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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】心室補助装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/139 20210101AFI20231201BHJP
   A61M 60/422 20210101ALI20231201BHJP
   A61M 60/861 20210101ALI20231201BHJP
【FI】
A61M60/139
A61M60/422
A61M60/861
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553158
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021059063
(87)【国際公開番号】W WO2022108836
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/198,853
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523183301
【氏名又は名称】マイ-ヴァッド,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルカイク,ジョサイア
(72)【発明者】
【氏名】アンタキ,ジェームズ,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】クシュワハ,スディール
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC04
4C077DD01
4C077JJ08
(57)【要約】
近位端及び外面を有するフレームと、ベース及びベースに結合されたブレースを有するアンカーとを含む心室補助装置。ベースはフレームの近位端に取り付けられている。装置はまた、フレームに結合された固定子アセンブリと、固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリと、固定子アセンブリに動作可能に結合された電源とを含む。アンカーは、ブレースの内面がフレームの外面に接触するつぶれ構成と、ブレースの内面がフレームの外面からオフセットされ、ブレースの外面が血管の一部分と係合して血管内にフレームを固定する拡張構成との間で移動可能である。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト心臓用の心室補助装置であって、
近位端及び外面を有するフレームであって、前記フレームは、血管内の選択された位置で前記血管内に配置するようにサイズ調整されている、フレームと、
ベース及び前記ベースに結合されたブレースを有するアンカーであって、前記ベースが前記フレームの前記近位端に取り付けられ、前記ブレースが内面及び外面を有する、アンカーと、
前記フレーム内に配設され、前記フレームに結合された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源と、
を備え、
前記固定子アセンブリ及び前記回転子アセンブリは、前記電源から前記固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、前記回転子アセンブリを回転させるように構成され、
前記アンカーは、前記ブレースの前記内面が前記フレームの前記外面に接触するつぶれ構成と、前記ブレースの前記内面が前記フレームの前記外面からオフセットされ、前記ブレースの前記外面が前記血管の一部分と係合して前記血管内に前記フレームを固定する拡張構成との間で移動可能である、
装置。
【請求項2】
前記アンカーは、前記ベースから前記ブレースまで延びる少なくとも1つのストラットを更に備え、前記少なくとも1つのストラットは、前記ブレースを前記ベースに結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ブレースは、複数の遠位ジョイント、複数の近位ジョイント、及び複数のクロスビームを有する環状ブレースを更に備え、前記複数のクロスビームは、前記複数の遠位ジョイントを前記複数の近位ジョイントに接続している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記血管内で前記アンカーを更に支持するために、前記環状ブレースは、前記複数の近位ジョイントに沿って中央に配置された複数のプロングを更に備え、各プロングは、圧力を分散させ、前記血管への過度の応力集中を防止するためのプロング先端を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ブレースは、前記拡張構成においておおよそ30mmの最大外径まで拡張可能な外径を有する環状ブレースを備え、前記拡張構成において、前記外径が前記血管によって前記環状ブレースに印加された反力に少なくとも部分的に起因して前記最大外径よりも小さくなるように、前記環状ブレースが内向きに偏向する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アンカーが、ニチノール等の形状設定可能なNi-Ti超弾性合金を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フレームの前記近位端から延びるリードを更に備え、前記リードは、コントローラ及び前記コントローラに動作可能に結合されたセンサに結合されるように適合されており、前記コントローラは、前記電源を動作させて脈動性流を提供し、前記センサを使用して、自然な心臓リズムを決定し、自然な心臓リズムに応答して、前記回転子アセンブリの回転速度を制御するようにプログラムされている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ベースが、面取り面を有する環状ブレースを含み、前記フレームが、遠位端と、前記フレームの前記遠位端に結合されたガードとを更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ヒト心臓用の心室補助装置であって、
近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間に配設され、流路の一部分を画定する内面を有するシュラウド、及び前記近位端に配設された複数の突起を有するフレームであって、前記フレームは、血管内の選択された位置で前記血管内に配置するようにサイズ調整されている、フレームと、
ベースと前記ベースに結合されたブレースとを有するアンカーであって、前記アンカーは、前記ブレースがフレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する拡張構成に移動可能である、アンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源と、
を備え、
前記固定子及び前記回転子は、前記電源から前記固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、前記回転子アセンブリを回転させるように構成され、
前記フレームの前記複数の突起が前記アンカーの前記ベースに係合する、装置。
【請求項10】
前記アンカーは、前記ベースから前記ブレースまで延びる少なくとも1つのストラットを更に備え、前記少なくとも1つのストラットは、前記ブレースを前記ベースに結合し、前記フレームの前記複数の突起のうちの少なくとも1つの突起に対して中央位置に配設されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フレームは、前記近位端に配設された複数の出口スロット、及び前記複数の出口スロットに隣接して配設された複数のディフューザゾーンを更に備え、出る流体が、前記複数の出口スロット間及び前記複数のディフューザゾーンに沿って流れるようになっている、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記フレームは、前記近位端に配設されたフィードスルー穴と、前記近位端の近くに配設された固定子穴とを更に備え、前記固定子穴は、前記フィードスルー穴の直径よりも大きく、前記固定子穴は、前記固定子アセンブリの一部分を受容するためのものである、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の突起の各突起が前記アンカーの前記ベースと接合するための近位スロットを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記フレームは、前記シュラウドまで延びる近位外面及び近位肩部を更に含み、前記シュラウドは、細長い壁及びシュラウド外面を含み、前記フレームの前記近位外面は、前記シュラウド外面の直径未満の直径を有し、前記アンカーの前記ベースの直径とほぼ同じである、請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記フレームの前記遠位端が、複数の遠位開窓を有する、請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記フレームの前記遠位端に配設されたガードを更に含み、前記フレームはガード接合部を更に備えて、前記ガードが前記フレームの前記ガード接合部に結合するようにし、前記ガードは、遠位リップ、拡張ゾーン、シーム、及び外面を含み、前記外面は、前記シュラウド外側面の外径とほぼ同じ外径を有し、前記遠位リップ、前記拡張ゾーン、及び前記
シュラウド内面は、一次静止内部流れ面を画定する、請求項9~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記フレームの前記遠位端又は前記近位端の一方の前記選択された位置が、大動脈弁に近接し、冠動脈から下流にある大動脈根の近くにあるか、又はヒト心臓の小曲線及び大曲線の前に上行大動脈の大動脈弓の上流にあるかのうちの1つ以上である、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
心臓に心室補助装置を移植する方法であって、
血管内の選択された位置で前記血管内に配置するためのサイズ調整されたフレームを選択するステップであって、前記フレームは、流路を画定する内面と、前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、前記フレームと前記固定子アセンブリとの間に配設された回転子アセンブリとを有する、選択するステップと、
前記フレームの近位端にアンカーのベースを取り付けるステップと、
前記アンカーを、つぶれ構成で前記選択された位置に配置するステップと、
前記フレームを前記選択された位置に固定するために、前記選択された位置で前記アンカーを拡張するステップと、
電源を前記固定子アセンブリに動作可能に結合するステップと、
前記電源を制御して、前記回転子アセンブリを回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記フレームを前記選択された位置に固定するために前記選択された位置で前記アンカーを拡張することは、前記アンカーのブレースを前記選択された位置で拡張して、前記ブレースの少なくとも1つのプロングの少なくとも1つのプロング先端を血管の一部分に固定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アンカーの環状ベースを前記フレームの前記近位端に取り付けることは、前記アンカーの前記環状ベースを前記装置の近位端に配設された複数の突起に取り付けることを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記アンカーをつぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記アンカーをヒト心臓の大曲線に配置することと、前記ヒト心臓の小曲線及び前記ヒト心臓の大曲線に関連した湾曲の前に、前記上行大動脈の管腔位置で大動脈弓から上流にある前記上行大動脈内に前記アンカーを配置することとを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アンカーをつぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記上行大動脈内の前記フレームの前記近位端から延びるリードを、前記ヒト心臓の前記大曲線に沿って大動脈壁に対して垂直に出るように曲げることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アンカーを、つぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記フレームに取り付けられた前記アンカーを、前記ヒト心臓の左心室心尖部、又は前記ヒト心臓の大曲線に沿って、の一方によって挿入することを含み、前記フレームの近位端から延びるリードのみが、前記左心室心尖部の近くの領域を通って導かれる、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記アンカーを、つぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記フレームに取り付けられた前記アンカーを、前記左心室及び前記大動脈弁を通って、前記フレームの前記近位端から左心室心尖部の近くの心筋壁を通って延在するリードを用いて、更に送ることを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記アンカーをつぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記ヒト心臓の前記小曲線及び前記大曲線に関連した湾曲の前に、前記上行大動脈の相対的に直線的な管腔位置で前記大動脈弓から更に上流に前記アンカーを配置することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ヒト心臓用の心室補助装置であって、
近位端と、流路を画定する内面とを有するフレームと、
前記フレームの前記近位端に結合され、つぶれ構成と拡張構成との間で移動可能なアンカーであって、前記拡張構成は、前記アンカーの一部分が前記フレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する構成である、アンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源であって、前記固定子アセンブリ及び前記回転子アセンブリは、前記電源から前記固定子への電力の印加に応答して相互作用して、前記回転子アセンブリを回転させるように構成されている、電源と、
前記固定子アセンブリ内に配設されたフィードスルーアセンブリであって、前記フィードスルーアセンブリが、前記固定子アセンブリと接合するための外面と、近位端及び遠位端を有するフィードスルーカバーと、前記フィードスルーカバーの前記遠位端に配設されたフィードスルーフランジと、前記フィードスルーフランジ内に配置された複数の絶縁体とを有する、フィードスルーアセンブリと、
を備え、
前記フィードスルーカバー及び前記フィードスルーフランジが、前記固定子アセンブリのための筐体を形成するために使用される、装置。
【請求項27】
前記フィードスルーカバーの前記近位端から延びるリードを更に備え、前記リードは、前記フィードスルーカバー内で係合及び保持するためのジャケットフランジを備えたジャケット、マルチルーメン押出、及び前記装置に電力を提供するために前記マルチルーメン押出内に配設された複数のワイヤ導体を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記複数の絶縁体が、前記フィードスルーフランジの半径方向壁内の半径方向位置に配置され、前記複数の絶縁体の各絶縁体が、前記複数の絶縁体のうちの別の絶縁体から等間隔に配設されている、請求項26又は27に記載の装置。
【請求項29】
前記フィードスルーアセンブリは、前記複数の絶縁体に結合された複数のフィードスルーピンを更に備え、前記複数の絶縁体は前記フィードスルーフランジにろう付けされ、前記複数のフィードスルーピンは、前記複数の絶縁体内でろう付けされ、前記複数のピンは、前記複数のフィードスルーピンを半径方向突起から軸方向突起へ遷移させるために曲げられている、請求項26~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記フィードスルーアセンブリは、スペーサであって、前記複数のフィードスルーピンの軸方向配向を補助するように適合されたスペーサと、前記フィードスルーフランジの座ぐり内に配設されたプリント回路基板とを更に備え、前記スペーサは、前記プリント回路基板に支持面を提供する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記プリント回路基板は、複数のトレースを備え、各トレースは、前記複数のフィードスルーピンからの導電路を画定する、請求項30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記フィードスルーアセンブリは、前記複数のワイヤ導体のうちの前記ワイヤ導体の各々の遠位端に圧着された複数の圧着フェルールを更に備え、前記複数のワイヤ導体と前記
複数のフィードスルーピンとの間に電気接続を提供する、請求項27~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記フィードスルーカバーが前記フィードスルーフランジに結合され、前記フィードスルーカバー及び前記フィードスルーフランジが空洞を画定し、前記フィードスルーアセンブリが、前記複数のワイヤ導体に対応する複数のワイヤループを更に備え、前記複数のワイヤループが前記空洞内に配設されている、請求項26~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記空洞が、所定の位置にワイヤループを固定し、任意の軸方向張力から終端を隔離するためのひずみ緩和を提供するためのエポキシを含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記フィードスルーアセンブリは、前記フィードスルーカバーの前記近位端から延在するカラー部分を更に備え、前記カラーは、前記リードのフランジを受容して、前記リードのジャケットが前記フィードスルーアセンブリから移行することを防止するためのものである、請求項27~33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
ヒト心臓用の心室補助装置であって、
近位端を有するフレームと、
前記フレームの前記近位端に結合され、つぶれ構成と拡張構成との間で移動可能なアンカーであって、前記拡張構成は、前記アンカーの一部分が前記フレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する構成である、アンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリであって、前記固定子アセンブリは、スリーブ、前記スリーブと一体のスラストベアリング面、及び内部領域を有する固定子ハウジングを備える、固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源であって、前記固定子アセンブリ及び前記回転子アセンブリは、前記電源から前記固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用するように構成されている、電源と、
を備え、
前記固定子ハウジングは、前記固定子ハウジングの前記内部領域を密閉する密閉アセンブリを画定する、装置。
【請求項37】
前記固定子ハウジングはセラミック材料を含み、前記スラストベアリング面は凸状スラストベアリング面である、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記固定子ハウジングは、前記スラストベアリング面を含むスラストベアリングを更に備え、前記スラストベアリングは前記固定子ハウジングの前記スリーブと一体であり、半球形を有する、請求項36又は37に記載の装置。
【請求項39】
前記固定子ハウジングは、前記スラストベアリング面から外向きに、前記スリーブに向かって延在する拡張面を更に備え、前記拡張面は、前記スラストベアリング面及び前記スリーブと一体であり、前記スリーブは、外面を有する、請求項36~38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記固定子ハウジングは、近位端、遠位端、前記近位端に配設されたフランジ部分、前記遠位端に配設され、凸状形状を有する前記スラストベアリング面、及び前記近位端に開口し、モータ固定子アセンブリを受容するためのハウジング穴を更に備える、請求項36~39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記固定子ハウジングは、前記固定子ハウジングの近位端に配設されたジョイントに結合されたリングを更に備え、前記リングは、チタン材料を含み、前記フランジと前記リングとの間の前記ジョイントは、金材料を含み、前記装置は、前記リングに溶接され、溶接シームを形成するフィードスルーアセンブリを更に備える、請求項36~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
モータ固定子アセンブリを更に備え、前記モータ固定子アセンブリは、前記固定子ハウジングの前記内部領域内に配設され、穴を有する支持管と、前記支持管の各端部に複数の孔と、中央位置で前記支持管上に組み立てられた複数の積層と、前記支持管の各端部に配設された端部スペーサと、複数の巻線とのうちの1つ以上を備え、前記端部スペーサは、前記複数の巻線が、前記複数の巻線の摩耗なく、前記複数の積層に結合されることを可能にする、請求項36~41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記複数の巻線の各巻線は、磁石ワイヤのループを含み、前記支持管の各端部の前記複数の孔は、前記支持管の前記端部を妨害することなく、前記磁石ワイヤの端部がそこを通って前記穴内に配設されることを可能にする、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
心室補助装置の固定子アセンブリを組み立てる方法であって、
モータ固定子アセンブリを固定子ハウジングの穴内に配設することと、
前記モータ固定子アセンブリに隣接する前記固定子ハウジングの前記穴に複数の固定子ベアリング磁石を配設することと、
前記複数の固定子ベアリング磁石に隣接する前記固定子ハウジングの前記穴にフィードスルーアセンブリを配設することと、
前記モータ固定子アセンブリの磁石ワイヤを空洞を通って、前記固定子ハウジング内に前記フィードスルーアセンブリを完全に挿入する前に、前記フィードスルーアセンブリのトレースに送ることと、
前記フィードスルーアセンブリを溶接シームでリングに溶接し、前記固定子ハウジング内に配設された全ての構成要素が密閉されるように、密閉固定子ハウジングを提供することと、
を含む、方法。
【請求項45】
ヒト心臓用の心室補助装置であって、
近位端を有するフレームと、
前記フレームの前記近位端に結合され、血管の一部分に係合するように適合されたアンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリであって、
遠位端、近位端、スリーブ、及び前記スリーブと一体であるスラストベアリング面を有する回転子ハウジングと、
前記回転子ハウジングの前記遠位端と近位端との間の前記スリーブの長さに沿って配設されたインペラシェルであって、前記インペラシェルが前記インペラシェルと前記回転子ハウジングとの間の内部領域を形成する、インペラシェルと、を備える回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源であって、前記固定子アセンブリ及び前記回転子アセンブリは、前記電源から前記固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用するように構成されている、電源と、を備え、
前記インペラシェル及び前記回転子ハウジングは、密閉回転子アセンブリを画定し、前記インペラシェルと前記回転子ハウジングとの間の前記内部領域を密閉する、装置。
【請求項46】
前記スラストベアリング面が、セラミック材料を含む凹状スラストベアリング面であり
、前記固定子アセンブリが、前記回転子アセンブリの前記凹状スラストベアリング面に隣接して配設された凸状スラストベアリング面を更に含み、前記固定子アセンブリの前記凸状スラストベアリング面が、セラミック材料を含む、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記回転子ハウジングは、前記回転子ハウジングの前記近位端に開口部を有する細長い構造であり、前記スリーブと一体で、前記スリーブの前記遠位端に配設されたノーズ部分、前記スリーブの前記近位端に配設されたフランジ、及び前記スラストベアリング面と前記スリーブとの間の内部拡張ゾーンのうちの1つ以上を更に含み、前記内部拡張ゾーンは、前記スリーブ及び回転子ハウジングの前記遠位端に配設された円錐面に遷移する、請求項45又は46に記載の装置。
【請求項48】
前記回転子アセンブリは、回転軸を更に備え、前記回転子ハウジングは、円錐面に隣接する前記回転子ハウジングの前記遠位端に配設された複数の貫通孔を更に備え、前記複数の貫通孔は、前記回転子ハウジングの前記遠位端を通る流体流れを可能にするように適合され、前記複数の貫通孔の各貫通孔は、前記スラストベアリング面の外側に軸方向にオフセットされ、前記回転子アセンブリの前記回転軸に平行ではない、請求項45~47のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
前記回転子ハウジングは、遠位ジョイントに沿って前記回転子ハウジングの前記遠位端に配設された遠位ろう付けリングと、近位ジョイントに沿って前記回転子ハウジングの前記近位端に配設された近位リングとを更に備え、前記遠位及び近位リングの各々は、チタン材料又はチタン合金材料のうちの1つ以上を備え、前記遠位リングは、前記回転子ハウジングの円錐面と実質的に一致する外側面を有する、請求項45~48のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記回転子ハウジングは、外面と、前記外面に結合され、近位リングに当接する回転子ベアリングシムと、前記回転子ベアリングシムに隣接する前記外面に結合された複数の回転子ベアリング磁石と、前記外面に結合され、前記複数の回転子ベアリング磁石に隣接する回転子モータシムと、前記外面に結合された回転子モータスペーサと、前記回転子モータ空間に隣接し、回転子モータバックアイロン内の前記外面に結合された少なくとも1つの回転子磁石とのうちの1つ以上とを有し、前記回転子ベアリングシム、前記回転子モータシム、及び前記回転子スペーサのうちの1つ以上は、前記固定子アセンブリのモータ固定子及び/又は複数のベアリング磁石に対する記複数の回転子ベアリング磁石及び前記少なくとも1つの回転子モータ磁石の位置合わせを確実にするようにサイズ調整されている、請求項45~49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
前記インペラシェルは、前記回転子ハウジングの前記近位端に配設され、前記回転子ハウジングの前記スリーブの長さに沿って配設されたインペラシェル接合部に適合し、前記インペラシェルは、インペラハブ外面及び前記回転子ハウジングの前記近位端の近くに配設された複数のブレード先端表面を含み、前記インペラシェルは、前記回転子ハウジングの前記遠位端の近くの遠位シームに沿って遠位リングに取り付けられ、近位ジョイントで前記インペラシェル接合部に取り付けられている、請求項45~50のいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記インペラシェルは、前記インペラシェルの外面から半径方向外向きに延びる複数のインペラブレードと、ブレード先端表面を有する少なくとも1つのブレードと、前記回転子ハウジングの回転軸に対して角度を付けられた前記複数のブレードのうちの少なくとも1つのインペラブレードとを有する、請求項45~51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
心室補助装置の回転子アセンブリを組み立てる方法であって、
回転子ハウジングのスリーブの外面に回転子ベアリングシムを配設し、前記回転子ベアリングシムを前記回転子ハウジングの近位リングに当接することと、
前記回転子ベアリングシムに隣接する前記外面に複数の回転子ベアリング磁石を配設することと、
前記スリーブの前記外面上に、前記複数の回転子ベアリング磁石に隣接して回転子モータシムを配設することと、
前記回転子モータシムに隣接して前記スリーブの前記外面上に回転子モータスペーサを配設することと、
前記回転子モータスペーサに隣接する前記外面に少なくとも1つの回転子磁石を配設することと、
前記回転子ハウジングの前記スリーブの長さに沿って、前記回転子ハウジングの遠位端及び近位端にインペラシェルを取り付け、前記インペラシェルと前記回転子ハウジングの前記外面との間に密閉された内部領域を提供し、前記回転子ハウジングの前記外面上に配設された構成要素が密閉されるようにすることと、
を含む、方法。
【請求項54】
前記回転子ハウジングの遠位端及び近位端にインペラシェルを取り付けることは、前記回転子ハウジングの前記遠位端の遠位シームに沿って前記インペラシェルの遠位端を遠位リングに溶接することと、前記インペラシェルの近位端を近位ジョイントの近位リングに溶接することとを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ヒト心臓のための心室補助装置であって、
近位端、遠位端、複数の開窓、及び外側面を有するフレームと、
前記フレームの前記近位端に結合され、血管の一部分に係合するように適合されたアンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリであって、前記回転子アセンブリがインペラシェルを含む、回転子アセンブリと、
前記固定子アセンブリに動作可能に結合された電源であって、前記固定子アセンブリ及び前記回転子アセンブリは、前記電源から前記固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用するように構成されている、電源と、
前記フレームの前記遠位端に配設された環状入口、前記フレーム内の前記複数の開窓、前記フレームの外側面と前記回転子アセンブリの前記インペラシェルとの間に配設されたインペラゾーン、及び前記フレームの前記近位端に配設された環状出口によって画定された一次流路であって、前記一次流路内の流体が前記環状入口及び前記複数の開窓を通って前記インペラゾーンに引き込まれ、前記近位端に配設された前記環状出口から出るようにした、一次流路と、
前記環状入口、前記インペラゾーン、前記フレームと前記回転子アセンブリとの間に配設された軸方向回転子ギャップ、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間に配設された半径方向回転子ギャップ、及び前記回転子ハウジングの複数の貫通孔によって画定された二次流路であって、前記二次流路内の流体が前記インペラゾーンを通って引き出され、前記軸方向回転子ギャップ、前記半径方向回転子ギャップ、及び前記回転子アセンブリの前記複数の貫通孔を通って前記フレームの前記遠位端から出るようにした、二次流路と、
を備える、装置。
【請求項56】
前記二次流路は、前記フレームの前記遠位端の収束ゾーン及びベアリングバイパスゾーンのうちの1つ以上によって更に画定され、前記二次流路の流体が前記収束ゾーン及び前記ベアリングバイパスゾーンを通るようにした、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記電源は、前記固定子アセンブリ内に配設されたモータ固定子アセンブリであり、前記モータ固定子アセンブリは、前記フレームの前記近位端から延在するリードによってコントローラに結合され、前記コントローラは、前記モータ固定子アセンブリを電気的に制御するためのものである、請求項55又は56に記載の装置。
【請求項58】
前記固定子アセンブリは、前記近位端の近くに配設された複数の固定子ベアリング磁石を含み、前記回転子アセンブリは、前記近位端の近くに配設された複数の回転子ベアリング磁石を更に備え、前記複数の固定子ベアリング磁石及び前記複数の回転子ベアリング磁石は、前記回転子アセンブリの前記近位端の近くに配置された半径方向磁気ベアリングをともに含むようにする、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記複数の固定子ベアリング磁石が軸方向に磁化され、反対の極性で積み重ねられ、前記複数の回転子ベアリング磁石が軸方向に磁化され、反対の極性で積み重ねられ、前記固定子ベアリング磁石及び前記回転子ベアリング磁石が相互作用し、前記固定子アセンブリに対して実質的に同軸位置で前記回転子アセンブリの前記近位端を支持するための半径方向磁場を形成する、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記固定子アセンブリが複数の固定子ベアリング磁石を含み、前記回転子アセンブリが複数の回転子ベアリング磁石を含み、少なくとも1つの固定子ベアリング磁石及び少なくとも1つの回転子ベアリング磁石が互いに反対の磁気を有し、半径方向ベアリング支持体を提供する、請求項55~59のいずれか一項に記載の装置。
【請求項61】
前記固定子アセンブリは複数の固定子ベアリング磁石を含み、前記回転子ベアリングアセンブリは複数の回転子ベアリング磁石を含み、前記複数の回転子ベアリング磁石の軸方向位置が、前記複数の固定子ベアリング磁石の軸方向位置に対して近位端に向かってオフセットされ、前記回転子アセンブリを前記近位端に向かって付勢し、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間の接触がスラストベアリング面に沿って維持される、請求項55~60のいずれか一項に記載の装置。
【請求項62】
前記フレームの前記遠位端に配設されたスラストベアリングを更に含み、前記スラストベアリングは、前記回転子アセンブリの凹状スラストベアリング面に適合する前記固定子アセンブリの凸状スラストベアリング面を備え、前記凸状スラストベアリング面は半球形を含み、前記凹状スラストベアリング面はカップ形状を含み、前記スラストベアリング面接合部は、前記凸状スラストベアリング面と前記凹状スラストベアリング面との間に配設されている、請求項55~61のいずれか一項に記載の装置。
【請求項63】
前記回転子アセンブリの前記凹状スラストベアリング面及び前記固定子アセンブリの前記凸状スラストベアリング面の各々を画定する基板材料が、ジルコニアセラミックである、請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記フレームの前記遠位端は、大動脈弁に近接し、冠動脈から下流にある大動脈根の近くに配設されるように適合されている、請求項55~63のいずれか一項に記載の装置。
【請求項65】
ヒト心臓のための心室補助装置であって、
近位端、遠位端、内面、及び少なくとも1つの近位スロットを有するフレームと、
前記フレームの前記近位端に結合され、血管の一部分に係合するように適合されたアンカーと、
前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、
前記固定子アセンブリと前記フレームとの間に配設された回転子アセンブリであって、前記回転子アセンブリがインペラシェルと複数の貫通孔を含む、回転子アセンブリと、
前記フレームの前記近位端に配設された少なくとも1つの近位スロット、前記インペラシェルと前記フレームの内面との間に配設されたインペラゾーン、及び前記フレームの前記遠位端に配設された環状出口によって画定された一次流路であって、前記一次流路内の流体が前記少なくとも1つの近位スロットを通って前記インペラゾーンに引き込まれ、前記フレームの前記遠位端の近くに配設された前記環状出口から排出されるようにする、一次流路と、
前記回転子アセンブリ内の前記複数の貫通孔、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間に配設された環状回転子ギャップ、及び前記フレームの前記近位端にある軸方向ギャップによって画定された二次流路であって、前記二次流路内の流体が前記複数の貫通孔、前記環状回転子ギャップ、及び前記軸方向ギャップを通って引き出され、前記環状出口で排出されるようにする、二次流路と、を備える、装置。
【請求項66】
前記二次流路を通る流体流量は、前記一次流路を通る流体流量よりも小さい、請求項55~65のいずれか一項に記載の装置。
【請求項67】
前記回転子アセンブリが回転している間、流体力が前記回転子アセンブリの半径方向支持を維持する、請求項65又は66に記載の装置。
【請求項68】
前記環状回転子ギャップが流体力学的ベアリングである、請求項65~67のいずれか一項に記載の装置。
【請求項69】
前記二次流路は、前記フレームの前記遠位端に配設されたコレクタゾーン、前記フレームの前記遠位端で前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間に配設された収束ゾーン、スラストベアリング面接合部に隣接するベアリングバイパスゾーンのうちの1つ以上によって更に画定され、前記二次流路内の流体が前記コレクタゾーン、前記収束ゾーン、及び前記ベアリングバイパスゾーンのうちの1つ以上を通って引き出され、前記遠位端の前記フレームの前記環状出口で再び排出されるようにする、請求項65~68のいずれか一項に記載の装置。
【請求項70】
前記固定子アセンブリのモータ固定子アセンブリは、前記回転子アセンブリが前記回転子アセンブリを回転させるために、複数のモータ磁石と相互作用する、請求項65~69のいずれか一項に記載の装置。
【請求項71】
前記アンカーの軸方向の長さは、前記フレームの軸方向の長さにほぼ等しく、前記回転子アセンブリの一部分は、前記フレームの前記遠位端から外向きに延在する、請求項65~70のいずれか一項に記載の装置。
【請求項72】
前記フレームの前記近位端は、前記大動脈弁に近接し、前記冠動脈から下流にある大動脈根の近くに配設されるように適合されている、請求項65~71のいずれか一項に記載の装置。
【請求項73】
前記回転子アセンブリは、凹状スラストベアリング面を更に含み、前記固定子アセンブリは、前記凹状スラストベアリング面に隣接して配設された凸状スラストベアリング面を更に含み、前記回転子アセンブリの前記凹状スラストベアリング面及び前記固定子アセンブリの前記凸状スラストベアリング面の各々は、セラミック基板を含む、請求項65~72のいずれか一項に記載の装置。
【請求項74】
前記回転子アセンブリは、前記固定子アセンブリのモータ固定子アセンブリに対してオフセットされた複数のモータ磁石を更に含み、前記モータ固定子アセンブリは、前記回転子アセンブリの前記複数のモータ磁石と相互作用する磁化しやすい材料を含み、前記装置
が動作していないときに、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間の接触を維持するために軸方向に磁力を引き起こす、請求項65~73のいずれか一項に記載の装置。
【請求項75】
心臓に心室補助装置を移植する方法であって、
血管内の選択された位置で前記血管内に配置するためのサイズ調整されたフレームを選択するステップであって、前記フレームは、流路を画定する内面と、前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、前記フレームと前記固定子アセンブリとの間に配設された回転子アセンブリとを有する、選択するステップと、
前記フレームの近位端にアンカーのベースを取り付けるステップと、
前記アンカーをヒト心臓の大曲線に配置することと、前記アンカーを前記ヒト心臓の上行大動脈内に配置することと、を含む、つぶれ構成で前記選択された位置に前記アンカーを配置するステップと、
前記フレームを前記選択された位置に固定するために、前記選択された位置で前記アンカーを拡張するステップと、
電源を前記固定子アセンブリに動作可能に結合するステップと、
前記電源を制御して、前記回転子アセンブリを回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項76】
つぶれ構成で前記選択された位置に前記アンカーを配置することは、前記ヒト心臓の小曲線及び前記大曲線に関連した湾曲の前に、前記上行大動脈の管腔位置で大動脈弓から上流に前記アンカーを配置することを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
つぶれ構成で前記選択された位置に前記アンカーを配置することは、前記上行大動脈内の前記フレームの前記近位端から延びるリードを、前記ヒト心臓の前記大曲線に沿って大動脈壁に対して垂直に出るように曲げることを含む、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
心臓に心室補助装置を移植する方法であって、
血管内の選択された位置で前記血管内に配置するためのサイズ調整されたフレームを選択するステップであって、前記フレームは、流路を画定する内面と、前記フレーム内に配設された固定子アセンブリと、前記フレームと前記固定子アセンブリとの間に配設された回転子アセンブリとを有する、選択するステップと、
前記フレームの近位端にアンカーのベースを取り付けるステップと、
前記フレームに取り付けられた前記アンカーを左心室心尖部を通って、ヒト心臓の大動脈弁に更に送ることを含む、前記アンカーを、つぶれ構成で前記選択された位置に配置するステップと、
前記フレームを前記選択された位置に固定するために、前記選択された位置で前記アンカーを拡張するステップと、
電源を前記固定子アセンブリに動作可能に結合するステップと、
前記電源を制御して、前記回転子アセンブリを回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項79】
前記アンカーをつぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記フレームの前記近位端から、前記左心室心尖部の近くの心筋壁を通ってリードを延在させることを更に含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記アンカーをつぶれ構成で前記選択された位置に配置することは、前記ヒト心臓の前記小曲線及び前記大曲線に関連した湾曲の前に、前記上行大動脈の管腔位置で前記大動脈弓から上流に前記アンカーを配置することを含む、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項81】
前記装置は、電源を有するコントローラと、前記コントローラに動作可能に結合されたセンサとに結合されるように適合され、前記コントローラは、前記電源を動作させて脈動性流を提供し、前記センサを使用して、自然な心臓リズムを決定し、前記自然な心臓リズムに応答して、前記回転子の回転速度を制御するようにプログラムされている、請求項9~17、26~43、45~52、及び55~64のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2020年11月17日に出願された米国仮特許出願第62/198,853号の優先権を主張する。本出願の全体の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、心室補助装置に関し、より具体的には、肺循環又は体循環を増強するために血管で支持される心室補助装置に関する。
【背景技術】
【0003】
左心室補助装置は、現在、末期拡張型心筋症を有する患者における治療選択肢となっている。既存の装置は、重度の左心室機能不全に使用するように設計されている。これらの既存の装置は、右心室循環をサポートするための適応性がほとんどなく、特に右心室不全には適していない。現在の装置設計は、拡張型心筋症の患者にも適する傾向があるが、これらの装置は、拘束性心筋症の患者にはあまり適していない。残念ながら、拘束性心筋症に対して既存の装置を使用しようとする過去の試みの結果は不良であった。
【0004】
更に、現在の世代の装置の更なる問題には、血栓形成のリスク及び感染のリスク、並びに非生理学的(非脈動性)流れの悪影響が含まれる。非生理学的流れは、胃腸及び/又は脳出血の有病率が高いことを含む、多くの副作用を引き起こす可能性がある。胃腸出血の病因は、非生理学的流れに部分的に関連しており、そのような非生理学的補助装置によって破壊され得る血液内の凝固因子の枯渇にも関連し得る。一部の既存の装置は、凝固因子枯渇の30%の発生率を有することが知られている。
【0005】
現在の装置はまた、急性心筋梗塞の設定で使用することが困難であり得る。そのような状況では、特に、位置が先端又は前部である場合、新たに梗塞した心筋組織は、破砕可能であり得る。したがって、流入カニューレの先端配置のために、既存の装置の使用は実行不可能な場合がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端及び外面を有するフレームを含み、フレームは、血管内の選択された位置で血管内に配置するようにサイズ調整されている。装置はまた、ベース及びベースに結合されたブレースを有するアンカーを含む。ベースがフレームの近位端に取り付けられ、ブレースが内面及び外面を有する。固定子アセンブリは、フレーム内に配設され、フレームに結合され、回転子アセンブリは、固定子アセンブリとフレームとの間に配設され、電源は、固定子アセンブリに動作可能に結合されている。固定子アセンブリ及び回転子アセンブリは、電源から固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。そのように構成された場合、アンカーは、ブレースの内面がフレームの外面に接触するつぶれ構成と、ブレースの内面がフレームの外面からオフセットされ、環状ブレースの外面が血管の一部分と係合して血管内にフレームを固定する拡張構成との間で移動可能である。
【0007】
別の例によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配設され、流路の一部分を画定する内面を有するシュラウド、及び近位端に配設された複数の突起を有するフレームを備える。フレームは、血管内の選択された位置で血管内に配置するようにサイズ調整されている。装置はまた、ベースとベースに結合された
ブレースとを有するアンカーを含み、アンカーは、ブレースがフレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する拡張構成に移動可能である。更に、固定子アセンブリは、フレーム内に配設され、回転子アセンブリは、固定子アセンブリとフレームとの間に配設され、電源は、固定子アセンブリに動作可能に結合されている。固定子及び回転子は、電源から固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。そのように構成された場合、フレームの複数の突起がアンカーのベースに係合する。
【0008】
更に別の態様によれば、心臓に心室補助装置を移植する方法は、血管内の選択された位置で血管内に配置するためのサイズ調整されたフレームを選択するステップを含み、フレームは、流路を画定する内面と、フレーム内に配設された固定子アセンブリと、フレームと固定子アセンブリとの間に配設された回転子アセンブリとを有する。本方法はまた、アンカーの環状ベースをフレームの近位端に取り付け、アンカーをつぶれ構成で選択された位置に配置することも含む。本方法は、更に、選択された位置でアンカーを拡張して、フレームを選択された位置に固定し、電源を固定子アセンブリに動作可能に結合し、電源を制御して、回転子アセンブリを回転させることも含む。
【0009】
本開示の更に別の態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端と、流路を画定する内面とを有するフレームと、フレームの近位端に結合され、つぶれ構成と拡張構成との間で移動可能なアンカーとを備える。拡張構成は、アンカーの一部分がフレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する構成である。装置は、更に、フレーム内に配設された固定子アセンブリと、固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリと、固定子アセンブリに動作可能に結合された電源とを含む。固定子アセンブリ及び回転子アセンブリは、電源から固定子の電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。装置はまた、固定子アセンブリ内に配設されたフィードスルーアセンブリを含む。フィードスルーアセンブリが、固定子アセンブリと接合するための外面と、近位端及び遠位端を有するフィードスルーカバーと、フィードスルーカバーの遠位端に配設されたフィードスルーフランジと、フィードスルーフランジ内に配置された複数の絶縁体とを有する。そのように構成された場合、フィードスルーカバー及びフィードスルーフランジが、固定子アセンブリのための筐体を形成するために使用される。
【0010】
更に別の態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端を有するフレームと、フレームの近位端に結合され、つぶれ構成と拡張構成との間で移動可能なアンカーとを備える。拡張構成は、アンカーの一部分がフレームからオフセットされ、血管の一部分と係合する構成である。装置はまた、フレーム内に配設された固定子アセンブリを含み、固定子アセンブリは、スリーブ、スリーブと一体のスラストベアリング面、及び内部領域を有する固定子ハウジングを備える。装置は、更に、固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリと、固定子アセンブリに動作可能に結合された電源とを含む。固定子アセンブリ及び回転子アセンブリは、電源から固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。更に、固定子ハウジングは、固定子ハウジングの内部領域を密閉する密閉アセンブリを画定する。
【0011】
更に別の態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端を有するフレームと、フレームの近位端に結合され、血管の一部分に係合するように適合されたアンカーと、フレーム内に配設された固定子アセンブリとを備える。装置は、固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリを更に含む。回転子アセンブリは、遠位端、近位端、スリーブ、スリーブと一体のスラストベアリング面、及びスリーブの近位端に配設されたフランジを有する回転子ハウジングを備える。回転子アセンブリはまた、回転子ハ
ウジングの遠位端と近位端との間のスリーブの長さに沿って配設されたインペラシェルを備え、インペラシェルが、インペラシェルと回転子ハウジングとの間の内部領域を形成する。装置は、固定子アセンブリに動作可能に結合された電源を更に含み、固定子アセンブリ及び回転子アセンブリは、電源から固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。インペラシェル及び回転子ハウジングは、密閉回転子アセンブリをともに画定し、インペラシェルと回転子ハウジングとの間の内部領域を密閉する。
【0012】
本開示の更に別の態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端、遠位端、複数の開窓、及び外側面を有するフレームを備える。装置は更に、フレームの近位端に結合され、血管の一部分と係合するように適合されたアンカー、フレーム内に配設された固定子アセンブリ、及び固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリを含み、回転子アセンブリがインペラシェルを含む。電源は、固定子アセンブリに動作可能に結合され、固定子アセンブリ及び回転子アセンブリは、電源から固定子アセンブリへの電力の印加に応答して相互作用して、回転子アセンブリを回転させるように構成されている。装置は更に、フレームの遠位端に配設された環状入口、フレーム内の複数の開窓、フレームの外側面と回転子アセンブリのインペラシェルとの間に配設されたインペラゾーン、及びフレームの近位端に配設された環状出口によって画定される一次流路を更に含む。そのように構成された場合、一次流路内の流体は、環状入口及び複数の開窓を通ってインペラゾーンに引き込まれ、近位端に配設された環状出口から出る。装置はまた、環状入口、インペラゾーン、フレームと回転子アセンブリとの間に配設された軸方向回転子ギャップ、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に配設された半径方向回転子ギャップ、及び回転子ハウジングの複数の貫通孔によって画定された二次流路を含む。そのように構成された場合、二次流路内の流体は、インペラゾーンを通って引き出され、軸方向回転子ギャップ、半径方向回転子ギャップ、及び回転子アセンブリの複数の貫通孔を通過し、フレームの遠位端から出る。
【0013】
本開示の別の態様によれば、ヒト心臓のための心室補助装置は、近位端、遠位端、内面、及び少なくとも1つの近位スロットを有するフレームを備える。装置は更に、フレームの近位端に結合され、血管の一部分と係合するように適合されたアンカー、フレーム内に配設された固定子アセンブリ、及び固定子アセンブリとフレームとの間に配設された回転子アセンブリを含み、回転子アセンブリがインペラシェル及び複数の貫通孔を含む。装置はまた、フレームの近位端に配設された少なくとも1つの近位スロット、インペラシェルとフレームの内面との間に配設されたインペラゾーン、及びフレームの遠位端に配設された環状出口によって画定された一次流路を含む。そのように構成された場合、一次流路内の流体は、少なくとも1つの近位スロットを通ってインペラゾーンに引き込まれ、フレームの遠位端の近くに配設された環状出口から排出される。装置は、更に、回転子アセンブリの複数の貫通孔によって画定される二次流路、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に配設された環状回転子ギャップ、及びフレームの近位端の軸方向ギャップを含む。そのように構成された場合、二次流路内の流体は、複数の貫通孔、環状回転子ギャップ、及び軸方向ギャップを通って引かれ、環状出口から排出される。
【0014】
前述の態様のいずれかが、所望されるように、本明細書に開示される他の態様に照らして組み合わされてもよく、又は修正されてもよいことが認識されよう。加えて、前述の装置又は方法のいずれか1つは、以下の特徴のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0015】
一態様によれば、アンカーは、ベースからブレースまで延びる少なくとも1つのストラットを更に備え得、少なくとも1つのストラットは、ブレースをベースに結合している。更に、ブレースは、複数の遠位ジョイント及び複数のクロスビームを含む環状ブレースを更に備え得、複数のクロスビームは、複数の遠位ジョイントを複数の近位ジョイントに接
続している。血管内でアンカーを更に支持するために、環状ブレースは、複数の近位ジョイントに沿って中央に配置された複数のプロングを更に備え得、各プロングは、圧力を分散させ、血管への過度のストレス集中を防止するためのプロング先端を有する。ブレースは、拡張構成でおおよそ30mmの最大外径まで拡張可能な外径を有する環状ブレースを更に備え得、拡張構成において、外径が血管によって環状ブレースに加えられる反力に少なくとも部分的に起因して最大外径よりも小さくなるように、環状ブレースが内向きに偏向する。別の実施例では、アンカーは、ニチノールなどの形状設定可能なNi-Ti超弾性合金を含み得る。別の例では、装置は、フレームの近位端から延びるリードを更に備え得、リードは、コントローラに結合されるように適合される。
【0016】
別の態様によれば、フレームは、近位端に配設された複数の外部スロット、及び複数の出口スロットに隣接して配設された複数のディフューザゾーンを更に備え得、出る流体が、複数の出口スロット間及び複数のディフューザゾーンに沿って流れるようになっている。フレームは、近位端に配設された複数の出口スロット、及び複数の出口スロットに隣接して配設された複数のディフューザゾーンを更に備え得、出る流体が、複数の出口スロット間及び複数のディフューザゾーンに沿って流れるようになっている。更に、フレームは、近位端に配設されたフィードスルー穴と、近位端の近くに配設された固定子穴とを更に備え得、固定子穴は、フィードスルー穴の直径よりも大きく、固定子穴は、固定子アセンブリの一部分を受容するためのものである。更に、複数の突起の各突起がアンカーのベースと接合するための近位スロットを含む。更に、フレームは、シュラウドまで延びる近位外面及び近位肩部を更に含み得、シュラウドは細長い壁及びシュラウド外面を含み得、フレームの近位外面は、シュラウド外面の直径未満の直径を有し得、アンカーのベースの直径とほぼ同じである。別の例では、フレームの遠位端は、複数の遠位開窓を有し得る。
【0017】
別の態様によれば、装置は、フレームの遠位端に配設されたガードを更に備え得、フレームは、ガード接合部を更に備え得、ガードがフレームのガード接合部に結合するようにしている。また、ガードは、遠位リップ、拡張ゾーン、シーム、及び外面のうちの1つ以上を含んでもよく、外面は、シュラウド外側面の外径とほぼ同じ外径を有してもよく、遠位リップ、拡張ゾーン、及びシュラウド内面は、一次静止内部流れ面を画定する。更に、フレームの遠位端又は近位端の一方の選択された位置が、大動脈弁に近接し、冠動脈から下流にある大動脈根の近くにあるか、又はヒト心臓の小曲線及び大曲線の前に上行大動脈の大動脈弓の上流にあるかのうちの1つ以上であってもよい。固定子アセンブリ内に配設されたモータ固定子アセンブリ、及びモータ固定子アセンブリは、フレームの近位端から延びるリードによってコントローラに結合されてもよい。
【0018】
更に別の態様によれば、固定子アセンブリは、近位端の近くに配設された複数の固定子ベアリング磁石を含んでもよく、回転子アセンブリは、近位端の近くに配設された複数の回転子ベアリング磁石を更に備え得、複数の固定子ベアリング磁石及び複数の回転子ベアリング磁石は、回転子アセンブリの近位端の近くに配置された半径方向磁気ベアリングをともに備えるようにする。
【0019】
更に、複数の固定子ベアリング磁石が軸方向に磁化され、反対の極性で積み重ねられてもよく、複数の回転子ベアリング磁石が軸方向に磁化され、反対の極性で積み重ねられてもよい。そのように構成された場合、固定子ベアリング磁石及び回転子ベアリング磁石は、相互作用して、半径方向磁場を作成して、固定子アセンブリに対して実質的に同軸位置で回転子アセンブリの近位端を支持し得る。
【0020】
更に別の態様によれば、固定子アセンブリが複数の固定子ベアリング磁石を含んでもよく、回転子アセンブリが複数の回転子ベアリング磁石を含んでもよく、少なくとも1つの固定子ベアリング磁石及び少なくとも1つの回転子ベアリング磁石が互いに反対の磁気を
有し、半径方向ベアリング支持体を提供する。更に、固定子アセンブリは複数の固定子ベアリング磁石を含んでもよく、回転子ベアリングアセンブリは複数の回転子ベアリング磁石を含んでもよく、複数の回転子ベアリング磁石の軸方向位置が、複数の固定子ベアリング磁石の軸方向位置に対して近位端に向かってオフセットされてもよく、回転子アセンブリを近位端に向かって付勢し、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間の接触がスラストベアリング面に沿って維持される。更に、装置は、フレームの遠位端に配設されたスラストベアリングを備え得、スラストベアリングは、回転子アセンブリの凹状スラストベアリング面に適合する固定子アセンブリの凸状スラストベアリング面を備え得る。凸状スラストベアリング面は半球形を含み得、凹状スラストベアリング面はカップ形状を含み得、スラストベアリング面接合部は、凸状スラストベアリング面と凹状スラストベアリング面との間に配設されるようにしている。更に、回転子アセンブリの凹状スラストベアリング面及び固定子アセンブリの凸状スラストベアリング面の各々を画定する基板材料が、ジルコニアセラミックであってもよい。更に、フレームの遠位端は、大動脈弁に近接し、冠動脈から下流にある大動脈根の近くに配設されるように適合され得る。ここで、二次流路を通る流体流量は、一次流路を通る流体流量未満である。
【0021】
別の態様によれば、流体力は、回転子アセンブリが回転する間、回転子アセンブリの半径方向支持を維持し得る。更に、環状回転子ギャップは、流体力学的ベアリングであってもよい。
【0022】
更に別の態様によれば、二次流路は、フレームの遠位端に配設されたコレクタゾーン、フレームの遠位端で固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に配設された収束ゾーン、及びスラストベアリング面接合部に隣接するベアリングバイパスゾーンのうちの1つ以上によって更に画定され得る。そのように構成された場合、二次流路内の流体は、コレクタゾーン、収束ゾーン、及びベアリングバイパスゾーンのうちの1つ以上を通って引き出されてもよく、遠位端のフレームの環状出口で再び排出されてもよい。
【0023】
また別の態様によれば、固定子アセンブリのモータ固定子アセンブリは、回転子アセンブリが回転子アセンブリを回転させるために、複数のモータ磁石と相互作用し得る。加えて、アンカーの軸方向の長さは、フレームの軸方向の長さにほぼ等しく、回転子アセンブリの一部分は、フレームの遠位端から外向きに延在し得る。更に、フレームの近位端は、大動脈弁に近接し、冠動脈から下流にある大動脈根の近くに配設されるように適合され得る。更に、回転子アセンブリは、凹状スラストベアリング面を更に含んでもよく、固定子アセンブリは、凹状スラストベアリング面に隣接して配設された凸状スラストベアリング面を更に含んでもよい。回転子アセンブリの凹状スラストベアリング面及び固定子アセンブリの凸状スラストベアリング面の各々は、セラミック基板を含んでもよい。更に、回転子アセンブリは、固定子アセンブリのモータ固定子アセンブリに対してオフセットされた複数のモータ磁石を更に含んでもよい。モータ固定子アセンブリは、回転子アセンブリの複数のモータ磁石と相互作用する磁化しやすい材料を含み得、装置が動作していないときに、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間の接触を維持するために軸方向の磁力を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に記載される実施形態、及びその付随する利点及び特徴のより完全な理解は、添付の図面と併せて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。説明上の目的のため、「遠位」の端部は、本明細書で別段の定めがない限り、電気リードの突出とは反対側の端部を指し、「近位」の端部は、図に示される例示的な実施形態に対応する装置から電気リードが延在する端部を指す。
【0025】
図1】本発明の例示的な実施形態による上行大動脈内の近似相対位置に示される、本開示の心室補助装置を有するヒト心臓の断面後方図である。
図2A】例示的な実施形態による、図1の装置の遠位端の斜視図である。図2Aは、つぶれ構成の装置のアンカーを示す。
図2B】例示的な実施形態による、図1の装置の遠位端の斜視図である。図2Bは、拡張構成のアンカーを示す。
図3A】例示的な実施形態による、装置の近位端の斜視図である。図3Aは、つぶれ構成のアンカーを示す。
図3B】例示的な実施形態による、装置の近位端の斜視図である。図3Bは、拡張構成のアンカーを示す。
図4A図1の例示的な実施形態による装置の側面図である。図4Aは、つぶれ構成のアンカーを示す。
図4B図1の例示的な実施形態による装置の側面図である。図4Bは、拡張構成のアンカーを示す。
図5A図1の例示的な実施形態による装置の近位軸方向図である。図5Aは、つぶれ構成のアンカーを示す。
図5B図1の例示的な実施形態による装置の近位軸方向図である。図5Bは、拡張構成のアンカーを示す。
図6A】例示的な実施形態による、管状構造からのレーザーカットとしてのアンカーの図である。図6Aは側面図である。
図6B】例示的な実施形態による、管状構造からのレーザーカットとしてのアンカーの図である。図6Bは近位斜視図である。
図7A】例示的な実施形態による、拡張構成で終了したアンカーの図である。図7Aは側面図である。
図7B】例示的な実施形態による、拡張構成で終了したアンカーの図である。図7Bは近位斜視図である。
図8A】例示的な実施形態による装置のフレームの図である。図8Aは遠位斜視図である。
図8B】例示的な実施形態による装置のフレームの図である。図8Bは近位斜視図である。
図8C】例示的な実施形態による装置のフレームの図である。図8Cは近位軸方向図である。
図8D】例示的な実施形態による装置のフレームの図である。図8D図8Cの線8Dに沿って図示されたフレームの断面図である。
図9A】本発明の例示的な実施形態によるフィードスルーアセンブリの図である。図9Aは遠位斜視図である。
図9B】本発明の例示的な実施形態によるフィードスルーアセンブリの図である。図9Bは近位斜視図である。
図9C】本発明の例示的な実施形態によるフィードスルーアセンブリの図である。図9Cは遠位軸方向図である。
図9D】本発明の例示的な実施形態によるフィードスルーアセンブリの図である。図9Dは近位軸方向図である。
図9E】本発明の例示的な実施形態によるフィードスルーアセンブリの図である。図9E図9Cの線9Eに沿った断面図である。
図10A】例示的な実施形態による、装置のモータ固定子の図である。図10Aは側面図である。
図10B】例示的な実施形態による、装置のモータ固定子の図である。図10Bは、図10Aの線10Bに沿った軸方向断面図である。
図10C】例示的な実施形態による、装置のモータ固定子の図である。図10Cは、軸方向図である。
図10D】例示的な実施形態による、装置のモータ固定子の図である。図10Dは、図10Cに示される線10Dに沿った断面図である。
図11A図1の例示的な実施形態による装置の固定子ハウジングアセンブリの図である。図11Aは、遠位斜視図である。
図11B図1の例示的な実施形態による装置の固定子ハウジングアセンブリの図である。図11Bは、近位斜視図である。
図11C図1の例示的な実施形態による装置の固定子ハウジングアセンブリの図である。図11Cは、図11Bの固定子ハウジングアセンブリの長手方向軸に沿った中央平面断面図である。
図12A図1の例示的な実施形態による装置の回転子ハウジングアセンブリの図である。図12Aは、遠位斜視図である。
図12B図1の例示的な実施形態による装置の回転子ハウジングアセンブリの図である。図12Bは、近位斜視図である。
図12C図1の例示的な実施形態による装置の回転子ハウジングアセンブリの図である。図12Cは、図12Aの回転子ハウジングアセンブリの長手方向軸に沿った中央平面断面図である。
図13】例示的な実施形態による、図1の装置の拡大された中央平面断面図である。
図14】上行大動脈及び他の周囲の解剖学的構造内の近位相対位置に示される本開示の心室補助装置の代替の例示的な実施形態を有するヒト心臓の断面後方図である。
図15】代替の例示的な実施形態による、図14の装置の拡大中央平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
例示的な実施形態を説明する前に、実施形態は、主に、側方拘束を有する血管外カフに関連する器具構成要素の組み合わせに存在することに留意されたい。したがって、心室装置及び方法の構成要素は、必要に応じて図面における従来の記号によって表され、本開示の実施形態を理解することに関連する特定の詳細のみを示す。その結果、前述の説明の利点を有する当業者に容易に明らかになる詳細を含む必要はない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「第1」及び「第2」、「上」及び「下」などの関係用語は、あるエンティティ又は要素を別のエンティティ又は要素から区別するためにのみ使用することができ、そのようなエンティティ又は要素間の物理的又は論理的な関係又は順序を必ずしも要求又は暗示することはない。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、本明細書で記載される概念を限定することが意図されない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別様に明示的に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、及び/又は「含んでいる」という用語は、記載された特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことを更に理解されたい。
【0028】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはないことが更に理解されるであろう。
【0029】
本明細書に記載される実施形態では、「と通信する」、「と結合する」などの結合用語は、例えば、物理的接触、誘導、電磁放射、無線信号、赤外線信号又は光信号によって達成され得る電気通信又はデータ通信を示すために使用され得る。当業者は、複数の構成要
素が相互運用し得、電気通信及びデータ通信を達成するための変更及び変形が可能であることを理解するであろう。
【0030】
当業者は、本実施形態が、上記に特に示され、説明されているものに限定されないことを理解するであろう。加えて、上記に反して言及されていない限り、添付の図面の全てが縮尺通りではないことに留意されたい。上記の教示に照らして、様々な修正及び変形が可能である。
【0031】
ここで図1を参照すると、本開示の例示的な実施形態による心室補助装置10が図示されている。心室補助装置10は、ヒト心臓20の断面後方図との文脈での例示的な実施形態に従って図示される。参考のために、ヒト心臓20の解剖学的特徴は、左心室21、右心室22、大動脈弁23、冠動脈24、上行大動脈25、大動脈弓26、肺動脈27、腕頭動脈28、大動脈根29、小曲線30、及び大曲線31を含む。装置10は、遠位端40及び近位端45を備え、リード80は、近位端45から延びる。装置10は、上行大動脈(図1に示される)などの血管内に合うようにサイズ調整されている軸方向の細長い構造である。心室補助装置10は、アンカー50が固定されたフレーム60を含む。アンカー50は、動脈内の選択された位置で装置に接触し、支持するように適合され、また、遠位端40及び近位端45を含む。この例では、アンカー50の遠位端40は、大動脈弁23に比較的近接して大動脈根29の近くに配設されるが、冠動脈24の下流にも配設される。心室補助装置10は、以下で更に説明されるように、遠位端40の近くで受容され、近位端45の近くで排出される血液をポンピングすることによって血流を増強する。装置を通って流れる血液に加えて、血液はまた、フレーム60内のポンプ機構をバイパスするために、フレーム60の外側の周りの環状空間内を流れることができる。
【0032】
図1を更に参照すると、アンカー50は、つぶれ構成で拘束され、大曲線31内の切開部を通って配置され、上行大動脈25内に配置されている。次いで、アンカー50は、上行大動脈25に対して、装置10を示されたおおよその位置に保持するように拡張することができる。したがって、装置10は、小曲線30及び大曲線31に関連した湾曲の前に、上行大動脈25の相対的に直線的な管腔位置で大動脈弓26から上流に配置される。リード80は、装置10と同軸で示されているが、リード80は可撓性であり、大曲線31に沿って大動脈壁に対して垂直に出るように上行大動脈25内で曲げられる。
【0033】
更に、リード80は、以下で更に説明するように、心室補助装置10に電力を供給し、装置10の回転子アセンブリの動作速度を制御するコントローラ12まで延在するのに十分な長さ(全長は図示せず)である。より具体的には、コントローラ12は、電源12A及びタイミング制御モジュール12Bを含み、これらの両方は、回転子アセンブリに動作可能に結合され、コントローラは、脈動流を提供するために電源を動作させるようにプログラムされている。コントローラ12(及び/又は電源12A)から固定子アセンブリへの電力などの電力の印加に応答して、回転子アセンブリは、指定された流路に沿って装置10を通って血液を移動させるためにその軸を中心に回転する。コントローラ12は、患者の体の内側又は外側に位置してもよい。好ましくは、コントローラは、ECGリード、ECGセンサ、及び/又は圧力センサなどの代替感知手段13に結合されて、回転子回転速度を変調し、心臓リズムと同期して変調された脈動性出力を提供する目的のために心周期を監視してもよい。一例では、センサ13は、自然な心臓リズムを感知するように構成され、制御システム12のタイミング制御モジュール12Bに動作可能に結合される。一形態では、タイミング制御モジュール12Bは、ベースライン速度とより高い速度との間で回転子アセンブリの回転速度を制御するように構成されている。ベースライン速度は、ゼロ、又はゼロではない場合がある。ベースライン速度を非ゼロ速度として維持することには、省電力の利点があり得る。回転子アセンブリがベースライン速度又はそれに近い速度にあるとき、回転子アセンブリは、閉じた弁として効果的に機能し得る。一方、より高
速では、回転子アセンブリは、所望の速度で流路に沿って血液を移動させるように構成されている。
【0034】
ここで図2図5を参照すると、例示的な実施形態の心室補助装置10は、接合している血管を参照することなく図示されている。「A」で示される図2図5は、血管内への送達の例示であるように、フレーム60の外面に対して環状ブレース部分を有するつぶれ構成の装置10のアンカー50を図示する。「B」で示される図2図5は、環状ブレース部分がフレーム60から外側にオフセットされた完全に拡張された構成の装置10のアンカー50を図示する。管腔血管の内面と係合すると、アンカー50は、血管のサイズ及び機械的特性に応じて示される畳み込まれた構成と完全に拡張された構成との間のいくつかの中間状態を想定する。
【0035】
ここで図2A及び図2Bを参照すると、アンカー50は、フレーム60の近位端45に固定されたステント状構造であり、大動脈又は肺動脈などの管腔構造内の装置10を支持するように適合された環状ベース51、ストラット52及び環状ブレース部分53を含む。また、フレーム60、フレーム60の遠位端に取り付けられたガード74、及びフレーム60内に配設された回転子アセンブリ200が図示されている。フレーム60は、フレーム60の遠位端40の近くに配設された複数の開窓66を含み、回転子アセンブリ200は、複数の貫通孔204を含む。ガード74は、遠位端40に位置し、フレーム60に固定され、周囲の軟組織に対して当接し、回転するときに回転子アセンブリ200との接触を防止するための非外傷性遠位構造を提供する。
【0036】
回転子筐体アセンブリ200が高速で回転すると、血液は、環状入口300からフレーム60内に、及びフレーム60の複数の開窓66内に引き込まれる。更に、血液が主にフレーム60の近位端45で装置10を出る間、以下で更に説明するように、少量の血液が回転子アセンブリ200の複数の貫通孔204を通って出る。これは、固定子アセンブリと回転子筐体アセンブリ200との間の流体ギャップを通って洗浄を提供することであり、これらの図には図示されていないが、以下で更に説明される。ここで図3A及び図3Bを参照すると、装置10はまた、近位端45に配設され、血液が主に出る複数の出口スロット46を含む。装置10は、心臓によって実現される血流を増強するために、高圧でフレーム60によって画定されるように、出口スロット46から血液をポンプで送り出す。更に図示されるように、フレーム60はまた、近位端45に配設された複数の近位突起68と、複数のディフューザゾーン72とを含む。血液が複数の出口スロット46を出るとき、血液は、近位端45から更に下流に移動する前に、複数の近位突起68と複数のディフューザゾーン72との間を移動する。アンカー50の環状ベース51が流出経路内に直接存在することは、フレーム60とアンカー50との間の接合部の近く、及びアンカー50の環状ベース51を支持し、アンカー50をフレーム60に固定するように適合された近位突起68の側部に沿った血栓症のリスクを低減するのに役立つ。
【0037】
ここで図4A図4Bを参照すると、装置10は、図4Aではつぶれ構成のアンカー50とともに図示され、アンカー50は、図4Bでは拡張構成にある。より具体的には、装置10は、遠位端40及び近位端45を有するフレーム60を含み、アンカー50は、フレーム60の近位端45に取り付けられた環状ブレース51を有する。フレーム60はまた、以下で更に説明されるように、アンカー50の一部分に接触する外面60bを含む。環状ブレース53は、環状ブレース51に結合され、内面53a及び外面53bを含み、外面53bは、血管又は動脈内に配置するようにサイズ調整されている。リード80は、フレーム60の近位端45から延在し、電源(図示せず)に動作可能に結合される。アンカー50は、内面53aがフレーム60の外面60bに接触する図4Aのつぶれ構成と拡張構成との間で移動可能である。拡張構成は、アンカー50の内面53aがフレーム60の外面60bからオフセットされ、外面53bが血管(図示せず)の一部分と係合して血
管内にフレーム60を固定する構成である。
【0038】
ここで、図5A及び図5Bを参照すると、装置10の近位の軸方向の図が、図5Aのつぶれ構成におけるアンカー50、及び図5Bの拡張構成におけるアンカー50とともに図示されている。そこに図示されるように、フレーム60の複数の近位突起68は、フレーム60の円周の周りに延在し、各近位突起68は、別の近位突起68から等間隔に離間されている。この例では、6つの近位突起68があるが、複数の突起68内により多く又はより少ない近位突起68が存在し得、依然として本開示の範囲内にあることが理解されるであろう。同様に、複数のディフューザゾーン72も図示されており、複数のディフューザゾーンの各ディフューザゾーンは、複数の突起の各近位突起の間で、フレーム60の円周の周りに配設される。フレーム60の複数の近位突起68のように、複数のディフューザゾーン72は、この例では6つのディフューザゾーンを含むが、複数のディフューザゾーンのうちのより多く又はより少ないディフューザゾーン72が存在してもよく、依然として本開示の範囲内にある。
【0039】
更に図示されるように、複数の近位突起68は、アンカー50の環状ベース51と係合し、理想的には、アンカー50の各ストラット52は、複数の近位突起68に対して集中位置に配置される。対応して、この例では、血液が装置10から出る複数の出口スロット56のうちの6つの出口スロット46も存在する。理解されるように、より多く又はより少ない出口スロット46が存在し得、依然として本開示の範囲内にある。出る血液が、複数の出口スロット46と複数のディフューザゾーン72との間に流れる。また、以下で更に説明するように、動脈又は別の血管の管腔内でアンカー50の固定を容易にするために環状ブレース53と一体化された複数のプロング57が図示されている。プロング57は、軟組織と係合するときに保持のために外側に付勢される。
【0040】
ここで、図6A図6B及び図7A図7Bを参照すると、本発明によるアンカー50は、図6A図6Bの仕上げ構成を示すために更に処理される前に、管からのレーザーカットとして図示されている。図7A図7Bでは、拡張構成での仕上げ及び形状設定の後のアンカー50が図示されている。アンカー50は、好ましくは、ニチノールとして知られる形状設定可能なNi-Ti超弾性合金であり、おおよそ15mmの外径ODを有するニチノール管からのレーザーカットである。レーザーカット処理の後、アンカー50は、図7A図7Bに示される構成を達成するために仕上げ動作を受ける。これらの仕上げ動作は、例えば、制御された熱調整サイクルの下で、環状ベース51に面取り59を追加し、角及び縁を丸くするために電気研磨を行い、ニチノールをオーブン内でのアンカー50の熱処理によって示される拡張構成に形状設定することを含む。当然ながら、様々な他の知られている仕上げ動作が代替的及び/又は追加的に使用され得、依然として本開示の範囲内である。
【0041】
図6A図6B及び図7A図7Bに図示されるように、アンカー50は、近位端45に環状ベース51を備える。環状ベース51から延びているのは、少なくとも1つのストラット52であり、この例では、遠位端40における環状ベース51と環状ブレース部分53との間の可撓性結合として機能する複数のストラット52である。環状ブレース部分53は、アンカー50の組織ジョイント部分であり、連続したジグザグ構造を形成するために、複数の遠位ジョイント54、複数のクロスビーム56、及び複数の近位ジョイント55を備える。近位ジョイント55の発生に沿って中央に配置されているのは、血管の管腔内でアンカー50を更に支持し、インプラントの初期位置から離れる方向における装置10の移動に抵抗するのを助けるための複数のプロング57である。複数のプロング57の各プロングの遠位端40は、圧力を分散させ、係合している血管に過度の応力集中を引き起こさないようにするためのプロング先端58である。
【0042】
ストラット52、複数の遠位ジョイント54、複数の近位ジョイント55、複数のクロスビーム56、及び複数のプロング57の幾何学形状は、装置10を血管内に固定するのに十分な固さのために最適化されているが、任意の接触面の近くの血管に浸食又は他の損傷を引き起こし得る程度に過度に固くなってしなやかでなくならないようにする。この例では、アンカー50の環状ブレース部分53は、例えば、拡張構成で、約15mmの最小外径ODからおおよそ30mmの最大外径ODに拡張される。環状ブレース53が血管の管腔内に支持されると、環状ブレース53は、例えば、血管の内面によって環状ブレース53に印加される反力により、内側に偏向し、より小さい外径ODを示す。
【0043】
ここで図8A図8Dを参照すると、装置10のフレーム60及びガード74が示されている。フレーム60は、フィードスルー穴61に沿った内部ポンプ機構及び近位端45の近くの固定子穴62を支持する構造要素である。近位端45において、前述のように、フレーム60は、出口スロット69及びディフューザゾーン72によって分離された複数の近位突起68を含む。複数の近位突起68の各近位突起は、アンカー50(図示せず)と接合するための近位スロット67を含む。フレーム60は、シュラウド63への移行に沿って、近位外面70及び近位肩部71を有することを更に特徴とする。シュラウド63は、薄い壁厚であり、流路及びシュラウド外側面65の一部分を画定するシュラウド内面64を備える。前述のように、フレーム60の遠位端40は、複数の遠位開窓66を含み、これらはまた、図8A図8Dに示されている。近位外面70は、シュラウド外側面65の直径未満の直径を含み、これは、近位外面70に沿った洗浄を最も確実にする。更に、近位外面70は、アンカー50の環状ベース51の外径ODとほぼ同じ直径を有する。遠位端40において、フレーム60は、ガード74に取り付けるためのガード接合部73を含む。ガード74は、遠位リップ75、拡張ゾーン76、シーム77、及び外面78を含む。外面78は、シュラウド外側面65の外径とほぼ同じ外径ODを有する。更に、ガード74は、好ましくは、シーム77に沿ってフレーム60に溶接される。遠位リップ75、拡張ゾーン76、及びシュラウド内面64は、本発明によるポンプ機構の一次静止内流面をともに画定する。
【0044】
ここで、図9A図9Eを参照すると、例示的な実施形態による、心室補助装置10のフィードスルーアセンブリ85が示されている。フィードスルーアセンブリ85は、近位端45から外向きに突出するリード80を組み込む。リード80は、ジャケット81と、装置に電力を供給するための複数のワイヤ導体84をその中に組み込むためのマルチルーメン押出83とを備える可撓性ケーブルである。一例では、複数のワイヤ導体84は、3つのワイヤ導体を含むが、より多く又はより少ないワイヤ導体が含まれてもよく、依然として本開示の範囲内にある。遠位端40に向かって、ジャケット81は、フィードスルーカバー94内で係合及び保持するためのフランジ82を含む。フィードスルーアセンブリ85は、フィードスルーフランジ86及びフィードスルーカバー94の筐体要素を小容量内に含む。この空間内には、複数のワイヤ導体84の複数のフィードスルーピン89への終端がある。したがって、複数のフィードスルーピン89に対して、フィードスルーフランジ86の半径方向壁内に、120度離れた3つの半径方向位置に配置された複数の絶縁体88を通る絶縁電気経路が提供される。概して、複数の絶縁体88の各絶縁体は、複数の絶縁体の別の絶縁体から等間隔に配設される。3つのフィードスルーピン及び3つの絶縁体が、複数のフィードスルーピン89及び絶縁体88の一例に含まれるが、代替的に、より多く又はより少ないフィードスルーピン及び絶縁体が使用されてもよく、依然として本開示の範囲内にあることが理解される。
【0045】
更に、複数の絶縁体88は、フィードスルーフランジ86にろう付けされ、複数のフィードスルーピン89は、複数の絶縁体88内にろう付けされる。複数のフィードスルーピン89は、半径方向突起から軸方向突起にピンを遷移させるために曲がっている。更に、スペーサ90は、複数のフィードスルーピン89のこの軸方向配向を確保するのに役立ち
、また、フィードスルーフランジ86の座ぐり内でプリント回路基板91を支持するために遠位端40の近くに端面を提供する。
【0046】
図9Cに最もよく示されるように、プリント回路基板91は、複数のフィードスルーピン89からはんだパッドまでの導電路を画定する複数のPCBトレース92を含む。この構成は、例えば、モータ固定子から送られる磁石ワイヤをそこにはんだ付けするためのはんだパッドを提供する。
【0047】
ここで図9Eを参照すると、複数のワイヤ導体84は、好ましくは、銀で満たされたMP35N管で作られた撚りケーブルである。複数のワイヤ導体84の各ワイヤ導体84について、多数の銀充填管がともに撚り合わせられ、絶縁材料の層がその撚りワイヤに追加される。この技術は、インディアナ州フォートウェインのFort Wayne Metalsによって製造されたDFTワイヤとして知られている。DFTワイヤの複合構造は、強度及び耐疲労性を可能にすると同時に、リード80の長さを通して許容可能な導電性を示す。密閉式フィードスルーの当業者の標準的な慣行であるように、フィードスルーピン89の例は、好ましくは、80%の白金、20%のイリジウム、又は許容可能な耐食性及び生体適合性を有する何らかの代替合金である。複数のワイヤ導体84を複数のフィードスルーピン89に終端するために、プラチナイリジウム合金から作製された複数の圧着フェルール93は、複数のワイヤ導体84の遠位端に圧着される。したがって、複数の圧着フェルール93は、複数のフィードスルーピン89の各フィードスルーピンの一部分にレーザー溶接されて、それぞれの複数のワイヤ導体84と複数のフィードスルーピン89との間の溶接された電気接続を確実にすることができる。フィードスルーカバー94は、フィードスルーフランジ86に接合され、好ましくは、シーム99でレーザー溶接される。フィードスルーカバー94とフィードスルーフランジ86とがともに、空洞98を画定し、空洞98は、複数のワイヤループ97を円滑にするのに十分な空間を組み込む。フィードスルーカバー94をフィードスルーフランジ86に組み立てた後、空洞98は、所定の位置にワイヤループ97を固定するためにエポキシ充填され得る。これは、複数のワイヤ導体84を介して適用され得る任意の軸方向張力から終端を分離するのに十分なひずみ緩和を提供する。
【0048】
ここで図9Eを参照すると、ケーブルジャケット81のフランジ82がカラー部分96内に捕捉され、したがって、ジャケット81がフィードスルーアセンブリ85から移行するのを防ぐ。フィードスルーカバー94は、ジャケット81の更なる重複を実現し、フレーム60との溶接シームを画定するためのカラー部分96を更に含む。フィードスルーアセンブリ85は、追加の図面を参照して説明されるように、本発明による固定子筐体アセンブリと接合するための外面95を含む。フィードスルーアセンブリ85に関する主な目的は、密閉式フィードスルーを提供すること、ケーブル端子を構造的に隔離すること、及びリード80のジャケット81を可能な限り小さい容積内に固定することである。この例によれば、フィードスルーアセンブリ85は、おおよそ8mmの外径OD及びおおよそ7.6mmの軸方向の長さを有する。リード80は、好ましくは、3mm以下の外径ODによって特徴付けられる。
【0049】
ここで、図10A図10Dを参照すると、例示的な実施形態による装置10のモータ固定子アセンブリ101が図示されている。この好ましい実施形態では、モータ固定子アセンブリ101は、8mmの外径OD及び10mmの長さに対応する容積内に収まる。モータ固定子アセンブリ101は、6つの巻線及び3つの位相を有するブラシレスDC(BLDC)モータである。モータ固定子アセンブリ101は、積み重ねられ、互いに接合された複数のラミネーション103を含む。複数のラミネーション103は、好ましくは、集中位置で支持管102上に組み立てられる。端部スペーサ105は、磁石ワイヤの多数のターンを摩耗させないように、複数のラミネーション103の積み重ねの端面の周りに
複数の巻線106を巻くことを可能にするように各端部に設けられる。各ラミネーション103は、複数の巻線の各巻線106を包むための少なくとも1つのラミネーション歯104を備える。更に、各巻線106は、小径磁石ワイヤの多数の層及びターンを表す。例えば、複数の巻線106のうちの1つの巻線106は、30以上の磁石ワイヤのループを備えてもよい。複数の巻線106は、BLDCモータに対して一般的に実施されるような構成で終端されてもよい。支持管102は、各端部に穴107及び複数の側孔108を含む。これらは、支持管102の端部を妨害することなく、磁石ワイヤの端部が穴107に供給されることを可能にする。
【0050】
ここで、図11A図11Cを参照すると、例示的な実施形態による固定子アセンブリ100が示されている。固定子アセンブリ100は、好ましくは、TZP-Aなどのジルコニアセラミック材料から作製される固定子ハウジング110を含む。このようなセラミック材料は、高度に生体適合性であり、非血栓性であり、耐摩耗性である。更に、高度なセラミックスは硬度が高く、数マイクロメートル以内の高精度公差に加工することができる。更に、固定子ハウジング110は導電性ではなく、したがって、回転子筐体アセンブリ200が軸130を中心に回転すると、渦電流は固定子ハウジング110のスリーブ部分116に誘導されない。固定子ハウジング110は、遠位端40に凸状スラストベアリング面114を含み、これは、耐摩耗性スラストベアリングの一部を提供する。更に、固定子ハウジング110は、拡張面115、スリーブ外面117、及び近位端45にフランジ部分118を含む。図11Cに図示されるように、固定子ハウジング110は、スリーブ部分116がその長さの大部分にわたって画定された細長い中空構造である。スリーブ部分116の厚さはおおよそ0.2mmである。固定子ハウジング110は、内部構成要素の挿入及び収容のために一端が開放している固定子ハウジング穴111を含む。内部構成要素の組み立ての前に、リング119は、ろう付けジョイント120に沿って固定子ハウジング110にろう付けされる。リング119は、好ましくはチタンであり、フランジ部分118とリング119との間に配設されたろう付けジョイント120は、好ましくは金である。固定子ハウジング穴111を通る構成要素の組み立てのそれぞれの順序で、固定子ハウジング110は、モータ固定子アセンブリ101、複数の固定子ベアリング磁石121、及びフィードスルーアセンブリ85を受容する。モータ固定子アセンブリ101(図示せず)の複数の磁石ワイヤは、フィードスルーアセンブリ85の完全な挿入の前に、空洞122を通って送られ、フィードスルーアセンブリ85のPCBトレース92に終端される。最後に、フィードスルーアセンブリ85は、溶接シーム121でリング119に溶接される。
【0051】
上述の固定子アセンブリ100の構成は、凸状スラストベアリング面114及びスリーブ部分116の両方を含む細長い構成要素固定子ハウジング110が、耐久性のあるジルコニアセラミック材料から作製されることを可能にし、内部構成要素内で密閉アセンブリも実現する。そのような内部構成要素は、モータ固定子アセンブリ101と、外部の流体及びガスから密閉されている複数の固定子ベアリング磁石121とを含む。スリーブ116を備える同じ構成要素の一部として凸状スラストベアリング面114を一体化することによって、固定子アセンブリ100は、例えば、凸状スラストベアリング面114が別個の接合部品に実装された場合と比較して、縮小された全長で作製され得る。
【0052】
ここで、図12A図12Cを参照すると、例示的な実施形態による回転子アセンブリ200が示されている。回転子アセンブリ200は、近位端45で開口した中空の細長い構造を有する回転子ハウジング201を含む。回転子ハウジング201は、遠位端40で外部にノーズ部分206を含む。内部的に、回転子ハウジング201は、スリーブ部分202の長さの大部分にわたる特徴であるスリーブ部分202に遷移する内部拡張ゾーン205を含む。回転子ハウジング201はまた、近位端45に近位フランジ208を含む。回転子ハウジング201は、好ましくは、固定子ハウジング110について上述した材料
と同様のジルコニアセラミックでできており、スリーブ部分202の厚さはおおよそ0.2mmである。したがって、耐摩耗性ベアリング材料に実装する必要がある凹状スラストベアリング面214は、スリーブ部分202を組み込んだ同じ構成要素と一体化される。凹状スラストベアリング面214を、別個の接合部品ではなく、回転子ハウジング201の特徴として実装することは、心室補助装置10の全長を最小限に保つことを可能にする。遠位端40の回転子ハウジング201の外面は、ノーズ部分206及び円錐面207を含む。図12A図12Bに図示され、上述したように、回転子ハウジング201はまた、血流が回転子ハウジング201の遠位端40を通ることを可能にするための複数の貫通孔204を含む。この例では、複数の貫通孔204は、4つの貫通孔を含むが、より多く又はより少ない貫通孔が代替的に使用されてもよく、以前として本開示の範囲内にある。複数の貫通孔204の各貫通孔は、凹状スラストベアリング面214の外側に軸方向にオフセットされ、回転子アセンブリ200の回転軸210(軸210に対して平行ではない)に対して傾斜している。
【0053】
回転子アセンブリ200のサブアセンブリの一部として、遠位ろう付けリング230は、遠位端40で、遠位ろう付けジョイント232に沿って回転子ハウジング201にろう付けされている。近位ろう付けリング235は、近位ろう付けジョイント237に沿って回転子ハウジング201にろう付けされている。好ましくは、遠位ろう付けリング230及び近位ろう付けリング235は、チタン又はチタン合金から作製され、回転子ハウジング201と結合するために使用されるろう付け物は、金である。遠位ろう付けリング230は、回転子ハウジング201の円錐面207と実質的に一致する外側面を含む。インペラシェル220の取り付け及び接合の前に、いくつかの構成要素が、近位ろう付けリング235に当接する遠位端40から回転子ハウジング201のスリーブ外径OD211上に挿入される。そのような構成要素は、回転子ベアリングシム240、4つの回転子ベアリング磁石などの複数の回転子ベアリング磁石241、回転子モータシム242、回転子モータスペーサ243、及び回転子モータバックアイロン245内に組み立てられた複数の回転子モータ磁石244のうちの1つ以上を含んでもよい。図13に図示されるように、回転子ベアリングシム240、回転子モータシム242、及び回転子モータスペーサ243は、モータ固定子及び内部ベアリング磁石に関する固定子構成要素に関して複数の回転子ベアリング磁石241及び複数の回転子モータ磁石244のインスタンスの最適なアライメントを確実にするために、軸方向の長さでサイズ調整されている。複数の回転子ベアリング磁石241及び複数の回転子モータ磁石244は、好ましくは、好適なエポキシを使用して回転子ハウジング201のスリーブ外径OD211に結合される。
【0054】
回転子アセンブリ200は、上記の構成要素の外側カバーを提供するインペラシェル220を更に含む。インペラシェル220は、好ましくはチタン合金で作製され、近位インペラシェル接合部239に沿って回転子ハウジング201の遠位端40上に、及びスリーブ外径OD211に沿って回転子ハウジング201の遠位端40上に適合する。インペラシェル220は、遠位端40の近くに配設されたインペラハブ外面223と、近位端45の近くの複数のブレード先端表面224とを含む。インペラシェル220は、遠位端40の近くの遠位溶接シーム234に沿って遠位ろう付けリング230に溶接され、近位溶接ジョイント238の近似位置で遠位インペラシェル接合部233に溶接される。したがって、完成したサブアセンブリは、複数の回転子ベアリング磁石241、複数の回転子モータ磁石244、及び回転子モータバックアイロン245のうちの1つ以上の酸化及び劣化を引き起こし得る任意の外部流体及びガスに対して密閉(気密封止)される。
【0055】
更に、インペラシェル220は、遠位インペラシェル接合部233からの半径方向外向きの突起であり、ほぼ螺旋形であり、回転軸210に対して角度が付けられている、少なくとも1つのインペラブレード222を含む。この例では、半径方向外向きの突起は、3つのインペラブレードなどの複数のインペラブレード222を含む。しかしながら、より
多く又はより少ないインペラブレードが代替的に使用されてもよく、依然として本開示の範囲内にあることが理解されるであろう。この例は、実質的に一定のピッチを有する少なくとも1つのインペラブレード222を示すが、最適化されたブレードプロファイルは、代替的に可変ピッチを含み得る。各インペラブレード222は、厳しい寸法制御を有する直径を有するブレード先端表面224を含む。
【0056】
ここで図13を参照すると、例示的な実施形態による心室補助装置10の中央平面拡大断面図が示されている。特に、図13は、フレーム60、ガード74、固定子アセンブリ100、及び回転子アセンブリ200を含む主な流れ部品間の相互作用を図示する。回転子アセンブリ200が典型的に1,000~10,000RPMの範囲の速度で回転するとき、インペラブレード222は、遠位端40から近位端45まで、及びインペラゾーン302を通って血液を引っ張る。血液などの流体は、遠位端40で環状入口300に入り、コレクタゾーン301を通って移動する。血液はまた、血液がインペラゾーン302内に引き込まれると、複数の半径方向開窓42を介してフレーム60に入る。血液が複数のインペラブレード222を通過すると、血液の大部分は出口46を通ってフレーム60を出る。血液は、少なくとも1つのディフューザゾーンと、一例では近位端に配設された複数のディフューザゾーン72とを通って導かれるように更に下流に移動する。したがって、図13に図示されるように、心室補助装置10の一次流路320は、環状入口300、コレクタゾーン301、インペラゾーン302、フレーム60内の複数の半径方向開窓42、少なくとも1つのディフューザゾーン72、及び環状出口46によって画定される。
【0057】
インペラゾーン302を通って向かう血液の一部は、フレーム60と回転子アセンブリ200との間に配設された軸方向回転子ギャップ303を通って更に導かれ、次いで、固定子アセンブリ100と回転子アセンブリ200との間に配設された半径方向回転子ギャップ304を通って導かれる。この環状空間を通って摂取される血液は、近位端45から半径方向回転子ギャップ304を介して遠位端40に逆行的に導かれ、その後、収束ゾーン305を通ってベアリングバイパスゾーン306に、そして回転子アセンブリの複数の貫通孔204を通って導かれる。したがって、図13に図示されるように、心室補助装置10の二次流路340は、環状入口300、コレクタゾーン301、インペラゾーン302、軸方向回転子ギャップ303、半径方向回転子ギャップ304、収束ゾーン305、ベアリングバイパスゾーン306、及び複数の貫通孔204によって画定される。そのように構成された場合、血液などの流体は、遠位端40に配設された環状入口300を通って引き出され、また、同様に遠位端40に配設された回転子アセンブリ200の複数の貫通孔204を通って出る。別の方法では、二次流路340では、血液は、遠位端40の環状入口を通って引き出され、最終的には、遠位端40の近くに配設された複数の貫通孔204を通って出る。これは、遠位端40に配設された環状入口300を通って血液などの流体が引き出され、近位端45に配設された環状出口440を通って出る、装置10の一次流路320とは対照的である。
【0058】
二次流路340を通るこの逆行性血流は、血栓を防止するために、固定子アセンブリ100と回転子筐体200との間に配設された環状ギャップを洗い流すのに役立つ。加えて、二次血液流路340はまた、装置10が作動している間に通電されるときに、モータ固定子101によって生成される熱から固定子アセンブリ100を冷却するのに役立つ。血液は、スラストベアリング接合部310に近位のベアリングバイパスゾーン306のこの二次流路340内に蓄積し、図12A図12Bに図示される複数の貫通孔204を通って出る。回転子アセンブリ200を通過して遠位端40で出るスラストベアリング接合部310付近の血流はまた、静止固定子アセンブリ100に対する回転子アセンブリ200の相対回転によって生成される熱からスラストベアリング接合部310付近の表面を冷却するのにも役立つ。説明されるように、二次流路340を通る血流量は、一次流路320のインペラゾーン302を通る全体的な血流量のわずかな割合である。
【0059】
動作中、モータ固定子アセンブリ101は、近位端45から延びるリード80を介して接続されたコントローラ12(図1)によって電気的に制御され、整流される。モータ固定子アセンブリ101と回転子アセンブリ200の回転子モータ磁石244との間の小さなギャップは、脈動モードで繰り返される加速及び減速の周期的な様式で速度又は変調速度を維持することを含む効率的なモータ動作を可能にする。
【0060】
モータ固定子アセンブリ101及び複数の回転子モータ磁石244を含むモータは、遠位端40に向かうスラストベアリング接合部310と、ともに回転子アセンブリ200の近位端45の近くに配置された半径方向磁気ベアリングを備える複数の固定子ベアリング磁石121及び回転子ベアリング磁石241との間に配置される。引き続き図13を参照すると、固定子ベアリング磁石241及び複数の回転子ベアリング磁石241の磁化を示す矢印が示されており、これらは方向的に交互である。更に、複数の固定子ベアリング磁石121がともに積み重ねられて、交互磁場が形成される。複数の固定子ベアリング磁石121の交互磁場は、同様の交互極性の配置で積み重ねられた複数の回転子ベアリング磁石241によって形成された交互磁場と相互作用する。結果として、高密度及び力のこれらの2つの交互磁場は、固定子アセンブリ100に対して実質的に同軸関係で回転子アセンブリ200の近位端45を支持する。更に、回転子アセンブリ200の近位端45では、複数の回転子ベアリング磁石241と反対の磁気を有する複数の固定子ベアリング磁石121は、半径方向ベアリング支持体を提供する。磁気ベアリングの半径方向の固さは、接触ベアリングとほぼ同じ程度ではないが、非接触ベアリングを使用する必要なく十分な支持を提供する。
【0061】
少なくとも図13から、複数の回転子ベアリング磁石241の軸方向位置は、近位端45の方向において、複数の固定子ベアリング磁石121に対してわずかにオフセットされていることを更に理解することができる。磁気半径方向ベアリング部品のこの軸方向オフセットは、回転子アセンブリ200を近位端45に向かって付勢するのに役立つ軸方向力を生成する。更に、この軸方向オフセット構成は、回転子アセンブリ200のポンプ動作によって生じる信頼力を含む様々な動作条件下で、回転子アセンブリ200と固定子アセンブリ100との間の接触がスラストベアリング接合部310に沿って維持されることを確実にするように最適化される。最適化された設計の目的は、スラストベアリング接合部310に沿って過度の摩擦、加熱、及び摩耗を引き起こし得る過度な接触力ではなく、スラストベアリング接合部310での十分な軸方向付勢力を確保することである。スラストベアリング接合部310は、回転子アセンブリ200が回転するときの遠位端40における回転子アセンブリ200の軸方向及び半径方向の移動を制限する回転子アセンブリ200への軸方向及び半径方向のベアリング支持体の両方を遠位端40において提供することが更に理解される。
【0062】
初期始動又は加速又は減速の間、回転子アセンブリ200は、遠位端40の近くの固定子アセンブリ100に対して軸を外れてぐらつく場合がある。この例示的な実施形態の利点は、回転子アセンブリ200の内面が近位端45の近くで固定子アセンブリ100の外面に接触する間欠的な接触の可能性が、少なくとも、両方の表面が好ましくはジルコニアセラミックであるため、ほとんど影響がないということである。結果として、これらの2つの表面、例えば、回転子アセンブリ200の内面と固定子アセンブリ100の外面との間のわずかな断続的な接触は、接触面(又は他の構成要素)がチタン合金又は他の金属で作製されている場合のように、表面を損傷すること及び/又は粗さの増加を引き起こすことはほとんどない。
【0063】
図13に更に図示されるように、ブレード先端表面224は、回転子アセンブリ200の複数のインペラブレード222の端部にあり、ブレード先端表面224とフレーム60
のシュラウド内面64との間にギャップがある。このギャップは、フレーム60が静止したまま回転子アセンブリ200が回転するときに、過度の血液せん断を回避するのに十分なほど大きい。静止面の近くで回転するインペラブレード222によって関連付けられる血液せん断は、溶血を示す。したがって、目的は、ブレード先端表面224とシュラウド内面64との間のギャップを最大化することであるが、ポンプ機構の効率が実質的に低下する程度ではない。また、フレーム60のシュラウド63及びガード74が、回転子アセンブリ200(高速で回転する)が周囲の解剖学的構造を含む任意の隣接する構造と接触することを防ぐことがわかる。
【0064】
引き続き図13を参照すると、全体的な心室補助装置10の好ましい組み立て順序は、以下のように理解される。第一に、固定子アセンブリ100がフレーム60に挿入され、それらは、溶接シーム250に沿ってともにレーザー溶接される。第二に、回転子アセンブリ200は、遠位端40から固定子アセンブリ100上に挿入される。回転子アセンブリ200は、複数の固定子ベアリング磁石121と回転子ベアリング磁石241との間の磁気相互作用を克服して適切な位置にスナップするのに十分な力で誘導されなければならない。第三に、ガード74は、フレーム60に取り付けられ、それらは、シーム77に沿ってレーザー溶接によって接合される。第四に、アンカー50は、近位端45からフレーム60上に挿入され、アンカー50の環状ベース51は、フレーム60の一部として組み込まれた近位スロット67のインスタンスにスナップされる(上述の通り)。複数の近位突起68が複数のディフューザゾーン72によって中断されるため、アンカー50の環状ベース51は、環状ベース51が複数の近位突起68にわたってスナップして複数の出口スロット67内に保持されるように強制されるので、非円形形状を一時的に想定する自由を有する。環状ベース51が複数の近位スロット67内に適切に配置されると、環状ベース51は、実質的に円形形状を想定する。したがって、アンカー50は、安全で、最小の故障可能性を有する方法でフレーム60に容易に固定され得る。これは、少なくとも、ニチノール(アンカー50の好ましい材料)がチタン合金(フレーム60の好ましい材料)にレーザー溶接することができないため、接合が異なる材料をつなげようとする接着又はろう接ではなく、スナップフィットであるという事実に起因する。
【0065】
本発明の代替的な実施形態は、近位端45の近くの回転子アセンブリ200の半径方向ベアリング支持体のためのより多い又はより少ない磁石を組み込み得る。更に、心室補助装置10はまた、図14及び図15に図示され、以下に更に説明されるように、固定子ベアリング磁石121又は回転子ベアリング磁石241のいずれもなくても機能し得る。この例では、次いで、以下で更に説明されるように、回転子アセンブリ200は、半径方向回転子ギャップ304を通る流体力によって大動脈弓26で支持される。したがって、半径方向ベアリング手段は、磁気ではなく流体力学的であり得る。更に、半径方向ベアリング支持体はまた、「ハイブリッド」方式で実質的に連動して動作する流体及び磁力の組み合わせによって提供され得、依然として本開示の範囲内にある。加えて、回転子アセンブリ200に軸方向付勢力を提供する提案のために、代替の実施形態は、モータ固定子アセンブリ101に対する回転子モータ磁石244の軸方向オフセットを含み得る。この構成では、モータ固定子アセンブリ101と回転子モータ磁石244との相互作用は、軸方向付勢力をもたらす。代替的に、専用磁石は、軸方向付勢力を提供するために、固定子アセンブリ100及び回転子アセンブリ200の様々な位置に組み込まれ得る。
【0066】
引き続き図13を参照すると、固定子アセンブリ100と遠位端40に近い回転子アセンブリ200との間のスラストベアリング接合部310での代替ベアリング設計の実装は、本発明の範囲から逸脱しない。スラストベアリングの半球形のボール及びカップの幾何学形状ではなく、回転するときに回転子アセンブリ200を軸方向に支持するのに依然として役立つ代替のスラストベアリング設計が代替的に使用され得る。機械的接触に関連するスラストベアリング接合部310の代替として、軸方向スラストベアリングはまた、流
体力に依存して、固定子アセンブリ100と回転子アセンブリ200との間の機械的接触を回避しながら、軸方向支持を確実にすることができる。
【0067】
ここで図14及び図15を参照すると、本開示の代替の例示的な実施形態による別の心室補助装置400が示されている。心室補助装置400は、上述の心室補助装置10と比較して、縮小された血液ポンプの長さ、例えば、回転子アセンブリ200の長さ、及び逆転された血液ポンプの向きを含む。心室補助装置400構成は、リード80が大動脈弁を通過し、ヒト心臓の後部切片化された図との文脈で示される「弁口逆流」の実施形態である。参考のために、また装置4000に対しても参照されるように、心臓20の解剖学的特徴は、この場合も、左心室21、右心室22、大動脈弁23、冠動脈24、上行大動脈25、大動脈弓26、肺動脈27、上腕頭動脈28、大動脈根29、小曲線30、及び大曲線31として指定される。更に、図1図13の心室補助装置10の要素と同じである図14及び図15の心室補助装置400の要素は、同じ参照番号を含み、したがって、代替の心室補助装置400に対してここでも全体として詳細に説明されない。
【0068】
ここで図14を参照すると、装置400は、遠位端40及び近位端45を含み、リード80は、近位端45から大動脈弁を通って延在する。好ましくは、この例では、リード80は左心室21を通過し、心臓の左心室心尖部32の近くの心筋壁を通過する。心室補助装置10と同様に、装置400の主要な構造構成要素は、上述したように、それに固定されたアンカー50を有するフレーム60を含む。フレーム60は、動脈内の位置に装置に接触して支持するように適合されている。フレーム60の近位端40は、大動脈弁23に比較的近接して大動脈根29の近くにある。図1図13の装置10と比較して逆方向では、図14の装置400は、装置400の一次流路において、近位端45の近くで血液を受け入れ、遠位端40の近くで血液を排出することによって血流を増大させる。装置400を通って流れる血液に加えて、血液はまた、フレーム60内のポンプ機構をバイパスするために、フレーム60の外側の周りの環状空間に流れてもよい。
【0069】
図14を更に参照すると、装置400のアンカー50は、外科的処置中につぶれ構成で拘束され、次いで最適な位置に展開される。この実施形態では、装置400は、左心室21及び大動脈弁23を通る送達カテーテル(図示せず)を介して展開されてもよい。送達カテーテル(図示せず)が取り外されると、リード80は、左心室心尖部32の近くの切開部位で心筋壁を通って送られるままである。代替的に、装置400は、大曲線31に沿って切開側を通って送達されてもよく、リード80のみが、左心室心尖部32の近くの第2の切開部を通って導かれてもよい。次いで、アンカー50は、上行大動脈25に対して、装置400を示されたおおよその位置に保持するように拡張することができる。したがって、装置400は、小曲線30及び大曲線31に関連した湾曲の前に、上行大動脈25の相対的に直線的な管腔位置で大動脈弓26から上流に配置される。リード80は可撓性であり、大動脈弁23及び左心室21を通る湾曲した経路をたどる。リード80は、装置400に電力を供給し、回転子アセンブリ200の動作速度を制御するコントローラ12(例えば、図1を参照)まで延びるのに十分な長さ(全長は図示せず)である。コントローラ12は、患者の体内又は体外に位置してもよい。
【0070】
理解されるように、図14図15の代替装置400は、図1図13の装置10と比較して、軸方向の長さが縮小されており、上行大動脈25内によりよく収容され得る。代替装置400では、アンカー50の軸方向の長さは、フレーム60の軸方向の長さとほぼ等価であり、回転子アセンブリ200の一部分は、遠位端40から装置400の下流方向、例えば、血液ポンプに向かって延在する。一例では、図14図15の装置400のアンカー50及びフレーム60の近似の軸方向の長さは、図1図13の装置10のアンカー50及びフレーム60の近似の軸方向の長さがおおよそ28mmであるのと比較して、おおよそ16mmである。これは、この例では、より大きな直径の構造要素の軸方向の長
さの約43%の減少に相当する。理解されるように、代替的に、装置400のアンカー50及びフレーム60の近似の軸方向の長さは、装置10の16mmを超えてもよく、更に28mm未満でもよく、依然として本開示の範囲内にあり、特に、装置400の本発明の特徴の範囲内にある。
【0071】
ここで図15を参照すると、本開示の代替の実施形態による装置400の中央平面拡大断面図が示されている。特に、フレーム60、固定子アセンブリ100、及び回転子アセンブリ200を含む、装置400の主な流れ部品が図示されている。図1図13の装置10とは対照的に、装置400の血液は、近位端45に配設される近位スロット47のインスタンスを通してインペラゾーン302に引き込まれ、遠位端40の環状出口308から排出される。血液が近位スロット67を通って摂取されると、血液はインペラゾーン302を通って流れ、環状出口308を出る。したがって、装置400の一次流路420は、フレーム60の近位端65に配設された少なくとも1つの近位スロット67、インペラゾーン302、及びフレーム60の遠位端40に配設された環状出口308によって画定される。
【0072】
遠位端40の近くのいくつかの血液は、回転子アセンブリ200に孔204(図示せず)を通って摂取され、コレクタゾーン309に入る。コレクタゾーン309を通って導かれる血液は、固定子ハウジング110と回転子ハウジング201との間の環状回転子ギャップ304を通って更に導かれる。次いで、血液は、回転子アセンブリ200の近位端45の軸方向ギャップ303を通って流れ、一次流路420の一部分に流れ出る。したがって、二次流路440は、回転子アセンブリ200の複数の貫通孔204、コレクタゾーン309、環状回転子ギャップ304、軸方向ギャップ303、インペラゾーン302、及びフレーム60の遠位端40の環状出口308から戻ることによって画定される。
【0073】
この二次血液流路440は、血栓を防止するために、固定子アセンブリ100と固定子アセンブリ200との間の環状ギャップを洗い流すのに役立ち、装置400が動作している間にモータ固定子101が通電されたときに、モータ固定子101によって生成される熱から固定子アセンブリ100を冷却するのに役立つ。回転子アセンブリ200を通過して、軸方向ギャップ303で一次流路420に入るスラストベアリング接合部310の近くの血流は、静止固定子アセンブリ100に対する回転子アセンブリ200の相対回転によって生成される熱からスラストベアリング接合部310の近くの表面を冷却するのにも役立つ。説明されるように、二次流路440を通る血流量は、一次流路420のインペラゾーン302を通る全体的な血流量のわずかな割合である。
【0074】
図1図13の装置10とは対照的に、装置400内に半径方向ベアリング磁石が存在しないことは、図15を参照することによって更に理解される。代わりに、流体力は、回転子アセンブリ200が装置400内で回転するときに、回転子アセンブリ200の半径方向支持を維持するために利用される。環状ギャップ304のサイズは、流体力学的ベアリングを提供するように最適化される。流体の不安定性を最小限に抑えるために、ジャーナルの円筒性を様々な位置で中断するなど、流体の固さに寄与するために、ジャーナル内に追加の機構を追加してもよい。固定子アセンブリ100及び回転子アセンブリ200の両方の複数の半径方向ベアリング磁石を除去することによって、装置400の軸方向の長さは大幅に縮小される。固定子アセンブリ100のモータ固定子101は、回転子アセンブリ200のモータ磁石244と相互作用して回転子アセンブリ200の回転をもたらし、一方、軸流ギャップ304内の二次流路440形状は、回転子アセンブリ200の近位端45の半径方向支持に関与する。
【0075】
縮小された長さに加えて、図14図15の代替装置400は、全体的な重量の軽減、ロータ慣性の低減、二次流路440の短縮、及び製造コストの低減を含むいくつかの追加
の利点を提供する。低減されたロータ慣性及び質量は、心臓サイクルにわたって速度が変調される脈動性動作モードで動作するときに、回転子アセンブリ200を加速及び減速するためにより少ない電力が必要とされるという意味で有利である。電力の低減は、固定子ハウジング100の血液接触面に沿った熱の低減をもたらし、装置400に電力を供給するためのバッテリ寿命を延ばす。
【0076】
図14図15の装置400では、回転子アセンブリ200の回転によって生成された軸方向推力は、近位方向に作用し、スラストベアリング接合部310での接触圧力を増加させ、速度を増加させる。したがって、回転子アセンブリ200が動作条件の全範囲にわたって固定子アセンブリ100と接触することを確実にするために必要な軸方向の事前の負荷が最小限である。小さな軸方向の事前負荷は、モータ固定子101に対するモータ磁石244の軸方向オフセットによって確立することができる。これらの間の磁気相互作用は、装置400が停止又は低速で動作するときに、回転子アセンブリ200と固定子アセンブリ100との接触を維持するために、軸方向の磁力を引き起こす。
【0077】
再び図15を参照すると、装置400の好ましい組み立て順序は、以下のステップを含む。第一に、固定子アセンブリ100がフレーム60に挿入され、それらは、溶接シーム250に沿ってともにレーザー溶接される。第二に、回転子アセンブリ200は、遠位端40から固定子アセンブリ100上に挿入される。第三に、アンカー50は、近位端45からフレーム60上に挿入され、アンカー50の環状ベース51は、フレーム60と係合される。複数の近位突起68が複数のディフューザゾーン72によって中断されるため、アンカー50の環状ベース51は、環状ベース51が複数の近位突起68にわたってスナップして複数の近位スロット67内に保持されるように強制されるので、非円形形状を一時的に想定する自由を有する。環状ベース51が複数の近位スロット67内に適切に配置されると、環状ベース51は、実質的に円形形状を想定する。
【0078】
図1図13の装置10と比較すると、図13図15の代替装置400は、より少ない構成要素及びより少ない組立ステップを有することを特徴とする。固定子ハウジング100及び回転子ハウジング200は、例えば、装置10に対して前述した理由と同じ理由で、好ましくはジルコニアセラミックで作製されている。ただし、ジルコニアは非常に硬い材料であり、セラミックからそのような精密部品を加工することは、金属合金に比べて大きなコストがかかる。これらの構成要素の軸方向の長さを大幅に削減することはまた、装置400の最も高価な構成要素である可能性が高いもののコストを削減するのにも役立つ。
【0079】
上記の心室補助装置10、400の構造及び動作の説明に続いて、例示的な移植方法が、以下で更に説明される。概して、図1を参照すると、装置10は、大曲線31内の切開部を通って配設され、上行大動脈25内に配置されているとして図示されている。リード80は、大曲線31に沿って大動脈壁に対して垂直に出る。対照的に、図14に戻って参照すると、装置400は、左心室21内の切開部を通って配設され、したがって、左心室21及び大動脈弁23を通って送られる。リード80は、左心室心尖部32の近くの切開部位の心筋壁を通って延在する。
【0080】
より具体的には、図1に戻って参照すると、例えば、装置10をヒト心臓に移植する方法は、血管内の選択された位置で血管内に配置するためのサイズ調整されたフレーム60を選択するステップを含む。上記で説明されたように、フレーム60は、流路を画定する内面を含み、固定子アセンブリ100は、フレーム60内に配設され、回転子アセンブリ200は、フレーム60と固定子アセンブリ100との間に配設される。本方法は、アンカー50のベース51をフレーム60の近位端45に取り付け、アンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することを更に含む。これは、アンカー50をヒト心臓の大曲
線31内の切開部を通って配置し、アンカー50を上行大動脈25内に配置することを含む。本方法は、選択された位置でアンカー50を拡張して、フレーム60を選択された位置に固定することと、電源を固定子アセンブリ100に動作可能に結合することと、を更に含む。
【0081】
いくつかの例では、装置10のアンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することは、ヒト心臓の小曲線30及び大曲線31に関連した湾曲の前に、上行大動脈25の管腔位置で大動脈弓26から上流にアンカー50を配置することを含む。別の例では、アンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することは、上行大動脈25内のフレーム60の近位端45から延びるリード80を、ヒト心臓の大曲線31に沿って大動脈壁に対して垂直に出るように曲げることを含み得る。
【0082】
図14に戻って参照すると、心室補助装置400を移植する方法は、血管内の選択された位置で血管内に配置するためのサイズ調整されたフレーム60を選択するステップを含む。この例でも、フレーム60は、流路を画定する内面を含み、固定子アセンブリ100は、フレーム60内に配設される。回転子アセンブリ200は、この場合も、フレームと固定子アセンブリとの間に配設される。本方法はまた、アンカー50のベース51をフレーム60の近位端45に取り付け、アンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することも含む。これは、左心室心尖部32を通ってフレーム60に取り付けられたアンカー50を、ヒト心臓の大動脈弁23に更に送ることを含む。本方法はまた、選択された位置でアンカー50を拡張して、フレーム60を選択された位置に固定し、電源を固定子アセンブリ100に動作可能に結合し、電源を制御して、回転子アセンブリ200を回転させることも含む。
【0083】
いくつかの例では、アンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することは、フレーム60の近位端45から、左心室心尖部32の近くの心筋壁を通ってリード80を延在させることを更に含む。別の例では、アンカー50をつぶれ構成で選択された位置に配置することは、ヒト心臓の小曲線30及び大曲線31に関連した湾曲の前に、上行大動脈25の管腔位置で大動脈弓26から上流にアンカー50を配置することを含んでもよい。
【0084】
上記の選択された位置は、装置10、400が左心室補助装置として機能することを可能にする大動脈であるが、選択された位置は、代わりに肺動脈であってもよく、これは、例えば、装置10、400が右心室補助装置として機能することを可能にする。結果として、装置10、400は、大動脈弁又は肺動脈弁として機能し得ることが理解されよう。例えば、装置10、400は、それぞれ、左心室又は右心室の重度の心不全に関連する場合、自然な大動脈弁又は肺動脈弁に問題がある状況で、機械的弁の代わりに考慮され得る。したがって、装置10、400は、例えば、大動脈又は肺動脈であり得る、選択された心臓動脈内への配置/適合のためにサイズ調整される。例として、大動脈及び肺動脈の直径は、例えば、おおよそ2.0~3.0cmであってもよく、それぞれの直径は、個体ごとに変化し、個体の生涯にわたって個体に対しても変化する。更に、装置10、400は、血管系の他の場所での使用にも適していることが判明し得る。
【0085】
更に、臨床的判断に基づいて、解剖学的又は医学的制約がある場合、装置10、400を下行大動脈に配置してもよい。より一般的には、装置10、400が任意の主要な血管に位置する能力のため、装置10、400は、重度の末梢血管疾患のための末梢循環補助装置としても使用され得る。その反復において、装置10、400は、下行大動脈内又は大腿血管又は腸骨血管内に配置され得、したがって、下肢への血流を増大させることができる。同様に、装置10、400を大動脈内の他の位置に配置して、関連する血管床における血流を増大させることができる。例えば、重度の末梢血管疾患を有する個体において、腎臓下部位置に装置を配置すると、自然な血流が増大し、下肢の灌流が増加する。重篤
な下肢虚血では、近位血流の改善は、下肢虚血を治療する能力を可能にし得る。更に別の例では、装置10、400の世代的小型化が存在してもよく、これはまた、末梢血管疾患における末梢循環の増大のために装置10、400を使用する可能性を可能にするであろう。
【0086】
更に、別の例では、装置10、400は、代替的に、移植片などの他の好適な手段を使用して血管に固定されてもよい。具体的には、装置10、400は、代替的に、Dacron又はPTFEなどの血管移植片、又は任意の他の好適な血管移植片内に配置されてもよく、これは、次いで、上行大動脈、下行大動脈、又は大動脈自体内で吻合されてもよい。更に、血管移植片の使用により、装置10、400を、次いで、経尖アプローチなどの任意の好適な送達技術を使用して、所望の位置にユニットとして配置してもよい。次いで、血管移植片は、従来の技術を使用して周囲の血管に好適に固定され得る。例えば、移植片は、周囲の血管に縫合されてもよく、移植片は、従来のステント固定技術、又は磁気リングなどの磁気固定具を使用して固定されてもよい。更に他の手段が好適であることが判明する場合がある。
【0087】
更に、装置10、400の電力及び設定の制御は、電力要件及び出力、タイミング、又は他の設定を制御するために近距離無線通信システムを使用することを含み得る。そのようなアプローチは、制御ユニットとの通信手段として、無線携帯電話技術又は他の好適な技術を採用し得る。したがって、制御システムは、いかなる種類のケーブル又は有線接続も必要とせず、プログラミングは、携帯電話又は他のモジュールを介してなど、ハンドヘルド装置で達成され得る。装置及びその制御システムは完全に移植可能である。
【0088】
前述の全ての説明によれば、本開示の装置及び方法は、最小サイズ及び容積、並びに内部構成要素を気密的に封止し、内部構成要素を湿気及び/又は内部に収容される材料及び構成要素の劣化及び腐食を引き起こす可能性のある有害な暴露から絶縁するためのスリーブ又はバリアを提供する固定子アセンブリ及び回転子アセンブリに関係する筐体を含むいくつかの利点を達成することが理解されるであろう。更に、本開示の装置及び方法は、最小のサイズ及び長さも有する装置アーキテクチャを含み、これは、パッシブ磁気、アクティブ磁気、及び電気構成要素を備えたアクティブ移植に必要な耐久性及び長期的な信頼性を助ける。また、本開示の装置及び方法は、比較的短い長さの上行大動脈又は血管の他のセグメント内の配置及び固定に十分に適したアンカーの最適なフォームファクタ及び実装を達成することが理解されるであろう。
【0089】
本実施形態は、上記に特に示され、説明されているものに限定されないことも、当業者によって理解されるであろう。加えて、上記に反して言及されていない限り、添付の図面の全てが縮尺通りではないことに留意されたい。上記の教示に照らして、様々な修正及び変形が可能である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
【国際調査報告】