(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】アルツハイマー病の非侵襲的評価
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533251
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 US2021061016
(87)【国際公開番号】W WO2022115705
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523200929
【氏名又は名称】エニグマ バイオインテリジェンス,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523200930
【氏名又は名称】レイターマン,マイケル
(71)【出願人】
【識別番号】523200941
【氏名又は名称】チューリップ,トーマス
(71)【出願人】
【識別番号】523200952
【氏名又は名称】マトタアラッチ,マトタアラッチラージュ スランタ サンジーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】レイターマン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チューリップ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マトタアラッチ,マトタアラッチラージュ スランタ サンジーワ
(57)【要約】
本開示は、一般に、バイオマーカーを測定し、対象からの臨床パラメーターを集める非侵襲的方法および検査、ならびに、例えば、対象をアルツハイマー病のリスクスコアに割り当てることにより、患者がアルツハイマー病を有するかまたは発症する可能性を評価するためのコンピューターで実施されるプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法であって、
(a)前記対象と関連するデータセットを受け取るステップであって、前記データセットが、前記対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含むステップであって、場合により、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択されていてもよく;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含んでいてもよい;
(b)前記データセットからADリスクスコアを生成し、それにより前記対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記データセットが、
(a)前記対象から前記1つまたは複数の体液試料を得るステップ;
(b)前記1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップ;および
(c)前記少なくとも4つのタンパク質マーカーを定量するステップ
を含む方法によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象からの試料を解析する方法であって、
(a)対象から1つまたは複数の体液試料を得るステップであって、場合により、前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択されてもよく;
(b)前記1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップであって、場合により、前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含んでいてもよく;
(c)前記少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量値を生成するステップ;
(d)前記対象と関連するデータセットに前記定量値を記憶するステップ;ならびに
(e)前記データセットからADリスクスコアを生成し、それにより前記対象からの試料を解析するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
(a)少なくとも1年後に、ステップ(a)から(d)を繰り返すステップ;
(b)前記対象と関連する後続のデータセットにステップ(g)で生成された前記定量値を記憶するステップ;および
(c)前記後続のデータセットから後続のADリスクスコアを生成するステップ
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
AD検査の必要がある対象を同定する方法であって、
(a)対象からの体液試料に請求項4の方法を実施するステップ;
(b)前記ADリスクスコアと前記後続のADリスクスコアの間にADのリスクの増加を示す変化があるか決定するステップ;および
(c)ADの指標について対象のさらなる検査を実行するステップ
を含む、方法。
【請求項6】
前記さらなる検査が、PETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、神経心理学的検査またはこれらの組合せを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ADリスクスコアを生成する前記ステップの方法がコンピューターにより実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、前記方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューターが読み取り可能な指令を記憶する記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、前記1つまたは複数のコンピューターが読み取り可能な下記指令:
(a)前記対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、前記対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含み;ならびに
(b)前記データセットから前記対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクスコア化するステップ、
を実行するステップを含む、方法。
【請求項9】
前記ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ADリスクスコアが、人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成され、場合により、前記人工知能ベースのアルゴリズムが、ロジスティック回帰ベースのアルゴリズム、light GBMベースのアルゴリズム、Random Forestベースのアルゴリズム、CatBoostベースのアルゴリズム、線形判別分析ベースのアルゴリズム、Adaptive Boostingベースのアルゴリズム、Extreme Gradient Boostingベースのアルゴリズム、Extra Treesベースのアルゴリズム、Naive-Bayesベースのアルゴリズム、K-Nearest neighborベースのアルゴリズム、Gradient Boostingベースのアルゴリズム、またはSupport Vectorベースのアルゴリズムであってもよい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ADリスクスコアが、(i)前記対象の脳のアミロイド負荷、(ii)前記対象の脳のタウ負荷、(iii)前記対象における脳の神経変性、または(iv)前記対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを予測する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(i)前記対象の脳のアミロイド負荷、(ii)前記対象の脳のタウ負荷、(iii)前記対象における脳の神経変性、または(iv)前記対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、前記データセットからの2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、または6つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の脳のアミロイド負荷を予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象がカットオフ値よりも高いかまたは低いアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうか予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがRandom ForestベースのアルゴリズムまたはCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が12より小さいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがRandom Forestベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が21より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象がカットオフ値より高い全脳アミロイド標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象がカットオフ値より高い関心体積(VOI)ベースのアミロイド標準化取込み値比(SUVR)またはセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象の脳のタウ負荷を予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象がカットオフ値よりも大きいタウ負荷を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記カットオフ値が脳のタウ負荷の標準化された測定に基づいていてもよい、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象がカットオフ値よりも大きい前記対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRよりも大きい前記対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がカットオフ値よりも大きい前記対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRよりも大きい前記対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記Tau PET標準化取込み値比(SUVR)が、MK6240、Flortaucipir、RO948、Genentech Tau Probe(GTP)1、またはPI-2620 Tau PET標準化取込み値比(SUVR)である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象の全脳タウ負荷を予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象がカットオフ値よりも高い関心体積(VOI)ベースのタウ標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象における脳の神経変成を予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項11~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が脳の神経変性を示す臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがLight GBMベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがLight GBMベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が脳の神経変性を示す認知評価検査スコアを有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記認知評価がミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MOCA)、Alzheimer’s Disease Assessment Scale-Cognitive section(ADAS-Cog)、Delis-Kaplan Executive Function System(D-KEFS)検査、またはAddenbrookes Cognitive Assessment(ACE-R)であってもよい、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象が脳の神経変性の物理的測定を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記物理的測定が、脳の神経変性を示す皮質厚の減少、機能的結合の欠損、または白質高信号域であってもよい、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測する、前記データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、前記ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成されてもよい、請求項11~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
(i)前記対象がカットオフ値より低いアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア、場合により12であってもく;(ii)前記対象が第2のカットオフ値より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア、場合により21であってもよく;(iii)前記対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRより大きい前記対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(iv)前記対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRより大きい前記対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(v)前記対象が0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;および(vi)前記対象が軽度の認知障害またはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコアを生成するステップを含む、請求項11~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象のADリスクスコア(複数可)に基づき、少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリー、の1つヘと前記対象を分類するステップをさらに含む、請求項7~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のリスクカテゴリーが、前記対象がADを発症するリスクが低いことを示す、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記対象のADリスクスコア(複数可)が、前記対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、およそ1~5年でADについて前記対象を再検査するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象のADリスクスコア(複数可)が、前記対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、およそ3~5年でADについて前記対象を再検査するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2のリスクカテゴリーが、前記対象がADに罹患しているか、またはADを発症するリスクが上昇していることを示す、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のリスクカテゴリーが、前記対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示す、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、前記対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、ADの指標について前記対象のさらなる検査を実施するステップをさらに含み、場合により、前記さらなる検査がPETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、機能的MRI、神経炎症スキャン、拡散テンソル画像、神経心理学的検査および/またはこれらの組合せを含んでいてもよい、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、前記対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、1つまたは複数のAD治療薬を前記対象に投与することを推奨するレポートを、コンピューター化されたシステムで生成するステップをさらに含む、請求項40または請求項41に記載の方法。
【請求項43】
投与対象が、投与対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、1つまたは複数のAD治療薬を投与対象に投与するステップをさらに含む、請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたは複数のAD治療薬が、アミロイド疾患修飾薬、タウ治療、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体遮断薬、またはこれらの組合せを含む、請求項42または請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記1つまたは複数のAD治療薬がアデュカヌマブ-avwaを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が、前記対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、AD治療候補薬の臨床試験に前記対象をさらに登録するステップを含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
AD治療候補薬を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象のADリスクスコア(複数可)に基づき、少なくとも第1のリスクカテゴリー、第2のリスクカテゴリー、および第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象を分類するステップを含む、請求項35~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第3のリスクカテゴリーが、前記対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記対象のADリスクスコア(複数可)が、前記対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す場合、およそ1~2年でADについて前記対象を再検査するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記対象が分類されたリスクカテゴリーの提示を含むレポートを、コンピューター化されたシステムで生成するステップをさらに含む、請求項35~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記データセットが前記対象のADの家族歴をさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記データセットが前記対象の年齢、性別もしくは教育、またはこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記データセットがADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーをさらに含み、場合により、前記ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーが、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)、またはこれらの組合せを含んでいてもよい、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
ADリスクスコアを生成する前記ステップがコンピューターで実施され、前記対象がADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、さらなる検査および/または神経科の診察を推奨するユーザーへの告知を提供するステップをさらに含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
1つまたは複数のADリスク因子によって対象のAD状態をモニターするための方法であって、
(a)前記対象からの1つまたは複数の体液試料に請求項1~55のいずれか一項に記載の方法を実施するステップおよび第1の時点で第1のADリスクスコアを前記対象に割り当てるステップ;
(b)前記対象からの1つまたは複数の体液試料に請求項1~55のいずれか一項に記載の方法を実施するステップおよび第2の時点で第2のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(c)前記第1のADリスクスコアと前記第2のADリスクスコアを比較して、前記対象のADリスクスコアが増加したか決定するステップ、
それにより前記対象のAD状態をモニターするステップ
を含む、方法。
【請求項57】
(a)前記対象からの1つまたは複数の体液試料に請求項1~55のいずれか一項に記載の方法を実施するステップおよび第3の時点で第3のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(b)前記第3のADリスクスコアと前記第1のADリスクスコアおよび/または第2のADリスクスコアを比較して、前記対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または前記対象のADリスクスコアの変化の割合を決定するステップ、
それにより前記対象のAD状態のモニターを続けるステップ、
(c)前記対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または前記対象のADリスクスコアの変化の割合、
それにより前記対象のAD状態のモニターを続けるステップ
をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記タンパク質マーカーが少なくとも5つのタンパク質マーカーを含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記タンパク質マーカーが1つまたは複数のタウペプチドマーカーを含み、場合により、前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーが1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカーを含んでいてもよく、場合により、前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau217、p-tau181、p-tau231、p-tau235、またはこれらの組合せを含んでいてもよい、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記タンパク質マーカーが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーを含み、場合により、前記1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-40:Aβ-42の比、Aβ-42:Aβ-40の比、またはこれらの組合せを含んでいてもよい、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記タンパク質マーカーが1つまたは複数の神経変性マーカーを含み、場合により、前記1つまたは複数の神経変性マーカーがニューロフィラメント軽鎖(「NFL」)および/またはグリア線維性酸性タンパク質(「GFAP」)を含んでいてもよい、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記タンパク質マーカーが1つまたは複数の代謝障害マーカーを含み、場合により、前記1つまたは複数の代謝障害マーカーがHbA1cを含んでいてもよい、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記タンパク質マーカーが1つまたは複数の炎症マーカーを含み、場合により、前記1つまたは複数の炎症マーカーがC反応性タンパク質(「CRP」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、腫瘍壊死因子(「TNF」)、可溶性TREM2(「sTREM-2」)、熱ショックタンパク質、YKL-40、またはこれらの組合せを含んでいてもよい、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝性疾患マーカー、および炎症マーカー以外の1つまたは複数のマーカー(「他のマーカー」)をさらに含み、前記他のマーカーが、場合により、タンパク質症マーカー、例えば前頭側頭型認知症(FTLD)マーカー、パーキンソン病マーカー、レビー小体病マーカー、またはこれらの組合せを含んでいてもよく、場合により、前記1つまたは複数の他のマーカーがα-シヌクレインおよび/またはTDP-43を含んでいてもよい、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記体液試料が血液試料であり、場合により、前記血液試料が血漿試料であってもよい、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記体液試料が血液試料とCSF試料の組合せであり、場合により、前記血液試料が血漿試料であってもよい、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
対象のADリスクスコアを生成するための人工知能ベースのアルゴリズムを産生する方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、前記患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび前記患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも一部の前記患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、前記少なくとも4つのタンパク質マーカーの前記定量的データがインプット変数であり、前記AD代替変数の前記データが前記機械学習モデルのアウトプット変数であり、それによりADリスクスコアを生成する人工知能ベースのアルゴリズムを提供するステップ
の指令を含む、前記1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む、方法。
【請求項68】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、前記少なくとも4つのタンパク質マーカーの差を重みづけする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記1つまたは複数のAD代替変数が脳のアミロイド負荷を含む、請求項67または請求項68に記載の方法。
【請求項70】
脳のアミロイド負荷の患者データが、標準化された脳のアミロイド負荷データ(例えば、PETセンチロイドデータ、PET SUVRデータ、またはAmiloidIQデータ)を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
脳のアミロイド負荷の患者データが、アミロイドPETセンチロイドデータを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および1つまたは複数の神経炎症マーカーを含む、請求項69~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau181)を含み、前記1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーが、Aβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ-40の比、Aβ-40:Aβ-42の比、またはこれらの組合せを含み、前記1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPを含み、前記1つまたは複数の神経炎症マーカーがsTREM-2を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)および1つまたは複数の神経炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)を重みづけする、請求項72または請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記1つまたは複数のAD代替変数が脳のタウ負荷を含む、請求項67~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
脳のタウ負荷についての患者データが、標準化された脳のタウ負荷データ(例えば、PET SUVRデータまたはTauIQデータ)を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
脳のタウ負荷についての患者データがTauPET SUVRデータを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記Tau PET SUVRデータが脳の内側側頭部のTau PET SUVRデータを含む、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記Tau PET SUVRデータが脳の側頭部のTau PET SUVRデータを含む、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項80】
Tau SUVRデータが、MK6240、Flortaucipir、RO948、Genentech Tau Probe(GTP)1、またはPI-2620 Tau PET SUVRデータである、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記Tau PET SUVRデータがMK6240 Tau PET SUVRデータである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および場合により1つまたは複数のタンパク質症マーカーを含んでいてもよい、請求項75~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、前記1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、前記1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPおよび/またはNFLを含み、前記1つまたは複数のタンパク質症マーカーがTDP43を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、請求項82または請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)を重みづけする、請求項82または請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記1つまたは複数のAD代替変数が脳の神経変性を含む、請求項67~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
脳の神経変性についての患者データが、臨床認知症評価尺度データを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および1つまたは複数の炎症マーカーを含む、請求項86または請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、前記1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、前記1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPを含み、前記1つまたは複数の炎症マーカーがsTREM-2を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)および1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、請求項88または請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)および1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)を重みづけする、請求項88または請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記1つまたは複数のAD代替変数が軽度の認知障害またはADの臨床診断を含む、請求項67~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
軽度の認知障害のデータの臨床診断についての患者データが、軽度の認知障害またはADの確定または陰性診断を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および場合により1つまたは複数のタンパク質症マーカーを含んでいてもよい、請求項92または請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、前記1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、前記1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPおよび/またはNFLを含み、ならびに前記1つまたは複数のタンパク質症マーカーがTDP43を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項96】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)より大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、請求項94または請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のタンパク質症マーカー(例えば、TDP43)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけし、前記人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい、および1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、NFL)より大きい1つまたは複数のタンパク質症マーカー(例えば、TDP43)を重みづけする、請求項94または請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記タンパク質マーカーが、請求項58~64のいずれか一項に記載のタンパク質マーカーを含む、請求項67~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
各患者の記録が、前記患者の年齢、タウPETスキャン時の前記患者の年齢、前記患者の性別、前記患者の教育、ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーについてのデータ、またはこれらの組合せをさらに含む、請求項67~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記体液試料が血液試料であり、場合により、前記血液試料が血漿試料であってもよい、請求項67~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記体液試料が、血液試料とCSF試料の組合せを含み、場合により、前記血液試料が血漿試料であってもよい、請求項67~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記複数の患者の記録が、少なくとも100人、少なくとも200人、少なくとも300人、少なくとも500人、少なくとも1000人、または少なくとも5000人の患者の記録を含み、および/またはステップ(b)が、少なくとも100人、少なくとも200人、少なくとも300人、少なくとも500人、少なくとも500人、少なくとも1000人、または少なくとも5000人の患者の記録により前記機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、請求項67~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記機械学習モデルが、ロジスティック回帰モデル、light GBMモデル、Random Forestモデル、CatBoostモデル、線形判別分析モデル、Adaptive Boostingモデル、Extreme Gradient Boostingモデル、Extra Treesモデル、Naive-Bayesモデル、K-Nearest neighborモデル、Gradient Boostingモデル、またはSupport Vectorモデルである、請求項67~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法であって、
(a)前記対象と関連するデータセットを受け取るステップであって、前記データセットが、前記対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、場合により、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含んでいてもよく;
(b)請求項67~103のいずれか一項に記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用して前記データセットからADリスクスコアを生成し、それにより対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクスコア化するステップ
を含む、方法。
【請求項105】
対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)前記対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、前記対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)請求項67~103のいずれか一項に記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用して前記データセットから前記対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは罹患しているリスクスコア化するステップ
の指令を含む、前記1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む、方法。
【請求項106】
請求項7~66および104~105のいずれか一項に記載の方法のいずれか1つに従ってADリスクスコアを生成するように構成されたシステム。
【請求項107】
1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を含む、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
前記1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が:
(a)前記対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、前記対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)前記データセットから前記対象のADリスクスコアを生成するステップ
の指令を含む、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記コンピューター読み取り可能な指令が、前記対象のレポートを生成するための指令を含み、場合により、前記レポートが前記対象のADリスクスコア(複数可)および/または対象のADリスクスコア(複数可)から前記対象への1つまたは複数の推奨を含んでいてもよい、請求項107~108のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項110】
前記コンピューター読み取り可能な指令が、対象がADに罹患しているかまたは発症するリスクを分類するための指令をさらに含み、場合により、対象がADに罹患しているリスクを分類するための指令が、ADに罹患しているかまたは発症する、少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象を分類するための指令を含んでいてもよい、請求項107~109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
請求項67~103のいずれか一項に従ってADリスクスコアを生成するための人工知能ベースのアルゴリズムを産生するために構成されたシステム。
【請求項112】
1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を含む、請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
前記1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が、
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、前記患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび前記患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも一部の前記患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、前記少なくとも4つのタンパク質マーカーの前記定量的データがインプット変数であり、前記AD代替変数のデータが前記機械学習モデルのアウトプット変数である、ステップ
の指令を含む、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
対象のADリスクスコアを生成するためのシステムであって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した前記1つまたは複数の処理装置を含み、前記1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が:
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、前記患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)前記体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)前記タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;
(b)少なくとも一部の前記患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、前記少なくとも4つのタンパク質マーカーの前記定量的データがインプット変数であり、前記AD代替変数の前記データが前記機械学習モデルのアウトプット変数であり、ADリスクスコアを生成するAIベースのアルゴリズムを産生する、ステップ
(c)前記AIベースのアルゴリズムを使用して前記対象のADリスクスコアを生成するステップ;
(d)前記ADリスクスコアが、前記対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、ADを発症するリスクが低い、前記ADリスクスコアが、前記対象がADを発症するリスクが中間(または中程度)であることを示す場合、ADを発症するリスクが中間(または中程度)である、または前記ADリスクスコアが、前記対象がADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いことを示す場合、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして前記対象を分類するステップ;ならびに
(e)前記対象が分類されるリスクカテゴリーの表示および/または前記対象の分類に基づく前記対象のための推奨を含むレポートを生成するステップ
の指令を含む、システム。
【請求項115】
請求項1~105のいずれか一項に記載の方法を実行するための処理装置によって実行可能な指令を含む、実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照によりその全体を本明細書に組み入れる、2020年11月30日に出願された米国特許仮出願第63/119372号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
2.背景
アルツハイマー病(AD)は、重篤な神経変性疾患であり、認知症の優勢型である(50~75%)。2015年には、世界中で~4400万人がADまたは関連認知症を有すると推定され、毎年、460万人の認知症の新しい症例が予測される(Van Cauwenberghe et al., 2016, Genetics in Medicine 18: 421-430)。2つの病理学的特徴:海馬、大脳皮質、および認知機能に必須の脳の他の領域における細胞外プラークおよび細胞内のもつれ、がAD患者で剖検時に観察される。プラークは、ほとんどの場合、アミロイド前駆体タンパク質由来のペプチド(「APP」)であるアミロイドベータ(「Aβ」)の沈着から形成される。繊維状のもつれは、ニューロフィラメントおよび過リン酸化タウタンパク質、微小管結合タンパク質から構成される一対のらせん状フィラメントから形成される。しかしながら、これらの2つの病理学的変化が単に疾患と関連しているのかまたは変成プロセスに本当に関与するのかは明らかではない。遅発性/散発性ADは、遺伝的早発性/家族性AD(FAD)と事実上同一の病理を有し、したがってADの両形態に共通の病理学的経路を示唆している。これまでに、遺伝子研究により、常染色体優性の早発性ADを引き起こす3つの遺伝子、アミロイド前駆体タンパク質(「APP」)、プレセニリン1(「PS1」)、およびプレセニリン2(「PS2」)が同定された。4番目の遺伝子、アポリポタンパク質E(「APOEまたはAPO E」)は、最も強く、最も一般的なADの遺伝子リスク因子であるが、必ずしもADを引き起こさない。APPおよびPSタンパク質と関連する全ての突然変異が、Aβペプチド、特に、よりアミロイドを形成する形態であるAβ42の産生の増加をもたらし得る。アミロイドプラークおよび細胞内のもつれ形成への遺伝的な影響に加えて、環境因子(例えば、サイトカイン、神経毒等)もADの発生および進行に重要な役割を果たし得る。
【0003】
疾患は、記憶および認知機能の進行性の低下によって臨床的に特徴付けられ、自主性の喪失をもたらし、最終的にフルタイムの医療管理が必要である。患者および介護福祉士へのADの強い影響の他に、認知症のケアおよび治療にかかる高いコストにより、社会および公衆衛生にも莫大な負荷がかかる。症状を一時的に緩和する薬物は別として、現在ADに関してFDAが認可した治療剤は存在しない。
【0004】
現在、患者のADを診断する主要な方法は、詳細な患者の病歴を聞き取るステップ、記憶および心理検査を行うステップ、および一時的(例えば、うつまたはビタミンB12欠乏)または持続的(例えば、脳卒中)状態を含む、記憶喪失の他の説明を除外するステップを含む。しかしながら、これらの臨床診断法は確実ではない。
【0005】
治療の成功への1つの障害は早期診断である。典型的には、臨床診断手順は、患者が顕著な、異常な記憶の喪失または人格の変化を示し始めた後にのみ有用である。その時までに、患者は数年間ADを有していたと考えられる。
【0006】
研究は、AD患者からの脳脊髄液(「CSF」)試料が、神経変性時に放出される、正常量よりも多くのタウ、および正常量よりも少ないベータアミロイドを含有することを示し、おそらくアミロイドプラークの形態で脳にトラップされるためである。これらのバイオマーカーがCSFに放出されるため、腰椎穿刺(または脊椎穿刺)が検査用の試料を得るために必要とされる。しかしながら、これらの侵襲的検査は、認知低下の兆候後にのみ行われる。ADのリスクがある患者を同定し、早期にADを検出するため、好ましくは、腰椎穿刺よりも非侵襲的な方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
3.概要
様々な態様では、本開示は、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法および対象のADリスクスコアを生成するために構成されたシステムを提供する。方法は、典型的には、対象からの1つまたは複数の体液試料、例えば血漿試料もしくは血清試料などの血液試料、または脳脊髄液(CSF)試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーについて定量的データを有する対象と関連するデータセットからADリスクスコアを生成するステップを含む。好ましい実施形態では、試料は、血液試料、より好ましくは血漿試料である。血液試料は通常のヘルスケアスクリーニングの一部として容易におよび一般的に得られるため、本開示の方法は、早期に、ADを発症するかまたはADに罹患しているリスクのある対象の非侵襲的な同定を可能にする。ADリスクスコアは、典型的には、AIベースのアルゴリズムを使用して生成される。本発明者らの知識のため、本開示の方法は、血液中に存在する少なくとも4つのタンパク質マーカーの組合せを使用して、ADと関連する症状を示す前でさえも、ADのリスクがある対象の正確で、信頼できる同定を可能にする初めての非侵襲的な方法である。早期に、ADを発症するかまたはADを既に有するリスクがある対象を同定することにより、緊急治療(例えば、AD治療薬またはAD治療候補薬による)が開始され得る。したがって、本明細書に記載の方法およびシステムは、ADの予測、診断、および治療の分野の既存の方法およびシステムの著しい改善を示す。
【0008】
本開示の方法で使用され得る例示的なタンパク質マーカーは、タウペプチドマーカー(例えば、p-tau181、p-tau217、p-tau231、p-tau235)、アミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-40、Aβ-42、Aβ-40:Aβ-42の比、Aβ-40:Aβ-42の比)、神経変性マーカー(例えば、ニューロフィラメント軽鎖(NFL)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP))、代謝障害マーカー(例えば、HbA1c)および炎症マーカー(例えば、可溶性TREM2(sTREM-2))を含む。少なくとも4つのタンパク質マーカーは、典型的には、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む。例えば、データセットは、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、および1つまたは複数の神経変性マーカーの定量的データを含み得る。一部の実施形態では、データセットは、1つもしくは複数のADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4)および/または1つもしくは複数の他の因子、例えば年齢および性別(男性もしくは女性)をさらに含む。
【0009】
ADリスクスコアを生成するステップは、典型的にはコンピューターで実施される。コンピューターで実施される方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、データセットから対象のADリスクスコアを生成するための指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含み得る。ADリスクスコアを生成するための人工知能(AI)ベースのアルゴリズムが使用され得る。例示的なAIベースのアルゴリズムは、患者の記録のセットを使用してトレーニングされた、ロジスティック回帰分析、light GBM、Random Forest、およびCatBoost機械学習モデルに基づくものを含む。
【0010】
ADリスクスコア(またはADリスクスコアの組合せ)を使用して、対象をADリスクカテゴリー、例えば高い、中間の(本明細書では、中程度または中と呼ばれることもある)、または低いリスクカテゴリーへと分類することができる。分類を使用して、追跡検査を推奨することができる。例えば、高リスクとして分類された対象への推奨はADの指標のさらなる検査の推奨であるが(例えば神経科医の診察中)、中リスクまたは低リスクとして分類された対象へは、1年またはそれ以上、例えば、中リスクでは2~3年および低リスクでは3~5年後の再検査を推奨してもよい。
【0011】
他の態様では、本開示は、ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生する方法を提供する。これらの方法は、典型的には、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)複数の患者の記録(例えば、少なくとも100人、少なくとも200人、少なくとも300人、少なくとも500人、少なくとも1000人、少なくとも5000人、または少なくとも5000人より多くの患者の記録)を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを有する、ステップ、ならびに(b)少なくとも一部の患者の記録(例えば、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000または5000より多くの患者の記録)により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データがインプット変数として使用され、1つまたは複数のAD代替変数のデータが機械学習モデルのトレーニングのためのアウトプット変数として使用される、ステップの指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む。
【0012】
AD代替変数はADリスクと関連する因子、例えば脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、または軽度の認知障害(MCI)もしくはADの臨床診断である。したがって、例えば、AD代替値が脳のアミロイド負荷である場合、患者の記録データは、アミロイドPETセンチロイドデータを含むことができ;AD代替値が脳のタウ負荷である場合、患者の記録データは、Tau PET SUVRデータを含むことができ;AD代替変数が脳の神経変性である場合、患者の記録データは、臨床認知症評価尺度データを含むことができ;ならびにAD代替値がMCIまたはADの臨床診断である場合、患者の記録データは、MCIまたはADの患者診断と関連するデータを含むことができる。インプット変数としてタンパク質マーカーのデータおよびアウトプット変数としてAD代替変数を使用することにより、トレーニングは、タンパク質マーカーのレベルをAD代替変数と相関させるAIベースのアルゴリズムを産生する。さらなるインプット変数、例えば年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。
【0013】
ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するために使用され得る例示的な機械学習モデルは、ロジスティック回帰モデル、light GBMモデル、Random Forestモデル、およびCatBoostモデルを含む。他の機械学習モデル、例えば、線形判別分析モデル、Adaptive Boostingモデル、Extreme Gradient Boostingモデル、Extra Treesモデル、Naive-Bayesモデル、K-Nearest neighborモデル、Gradient Boostingモデル、およびSupport Vectorモデルも使用され得る。
【0014】
本開示の方法によって産生されたAIベースのアルゴリズムは、例えば、本明細書に記載の、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化する方法で使用され得る。
【0015】
さらなる態様では、本開示は、ADリスクスコアを生成するために構成されたシステムおよびADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを生成するために構成されたシステムを提供する。システムは、典型的には、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含む。
【0016】
ADリスクスコアを生成するために構成されたシステムは、本明細書に記載のようにADリスクスコアを生成するための方法に従って、1つまたは複数のADリスクスコアを生成するための指令を含み得る。そのようなシステムは、1つまたは複数のADリスクスコアに基づくレポートを生成するためのさらなる指令を含み得る。レポートは、対象のADを発症するかまたは有するリスクの分類を含み得る。例えば、対象は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高い、ADを発症するリスクが中間(または中程度)である、またはADを発症するリスクが低いとして分類され得る。レポートは、分類に基づくさらなる検査の推奨をさらに含み得る。例えば、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いと分類された対象への推奨は、ADの指標について対象のさらなる検査であってもよい(例えば、神経科医の診察による)。ADを発症するリスクが中間であると分類された対象への推奨は、将来、例えばおよそ1~2年、例えば1年または2年での再検査の推奨であってもよいが、リスクが低いと分類された対象への推奨は、将来、例えばおよそ3~5年、例えば、3年、4年、または5年での再検査の推奨であってもよい。
【0017】
ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するために構成されたシステムは、本明細書に記載のようにAIベースのアルゴリズムを産生するための方法にしたがってAIベースのアルゴリズムを生成するための指令を含み得る。
【0018】
一部の実施形態では、ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するために構成されたシステムは、対象のADリスクスコアを生成するようにさらに構成され得る。例えば、システムは、ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するためのトレーニングモード、および対象のADリスクスコアを生成するためのADリスクスコア生成モードを有し得る。
【0019】
さらなる態様では、本開示は、ADリスクスコアを生成する指令および/またはADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するための指令を含む、実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体を提供する。
【0020】
本開示の方法のさらなる例示的な特徴は、以下の5.2節および5.5節、ならびに7.1節の特定の実施形態1~241に記載される。
【0021】
本開示の方法で使用され得るタンパク質マーカーのさらなる例示的な特徴は、以下の5.3節および7.1節の特定の実施形態104~143に記載される。
【0022】
本開示の方法で使用され得る遺伝子マーカーのさらなる例示的な特徴は、以下の5.4節および7.1節の特定の実施形態91~94に記載される。
【0023】
本開示のコンピューターベースの方法、システム、および実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体のさらなる例示的な特徴は、以下の5.5節および7.1節の特定の実施形態10~273に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1-1】
図1A~1Lは、CL12アミロイド状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図1A:12より小さい(クラス0)および12またはそれより大きい(クラス1)アミロイドPETセンチロイド値を有する患者の数;
図1B:年齢分布;
図1C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図1D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図1-2】
図1E:NFLの血漿レベル分布;
図1F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図1G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図1H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図1-3】
図1I:sTREM2の血漿レベル分布;
図1J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図1K:TDP43の血漿レベル分布;
図1L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図2-1】
図2A~2Lは、CL21アミロイド状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図2A:21より小さい(クラス0)および21またはそれより大きい(クラス1)アミロイドPETセンチロイド値を有する患者の数;
図2B:年齢分布;
図2C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図2D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図2-2】
図2E:NFLの血漿レベル分布;
図2F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図2G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図2H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図2-3】
図2I:sTREM2の血漿レベル分布;
図2J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図2K:TDP43の血漿レベル分布;
図2L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図3-1】
図3A~3Lは、内側側頭(「MT」)部における脳のタウ負荷状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図3A:≦1.181(クラス0)および>1.181(クラス1)の内側側頭部におけるMK6240 Tau PET SUVRを有する患者の数;
図3B:年齢分布;
図3C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図3D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図3-2】
図3E:NFLの血漿レベル分布;
図3F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図3G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図3H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図3-3】
図3I:sTREM2の血漿レベル分布;
図3J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図3K:TDP43の血漿レベル分布;
図3L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図4-1】
図4A~4Lは、側頭(「TJ」)部における脳のタウ負荷状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図4A:≦1.216(クラス0)および>1.2161(クラス1)の側頭部におけるMK6240 Tau PET SUVRを有する患者の数;
図4B:年齢分布;
図4C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図4D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図4-2】
図4E:NFLの血漿レベル分布;
図4F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図4G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図4H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図4-3】
図4I:sTREM2の血漿レベル分布;
図4J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図4K:TDP43の血漿レベル分布;
図4L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図5-1】
図5A~5Lは、臨床認知症評価尺度状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図5A:<0.5(クラス0)および≧0.5(クラス1)の臨床認知症評価尺度(CDR)を有する患者の数;
図5B:年齢分布;
図5C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図5D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図5-2】
図5E:NFLの血漿レベル分布;
図5F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図5G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図5H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図5-3】
図5I:sTREM2の血漿レベル分布;
図5J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図5K:TDP43の血漿レベル分布;
図5L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図6-1】
図6A~6Lは、臨床MCIおよびAD診断状態によって表される実施例3で使用される患者の記録のデータを示す図である。
図6A:MCIまたはADの臨床診断を有さない(クラス0)およびMCIまたはADの臨床診断を有する(クラス1)患者の数;
図6B:年齢分布;
図6C:性別(女性=クラス0;男性=クラス1)分布;
図6D:tau p181の血漿レベル分布;
【
図6-2】
図6E:NFLの血漿レベル分布;6F:Aβ-42の血漿レベル分布;
図6G:Aβ-40の血漿レベル分布;
図6H:GFAPの血漿レベル分布;
【
図6-3】
図6I:sTREM2の血漿レベル分布;
図6J:α-シヌクレインの血漿レベル分布;
図6K:TDP43の血漿レベル分布;
図6L:アディポネクチンの血漿レベル分布。
【
図7-1】
図7A~7Fは、対象が12より小さいアミロイドPETセンチロイド値(CL12)を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図7A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図7B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図7-2】
図7C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図7D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図7-3】
図7E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図7F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図8-1】
図8A~8Fは、対象が21より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値(CL21)を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図8A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図8B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図8-2】
図8C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図8D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図8-3】
図8E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図8F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図9-1】
図9A~9Fは、対象がカットオフ値より高い脳のタウ負荷(MT)を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図9A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図9B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図9-2】
図9C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図9D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図9-3】
図9E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図9F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図10-1】
図10A~10Fは、対象がカットオフ値より高い脳のタウ負荷(TJ)を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図10A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図10B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図10-2】
図10C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図10D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図10-3】
図10E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図10F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図11-1】
図11A~11Fは、対象が0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度(CDR)を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図11A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図11B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図11-2】
図11C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図11D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図11-3】
図11E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図11F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図12-1】
図12A~12Fは、対象がMCIまたはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するための人工知能ベースのアルゴリズムのROC曲線を示す図である(実施例3)。
図12A:CatBoostベースのアルゴリズム;
図12B:Random Forest(RF)ベースのアルゴリズム;
【
図12-2】
図12C:ロジスティック回帰分析(LR)ベースのアルゴリズム;
図12D:Light GBMベースのアルゴリズム;
【
図12-3】
図12E:線形判別分析(LDA)ベースのアルゴリズム;
図12F:Blender(CatBoost、RF、LR、Light GBM、およびLDAベースのアルゴリズムのブレンドから)。
【
図13】
図13は、対象が12より大きいアミロイドPETセンチロイド値(CL12)を有する可能性があるかどうかを予測するためのRandom Forestベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図14】
図14は、対象が21より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値(CL21)を有する可能性があるかどうかを予測するためのCatBoostベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図15】
図15は、対象がカットオフ値より高い脳のタウ負荷(MT)を有する可能性があるかどうかを予測するためのCatBoostベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図16】
図16は、対象がカットオフ値より高い脳のタウ負荷(TJ)を有する可能性があるかどうかを予測するためのCatBoostベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図17】
図17は、対象が0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度(CDR)を有する可能性があるかどうかを予測するためのLight GBMベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図18】
図18は、対象がMCIまたはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するためのロジスティック回帰分析ベースのアルゴリズムの特徴量重要度プロットを示す図である(実施例3)。
【
図19】
図19は、ADのサロゲートマーカーのADリスクスコアに基づき、ADが高、中、または低リスクとして対象を分類するための例示的なフローチャートを示す図である(実施例4)。
【
図20】
図20は、例示的なPREFER-ADレポートを示す図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
5.詳細な説明
本発明は、ADの早期および/または非侵襲的検出および/またはADを発症するリスクの非侵襲的評価のためのシステムならびにその方法に関する当技術分野の必要性に対処する。
【0026】
5.1 定義
本明細書において他に既定しない限り、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に含まれる用語を含む様々な科学辞書が周知であり、当業者が利用可能である。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指し、用語「ペプチド」は短いタンパク質またはタンパク質のセグメント、例えば100もしくはそれ以下のアミノ酸のタンパク質またはセグメントを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」および「その(the)」は、内容および文脈が他に明確に指示しない限り複数の参照を含む。したがって、例えば、「タンパク質マーカー」ヘの言及は、2つのタンパク質マーカーの組合せ、3つのタンパク質マーカーの組合せ等を含む。
【0029】
他に示さない限り、接続詞「または」は、選択的な特徴の選択(AまたはB、Aの選択がBと相互排他的である)と合わせた特徴の選択(AまたはB、AとBの両方が選択される)の両方を包含する、ブール論理演算子として、その正しい意味で使用されることが意図される。文中の一部の箇所では、用語「および/または」は同じ目的のために使用され、「または」が相互排他的な選択に関して使用されることを意味すると解釈されるべきではない。
【0030】
用語「約(about)」、「およそ(approximately)」等は、本明細書を通して数の前で使用され、数が必ずしも正確ではないことを示す(例えば、列挙した期間の画分(例えば、360日はおよそ1年であり、1年と11ヶ月はおよそ2年である等)、測定の精度および/または正確性の変動、タイミング等を考慮するため)。「約X」または「およそX」の開示は、Xが数である場合、「X」の開示でもあることが理解されるはずである。したがって、例えば、ADリスクスコア化が「約2年」後に繰り返される実施形態の開示は、ADリスクスコア化が「2年」後に繰り返される実施形態の開示でもある。
【0031】
用語「AD治療薬」は、ADの兆候、症状または基礎にある病因を治療するかまたは緩和する(例えば、減速する、逆転する、または低減する)ために有用な薬剤または薬剤の組合せ(例えば、小分子薬または生物製剤、例えば抗体)を指す。「AD治療候補薬」は、まだ規制当局に承認されていない、ADの兆候、症状または基礎にある病因を治療するかまたは緩和する(例えば、減速する、逆転する、または低減する)ために有用であると考えられる薬剤または薬剤の組合せ(例えば、小分子薬または生物製剤、例えば抗体)である。AD治療候補薬は、臨床試験における薬剤または薬剤の組合せを含む。
【0032】
用語「人工知能ベースのアルゴリズム」は、人工知能(AI)を使用して、例えば、1つまたは複数の機械学習モデルを使用して産生されたアルゴリズムを指す。例えば、人工知能ベースのアルゴリズムは、複数の患者の記録を使用する機械学習モデルのトレーニングから生じるアルゴリズムであってもよい。AIベースのアルゴリズムを産生するために使用され得る機械学習モデルの例は、限定はされないが、ロジスティック回帰モデル、light GBMモデル、Random Forestモデル、CatBoostモデル、線形判別分析モデル、Adaptive Boostingモデル、Extreme Gradient Boostingモデル、Extra Treesモデル、Naive-Bayesモデル、K-Nearest neighborモデル、Gradient Boostingモデル、およびSupport Vectorモデルを含む。ブレンドは、2つまたはそれ以上のベースモデル、例えば、前述のモデルの2つまたはそれ以上の型からの組合せ予測に使用され得る。
5.2.本開示の方法
【0033】
ある特定の態様では、本開示は、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法を提供する。対象のADリスクスコアをスコア化するステップは、(a)対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを決定するステップ、および(b)少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを組み合わせて対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップを含み得る。一部の実施形態では、対象のADリスクスコアをスコア化するステップは、(a)対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを決定するステップ、および(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを組み合わせて対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップを含み得る。
【0034】
脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、および軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状の提示はADリスクに連結される。したがって、対象の脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、または対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを予測するADリスクスコアが代替として使用され、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価することができる。対象の脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、または対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを予測する単一のADリスクスコアが対象について生成され、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するか、あるいは複数のADリスクスコアが生成され得る。
【0035】
例えば、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含むデータセットを使用して、(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、または6つもしくはそれ以上の個々のADリスクスコアを生成することができる。
【0036】
さらなる態様では、本開示は、(a)対象から1つまたは複数の体液試料を得るステップ;(b)1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップ;(c)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量値を生成するステップ;(d)対象と関連するデータセットの定量値を記憶するステップ;および(e)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを含む初めのADリスクスコアによって試料をスコア化し、それにより対象からの試料を解析するステップを含む対象からの試料を解析する方法を提供する。
【0037】
体液試料は、典型的には、血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択される。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、試料は、血液およびCSF試料の組合せを含む。好ましくは、体液試料は、血液試料を含むかまたは血液試料からなる(例えば、全血試料、血漿試料または血清試料)。好ましくは、リスクスコアは、血液および/または血清中の少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくは少なくとも5つのタンパク質マーカーを利用し、ならびに一部の実施形態では、血液および/または血清中の6、7、8、9または10個のタンパク質マーカーを利用する。一部の実施形態では、リスクスコアは、血液および/または血清中の少なくとも3つ、少なくとも4つもしくは少なくとも5つのタンパク質マーカーを利用し、一部の実施形態では、血漿試料である血液試料中の6、7、8、9または10個のタンパク質マーカーを利用する。
【0038】
典型的には、タンパク質マーカーは、タウペプチドマーカー(例えば5.3.2節に記載される)、アミロイドペプチドマーカー(例えば5.3.1節に記載される)、神経変性マーカー(例えば、5.3.3節に記載される)、代謝障害マーカー(糖尿病マーカーであってもよい)(例えば、5.3.4節に記載される)、および炎症マーカー(例えば、5.3.5節に記載される)の少なくとも4つを含む。
【0039】
タンパク質マーカーは、好ましくは、血液および/または血清中に検出され、CSF中の1つまたは複数のタンパク質マーカー(限定はされないが、タウ、アミロイド、および/または神経変性マーカーの1つまたは複数を含む)および/または1つもしくは複数の遺伝子マーカー、例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、またはATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)、最も好ましくはAPO E4と組み合わせて使用され得る。一部の実施形態では、APO E4状態は使用されない。リスクスコアに組み込まれ得る他の因子は、対象のADの家族歴、年齢、性別(男性もしくは女性)および対象の教育(これらの組合せを含む)、ならびに認知評価、例えばAlzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)の対象のパフォーマンスを含む(例えば、Langbaum et al., 2020, Alzheimer's Research & Therapy 12:66を参照)。
【0040】
場合により、方法は、例えば、タンパク質マーカーの抗体アッセイおよび/または抗原アッセイ、ならびに核酸マーカーのPCRまたはシークエンシングアッセイを使用するリスクスコアを算出するステップにおいて使用されるマーカーのレベルを測定するステップを含んでもよく、それは場合により、関連する体液試料(複数可)を得るステップによって先行されてもよい。タンパク質マーカーを検出する例示的な方法は、5.3節に記載され、遺伝子マーカーを検出する例示的な方法は、5.4節に記載される。
【0041】
リスクスコアで利用されるタンパク質マーカーのレベルおよび場合によりさらなる因子(例えば、対象の遺伝子マーカー状態、対象のADの家族歴、対象の誕生日または年齢、対象の性別、対象の教育、対象の認知評価のパフォーマンス、対象の事前のリスクスコア、またはこれらの任意の組合せ)が、対象と関連するデータセットへとインプットされ、次いで利用され、リスクスコアの算出を実施することができる。リスクスコアの算出は、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して実施され得る。様々な実施形態では、一部(例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のタンパク質マーカーのレベルは等しく重みづけされ、および/または一部(少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のタンパク質マーカーのレベルは異なって重みづけされる(例えば、
図13~18に示すように、第1のペプチドマーカーが人工知能ベースのアルゴリズムのための特徴量重要度プロットにおいて第2のペプチドマーカーよりも高い可変重要度を有する場合、第1のペプチドマーカーは第2のペプチドマーカーよりも大きく重みづけされると言われ得る)。特定の実施形態では、全てのタンパク質マーカーのレベルが等しく重みづけされる。別の特定の実施形態では、全てのタンパク質マーカーのレベルが異なって重みづけされる。リスクスコアは、パーセンテージ、乗数値または絶対スコアの形態で提示されてもよい。リスクスコアは、予測、例えば、対象がADのリスク因子に陽性または陰性である二項予測として提示されてもよい。
【0042】
あるいは、またはさらに、リスクスコアはADリスクカテゴリーに、例えば、高、中程度(または中)または低で階層化され得る。リスクカテゴリーは、次いで、例えばレポートで提示され得る。複数のADリスクスコアが生成される場合、各ADリスクスコアが独立して階層化され得る。
【0043】
対象のリスクスコア(複数可)の算出および場合により階層化は、コンピューターによって実施され得る。したがって、本開示は、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含む、ステップ、および(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーについて重みづけしたスコア化システムを使用して、例えば統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含む1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を含む方法を提供する。データセットは、ローカルサーバまたはリモートサーバ、例えばクラウド中に記憶され得る。
【0044】
本開示は、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)患者と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含む、ステップ、および(b)例えば人工知能ベースのアルゴリズムを使用して、データセットから対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含む1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む方法をさらに提供する。データセットは、ローカルサーバまたはリモートサーバ、例えばクラウド中に記憶され得る。
【0045】
本開示の方法に従って生成されたリスクスコア(複数可)は、例えば、パーセンテージ、乗数値、絶対スコア、または予測(例えば、陽性または陰性)として提供されてもよく、コンピューターは本明細書に記載のようにスコアの階層化をさらに実施し得る。通知は、対象のリスクスコアがADを発症するリスクが高いことを示す場合、さらなる検査をユーザーに推奨するために提供され得る。通知は、対象のリスクスコア(複数可)がADを発症するリスクが中程度または低いことを示す場合、将来、再検査をユーザーに推奨するために提供され得る。
【0046】
特定の対象のリスクスコアは、ADに罹患しているかまたは発症するリスク(例えば、可能性)のレベルを反映する、少なくとも2つのカテゴリーへと階層化され得る。好ましくは、リスクスコアは、ADを発症する低リスク、ADを発症する中間リスク(本明細書では、中程度または中リスクとも呼ばれる)、およびADを発症する高リスクを反映する、3つのカテゴリーへと階層化される(既にADを発症した対象を含み得るが、ADを既に発症した対象のリスクスコアは別々のカテゴリーへと階層化され得る)。
【0047】
複数のリスクスコアが対象について生成される場合(例えば、(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する2つまたはそれ以上のADリスクスコア)、各リスクスコアは本明細書に記載のように個別に階層化され得る。通知は、対象のリスクスコアのいずれか1つがADを発症するリスクが高いことを示す場合、さらなる検査(例えば、神経科医の診察による)をユーザーに推奨するために提供され得る。通知は、対象のリスクスコア(複数可)がADを発症するリスクが中程度または低いことを示す場合、将来、再検査をユーザーに推奨するために提供され得る。
【0048】
1つまたは複数の対象のリスクスコアが、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いことを示す場合、対象は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして分類され得る。対象のADリスクスコアが、ADを発症するリスクが高いことを示さないが、対象のADリスクスコアの1つまたは複数が、ADを発症するリスクが中程度(または中)であることを示す場合、対象は、ADを発症するリスクが中程度(または中)であるとして分類され得る。対象のADリスクスコアが、ADのリスクが高いことを示さず、対象のADリスクスコアがADのリスクが中程度(または中)であることを示さない場合、対象はADを発症するリスクが低いとして分類され得る。
【0049】
本開示は、数年にわたりADを発症するリスクを繰り返しスコア化することにより、個体の健康をモニターするための方法を提供する。本明細書に記載の方法を実施することによって対象のADリスクのスクリーニングを若いうち、特に、APO E4状態またはADの家族歴などの公知のリスク因子を有する対象に開始することができる。様々な実施形態では、リスクスコアが決定される対象は、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳または70~79歳である。リスクスコアの決定は、例えば年1回、2年に1回、3年に1回、4年に1回、または5年に1回ベースで1年後または1年より長く後に繰り替えされ得る。
【0050】
対象のADのリスクをスコア化する頻度は、直近のリスクスコアまたはリスクスコアへの任意の変化によって告知され、低リスクスコアの対象は、高リスクまたはリスクスコアの直近の増加を示す対象よりも少ない頻度で評価される。例えば、対象のリスクスコア(複数可)が低リスクカテゴリーに階層化される場合(および/または対象がADのリスクが低いと分類される場合)、それらのリスクスコアはおよそ3~5年で再評価され得るが、リスクスコアが中間のカテゴリーに階層化される(および/またはADのリスクが中間であると分類される)対象は、およそ1~2年で再評価されたリスクスコア(複数可)を有し得る。対象が、高いリスクスコア、それらのリスクスコアの明らかな増加、またはADを既に発症していることを示すリスクスコアを有する場合、次いで、さらなる検査、例えばPETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、神経心理学的検査および/またはこれらの組合せが求められるであろう。神経心理学的検査は、1つまたは複数の記憶および/または認知検査、例えばAPCCを含み得る。対象がADを既に発症したことが決定される場合、1つまたは複数の認可されたAD治療薬(例えば、アデュカヌマブ-avwa)および/またはAD治療候補薬(例えば、臨床試験の対象であるAD治療候補薬)、例えばアミロイド疾患改変治療、タウ治療、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体遮断薬、またはこれらの組合せが対象に投与され得る。したがって、本方法は、AD治療候補薬の臨床試験へと患者を同定および登録するのに有用であろう。
【0051】
リスクスコアアルゴリズムは、ADに罹患している複数の対象および複数の認知が正常な個体から、場合により軽度の認知障害(MCI)および/またはAD以外の1つもしくは複数の認知症(例えば、レビー小体認知症または前頭葉型認知症)を有する個体からも、タンパク質マーカーレベル(血液および/または血清中少なくとも3つまたは少なくとも4つ、ならびに場合により、CSF中1つまたは複数)を解析することによって開発され得る。解析は、他の因子、例えば本明細書に開示の1つまたは複数の遺伝子マーカー、対象のADの家族歴、年齢/誕生日、性別および対象の教育、ならびに認知評価、例えばAlzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)の対象のパフォーマンスを含み得る。例えば、統計および/または人工知能手法を使用する多変量解析を適用し、トップ5、6、7、8、9、または10の成分を同定してリスクスコアアルゴリズム中で利用するため、対象のADを発症する可能性へのタンパク質マーカーの組合せと他の因子の間の相関を決定する。解析は、少なくとも100人、より好ましくは少なくとも200人、および最も好ましくは少なくとも300人の個体からのデータセットで実施され得る。例示的な実施形態では、50~60%の個体が認知正常であり、15~25%の個体がMCIを有すると診断され、10~20%の個体がADに罹患していると診断され、5%の個体がAD以外の認知症と診断される。
【0052】
本開示の一部の態様では、ADリスクスコアアルゴリズムは、機械学習モデル、例えばロジスティック回帰モデル、light GBMモデル、Random Forestモデル、またはCatBoostモデルを使用して開発される。他の機械学習モデル、例えば、線形判別分析モデル、Adaptive Boostingモデル、Extreme Gradient Boostingモデル、Extra Treesモデル、Naive-Bayesモデル、K-Nearest neighborモデル、Gradient Boostingモデル、およびSupport Vectorモデルも使用され得る。
【0053】
タンパク質マーカーレベルは、インプット変数として使用されてもよく、1つまたは複数のAD代替変数はアウトプット変数として使用されてもよく、タンパク質マーカーレベルと1つまたは複数のAD代替変数の間の相関を決定する。さらなるインプット変数、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。AD代替変数はADリスクと関連する因子、例えば脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、または軽度の認知障害(MCI)もしくはADの臨床診断である。したがって、機械学習モデルを使用して、インプット変数を1つまたは複数のAD代替変数と相関させるアルゴリズムを生成することができる。
【0054】
ADリスクスコアアルゴリズムを産生するための方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含む、ステップ、ならびに(b)少なくとも一部の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データがインプット変数であり、1つまたは複数のAD代替変数のデータが機械学習モデルのアウトプット変数である、ステップの指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含み得る。そのような方法によって産生されたADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムは、本明細書に記載の対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法で使用され得る。
5.3.タンパク質マーカー
【0055】
通常、タンパク質マーカーは、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(糖尿病マーカーであってもよい)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む。典型的には、タンパク質マーカーは、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(糖尿病マーカーであってもよい)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む。用語「ペプチド」は、短いタンパク質またはタンパク質のセグメントを指す。
5.3.1.アミロイドマーカー
【0056】
リスクスコアを決定するステップで使用され得るアミロイドペプチドマーカーの例は、Aβ40、Aβ42、およびそれらの間の比(例えば、Aβ42:Aβ40またはAβ40:Aβ42)である。Aβ40は、アルツハイマー病(AD)発症、軽度の認知障害、血管性認知症、および他の認知障害と関連するバイオマーカーとして注目を集めたアミロイド前駆体タンパク質(APP)からの40アミノ酸タンパク質分解産物である。
【0057】
APPのベータセクレターゼ切断は、まず、APP断片の産生をもたらし、40~42残基でガンマセクレターゼによってさらに切断され、アミロイドベータの2つの主な形態、Aβ40およびAβ42を生成する。アミロイドベータ(Aβ)ペプチド(短いAβ38アイソフォームを含む)は、体内の異なる細胞型によって産生されるが、発現は脳で特に高い。細胞外プラークの形態でのAβの蓄積は、ADの神経病理学的特徴であり、神経変性プロセスにおいて中心的な役割を果たすと考えられる。Aβ40は、これらのプラーク中の主要なアミロイド成分であり、ADプラークの開始因子であると考えられる。
【0058】
健康および疾患状態では、Aβ40は、脳脊髄液(CSF)と血漿の両方におけるアミロイドペプチドの最も豊富な形態である(Aβ42より10~20×高い)。脳とCSFのAβ-42レベルの間には反比例関係が存在する:Aβ-42がアミロイドプラークに蓄積する場合、そのわずかが脳に残り、CSFに侵入し、したがって、AD患者におけるCSFのAβ-42測定は通常、健常な患者よりも低い。
【0059】
CSFにおけるAβ-42とt-タウ(全タウ)の組合せは、十分な感受性および特異性により、安定なMCIを有する患者とADまたは他の方の認知症への進行性のMCIを有する患者の間を区別することができる(Frankfort et al., 2008, Current clinical pharmacology, 3(2), 123-131)。回帰分析は、病的なCSF(Aβ-42の減少およびタウレベルの増加を示す)が、ADへのMCIの進行の非常に強い予測因子であることを示した。
【0060】
アミロイドPETスキャンによって測定された、脳におけるアミロイドプラークとして、Aβ42/40血漿比と線維性Aβ沈着の間に反比例関係が見出された(Fandos et al, 2017, Alzheimers Dement. 8, 179-187;Ovod et al, 2017, Alzheimers Dement. 13(8):841-849;Nakamura et al., 2018, Nature, 554(7691):249-254;Schindler et al., 2019, Neurology. 93(17): e1647-e1659)。
【0061】
例えば、国際公開第2007140843A2号パンフレット、国際公開第2011033046A1号パンフレットおよび米国特許第8425905B2号明細書に開示されるアミロイド-β(Aβ)42およびAβ40を検出するための方法は、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、QuanterixのSimoa(商標)Aβ40およびSimoa(商標)Aβ42 Advantage Kitも使用され得る。
5.3.2.タウマーカー
【0062】
リスクスコアを決定するステップにおいて使用され得るタウペプチドマーカーの例は、リン酸化タウペプチド、例えば、p-tau181およびp-tau217である。使用され得るさらなるリン酸化タウペプチドマーカーは、p-tau231およびp-tau235を含む。タウは、神経原線維のもつれで見出され、脳の細胞内に見出される不溶性のねじれ線維である。これらのもつれは、主にタウタンパク質からなり、神経細胞の一部から別の部分へと栄養および他の物質を輸送する微小管の一部を形成する。しかしながら、アルツハイマー病(AD)では、タウタンパク質が異常であり、微小管構造が崩壊する。タウの蓄積は、疾患を通じて継続する。嗅内皮質および海馬で始まり、タウはAD進行として蓄積を続ける。ADの脳における異常なタウの総量は、病状および重症度と関連する。タウがミスフォールドして、無作為に突出するルーズ末端を有するもつれの中心でC型を形成する場合、もつれが形成される。もつれが開始すると、より多くのタウタンパク質が動員され、もつれをより長くする。もつれは、神経内に形成され、タンパク質を生成およびリサイクルするために使用される細胞機構と干渉し、最終的には細胞を死滅させる。いくつかの研究が、軽度の認知障害(MCI)および中程度のステージのADにおいてスレオニン181がリン酸化された血漿のp-タウ(p-tau-181)が増加することを実証した(Tatebe et al., 2017, Mol. Neurodegener. 12:63;Mielke et al., 2018, Alzheimers Dement. 14:989-997)。血液中のp-tau-181のレベルは、ADの症候期に、正確に、AD患者を他のタウオパチーと区別し得る(Janelidze et al., 2020, Nat. Med. 26:379-386;Thijssen et al., 2020, Nat. Med. 26:387-397)。
【0063】
スレオニン217での脳脊髄液(CSF)のタウリン酸化レベル(p-tau-217)は、アミロイドーシスと密接に関連し、無症候期のアミロイドーシスの同定を改善する(Barthelemy et al., 2015, Alzheimers Dement. 11(7S_Part_19):870)。CSFのp-tau-T217の過リン酸化は、他の部位、例えばT181(Barthelemy et al., 2020, J Exp Med 217 (11): e20200861; Barthelemy et al., 2020, Alzheimers Res. Ther. 12:26; Janelidze et al., 2020, Nat. Commun. 11:1683)およびT205(Barthelemy et al., 2020, Nat. Med. 26:398-407)よりも正確であり、アミロイドプラークの存在を検出する。血漿中のp-tau-217の変化は、CSF中の特定の修飾を強く反映し、可溶性タウのリン酸化の変化およびアミロイドーシスを検出する。
【0064】
p-tau-181およびp-tau-217を検出するために有用なタウ特異的リン酸化抗体は、例えば、国際公開第2019213612号パンフレット、欧州特許第2764022B1号明細書および米国特許出願公開第20180282401A1号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、QuanterixのSimoa(登録商標)pTau-181 Advantage Kit、Simoa(登録商標)pTau-181 Advantage V2 Kit、またはSimoa(登録商標)pTau-231 Advantage Kit、SAB(Signalway Antibody)のTau(リン酸-Thr217)抗体、およびpTau-235抗体RN235(Sigma-Aldrich)も使用され得る。
5.3.3.神経変性マーカー
【0065】
リスクスコアを決定するステップにおいて使用され得る神経変性マーカーの例は、ニューロフィラメント軽鎖(NFL)およびグリア線維性酸性タンパク質(「GFAP」)である。
5.3.3.1.ニューロフィラメント軽鎖
【0066】
ニューロフィラメント軽鎖(NFL)は、神経で発現される68kDaの細胞骨格中間フィラメントタンパク質である。それは、125kDaのニューロフィラメント中鎖(NFM)および200kDaのニューロフィラメント重鎖(NFH)と会合してニューロフィラメントを形成する。これらの分子は、ノイロン細胞骨格の主要成分であり、主に軸索の構造的支持体を提供し、軸索の直径を制御するように機能すると考えられる。ニューロフィラメントは、軸索の損傷または神経変性の後に著しい量で放出され得る。NFLは、外傷性脳損傷、多発性硬化症、前頭側頭型認知症および他の神経変性疾患と関連することが示され、CSF(Preische et al., 2019, Nature medicine, 25(2):277-283)と同様に血液中で検出され得る(Bacioglu et al., 2016, Neuron, 91(1):56-66)。NFLの変化は、異常なADアミロイドーシス後10年間にわたり、AD症状の発症前後に検出される(Bateman et al., 2012, N. Engl. J. Med. 367:795-804)。血漿のNFLレベルは、アルツハイマー病の前臨床段階でのアミロイド関連神経損傷に応答して増加し、症状のある患者におけるタウ媒介性神経変性と関連する。
【0067】
例えば、米国特許出願公開第20150268252A1号明細書および欧州特許出願公開第3129780A1号明細書に開示されるNFLを検出するための方法は、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、QuanterixのSimoa(登録商標)NF-Light Advantage KitおよびElabscienceのHuman NEFL ELISA Kitも使用され得る。
5.3.3.2.GFAP
【0068】
グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)は、中枢神経系(CNS)の多くの細胞型によって発現されるIII型中間フィラメント(IF)タンパク質である。
【0069】
GFAPは、細胞の細胞骨格の構造および機能に全て含まれる、他の3つの非上皮性のIII型IFファミリーメンバー、ビメンチン、デスミン、およびペリフェリンと密接に関連している。GFAPは、星状膠細胞強度(Cullen et al., 2007, Brain Research. 1158:103-15)ならびに細胞の形状の維持を助けると考えられるが、細胞マーカーとしてそれを使用する多くの研究にもかかわらず、その正確な機能はほとんど理解されていないままである。タンパク質は、1969年に、名付けられ、初めて単離および特徴付けられた(Eng et al., 2000, Neurochemical Research. 25 (9-10): 1439-51)。ADでは、GFAPレベルが血清中で増加され、認知障害と相関する(Oeckl et al., 2019, Journal of Alzheimer's disease, 67(2):481-488)。
【0070】
GFAPを検出するための方法は、例えば、米国特許出願公開第20060240480A1号明細書、国際公開第2011160096A3号パンフレット、国際公開第2018067474A1号パンフレットおよび国際公開第2010019553A2号パンフレットに開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、Biovendor Glial Fibrillary Acidic Protein Human ELISA(GFAP)およびInvitrogen GFAP Human ProcartaPlex(商標) Simplex Kitsも使用され得る。
5.3.4.代謝障害マーカー
【0071】
リスクスコアを決定するステップで使用され得る代謝障害マーカー、例えば糖尿病マーカーの例は、HbA1cおよびアディポネクチンを含む。糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、化学的に糖に連結されるヘモグロビン(Hb)の形態である。グルコース、ガラクトースおよびフルクトースを含むほとんどの単糖類は、ヒトの血流に存在する場合、自然に(すなわち、非酵素的に)ヘモグロビンと結合する。糖-ヘモグロビン連結の形成は、血流中の過剰な糖の存在を示し、糖尿病を示すことが多い。糖がヘモグロビンに接着するプロセスは、糖化と呼ばれる。HbA1cは、ヘモグロビンのベータ-N-1-デオキシフルクトシル成分の尺度である。アディポネクチンは、グルコースレベルの制御に関与する。高アディポネクチンレベルは、2型糖尿病のリスクの低さと相関する。
【0072】
疫学調査は、糖尿病がADを発症するリスクを著しく増加させることを示し、糖尿病が、AD発病の発生の原因となる役割を果たし得ることを示している。したがって、糖尿病とADの間の分子間相互作用を解明することは、散発性ADの発症および進行をモジュレートし得るメカニズムを同定する新規のアプローチを提供するため、非常に重要である(Baglietto-Vargas et al., 2016, Neuroscience and biobehavioral reviews, 64:72-287)。
【0073】
HBA1cを検出するための方法は、例えば、欧州特許出願公開第1624307A3号明細書および米国特許出願公開第20120305395A1号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばBiomatikのGHbA1c ELISA Kitも使用され得る。
【0074】
アディポネクチンを検出するための方法は、例えば、米国特許第8026345号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばInvitrogenのAdiponectin Human ELISA Kitも使用され得る。
5.3.5.炎症マーカー
【0075】
リスクスコアの決定に使用され得る炎症マーカーの例は、C反応性タンパク質(「CRP」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、腫瘍壊死因子(「TNF」)、可溶性TREM2(「sTREM-2」)、熱ショックタンパク質、およびYKL-40である。
5.3.5.1.CRP
【0076】
C反応性タンパク質(CRP)は、血漿中に見出される環状(輪形)の、5量体タンパク質であり、その循環濃度は炎症に応答して上昇する。それは、マクロファージおよびT細胞によるインターロイキン-6分泌後に増加する、肝臓起源の急性期タンパク質である。その生理学的役割は、C1qを介する補体系を活性化するように死細胞または死にかけている細胞(および細菌の一部の型)の表面に発現されるリゾホスファチジルコリンに結合することである(Thompson D et al., 1999, Structure 7 (2): 169-77)。CRPは、マクロファージおよび脂肪細胞(アディポサイト)によって放出される因子に応答して肝臓によって合成される。それはタンパク質のペントラキシンファミリーのメンバーである。C反応性タンパク質は同定される最初のパターン認識受容体(PRR)である(Mantovani et al., 2008, Journal of Clinical Immunology 28 (1): 1-13)。中年でのCRPレベルの上昇は、AD発症のリスクの増加と関連するが、CRPレベルの上昇は、ADが臨床的に明確になる直前の前駆症状期間では予測に有用ではない。しかしながら、ADに罹患している患者のサブグループについては、上昇したCRPは、ADの炎症促進性の中間形質の可能性を示す認知症の重症度の増加を予測する(O'Bryant et al., 2010, Journal of geriatric psychiatry and neurology, 23(1), 49-53)。
【0077】
CRPを検出するための方法は、例えば米国特許出願公開第20060246522A1号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、R&D BiosystemsまたはSigma Aldrichから入手可能なELISAキットも使用され得る。
5.3.5.2.IL6
【0078】
インターロイキン6(IL-6またはIL6)は、炎症促進性サイトカインおよび抗炎症性マイオカインの両方として作用するインターロイキンである。ヒトでは、それは、IL6遺伝子によってコードされる(Ferguson-Smith et al., 1988, Genomics. 2 (3): 203-8)。
【0079】
抗炎症性マイオカインとしてのIL-6の役割は、TNFαおよびIL-1へのその阻害効果、ならびにIL1raおよびIL-10の活性化によって媒介される。アルツハイマー病の発病の実行可能なメカニズムとして不完全な免疫制御および自己免疫または炎症性プロセスの仮定を支持する証拠が相次いでいる。低レベルのIL-6は、生理的条件下で脳に存在する。IL-6の発現および分泌の劇的な増加は、ADを含む様々な神経障害中に観察される(Benveniste, 1998, Cytokine Growth Factor Rev., 9:259-275)。
【0080】
IL6を検出するための方法は、例えば、国際公開第2011116872A1号明細書、米国特許第7919095B2号明細書および米国特許第5965379A号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、Proteintech:AuthentiKine(商標)Human IL-6 ELISA KitおよびSigma AldrichのHuman IL-6 ELISA Kitも使用され得る。
5.3.5.3.TNF
【0081】
腫瘍壊死因子(TNF)は、全身性炎症に関与する細胞シグナル伝達タンパク質(サイトカイン)であり、急性期の反応を生じるサイトカインの1つである。それは主に活性化されたマクロファージによって産生されるが、それは多くの他の細胞型、例えばヘルパーT細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、マスト細胞、好酸球、および神経によって産生され得る。TNFは、相同なTNFドメインを有する様々な膜貫通タンパク質からなる、TNFスーパーファミリーのメンバーである。
【0082】
TNFの主な役割は、免疫細胞の制御である。内因性の発熱物質であるTNFは、発熱、アポローシス細胞死、悪液質、炎症を誘導すること、ならびに腫瘍形成、ウイルス複製を阻害すること、ならびにIL-1およびIL-6産生細胞による敗血症への応答ができる。TNF産生の制御不全は、アルツハイマー病を含む様々なヒト疾患と関連した(Swardfager et al., 2010, Biol Psychiatry. 68 (10): 930-941)。
【0083】
TNFを検出するための方法は、例えば、米国特許第5231024A号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばAbcam:Human TNFα ELISA Kit(ab181421)およびRayBiotech:Human TNF-α ELISA Kitも使用され得る。
5.3.5.4.sTREM-2
【0084】
TREM2は、TYPOタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質(TYROBP)と受容体シグナル伝達複合体を形成し、それによりマクロファージおよび樹状細胞での免疫応答の活性化を誘発するI型一回膜貫通タンパク質をコードする(Paloneva et al., 2002, Am J Hum Genet. 71:656-62)。
【0085】
可溶性TREM2(sTREM2)と呼ばれる、TREM2のタンパク質分解産物は、脳脊髄液に豊富であり、そのレベルは神経損傷マーカーと正に相関する(Zhong et al., 2010, Nature Communications 10: Article 1365)。TREM2のホモ接合性機能欠損突然変異は、Nasu-Hakola疾患を引き起こす。ホモ接合性の状態でNasu-Hakola疾患を引き起こすものを含むヘテロ接合性の稀なバリアントは、アルツハイマー病にかかりやすく、TREM2の機能の減少がアルツハイマー病と関連するリスクバリアントの病原性効果の鍵であることを示している(Guerreiro et al., 2013, New England Journal of Medicine 368(2):117-127)。
【0086】
sTREM2を検出するための方法は、例えば、国際公開第2017062672A2号パンフレットに開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばAbcamのHuman TREM2 ELISA Kit(ab224881)およびAviva systems biology:TREM2 ELISA Kit(Human)(OKBB01174)も使用され得る。
5.3.5.5.熱ショックタンパク質
【0087】
熱ショックタンパク質(HSP)は、非天然のタンパク質と結合する分子シャペロンのクラスであり、それらをアシストして天然の構造を獲得し、したがってミスフォールディングおよびストレスの状態中の凝集プロセスを防ぐ。証拠は、HSPが、AD患者の脳のタンパク質ミスフォールディングと相関した神経変性プロセスの制御因子であることを示し、Hsp60、Hsp70およびHsp90が特に重要であると考えられる(例えば、Campanella et al., 2018, Int J Mol Sci. 19(9):2603およびLu et al., 2014, BioMed Research International 2014: Article ID 435203を参照)。
【0088】
シャペロン異常症は、シャペロンの組成/構造が異常である病理状態であり(例えば、突然変異または翻訳後修飾による)、定量レベル、位置、または機能は、主なまたは補助の疾病原因の役割を果たし、ADの一部のHSPは細胞内NFTおよび細胞外空間のAβプラークと共局在する(例えば、Campanella et al., 2018, Int J Mol Sci. 19(9):2603およびWyttenbach & Arrigo, Madame Curie Bioscience Database, Landes Bioscience; 2000-2013を参照)。
【0089】
熱ショックタンパク質を検出するための方法は、例えば、米国特許第5447843号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばEnzo HSP70 High Sensitivity ELISA kit(ADI-EKS-715)またはStressXpress(登録商標)HSP70 Alpha ELISA kit(SKT-108)、Enzo HSP90α(human)ELISA kit(ADI-EKS-895)またはStressXpress(登録商標)HSP90 Alpha ELISA kit(SKT-107)、およびStressXpress(登録商標)HSP60 Alpha ELISA kit(SKT-110)またはRayBio(登録商標)Human HSP60 ELISA Kit (ELH-HSP60-1)も使用され得る。
5.3.5.6.YKL40
【0090】
キチナーゼ-3様タンパク質1(CHI3L1)としても公知のYKL40またはYKL-40は、サイズがおよそ40kDaであり、CHI3L1遺伝子によってコードされる分泌糖タンパク質である。YKL-40という名前は、分泌形態に存在する3つのN末端アミノ酸およびその分子量に由来する。YKL-40は、マクロファージ、軟骨細胞、線維芽様滑液細胞、血管平滑筋細胞、および肝星細胞を含む、様々な細胞型によって発現および分泌される(Canto et al., 2015, Brain, 138:918-931)。YKL-40の生物学的機能は不明確であり、特定の受容体を持つことが知られていないが、その発現のパターンは炎症、細胞外組織リモデリング、線維症、喘息および固形癌に関連する病理プロセスと関連し(Kazakova et al., 2009, Folia Medica. 51(1):5-14)、ADにおける神経炎症の最も有望なバイオマーカーの1つであると考えられる。
【0091】
メタ解析は、AD認知症を有する患者のCSFおよび血漿中のYKL-40のレベルの上昇を確認したが、ADとの関連は、コアADバイオマーカーAβ42、t-タウ(全タウ)、およびp-タウ(リン酸化タウまたはホスホ-タウ)と比較して中程度であった(Olsson et al., 2016, Lancet Neurol. 15: 673-684)。
【0092】
YKL-40を検出するための方法は、例えば、米国特許出願公開第20130035290A1号明細書、米国特許出願公開第20140200184A1号明細書および欧州特許出願公開第1804062A2号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬は、例えばAbcamのHuman YKL-40 ELISA Kit(ab255719)、2.Clini SciencesのHuman CHI3L1/YKL-40 ELISA Kit(Sandwich ELISA)、およびInvitrogenのCHI3L1/YKL-40 Human ELISA Kitも使用され得る。
5.3.6.他のマーカー
【0093】
リスクスコアを決定するステップで利用されるタンパク質マーカーは、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝疾患マーカー、および炎症マーカー以外の1または複数のマーカー(「他のマーカー」)、例えば、前頭側頭型認知症(FTLD)マーカー(例えば、α-シヌクレイン)またはパーキンソン病マーカーおよび/またはレビー小体認知症マーカー(例えば、TDP-43)、または他のタンパク質症マーカーをさらに含み得る。
5.3.6.1.α-シヌクレイン
【0094】
ヒトα-シヌクレインタンパク質は、140アミノ酸からなり、ヒトでは、SNCA遺伝子によってコードされる。それは脳に豊富であるが、少量が心臓、筋肉および他の組織に見出される。脳では、α-シヌクレインは、シナプス前終端と呼ばれる分化した構造の神経の先端に主に見出される。これらの構造内で、α-シヌクレインはリン脂質およびタンパク質と相互作用する(Sun et al., 2019, PNAS 116 (23): 11113-11115)。
【0095】
α-シヌクレインの機能は良く理解されていないが、研究は、それがシナプス小胞の可動性を制限し、結果としてシナプス小胞のリサイクルおよび神経伝達物質放出を弱めることに役割を果たすことを示している(Larsen et al., 2006, Journal of Neuroscience 26 (46): 11915-22)。
【0096】
α-シヌクレインの35アミノ酸ペプチド断片は、アミロイドプラークに見出され、アルツハイマー病アミロイドの非Aβ成分(NAC)として公知である(Ueda et al., 1993, PNAS 90 (23):11282-6およびJensen et al., 1995, Biochem J 310 (1): 91-94)。このペプチドは、アミロイド形成的であり、in vivoでβ-アミロイドの形成を促進できることが示されている(Bisaglia et al., 2006, Protein Science 15:1408-1416)。
【0097】
α-シヌクレインを検出するための方法は、例えば、米国特許出願公開第20160077111A1号明細書および欧州特許第1476758B2号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えばSNCA ELISA KitおよびAbcam:Human α-シヌクレイン ELISA Kit(ab260052)も使用され得る。
5.3.6.2.TDP-43
【0098】
43kDaのTAR DNA結合タンパク質(TDP43)は、高度に保存され、普遍的発現される転写およびスプライシング制御に役割を有する核タンパク質である。それは、前頭側頭葉変性症(FTLD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する患者の脳で見出されるユビキチン陽性の細胞質内封入体の主要成分でもある。
【0099】
さらに、TDP43-含有凝集体は、アルツハイマー病(AD)および他の神経筋障害を有する著しく多くの患者で見出される(Tremblay et al., 2011, Journal of neuropathology and experimental neurology, 70(9), 788-798)。
【0100】
TDP43を検出するための方法は、例えば、国際公開第2016053610A1号パンフレットおよび加国特許第2853412A1号明細書に開示され、本明細書に開示の方法で利用され得る。市販の試薬、例えば、Innoprot:TDP-43 Stress Granules Assay Cell Lineも使用され得る。
5.4.遺伝子マーカー
5.4.1.常染色体優性のAD
【0101】
家族性早発性AD(EOAD)は、通常、3つの遺伝子:プレセニリン1 PSEN1(14番染色体)、プレセニリン2 PSEN2(1番染色体)、またはアミロイド前駆体タンパク質APP(21番染色体)の1つの常染色体優性の突然変異によって引き起こされる(Skeehan et al., 2010, Genetics in medicine 12 (4 Suppl), S71-S82)。これらの完全に浸透性の突然変異の1つを有する人は、十分に長生きする場合、疾患に罹患し、通常60歳前に症状を発症するであろう。非常に少ないパーセンテージのADの症例が早発性の家系で生じる。合わせると、これらの遺伝子の突然変異は、早発性ADの発生の5~10%を説明する。これらの遺伝子の突然変異の同定は、ADの発病に関与する分子メカニズムおよび経路に重要な洞察を提供するだけでなく、現在診断および薬物開発に使用される有益な標的ももたらし得る。
5.4.1.1.アミロイド前駆体タンパク質
【0102】
アミロイド前駆体タンパク質(APP)は、2つの経路:構成的(非アミロイド形成的)またはアミロイド形成的経路後にα-、β-、およびγ-セクレターゼによってタンパク質分解的にプロセシングされ、異なるペプチドの産生をもたらす。
【0103】
アミロイド形成的経路では、神経に濃縮され、β-セクレターゼおよびγ-セクレターゼによるAPPの後のタンパク質分解が異なる長さのAβペプチドの混合物を生じる。Aβ1-42断片は、より凝集傾向があり、AD患者の脳のアミロイドプラークに優勢に存在する。
【0104】
93家族の全部で39個のAPP突然変異が記載され、その全てがAβ1-42の方へAPPのタンパク質分解に影響する(Cruts et al., 2012, Hum Mutat., 33:1340-1344)。さらに、APP重複が常染色体優性の早発性の家族で同定された(Rovelet-Lecrux et al., 2006, Nat Genet., 38: 24-26)。
【0105】
APP突然変異は、Athena Diagnostics:ADmark(登録商標)APP DNA Sequencing TestおよびDuplication Test https://www.athenadiagnostics.com/view-full-catalog/a/admark-reg;-app-dna-sequencing-duplication-testを使用して検出され得る。
5.4.1.2.プレセニリン1および2
【0106】
PSEN1およびPSEN2は高度に相同な遺伝子である。PSEN1の突然変異は、今日までに公知の常染色体優性のADの最も頻度の多い原因であるが、PSEN2の突然変異は、頻度が少ない(Sherrington et al., 1995, Nature 375:754-760;St George-Hyslop et al., 1992, Nat. Genet., 2:330-334;Van Broeckhoven et al., 1992, Nat. Genet 2:335-339)。
【0107】
両タンパク質は、APPを含む膜タンパク質の切断を触媒する、γ-セクレターゼ複合体の必須成分である。PSEN1およびPSEN2の突然変異は、Aβ断片におけるAPPのγ-セクレターゼ媒介切断を損ない、Aβ1-42産生の増加もしくはAβ1-40産生の減少のいずれか、または両方の組合せにより、Aβ1-40に対するAβ1-42の比の増加をもたらす(Cruts et al., 1998, Hum. Mutat.11:183-190)。
【0108】
PSEN1の突然変異は、完全な浸透率でADの最も重度の形態を生じ、疾患の発症は早くて25歳で生じ得る(Cruts et al., 2012. Hum. Mutat. 33:1340-1344)。PSEN1の突然変異は、発症年齢(25~65歳)、進行速度、および疾患重症度の広範な変動を示す。PSEN1の突然変異と比較して、PSEN2の突然変異のキャリアは、より高齢の疾患の発症(39~83歳)を示すが、発症年齢は、PSEN2が冒された家族間で非常に多様である(Sherrington et al., 1995, Nature 375:754-760;Sherrington et al., 1996, Hum. Mol. Genet. 5:985-988)。
【0109】
プレセニリン1遺伝子の突然変異は、例えば、Athena Diagnostics:ADmark(登録商標)PSEN1 DNA Sequencing Testを使用して検出され、プレセニリン2遺伝子の突然変異は、例えば、Athena Diagnostics:ADmark(登録商標)PSEN2 DNA Sequencing Testを使用して検出され得る。
【0110】
様々なキット、例えば、Athena Diagnostics:ADmark(登録商標)Early Onset Alzheimer‘s EvaluationおよびInvitae:Hereditary Alzheimer’s Disease Panelが、APPにおいて突然変異、プレセニリン1およびプレセニリン2を検出するために利用可能である。
5.4.2.アポリポタンパク質Eのε4遺伝子座
【0111】
ADを発症する大多数の人々は、遅発性(LOAD)であり、APOEまたはAPO E(アポリポタンパク質Eをコードする遺伝子)として公知の唯一の明確に確立された、強い遺伝子リスク因子を有する(Saunders et al., 1993, Neurology; 43:1467-1472)。
【0112】
APOEは、肝臓、脳、マクロファージ、および単球で発現される多型糖タンパク質をコードする。APOEは、コレステロールおよび他の脂質の輸送に関与し、神経増殖、組織傷害に対する修復応答、神経再生、免疫制御、および脂肪分解酵素の活性化に関与する。
【0113】
APOE遺伝子は、単一遺伝子座に3つの主な対立遺伝子バリアント(ε2、ε3、およびε4)を含有し、アミノ酸配列の2つの部位が異なる、異なるアイソフォーム(それぞれ、APO E2、APO E3、およびAPO E4)をコードする(Corder et al., 1993, Science 261:921-923)。
【0114】
APOE ε4対立遺伝子は、家族性および突発性早発性および遅発性ADのリスクを増加させるが、疾患を引き起こすには十分ではない。リスク効果は、ヘテロ接合担体(APOE ε34)では3倍、ε4ホモ接合担体(APOE ε44)では15倍であると見積もられ(Saunders et al., 1993, Neurology; 43:1467-1472)、発症年齢に用量依存的な効果を有する。APOE ε2対立遺伝子は、保護効果を有し、発症年齢を遅らせると考えられる(Farrer et al., 1997, JAMA; 278:1349-1356)。
【0115】
母集団の20~25%のみが、1つまたは複数のε4対立遺伝子を持ち、AD患者の40~65%がε4キャリアである。APOE ε4対立遺伝子の効果は、推定の80%の疾患遺伝性の27.3%を占める(Lambert et al., 2013, Nat. Genet; 45: 1452-1458)。
【0116】
Athena Diagnostics ADmark(登録商標)ApoE Genotype Analysis and Interpretation(Symptomatic)およびLabCorp:APOE Alzheimer‘s Risk testsを使用して対象のAPOE4対立遺伝子を同定することができる。
5.4.3.さらなる遺伝子マーカー
【0117】
ADのさらなる遺伝因子が同定された:クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)(Van
【0118】
クラスタリン(CLU)は、脂質輸送、炎症により、ならびに直接、Aβ凝集に影響することにより、およびエンドサイトーシスによる脳からのクリアランスによりAD発症に関与するであろう多面的なシャペロン分子である。多くのCLUバリアントが存在し、疾患に独立した効果を有し得る。
【0119】
SORL1は、候補遺伝子アプローチによる遅発性ADのリスク因子として同定された。ナンセンスおよびミスセンス突然変異がAD患者に見出され、共通のバリアントを含み、疾患によって分離され、in vitroでのAPPプロセシングに影響した。
【0120】
ABCA7は、ADのリスク遺伝子として最初に同定され、AD患者の最も早期に影響される脳の領域の1つである海馬の神経、およびミクログリアで高く発現される。ABCA7における稀な機能欠損突然変異の頻度の増加がAD患者において記載され、常染色体優性パターンの遺伝によって提示され得る。
【0121】
遺伝子バリエーションを検出するための方法、例えば(i)シークエンシング法、標的核酸と対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブの間のハイブリダイゼーション反応(例えば、欧州特許出願公開第237362号明細書および欧州特許出願公開第329311号明細書を参照)、(ii)対立遺伝子特異的増幅(例えば、米国特許第5521301号明細書;同第5639611号明細書;および同第5981176号明細書を参照)、(iii)定量的RT-PCR法(例えば、TaqManアッセイ;例えば米国特許第5210015号明細書;同第5538848号明細書;および同第5863736号明細書を参照)、および(iv)様々な単一塩基対伸長(SBPE)アッセイは、当技術分野で公知である。前述の方法のいずれかおよび当技術分野で公知の他の方法が使用され、CLU、SORL1およびABCA7における突然変異を検出することができる。
5.5.コンピューターベースの方法およびシステム
5.5.1.対象のADを発症するかまたはすでに有するリスクを評価するためのコンピューターベースの方法およびシステム
【0122】
本開示は、例えば、5.2節に記載される方法を使用して、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法を提供する。
【0123】
一部の態様では、方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含む、ステップ、および(b)例えば統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用してデータセットから対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含む1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含み得る。データセットは、ローカルサーバまたはリモートサーバ、例えばクラウド中に記憶され得る。
【0124】
コンピューターベースの方法は、単一のADリスクスコアまたは、あるいは複数のADリスクスコアを生成するステップを含み得る。例えば、単一のデータセットを使用して、(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、または6つもしくはそれ以上の個々のADリスクスコアを生成することができる。一部の実施形態では、方法は、対象の脳のアミロイド負荷を予測する1つまたは複数のADリスクスコア、対象の脳のタウ負荷を予測する1つまたは複数のADリスクスコア、対象における脳の神経変性を予測する1つまたは複数のADリスクスコア、および対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを予測する1つまたは複数のADリスクスコアを生成するステップを含む。予測は、例えば、二項予測(例えば陽性または陰性)としてレポートされ得る。例えば、ADリスクスコアが、対象が、(体液試料が得られた時点で)カットオフ値(例えば、21のセルチロイド値)またはカットオフ値より高い脳のアミロイド負荷を有する可能性があるであると予測する場合、リスクスコアは、「陽性」としてレポートされ得る。逆に、ADリスクスコアが、対象の脳のアミロイド負荷がカットオフ値より低いようであると予測する場合、リスクスコアは、「陰性」としてレポートされ得る。類似の二項予測は、対象がカットオフ値より高い脳のタウ負荷を有する可能性があるかどうか、対象が脳の神経変性を有する可能性があるかどうか、および対象が軽度の認知障害またはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコアについてレポートされ得る。
【0125】
一部の態様では、方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含む、ステップ、および(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーについて重みづけしたスコア化システムを使用して、例えば統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含む1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を含み得る。データセットは、ローカルサーバまたはリモートサーバ、例えばクラウド中に記憶され得る。
【0126】
本開示は、本明細書に開示のコンピューターで実施される方法のいずれか1つに従ってADリスクスコアを生成するように構成されたシステムをさらに提供する。システムは、典型的には、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含む。
【0127】
一部の実施形態では、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が、(a)対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料(例えば、血漿試料などの血液試料)中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに(b)データセットから対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含み得る。
【0128】
他の実施形態では、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が、(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含み:(i)体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または;(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、糖尿病および/または代謝マーカー、ならびに炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;ならびに(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの重みづけしたスコア化システムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップの指令を含み得る。
【0129】
ADリスクスコアは、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成され得る。
【0130】
本明細書に開示のシステムおよび方法は、医師によって評価されるソフトウェアツールに組み込まれ、対象のADを発症する(または既に発症した)リスクを評価または解析し得る。さらに、医師は、ADを発症するリスクが中程度かまたは高いとして事前に同定された対象をモニターするソフトウェアツールを使用し得る。ソフトウェアツールは、AD治療薬が必要な、および/またはAD治療候補薬の臨床試験に採用されるであろう対象を同定するためにも使用され得る。
【0131】
例えば、ソフトウェアツールは、医師または他のユーザーによって使用されるコンピューターシステムへと少なくとも部分的に組み込まれ得る。コンピューターシステムは、対象から得られたマーカーデータ(例えば、対象からの1つまたは複数の体液マーカー中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルに関するデータ)ならびに他の関連情報(例えば、対象の遺伝子マーカー状態、対象のADの家族歴、対象の誕生日または年齢、対象の性別、対象の教育、対象の認知評価のパフォーマンス、対象の事前のリスクスコア、またはこれらの任意の組合せ)を受け取り得る。例えば、データは、医師によってインプットされるかまたはインターネットなどのネットワーク、医学研究室などのそのようなデータをアクセスおよび提供することができる別の供給源、またはそれらの組合せから受け取られ得る。データは、データを通信するネットワークまたは他のシステムを介して、コンピューターシステムに直接、またはこれらの組合せで送信され得る。ソフトウェアツールは、データを使用してADリスクスコアを生成し得る、および単独でまたは対象に関する他の情報と組み合わせてリスクスコアを使用し、対象のさらなる検査またはモニタリングの推奨を提供し得る。高いリスクスコアを有する対象には、医師は、コンピューターシステムにさらなるインプットを提供し、可能な治療オプションを選択し得る。
【0132】
あるいは、ソフトウェアツールは、ウェブベースのサービスまたは他のサービス、例えば医師とは別の者によって提供されるサービスの一部として提供され得る。サービスの提供者は、例えば、ウェブベースのサービスを操作することができ、ウェブポータルまたは他のウェブベースのアプリケーション(例えば、サービスの提供者によって操作されるサーバまたは他のコンピューターシステムでの実行)を提供することができ、それはネットワークまたはコンピューターシステム間のデータを通信する他の方法を介して医師または他のユーザーがアクセス可能である。例えば、対象からのデータを、サービス提供者に提供することができ、サービス提供者は対象のADリスクスコアを生成することができる。次いで、ウェブベースのサービスは、ADリスクスコア(および、場合により対象のリスクスコアおよび他の関連情報に基づく情報および/または推奨)を医師のコンピューターシステムに送信するか、またはADリスクスコア(および、場合により対象のリスクスコアおよび他の関連情報に基づく情報および/または推奨)を医師に提示することができる。医師は、さらなるインプットを提供し、例えば可能な治療オプションを選択するかまたはコンピューター解析に他の調整をすることができ(例えば、他の関連情報、例えば対象の遺伝子マーカー状態、対象のADの家族歴、対象の誕生日または年齢、対象の性別、対象の教育、対象の認知評価のパフォーマンス、対象の事前のリスクスコア、またはこれらの任意の組合せを入れることによる)、インプットはサービスの提供者によって操作されるコンピューターシステムに送信され得る(例えばウェブポータルを介して)。
【0133】
本明細書に記載の1つまたは複数のステップは、1人または複数のヒトオペレーター(例えば、神経科医または他の医師、対象、ウェブベースのサービスまたはサードパーティー(例えば、医学研究所)によって提供される他のサービスを提供するサービスプロバイダーの雇用者、他のユーザー等)、またはそのようなヒトオペレーター(複数可)によって使用される1つまたは複数のコンピューターシステム、例えばデスクトップまたはポータブルコンピューター、ワークステーション、サーバ、携帯端末等によって実施され得る。コンピューターシステム(複数可)は、ネットワークまたはデータを通信する他の方法を介して接続され得る。
【0134】
レポートは、本明細書に記載の任意の特徴の組合せを使用しても生成され得る。より広範に、任意の実施形態に記載の任意の態様は、本明細書に記載の任意の他の実施形態によって使用され得る。
5.5.2.ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するコンピューターベースの方法およびシステム
【0135】
本開示は、ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するコンピューターで実施される方法を提供する。本開示のADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを使用して、例えば、5.2節または5.5.1.節に記載の方法を使用して、対象のADリスクスコアを生成することができる。
【0136】
一部の態様では、方法は、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含む、ステップ、ならびに(b)少なくとも一部の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データが1つまたは複数のAD代替変数と相関するアルゴリズムを産生するステップの指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む。したがって、機械学習モデルをトレーニングする場合、データセットの少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データはインプット変数として使用されるが、データセットの1つまたは複数のAD代替変数のデータはアウトプット変数として使用され得る。患者の記録は、インプット変数として使用され得るさらなる情報、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)、および患者がタウスキャンを受ける時点の年齢(タウスキャン時の年齢)も含み得る。
【0137】
AD代替変数はADリスクと関連する因子、例えば脳のアミロイド負荷、脳のタウ負荷、脳の神経変性、または軽度の認知障害(MCI)もしくはADの臨床診断である。したがって、例えば、AD代替変数として脳のアミロイド負荷によって設計したアルゴリズムを使用して対象の脳のアミロイド負荷、拡大すると、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを予測することができる。AD代替変数は、ADを発症する高、中、または低リスクと関連し得る。AD代替変数の例示的な特徴は、5.5.2.1節から5.5.2.4.節にさらに詳細に記載される。
【0138】
複数の患者の記録は、少なくとも100人の患者の記録、少なくとも200人の患者の記録、少なくとも300人の患者の記録、少なくとも500人の患者の記録、少なくとも1000人の患者の記録、少なくとも5000人の患者の記録、またはそれ以上を含み得る。機械学習モデルをトレーニングするために使用される患者の記録の数は、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、または5000より多くてもよい。所与の複数の患者の記録の一部が使用され、機械学習モデルをトレーニングすることができるが(トレーニングセット)、別の部分は、産生されたアルゴリズムを検査するために使用され得る(検査セット)。例えば、70%~75%の患者の記録はトレーニングセットとして使用され得るが、25%~30%の患者の記録は検査セットとして使用され得る。
【0139】
各個々の患者の記録のデータは、好ましくはほぼ同時に得られる。例えば、タンパク質マーカーの定量データは、好ましくは同じ血液またはCSF採取から得ることができる。一部の例では、患者の記録の異なるデータを得る間に小期間があってもよい。例えば、タンパク質バイオマーカーは、アミロイドまたはタウPETスキャンの前に得られた採血から決定され得る。好ましくは、個々の患者の記録の全てのデータは、12週間またはそれ以下、例えば10週間、8週間、6週間、4週間、2週間、または1週間の期間内に得られたデータである。
【0140】
方法は、モデルのハイパーパラメーターをチューニングし、ハイパーパラメーターを最適化するステップをさらに含み得る。
【0141】
方法は、アップデートした患者の記録、例えば、含まれる最初のタンパク質マーカーの定量的データおよび1つまたは複数のAD代替変数が得られた6ヶ月、1年、または1年以上後に得られたタンパク質マーカーの定量的データおよび1つまたは複数のAD代替変数を含む患者の記録によってモデルを再トレーニングするステップをさらに含み得る。
【0142】
使用され得る例示的な機械学習モデルは、ロジスティック回帰分析、light GBM、Random Forest、およびCatBoostモデルを含む。他の機械学習モデル、例えば、線形判別分析モデル、Adaptive Boostingモデル、Extreme Gradient Boostingモデル、Extra Treesモデル、Naive-Bayesモデル、K-Nearest neighborモデル、Gradient Boostingモデル、およびSupport Vectorモデルも使用され得る。ブレンディングは、2つまたはそれ以上の基本モデル、例えばこの段落で同定されたモデルの2つまたはそれ以上の型からの予測を組み合わせるために使用され得る。
【0143】
ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するために構成されたシステムは、システムによって産生されたAIベースのアルゴリズムを使用して対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための指令をさらに含み得る。そのようなシステムは、2つのモード、ADリスクスコアを生成するためのAIベースのアルゴリズムを産生するためのトレーニングモード、およびADリスクスコアを生成するモードを有し得る。トレーニングモードは、AIベースのアルゴリズムを生成するために使用され、ADリスクスコア生成モードは対象のデータセットからADリスクスコアを生成するために使用され得る。したがって、一度システムのトレーニングモードがAIベースのアルゴリズムを生成するために使用されると、システムは、ADリスクスコア生成モードで使用され、対象のデータセットをスコア化することができる。
【0144】
さらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の1つまたは複数のコンピューターで実施される方法の指令を含む、実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体を提供する。非一時的コンピューター媒体の例は、内蔵ディスク(例えば、ハードドライブ)および取り出し可能なディスク(例えば、フラッシュドライブ、DVD、CDROM等)を含む。
5.5.2.1.脳のアミロイド負荷
【0145】
対象の脳のアミロイド負荷、および、拡大すると対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを予測するためのAIベースのADリスクスコアアルゴリズムは、AD代替変数として脳のアミロイド負荷を使用することによって生成され得る。例えば、複数の患者の記録では、脳のアミロイド負荷の患者のデータは、患者のアミロイドPETセンチロイド値(例えば、[18F]フルテメタモールまたは[18F]フロルベタピルによるPET脳画像から)のデータを含み得る。したがって、例えば、インプット変数として少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよびアウトプット変数としてPETセンチロイド値データにより機械学習モデルをトレーニングするステップは、所与の対象のタンパク質マーカーレベルから、対象がカットオフ値より高いかまたは低いPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するために使用され得るアルゴリズムを産生し得る。さらなるインプット変数、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。
【0146】
一部の実施形態では、カットオフ値は12(12より小さい値は、ADを発症するリスクが低いことを予測することができる)または21(21より大きいかまたは等しい値は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いことを予測することができる)である。Salvado et al., 2019, Alzheimer’s Research & Therapy, 11(1):1-12; Amadoru et al., 2020, Alzheimer’s Research & Therapy 12(1):1-8を参照。異なるカットオフ値を有する2つのADリスクスコアアルゴリズムの使用は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが低い、中間、または高いとして対象を分類するために使用され得る。例えば、対象が12より小さいPETセンチロイド値(低リスクを表す)を有する可能性を予測する第1のADリスクスコアアルゴリズムおよび対象が21より大きいかまたは等しいPETセンチロイド値(高リスクを表す)を有する可能性を予測する第2のADリスクスコアアルゴリズムを使用して、対象が12と21の間のPETセンチロイド値(中間のリスクを表す)を有する可能性の予測を行うことができる。
【0147】
脳のアミロイド負荷の他の測定も使用され得る。例えば、全脳アミロイド標準化取込み値比(SUVR)または関心体積(VOI)-ベースのアミロイド標準化取込み値比(SUVR)またはセンチロイド値、またはAmyloidIQデータが使用され得る。
【0148】
一部の実施形態では、Random ForestまたはCatBoost機械学習モデルが使用され、AD代替変数が脳のアミロイド負荷である場合、ADリスクスコアアルゴリズムを生成する。
5.5.2.2.脳のタウ負荷
【0149】
対象の脳のタウ負荷、および拡大すると、対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを予測するためのAIベースのADリスクスコアアルゴリズムは、AD代替変数として脳のタウ負荷を使用することによって生成され得る。例えば、複数の患者の記録では、脳のタウ負荷の患者のデータは、患者のタウPET標準化取込み値比(SUVR)値(例えば、[18F]MK6240、フロルタウシピル、RO948、Genentech Tau Probe(GTP)1、PI-2620または他のPETトレーサー、例えば前頭側頭部または側頭部などの関心体積(VOI)によるPET脳画像から)のデータを含み得る。したがって、例えば、インプット変数として少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよびアウトプット変数としてPET SUVR値データにより機械学習モデルをトレーニングするステップは、所与の対象のタンパク質マーカーレベルから、対象がカットオフ値より高いかまたは低いPET SUVR値を有する可能性があるかどうかを予測するために使用され得るアルゴリズムを産生し得る。さらなるインプット変数、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。
【0150】
一部の実施形態では、カットオフ値は、健康な対象の95パーセンタイルSUVRである(例えば、Dore et al., 2021, European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 48(7):2225-32に記載の方法に従って)。このカットオフ値より高い脳のタウPET SUVRは、高リスクAD代替変数と考えられ、カットオフ値より高い脳のタウPET SUVR値を有すると予測される対象はADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いと分類され得る。
【0151】
内側側頭(「MT」)部は、一部の実施形態では、嗅内皮質、海馬、海馬傍回、および扁桃体を含む領域として既定される。側頭部(「TJ」)は、一部の実施形態では、その内容が参照により本明細書に組み込まれるJack et al., 2018, Brain 141(5):1517-1528に記載の側頭複合領域として既定され得る。
【0152】
内側側頭部または側頭部におけるSUVR以外の脳のタウ負荷の測定も使用され得る。例えば、全脳タウ標準化取込み値比(SUVR)、別の関心体積(VOI)-ベースのタウ標準化取込み値比(SUVR)、または脳のタウ負荷を測定するための別の標準化された方法を使用して測定された前述の脳領域(例えば、TauIQ)が使用され得る。
【0153】
一部の実施形態では、CatBoost機械学習モデルが使用され、AD代替変数が脳のタウ負荷である場合、ADリスクスコアアルゴリズムを生成する。
5.5.2.3.脳の神経変性
【0154】
対象における神経変性、および、拡大すると対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを予測するためのAIベースのADリスクスコアアルゴリズムは、神経変性AD代替変数を使用することによって生成され得る。例えば、複数の患者の記録では、神経変性の患者のデータは、患者の臨床認知症評価尺度(CDR)スコアのデータを含み得る(Hughes et al., 1982, Br J Psychiatry 140:566-72)。したがって、例えば、インプット変数として少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよびアウトプット変数としてCDRスコアデータにより機械学習モデルをトレーニングするステップは、所与の対象のタンパク質マーカーレベルから、対象が神経変性を示すCDRスコアを有する可能性があるかどうかを予測するために使用され得るアルゴリズムを産生し得る。さらなるインプット変数、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。一部の実施形態では、神経変性を示すCDRスコアは0.5である。0.5または0.5より高いCDRスコアは高リスクのAD代替変数と考えられ、0.5または0.5より高いCDRスコアを有すると予測される対象は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして分類され得る。
【0155】
CDR以外の脳の神経変性の測定も使用され得る。例えば、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MOCA)、Alzheimer’s Disease Assessment Scale-Cognitive section(ADAS-Cog)、Delis-Kaplan Executive Function System(D-KEFS)検定、Addenbrookes Cognitive Assessment(ACE-R)、皮質厚の減少、ならびに灰白質および白質高信号域が使用され得る。
【0156】
一部の実施形態では、Light GBM機械学習モデルが、AD代替変数が脳の神経変性である場合、ADリスクスコアアルゴリズムを生成するために使用される。
5.5.2.4.臨床診断
【0157】
対象が、MCIまたはADの診断に十分な症状を示す可能性、および、拡大すると対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを予測するためのAIベースのADリスクスコアアルゴリズムは、AD代替変数としてMCIまたはADの臨床診断を使用することによって生成され得る。例えば、複数の患者の記録では、臨床診断のための患者のデータは、MCIまたはADの患者の診断状態のデータを含み得る。したがって、例えば、インプット変数として少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよびアウトプット変数として臨床診断データにより機械学習モデルをトレーニングするステップは、所与の対象のタンパク質マーカーレベルから、対象が軽度の認知障害またはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するために使用され得るアルゴリズムを産生し得る。さらなるインプット変数、例えば、年齢、性別、教育レベル、ADの遺伝子リスクマーカー(例えば、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7))、タウスキャン時の年齢、およびこれらの組合せも含まれ得る。
【0158】
臨床診断のAD代替変数は、高リスクのAD代替変数と考えられ、MCIまたはADを示す症状を有すると予測される対象が、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして分類され得る。
【0159】
一部の実施形態では、ロジスティック回帰分析機械学習モデルが、AD代替変数がMCIまたはADの臨床診断である場合、ADリスクスコアアルゴリズムを生成するために使用される。
【0160】
様々な改変およびバリエーションが、本開示の範囲から逸脱することなく、開示したシステムおよびプロセスで行われ得る。他の実施形態は、本明細書に開示した開示の詳述および実行の検討から、当業者には明らかである。以下の詳述および実施例は、例示のみであると考えられることを意図する。
【実施例】
【0161】
6.実施例
6.1.実施例1:早期アルツハイマー病診断のためのPREFER-AD予測体液バイオマーカーパネルの開発
6.1.1.材料および方法
早期のアルツハイマー病診断のための予測体液バイオマーカーパネル(PREFER-AD)が開発され、高齢者のアルツハイマー病に進行する可能性を予測した。Australian Imaging,Biomarker & Lifestyle Study of Ageing(AIBL)および他の関連研究からのデータは、体液(血漿、全血清および/または脳脊髄液)バイオマーカー状態について解析され、神経学的診断および関連画像研究(例えば、MRI、PET)と相関する認知障害への観察された進行と関連した。利用したデータは、およそ以下の特徴:
・およそ55%の認知的に正常な個体
・およそ20%の軽度の認知障害を有すると診断された個体
・およそ15%のアルツハイマー病を有すると診断された個体
・およそ5%の前頭側頭型認知症または未知の原因の認知症を有すると診断された個体、および
・およそ5%の未決定/未知の診断の個体
を有する≧350人の対象に由来する。
【0162】
以下のデータは、各対象と関連する:
・人口統計(年齢、性別)
・臨床診断
・APOE状態(入手可能な場合)
・アミロイド状態
・神経心理学的評価
・血液採取日
・[18F]MK-6240 PETスキャン
・[18F]NAV-4694 PETスキャン
【0163】
各対象について解析される体液バイオマーカーは、表1に列挙した以下のマーカーの一部または全てを含む。
【0164】
【0165】
これらの体液バイオマーカー分析物は、例えば、Quanterix SIMOA(登録商標)プラットフォーム(または匹敵する研究志向のプラットフォーム)で利用可能であり、および/または臨床的に認可されたin vitroでの診断解析プラットフォーム(例えば、Roche Cobas,Siemens Healthineers Centaur)で可能である、アドバンストElisaアッセイを使用して評価された。
【0166】
リスクスコアを生成するため、部分最小2乗(PLS)回帰などの古典統計法とRandom Forestなどの機械学習法の両方が使用された。
【0167】
PLSの場合、リスクスコアは、臨床診断、MK-6240 Tau PET負荷、および神経心理学的評価など、体液バイオマーカーパネルの測定と疾患表現型測定の間の関連に由来する。PLSは、結果と予測因子の間の相関を最大にする、予測因子(体液バイオマーカー値)由来の潜在ベクトルの小さいセットに最小2乗回帰を実施する反復回帰技術である。射影における変数重要度(VIP)を使用して、VIP値のカットオフを0.8に設定することにより、大きく影響する予測因子(体液バイオマーカー)を同定する。
【0168】
Random Forest回帰モデルを使用してリスクスコアを生成するため、結果変数は、PLS法のように疾患表現型測定から選択された。Random Forestは、ブートストラップサンプリング技術によって選択された異なる試料によってそれぞれトレーニングした決定木のアンサンブルを用いる方法である。この技術を用いることにより、Random Forestはモデル変数を減少させる。それは、各枝でランダムな特徴のサブセットのみを選択することにより、「特徴バギング」と呼ばれる特徴選択技術も用い、アンサンブル中の決定木間の相関を減少させる。Random Forest回帰からの特徴量の重要度メトリックを使用して、体液バイオマーカーパネル中最も影響するバイオマーカーが同定されるであろう。
【0169】
評価された全ての予測モデルは、k分割交差検証技術を用いてトレーニングされ、試料バイアスおよび過学習を低減し、除外した検査試料または可能な場合、独立した検査試料によって検査されるであろう。全ての予測モデルからの組み合わせたリスクスコア(平均)のパフォーマンスも評価され、複数の非関連予測モデルの組合せが単一モデルと比較して優れた予測を提供し得るか調べた。
6.1.2.結果
【0170】
アルツハイマー病を発症するリスクを集合的に、信頼性高く予測する、1桁台中盤から後半の体液バイオマーカーが同定された。これらの体液バイオマーカーに基づいて重みづけした集成値はリスクプロファイルを提供し、対象の一連の管理を示す。この重みづけした集成値は、1~10の範囲にスケールされ:
・0~5は、ADを発症するリスクがないかまたは非常に低いことを示し、再検査は例えば5年後である、
・>5~<8は、ADを発症する一部のリスクを示し、再検査は例えば2年後である、および
・≧8~10は早急に専門家の手当を必要とするADの発症/進行/存在のかなりのリスクを示す。
6.2実施例2:PREFER-ADの使用の症例研究
6.2.1.症例研究1:家族歴のある対象におけるADリスクを予測するPREFER-ADの使用
【0171】
APOE4が陽性であり、アルツハイマー病の家族歴(叔母および大叔父)のある38歳の男性は、彼のプライマリケア医(PCP)からのリスク評価を必要とした。PREFER-AD体液バイオマーカー検査の実施後、PCPはスコア6に基づきADへの進行の中間リスクを示した。PCPは、2年後、または対象が主観的記憶障害を示し始める場合、再評価を推奨した。
6.2.2.症例研究2:標準的な健康スクリーニング中に対象のADリスクを予測するPREFER-ADの使用
【0172】
55歳の女性の、毎年の健康評価時の主観的記憶障害の管理レポート。彼女の医師は、PREFER-AD検査を実施し、対象はスコア2を受けた。彼女は、4~5年後にいずれの不安でも再診するように励まされた。
6.3.実施例3:血漿マーカーを使用する早期アルツハイマー病診断のためのPREFER-AD予測体液バイオマーカーパネルの開発
【0173】
早期アルツハイマー病診断の予測体液バイオマーカーパネル(PREFER-AD)を開発し、成人がアルツハイマー病を有するかまたはアルツハイマー病に進行するリスクを評価した。
6.3.1.材料および方法
6.3.1.1.研究デザイン
【0174】
対象のADのリスクを既定する公知の単一変数はない。したがって、ADリスクと関連する代替変数のセットが、機械学習を使用して同定され、これらの代替リスク変数のそれぞれはインプット変数として血漿バイオマーカーによりモデル化された。年齢および生物も、インプット変数として解析に含まれた。
6.3.1.2.結果(代替)変数
【0175】
同定された代替変数のセットは、以下のようにバイオマーカーのカテゴリーに基づきカテゴライズされ得る:
【0176】
【0177】
脳のタウ負荷について内側側頭(「MT」)部は、嗅内皮質、海馬、海馬傍回、および扁桃体を含む領域として既定された。側頭部(「TJ」)は、Jack et al., 2018, Brain 141(5):1517-1528に記載の側頭複合領域である。
【0178】
脳のアミロイドPET画像のプロセシング方法およびセンチロイド値算出は、Bourgeat et al., 2018, NeuroImage 183:387-393に記載されるとおりであった。MK6240タウ画像は、Dore et al., 2021, European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 48(7):2225-32に記載の方法を使用して、目的の各複合容積中のアミロイド陰性の参加者の95パーセンタイルに基づいて算出されたカットオフ値により、プロセスされた。
6.3.1.3.血液アッセイ(インプット)変数
【0179】
ADのリスクの予測のためのインプット変数として使用される血漿アッセイ変数は、表3に示すように、それらが示す病理によってカテゴライズされた:
【0180】
【0181】
この実施例で利用されるデータは、およそ以下の特徴:
・およそ58%の認知的に正常な個体
・およそ22%の軽度の認知障害を有すると診断された個体
・およそ20%のアルツハイマー病を有すると診断された個体
を有する363人の対象に由来した。
【0182】
この実施例で使用される患者の記録データについての記述統計は、
図1A~6Lに示される。
6.3.1.2.機械学習解析
【0183】
代替変数のそれぞれについて、機械学習モデルのコレクション(CatBoost、Random Forest、ロジスティック回帰、Light GBM、線形判別分析を含む)を用いてベストパフォーマンスモデルを同定した。前述のモデルのブレンドも使用した。各結果のクラスの症例数はArea Under the Receiver Operating Characteristic Curve(AUCROC)と等しくなかったため、Average Precisionを使用してパフォーマンスを比較した。
【0184】
70%の患者の記録により10倍交差検定を使用してパラメーターをトレーニングし、評価した各モデルの最適な高パラメーターを見出した。30%の患者の記録をモデルの検査のために使用した。完全なデータセットで利用可能な試料の数が限られているため、ベストパフォーマンスモデルは検査セットの平均パフォーマンスに基づいて選択された。
6.3.2.結果
【0185】
検査データによる各代替変数の受信者動作特性(ROC)曲線は
図7A~12Fに示す。各代替変数のトップパフォーマンスモデルは、点(0.1)に最も近接したROC曲線に基づいて選択された。各代替変数のトップパフォーマンスモデルの特徴量重要度プロットを
図13~18に示す。トップパフォーマンストレーニングモデルのパフォーマンスは表4に要約する。
【0186】
【0187】
表4に示すように、血漿Tau、Aβ-40、Aβ-42、GFAP、sTREM2、NFL、およびTDP43は、通常、モデルの最も影響のある血漿の特徴であった。
6.4.実施例4:実施例3のPREFER-ADの使用
【0188】
実施例3に記載のAIベースのアルゴリズムを使用して、対象の血漿マーカーから対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価した。年齢および性別も、解析に使用された。実施例3に記載の各代替変数の個々のADリスクスコアは、実施例3に記載のアルゴリズムを使用して生成され、リスクスコアを使用して、
図19に示すフローチャートに従ってADが高、中、または低リスクとして対象を分類した。
【0189】
フローチャートでは、1つまたは複数の高リスク代替変数(アミロイドCL21、タウ(MT)、タウ(TJ)、CDR、診断)のアルゴリズムが、対象が1つまたは複数の高リスク代替変数に陽性であると予測する場合、対象は、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして分類される。対象が高リスク変数に陽性であると予測する高リスク変数のアルゴリズムはないが、中リスク代替変数(アミロイドCL12)のアルゴリズムが、対象が中リスク代替変数に陽性であると予測する場合、対象は中リスクとして分類される。対象が高リスク変数に陽性であると予測する高リスク変数のアルゴリズムがなく、中リスク代替変数のアルゴリズムが、対象が中リスク代替変数に陽性であると予測しない場合、対象は低リスクとして分類される。高、中、または低リスクとして分類された対象には異なるフォローアップが推奨される。高リスクとして分類された対象は早急な神経科医の受診を勧められるが、中リスクとして分類された対象には2年後の再検査が推奨され、低リスクとして分類された対象は5年後の再検査が推奨される。
【0190】
図20は、76歳の男性対象の試料レポートを示す。試料レポートは、アルゴリズムが、対象がアミロイド(CL12およびCL21)およびタウ(MTおよびTJ)AD代替変数に陽性であり、CDRおよび診断AD代替変数に陰性であると予測することを示す。対象が1つまたは複数の高リスク変数に陽性であると予測される場合、試料レポートでは、推奨は、対象が早急に神経科医を受診することであり、ADの指標についてさらなる検査が実施され得る。
7.特定の実施形態
7.1.特定の実施形態:グループ1
【0191】
本開示の様々な態様は、以下の番号付けされた段落に記載の実施形態に記載され、先に番号付けされた実施形態への参照は、この7.1節の先に番号付けされた実施形態を指す。
1.対象のアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは既に有するリスクをスコア化するための方法であって、
(a)対象と関連するデータセットを受け取るステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、場合により、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;
(b)前記データセットからADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
を含む、方法。
2.データセットが、
(a)対象から前記1つまたは複数の体液試料を得るステップ;
(b)1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップ;および
(c)少なくとも4つのタンパク質マーカーを定量するステップ
を含む方法によって得られる、実施形態1に記載の方法。
3.対象からの試料を解析する方法であって、
(a)対象から1つまたは複数の体液試料を得るステップであって、場合により、体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択される、ステップ;
(b)1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップであって、場合により、タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;
(c)少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量値を生成するステップ;
(d)対象と関連するデータセットに定量値を記憶するステップ;ならびに
(e)データセットからADリスクスコアを生成し、それにより対象からの試料を解析するステップ
を含む、方法。
4.(g)少なくとも1年後に、ステップ(a)から(d)を繰り返すステップ;
(h)対象と関連する後続のデータセットにステップ(g)で生成された定量値を記憶するステップ;および
(i)後続のデータセットから後続のADリスクスコアを生成するステップ
をさらに含む、実施形態3に記載の方法。
5.AD検査の必要がある対象を同定する方法であって、
(a)対象からの体液試料に実施形態4の方法を実施するステップ;
(b)ADのリスクの増加の指標である、ADリスクスコアと後続のADリスクスコアの間に変化があるか決定するステップ;および
(c)ADの指標について対象のさらなる検査を実行するステップ
を含む、方法。
6.さらなる検査が、PETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、神経心理学的検査またはこれらの組合せを含む、実施形態5に記載の方法。
7.神経心理学的検査が1つまたは複数の記憶検査を含む、実施形態6に記載の方法。
8.神経心理学的検査が認知検査を実施するステップを含む、実施形態6または実施形態7に記載の方法。
9.認知検査がAlzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態8に記載の方法。
10.ADリスクスコア法を生成するステップがコンピューターにより実施される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)データセットから対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
の指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む、方法。
12.ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態10または実施形態11に記載の方法。
13.ADリスクスコアが人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態12に記載の方法。
14.人工知能ベースのアルゴルズムがロジスティック回帰ベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
15.人工知能ベースのアルゴルズムがlight GBMベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
16.人工知能ベースのアルゴルズムがRandom Forestベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
17.人工知能ベースのアルゴルズムがCatBoostベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
18.人工知能ベースのアルゴルズムが線形判別分析ベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
19.人工知能ベースのアルゴルズムがAdaptive Boostingベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
20.人工知能ベースのアルゴルズムがExtreme Gradient Boostingベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
21.人工知能ベースのアルゴルズムがExtra Treesベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
22.人工知能ベースのアルゴルズムがNaive-Bayesベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
23.人工知能ベースのアルゴルズムがK-Nearest neighborベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
24.人工知能ベースのアルゴルズムがGradient Boostingベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
25.人工知能ベースのアルゴルズムがSupport Vectorベースのアルゴリズムである、実施形態13に記載の方法。
26.ADリスクスコアが、(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを予測する、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
27.(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、データセットからの2つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
28.(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、データセットからの3つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
29.(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、データセットからの4つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
30.(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、データセットからの5つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
31.(i)対象の脳のアミロイド負荷、(ii)対象の脳のタウ負荷、(iii)対象における脳の神経変性、または(iv)対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を示すかどうかを個別に予測する、データセットからの6つもしくはそれ以上のADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態13~25のいずれか1つに記載の方法。
32.対象の脳のアミロイド負荷を予測するデータセットからADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態26~31のいずれか1つに記載の方法。
33.対象がカットオフ値よりも高いかまたは低いアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがRandom ForestベースのアルゴリズムまたはCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態32に記載の方法。
34.対象が12より小さいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがRandom Forestベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態32または実施形態33に記載の方法。
35.対象が21より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態32~34のいずれか1つに記載の方法。
36.対象がカットオフ値より高い全脳アミロイド標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法。
37.対象がカットオフ値より高い関心体積(VOI)ベースのアミロイド標準化取込み値比(SUVR)またはセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
38.対象の脳のタウ負荷を予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態26~37のいずれか1つに記載の方法。
39.対象がカットオフ値よりも大きいタウ負荷を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、カットオフ値が脳のタウ負荷の標準化された測定に基づく、実施形態38に記載の方法。
40.対象がカットオフ値よりも大きい対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態38または実施形態39に記載の方法。
41.対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRよりも大きい対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態38~40のいずれか1つに記載の方法。
42.対象がカットオフ値よりも大きい対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態38~41のいずれか1つに記載の方法。
43.対象が健康な対象の95パーセンタイルSUVRよりも大きい対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態38~42のいずれか1つに記載の方法。
44.Tau PET標準化取込み値比(SUVR)が、MK6240、Flortaucipir、RO948、Genentech Tau Probe(GTP)1、またはPI-2620 Tau PET標準化取込み値比(SUVR)である、実施形態40~43のいずれか1つに記載の方法。
45.Tau PET標準化取込み値比(SUVR)がMK6240 Tau PET標準化取込み値比(SUVR)である、実施形態44に記載の方法。
46.対象の全脳タウ負荷を予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態38~45のいずれか1つに記載の方法。
47.対象がカットオフ値よりも高い関心体積(VOI)ベースのタウ標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態38~46のいずれか1つに記載の方法。
48.対象における脳の神経変成を予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態26~47のいずれか1つに記載の方法。
49.対象が脳の神経変性を示す臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがLight GBMベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態48に記載の方法。
50.対象が0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがLight GBMベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態49に記載の方法。
51.対象が脳の神経変性を示す認知評価検査スコアを有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態48~50のいずれか1つに記載の方法。
52.認知評価がミニメンタルステート検査(MMSE)である、実施形態51に記載の方法。
53.認知評価がMontreal Cognitive Assessment(MOCA)である、実施形態51に記載の方法。
54.認知評価がDisease Assessment Scale-Cognitive section(ADAS-Cog)である、実施形態51に記載の方法。
55.認知評価がDelis-Kaplan Executive Function System(D-KEFS)検査である、実施形態51に記載の方法。
56.認知評価がAddenbrookes Cognitive Assessment(ACE-R)である、実施形態51に記載の方法。
57.対象が脳の神経変性の物理的測定を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態48~56のいずれか1つに記載の方法。
58.物理的測定が、脳の神経変性を示す皮質厚の減少である、実施形態57に記載の方法。
59.物理的測定が、脳の神経変性を示す機能的結合の欠損である、実施形態57に記載の方法。
60.物理的測定が、脳の神経変性を示す白質高信号域である、実施形態57に記載の方法。
61.対象が軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測する、データセットからのADリスクスコアを生成するステップを含み、場合により、ADリスクスコアがCatBoostベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態26~60のいずれか1つに記載の方法。
62.(i)対象が、場合により12であるカットオフ値より低いアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(ii)対象が、場合により21である第2のカットオフ値より大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(iii)対象が、健康な対象の95パーセンタイルSUVRより大きい対象の内側側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(iv)対象が、健康な対象の95パーセンタイルSUVRより大きい対象の側頭部におけるTau PET標準化取込み値比(SUVR)を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;(v)対象が、0.5より大きいかまたは等しい臨床認知症評価尺度を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコア;および(vi)対象が軽度の認知障害またはADの診断に十分な症状を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態26~61のいずれか1つに記載の方法。
63.対象が、12であるカットオフ値よりも小さいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態62に記載の方法。
64.対象が、21である第2カットオフ値よりも大きいかまたは等しいアミロイドPETセンチロイド値を有する可能性があるかどうかを予測するADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態62または実施形態63に記載の方法。
65.対象のADリスクスコア(複数可)に基づき、少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象を分類するステップをさらに含む、実施形態10~64のいずれか1つに記載の方法。
66.第1のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが低いことを示す、実施形態65に記載の方法。
67.対象のADリスクスコア(複数可)が、対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、およそ1~5年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態66に記載の方法。
68.対象のADリスクスコア(複数可)が、対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、およそ3~5年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態67に記載の方法。
69.対象のADリスクスコア(複数可)が、対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、およそ1年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態66に記載の方法。
70.第2のリスクカテゴリーが、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが上昇していることを示す、実施形態65~69のいずれか1つに記載の方法。
71.第2のリスクカテゴリーが、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示す、実施形態70に記載の方法。
72.対象が、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、ADの指標について対象のさらなる検査を実施するステップをさらに含む、実施形態71に記載の方法。
73.さらなる検査が、PETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、機能的MRI、神経炎症スキャン、拡散テンソル画像、神経心理学的検査および/またはこれらの組合せを含む、実施形態72に記載の方法。
74.神経心理学的検査が1つまたは複数の記憶検査を含む、実施形態73に記載の方法。
75.神経心理学的検査が認知検査を実施するステップを含む、実施形態73または実施形態74に記載の方法。
76.認知検査がAlzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態75に記載の方法。
77.対象が、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、1つまたは複数のAD治療薬を対象に投与することを推奨するレポートを、コンピューター化されたシステムで生成するステップをさらに含む、実施形態72~76のいずれか1つに記載の方法。
78.対象が、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、1つまたは複数のAD治療薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態72~77のいずれか1つに記載の方法。
79.1つまたは複数のAD治療薬が、アミロイド疾患修飾薬、タウ治療、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体遮断薬、またはこれらの組合せを含む、実施形態77または実施形態78に記載の方法。
80.1つまたは複数のAD治療薬がアデュカヌマブ-avwaを含む、実施形態79に記載の方法。
81.対象が、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、AD治療候補薬の臨床試験に対象を登録するステップをさらに含む、実施形態72~80のいずれか1つに記載の方法。
82.AD治療候補薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態81に記載の方法。
83.対象がADに罹患していることを決定するステップを含む、実施形態77~82のいずれか1つに記載の方法。
84.対象のADのリスクが高いことを決定するステップを含む、実施形態77~82のいずれか1つに記載の方法。
85.対象のADリスクスコア(複数可)に基づき、少なくとも第1のリスクカテゴリー、第2のリスクカテゴリー、および第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象を分類するステップを含む、実施形態65~84のいずれか1つに記載の方法。
86.第3のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す、実施形態85に記載の方法。
87.対象のADリスクスコア(複数可)が、対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す場合、およそ1~2年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態86に記載の方法。
88.対象が分類されたリスクカテゴリーの提示を含むレポートを、コンピューター化されたシステムで生成するステップをさらに含む、実施形態63~87のいずれか1つに記載の方法。
89.データセットが対象のADの家族歴をさらに含む、実施形態1~88のいずれか1つに記載の方法。
90.データセットが対象の年齢、性別もしくは教育、またはこれらの任意の組合せをさらに含む、実施形態1~89のいずれか1つに記載の方法。
91.データセットが、ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーをさらに含む、実施形態1~90のいずれか1つに記載の方法。
92.ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーが、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)、またはこれらの組合せを含む、実施形態91に記載の方法。
93.ADの遺伝子リスクマーカーがAPO E4を含む、実施形態92に記載の方法。
94.データセットが、ADのAPO E4遺伝子リスクマーカーを含まない、実施形態1~92のいずれか1つに記載の方法。
95.データセットが、認知評価の結果をさらに含む、実施形態1~94のいずれか1つに記載の方法。
96.認知評価が、Alzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態95に記載の方法。
97.ADリスクスコア(複数可)が、パーセンテージ、乗数値または絶対スコアとして提供される、実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法。
98.ADリスクスコア(複数可)が、予測(例えば、対象が、カットオフ値より高い脳のアミロイド負荷、カットオフ値より高い脳のタウ負荷、神経変性、軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状、またはこれらの組合せを有する可能性があるかどうかの予測)を提供する場合、そのようなADリスクスコア(複数可)が二項予測(例えば陽性または陰性)として提供される、実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法。
99.ADリスクスコアを生成するステップがコンピューターにより実施され、対象がADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、方法がさらなる検査を推奨するユーザーへの告知を提供するステップをさらに含む、実施形態1~98のいずれか1つに記載の方法。
100.ADリスクスコアを生成するステップがコンピューターにより実施され、対象がADを発症するリスクが高いことを示すADリスクスコア(複数可)を有する場合、方法が神経科の診察を推奨するユーザーへの告知を提供するステップをさらに含む、実施形態1~99のいずれか1つに記載の方法。
101.1つまたは複数のADリスク因子によって対象のAD状態をモニターするための方法であって、
(a)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第1の時点で第1のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(b)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第2の時点で第2のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(c)第1のADリスクスコアと第2のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したか決定するステップ、
それにより対象のAD状態をモニターするステップ
を含む、方法。
102.(d)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法を実施するステップ、および対象に第3の時点での第3のADリスクスコアを割り当てるステップ;
(e)第3のADリスクスコアと第1のADリスクスコアおよび/または第2のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または対象のADリスクスコアの変化の割合を決定するステップ、
それにより対象のAD状態のモニターを続けるステップをさらに含む、実施形態101に記載の方法。
103.(f)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法を実施するステップ、および対象に第4の時点での第4のADリスクスコアを割り当てるステップ;
(g)第4のADリスクスコアと第1のADリスクスコアおよび/または第2のADリスクスコアおよび/または第3のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または対象のADリスクスコアの変化の割合を決定するステップ、
それにより対象のAD状態のモニターを続けるステップをさらに含む、実施形態102に記載の方法。
104.タンパク質マーカーが少なくとも5つのタンパク質マーカーを含む、実施形態1~103のいずれか1つに記載の方法。
105.タンパク質マーカーが1つまたは複数のタウペプチドマーカーを含む、実施形態1~104のいずれか1つに記載の方法。
106.1つまたは複数のタウペプチドマーカーが1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカーを含む、実施形態105に記載の方法。
107.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau217を含む、実施形態105または実施形態106に記載の方法。
108.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau181を含む、実施形態105~107のいずれか1つに記載の方法。
109.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau231を含む、実施形態105~108のいずれか1つに記載の方法。
110.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau235を含む、実施形態105~108のいずれか1つに記載の方法。
111.タンパク質マーカーが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーを含む、実施形態1~110のいずれか1つに記載の方法。
112.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40を含む、実施形態111に記載の方法。
113.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-42を含む、実施形態111または実施形態112に記載の方法。
114.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40:Aβ-42の比を含む、実施形態110~113のいずれか1つに記載の方法。
115.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-42:Aβ-40の比を含む、実施形態110~114のいずれか1つに記載の方法。
116.タンパク質マーカーが1つまたは複数の神経変性マーカーを含む、実施形態1~115のいずれか1つに記載の方法。
117.1つまたは複数の神経変性マーカーがニューロフィラメント軽鎖(NFL)を含む、実施形態116に記載の方法。
118.1つまたは複数の神経変性マーカーがグリア線維性酸性タンパク質(「GFAP」)を含む、実施形態116または実施形態117に記載の方法。
119.タンパク質マーカーが1つまたは複数の代謝障害マーカーを含む、実施形態1~118のいずれか1つに記載の方法。
120.1つまたは複数の代謝障害マーカーがHbA1cを含む、実施形態119に記載の方法。
121.タンパク質マーカーが1つまたは複数の炎症マーカーを含む、実施形態1~120のいずれか1つに記載の方法。
122.1つまたは複数の炎症マーカーがC反応性タンパク質(「CRP」)を含む、実施形態121に記載の方法。
123.1つまたは複数の炎症マーカーがインターロイキン-6(「IL-6」)を含む、実施形態121または実施形態122に記載の方法。
124.1つまたは複数の炎症マーカーが腫瘍壊死因子(「TNF」)を含む、実施形態121~123のいずれか1つに記載の方法。
125.1つまたは複数の炎症マーカーが可溶性TREM2(「sTREM-2」)を含む、実施形態121~124のいずれか1つに記載の方法。
126.1つまたは複数の炎症マーカーが熱ショックタンパク質を含む、実施形態121~125のいずれか1つに記載の方法。
127.1つまたは複数の炎症マーカーがYKL-40を含む、実施形態121~126のいずれか1つに記載の方法。
128.タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝性疾患マーカー、および炎症マーカー以外の1つまたは複数のマーカー(「他のマーカー」)をさらに含み、前記他のマーカーが、場合により、タンパク質症マーカー、例えば前頭側頭型認知症(FTLD)マーカー、パーキンソン病マーカー、レビー小体病マーカー、またはこれらの組合せを含む、実施形態1~127のいずれか1つに記載の方法。
129.1つまたは複数の他のマーカーがα-シヌクレインを含む、実施形態128に記載の方法。
130.1つまたは複数の他のマーカーがTDP-43を含む、実施形態128または実施形態129に記載の方法。
131.1つまたは複数のマーカーが1つまたは複数のアミロイドマーカー、1つまたは複数のタウマーカー、および1つまたは複数の神経変性マーカーを含む、実施形態1~130のいずれか1つに記載の方法。
132.1つまたは複数のアミロイドマーカーがAβ-40を含む、実施形態131に記載の方法。
133.1つまたは複数のアミロイドマーカーがAβ-42を含む、実施形態131または実施形態132に記載の方法。
134.1つまたは複数のタウマーカーが、p-tau217、p-tau181、p-tau231、またはp-tau235を含む、実施形態131~133のいずれか1つに記載の方法。
135.1つまたは複数のタウマーカーがp-tau217を含む、実施形態131~134のいずれか1つに記載の方法。
136.1つまたは複数のタウマーカーがp-tau181を含む、実施形態131~134のいずれか1つに記載の方法。
137.1つまたは複数のタウマーカーがp-tau231を含む、実施形態131~134のいずれか1つに記載の方法。
138.1つまたは複数のタウマーカーがp-tau235を含む、実施形態131~134のいずれか1つに記載の方法。
139.1つまたは複数の神経変性マーカーがNFLを含む、実施形態131~138のいずれか1つに記載の方法。
140.1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPを含む、実施形態131~139のいずれか1つに記載の方法。
141.1つまたは複数のマーカーがsTREM-2をさらに含む、実施形態131~140のいずれか1つに記載の方法。
142.1つまたは複数のマーカーがTDP-43をさらに含む、実施形態131~141のいずれか1つに記載の方法。
143.1つまたは複数のマーカーがα-シヌクレインをさらに含む、実施形態131~142のいずれか1つに記載の方法。
144.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも4つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
145.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも5つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
146.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも6つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
147.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも7つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
148.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも8つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
149.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも9つの血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
150.タンパク質マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む少なくとも10の血液マーカーを含む、実施形態1~143のいずれか1つに記載の方法。
151.体液試料が血液試料である、実施形態1~150のいずれか1つに記載の方法。
152.体液試料が血液試料とCSF試料の組合せである、実施形態1~150のいずれか1つに記載の方法。
153.体液試料がCSF試料である、実施形態1~150のいずれか1つに記載の方法。
154.血液試料が血漿試料である、実施形態151または実施形態152に記載の方法。
155.対象が30~39歳である、実施形態1~154のいずれか1つに記載の方法。
156.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態155に記載の方法。
157.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態156に記載の方法。
158.対象が40~49歳である、実施形態1~152のいずれか1つに記載の方法。
159.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態158に記載の方法。
160.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態159に記載の方法。
161.対象が50~59歳である、実施形態1~152のいずれか1つに記載の方法。
162.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態161に記載の方法。
163.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態162に記載の方法。
164.対象が60~69歳である、実施形態1~152のいずれか1つに記載の方法。
165.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態164に記載の方法。
166.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態165に記載の方法。
167.対象が70~79歳である、実施形態1~152のいずれか1つに記載の方法。
168.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態167に記載の方法。
169.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態168に記載の方法。
170.対象のADリスクスコアを生成するための人工知能ベースのアルゴリズムを産生する方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも一部の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データがインプット変数であり、AD代替変数のデータが機械学習モデルのアウトプット変数であり、それによりADリスクスコアを生成する人工知能ベースのアルゴリズムを提供するステップ
の指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む、方法。
171.人工知能ベースのアルゴリズムが、少なくとも4つのタンパク質マーカーの差を重みづけする、実施形態170に記載の方法。
172.1つまたは複数のAD代替変数が脳のアミロイド負荷を含む、実施形態170または実施形態171に記載の方法。
173.脳のアミロイド負荷の患者データが、標準化された脳のアミロイド負荷データ(例えば、PETセンチロイドデータ、PET SUVRデータ、またはAmiloidIQデータ)を含む、実施形態172に記載の方法。
174.脳のアミロイド負荷の患者データが、アミロイドPETセンチロイドデータを含む、実施形態172に記載の方法。
175.少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および1つまたは複数の神経炎症マーカーを含む、実施形態172~174のいずれか1つに記載の方法。
176.1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau181)を含み、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーが、Aβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ-40の比、Aβ-40:Aβ-42の比、またはこれらの組合せを含み、1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPを含み、1つまたは複数の神経炎症マーカーがsTREM-2を含む、実施形態175に記載の方法。
177.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)および1つまたは複数の神経炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)を重みづけする、実施形態175または実施形態176に記載の方法。
178.1つまたは複数のAD代替変数が脳のタウ負荷を含む、実施形態170~177のいずれか1つに記載の方法。
179.脳のタウ負荷についての患者データが、標準化された脳のタウ負荷データ(例えば、PET SUVRデータまたはTauIQデータ)を含む、実施形態178に記載の方法。
180.脳のタウ負荷についての患者データがTauPET SUVRデータを含む、実施形態178に記載の方法。
181.Tau PET SUVRデータが脳の内側側頭部のTau PET SUVRデータを含む、実施形態179または180に記載の方法。
182.Tau PET SUVRデータが脳の側頭部のTau PET SUVRデータを含む、実施形態180または実施形態181に記載の方法。
183.Tau SUVRデータが、MK6240、Flortaucipir、RO948、Genentech Tau Probe(GTP)1、またはPI-2620 Tau PET SUVRデータである、実施形態180~182のいずれか1つに記載の方法。
184.Tau PET SUVRデータがMK6240 Tau PET SUVRデータである、実施形態183に記載の方法。
185.少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および場合により1つまたは複数のタンパク質症マーカーを含む、実施形態178~184のいずれか1つに記載の方法。
186.1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPおよび/またはNFLを含み、ならびに1つまたは複数のタンパク質症マーカーがTDP43を含む、実施形態185に記載の方法。
187.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、実施形態185または実施形態186に記載の方法。
188.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)を重みづけする、実施形態185または実施形態186に記載の方法。
189.1つまたは複数のAD代替変数が脳の神経変性を含む、実施形態170~188のいずれか1つに記載の方法。
190.脳の神経変性についての患者データが、臨床認知症評価尺度データを含む、実施形態189に記載の方法。
191.少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および1つまたは複数の炎症マーカーを含む、実施形態189または実施形態190に記載の方法。
192.1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPを含み、および1つまたは複数の炎症マーカーがsTREM-2を含む、実施形態191に記載の方法。
193.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)よりも大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)および1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、実施形態191または実施形態192に記載の方法。
194.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)および1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、sTREM-2)を重みづけする、実施形態191または実施形態192に記載の方法。
195.1つまたは複数のAD代替変数が軽度の認知障害またはADの臨床診断を含む、実施形態170~194のいずれか1つに記載の方法。
196.軽度の認知障害のデータの臨床診断についての患者データが、軽度の認知障害またはADの確定または陰性診断を含む、実施形態195に記載の方法。
197.少なくとも4つのタンパク質マーカーが、1つまたは複数のタウペプチドマーカー、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー、1つまたは複数の神経変性マーカー、および場合により1つまたは複数のタンパク質症マーカーを含む、実施形態195または実施形態196に記載の方法。
198.1つまたは複数のタウペプチドマーカーが、1つまたは複数のリン酸化タウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を含み、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40、Aβ-42、Aβ-42:Aβ40比、Aβ-40:Aβ-42比、またはこれらの組合せを含み、1つまたは複数の神経変性マーカーがGFAPおよび/またはNFLを含み、ならびに1つまたは複数のタンパク質症マーカーがTDP43を含む、実施形態185に記載の方法。
199.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)より大きい1つまたは複数のタウペプチドマーカー(例えば、p-tau 181)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけする、実施形態197または実施形態198に記載の方法。
200.人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のタンパク質症マーカー(例えば、TDP43)より大きい1つまたは複数の神経変性マーカー(例えば、GFAP)を重みづけし、人工知能ベースのアルゴリズムが、1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカー(例えば、Aβ-42:Aβ-40比)より大きい、および1つまたは複数の炎症マーカー(例えば、NFL)より大きい1つまたは複数のタンパク質症マーカー(例えば、TDP43)を重みづけする、実施形態197または実施形態198に記載の方法。
201.タンパク質マーカーが、実施形態104~150のいずれか1つに記載のタンパク質マーカーを含む、実施形態170~200のいずれか1つに記載の方法。
202.各患者の記録が患者の年齢をさらに含む、実施形態170~201のいずれか1つに記載の方法。
203.各患者の記録が、タウPETスキャン時の患者の年齢をさらに含む、実施形態170~202のいずれか1つに記載の方法。
204.各患者の記録が患者の性別をさらに含む、実施形態170~203のいずれか1つに記載の方法。
205.各患者の記録が患者の教育をさらに含む、実施形態170~204のいずれか1つに記載の方法。
206.各患者の記録がADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーのデータをさらに含む、実施形態170~205のいずれか1つに記載の方法。
207.ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーが、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)、またはこれらの組合せを含む、実施形態206に記載の方法。
208.ADの遺伝子リスクマーカーがAPO E4を含む、実施形態207に記載の方法。
209.患者の記録が、ADのAPO E4遺伝子リスクマーカーを含まない、実施形態170~207のいずれか1つに記載の方法。
210.体液試料が血液試料である、実施形態170~209のいずれか1つに記載の方法。
211.体液試料が血液試料とCSF試料の組合せを含む、実施形態170~209のいずれか1つに記載の方法。
212.体液試料がCSF試料である、実施形態170~209のいずれか1つに記載の方法。
213.血液試料が血漿試料である、実施形態210または実施形態211に記載の方法。
214.アップデートした患者の記録により機械学習モデルを再トレーニングするステップをさらに含む、実施形態170~213のいずれか1つに記載の方法。
215.複数の患者の記録が少なくとも100人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
216.複数の患者の記録が少なくとも200人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
217.複数の患者の記録が少なくとも300人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
218.複数の患者の記録が少なくとも500人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
219.複数の患者の記録が少なくとも1000人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
220.複数の患者の記録が少なくとも5000人の患者の記録を含む、実施形態170~214のいずれか1つに記載の方法。
221.ステップ(b)が、少なくとも100人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
222.ステップ(b)が、少なくとも200人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
223.ステップ(b)が、少なくとも300人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
224.ステップ(b)が、少なくとも500人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
225.ステップ(b)が、少なくとも1000人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
226.ステップ(b)が、少なくとも5000人の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップを含む、実施形態170~220のいずれか1つに記載の方法。
227.ステップ(b)が、機械学習モデルをトレーニングするために使用されない患者の記録により機械学習モデルを検査するステップをさらに含む、実施形態170~226のいずれか1つに記載の方法。
228.機械学習モデルがロジスティック回帰モデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
229.機械学習モデルがlight GBMモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
230.機械学習モデルがRandom Forestモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
231.機械学習モデルがCatBoostモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
232.機械学習モデルが線形判別分析モデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
233.機械学習モデルがAdaptive Boostingモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
234.機械学習モデルがExtreme Gradient Boostingモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
235.機械学習モデルがExtra Treesモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
236.機械学習モデルがNaive-Bayesモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
237.機械学習モデルがK-Nearest neighborモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
238.機械学習モデルがGradient Boostingモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
239.機械学習モデルがSupport Vectorモデルである、実施形態170~227のいずれか1つに記載の方法。
240.対象のアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは既に有するリスクをスコア化するための方法であって、
(a)対象と関連するデータセットを受け取るステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、場合により、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;
(b)実施形態170~239のいずれか1つに記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用して前記データセットからADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
を含む、方法。
241.データセットからADリスクスコアを生成するステップが、実施形態170~239のいずれか1つに記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用して、前記データセットからADリスクスコアを生成するステップを含む、実施形態1~169のいずれか1つに記載の方法。
242.対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)実施形態170~239のいずれか1つに記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用してデータセットから対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
の指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を実行するステップを含む、方法。
243.実施形態10~169および240~242のいずれか1つに記載の方法のいずれか1つに従ってADリスクスコアを生成するように構成されたシステム。
244.1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含む、実施形態243に記載のシステム。
245.1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が:
(a)対象と関連するデータセットを記憶するステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)データセットから対象のADリスクスコアを生成するステップ
の指令を含む、実施形態244に記載のシステム。
246.ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態245に記載のシステム。
247.ADリスクスコアが、実施形態170~239のいずれか1つに記載の方法によって産生された人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態246に記載のシステム。
248.コンピューター読み取り可能な指令が、対象のレポートを生成するための指令を含む、実施形態244~247のいずれか1つに記載のシステム。
249.レポートが対象のADリスクスコア(複数可)を含む、実施形態248に記載のシステム。
250.ADリスクスコア(複数可)が、予測(例えば、対象が、カットオフ値より高い脳のアミロイド負荷、カットオフ値より高い脳のタウ負荷、神経変性、軽度の認知障害もしくはADの診断に十分な症状、またはこれらの組合せを有する可能性があるかどうかの予測)を提供する場合、そのようなADリスクスコア(複数可)が二項予測(例えば陽性または陰性)としてレポートに提供される、実施形態248または実施形態249に記載のシステム。
251.レポートが、対象のADリスクスコア(複数可)から対象への1つまたは複数の推奨を含む、実施形態248~250のいずれか1つに記載のシステム。
252.コンピューター読み取り可能な指令が、外部のユーザーにレポートを通信するための指令をさらに含む、実施形態248~251のいずれか1つに記載のシステム。
253.外部ユーザーが医師(例えば、神経科医もしくはプライマリケア医)または医学研究室である、実施形態252に記載のシステム。
254.コンピューター読み取り可能な指令が、データストレージデバイスへのレポートの通信のための指令をさらに含む、実施形態248~253のいずれか1つに記載のシステム。
255.データストレージデバイスがローカルデータストレージデバイスである、実施形態254に記載のシステム。
256.データストレージデバイスがノンローカルデータストレージデバイス(例えば、クラウドストレージ)である、実施形態254に記載のシステム。
257.コンピューター読み取り可能な指令が、対象がADに罹患しているかまたは発症するリスクを分類するための指令をさらに含む、実施形態244~256のいずれか1つに記載のシステム。
258.対象がADに罹患しているリスクを分類するための指令が、ADに罹患しているかまたは発症する、少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象を分類するための指令を含む、実施形態257に記載のシステム。
259.第1のリスクカテゴリーが低リスクカテゴリーであり、第2のリスクカテゴリーが高リスクカテゴリーであり、第3のリスクカテゴリーが中(または中程度)リスクカテゴリーである、実施形態258に記載のシステム。
260.実施形態248~255のいずれか1つに従属する場合、レポートが対象の分類を含む、実施形態257~259のいずれか1つに記載のシステム。
261.レポートが、対象の分類に基づく対象への推奨を含む、実施形態260に記載のシステム。
262.推奨が、対象がADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いと分類される場合、ADの指標について対象のさらなる検査のための推奨である、実施形態261に記載のシステム。
263.推奨が、対象がADを発症するリスクが低いと分類される場合、およそ1~5年でADについて対象を再検査するための推奨である、実施形態261または実施形態262に記載のシステム。
264.推奨が、対象がADを発症するリスクが低いと分類される場合、およそ3~5年でADについて対象を再検査するための推奨である、実施形態261または実施形態262に記載のシステム。
265.推奨が、対象がADを発症するリスクが中間と分類される場合、およそ1~2年でADについて対象を再検査するための推奨である、実施形態261~264のいずれか1つに記載のシステム。
266.実施形態170~239のいずれか1つに記載のADリスクスコアを生成するための人工知能ベースのアルゴリズムを産生するために構成されたシステム。
267.1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含む、実施形態266に記載のシステム。
268.1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が、
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも一部の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データがインプット変数であり、AD代替変数のデータが機械学習モデルのアウトプット変数である、ステップ
の指令を含む、実施形態267に記載のシステム。
269.コンピューター読み取り可能な指令が、トレーニングモードのための指令および対象のアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは既に有するリスクをスコア化するためのADリスクスコア生成モードのための指令を含み、トレーニングモードが実施形態170~239のいずれか1つに記載の方法に従ってADリスクスコアを生成するための人工知能ベースのアルゴリズムを産生するための指令を含み、ADリスクスコア生成モードが実施形態10~169および240~242のいずれか1つに記載の方法に従って対象のアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは既に有するリスクをスコア化するための指令を含む、実施形態267~268のいずれか1つに記載のシステム。
270.実施形態243~265のいずれか1つに記載のシステムの特徴を含むかまたはさらに含む、実施形態266~269のいずれか1つに記載のシステム。
271.対象のADリスクスコアを生成するためのシステムであって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含み、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が:
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、患者からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データおよび患者の1つまたは複数のAD代替変数のデータを含み、
(i)体液試料が血液および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー、および炎症マーカーの少なくとも3つを含む、ステップ;
(b)少なくとも一部の患者の記録により機械学習モデルをトレーニングするステップであって、少なくとも4つのタンパク質マーカーの定量的データがインプット変数であり、AD代替変数のデータが機械学習モデルのアウトプット変数であり、ADリスクスコアを生成するAIベースのアルゴリズムを産生する、ステップ
(c)AIベースのアルゴリズムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップ;
(d)ADリスクスコアが、対象がADを発症するリスクが低いことを示す場合、ADを発症するリスクが低い、ADリスクスコアが、対象がADを発症するリスクが中間(または中程度)であることを示す場合、ADを発症するリスクが中間(または中程度)である、またはADリスクスコアが、対象がADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いことを示す場合、ADに罹患しているかまたは発症するリスクが高いとして対象を分類するステップ;ならびに
(e)対象が分類されるリスクカテゴリーの表示および/または対象の分類に基づく対象のための推奨を含むレポートを生成するステップ
の指令を含む、システム。
272.実施形態1~242のいずれか1つに従った方法を実行するための処理装置によって実行可能な指令を含む、実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体。
273.実施形態243~265および267~271のいずれか1つに記載のコンピューター読み取り可能な指令を含む、実体的な、非一時的コンピューター読み取り可能媒体。
7.2.特定の実施形態:グループ2
【0192】
本開示の様々な態様が、以下の番号付けされた段落に記載の実施形態に記載され、先に番号付けされた実施形態への参照は、この7.2節の先に番号付けされた実施形態を指す。
1.対象のアルツハイマー病(AD)を発症するかまたは既に有するリスクをスコア化するための方法であって、
(a)対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを決定するステップであって、場合により、
(i)体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを組み合わせて対象のADリスクスコアを生成し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
を含む、方法。
2.ステップ(a)の前に、少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
3.レベルが、抗体アッセイおよび/または抗原アッセイを使用して測定される、実施形態2に記載の方法。
4.対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するための方法であって、
(a)対象と関連するデータセットを受け取るステップであって、前記データセットが、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、場合により、
(i)体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;
(b)前記データセットからADリスクスコアを算出し、それにより対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクをスコア化するステップ
を含む、方法。
5.ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して算出される、実施形態4に記載の方法。
6.データセットが:
(a)対象から前記1つまたは複数の体液試料を得るステップ;
(b)1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップ;および
(c)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーを定量するステップ
を含む方法によって得られる、実施形態4または実施形態5に記載の方法。
7.リスクスコアがパーセンテージ、乗数値または絶対スコアである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.タンパク質マーカーが1つまたは複数のタウペプチドマーカーを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-tau181を含む、実施形態8に記載の方法。
10.1つまたは複数のタウペプチドマーカーがp-217を含む、実施形態8に記載の方法。
11.タンパク質マーカーが1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40を含む、実施形態11に記載の方法。
13.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-42を含む、実施形態11または実施形態12に記載の方法。
14.1つまたは複数のアミロイドペプチドマーカーがAβ-40:Aβ-42の比を含む、実施形態11~13のいずれか1つに記載の方法。
15.タンパク質マーカーが1つまたは複数の神経変性マーカーを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.1つまたは複数の神経変性マーカーがニューロフィラメント軽鎖(「NFL」)を含む、実施形態15に記載の方法。
17.1つまたは複数の神経変性マーカーがグリア線維性酸性タンパク質(「GFAP」)を含む、実施形態15または実施形態16に記載の方法。
18.タンパク質マーカーが1つまたは複数の代謝障害マーカーを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.1つまたは複数の代謝障害マーカーがHbA1cを含む、実施形態18に記載の方法。
20.タンパク質マーカーが1つまたは複数の炎症マーカーを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.1つまたは複数の炎症マーカーがC反応性タンパク質(「CRP」)を含む、実施形態20に記載の方法。
22.1つまたは複数の炎症マーカーがインターロイキン-6(「IL-6」)を含む、実施形態20または実施形態21に記載の方法。
23.1つまたは複数の炎症マーカーが腫瘍壊死因子(「TNF」)を含む、実施形態20~22のいずれか1つに記載の方法。
24.1つまたは複数の炎症マーカーが可溶性TREM2(「sTREM-2」)を含む、実施形態20~23のいずれか1つに記載の方法。
25.1つまたは複数の炎症マーカーが熱ショックタンパク質を含む、実施形態20~24のいずれか1つに記載の方法。
26.1つまたは複数の炎症マーカーがYKL-40を含む、実施形態20~25のいずれか1つに記載の方法。
27.タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝性疾患マーカー、および炎症マーカー以外の1つまたは複数のマーカー(「他のマーカー」)を含み、前記他のマーカーが、場合により、前頭側頭型認知症(FTLD)マーカー、パーキンソン病マーカー、レビー小体病マーカー、またはこれらの組合せを含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.1つまたは複数の他のマーカーがα-シヌクレインを含む、実施形態27に記載の方法。
29.1つまたは複数の他のマーカーがTDP-43を含む、実施形態27または実施形態28に記載の方法。
30.少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの少なくとも2つまたは少なくとも3つのレベルが等しく重みづけされる、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの少なくとも2つまたは少なくとも3つのレベルが異なって重みづけされる、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
32.少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象のADリスクスコアを階層化するステップをさらに含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.第1のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが低いことを示す、実施形態32に記載の方法。
34.およそ3~5年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態33に記載の方法。
35.第2のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクがあることを示す、実施形態32または実施形態33に記載の方法。
36.第2のリスクカテゴリーが、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示す、実施形態35に記載の方法。
37.ADの指標について対象のさらなる検査を実施するステップをさらに含む、実施形態36に記載の方法。
38.さらなる検査が、PETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、神経心理学的検査および/またはこれらの組合せを含む、実施形態37に記載の方法。
39.神経心理学的検査が1つまたは複数の記憶検査を含む、実施形態38に記載の方法。
40.神経心理学的検査が認知検査を実施するステップを含む、実施形態38または実施形態39の方法。
41.認知検査がAlzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態40に記載の方法。
42.対象がADに罹患していることを決定するステップおよびAD治療薬を対象に投与するステップを含む、実施形態36~41のいずれか1つに記載の方法。
43.AD治療薬が、アミロイド疾患修飾薬、タウ治療、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体遮断薬、またはこれらの組合せから選択される、実施形態42に記載の方法。
44.対象がADに罹患していることを決定するステップおよびAD治療候補薬の臨床試験に対象を登録するステップを含む、実施形態36~41のいずれか1つに記載の方法。
45.AD治療候補薬を対象に投与するステップをさらに含む、実施形態42に記載の方法。
46.第1のリスクカテゴリー、第2のリスクカテゴリー、および第3のリスクカテゴリーヘと対象のADリスクスコアを階層化するステップを含む、実施形態32、33、35および36のいずれか1つに記載の方法。
47.第3のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す、実施形態46に記載の方法。
48.およそ1~2年でADについて対象を再検査するステップをさらに含む、実施形態47に記載の方法。
49.リスクスコアが、対象のADの家族歴をさらに含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
50.リスクスコアが、対象の年齢、性別および教育をさらに含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
51.リスクスコアが、ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーをさらに含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
52.ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーが、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)を含む、実施形態51に記載の方法。
53.ADの遺伝子リスクマーカーがAPO E4を含む、実施形態52に記載の方法。
54.リスクスコアが、認知評価の結果をさらに含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の方法。
55.認知評価が、Alzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態54に記載の方法。
56.対象が30~39歳である、実施形態1~55のいずれか1つに記載の方法。
57.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態56に記載の方法。
58.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態57に記載の方法。
59.対象が40~49歳である、実施形態1~55のいずれか1つに記載の方法。
60.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態59に記載の方法。
61.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態60に記載の方法。
62.対象が50~59歳である、実施形態1~55のいずれか1つに記載の方法。
63.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態62に記載の方法。
64.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態63に記載の方法。
65.対象が60~69歳である、実施形態1~55のいずれか1つに記載の方法。
66.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態65に記載の方法。
67.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態66に記載の方法。
68.対象が70~79歳である、実施形態1~55のいずれか1つに記載の方法。
69.1年または複数年後に実施形態1のステップ(a)および(b)を繰り返すステップをさらに含む、実施形態68に記載の方法。
70.実施形態1のステップ(a)および(b)が、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごとまたは5年ごとに繰り返される、実施形態69に記載の方法。
71.対象からの試料を解析する方法であって、
(a)対象から1つまたは複数の体液試料を得るステップであって、場合により、体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択される、ステップ;
(b)1つまたは複数の体液試料で抗体または抗原アッセイを実施し、少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを測定するステップであって、場合により、タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、糖尿病および/または代謝マーカー、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;
(c)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量値を生成するステップ;
(d)対象と関連する開始データセットに定量値を記憶するステップ;ならびに
(e)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを含む開始ADリスクスコアによって試料をスコア化し、それにより対象からの試料を解析するステップ
を含む、方法。
72.(a)少なくとも1年後に、ステップ(a)から(d)を繰り返すステップ;
(b)対象と関連する後続のデータセットにステップ(g)で生成された定量値を記憶するステップ;および
(c)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーのレベルを含む後続のADリスクスコアによって試料をスコア化するステップ
をさらに含む、請求項71に記載の方法。
73.AD検査の必要がある対象を同定する方法であって、
(a)対象からの体液試料に実施形態72に記載の方法を実施するステップ;
(b)ADのリスクの増加の指標である、開始ADリスクスコアと後続のADリスクスコアの間に変化があるか決定するステップ;および
(c)ADの指標について対象のさらなる検査を実施するステップ
を含む方法。
74.さらなる検査が、PETアミロイドおよび/またはタウスキャン、アミロイドスキャン法、腰椎穿刺アミロイドおよび/またはタウ手順、構造的MRI、神経心理学的検査またはこれらの組合せを含む、実施形態73に記載の方法。
75.神経心理学的検査が1つまたは複数の記憶検査を含む、実施形態74に記載の方法。
76.神経心理学的検査が認知検査を実施するステップを含む、実施形態74または実施形態75に記載の方法。
77.認知検査が、Alzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態76に記載の方法。
78.対象がADを発症するかまたは罹患しているリスクを評価するためのコンピューターで実施される方法であって、1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を有するコンピューターシステムにおいて、
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、糖尿病および/または代謝マーカー、ならびに炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの重みづけしたスコア化システムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップ
の指令を含む、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令を含む、方法。
79.ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態78に記載のコンピューターで実施される方法。
80.少なくとも第1のリスクカテゴリーおよび第2のリスクカテゴリー、ならびに場合により第3のリスクカテゴリーの1つヘと対象のADリスクスコアを階層化するステップをさらに含む、実施形態78または実施形態79に記載のコンピューターで実施される方法。
81.第1のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが低いことを示す、実施形態79に記載のコンピューターで実施される方法。
82.第2のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクがあることを示す、実施形態79または実施形態81に記載のコンピューターで実施される方法。
83.第2のリスクカテゴリーが、対象がADに罹患しているかまたはADを発症するリスクが高いことを示す、実施形態82に記載のコンピューターで実施される方法。
84.第3のリスクカテゴリーヘと対象のADリスクスコアを階層化するステップをさらに含む、実施形態79~83のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
85.第3のリスクカテゴリーが、対象がADを発症するリスクが中程度であることを示す、実施形態84に記載のコンピューターで実施される方法。
86.リスクスコアおよびデータセットが、対象のADの家族歴をさらに含む、実施形態78~85のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
87.リスクスコアおよびデータセットが、対象の年齢、性別および教育をさらに含む、実施形態78~86のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
88.リスクスコアおよびデータセットが、ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーをさらに含む、実施形態78~87のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
89.ADの1つまたは複数の遺伝子リスクマーカーが、APO E4、クラスタリン(CLU)、ソルチリン関連受容体-1(SORL1)、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー7(ABCA7)を含む、実施形態88に記載のコンピューターで実施される方法。
90.ADの遺伝子リスクマーカーがAPO E4を含む、実施形態89に記載のコンピューターで実施される方法。
91.リスクスコアおよびデータセットが、認知評価の結果をさらに含む、実施形態78~90のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
92.認知評価が、Alzheimer‘s Initiative Preclinical Composite Cognitive test(「APCC」)である、実施形態91に記載のコンピューターで実施される方法。
93.リスクスコアが、パーセンテージ、乗数値または絶対スコアとして提供される、実施形態78~92のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
94.対象のリスクスコアがADを発症するリスクが高いことを示す場合、さらなる検査を推奨するユーザーへの告知を提供するステップをさらに含む、実施形態78~93のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
95.タンパク質マーカーが少なくとも4つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
96.タンパク質マーカーが少なくとも5つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
97.タンパク質マーカーが少なくとも6つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
98.タンパク質マーカーが少なくとも7つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
99.タンパク質マーカーが少なくとも8つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
100.タンパク質マーカーが少なくとも9つの血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
101.タンパク質マーカーが少なくとも10個の血液または血清マーカーを含み、前記血液または血清マーカーが、場合により1つまたは複数のCSFタンパク質マーカーと組み合わせて、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、代謝障害マーカー(場合により、糖尿病マーカーである)、および炎症マーカーの少なくとも4つを含む、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法または実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法。
102.1つまたは複数のADリスク因子によって対象のAD状態をモニターするための方法であって、
(a)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第1の時点で第1のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(b)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第2の時点で第2のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(c)第1のADリスクスコアと第2のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したか決定するステップ、
それにより対象のAD状態をモニターするステップ
を含む、方法。
103.(a)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第3の時点で第3のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(b)第3のADリスクスコアと第1のADリスクスコアおよび/または第2のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または対象のADリスクスコアの変化の割合を決定するステップ、
それにより対象のAD状態のモニターを続けるステップ、
をさらに含む、実施形態102に記載の方法。
104.(a)対象からの1つまたは複数の体液試料に実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法を実施するステップおよび第4の時点で第4のADリスクスコアを対象に割り当てるステップ;
(b)第4のADリスクスコアと第1のADリスクスコアおよび/または第2のADリスクスコアおよび/または第3のADリスクスコアを比較して、対象のADリスクスコアが増加したかおよび/または対象のADリスクスコアの変化の割合を決定するステップ、
それにより対象のAD状態のモニターを続けるステップ、
をさらに含む、実施形態103に記載の方法。
105.実施形態78~94のいずれか1つに記載のコンピューターで実施される方法のいずれか1つに従ってADリスクスコアを生成するように構成されたシステム。
106.1つまたは複数の処理装置による実行のための1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令の記憶装置と連結した1つまたは複数の処理装置を含む、実施形態105に記載のシステム。
107.1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な指令が:
(a)複数の患者の記録を含むデータセットを記憶するステップであって、各患者の記録が、対象からの1つまたは複数の体液試料中の少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの定量的データを含み、
(i)体液試料が血液、血清および脳脊髄液(CSF)から選択され;および/または
(ii)タンパク質マーカーが、タウペプチドマーカー、アミロイドペプチドマーカー、神経変性マーカー、糖尿病および/または代謝マーカー、ならびに炎症マーカーの少なくとも4つを含む、ステップ;ならびに
(b)少なくとも4つまたは少なくとも5つのタンパク質マーカーの重みづけしたスコア化システムを使用して対象のADリスクスコアを生成するステップ
の指令を含む、実施形態106に記載のシステム。
108.ADリスクスコアが、統計および/または人工知能ベースのアルゴリズムを使用して生成される、実施形態107に記載のシステム。
8.参照の引用
【0193】
様々な特定の実施形態が例示および記載されるが、本開示(複数可)の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることが理解されるであろう。
【0194】
本出願に引用した全ての論文、特許、特許出願および他の文献は、それぞれの論文、特許、特許出願または他の文献が、全ての目的のために参照により組み込まれることが個々に示されたのと同程度まで全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と本開示に組み込まれる1つまたは複数の参照の教示の間に矛盾がある場合には、本明細書の教示が意図される。
【国際調査報告】