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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20231201BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231201BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20231201BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231201BHJP
   F21W 131/101 20060101ALN20231201BHJP
   F21W 131/103 20060101ALN20231201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231201BHJP
【FI】
F21S8/08 200
F21V5/04 350
F21V5/02 400
F21V5/00 610
F21V5/00 100
F21S8/08 110
F21W131:101
F21W131:103
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541844
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022050187
(87)【国際公開番号】W WO2022148803
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】21150842.9
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】アンセムス ヨハンネス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッセンベルフ ミシェル コルネリス ヨセフス マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブドヴィン オレクサンデル ヴァレンティノヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブッケムス ペーター ヨハンネス マルティヌス
(57)【要約】
発光デバイス(1)であって、動作時に、光(7、9)を発する少なくとも1つの光源(2)と、発光デバイス(1)によって照らされるべき表面(22)に向かう第1の方向に少なくとも1つの光源(2)によって発せられる光(7)を向けるように構成される少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素(3)であって、レンズ要素(3)は、表面(22)に向かう方向に向く第1の端部(11)及び表面(22)から離れる方向に向く第2の端部(20)を含む、自由形状屈折レンズ要素と、少なくとも1つの第1のTIR要素(4)であって、第1のTIR要素(4)は、表面(22)から離れる第2の方向に少なくとも1つの光源(2)から発せられる光(9)を平行且つ下方方向に伝搬する光(9')にコリメート及びリダイレクトするように構成されるコリメーティングTIR要素であり、第1のTIR要素(4)は、光インカップリング面(19)及び光アウトカップリング面(13)を含み、光インカップリング面(19)は、レンズ要素(3)の第2の端部(20)に配置される、第1のTIR要素と、第1のTIR要素(4)によってリダイレクトされる光(9')を、表面(22)に向かう方向に伝搬し、レンズ要素(3)によって向けられる光(7')の強度ピークとアラインされる広角に2つの強度ピークを有する強度分布を有する光(9'')にリダイレクトするように構成される少なくとも1つの第2のTIR要素(5)であって、少なくとも1つの第2のTIR要素(5)は、第1のTIR要素(4)の光アウトカップリング面(13)に配置される、第2のTIR要素とを含む、発光デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
動作時に、光を発する少なくとも1つの光源と、
当該発光デバイスによって照らされるべき表面に向かう第1の方向に前記少なくとも1つの光源によって発せられる光を向けるように構成される少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素であって、前記自由形状屈折レンズ要素は、前記照らされるべき表面に向かう方向に向く第1の端部及び前記照らされるべき表面から離れる方向に向く第2の端部を含む、自由形状屈折レンズ要素と、
少なくとも1つの第1のTIR要素であって、前記第1のTIR要素は、前記照らされるべき表面から離れる第2の方向に前記少なくとも1つの光源から発せられる光を平行且つ下方方向に伝搬する光にコリメート及びリダイレクトするように構成されるコリメーティングTIR要素であり、前記第1のTIR要素は、光インカップリング面及び光アウトカップリング面を含み、前記第1のTIR要素の前記光インカップリング面は、前記自由形状屈折レンズ要素の前記第2の端部に配置される、第1のTIR要素と、
前記第1のTIR要素によってコリメートされ、リダイレクトされる光を、前記照らされるべき表面に向かう方向に伝搬し、前記自由形状屈折レンズ要素によって向けられる光の強度ピークとアラインされる広角に2つの強度ピークを有する強度分布を有する光にリダイレクトするように構成される少なくとも1つの第2のTIR要素であって、前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、前記第1のTIR要素の前記光アウトカップリング面に配置され、前記光アウトカップリング面は、前記第1のTIR要素が終わり、前記第2のTIR要素が始まる位置を示す、第2のTIR要素と、
を含む、発光デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、非対称要素又は傾斜プリズム状要素又は前記照らされるべき表面に垂直な垂直平面において鏡面対称であり、前記照らされるべき表面を横切る直交方向において非対称である要素である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、複数の光アウトカップリング要素を含み、前記光アウトカップリング要素は、プリズム状、円錐状、又はプリズム状及び円錐状の組み合わせである形状を有する、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、複数の光アウトカップリング要素を含み、前記光アウトカップリング要素は、三角形、非対称三角形及び二等辺三角形のいずれかである断面形状を有する、又は前記光アウトカップリング要素は、湾曲又はスプライン形状を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、表面テクスチャ、表面コーティング又は反射防止コーティングを備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素、前記少なくとも1つの第1のTIR要素及び前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、一体に設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素、前記少なくとも1つの第1のTIR要素及び前記少なくとも1つの第2のTIR要素は、射出成形又は鋳造又は成形又は3D印刷又は圧縮成形又はエンボス加工されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項8】
当該発光デバイスは、光源のアレイと、前記光源のアレイの各光源に関連付けられる、自由形状屈折レンズ要素、第1のTIR要素及び第2のTIR要素とを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
当該発光デバイスは、ユニットのアレイを含むレンズプレートを含み、各ユニットは、自由形状屈折レンズ要素、第1のTIR要素及び第2のTIR要素を含む、請求項8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記レンズプレートは、一体に設けられている、請求項9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光デバイスを含む、照明器具。
【請求項12】
当該照明器具は、ポールを含み、前記平行な、下方方向は、前記ポールの長手方向延在部と平行、前記ポールの長手方向延在部と5度の角度内、又は前記ポールの長手方向延在部と30度の角度内である、請求項11に記載の照明器具。
【請求項13】
当該照明器具は、吊り下げ構成を含み、前記平行な、下方方向は、垂直と平行、垂直と5度の角度内、又は垂直と30度の角度内である、請求項11に記載の照明器具。
【請求項14】
当該照明器具は、産業照明器具、トンネル照明器具、道路照明照明器具、ウォールウォッシング照明器具又は街路照明照明器具である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作時に、光を発する少なくとも1つの光源と、発光デバイスによって照らされるべき表面に向かう第1の方向に少なくとも1つの光源によって発せられる光を向けるように構成される少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素であって、自由形状屈折レンズ要素は、照らされるべき表面に向かう方向に向く第1の端部と、照らされるべき表面から離れる方向に向く第2の端部とを含む、自由形状屈折レンズ要素とを含む、発光デバイスに関する。
【0002】
本明細書で使用される場合、「下方(downward)」という用語は、一般に、垂直の両側に、30度の角度内、とりわけ10度又は5度の角度内の任意の方向を包含することを意味する。「垂直(the vertical)」という用語は、例えば鉛直線(plumb line)で具体化されるように、上又は下に、重力の力の方向と整列する方向を指すことが意図される。
【背景技術】
【0003】
街路(street)及び道路(road)照明では、光の有効利用のために、光のほとんどが街路又は道路に向けられることが望ましい。他の方向への光はすべて、グレア(glare)、光トレスパッシング(light trespassing)、スカイグロー(sky glow)等の望ましくない効果をもたらす可能性があるため、典型的には、無駄(waste)、ましては光害とみなされる。
【0004】
LED照明器具の場合、典型的な道路照明アーキテクチャは、PCB上に配置されるLEDアレイと、好ましい方向に光を方向付けるためにLEDごとに自由形状レンズを含む光学プレートから成る。このようなLED照明器具の一例は、いわゆる自由形状ピーナッツレンズ(free-shape peanut lens)である、DM10レンズを備えるClearway道路照明照明器具である。この自由形状ピーナッツレンズは、道路に沿った2つのピーク強度方向に光を向け、さらに、様々な標準化された分布のために、残りの角度空間において滑らかな強度勾配を有する配光を作り出す。DM10ピーナッツレンズは、最大強度Imax=629cd/klmを提供する。光出力比(LOR:Light Output Ratio)の観点での光学効率は、87.2%である。前方方向(道路に向かう方向)のスピル光(spill light)は、シャープな強度カットオフでよく制御されるが、大量の光(約32%)が、(歩道(pavement)又は沿道(roadside)に向かう)後方方向にこぼれる(spilled)。
【0005】
この特定の設計では、自由形状レンズは、裏側に小さな突出部分を含む。この小さな構造は、後方方向の光をPCB表面に反射して戻す。この場合、白色PCB表面は、ポールの周囲に拡散照明を提供するのに対し、黒色PCB表面は、効率が低下することを犠牲にして、厳しい光害制約が後方光に課される場合、後方に方向付けられる光を吸収するために使用され得る。
【0006】
屈折自由形状レンズオプティクスは、道路に向かう方向の光を制御するのに非常に適しているが、ポールの後ろの方向の光を制御するのには適していない。現在知られている解決策は、光害の制約に依存して、後方光を拡散させるか、吸収するかのいずれかである。光を道路に向けてリダイレクトするためのTIRファセットを有する自由形状レンズも知られている。これらは一般的方向を向上させ、それゆえ、光の有効利用を向上させるが、このリダイレクトされた光は、所望のピーク強度分布を生成するために必要な高度(high degree)に制御されることはできない。
【0007】
US 9,200,765 B1は、光源と、突出部を有するオプティック(レンズ)とを含む街路照明システムであって、突出部は、2つの反射構造、典型的には全反射(TIR)構造を含む、街路照明システムを開示している。光源は、2つの主方向、すなわち、照らされるべき街路から離れる方向である、ハウス側に向かう方向、及び、照らされるべき街路に直接向かう方向である、街路側に向かう方向に光を発する。2つの反射構造は単純面であり、ハウス側に向かって光源から発せられる光をリダイレクトするように構成される。ハウス側に向かって発せられる光が2つの反射面によって反射される場合、街路側に向けて方向付けられるが、街路側に向かう方向に光源から発せられる光の主方向とは異なる方向の単一のリダイレクトビーム(single redirected beam)という結果になる。また、この解決策では、反射面によってリダイレクトされず、斯くして失われる、ハウス側に向かって発せられるある量の光が依然として存在する。
【0008】
斯くして、光損失が低減され、効率が増大され、また、所望のピーク強度分布を生成するために必要な高度にリダイレクト光(redirected light)を制御することが可能である、街路及び道路照明で使用するためのLED照明器具を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、この問題を克服し、光光損失が低減され、効率が増大され、また、所望のピーク強度分布を生成するために必要な高度にリダイレクト光を制御することが可能である、街路照明を目的とした発光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この及び他の目的は、発光デバイスであって、動作時に、光を発する少なくとも1つの光源と、当該発光デバイスによって照らされるべき表面に向かう第1の方向に少なくとも1つの光源によって発せられる光を向ける(aim)ように構成される少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素(free-shape refractive lens element)であって、自由形状屈折レンズ要素は、照らされるべき表面に向かう方向に向く第1の端部及び照らされるべき表面から離れる方向に向く第2の端部を含む、自由形状屈折レンズ要素と、少なくとも1つの第1の全反射(TIR:total internal reflection)要素であって、第1のTIR要素は、照らされるべき表面から離れる第2の方向に少なくとも1つの光源から発せられる光を平行且つ下方方向に伝搬する光にコリメート及びリダイレクトするように構成されるコリメーティングTIR要素(collimating TIR element)であり、第1のTIR要素は、光インカップリング面(light incoupling surface)及び光アウトカップリング面(light outcoupling surface)を含み、第1のTIR要素の光インカップリング面は、自由形状屈折レンズ要素の第2の端部に配置される、第1のTIR要素と、第1のTIR要素によってコリメートされ、リダイレクトされる光を、照らされるべき表面に向かう方向に伝搬し、自由形状屈折レンズ要素によって向けられる(aimed)光の強度ピークとアラインされる(aligned)広角に2つの強度ピークを有する強度分布を有する光にリダイレクトするように構成される少なくとも1つの第2のTIR要素であって、少なくとも1つの第2のTIR要素は、第1のTIR要素の光アウトカップリング面に配置され、光アウトカップリング面は、第1のTIR要素が終わり、第2のTIR要素が始まる位置を示す、第2のTIR要素とを含む、発光デバイスによって達成される。
【0011】
これにより、特に、上記のように配置及び構成される第1のTIR要素及び第2のTIR要素の両方を設けることにより、光光損失が低減され、効率が増大され、また、所望のピーク強度分布を生成するために必要な高度にリダイレクト光を制御することが可能である、発光デバイスが提供される。
【0012】
また、このような発光デバイスは、照らされることが望まれる表面以外の表面及びエリアに向けて光が不注意に(inadvertently)発せられることに起因するグレア、光トレスパッシング及びスカイグロー等の悪影響を低減又は完全に排除することにより、光の無駄(light waste)及び光害を大幅に低減、ましては回避することを可能にする。
【0013】
さらに、場合によっては、自由形状レンズは、必要に応じて、他の方向へ光をリディストリビュートする(redistribute)ように適合されてもよい。
【0014】
それゆえ、このような発光デバイスは、上述したような悪影響を避けるために光の大きな方向制御(large degree of directional control)が必要とされる街路照明目的及び他の照明目的に特に適している。
【0015】
一実施形態において、少なくとも1つの第2のTIR要素は、非対称要素(asymmetric element)又は傾斜プリズム状要素(tilted prism-shaped element)である。
【0016】
このような光学アーキテクチャを有する第2のTIR要素を設けることは、光リダイレクティング特性がとりわけ良好である発光デバイスを提供する。これにより、とりわけ低い光損失及びとりわけ高い効率が得られる。
【0017】
原理的に、自由形状レンズ要素によって形成される2つの強度ピークは、照らされるべき表面の長手方向に沿って対称に分布するが、照らされるべき表面を横切る方向には非対称に分布する。代替的に、自由形状レンズ要素によって形成される2つの強度ピークは、照らされるべき表面を横切る方向において対称に分布してもよい。いずれにせよ、照らされるべき表面を横切る方向における非対称性は、第1のTIR要素から生じる平行ビームを垂直方向に対して傾斜させることによって(この場合、プリズムは対称的であってもよい)、又は傾斜プリズムを介して垂直平行ビームを曲げることによって作り出されてもよい。
【0018】
斯くして、特定の実施形態において、第2のTIR要素は、照らされるべき表面に垂直な垂直平面において鏡面対称であり、照らされるべき表面を横切る直交方向において非対称である要素である。
【0019】
一実施形態において、少なくとも1つの第2のTIR要素は、複数の光アウトカップリング要素を含み、光アウトカップリング要素は、プリズム状、円錐状、又はプリズム状及び円錐状の組み合わせである形状を有する。
【0020】
このような光学アーキテクチャを有する光アウトカップリング要素(ファセット)を有する第2のTIR要素を設けることは、光リダイレクティング特性が最適化される発光デバイスを提供する。これにより、とりわけ低い光損失及びとりわけ高い効率が得られる。
【0021】
一実施形態において、少なくとも1つの第2のTIR要素は、複数の光アウトカップリング要素を含み、光アウトカップリング要素は、三角形、非対称三角形(asymmetric triangular)及び二等辺三角形のいずれかである断面形状を有する。代替的に、又は追加的に、光アウトカップリング要素は、湾曲(curvature)又はスプライン形状(spline shape)を有する。
【0022】
このような光学アーキテクチャを有する光アウトカップリング要素(ファセット)を有する第2のTIR要素を設けることは、光リダイレクティング特性がとりわけ良好であるシンプルな構造の第2のTIR要素を有する発光デバイスを提供する。これにより、とりわけ低い光損失及びとりわけ高い効率が得られる。
【0023】
一実施形態において、少なくとも1つの第2のTIR要素は、表面テクスチャ(surface texture)、表面コーティング又は反射防止コーティングを備える。
【0024】
コーティングを有する第2のTIR要素を設けることは、光損失をさらに低減し、発光デバイスの効率をさらに高めることを可能にする。
【0025】
一実施形態において、少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素は、2つの強度ピークを有する強度分布を提供するように構成されるピーナッツ状レンズ要素(peanut-shaped lens element)である。
【0026】
このような自由形状レンズ要素は、道路等の矩形エリアを照らすために設計され、とりわけ、矩形エリアの遠方を均一に照らすように設計される。これを得るために、自由形状レンズ要素は2つの強度ピークを生成する必要があり、結果として、自由形状レンズ要素は2つの膨らみサイド(bulging side)を有することが多い。それゆえ、このような自由形状レンズ要素は、ピーナッツレンズと呼ばれることもある。それゆえ、ピーナッツ状レンズ要素は、好適な自由形状レンズ要素の一例である。これにより、照らされるべき表面に向かう第1の方向における少なくとも1つの光源によって発せられる光の照準(aiming)が特に高精度且つ効率的である発光デバイスが提供される。
【0027】
一実施形態において、少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素、少なくとも1つの第1のTIR要素及び少なくとも1つの第2のTIR要素は、一体に(in one piece)設けられている。
【0028】
これにより、とりわけシンプル且つロバストな構造を有し、製造がシンプルで比較的安価である発光デバイスが提供される。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1つの自由形状屈折レンズ要素、少なくとも1つの第1のTIR要素及び少なくとも1つの第2のTIR要素は、射出成形(injection molded)又は鋳造(cast)又は成形(molded)又は3D印刷(3D printed)又は圧縮成形(compression molded)又はエンボス加工(embossed)されている。
【0030】
これにより、大量の製造がシンプル且つ比較的安価である発光デバイスが提供される。
【0031】
一実施形態において、当該発光デバイスは、光源のアレイと、光源のアレイの各光源に関連付けられる、自由形状屈折レンズ要素、第1のTIR要素及び第2のTIR要素とを含む。
【0032】
これにより、上述した利点を得ながら、とりわけシンプルなやり方で発光デバイスの総光出力(total light output)の強度の増加が得られ得る発光デバイスが提供される。
【0033】
一実施形態において、当該発光デバイスはさらに、ユニットのアレイを含むレンズプレートを含み、各ユニットは、自由形状屈折レンズ要素、第1のTIR要素及び第2のTIR要素を含む。
【0034】
これにより、上述した利点を得ながら、とりわけシンプルなやり方で発光デバイスの総光出力の強度の増加が得られ得、さらに、とりわけシンプル且つロバストな構造を有し、製造がシンプル且つ比較的安価である発光デバイスが提供される。
【0035】
一実施形態において、レンズプレートは、一体に設けられている。
【0036】
これにより、とりわけシンプル且つロバストな構造を有し、製造がシンプル且つ比較的安価であり、また、アセンブルがとりわけシンプルである発光デバイスが提供される。
【0037】
本発明はさらに、上記クレームのいずれかによる発光デバイスを含む照明器具に関する。照明器具は、ポール、スタンド又は吊り下げ構成(suspension arrangement)を含んでもよい。照明器具は、産業照明器具(industry luminaire)、トンネル照明器具(tunnel luminaire)、道路照明照明器具(road lighting luminaire)、ウォールウォッシング照明器具(wall washing luminaire)又は街路照明照明器具(street lighting luminaire)であってもよい。
【0038】
本発明は、特許請求の範囲に列挙されている特徴のすべての可能な組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明のこの及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に述べられる。図に示されているように、レイヤ及び領域のサイズは、例示の目的で誇張されている場合があり、斯くして、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するために提供されている。同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指す。
図1】光源、自由形状屈折レンズ要素、第1のTIR要素、及び第2のTIR要素を含む、本発明の第1の実施形態による発光デバイスの透視側面図を示す。
図2図1による発光デバイスの上面図を示す。
図3図1による発光デバイスの斜視図を示す。
図4図1による発光デバイスのアレイを含む、本発明の第2の実施形態による発光デバイスの斜視図を示す。
図5図4による発光デバイスから生じる強度分布を図示するデカルトプロットを示す。
図6図4による発光デバイスから生じる強度分布を図示するポーラプロットを示す。
図7図3の線VIIに沿って見た図1~3による発光デバイスの第1のTIR要素及び第2のTIR要素の断面側面図を示す。
図8】第1のTIR要素及び第2のTIR要素から生じる強度分布の部分のみを図示し、自由形状屈折レンズ要素から生じる強度分布の部分を図示していない、図1~3及び7による発光デバイスから生じる強度分布を図示するデカルトプロットを示す。
図9】第1のTIR要素及び第2のTIR要素から生じる強度分布の部分及び自由形状屈折レンズ要素から生じる強度分布の部分の両方を図示する、図1~3及び7による発光デバイスから生じる総強度分布を図示するデカルトプロットを示す。
図10】本発明による発光デバイスのアレイの性能を図示する4つの異なるプロットを示す。上側の2つのプロットは、2つの異なる角度から見た本発明による発光デバイスのアレイの様相を図示し、右側は、ピーク強度方向におけるものである。下側の2つのプロットは、同じ2つの異なる角度から見た従来技術の発光デバイスのアレイの様相を図示、ここでも、右側は、ピーク強度方向におけるものである。
図11】本発明による発光デバイスを含む照明器具の実施形態を概略的に図示する。
図12】本発明による発光デバイスを含む照明器具の実施形態を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、以下にさらに完全に述べられる。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で述べられている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供されており、本開示の範囲を当業者に完全に伝える。
【0041】
まず、図1~3を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態による発光デバイス1の透視側面図を示している。図2は、発光デバイス1の上面図を示し、図3は、発光デバイス1の斜視図を示している。
【0042】
一般に、実施形態にかかわらず、本発明による発光デバイス1は、少なくとも1つの光源2、自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5を含む。
【0043】
少なくとも1つの光源2は、動作時に、光7、9を発するように構成される。図1に示されるように、少なくとも1つの光源2によって発せられる光の第1の部分7は、一般に、路面等、照らされるべき表面22に向かう第1の方向に発せられ、光の第2の部分9は、一般に、照らされるべき表面22から離れ、照らされるべき表面22の隣の表面又はエリア23に向かう第2の方向に発せられる。表面又はエリア23は、例えば、ディッチ(ditch)、トレンチ(trench)又は路面の隣の他の表面であってもよい。少なくとも1つの光源2は、光7、9が発せられる光出口面6を含む。少なくとも1つの光源2は、原則として、任意の実現可能なタイプの光源であってもよいが、典型的にはLED光源である。
【0044】
表面22は、原則として、照らされることが望まれる任意の表面であってもよいが、とりわけ、道路、街路、サイクリング道路、歩行者道、駐車場、又は任意の他の通行表面(traffic surface)である。表面又はエリア23は、ディッチ、一区画の土地(piece of land)、区画(plot)等のエリア、又は照らすことが望まれない表面22の隣の任意の他のエリア23であってもよい。
【0045】
自由形状屈折レンズ要素3は、一般に、実施形態にかかわらず、第1の方向に少なくとも1つの光源2によって発せられる第1の光7を発光デバイス1によって照らされるべき表面22に向かって伝搬する光7'に向け、集束させるように構成される。
【0046】
自由形状屈折レンズ要素3は、第1の方向を向き、第1の光7を光7'に向け、集束させるように構成される第1の端部又は面11を含む。さらに、自由形状屈折レンズ要素3は、第2の方向に向く第2の端部又は面20を含む。第2の光9は、第2の面20を通って自由形状屈折レンズ要素3を出る。自由形状屈折レンズ要素3は、2つの強度ピークを有する強度分布を提供するように構成されるレンズ要素又はピーナッツ状レンズ要素であってもよい。
【0047】
第1のTIR要素4は、第2の方向に少なくとも1つの光源2から発せられる第2の光9を平行な、下方方向に伝搬する光9'にリダイレクト及びコリメートするように構成されるコリメーティングTIR要素4である。第1のTIR要素4は、光インカップリング面19、TIR面12、及び光アウトカップリング面13を含む。光アウトカップリング面13は、物理的な面ではなく、第1のTIR要素4が終わり、第2のTIR要素5が始まる位置を示す仮想的な面として理解されるべきである。第1のTIR要素4の光インカップリング面19は、自由形状屈折レンズ要素3の第2の端部20に配置される。斯くして、第1のTIR要素4は、光インカップリング面19において第2の光9を受ける。TIR面12は、第2の光9を光9'にリダイレクト及びコリメートする。コリメート及びリダイレクトされた光9'は、光アウトカップリング面13において第1のTIR要素4を出る。
【0048】
発光デバイス1は、1つ以上の第2のTIR要素5を含む。いずれにせよ、少なくとも1つの第2のTIR要素5は、第1のTIR要素4によってコリメートされ、リダイレクトされる光9'を、照らされるべき表面22に一般に向かう方向に伝搬し、自由形状屈折レンズ要素3によって向けられ、集束される光光7'の強度ピークとアラインされる広角に2つの強度ピークを有する強度分布を有する光9''にリダイレクトするように構成される。少なくとも1つの第2のTIR要素5は、光インカップリング面21及び1つ以上の光アウトカップリング要素14を含む。光アウトカップリング要素14は、ファセット(facetted)光アウトカップリング要素14であってもよい。少なくとも1つの第2のTIR要素5は、第1のTIR要素4の光アウトカップリング面13に配置される。少なくとも1つの第2のTIR要素5は、光インカップリング面21においてコリメート及びリダイレクトされた光9'を受ける。斯くして、光インカップリング面21は、物理的な面ではなく、第2のTIR要素5が始まり、第1のTIR要素4から光を受ける位置を示す仮想的な面として理解されるべきである。リダイレクトされた光9''は、光アウトカップリング要素14において、とりわけ、光アウトカップリング要素14の表面を通って第2のTIR要素を出る。少なくとも1つの第2のTIR要素5は、第1のTIR要素4の光アウトカップリング面13全体を覆ってもよいことに留意されたい。
【0049】
一般に、少なくとも1つの第2のTIR要素5は、非対称要素又は傾斜プリズム状要素であってもよい。一般に、とりわけ、図1に示されるように、第2のTIR要素5の1つ以上の光アウトカップリング要素14は、TIRが生じ、入射光9'を光9''にリダイレクトする第1の面又はTIR面15を含む。さらに、第2のTIR要素5の1つ以上の光アウトカップリング要素14は、第2の面16、第3の面17、及び第4の面18を含む。1つ以上の光アウトカップリング要素14は、図1~3に示される実施形態では、第1の面15に沿って延び、第1の面15とそれぞれ隣接する第2の面16との間の遷移を定義するそれぞれの線に対して垂直な仮想線が、非対称三角形の第1の最も長いカテーテル(catheter)を形成し、第2の面16に沿って延び、第2の面16とそれぞれ隣接する第1の面15との間の遷移を定義するそれぞれの線に対して垂直な仮想線が、非対称三角形の第2のより短いカテーテルを形成する、非対称三角形の形状である断面形状を有する。斯くして、図1~3に示される実施形態において、少なくとも1つの第2のTIR要素5は非対称要素であり、とりわけ、傾斜プリズム状要素である。
【0050】
図1では、仮想平面Pが示されている。平面Pは、光源2の光出口面6に対して垂直に且つ第1のTIR要素4の光インカップリング面19に対して平行に延びている。この仮想平面Pを基準として、本明細書で使用される「照らされるべき表面に向かう方向(direction towards the surface to be illuminated)」という用語は、図1に見られるように、光源2の光出口面6の任意の点から離れ、照らされるべき表面22に最も近い仮想平面Pの第1の側8におけるエリア又はボリューム(volume)に向かって延びるように定義される任意の方向として定義されてもよい。また、本明細書で使用される用語「照らされるべき表面に向かう方向」は、光源2の光出口面6の任意の点から離れ、自由形状屈折レンズの表面11に向かって延びるように定義される任意の方向として定義されてもよい。
【0051】
同様に、本明細書で使用される「照らされるべき表面から離れる方向(direction away from the surface to be illuminated)」という用語は、図1に見られるように、光源2の光出口面6の任意の点から離れ、照らされるべき表面22から遠い、第1の側8とは反対側の仮想平面Pの第2の側10におけるエリア又はボリュームに向かって延びるように定義される任意の方向として定義されてもよい。また、本明細書で使用される用語「照らされるべき表面から離れる方向」は、光源2の光出口面6の任意の点から離れ、第1のTIR要素4に向かって延びるように定義される任意の方向として定義されてもよい。
【0052】
最後に、本明細書で使用される「平行な、下方方向(parallel, downward direction)」という用語は、仮想平面Pに対して平行な方向、又は仮想平面Pと数度、例えば1~5度の角度をなす方向として定義されてもよい。また、用語「平行な、下方方向」は、照らされるべき表面22に対して垂直な方向、又は照らされるべき表面22に対して垂直の数度以内、例えば1~5度の方向に延びる方向として定義されてもよい。発光デバイスがさらにポール26(図12参照)を含む実施形態では、「平行な、下方方向」という用語は、ポール26の長手方向延在部(longitudinal extension)に対して平行、又はポール26の長手方向延在部に対して数度、例えば平行と1~5度の角度をなすものとして定義されてもよい。最後に、「平行な、下方方向」という用語は、垂直に対して平行、又は垂直に対して数度、例えば平行と1~5度の角度をなすものとして定義されてもよい。ここで、「垂直」という用語は、例えば鉛直線で具体化されるように、上又は下に、重力の力の方向と整列する方向を指すことが意図される。
【0053】
自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5は、射出成形によって製造されてもよい。代替的な製造方法としては、圧縮成形、エンボス加工、鋳造、押出成形、3D印刷等が挙げられる。自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5は、一般に、一体に設けられる。代替的に、自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5は、例えば適切な光学接着剤を用いて、互いに接続される別個の要素として設けられてもよい。
【0054】
ここで、図4に目を向けると、本発明の第2の実施形態による発光デバイス100の斜視図が示されている。発光デバイス100は、光源2のアレイ(図4では見えない)を有する光源プレート102と、レンズプレート101とを含む。光源プレート102及びレンズプレート101は、一緒に、図1~3に関連して上述したタイプの5×5個の発光デバイス1のアレイを形成する。斯くして、レンズプレート101は、各々が自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5を含む5×5個のユニットを含む。このようなユニットの別の数を含むアレイを有するレンズプレートも実現可能である。本発明による他のタイプの発光デバイス又は本発明によるいくつかの互いに異なる発光デバイスを形成する光源プレート102及びレンズプレートも実現可能である。
【0055】
光源プレート102及びレンズプレート101は、光源プレート102の各光源がレンズプレート101の自由形状屈折レンズ要素3、第1のTIR要素4及び第2のTIR要素5を含むユニットに関連付けられるように互いにかぶせられる又は接続される。図4に示されるように、レンズプレートは、例えば、押出成形、成形、鋳造又は3D印刷によって、一体に設けられてもよい。
【0056】
図5及び図6は、図4による発光デバイスから生じる強度分布を図示する2つの異なるプロットを示している。とりわけ、図5は、図4による発光デバイスから生じる強度分布のデカルトプロット(cartesian plot)を示し、図6は、ポーラプロット(polar plot)を示している。
【0057】
DM10タイプの従来技術のレンズプレートを含む参照発光デバイスと比較して、プロットは、ピーク強度が1000cd/klmである又は159%増加され、光出力比(LOR)が86.14%である又は1%だけ減少され、照らされるべき表面22の隣の表面又はエリア23上の望ましくないスピル光が全光束の32%から全光束の23%に低減されることを明らかにしている。このように、本発明による、図1~3に示されるような光学アーキテクチャは、道路照明において重要な性能パラメータである、ピーク強度を改善し、本質的に効率のペナルティ(efficiency penalty)なしに、スピル光を低減させることが明らかである。
【0058】
図7は、図3の線VIIに沿って見た図1~3による発光デバイス1の第1のTIR要素及び第2のTIR要素の断面側面図を示している。
【0059】
図7に示されるように、少なくとも1つの第2のTIR要素5の光アウトカップリング要素14の1つ以上は、任意選択的に、表面テクスチャ又は表面コーティング25を備えてもよい。表面テクスチャ又は表面コーティング25は、例えば、表面の一部又はすべてを覆う小さな表面粗さであってもよく、モールドの彫刻(engraving)又はエッチング又は放電加工(spark erosion)によって作られてもよい。代替的に、表面テクスチャ又は表面コーティング25は、例えば、反射防止コーティングであってもよい。
【0060】
図8は、図1図3及び図7による発光デバイスから生じる強度分布を図示するデカルトプロットを示している。図8に示される強度分布は、第1のTIR要素及び第2のTIR要素から生じる強度分布の部分のみを図示し、自由形状屈折レンズ要素から生じる強度分布の部分を図示していない。図8に示される強度分布では、光のより小さな部分がピーク以外の方向(主に発光要素の下の方向)にも方向付けられているが、最終的に滑らかな配光を生成するために、自由形状屈折レンズ3の屈折部は再設計されることができる。図1図3及び図7による発光デバイス1でも、道路照明の重要な性能パラメータである、ピーク強度が改善され、光こぼれ(light spill)が、本質的に効率のペナルティなしに、低減されることが図8のプロットから明らかである。
【0061】
ここで、図9に目を向けると、本発明によるさらに別の発光デバイスから生じる強度分布を図示するデカルトプロットが示され、この場合の発光デバイスは、円錐及び傾斜プリズムの組み合わせとして成形される光アウトカップリング要素14を有する少なくとも1つの第2のTIR要素5を備えている。図9は、図1図3及び図7による発光デバイスから生じる総強度分布、斯くして、第1のTIR要素及び第2のTIR要素から生じる強度分布の部分及び自由形状屈折レンズ要素から生じる強度分布の部分の両方を図示する総強度分布を図示している。光アウトカップリング要素14は、ファセット光アウトカップリング要素14であってもよい。斯くして、このような第2のTIR要素5は、本質的に、円錐及び傾斜プリズムの組み合わせである形状を有する光アウトカップリング要素14を備える。DM10タイプの従来技術のレンズプレートを含む参照発光要素と比較して、図10のプロットは、ピーク強度がピーク方向(C23ガンマ72)において4320cdであり、光出力比(LOR)は86.2%であることを明らかにしている。このように、円錐及び傾斜プリズムの組み合わせである光学アーキテクチャを含む発光デバイスでも、道路照明の重要な性能パラメータである、ピーク強度が改善され、光こぼれが、本質的に効率のペナルティなしに、低減されることが明らかである。
【0062】
最後に、図10は、本発明による発光デバイスのアレイの性能を図示する4つの異なるプロットを示している。上側の2つのプロットは、2つの異なる角度から見た本発明による発光デバイスのアレイの様相(appearance)を図示し、左側はC=0ガンマ10で示される方向であり、右側はピーク強度方向、C=23ガンマ72におけるものである。下側の2つのプロットは、同じ2つの異なる角度から見たDM10タイプのレンズプレートを採用する従来技術の発光デバイスのアレイの様相を図示、ここでも、右側はピーク強度方向におけるものである。本発明による発光デバイスの光学アーキテクチャは、アレイ内のLEDの数の2倍の明るいエリアを生成するため(図10の右上の画像プロット参照)、改善された様相を有することが見て分かる。効果は、元の明るいエリアの間に追加の明るいエリアが存在する、ピーク方向(C23ガンマ72)において最も顕著である。遠くから見ると、これはより均一に見え、目に心地よく知覚されることになる。
【0063】
本発明による発光デバイス1又は100は、屋外照明器具、例えば、街路照明照明器具、又は高められたピーク強度が望まれる屋内又は屋外用途の産業照明器具等、照明器具に採用されてもよい。図11及び図12は、このような照明器具の2つの異なる例示的な実施形態を概略的に示している。図11及び図12にも示されるように、本発明による発光デバイス1又は100は、ハウジング29を含む又はハウジング29内に配置されてもよい。ハウジング29は、透明カバー及びリフレクタ又は反射内面を含んでもよい。
【0064】
とりわけ図11を参照すると、このような照明器具はポール26を含んでもよい。第1のTIR要素4によって形成されるコリメート及びリダイレクトされた光9'が伝搬する下方方向は、ポール26の長手方向延在部に対して平行なものとして定義されてもよい。
【0065】
代替的に、とりわけ図12に示されるように、このような照明器具は、吊り下げ照明器具(suspended luminaire)であってもよく、例えば、2つの建物、ポール27等の間に延びるラインシステム28から吊り下げられてもよい。第1のTIR要素4によって形成されるコリメート及びリダイレクトされた光9'が伝搬する下方方向は、垂直に対して平行なものとして定義されてもよい。ここで、垂直は、例えば鉛直線で具体化されるように、上又は下に、重力の力の方向と整列する方向を指すことが意図される。
【0066】
別の代替例として、このような照明器具は、壁等、別のタイプの固定構造物に取り付けられてもよい。
【0067】
当業者は、本発明が決して上記の好ましい実施形態に限定されるものではないことを認識する。それどころか、多くの修正及び変形が、添付の特許請求の範囲内で可能である。
【0068】
さらに、図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】