(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-11
(54)【発明の名称】正極ペースト、正極シート、リチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/1391 20100101AFI20231204BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20231204BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20231204BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20231204BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20231204BHJP
【FI】
H01M4/1391
H01M4/62 Z
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/131
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501535
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2021128404
(87)【国際公開番号】W WO2023077299
(87)【国際公開日】2023-05-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】張倩倩
(72)【発明者】
【氏名】趙延杰
(72)【発明者】
【氏名】李星
(72)【発明者】
【氏名】金海族
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA09
5H050AA10
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA11
5H050EA22
5H050EA23
5H050EA24
5H050HA01
(57)【要約】
本出願の実施例は、正極ペーストを提供し、本出願ペーストを含む正極シート、リチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置をさらに提供し、前記正極ペーストは、マンガン含有正極活性材料、正極用添加剤を含み、その中で、前記正極用添加剤は式(I)の化合物であり、その中で、A=B、かつN、O、S中のいずれか1つから選択され、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~7のアルキル基から選択される。本出願の正極ペーストは、マンガンイオンを効果的に捕捉することでマンガンイオンの負極材料表面での析出を大幅に減少し、リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の循環と保存過程中の容量減衰を緩和して、電池の耐用年数を延長し、高温循環性能および高温保存性能を向上させることができる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンガン含有正極活性材料、正極用添加剤を含み、
【化1】
ここで、A=B、かつN、O、S原子中のいずれか1つから選択され、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~7のアルキル基から選択される、正極ペースト。
【請求項2】
前記式(I)の正極用添加剤中のR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~3のアルキル基から選択され、かつAとBはN原子である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項3】
前記正極用添加剤はN,N,N',N'-テトラ(2-ベンゾイミダゾリルメチレン)-1,2-エタンジアミン(EDTB)である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項4】
正極ペーストの総重量を基準で、前記正極用添加剤の量は0.06重量%~1.5重量%であり、好ましくは0.5重量%~1重量%である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項5】
前記マンガン含有正極活性材料と正極用添加剤の重量比が40:1~1000:1であり、好ましくは60:1~200:1である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項6】
前記マンガン含有正極活性材料は、リチウムマンガン酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムアルミニウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物およびそれらの変性化合物中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記マンガン含有正極活性材料の量は50重量%~75重量%である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項7】
前記正極ペーストは接着剤を含み、前記接着剤は、スチレン、アクリレート、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステル、エポキシ樹脂、線状ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフィドゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンゴムおよびゼラチン中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記接着剤の量は0.5重量%~1重量%である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項8】
前記正極ペーストは導電剤を含み、前記導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバー中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記導電剤の量は0.9重量%~1.5重量%である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項9】
前記正極ペーストは分散剤をさらに含み、前記分散剤は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびアルキルスルホン酸中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記分散剤の量は0.05重量%~0.1重量%である、請求項1に記載の正極ペースト。
【請求項10】
正極集電体および正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた正極膜層を含み、前記正極膜層は請求項1~9のいずれか1項に記載の正極ペーストを含む、正極シート。
【請求項11】
正極膜層が請求項1~9のいずれか1項に記載の正極ペーストを含む正極シート、または請求項10に記載の正極シートを含む、リチウムイオン電池。
【請求項12】
請求項11に記載のリチウムイオン電池を含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項14】
請求項11に記載のリチウムイオン電池、請求項12に記載の電池モジュールまたは請求項13に記載の電池パック中の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする電力使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池の技術分野に関し、特に正極ペースト、および包含其の正極シート、リチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の普及に伴い、リチウムイオン電池は、水力、火力、風力および太陽光発電所などのエネルギ貯蔵電源システム、および電気工具、電気自転車、電気バイク、電気自動車、軍事装置、航空宇宙などの様々な分野に幅広く適用されている。リチウムイオン電池の大きな発展に連れて、エネルギー密度、循環性能および安全性能などに対する要求もますます高まっている。
【0003】
リチウムイオン電池の動作電圧とエネルギー密度は、正極材料に大きく依存する。リチウムマンガン酸化物(例えばスピネルマンガン酸リチウムLiMn2O4)は、資源が豊富で、エネルギー密度が高く、コストが低く、汚染なく、安全性が高いなどの利点を有するため、リチウムイオン動力電池の理想的な正極材料と考えられる。しかしながら、リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の容量減衰が特に高温条件下で速く、大規模適用には限界がある。電解液中のマンガン溶解は、正極材料リチウムマンガン酸化物の容量減衰の最も主要な要因と考えられる。その容量の減衰を抑制するために、多元素ドープや表面コーティングなどの方法が採用されているが、マンガンの溶解をある程度抑制するだけで、より効果的にマンガンの析出を抑制して電池容量の減衰を緩和することができない。したがって、さらにリチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の耐用年数を延長し、電池高温循環性能と高温保存性能を高めるより効果的な調整材料または方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題を解決するために、本出願の目的は、リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の耐用年数、高温循環性能および高温保存性能を効果的に改善することができる正極ペーストを提供し、本出願ペーストを含む正極シート、リチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置を提供することである。
【0005】
上記目的を達成するために、本出願は、マンガン含有正極活性材料、正極用添加剤を含む正極ペーストを提供し、
【0006】
その中で、前記正極用添加剤は式(I)の化合物であり、
【化1】
【0007】
その中で、A=B、かつN、O、S原子中のいずれか1つから選択され、
【0008】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~7のアルキル基から選択され。
【0009】
その結果、本出願の正極ペーストは、マンガンイオンを効果的に捕捉してマンガンイオンの負極材料表面への析出を大幅に減少することで、リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の循環と保存過程中の容量減衰を緩和し、電池の耐用年数を延長し、高温循環性能と高温保存性能を向上させることができる。
【0010】
任意の実施形態では、前記式(I)の正極用添加剤中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~3のアルキル基から選択され、かつAとBはN原子である。
【0011】
任意の実施形態では、前記正極用添加剤はN,N,N',N'-テトラ(2-ベンゾイミダゾリルメチレン)-1,2-エタンジアミン(EDTB)である。
【0012】
任意の実施形態では、正極ペーストの総重量を基準で、前記正極用添加剤の量は0.06重量%~1.5重量%であり、好ましくは0.5重量%~1重量%である。
【0013】
任意の実施形態では、前記マンガン含有正極活性材料と正極用添加剤の重量比が40:1~1000:1であり、好ましくは60:1~200:1である。
【0014】
任意の実施形態では、前記マンガン含有正極活性材料は、リチウムマンガン酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムアルミニウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物およびそれらの変性化合物中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記マンガン含有正極活性材料の量は50重量%~75重量%である。
【0015】
任意の実施形態では、前記正極ペーストは接着剤を含み、前記接着剤は、スチレン、アクリレート、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステル、エポキシ樹脂、線状ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフィドゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンゴムおよびゼラチン中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記接着剤の量は0.5重量%~1重量%である。
【0016】
任意の実施形態では、前記正極ペーストは導電剤を含み、前記導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバー中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記導電剤の量は0.9重量%~1.5重量%である。
【0017】
任意の実施形態では、前記正極ペーストは分散剤をさらに含み、前記分散剤は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびアルキルスルホン酸中の少なくとも1つから選択され、正極ペーストの総重量を基準で、前記分散剤の量は0.05重量%~0.1重量%である。
【0018】
本出願の第2側面は、正極シートをさらに提供し、正極集電体および正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた正極膜層を含み、前記正極膜層は上記実施形態のいずれか1項に記載の正極ペーストを含有する。
【0019】
本出願の第3側面は、正極膜層が上記実施形態のいずれか1項に記載の正極ペーストを含有する正極を含むリチウムイオン電池を提供する。
【0020】
本出願のリチウムイオン電池は、上記正極ペーストを含有する正極を含むので、改善された耐用年数、高温循環性能および高温保存性能を有する。
【0021】
本出願の第4側面は、本出願の第3側面のリチウムイオン電池を含む電池モジュールを提供する。
【0022】
本出願の第5側面は、本出願の第4側面の電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0023】
本出願の第6側面は、本出願の第3側面のリチウムイオン電池、本出願の第4側面の電池モジュールまたは本出願の第5側面の電池パックから選択された少なくとも1つを含む電力使用装置を提供する。
【0024】
本出願の電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置は、本出願で提供されるリチウムイオン電池を含むので、少なくとも前記リチウムイオン電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本出願の一実施形態の正極用添加剤とマンガンで複合体を形成する場合の概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態のリチウムイオン電池の概略図である。
【
図3】
図2に示す本出願の一実施形態のリチウムイオン電池の分解図である。
【
図4】本出願の一実施形態の電池モジュールの概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態の電池パックの概略図である。
【
図6】
図5に示す本出願の一実施形態の電池パックの分解図である。
【
図7】本出願の一実施形態のリチウムイオン電池を電源として使用する電力使用装置の概略図である。
【符号の説明】
【0026】
1 電池パック
2 上部箱体
3 下部箱体
4 電池モジュール
5 リチウムイオン電池
51 ケーシング
52 電極アセンブリ
53 トップカバーアセンブリ
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を適切に参照して本出願の正極ペースト、正極シート、リチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電学装置を開示する実施形態を詳細に説明する。不要な詳細な説明を省略する場合もある。例えば、周知の事項詳細な説明、実質的に同一の構造の重複説明を省略する場合もある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを避け、当業者が容易に理解できるのためである。また、図面および以下の説明は当業者が本出願を十分に理解できるために提供され、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0028】
本出願で開示された「範囲」は下限と上限の形で限定され、所定の範囲は下限と上限を選択することで限定され、選択された下限と上限は所定の範囲の境界を限定する。このように限定された範囲は上下限値を含んでも含まなくてもよく、任意に組み合わせることができ、つまり任意の下限は任意の上限と組み合わせて範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータについて60~120および80~110の範囲を設定すると、60~110および80~120の範囲も想定されることと理解されたい。また、最小範囲値1と2、および最大範囲値3、4と5を設定すると、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4および2~5という範囲も想定されることと理解されたい。本出願では、特に断らない限り、数値範囲「a~b」はaからbまでの任意実数の組み合わせの略称を示し、aとbは実数である。例えば数値範囲「0~5」の場合、本文では「0~5」間のすべての実数が記載されており、「0~5」はこれらの数値の組み合わせの略称である。また、あるパラメータは2以上の整数である場合、このパラメータは例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などの整数であることを示す。
【0029】
特に断らない限り、本出願のすべての実施形態および選択可能な実施形態を互いに組み合わせて新しい技術的解決手段を形成することができる。
【0030】
特に断らない限り、本出願のすべての技術特徴および選択可能な技術特徴を互いに組み合わせて新しい技術的解決手段を形成することができる。
【0031】
特に断らない限り、本出願のすべてのステップは順に実行してもよいし、ランダムに実行してもよく、好ましくは順に実行する。例えば、前記方法のステップ(a)と(b)について、前記方法は順に実行されるステップ(a)と(b)を含んでもよいし、順に実行されるステップ(b)と(a)を含んでもよい。例えば、前記の方法はステップ(c)をさらに含んでもよく、ステップ(c)は任意の順序で前記方法に追加され、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよいし、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよいし、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0032】
特に断らない限り、本出願で提出される「含む」および「からなる」は開放式であってもよいし、密閉式であってもよい。例えば、前記「含む」および「からなる」は、記載されていない他の成分も含むまたはからなることを意味してもよいし、記載されている成分のみを含むまたはからなることを意味してもよい。
【0033】
特に断らない限り、本出願では、「または」用語は包括的なものである。例えば、「AまたはB」とは、「A、B、またはAとB両者」を意味する。より具体的には、Aが真(または存在)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在)、またはAとBが真(または存在)のいずれか1つも「AまたはB」の条件を満たす。
【0034】
充放電過程中、特に高温下(55℃以上)でリチウムマンガン酸化物(例えば、スピネルマンガン酸リチウムLiMn2O4)の容量減衰が速く、リチウムマンガン酸化物作のリチウムイオン電池正極材料としての適用の大きな支障となっている。現在、リチウムマンガン酸化物の循環中の容量減衰は主にMn3+に起因すると考えられている。スピネルマンガン酸リチウムLiMn2O4を例にすると、電気化学循環過程中、LiMn2O4中のMn3+が電解液と作用し、Mn3+が不均化反応してMn4+とMn2+を生成し、Mn2+が電解液に溶解し、高温下でMn2+の溶解速度が速くなる。マンガンの溶解がLiMn2O4の構造を破壊し、正極活性材料LiMn2O4の損失につながり、LiMn2O4表面のMn4+割合の上昇につれて、正極材料LiMn2O4の電荷転送能力が低下し、表面抵抗が上昇し、リチウムイオンの脱挿入がより困難になり、容量が急激に減衰する一方、Mn3+の溶解により溶解したMn2+が負極に移動し、リチウムが埋め込まれたグラファイト負極で還元され、固体Mnとして負極上面に析出し、Mn2+も電解液の分解生成物と反応してフッ化物または酸化物を生成して電極表面に析出し、電極のインピーダンスが増加し、リチウムイオン拡散通路の詰まりを引き起こし、容量の減衰が発生する。このような継続的なマンガンイオン溶出は負極の可逆性を著しく破壊し、電池抵抗の悪化、ガス発生、容量減衰の促進、ひいては電池寿命の減退につながる。同時に、負極に蓄積したマンガンがより多くの活性リチウムイオンを消費してより厚いパッシベーション膜(固体電解質界面膜、SEI膜とも呼ばれる)を形成し、容量が迅速に減衰し、電池循環と保存性能が低下する。
【0035】
リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池中のマンガンの溶解-析出過程に対して、現在、主に表面コーティングとバルク相ドーピングによって正極リチウムマンガン酸化物を改質して、マンガン溶解を抑制するという効果を達成する方法が採用されている。しかしながら、直接のバルク相ドーピングではNi、Coなどの活性カチオンを使用すると安全、コストで問題が生じ、Al、Tiなどの活性カチオンを使用すると初回容量損失を引き起こし、表面コーティング方法によって新しい界面層が形成されると、リチウムイオンの転送抵抗が上昇する。また、マンガン酸リチウムの変性もマンガン溶解を完全に抑制する効果が達成されない。したがって、電池に溶出したマンガンイオンを安定状態にさせて析出反応のバランスを取り、マンガンイオンの溶解を抑制しマンガンの負極表面での析出を低減して、負極を被毒やそれに伴う容量と耐用年数の低減から保護し、リチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の耐用年数を延長し、電池の高温循環性能および高温保存性能を向上させる。
【0036】
本出願の正極ペーストは例えばリチウムイオン電池に適用される。
【0037】
具体的には、本出願の第1側面は、マンガン含有正極活性材料、正極用添加剤を含む正極ペーストを提供し、
【0038】
その中で、前記正極用添加剤は式(I)の化合物であり、
【化2】
【0039】
その中で、A=B、かつN、O、S原子中のいずれか1つから選択され、
【0040】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~7のアルキル基から選択される。
【0041】
本出願は、正極用添加剤とマンガンイオンで形成された複合体(
図1に示す)によりマンガンイオンを正極材料に「固定」され、負極に移動したマンガンイオンの数を低減し、遷移金属マンガンが負極表面パッシベーション膜(固体電解質界面膜、SEI膜とも呼ばれる)に対して活性リチウムを消費することによって引き起こされた容量損失を低減し、リチウムイオン電池の寿命を延長し、電池の高温循環性能および高温保存性能を向上させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、AとBは同じ原子種を示し、構造が安定で、合成上容易で入手しやすく、好ましは、AとBはN原子から選択され、N原子は単独対電子を有し、金属によりよく配位し、熱力学的に安定な複合体を容易に形成することができる。
【0043】
選択可能に、前記式(I)の正極用添加剤中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素、炭素原子数1~3のアルキル基から選択され、かつAとBはN原子である。
【0044】
前記炭素原子数が1~7のアルキル基は炭素原子数が1~7の直鎖または分岐のアルキル基、例えば、メチル、エチル、ポロピル、イソポロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルなどである。
【0045】
前記炭素原子数が1~3のアルキル基は例えばメチル、エチル、ポロピル、イソポロピルである。
【0046】
選択可能に、前記正極用添加剤はN,N,N',N'-テトラ(2-ベンゾイミダゾリルメチレン)-1,2-エタンジアミン(EDTB)である。この添加剤はN含有多座配位子であり、マンガンと安定な複合体を容易に形成でき、溶出したマンガンイオンが正極表面に「固定」され、マンガンイオンの負極材料表面での析出を低減することができる。
【0047】
選択可能に、正極ペーストの総重量を基準で、前記正極用添加剤の量は0.06重量%~1.5重量%であり、好ましくは0.5重量%~1重量%である。正極用添加剤の量が低すぎると、固定されていないマンガンイオンが負極に移動して負極表面で析出し、負極の被毒とそれに伴う容量や耐用年数の低減につながり、正極用添加剤の量が高すぎると、マンガンイオンの固定効果をさらに向上させることができず、正極ペーストの重量を占め、電池エネルギー密度を低下させる。
【0048】
選択可能に、前記マンガン含有正極活性材料と正極用添加剤の重量比が40:1~1000:1であり、好ましくは60:1~200:1である。両者の割合が低すぎると、正極用添加剤の含有量が必要以上に高くなり、電池エネルギー密度が低下し、割合が高すぎると、添加剤の含有量が低すぎて正極マンガンの溶出をより少なくすることができない。
【0049】
選択可能に、前記マンガン含有正極活性材料は、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4)、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムアルミニウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333とも略称される)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523とも略称される)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211とも略称される)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622とも略称される)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811とも略称される))およびそれらの変性化合物中の少なくとも1つである。正極ペーストの総重量を基準で、前記マンガン含有正極活性材料の量は50重量%~75重量%である。これらの正極活性材料は単独で使用されてもよいし、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。正極活性材料の量が低すぎると、正極ペーストの固形分が少なく、後段では電極シートの乾燥が困難であり、正極活性材料の量が高すぎると、ペースト粘度と安定性を容易に制御することができない。
【0050】
選択可能に、前記正極ペーストは接着剤を含み、前記接着剤はスチレン、アクリレート、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステル、エポキシ樹脂、線状ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフィドゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンゴムおよびゼラチン中の少なくとも1つから選択される。正極ペーストの総重量を基準で、前記接着剤の量は0.5重量%~1重量%である。接着剤の量が低すぎると、正極ペーストの安定性と正極シートの構造安定性が悪く、電池循環性能が悪くなり、接着剤の量が高すぎると、正極ペーストの安定性を容易に制御できず、電池エネルギー密度を低下させる。
【0051】
選択可能に、前記正極ペーストは導電剤を含み、前記導電剤は超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバー中の少なくとも1つから選択される。正極ペーストの総重量を基準で、前記導電剤の量は0.9重量%~1.5重量%である。導電剤の量が低すぎると、正極シートダイヤフラム抵抗が高くなり、導電剤の量が高すぎると、正極ペーストが凝集して電池性能に悪影響を与える。
【0052】
選択可能に、前記正極ペーストは分散剤をさらに含み、前記分散剤はポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびアルキルスルホン酸中の少なくとも1つから選択される。正極ペーストの総重量を基準で、前記分散剤の量は0.05重量%~0.1重量%である。分散剤の量が低すぎると、正極ペーストの攪拌均一性に影響を与え、分散剤の量が高すぎると、他の成分の含有量が犠牲し、正極ペーストの全体性能に影響を与え、正極シート構造が不安定になり、電池循環性が悪くなる。
【0053】
選択可能に、前記正極ペーストは溶媒をさらに含み、前記溶媒はN-メチルピロリドンである。前記溶媒の量は20重量%~48重量%である。溶媒が少なすぎると、正極ペーストの分散性が悪く、溶媒が多すぎると、電極シートの乾燥を容易に制御できず、電池性能に影響を与える。
【0054】
本出願の第2側面は、正極シートを提供し、正極集電体および正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた正極膜層を含み、前記正極膜層は本出願の第1側面の正極ペーストを含む。
【0055】
本出願の第3側面は、リチウムイオン電池を提供し、本出願の第1側面の正極ペーストまたは本出願の第2側面の正極シートを含む。
【0056】
通常、リチウムイオン電池は、正極シート、負極シート、電解質およびダイヤフラムを含む。電池の充放電過程中、活性イオンが正極シートと負極シート間で往復に埋め込まれたり外されたりする。電解質が正極シートと負極シート間でイオンを伝導する作用を果たす。ダイヤフラムは正極シートと負極シート間に設けられ、主に正負極の短絡を防止する作用を果たし、同時にイオンを通過させるために使用される。
【0057】
以下、図面を参照して本出願のリチウムイオン電池、電池モジュール、電池パックおよび電力使用装置を説明する。
【0058】
[正極シート]
【0059】
正極シートは正極集電体および正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた正極膜層を含み、前記正極膜層は本出願の第1側面の正極活性材料を含む。
【0060】
例示的に、正極集電体は自分厚さ方向に対向する2つの表面を有し、正極膜層は正極集電体の対向する2つの表面のいずれか一方または両方に設けられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記正極集電体は金属箔シートまたは複合集電体を採用している。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を使用する。複合集電体は高分子材料ペース層と高分子材料ペース層の少なくとも1つの表面に設けられた金属層を含む。複合集電体は金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金等)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)等の基材)に形成して形成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、正極活性材料は本分野で周知の電池用マンガン含有正極活性材料を使用する。例示的に、マンガン含有正極活性材料は、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4)、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムアルミニウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333とも略称される)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523とも略称される)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211とも略称される)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622とも略称される)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811とも略称される))、およびそれらの変性化合物中の少なくとも1つである。これらの正極活性材料は単独で使用できるし、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、正極膜層は選択可能に接着剤を含む。例示的に、前記接着剤は、スチレン、アクリレート、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステル、エポキシ樹脂、線状ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフィドゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンゴムおよびゼラチン中の少なくとも1つを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、正極膜層は選択可能に導電剤を含む。例示的に、前記導電剤は超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバー中の少なくとも1つを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、正極シートは以下のように製造され:上記正極シート製造用の成分、例えば正極活性材料、導電剤、接着剤および他の任意成分を溶媒(例えばN-メチルピロリドン)に分散させて正極ペーストを形成し、正極ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥やコールドプレスなどの工程を経った後、正極シートを得る。
【0066】
[負極シート]
【0067】
負極シートは、負極集電体および負極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた負極膜層を含み、前記負極膜層は負極活性材料を含む。
【0068】
例示的に、負極集電体は自分厚さ方向に対向する2つの表面を有し、負極膜層は負極集電体の対向する2つの表面のいずれか1つまたは両方に設けられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記負極集電体は金属箔シートまたは複合集電体を採用する。例えば、金属箔シートとして、銅箔を使用する。複合集電体は、高分子材料ペース層と高分子材料基材の少なくとも1つの表面に形成された金属層を含む。複合集電体は金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金等)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)等の基材)に形成して形成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、負極活性材料は本分野で周知の電池用の負極活性材料を採用する。例示的に、負極活性材料は、人造グラファイト、天然グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料およびチタン酸リチウムなどの少なくとも1つを含む。前記シリコン系材料はモノリスシリコン、酸化シリコン、シリコン炭素錯体、シリコン窒素錯体およびシリコン合金中の少なくとも1つから選択される。前記スズ系材料は、モノリス錫、錫-酸素化合物およびスズ合金中の少なくとも1つから選択される。本出願はこれらの材料に限定されず、電池負極活性材料用の他の従来材料を使用してもよい。これらの負極活性材料は単独で使用できるし、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、負極膜層は選択可能に接着剤をさらに含む。前記接着剤はスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及カルボキシメチルキトサン(CMCS)中の少なくとも1つから選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、負極膜層は選択可能に導電剤をさらに含む。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびカーボンナノファイバー中の少なくとも1つから選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、負極膜層は選択可能に、増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などの他の助剤をさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、負極シートは以下のように製造され:上記の負極シート製造用成分、例えば負極活性材料、導電剤、接着剤および他の任意成分を溶媒(例えば脱イオン水)に分散させて負極ペーストを形成し、負極ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥やコールドプレスなどの工程を経った後、負極シートを得る。
【0075】
[電解質]
【0076】
電解質は正極シートと負極シート間でイオンを伝導する作用を果たす。本出願では、電解質の種類を具体的に制限することなく、必要に応じて選択すればよい。例えば、電解質は液体、ゲルまたは全固体のいずれかであってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記電解質は電解液を使用する。前記電解液は電解質塩と溶媒を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、電解質塩はヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ素酸リチウム、ビスフルオロスルホンイミドリチウム、ビストリフルオロメタンスルホンイミドリチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム、ジオキサロホウ酸リチウム、リン酸ジフルオロビスシュウ酸リチウムおよびリン酸テトラフルオロシュウ酸リチウム中の少なくとも1つから選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルカーボネート、フッ化エチレンカーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、シクロブタンスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホンおよびジエチルスルホン中の少なくとも1つから選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記電解液は選択可能に添加剤を含む。例えば、添加剤は、負極成膜添加剤、正極成膜添加剤を含んでもよいし、電池のいくつかの性能を改善可能な添加剤、例えば電池過充電性能改善用の添加剤、電池高温または低温性能改善用の添加剤などを含んでもよい。
【0081】
[ダイヤフラム]
【0082】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池はダイヤフラムをさらに含む。本出願は、ダイヤフラムの種類を特に制限することなく、良好な化学的安定性および機械的安定性を有する周知の多孔質構造ダイヤフラムを使用することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ダイヤフラムの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリフッ化ビニリデン中の少なくとも1つから選択される。ダイヤフラムは単層薄膜や多層複合薄膜であってもよく、特に制限されない。ダイヤフラムが多層複合薄膜である場合、各層の材料は同じでも異なってもよく、特に制限されない。
【0084】
いくつかの実施形態では、正極シート、負極シートとダイヤフラムから巻取プロセスまたは積層プロセスによって電極アセンブリを製造することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池は外部パックを含んでもよい。この外部パックは上記電極アセンブリおよび電解質をパッケージするために使用される。
【0086】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池の外部パックは硬質ケースであり、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼ケースなどであってもよい。リチウムイオン電池の外部パックはパウチソフトパックなどのソフトパックであってもよい。ソフトパックの材質はプラスチックであり、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートおよびポリブチレンサクシネートなどを挙げることができる。
【0087】
本出願では、リチウムイオン電池の形状を特に制限することなく、円筒形、角形または他の任意の形状であってもよい。例えば、
図2は一例の角形構造のリチウムイオン電池5を示す。
【0088】
いくつかの実施形態では、
図3を参照すると、外部パックは、ケーシング51およびカバープレート53を含む。その中で、ケーシング51は、底板と底板に接続された側板を含み、底板と側板によって収容チャンバーを形成する。ケーシング51は収容チャンバーと連通する開口を有し、カバープレート53は前記開口を被覆して前記収容チャンバーを封止する。正極シート、負極シートとダイヤフラムから巻取プロセスまたは積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成する。電極アセンブリ52は前記収容チャンバー内にパッケージされる。電解液は電極アセンブリ52に浸入する。リチウムイオン電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は1つまたは複数であってもよく、本分野の当業者は具体的な実際の要件に応じて選択すればよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池は、電池モジュールに組み立てられ、電池モジュールに含まれるリチウムイオン電池の数は1つまたは複数であってもよく、具体的な数については、本分野の当業者が電池モジュールの適用と容量に応じて選択すればよい。
【0090】
図3は一例の電池モジュール4を示す。
図4を参照すると、電池モジュール4では、複数のリチウムイオン電池5は電池モジュール4の長手方向に沿って順に並んで配置される。もちろん、他の任意の方法で配置され得る。さらに、締付部材を介して複数のリチウムイオン電池5を固定することができる。
【0091】
選択可能に、電池モジュール4は、収容空間を有するケースを含み、複数のリチウムイオン電池5はこの収容空間に収容されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、上記電池モジュールは電池パックに組み立てられ、電池パックに含まれる電池モジュールの数は1つまたは複数であってもよく、具体的な数については、本分野の当業者が電池パックの適用と容量に応じて選択すればよい。
【0093】
図5および
図6は一例の電池パック1を示す。
図5および
図6を参照すると、電池パック1は、電池箱と電池箱に設けられた複数の電池モジュール4を含む。電池箱は上部箱体2と下部箱体3を含み、上部箱体2は下部箱体3にキャップされて、電池モジュール4を収容するための封止空間を形成する。複数の電池モジュール4は、任意に電池箱に配置され得る。
【0094】
また、本出願は電力使用装置をさらに提供し、前記電力使用装置は、本出願で提供されるリチウムイオン電池、電池モジュール、または電池パック中の少なくとも1つを含む。前記リチウムイオン電池、電池モジュール、または電池パックは、前記電力使用装置の電源としてもよいし、前記電力使用装置のエネルギー貯蔵ユニットとしてもよい。前記電力使用装置は、携帯機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電気車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電気自転車、電気スクーター、電気ゴルフカート、電気トラックなど)、電気列車、船舶および人工衛星、エネルギ貯蔵システムなどを含むが、これらに限定されない。
【0095】
前記電力使用装置として、その使用要件に応じてリチウムイオン電池、電池モジュールまたは電池パックを選択すればよい。
【0096】
図7は一例の電力使用装置を示す。この電力使用装置は純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、またはプラグインハイブリッド電気自動車などであってもよい。この電力使用装置の高出力と高エネルギー密度のリチウムイオン電池の要件を満たすために、電池パックまたは電池モジュールを使用することができる。
【0097】
もう一例の装置は携帯電話、タブレット、ノートパソコンなどであってもよい。この装置は通常軽量化や薄膜化が要求され、リチウムイオン電池を電源として使用することができる。
【0098】
実施例
【0099】
以下、本出願の実施例を説明する。以下で説明される実施例は例示的であり、本出願を解釈する目的でのみ使用され、本出願の制限として理解されない。実施例では具体的な技術または条件が示されていない場合、本分野内の文献で説明される技術や条件または製品の仕様書に従うものとする。使用される試薬や機器のメーカーが特定されていない場合、いずれも市販されている従来品である。
【0100】
本出願の実施例にかかる原材料は以下のように入手される。
【0101】
エタンジアミン四酢酸(CAS:60-00-4、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0102】
O-フェニレンジアミン(CAS:95-54-5、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0103】
エチレングリコール(CAS:107-21-1、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0104】
無水エタノール(CAS:64-17-5、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0105】
アセトン(CAS:598-31-2、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0106】
水酸化カリウム(CAS:1310-58-3、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0107】
ブロモエタン(CAS:74-96-4、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0108】
ジメチルスルホキシド(CAS:67-68-5、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0109】
リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物リチウム(LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、NCM523、寧波金和新材料有限公司)
【0110】
人造グラファイト(青島聯創立達黒鉛有限会社)
【0111】
アセチレンブラック(ACET、CAS:
1673326029144_0
、青島聯創立達黒鉛有限会社)
【0112】
N-メチルピロリドン(NMP、CAS:872-50-4、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0113】
ポリフッ化ビニリデン(PVDF、CAS:24937-79-9、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0114】
ポリメチルメタクリレート(PMMA、CAS:9011-14-7 、上海アラジン生物化学技術有限公司)
【0115】
エチレンカーボネート(EC、CAS:96-49-1、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0116】
炭酸メチルエチル(EMC、CAS:623-53-0、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0117】
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6、CAS:21324-40-3、広州TINCIハイテク材料有限公司)
【0118】
ビスフルオロスルホンイミドリチウム塩(LiFSI、CAS:171611-11-3、広州TINCIハイテク材料有限公司)
【0119】
カーボンブラック(広東凱金新能源テクノロジー有限公司)
【0120】
アクリレート(CAS:25067-02-1、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司)
【0121】
リチウムイオン電池の製造
【0122】
実施例1
【0123】
正極用添加剤EDTBの製造
【0124】
エタンジアミン四酢酸とO-フェニレンジアミンをモル比1:4で還流装置付きコニカルフラスコに加えた後、溶媒のエチレングリコールを加え、160℃で8時間還流して赤色液体を得る。冷却した後、蒸留水をこの赤色液体の瓶にゆっくりと加え、下層が固まる。室温まで冷却した後無水エタノールを加え、12時間静置し、濾過する。エタノールを加えて再結晶して固体を得、少量のアセトンで洗浄する。真空条件で乾燥させ、白色のEDTB固体を得る。
【0125】
2)正極ペーストの製造
【0126】
EDTB、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、NCM523)、分散剤であるポリメチルメタクリレート(PMMA)、接着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電剤であるアセチレンブラック(ACET)および溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を重量比0.90:65:0.07:0.80:1.23:32で乾燥室で攪拌し、ペーストとした。
【0127】
3)リチウムイオン電池の製造
【0128】
[電解液の製造]
【0129】
含水量<10ppmのアルゴン雰囲気グローブボックス内で、ビーカーにそれぞれ32.64gのEC、60.84gのEMC、6.25gのLiPF6、0.15gLiFSIを加え、十分に攪拌し溶解させた後本実施例の電解液を得る。
【0130】
[正極シートの製造]
【0131】
2)で得られた正極ペーストを0.28g(乾燥重量)/1540.25mm2の量で厚さ13μmの正極集電体アルミニウム箔に均一に塗布し、アルミニウム箔を室温で乾燥した後120℃オーブンに移して1時間乾燥した後、コールドプレスを経って、切断して正極シートを得る。
【0132】
[負極シートの製造]
【0133】
人造グラファイト、導電剤であるカーボンブラック、接着剤であるアクリレートを質量比92:2:6で混合し、脱イオン水を加え、真空攪拌機の作用下で負極ペーストを得、負極ペーストを0.18g(乾燥重量)/1540.25mm2の量で厚さ8μmの負極集電体銅箔に均一に塗布し、銅箔を室温で乾燥した後120℃オーブンに移して1時間乾燥し、コールドプレスを経って、切断して負極シートを得る。
【0134】
[ダイヤフラム]
【0135】
ダイヤフラムはCellgard企業から購入されたモデルcellgard 2400を使用する。
【0136】
[リチウムイオン電池の製造]
【0137】
正極シート、ダイヤフラム、負極シートを順に積層し、ダイヤフラムが正負極シート間に配置されて隔離作用を果たし、巻き取って裸電芯を得、容量4.3Ahの裸電芯を外部パック箔に配置し、上記製造された8.6gの電解液を乾燥後の電池に注入し、真空パッケージ、静置、成形、整形などの工程を経って、リチウムイオン電池を得る。
【0138】
実施例2
【0139】
式(I-1)の正極用添加剤の製造
【0140】
水酸化カリウム、EDTB、ジメチルスルホキシドをモル比15:1:0.2で混合した後、ブロモエタン(ブロモエタンとEDTBのモル比4:1)をゆっくりと加え、25℃下で2時間攪拌する。蒸留水を加え、継続的に0.5時間攪拌した後、1時間静置し、濾過した後水で洗浄し、乾燥して粗製品を得る。無水エタノールで再結晶した後式(I-1)の固体粉末を得る。
【化3】
【0141】
「2)正極ペーストの製造」では、式(I-1)の正極用添加剤を使用することを除いて、実施例1と同じである。
【0142】
実施例3
【0143】
使用する式(I-2)の正極用添加剤は、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司から購入される。
【化4】
【0144】
「2)正極ペーストの製造」では、式(I-2)の正極用添加剤を使用することを除いて、実施例1と同じである。
【0145】
実施例4
【0146】
使用する式(I-3)の正極用添加剤は、上海マクリーンバイオテクノロジー有限公司から購入される。
【化5】
【0147】
「2)正極ペーストの製造」では、式(I-3)の正極用添加剤を使用することを除いて、実施例1と同じである。
【0148】
実施例5
【0149】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.05:50:0.05:0.62:0.95:48.33で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0150】
実施例6
【0151】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.06:55:0.06:0.68:1.04 :43.16で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0152】
実施例7
【0153】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACET和NMPを重量比0.50:70:0.08:0.86:1.32:27.24で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0154】
実施例8
【0155】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACET和NMPを重量比0.90:70:0.08:0.86:1.32:26.84で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0156】
実施例9
【0157】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.0:70:0.08:0.86:1.32:26.74で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0158】
実施例10
【0159】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.60:65.00:0.07:0.80:1.23:31.30で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0160】
実施例11
【0161】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.50:70:0.08:0.86:1.32:26.24で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0162】
実施例12
【0163】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.50:55:0.06:0.68:1.04:41.72で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0164】
実施例13
【0165】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.40:60:0.06:0.74:1.14:36.66で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0166】
実施例14
【0167】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比1.00:60:0.06:0.74:1.14:37.06で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0168】
実施例15
【0169】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.60:60:0.06:0.74:1.14:37.46で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0170】
実施例16
【0171】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.30:60:0.06:0.74:1.14:37.76で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0172】
実施例17
【0173】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.08:75:0.08:0.92:1.42:22.50で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0174】
実施例18
【0175】
「2)正極ペーストの製造」では、EDTB、NCM523、PMMA、PVDF、ACETとNMPを重量比0.06:73:0.08:0.90:1.38:24.58で混合することを除いて、実施例1と同じである。
【0176】
比較例1
【0177】
正極ペーストの製造では、本出願の正極用添加剤を含有しない以外に、実施例1と同様にリチウムイオン電池を製造する。
【0178】
二、電池性能試験方法
【0179】
45℃循環性能試験
【0180】
45℃で、電池を1C定電流で4.3Vまで充電し、4.3V定電圧で電流0.05Cまで充電し、5分間放置した後、1C定電流で2.8Vまで放電し、得られた容量を初期容量C0とする。上記同一の電池に対して以上のステップを繰り返しながらカウントし、1000回循環した後の電池の放電容量をC1000としたとき、1000回循環した後の電池循環容量保持率P=C1000/C0*100%である。
【0181】
上記の手順でそれぞれ実施例と比較例のリチウムイオン電池を試験し、具体的な数値を表1~表3に示される。
【0182】
2.60℃保存性能試験
【0183】
25℃で、電池を1C定電流で4.3Vまで充電し、4.3V定電圧で電流0.05Cまで充電し、5分間放置した後、0.5C定電流で2.5Vまで放電し、このとき放電容量を初期容量C0とする。
【0184】
上記電池を1C定電流で4.3Vまで充電し、4.3V定電圧で電流0.05Cまで充電した後、この電池を60℃の恒温箱に入れ、270日間保存してから取り出す。取り出した電池を25℃大気環境下に置き、リチウムイオン電池の温度が25℃まで完全に下がった後、リチウムイオン電池を1C定電流で2.8Vまで放電し、1C定電流で4.3Vまで充電し、最後にリチウムイオン電池を0.05C定電流で2.8Vまで放電し、このときの放電容量をC1としたとき、270日間保存した後の電池の高温保存容量保持率M=C1/C0×100%である。
【0185】
上記の手順でそれぞれ他の実施例と比較例を試験し、具体的な数値が表1~表3に示される。
【表1】
【0186】
【0187】
【0188】
以上の結果から分かるように、実施例1~18はすべて良好な効果を有する。比較例と比較すると、本出願の正極ペーストはリチウムマンガン酸化物系リチウムイオン電池の耐用年数を延長し、電池高温循環性能および高温保存性能を向上させることができる。
【0189】
なお、本出願は上記の実施形態に限定されない。上記実施形態は例示のみであり、本出願の技術的範囲内で技術思想と実質的に同じ構成、同じ作用及び効果を奏する実施形態は、すべて本出願の技術範囲内に含まれる。また、本出願の主旨から逸脱しない限り、実施形態に当業者が容易に想到できる様々な変形を加えて、実施形態の一部の構成要素を組み合わせて構築した他の形態も本出願の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】