(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】腐蹄症の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20231201BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231201BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231201BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231201BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231201BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231201BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P43/00 171
A61K9/08
A61K9/10
A61K47/10
A61K47/12
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533739
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2021083899
(87)【国際公開番号】W WO2022117701
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヴェットラート,ルイス・フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】マルケス・ド・モライス,マウリシオ
(72)【発明者】
【氏名】チウムモ,ラファエル・マリン
(72)【発明者】
【氏名】デ・オリベイ・ラアリエロ・アマラル,エイトル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076BB11
4C076BB37
4C076CC32
4C076DD38
4C076DD43
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC61
(57)【要約】
本発明は、腐蹄症の治療及び予防のための、チルジピロシンを含む注射用医薬組成物の新規な使用である。単一皮下用量のチルジピロシンの使用が、自然発生の腐蹄症を効果的に治療することが示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウシ動物における腐蹄症の治療及び/又は予防での使用のための、チルジピロシン、それの塩又は溶媒和物及び薬学的に許容される担体を含む注射用医薬組成物。
【請求項2】
前記薬学的に許容される担体が1以上の賦形剤を含む、請求項1に記載の注射用医薬組成物。
【請求項3】
前記注射用医薬組成物が溶液又は懸濁液である、請求項1~2のいずれか1項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項4】
前記注射用医薬組成物が溶液である、請求項3に記載の注射用医薬組成物。
【請求項5】
前記賦形剤が1以上の溶媒である、請求項4に記載の注射用医薬組成物。
【請求項6】
前記溶媒がプロピレングリコール、水又はそれらの混合物である、請求項5に記載の注射用医薬組成物。
【請求項7】
前記チルジピロシンが遊離塩基の形態である、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項8】
前記注射用医薬組成物がさらに酸を含む、請求項7に記載の注射用医薬組成物。
【請求項9】
前記酸がクエン酸である、請求項8に記載の注射用医薬組成物。
【請求項10】
前記チルジピロシンの用量が約1mg/動物体重kg~約10mg/動物体重kg、又は約3mg/kg~約7mg/kg、又は好ましくは約4mg/kgである、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項11】
前記チルジピロシンの濃度が、約10重量/体積%~約25重量/体積%、約15重量/体積%~約20重量/体積%、好ましくは18重量/体積%である、請求項4に記載の注射用医薬組成物。
【請求項12】
ウシ動物における腐蹄症の治療及び/又は予防での使用のための注射用医薬組成物であって、当該組成物のmLあたり、
a)遊離塩基としてのチルジピロシン180mg;
b)クエン酸1水和物82.5mg;
c)プロピレングリコール400mg;及び
d)適当量の水
を含む注射用医薬組成物。
【請求項13】
前記注射用医薬組成物が懸濁液である、請求項3に記載の注射用医薬組成物。
【請求項14】
チルジピロシンの塩又は溶媒和物を含む、請求項13に記載の注射用医薬組成物。
【請求項15】
前記使用が単回注射である、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ウシの腐蹄症は、趾間領域の結合組織に影響を及ぼす壊死性疾患であり、細菌、主にフソバクテリウム・ネクロホラム(Fusobacterium necrophorum)によって引き起こされる。腐蹄障害は、ヒツジ、ヤギ及びブタにもよく見られる。これらの障害により、動物の足、具体的には罹患動物の二趾の間の領域が腐ってしまう。それらはひどい痛みを伴い、伝染性がある。足の感染症は動物の生産性と生殖能力に影響を及ぼし、特に集中フィードロットシステムで飼育されている動物に多大な経済的損失を引き起こす。
【0002】
チルジピロシンは半合成マクロライド系抗生物質であり、Zuprevo(登録商標)の有効成分である。チルジピロシンのIUPAC名は(4R,5S,6S,7R,9R,11E,13E,15R,16R)-6-[(2R,3R,4S,5S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3,5-ジヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル]オキシ-16-エチル-4-ヒドロキシ-5,9,13-トリメチル-7-(2-ピペリジン-1-イルエチル)-15-(ピペリジン-1-イルメチル)-1-オキサシクロヘキサデカ-11,13-ジエン-2,10-ジオンであり、その構造は下記のものである。
【0003】
【0004】
Zuprevo(登録商標)は、ウシ呼吸器疾患の治療と予防のための、半合成マクロライド系抗生物質である18%チルジピロシンを含む即時使用滅菌注射液である。Zuprevo(登録商標)の各1mLには、遊離塩基としてのチルジピロシン180mg、クエン酸1水和物82.5mg及びプロピレングリコール400mg、及びpHを調節するために加えられたクエン酸1水和物を含む適量の水が含まれている。この医薬組成物は、チルジピロシンに感受性であるマンヘミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)及びヒストフィルス・ソムニ(Histophilus somni)に関連するウシ呼吸器疾患(BRD)の治療及び予防に使用される。Freedom of Information, NADA 141-334, May14, 2012を参照する。
【0005】
Zuprevo(登録商標)4%チルジピロシン注射液は、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)及びヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)に関連するブタ呼吸器疾患(SRD)の治療に使用可能である。この溶液は、40mg/mLの濃度での遊離塩基としてのチルジピロシン、プロピレングリコール、クエン酸1水和物、及び水を含んでいる。EPAR Summary for the Public, EMA/166222/2011、2015年2月改訂を参照する。
【0006】
WO2008/012343には、チルジピロシンの製造方法が開示されている。WO2009/013351には、溶媒和型又は非溶媒和型のチルジピロシンが開示されている。米国特許第6,514,946号には、チルジピロシンの構造及びそれの各種家畜及び家禽の疾患の治療のためのそれの使用が開示されている。
【0007】
最近の研究で、健常な仔ヒツジにチルジピロシンを単回皮下投与した後、チルジピロシンが急速に吸収され、ゆっくりと排出されることが明らかになっている。チルジピロシンがヒツジでの呼吸器細菌感染症の治療及び予防に使用できる可能性があることが提案された(Abu-Basha, EA, et al., Pharmacokinetics and bioavailability of tildipirosin following intravenous and subcutaneous administration in sheep. J vet Pharmacol Therap. 2020;00:1-7. https://doi.org/10.1111/jvp.12901を参照する。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2008/012343
【特許文献2】WO2009/013351
【特許文献3】米国特許第6,514,946号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Freedom of Information, NADA 141-334, May14, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの参考文献のいずれも、腐蹄症を治療又は予防するためのチルジピロシンの使用を開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1実施形態は、動物における腐蹄症の治療及び/又は予防に使用するための、チルジピロシン、それの塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容される担体を含む注射用医薬組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】チルジピロシン群及び対照群の跛行データを提供する図である。
【
図2】チルジピロシン群及び対照群の病変データを提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、腐蹄症の治療及び予防のための、チルジピロシンを含む注射用医薬組成物の新規な使用である。単一皮下用量の体重(BW)1kg当たりチルジピロシン4mgの用量でのチルジピロシン注射液の使用は、自然に発生する腐蹄症を効果的に治療することが実証されている。
【0014】
腐蹄症の治療は、肥育場での閉じ込め飼育されているウシなどの集中飼育されている肉牛において役立つ。
【0015】
その治療は、蹄の病変や跛行を軽減し、感染を軽減し、F.ネクロホラム(F.necrophorum)などの細菌による新たな感染を予防することを意図するものである。本発明は、農場生産性及び動物福祉に大きな影響を与える可能性がある。本発明は、動物を拘束する必要性を軽減する単回処理からなるため、農場管理にとって好都合である。さらに、チルジピロシンはウシ呼吸器疾患(BRD)の治療及び予防にも使用されるため、集中飼育肉牛についての最も重要な疾患の二つを単回処置で抑制するのに役立ち得る。
【0016】
本発明はまた、ウシについて上述のものと、投与の利便性、及び単回処置で二つの疾患の治療又は予防という同じ利点で、ブタにおける腐蹄症の治療にも有用である。
【0017】
本発明の1実施形態は、動物における腐蹄症の治療及び/又は予防で使用するための、チルジピロシン、それの塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容される担体を含む注射用医薬組成物である。
【0018】
本発明の1実施形態では、薬学的に許容される担体は、1以上の賦形剤を含む。
【0019】
本発明の1実施形態では、注射用医薬組成物は溶液又は懸濁液である。
【0020】
本発明の1実施形態では、注射用医薬組成物は溶液である。
【0021】
本発明の1実施形態では、賦形剤は1以上の溶媒である。
【0022】
本発明の1実施形態では、溶媒は、プロピレングリコール、水又はそれらの混合物である。
【0023】
本発明の1実施形態では、チルジピロシンは遊離塩基の形態である。
【0024】
本発明の1実施形態では、医薬組成物はさらに、酸、好ましくはクエン酸を含む。
【0025】
本発明の1実施形態では、チルジピロシンの用量は、約1mg/kg~約10mg/動物体重kg、又は約3mg/kg~約7mg/kg、又は好ましくは約4mg/kgである。
【0026】
本発明の1実施形態では、動物はヒツジ、ヤギ、ウシ又はブタ、好ましくはウシである。
【0027】
本発明の別の実施形態では、動物はブタである。
【0028】
本発明の別の実施形態では、動物はヒツジである。
【0029】
本発明の別の実施形態では、動物はヤギである。
【0030】
本発明の1実施形態では、チルジピロシンの濃度は、約10重量/体積%~約25重量/体積%、又は約15重量/体積%~約20重量/体積%、又は好ましくは18重量/体積%である。
【0031】
本発明の1実施形態では、チルジピロシンの濃度は、約0.1重量/体積%~約9.9重量/体積%、又は約2重量/体積%~約6重量/体積%、又は好ましくは4重量/体積%である。
【0032】
本発明の1実施形態は、動物における腐蹄症の治療及び/又は予防での使用のための注射用医薬組成物であって、組成物の各1mLが、
a)遊離塩基としてのチルジピロシン180mg;
b)クエン酸1水和物82.5mg;
c)プロピレングリコール400mg;及び
d)適当量の水
を含む注射用医薬組成物である。
【0033】
本発明の1実施形態では、動物はウシである。
【0034】
本発明の1実施形態では、注射用医薬組成物は懸濁液である。
【0035】
本発明の1実施形態では、注射用医薬組成物はチルジピロシンの塩又は溶媒和物を含む。
【0036】
本発明の別の実施形態は、動物での腐蹄症の治療方法であって、有効量のチルジピロシンを含む医薬組成物を動物に投与することを含む方法である。
【0037】
別の実施形態では、医薬組成物は静脈投与される。
【0038】
別の実施形態では、当該方法は、医薬組成物の単回投与を含む。
【0039】
別の実施形態では、チルジピロシンの有効量は、約1mg/kg~約10mg/動物体重kgである。
【0040】
別の実施形態では、チルジピロシンの有効量は約3mg/kg~約7mg/kg、好ましくは約4mg/kgである。
【0041】
別の実施形態では、動物はヒツジ、ヤギ、ウシ又はブタである。
【0042】
別の実施形態では、医薬組成物はさらに1以上の賦形剤を含む。
【0043】
別の実施形態では、チルジピロシンは遊離塩基の形態である。
【0044】
別の実施形態では、医薬組成物は、プロピレングリコール、水又はそれの混合物から選択される溶媒を含む。
【0045】
別の実施形態では、医薬組成物は酸を含む。
【0046】
別の実施形態では、酸はクエン酸である。
【0047】
別の実施形態では、使用は、単回注射である。
【実施例】
【0048】
本試験では、自然発生の腐蹄症に対して体重(BW)1kg当たり有効成分4mgの単単一用量を皮下投与された、ウシ動物で使用されるチルジピロシン注射液(Zuprevo(登録商標))の効力を実証するものであった。
【0049】
動物30頭を対照群に登録し、別の動物30頭をチルジピロシン処理群に登録した。チルジピロシン処置群には単一用量を皮下投与し、対照群は滅菌生理食塩水で処置した。両群(処置群及び対照群)とも、代表的なブラジル肥育場条件下で同じ放牧場で飼育した。
【0050】
選択基準を満たす使用可能な動物の数にしたがって、動物60頭を二つの異なる相で試験に参加させた。試験は盲検とした。すなわち、跛行を含む処置後臨床評価を行う試験担当者には、処置の割り当てを知らせなかった。動物は無作為化し、両方の参加日(合計60頭の動物について、二つの参加日があった。)でそれぞれ動物2頭の15ブロックにしたがって処置群全体に均等分布させた。
【0051】
腐蹄症の処置についてのチルジピロシンの有効性を、第7日の生理食塩水処理対照群に対するチルジピロシン処置群における処置の奏功/改善の割合を比較することによって評価した。
【0052】
治療前後に異常な健康所見はなかった。チルジピロシン投与群の動物1頭で第7日に足の爪が折れるという有害事象が1件認められた。研究者によると、その有害事象はチルジピロシン投与とは関係がなく、その動物は試験から除外された。
【0053】
跛行及び病変の評点を、下記の表1及び2に記載している。
【0054】
表1:跛行評点指針
【0055】
【0056】
表2:病変評点指針
【0057】
【0058】
動物の病変及び跛行スコアを、試験の第-1日と第0日に研究者が評価した。試験の有効性部分を評価するため、下記の基準を満足することで、動物を腐蹄症と診断した。
【0059】
・2日連続で少なくとも片足の跛行スコアが≧3。
・2日連続で少なくとも片足の病変スコアが≧2。
・臨床的に健常(跛行を除く)
・体重(体重348~499kg)
・動物齢(20~24ヶ月)
【0060】
第0日に、処置前に、登録された牛の感染した蹄から細菌学サンプルを採取した。病変及び跛行も第2、4及び7日に評価した。処置の奏功、改善又は不首尾を第7日に決定し、それは第0日と比較した跛行及び病変スコアに基づいた。第7日に、別の細菌学サンプルを全動物から採取した。
【0061】
細菌学サンプルは、登録された牛の感染蹄の健常組織及び壊死組織の境界(蹄病変の周囲)から滅菌スクレーパー及び滅菌綿棒に採取した。病変からの排出物を含むスクレーパーの先端を、嫌気性細菌専用に配合された半固体輸送培地7mLの入った15mL管に折り取って入れ、スワブは半固体輸送に出した。試験管は実験室に到着するまで冷蔵(4~8℃)下に保管した。実験室では、F.ネクロホラム(F.necrophorum)及びディケロバクター・ノドサス(Dichelobacter nodosus)の単離に適した培地でサンプルを増殖させた。単離株は、F.ネクロホラム(F.necrophorum)及びD.ノドサス(D.nodosus)種に特異的な確認生化学試験及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて同定した。
【0062】
チルジピロシン処置群は、跛行及び病変の両方の症状スコアの低下を示した。処置群では、第0日に、動物の平均跛行スコアは3.1であった。この群の跛行スコアは、第7日に1.3まで低下した。病変スコアについては、処置群動物の第0日での平均スコアは2.3であり、それが第7日にはスコア1.9まで低下した。対照的に、第0日での対照群の平均跛行スコア3.1は第7日には2.4までしか低下しなかった。第0日でのそれらの平均病変スコア2.3は、第7日はスコア2.4まで若干上昇した。
【0063】
図1は跛行スコアデータを提供するものである。処置群と対照群の両方が同じ平均スコアであった(3.1)。処置後、各群は異なる行動をとった。チルジピロシン処置動物のスコアは1.3まで低下したが、対照群のスコアは2.4に留まった。
図1に示すように、チルジピロシン処置により、チルジピロシン処置動物におけるスコア評価が向上したことは明らかである。
【0064】
図2は病変スコアデータを示している。治療前、病変スコアは両群で同様で、チルジピロシン治療群(2.3)及び対照群(2.2)であった。しかしながら、第7日の評価後の各群の行動には目に見える違いがあった。対照群では病変スコアが上昇し(2.4)、言い換えれば悪化したが、チルジピロシン処置動物では病変スコアは低下し(1.9)、臨床的解決により近くなっている。
【0065】
細菌評価は結論的ではなかったが、いずれも対照群と比較して、処置投与前にフソバクテリウム・ネクロホラム(Fusobacterium necrophorum)のPCR同定が陽性であったチルジピロシン処置動物の処置後に陰性になった数がより多く、以前は陰性であったチルジピロシン処置動物の陽性となった数がより少なかった。
【国際調査報告】