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特表2023-551584放射体及び少なくとも1つの放射線源を有するシステムにおける安全アルゴリズムの適用
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  • 特表-放射体及び少なくとも1つの放射線源を有するシステムにおける安全アルゴリズムの適用 図1
  • 特表-放射体及び少なくとも1つの放射線源を有するシステムにおける安全アルゴリズムの適用 図2
  • 特表-放射体及び少なくとも1つの放射線源を有するシステムにおける安全アルゴリズムの適用 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】放射体及び少なくとも1つの放射線源を有するシステムにおける安全アルゴリズムの適用
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539949
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021087824
(87)【国際公開番号】W WO2022152568
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151294.2
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ルーラント ブードウェン
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バルト アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ニーセン エドゥアルド マテウス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス ペーター
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
(57)【要約】
放射体10と、少なくともUV放射を含む放射線21を放射するように構成された放射線源20と、放射体10内の内部放射強度を検出するように構成された検出器30と、コントローラ装置40とを有するシステム1において、コントローラ装置40は、放射体10の放射出射ウィンドウ11に接触するオブジェクト2によって引き起こされる外乱事象の発生後に安全アルゴリズムを適用するように構成される。安全アルゴリズムは、評価インターバルによって分離された評価期間中に放射線源20を評価状態に設定すること、そうでなければ放射線源20を適合状態に設定することと、放射線源20を通常状態に復帰させることが安全であるかどうかを評価するために、評価期間中の内部放射強度の値を決定することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、当該システムは、
放射線出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は少なくともUV放射を含む放射線を受け取るように構成され、前記放射線出射ウィンドウが前記放射線の少なくとも一部を前記放射体の外部へと通過させることができる、放射体と、
前記放射線を提供するように構成される少なくとも1つの放射線源と、
前記放射体内の内部放射強度を検出するように構成される少なくとも1つの検出器と、
前記少なくとも1つの放射線源および前記少なくとも1つの検出器に機能的に結合されるコントローラ装置とを有し、
前記コントローラ装置が、
デフォルトとして動作レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する通常状態に前記少なくとも1つの放射線源を設定し、前記少なくとも1つの検出器により検出される前記内部放射強度の変化を伴う外乱事象の発生後に前記動作レベルに対して低減された適応レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する適応状態に前記少なくとも1つの放射線源を設定するように構成され、
前記適応レベルに対して増加した評価レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する評価状態に、評価インターバルにより分離された評価期間の間、前記少なくとも1つの放射線源を設定すること、
前記評価期間外において前記適応レベルに前記少なくとも1つの放射線源を設定すること、
前記評価期間中の前記内部放射強度の値を決定すること、
を含む安全アルゴリズムを外乱事象の発生後に適用するように構成され、
前記内部放射強度の前記値が評価基準値の範囲内にある場合に、前記安全アルゴリズムを中止し、前記少なくとも1つの放射線源を前記通常状態に復帰させるように構成される、
システム。
【請求項2】
前記コントローラ装置が、前記内部放射強度の値が安全基準値の範囲外にあるとき、および/または、前記内部放射強度の所定の方向における変化が外乱基準レートより高いレートで発生したときに外乱事象の発生を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラ装置が、前記安全基準値の範囲を調整することができるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記安全アルゴリズムが、外乱事象の発生の直前の期間の間に検出された前記内部放射強度の先行値に基づいて前記先行値および許容範囲ウィンドウを含むように前記安全基準値の範囲を調整するステップを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラ装置が、較正インターバルによって分離された較正期間の間に前記内部放射強度の較正値を決定すること、および、前記内部放射強度の前記較正値に基づいて、前記較正値および許容範囲ウィンドウを含むように、前記安全基準値の範囲を調整することを含む較正アルゴリズムを適用するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記較正インターバルが等しい期間である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記安全アルゴリズムが、連続する評価インターバルの持続時間を次第に長くすることを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記評価期間の各々が、当該評価期間に先行する前記評価インターバルより少なくとも1000倍短い、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記適応状態における前記少なくとも1つの放射線源により提供される前記放射線の前記強度の前記適応レベルがゼロレベルである、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
互いに距離を置いて前記放射体内に配置される少なくとも2つの放射線源、および/または、互いに距離を置いて前記放射体内に配置される少なくとも2つの検出器を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記放射体が材料のスラブを有し、前記少なくとも2つの放射線源および/または前記少なくとも2つの検出器が前記材料のスラブに埋め込まれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステムを有するオブジェクトであって、当該システムの前記放射体の前記放射線出射ウィンドウが、前記オブジェクトの外側に配置される、オブジェクト。
【請求項14】
家電製品、家具、建物の構造部材、車両の構造部材、衛生部品、医療機器およびこれらのコンポーネントを含むグループから選択される、請求項13に記載のオブジェクト。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステムを既存のオブジェクトに追加する方法であって、前記システムの前記放射体が前記既存のオブジェクトの外側表面に適用される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は少なくともUV放射を含む放射線を受けるように構成され、前記放射出射ウィンドウは放射線の少なくとも一部を放射体の外部に通過させることができる、放射体と、放射線を提供するように構成された少なくとも1つの放射線源と、放射体内の内部放射強度を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、少なくとも1つの放射線源および少なくとも1つの検出器に機能的に結合されたコントローラ装置とを有するシステムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、システムの放射体の放射線出射ウィンドウがオブジェクトの外側に配置される、前述のシステムを有するオブジェクトに関する。
【0003】
さらに、本発明は、前述のシステムを既存のオブジェクトに追加する方法に関し、システムの放射体は、既存のオブジェクトの外面に適用される。
【背景技術】
【0004】
WO 2018/215272 A1は、導波路素子と、光学センサと、制御システムとを備えるシステムを開示している。導波路素子は、放射線出射ウィンドウを有し、導波路素子はi)放射線を受け取るように構成され、放射線は少なくともUV放射を行美、ii)放射線出射ウィンドウを介して、放射線の少なくとも一部を導波路素子の外部に放射するように構成され、iii)放射線出射ウィンドウにおいて放射の一部を内部反射するように構成される。光学センサは、内部反射放射線の内部反射強度を感知するように構成される。制御システムは、光学センサに機能的に結合され、経時的な内部反射強度の低減が所定の第1の閾値に達することに応じて、放射線の強度を低減するように構成される。
【0005】
WO 2018/215272 A1は、UV放射が放射線出射ウィンドウ上に存在し得る微生物を死滅させるために、または微生物を不活性にするか、または再生できないようにするために使用されることを教示している。微生物の実例は細菌である。UV放射を使用する殺菌効果は、主に、UV放射の総線量によって決定される。UV放射を使用する状況では、ヒトを含む高等生物がUV放射を受ける位置にある場合、特に、高等生物が放射線出射面に物理的に接触することが可能である場合、特定の措置を講じる必要があるだろう。
【0006】
既知のシステムの動作中、あるオブジェクトがウィンドウに接触した場合、放射線は、放射線出射ウィンドウを介して導波路素子の外に結合される。このアウトカップリングは、導波路素子の内部に留まる放射線が少なくなることを意味し、(総)内部反射のフラストレーションとも呼ばれる。したがって、光学センサを用いて内部反射放射線の内部反射強度をモニタすることにより、何らかのオブジェクト、特に人間の手や指などの微生物よりもかなり大きい一部のオブジェクトがウィンドウに触れている状況を検出することができる。光学センサによって提供される信号においてかなりのステップが観察されるとき、これは、比較的大きなオブジェクトがウィンドウに接触していることを意味すると推測される。そのような状況における安全性を保証するために、放射線が少なくとも一時的に遮断される必要があることが決定され得る。
【0007】
とりわけ、WO 2018/215272 A1の主題である発明は、システムを含むオブジェクトを提供し、オブジェクトは外部表面を有し、システムの導波路素子の放射線出射ウィンドウは、外部表面の少なくとも一部として構成される。そのようなオブジェクトの例としては、ドアノブ、蛇口のノブ、トイレノブ、トイレの座席、手すり、台所のまな板、台所の壁、テーブル、または(他の)共通(家庭用)オブジェクト、すなわち、家庭またはオフィスなどで使用されるように特に設計されたオブジェクトが挙げられる。このようなオブジェクトの更なる例としては、クリーンルーム壁、ならびに手術台および手術室壁などの医療装置が挙げられる。WO 2018/215272 A1の主題である発明のそのような可能な実用的なアプリケーションの全ての文脈において、外部表面が殺菌状態に保たれる一方で、プロセスにおいて使用されるUV放射が、ヒトなどの高等生物に害を引き起こす可能性がある状況を回避する必要があることが重要である。
【0008】
一般的に言えば、WO 2018/215272 A1から知られているようなシステムを適用することは、表面の殺菌が汚染の回避に寄与するような状況において有益である。このような状況は、公共空間、作業環境、および家庭環境を含む、あらゆる種類の環境において起こり得る。例えば、殺菌措置が適用されない場合、公共空間内の制御ボタン及びタッチスクリーンは、制御ボタン及びタッチスクリーンを介して感染性疾患の移転が起こり得るので、健康リスクを伴うスポットを構成する。細菌およびウイルスは、第1の人によって制御ボタンまたはタッチスクリーン上に残され、その後、次の人によって拾われ、それによって、第1の人によって運ばれる疾患が広がる可能性がある。制御ボタンおよびタッチスクリーンの公共使用は、制御ボタンおよびタッチスクリーンがエレベータ、ATM機、注文端末、決済端末、および自動販売機などの多くのタイプのデバイスに見られるという事実に鑑みて、一般的である。
【0009】
上記で説明したように、WO 2018/215272 A1から知られているシステムは、放射線がウイルスまたは細菌粒子などの任意の形態の汚染が存在する導波路素子上のまさにその位置で導波路素子から外に結合されるので、表面の殺菌に有効である。しかし、接触位置において放射線を取り出すという同じ原理は、接触の検出および放射線の遮断のための方策がない場合、導波路素子に接触する人間のUV放射線への潜在的に安全でない曝露を引き起こす。本発明の文脈において、この方策を実際に実施する有用な態様を開発する必要があることが認識される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は一方では放射体の放射線出射ウィンドウの位置で殺菌結果を効果的に得ることと、他方では少なくとも1つの放射線源によって提供されるUV放射線への有害な曝露から人間および他の高等生物を保護することとの間の適切なバランスが実現されるように、放射体および少なくとも1つの放射線源を備えるシステムを設計することである。本発明の文脈において、放射体は必ずしもWO 2018/215272 A1に開示された導波路素子と同じである必要はなく、特に、必ずしも放射線ガイド機能を有する必要は無く、その点で(全)内部反射現象に依存するように構成される必要はないが、本発明はそのような導波路素子の使用を含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述に鑑みると、本発明はシステムを提供し、当該システムは、放射線出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は、少なくともUV放射を含む放射線を受け取るように構成され、放射線出射ウィンドウは、放射線の少なくとも一部が放射体の外部に通過することを可能にすることができる、放射体と、放射線を提供するように構成される少なくとも1つの放射線源と、放射体内の内部放射強度を検出するように構成される少なくとも1つの検出器と、前記少なくとも1つの放射線源および前記少なくとも1つの検出器に機能的に結合されたコントローラ装置であって、少なくとも1つの放射線源がデフォルトとして動作レベルの強度で放射線を提供する通常状態に少なくとも1つの放射線源を設定し、前記少なくとも1つの検出器によって検出される内部放射強度の変化を伴う外乱事象の発生後に、前記少なくとも1つの放射線源が前記動作レベルに対して低減される適合レベルの強度で放射線を提供する適応状態に前記少なくとも1つの放射線源を設定し、外乱事象の発生後に、安全アルゴリズムであって、評価インターバルによって分離された評価期間中に、前記少なくとも1つの放射線源が前記適応レベルに対して増加された評価レベルの強度で放射線を提供する評価状態に少なくとも1つの放射線源を設定し、前記評価期間外において、前記少なくとも1つの放射線源を適応状態に設定し、評価期間中の内部放射強度の値を決定することを含む安全アルゴリズムを適用し、前記内部放射強度の値が評価基準値の範囲内にある場合に、安全アルゴリズムを中止して、前記少なくとも1つの放射線源を通常状態に復帰させるように構成されるコントローラ装置と、を有する。
【0012】
上記から、本発明によるシステムは、i)放射出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は少なくともUV放射を含む放射線を受けるように構成され、放射出射ウィンドウは放射線の少なくとも一部を放射体の外部に通過させることができる放射体と、ii)放射線を提供するように構成される少なくとも1つの放射線源と、iii)放射体内の内部放射強度を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、iv)少なくとも1つの放射線源および少なくとも1つの検出器に機能的に結合されたコントローラ装置とを有する。コントローラ装置は、少なくとも1つの放射線源を通常状態にデフォルトとして設定し、外乱事象の発生後に少なくとも1つの放射線源を適応状態に設定するように構成される。このようにして、外乱事象の発生が、放射線出射ウィンドウが人間の手または指のような比較的大きなオブジェクトによって接触されていることを示すと仮定すると、コントローラ装置は、デフォルトとして放射線出射ウィンドウの消毒を可能にし、適切なときはいつでも放射線が提供される強度を低減する安全対策を実施するように構成される。適応状態において少なくとも1つの放射線源によって提供される放射線の強度の適応レベルはゼロレベルであってもよいが、これは本発明の文脈において必要ではない。
【0013】
本発明の注目すべき態様によれば、コントローラ装置は、外乱事象の発生後に安全アルゴリズムを適用するように構成される。安全アルゴリズムは、少なくとも1つの放射線源の適応状態が維持される必要があるかどうか、または少なくとも1つの放射線源の通常状態が回復され得るかどうかを決定するために、外乱事象に起因する状況が依然として存在するかどうかを評価する反復的な方法を提供する。そのために、安全アルゴリズムは、評価インターバルによって分離された評価期間中に少なくとも1つの放射線源を評価状態に設定すること、評価期間外において少なくとも1つの放射線源を適応状態に設定することを含み、さらに、評価期間中に内部放射強度の値を決定することを含み、コントローラ装置は、内部放射強度の値が評価基準値の範囲内にあるとき、安全アルゴリズムを中止し、少なくとも1つの放射線源を通常状態に復帰させるように構成される。したがって、システムを動作させる有効かつ安全な方法が実現され、少なくとも1つの放射線源がデフォルトとして通常状態に設定され、外乱事象の発生後に少なくとも1つの放射線源が適応状態に設定され、少なくとも1つの放射線源の適応状態は外乱事象が続く限り維持される。少なくとも1つの放射線源が通常状態に復帰され得るかどうかを反復的に評価し、内部放射強度の値が評価期間において評価基準値の範囲内であることを評価が実証するときに、少なくとも1つの放射線源を通常状態に復帰させることによって、システムが殺菌動作を実行することが有効であり得る時間が最適化されることが達成され、外乱事象の原因が取り除かれた直後に殺菌動作が再開され得ることが特に有利である。また、本発明の利点は、システム内に追加のコンポーネントを必要とせずに安全アルゴリズムを適用することができることであり、その結果、システムの複雑さもコストも増加しない。
【0014】
実現可能なオプションによれば、外乱事象の発生は、内部放射強度の値が安全基準値の範囲外であるように見えるとき、および/または、所定の方向への内部放射強度の変化が、外乱基準レートよりも高いレートで行われるときに、決定される。本発明は、内部放射強度の変化の基礎となり得る、システムの構成、特に放射体の形状に関連する様々なオプションをカバーし、放射体を出る放射線の増加に起因するそのような変化のオプション、放射体内へと反射される放射線の増加に起因するそのような変化のオプション、および出射する放射線の変化と入ってくる放射線の変化との組み合わせに起因するそのような変化のオプションを含む。
【0015】
本発明によるシステムの有利な実施形態では、コントローラ装置は、安全基準値の範囲の調整を可能にするように構成される。この点に関して、1つの実現可能なオプションによれば、安全アルゴリズムは、外乱事象の発生の直前の期間中に検出された内部放射強度の先行値に基づいて、当該先行値および許容範囲ウィンドウを含むように安全基準値の範囲を調整するステップを含む。このようにして、安全基準値の範囲が、外乱事象のまさにその時点でのシステムの実際の構成を表すことを保証することができる。あるいは、別の実行可能なオプションによれば、コントローラ装置は、較正インターバルによって分離された較正期間中に内部放射強度の較正値を決定することを伴う較正アルゴリズムを適用するように構成され、較正値および公差を含むように、内部放射強度の較正値に基づいて安全基準値の範囲を調整することを伴う。較正インターバルは等しい期間であってもよく、例えば、24時間隔であってもよく、システムの実用的用途に応じて、較正アルゴリズムが実行される時間は、好ましくは放射線出射ウィンドウが人間のようなより高い生物によって接触される機会が最小からゼロである時間に設定される。システムの多数の実行可能なアプリケーションでは、これは例えば、午前3時などの時間が較正アルゴリズムを実行するのに適切であり得ることを意味し得る。
【0016】
本発明によってカバーされる安全基準値の範囲を調整する別のまたは追加の方法は、その目的のためにユーザ入力を受信するためのユーザインタフェイスを有することを含む。さらに、本発明は、固定システム設定である安全基準値範囲のオプションにも関することに留意されたい。いずれにせよ、基準範囲及び//又は基準レートを表す情報はデータベース等に記憶されることができ、安全アルゴリズムは、そのような情報をデータベース等から取り出すステップを含むことができる。自動較正を行うことは有利であるが、本発明はまた、ユーザ入力に基づいて開始される較正期間中に内部放射強度の較正値を決定することを含む較正アルゴリズムを適用するように構成されるコントローラ装置のオプションを含む。
【0017】
安全アルゴリズム、特に評価インターバルの持続時間に関して、安全アルゴリズムが、次第に長くなる持続時間の連続する評価インターバルを含む場合、有利であり得ることに留意されたい。例えば、ドアノブの状況では、最初の評価インターバルは1秒間続くことができる。少なくとも1つの放射線源が通常状態にその時点で復帰することができないことを評価が実証する場合、より長い持続時間の1つまたは複数のさらなる評価インターバルを適用することができ、最初の評価インターバルはドアノブが短時間だけ接触される通常の状況を考慮すると適切であり、更なる評価の必要性は、ドアノブがより長い時間にわたって保持されるより一般的でない状況を示す。また、本発明は、本発明によるシステムの意図された用途に応じて、評価インターバルの持続時間を選択する可能性を提供する。例えば、評価インターバルは、一般に、人はコーヒーを回収した後にコーヒーマシンから立ち去り、人はしばらくの間エレベータの制御パネルの近くに留まると仮定すると、エレベータのボタンの状況におけるよりもコーヒーマシンのボタンの状況においてより短くなるだろう。
【0018】
放射体の放射線出射ウィンドウに接触する人間又は他の高等生物の安全性を保証するために、全ての状況下で、評価期間中にも、評価期間の各々が、評価期間に先行する評価インターバルよりも少なくとも1000倍短い場合が有利である。1秒の評価インターバルの例では、これはわずか1ミリ秒の評価期間の持続時間を意味する。そのような短時間の間にUV放射の強度のレベルを増加させることは、いかなる形でも健康上のリスクをもたらさない。
【0019】
評価状態において少なくとも1つの放射線源によって提供される放射線の強度の評価レベルは動作レベルであってもよく、これは評価状態において少なくとも1つの放射線源によって提供される放射線の強度の評価レベルが適応レベルと動作レベルとの間にあることも可能であるという事実を変更しない。後者は、放射線出射ウィンドウが1つ以上の評価期間中に依然として接触されることが起こり得るので、安全性の観点から好ましいだろう。評価状態において少なくとも1つの放射線源によって提供される放射線の強度の評価レベルが動作レベルであり、コントローラ装置が先に示唆されたように、外乱事象の発生を判定するプロセスにおいて安全基準値の範囲を適用するように構成される場合、評価基準値の範囲は、安全基準値の範囲であってもよい。
【0020】
システム内の放射線源の数および検出器の数は、自由に選択することができる。放射体の構成および放射出射ウィンドウのサイズに応じて、システムが、放射体内に互いに距離を置いて配置される少なくとも2つの放射線源、および/または、放射体内に互いに距離を置いて配置される少なくとも2つの検出器を備える場合、有利であり得る。また、1つの検出器位置に、またはほぼ同じ検出器位置に、2つ以上の検出器を有することが可能であり、検出器が、異なる/反対方向からの放射線を検出するように構成および配置される場合、実用的であり得る。放射体が材料のスラブを含み、少なくとも2つの放射線源および/または少なくとも2つの検出器が材料のスラブに埋め込まれている場合、実用的であり得る。材料のスラブの材料は、例えばシリコーンであることができる。少なくとも1つの放射線源は、例えばLED、特にUV-C LEDであってもよい。そのような場合、少なくとも1つの検出器は、例えば、LEDを放射線検出器として使用することが可能であるという事実を考慮して、同じLEDを含むことができ、コントローラ装置が時々放射線源状態ではなく検出器状態にLEDを置くように構成されるか、または少なくとも1つの検出器が任意の適切なタイプの別個の放射線検出器を含むことができる場合、実用的である。
【0021】
本発明はまた、システムの放射体の放射線出射ウィンドウがオブジェクトの外側に配置される、本明細書で前述したようなシステムを備えるオブジェクトに関する。このようなオブジェクトの例としては、WO 2018/215272 A1から公知のシステムに関して前述した例の全てが挙げられる。一般に、オブジェクトは、家庭用電化製品、家具、建物および車両のコンポーネント、衛生部分、医療装置ならびに前述のすべてのコンポーネントを含むグループから選択され得る。オブジェクトは、人間、特に異なる人間によって定期的かつ一時的に接触されることを特に意図されたドアノブ、制御ボタン、タッチスクリーンなどであることができる。
【0022】
本発明はまた、上述のシステムを既存のオブジェクトに追加する方法に関し、システムの放射体は、既存のオブジェクトの外面に適用される。これは、接着によること、固定手段を使用すること、またはスナップ接続もしくはフォーム閉鎖構成に基づくことを含む、任意の適切な方法で行われ得る。
【0023】
本発明の上記および他の態様は、i)放射線出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は、少なくともUV放射を含む放射線を受け取るように構成され、放射線出射ウィンドウは放射線の少なくとも一部が放射体の外部に通過することを可能にすることができる、放射体と、ii)放射線を提供するように構成された少なくとも1つの放射線源と、iii)放射体内の内部放射強度を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、iv) 少なくとも1つの放射線源及び少なくとも1つの検出器に機能的に結合されたコントローラ装置とを有するシステムの実用的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明され、図面において、等しい又は類似の部分は同じ参照符号によって示される。
図1】本発明によるシステムの基本的な構成を示す図。
図2】時間に対するシステムの検出器の出力信号を表すグラフおよび時間に対するシステムの放射線源によって放射される放射線の強度を表すグラフを概略的に示す図。
図3】本発明によるシステムを装備することができるいくつかのオブジェクトを概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明によるシステム1の基本的な構成を示す。
【0026】
システム1は、放射体10と、放射線源20と、検出器30と、コントローラ装置40とを備える。
【0027】
放射体10は、放射線出射ウィンドウ11を含む。図1は、材料のスラブを含む放射体10の実用的なオプションを示しており、放射線出射ウィンドウ11は概ね平坦な外観である。
【0028】
放射線源20は、少なくとも1つ以上の方向にUV放射を含む放射線を放射するように構成され、例えば、UV-C LEDであってもよい。図1において、放射線源20によって放射される放射線は、矢印21によって示されている。さらに、図1は、放射線源20が放射体10の材料のスラブに埋め込まれる実際的なオプションを示しており、材料のスラブは、放射線源20によって提供される放射線21に対して透明である。本発明の文脈において、放射線源20の任意の適切な数を選択することができ、ここで、放射線源20が放射線21を放射体10の放射線出射ウィンドウ11のそれぞれの領域に、重複しているかどうかにかかわらず、放射するよう位置するように、放射線源20を配置することが可能である。
【0029】
検出器30は、放射体10内の内部放射強度を検出するように構成される。図1は、放射体10の材料のスラブに埋め込まれた検出器30の実用的なオプションを示す。検出器30の任意の適切な数が、本発明の文脈において選択され得る。
【0030】
コントローラ装置40は、放射線源20及び検出器30に機能的に結合され、システム1の動作を制御するように構成される。本発明は、コントローラ装置40と放射線源20と検出器30との間のデータ通信をそれぞれ有線方式で行うことを可能にするように構成された通信装置を備えるシステム1のオプションと、データ通信を無線方式で行うことを可能にするように構成された通信装置を備えるシステム1のオプションの両方をカバーし、データ通信を部分的に有線方式でかつ部分的に無線方式で行うことを可能にするように構成された通信装置を備えるシステム1のオプションもカバーする。図1は、放射体10の材料のスラブに埋め込まれたユニットを備えるコントローラ装置40の実用的なオプションを示す。これは、追加的に又は代替的に、コントローラ装置40が放射体10の材料のスラブの外側に配置された少なくとも1つのユニットを備えることも可能であるという事実を変えない。
【0031】
放射線源20、検出器30及びコントローラ装置40は、任意の適切な態様で給電されることができ、例えば、主電源又はバッテリに電気的に結合されることができる。
【0032】
放射体10の放射出射ウィンドウ11は、放射線源20の放射線21の一部を透過するように構成される。図1において、外部結合放射は、破線22によって示されている。検出器30は、放射線出射ウィンドウ11から放射体10の材料のスラブ内に放射される放射線23を受け取る位置にあり、そのような内部放射線23の強度を表す出力信号をコントローラ装置40に提供するように構成される。放射線出射ウィンドウ11の構造に応じて、内部放射線23は、i)放射線出射ウィンドウ11の位置での放射線源20によって放射された放射線21の散乱、およびii)放射線出射ウィンドウ11の内側での放射線源20によって放射された放射線21の反射のうちの少なくとも1つによって得ることができる。図1に概略的に示されるように、放射線源20によって放射された放射線21の散乱は、特に、人の指などのオブジェクト2が放射線出射ウィンドウ11の外側に存在するときに生じるだろう。いずれにせよ、放射出射ウィンドウ11がオブジェクト2と接触すると、外部結合放射22と内部放射23の両方が変化する可能性が高い。
【0033】
システム1内に放射線源20を有する主な目的は、放射線出射ウィンドウ11の外側を殺菌状態に保つことである。細菌またはウイルスが放射線出射ウィンドウ11の外側に達すると、細菌またはウイルスは、細菌またはウイルスの位置における外部結合放射線22の影響下で死滅するか、または少なくとも不活性化される。このようにして、放射線出射ウィンドウ11を介した疾患の拡がりが防止される。システム1のこの機能性は、システム1の多くの可能な用途、特に放射線出射ウィンドウ11が人間及び/又は動物/ペットによって定期的及び一時的に接触される傾向がある用途において有利である。
【0034】
制御装置40は、特に放射線源20によって放射される放射線21の強度を設定する際に、検出器30によって提供される信号に応じて放射線源20を制御するように構成される。実際、安全上の理由から、放射線出射ウィンドウ11に接触する人又は動物/ペットの状況において、放射線21の強度を、おそらくゼロに低減することが望ましい。その観点から、コントローラ装置40は、デフォルトとして放射線源20が動作レベルの強度で放射線21を提供する通常状態に放射線源20を設定し、少なくとも1つの検出器30によって検出される内部放射強度の変化を伴う外乱事象の発生後に、放射線源20が動作レベルと比較して低減された適応レベルの強度で放射線21を提供する適応状態に放射線源20を設定するように構成される。この点について、内部放射強度の値が安全基準値の範囲外にあるとき、および/または、所定の方向への内部放射強度の変化が外乱基準レートよりも高いレートで行われるときに、外乱事象の発生が決定され得ることに留意されたい。
【0035】
本発明の注目すべき態様によれば、コントローラ装置40は、外乱事象の発生後に安全アルゴリズムを適用するように構成される。図2を参照して、安全アルゴリズムの性質を説明する。この図において、検出器30の出力信号を時間に対して表したグラフと、放射線源20によって放射された放射線21の強度を時間に対して表したグラフとが示されている。第1のグラフは破線で示され、第2のグラフは実線で示される。これらのグラフは、説明の目的のためだけに役立つものであり、可能な実際の値を表すものと見なされるべきではなく、グラフは簡略化され、システム遅延などを示さないことに留意されたい。0から始まる第1の期間の間、以下で信号と称される検出器30の出力信号は、通常レベルNdにあり、以下で強度と称される放射線源20によって放射される放射線21の強度は、通常レベルNrにある。時刻dの瞬間に、信号はDdまで低下する。信号の変化により、コントローラ装置40が外乱事象の発生を決定し、安全アルゴリズムを開始する。
【0036】
安全アルゴリズムの第1のステップとして、コントローラ装置40は、放射線源20を適応状態にし、本実施例では、放射線源20によって提供される放射線21の強度がゼロ、すなわち、放射線21が全くない状態にする。その結果、信号も同様にゼロに低下する。最初の評価インターバルE1の後、コントローラ装置40は、短時間の評価期間EPの間だけ、放射線源20を通常状態にし、その期間中の信号を評価する。図示の実施形態では、放射線21が通常の強度で提供されるとき、信号は依然として低下したレベルDdにあるように見える。これは、放射線源20を通常状態に復帰させることが依然として安全ではないことを意味する。第2の評価インターバルE2の後、放射線源20を短い評価期間EPの間だけ通常状態にし、その期間中の信号を評価する動作が繰り返される。図示の実施形態では、放射線21が通常の強度を与えられたときに、信号は再度、通常レベルNdにあるように見える。これは、放射線源20を通常状態に復帰させることが安全であり、安全アルゴリズムを中止することができることを意味する。概して、評価動作から、放射線21に通常の強度が与えられたときに信号が依然として低下したレベルDdにある限り、信号が再度通常レベルNdにあるように見えるまで、1つまたは複数の後続の評価動作が実行される。
【0037】
上述の手順は、評価期間EPの間に放射線源20が通常状態とは異なる状態に置かれたときに同様に実行されることができ、そのような異なる状態は、放射線源20が動作レベルと適応レベルとの間のレベルの強度の放射線21を提供する状態である。
【0038】
上記の手順は、後続の外乱事象に関して、再度、全面的に実行される。システム1の適切な機能を保証するために、外乱事象の発生を決定する際に依存する基準は、好ましくは、放射線出射ウィンドウ11上の比較的小さいオブジェクト、特に、細菌および/またはウイルスを含有する小さな液滴および/またはグリース/汚れなどの、数十から数百マイクロメートルの寸法またはさらにより小さい寸法を有するオブジェクトの存在によっては安全アルゴリズムが開始されないが、比較的大きなオブジェクトが放射線出射ウィンドウ11上に存在するときにのみ開始されるように選択される。システム1の洗練された実施形態では、コントローラ装置40が、内部放射強度、すなわち信号によって表される値の安全基準値の範囲の調整を可能にするように構成される。これは、外乱事象の発生の直前の期間に見られるような信号に基づいて、または適切な時間に較正動作を定期的に実行することによって、行われ得る。いずれにせよ、本発明は、殺菌するという目標を高等生物の存在の可能性の検出と組み合わせるための複雑でない費用効果の高い方法を提供し、その結果、放射線源20がデフォルト状態になるようにシステム1が動作する時間が最大化され、高等生物のUV放射線への曝露のリスクが最小化される。
【0039】
図3は、本発明によるシステム1を備えることができる複数のオブジェクト、特に、浴室100および浴室ドア101に見られるオブジェクト、すなわち、便座102、便器洗浄ノブ103、蛇口ノブ104および浴室ドアのドアノブ105を概略的に示す。示されたオブジェクトは、本発明の保護範囲に含まれる多くのオブジェクトのほんの一部である。オブジェクト102、103、104、105は、従来の設計とすることができ、その場合、システム1、またはシステム1の少なくとも放射体10および放射体10に配置されたコンポーネントは、オブジェクト102、103、104、105の外面に配置されることができ、またはオブジェクト102、103、104、105は、適合した設計とすることができ、この場合、システム1またはシステム1の少なくとも放射体10および放射線体10に配置されたコンポーネントは、例えば、システム1の放射体10の放射線出射ウィンドウ11がオブジェクト102、103、104、105の元の外面の周囲の部分と同一平面であることができる、オブジェクト102、103、104、105の部材に沈んだ配置を有することができる。
【0040】
本発明の範囲は、前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲またはその均等物の範囲内に入る限り、そのようなすべての修正および変更を含むものと解釈されることが意図される。本発明が図面および詳細な説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は単なる例示であり、限定するものではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面は概略的であり、本発明を理解するために必要とされない詳細は省略されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0041】
開示された実施形態に対する変形例は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。特許請求の範囲において、単語「有する」は他のステップ又は要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。請求項におけるいかなる参照符号も、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0042】
特定の実施形態のために、または特定の実施形態に関連して説明される要素および態様は、特に断らない限り、他の実施形態の要素よび態様と適切に組み合わせることができる。したがって、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0043】
本文で使用される用語「有する(comprise)」および「含む(include)」は、用語「からなる(consist of)」を包含するものとして当業者によって理解されるであろう。したがって、用語「有する(comprise)」または「含む(include)」は、実施形態に関して、「からなる(consist of)」を意味し得るが、別の実施形態においては、「少なくとも定義された種およびオプションとして1つ以上の他の種を含有する/持つ/備える」を意味する場合がある。
【0044】
本発明の注目すべき態様を以下に要約する。放射体10と、少なくともUV放射を含む放射線21を放射体10に提供するように構成された少なくとも1つの放射線源20と、放射体10内の内部放射強度を検出するように構成された少なくとも1つの検出器30と、コントローラ装置40とを備えるシステム1において、コントローラ装置40は、放射体10の放射出射ウィンドウ11に接触するオブジェクト2によって引き起こされる外乱事象の発生後に安全アルゴリズムを適用するように構成される。安全アルゴリズムは、評価インターバルによって分離された評価期間中に少なくとも1つの放射線源20を評価状態に設定し、それ以外では少なくとも1つの放射線源20を適合状態に設定し、評価期間中に内部放射強度の値を決定することと、少なくとも1つの放射線源20を通常状態に復帰させることが安全であるかどうかを評価するために、評価期間中の内部放射強度の値を決定することとを含み、コントローラ装置40は、実際に、内部放射強度の値が評価基準値の範囲内にあることが分かったとき、安全アルゴリズムを中止し、少なくとも1つの放射線源20を通常状態に復帰させるように構成される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、当該システムは、
放射線出射ウィンドウを有する放射体であって、当該放射体は少なくともUV放射を含む放射線を受け取るように構成され、前記放射線出射ウィンドウが前記放射線の少なくとも一部を前記放射体の外部へと通過させることができる、放射体と、
前記放射線を提供するように構成される少なくとも1つの放射線源と、
前記放射体内の内部放射強度を検出するように構成される少なくとも1つの検出器と、
前記少なくとも1つの放射線源および前記少なくとも1つの検出器に機能的に結合されるコントローラ装置とを有し、
前記コントローラ装置が、
デフォルトとして動作レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する通常状態に前記少なくとも1つの放射線源を設定し、前記少なくとも1つの検出器により検出される前記内部放射強度の変化を伴う外乱事象の発生後に前記動作レベルに対して低減された適応レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する適応状態に前記少なくとも1つの放射線源を設定するように構成され、
前記適応レベルに対して増加した評価レベルにおける強度の前記放射線を前記少なくとも1つの放射線源が提供する評価状態に、評価インターバルにより分離された評価期間の間、前記少なくとも1つの放射線源を設定すること、
前記評価期間外において前記適応レベルに前記少なくとも1つの放射線源を設定すること、
前記評価期間中の前記内部放射強度の値を決定すること、
を含む安全アルゴリズムを外乱事象の発生後に適用するように構成され、
前記内部放射強度の前記値が評価基準値の範囲内にある場合に、前記安全アルゴリズムを中止し、前記少なくとも1つの放射線源を前記通常状態に復帰させるように構成される、
システム。
【請求項2】
前記コントローラ装置が、前記内部放射強度の値が安全基準値の範囲外にあるとき、および/または、前記内部放射強度の所定の方向における変化が外乱基準レートより高いレートで発生したときに外乱事象の発生を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラ装置が、前記安全基準値の範囲を調整することができるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記安全アルゴリズムが、外乱事象の発生の直前の期間の間に検出された前記内部放射強度の先行値に基づいて前記先行値および許容範囲ウィンドウを含むように前記安全基準値の範囲を調整するステップを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラ装置が、較正インターバルによって分離された較正期間の間に前記内部放射強度の較正値を決定すること、および、前記内部放射強度の前記較正値に基づいて、前記較正値および許容範囲ウィンドウを含むように、前記安全基準値の範囲を調整することを含む較正アルゴリズムを適用するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記較正インターバルが等しい期間である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記安全アルゴリズムが、連続する評価インターバルの持続時間を次第に長くすることを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記評価期間の各々が、当該評価期間に先行する前記評価インターバルより少なくとも1000倍短い、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記評価状態における前記少なくとも1つの放射線源により提供される前記放射線の前記強度の前記評価レベルが、前記適応レベルと前記動作レベルとの間である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記適応状態における前記少なくとも1つの放射線源により提供される前記放射線の前記強度の前記適応レベルがゼロレベルである、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
互いに距離を置いて前記放射体内に配置される少なくとも2つの放射線源、および/または、互いに距離を置いて前記放射体内に配置される少なくとも2つの検出器を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記放射体が材料のスラブを有し、前記少なくとも2つの放射線源および/または前記少なくとも2つの検出器が前記材料のスラブに埋め込まれる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステムを有するオブジェクトであって、当該システムの前記放射体の前記放射線出射ウィンドウが、前記オブジェクトの外側に配置される、オブジェクト。
【請求項14】
家電製品、家具、建物の構造部材、車両の構造部材、衛生部品、医療機器およびこれらのコンポーネントを含むグループから選択される、請求項13に記載のオブジェクト。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステムを既存のオブジェクトに追加する方法であって、前記システムの前記放射体が前記既存のオブジェクトの外側表面に適用される、方法。
【国際調査報告】