(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】加圧飲料用ケグ容器を充填及び空にするためのスピアバルブ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
B67D1/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547929
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2021059465
(87)【国際公開番号】W WO2022079661
(87)【国際公開日】2022-04-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523142294
【氏名又は名称】ダウニア プラスト ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】DAUNIA PLAST S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via degli Artigiani 15,76015 Trinitapoli,BT,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】弁理士法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディ パスクァーレ、マウロ
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB02
3E082BB03
3E082BB04
3E082CC01
3E082DD11
3E082FF09
(57)【要約】
全体がPET等のプラスチック材料で作られた二重壁容器(1)を充填及び空にするためのバルブ装置(2)が提供される。前記容器(1)は第1の容器(10)と、降伏可能なプラスチック材料で作られ、前記第1の容器(10)の内部に挿入された第2の容器(11)を備え、バルブ装置(2)はバルブ本体を備え、前記バルブ本体は、第2の管状部材(21)に接続された第1の管状部材(20)と、バネ(23)の作用に抗して前記バルブ本体の内部で軸方向に移動可能に取り付けられた第3の管状部材(22)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体がPET等のプラスチック材料で作られた二重壁容器(1)を充填及び空にするためのバルブ装置(2)であって、
前記容器(1)は、
実質的に硬質のプラスチック材料で作られた第1の容器(10)と、前記第1の容器(10)の内側に挿入され、降伏可能なプラスチック材料で作られた第2の容器(11)を備え、これにより前記第1の容器(10)と前記第2の容器(11)の間の内部気体体積(12)が画定されており、
また、前記内部容積(12)と外部とを連通するための連通ポート(13)を備え、前記ポート(13)は、ネック(3)のネック部及び前記第1及び第2の容器(10、11)の相互接続領域に形成されており、
前記容器(1)を充填/空にするための開口部(4)が前記ネック(3)の前記ネック部に設けられており、
前記バルブ装置(2)は前記容器(1)の前記ネック部(3)の前記ネック部に取り付けられ、
また、前記バルブ装置(2)をロックするためのロック部材(5)が前記開口部(4)に取り付けられ、
さらに、
前記バルブ装置(2)は第2の管状部材(21)と接続された第1の管状部材(20)を含むバルブ本体を備え、前記第2の管状部材(21)は前記ロック部材(5)を介して前記容器(1)の前記開口部(4)にロックされており、
また、バネ(23)の押圧力に抗して前記バルブ本体の内部で軸方向に移動可能に取り付けられた第3の管状部材(22)を備え、前記第3の管状部材(22)は、前記第1の管状部材(20)の一方の端部に設けられた空気圧シール部材(24)を通って摺動可能であり、
また、前記第3の管状部材(22)は自由端を備え、前記自由端は前記ばね(23)の押圧力に抗して前記第2の管状部材(21)の中央部に設けられたポート(211)に当接するように構成されている
ことを特徴とするバルブ装置(2)。
【請求項2】
前記第3の管状部材(22)が、その内部に、シール部材(26)を前記第3の管状部材(22)の端部に設けられたポート(27)に向けて付勢するバネ(25)を備える
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための先行する請求項に記載のバルブ装置(2)。
【請求項3】
前記第3の管状部材(22)の一方の端部に第4の管状部材(28)が接続され、当該第4の管状部材(28)は前記第2の容器(11)の内側に、その全長に亘って延在しており、前記第4の管状部材(28)が前記第2の容器(11)の内部体積を、外部に向かって、前記第3の管状部材(22)の前記ポート(27)と空気圧的に連通するように構成されている
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための請求項1又は2に記載のバルブ装置(2)。
【請求項4】
前記第2の管状部材(21)が、前記第2の管状部材(21)の周囲表面に配置された一連のポート(210)を備え、前記ポート(210)は、前記管状部材(20、21)によって画定される内部体積と前記第2の容器(11)の内部体積とを空気圧的に連通するように構成されている
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための請求項1又は2又は3に記載のバルブ装置(2)。
【請求項5】
さらに、前記容器(1)を充填及び空にするときに前記バルブ装置(2)と相互接続するように適合された同軸二重セプタムを有するコネクタ(6)を備え、
前記コネクタ(6)は第1のセプタム(60)と第2のセプタム(61)を有し、各セプタムは、それぞれ液体及び/又は気体供給回路に接続された、それぞれの供給ポート(62、63)に接続されている
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための先行する請求項のいずれか一項に記載のバルブ装置(2)。
【請求項6】
前記コネクタ(6)は可動ロッド(64)を備え、前記可動ロッド(64)は、軸方向に移動可能に取り付けられ、また、前記シール部材(26)と接合するように適合されており、前記コネクタ(6)と前記バルブ装置(2)との相互接続が前記ロッド(64)の軸方向の変位を引き起こし、当該変位が、前記シール部材(26)を前記バネ(25)の作用に抗して変位させ、前記管状部材(22)の端部に設けられた前記ポート(27)から前記シール部材(26)を離間させ、それにより、飲料と気体の双方が選択的に流れるように前記ポート(27)を開くように構成されている
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための先行する請求項のいずれか一項に記載のバルブ装置(2)。
【請求項7】
前記ロッド(64)の作動により、前記シール部材(26)の開口が、前記第3の管状部材(22)の開口とは独立して制御される
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための請求項5又は6に記載のバルブ装置(2)。
【請求項8】
垂直逆さまの状態で前記容器(1)に飲料を充填するとき、前記セプタム(60)は、前記管状部材(20、21)と前記管状部材(22)との間に画定された体積を通じて前記飲料を前記第2の容器(11)に導入し、前記飲料が前記セプタム(60)、前記バルブ本体内の体積、前記ポート(211、210)を通り、前記第2の容器(11)の内部に至る経路により画定される空気圧回路に沿って流れるように構成されており、
また、前記セプタム(61)は、前記管状部材(22)の前記ポート(27)と相互接続されており、前記ロッド(64)が前記バネ(25)の作用に抗して前記シール部材(26)を前記ポート(27)から遠ざけるように押すことにより、前記飲料回路と空気圧的に隔離された気体回路であって、前記セプタム(61)、前記ポート(27)、前記管状部材(22)の内部体積、細長い前記管状部材(28)の内部体積、及び、前記管状部材(11)の内部体積により画定される気体回路が画定され、前記第2の容器(11)内の前記飲料の体積が増加する間、徐々に、前記容器(11)内の気体が前記コネクタ(6)の前記ポート(63)を通じて外部へ放出される
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための請求項5又は6又は7に記載のバルブ装置(2)。
【請求項9】
垂直上向きの状態で、前記容器(1)に飲料を充填するとき、前記コネクタ(6)の前記セプタム(60)は前記第2の容器(11)の内部から前記ポート(62)を通じて外部に気体を送り出し、
前記セプタム(61)は前記ポート(63)を通じて前記容器(11)の内部に前記飲料を送り込む
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための請求項5又は6又は7に記載のバルブ装置(2)。
【請求項10】
飲料を分注する間、前記連通ポート(13)を通じて、前記第1の容器(10)及び前記第2の容器(11)の間に画定される前記体積(12)内に、1.0乃至3.0barの範囲内の圧力で圧縮気体が導入され、飲料の体積の減少に伴い前記第2の容器(11)が徐々に変形することにより、前記飲料が一定の圧力で分注されるように構成されている
ことを特徴とする二重壁容器(1)を充填及び空にするための先行する請求項のいずれか一項に記載のバルブ装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧PET容器用のバルブ装置に関し、より詳細には、例えば、ビールなどの炭酸飲料の容器などの食品用途における加圧PET容器を充填及び空にするためのバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日までに、典型的には、炭酸飲料などの食品用途向けに用いられる加圧容器を充填又は空にするためのバルブ装置の製造に関する様々な技術が知られている。
【0003】
例えば、欧州特許第2450307号明細書(EP2450307B1)には、例えば、ビールなどの炭酸飲料又は非炭酸飲料を入れるためのプラスチック製のドラム容器が記載されている。このプラスチックドラム容器は、すべてが被覆層で囲まれたネック部分と本体部分とを含んで構成されている。当該容器は、当該容器の前記ネック部分に連結されたバルブアセンブリを備えており、このようなバルブアセンブリは、凸型の上面を有するヘッド部分と、少なくとも、下面から下方に延在するロッド部材を含む下部分とを有するポートを備えている。前記ロッド部材は、半径方向外側に向かって前記ヘッド部分を越えて突出する停止面を含んでいる。ピストンが開口部を画定しており、前記ポートはばねにより、前記ピストンによって画定された前記開口部の周縁部に向かって付勢され、前記開口部の上の前記ヘッド部分の凸型の前記上面が封止される。
【0004】
この文献によれば、金属製のドラム容器に起因する全体の寸法や重量の問題は解決されるものの、バルブが複雑な構造を有しているという事実に起因して、特に、過圧と通気制御操作する欠点がある。
【0005】
さらに、米国特許出願公開第2013/0192691号明細書(US2013/0192691A1)には、リサイクル可能な材料で作られたバルブであって、使い捨てのビールケグ(すなわち、プラスチック製のケグ容器)として適用可能なバルブが開示されている。このバルブは、全ての構成要素が実質的にポリマー材料で作られていることを特徴としており、したがって、当該バルブをリサイクルする前に、困難かつコストがかかる材料の分別という局面に直面することなく、リサイクル可能である。
【0006】
この建設的な解決策は、実用的ではあるものの、使い捨て用途のみを目的としているため、垂直上向き以外の状態でケグを操作できないという欠点があり、それゆえ、使い捨てではないドラム容器(ケグ)や、空になったケグの洗浄及び/又は充填作業が予想される用途への適用には適していない。
【0007】
また、ビール又はこれに類似する飲料などの炭酸飲料用の金属製のケグ(いわゆるケグ)は、専用の充填機によらなければ充填できない。実際、ケグまたは金属製のケグ用の充填機は、頭を下にした状態のケグに充填をする。上下逆さまの状態で充填できるようにするには、ケグの充填前にバルブをケグに取り付けなければならない。
【0008】
一方、ビール又はこれに類似する飲料などに用いられる二重壁構造のケグ(すなわち、ポリマー材料で作られたケグであって、一方の容器が他方の容器の内側に設けられた2つの容器を備え、内側の容器が降伏可能な材料で作られているケグ)の場合、それらは上部が開いた(バルブなしの)状態で充填され、充填操作の最終段階で閉鎖用のバルブ/キャップが取り付けられる。
【0009】
しかしながら、この建設的で機能的な解決策にはいくつかの欠点がある。実際、充填後の容器にバルブを挿入すると、容器内の飲料の水位が上昇し、それゆえ、泡や液体が漏れ、生産ラインが汚染されるという現実的なリスクが伴う。また、これにより、一度充填がされた後のケグを、洗浄及び乾燥するシステムが必要となってしまう。
【0010】
さらに、これらの種類の二重壁容器においては、内側の容器を充填するためには、その充填中に、内側の容器内に存在する空気を脱気する必要があるという問題もある。
【0011】
したがって、前述した欠点をすべて解決し得る二重壁容器用のバルブを市場に提供するニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第2450307号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0192691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、垂直上向き及び垂直下向きのいずれの状態でも、容器の充填を可能とし、それゆえ、既存の生産ラインでの使用にも適した、加圧PET容器を充填及び空にするためのバルブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、全体がPET等のプラスチック材料で作られた二重壁容器を充填及び空にするためのバルブ装置であって、前記容器は、実質的に硬質のプラスチック材料で作られた第1の容器と、前記第1の容器の内部に収容され、降伏可能なプラスチック材料で作られ、内部体積を有する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器の間に画定される内部気体体積、及び、前記内部気体体積と外部と連通させる連通ポートを備え、前記連通ポートは、前記第1の容器と第2の容器を相互に接続するネック部に形成されており、前記ネック部は前記容器を充填及び/又は空にするための開口部を備え、前記バルブ装置は前記容器の前記ネック部に取り付けられ、そして、前記バルブ装置のロック部材が前記開口部に取り付けられ、さらに、
前記バルブ装置はバルブ本体を備え、前記バルブ本体は、第2の管状部材と接続された第1の管状部材を備え、前記第2の管状部材は前記ロック部材により前記容器の前記開口部にロックされており、また、前記バルブ本体は、バネの作用に抗して前記バルブ本体の内部で軸方向に移動可能に取り付けられた第3の管状部材を備え、前記第3の管状部材は、前記第1の管状部材の一端に設けられた空気圧シール部材・機構を通って摺動可能であり、前記第3の管状部材は自由端を備え、前記第3の管状部材の前記自由端は、前記バネの押圧力のもと、前記シール部材の中央部のポートに当接するように構成されていることを特徴とするバルブ装置が提供される。
【0015】
したがって、本発明によれば、実質的に添付された特許請求の範囲に従って、加圧PET容器を充填及び空にするためのバルブ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の作動状態にある本発明に係るバルブ装置が取り付けられた二重壁容器のネック部の縦断面図である。
【
図2】
図2は、第2の作動状態にある本発明に係るバルブ装置が取り付けられた二重壁容器のネック部の縦断面図である。
【
図3】
図3は、第3の作動状態にある本発明に係るバルブ装置が取り付けられた二重壁容器のネック部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付した以下の図面を参照しながら、非限定的な例として、本発明に係る加圧PET容器を充填及び空にするためのバルブ装置の好ましい一実施態様について詳細に説明する。
【0018】
まず、
図1を参照すると、本発明に係るバルブ装置が、第1の作動状態、すなわち、接続している二重壁容器に、例えば、ビールなどの炭酸飲料を充填している状態で示されている。
【0019】
図から明らかなように、この第1の作動状態は、前記容器を垂直方向に「逆さま」にした状態で充填する手段を提供する。
【0020】
ここで、本発明によれば、全体がPETなどのプラスチック材料で作られた二重壁容器1が提供されることを指摘しておく必要がある。容器1は、二重壁プリフォーム(すなわち、一方が他方の内側に挿入された2つのプリフォームからなるプリフォーム)からブロー工程を経て得られる。二重プリフォームがブローされると、第1の容器10と、第1の容器10の内側に挿入された第2の容器11とを備える容器1が構成される。第1の容器10は実質的に硬質のプラスチック材料で作られ、一方、第2の容器11は降伏可能なプラスチック材料で作られており、これにより、第1の容器10と第2の容器11との間に画定される、可変な内部気体体積12が得られるように構成されている。前記2つの容器10及び11が相互に接続されるネック部には、内部体積12と外部とを、またはその逆に外部と内部体積12とを連通するポート13が設けられている。
【0021】
本発明によれば、典型的には、容器1のネック部3と開口部4に取り付けられ、容器1を充填及び/又は空にするためのバルブ装置2が提供される。バルブ装置2のアセンブリ全体は、現在の技術水準において既知の方法で、ロック部材5によりロックされる。
【0022】
典型的には、バルブ装置2は、第2の管状部材21に接続された第1の管状部材20を含むバルブ本体を備えており、第2の管状部材21は前記容器の開口部4にロック部材5によりロックされた状態で接続される。
【0023】
バルブ本体は、第3の管状部材22を内包しており、第3の管状部材22は、バネ23(これも高分子材料で構成されている)の作用に抗して、バルブ本体内で軸方向に移動可能に取り付けられている。第3の管状部材22は移動可能であり、第1の管状部材20の端部に設けられた空気圧シール部材24を通って摺動する。一方、部材22の自由端は、部材21の中央部に設けられたポート211に当接し、前記バネ23による付勢の下、ポート211を閉じる。
【0024】
第3の管状部材22は、その内部に、前記管状部材22の端部に設けられたポート27に対してシール部材26を付勢するバネ25を収容している。第4の管状部材28は、第3の管状部材22の反対側の端部に接続されている。管状部材28は細長い形状を有しており、(既に知られている方法で)容器11の内部体積内に、その全長に沿って延在している。
【0025】
図から理解できるように、第4の管状部材28は、外部に向かって、第2の容器11の内部体積と第3の管状部材22のポート27とを空気圧的に連通させる。
【0026】
本発明に係るバルブ装置2を操作するため、及び、上下逆さまの状態で容器1を充填するために、同軸の二重「セプタム」を有する専用のコネクタ6が提供される。コネクタ6は、実質的に標準化された方法で、前述のバルブ装置2と接合するように適合されており、(既知の方法で)各セプタム内を、液体、或いは、気体は独立して、互いに連通せずに循環するように構成されている。
【0027】
コネクタ6は、第1のセプタム60と第2のセプタム61を有し、それぞれがそれぞれの供給ポート62及び63に接続され、それぞれがそれぞれの液体及び/又は気体供給回路に接続されている(以下により詳細に図示されている)。
【0028】
さらに、本発明によれば、軸方向に移動可能なロッド64がコネクタ6の中心に配置され、ロッド64はシール部材26と接合するように配置される。ロッド64は、管状部材22の端部に設けられたポート27から遠ざけるようにシール部材26を選択的に移動させることができ、これにより、ポート27を開閉して、飲料或いは気体の両方を選択的に通過させることができるように構成されている(以下により詳細に図示されている)。
【0029】
ここで、本発明によれば、ロッド64の作動により、同じく可動な部材22の開口部とは独立して部材26の開口部を制御することができる。
【0030】
上下逆さまの状態の容器1に、その下からビールなどの液体又は炭酸/非炭酸飲料を充填する場合には、コネクタ6をバルブ本体2に接続し、セプタム60および61をバルブ装置2の特定の領域と連通させる。より正確には、また、図によれば、セプタム60は、容器1の内部に飲料を導入するために配置され、コネクタ6は、前述したセプタム60と、管状部材20及び21の内側並びに管状部材22の外側の画定された体積とを接続する。管状部材21は、管状部材21の周囲表面に配置され、部材20及び21の内部体積と容器1の内部体積とを空気圧的に連通させるように適合された一連のポート210を有し、図の矢印Fbにより示されるように、前記炭酸飲料が、セプタム60、バルブ本体の内側の体積、前記ポート211及び210を通り、前記容器1の本体の内側に至る空気圧回路を流れるように構成されている。
【0031】
一方、容器11への炭酸/非炭酸飲料の導入中、前述した体積が炭酸/非炭酸飲料で満たされるようにするために、容器11の内部体積内の気体は外部に放出されなければならない。上記の目的のために、セプタム61は管状部材22のポート27と接合するように構成されている。この状態で、コネクタ6のロッド64は、ばね25の作用に抗してシール部材26を前記ポート27から遠ざけるように押す。
【0032】
このようにして、セプタム61、ポート27、管状部材22の内部体積、及び、細長い管状部材28の内部ダクトにより画定される空気圧的に隔離された回路が得られ、これにより容器11の内部体積をセプタム61と空気圧的に連通させる。この回路により、図の矢印Fgにより示されるように、容器11内の炭酸/非炭酸飲料の体積が増加するにつれて、容器11内に含まれる気体をコネクタ6のポート63を通して外部に排出することが可能になる。
【0033】
次に
図2を参照すると、本発明に係るバルブ装置が第2の動作状態で図示されており、ここでは、接続された容器に、垂直状態で上から、例えば、ビールなどの炭酸又は非炭酸飲料が充填される。
【0034】
説明を明確にするために、同じ部分には同じ番号が付されており、その詳細な説明は既に上述したので、ここでは限定的な説明に留める。
【0035】
この充填状態によれば、前述した状態(すなわち、上下反転した充填状態)に対して、セプタム60および61内の流れが逆転する。より正確には、コネクタ6のセプタム60は、前に図示した空気圧回路図に沿って、ポート62を通じて、容器11の内部から外部に気体を運搬するように配置され、その一方で、セプタム61は、前に図示した空気圧回路図に沿って、ポート63を通じて、容器11の内部に炭酸/非炭酸飲料を運搬するように配置されている。
【0036】
次に
図3を参照すると、本発明に係るバルブ装置が第3の動作状態、すなわち、例えば、ビールなどの炭酸/非炭酸飲料を供給中の状態で図示されている。
【0037】
説明を明確にするために、同じ部分には同じ番号が付されており、その詳細な説明は既に上述したので、ここでは説明を省略する。
【0038】
炭酸飲料/非炭酸飲料の分注のためのこの状態によれば、(限定されないが)通常、連通ポート13を通じて、第1の容器10と第2の容器11との間に画定される体積の内部に圧縮気体が(典型的には、1.0乃至3.0barの圧力で)同時に注入される。これにより容器11が空になるにつれて、容器11は漸進的に変形するので、飲料を一定の圧力で分注することができ、また、飲料は注入された気体と接触することがないので、飲料の最高の官能特性が確保される。
【0039】
この目的のために、容器1から分注ラインに飲料を供給するための専用コネクタ7が提供される。コネクタ7もセプタム60を有し、セプタム60は、図の矢印Fgにより図示されるように、ポート62、セプタム60、ポート13及び容器10と容器11の間の内部体積により画定される回路図に沿って、ポート13を通じて、容器10と容器11の間に画定される体積の内部に圧縮気体を送達するように設計されている。
【0040】
一方、容器11から外部に飲料を分注する場合、注入された気体は容器11の外壁に圧力を加え、容器11を変形させ、これにより、飲料は、矢印Fbにより示されるように、開口部210から管状部材20及び21の内部体積に向かう空気圧回路図を通って流れ、セプタム61を通り、コネクタ7の開口部63から流れ出るように駆動される。
【0041】
利点
本発明に係るバルブ装置は多数の利点を有している。
【0042】
第1の利点は、新規なバルブ装置2によれば、二重壁容器1内に「頭を上げた」状態と「上下逆さま」状態の両方の状態で炭酸飲料/非炭酸飲料を充填できるという事実によってもたらされる。これにより、飲料の製造工場に専用ラインを設ける必要がなく、フレキシビリティが向上する。
【0043】
第2の利点は、新規な本バルブ装置2によれば、容器1の上記2つの異なる姿勢、すなわち「頭を上げた」状態と「上下逆さま」状態の両方の状態で、容器を空にする段階を実施できるという事実にある。
【0044】
第3の利点は、本バルブ装置2が完全に100%リサイクル可能な材料で作られており、それゆえ、運転コストと生産コストが削減されるという事実にある。
【0045】
第4の利点は、二重壁PET容器の充填工程の前に、バルブ装置2が既に容器に組み付けられているため、システムの衛生状態が確保されるという事実にある。
【0046】
第5の利点は、容器を調整雰囲気で販売できるという事実にある。
【0047】
第6の利点は、
図1に示した状態と
図2に示した状態の両方の状態において、容器1の充填工程中に、容器内部からの気体排出に逆圧を加えることができるという事実にある。その結果、充填段階で発生する泡が削減されるという利点がある。
【国際調査報告】