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特表2023-551605炭素酸化物をオレフィンに変換するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】炭素酸化物をオレフィンに変換するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/82 20060101AFI20231201BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20231201BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20231201BHJP
   C07C 1/04 20060101ALI20231201BHJP
   C07C 1/12 20060101ALI20231201BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231201BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231201BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20231201BHJP
【FI】
C07C2/82
C07C11/04
C07C9/04
C07C1/04
C07C1/12
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B1/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553159
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 US2021059077
(87)【国際公開番号】W WO2022104015
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/113,636
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/223,215
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523181824
【氏名又は名称】ラマス テクノロジー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ポドレバラク ゲーリー ジー
(72)【発明者】
【氏名】カテンデ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】リウ ツァン
【テーマコード(参考)】
4H006
4K021
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC29
4H006BC31
4H006BD84
4H006BE20
4H006BE40
4H006BE41
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021CA08
4K021DC03
(57)【要約】
炭素酸化物をオレフィンに変換する方法を提供する。方法は、再生可能な水素供給流及び炭素酸化物供給流をメタン生成反応器に導いて、メタンを含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成することを含むことができる。OCM供給流と、酸素を含む酸化剤供給流とが、OCM触媒を含有するOCM反応器に導かれて、エチレンを含むOCM流出物を生成する。炭素酸化物をオレフィンに変換するためのシステムも提供する。方法及びシステムは、エチレンを含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素酸化物を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法であって、
(a)再生可能な水素(H2)供給流と、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)又はCO2及びCOの両方を含む炭素酸化物供給流とを、メタン生成反応器に導いて、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成すること;並びに、
(b)OCM供給流と、酸素(O2)を含む酸化剤供給流とを、OCM触媒を含むOCM反応器に導き、OCM反応を実行して、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成すること
を含み、
24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する、方法。
【請求項2】
再生可能なH2供給流が、(i)水の電気分解;(ii)バイオマスガス化;(iii)アンモニアクラッキング;又は(iv)硫化水素分解の少なくとも1つにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再生可能なH2供給流が、水の電気分解により生成され、水の電気分解が、酸化剤供給流の少なくとも一部分として使用される再生可能なO2を生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
OCM供給流から水を取り出し、その水を水の電気分解を実行するための電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の流れの少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
OCM流出物からCO2を取り出し、取り出したCO2の少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第2の流れを分離して、C24を含む第3の流れ及びC26を含む第4の流れを生成することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第4の流れをOCM触媒の下流でポストベッドクラッキングユニットに導くことを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
CH4を含むメイクアップ流をOCM反応器に導くことを更に含み、メイクアップ流中のCH4対炭素酸化物供給流中のCO2のモル比が、0.01:1~5:1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
炭素酸化物供給流が、方法で利用される唯一の炭素源である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
炭素酸化物供給流が捕捉されたCO2を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
二酸化炭素を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法であって、
(a)二酸化炭素(CO2)を含有する天然ガス流をガス処理ユニットに導いて、CO2供給流及び実質的にCO2を含まない天然ガス流を生成すること;
(b)再生可能な水素(H2)供給流及びCO2供給流をメタン生成反応器に導いて、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成すること;
及び
(c)OCM供給流と、酸素(O2)を含む酸化剤供給流とを、OCM触媒を含むOCM反応器に導き、OCM反応を実行して、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成すること、
を含み、
24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する、方法。
【請求項14】
再生可能なH2供給流が、(i)水の電気分解;(ii)バイオマスガス化;(iii)アンモニアクラッキング;又は(iv)硫化水素分解の少なくとも1つにより生成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
再生可能なH2供給流が、水の電気分解により生成され、水の電気分解が、酸化剤供給流の少なくとも一部分として使用される再生可能なO2を生成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
OCM供給流から水を取り出し、その水を水の電気分解を実行するための電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することを更に含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
第1の流れの少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
OCM流出物からCO2を取り出し、取り出したCO2の少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
第2の流れを分離して、C24を含む第3の流れ及びC26を含む第4の流れを生成することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
第4の流れをOCM触媒の下流のポストベッドクラッキングユニットに導くことを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
実質的にCO2を含まない天然ガス流の少なくとも一部分を含むメイクアップ流を、OCM反応器に導くことを更に含み、メイクアップ流中のCH4対CO2供給流中のCO2のモル比が、0.01:1~5:1である、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
CO2供給流が、方法で利用される唯一の炭素源である、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
捕捉されたCO2源をCO2供給流に加えることを更に含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
炭素酸化物を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換するためのシステムであって、
(a)再生可能なH2供給流を生成するように構成された、再生可能な水素(H2)サブシステム;
(b)再生可能なH2サブシステムに流体連通されたメタン生成サブシステムであり、再生可能なH2供給流と、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)又はCO2及びCOの両方を含む炭素酸化物供給流とを受け取り、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成するように構成されている、メタン生成サブシステム;
(c)メタン生成サブシステムの下流にあり該メタン生成サブシステムに流体連通されたOCMサブシステムであり、OCM供給流と、酸素(O2)を含む酸化剤供給流とを受け取り、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている、OCMサブシステム;並びに
(d)OCMサブシステムの下流にあり該OCMサブシステムに流体連通された分離サブシステムであり、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている、分離サブシステム
を含み、
24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている、システム。
【請求項26】
再生可能なH2サブシステムが再生可能なエネルギー源により電力を供給される電気分解ユニットを含み、電気分解ユニットがOCMサブシステム及びメタン生成サブシステムの上流にあり該OCMサブシステム及びメタン生成サブシステムに流体連通されており、電気分解ユニットが、水を受け取り、その水を再生可能なH2及び再生可能なO2に変換し、再生可能なH2を再生可能なH2供給流としてメタン生成サブシステムに導き、再生可能なO2を酸化剤供給流の少なくとも一部分としてOCMサブシステムに導くように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
OCMサブシステム、メタン生成サブシステム及び分離サブシステムに流体連通されたCO2除去ユニットを更に含み、CO2除去ユニットが、OCM流出物からCO2を取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分をメタン生成サブシステムに導き、実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステムに導くように構成されている、請求項25又は請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
分離サブシステムが脱メタンユニット及びC2精製ユニットを含み;
脱メタンユニットがメタン生成サブシステム及びC2精製ユニットに流体連通されており;
脱メタンユニットが、(i)OCM流出物を受け取り;(ii)OCM流出物を第1の流れ及び第2の流れに分離し;(iii)第1の流れの少なくとも一部分をメタン生成サブシステムに導き;(iv)第2の流れをC2精製ユニットに導くように構成されており;
2精製ユニットが、OCMサブシステムに流体連通され、第2の流れを受け取り、その第2の流れを少なくともC24を含む第3の流れ及びC26を含む第4の流れに分離するように構成されている、
請求項25又は請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
OCMサブシステムが、(i)OCM触媒を含有するOCM反応器、及び(ii)OCM触媒の下流のポストベッドクラッキング(PBC)ユニットを含み、PBCユニットが第4の流れを受け取り、C24を生成するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
炭素酸化物供給流の少なくとも一部分が、捕捉されたCO2源により提供される、請求項25又は請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
メタン生成サブシステムの上流にあり該メタン生成サブシステムに流体連通されたガス処理ユニットを更に含み、ガス処理ユニットが、(i)CO2を含有する天然ガス流を受け取り;(ii)CO2を天然ガス流から取り出し;(iii)取り出されたCO2を炭素酸化物供給流の少なくとも一部分としてメタン生成サブシステムに導くように構成されている、請求項25又は請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
二酸化炭素を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法であって、
(a)二酸化炭素(CO2)を含む供給流をCO2電気分解ユニットに導いて、一酸化炭素(CO)を含む第1の再生可能な電気分解流及び酸素(O2)を含む第2の再生可能な電気分解流を生成すること;
(b)再生可能な水素(H2)供給流及び第1の再生可能な電気分解流をメタン生成反応器に導いて、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成すること;
(c)OCM供給流と、第2の再生可能な電気分解流を含む酸化剤供給流とを、OCM触媒を含むOCM反応器に導き、OCM反応を実行して、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2、及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成すること、
を含み、
24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する、方法。
【請求項33】
再生可能なH2供給流が、(i)水の電気分解;(ii)バイオマスガス化;(iii)アンモニアクラッキング;又は(iv)硫化水素分解の少なくとも1つにより生成する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
再生可能なH2供給流が、水の電気分解により生成され、水の電気分解が、酸化剤供給流の少なくとも一部分として使用される再生可能なO2を生成する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
OCM供給流から水を取り出し、その水を水の電気分解を実行するための水電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
OCM流出物からCO2を取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分をCO2電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することを更に含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
第1の流れの少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
第2の流れを分離して、C24を含む第3の流れ及びC26を含む第4の流れを生成することを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
第4の流れをOCM触媒の下流のポストベッドクラッキングユニットに導くことを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
メタン(CH4)を含むメイクアップ流をOCM反応器に導くことを更に含み、メイクアップ流中のCH4対供給流中のCO2のモル比が、0.01:1~5:1である、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
CO2を含む供給流が、方法で利用される唯一の炭素源である、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
CO2を含む供給流が捕捉されたCO2を含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
二酸化炭素を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法であって、
(a)二酸化炭素(CO2)を含む第1の供給流及び水(H2O)を含む第2の供給流を共電気分解ユニットに導いて、一酸化炭素(CO)及び水素(H2)を含む再生可能な合成ガス流並びに酸素(O2)を含む再生可能な酸化剤流を生成すること;
(b)再生可能な合成ガス流をメタン生成反応器に導いて、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成すること;
(c)OCM供給流及び再生可能な酸化剤流を、OCM触媒を含むOCM反応器に導き、OCM反応を実行して、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成すること、
を含み、
24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する、方法。
【請求項45】
OCM供給流から水を取り出し、その水を共電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
OCM流出物からCO2を取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分を共電気分解ユニットに導くことを更に含む、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項47】
OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することを更に含む、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項48】
第1の流れの少なくとも一部分をメタン生成反応器に導くことを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
第2の流れを分離して、C24を含む第3の流れ及びC26を含む第4の流れを生成することを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
第4の流れをOCM触媒の下流のポストベッドクラッキングユニットに導くことを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
メタン(CH4)を含むメイクアップ流をOCM反応器に導くことを更に含み、メイクアップ流中のCH4対第1の供給流中のCO2のモル比が、0.01:1~5:1である、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項52】
第1の供給流が、方法で利用される唯一の炭素源である、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項53】
第1の供給流が捕捉されたCO2により提供される、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項54】
二酸化炭素(CO2)を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換するためのシステムであって、
(a)再生可能なH2供給流を生成するように構成された、再生可能な水素(H2)サブシステム;
(b)CO2を含む供給流を受け取り、一酸化炭素(CO)を含む第1の再生可能な電気分解流及び酸素(O2)を含む第2の再生可能な電気分解流を生成するように構成された、CO2電気分解ユニット;
(c)再生可能なH2サブシステム及びCO2電気分解ユニットに流体連通されたメタン生成サブシステムであり、再生可能なH2供給流及び第1の再生可能な電気分解流を受け取り、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成するように構成されている、メタン生成サブシステム;
(d)メタン生成サブシステム及びCO2電気分解ユニットの下流にあり該メタン生成サブシステム及びCO2電気分解ユニットに流体連通されたOCMサブシステムであり、OCM供給流と、第2の再生可能な電気分解流を含む酸化剤供給流とを受け取り、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている、OCMサブシステム;並びに
(e)OCMサブシステムの下流にあり該OCMサブシステムに流体連通された分離サブシステムであり、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている、分離サブシステム
を含み、
24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている、システム。
【請求項55】
再生可能なH2サブシステムが再生可能なエネルギー源により電力を供給される電気分解ユニットを含み、電気分解ユニットがOCMサブシステム及びメタン生成サブシステムの上流にあり該OCMサブシステム及びメタン生成サブシステムに流体連通されており、電気分解ユニットが、水を受け取り、その水を再生可能なH2及び再生可能なO2に変換し、再生可能なH2を再生可能なH2供給流としてメタン生成サブシステムに導き、再生可能なO2を酸化剤供給流の少なくとも一部分としてOCMサブシステムに導くように構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
OCMサブシステム、CO2電気分解ユニット及び分離サブシステムに流体連通されたCO2除去ユニットを更に含み、CO2除去ユニットが、OCM流出物からCO2を取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分をCO2電気分解ユニットに導き、実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステムに導くように構成されている、請求項54又は請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
二酸化炭素(CO2)を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換するためのシステムであって、
(a)CO2を含む第1の供給流及び水(H2O)を含む第2の供給流を受け取り、一酸化炭素(CO)及び水素(H2)を含む再生可能な合成ガス流並びに酸素(O2)を含む再生可能な酸化剤流を生成するように構成された、共電気分解ユニット;
(b)共電気分解ユニットと流体連通されたメタン生成サブシステムであり、再生可能な合成ガス流を受け取り、メタン(CH4)を含む、メタンの酸化カップリング(OCM)供給流を生成するように構成されている、メタン生成サブシステム;
(c)メタン生成サブシステム及び共電気分解ユニットの下流にあり該メタン生成サブシステム及び共電気分解ユニットに流体連通されたOCMサブシステムであり、OCM供給流及び再生可能な酸化剤流を受け取り、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている、OCMサブシステム;並びに
(d)OCMサブシステムの下流にあり該OCMサブシステムに流体連通された分離サブシステムであり、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている、分離サブシステム
を含み、
24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている、システム。
【請求項58】
OCMサブシステム、共電気分解ユニット及び分離サブシステムに流体連通されたCO2除去ユニットを更に含み、CO2除去ユニットが、OCM流出物からCO2を取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分を共電気分解ユニットに導き、実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステムに導くように構成されている、請求項57に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2020年11月13日出願の米国仮特許出願第63/113,636号、及び2021年7月19日出願の米国仮特許出願第63/223,215号に基づく優先権及び利益を主張し、それらの全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は炭素酸化物をオレフィンに変換するための方法及びシステムに関する。より詳細には、本開示は炭素酸化物をネガティブカーボンエミッション(negative carbon emission)でエチレンに変換するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの生産は一般に非常に大量の二酸化炭素(CO2)の大気中への放出を引き起こす。実際、オレフィンを生産するための飽和炭化水素の水蒸気クラッキングは、化学工業で最もエネルギーを消費するプロセスの1つである。1トンのオレフィン(即ち、エチレンとプロピレンの混合物)の生産では、ほぼ1トンのCO2が排出されることになると報告されている。世界中で、温室効果ガスの排出を低減するために、より詳細にはCO2の排出を低減するために、プレッシャーが高まっている。
CO2からエチレン(C24)を生産する幾つかの方法が提案されている。1つの方法において、第1のステップはサバティエ(Sabatier)メタン生成反応を使用してCO2をメタン(CH4)に変換することである。次のステップはCH4を水蒸気改質して合成ガス(即ち、CO及びH2)を生産することである。続くステップでは、合成ガスを使用してメタノール(CH3OH)を生産する。最後に、CH3OHがゼオライト触媒を用いて軽質オレフィン(例えば、C24)及び水に変換される。このC24を生産する特定の方法は多くのステップを含み、プロセスを実行するためにかかるプラントを建設するには法外な費用がかかることになる。この特定の方法に関する別の問題は、メタン生成に使用される水素(H2)の起源に関連する。メタンの水蒸気改質がH2の主要な起源であるので、この特定の方法は消費するよりも多くのCO2を生産する。
【0003】
CO2からC24を生産する別の方法では、メタノール合成反応及び同じ反応器で合成されたCH3OHからオレフィンへの変換を実行し、水蒸気改質ステップを迂回し、プラントのコストを低減する(Gao et al., Catalysis Science and Technology (2017), Vol. 23, 5602-5607)。この方法は、CO2及びH2を直接CH3OHに変換するメタノール合成触媒を反応器の上部の触媒床で使用し、メタノールからオレフィンへの触媒(例えば、SAPO-34)を反応器の下部の触媒床で使用して、CH3OHを軽質オレフィン及び水に変換することを含む。
更に、CO2をC24に変換するための電気化学技術が提案されている(Qin et al., Int. J. Electrochem. Sci. (2018), Vol. 13, 10101-10112参照)。別の電気化学技術は炭素、銅及び窒素から作成された触媒を用いたCO2のエタノールへの変換を含む(https://www.energy.gov/articles/scientists-accidentally-turned-co2-ethanol)。エタノールはその後脱水反応によってC24に変換することができる。
熱化学サイクルもCO2を有用な製品に変換する方法として提案されている。米国特許第9,464,010号は、銅-塩素(Cu-Cl)熱化学サイクルの使用を、CO2を捕捉し有用な製品に変換するのに必要とされるH2を生成する方法として開示している。
CO2をオレフィンに変換するために幾つかのプロセスが提案されて来ているが、これらのプロセスは一般に実用的であるには費用がかかり過ぎるか又は長年の間商業化されていない。更に、これらのプロセスの幾つかは消費するよりも多くのCO2を発生するが、中間体としてCH3OHを含む幾つかのプロセスは生産されるO2を利用しない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、再生可能な水素を利用し、温室効果ガスの排出を低減する、炭素酸化物をオレフィン、特にエチレンに変換するための方法及びシステムが開示される。加えて、炭素酸化物をオレフィンに変換する方法及びシステムは、高い炭素利用率(carbon efficiency)を有し、且つネガティブカーボンエミッションを達成する。
本開示の発明に従って、炭素酸化物を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法が提供される。方法は、再生可能な水素(H2)供給流と、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)又はCO2及びCOの両方を含む炭素酸化物供給流とをメタン生成反応器に導いて、メタン(CH4)を含む、メタン(OCM)供給流の酸化カップリングを起こさせることを含む。OCM供給流と、酸素(O2)を含む酸化剤供給流とが、OCM触媒を含むOCM反応器に導かれる。OCM反応が行われて、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成する。方法は、C24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する。
本開示の発明に従って、CO2を、C24を含むオレフィンに変換する方法が提供される。方法は、CO2を含有する天然ガス流をガス処理ユニットに導いて、CO2供給流及び実質的にCO2を含まない天然ガス流を生成することを含む。CO2供給流及び再生可能なH2供給流をメタン生成反応器に導いて、CH4を含むOCM供給流を生成する。OCM供給流と、酸素O2を含む酸化剤供給流とが、OCM触媒を含むOCM反応器に導かれる。OCM反応が行われて、(i)C24及びC26を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成する。方法は、C24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する。
【0005】
本開示の発明に従って、炭素酸化物を、C24を含むオレフィンに変換するためのシステムが提供される。システムは、再生可能なH2供給流を生成するように構成された、再生可能な水素(H2)サブシステムを含む。メタン生成サブシステムが再生可能なH2サブシステムの下流に配置され、そこに流体連通されている。このメタン生成サブシステムは、再生可能なH2供給流と、CO2、CO又はCO2及びCOの両方を含む炭素酸化物供給流とを受け取り、メタンCH4を含むOCM供給流を生成するように構成されている。OCMサブシステムがメタン生成サブシステムの下流に配置され、そこに流体連通されている。このOCMサブシステムは、OCM供給流と、O2を含む酸化剤供給流とを受け取り、(i)C24及びC26を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている。システムはまた、OCMサブシステムの下流でそこに流体連通された分離サブシステムも含む。この分離サブシステムは、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。システムは、C24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている。
【0006】
本開示の発明に従って、CO2を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法が提供される。方法は、CO2を含む供給流をCO2電気分解ユニットに導いて、COを含む第1の再生可能な電気分解流及びO2を含む第2の再生可能な電気分解流を生成することを含む。再生可能なH2供給流及び第1の再生可能な電気分解流をメタン生成反応器に導いて、CH4を含むOCM供給流を生成する。OCM供給流と、第2の再生可能な電気分解流を含む酸化剤供給流とを、OCM触媒を含むOCM反応器に導く。OCM反応を行って、(i)C24及びエタン(C26)を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成する。方法は、C24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する。
【0007】
本開示の発明に従って、CO2を、エチレン(C24)を含むオレフィンに変換する方法が提供される。方法は、CO2を含む第1の供給流及び水(H2O)を含む第2の供給流を共電気分解ユニットに導いて、CO及びH2を含む再生可能な合成ガス流並びにO2を含む再生可能な酸化剤流を生成することを含む。再生可能な合成ガス流をメタン生成反応器に導いて、CH4を含むOCM供給流を生成する。OCM供給流及び再生可能な酸化剤流を、OCM触媒を含むOCM反応器に導く。OCM反応を行って、(i)C24及びC26を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成する。方法は、C24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する。
【0008】
本開示の発明に従って、CO2を、C24を含むオレフィンに変換するためのシステムが提供される。システムは、再生可能なH2供給流を生成するように構成された、再生可能な水素(H2)サブシステム、並びに、CO2を含む供給流を受け取り、COを含む第1の再生可能な電気分解流及びO2を含む第2の再生可能な電気分解流を生成するように構成されたCO2電気分解ユニットを含む。メタン生成サブシステムが再生可能なH2サブシステム及びCO2電気分解ユニットの下流に配置され、それらに流体連通されている。メタン生成サブシステムは、再生可能なH2供給流及び第1の再生可能な電気分解流を受け取り、メタンCH4を含むOCM供給流を生成するように構成されている。OCMサブシステムがメタン生成サブシステム及びCO2電気分解ユニットの下流に配置され、それらに流体連通されている。OCMサブシステムは、OCM供給流と、第2の再生可能な酸化剤流を含む酸化剤供給流とを受け取り、(i)C24及びC26を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている。システムはまた、OCMサブシステムの下流にそれと流体連通された分離サブシステムも含む。分離サブシステムは、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。システムは、C24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている。
【0009】
本開示の発明に従って、CO2を、C24を含むオレフィンに変換するためのシステムが提供される。システムは、CO2を含む第1の供給流及び第2の供給流H2Oを受け取り、CO及びH2を含む再生可能な合成ガス流並びにO2を含む再生可能な酸化剤流を生成するように構成された、共電気分解ユニットを含む。メタン生成サブシステムが共電気分解ユニットの下流に配置され、それに流体連通されている。メタン生成サブシステムは、再生可能な合成ガス流を受け取り、メタンCH4を含むOCM供給流を生成するように構成されている。OCMサブシステムがメタン生成サブシステム及び共電気分解ユニットの下流に配置され、それらに流体連通されている。OCMサブシステムは、OCM供給流及び再生可能な酸化剤流を受け取り、(i)C24及びC26を含むC2+化合物と、(ii)CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物を生成するように構成されている。システムはまた、OCMサブシステムの下流に流体連通された分離サブシステムも含む。分離サブシステムは、OCM流出物を受け取り、OCM流出物を少なくとも(i)COx、H2及びCH4を含む第1の流れと、(ii)C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。システムは、C24を含むオレフィンがネガティブカーボンエミッションで生産されるように作動するように構成されている。
本開示のその他の態様及び利点は次の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示に従ってエチレンなどのオレフィンを炭素酸化物供給流から生産するためのシステムのブロックフロー図である。
図2図2は、本開示に従ってエチレンなどのオレフィンを炭素酸化物供給流から生産するためのシステムのブロックフロー図である。
図3図3は、本開示に従って二酸化炭素供給流を生産するためのガス処理ユニットのブロックフロー図である。
図4図4は、本開示に従ってエチレンなどのオレフィンを炭素酸化物供給流から生産するためのシステムのブロックフロー図である。
図5図5は、本開示に従ってエチレンなどのオレフィンを炭素酸化物供給流から生産するためのシステムのブロックフロー図である。
図6図6は、本開示に従ってエチレンなどのオレフィンを炭素酸化物供給流から生産するためのシステムのブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書には、炭素酸化物をオレフィンに変換するための方法及びシステムが記載されている。本開示の発明に従って、炭素酸化物供給流が、エチレン(C24)を含むオレフィンを生産するために、再生可能な水素(H2)供給流と、酸素(O2)を含む酸化剤供給流と共に、プロセス又はシステムに供給される主要な又は唯一の炭素源である。オレフィンはメタンの酸化カップリング(OCM)反応によって生産される。本開示の発明に従って、炭素酸化物をオレフィンに変換するための方法及びシステムは、(i)オレフィンの生産に伴う温室効果ガスの排出を低減又は除外することができ;(ii)高い炭素利用率(即ち、90%より高い)で作動することができ;及び/又は(iii)ネガティブカーボンエミッションでオレフィンを生産することができる。
用語「OCM反応」は、本明細書で使用されるとき、エチレン(C24)を生成するメタンの酸化カップリング反応又はプロセスを一般に指す。OCM反応はメタンの炭化水素及び水への酸化を含むことができ、発熱反応を含み得る。OCM反応において、メタンは部分的にエチレンのような1種又は複数種のC2+化合物に酸化されることができる。一例において、OCM反応は2CH4+O2→C24+2H2Oである。OCM反応はC2+化合物を生成することができる。OCM反応は不均一系触媒のようなOCM触媒により促進することができる。OCM反応の付加的な副産物はCO、CO2及びH2を含むことができる。エタンも、OCM反応においてOCM触媒によって反応してエチレンを形成することができる。
【0012】
用語「C2+」及び「C2+化合物」は、本明細書で使用されるとき、一般に2個以上の炭素原子を含む化合物、例えば、C2、C3等を指す。C2+化合物は、限定するものではないが、2個以上の炭素原子を含有するアルカン、アルケン、アルキン、アルデヒド、ケトン、芳香族化合物 エステル、及びカルボン酸を含む。C2+化合物の例にはエタン、エチレン、エチン、プロパン、プロピレン、プロピンなどがある。同様に、用語「C3+」及び「C3+化合物」は、本明細書で使用されるとき、一般に3個以上の炭素原子を含む化合物、例えば、C3、C4、C5等を指す。C3+化合物は、限定するものではないが、2個以上の炭素原子を含有するアルカン、アルケン、アルキン、アルデヒド、ケトン、芳香族化合物 エステル、及びカルボン酸を含む。C3+化合物の例にはプロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブテンなどがある。
用語「非C2+不純物」は、本明細書で使用されるとき、一般にC2+化合物を含まない物質を指す。あるOCM反応生成物流に見出され得る非C2+不純物の例には、限定されるものではないが、窒素(N2)、酸素(O2)、水(H2O)、アルゴン(Ar)、水素(H2) 一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、及びメタン(CH4)がある。
【0013】
用語「炭素利用率」は、本明細書で使用されるとき、一般に、全てのプロセス投入流(場合によって、例えば天然ガス及びエタン及び燃料流などの全ての炭化水素供給原材料を含む)中に存在する炭素のモル数対プロセスの全ての商業的に(又は工業的に)使用可能な又は市場性のある生成物中に存在する炭素のモル数の比率を指す。かかる生成物は石油化学のような様々な下流用途又はコモディティーケミカルとしての使用に用いることができる炭化水素を含むことができる。かかる生成物はCO及びCO2を除外することができる。プロセスの生成物は、少なくとも約99%のC2+炭化水素を含有するC2+炭化水素生成物及び少なくとも約90%のメタンを含有する全てのセールスガス(sales gas)又はパイプラインガス生成物のような市場性のある生成物であることができる。プロセス投入流は、プロセスの作動のためのパワーを提供する投入流を含むことができる。場合によって、プロセスの作動のためのパワーの少なくとも一部分は、OCM反応により解放された熱により提供することができる。
用語「COx」は、本明細書で使用されるとき、一酸化炭素(x=1)、二酸化炭素(x=2)、又は一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を指す。
【0014】
用語「ユニット」は、本明細書で使用されるとき、一般に単位作動を指す。単位作動はプロセスにおける1つ又は複数の基本作動であり得る。ユニットは1つ又は複数のサブユニット(又はサブシステム)を有し得る。単位作動は分離、結晶化、蒸発、ろ過、重合、異性化、その他の反応、又はこれらの組合せのような物理的変化又は化学的変転を含み得る。ユニットは1つ又は複数の個々の構成要素を含み得る。例えば、分離ユニットは1つ又は複数の分離カラムを含み得、又はアミンユニットは1つ又は複数のアミンカラムを含み得る。
用語「オレフィン」及び「アルケン」は本明細書で同義に使用されており、一般に、1つ又は複数の二重結合を含有する炭化水素を指す。
【0015】
用語「断熱」又は「断熱プロセス」は、一般に、周囲への実質的な熱損失を伴うことなくガスの圧力が増大させられ得るプロセスを指す。断熱ユニット又は要素は、ユニット又は要素間の熱伝達が少ない或いは無いこと、例えば、(例えば、ユニットからの全熱入力及び熱出力により測定して)15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の熱伝達を可能にし得る。
用語「実質的にCO2を含まない」は、本明細書で使用されるとき、一般に、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.05%未満を含めて、更には0%も含めて、1%未満のCO2モルパーセンテージを指す。
【0016】
本発明に従って、C24を含むオレフィンが、再生可能なH2供給流と、O2を含む酸化剤供給流と共にプロセス又はシステムに供給される主要又は唯一の炭素源として炭素酸化物供給流を利用する方法及びシステムによって生産することができるということが発見された。本明細書に開示されている方法及びシステムはまた、メタン生成反応及びメタンの酸化カップリング(OCM)反応も利用してオレフィンを生産する。本開示の方法及びシステムは、公知のOCM方法及びシステムと比べて、温室効果ガスの排出(例えばCO2)の低減又は除外、高い炭素利用率で作動する能力、及びC24を含むオレフィンをネガティブカーボンエミッションで生産する能力を含めて、幾つかの利点を有する。
ここで図面を参照して本開示の方法及びシステムを更に説明する。図面及びその中の特徴は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが了解されよう。図面において、ユニット間の流体流の方向は矢印により示されている。流体はバルブ及び流体流システムを用いて1つのユニットからもう1つ別のユニットに導かれ得る。当業者には分かるように、かかる流体流システムは、圧縮器及び/又はポンプ、並びに流体流を調節するためのコントロールシステムを含み得る。
【0017】
ここで図1を参照すると、本発明に従って、炭素酸化物を、C24を含むオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム100のブロックフロー図が示されている。システム100は、メタン生成サブシステム101、再生可能なH2サブシステム102、及びOCMサブシステム103を含む。メタン生成サブシステム101は、再生可能なH2サブシステム102に流体連通されており、炭素酸化物供給流104及び再生可能なH2サブシステム102により生成した再生可能なH2供給流106を受け取って、CH4を含むOCM供給流107を生成するように構成されている。OCMサブシステム103は、メタン生成サブシステム101の下流にあり、そこに流体連通され、OCM供給流107及びO2を含む酸化剤供給流108を受け取って、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物109を生成するように構成されている。
【0018】
メタン生成サブシステム101は、メタン生成反応を実行するためのメタン生成触媒(例えば、ニッケルをベースとする触媒)を含有する1つ又は複数のメタン生成反応器を含むことができる。メタン生成反応器の典型的な作動条件は約3バール~約50バールの圧力及び約150℃~約400℃の温度であることができる。メタン生成サブシステム101において、炭素酸化物供給流104中の炭素酸化物(例えば、CO2、CO、又は両方)は、再生可能なH2供給流106からのH2と反応して、反応i)CO2+4H2→CH4+2H2O及びii)CO+3H2→CH4+H2Oを介してCH4を生成する。メタン生成サブシステム101で生成したCH4は、OCM供給流107としてOCMサブシステム103に導かれる。
本開示の方法及びシステムによると、炭素酸化物供給流104は、CO2、CO、又はCO2及びCOの両方を含む。本開示の方法及びシステムによると、炭素酸化物供給流104は、システム100又はプロセスに供給される主要又は唯一の炭素源である。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、炭素酸化物供給流104は捕捉されたCO2を含む。捕捉されたCO2は、限定されないが、鋼/金属生産設備、セメント生産設備、石炭燃焼発電プラント、石炭ガス化、及びバイオマスガス化を含む産業設備から捕捉されたCO2であり得る。捕捉されたCO2はまた、幾らかの量のCOも含み得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、炭素酸化物供給流104は、CO2を含有する天然ガス流からCO2を取り出すことにより生成したCO2供給流を含む。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、炭素酸化物供給流104は、幾らかの量のCOを含み得る捕捉されたCO2(例えば、産業設備から捕捉されたCO2)、及びCO2を含有する天然ガス流からCO2を取り出すことにより生成されたCO2を含む。
【0019】
メタン生成サブシステム101に導かれる再生可能なH2供給流106は、再生可能なH2サブシステム102により生成する。本開示の方法及びシステムによると、再生可能なH2サブシステム102は、再生可能なH2を生成するための1つ又は複数の技術に基づき得る。かかる技術には、限定されるものではないが、水の電気分解、バイオマスガス化、アンモニアクラッキング、及び硫化水素分解がある。再生可能なH2供給流106を生成するために再生可能なH2サブシステム102に動力を供給するのに必要とされるエネルギーは、1種又は複数種の再生可能なエネルギー源により提供され得る。本開示の方法及びシステムに従って使用し得る代表的な再生可能なエネルギー源には、限定されるものではないが、風力、太陽、バイオマス、地熱、水力発電、及び原子力がある。
図1で分かるように、H2担体流105は、再生可能なH2サブシステム102に導かれて再生可能なH2供給流106を生成し、この供給流106はメタン生成サブシステム101に導かれる。本開示の方法及びシステムによると、H2担体流105はH2担体を含む。H2担体は、処理されて(例えば、反応されて、分解されて)H2ガスを生成することができるあらゆる化合物又は物質であり得る。本開示の方法及びシステムでの使用に適したH2担体の例には、限定されるものではないが、水、バイオマス、アンモニア、及び硫化水素がある。
【0020】
続けて図1を参照すると、メタン生成サブシステム101により生成したOCM供給流107は、酸化剤供給流108と共にOCMサブシステム103に導かれて、OCM流出物109を生成する。本明細書により詳細に説明されるように、OCM流出物109は、OCM流出物109の追加の加工処理のための下流のユニット及び/又は分離サブシステムに導くことができる。OCMサブシステム103に供給される酸化剤供給流108は、何らかの適切なO2源により提供され得る。本開示の幾つかの態様に従って、OCM供給流107及び酸化剤供給流108は、OCMサブシステム103に注入される前に加熱され得る。図1は別々の流れとしてOCMサブシステム103に導かれるOCM供給流107及び酸化剤供給流108を例示しているが、OCM供給流107及び酸化剤供給流108は組み合わせられ混合されてOCMサブシステム103に導かれる単一の流れを形成することができると考えられる。本開示の幾つかの態様によると、酸化剤供給流108は、気流、又は空気分離ユニットにより生成するか、若しくは再生可能なH2サブシステム102、CO2電気分解ユニット若しくは本明細書中以下に説明する共電気分解ユニットにより生成する、O2流によって提供することができる。
【0021】
本開示の方法及びシステムによると、OCMサブシステム103は、直列及び/又は並列の1つ又は複数のOCM反応器を含むことができる。OCM反応器は、OCM反応を促進するための1種又は複数種のOCM触媒を含んでいて、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物109を生成する。OCM反応器は、等温又は断熱条件下で作動してOCM反応を実行することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM反応器の入口温度は約400℃~約600℃であることができ、OCM反応器の出口温度は約700℃~約900℃であることができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM反応器の入口圧力は約15ポンド/平方インチゲージ(psig)~約150psigである。OCM触媒は、例えば、米国特許第8,921,256号、米国特許第8,962,517号、及び米国特許第9,718,054号に記載されている触媒のように低温環境(即ち、約400℃~約600℃)で作動するように設計されたOCM触媒のようなあらゆる公知のOCM触媒であり得、それら特許の全開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
本開示の方法及びシステムによると、OCMサブシステム103は、アルカン(例えば、C26、C38)からオレフィン(例えば、C24)を生成するためのポストベッドクラッキング(post-bed cracking)(PBC)ユニットを含むことができる。PBCユニットは、OCM反応器、特にOCM反応器内に含有されるOCM触媒の下流に配置することができる。PBCユニットは別の反応器であってもよいし、又はPBCユニットはOCM反応器の一部分(例えば、同じ反応容器内のPBCユニットの上流に配置されたOCM触媒床)として含まれてもよい。OCM反応は発熱であり、熱を発生するので、OCM反応により発生した熱はアルカン(例えば、C26)をオレフィン(例えば、C24)にクラッキングするのに使用されることができる。PBCユニットは、約600℃~約1,000℃の温度、例えば約800℃~約950℃の温度でクラッキングを行い得る。
【0023】
本開示の方法及びシステムによると、PBCユニットは、OCM流出物109に含有されるもの以外の更なる別のアルカン(例えば、C26、C38)をクラッキングするのに使用することができる。OCM流出物109の熱容量は、幾らかの量の更なる別のアルカンをクラッキングするのに充分であることができる。更なる別のアルカンは、プロセスのリサイクル流又は全く別の起源のアルカンから提供されることができる。これら別のアルカンは、PBCユニットへの注入前に加熱することができる。別のアルカンは、例えば、OCM反応器及び/又はOCM流出物109との熱交換により加熱することができる。
ここで図2を参照すると、本発明に従って、炭素酸化物を、C24を含むオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム200のブロックフロー図が示されている。システム200は、メタン生成サブシステム201、再生可能なH2サブシステム202、OCMサブシステム204、及び分離サブシステム206を含む。メタン生成サブシステム201は、再生可能なH2サブシステム202に流体連通されており、炭素酸化物供給流210及び再生可能なH2サブシステム202により生成した再生可能なH2供給流212を受け取り、CH4を含むOCM供給流213を生成するように構成されている。OCMサブシステム204は、メタン生成サブシステム201の下流にあってそこに流体連通されており、OCM供給流213及びO2を含む酸化剤供給流214を受け取って、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物215を生成するように構成されている。分離サブシステム206は、OCMサブシステム204の下流にあってそこに流体連通されており、OCM流出物215を受け取り、且つOCM流出物215を少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ217と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。第2の流れは分離サブシステム206内で更に分離されて、C24を含む第3の流れ218及びC26を含む第4の流れ219を生成し得る。
【0024】
図2に例示されているシステム200において、メタン生成サブシステム201、再生可能なH2サブシステム202、及びOCMサブシステム204は、図1を参照して先に説明した、メタン生成サブシステム101、再生可能なH2サブシステム102、及びOCMサブシステム103と同じように構成され得る。
図2に示されているように、炭素酸化物供給流210は、再生可能なH2サブシステム202により生成した再生可能なH2供給流212と共にメタン生成サブシステム201に導かれる。本開示の方法及びシステムによると、炭素酸化物供給流210は、CO2、CO又はCO2及びCOの両方を含む。本開示の方法及びシステムによると、炭素酸化物供給流210は、システム200又はプロセスに供給される主要又は唯一の炭素源である。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、炭素酸化物供給流210は捕捉されたCO2を含む。捕捉されたCO2は、限定されないが、鋼/金属生産設備、セメント生産設備、石炭燃焼発電プラント、石炭ガス化、及びバイオマスガス化を含む産業設備から捕捉されたCO2であり得る。捕捉されたCO2はまた幾らかの量のCOも含み得る。
【0025】
ここで図2及び3を参照して、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、炭素酸化物供給流210は、CO2を含有する天然ガス流301からCO2を取り出すことにより生成されるCO2供給流310を含み得る。図3に示されているように、CO2を含有する天然ガス流は、天然ガスからCO2を取り出し、それによりCO2供給流及び実質的にCO2を含まない天然ガス流302を生成するように構成されたガス処理ユニット300に導かれる。本開示の幾つかの態様によると、実質的にCO2を含まない天然ガス流302は(例えば、セールスガスとして天然ガスインフラ設備に販売するために)天然ガスパイプラインに輸出され得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、実質的にCO2を含まない天然ガス流302の少なくとも一部分は、CH4を含むメイクアップ流(makeup stream)221としてOCMサブシステム204に導かれ得る。
【0026】
天然ガス流301はいかなる濃度のCO2を含んでもよい。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、天然ガス流301は、50質量%以下のCO2、例えば1質量%~50質量%、5質量%~50質量%、10質量%~50質量%、15質量%~50質量%、20質量%~50質量%、25質量%~50質量%、30質量%~50質量%、35質量%~50質量%、40質量%~50質量%、及び更には45質量%~50質量%のCO2を含み得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、CO2供給流310は、メタン生成サブシステム201に導かれる炭素酸化物供給流210の少なくとも一部分を含み、残りの部分は上に記載した捕捉されたCO2により供給される。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、メタン生成サブシステム201に導かれる炭素酸化物供給流210は、ガス処理ユニット300により生成されたCO2供給流310からなる。
【0027】
ガス処理ユニット300は、天然ガスからCO2を除去するための知られた従来のシステム又は方法を含み得る。例えば、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、ガス処理ユニット300は天然ガス処理プラント又はその一部分であり得る。本開示の方法及びシステムの他の態様において、ガス処理ユニット300は従来のアミン吸収装置システムであり得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、ガス処理ユニット300はメタン生成サブシステム(例えば、101、201)に流体連通される。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、ガス処理ユニット300はメタン生成サブシステム(例えば、101、201)及びOCMサブシステム(例えば、103、204)に流体連通される。
【0028】
続けて図2を参照すると、システム200は、再生可能なH2供給流212を生成するように構成された再生可能なH2サブシステム202を含む。図2に例示したシステム200において、再生可能なH2サブシステム202は、風力、太陽、バイオマス、地熱、水力発電、原子力、及びこれらの組合せのような再生可能なエネルギー源により発生した電気により電力を供給される電気分解ユニットを含む。電気分解ユニットは、メタン生成サブシステム201及びOCMサブシステム204の上流に配置され、それらに流体連通されている。電気分解ユニットは、水流211を受け取り、2H2O→2H2+O2で与えられる水の電気分解反応によって水をH2ガス及びO2ガスに変換する。電気分解反応により生成したH2ガスは再生可能なH2供給流としてメタン生成サブシステム201に導かれる。同様に、電気分解反応により生成したO2ガスは酸化剤供給流214の少なくとも一部分としてOCMサブシステム204に導かれる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCMサブシステム204に導かれる酸化剤供給流214は電気分解反応により生成した再生可能なO2ガスからなる。従って、電気分解ユニットはOCMサブシステム204に導かれる酸化剤供給流214に必要とされる酸素の全てを再生可能に供給することができる。この態様は、OCMサブシステム204に酸素を供給するために、高価でエネルギー集約的な空気分離ユニット(ASU)の必要性を除外することができる点で特に有利である。
メタン生成サブシステム201において、炭素酸化物供給流210中の炭素酸化物(即ち、CO2、CO、又は両方)は、再生可能なH2供給流212からのH2と反応して、反応i)CO2+4H2→CH4+2H2O及びii)CO+3H2→CH4+H2Oを介してCH4を生成する。メタン生成サブシステム201内で生成したCH4はOCM供給流213としてOCMサブシステム204に導かれる。
【0029】
上に挙げたメタン生成反応により分かるように、かかる反応は水を生成することができ、これはメタン生成サブシステム201を出るOCM供給流213中に存在することができる。従って、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流213中に存在するH2Oの少なくとも一部分は、OCM供給流213がOCMサブシステム204に導かれる前に除去され得る。例えば、OCM供給流213は、OCM供給流213からH2Oを除去するために脱水ユニット203に導くことができる。脱水ユニット203は、OCM供給流213を冷却することによりOCM供給流213からH2Oを除去するノックアウトドラム、又はH2OをOCM供給流213から除去することができる他のあらゆる分離ユニットであり得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流213から除去されたH2Oは流れ222を介して電気分解ユニットにリサイクルすることができる。一方、OCMサブシステム204に存在するOCM触媒が蒸気の存在に耐性であれば、脱水ユニット203は省略することができる。
【0030】
続けて図2を参照すると、OCM供給流213は、酸化剤供給流214と共にOCMサブシステム204に導かれて、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2、及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物215を生成する。OCM流出物215は、OCM流出物215を、少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ217と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するために分離サブシステム206に導くことができる。図2で分かるように、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ217又はその一部分は、メタン生成によってOCM供給流213の生成を促進するためにメタン生成サブシステム201にリサイクルすることができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様に従って、第1の流れ217の少なくとも一部分はシステム内の不活性成分(例えば、N2)の蓄積を防ぐためにパージし得る。加えて、分離サブシステム206は、C2+化合物を含む第2の流れを、C24生成物を含む第3の流れ218及びC26を含む第4の流れ219に分離することができる。図2に示されているように、C26を含む第4の流れ219は、OCMサブシステム204(例えば、OCM反応器又はPBCユニット)に導かれて、C26をクラッキングすることにより追加のC24を生成することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、電気分解ユニットは、分離サブシステム206に流体連通されており、OCM流出物215から分離サブシステム206により分離されたか又はその他取り出されたH2Oを含む流れ220を受け取る(接続は示さない)。
【0031】
分離サブシステム206は、任意の数の分離ユニットを含み得るか又はOCM反応の生成物を分離するのに適した分離技術の任意の組合せを利用し得る。例えば、分離サブシステム206は、低温分離、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、吸着剤、及びこれらの組合せによりOCM流出物215を分離し得る。本開示の方法及びシステムの実施に適した分離サブシステムの例は、例えば、全開示内容が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/011646号、国際公開第2013/106771号、国際公開第2015/106023号、国際公開第2017/065947号、及び国際公開第2018/118105号に記載されている。
図2で分かるように、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様に従って、システム200は、OCMサブシステム204、メタン生成サブシステム201及び分離サブシステム206と流体連通されたCO2除去ユニット205を含む。CO2除去ユニット205は、CO2をOCM流出物215から取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分を流れ216を介してメタン生成サブシステム201に導き、実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステム206に導くように構成されている。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、CO2除去ユニット205により取り出されたCO2の全てが流れ216を介してメタン生成サブシステム201に導かれる。CO2除去ユニット205はプロセス流からCO2を除去するのに適した任意の公知の技術を含み得る。適切なCO2除去技術の例には、限定されるものではないが、アミン吸収装置システム、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、溶媒分離、及び低温分離がある。
【0032】
図2はOCMサブシステム204の下流で分離サブシステム206の上流に位置するCO2除去ユニット205を例示しているが、OCM流出物215中に含有されるCO2は分離サブシステム206によって除去してもよく、これによりCO2除去ユニット205の必要性を除外し得ると考えられる。かかる配置は、分離サブシステム206が吸着技術に基づくシステムで特に適している。
上に記載したように、図2に例示した炭素酸化物をオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム200は、再生可能な水素H2供給流と共にシステム200に供給される主要又は唯一の炭素源としての炭素酸化物供給流210、及び再生可能なエネルギー源により電力を供給された電気分解ユニットにより生成した再生可能な酸化剤供給流を利用する。図2に示したプロセス全体で起こる主要な反応は次の通りである:
メタン生成: CO2+4H2→CH4+2H2
水の電気分解: 2H2O→2H2+O2
OCM: 2CH4+O2→C24+2H2
【0033】
上の反応式から分かるように、電気分解ユニットがH2及びO2を2:1のモル比で生成する(即ち、2H2:O2)ことは明らかである。メタン生成反応及びOCM反応に基づいて、システムに供給されるCO2(即ち、流れ210を介したCO2)の各1モルが4モルのH2及び0.5モルのO2を消費する。従って、O2よりはるかに多くのH2がプロセスで消費され、従って過剰のO2はプロセスからパージされる必要がある。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、過剰のO2は、プロセス/システムから取り出し、後の使用のために貯蔵又は対外的に販売し得る。
OCMサブシステム204で起こるOCM反応と、電気分解ユニットにより生成したH2対O2の2:1の比とのバランスをとるために、CH4を含む任意選択のメイクアップ流221をOCMサブシステム204に導き得る。システムに供給されるCH4対CO2のモル比を増大すると、プロセスでのH2対O2消費のモル比を低下することが決定された。これらのモル比の推定値を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示したデータから分かるように、CO2と比較してより高い割合のCH4がシステムに導入されるにつれて、H2:O2消費のモル比は低下する。実際、モル比2.33:1のCH4対CO2がシステム200に導入されると、約2:1のモル比のH2対O2がシステム200で消費され、これは電気分解ユニットにより生成するH2対O2のモル比に近い。従って、本開示のシステム及び方法の幾つかの態様において、CH4を含む任意選択のメイクアップ流221がOCMサブシステム204に導かれ得、メイクアップ流中のCH4対炭素酸化物供給流210中のCO2のモル比(即ち、CH4:CO2)は0.01:1~5:1、例えば0.1:1~4:1のCH4:CO2のモル比、0.5:1~3.5:1のCH4:CO2のモル比、0.75:1~3:1のCH4:CO2のモル比、更には例えば1:1~2.5:1のCH4:CO2のモル比である。また、CH4源をシステム200に(例えば、メイクアップ流221を介して)提供する能力は、炭素酸化物供給流210を介したシステム200への炭素酸化物の供給が変動するか又は断続的である場合システム200を作動する柔軟性を提供する。
【0036】
上述した通り、CH4がシステム200に供給されないとき過剰のO2はシステムからパージする必要があるが、CO2又はその他の炭素排出源がシステム200から放出される必要はない。しかしながら、CH4がメイクアップ流221を介して増大量で(即ち、システム200に供給されるCO2に対して)システム200に供給されると、システムに(例えば、酸化剤供給流214及び/又は任意選択のメイクアップ流221を介して)供給される少量の不純物として存在し得、また他の場合パージしなければシステム200に蓄積するN2のような不活性成分をパージする以外の理由がなくても、幾らかの量のCO2がシステム200から(例えば、流れ217からパージ流を介して)パージされる必要があり得る。一般に、本開示のシステムからパージする必要があるCO2の量はシステムに供給されるCO2の量未満である。また、本開示の方法及びシステムで利用されるH2及びO2は再生可能なエネルギー及びCO2排出を引き起こさない資源を用いて生成される。従って、本開示のシステム及び方法は有利なことに排出されるより多くのCO2を消費し、それによりC24及びC36のようなオレフィンをネガティブカーボンエミッションで、特に負のCO2排出で生産する。
【0037】
本開示のシステム及び方法の別の利点は、このシステム及び方法が所望の炭素利用率を達成するように調整することができることである。本開示のシステム及び方法の幾つかの態様において、システム及び方法は、少なくとも90%、例えば少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも96%、少なくとも98%の炭素利用率、更には少なくとも99%の炭素利用率で作動する。本開示のシステム及び方法の幾つかの態様において、システム及び方法は、92%~100%の炭素利用率、例えば92%~99.9%の炭素利用率、93%~99.9%の炭素利用率、94%~99.9%の炭素利用率、95%~99.9%の炭素利用率、96%~99.9%の炭素利用率、97%~99.9%の炭素利用率、更には99%~99.9%の炭素利用率で作動する。OCM反応において、炭素利用率は、通例C2+化合物に変換されるCH4からプロセスに供給される炭素の量に基づいて決定される。しかし、本開示のシステム及び方法において、炭素酸化物供給流(即ち、CO2、CO、又は両方を含む供給流)はシステムに供給される主要又は唯一の炭素源として利用され、従って、CH4からプロセスに供給される炭素の量に基づく炭素利用率は常に100%より大きい。例えば、図2に示したシステム200が供給材料としてCH4を含むメイクアップ流221及びCO2を含む炭素酸化物供給流210を含み、メイクアップ流中のCH4対炭素酸化物供給流210中のCO2のモル比(即ち、CH4:CO2)が2.33:1であれば、システム200は3.33モルの炭素をC2+化合物として生成する。従って、システム200はCH4として供給されたわずか2.33モルの炭素に基づいて3.33モルの炭素をC2+化合物として生成し、これは約143%の炭素利用率となる。
【0038】
ここで図4を参照すると、本発明に従って、炭素酸化物を、C24を含むオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム400の、別の実施のブロックフロー図が示されている。図2に例示したシステム200と同様に、システム400は、メタン生成サブシステム401、再生可能なH2サブシステム402、OCMサブシステム403、及び分離サブシステム(番号を付けてない)を含む。メタン生成サブシステム401は、再生可能なH2サブシステム402と流体連通されており、炭素酸化物供給流410及び再生可能なH2サブシステム402で生成した再生可能なH2供給流412を受け取り、且つCH4を含むOCM供給流213を生成するように構成されている。OCMサブシステム403は、メタン生成サブシステム401の下流にあってそこと流体連通されており、OCM供給流413及びO2を含む酸化剤供給流414を受け取って、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物415を生成するように構成されている。
【0039】
図4に例示したシステム400において、メタン生成サブシステム401、再生可能なH2サブシステム402、及びOCMサブシステム403は、図1及び2を参照して先に説明した、メタン生成サブシステム101、201、再生可能なH2サブシステム102、202、及びOCMサブシステム103、204と同じように構成され得る。
OCM流出物415は1つ又は複数の熱交換器404に導かれてOCM流出物415からの熱をプロセス流に伝達し、これによりOCM流出物415を冷却し得る。幾つかの態様において、1つ又は複数の熱交換器は蒸気を生成する熱回収蒸気発生器(HRSG)であり得、この蒸気は、加熱してガスタービンによってパワーを発生するため、又は他のプロセスのために使用され得る。
【0040】
続けて図4を参照すると、1つ又は複数の熱交換器404を通過した後、OCM流出物415は、プロセスガス圧縮器405に導かれて、OCM流出物415の圧力を少なくとも約100psig(690kPa)、少なくとも約150psig(1035kPa)、少なくとも約200psig(1380kPa)、少なくとも約250psig(1725kPa)、又は少なくとも約300psig(2070kPa)のような所望又は適切な圧力に増大し得る。圧縮されたOCM流出物415はCO2除去ユニット406に導かれて、OCM流出物415からCO2を取り出し得る。取り出されたCO2の少なくとも一部分は流れ416を介してメタン生成サブシステムに導かれ得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、CO2除去ユニット406により取り出されたCO2の全てが流れ416を介してメタン生成サブシステム401に導かれる。CO2除去ユニット406は上に記載したCO2除去ユニット205と同じように構成され得る。実質的にCO2を含まないOCM流出物415はプロセスガス乾燥機407に導かれて、実質的にCO2を含まないOCM流出物415からH2Oを除去し得る。プロセスガス乾燥機407は、実質的にCO2を含まないOCM流出物415からH2Oを凝縮し分離するための1つ又は複数のモレキュラーシーブ乾燥機又は分離容器であり得る。
【0041】
図4はOCMサブシステム403の下流且つ分離サブシステムの上流に位置するCO2除去ユニット406を例示しているが、OCM流出物415中に含有されるCO2は分離サブシステムにより除去されてもよく、それによりCO2除去ユニット406の必要性を除外すると考えられる。かかる配置は、分離サブシステムが吸着技術に基づくシステムに適切である。
なおも図4を参照して、プロセスガス乾燥機407を出た後、乾燥した実質的にCO2を含まないOCM流出物415は、OCMサブシステム403の下流でそこに流体連通されており且つ少なくとも脱メタンユニット408及びC2精製ユニット409を含む分離サブシステムに導かれ得る。脱メタンユニット408は、図4に示されているように、メタン生成システム401及びC2精製ユニット409に流体連通されている。脱メタンユニット408は、OCM流出物415を受け取り、OCM流出物を、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ417と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れ418とに分離するように構成されている。第1の流れ417の少なくとも一部分は、脱メタンユニット408からメタン生成サブシステム401に導かれて、メタン生成によるOCM供給流413の生成を促進する。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の流れ417の全てが脱メタンユニット408からメタン生成サブシステムにリサイクルされて、メタン生成によるOCM供給流410の生成を促進する。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の流れ417の少なくとも一部分はパージされて、システム400内の不活性成分(例えば、N2)の蓄積を防ぐ。
【0042】
図4に示されているように、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れ418はC2精製ユニット409に導かれ得る。C2精製ユニット409は、OCMサブシステム403に流体連通されており、第2の流れ418を受け取り、且つ第2の流れ418を、少なくとも、C24を含む第3の流れ419及びC26を含む第4の流れ420に分離するように構成されている。C24を含む第3の流れ419は、収集され得るか又はC24を供給原料として利用する下流のプロセスに導かれ得る。図4で分かるように、C26を含む第4の流れ420はOCMサブシステム403に(例えば、OCM反応器又はPBCユニットに)リサイクルされて、C26をクラッキングすることにより追加のC24を生成し得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、C2精製ユニット409は、C2化合物(例えば、エタン及びエチレン)をC3+化合物(例えば、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン)から分離することができる脱エタンユニット(図には示されてない)を含み得る。分離されたC3+化合物は、流れ422に沿って脱エタンユニットを去り、追加の下流処理を受けることができる。脱エタンユニットからのC2化合物はC2分割器(splitter)(図には示されてない)に導かれることができ、これはC26をC24から分離することができる。C2分割器は蒸留カラムであることができる。
【0043】
ここで図5を参照すると、本発明に従って、二酸化炭素を、C24を含むオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム500のブロックフロー図が示されている。システム500は、メタン生成サブシステム501、再生可能なH2サブシステム502、OCMサブシステム504、分離サブシステム506、及びCO2電気分解ユニット507を含む。CO2電気分解ユニット507は、CO2を含む供給流510を受け取り、且つCOを含む第1の再生可能な電気分解流511及びO2を含む第2の再生可能な電気分解流512を生成するように構成されている。メタン生成サブシステム501は、再生可能なH2サブシステム502及びCO2電気分解ユニット507と流体連通されており、第1の再生可能な電気分解流511及び再生可能なH2サブシステム502により生成した再生可能なH2供給流514を受け取り、且つCH4を含むOCM供給流515を生成するように構成されている。OCMサブシステム504は、メタン生成サブシステム501及びCO2電気分解ユニット507の下流にあってそれらに流体連通されており、OCM供給流515及び第2の再生可能な電気分解流512を含む酸化剤供給流517を受け取り、且つC24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物518を生成するように構成されている。分離サブシステム506は、OCMサブシステム504の下流にあってそれに流体連通されており、OCM流出物518を受け取り、且つOCM流出物518を、少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ520と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。第2の流れは、分離サブシステム506で更に分離されて、C24を含む第3の流れ521及びC26を含む第4の流れ522を生成し得る。
【0044】
図5に例示されているシステム500において、メタン生成サブシステム501、再生可能なH2サブシステム502及びOCMサブシステム504は、図1を参照して本明細書中先に説明したメタン生成サブシステム101、再生可能なH2サブシステム102及びOCMサブシステム103と類似又は同じ構成を有し得、また類似又は同じ構成要素を含み得る。例えば、メタン生成サブシステム501はメタン生成触媒を含有する1つ又は複数のメタン生成反応器を含むことができる。再生可能なH2サブシステム502は、例えば、再生可能なエネルギー源により電力を供給される水電気分解ユニットを含むことができる。OCMサブシステム504は、例えば、OCM流出物518を生成するためにOCM反応を促進するための1種又は複数種のOCM触媒を含む1つ又は複数のOCM反応器を含むことができる。OCMサブシステム504はまたPBCユニットも含むことができる。
【0045】
図5に示されているように、CO2を含む供給流510はCO2電気分解ユニット507に導かれる。本開示の方法及びシステムによると、CO2を含む供給流510は、システム500又はプロセスに供給される主要又は唯一の炭素源である。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、供給流510は捕捉されたCO2を含む。捕捉されたCO2は、限定されないが、鋼/金属生産設備、セメント生産設備、石炭燃焼発電プラント、石炭ガス化、及びバイオマスガス化を含む産業設備から捕捉されたCO2であり得る。捕捉されたCO2はまた幾らかの量のCOも含み得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、供給流510は図3に関して先に記載したように、天然ガス流からCO2を取り出すことにより生成するCO2を含み得る。本開示の幾つかの態様によると、図3に関して記載したように、ガス処理ユニットにより生成した実質的にCO2を含まない天然ガス流の少なくとも一部分は、CH4を含むメイクアップ流524としてOCMサブシステム504に導かれ得る。
【0046】
上述したように、CO2電気分解ユニット507は、CO2を含む供給流510を受け取り、且つCOを含む第1の再生可能な電気分解流511及びO2を含む第2の再生可能な電気分解流512を生成するように構成されている。CO2電気分解ユニット507は、CO2ガスをCOガス及びO2ガスに変換するように作動可能である。例えば、ある一定の態様において、CO2電気分解ユニットは、反応:CO2→CO+1/2O2に従って、CO2ガスをCOガス及びO2ガスに変換することができる。CO2電気分解ユニット507は、CO2をCO及びO2に電気化学的に変換することができるあらゆる技術に基づくことができる。かかる技術には、限定されるものではないが、固体酸化物電気分解(solid oxide electrolysis)、溶融炭酸塩電気分解(molten carbonate electrolysis)、及び低温電気分解(例えば、H型セル電極(H-cell electrode)又はガス拡散電極(gas-diffusion electrode))がある。CO2をCO及びO2に電気化学的に変換するための技術は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/154253号及び米国特許第9,624,589号に記載されている。本開示の方法及びシステムのある一定の態様において、CO2電気分解ユニット507は固体酸化物電気分解セル(SOEC)を含む。SOECは500℃~1,200℃の温度で作動し得る。SOECは、限定されないが、イットリア安定化ジルコニア(YSZ、Y23及びZrO2の固溶体)又はスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)のような安定化ジルコニア、及びガドリニアドープセリア(CGO)又はサマリアドープセリアのようなドープセリアを含む電解質材料を含み得る。更に、SOECは、限定されないが、ニッケル及びYSZ又はCGOの複合材を含むカソード材料を含み得る。更に、SOECは、限定されないが、SrドープLaMnO3(LSM)、SrドープLa(Fe,Co)O3(LSCF)、又はSrドープSmCoO3(SSC)のようなランタニド及び遷移金属のドープペロブスカイトを含むアノード材料を含み得る。第1の再生可能な電気分解流511及び第2の再生可能な電気分解流512を生成するためにCO2電気分解ユニット507に電力を供給するのに必要とされるエネルギーは、1種又は複数種の再生可能なエネルギー源により提供され得る。本開示の方法及びシステムに従って使用され得る代表的な再生可能なエネルギー源には、限定されるものではないが、風力、太陽、バイオマス、地熱、水力発電、及び原子力がある。
【0047】
図5で分かるように、第1の再生可能な電気分解流511は、再生可能なH2サブシステム502により生成した再生可能なH2供給流514と共にメタン生成サブシステム501に導かれる。図5に例示されたシステム500において、再生可能なH2サブシステム502は、風力、太陽、バイオマス、地熱、水力発電、原子力、及びこれらの組合せのような再生可能なエネルギー源により発生した電気により電力を供給される水電気分解ユニットを含む。水電気分解ユニットは、メタン生成サブシステム501及びOCMサブシステム504の上流に配置され、そこに流体連通されている。水電気分解ユニットは、水流513を受け取り、2H2O→2H2+O2による水の電気分解反応によって、水をH2ガス及びO2ガスに変換する。水の電気分解反応により生成したH2ガスは、再生可能なH2供給流514としてメタン生成サブシステム501に導かれる。同様に、水の電気分解反応により生成したO2ガスは、流れ516を介してOCMサブシステム504に導かれて酸化剤供給流517の少なくとも一部分を形成する。図5に見られるように、水の電気分解反応により形成されたO2を含む流れ516は、第2の再生可能な電気分解流512と合わせられて酸化剤供給流517を形成することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCMサブシステム504に導かれる酸化剤供給流517は、i)水電気分解ユニットにより生成した再生可能なO2ガス流516;及びii)第2の再生可能な電気分解流512からなる。従って、水電気分解ユニット及びCO2電気分解ユニットは、OCMサブシステム504に導かれる酸化剤供給流517に必要とされる酸素の全てを再生可能に供給することができる。この態様は、酸素をOCMサブシステム504に供給するために、高価でエネルギー集約的な空気分離ユニット(ASU)の必要性を除外することができるという点で特に有利である。
【0048】
メタン生成サブシステム501において、第1の再生可能な電気分解流511中の炭素酸化物(即ち、CO、CO2、又は両方)は、再生可能なH2供給流514からのH2と反応して、反応i)CO2+4H2→CH4+2H2O及びii)CO+3H2→CH4+H2OによってCH4を生成する。(CO2電気分解ユニット507で達成可能な)CO2の代わりに、より大きい割合のCOをメタン生成サブシステム501に提供することにより、より少ないH2がメタン生成反応に必要とされ、より少ないH2Oが生成する。更に、メタン生成サブシステム501への供給材料中のCOのより高い濃度は、メタン生成反応器のサイズ及びメタン生成反応を実行するのに必要とされるメタン生成触媒の量を低減することができる。メタン生成サブシステム501で生成したCH4はOCM供給流515としてOCMサブシステム504に導かれる。
【0049】
上に記載したメタン生成反応により理解することができるように、かかる反応は水を生成することができ、この水はメタン生成サブシステム501を出るOCM供給流515中に存在することができる。従って、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流515中に存在するH2Oの少なくとも一部分はOCM供給流515がOCMサブシステム504に導かれる前に除去し得る。例えば、OCM供給流515は、OCM供給流515からH2Oを除去するために脱水ユニット503に導くことができる。脱水ユニット503は、OCM供給流515を冷却することによりOCM供給流515からH2Oを除去するノックアウトドラム、又はOCM供給流515からH2Oを除去することができるその他のいかなる分離ユニットであってもよい。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流515から除去されたH2Oは、流れ525を介して水電気分解ユニットにリサイクルすることができる。一方、OCMサブシステム504中に存在するOCM触媒が蒸気の存在に対して耐性であれば、脱水ユニット503は省略することができる。
【0050】
続けて図5を参照すると、OCM供給流515は、第2の再生可能な電気分解流512を含む酸化剤供給流517と共にOCMサブシステム504に導かれて、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物518を生成する。OCM流出物518は、分離サブシステム506に導かれて、OCM流出物518を、少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ520と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することができる。図5で見られるように、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ520又はその一部分は、メタン生成サブシステム501にリサイクルされて、メタン生成によるOCM供給流515の生成を促進することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の流れ520の少なくとも一部分は、システム内の不活性成分(例えば、N2)の蓄積を防ぐためにパージし得る。更に、分離サブシステム506は、C2+化合物を含む第2の流れを、C24生成物を含む第3の流れ521及びC26を含む第4の流れ522に分離することができる。図5に示されている通り、C26を含む第4の流れ522は、OCMサブシステム504に(例えば、OCM反応器又はPBCユニットに)導かれて、C26をクラッキングすることにより追加のC24を生成することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、水電気分解ユニットは、分離サブシステム506に流体連通されており、分離サブシステム506によりOCM流出物518から分離されるか又は取り出されたH2Oを含む流れ523を受け取る(接続部は示されていない)。
【0051】
分離サブシステム506は、任意の数の分離ユニットを含み得、又はOCM反応の生成物を分離するのに適した分離技術の任意の組合せを利用し得る。例えば、分離サブシステム506は、低温分離、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、吸着剤、及びこれらの組合せを用いて、OCM流出物518を分離し得る。本開示の方法及びシステムにおける実施に適した分離サブシステムの例は、例えば、全開示が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/011646号、国際公開第2013/106771号、国際公開第2015/106023号、国際公開第2017/065947号、及び国際公開第2018/118105号に記載されている。
【0052】
図5に見られるように、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、システム500は、OCMサブシステム504、CO2電気分解ユニット507及び分離サブシステム506に流体連通された、CO2除去ユニット505を含む。CO2除去ユニット505は、CO2をOCM流出物518から取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分を流れ519を介してCO2電気分解ユニット507に導き、且つ実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステム506に導くように構成されている。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、CO2除去ユニット505により取り出されたCO2の全てが、流れ519を介してCO2電気分解ユニット507に導かれる。CO2除去ユニット505はプロセス流からCO2を除去するのに適したいずれか公知の技術を含み得る。適切なCO2除去技術の例には、限定されるものではないが、アミン吸収装置システム、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、溶媒分離、及び低温分離がある。
【0053】
図5はOCMサブシステム504の下流且つ分離サブシステム506の上流に位置するCO2除去ユニット505を例示しているが、OCM流出物518中に含有されるCO2は分離サブシステム506によって除去してもよく、それによりCO2除去ユニット505の必要性を除外し得ると考えられる。かかる配置は分離サブシステム506が吸着技術に基づくシステムで適切である。
ここで図6を参照すると、本発明に従って、二酸化炭素を、C24を含むオレフィンに変換する方法を実行するためのシステム600のブロックフロー図が示されている。システム600は、メタン生成サブシステム601、共電気分解ユニット602、OCMサブシステム604、及び分離サブシステム606を含む。共電気分解ユニット602は、CO2を含む第1の供給流610及びH2Oを含む第2の供給流を受け取り、且つCO及びH2を含む再生可能な合成ガス流612並びにO2を含む再生可能な酸化剤流614を生成するように構成されている。メタン生成サブシステム601は、共電気分解ユニット602に流体連通されており、再生可能な合成ガス流612を受け取り、且つCH4を含むOCM供給流613を生成するように構成されている。OCMサブシステム604は、メタン生成サブシステム601及び共電気分解ユニット602の下流にあってそれらに流体連通されており、OCM供給流613及び再生可能な酸化剤流614を受け取り、且つC24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物615を生成するように構成されている。分離サブシステム606は、OCMサブシステム604の下流にあってそこに流体連通されており、OCM流出物615を受け取り、且つOCM流出物615を、少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ617と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離するように構成されている。第2の流れは、分離サブシステム606で更に分離され得て、C24を含む第3の流れ618及びC26を含む第4の流れ619を生成し得る。
【0054】
図6に例示したシステム600において、メタン生成サブシステム601及びOCMサブシステム604は、図1を参照して本明細書中先に説明したメタン生成サブシステム101及びOCMサブシステム103と類似又は同じ構成を有し得、類似又は同じ構成要素を含み得る。例えば、メタン生成サブシステム601はメタン生成触媒を含有する1つ又は複数のメタン生成反応器を含むことができる。OCMサブシステム604は、例えば、OCM流出物615を生成するために、OCM反応を促進するための1種又は複数種のOCM触媒を含む1つ又は複数のOCM反応器を含むことができる。OCMサブシステム604はまたPBCユニットも含むことができる。
【0055】
図6に示されているように、CO2を含む第1の供給流610及びH2Oを含む第2の供給流611が共電気分解ユニット602に導かれる。本開示の方法及びシステムによると、CO2を含む第1の供給流610は、システム600又はプロセスに供給される主要又は唯一の炭素源である。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の供給流610は捕捉されたCO2を含む。捕捉されたCO2は、限定されないが、鋼/金属生産設備、セメント生産設備、石炭燃焼発電プラント、石炭ガス化、及びバイオマスガス化を含む産業設備から捕捉されたCO2であり得る。捕捉されたCO2はまた幾らかの量のCOも含み得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の供給流610は、図3に関連して先に記載したように、天然ガス流からCO2を取り出すことにより生成したCO2を含み得る。本開示の幾つかの態様によると、図3に関連して先に記載したように、ガス処理ユニットにより生成した実質的にCO2を含まない天然ガス流の少なくとも一部分は、CH4を含むメイクアップ流621としてOCMサブシステム604に導かれ得る。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第2の供給流611は蒸気を含む。
【0056】
上述したように、共電気分解ユニット602は、第1及び第2の供給流610、611を受け取り、且つCO及びH2を含む再生可能な合成ガス流612並びにO2を含む再生可能な酸化剤流614を生成するように構成されている。ある一定の態様において、O2を含む再生可能な酸化剤流614はOCMサブシステム604に供給される唯一のO2源である。従って、共電気分解ユニット602は、OCMサブシステム604においてOCM反応を実行するのに必要とされる酸素の全てを再生可能に供給することができる。この態様は、OCMサブシステム604に酸素を供給するために、高価でエネルギー集約的な空気分離ユニット(ASU)の必要性を除外することができるという点で特に有利である。共電気分解ユニット602は、CO2及び水又は蒸気をCO、H2及びO2に変換するように作動可能である。例えば、ある一定の態様において、共電気分解ユニット602は、CO2及び水又は蒸気を、反応:CO2→CO+1/2O2及びH2O→H2+1/2O2に従って、CO、H2及びO2ガスに変換することができる。共電気分解ユニット602は、CO2及び水又は蒸気を、合成ガス成分CO及びH2並びにO2に電気化学的に変換することができるあらゆる技術に基づくことができる。かかる技術の1つの例は固体酸化物電気分解である。本開示の共電気分解ユニット602で使用するのに適切であり得る代表的な技術は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,951,283号、米国特許第8,366,902号、及び米国特許第9,631,284号に記載されている。本開示の方法及びシステムのある一定の態様において、共電気分解ユニット602は固体酸化物電気分解セル(SOEC)を含む。SOECは500℃~1,200℃の温度で作動し得る。SOECは、限定されないが、イットリア安定化ジルコニア電解質材料、スカンジア安定化ジルコニア電解質材料、ランタンガレート(lanthanum gallate)電解質材料(LSGM)、イッテルビウム安定化ジルコニア電解質材料、及びセリア(CeO2)電解質材料を含む電解質材料を含み得る。SOECは、限定されないが、ニッケルジルコニアサーメット材料を含む固体酸化物電気分解セルと共に従来より使用されるカソード材料を含み得る。SOECは、限定されないが、ランタンストロンチウムマンガナイト又はストロンチウムドープランタンマンガナイト材料を含む固体酸化物電気分解セルと共に従来より使用されるアノード材料を含み得る。本開示の方法及びシステムのある一定の態様において、共電気分解ユニット602は、CO、H2及びO2に加えてCH4を生成する。再生可能な合成ガス流612及び再生可能な酸化剤流614を生成するために共電気分解ユニット602に電力を供給するのに必要とされるエネルギーは、1種又は複数種の再生可能なエネルギー源により提供され得る。本開示の方法及びシステムに従って使用できる代表的な再生可能なエネルギー源には、限定されるものではないが、風力、太陽、バイオマス、地熱、水力発電、及び原子力がある。
【0057】
図6に見られるように、再生可能な合成ガス流612はメタン生成サブシステム601に導かれる。メタン生成サブシステム501で、再生可能な合成ガス流612中の炭素酸化物(即ち、CO、CO2、又は両方)及びH2は、反応i)CO2+4H2→CH4+2H2O及びii)CO+3H2→CH4+H2Oによって反応して、CH4を生成する。(共電気分解ユニット602で達成可能な)CO2の代わりに、より大きい割合のCOをメタン生成サブシステム601に提供することにより、より少ないH2がメタン生成反応に必要とされ、より少ないH2Oが生成する。加えて、メタン生成サブシステム601への供給材料中のCOのより高い濃度は、メタン生成反応器のサイズ及びメタン生成反応を実行するのに必要とされるメタン生成触媒の量を低減することができる。更にまた、共電気分解ユニット602により生成したH2は、別の再生可能なH2サブシステムの必要性を除外することができる。メタン生成サブシステム601で生成したCH4は、OCM供給流613としてOCMサブシステム604に導かれる。
【0058】
上記のメタン生成反応により理解されるように、かかる反応は水を生成することができ、水はメタン生成サブシステム601を出るOCM供給流613中に存在することができる。従って、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流613中に存在するH2Oの少なくとも一部分は、OCM供給流613がOCMサブシステム604に導かれる前に除去されてもよい。例えば、OCM供給流613は脱水ユニット603に導かれて、H2OをOCM供給流613から除去することができる。脱水ユニット603は、OCM供給流613を冷却することによりH2OをOCM供給流613から除去するノックアウトドラム、又はOCM供給流613からH2Oを除去することができるその他のいかなる分離ユニットであってもよい。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様において、OCM供給流613から除去されたH2Oは、流れ622を介して共電気分解ユニット602にリサイクルすることができる。一方、OCMサブシステム604中に存在するOCM触媒が蒸気の存在に対して耐性があれば、脱水ユニット603は省略することができる。
【0059】
続けて図6を参照すると、OCM供給流613は、再生可能な酸化剤流614と共にOCMサブシステム604に導かれて、C24及びC26を含むC2+化合物と、CO、CO2、H2及びCH4の1種又は複数種を含む非C2+不純物とを含むOCM流出物615を生成する。OCM流出物615は、分離サブシステム606に導かれて、OCM流出物615を、少なくとも、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ617と、C24及びC26を含むC2+化合物を含む第2の流れとに分離することができる。図6に見られるように、COx、H2及びCH4を含む第1の流れ617又はその一部分は、メタン生成サブシステム601にリサイクルされて、メタン生成によるOCM供給流613の生成を促進することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、第1の流れ617の少なくとも一部分は、システム内の不活性成分(例えば、N2)の蓄積を防ぐためにパージし得る。加えて、分離サブシステム606は、C2+化合物を含む第2の流れを、C24生成物を含む第3の流れ618及びC26を含む第4の流れ619に分離することができる。図6に示されているように、C26を含む第4の流れ619は、OCMサブシステム604に(例えば、OCM反応器又はPBCユニットに)導かれて、C26をクラッキングすることにより追加のC24を生成することができる。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、共電気分解ユニットは、分離サブシステム606と流体連通されており、H2Oを含む流れ620を受け取り(接続部は示されてない)、このH2Oは分離サブシステム606によりOCM流出物615から分離されるか又はその他除去される。
【0060】
分離サブシステム606は、任意の数の分離ユニットを含み得、又はOCM反応の生成物を分離するのに適した分離技術の任意の組合せを利用し得る。例えば、分離サブシステム606は、低温分離、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、吸着剤、及びこれらの組合せを用いて、OCM流出物615を分離し得る。本開示の方法及びシステムにおいて実施に適切な分離サブシステムの例は、例えば、全開示が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/011646号、国際公開第2013/106771号、国際公開第2015/106023号、国際公開第2017/065947号、及び国際公開第2018/118105号に記載されている。
【0061】
図6に見られるように、本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、システム600は、OCMサブシステム604、共電気分解ユニット602及び分離サブシステム606と流体連通された、CO2除去ユニット605を含む。CO2除去ユニット605は、CO2をOCM流出物615から取り出し、取り出されたCO2の少なくとも一部分を流れ616を介して共電気分解ユニット602に導き、且つ実質的にCO2を含まないOCM流出物を分離サブシステム606に導くように構成されている。本開示の方法及びシステムの幾つかの態様によると、CO2除去ユニット605により取り出されたCO2の全てが、流れ519を介してCO2電気分解ユニット507に導かれる。CO2除去ユニット605はCO2をプロセス流から除去するのに適したあらゆる公知の技術を含み得る。適切なCO2除去技術の例には、限定されるものではないが、アミン吸収装置システム、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、膜分離、溶媒分離、及び低温分離がある。
図6はOCMサブシステム604の下流且つ分離サブシステム606の上流に位置するCO2除去ユニット605を例示しているが、OCM流出物615中に含有されるCO2は分離サブシステム606によって除去してもよく、それによりCO2除去ユニット605の必要性を除外することが考えられる。かかる配置は分離サブシステム606が吸着技術に基づくシステムで適切である。
【0062】
図はユニットに別々に導入される様々な流れを示しているが、ユニットに導入される2つ以上の流れがユニットに導入される前に単一の流れに合わせられても又は混合されてもよいと考えられる。例えば、図4に示されている炭素酸化物供給流410及びCO2を含む流れ416は、合わせて単一の流れとしてメタン生成サブシステム401に供給してもよい。
本開示の単数の特性又は限定への参照は全て、他に規定されないか又はその参照がなされている文脈で明白に反対に示されない限り、対応する複数の特性又は限定を含み、その逆もまた同様である。
本明細書で使用される方法又はプロセス段階の全ての組合せは、他に規定されないか又はその組合せの参照がなされている状況で明白に反対に示されない限り、いかなる順序で実行することもできる。
限定されるものではないが百分率、部及び比を含めた、本明細書に開示されている全ての範囲及びパラメーターは、そこに仮定され包含されるいずれか及び全ての部分範囲並びに終点間のあらゆる数を含むと理解される。例えば、「1~10」とされた範囲は、最小値1及び最大値10の間の(両端を含む)いずれか及び全ての部分範囲;即ち、1以上の最小値で始まる(例えば、1~6.1)及び10以下の最大値で終わる(例えば、2.3~9.4、3~8、4~7)全ての部分範囲、並びに最後に範囲内に含有される各々の数1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10を含むと考えられたい。
【0063】
本開示の方法及びシステムは、本明細書に記載されている本開示の必須の要素及び限定、並びに本明細書に記載されているか又はメタンの酸化カップリング用途を含めた炭化水素又は石油化学プロセッシング用途で有用であることが公知のあらゆる付加的又は任意選択の構成要素又は特徴を含むか(comprise)、それらからなるか(consist of)、又はそれらから本質的になる(consist essentially of)ことができる。
用語「含むinclude」、「含むincludes」、又は「含むincluding」は、本明細書又は特許請求の範囲で使用される限り、請求項で移行語(transitional word)として使用されるときに解釈される用語「含むcomprising」と同様に、包括的であることが意図されている。また、用語「又は」が使用される限り(例えば、A又はB)、「A若しくはB、又はA及びBの両方」を意味することが意図されている。出願人が「A又はBのみで両方ではない(only A or B but not both)」ことを示す意図であるときは、用語「A又はBのみで両方ではない」が使用される。このように、本明細書で用語「又は」の使用は包括的であって、排他的な使用ではない。また、表現「A、B及びCの少なくとも1つ」は「Aのみ若しくはBのみ若しくはCのみ又はこれらの組合せ」と解釈するべきである。本開示で、単語「a」又は「an」は単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。逆に、複数の項目への言及はいずれも、必要に応じて単数も包含する。
【0064】
本開示に従って、様々な発明概念をお互いに組み合わせて利用することが可能である。加えて、本開示の方法及びシステムの、特に開示された態様に関連して述べられたあらゆる特定の特徴は、その特定の特徴の組み込みが開示された態様の明示条件と矛盾しない限り、本開示の方法及びシステムの全ての開示された態様で使用するのに利用可能であると解釈するべきである。追加の利点及び修正は当業者には直ちに明らかである。従って、本開示は、そのより広い態様において、そこに提示された具体的な詳細、代表的な装置、又は示され記載された具体例に限定されない。従って、一般的発明概念の思想又は範囲から逸脱することなくかかる詳細からの逸脱が可能である。
【0065】
本明細書に提示された一般的発明概念の範囲は本明細書に示され記載された特定の例示態様に限定されることは意図されていない。当業者は、与えられた開示から、一般的発明概念及びその付随する利点を理解するばかりでなく、開示されたデバイス、システム及び方法の明らかな各種の変化及び修正も見出すであろう。従って、全てのかかる変化及び修正が本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された一般的発明概念の思想及び範囲並びにそのあらゆる均等物の範囲内に入ると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】