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特表2023-551590エビ養殖のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】エビ養殖のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/59 20170101AFI20231201BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A01K61/59
A01K63/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540826
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021054263
(87)【国際公開番号】W WO2022076880
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/089,206
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523250625
【氏名又は名称】アタラヤ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ラッセク
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル ファセン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ フレイタス
(72)【発明者】
【氏名】アーレタ スクルジンスカ
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA17
2B104CA01
2B104CB12
2B104CF01
2B104CF12
2B104EA05
2B104EB01
2B104EB05
2B104EB20
2B104EC01
2B104EC24
2B104FA07
(57)【要約】
システムは、ハウジングと;ハウジングの内部に位置付けされた水タンクであって、この水タンク内部が、水タンクを形成する材料と水タンク内の水との間の接触を防止するようにシールされている、水タンクと;水タンク内で水を循環させるように動作可能である水移動サブシステムであって、水タンクを円形の水路へと分割している水タンクの中心に沿って延在するバッフルと、水を循環させるポンプと、を含む水移動サブシステムと;水タンク内部で甲殻類が生息するのに好適な酸素供給レベルを維持する曝気サブシステムと;水タンク内部で甲殻類が生息するのに好適な水温を維持する温度制御サブシステムと;水タンク内部の水の水質パラメータを監視する水質監視サブシステムと;水タンク内に餌料を送出するように構成された給餌サブシステムと;水タンクから生物フロックを取出すように構成された生物フロック取出しサブシステムと;制御システムと;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターモーダルコンテナであるハウジングと;
前記ハウジングの内部に位置付けされた少なくとも1つの水タンクであって、
前記少なくとも1つの水タンクの各々の内部が、前記少なくとも1つの水タンクを形成する材料と前記少なくとも1つの水タンク内の水との間の接触を防止するようにシールされている、少なくとも1つの水タンクと;
前記少なくとも1つの水タンク内で水を循環させるように動作可能である水移動サブシステムであって:
前記少なくとも1つの水タンクを略円形の水路へと分割するように、前記少なくとも1つの水タンクの中心の一部分に沿って長手方向に延在する少なくとも1つのバッフルと;
前記少なくとも1つのバッフルの周りで水を循環させるように構成された少なくとも1つのポンプと;
を含む水移動サブシステムと;
前記少なくとも1つの水タンク内部の酸素供給レベルを維持するように構成された曝気サブシステムであって、
前記酸素供給レベルは、前記少なくとも1つの水タンク内の水中で甲殻類が生息するのに好適なものである、曝気サブシステムと;
前記少なくとも1つの水タンク内の水温を維持するように動作可能である温度制御サブシステムであって、
前記水温は、前記少なくとも1つの水タンク内の水中で甲殻類が生息するのに好適なものである温度制御サブシステムと;
前記少なくとも1つの水タンク内部の水の少なくとも1つの水質パラメータを監視するように構成された水質監視サブシステムであって、
前記少なくとも1つの水質パラメータには、温度、溶存酸素濃度、窒素濃度、リン酸塩濃度、pHおよび塩分濃度が含まれる、水質監視サブシステムと;
前記少なくとも1つの水タンク内に餌料を送出するように構成された給餌サブシステムと;
前記少なくとも1つの水タンクから生物フロックを取出すように構成された生物フロック取出しサブシステムと;
前記水移動サブシステム、前記曝気サブシステム、前記温度制御サブシステム、前記水質監視サブシステムおよび前記給餌サブシステムを動作させるように構成されたコンピュータ操作式制御システムと;
を含むシステム。
【請求項2】
前記曝気サブシステムが:
前記少なくとも1つの水タンクの各々の上方に延在する少なくとも1つの主空気管と、
前記少なくとも1つの主空気管から離れて前記少なくとも1つの水タンク内の水中へと延在する複数の分岐管と、
を含み、
前記複数の分岐管の各々が曝気チュービングを含んでいる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の分岐管の各々がさらにPVCチュービングを含んでいる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記PVCチュービングが12.7mm(1/2インチ)の直径を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記曝気チュービングが、0.025mm(0.001インチ)~0.102mm(0.004インチ)の範囲内の平均細孔サイズを有する多孔質チュービングを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記曝気サブシステムが主曝気サブシステムおよび二次曝気サブシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記二次曝気サブシステムが、前記水移動サブシステムに結合された少なくとも1つのベンチュリー・エダクタを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記給餌サブシステムが:
スケールと;
前記スケール上に位置付けされた餌容器と;
前記餌容器の底部に位置付けされ、開放位置にある場合に餌が通過できるように動作可能であるバルブと;
前記曝気サブシステムによって提供される空気が、前記バルブを通過する餌を前記少なくとも1つの水タンクの中へ推進するように、前記曝気サブシステムおよび前記バルブに結合された給餌管と;
を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの水タンクの各々について1つの前記給餌サブシステムを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの水タンクが、前記ハウジングの底部に位置付けされた第1の水タンクと前記第1の水タンクの上方に位置付けされた第2の水タンクを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも前記第2の水タンクの重量を支持するように構成された支持構造をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの水タンクの各々が、10立方メートル~50立方メートルの範囲内の容積を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングの第1の端部に位置付けされた制御室をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータ操作式制御システムが、前記少なくとも1つの水タンク内部の水中の炭素対窒素比を制御することによって前記少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータ操作式制御システムは、前記少なくとも1つの水タンク内部の水中の炭素対窒素比が12:1~20:1の範囲内となるように制御することによって前記少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記生物フロック取出しサブシステムが:
デカンタ内部の余剰の水が前記少なくとも1つの水タンク内に溢れるように前記少なくとも1つの水タンクの各々の内部に位置付けされたデカンタであって、
前記デカンタ内の水中の生物フロックが前記デカンタの底部に沈殿するように形成されたデカンタと;
前記少なくとも1つの水タンクの各々から前記デカンタ内部に水を圧送するように構成されたポンプと;
作動された時に前記デカンタの前記底部から生物フロックを取出すように動作可能であるドレンポンプと;
作動された時に前記デカンタの前記底部内に空気を流入させる生物フロック曝気装置であって、前記生物フロックを前記デカンタの内部の水中で混合させ、前記少なくとも1つの水タンク内に溢れさせるように動作可能である生物フロック曝気装置と;
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記生物フロック曝気装置が:
前記曝気装置を作動するように動作可能であるバルブと;
前記バルブおよび前記曝気サブシステムに結合されている曝気管と;
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの水タンクから廃棄材料を取出すように動作可能であるドレンサブシステムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの水タンクの各々が、耐水性塗料によりシールされている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、全体が参照により本明細書に組込まれている「エビ養殖のためのシステムおよび方法」なる名称の、2020年10月8日出願の共同所有された同時係属の米国仮特許出願第63/089,206号に関係し、その利益を主張する国際(PCT)特許出願である。
【0002】
発明の分野は、甲殻類の養殖のためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、発明の分野は、ユーザのインタラクションが最小限しか求められないエビ養殖のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エビおよび他の甲殻類は、一般に食品として使用される。天然個体群の収穫に関連した持続可能性についての懸念に起因して、このような動物の養殖生産が望まれる。しかしながら、既存の養殖技術には、効率が悪いという欠点があり、有害物質の使用そして天然資源の過剰使用が関与し、多大なユーザインタラクションが求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書において、添付図面を参照しながら単なる一例として説明されている。ここで図面を詳細に具体的に参照するにあたり、示されている明細が一例であり、本発明の実施形態の例示的な論述を目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面と共に説明を取上げることにより、当業者には、本発明の実施形態の実践方法が明白になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、エビを養殖するための例示的システムを示す。
【0006】
図2A図2Aは、例示的システムの構成要素の第1の例示的略図を示す。
【0007】
図2B図2Bは、例示的システムの構成要素の第2の例示的略図を示す。
【0008】
図2C図2Cは、例示的システムの例示的ソフトウェア制御ブロック図を示す。
【0009】
図2D図2Dは、例示的システムの例示的ソフトウェア制御ブロック図を示す。
【0010】
図2E図2Eは、例示的システムの構成要素を示す。
【0011】
図3A図3Aは、例示的システム内部の空間の全体的レイアウトを示す。
【0012】
図3B図3Bは、例示的システムの構造的要素の全体的レイアウトを示す。
【0013】
図4A図4Aは、第1の例示的主曝気サブシステムを示す。
【0014】
図4B図4Bは、第2の例示的主曝気サブシステムを示す。
【0015】
図5A図5Aは、例示的水移動サブシステムを示す。
【0016】
図5B図5Bは、例示的排水サブシステムを示す。
【0017】
図5C図5Cは、例示的固形物収集ボックスを示す。
【0018】
図6A図6Aは、第1の例示的廃棄物収集サブシステムを示す。
【0019】
図6B図6Bは、第2の例示的廃棄物収集サブシステムを示す。
【0020】
図7A図7Aは、例示的センサユニットを示す。
【0021】
図7B図7Bは、例示的水質監視サブシステムを示す。
【0022】
図8A図8Aは、例示的給餌サブシステムを示す。
【0023】
図8B図8Bは、例示的給餌サブシステムを示す。
【0024】
図9図9は、例示的温度制御サブシステムを示す。
【0025】
図10A図10Aは、例示的生物フロック(biofloc)取出しサブシステムを示す。
【0026】
図10B図10Bは、例示的生物フロック取出しサブシステムの例示的デカンタを示す。
【0027】
例示的実施形態は、エビの養殖のためのシステム、および関連する養殖方法に関する。一実施形態において、システムは自己完結型である。一実施形態において、システムのハードウェア要素は、自己完結型であり、遠隔に位置設定されたソフトウェアおよび/またはユーザコントロールによって、例えば「クラウド」ソフトウェアによって制御される。一実施形態において、システムのハードウェア要素は、ハウジングの内部で自己完結している。一実施形態において、ハウジングは、「インターモーダルコンテナ」と呼ばれるタイプの輸送コンテナである。
【0028】
いくつかの実施形態において、システムは、1つ以上の水タンクを格納するハウジングと;1つ以上の水タンク内部で水を循環させるように動作可能である水移動システムと;1つ以上の水タンク内部で所望の酸素供給レベルを維持するように動作可能である主曝気システムと;1つ以上の水タンクから廃棄材料を取出すように動作可能であるドレンサブシステムと;1つ以上の水タンク内部で所望の水温を維持するように動作可能である温度制御サブシステムと;1つ以上の水タンク内部で水の1つ以上の水質パラメータを監視するように構成された水質監視サブシステムと;1つ以上の水タンク内に餌料を送出するように動作可能である給餌サブシステムを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、輸送コンテナを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の水タンクは2つの水タンクを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、システムは、インターモーダルコンテナであるハウジングと;ハウジングの内部に位置付けされた少なくとも1つの水タンクであって、この少なくとも1つの水タンクの各々の内部が、少なくとも1つの水タンクを形成する材料と少なくとも1つの水タンク内の水との間の接触を防止するようにシールされている、少なくとも1つの水タンクと;少なくとも1つの水タンク内で水を循環させるように動作可能である水移動サブシステムであって:少なくとも1つの水タンクを略円形の水路へと分割するように、少なくとも1つの水タンクの中心の一部分に沿って長手方向に延在する少なくとも1つのバッフルと;少なくとも1つのバッフルの周りで水を循環させるように構成された少なくとも1つのポンプと;を含む水移動サブシステムと;少なくとも1つの水タンク内部の酸素供給レベルを維持するように構成された曝気サブシステムであって、酸素供給レベルは、少なくとも1つの水タンク内の水中で甲殻類が生息するのに好適なものである、曝気サブシステムと;少なくとも1つの水タンク内の水温を維持するように動作可能である温度制御サブシステムであって、水温は、少なくとも1つの水タンク内の水中で甲殻類が生息するのに好適なものである温度制御サブシステムと;少なくとも1つの水タンク内部の水の少なくとも1つの水質パラメータを監視するように構成された水質監視サブシステムであって、少なくとも1つの水質パラメータには、温度、溶存酸素濃度、窒素濃度、リン酸塩濃度、pHおよび塩分濃度が含まれる、水質監視サブシステムと;少なくとも1つの水タンク内に餌料を送出するように構成された給餌サブシステムと;少なくとも1つの水タンクから生物フロックを取出すように構成された生物フロック取出しサブシステムと;水移動システム、曝気システム、温度制御サブシステム、水質監視サブシステムおよび給餌サブシステムを動作させるように構成されたコンピュータ操作式制御システムと;を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、曝気サブシステムは、少なくとも1つの水タンクの各々の上方に延在する少なくとも1つの主空気管と、少なくとも1つの主空気管から離れて少なくとも1つの水タンク内の水中へと延在する複数の分岐管と、を含み、複数の分岐管の各々は曝気チュービングを含んでいる。いくつかの実施形態において、複数の分岐管の各々はさらにPVCチュービングを含んでいる。いくつかの実施形態において、PVCチュービングは12.7mm(1/2インチ)の直径を有する。いくつかの実施形態において、曝気チュービングは、0.025mm(0.001インチ)~0.102mm(0.004インチ)の範囲内の平均細孔サイズを有する多孔質チュービングを含む。いくつかの実施形態において、曝気サブシステムは、主曝気サブシステムおよび二次曝気サブシステムを含む。いくつかの実施形態において、二次曝気サブシステムは、水移動サブシステムに結合された少なくとも1つのベンチュリー・エダクタを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、給餌サブシステムは、スケールと;スケール上に位置付けされた餌容器と;餌容器の底部に位置付けされ、開放位置にある場合に餌が通過できるように動作可能であるバルブと;曝気サブシステムによって提供される空気が、バルブを通過する餌を少なくとも1つの水タンクの中へ推進するように、曝気サブシステムおよびバルブに結合された給餌管と;を含んでいる。いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1つの水タンクの各々について1つの給餌サブシステムを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水タンクは、ハウジングの底部に位置付けされた第1の水タンクと第1の水タンクの上方に位置付けされた第2の水タンクを含んでいる。いくつかの実施形態において、システムは同様に、少なくとも第2の水タンクの重量を支持するように構成された支持構造を含んでいる。
【0034】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水タンクの各々は、10立方メートル~50立方メートルの範囲内の容積を有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、システムは同様に、ハウジングの第1の端部に位置付けされた制御室を含んでいる。
【0036】
いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている。いくつかの実施形態において、コンピュータ操作式制御システムは、少なくとも1つの水タンク内部の水中の炭素対窒素比を制御することによって少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている。いくつかの実施形態において、コンピュータ操作式制御システムは、少なくとも1つの水タンク内部の水中の炭素対窒素比が12:1~20:1の範囲内となるように制御することによって少なくとも1つの水タンク内部の生物フロックの存在を支援するように構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、生物フロック取出しサブシステムは、デカンタ内部の余剰の水が少なくとも1つの水タンク内に溢れるように少なくとも1つの水タンクの各々の内部に位置付けされたデカンタであって、デカンタ内の水中の生物フロックがデカンタの底部に沈殿するように整形されたデカンタと;少なくとも1つの水タンクの各々からデカンタ内部に水を圧送するように構成されたポンプと;作動された時にデカンタの底部から生物フロックを取出すように動作可能であるドレンポンプと;生物フロック曝気装置が作動された時にデカンタの底部内に空気を流入させ、こうして生物フロックをデカンタ内部の水中で混合させ、少なくとも1つの水タンク内に溢れさせるように動作可能である生物フロック曝気装置と;
を含んでいる。いくつかの実施形態において、生物フロック曝気装置は、曝気装置を作動するように動作可能であるバルブと;バルブおよび曝気サブシステムに結合されている曝気管と;を含んでいる。
【0038】
いくつかの実施形態において、システムは同様に、少なくとも1つの水タンクから廃棄材料を取出すように動作可能であるドレンサブシステムをさらに含んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水タンクの各々は、耐水性塗料によりシールされている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
例示的実施形態は、エビの養殖のためのシステム、および関連する養殖方法に関する。一実施形態において、システムは自己完結型である。一実施形態において、システムのハードウェア要素は、自己完結型であり、遠隔に位置設定されたソフトウェアおよび/またはユーザコントロールによって、例えば「クラウド」ソフトウェアによって制御される。一実施形態において、システムのハードウェア要素は、ハウジングの内部で自己完結している。一実施形態において、ハウジングは、「インターモーダルコンテナ」と呼ばれるタイプの輸送コンテナである。図1は、例示的システム100の見取図を示す。
【0041】
いくつかの実施形態において、例示的システム100は、生物フロック養殖を通してエビなどの甲殻類を飼育し収穫するように構成されている。当業者には、生物フロック水産養殖というのが、廃棄材料(例えば未使用の餌および排せつ物)を水中に存在する微生物によってタンパク質を富有する生餌へと変換する水産養殖生産管理(aquaculture practice)を表現している、ということが知られているはずである。さらに「生物フロック」なる用語は、微細藻類、細菌、原虫、動物プランクトンおよび線虫などの生命体ならびに糞および食べ残しの、典型的には細菌が分泌した粘液によって結合されかつ典型的には50~200ミクロンのサイズ範囲の異種凝集体を意味するということも知られているはずである。いくつかの実施形態において、生物フロック水産養殖を使用することにより、エビを持続可能な方法で生産することが可能となる。
【0042】
いくつかの実施形態において、例示的システム100は、各々長さ10メートル、深さ80センチメートルで互いに上下して位置付けされた2つのタンクを含むように細分割された長さ12メートルの改造輸送コンテナ110(例えばハウジング)を含み、輸送コンテナ110の第1の端部の残留空間内に制御室120が具備されている。いくつかの実施形態において、例示的システム100は、各タンクへのアクセスを提供するためのハッチを含む。
【0043】
図2Aは、例示的システム100の第1の例示的な概略ブロック図200を示す。図2Bは、例示的システム100の第2の例示的ブロック図250を示す。いくつかの実施形態において、システム100は、局所的にかまたは遠隔サーバ上のいずれかで動作するアルゴリズムによってコントローラ210を制御できるようにするインタネットアクセス(例えばWiFi接続を介して)を有する主コントローラ210(例えばハードウェアとソフトウェアの組合せを含むコンピュータ操作式制御システム)を含む。いくつかの実施形態において、制御アルゴリズムは、監視データ(例えば本明細書中で説明されている通りの)を受信するように動作し、水質の標示を提供する。いくつかの実施形態において、制御アルゴリズムは、水質の標示に基づいて補正措置をトリガするように動作可能である。いくつかの実施形態において、コントローラは、サーバとの接続性が失なわれた場合に、確立された命令にしたがって自律的に動作することができる。いくつかの実施形態において、水および空気の流量は、生産サイクル中に必要とされるさまざまな設定値を制御アルゴリズムが制御できるようにするために主コントローラ210による操作が可能な自動ボールバルブ220により制御される。明確さのため、ボールバルブ220のうちの1つだけが、図2Aおよび図2Bの各々の中で具体的に識別されている。いくつかの実施形態において、自動ボールバルブ220は、オハイオ州CleavelandのU.S.Solid社から市販されているタイプのものである。いくつかの実施形態において、システム100は、主コントローラを電力が必要なデバイスと接続する接触器セクションを有する主パネルを含む。いくつかの実施形態において、全てのバルブ220、モータなどは、制御室120内に位置設定されている。図2Cは、本明細書中で記載の通りの、コントローラ210上で実行するソフトウェアおよび、コントローラ210からシステム100の残りの構成要素までの接続を含む例示的ソフトウェア制御ブロック図260を示す。図2Dは、本明細書中で記載の通りの、コントローラ210上で実行するソフトウェアおよびコントローラ210からシステム100の残りの構成要素までの接続を含む例示的ソフトウェア制御ブロック図270を示す。図2Eは、システム100の内部要素を見ることができるようにするため、輸送コンテナ110が図示されていない例示的システム100の見取図を示す。
【0044】
図3Aは、システム100の主要な構造要素を見ることのできる、輸送コンテナ110が図示されていないシステム100の全体的概略図を示す。図3Aに示されているように、システム100は、上述の制御室120と水タンク310を含む。いくつかの実施形態において、システム100は、上位水タンク312と下位水タンク314を含む。本開示全体を通して、「水タンク310」なる用語は、水タンクおよび関連する構造要素のいずれをも総称的に意味するべく使用されるものとし、一方、「上位水タンク312」および「下位水タンク314」なる用語は、水タンクのうちの特定のものを意味するために使用されるものとする。図3Bは、輸送コンテナ110が図示されていないシステム100の構造要素の全体的概略図を示す。図3Bに示されているように、システム100は、水タンク310を支持する支持構造320を含む。いくつかの実施形態において、支持構造320は、輸送コンテナ110の主構造の補強材を含む。いくつかの実施形態において、支持構造320は、上位水タンク312を支持するためのベースを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、エビの生産は、ライフサイクルの後期仔魚段階(例えば平均重量10ミリグラム未満)にあるエビから開始される。いくつかの実施形態において、エビの後期仔魚は、メキシコLerma CampecheのMaricultura Vigas Sapide CV社が市販するものである。いくつかの実施形態において、エビ後期仔魚は、疾患を有していない。いくつかの実施形態においては、例示的システム100の中に、稚魚エビが導入される。いくつかの実施形態において、例示的システム100内で使用される稚魚エビの平均重量は1グラムである。いくつかの実施形態においては、例示的システムの各水タンク310(例えば下位タンク314および上位タンク312)内に、平面図面積1平方メートルあたり400匹のエビという平均密度で稚魚エビが提供される。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、長さ10メートル、幅2.4メートルで、24平方メートルの平面図面積をもたらす。いくつかの実施形態において、各々の水タンク310は、0.8メートルの深さを有し、19.2立方メートルの有効容積を生み出す。いくつかの実施形態において、各タンクは、10立方メートル~50立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、10立方メートル~40立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、10立方メートル~30立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、5立方メートル~50立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは5立方メートル~40立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、5立方メートル~30立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、12立方メートル~28立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、14立方メートル~26立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、15立方メートル~25立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、16立方メートル~24立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、17立方メートル~23立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、18立方メートル~22立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、19立方メートル~21立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、19立方メートル~20立方メートルの範囲内の深さを有する。いくつかの実施形態において、各タンクは、19立方メートル~19.5立方メートルの範囲内の深さを有する。
【0046】
いくつかの実施形態において、各水タンク310は、ジオメンブレンと接続されている。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、厚み0.8mmの高密度ポリエチレン(「HDPE」)でライニングされている。いくつかの実施形態において、各水タンク310には、以下でさらに詳しく説明するように、ブロワおよび曝気管を通って内部に空気が注入される拡散空気曝気システムが含まれる。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、各水タンク310の表面積を増大させるバッフル(例えば人工基板)を含む。いくつかの実施形態において、各バッフルは、幅8メートル、高さ0.8メートルである(例えば、タンク内の水の全深さを跨越するのに充分高いものである)。いくつかの実施形態において、各バッフルは、1辺あたり6.4平方メートル、そして両方の相対する辺について合計12.8平方メートルの表面積を有する。いくつかの実施形態において、各バッフルは、自動車のフロアをライニングするのに使用されるタイプの材料などのフェルト材料で作られている(例えば、Irwindale,CaliforniaのGoldwheel USA Inc.が部品番号#MTCARPE20000030GRE01UAとして市販している材料)。いくつかの実施形態において、エビは、自動空気圧式フィーダを用いて、一日24時間給餌される。
【0047】
いくつかの実施形態において、水タンク310の水の内部の炭素対窒素比は、水中の生物フロック形成を加速するように制御される。いくつかの実施形態において、炭素対窒素比は、16:1、または約16:1、または15:1~17:1、または14:1~18:1、または13:1~19:1、または12:1~20:1となるように制御される。いくつかの実施形態において、炭素対窒素比は、有機物施を通して制御される。いくつかの実施形態において、有機物施は、炭素源として糖を使用する。
【0048】
いくつかの実施形態において、水質管理プロセスには、各水タンク310(例えば上位タンク312および下位タンク314)内の水の温度、溶存酸素濃度、窒素濃度、リン酸塩濃度、pHおよび塩分濃度を含めた水質パラメータの監視が含まれる。いくつかの実施形態においては、両方のタンクに連結された自動プローブによって、水質パラメータが監視される。いくつかの実施形態において、自動プローブは、水質パラメータの実時間測定値を提供する。いくつかの実施形態において、水質パラメータは毎日測定される。いくつかの実施形態において、pHは、American Public Health Association Method 2320などの滴定方法によって測定される。いくつかの実施形態において、エビの成長にとって最適なpHは7.5~8.5である。しかしながら、生物フロック中に存在する独立栄養細菌による無機炭素の消費が、水のpH低下をひき起こし得る。このpH低下を是正するために、いくつかの実施形態においては、pHの補正が必要とされる場合、消石灰(例えば水酸化カルシウム)が水に添加される。いくつかの実施形態において、消石灰は、1リットルあたり0.05グラムの濃度で添加される。いくつかの実施形態において、水のpH補正は、タンク内の水を多数回のサイクルで使用することを可能にし、こうして例示的システムの廃棄物ゼロという特質に寄与する。
【0049】
いくつかの実施形態においては、毎日のアンモニアレベルを監視することによって、窒素レベルが評価される。いくつかの実施形態においては、毎日の亜硝酸塩レベルを監視することによって、窒素レベルが評価される。いくつかの実施形態においては、週単位でオルトリン酸塩を監視することによって、リン酸塩レベルが評価される。
【0050】
いくつかの実施形態において、全懸濁固形物濃度は定期的に決定される。いくつかの実施形態において、全懸濁固形物濃度は週単位で決定される。いくつかの実施形態において、全懸濁固形物濃度は、1リットルあたり500ミリグラムに維持される。いくつかの実施形態においては、余剰の懸濁固形物は、以下でより詳細に説明されるように、全懸濁固形物濃度が、フィルタの使用を通して制御される。
【0051】
いくつかの実施形態において、沈降可能なフレークの体積は、定期的に定量化される。いくつかの実施形態において、沈降可能なフレークの体積は週三回定量化される。いくつかの実施形態において、沈降可能なフレークの体積は、インホフ・コーンの使用を通して定量化される。いくつかの実施形態において、沈降可能なフレークの体積の許容可能な典型的範囲は、1リットルあたり10~15ミリメートルである。いくつかの実施形態において、沈降可能なフレークの体積が許容できる範囲を超えている場合、システムは、固形物を清澄化する(例えば廃棄物収集サブシステムを用いて沈降可能なフレークの一部を取出す)ように動作させられる。
【0052】
いくつかの実施形態においては、水質およびエビの健康の維持を助けるために、プロバイオティクスが定期的に添加される。いくつかの実施形態において、使用されるプロバイオティックスは、Salt Lake City,UtahのINVE Aguaculture社よりSANOLIFEの商品名で市販されているプロバイオティックスである。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、水に直接添加される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、週2回、水に直接添加される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、0.5ppmの濃度で水に直接適用される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、餌料に混ぜ込むことによって適用される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、日単位で餌料に混ぜ込むことによって適用される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、餌料1キログラムあたり3グラムの濃度でプロバイオティックスを餌料に混ぜ込むことによって適用される。いくつかの実施形態において、プロバイオティックスは、水への直接適用と餌料への混ぜ込みの両方によって適用される。
【0053】
いくつかの実施形態において、養殖の開始時点で、養殖対象のエビの平均重量を推定するために、初期バイオメトリが行なわれる。いくつかの実施形態において、バイオメトリは、エビ100匹のサンプルサイズについて行なわれる。いくつかの実施形態において、養殖期間中、バイオメトリが定期的に行なわれる。いくつかの実施形態において、定期的バイオメトリは、週一回行なわれる。いくつかの実施形態において、定期的バイオメトリは、各タンクから無作為に選択されたサンプルについて行なわれる。いくつかの実施形態において、サンプルサイズは、エビ100匹である。いくつかの実施形態において、サンプルは秤量される。いくつかの実施形態において、サンプル中の各個別のエビが秤量される。いくつかの実施形態において、秤量は、0.01グラムの精度を有するデジタルスケールを用いて行なわれる。いくつかの実施形態において、エビの平均重量は、サンプリングされた全てのエビの測定重量に基づいて計算される。いくつかの実施形態において、提供すべき餌の量は、平均重量に基づいて週単位で調整される。
【0054】
いくつかの実施形態においては、生命体の成長にとって安全な環境を提供するため、例示的システムには、水中の良好な酸素レベルを維持するための再生ブロワおよびベンチュリ管、例示的システムの異なる構成要素を通って水を移動させるための遠心ポンプ、一貫性がありかつ規則的な給餌スケジュールを提供するための自動フィーダ、水質変数のレベルについて制御ソフトウェア(これについては以下で説明する)に情報を提供するための監視用機器、および、給餌食べ残し、脱皮などを収集するための廃棄物回収システムが含まれている。いくつかの実施形態において、望ましい酸素レベルは、1リットルあたり少なくとも4ミリグラムである。いくつかの実施形態において、望ましい酸素レベルは、1リットルあたり少なくとも5ミリグラムである。いくつかの実施形態において、これらの構成要素は、制御室の内部に配置されている。いくつかの実施形態において、制御室は、これらの構成要素に動力供給するのに充分な電力を供給する能力を有する電気負荷センタを含む。いくつかの実施形態において、制御室は、商用電源不足の場合の自動電力バックアップシステムを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、例示的システムを製造するための標準的輸送コンテナの改造には、両方のタンクの重量を支持するための輸送コンテナの主構造の補強、上位タンク312を支持するためのベース(例えば金属ベース、ただし充分な重量を支持する能力を有する他の任意の材料を使用することもできると考えられる)の構築、およびタンクから制御室を分離するための分割壁の構築が含まれる。いくつかの実施形態においては、制御室へのアクセスを提供するために既存のコンテナ扉が使用される。いくつかの実施形態においては、上位タンク312および下位タンク314に従業員がアクセスできるように、ハッチ式開口部が構築される。いくつかの実施形態において、システムには、上位タンク312へのアクセスを提供するために、輸送コンテナの頂部に1つ以上のハッチが含まれている。いくつかの実施形態において、システムには、下位タンク314へのアクセスを提供するため、輸送コンテナの側面に1つ以上のハッチが含まれる。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、長さが10メートル、幅が2.4メートル、深さが0.8メートルである。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、金属(または充分な構造的強度を提供する能力を有する他の材料)で作られている。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、水タンク310を形成する金属と水タンク310内部の水との間の直接的接触を防止するためにシールされている。いくつかの実施形態において、各水タンクは、ジオライナ(例えば、HDPE、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、可撓性ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレンまたはエチレンプロピレンジエンターポリマなどの材料を含むジオメンブレン)でライニングすることによってシールされる。いくつかの実施形態において、各々の水タンク310は、エポキシによってコーティングされる。いくつかの実施形態において、各水タンク310はライニングされていない。いくつかの実施形態において、各水タンク310の内側は水タンク310をシールする目的で塗装されている。いくつかの実施形態において、各水タンク310の内側は、水タンク310を形成する金属を水タンク310内部の水から分離するのに好適である塗料で塗装される。いくつかの実施形態において、各水タンク310の内側は、水タンク310を形成する金属を水タンク310内部の水から分離するのに好適である耐水性塗料で塗装される。いくつかの実施形態において、塗料は、六価クロムまたは他の変異原性成分を含まない。いくつかの実施形態において、各水タンク310は、圧送システムおよび濾過システムを含む廃棄物収集サブシステムを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、例示的システムには、例示的システム内部の水の移動を提供する少なくとも1つの水ポンプが含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプは、必要に応じて水タンク310に充填し排水するのに充分な圧力を提供する能力を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプは、(以下でさらに詳細に説明する)補足的酸素化ベンチュリシステムのための充分な水圧を提供する能力を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプは、水塊内部の固形物の収集を可能にするため水塊に対して円運動を提供するのに充分な水圧を与える能力を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプには、遠心水ポンプが含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプには、0.5馬力~3馬力の範囲内の出力を有する遠心水ポンプが含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプには、2馬力の遠心水ポンプが含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプには、1.5馬力の遠心水ポンプが含まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプは、少なくとも1つの水ポンプをシステムの異なる構成要素(例えば上述のタンク、ベンチュリシステムなど)に連結する配管設備に結合される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプおよび配管設備内のあらゆるバルブが、制御室内部に位置付けされている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水ポンプは、水タンク310内の水に円運動を付与して廃棄物収集を可能にするように構成されたジェットアレイに結合される。
【0057】
いくつかの実施形態において、例示的システム100は、エビの養殖には充分であるタンク内部の曝気レベルを提供できる主曝気サブシステムを含む。いくつかの実施形態において、充分な酸素レベルは、1リットルあたり少なくとも4ミリグラムである。いくつかの実施形態において、充分な酸素レベルは、1リットルあたり少なくとも5ミリグラムである。図4Aは、第1の例示的主曝気サブシステム400を示す。いくつかの実施形態において、主曝気サブシステム400は、再生ブロワ410を含んでいる。いくつかの実施形態において、再生ブロワ410は、1.5馬力の再生ブロワである。いくつかの実施形態において、再生ブロワ410は1馬力の再生ブロワである。いくつかの実施形態において、再生ブロワ410は、管ネットワークに結合されている。いくつかの実施形態において、管ネットワークは、各タンク310に平行に走る主管420を含む。いくつかの実施形態において、管ネットワークは、各々の主管420から離れて各タンク310を横断して延在する複数のより小さい分岐管430を含む。いくつかの実施形態において、より小さい分岐管430の各々は、対応する主管420から離れてタンク310内へ下向きに延在する第1の部分432、および第1の部分432から離れてタンク310を横断して延在する第2の部分434を含む。いくつかの実施形態において、第2の部分434は、曝気チュービングを含む。
【0058】
図4Bは、第2の例示的主曝気サブシステム450を示す。いくつかの実施形態において、主曝気サブシステムは再生ブロワ460を含む。いくつかの実施形態において、再生ブロワ460は1.5馬力の再生ブロワである。いくつかの実施形態において、再生ブロワ460は、1馬力の再生ブロワである。いくつかの実施形態において、再生ブロワ460は管ネットワークに結合されている。いくつかの実施形態において、管ネットワークは、各タンク310のための2つの主管470を含む。いくつかの実施形態において、2つの主管470は、各タンク310の長さに沿ってタンク310の上方を走っており、各タンクのための2つの主管470が各タンク310の相対する側に沿って走っている。いくつかの実施形態において、複数のより小さい分岐管480が、主管の各々から離れて延在している。いくつかの実施形態において、分岐管480の各々は、各タンク内へ下向きに延在する第1の部分482と、タンク310の長さの一部分に沿って延在する第2の部分484を含んでいる。いくつかの実施形態において、分岐管480の第2の部分484は、タンク310の床に沿って位置付けされている。いくつかの実施形態において、第2の部分484は、曝気チュービングを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、主管および分岐管のいくつかまたは全ては、曝気チュービングで作られている。いくつかの実施形態において、主管および分岐管のいくつかまたは全ては、多孔質プラスチック曝気チュービングで作られている。いくつかの実施形態において、主管および分岐管のいくつかまたは全ては、ゴムおよびポリエチレンを含む多孔質プラスチック曝気チュービングで作られている。いくつかの実施形態において、主管および分岐管のいくつかまたは全ては、0.025mm(0.001インチ)~0.102mm(0.004インチ)の範囲内にある平均直径の細孔を有する多孔質プラスチック曝気チュービングで作られている。いくつかの実施形態において、主管および分岐管のいくつかまたは全ては、Marion,OhioのSwan Products LLC社によりAERO-TUBEの商品名で市販されている曝気チュービングで作られている。いくつかの実施形態において、曝気チュービングは、水を曝気するために酸素の微小気泡を供給するように動作可能である。いくつかの実施形態において、管のいくつかまたは全てが、曝気チュービングセクションが散在するPVCチュービングセクションを含む。いくつかの実施形態において、分岐管は、直径12.7mm(1/2インチ)のPVCチュービングおよび曝気チュービングを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、システム100は、タンク内部の酸素レベルが不充分である場合に主曝気サブシステムを補足する能力を有する二次曝気サブシステムを含む。いくつかの実施形態において、二次曝気には、ベンチュリ管を通って循環ポンプから水を通して追加の曝気を提供することが含まれる。当業者であれば、ベンチュリ管がパイプ内の差圧ポテンシャルを用いて真空および第2のパイプからの吸引力を創出することを理解するであろう。当該事例では、いくつかの実施形態において、加圧水がベンチュリマニホルドを通過させられ、それにより、水の表面に達する第2の管内に吸引力を創出し、空気を第2の管を通して引き出させる。いくつかの実施形態において、このとき空気は水と混合され、細かい気泡と混合された水としてベンチュリの出力口において吐出される。
【0061】
いくつかの実施形態において、例示的システムには、タンク内部に格納された水をその中で循環させる能力を有する水移動サブシステムを含む。図5Aは、例示的水移動サブシステム500を示す。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500は、各タンク310内部に位置付けされ各タンク310の中心に沿って長手方向に延在するバッフル510を含む。いくつかの実施形態において、バッフル510は、タンク310の有効形状を変更し、タンク310が円形の水路として効果的に整形されるようにする。いくつかの実施形態において、バッフル510は同様に、エビがそれに付着できるようにも構成されている。いくつかの実施形態において、バッフル510は合成材料でできている。いくつかの実施形態において、バッフル510は、粗い表面を有する材料でできている。いくつかの実施形態において、バッフル510の粗い表面は、エビがバッフル510に付着することを可能にし、かつ硝化細菌の加速を可能にする。いくつかの実施形態において、バッフル510は、自動車用マットファブリックで作られている。いくつかの実施形態において、水移動サブシステムは、バッフル510に沿って位置付けされたジェットアレイ520を含む。いくつかの実施形態において、ジェット520は、対向する方向に向いており(例えば、バッフル510の第1の側に位置付けされたジェット520は、水を強制的に制御室から離れて流すように配向されており、一方、バッフル510の反対の第2の側に位置付けされたジェット520は、水を強制的に制御室に向かって流すように配向されている)、こうして、ジェット520が活動状態にあるときに水に対して円運動を付与するようになっている。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500は、主コントローラによって必要に応じてオンオフ切替えされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500は、タンクの底部から固形物(例えば廃棄物)を収集する必要がある場合にオン切替えされる。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500は、時限間隔で循環を生じさせるように投入される。いくつかの実施形態において、時限間隔は、給餌スケジュールに基づいて決定される。いくつかの実施形態において、時限間隔は、エビが餌を食べるのに充分な時間を得るように、そして食べ残しの量を決定するために、給餌が発生した後の一定の時間に設定される。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500は、通常の再循環と水移動再循環の間で選択するように構成されている自動バルブによって制御される。いくつかの実施形態において、所与の時間における要件に基づいて、水移動サブシステム500は、(1)水に対して円運動を付与しないものの熱交換器(以下で説明)を通って水を循環させ温度制御を可能にするのに充分な移動を提供する通常の再循環;(2)水に対して円運動を付与する水移動再循環;または(3)以上で論述されたように追加の酸素化のためにベンチュリ管を通って水を循環させる追加の酸素化;のいずれかを提供するように構成されている。
【0062】
図5Bは、例示的排水サブシステム550を示す。いくつかの実施形態において、排水サブシステム550は、水移動サブシステム500によって提供される水移動と協働して動作する。いくつかの実施形態において、排水サブシステム550は、各水タンク310の底部に固形物収集ボックス560を含む。図5Cは、例示的固形物収集ボックス560のさまざまな図を示している。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500により提供される水移動は、固形物を各水タンク310内部で循環させ、固形物収集ボックス560内に沈殿させる。いくつかの実施形態において、排水サブシステム550は、各固形物収集ボックス560の底部にバルブ570(例えばボールバルブ)を含む。いくつかの実施形態において、バルブ570は、(沈殿した固形物および/または水を含む)対応する水タンク310を、パイプ580を通してドレンするように(例えばオペレータによって選択的に)動作可能である。いくつかの実施形態において、各パイプ580は、システム100の外部へ(例えば輸送コンテナの外側に)排水する。いくつかの実施形態において、エビは、各パイプ580の出力口で収穫用ネットを使用することによって収穫可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、例示的システム100には、水が不動であるときにタンク310の底部に沈み、上述の例示的水移動サブシステム500または550によって循環させられる固体材料(例えば廃棄物)を収集するように構成されている廃棄物収集サブシステムを含む。図6Aは、第1の例示的廃棄物収集サブシステム600を示す。いくつかの実施形態において、例示的廃棄物収集サブシステム600は、各タンク内部に位置付けされた廃棄物収集器610を含む。いくつかの実施形態において、廃棄物収集器610は、中を通る水から廃棄物を取出するように構成されたフィルタを含む。いくつかの実施形態において、フィルタは交換可能である。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム600は同様に、廃棄物収集器610から廃棄物を取出すように構成された固形物ポンプ620を含む。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム600は、全ての廃棄物収集器610から廃棄物を取出すように構成された単一の固形物ポンプ620を含み;他の実施形態において、廃棄物収集サブシステム600は、各廃棄物収集器610のための別個の固形物ポンプ620を含む。いくつかの実施形態においては、廃棄物収集サブシステム600によってタンクから取出し中である廃棄物をサンプリングすることが可能である。いくつかの実施形態において、サンプリングされた廃棄物の中身は、エビの健康;給餌の計画の有効性、脱皮などに関する識見を提供し得る。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム600は同様に、必要な場合にタンクから生物フロックを抽出するためにも使用可能である。他の実施形態では、以下で説明する通り、システム100は、廃棄物収集サブシステム600とは別個の生物フロック取出しサブシステムを含む。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム600は同様に、タンク310を空にして排水するためにも使用可能である。いくつかの実施形態においては、タンクからエビを収穫するために廃棄物収集サブシステムに収穫システムを結合することができる。
【0064】
図6Bは、第2の例示的廃棄物収集サブシステム650を示す。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム650は、各タンク310の底部に形成された廃棄物収集器655を含む。いくつかの実施形態において、水移動サブシステム500によって創出された円運動は、各タンク310の底部に沈む材料を廃棄物収集器655の内部に収集することを可能にする。いくつかの実施形態において、廃棄物収集器655の固形材料は、固形廃棄物収集ポンプ660により定期的に空にされ、廃棄物は固形廃棄物排出管665によって空にされる。いくつかの実施形態において、廃棄物収集サブシステム650は、タンク310の底部の、生命体の健康、給餌の計画の有効性、脱皮などに関する識見を提供し得る材料をサンプリングするために開放できる交換可能なスクリーンを有するフィルタ675まで水を圧送する水廃棄物ポンプ670を含む。いくつかの実施形態において、各タンク310は、独自の固形廃棄物収集ポンプ660および独自の水廃棄物ポンプ670を有する。いくつかの実施形態において、水は、各廃棄物収集器655から取出され、ポンプ670によってフィルタ675を通して圧送され、水管680を介してタンクに戻される。いくつかの実施形態において、廃棄物は廃棄物管を介して取出される。いくつかの実施形態において、ポンプ660は、一日を通して、プログラム可能な間隔で作動される。いくつかの実施形態において、フィルタは、廃棄物の量および質(例えば死滅数、重量など)をサンプリングするため、オペレータによって一日一回空にされる。
【0065】
いくつかの実施形態において、例示的システムは、水質監視サブシステムを含む。いくつかの実施形態において、水質監視サブシステム700は、各タンク内部に位置付けされたセンサユニットを含む。図7Aは、例示的センサユニット710を例示する。いくつかの実施形態において、例示的センサユニット710は、温度、溶存酸素濃度、窒素濃度、リン酸塩濃度、pH、塩分濃度などの水パラメータを検出するために動作可能なセンサを含む。いくつかの実施形態において、例示的センサユニット710は、検出されたデータをコントローラ210に伝送する能力を有しかつ伝送するように構成されていて、コントローラ210が適切な介入を開始できるようにする通信インタフェースを含んでいる。
【0066】
図7Bは、別の例示的水質監視サブシステムを示す。いくつかの実施形態において、水質監視サブシステム700は、各水タンク310内に位置付けされたサンプリング要素720を含む。いくつかの実施形態において、各サンプリング要素720は、対応する水タンク310内部の水をサンプリングし、サンプリングされた水を水タンク310の外部に位置付けされた分析部730に提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、分析部730は、温度、溶存酸素濃度、窒素濃度、リン酸塩濃度、pH、塩分濃度などの水パラメータを検出するように動作可能なセンサを含む。いくつかの実施形態において、分析部730は、伝送する機能を有する通信インタフェースを含み、こうして検出されたデータをコントローラ210に伝送し、コントローラ210が適切な介入を開始できるように構成されている
【0067】
いくつかの実施形態において、例示的システムは、給餌サブシステムを含む。図8Aは、例示的給餌サブシステム800を示す。いくつかの実施形態において、例示的給餌サブシステム800は、重量センサ820の上に位置付けされて精確な量の餌料を送出できるようにする餌用容器810を含んでいる。いくつかの実施形態において、容器810は、上述のように、モータ駆動のボールバルブ830によって開閉され、こうして容器810を例示的システムの主コントローラによって開閉することが可能になっている。いくつかの実施形態において、容器810は、主曝気サブシステム400または450の再生ブロワ410または460の出口の上方に位置付けされている。いくつかの実施形態において、容器810は、再生ブロワにより出力された加圧空気が、ベンチュリー・エダクタ840内そしてその後タンク内へと餌を押し出すように位置付けされている。いくつかの実施形態においては、ベンチュリー・エダクタ840を使用した結果として、餌が、給餌管内に落下するように促される。いくつかの実施形態において、給餌サブシステム800は、主コントローラ210が所望される間隔で再生ブロワ410または460からの取入れ口を開放して、餌をタンク内に推進するように構成されている。いくつかの実施形態において、給餌サブシステム800は、頂部タンク310または底部タンク310のいずれかに選択的に給餌するように構成されている。いくつかの実施形態において、例示的システムは、2つの例示的給餌サブシステム800を含み、そのうちの第1の給餌サブシステムは、頂部タンク310に給餌するように構成されており、第2の給餌サブシステムは底部タンク310に給餌するように構成されている。いくつかの実施形態において、再生ブロワおよび餌容器810は、制御室120の内部に位置付けされている。いくつかの実施形態において、給餌サブシステム800は同様に、粉末または微粒子の形をした他の物質(例えばプロバイオティックス、糖など)を送出するためにも使用可能である。いくつかの実施形態において、給餌サブシステム800は、上述のように餌料を送出するための主フィーダと、他の物質を送出するための主フィーダのより小さい形のものを含む。図8Bは、上述のような容器860、重量センサ870、モータ駆動バルブ880および給餌管890を含む例示的給餌サブシステム850を示す。
【0068】
いくつかの実施形態においては、給餌の計画(給餌頻度および給餌量)が、生産プロトコルにしたがってシステム制御ソフトウェアによって決定される。いくつかの実施形態においては、生産アルゴリズムが、生命体の平均サイズ、生命体の量、成長段階、脱皮段階、餌の食べ残しなどを考慮に入れて、送出すべき餌料の適切な量を決定する。いくつかの実施形態において、毎日の餌料の量および給餌頻度(例えば一日あたりの回数)は、遠隔サーバ上で動作するアルゴリズムによって決定され、給餌スケジュールを実行するため例示的システムにおいて局所的に動作するコントローラに送られる。いくつかの実施形態において、制御ソフトウェアは、エビが餌を食べることができるように餌が送出された後、設定された期間中タンク内の水を静止状態にするように水移動サブシステムに命令するようにプログラミングされている。いくつかの実施形態において、餌の送出と円形水移動の間に経過する期間は、成長段階、餌の量などの要因に応じて変動する。いくつかの実施形態において、この期間の後、制御ソフトウェアは、水移動サブシステムに対してその水ジェットを作動させてタンク内部の水を循環させ、それによりタンク底部の固形物を収集できるように命令するようにプログラミングされている。いくつかの実施形態において、収集に続く設定された間隔の後に固形物を収集することにより、制御ソフトウェアは、このような設定された間隔の後の給餌食べ残しについての情報を得ることができ、これに基づいて給餌の計画を改善することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、例示的システムは、タンク内部の水を好適な温度に維持するように構成された温度制御サブシステムを含む。図9は、例示的な温度制御サブシステム900を例示している。いくつかの実施形態において、好適な温度は、28℃~33℃の範囲内の温度である。いくつかの実施形態において、温度制御サブシステム900は、熱交換器910を含む。いくつかの実施形態において、熱交換器910は、水移動サブシステムによりタンクの周りを循環させられる水が、熱交換器を通過しタンクに戻るように位置付けされている。図9に例示されているようないくつかの実施形態において、温度制御サブシステム900は、各タンクから、チュービング930を介し、熱交換器910を通り、各タンクに戻るように水を圧送するように動作するポンプ920を含む。いくつかの実施形態において、ポンプ920は遠心ポンプである。いくつかの実施形態において、ポンプは、0.5馬力~2馬力の出力を有する遠心ポンプ920である。いくつかの実施形態において、ポンプ920は、1馬力の遠心ポンプである。いくつかの実施形態において、熱交換器910は、例示的システムの主コントローラによって制御される。いくつかの実施形態において、主コントローラは、好適な温度を構成できるように動作可能である。
【0070】
いくつかの実施形態において、例示的システムは、生物フロック取出しサブシステムを含む。いくつかの実施形態において、生物フロック内部の生命体が以上で論述した通りの重要な機能を果たしている一方で、これらの生命体は水タンク内部で飼育されているエビまたは他の生命体も必要としている酸素も同様に消費することから、(例えば水タンクが過度に多くの生物フロックを含有するのを回避するために)水タンク内部の生物フロックの適切なレベルを保証することが妥当である。
【0071】
図10Aは、例示的生物フロック取出しサブシステム1000を例示している。いくつかの実施形態において、例示的生物フロック取出しサブシステムは、各水タンクに1つずつの2つの生物フロック取出しデバイス1010を含む。いくつかの実施形態において、各生物フロック取出しデバイス1010は、対応する水タンク310の内部に位置付けされたデカンタ1020(例えば、水を保持するように構成されたフタ無し容器)を含んでおり、デカンタ1020の頂部は、対応する水タンク310の水レベルの上方にくるようになっている。図10Bは、例示的デカンタ1020の斜視図を例示している。いくつかの実施形態において、各デカンタ1020は、シュート形であり、テーパの付いた底部1022を有する。いくつかの実施形態において、各々の生物フロック取出しデバイス1010は、対応する水タンク310から水を取出しその水を対応するデカンタ1020の頂部内に圧送するように構成された水ポンプを含む。いくつかの実施形態において、水ポンプは、対応する水タンク310の内部に位置付けされた水中で稼働可能なポンプである。いくつかの実施形態においては、デカンタ1020は水タンク310の内部に位置付けされていることから、デカンタ1020内部にある余剰の水は全てデカンタから溢れ、水タンク310に戻る。いくつかの実施形態において、デカンタ1020内部の水は静止状態であり、その結果、デカンタ1020内部の生物フロックがデカンタ1020の底部1022に沈殿する。いくつかの実施形態において、各々の生物フロック取出しデバイス1010は、ドレン配管1040を介して対応するデカンタ1020のテーパ付き底部1022から生物フロックを取出すように動作可能であるドレンポンプ1030を含む。いくつかの実施形態において、ドレンポンプ1030は、定期的間隔でオンオフ切換えするように構成されている。いくつかの実施形態において、ドレンポンプ1030は、デカンタ1020内部または水タンク内部の生物フロックの量に基づいてオンオフ切換えするように構成されている。いくつかの実施形態において、ドレン配管1040を介して取出された生物フロックは、容器1050まで流れる。いくつかの実施形態において、各デカンタ1020は、以上で論述した主曝気システムに連結され、バルブ(例えば電気ボールバルブ)によってデカンタ1020の底部から分離されている曝気管1060を含む生物フロック曝気装置を含む。いくつかの実施形態において、充分な生物フロックが取出されたとシステムコントローラが決定した時点で、バルブは開放されて、曝気サブシステム400または450からの空気が曝気管1060を介してデカンタ1020の底部に流入できるようにする。いくつかの実施形態において、空気がこのように流れる場合、デカンタ1020の底部にある固形物(例えば生物フロック)はデカンタ1020内部の水と混ざり合い、余剰の水について上述したものと同じ要領でデカンタ1020の縁部から溢れ出て水タンク310に戻る。いくつかの実施形態において、このような方法でデカンタ1020から生物フロックを取出すことで、システム100の機能にとって有害であると思われるデカンタ1020内部の生物フロックの腐敗が防止される(例えば、腐敗物質の存在は、水タンク310内部の生命体の健康にとって有害であると思われる)。
【0072】
上述の例示的実施形態は、給餌、曝気、加熱などのシステムプロセスの最適化と共に生物フロックの使用によって、持続可能な方法でかつ環境への影響を最小限に抑えながら、優れた品質のエビを生産する。例示的実施形態は同様に、既存の技術に比べて小さいスペースでの生産を可能にする。例示的実施形態は同様に、再現可能かつ拡大縮小可能、そして顧客の地元でエビを生産するべく異なる地域で展開可能な、モジュール式のシステムも提供する。
【0073】
明細書およびクレーム全体を通して、以下の用語は、文脈上別段の明確な指示の無いかぎり、本明細書中で明示的に結び付けられた意味を有する。本明細書中で使用される「一実施形態において(in one embodiment)」、「実施形態において(in an embodiment)」、および「いくつかの実施形態において(in some embodiments)」なる言い回しは、必ずしも同じ実施形態を意味するとは限らないものの、そうである場合もある。さらに、本明細書中で使用される「別の実施形態において(in another embodiment)」および「他のいくつかの実施形態において(in some other embodiments)」なる言い回しは、必ずしも異なる実施形態を意味するとは限らないものの、そうである場合もある。したがって、本明細書中で記載されている通り、本発明のさまざまな実施形態は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に組合せ可能である。
【0074】
本明細書中で使用されている「~に基づいて(based on)」なる用語は、排他的ではなく、文脈上別段の明確な指示が無いかぎり、記載されていない追加の要因に基づくことを許容するものである。さらに、明細書全体を通して、「a」、「an」および「the」の意味には、複数形の言及が含まれる。「in(~の中)」の意味には、「in(~の中)」および「on(~の上)」が含まれる。
【0075】
本発明の多くの実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は単に例示的なものであって、限定的ではないこと、そして当業者には多くの修正が明白になり得ることが理解される。例えば、本明細書中で論述されている寸法はいずれも、例として提供されているにすぎず、限定的ではなく例示的であるように意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
【国際調査報告】