、計画ツールは、静的であり、患者の予後(patient outcomes)を改善する可能性のある情報に応答しない場合がある。様々なパラメータに適応し、効率と患者の予後を改善する領域を特定するために実施された処置を評価する処置計画ツールを提供することによって、医療関係者を支援するシステムと方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、説明に続く請求項によって最もよく要約される。
【0006】
いくつかの実施形態と一致して、システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読命令が格納されたメモリを含み得る。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されるとき、システムにロボット支援マニピュレータで処置を実行するための処置計画を生成させ得る。処置計画は、第1の複数の処置入力に基づき得る。システムはまた、処置の実行(implementation)からパフォーマンス指標(performance metric)を生成し、処置評価情報を生成するためにパフォーマンス指標に基づいて実行された処置を評価し、処置評価情報を格納し得る。システムはまた、格納された処置評価情報と第2の複数の処置入力に基づいて第2の処置計画を生成し得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読命令が格納されたメモリを含み得る。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、ロボット支援マニピュレータの計画された処置の処置タイプを受信させ、計画された処置を受けている患者の患者情報のセットを受信させ、受信した処置タイプと患者情報のセットに基づいて以前の処置データの分析を生成させ得る。システムはまた、分析に基づいて計画された処置のセットアップ命令のセットを生成し得る。
【0008】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的な性質のものであり、本開示の範囲を限定することなく、本開示の理解を提供することを意図していることを理解すべきである。その点で、本開示の追加的な側面、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの実施形態による処置計画を生成し、評価する方法を示すフローチャートである。
図2A】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2B】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2C】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2D】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2E】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2F】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2G】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2H】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図2I】処置計画のためのユーザインターフェースを示す。
図3】医療処置のためのセットアップ命令を生成する方法を示すフローチャートである。
図4】いくつかの実施形態によるロボット支援医療システムの概略図である。
【0010】
本開示の実施形態とその利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。1つ以上の図に示されている同様の要素を識別するために同様の参照番号が使用され、そこに示されているものは本開示の実施形態を説明する目的のためのものであって、それを限定する目的のためのものではないことを認識すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
処置計画ツールは、医療環境におけるロボット支援システムの効率的、安全、かつ効果的な使用を支援し得る。適応処置計画(Adaptive procedure plans)は、特定の医療処置のための固有の入力に応答し、以前の処置で識別された改善と効率を組み込み得る。以下に説明するように、以前の処置で実施された評価と分析は、医療環境におけるロボット支援システムのセットアップ命令を含む、処置計画を生成するために使用され得る。
【0012】
図1は、いくつかの実施形態による処置計画を生成し、評価する方法100を示すフローチャートである。ここで説明する方法は、動作又はプロセスのセットとして示され、追加の図を引き続き参照して説明される。示されたプロセスのすべてが、方法のすべての実施形態で実行されるとは限らない。さらに、明示的に示されていない1つ以上のプロセスが、示されたプロセスの前、後、間、又は一部として含まれる場合がある。いくつかの実施形態では、プロセスの1つ以上が、少なくとも部分的に、1つ以上のプロセッサ(例えば、制御システムのプロセッサ)によって実行されるとき、1つ以上のプロセッサに1つ以上のプロセスを実行させ得る、非一時的な有形の機械可読媒体に格納された実行可能コードの形式で実装され得る。1つ以上の実施形態では、プロセスは制御システムによって実行され得る。
【0013】
プロセス102では、処置計画が医療環境においてロボット支援医療システムを使用するために生成され得る。処置計画は、例えば、処置タイプ112、外科医情報114、施設情報116、スタッフ情報118、患者情報120、専門家ガイダンス122、及び以前の処置情報124を含む様々な入力110に基づいて開発される。いくつかの実施形態では、入力は、例えば、オペレータインターフェースシステム上のディスプレイ、医療環境における固定又は可動の補助ディスプレイ、又は電話、タブレット、カメラ、ラップトップ又はその他の携帯機器などのモバイルデバイス上のディスプレイなどのユーザインターフェースデバイスで受信され、処置計画は、そのユーザインターフェースデバイスに表示され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースデバイスは、医療環境の内部又はそれの近くから医療環境に関する空間情報を測定、スキャン、イメージング又はその他の方法で記録し得る。したがって、例えば外科医、臨床スタッフ、及び/又は指導者又は監督者を含み得る処置の参加者は、処置計画をレビューし、計画の実施前に計画を調整し得る。
【0014】
図2Aは、モバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。ディスプレイ200は、ロボット支援医療システムで行われる処置のタイプを示す処置タイプ入力112を受信するためのユーザインターフェース204を含み得る。処置タイプは、メニューオプション206及びメニューオプション208を含むメニューから選択するために提供され得る。任意の数の処置タイプを表す任意の数のメニューオプションが選択のために表示され得る。代替実施形態では、処置タイプ入力112は、ドロップダウンメニューからの選択、インデックスの検索、又は他の既知の選択技術などの他の方法で示され得る。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、腹側及び鼠径ヘルニア修復及び肥満手術を含む一般的な外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、結腸切除及び直腸切除を含む結腸直腸外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、子宮摘出及び筋腫摘出を含む婦人科外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、前立腺、膀胱及び腎臓癌手術を含む泌尿器科外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、肺葉切除及び縦隔腫瘤手術を含む胸部外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、僧帽弁修復を含む心臓外科的処置を含む。様々な実施形態では、選択される可能性のある処置は、咽頭癌手術を含む頭頸部外科的処置を含む。様々な実施形態では、処置は、生検を含む診断的又は調査的処置を含み得る。
【0015】
図2Bは、選択された処置への入力を示すためのユーザインターフェース210を含むモバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。インターフェース210は、例えば、外科医情報114の入力を受信するためのボタン212、施設情報116を受信するためのボタン214、スタッフ情報118の入力を受信するためのボタン216、患者情報120の入力を受信するためのボタン218、及び要求されたガイダンス122の表示の入力を受信するためのボタン220を含み得る。ユーザインターフェース210は、選択された処置への入力を入力するための他の入力メカニズムを含み得る。外科医情報114は、例えば、ID情報、身体特性情報(例えば、身長、利き手)、トレーニング情報、資格情報、好みの情報、スタッフとの履歴、及び/又は外科医の以前の処置情報のデータベースを含み得る。
【0016】
施設情報116は、例えば、処置が行われる医療施設の地理的位置情報、部屋情報、設備(utilities)情報、利用可能な機器情報、又は選択した医療処置が行われる可能性のある施設に関するその他の情報を含む。いくつかの実施形態では、施設入力ボタン214を選択することは、ユーザに空間情報を記録すること又はキャプチャすることを促し(prompt)得る。部屋の寸法を測定するための測定デバイスは、例えば、距離計、ライダーシステム、カメラ、又は単一の目的のデバイスであり得る若しくは、電話、タブレット、ラップトップなどのモバイルユーザインターフェースのデバイスに組み込まれ得るその他の測定ツールを使用する。いくつかの実施形態では、カメラが、例えば、機器の位置、設備のコンセントの位置、家具の位置、及び/又はドアの位置を含む、部屋に関する施設情報をキャプチャし得る。
【0017】
スタッフ情報118は、例えば、スタッフの人数、ID情報、身体的特徴情報(例えば、身長、利き手)、トレーニング情報、資格情報、好みの情報、外科医との履歴、及び/又はスタッフの以前の処置情報のデータベースを含み得る。
【0018】
患者情報120は、例えば、ID情報、性別情報、病歴、身体的特徴情報(例えば、身長、体重)、術前の医療画像(例えば、CT、MRI、X線画像)、疾患進行に関する情報、以前の医療処置情報、及び/又は監視情報(例えば、血圧、血中酸素濃度、脈拍)を含み得る。患者情報は、例えば、外科医、臨床スタッフ、又は患者情報の格納されたデータベースからの入力によって提供され得る。いくつかの実施形態では、患者情報は、手術台上の頭部、胴体、四肢を含む患者の解剖学的構造の一部の位置及び向きを含む、予想又は計画された患者の位置情報を含み得る。手術台上のヘッドレスト、パッド、サポート、及び/又はその他の位置固定具が予想又は計画された患者の位置を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、患者情報は、手術台上の頭部、胴体、四肢を含む患者の解剖学的構造の一部の位置及び向きを含む、実際に感知された患者の位置情報を含み得る。手術台の内部又は周囲のカメラ、圧力センサ、力センサ、又はその他のセンシングシステムが、処置中の患者の位置を決定するために使用され得る。
【0019】
ガイダンス122は、選択した処置タイプを実行する際に行われる専門家の推奨事項又は事前の専門家のアクションを含み得る。ガイダンスは、専門家の好みのセットアップ構成、機器の選択、患者の位置及び向き、プロセスのシーケンス、又は選択した処置を実行するためのその他の提案又はベストプラクティスを含み得る。ガイダンスはまた又は代替的に、他の入力110に基づいてカスタマイズされ得る一般的な計画であり得るテンプレート処置を含む。ガイダンスはまた又は代替的に、外科医によって以前に実施された好ましい計画(又は計画の構成要素のステップ)、外科医によって好ましいと識別された計画(又は計画の構成要素のステップ)、又は外科医によって好ましくないと識別された計画(又は計画の構成要素のステップ)を含み得る。ガイダンス122は、例えば、その後の処置において後からアクセスするためにコンピュータメモリに格納され得る、又は、同じ場所にいる専門家又は離れた場所にいる専門家から提供されるライブガイダンス情報であり得る。
【0020】
プロセス102において、入力112-124は、処置計画を生成するために、以前の処置情報124を参照して、又はそれと組み合わせて使用され得る。以前の処置情報124は、例えば、同じ又は別の外科医によって、同じ又は別の施設で、同じ又は別のスタッフと共に、或いは、同じ又は別の患者に対して行われた同じ処置タイプの以前の処置に関する情報を含み得る。以前の処置情報124は、例えば、効率性、有効性、患者予後、又は外科医とスタッフが記録した好みに基づいて、ベストプラクティス又は回避するプラクティスを含み得る。以前の処置情報124は、以下に示すように、事前に実施された処置の評価に基づいて生成され得る。
【0021】
生成された処置計画は、処置の概要を含み得る。図2Cは、選択された処置の概要を提供するためのユーザインターフェース230を含むモバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。処置の概要は、処置の説明232、処置中に使用される器具と備品のカタログ234、処置指示のセット236、及び選択された処置を開始するためのトリガー238を含み得る。
【0022】
選択された処置が開始された後、選択された処置の複数のモジュールが提示され得る。図2Dは、選択バー242と選択インジケータ244を備えたユーザインターフェース240を含むモバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。選択バー242は、選択された処置のモジュール又はサブユニットに対応する複数のモジュール(0-6)の参照番号(references)を含む。選択インジケータ244は、選択されたモジュールの選択を示すために選択バー242に対して移動可能である。例えば、モジュール0は解剖学的構造モジュール(anatomy module)に対応し得る。モジュール1は初期曝露(initial exposure)及びセットアップモジュールに対応し得る。モジュール3は血管制御モジュールに対応し得る。残りのモジュールは選択した処置のサブユニットに対応し得る。処置は、任意の数のモジュール又はサブユニットを含み得る。同じタイプの処置が、入力110によって提供されるカスタマイズに基づいて、異なる数のモデルを有することさえあり得る。
【0023】
モジュールが選択された後、医療環境の仮想画像が表示され得る。図2Eは、提案された外科用ポート配置253を持つ患者の解剖学的構造(anatomy)252の画像を示すモジュール0のユーザインターフェース250を含むモバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。この画像では、患者の解剖学的構造252は手術台254上に位置し得る。いくつかの例では、ロボット支援マニピュレータ、外科医のコンソール、麻酔カート、又はその他のコンポーネントなどの他の機器が画像に含まれ得る。患者の解剖学的構造252と台254の画像は、3D画像オプション256を選択することによって3次元画像で表示され得る。3D画像では、患者の解剖学的構造252と台254は回転3自由度の回転で動かされ得る。患者の解剖学的構造252と台254の画像は、図2Fに示すように、2D画像オプション258を選択することによって2次元画像で表示され得る。患者の解剖学的構造252と台254の画像は、AR画像オプション260を選択することによって拡張現実画像で表示され得る。拡張現実画像では、カメラが医療環境の静止画像又は動画画像をキャプチャし得、患者の解剖学的構造252と台254の画像が、患者の解剖学的構造と台が実際の医療環境空間にどのように配置され得るかを示すために、医療環境の画像に重ね合わされ得る又は他の方法で組み合わされ得る。実際の医療環境空間の患者は、ポート配置253の位置が医療環境空間に正確に配置されるように、患者の解剖学的構造252の画像に位置合わせ及び拡大縮小され得る。図2Gに示すように、トグルスイッチ264を使用して機器の画像及びトグルスイッチ266を使用して人の画像のオンとオフをユーザが切り替えることを可能にするオプション263を選択することによって、メニュー262が提示され得る。
【0024】
図2Hに示すように、モジュール0のユーザインターフェース250は、計画された処置に関与する可能性のある解剖学的構造の臓器を記述する臓器情報268、計画された処置に関与する可能性のある血管を記述する脈管情報270、及び計画された処置に関与する可能性のある動脈を記述する動脈情報272をさらに図示し得る。
【0025】
図2Iは、患者の解剖学的構造252に対して計画された処置を実行するためのロボット支援マニピュレータ282のセットアップの指示を示すモジュール1のユーザインターフェース280を含むモバイルユーザインターフェースデバイスディスプレイ200を示す。セットアップモジュール1は、患者の解剖学的構造252と台254の推奨される向きの2D又は3D画像、推奨されるポートの配置253、患者の解剖学的構造252と台254に対するマニピュレータ282の推奨される配置、患者にマニピュレータ282をドッキングするためのドッキング指示、推奨される及びオプションの器具、医療環境における他の備品(furniture)又はコンポーネントの推奨される構成、推奨されるマニピュレータのセットアップジョイント284の配置、及び/又は医療環境空間における物体の他の向きや配置を含み得る。セットアップモジュール1はまた、セットアップ処置のステップ286の詳細な説明と、処置又は処置のステップを示す(demonstrating)ビデオ288を選択するためのメニューを含み得る。モジュール0~6の各々は、2D画像、3D画像、サブプロセス命令、説明ビデオ、ロボット支援マニピュレータの運動学的情報、影響を受ける解剖学的構造の説明、使用される器具の説明、使用される機器の説明、及びモジュールのステップを実行するのに役立つ可能性のあるその他のテキスト、グラフィック、ビデオ、又は対話型コミュニケーションツールを含み得る。
【0026】
再び図100を参照すると、プロセス104において、処置の実行中及び/又は後にパフォーマンス指標が生成され得る。生成された手術計画は、ロボット支援マニピュレータを使用して実施されるため、患者の解剖学的構造で遭遇する状態、マニピュレータのパフォーマンス、患者又はマニピュレータと遭遇した状態へのスタッフの反応、及び/又は患者又はマニピュレータと遭遇した状態への外科医の反応など、予想された及び予想外の状況により、生成された計画からの逸脱が発生し得る。処置の実行中、パフォーマンス指標は、ロボット支援マニピュレータセンブリ及び/又は取り付けられた器具について生成された運動学的情報を含み得、マニピュレータセンブリ及び/又は医療器具のコンポーネントの寸法、ジョイントの配置、コンポーネントの位置情報、コンポーネントの向き情報、及び/又はポートの配置などの構造情報を含み得る。運動学的情報は、また、遠隔操作アセンブリ内のジョイントの運動範囲、速度又は加速度情報、及び/又は抵抗力などの動的運動学的情報を含み得る。構造的又は動的運動学的制約情報は、例えば、マニピュレータのアーム構成、医療器具の構成、ジョイントの構成、コンポーネントの変位、コンポーネントの速度、及び/又はコンポーネントの加速度を測定する遠隔操作アセンブリ内のセンサによって生成され得る。センサは、電磁(EM)センサなどの位置センサ、光ファイバーセンサなどの形状センサ、及び/又はレゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータなどのアクチュエータ位置センサを含み得る。
【0027】
パフォーマンス指標は、また、処置全体の経過時間、処置の個別のサブユニットごと又は複数の経過時間、ツール交換やメンテナンス活動などの活動を完了するまでの経過時間を含み得る。いくつかの例では、パフォーマンス品質指標は、指示に従う際の人間の応答の正確さを含み得る。例えば、第1のマニピュレータアームにツールの交換が示されているが、スタッフが代わりに第2のマニピュレータアームでツールを交換した場合、パフォーマンス指標は指示に従わないことを示し得る。パフォーマンス指標は、コンプライアンス/コンプライアンス違反などのバイナリ指標である場合もあれば、連続的である場合もある。連続的な指標は、例えば、スタッフの合計移動距離、処置中のミスや計画外のインシデントの量、使用された器具の量、損傷した器具の量、交換されたツールの量、又は実行された処置中に必要な人間の介入の種類を示す重大度指標を含み得る。
【0028】
パフォーマンス指標は、また、処置中及び/又は処置後の失血、患者の回復時間、関連する合併症のための医療施設への患者の再入院、及び患者の退院までの時間、処置後の感染など、患者の予後の質の指標を含む処置後の測度(measures)を含み得る。処置後の測度はまた、マニピュレータセンブリの損傷又は摩耗の測度を含み得る。
【0029】
処置の実施中に、処置のパフォーマンス指標及び/又はリアルタイムの状態に関する情報が、例えば、外科医、臨床スタッフ、指導者又は監督者、施設の物流組織に伝達され得る。指標及び/又は状態情報は、オペレータインターフェースディスプレイ、補助的な固定又は可動ディスプレイコンポーネント、又はモバイルディスプレイなどのディスプレイを含む任意の感覚的な形式で提示され得る。リアルタイムの状態情報は、どのステップが実行され、どのステップがまだ実行されていないかを示す処置ステップのリスト(例えばチェックリスト)を含み得る。リアルタイムの状態情報は、スタッフの交代中や進行中の処置のメンター介入に役立ち得る。その他のプレゼンテーション形式は、例えば、経過時間のアナウンス、又は計画された処置へのコンプライアンスに関するフィードバックなどの聴覚情報を含み得る。
【0030】
プロセス106において、実行された処置がパフォーマンス指標に基づいて評価され得る。パフォーマンス指標は、専門の外科医及びスタッフによって開発された基準、複数の以前の処置を分析して開発されたベンチマーク、及び/又は計画された処置によって提供される基準と比較され得る。例えば、実行された処置からの運動学的情報は、処置計画によって推奨される運動学的情報と比較され得、実行された運動学的情報が計画された運動学的情報と一致したかどうか、及びどの程度一致したかについて評価され得る。いくつかの例では、評価はスコアを生成し得る。経過時間を含むパフォーマンス指標の評価は、処置の遅延やミスが発生した場所(例えば、どのサブユニットにおいて)を示し得る。いくつかの実施形態では、実行された処置を評価することは、パフォーマンス指標とベンチマーク指標を比較すること、及び遅延やミスなどの最適ではない(suboptimal)結果を特定することを含み得る。いくつかの実施形態では、実行された処置を評価することは、パフォーマンス指標とベンチマーク指標を比較すること、及びベンチマーク指標と比較して有利なモデル結果を特定することを含み得る。いくつかの実施形態では、処置の評価は、外科医、スタッフ、カメラ、又は環境内の他のセンサによって観察されたアクション又はパフォーマンスに基づき得る。いくつかの実施形態では、パフォーマンス指標は、客観的(例えば、測定データ)又は少なくとも部分的に主観的(例えば、訓練や経験に基づく人間観察)であり得る。
【0031】
オプションで、いくつかの実施形態では、プロセス106とプロセス102の間のフィードバックループによって示されるように、評価の結果は、処置計画の後続の段階を調整、変更、更新、又はその他の方法で再計算するために、処置の進行中の実行中に使用され得る。したがって、処置内評価は、処置計画が、処置中の患者と環境に関する観察、センサデータ、及びその他の入力に対して、動的かつ連続的に応答することを可能にし得る。例えば、患者ポートの確立プロセス中、ポートの実際の配置が処置計画で推奨されるポートの配置と異なる場合がある。これらの修正は、例えば、患者の解剖学的構造、手術経験、スタッフの経験、又は元の処置計画の決定に含まれていたかどうかにかかわらず、その他の考慮事項に基づいて決定され得る。これらの変更されたポートの場所は、処置が実行されているときに、処置計画の後続のステップを修正するために使用され得る。
【0032】
図1に示すように、プロセス106における評価の結果は、後続の処置計画の生成における入力の品質を向上させるために、以前の処置情報入力124に渡される場合がある。実行された処置の評価からの最適でない結果とモデル結果の両方が、後続の処置を改善するための有用な情報を提供し得る。例えば、格納された処置評価情報に基づく第2の処置計画と、第2の複数の処置入力が、プロセス102の後の実行で生成され得る。オプションのプロセス108において、評価の結果は、トレーニングと専門的な成長のために、外科医、スタッフ、又は施設にパフォーマンスフィードバックとして提供され得る。いくつかの実施形態では、パフォーマンスフィードバックは、処置の実行中に提供され得る。
【0033】
図1の方法100は、結腸切除術などの完全な医療処置に使用される可能性のある様々な処置計画のいずれかを生成するために使用される可能性のあるプロセス、又は、完全な処置の一部が、例えば、スタッフ又は外科医の異なるチームによって実行される可能性のある完全な処置の一部に対して使用される可能性のあるプロセスを示す。図3は、処置の一部、すなわち、医療処置の開始時のロボット支援マニピュレータ、周辺医療コンポーネント、及び患者のセットアップを生成するための方法300を示すフローチャートである。プロセス302において、ロボット支援医療システムで実行される処置タイプがユーザインターフェース(例えば、ユーザインターフェース204)で入力され得る。前述のように、処置タイプはメニューからの選択や他の選択技術を介して提供され得る。処置タイプは、一般的な手術、大腸手術、婦人科手術、泌尿器科手術、胸部手術、心臓手術、頭頸部手術などのさまざまな手術を含み得る、又は、さまざまな診断又は調査のための処置を含み得る。プロセス304において、患者情報(例えば、患者情報120)が受信され得る。オプションのプロセス306において、スタッフ情報(例えば、スタッフ情報118)が受信され得、オプションのプロセス308において、ロボット支援マニピュレータを操作する外科医の外科医情報(例えば、外科医情報114)が受信され得る。
【0034】
プロセス310において、処置タイプと患者、スタッフ、及び/又は外科医の情報に応じて、以前の処置情報が分析又はアクセスされ得る。例えば、経験レベルが類似している外科医とスタッフ、及び類似した位置にあるターゲット組織(例えば腫瘍)がある患者との同じタイプの処置の以前の処置情報は、例えば、最も効果的、最も効率的、又は最も安全な医療処置を達成するために、ロボット支援医療システムの最適なセットアップのための推奨事項を生成し得る。時間の経過とともに、以前の処置情報に基づく機械学習を含む分析は、特定の入力のセットに基づいて最適な処置のセットアップのためのカスタマイズされた推奨事項を生成し得る。例えば、分析は、外科医、患者の特徴、スタッフのトレーニングのレベルなどの共通の入力に基づいて、以前の処置情報からモデルの以前の処置を識別することを含み得る。いくつかの例では、分析は、以前の処置情報として格納されている複数の以前の処置からの情報を組み合わせることを含み得る。いくつかの例では、分析は、以前の処置中に生成されたロボット支援マニピュレータからの運動学的情報に基づく運動学的スコアを含むパフォーマンス指標の分析を含み得る。いくつかの例では、分析は、以前の処置又は以前の処置のサブユニットの経過時間の分析を含み得る。いくつかの例では、分析は、以前の処置におけるスタッフの介入の質又は以前の処置からの患者の予後の質などの品質指標の分析を含み得る。
【0035】
プロセス312では、以前の処置情報の分析に基づいてセットアップ命令が生成され得る。セットアップ命令は、例えばディスプレイデバイス200上で提供され得、医療環境におけるロボット支援システム、周辺コンポーネント、及び患者の最適な構成について医療スタッフを訓練又は指示するために使用され得る。上記の方法100で説明したように、セットアップ計画の実行は、実行中にミスがあった理由、時間遅延の理由、又は患者の予後の理由についてスタッフにフィードバックを提供するために、生成されたセットアップ計画に対して評価され得る。このフィードバックは、特定の外科医、処置タイプ、及び患者のタイプに合わせた個別のトレーニングを提供し得る。
【0036】
オプションで、セットアップ命令はディスプレイデバイス(例えばディスプレイデバイス200)に表示され得る。表示されるセットアップ命令は、医療環境のライブ画像と結合されたコンポーネント(例えば、マニピュレータ、器具、周辺コンポーネント)の少なくとも1つの仮想画像を伴うライブ画像を含む拡張現実イメージを含み得る。いくつかの例では、表示されるセットアップ命令は、以前に記録された処置からのビデオデモンストレーションを含み得る。
【0037】
前述のセットアップ計画を含む処置計画のいずれも、医療環境でロボット支援医療システムを使用して実行され得る。図4は、ロボット支援マニピュレータセンブリ404、オペレータインターフェースシステム406、及び制御システム408などのコンポーネントを含み得るロボット支援医療システム402を含む、医療環境基準座標系(medical environment frame of reference)(XM、YM、ZM)を持つ医療環境400の一例を示している。1つ以上の実施形態では、システム402は外科医の遠隔操作制御下にあるロボット支援医療システムであり得る。代替の実施形態では、医療システム402は、医療処置又は副処置(sub-procedure)を実行するようにプログラムされたコンピュータの部分的な制御下にあり得る。さらに他の代替の実施形態では、医療システム402は、医療システム402で医療処置又は副処置を実行するようにプログラムされたコンピュータの完全な制御下にある完全に自動化された医療システムであり得る。本開示に記載されたシステム及び技術を実装するために使用され得る医療システム402の一例は、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical Operations, Inc.によって製造されたda Vinci(登録商標)Surgical Systemである。医療環境400は、手術室、手術室(surgical suite)、医療処置室、又は医療処置若しくは医療訓練が行われるその他の環境であり得る。
【0038】
制御システム408は、少なくとも1つのメモリ410と、医療環境内のコンポーネント間の通信、制御、及びデータ転送を行うための少なくとも1つのプロセッサ412を含む処理ユニットを含み得る。制御システム408には、多種多様な集中型又は分散型データ処理アーキテクチャのいずれかが採用され得る。同様に、プログラムされた命令は、いくつかの個別のプログラム又はサブルーチンとして実装されることもあれば、遠隔操作システムを含む、ここで説明するシステムのいくつかの他の態様に統合されることもある。一実施形態では、制御システム408は、様々な有線通信プロトコル又はBluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE802.11、DECT、及び無線テレメトリなどの無線通信プロトコルのいずれかをサポートし得る。いくつかの実施形態では、制御システム408は、共通の手術環境の異なる領域、異なる部屋、又は異なる建物を含む、マニピュレータセンブリ404及びオペレータインターフェースシステム406から部分的又は完全に離れた、異なる環境にあり得る。
【0039】
マニピュレータセンブリ404は、患者側カートと呼ばれることがある。1つ以上の医療器具414(ツールとも呼ばれる)がマニピュレータセンブリ404に動作可能に結合され得る。医療器具414は、メス、ブラントブレード、針、イメージングセンサ、光ファイバー、電極などの単一の作用部材(working member)を持つエンドエフェクタを含み得る。他のエンドエフェクタは複数の作用部材を含み得、例としては、鉗子、把持器、はさみ、クリップアプライヤ、ステープラ、バイポーラ電気メス器具などを含む。一度に使用される医療器具414の数は、一般的に、他の要因の中で医療処置と手術室内のスペースの制約に依存する。医療器具414は、また、イメージング装置を含み得る。イメージング器具は、光学イメージング技術を用いた内視鏡イメージングシステムを含み得る、又は、他の技術(例えば、超音波、蛍光透視など)を用いた別のタイプのイメージングシステムを含み得る。マニピュレータセンブリ404は、1つ以上の非サーボ制御ジョイントによって結合された1つ以上のリンクの運動学的構造と、サーボ制御ロボットマニピュレータを含み得る。、様々な実装では、非サーボ制御ジョイントは、非サーボ制御ジョイントに物理的に結合されたリンク間の相対運動を可能にする又は抑制するために、手動で位置決め又はロックすることができる。マニピュレータセンブリ404は、医療器具414の入力を駆動する複数のモーターを含み得る。これらのモーターは、制御システム408からのコマンドに応じて移動し得る。モーターは、医療器具414に結合されるとき、患者の自然又は外科的に作成された解剖学的開口部に医療機器を前進させ得る駆動システムを含み得る。他のモーター駆動システムは、医療機器の遠位端を複数の自由度で動かすことができ、これには3つの直線運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸に沿った直線運動)及び3つの回転運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸周りの回転)が含まれ得る。さらに、モーターを、生検装置などの顎部で組織をつかむための器具の関節式(articulable)エンドエフェクタを作動させるために使用することができる。マニピュレータセンブリ404及び/又は器具414に関する運動学的情報は、マニピュレータセンブリ及び/又は医療器具のコンポーネントの寸法、ジョイントの配置、コンポーネントの位置情報、コンポーネントの向き情報、及び/又はポートの配置などの構造情報を含み得る。運動学的情報は、また、遠隔操作アセンブリにおけるジョイントの運動範囲、速度又は加速度情報、及び/又は抵抗力などの動的運動学的情報を含み得る。構造的又は動的運動学的制約情報は、例えば、マニピュレータのアームの構成、医療機器の構成、ジョイントの構成、コンポーネントの変位、コンポーネントの速度、及び/又はコンポーネントの加速度を測定する、遠隔操作アセンブリ内のセンサによって生成され得る。センサは、電磁(EM)センサなどの位置センサ、光ファイバーセンサなどの形状センサ、及び/又はレゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータなどのアクチュエータ位置センサを含み得る。
【0040】
オペレータインターフェースシステム406は、外科医やその他のタイプの臨床医などのオペレータが、処置部位の画像又は処置部位を表す画像を見ること及び医療器具414の動作を制御することを可能にする。いくつかの実施形態では、オペレータインターフェースシステム406は、外科処置中の患者と同じ部屋に位置し得る。しかし、他の実施形態では、オペレータインターフェースシステム406は、患者とは別の部屋又は全く別の建物に位置し得る。オペレータインターフェースシステム406は、一般に、医療器具414を制御するための1つ以上の制御装置を含み得る。制御装置(複数可)は、ハンドグリップ、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガーガン、フットペダル、手で操作するコントローラ、音声認識装置、タッチスクリーン、体の動き又は存在センサなど、任意の数の様々な入力装置の1つ以上含み得る。いくつかの実施形態では、オペレータにテレプレゼンスを提供するために、制御装置(複数可)は、ロボットアセンブリの医療ツールと同じ自由度を備え得る;つまり、オペレータには、制御装置(複数可)がツールと一体であるという認識が提供されるため、オペレータは処置部位に存在するかのようにツールを直接制御する感覚を持つことができる。他の実施形態では、制御装置(複数可)は、関連する医療ツールよりも多い又は少ない自由度を有し得、オペレータに依然としてテレプレゼンスを提供し得る。いくつかの実施形態では、制御装置(複数可)は、6自由度で移動する手動入力装置であり、これはまた、医療ツールを作動させるための(例えば、把持ジョーエンドエフェクタを閉じるため、電極に電位を与えるため、画像をキャプチャするため、薬物治療を行うためなど)作動可能なハンドルを含み得る。オペレータがオペレータインターフェースシステム406上のディスプレイを通して処置部位を見ている間、マニピュレータセンブリ404は、医療器具414を支持し、操作し得る。処置部位の画像は、マニピュレータセンブリ404によって操作することができるモノスコピック又はステレオスコピック内視鏡のようなイメージング器具によって得ることができる。
【0041】
オプションで、医療環境400に配置され得る別のコンポーネントは、制御システム408に通信可能に結合され得るディスプレイシステム416である。ディスプレイシステム416は、例えば、ロボット支援処置を行うための画像、命令、データを表示し得る。ディスプレイシステム416に提示される情報は、患者の解剖学的構造内からの内視鏡画像、ガイダンス情報、患者情報、及び処置計画情報を含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、ディスプレイシステムの移動可能な位置決めを可能にする電子カートによって支持され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムはディスプレイデバイス200であり得る。複数のディスプレイシステムが医療環境400に存在してもよい。
【0042】
入力ソース418は、制御システム408に通信可能に結合され得る又はメモリ410に格納され得る。入力ソース418は、入力110の1つ以上を格納し得る、及び/又は、入力110の1つ以上を受信するためのユーザインターフェースであり得る。いくつかの実施形態では、入力ソース418は、医療環境400の外部に格納され、制御システム408によってアクセスされるデータベースであり得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム416と入力ソース418は、共通のデバイスであり得る。
【0043】
制御システム408に通信可能に結合されていてもいなくてもよい医療環境400内の他のコンポーネントは、患者台420、及び、器具台、器具洗面器、麻酔カート、供給カート、キャビネット、及び座席などの補助コンポーネント422を含み得る。制御システム408に通信可能に結合されていてもいなくてもよい医療環境400内の他のコンポーネントは、電気、水、加圧空気出口などのユーティリティポート424を含み得る。
【0044】
医療環境内の、又は医療環境400に入ることができる人は、患者台420上に位置し得る患者426、オペレータインターフェースシステム406にアクセスする可能性のある外科医428、及び例えば外科スタッフ又は保守スタッフを含み得るスタッフメンバー430を含み得る。
【0045】
ある実施形態、実装、又はアプリケーションを参照して詳細に記述された要素は、実行可能な場合はいつでも、具体的に図示されていない又は記述されていない他の実施形態、実装、又はアプリケーションに含まれることができる。例えば、ある要素が1つの実施形態を参照して詳細に記述されているが、第2の実施形態を参照して記述されていない場合でも、その要素は第2の実施形態に含まれるものとして請求項に記載されることができる。したがって、以下の説明における不必要な繰り返しを避けるために、1つの実施形態、実装、又はアプリケーションに関連して図示され説明されている1つ以上の要素は、特に説明されていない限り、1つ以上の要素が実施形態又は実装を機能しないようにしたり、2つ以上の要素が競合する機能を提供したりしない限り、他の実施形態、実装、又は態様に組み込まれることができる。
【0046】
本開示の記載された装置、システム、器具、方法に対する変更及びさらなる修正、並びに本開示の原理のさらなる適用は、開示が関連する当業者に通常発生するように、十分に考慮される。特に、1つの実施形態に関して記載された特徴、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載された特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わせることができることが十分に考慮される。さらに、ここで提供される寸法は特定の例のためのものであり、本開示の概念を実装するために異なるサイズ、寸法、及び/又は比率を利用することができることが考慮される。不必要な記述の繰り返しを避けるために、1つの例示的な実施形態に従って記述された1つ以上のコンポーネント又は動作を、他の例示的な実施形態から適宜使用又は省略することができる。簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の繰り返しについては個別に説明しない。
【0047】
さまざまなシステムやシステムの一部は、3次元空間における状態の観点から説明されている。ここで使用されるとき、用語「位置」は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置を指す(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿った3つの並進自由度)。ここで使用されるとき、用語「向き」は、物体又は物体の一部の回転配置を指す(3つの回転自由度(例えば、ロール、ピッチ、ヨー))。ここで使用されるとき、用語「姿勢」は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度におけるその物体又は物体の一部の向きを指す(最大6つの合計自由度)。
【0048】
ここに記載されている例のいくつかは、外科的処置又は器具、又は医療処置及び医療器具を指すが、開示されている技術はオプションで非医療処置及び非医療器具に適用される。例えば、ここに記載されている器具、システム、及び方法は、産業用途、一般的なロボット用途、及び組織以外のワークピースのセンシング又は操作を含む非医療目的に使用される場合がある。その他の応用例としては、美容的改善、ヒト又は動物の解剖学的構造のイメージング、ヒト又は動物の解剖学的構造からのデータ収集、及び医療又は非医療従事者の訓練を含む。その他の応用例としては、(ヒト又は動物の解剖学的構造に戻すことなし)ヒト又は動物の解剖学的構造から摘出された組織に対する処置のための使用、及びヒト又は動物の死体に処置を実行することを含む。さらに、これらの技術は、また、外科的及び非外科的な治療又は診断処置に使用できる。
【0049】
コンピュータは、プログラムされた命令に従って、入力情報に対して数学的又は論理的な機能を実行し、処理された出力情報を生成する機械である。コンピュータは、数学的又は論理的な機能を実行する論理ユニットと、プログラムされた命令、入力情報、及び出力情報を格納するメモリを含む。用語「コンピュータ」と、「プロセッサ」又は「コントローラ」又は「制御システム」などの同様の用語は類似している。
【0050】
本発明の特定の例示的な実施形態が添付の図面に記載され、示されているが、そのような実施形態は単に広範な発明を例示しているだけであり、限定するものではないこと、また、通常の当業者であれば他の様々な変更を思いつく可能性があるため、本発明の実施形態は、図示され、説明されている特定の構造及び配置に限定されないことを理解すべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
プロセッサ;及び
コンピュータ可読命令が格納されたメモリ、を有し、前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記システムに:
ロボット支援マニピュレータで処置を実行するための処置計画を生成させ、前記処置計画は第1の複数の処置入力に基づき;
前記処置の前記実行からパフォーマンス指標を生成させ;
処置評価情報を生成するために前記実行された処置を前記パフォーマンス指標に基づいて評価させ;
前記処置評価情報を格納させ;
格納された前記処置評価情報と第2の複数の処置入力に基づいて、第2の処置計画を生成させる、
システム。
【請求項2】
前記第1の複数の処置入力は、前記処置の処置タイプを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の複数の処置入力は、外科医情報を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数の処置入力は、以前の処置情報を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ロボット支援マニピュレータの環境において、ディスプレイデバイスに前記処置計画を表示することをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
表示される前記処置計画は、前記ロボット支援マニピュレータの前記環境のライブ画像及び前記環境内の少なくとも1つのコンポーネントの仮想画像を含む拡張現実画像を含む、
請求項に記載のシステム。
【請求項7】
表示される前記処置計画は、以前に記録された処置の少なくとも一部のビデオデモンストレーションを含む、
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処置はセットアップ命令のセットを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の間の前記ロボット支援マニピュレータからの運動学的情報に基づくスコアである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の少なくとも1つのコンポーネントプロセスの経過時間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記パフォーマンス指標は、実行された前記処置の間のスタッフ介入の量である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記パフォーマンス指標は、予後品質指標である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
実行された前記処置を評価することは、前記パフォーマンス指標をベンチマーク指標と比較すること及び最適で内結果を識別することを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
実施された前記処置を評価した後に、改訂された処置計画を生成することをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の処置計画は、第2の処置のセットアップ命令のセットを含む、
請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】