(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】チェーンソーバーのための標的を絞ったオイル供給
(51)【国際特許分類】
F01M 9/10 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
F01M9/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553157
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021059017
(87)【国際公開番号】W WO2022103985
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500107784
【氏名又は名称】オレゴン・ツール・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Oregon Tool,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】バーメスター,エリック・エム
(72)【発明者】
【氏名】ハーフスト,マイケル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ハッセル,サム
(72)【発明者】
【氏名】マクデーモット,ジェネシス
(72)【発明者】
【氏名】セラーズ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カンニングトン,ジェームズ・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スミス・セダガティ,ジョナ
【テーマコード(参考)】
3G313
【Fターム(参考)】
3G313AB18
3G313BC06
3G313FA05
(57)【要約】
実施形態は、バーの長さに沿って延びる1つまたは複数のオイルチャネルを備えたチェーンソーのためのバーを含む。各オイルチャネルは第1の端部でオイルを受け取り、オイルはチャネルの第2の端部にあるオイル出口開口部でオイルチャネルから出る。チャネルの1つのオイル出口開口部は、バーの切断領域の近くでソーチェーンが通って延びるバー溝の側面に沿って配置されており、切断領域の直前でソーチェーンを潤滑する。第2のチャネルは、バーのノーズにあるスプロケットホイールを潤滑するために、バーのノーズに近いオイル出口開口部を有し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンソーのためのバーであって、
長手方向軸を画定する内部コアであって、第1の側、第2の側、および前記第1の側と前記第2の側とを分離する周縁部を含む、内部コアと、
前記第1の側に配置された第1の外壁と、
前記内部コアの第2の側に配置された第2の外壁であって、前記第2の側は前記第1の側の反対側である、第2の外壁と、
前記長手方向軸に沿って形成された流体チャネルであって、前記チャネルの第1の端部にある流体孔と、前記第1の端部から遠位の前記チャネルの第2の端部に形成された流体出口ポートとに流体連通する、流体チャネルと
を備え、
前記第1の外壁と前記第2の外壁とが、前記内部コアの前記周縁部を越えて延在してバー溝を形成し、
前記流体出口ポートが前記バー溝の切断領域に近接して配置されている、
バー。
【請求項2】
前記流体出口ポートが感熱弁を含む、請求項1に記載のバー。
【請求項3】
前記第1の外壁および前記第2の外壁がそれぞれ、レーザー溶接、スポット溶接、イオンビーム溶接、または連続抵抗溶接によって前記内部コアに固定されている、請求項1に記載のバー。
【請求項4】
前記流体チャネルが第1の流体チャネルであり、前記流体孔が第1の流体孔であり、前記流体出口ポートが第1の流体出口ポートであり、前記バーが、前記長手方向軸に沿って形成された第2の流体チャネルをさらに備え、前記第2の流体チャネルが、前記第2の流体チャネルの第1の端部にある第2の流体孔と、前記第2の流体チャネルの第2の端部に形成された第2の流体出口ポートとに流体連通しており、前記第2の流体出口ポートが前記バーのノーズに近接して配置され、前記バーの前記ノーズがスプロケットホイールを受け入れるように構成されている、請求項1に記載のバー。
【請求項5】
前記第1の流体出口ポートおよび前記第2の流体出口ポートが感熱弁を含む、請求項4に記載のバー。
【請求項6】
前記流体孔が細長く、前記第1の外壁または前記第2の外壁のうちの一方に少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載のバー。
【請求項7】
前記流体チャネルが取り外し可能なエラストマープラグをさらに含む、請求項1に記載のバー。
【請求項8】
前記流体出口ポートが前記第1の外壁または前記第2の外壁のうちの一方に配置されている、請求項1に記載のバー。
【請求項9】
前記流体出口ポートが前記内部コアの前記周縁部に配置されている、請求項1に記載のバー。
【請求項10】
前記流体チャネルが前記内部コア内に形成されている、請求項1に記載のバー。
【請求項11】
前記流体チャネルが、前記周縁部と、前記周縁部から離間し、前記第1の外壁と前記第2の外壁との間の前記バー溝内に広がるキャップとの間の前記バー溝内に少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載のバー。
【請求項12】
前記流体チャネルが、前記周縁部上に配置されたチューブを有する前記バー溝内に少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載のバー。
【請求項13】
チェーンソーであって、
オイル補給機構を備えたパワーヘッドと、
前記オイル補給機構からオイルを受け取るように、第1の端部で前記パワーヘッドに結合されたチェーンソーバーと、
前記チェーンソーバーの周囲溝の周りに配置され、前記パワーヘッドから回転運動を受けるように前記パワーヘッドに結合されたソーチェーンと
を備え、
前記チェーンソーバーは、
それぞれが内部コアの側に配置され、前記内部コアの周縁部を越えて延在する第1の外壁および第2の外壁であって、前記周囲溝が前記第1の外壁および前記第2の外壁と前記周縁部とによって画定される、第1の外壁および第2の外壁と、
前記内部コア内に配置された複数のオイルチャネルであって、前記複数のオイルチャネルのそれぞれが、前記オイル補給機構からオイルを受け取るように構成された第1の端部と、前記チェーンソーバーの前記第1の端部から遠位に位置するオイル出口ポートで終わる第2の端部とを有する、複数のオイルチャネルと、
前記ソーチェーンと噛み合うスプロケットを収容する第2の端部と
を含み、
前記複数のオイルチャネルのうちの1つの前記オイル出口ポートの少なくとも1つが、前記スプロケットに近い前記チェーンソーバーの前記第2の端部に位置する、
チェーンソー。
【請求項14】
前記チェーンソーバーが、作業セクションである、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置するセクションを備え、前記複数のオイルチャネルのうちの1つの前記オイル出口ポートのうちの第2のポートが前記作業セクション内に位置する、請求項13に記載のチェーンソー。
【請求項15】
前記オイル出口ポートのそれぞれが弁機構を含む、請求項14に記載のチェーンソー。
【請求項16】
前記弁機構が感熱式である、請求項15に記載のチェーンソー。
【請求項17】
前記弁機構が重力作動式である、請求項15に記載のチェーンソー。
【請求項18】
チェーンソーバーを作るための方法であって、
内部コアの第1の側と前記内部コアの第2の側との間に画定された周縁部を有する前記内部コア内に、前記内部コアの第1の端部と前記内部コアの第2の端部との間に延在する流体チャネルを形成するステップであって、前記第1の端部が、流体供給源から流体を受け取るように構成されている、ステップと、
前記内部コアの前記第2の端部に流体出口ポートを形成するステップと、
前記内部コアの前記第1の側に第1の外壁を固定するステップと、
前記内部コアの前記第2の側に第2の外壁を固定するステップと
を含み、
前記第1の外壁と前記第2の外壁とが前記周縁部を越えて延在してソーチェーンの溝を画定し、前記流体出口ポートが前記ソーチェーンの溝に連通する、
方法。
【請求項19】
前記内部コアの前記第1の端部において、前記第1の外壁または前記第2の外壁のうちの一方に、流体チャネルに流体連通する細長い流体孔を形成するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体チャネル内に取り外し可能なエラストマープラグを配置するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月12日に出願された「TARGETED OIL DELIVERY FOR CHAIN SAW BARS」と題された米国仮出願第63/113,098号に対する優先権を主張する2021年11月11日に出願された「TARGETED OIL DELIVERY FOR CHAIN SAW BARS」と題された米国出願第17/524,543号に対する優先権を主張するものであり、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、チェーンソーなどの電動工具の分野に関し、詳細には、チェーンソーバーへの標的を絞ったオイル供給のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
チェーンソーは通常、スプロケットを駆動するパワーユニットで構成されている。スプロケットは、複数の切歯が取り付けられたチェーンを駆動する。チェーンは、細長いが比較的平らなバーの外周を走り、バーには通常、パワーユニットから遠位のノーズに第2のスプロケットが装備されている。バーとチェーンは、切断を行うためにワークピースに適用される切断アセンブリを形成する。チェーンは通常、バーの周囲を高速で移動し、切断中に大きな圧力を受けるため、潤滑がないと大きな摩擦が発生し、コンポーネントが急速に故障する可能性がある。したがって、ほとんどのチェーンソーは、パワーユニットから供給されるバーオイルまたは別の適切な潤滑剤の形で潤滑を提供する。バーオイルは移動するチェーンに適用され、そのチェーンがワークピースに適用されるため、チェーンソーを使用するとバーオイルが継続的に失われ、定期的にバーオイルを補充する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。実施形態は、例として示されており、添付の図面の図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】様々な実施形態による、標的を絞ったオイル供給のための内部オイルチャネルを示す、例示的なチェーンソーバーの断面図である。
【
図2】様々な実施形態による、内部バー構造およびノーズスプロケットにオイル供給するためのオイルチャネルを示す、
図1の例示的なチェーンソーバーの拡大断面図である。
【
図3】様々な実施形態による、バーの積層された層を示す、
図1および
図2の例示的なチェーンバーの断面図である。
【
図4】
図4Aは、様々な実施形態による、中実バーのためのオイルチャネルの代替配置の斜視図および断面図である。
図4Bは、様々な実施形態による、中実バーのためのオイルチャネルの代替配置の断面図である。
図4Cは、様々な実施形態による、中実バーのためのオイルチャネルの代替配置の斜視図および断面図である。
図4Dは、様々な実施形態による、中実バーのためのオイルチャネルの代替配置の断面図である。
図4Eは、様々な実施形態による、中実バーのためのオイルチャネルの代替配置の断面図である。
【
図5】
図5Aは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Bは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Cは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Dは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Eは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Fは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5Gは、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5H1は、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
図5H2は、様々な実施形態による、
図4A~
図4Eの構成のうちの1つなどの中実バーのためのオイル出口の断面図である。
【
図6】
図6Aは、様々な実施形態による、標的を絞ったオイル供給のためのオイルチャネルの別の可能な配置を示す、第2の例のチェーンソーバーの断面図である。
図6Bは、様々な実施形態による、標的を絞ったオイル供給のためのオイルチャネルの配置の詳細を示す、
図6Aからの挿入図の拡大図である。
【
図7】
図7Aは、様々な実施形態による、パワーヘッドオイラーからソーバーの中央チャネルにオイルの流れを導くための例示的な細長いオイルポートの拡大斜視図である。
図7Bは、様々な実施形態による、ポートから中央チャネルまで流れるオイルの経路を示す、
図7Aの例示的な細長いオイルポートの斜視図である。
【
図8】様々な実施形態による、標的を絞ったオイル供給を伴うチェーンソーバーを製造する方法の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、実施され得る実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造的または論理的変更が加えられてもよいことを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0007】
実施形態を理解するのに役立つような方法で、様々な動作を複数の個別の動作として順に説明することができる。ただし、説明の順序は、これらの動作が順序に依存することを意味するものと解釈されるべきではない。
【0008】
説明には、上/下、後ろ/前、および上部/底部などの視点に基づいた説明が使用される場合がある。このような説明は、単に議論を容易にするために使用されるものであり、開示された実施形態の適用を制限することを意図したものではない。
【0009】
「結合」および「接続」という用語とその派生語が使用される場合がある。これらの用語は互いの同義語として意図されたものではないことを理解されたい。むしろ、特定の実施形態では、「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接物理的に接触していることを示すために使用され得る。「結合」とは、2つ以上の要素が直接物理的に接触していることを意味する場合がある。ただし、「結合」とは、2つ以上の要素が互いに直接接触していないものの、それでも互いに協力または相互作用することを意味する場合もある。
【0010】
説明の目的上、「A/B」形式または「Aおよび/またはB」形式の語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。説明の目的上、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式の語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)を意味する。説明の目的上、「(A)B」という形式の語句は、(B)または(AB)を意味する。つまり、Aは任意選択の要素である。
【0011】
説明では「実施形態」という用語が使用される場合があり、それぞれが同じまたは異なる実施形態の1つまたは複数を指す場合がある。さらに、実施形態に関して使用される「備える」、「含む」、「有する」などの用語は同義である。
【0012】
典型的なチェーンソーでは、バーはソーのパワーヘッドから、パワーヘッド上のタンクまたはパワーヘッドから離れた場所にあるタンクから潤滑/オイル供給され、導管を介して供給される。潤滑は通常、比較的粘度の高い石油ベースのバーオイルまたは、用途によってはグリースである。潤滑機構は通常、チェーンソーバーの後部にある1つまたは複数のオイル孔にオイルを絶えず送り込み、そこでバーがソーパワーヘッドに取り付けられ、バーの周囲を走る溝またはチャネルをオイルで満たす。安全性と操作性の両方の理由から、ほとんどのチェーンソーのチェーンはバーの上部でパワーヘッドから出て、通常はバーノーズのスプロケットによってガイドされてバーのノーズの周りを移動し、バーの底部に沿って移動してパワーヘッドに戻る。溝は、バーの周囲を移動するチェーンの真下に位置し、チェーンによって覆われているため、チェーンはオイルを拾い上げ、ノーズを回って、主な切断領域が配置されるバーの底部に運ばれる。したがって、バー全体とノーズスプロケットに十分な潤滑を確保するために、既存のチェーンソーバーのオイル孔は、チェーンがパワーヘッドから出るバー上部の溝の始まりに流体連通しており、その結果、理論的にはチェーンがバー全体にオイルを運ぶ。バーの周囲全体の潤滑が、動作中のバー全体の温度を許容可能な低いレベルに保つことに役立ち、バーの摩耗を最小限に抑えることにも役立つ。一般的に言えば、所与のセクションまたはコンポーネントの温度が高いほど、潜在的な摩耗が大きくなるという相関関係がある。高温は潤滑不足の兆候である可能性があり、それに応じて摩擦が増加し、摩耗が加速する結果をもたらし得る。
【0013】
バーの底部の切断領域では、チェーンが下向きの圧力でバーの底部に押し込まれてワークピースを切断するため、ソーの切断中にバーとチェーンの両方が高い圧力と摩擦を受ける可能性がある。チェーンの移動距離の点でパワーヘッドから最も遠く、バーオイルがチェーンとバーに供給されるポイントからも最も遠いこの領域への適切な潤滑は、チェーンとバーの寿命を最大限に延ばすために重要である。適切な潤滑がないと、切断エリアの温度が、バーとソーチェーンの両方が急速に摩耗する結果をもたらすことになるレベルまで上昇する可能性がある。チェーン、バーのすべての部品、バーのノーズのスプロケット、および、特に切断領域に適切な潤滑を確保するためには、必要なすべての部品にオイルを分配するのに依存するチェーンと溝上のその動きに伴って、比較的多量のオイルをオイル孔に供給しなければならない。この潤滑は、例えば、手持ち式チェーンソーや、遠隔で電力供給/操作されるソーヘッドを備えた商用ハーベスターなど、ソーの種類に応じて、ソーが操作されると継続的に、または各切断サイクルの開始時など、不連続もしくは断続的な間隔で提供され得る。ソー以外の機械を含む他の種類の機械は、所与の機械の特定のニーズに応じて、連続または断続的なスケジュールで必要な潤滑を提供する場合がある。
【0014】
バーの溝をオイルで満たすこのアプローチは、チェーンとバーの潤滑を維持するのには効果的であるが、潜在的に無駄があり、環境を破壊する可能性がある。チェーンがバーの周りを動くと、比較的高粘度のバーオイルを使用しているにもかかわらず、U字カーブを描くチェーンの遠心力とノーズ内でのスプロケットの回転により、切断領域に到達する前にバーノーズからオイルが飛び散る。この飛び散りの結果は、バーの底部に十分なオイルを確実に残すために必要な多量のオイルによって多少悪化する可能性があり、このこと自体により、飛び散りの結果を補うためにより多量のオイルが必要になる。チェーンおよびバーの底部がワークピースに接触することでオイルがさらに失われ、切断中のワークピースにオイルが転移する。場合によっては、チェーンソーが低速である間の過剰な潤滑を回避するために、潤滑機構の速度がソーの速度に比例して変化し、それによってチェーンソーがアイドリングしている間の損失を減らすことができる。ただし、可変速オイル補給機構は、チェーンソーが動作速度にあるときまたは切断のプロセス中にオイルの損失を大幅に減らすことはない。既知のチェーンオイル補給システムによるオイルの消費は、チェーンソーを頻繁に使用するオペレーターにとって多大な出費となる可能性があり、さらに不必要な環境汚染を作り出す可能性がある。
【0015】
オイル消費効率を改善するために、開示される実施形態は、バー上の様々な点に連通する密閉されたオイルチャネルをバーの本体内に作ることを可能にする構造を有するバーを含む。チェーンの動き始め以外の点でオイルチャネルにオイル供給することにより、オイルはバー上の特定の場所、および場合によってはノーズスプロケット、切断領域、チェーンソーの動作中に通常最も高温になると特定される領域、ならびに/または温度および/もしくは圧力が上昇する可能性があると特定された任意の他の領域などの複数の点に比較的同時に直接供給され得る。オイルチャネルによりノーズスプロケットおよび切断領域にオイルを直接供給でき、バーの周囲全体に十分なオイルを運ぶためにチェーンに依存する必要がないため、チェーンの移動の開始時に導入されるオイルの量を大幅に減らすことができる。その結果、より少ない量のオイルをバーの周りのチェーンの移動経路全体に、より均一に分配したり、ノーズスプロケットおよび/または切断領域などの摩耗の可能性が高い領域の近くに的を絞って供給したりすることができる。したがって、バーのノーズからの過剰なオイルによる損失を軽減または場合によっては回避することができる。
【0016】
本明細書の実施形態は、チェーンソーシステムによる全体のオイル消費量を20~60%、例えば30~50%削減する。1つの特定の例では、本明細書に開示される実施形態のバーの1つなど、標的を絞ったオイル供給をするように構成されたバーを備えたチェーンソーは、従来のオイルを適用したバー(例えば、ソーチェーンがバーの周りを移動する開始点の単一の点)と同等の摩耗量を維持しながら、約30~35%潤滑使用量の削減を達成した。全体的なオイル消費量を削減することに加えて、本明細書の実施形態は、バーレールの摩耗を最大75~85%減少させ、ソーチェーンの伸び(ソーチェーンリンク間の摩擦摩耗によって引き起こされる可能性のある摩耗の形態)を最大15~25%減少させる。これらの削減は、従来のオイルを適用したバーに使用される流量の約25%の流量で達成される。したがって、開示された実施形態は、従来のオイルを適用したバーで見られる摩耗量と同等の摩耗量を依然として達成しながら、流量を例えば20~60%低減することを可能にし、したがって、オイル消費量の大幅な節約を実現しながら、バーおよびソーチェーンの通常予想される寿命を維持する。代替的に、開示された実施形態は、従来のバー速度でオイル供給するオイル補給システムとともに使用して、大幅に低い摩耗量を達成することができ、したがって、バーおよびソーチェーンの寿命を潜在的に延ばすことができる。さらに、いくつかの実施形態では、妥協点、すなわち、オイル消費量のわずかな削減と、バーチェーンおよびソーチェーンの寿命のわずかな増加とが実現され得る。これらのパラメータは、バーオイル、交換用バー、ソーチェーンのコストを相互に比較検討し、コスト削減を最大化するために必要に応じて調整され得る。
【0017】
さらに、いくつかの実施形態では、オイルチャネルには、感温式の1つまたは複数の弁を取り付けることができる。使用によりバーが熱くなるにつれて、バーのオイルの必要量が増加する可能性がある。バー内の感温式の弁により、バーが冷たい間はオイル供給の量を低く抑えることができるが、バーが加熱されると弁が開いてオイルの流量が徐々に増加する。複数のチャネルで感温式の弁を使用すると、バーの様々な部分が他の部分よりも速い速度で加熱されるとき、オイルの流量を選択的に増加させることができる。弁を使用すると、バーの温度の低下に応じて弁が閉じることができ、これにより、チャネル内にオイルが保持され、ソーが使用されていないときに重力や潜在圧力によってチェーンを通るオイルの排出が防止されるため、チェーンソーを使用していないときにオイルを節約することに役立ち得る。さらに、弁の構成に応じて、バーを通るいくつかの通路を選択的に開閉することができ、バーを取り外したり裏返したり(例えば、上部レールが切断領域のある底部レールになる)して、摩耗を均等にするのに役立つことを可能にする。弁はバーの向きに関係なく、必要な場所へのオイルの供給を制御できる。例えば、重力に基づいて位置を変えるスライド弁を使用すると、バーのどちら側が切断領域として配置されているかに関係なく、オイル通路が開閉して、主に切断領域とノーズスプロケットの上部に潤滑オイルが流れることを確実にすることができる。
【0018】
本開示は、潤滑に関連して、具体的にはバーまたはチェーンオイルの輸送に関する実施形態を説明するが、開示された実施形態は、オイル以外の流体を含む様々な異なる種類の流体の輸送に使用することができることを理解されたい。他の種類の流体の例には、冷却剤もしくは冷却液、研磨剤もしくは研磨剤を含む流体、燃料、水、合成流体、合成潤滑剤もしくはハイブリッド潤滑剤、溶剤、洗浄液、またはチェーンソーバーに類似した構造に沿って移動するのに役立つ任意の他の流体が含まれ得る。本明細書でオイルについて議論される場合、前述の流体のいずれもオイルの代わりとなり得ることを理解されたい。
【0019】
図1は、考えられる一実施形態によるチェーンソーバー100の内部構造を示す。バー100は、第1のオイル(または流体)孔102および第2のオイル(または流体)孔104を含む。第1のオイル孔102は、第1のオイル(または流体)チャネル106に流体連通しており、第2のオイル孔104は、第2のオイル(または流体)チャネル108に流体連通している。スプロケットはバー100のノーズ110に取り付けることができる。バー100の周囲にはバー溝116が通っており、そこをソーチェーンの一部が通ることができる。バー溝116の上部には2つの平行なレールを形成することができ、その上でソーチェーンがスライドする。典型的な実装形態では、バー100は、第1のオイル孔102および/または第2のオイル孔104にオイルまたは別の適切な流体を供給するための機構を含むソーパワーヘッド(図示せず)に取り付けられる。この機構は、ポンプおよび/もしくはリザーバ、または当技術分野で知られており、所与の実装に適した流体送達のための別の適切な機構であってもよい。
【0020】
上述したように、ノーズ110は通常、ラジアルベアリングに取り付けられるか固定されるスプロケット(図示せず)を含み、これがソーチェーンと係合し、チェーンがノーズ110のU字を回る際の摩擦と、それに伴うチェーンおよびバーの摩耗を軽減するのに役立つ。スプロケットは、バー上に位置し、切断領域118に近接しているため、汚れや破片が付着しやすいため、汚れや破片による過熱、固着、および/または過度の摩耗にさらされることを避けるために潤滑が必要である。図示の実施形態では、第1のオイルチャネル106および第2のオイルチャネル108のそれぞれは、バー100の長さに沿って延び、オイルをノーズ110およびスプロケットに直接またはその近くに運ぶ。第1のオイルチャネル106を通って流れるオイル(または何らかの他の適切な流体)は、第1のオイル(または流体)出口ポート112においてチャネルを出て、第2のオイルチャネル108を通って流れるオイルは、第2のオイル(または流体)出口ポート114においてチャネルを出る。この構成では、バーの向きに関係なく、使用中、またはバーの周囲で摩耗をより均等に分配することに役立たせるためにオペレーターが反転させた場合のいずれでも、潤滑オイルまたは別の適切な流体が、ノーズ110およびノーズ110に取り付けられた任意のスプロケット、ならびにバーの切断領域118およびバー溝に供給される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のオイルチャネル106と第2のオイルチャネル108が相互接続されていない場合、パワーヘッドは2つの異なる流体を、1つが第1のオイル(または流体)チャネル106を通って第1のオイル(または流体)孔102に運ばれ、第2の異なる流体が第2のオイル(または流体)チャネル108を通って第2のオイル(または流体)孔104に運ばれるように送達するように構成され得る。例えば、オイルは、第1のオイルチャネル106に送達され得、第1のオイル出口ポート112を通って排出され得る。
図1に示すように、第1のオイル出口ポート112は、ソーチェーンが流体を第1のオイル出口ポート112からノーズ110に運び、取り付けられたスプロケット(図示せず)を潤滑するように配置され得る。研磨切断液または冷却剤などの第2の流体は、第2の流体チャネル108に送達され得、第2の流体出口ポート114を通って排出され得る。
図1に示すように、第2の流体出口ポート114は、ソーチェーンが流体を出口ポート114から切断領域118に運ぶように配置されてもよく、そこで流体が切断を促進し、および/または切断領域118を冷却してバーおよびチェーンの寿命を延ばし得る。いくつかの実施形態では、第1のオイル出口ポート112からのオイルは、第2の流体出口ポート114からの流体と適合することができ、その結果、切断領域118の両方が潤滑され、冷却される。他の実施形態では、異なる流体は両方とも潤滑剤であってもよく、1つの種類の潤滑剤は摩耗を最小限に抑えて回転スプロケットの機能を最大化するように設計され、別の種類の潤滑剤は切断領域118を冷却して摩耗を最小限に抑えるように設計される。
【0022】
図示の実施形態では、第1および第2のオイルまたは流体チャネル106、108は、大部分が直線であり、バーの長さにわたって、バーの長手方向軸にほぼ平行または実質的に平行に延びるが、これは限定的なものとして解釈されるべきではない。他の実施形態は、より多くの、またはより少ない(例えば、1つの)チャネルを有してもよい。いくつかの実施形態では、各チャネルは、ソーチェーンに潤滑を提供するために、バー溝116内の1つまたは複数のスポットなど、バー100の長さに沿って複数のオイルまたは流体出口ポートを有していてもよい。例えば、第2のオイルチャネル108は、切断領域118の近くに追加の潤滑を供給するために、バー100の底部長さに沿って1つまたは複数の追加のオイル出口ポートを含んでもよい。他の例では、オペレーターがいずれかの長い端部を下に向けてバーを取り付けるのに対応し、上端または下端のいずれかに切断領域118をもたらすために、第1のオイルチャネル106と第2のオイルチャネル108の両方が、バー100の長さに沿って追加のオイル出口ポートを含んでもよい。このような実施形態では、オイル出口ポートは、切断領域118を有する底部として配向された端部のみに追加のオイルが供給されるように、重力に基づく弁機構を含んでもよい。
【0023】
オイルまたは流体出口ポートは、オイルが摺動界面の近く、例えばソーチェーンがレールを形成するバー溝116の上部と接触する場所の近くに送達されるように配置されてもよい。側壁ではなく、摺動界面により近いバー溝116の基部にオイル供給することは、バー溝の底部にとどまる、および/またはバー溝の底部に蓄積する可能性のある破片による潜在的な詰まりを回避するのにさらに役立つ。ソーチェーンがバーの周囲を移動するにつれて、ソーチェーンは、バー溝116の側壁をより容易に清掃するが、バー溝116の底部を越えるまで延在できない可能性がある。したがって、オイル出口ポートをバー溝116の側壁に近接して配置することにより、破片によって妨げられない一貫したオイルの送出を確保するのに役立つ。さらに、バー100の端部の摺動界面に近接したオイルの送出は、送出されたオイルの大部分がソーチェーンの摺動界面およびリベット接合部に確実に到達するのに役立つ一方、オイルが摺動界面およびソーチェーンに到達する前にバー溝116を充填する必要があるため、バー溝の底部にオイル供給するには、潤滑剤の供給量を増やす必要がある場合がある。
【0024】
図2は、例示的なバー100のノーズ110の拡大図であり、バー100の構造を示している。図示の実施形態では、バー100は、少なくとも3つの層を有する積層体として製造される。第1の側202aおよび第2の側202bを画定する2つの外層202は、内部コア204のいずれかの側に溶接、接着、リベット止め、締結、またはその他の方法で適切に取り付けられる。実施形態では、内部コア204の側面は、バー溝116の底部を形成する周縁部208を画定する。
図2は断面図であるため、外層202のうちの1つだけが示されており、第2の外層202が内部コア204を覆い、サンドイッチ構造を作る。図示の実施形態では、第1および第2のチャネル106および108は内部コア204内に形成され、外層202の取り付けによって密封される。さらに、ソーチェーン206が示されており、ソーチェーン206の一部がバー溝116内に延在している。バー溝116内に延在するソーチェーン206の部分は、バー溝116内に存在する任意の潤滑オイルを拾い上げ、それを溝の下に運び、潤滑オイルを均一に分配するのを助けるように構成され得る。バー溝116の側壁に沿って位置するオイル出口ポートがある実施形態では、バー溝116内にあるソーチェーン206の部分の相互作用により、オイル出口ポートからオイルを拾い上げ、それをバー溝116上のレールに向けて運ぶことができる。
【0025】
オイル出口ポート112および114の向きに応じて、オイルはノーズ110内の回転スプロケットによって拾われ、スプロケットの回転によって回転スプロケット全体に分配され得る。いくつかの実施形態では、スプロケット自体は、オイル出口ポート112/114から出るオイルの流れを、バーレールおよび任意のスプロケットベアリング面を含むノーズ110の高摩擦領域に導くのを助ける特徴またはチャネルを含んでもよい。矢印で示したように、ソーチェーン206は、バーの上部を横切ってパワーヘッド(図示しないが、
図2の左側)から離れ、ノーズ110の周りを移動し、切断領域118(
図1に示す)に向かって戻る。同様に、第1のチャネル106から始まる一連の小さな矢印は、第1のチャネル106に沿って第1のオイル出口ポート112を通って出る潤滑オイルの流れを示している。このような構成では、第1のオイル出口ポート112は、ノーズ110の直前にオイルを排出する。ソーチェーン206は、そのようなオイルを拾い、ノーズ110に取り付けられたスプロケットの周囲にオイルを分配するのに役立ち得る。第2のオイル出口ポート114は、切断領域118の直前にオイルを放出することができ、切断領域118に沿ったバー溝116、特にソーチェーン206と連結するバー溝116の上部のレールに適切な潤滑を供給するのに役立つ。第2のチャネル108から第2のオイル出口ポート114へのオイルの流れは、第1のチャネル106について示されたオイルの流れと実質的に同一であることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、特に構成要素の規模が比較的大きく(例えば、商業用収穫機)、オイルの量がかなりの重量になる可能性がある場合、オイル出口ポートは、チェーンの重心にほぼ沿ってオイルが供給されるように構成され、ソー/切断アセンブリのバランスを維持するのに役立つ。
【0026】
当業者には理解されるように、切断領域118(
図1)では、ソーチェーン206はワークピースとバー溝116のレールとの間に押し付けられるため、ソーが切断しているとき、レールおよびソーチェーン206は比較的高い圧力にさらされる。これにより、通常、摩擦の増加により切断領域118内のバー100の温度が上昇し、切断領域118内の適切な潤滑が重要となる。特に、切断領域118内のバー100の温度が上昇するにつれて、バー100および/またはソーチェーン206の摩耗の増加を避けるために潤滑を増やす必要がある。いくつかの実施形態では、オイル出口ポート112および114を含むオイル出口ポートの1つまたは複数には、出口ポートからのオイルの流れを制御するための弁機構が装備されてもよい。他の実施形態では、弁機構は、第1および/または第2のオイルチャネル106、108に沿って、対応するオイル出口ポート112および114から離れてまたは遠隔で、例えば、オイル供給孔102/104に近接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、弁は選択可能な機能または分配弁を含むことができ、様々な点へのオイルの流れを選択的に閉じたり、開いたり、または調節したりすることができる。
【0027】
弁機構は、局所的なバー温度に比例して開くように感温式であってもよい。いくつかの実施形態では、感温領域がオイル出口ポート112/114に近接している。他の実施形態では、感温領域は、ソーチェーン206の作用によりオイルが輸送され堆積すると計算される場所など、オイル出口ポート112、114から遠位に配置されてもよい。このような実施形態では、弁機構をオイルチャネル106、108に沿ってオイル出口ポート112、114から遠隔に配置することにより、弁が温度変化に、より正確に応答できるようになり得る。したがって、各オイル出口ポートまたは弁位置に近い様々な領域が増加すると、各領域の弁がより多く開き、より多くのオイルが温度の高い領域に流れることが可能になる。例えば、ソーを使用すると、切断領域118の温度が上昇する。オイル出口開口部114は切断領域118に近接しているため、切断領域118でバー100に沿って温度上昇を受けることになる。したがって、オイル出口開口部114に配置された弁により、切断領域118が加熱されるにつれてオイルの流れが増加することが可能になる。さらに、バー100は反転されてもよく、それにもかかわらず、特に感熱式弁が装備されている場合、オイル出口開口112および114の配置はどちらの向きでも依然として正しく機能することを認識すべきである。
【0028】
代替として、感熱式弁は、バーの温度が上昇するとバーオイルの粘度が低下する場合など、上記とは逆の方法で動作してもよい。このような実施形態では、十分な量の粘稠オイルがバーに供給されることを保証するために、バーが冷たいときに感熱式弁が全開またはほぼ全開であってもよい。バーが加熱されると、オイルがバーを通過するときに同様に加熱され、薄くなり、抵抗が減少し、流量が増加する。感熱式弁がそれに応じて閉じて、薄めた加熱オイルの流量を遅くし、薄めの加熱オイルが多量に流出するのを防ぐ。
【0029】
さらに、弁または弁機構は、機能の組合せ、例えば、熱感受性と重力作動の両方を組み合わせたものを提供することもできる(上述)。このような機能は、単一の弁機構、または弁の組合せによって実現され得る。このような弁または弁の組合せは、温度に基づいてオイルの流れを制限すること、および、さもなければバーがバーからオイル(または他の流体)の排出を可能にする位置にあるときにオイルの供給を遮断することができる。他の実施形態では、弁機構は、ソーパワーヘッドからなどの信号によって直接作動され得る作動機構を含んでもよい。
【0030】
各オイル出口開口部に弁を装備すると、バー100が冷えて周囲温度に近づくと、各弁が実質的にまたは完全に閉じることができるため、チェーンソーが使用されていないときにバー100からオイルが漏れるのをさらに防ぐことができる。いくつかの実施形態では、弁は、ソーの最初の始動時に過度の摩耗を防ぐには残留潤滑が不十分である可能性があると判断される場合など、ソーチェーン206およびバー100が冷たいときに確実に初期潤滑を受けるように、公称流量または基本流量を有するように構成されてもよい。次いで、ソーチェーン206およびバー100が動作温度まで上昇するにつれて、流量が増加してもよい。いくつかの実施形態では、弁に加えて、または弁の代わりに、各オイル出口開口部112および114には、オイルが出ることを可能にするが、破片がチャネルに進入してプラグや詰まりを引き起こすのを防ぐスクリーンまたは同様のプラグが取り付けられてもよい。スクリーンまたはプラグの位置により、対応するオイルチャネルに入る前に、オイルを流すことによって破片を押しのけることができ、さもなければ、破片がとどまり、十分なオイルの供給が妨げられる可能性がある。さらに、各弁が開く程度および/または温度の上昇に応じて各弁が開く速度により、場合によってはコンポーネントの摩耗の増加を犠牲にして、チェーンソーのオイル消費量を調整することを可能にできる。したがって、コンポーネントの摩耗が増加する可能性を犠牲にして、オイルの消費を最小限に抑えることができ(環境にとっては良いことになる)、オイル消費量の増加を犠牲にしてコンポーネントの摩耗を最小限に抑えることができ(高価な部品の寿命を延ばし、場合によってはコンポーネント交換のためのソーのダウンタイムを最小限に抑えるために良い)、または、廃オイルのコストを交換部品のコストと比較して最適化することで、全体のコスト(オイルのコスト+交換部品のコスト)を最小限に抑えることができる。
【0031】
図2の断面A-Aである
図3は、可能な実施形態によるバー100の積層の配置を示しており、第1の外層202aと第2の外層202bとが内部コア204を挟んでいる。3つの層は、第1および第2のチャネル106および108内へのオイルの注入によって課せられるあらゆる内圧、ならびにバーの予想される動作条件に十分に対処できるように3つの層を取り付けることを可能にする任意の適切な技術によって固定され得る。オイルが比較的低い圧力でバーに注入される場合には、スポット溶接などのいくつかの溶接または接着技術がより適切な場合がある。スポット溶接は、オイル圧が、場合によっては動作温度の上昇と組合されて、溶接スポット間のチャネル106および108からオイルが漏れ出て、周囲のバー溝116に滲みを引き起こす場合があり、不適切である可能性がある。レーザー溶接、イオンビーム溶接、連続抵抗溶接、ロウ付け、はんだ付け、リベットやねじなどの機械的締結具、接着剤、および/または前述の任意の組合せなどの他の技術を使用して、より大きな圧力に耐えることができる積層構造を作ることもできる。例えばエポキシを使用した接着など、さらに他の技術を利用することもできる。
【0032】
図1~
図3から分かるように、オイルチャネル106および108は内部コア204内に形成される。オイルチャネル106および108は、積層前に内部コアに機械加工されてもよく、内部コアを完全にまたは部分的に貫通してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のオイルチャネルが内部コア204を完全に貫通する場合など、内部コア204は複数の部品として実装され得、1つまたは複数のオイルチャネルは、コア部品の互いに対する間隔によって形成され得る。さらに他の実施形態では、1つまたは複数のオイルチャネルの一部またはすべてが、外層202a、202bの一方または両方に形成されてもよい。外層202または内部コア204のいずれかの上のオイルチャネルの一部または全体の配置は、材料の厚さおよび所与の実装のニーズに基づいて決定することができる。積層された構造の方法では、その後積層プロセスで密閉される開いた通路を容易に機械加工できるため、比較的簡単に通路を形成できる。他の実施形態では、バー100は、任意の適切な技術を使用してバーを通る通路が形成された、単一の固体部品として実装されてもよい。例えば、フライス加工により、バー100の外側の表面にチャネルを配置することができる。さらに、チャネルからより深い溝を機械加工し、チューブまたはキャップを介してチャネルに接続することもできる。ソリッドピースバーを使用するこの種の実施形態の例は、
図4に関して本明細書で説明される。
【0033】
図4A~
図4Eは、それぞれ実施形態A~Eに対応し、様々な方法でオイルチャネル410をバーにフライス加工することができる、表面チャネルを有する中実バー400および溝チャネルを有する中実バー450のいくつかの可能な実施形態を示す。図から分かるように、バー400ごとに表面に形成またはフライス加工されたチャネルを実装する実施形態AおよびBは、実施形態Aでは溝内に配置されたチューブ402、または、実施形態Bでは溝上に配置されたキャップ404のいずれかとともに、バー400の外側にフライス加工されたチャネルを使用する。バー400には、バーの溝の反対側の外面にフライス加工されたチャネルを有する。実施形態Aでは、フライス加工されたチャネル410の形状に構成されたチューブ402がチャネル410に挿入される。チューブ402はオイル入口412を含み、オイルはそこを通ってチューブ402を通過し、バー400に沿った遠位位置に送達される。実施形態Aでは、オイルはチャネル410全体ではなく、チューブ402を通って移動する。実施形態Bでは、チャネル410は、より深くて狭いチャネル部分と、より浅くて幅広のチャネル部分を形成するための段差を設けてフライス加工される。次に、キャップ404が浅くて広いチャネル部分に配置され、それによって狭くて深いチャネルを囲い、チャネル410がオイルを直接導くようにする。キャップ404は、オイルがより深いチャネル410に流れることを可能にする入口ポート412を含む。
【0034】
代替的に、実施形態C、D、およびEのバー450に見られるように、チャネル410をバー溝内でフライス加工してもよい。実施形態Cでは、チューブ452がチャネル410の底部に配置され、入口ポート412がチューブ452をバー450の外側に接続し、オイルがチューブ452に搬送されることを可能にする。実施形態Dでは、キャップ454を収容するために、溝410の側面に段455がフライス加工される。キャップ454は溝410の底部を囲み、入口ポート412がオイルを溝に運び、出口ポートに到達するまでキャップの下を流れる。実施形態Eでは、ブロック456が溝410の底部に挿入され、2つの狭いチャネルを効果的に形成する。入口ポート412からのオイルは、ブロック456の上部を越えて一方のチャネルに流入し、ブロックの反対側のチャネルに流入することができる。例えば、実施形態Eは、ソーチェーンが溝の長さまでオイルを輸送するのを助けることが意図されている場合に有用である可能性がある。
【0035】
図5A~
図5H2は、実施形態A~H(実施形態Hは5H1および5H2に示す断面図を有する)に対応し、中実バーのための様々な異なる出口ポートの実施形態の断面を示す。実施形態Aでは、インサート502を備えた外側チャネルは、湾曲したポートを使用して、チャネルを通って流れるオイルをバー溝の側面に送出する。実施形態Bは同様の構成を示すが、チャネルが溝の内側にフライス加工されている。実施形態Cは、キャップが溝の底部を囲み、オイルが囲われた底部溝から側部内側インサート504を通って流れ、バー溝の側壁にオイルを堆積させる出口ポートを示す。実施形態Dでは、ブロック506が溝の底部に設置され、シム508が溝の内部側壁にはめ込まれ、ブロックの側面および上部から溝側壁の上部までオイルを運ぶ。実施形態Eでは、キャップが溝内に配置され、2つの出口ポート510、512が、キャップ付きの溝からバー溝の上部、すなわちチェーンが滑るレールまでオイルを運ぶ。実施形態Fでは、外側溝を有するバーはチューブ514を含み、出口ポート516がチューブから溝の内側上部近くまで角度が付けられている。実施形態Gでは、チューブは実施形態Fと同様に外側の溝に取り付けられるが、出口ポートは真っすぐに延び、上部レールと溝の底部との間のほぼ中間で溝の側面から出る。最後に、実施形態Hは、キャップ付きの溝であり、キャップの下のオイルチャネルから上部レールまで延在する半円形の切り欠き518、520を備え、レールの一部が除去されて切り欠きを形成している。したがって、切り欠きは溝の側壁と上部レールの両方までオイルを運ぶ。変形例として、キャップをU字型のチャネルとして形成して、半円形の切り欠きによって、より多くの量のオイルを上部レールに運ぶことができるようにすることもできる。
【0036】
図6Aおよび
図6Bは、標的を絞ったオイル供給のために構成されたバー600の別の実施形態を示す。バー600は、第1のオイル孔602および第2のオイル孔604を含み、これらは次に、バー600の長手軸にほぼまたは実質的に平行に、バー600に沿って延びるオイルチャネル606および608を供給する。これらの構造は、バー100に関して
図1に記載されたものと同様である。さらなる詳細については、上の
図1の対応する説明を参照されたい。バー600は、
図6Aの挿入図である
図6Bに示されるように、各オイルチャネル606および608の終端のバー100とは異なる。
図6Bに見られるように、オイルチャネル606は、バー600の長手方向軸から直角に約90度回転して、ほぼ垂直なチャネル610を形成し、ノーズスプロケットの直前にチェーンおよびチェーン溝にオイル供給する。
【0037】
オイルチャネル606がチャネル610に変わる角には、チャネル610および/またはチャネル606が破片で汚れた場合に、掃除の目的で取り外すことができるプラグ612が含まれてもよい。実施形態では、プラグ612は、取り外しが比較的容易であることと、チャネル606の下方で加圧されるオイルに対する圧力をある程度緩衝することとの両方を可能にするエラストマー化合物から構築されてもよい。オイルチャネル608は同様の垂直チャネルで終端し、同様にチャネル606および608ならびにプラグ612と実質的に鏡像構造のエラストマープラグを備え得ることを理解されたい。
【0038】
図7Aおよび
図7Bは、
図1のオイル孔102、104、および
図6Aのオイル孔602、602の変形実施形態を示す。
図7Aでは、細長いオイル孔702が、フライス加工、機械加工、または内部コアもしくは中心コアに取り付けられた外壁上もしくは外壁内に細長い部分を形成するなどによって、バーの外装面710上のチャネルとして形成される。いくつかの実施形態では、細長いオイル孔は、内部コアを露出させるために外壁を通るスロットまたはチャネルを作ることによって形成され得、内部コアの側面が細長いオイル孔の底部を作る。細長いオイル孔は、オイルをオイル孔またはビア704まで導くチャネルとして作動し、オイルをオイルチャネル706内へと導き、オイルチャネル706は、
図1に関して上で論じたオイルチャネルと同様に、中央コアまたは内部コアを通って流れることができる。細長いオイル孔702を通るオイルの流れは、
図7Bに破線708で示されている。バーに細長いオイル孔702を設けることで、オイル孔102、104、602、または604など、円形のオイル孔と正確に一致しない可能性のあるわずかに異なる位置にオイル出口を有することができる様々なパワーヘッドにバーを取り付けるときに柔軟性が提供される。細長いオイル孔702の長さがその長さに沿って覆われているか、または封止されている限り、オイルは細長いオイル孔702に沿った任意の点に導入することができ、加圧されるとオイルがビア704に導入され、次にオイルチャネル706に導入される。
【0039】
図8は、バー100またはバー600などの様々な実施形態による、標的を絞ったオイル供給(または他の流体)を伴うチェーンソーバーを製造するための例示的な方法800の動作を示す。方法800の動作は、所与の実装の詳細および要件に従って、表示された順序で実行することも、順序を外して実行することもできる。さらに、所与の実装の要件に応じて、動作が省略、追加、または変更される場合がある。
【0040】
動作802では、オイルチャネル106および108などの1つまたは複数のオイルチャネルが、内部コア204などの内部コア上に形成される。オイルチャネルは、機械的、電気的、レーザー、化学的、もしくは別の適切な方法を使用した機械加工またはフライス加工など、任意の適切な技術を使用して形成されてもよく、あるいは、内部コアの製造の一部として、例えば内部コアの鋳造または鍛造の一部として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、コアは2つ以上の部品で製造され、外壁に固定されるときに互いに離間してオイルチャネルを形成することができる。さらに他の実施形態では、チャネルは、外壁の一方または両方に少なくとも部分的に形成され得る。所与のオイルチャネルの場合、部分は完全に内部コア、外壁の1つ、または壁と内部コアの組合せ内に配置される場合がある。
図1ならびに
図6Aおよび
図6Bの実施形態に示されるように、オイルチャネルは通常、オイルがパワーヘッドからチェーンソーバーの実質上の長さまで運ばれるように、パワーヘッドに取り付けられるチェーンソーバーの一端から、チェーンソーバーの遠位の、スプロケット端に近い別の位置まで延びる。
【0041】
動作804では、スプロケット端に近い各オイルチャネルの端部にオイル出口ポートが形成される。オイル出口ポートは、上記の様々な実施形態の1つに示されているように配置されてもよい。実施形態では、1つのオイル出口ポートは、チェーンソーバーのスプロケットノーズに近接して配置され得、スプロケットが適切に潤滑されるように、ソーチェーンがスプロケットノーズの周りを移動する直前にオイルを拾い上げることができる場所に配置され得る。実施形態では、適切な潤滑が適用され、ソーをワークピースに適用するときに通常最も摩耗と摩擦を受ける領域であるバーの切断領域全体に運ばれるように、チェーンが移動した直後に別の出口ポートをスプロケットノーズに近接して配置してもよい。
【0042】
動作806では、上述したように、適切な機構によって外壁が内部コアの側面に固定される。通常、外壁のサイズは、内部コアに取り付けられたときに、内部コアの端部を越えて延在して、バーの周囲に沿って走るソーチェーン溝を形成し、通常はその中をソーチェーンの少なくとも一部が延びるように、内部コアよりも大きくなる。実施形態では、内部コアもノーズにおいて外壁の手前で止まり、ノーズスプロケットがその中で回転する空洞を形成する。パワーヘッド、ソーチェーン、およびバーの構成に応じて、バーがパワーヘッドに係合するノーズの反対側など、バーの部分では、ソーチェーンがチェーン溝内を走行しない、例えば、チェーンが溝から離れてパワーヘッド内の駆動機構と係合する場所で、内部コアが外壁と面一になっていてもよい。外壁には、パワーヘッドへのバーの任意の必要な取り付け点を提供するために、機械加工された様々な開口部を有してもよい。さらに、パワーヘッドからのオイルがバー内のオイルチャネルに輸送され得るように、一方または両方の外壁には、オイルチャネルに連通する開口または孔が形成されていてもよい。
【0043】
動作808では、バーにオイル供給する場所が変化し得る、パワーヘッドの異なる構成に適応するために、外壁に形成された開口または孔を細長くすることができる。上記の
図7Aおよび
図7Bに見られるように、オイル孔を細長い谷または溝に形成することにより、単一モデルのバーを多数の異なるパワーヘッドと互換性を持たせることができる。
【0044】
最後に、動作810において、上述したように、オイル出口ポートの1つまたは複数に弁を取り付けることができる。弁は、下向きの出口ポートからオイルが流出するのを防ぐために重力に敏感であってもよく、ならびに/または上で論じたように、熱および/もしくはオイルの粘度に基づいて流量を調整するために感熱式であってもよい。さらに他の実施形態では、動作810において、弁に加えて、または弁の代わりに、エラストマープラグを取り付けることができ、オイルチャネルから破片を除去できるように弁を取り外すことができる。
【0045】
開示された実施形態は、手持ち式ソーなどのチェーンソーおよび収穫機などの商業規模の機械に焦点を当ててきたが、本明細書で論じた標的を絞ったオイル供給技術は、ソー以外の動作/作業コンポーネントへの潤滑剤供給も必要とする他の機械にも同様の効果で適用できることを理解されたい。
【0046】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば、範囲から逸脱することなく、同じ目的を達成するために計算された多種多様な代替および/または同等の実施形態または実装を図示および説明した実施形態に置き換えることができることを理解するであろう。当業者であれば、実施形態が非常に多様な方法で実装され得ることを容易に理解するであろう。
【0047】
本出願は、本明細書で論じた実施形態のあらゆる適応または変形を網羅することを意図している。したがって、実施形態は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明らかに意図されている。
例
以下は、可能な実施形態の非限定的な例である。
【0048】
例1は、チェーンソーのためのバーであって、長手方向軸を画定する内部コアであって、第1の側、第2の側、および第1の側と第2の側とを分離する周縁部を含む、内部コアと、第1の側に配置された第1の外壁と、内部コアの第2の側に配置された第2の外壁であって、第2の側は第1の側の反対側である、第2の外壁と、長手方向軸に沿って形成された流体チャネルであって、チャネルの第1の端部にある流体孔と、第1の端部から遠位のチャネルの第2の端部に形成された流体出口ポートとに流体連通する、流体チャネルとを備え、第1の外壁と第2の外壁とが、内部コアの周縁部を越えて延在してバー溝を形成し、流体出口ポートがバー溝の切断領域に近接して配置されている、バーである。
【0049】
例2は、例1または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体出口ポートが感熱弁を含む。
例3は、例1もしくは2、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、第1の外壁および第2の外壁がそれぞれ、レーザー溶接、スポット溶接、イオンビーム溶接、または連続抵抗溶接によって内部コアに固定されている。
【0050】
例4は、例1から3のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネルが第1の流体チャネルであり、流体孔が第1の流体孔であり、流体出口ポートが第1の流体出口ポートであり、長手方向軸に沿って形成された第2の流体チャネルをさらに備え、第2の流体チャネルが、第2の流体チャネルの第1の端部にある第2の流体孔と、第2の流体チャネルの第2の端部に形成された第2の流体出口ポートとに流体連通しており、第2の流体出口ポートがバーのノーズに近接して配置され、バーのノーズがスプロケットホイールを受け入れるように構成されている。
【0051】
例5は、例4、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、第1の流体出口ポートおよび第2の流体出口ポートが感熱弁を含む。
例6は、例1から5のうちのいずれか1つ、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体孔が細長く、第1の外壁または第2の外壁のうちの一方に少なくとも部分的に形成されている。
【0052】
例7は、例1から6のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネルが取り外し可能なエラストマープラグをさらに含む。
例8は、例1から7のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体出口ポートが第1の外壁または第2の外壁のうちの一方に配置されている。
【0053】
例9は、例1から8のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの例に記載の主題を含み、流体出口ポートが内部コアの周縁部に配置されている。
例10は、例1から9のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネルが内部コア内に形成されている。
【0054】
例11は、例1から10のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネルが、周縁部と、周縁部から離間し、第1の外壁と第2の外壁との間のバー溝内に広がるキャップとの間のバー溝内に少なくとも部分的に形成されている。
【0055】
例12は、例1から11のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネルが、周縁部上に配置されたチューブを有するバー溝内に少なくとも部分的に形成されている。
【0056】
例13はチェーンソーであって、オイル補給機構を備えたパワーヘッドと、オイル補給機構からオイルを受け取るように、第1の端部でパワーヘッドに結合されたチェーンソーバーと、チェーンソーバーの周囲溝の周りに配置され、パワーヘッドから回転運動を受けるようにパワーヘッドに結合されたソーチェーンとを備え、チェーンソーバーは、それぞれが内部コアの側に配置され、内部コアの周縁部を越えて延在する第1の外壁および第2の外壁であって、周囲溝が第1の外壁および第2の外壁と周縁部とによって画定される、第1の外壁および第2の外壁と、内部コア内に配置された複数のオイルチャネルであって、複数のオイルチャネルのそれぞれが、オイル補給機構からオイルを受け取るように構成された第1の端部と、チェーンソーバーの第1の端部から遠位に位置するオイル出口ポートで終わる第2の端部とを有する、複数のオイルチャネルと、ソーチェーンと噛み合うスプロケットを収容する第2の端部とを含み、複数のオイルチャネルのうちの1つのオイル出口ポートの少なくとも1つが、スプロケットに近いチェーンソーバーの第2の端部に位置する、チェーンソーである。
【0057】
例14は、例13、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、チェーンソーバーが、作業セクションである、第1の端部と第2の端部との間に位置するセクションを備え、複数のオイルチャネルのうちの1つのオイル出口ポートのうちの第2のポートが作業セクション内に位置する。
【0058】
例15は、例13もしくは14、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、オイル出口ポートのそれぞれが弁機構を含む。
例16は、例13から15のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、弁機構が感熱式である。
【0059】
例17は、例13から16のうちのいずれか、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、弁機構が重力作動式である。
例18は、チェーンソーバーを作るための方法であって、内部コアの第1の側と内部コアの第2の側との間に画定された周縁部を有する内部コア内に、内部コアの第1の端部と内部コアの第2の端部との間に延在する流体チャネルを形成するステップであって、第1の端部が、流体供給源から流体を受け取るように構成されている、ステップと、内部コアの第2の端部に流体出口ポートを形成するステップと、内部コアの第1の側に第1の外壁を固定するステップと、内部コアの第2の側に第2の外壁を固定するステップとを含み、第1の外壁と第2の外壁とが周縁部を越えて延在してソーチェーンの溝を画定し、流体出口ポートがソーチェーンの溝に連通する、方法である。
【0060】
例19は、例18、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、内部コアの第1の端部において、第1の外壁または第2の外壁のうちの一方に、流体チャネルに流体連通する細長い流体孔を形成するステップをさらに含む。
【0061】
例20は、例18もしくは19、または本明細書のいくつかの他の例に記載の主題を含み、流体チャネル内に取り外し可能なエラストマープラグを配置するステップをさらに含む。
【国際調査報告】