(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-11
(54)【発明の名称】室内環境における周囲空気を浄化するための装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/22 20060101AFI20231204BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231204BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20231204BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20231204BHJP
F24F 8/133 20210101ALI20231204BHJP
F24F 8/15 20210101ALI20231204BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20231204BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
A61L9/22
A61L9/20
A61L9/015
F24F8/192
F24F8/133
F24F8/15
F24F8/108 110
F24F6/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534255
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2021078533
(87)【国際公開番号】W WO2022079208
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323012003
【氏名又は名称】ガンマ パルス エスエイエス
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ショイ
【テーマコード(参考)】
3L055
4C180
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BB02
3L055DA12
4C180AA07
4C180CA10
4C180DD03
4C180DD11
4C180DD17
4C180EA16X
4C180EA17X
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4C180HH02
4C180HH05
4C180HH17
4C180JJ03
4C180KK01
4C180KK02
4C180LL06
4C180LL12
4C180LL14
4C180MM07
(57)【要約】
室内環境における周囲の空気を浄化する装置が開示されている。室内環境は、建物内の部屋、構造物、車両の内部など、人間が居住するために設計された任意の部分的なまたは完全な閉鎖空間であってもよい。装置は、室内環境から汚染された周囲の空気を受け取るように構成された入口と、室内環境に浄化された空気を供給するように構成された出口と、入口と出口との間に接続された1つ以上の浄化モジュールとを備え、1つ以上の浄化モジュールの各々は、前記浄化モジュールを通過する空気から汚染物質を取り除くように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、空気を1つ以上の浄化モジュールを通して再循環させるための空気再循環機構と、空気再循環機構を制御して、前記空気が1つ以上の浄化モジュールを複数回通過するように装置内の空気量を再循環させ、その後、前記空気を浄化済み空気として出口を経て室内環境に放出するように構成されるコントローラとを備える。このように装置内の空気を再循環させることで、浄化処理の全体的な効果を高めることができる。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内環境における周囲空気を除染するための装置であって、該装置は、以下のものを含む。
室内環境から汚染された周囲空気を受け入れるように構成された入口、
除染された空気を室内環境に供給するように構成された排出口および、
入口と出口との間に接続された1つ以上の除染モジュールであって、前記1つ以上の除染モジュールの各々は、前記除染モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するように構成されており、前記1つ以上の除染モジュールは、1つ以上のプラズマリアクタモジュールからなり、前記1つ以上のプラズマリアクタモジュールの各々は、以下を含む、除染モジュール、
空気がカソード電極の一方の側からカソード電極の他方の側へ通過することができる貫通孔をそれぞれ含む複数の中空カソードを含むカソード電極であって、使用時にプラズマリアクターモジュールを通って流れる空気が複数の中空カソード貫通孔を通過するように構成される、カソード電極および
カソードから間隔をあけて配置されたアノード電極であって、アノード電極とカソード電極に電力が供給されると、アノード電極とカソード電極が一緒になって、複数の中空カソードでプラズマを発生するように構成されたアノード電極と、カソード電極と、アノード電極とカソード電極に電力が供給されて、複数の中空カセットにプラズマを発生するように構成されたカソード電極。
【請求項2】
前記1つまたは複数の除染モジュールを通して空気を再循環させるための空気再循環機構および
前記空気循環機構を制御して、前記空気が前記1つ以上の除染モジュールを複数回通過するように前記装置内の空気量を再循環させ、その後、前記空気を除染空気として前記排出口から室内環境に放出するように構成されたコントローラを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
空気が空気再循環装置を介して再循環されている間、出口を通る空気の流れを部分的にまたは完全に遮断するように動作可能なように配置された出口バルブとの機構を採用し、
を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
空気再循環機構により空気が再循環している間、吸気口を通る空気の流れを部分的にまたは完全に遮断するように動作可能なように配置された吸気バルブを備える、請求項1、2または3記載の装置。
【請求項5】
前記吸気口と前記1以上の除染モジュールとの間の吸気経路に配置され、前記空気が前記1以上の除染モジュールに到達する前に微粒子を除去するフィルタと、を備える請求項1、2、3または4記載の装置。
【請求項6】
再循環気流路は、1つ以上の除染モジュールから出る空気の流れを、出口に到達する前に再循環気流路に流すことができるように、本装置を通る空気の流れの方向において、出口より上流かつ1つ以上の除染モジュールの下流に接続された第1の端を有し、1つ以上の除染モジュールを通して空気を再循環させるために、1つ以上の除染モジュールの上流に接続された第2の端を有し、
前記空気再循環機構は、以下の構成である、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
請求項4及び5に従属するとき、再循環空気流路の第2端は、フィルタの上流で入口弁の下流の入口空気流路の第1点に接続される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記空気再循環機構を制御して空気の再循環を開始する前に、前記入口弁を閉じて、再循環された空気が前記入口を介して前記装置から出るのを防止するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記再循環気流路を、前記フィルタの上流の第1の点、及び/又は、前記フィルタの下流の前記吸気経路上の第2の点に選択的に接続するように動作可能な流量制御機構と、を備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
循環気流路は、フィルタを掃除するように、フィルタを流れるように誘導され、循環気流路を通って流れる空気の少なくとも一部が、再循環空気流路を入口空気流路の第1の点に接続するように流量制御機構を制御することによって、空気再循環機構を自己清掃モードで動作するように制御するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記流量制御機構を制御して、前記再循環空気流路を前記入口空気流路上の第2の地点に接続し、前記再循環空気の前記入口空気流路上の第1の地点への流れを遮断することにより、前記空気再循環機構を除染モードで動作するように構成される、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
再循環空気流路の第2の端部は、空気再循環機構によって1つまたは複数の除染モジュールを通して再循環されるときに再循環空気がフィルタをバイパスするように、フィルタの下流の入口空気流路上の地点に接続される、請求項5に従属するときの請求項6に記載の装置。
【請求項13】
UVCモジュールを流れる空気の少なくとも一部をUVC放射に曝すように配置された1つ以上のUVC源。
前記1つ以上の除染モジュールが、1つ以上の紫外線C、UVC、モジュールを含み、前記1つ以上のUVCモジュールの各々が、以下を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
複数の前記除染モジュールを備え、前記除染モジュールのうちの2つ以上が、前記除染モジュールのうちの1つを出た空気が次に直列の前記除染モジュールのうちの次の1つに入るように直列に接続されている、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
直列に接続された除染モジュールの数が、除染モジュールの数を通過した後に装置を出る空気の所望の特性を達成するように選択される、請求項14記載の装置。
【請求項16】
複数の前記汚染除去モジュールを備え、前記汚染除去モジュールの2つ以上は、前記装置に入る気体が前記複数の空気流路の間で分割され、前記空気流路の各々に沿って流れる前記空気の一部は、前記装置を出る前に並行して接続された前記汚染除去モジュールの対応する1つを通過するのみでなければならないように、装置を通って複数の空気流路を規定するように並行して接続されている、先行請求項のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
並列に接続された除染モジュールの数が、装置を通る空気流の所望の速度を達成するように選択される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の汚染除去モジュールの下流の空気から1つ以上の反応副生成物を除去する出口空気処理モジュールであって、前記反応副生成物は、前記1つ以上の汚染除去モジュール内の汚染除去プロセスの生成物を含む、出口空気処理モジュールと、を備える先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記出口空気処理モジュールがネブライザーを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
反応副生成物がオゾンを含む、請求項19に記載の装置であって、該装置は、以下の構成を有する。
ネブライザーに液体を供給するように構成された液体供給装置であって、該液体は、オゾンを除去するための添加物を含む。
【請求項21】
添加剤が、ヨウ化カリウムおよび/またはチオ硫酸化合物を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記排出口と前記ネブライザーとの間の排出風路に配置され、前記除染された空気が前記排出口から室内環境に放出される前に前記ネブライザーから飛散する液滴を捕集する集液部材とを備える、請求項19、20または21記載の装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、
液体収集部材と、前記液体収集部材によって捕捉された液体を受け入れて貯蔵するように構成された貯蔵部と、を備える、液体収集システム。
【請求項24】
前記空気が前記1つ以上のプラズマリアクターモジュールを通過する前に、前記汚染された周囲の空気の湿度レベルを増加させるように構成された加湿ユニットとを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
加湿ユニットがネブライザーである、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記フィルタが、前記空気がネブライザーを通過する前に、汚染された周囲空気から微粒子を除去するように構成されている、請求項5に従属するときの請求項25の装置。
【請求項27】
フィルタは、細長いフィルタ要素の幅よりも実質的に長い長さを有する細長いフィルタ要素を含み、装置は、汚染された周囲空気の流れを、その長さに沿って細長いフィルタ要素を通して導くように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
室内環境は、建物又は構造物内の人間が居住するように構成された空間を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記屋内環境は、車両内の乗客室を構成する、請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置を具備する車両。
【請求項31】
請求項30に記載の車両であって、前記車両は、以下のように構成されている。
自動車、
列車、
航空機;
船やボート、または
潜水艇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内環境における周囲の空気を除染するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の部屋や車内など、人が生活するための室内環境では、有害な汚染物質への曝露の可能性が懸念される。有害な汚染物質の例としては、ウイルス粒子や細菌などの空気中の生物学的病原体が挙げられる。室内環境から取り込まれた空気流が、室内環境に再び導入される前に、例えばUV-Cランプの配列などの除染ユニットを通過する除染システムが開発されている。例えば、このようなUV-C除染ユニットは、建物内の換気システムにインラインで設置されることがある。しかしながら、一部の汚染物質がUV-Cランプを素早く通過して流れ、破壊されないことがあるため、このようなシステムの有効性は限定的である。したがって、改善された除染装置を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、室内環境の周囲空気を除染するための装置が提供され、この装置は、室内環境から汚染された周囲空気を受け取るように構成された入口と、室内環境に除染された空気を供給するように構成された出口と、入口と出口との間に接続された1以上の除染モジュールであって、前記1以上の除染モジュールそれぞれが、前記除染モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するように構成されている、除染モジュールとを備える。
【0004】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、空気を1つまたは複数の除染モジュールを通して再循環させるための空気再循環機構と、空気再循環機構を制御して、前記空気が1つまたは複数の除染モジュールを複数回通過するように装置内の空気量を再循環させるように構成されるコントローラとを備える。その後、前記空気を除染後の空気として排出口から室内環境へ放出する。
【0005】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、空気が空気再循環機構を介して再循環されている間、出口を通る空気の流れを部分的に又は完全に遮断するように動作可能であるように配置された出口弁を備える。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、空気が空気再循環機構を介して再循環されている間、入口を通る空気の流れを部分的に又は完全に遮断するように動作可能であるように配置された入口弁を備える。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、空気が1つ以上の除染モジュールに到達する前に微粒子を除去するために、入口と1つ以上の除染モジュールとの間の入口空気流経路に配置されたフィルタを備える。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、空気再循環機構は、出口より上流で、装置を通る空気の流れの方向において1つ以上の除染モジュールの下流に接続された第1の端を有する再循環空気流路を備える、1つ以上の汚染除去モジュールから出る空気の流れは、出口に到達する前に再循環気流チャネル上に迂回させることができ、再循環気流チャネルは、1つ以上の汚染除去モジュールを通して空気を再循環させるように1つ以上の汚染除去モジュールの上流に接続された第2の端部を有する。
【0006】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、再循環気流路の第2の端部は、フィルタの上流で入口弁の下流の入口気流路の第1の地点に接続される。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、コントローラは、空気を再循環させ始めるために空気再循環機構を制御する前に、入口弁を閉じて、再循環空気が入口を介して装置から出るのを防止するように構成される。
【0007】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、再循環気流路をフィルタの上流の第1の点及び/又はフィルタの下流の入口気流路の第2の点に選択的に接続するように動作可能な流量制御機構を備える。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、コントローラは、再循環気流チャネルを入口気流経路上の第1の点に接続するように流量制御機構を制御することによって、再循環気流チャネルを通って流れる空気の少なくとも一部がフィルタを清掃するようにフィルタを通って流れるように向けられるように、空気再循環機構を自己清掃モードで動作するように構成されている。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、コントローラは、再循環空気流路を入口空気流路上の第2の地点に接続し、再循環空気の流れを入口空気流路上の第1地点に遮断するように流量制御機構を制御することにより、空気再循環機構を除染モードで動作するように構成されている。
【0008】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、再循環空気流路の第2の端部は、空気再循環機構によって1つまたは複数の除染モジュールを通して再循環されるときに再循環空気がフィルタをバイパスするように、フィルタの下流の入口空気流路上の地点に接続される。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、1つまたは複数の除染モジュールは、1つまたは複数のプラズマリアクタモジュールを含み、前記1つまたは複数のプラズマリアクタモジュールの各々は、以下を備える:空気がカソード電極の一方の側からカソード電極の他方の側へ通過し得る貫通厚さ孔を各々が含む複数の中空カソードを含むカソード電極であって、使用時にプラズマリアクタモジュールを通って流れる空気が複数の中空カソード貫通厚さ孔を通過するように構成される、カソード電極;と、カソードから間隔をあけて配置されたアノード電極とを備え、アノード電極およびカソード電極に電力が供給されると、アノード電極およびカソード電極は一緒になって複数の中空カソードでプラズマを発生するように構成される。
【0009】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、1つまたは複数の除染モジュールは、1つまたは複数の紫外線C、UVC、モジュールを含み、前記1つまたは複数のモジュールの各々がUVCモジュールを流れる空気の少なくとも一部をUVC放射に曝すように配置された1つまたは複数のUVC源を含むUVCモジュール。
【0010】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、複数の前記除染モジュールを備え、前記除染モジュールの2つ以上は、前記除染モジュールの1つを出た空気が次に前記除染モジュールの次の1つに直列に入るように直列に接続されている。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、直列に接続された除染モジュールの数は、除染モジュールの数を通過した後に装置を出る空気の所望の特性を達成するように選択される。
【0011】
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、複数の前記除染モジュールを備え、前記除染モジュールの2つ以上は、前記装置に入る気体が前記複数の空気流路の間で分割され、前記空気流路の各々に沿って流れる前記空気の一部は、前記装置を出る前に並行して接続された前記除染モジュールの対応する1つを通過するのみでなければならないように、装置を通って複数の空気流路を規定するように並行して接続されている。
第1の側面によるいくつかの実施形態では、並列に接続された除染モジュールの数は、装置を通る空気流の所望の速度を達成するように選択される。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、1つ以上の除染モジュールの下流の空気から1つ以上の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュールを備え、前記反応副生成物は、1つ以上の除染モジュール内の除染プロセスの生成物を含む。
第1の態様によるいくつかの実施形態において、出口空気処理モジュールは、ネブライザーを備える。
【0012】
第1の側面によるいくつかの実施形態では、反応副生成物はオゾンを含み、装置は、ネブライザーに液体を供給するように構成された液体供給部を備え、液体はオゾンを除去するための添加物を含む。
第1の側面によるいくつかの実施形態において、添加剤は、ヨウ化カリウムおよび/またはチオ硫酸塩化合物を含む。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、除染された空気が出口を介して室内環境に放出される前にネブライザーから液体の空気飛沫を捕らえるように、出口とネブライザーとの間の出口空気流経路に配置された液体収集部材を含む。
第1の態様によるいくつかの実施形態において、装置は、液体収集部材によって捕らえられた液体を受け取り、貯蔵するように構成されたリザーバを備える。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、装置は、前記空気が1つ以上のプラズマリアクタモジュールを通過する前に、汚染された周囲空気の湿度レベルを高めるように構成された加湿ユニットを備える。
第1の側面によるいくつかの実施形態において、加湿ユニットは、ネブライザーである。
第1の態様によるいくつかの実施形態において、フィルタは、前記空気がネブライザーを通過する前に、汚染された周囲空気から微粒子を除去するように構成される。
第1の態様によるいくつかの実施形態では、フィルタは、細長いフィルタ要素の幅よりも実質的に長い長さを有する細長いフィルタ要素を備え、装置は、汚染された周囲空気の流れを、その長さに沿って細長いフィルタ要素を通して導くように構成される。
【0013】
第1の側面によるいくつかの実施形態では、室内環境は、建物または構造物内の人間が居住するように構成された空間を含んでいる。
第1の側面によるいくつかの実施形態では、室内環境は、車両内の乗客コンパートメントを構成する。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る装置を備える車両が提供される。
第2の側面によるいくつかの実施形態において、車両は、自動車、列車、航空機、船またはボート、または潜水艇から構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、例示としてのみ説明する。
【0015】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、本発明の一実施形態に係る空気循環機構を備える除染装置を示す。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、本発明の一実施形態による、フィルタ下流の吸気流路に再循環空気が供給される除染装置を示す。
【
図3】
図3A~
図3Dは、本発明の実施形態による、セルフクリーニングモード及び除染モードで動作可能な除染装置を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る、複数の除染モジュールを直列に接続して構成される除染装置を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、複数の除染モジュールを並列及び直列に接続して構成される除染装置を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、非平衡プラズマに基づく除染モジュールを通る断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る、複数の中空カソードからなるカソード電極の一部を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による、ネブライザーの形態の出口空気処理モジュールを含む除染装置を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る、ネブライザーから飛散する液滴を捕集するように配置された液体捕集部材を備える除染装置を示す。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る紫外線C(UVC)除染モジュールを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係るUVC除染モジュールを含む除染装置を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る除染装置を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る除染装置を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態による、1つ以上のプラズマリアクタモジュールを通過する前の空気の入口流の湿度レベルを増加させるための加湿装置を示す。
【0016】
以下の詳細な説明において、本発明の特定の例示的な実施形態のみが、単に例示のために示され、説明されている。当業者であれば気付くと思うが、説明した実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、全て様々な異なる方法で変更することができる。したがって、図面および説明は、本質的に例示であり、制限的なものではないとみなされる。同様の参照数字は、本明細書全体を通して同様の要素を指定する。
【0017】
次に、
図1A及び
図1Bを参照すると、本発明の一実施形態による、空気再循環機構を含む装置が示されている。この装置も、室内環境の周囲空気を除染するように構成されており、それゆえ、「除染装置」と呼ばれることがある。この文脈では、「室内環境」は、人間の居住のために設計された部分的又は完全に閉鎖された空間を指すと理解されるべきである。室内環境は、例えば、建物又は構造物内の部屋であってもよいし、自動車(例えば、自動車、バス、バン等)の乗客室、列車、航空機、船又はボート等の水上船舶、又は潜水艇等の車両の内部であってもよい。この文脈では、用語「乗客室」は、使用中に1人または複数の人によって占有される車両の任意の部分を指すことができ、これは車両の運転者を含むことができることを理解されたい。除染装置が使用される部分的に閉鎖された屋内空間の例としては、1つ以上のドアや窓が開けられた部屋が挙げられるかもしれない。室内環境内の周囲空気を汚染除去することにより、本装置は、本装置が作動する空間を占有する人々の室内環境品質(IEQ)を向上させるのに役立つことができる。一例として、除染装置は、空気中のウイルス粒子または他の病原体などの汚染物質を除去することによってIEQを改善し、室内環境内の個人間で病気が感染するリスクを低減させることができる。
【0018】
図1A及び1Bに示すように、装置も、室内環境から汚染された周囲空気を受け取るように構成された入口102と、室内環境に除染空気を供給するように構成された出口103と、入口102と出口103の間に接続された1つ又は複数の除染モジュール101からなる。
図1A及び
図1Bでは、1つの入口102及び1つの出口103が図示されているが、他の実施形態では、装置も複数の入口102及び/又は複数の出口103から構成されてもよい。本実施形態では、単一の除染モジュール101のみが図示されているが、他の実施形態では、以下により詳細に説明するように、装置は複数のこのような除染モジュールから構成されてもよい。各除染モジュールは、除染された空気が室内環境に戻されるとIEQを改善するように、除染モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するように構成される。除染モジュールは、プラズマベースの除染及び紫外線C(UVC)除染を含むがこれらに限定されない、除染を実行するための任意の適切な技術を使用してもよい。
【0019】
また、装置100は、1つ以上の除染モジュール101を通過する空気を再循環させるための空気再循環機構106、112、113と、コントローラ120と、を備える。コントローラ120は、空気再循環機構106、112、113を制御して、前記空気が1つ以上の除染モジュール101を複数回通過するように装置100内の空気量を再循環させ、その後、前記空気を除染空気として出口103を介して室内環境へ放出するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、装置も、例えば、携帯用エアコン又は空気清浄機と同様の方法で、室内環境に位置するスタンドアロンユニットとして動作し得る。このような実施形態では、装置も、入口102を通して室内環境から汚染された空気を吸い込み、出口102を通して除染された空気を環境内に戻すように供給し得る。他の実施形態では、装置も、室内環境の外側、例えば、室内環境が位置する車両、建物又は構造物の別の部屋又は別の部分に位置してもよい。このような実施形態では、入口102及び出口103は、エアホース、パイプライン又はダクトなどの任意の適切な手段によって室内環境に接続され得る。いくつかの実施形態では、装置は、車両内の気候制御システムなど、室内環境内で空気を循環させる別のシステムに統合されてもよい。
【0021】
図1A及び
図1Bにおいて、「閉」状態のバルブは黒い三角形で表され(例えば、
図1Aのバルブ112、113)、一方、「開」状態のバルブは白い三角形で表される(例えば、
図1Aのバルブ110、111)。
図1Bは、装置100内の密閉された空気量を再循環させるように制御されたバルブ110、111、112、113を示す図である。
【0022】
除染が完了したら、
図1Aに示すようにバルブを制御して、除染した空気量を出口103から室内環境に戻すと同時に、別の量の汚染された空気を入口102から吸入することができる。
【0023】
本実施形態では、空気再循環機構は、出口103の上流で、装置を通る空気の流れの方向において1つ以上の除染モジュール101の下流に接続された第1の端部を有する再循環空気流路106を備えるすぎる。この配置により、1つ以上の除染モジュール101を出る空気の流れが、そうでなければ出口103に到達する前に、再循環気流チャネル106上に迂回される。このようにして、1つまたは複数の除染モジュール101を出る空気は、出口103を介して室内環境にすぐに戻されるのではなく、空気再循環機構によって装置内にも一時的に保持することができる。再循環空気流路106は、空気を1つ以上の除染モジュール101を通して再循環させるように、1つ以上の除染モジュール101の上流に接続された第2の端部を有する。
【0024】
本実施形態の装置も、空気が空気再循環機構106、112、113を介して再循環されている間、入口102を通る空気の流れを部分的または完全に遮断するように動作可能なように配置された入口弁110と、空気が空気再循環機構106、112、113を介して再循環されている間、出口103を通る空気の流れを部分的または完全に遮断するように動作可能な配置された出口弁111を更に備える。入口弁110を閉じることにより、空気量を装置内に密閉し、入口を介して追加の汚染された空気を引き込むことなく、必要な時間またはパス数だけ再循環させることができる。同様に、出口バルブ111を閉じると、汚染除去プロセスが完了するまで、空気が装置から一切出ないようにすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、入口弁110及び出口弁111の一方又は両方が省略されることがある。
【0025】
このように装置100内の空気量を再循環させ、空気が1つ以上の汚染除去モジュール101を複数回通過するようにすることで、汚染除去プロセスの全体的な有効性を高めることができる。例えば、除染モジュール101が、ウイルス粒子などのある種の汚染物質を除去するのに90%有効な除染プロセスを使用する場合、除染モジュール101を1回通過した後、汚染物質は、入口102を介して受け取った汚染空気中に元のレベルの10%で依然として存在し得る。この例では、汚染物質の濃度は、除染モジュール101を通過するたびに90%ずつさらに減少させることができる。純粋に例示として、除染モジュール101を5回通過した後、再循環された容積の空気中のその汚染物質の残りの濃度は、0.15=0.00001、すなわち0.001%まで減少する。この理論的な例では、空気の100%が処理されると仮定すると、空気再循環機構は、除染プロセスの全体的な有効性を90%から99.999%まで効果的に増加させる。
【0026】
装置100内で空気の量を再循環させることのさらなる利点は、再循環気流チャネル106内で一定量の追加の除染が起こり得るということである。例えば、1つ以上の除染モジュール101が、空気をプラズマに通すように構成された1つ以上のプラズマ反応器モジュール101を含む実施形態では、1つ以上のプラズマ反応器モジュール101の下流の空気流は、高度酸化剤、O3、OH―」、過酸化物などのプラズマ反応副生成物を含むことがある(例えば、入口102を介して受け取った空気中の水蒸気の存在により)。このような反応副産物は、空気が再循環気流チャネル106の周りを移動する際に、空気中の病原体と反応し、損傷または殺傷することができ、それによって、このような汚染物質のレベルをさらに低下させるのに役立つ。
【0027】
いくつかの実施形態では、再循環気流チャネル106は、再循環気流チャネル106内に乱流気流を作り出すように構成された1つ又は複数の特徴、例えば再循環気流チャネル106の内面上の形成物を含むことができる。再循環気流チャネル106内に乱流気流を作り出すことは、1つ以上の汚染除去モジュール101を通る2回目以降の通過においてより効果的な汚染除去のために気流内で残りの汚染物質をより均一に分布させるように、1つ以上の汚染除去モジュール101に再び入る前に空気の混合を促進し得る。
【0028】
上記の例で与えられた値は、単に本発明の理解を助けるためのものであり、限定的なものであると考えるべきではないことが理解されるであろう。空気の体積が1つ以上の汚染除去モジュール101を通過する回数は、例えば、使用される汚染除去モジュールの数、そのレベルを低減することが望まれる特定の汚染物質に対する汚染除去プロセスの効果、及び装置100内での処理後に環境に戻される汚染除去空気中のその汚染物質のレベルの望ましい総低下に依存して、必要に応じて変化し得る。
【0029】
他の実施形態では、再循環気流チャネル106の代わりに、異なる形態の空気再循環機構が提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、装置100は、1つ又は複数の除染モジュール101を通して空気の体積を一方向、例えば
図1Aにおける左から右へ引き込み、次に1つ又は複数の除染モジュール101を通して同じ体積の空気を反対方向、例えば
図1Aにおける右から左へ送り返すように構成されることがある。いくつかのそのような実施形態では、1つ以上の除染モジュールの両側で調節可能な容積を有する貯蔵容器を使用して、適切な機構が実施され得る。
【0030】
貯蔵容器の好適な形態の例としては、注射器型機構に類似した可動端壁を有する貯蔵タンク、または膨張可能なベローズまたはバルーンを挙げることができる。1つまたは複数の除染モジュールの一方の側で貯蔵容器の容積を増加させ、同時に1つまたは複数の除染モジュールの他方の側で貯蔵容器の容積を減少させることにより、空気の量を1つまたは複数の除染モジュールを順番に反対方向に流れるように強制できる。使用される除染プロセスの種類に応じて、1つ以上の除染モジュールは、空気が1つ以上の除染モジュールを通って順方向と逆方向の両方に移動しているときに除染を行うように動作するかもしれないし、空気がいずれかの方向に流れているときにのみ除染を行うかもしれない。
【0031】
図1A及び
図1Bを引き続き参照すると、本実施形態では、装置も、空気が1つ以上の除染モジュール101に到達する前に微粒子を除去するために、入口102と1つ以上の除染モジュール101との間の入口空気流経路上に配置されたフィルタ104を含んでいる。フィルタ104は、1つ以上の汚染除去モジュール101の内部を含む装置の内部も比較的清潔に保ち、埃や他の粒子状物質がないようにするのに役立ち得る。フィルタ104は、金属またはプラスチックのメッシュフィルタ、または織布または不織布または繊維フィルタなど、任意の適切なフィルタで構成され得る。いくつかの実施形態では、フィルタ104は、電気集塵機であってもよい。電気集塵機は、気流を著しく妨げることなく効率的なフィルタリングを提供し、ダスト粒子を捕捉することができるだけでなく、ウイルス粒子などの空気中の病原体を殺すのに役立つ。本実施形態では、再循環気流路106の第2端は、フィルタ104の上流であり、入口弁110の下流である入口気流路の第1点に接続される。本実施形態では、コントローラ120は、空気再循環機構106を制御して空気の再循環を開始する前に、入口弁110を閉じて、再循環空気が入口102を介して装置からも出るのを防ぐように構成されている。
【0032】
このようにして、本実施形態の空気再循環機構106は、1つ以上の汚染除去モジュール101を通過した空気がフィルタ104を通過して戻るように構成される。つ以上の汚染除去モジュール101によって処理された空気は、フィルタ104からある形態の汚染物質を除去するように作用し得る特定の種を含み得るので、この配置は、自己洗浄機能を提供するために使用され得る。例えば、1つ以上の汚染除去モジュール101がプラズマを使用して汚染除去を行う場合、プラズマ汚染除去プロセスの副産物は、O、O3、及び過酸化水素(H202)のような反応性種を含み得る。これらの種を含む空気が空気再循環機構106によってフィルタ104に戻されるとき、種はフィルタ104に捕捉された化学的又は生物学的汚染物質と反応し、したがってフィルタ104を洗浄するように作用する場合がある。
【0033】
本実施形態の空気再循環機構は、再循環気流チャネル106の周囲で空気を移動させるための機構をさらに備える。本発明の実施形態では、1つ以上の除染モジュール101の下流及び/又は上流に配置された1つ以上のエアポンプ及び/又はファンを含むが、これに限定されない、任意の適切な機構を用いることができる。本実施形態では、空気を動かすための機構は、出口103とインラインに配置されたファン105からなり、ファン105は、再循環が完了すると、出口103を介してあまりにも装置から空気の量を排出するために使用できるようにする。また、ファン105は、
図1Bの矢印で示すように、空気が装置内を再循環する際に通る経路上に配置される。このように、本実施形態105では、単一のファン105を使用して、大量の空気を装置内にも引き込み、空気を装置の周りに再循環させることができる。
【0034】
再循環空気流路106を通り、1つまたは複数の除染モジュール101を通って戻り、再循環が完了すると、最後に空気を装置から排出する。しかし、他の実施形態では、別々の空気ポンプ及び/又はファンを、例えば、入口102を介して装置を充填し、空気を再循環させ、出口103を介して除染した空気を排出するという異なる動作に使用することができる。空気移動機構105は、コントローラ120の制御下で動作してもよく、コントローラ120は、例えば、空気移動機構105をオン又はオフにし、及び/又は空気移動機構105の流量を調整することができる。
【0035】
本実施形態では、空気再循環機構は、再循環空気流路106の第1及び第2端の近くにそれぞれ配置された第1及び第2バルブ113、112を備える。コントローラ120は、ファン105を通過する任意の空気が再循環空気流路106に戻るのではなく出口103を介して出なければならないように、出口103を介してあまりにも装置から空気を排出するときに、再循環空気流路106の第1の端部の近くにある第1のバルブ113を閉じることができる。コントローラ120は、再循環気流チャネル106の第2の端部の近くで第2の弁112を閉じることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1及び第2バルブ113、112の一方又は両方を必要に応じて省略することができる。
【0036】
ここで
図2Aおよび
図2Bを参照すると、本発明の実施形態による、再循環空気がフィルタの下流の入口空気流路に供給される除染装置が示されている。
図2Aおよび2Bの装置200は、
図1Aおよび1Bを参照して上述した装置tooと多くの点で類似しており、類似の態様の詳細な説明はここでは繰り返さないことにする。
図1A及び1Bの装置あまりと同様に、本実施形態の装置200は、1つ以上の除染モジュール201、入口202、出口203、フィルタ204、空気移動機構205、再循環空気流路206、出口弁211、及び再循環空気流路206の第1及び第2端の近くに配置された第1及び第2弁213,212を備える。
図2A及び
図2Bにはコントローラ120が示されていないが、このような実施形態は、それにもかかわらず、空気再循環プロセスの自動制御を可能にするようにコントローラ120を構成し得ることが理解されよう。
【0037】
本実施形態の装置200は、再循環空気流路206の第2端が、フィルタ204の下流の入口空気流路上の地点に接続されている点で、
図1A及び
図1Bのものと異なっている。この配置により、以下のことが保証される。
【0038】
再循環空気は、
図2Bの再循環ループの周りの空気流を示す矢印によって示されるように、空気再循環機構206、212、213によって1つまたは複数の除染モジュール101を通して再循環されるときにフィルタ204を迂回させる。フィルタ204は空気流に対して一定の抵抗を与えるので、空気を再循環させながらこのようにフィルタ204をバイパスすることにより、再循環モードで動作している間、1つまたは複数の除染モジュール201を通る空気流の最大可能率を確保することができる。これは、順に、空気の量を1つまたは複数の汚染除去モジュール201に必要な回数通すのに必要な総時間を短縮することができ、それによって、再循環される空気の量に対する汚染除去プロセスを完了するのにかかる時間を短縮することができる。
【0039】
再循環空気がフィルタ204の下流のシステムにフィードバックされるいくつかの実施形態では、フィルタ204を通る流れに対する抵抗が、入口202を通る再循環空気のいかなる著しい漏れも防ぐのに十分であり得るので、
図1A及び1Bに示す入口弁110は省略されることがある。しかしながら、いくつかの実施形態では、入口202のより効果的な密閉を提供するために、再循環空気がフィルタ204の下流のシステムにフィードバックされる場合であっても、入口202が依然として提供される場合がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、コントローラは、出口弁211を完全に閉じるのではなく、
図2Aに図示された再循環モードで動作している間、出口弁211を部分的に開いた位置に設定し得る。これは、ガスの大部分が1つ以上の除染モジュール201における更なる処理のために再循環される一方で、少量のガスが入口202から出口203まで装置200を流れることを可能にし得る。これは、ファン205の下流の圧力の大きな蓄積を回避するのを助けることによって、ファン205のストレスを緩和するのに役立ち得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図2Aに図示されるモードから
図2Bに図示されるモードに切り替えるとき、コントローラは、再循環気流チャネル206の第1の端の弁213を徐々に開き、続いて再循環気流チャネル206の第2の端の弁212を開き得る。第2端の弁212が開いている間、及び第1端の弁213が完全に開いている間、コントローラは、必要に応じて、出口弁211を部分的に又は完全に閉じ始めることができる。このアプローチは、2つの動作モード間を移行する際に、装置200内の特定の点における圧力の蓄積を低減することによって、ファン205のストレスを低減することができる。
【0042】
次に
図3Aから
図3Dを参照すると、本発明の実施形態による、セルフクリーニングモードおよび除染モードで動作可能な除染装置が示されている。
図3Aから
図3Dの装置300は、
図1Aから
図2Bを参照して上述した装置too,200と多くの点で類似しており、同様の態様の詳細な説明は、ここでは繰り返さないことにする。
図1Aおよび
図1Bの装置もと同様に、本実施形態の装置300は、1つまたは複数の除染モジュール301、入口302、出口303、フィルタ304、空気移動機構305a、305b、再循環空気流路306、入口弁310、出口弁311、および再循環空気流路306に沿った空気の流れを制御するために再循環距離に沿って配置された複数の弁312a、312b、313、314a、314bからなる。また、装置300は、自動化を可能にするためにコントローラ120を構成するが、分かりやすくするために、コントローラ120及び装置300の様々な構成要素への接続は、
図3には示されていないことが理解されよう。
【0043】
図3A~
図3Dに示す実施形態では、除染装置300は、並列に動作する3つの除染モジュール301の分岐からなり、各分岐は直列に接続された4つの除染モジュール301からなる。
【0044】
しかしながら、これらの数は、単に例示のために与えられており、他の実施形態では、除染装置は、任意の数の除染モジュール、すなわち、1つまたは複数の除染モジュールから構成され得る。複数の除染モジュールが提供される場合、実施形態に応じて、除染モジュールは、並列にのみ接続されるか、直列にのみ接続されるか、または本実施形態の場合のように直列および並列構成の組み合わせで接続されるか、である。除染モジュール301の数及びそれらの構成、すなわち直列及び/又は並列は、所望の除染レベルを達成するように、及び/又は除染装置300を通る空気流の所望の速度を達成するように、多分選ばれる。
【0045】
本実施形態では、再循環気流路306は、入口302と1つ以上の除染モジュール302との間の入口気流経路上の第1の点に接続された端部を有する第1の分岐306aからなり、第1の点はフィルタ304の上流にある。再循環気流路306はまた、フィルタ304の下流にある入口気流経路上の第2の点に接続された端部を有する第2の分岐306bを備える。第1の上流側隔離弁312bおよび第1の下流側隔離弁312aは、第1のブランチ306aのそれぞれの上流側および下流側の端部の近くに配置される。第2の上流側隔離弁314bおよび第2の下流側隔離弁314aは、第2のブランチ306bのそれぞれの上流側および下流側の端部の近傍に配置される。
【0046】
第1または第2のブランチ306a、306bを入口302から隔離することが望まれる場合、コントローラ(
図3A~
図3Dには示されていない)は、第1および第2の下流隔離弁312a、314aのそれぞれの一方を閉じることができる。同様に、第1または第2のブランチ306a、306bを再循環空気流路306の残りの部分から隔離することが望まれるとき、コントローラは、第1および第2の上流隔離弁312b、314bのそれぞれの1つを閉じることができる。上流側隔離弁312b、314bは、第1および第2のブランチ306a、306bが再循環気流チャネル306の上流部に出会う点の近くに配置され、第1または第2の上流側隔離弁312b、314bが閉じられると、第1または第2のブランチ306a、306b内の空気の対応量が再循環気流チャネル306の残りから隔離されるようにする。これは、再循環気流チャネル306に沿った全ての気流が、第1及び第2のブランチ306a、306bの他方に沿って向けられることを確実にするのに役立つ。比較すると、上流側隔離弁312b、314bが第1および第2のブランチ306a、306bに沿ってさらに下流側に配置されていた場合、隔離弁312b、314bの上流の第1および第2のブランチに保持された空気が圧縮可能となるため、上流側隔離弁312b、314bの一方を閉じた後でも、循環気流チャネル306に沿って流れる一定量の空気が第1または第2のブランチ306a、306bの上流端部に流入することができる。
【0047】
第1及び第2の下流隔離弁312a、314a並びに第1及び第2の上流隔離弁312b、314bは、共に、再循環空気流路306をフィルタ304の上流の第1の点及び/又はフィルタ304の下流の第2の点に選択的に接続するように動作可能な流れ制御機構を構成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2下流隔離弁312a、314a並びに第1及び第2上流隔離弁312b、314bのうちの1つ又は複数が省略されることがある。例えば、いくつかの実施形態では、弁312a、312b、314a、314bの一部又は全部は、第1及び第2の分岐306a、306bと再循環空気流路306の上流部との間の接合部の空気流内で可動フラップなどの適切な機構によって置き換えられるかもしれない。そのような実施形態では、コントローラは、第1のブランチ306a又は306bのいずれかを完全に閉じるようにフラップの位置を設定してもよいし、両方のブランチ306a,306b上のある量の流れを同時に可能にするようにフラップを中間位置に設定してもよい。
【0048】
図3A~
図3Dは、装置300の様々な動作モードにおいてコントローラによって設定され得るバルブ位置の組み合わせ、すなわち、開または閉を示す。
図3Aは、装置300が除染される空気の新鮮なバッチで充填されている間のバルブの配置を示し、これは「充填動作」と称されることがある。充填モードでは、入口バルブ310は開いており、出口バルブ311は閉じている。再循環空気流路306の第1端の弁313は、空気が装置300を通って再循環空気流路306に引き込まれることを可能にするように開かれる。本実施形態では、第2の上流側隔離弁314bも、第2の下流側隔離弁314aが閉じている間に開かれ、第2の分岐306bも充填できるようにする。この配置は、装置300に取り込まれることができる空気の体積を最大化する。第1の上流側隔離弁312b及び第1の下流側隔離弁312aは、本実施形態では第1の分岐306aは自浄モード中にのみ使用されるので、汚染された空気が入口302を介して又は再循環空気流路306を介して第1の分岐306aに吸い込まれることを避けるように、両方とも閉じられる。
【0049】
充填作業が完了すると、コントローラは、除染中にシステム内の空気を再循環させながらバルブの位置を
図3Bに示すものに変更する。これは、以下のように呼ばれることがある。再循環モード、または除染モードである。この動作モードでは、汚染された空気が第1の分岐306aに引き込まれるのを避けるために、第1の上流隔離弁312b及び第1の下流隔離弁312aは共に閉じたままである。再循環空気流路306の第1端の弁313と第2上流隔離弁314bは共に開いたままで、第2下流隔離弁も開いて、空気が再循環空気流路306の第2分岐306bを介して装置300を通って再循環することを可能にする。出口弁311は閉じたままであり、一方、入口弁310も閉じて、再循環空気が装置内に密閉されたままであることを保証する。この動作モードは、ある時間継続し、これは、所望のレベルの除染を達成するのに十分な回数の空気量が1つ又は複数の除染モジュール301を通過するために十分な時間である。つ以上の汚染除去モジュール301を通過するたびに、より多くの汚染物質が除去されることになるので、再循環動作をより長い時間継続することは、より高いレベルの汚染除去が達成されることになる。
【0050】
上記のように弁を制御することにより、制御装置は、再循環空気流路306を空気流路上の第2の地点に接続する一方、空気流路上の第1の地点への再循環空気の流れを遮断することにより、空気再循環機構を除染モードで動作するように制御できる。
【0051】
再循環動作の時間期間は、予め決められていてもよいし、コントローラによって動的に調整されてもよい。コントローラは、周囲空気温度、システムを通る空気流の速度、周囲空気中の汚染の程度、複数の選択可能な除染レベルのうち現在選択されている除染レベル、及び除染モジュール301の1つ又は複数の動作状態などの要素を考慮して、再循環動作の時間期間を設定してもよい。例えば、コントローラは、異なるタイプの電気化学セルを通じて、周囲空気中の汚染の程度を測定することができる(例えば、以下の通り)。
【0052】
02、C02、及び/又はオゾンセンサ)が、入口302及び/又は出口303の近くに配置される。いくつかの実施形態では、コントローラは、ミー散乱センサ、または任意の他の適切なタイプのセンサを使用して、マイクロサイズの汚染物質の量を測定することによって、周囲空気中の汚染の程度を測定してもよい。いくつかの実施形態では、空気移動機構305a、305bは、異なる速度で動作してもよく、コントローラは、空気移動機構の現在の速度を監視して、空気流の現在の速度を決定してもよい。除染モジュール301の1つ以上の動作状態は、除染モジュール301の全てが現在全容量で動作可能であるかどうかを示すことができ、除染モジュール301の1つ以上が現在動作不能であるか、または、例えば故障のため、または利用できる電力が不十分であるために減少した容量でしか動作できないかどうかを示すことができる。除染モジュール301の1つ以上が現在フル稼働できない場合、コントローラは、同じ所望のレベルの除染を達成するために、より長い再循環時間を設定することができる。
【0053】
再循環動作が完了すると、コントローラは、弁位置を
図3Cに示すものに変更し、除染された量の空気を出口303を介して環境中に戻すように排出させる。これは、「空運転」と呼ばれることがある。この動作モードでは、出口弁311が開かれ、再循環空気流路306の第1端の弁313が閉じられ、再循環空気流路306に引き戻されることなく出口303から除染した空気が流出するようにさせる。本実施形態では、入口弁310は閉じたままであるが、いくつかの実施形態では、入口弁310は多分部分的には、そうでなければ装置300からの除染された空気の流れを制限するような大きな負圧が300に蓄積するのを避けるように、空っぽにする操作の間に開かれる。
【0054】
図3Dは、装置300を「セルフクリーニングモード」で動作させる際に、コントローラによって設定可能なバルブ位置を示す図である。
図3Dのセルフクリーニングモードの動作原理は、
図1Bを参照して上述したものと同様であり、ここでは詳細な説明は繰り返さない。自浄モードでは、入口及び出口弁310,311、並びに第2下流及び上流隔離弁314a,314bは全て閉じられている。再循環空気流路306の第1端の弁313は、第1下流及び上流隔離弁312a,312bと同様に、開放される。このようにして、コントローラは、再循環気流チャネル306を、入口302と1つ以上の除染モジュール301との間の気流経路上の第1の地点に接続し、再循環気流チャネル306を通って流れる空気が、フィルタ304を清掃するようにフィルタ304を通って流れるように誘導することによって、空気再循環機構を自己清掃モードで動作するように制御できる。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、例えば、1時間ごとに数分間セルフクリーニングモードを起動することによって、セルフクリーニングモードを定期的に起動することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、気流中に存在する揮発性化合物のレベル及び/又は粒子サイズなどの、装置を流れる空気の特性を監視するように配置された1つ以上のセンサからの情報に基づいて、セルフクリーニングモードを起動することができる。例えば、このようなセンサは、入口302の近く及び/又は出口303の近くに配置されるかもしれない。
【0055】
次に、
図4を参照すると、本発明の実施形態による、直列に接続された複数の除染モジュールからなる除染装置が例示されている。除染装置400は、直列に接続された複数の除染モジュール401a、401b、401c、4Oid、4Oie、4Oifからなり、除染モジュールの一つを出た空気が次に直列の次の除染モジュールに入るようにする。
【0056】
本実施形態では、6つの除染モジュール401a、401b、401c、4Oid、4Oie、4Oifの直列配置を例示したが、他の実施形態では、任意の数の除染モジュール、すなわち、2つ以上の除染モジュールを直列に接続することができる。直列に接続される除染モジュールの数は、以下のように選択することができる。除染モジュール401a、401b、401c、40id、40ie、40ifを通過するたびに、所望のレベルの除染を達成する。
【0057】
除染装置400は、入口から又は再循環空気流路から空気の流れを受け取り、空気をシリーズの最初の除染モジュール401aに導くように構成された入口マニホールド402を具備している。除染装置400はまた、シリーズにおける最後の除染モジュール40ifからの除染された空気の流れを受け取るように構成された排気マニホールド403を備える。入口及び出口マニホールド402、403は、1つ又は複数の除染モジュールがそれぞれ複数の入口又は複数の出口を構成する実施形態において使用されるかもしれない。除染モジュールがそれぞれ単一の入口及び/又は単一の出口のみからなる実施形態では、入口及び/又は出口マニホールドは、必要に応じて省略されることがある。
【0058】
次に、
図5を参照すると、本発明の実施形態による、並列および直列に接続された複数の除染モジュールを含む除染装置が図示されている。除染装置500は、除染装置500を通る複数の気流経路531、532、533を規定するように並列に接続された複数の除染モジュールから構成されている。本実施形態では、モジュール装置500は、複数のステージ501a、501b、501c、50id、50ie、50ifからなり、各ステージは、並列に接続された3つの除染モジュールからなる。並列に接続される除染モジュールの数は、複数の除染モジュールを通過する各パスにおいて、所定の総除染レベルに対する流れ抵抗を低減することにより、除染装置500を通る空気流の所望の全体速度を達成するように選択されることができる。
【0059】
複数のステージ501a、501b、501c、50id、50ie、50ifは、それ自体、
図4を参照して上述した装置と同様の方法で直列に接続されており、あるステージから出た空気が次のステージに進むようにする。いくつかの実施形態では、除染装置400は、直列に接続された除染モジュールが存在しないように、単一のステージのみから構成され得る。
【0060】
図4の除染装置と同様に、本実施形態の除染装置500は、入口マニホールド502と出口マニホールド503とから構成される。
いくつかの実施形態では、入口マニホールド502と出口マニホールドの一方または両方が503は必要に応じて省略されるかもしれない。入口マニホールド502に流入した空気は、
図5に示すように、複数の気流路531,532,533に分けられる。各段501a,501b,501c,50id,50ie,50if内では、各空気流路531に沿って流れる前記空気の一部532、533は、ステージを出る前に、そのステージ内のプラズマリアクタモジュールの対応する1つを通過する必要があるだけである。
図5に示すように、除染装置が直列に接続された他のステージからなる場合、空気は、その後、除染装置500を出る前に他のステージの除染モジュールを通過することができるが、同じステージの他の除染モジュールを通過することはない。
【0061】
次に、
図6を参照すると、本発明の実施形態による、非平衡プラズマに基づく除染モジュールを通る断面図が図示されている。装置600は、上述した実施形態における除染モジュールとして使用することができる装置の一例である。装置600は、チャンバ601を規定するハウジング610と、ハウジング610に形成され、空気が装置600に入ることができる1つまたは複数の入口602と、ハウジングに形成され、空気が装置600を出ることができる1つまたは複数の出口603とからなる。装置600はまた、カソード電極620と、カソード620から間隔を置いて配置されたアノード電極630とを備える。
【0062】
カソード電極620は、複数の中空カソード621からなり、その各々は、動作中に装置600を通るガスの流れを示す
図6の破線矢印によって示されるように、空気がカソード電極620の一側からカソード電極620の他側へ通過し得る貫通厚さ孔を構成している。本発明の実施形態による、6つの中空カソード621からなるカソード電極620の一部が、
図7に示される。
図7の実施形態では、各中空カソード621は、アノード630に面するリング状電極721aからなり、アノード側リング状電極721aとカソード電極620の反対側とを接続する中空カソード621の内面上の導電路721bからなる。
【0063】
除染装置は、複数の中空カソード621でプラズマを発生させるための電力を供給するための電源640をさらに備えている。装置600は、空気がカソード電極620の一方の側から複数の中空カソード621を経由して他方の側にのみ流れることができるように構成される。これにより、1つまたは複数の出口603からチャンバ601を出る空気が必ず通過することが保証される。これにより、装置600から出るすべての空気がホローカソード621内のプラズマ環境にさらされることになる。
【0064】
ここで
図8を参照すると、本発明の実施形態による、ネブライザーの形態の出口空気処理モジュールを含む除染装置が示されている。明確にするために、
図8は、装置800の出力側のみを示している。
図8に図示された特徴は、上述の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせて使用することができる。装置800は、1つ以上の除染モジュール801、空気移動機構805、排出口803、排出弁811、および空気再循環機構806を備える。このような特徴は、既に上記で詳細に説明されているため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0065】
装置800は、1つ以上の除染モジュール801の下流の空気から1つ以上の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュール821を含んでいる。反応副産物は、1つ以上の除染モジュール801内で発生する除染プロセスの生成物である。上述したように、プラズマ除染が使用される場合、プラズマ除染プロセスの副生成物は、O、O3、OH-イオンおよびOHラジカルなどの反応種を含み得る。除染された空気が室内環境、すなわち建物、構造物または車両内の人間が居住する空間に戻される場合、副生成物の特定のもの、特にオゾンを除去することが望ましい場合がある。しかしながら、副生成物が人間に有害でないか、または健康に脅威を与えないように十分に低いレベルでしか存在しない実施形態では、出口空気処理モジュール821は省略されることがある。
【0066】
本実施形態では、出口空気処理モジュール821はネブライザからなり、ネブライザ821に液体を供給するように構成されたリザーバの形態の液体供給部822からなる。ネブライザーは当技術分野で知られており、ネブライザーの動作の詳細な説明はここでは省略する。簡単に言えば、ネブライザーは、ガス、この場合は除染された空気を小さなノズルを通して、ガスの多くの小さな気泡の形で液体媒体に通すことによって、ガス状の流れを処理する。これにより、気体と液体の間に高い接触面積が得られ、気体と液体の間で種を高速で交換することが可能になります。例えば、気相の特定の種は、液相に優先的に吸収され、かつ/または、液中に存在する種と反応する可能性がある。他の実施形態では、他の形態の出口空気処理モジュールは、活性炭フィルターやゼオライトフィルターなどを使用することができますが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本実施形態では、1つ以上の除染モジュール801は、少なくとも1つのプラズマリアクタモジュールから構成される。上述したように、プラズマ除染プロセスの副産物として、一定濃度以上で人体に有害なオゾン、O3が発生する可能性がある。したがって、本実施形態では、リザーバ822に貯蔵された液体は、ヨウ化カリウムまたはチオ硫酸化合物、例えばチオ硫酸マグネシウムまたはチオ硫酸ナトリウムなどのオゾン除去用添加剤を含む。このような添加剤は、気泡がネブライザー821内の液体を通って上昇する際にオゾンと急速に反応し、より効果的なオゾンの除去を提供する。
【0068】
次に、
図9を参照すると、本発明の実施形態による、ネブライザーからの液体の空気飛沫を捕らえるように配置された液体収集部材を備える除染装置が示されている。
図8の装置800と同様に、本実施形態の装置900は、1つ以上の除染モジュール901、空気移動機構905、排出口903、排出弁911、空気再循環機構906、ネブライザー921、および液体供給部922からなり、これらの詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0069】
本実施形態では、装置900は、除染された空気が出口903を介して室内環境に放出される前にネブライザー921から液体の空気飛沫を捕らえるように、出口903とネブライザ921の間の出口空気流経路に配置された液体収集部材923をさらに備えている。また、装置900は、液体収集部材923によって捕らえられた液体を受け取り、貯蔵するように構成されたリザーバ924を備えている。例えば、液体収集部材923は、空気が流れることができる発泡体ブロックなどの多孔質材料のブロックから構成されてもよい。ネブライザーの下流の空気流に運ばれた液体の液滴は、液体収集部材923の表面に集まり、時間の経過とともに大きな液滴に合体し、重力の作用で下方に流れる。この液体は、リザーバ924に集めることができ、その後、取り出して消毒液として使用することができる。例えば、プラズマベースの除染プロセスが使用される実施形態では、リザーバ924に集められた液体は、除染された空気中のオゾンがネブライザー内の水に溶解することによる高濃度のH202を含み、したがって、消毒剤としての使用に適していることがある。
【0070】
例えば、リザーバ924は、以下のように、装置900から取り外し可能であることがある。
リザーバを取り外し、取り外して空にすることができるようにする。あるいは、いくつかの実施形態では、リザーバ924は、ドレインアウトレットを含んでいてもよく、それを通して、リザーバ924を所定の位置に残したまま、収集した流体を別の適切な容器に排出することができる。リザーバ924に集められた流体は、単に廃棄されるかもしれない。
【0071】
ここで
図10を参照すると、本発明の実施形態による、紫外線C(UV-C)除染モジュールが図示されている。
図10に例示される装置1000は、UV-C波長の電磁放射を放出するように構成されたランプなどの1つまたは複数のUV-C源1001aを含む除染モジュール1001を備える。つ以上のUV-C源1001aは、UV-Cモジュール1001を流れる空気の少なくとも一部をUV-C放射に曝すように配置される。本実施形態では、除染モジュール1001は、除染モジュール1000を通る空気の流れ方向に対して軸が垂直に配置された管状のUV-Cランプの形態の複数のUV-C源1001aを備え、流入する空気の流れが
図10の破線で示すように複数のUV-Cランプの周囲および間の複数の空気流に分かれるようにされる。除染モジュール1001内のUV-C放射への曝露は、空気流内の高い割合の生物学的汚染物質を効果的に殺すことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、同じ装置内で異なるタイプの除染モジュールを組み合わせて使用することができ、例えば、装置は、
図10に示すような1つ以上のUV-Cモジュールと、
図6に示すような1つ以上のプラズマリアクタモジュールとを並列および/または直列に組み合わせて構成することができる。
【0073】
次に、
図11を参照すると、本発明の実施形態による、UVC除染モジュールを含む除染装置が示されている。装置1100は、UV-C除染モジュール1101、入口1102、出口1103、フィルタ1104、空気移動機構1105、再循環空気流路1106、入口バルブ1110、出口バルブ1111、及び再循環空気流路1106の第1及び第2端にそれぞれ配置された第1及び第2バルブ1113,1112を備える。このような特徴は、既に上記で詳細に説明されているため、ここで再び詳細な説明は繰り返さないことにする。
図11に示すように、1つまたは複数のUV-C除染モジュールを通して空気を再循環させることにより、UV-C除染プロセスの効果をさらに高めることができ、従来のシングルパスUV-Cデバイスで達成できるよりも潜在的にはるかに高い殺菌率を可能にする。
【0074】
次に
図12および
図13を参照すると、本発明のさらなる実施形態による除染装置が示されている。
図12および
図13の両方において、除染装置1200、1300は、1つまたは複数の除染モジュール1201、1301、入口1202、1302、出口1203、1303、フィルタ1204、1304、空気移動機構1205、1305、再循環気流チャネル1206、1306、入口バルブ1210、1310、出口バルブ1211、1311および再循環気流チャネル1206、1306の第1および第2の端にそれぞれ配置される第1および第2のバルブ1213、1212、1313、1312からなる。このような特徴は、既に上記で詳細に説明されているので、ここで再び詳細な説明を繰り返すことはしない。
【0075】
図12および
図13の除染装置1200、1300は、空気再循環機構が入口1202、1302および出口1203、1303に別々の位置で入口および出口マニホールドに接続する点において、上述の他の実施形態のものと異なる。本実施形態では、空気移動機構1205、1305が出口空気流路上に配置されているので、除染装置1200、1300は、さらに、再循環空気流路1206、1306を介して空気を循環させるための再循環空気移動機構1215、1315を含んで構成されている。
【0076】
図12の実施形態では、フィルタ1204は、
図12の矢印で示すように、再循環空気がフィルタ1204を迂回するように入口空気流路に配置され、それにより、再循環モードで動作している間に装置1200を通る最大利用可能流量を増大させる。
図13の実施形態では、フィルタ1304は、再循環空気がフィルタを通過するように入口マニホールドの内部に配置され、上述したように、自己清掃機能を提供する。
【0077】
次に
図12を参照すると、本発明の実施形態による、1つまたは複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前の空気の入口流の湿度レベルを増加させるための加湿装置が示されている。加湿装置は、1つまたは複数のプラズマリアクタモジュールをその後通過する前に空気の入口流が導かれる加湿ユニット1421を備える。加湿装置は、例えば、1つ以上のプラズマ反応器モジュールを通過する前に空気の湿度レベルを高めるように、上述の実施形態のいずれかの空気入口とインラインで接続されることができる。
【0078】
空気の流入の湿度レベルを上げる、言い換えれば、空気の流入に水を加えることの利点は、H2O分子の濃度の増加により、プラズマリアクターモジュールのプラズマ環境内でのOH―ラジカルの発生率が高くなることである。OHラジカルは空気中の細菌やウイルス粒子などの有機物と容易に反応し、分解するため、プラズマリアクターモジュール内のOHラジカルの濃度が高くなると、より効果的な除染が可能となる。
【0079】
本発明者による試験により、このように入口空気の湿度レベルを上げることによって入口空気流を前処理することは、空気再循環機構の必要性を排除し、除染装置を1回通過するだけで極めて高い殺傷率、例えば99.999%超を達成することに役立つことが示された。しかしながら、他の実施形態では、上述のような空気再循環機構を、
図14に示されるような加湿装置と組み合わせて、装置の全体的な有効性をさらに高めることができる。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、除染装置が既に高い相対湿度(RH)レベルを有する環境で使用される場合、加湿装置または空気再循環機構のいずれもなくても十分に高い殺傷率(例えば、99.999%以上)を達成できるかもしれない。
【0080】
本実施形態では、加湿装置は円筒形であり、装置の外壁に設けられた複数の入口孔1402を通して周囲の空気が装置内に引き込まれる気流経路を画定している。次に、空気は装置の底部1443に向かって流れ落ち、静電フィルタ要素1404を通って上昇する。静電フィルタ要素1404は、例えば、金属箔ストリップ、ストランド、または金属ウールなどの高表面積を有する導電材料からなり、これに高電位を印加して、空気中のダスト粒子などの微粒子をフィルタ内に引き付けて捕捉する静電場を生成することができる。その後、静電フィルタ要素1404は、時間の経過とともにフィルタ要素1404内に蓄積される蓄積された塵を除去するために、定期的に取り外して、洗浄又は交換することができる。いくつかの実施形態では、静電フィルタ要素1404は、熱分解機能を用いて洗浄されてもよく、この機能では、フィルタ要素1404に電流を流して十分に高い温度まで加熱し、閉じ込められた塵埃粒子を熱分解させる。
【0081】
入口空気流は、静電フィルタ要素1404を垂直に通過し、静電フィルタ要素1404の上部から、加湿ユニット1421が位置する第1のチャンバ1441に出る。このように静電フィルタ要素1404に空気を通すことの利点は、例えば静電フィルタ要素1404の厚さを通して水平に空気を通すのとは対照的に、空気が静電フィルタ要素1404内で長く過ごし、その結果、より効果的なろ過を達成することができるということである。言い換えれば、本実施形態の静電フィルタ要素1404は、フィルタ要素が比較的薄肉の円筒の形態を有するので、細長いフィルタ要素の幅よりも実質的に長い長さを有する細長いフィルタ要素であると考えられ、装置は、汚染された周囲空気の流れをその長さに沿って細長いフィルタ要素を通して導くように構成される。
【0082】
本実施形態では、装置は、電源及び/又はマイクロコントローラなどの制御電子機器を収容する第2のチャンバ1442をさらに備える。例えば、マイクロコントローラは、静電フィルタ素子1404から第1のチャンバ1441に出る空気中の塵のレベルを測定するために第1のチャンバ1441内に配置された1つ以上の空気品質センサからデータを受信してもよく、1つ以上の空気品質センサによって測定された塵のレベルが閾値より大きいか小さいかによって静電フィルタ素子1404に加えられる電圧を制御してもよい。
【0083】
加湿ユニット1421は、例えば、入口空気流を細かい気泡の形態の水の体積に通すように構成されたネブライザーを構成することができ、この気泡は水を通過する際に水分を拾い上げる。ネブライザー1421の前に、静電フィルタ要素1404などのフィルタに入口空気を通すことの利点は、ネブライザ1421の動作寿命を長くできることであり、そうでなければ、ネブライザーで気泡を生成するために使用する小径孔が入口空気からの塵粒子によって塞がれる可能性があるからである。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、装置が非常に低いダストレベルを有すると予想される環境での使用を意図している場合、またはネブライザー以外の代替形態の加湿ユニット1421が使用される場合、静電フィルタ要素1404などの入口フィルタを省略することができる。
【0084】
ネブライザー1421を通過した後、気流は再び方向を変え、装置本体内の中央通路を通って垂直に流れ落ち、加湿空気出口1403に至る。この加湿空気出口1403は、今度は、除染モジュールに到達する空気が、装置が設置される環境の周囲空気よりも高い湿度レベルを有するように、上述の実施形態のいずれかの空気インレットに接続され得る。上述したように、この利点は、1つまたは複数のプラズマリアクタモジュール内でのOH―ラジカルの生成速度を高めることによって、除染装置の全体的な有効性が向上することである。
【0085】
本明細書では、図面を参照して本発明の特定の実施形態を説明したが、添付の請求項に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形および修正が可能であることが理解されるであろう。
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-07-26
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内環境における周囲空気を浄化するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人が占有する室内環境、例えば建物内の部屋又は車両の内部においては、有害な汚染物質に対して人が晒される可能性が懸念される場合がある。そのような潜在的に有害な汚染物質の例としては、空中を浮遊する生物病原体、例えばウイルス粒子及び細菌を挙げることができる。浄化システムが開発されており、そのようなシステムにおいては、室内環境から取り込まれた空気流が、UV-Cランプのアレイなどの浄化ユニットを通過した後、室内環境に再導入される。例えば、そのようなUV-C浄化ユニットは、建物内の換気システムにインラインで設置することができる。しかしながら、一部の汚染物質は、UV-Cランプを素早く流れるよう通過して破壊されない場合があるので、そのようなシステムの有効性は限られている。従って、改良された浄化装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1態様によれば、室内環境の周囲空気を浄化するための装置が提供される。この装置は、室内環境から汚染された周囲空気を受け入れるよう構成された入口と、浄化された空気を室内環境に供給するよう構成された出口と、入口と出口との間に接続された1個又は複数の浄化モジュールとを備え、1個又は複数の浄化モジュールのそれぞれは、これら浄化モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するよう構成されている。
【0004】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、空気が1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻すための空気再循環機構と、空気再循環機構を制御して装置内で所定容積の空気を再循環させ、これによりその空気が1個又は複数の浄化モジュールを複数回にわたって通過し、その後に空気を浄化された空気として出口を介して室内環境に放出するよう構成されたコントローラとを備える。
【0005】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、空気が空気再循環機構を介して再循環されている間、出口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された出口バルブを備える。
【0006】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、空気が空気再循環機構を介して再循環されている間、入口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された入口バルブを備える。
【0007】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、空気が1個又は複数の浄化モジュールに到達する前に微粒子を除去するために、入口と1個又は複数の浄化モジュールとの間の入口空気流路上に配置されたフィルタを備える。
【0008】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、空気再循環機構は、再循環空気流チャネルを含み、その再循環空気流チャネルは、装置を通る空気流方向において、出口の上流及び1個又は複数の浄化モジュールの下流に接続された第1端部を有し、これにより1個又は複数の浄化モジュールを流出する空気流を、出口に到達する前に、再循環空気流チャネルに転換させることができ、再循環空気流チャネルは、1個又は複数の浄化モジュールの上流に接続された第2端部を有し、これにより空気が1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻す。
【0009】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、再循環空気流チャネルの第2端部は、フィルタの上流及び入口バルブの下流の入口空気流路上に位置する第1ポイントに接続されている。
【0010】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、コントローラは、再循環機構を制御して空気の再循環を開始する前に、入口バルブを閉鎖し、再循環空気が入口を介して装置から流出するのを防ぐよう構成されている。
【0011】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、再循環空気流チャネルをフィルタの上流の第1ポイント、及び/又は、フィルタの下流の入口空気流路上に位置する第2ポイントに選択的に接続するよう動作可能な流れ制御機構を備える。
【0012】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、コントローラは、流れ制御機構を制御して再循環空気流チャネルを入口空気流路上に位置する第1ポイントに接続することにより、空気再循環機構が自己洗浄モードで動作するよう構成され、これにより再循環空気流チャネルを流れる空気の少なくとも一部がフィルタを通過するよう導かれてそのフィルタが洗浄される。
【0013】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、コントローラは、流れ制御機構を制御して再循環空気流チャネルを入口空気流路上に位置する第2ポイントに接続すると共に、入口空気流路上に位置する第1ポイントへの再循環空気の流れを遮断することにより、空気再循環機構が浄化モードで動作するよう構成されている。
【0014】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、再循環空気流チャネルの第2端部は、フィルタの下流の入口空気流路上に位置するポイントに接続され、これにより再循環空気が空気再循環機構によって1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環されたときにフィルタを迂回する。
【0015】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを含み、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールのそれぞれは、複数の中空カソードを含むカソード電極であって、複数の中空カソードのそれぞれは、カソード電極の一方の側から他方の側に空気が通過可能な厚さ方向貫通孔を有し、プラズマリアクタモジュールは、使用時に、プラズマリアクタモジュールを流通する空気が複数の中空カソードの厚さ方向貫通孔を通過するよう構成された、複数のカソード電極と、カソードから間隔を置いて配置されたアノード電極であって、アノード電極及びカソード電極は共に、アノード電極及びカソード電極に電力が供給されたときに、複数の中空カソードにてプラズマを生成するよう構成された、アノード電極とを有する。
【0016】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数の紫外線C(UVC)モジュールを含み、1個又は複数のUVCモジュールのそれぞれは、UVCモジュールを通過する空気の少なくとも一部をUVC放射に曝露するよう配置された1個又は複数のUVC源を有する。
【0017】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、複数の浄化モジュールを備え、浄化モジュールの2個以上は、直列接続され、従って浄化モジュールの1個から流出した空気が直列接続された浄化モジュールの次の1個に流入する。
【0018】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、直列接続された浄化モジュールの個数は、複数の浄化モジュールを通過した後に、装置から流出する空気の所望の特性が達成されるよう選択される。
【0019】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、複数の浄化モジュールを備え、浄化モジュールの2個以上は、装置を通る複数の空気流路を規定するよう並列接続され、これにより装置に流入する気体が複数の空気流路に分けられ、空気流路のそれぞれに沿って流れる空気の一部は、装置から流出する前に、並列接続された浄化モジュールのうち対応するものだけを通過すればよい。
【0020】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、並列接続された浄化モジュールの個数は、装置を通る所望の空気流量が達成されるよう選択される。
【0021】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、1個又は複数の浄化モジュールの下流の空気から1種又は複数の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュールを備え、反応副生成物は、1個又は複数の浄化モジュール内における浄化プロセスの生成物を含む。
【0022】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、出口空気処理モジュールは、ネブライザを含む。
【0023】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、反応副生成物は、オゾンを含み、装置は、ネブライザに液体を供給するよう構成された液体供給部を備え、液体は、オゾンを除去するための添加剤を含む。
【0024】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、添加剤は、ヨウ化カリウム及び/又はチオ硫酸化合物を含む。
【0025】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、出口とネブライザとの間の出口空気流路に配置された液体収集部材を更に備え、これにより浄化空気が出口を介して室内環境に放出される前にネブライザからの液体の空気中における液滴が捕集される。
【0026】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、液体収集部材によって捕集された液体を受け入れて貯蔵するよう構成されたリザーバを備える。
【0027】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、装置は、空気が1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に、汚染された周囲空気の湿度レベルを高めるよう構成された加湿ユニットを備える。
【0028】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、加湿ユニットは、ネブライザである。
【0029】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、フィルタは、空気がネブライザを通過する前に、汚染された周囲空気から微粒子を除去するよう構成されている。
【0030】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、フィルタは、細長フィルタ要素を含み、細長フィルタ要素は、その幅と比べて実質的に大きな長さを有し、装置は、汚染された周囲空気の流れを、細長フィルタ要素の長さに沿い通過させて導くよう構成されている。
【0031】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、室内環境は、建物又は構造物内において、人が占有するよう構成された空間を含む。
【0032】
第1態様に係る幾つかの実施形態において、室内環境は、乗物内の乗員室を含む。
【0033】
本発明の第2態様によれば、第1態様に係る装置を備える乗物が提供される。
【0034】
第2態様に係る幾つかの実施形態において、乗物は、自動車と、列車と、航空機と、船或いはボートと、又は潜水艇とを含む。
【0035】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、本発明の一実施形態に係る、空気再循環機構を備える浄化装置を示す説明図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、本発明の一実施形態に係る、再循環空気がフィルタの下流の入口空気流路内に供給される浄化装置を示す説明図である。
【
図3】
図3A~
図3Dは、本発明の一実施形態に係る、自己洗浄モード及び浄化モードで動作可能な浄化装置を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、直列に接続された複数の浄化モジュールを備える浄化装置を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る、並列及び直列に接続された複数の浄化モジュールを備える浄化装置を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る、非平衡プラズマに基づく浄化モジュールの断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る、複数の中空カソードを含むカソード電極の一部を示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る、ネブライザの形態の出口空気処理モジュールを備える浄化装置を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る、ネブライザからの液体の空中液滴を捕集するよう配置された液体収集部材を備える浄化装置を示す説明図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る、紫外線C(UVC)浄化モジュールを示す説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る、UVC浄化モジュールを備える浄化装置を示す説明図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る浄化装置を示す説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る浄化装置を示す説明図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に入口空気流の湿度レベルを高めるための加湿装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の詳細な説明においては、本発明における特定の例示的な実施形態のみを単なる例示として示すと共に説明するに過ぎない。当業者であれば認識するように、説明した実施形態は、本発明の趣旨内で、様々に異ならせて修正することができる。従って、図面及び説明は本質的に例示であり、限定的に見なされるべきではない。本明細書を通して、同様の参照符号は同様の要素を表している。
【0038】
ここで
図1A及び
図1Bを参照すると、本発明の一実施形態に係る空気再循環機構を備える装置が示されている。この装置100は、室内環境の周囲空気を浄化するよう構成され、従って「浄化装置」と称することができる。この文脈における「室内環境」とは、人が占有するよう設計された部分的又は完全に閉鎖された空間を指すものと理解されるべきである。この室内環境は、例えば建物又は構造物内の部屋であってもよいし、又は自動車(例えば乗用車、バス、バン)の乗員室、列車、航空機、水上船舶、例えば船或いはボート、又は潜水艇などの乗物の内部であってもよい。この文脈において、「乗員室」とは、使用中に一人又は複数人によって占有される乗物の任意の部分を指し得るものであり、その部分には乗物の運転者が含まれることを理解されたい。浄化装置を使用できる部分的に閉鎖された室内空間の例としては、1個又は複数のドア又は窓が開放可能な部屋を挙げることができる。室内環境内の周囲空気を浄化することにより、装置は、その装置が動作する空間を占有する人々のために室内環境品質(IEQ)を改善するのに役立ち得る。一例として、浄化装置は、空中のウイルス粒子又は他の病原体などの汚染物質を除去することによってIEQを改善し、これにより室内環境内の個人間で病気が伝染するリスクを低減することができる。
【0039】
図1A及び
図1Bに示すように、装置100は、室内環境から汚染された周囲空気を受け入れるよう構成された入口102と、浄化された空気を室内環境に供給するよう構成された出口103と、入口102と出口103との間に接続された1個又は複数の浄化モジュール101とを備える。
図1A及び
図1Bは1つの入口102及び1つの出口103を示すが、他の実施形態において、装置100は、複数の出口102及び/又は複数の出口103を備えることができる。本実施形態においては、単一の浄化モジュール101のみ示すが、他の実施形態においては、以下により詳細に説明するように、装置は、複数のこのような浄化モジュールを備えることができる。各浄化モジュールは、浄化モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するよう構成され、これにより浄化された空気が室内環境に戻されたときにIEQが改善される。浄化モジュールにおいては、プラズマベースによる浄化及び紫外線C(UVC)による浄化を含む(これに限定されない)、浄化をするための任意の適切な技術を使用することができる。
【0040】
装置100は、空気が1個又は複数の浄化モジュール101を通過するよう再循環させて戻すための空気再循環機構106,112,113と、コントローラ120とを更に備える。コントローラ120は、空気再循環機構106,112,113を制御して装置100内で所定容積の空気を再循環させ、これにより空気が1個又は複数の浄化モジュール101を複数回にわたって通過し、その後にその空気を浄化された空気として出口103を介して室内環境に放出するよう構成されている。
【0041】
幾つかの実施形態において、装置100は、例えばポータブルエアコン又は空気清浄機と同様に、室内環境に位置するスタンドアロンユニットとして動作することができる。このような実施形態において、装置100は、室内環境から汚染された空気を入口102を介して取り込み、浄化された空気を出口102を介して環境に戻すよう供給することができる。他の実施形態において、装置100は、室内環境の外側、例えば、室内環境がある車両、建物、又は構造物とは他の部屋或いは部分に位置することができる。このような実施形態において、入口102及び出口103は、エアホース、パイプライン、又はダクトなどの任意の適切な手段によって室内環境に接続することができる。幾つかの実施形態において、装置は、車両内の空調制御システムなど、室内環境内で空気を循環させる他のシステムに統合することができる。
【0042】
図1A及び
図1Bにおいて、「閉鎖」状態のバルブは黒い三角形で表されているのに対して(例えばバルブ112,113)、「開放」状態のバルブは白い三角形で表されている(例えば
図1Aのバルブ110,111)。
図1Bは、装置100内でシールされた所定容積の空気を再循環させるよう制御されたバルブ110,111,112,113を示す。浄化が完了すると、
図1Aに示すように、バルブを制御することにより、浄化した所定容積の空気を出口103を介して室内環境に戻すよう放出すると同時に、汚染された他の所定容積の空気を入口102を介して取り込むことができる。
【0043】
本実施形態において、空気再循環機構は、再循環空気流チャネル106を含み、その再循環空気流チャネルは、装置100を通る空気流方向において、出口103の上流及び1個又は複数の浄化モジュール101の下流に接続された第1端部を有する。この配置により、1個又は複数の浄化モジュール101を出る空気の流れを、出口103に到達する前に、再循環空気流チャネル106に転換させることが可能である。これにより、1個又は複数の浄化モジュール101から出る空気は、出口103を介して直ぐに室内環境に放出して戻される代わりに、空気再循環機構によって装置100内に一時的に保持することができる。再循環空気流チャネル106は、空気が1個又は複数の浄化モジュール101を通過するよう再循環させて戻すために、1個又は複数の浄化モジュール101の上流に接続された第2端部を有する。
【0044】
本実施形態の装置100は、空気が空気再循環機構106,112,113を介して再循環されている間、入口102を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された入口バルブ110と、空気が空気再循環機構106,112,113を介して再循環されている間、出口103を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された出口バルブ111とを更に備える。入口バルブ110を閉鎖することにより、入口を介して付加的な汚染空気を取り込むことなく、装置100内で所定容積の空気をシールし、必要な時間又は通過回数にわたって再循環させることができる。同様に、出口バルブ111を閉鎖することにより、浄化プロセスが完了するまで、空気が装置100から出ないことを保証することができる。ただし、幾つかの実施形態においては、入口バルブ110及び出口バルブ111の一方又は両方は省略されてもよい。
【0045】
このようにして、所定容積の空気が1個又は複数の浄化モジュール101を複数回にわたって通過するよう装置100内の所定容積の空気を再循環させることにより、浄化プロセスの全体的な有効性を高めることができる。例えば、浄化モジュールが、ウイルス粒子などの特定の種類の汚染物質を除去するのに90%有効な浄化プロセスを使用する場合、汚染物質は、浄化モジュール101を1回通過した後、入口102を介して受け入れた汚染空気中に元々のレベルの10%の割合で依然として存在している可能性がある。この例において、汚染物質の濃度は、浄化モジュール101を通過するたびに90%だけ更に低減することができる。純粋に例示として述べれば、浄化モジュール101を5回通過した後、再循環された所定容積の空気中におけるその汚染物質の残留濃度は、0.1^5=0.00001、又は0.001%まで減少する。この理論的な例において、空気の100%が処理されると仮定すると、空気再循環機構は、浄化プロセスの全体的な有効性を90%~99.999%まで効果的に高める。
【0046】
装置100内で所定容積の空気を再循環させることの更なる利点は、再循環空気流チャネル106内で特定量の付加的な浄化が生じ得ることである。例えば1個又は複数の浄化モジュール101が、空気をプラズマに通過させるよう構成された1個又は複数のプラズマリアクタモジュール101を含む実施形態においては、1個又は複数のプラズマリアクタモジュール101の下流における空気流は、(例えば入口102を介して受け入れた空気中の水蒸気の存在に起因して)促進酸化剤、O3、OH-、過酸化物などのプラズマ反応副生成物を含み得る。このような反応副生成物は、空気が再循環空気流チャネル106の周りを移動するときに、空気中の病原体と反応して損傷又は死滅させることができ、これによりそのような汚染物質のレベルを更に低減するのに役立つ。
【0047】
幾つかの実施形態において、再循環空気流チャネル106は、そのチャネル内に乱気流を生成する1個又は複数の特徴部、例えば再循環空気流チャネル106の内面上の形成物を有することができる。再循環空気流チャネル106内に乱気流を生成することは、空気が1個又は複数の浄化モジュール101に再流入する前に空気の混合が促進可能であり、これにより空気流内で残留汚染物質がより均一に分布し、1個又は複数の浄化モジュール101への2回目及び後続する通過においてより効果的に浄化される。
【0048】
上述した例における値は、単に本発明の理解を容易にするためのものであり、限定的なものとして見なされるべきでないことを理解されたい。所定容積の空気が1個又は複数の浄化モジュール101を通過する回数は、必要に応じて変化可能であり、例えば、使用される浄化モジュールの個数、レベルの低減化が所望される特定の汚染物質に対する浄化プロセスの有効性、並びに装置100内で処理された後に環境に戻される浄化空気中における汚染物質のレベルに関して所望される全体的な低減化に応じて変化可能である。
【0049】
他の実施形態においては、再循環空気流チャネル106の代わりに、異なる形態の空気再循環機構を提供することができる。例えば、幾つかの実施形態において、装置100は、1個又は複数の浄化モジュール101を通して所定容積の空気を一方向、例えば
図1Aにおける左側から右側に取り込み、次いで同じ所定容積の空気を1個又は複数の浄化モジュール101を通して反対方向、例えば
図1Aにおける右側から左側に圧送して戻すよう構成することができる。幾つかのそのような実施形態においては、1個又は複数の浄化モジュールの両側に調整可能な容積を有する貯蔵容器を使用し、適切な機構を実装することができる。適切な形態の貯蔵容器の例としては、シリンジタイプ機構と同様の可動端壁を有する貯蔵タンク、又は拡張可能なベローズ或いはバルーンを挙げることができる。1個又は複数の浄化モジュールの一方の側における貯蔵容器の容積を増加させ、同時に1個又は複数の浄化モジュールの他方の側における貯蔵容器の容積を減少させることにより、所定容積の空気が1個又は複数の浄化モジュールを反対方向に順番に通過するよう強制することができる。使用される浄化プロセスの種類に応じて、1個又は複数の浄化モジュールは、空気が1個又は複数の浄化モジュールを通過して順方向及び逆方向の両方に流れているときに浄化をするよう動作可能であり、又は空気が一方の方向に流れているときにのみ浄化をするよう動作可能である。
【0050】
引き続き
図1A及び
図1Bを参照すると、本実施形態において、装置100は、空気が1個又は複数の浄化モジュール101に到達する前に微粒子を除去するために、入口102と1個又は複数の浄化モジュール101との間の入口空気流路上に配置されたフィルタ104を備える。フィルタ104は、1個又は複数の浄化モジュール101の内部を含め、装置100の内部を比較的清浄に保つと共に、ダスト及び他の粒子状物質がない状態に保つのに役立ち得る。フィルタ104は、任意の適切なフィルタ、例えば、金属或いはプラスチックのメッシュフィルタ、又は織布或いは不織布或いは繊維フィルタを含むことができる。幾つかの実施形態において、フィルタ104は、電気集塵機であってもよい。電気集塵機は、空気流を大幅に妨げることなく効果的なフィルタリングを提供し、ダスト粒子を捕捉すると共に、ウイルス粒子などの空気中の病原体を死滅させるのに役立ち得る。本実施形態において、再循環空気流チャネル106の第2端部は、フィルタ104の上流及び入口バルブ110の下流に配置された入口空気流路の第1ポイントに接続されている。本実施形態において、コントローラ120は、空気再循環機構106を制御して空気の再循環を開始する前に、入口バルブ110を閉鎖し、再循環空気が入口102を介して装置100から流出するのを防止するよう構成されている。
【0051】
このようにして、本実施形態の空気再循環機構106は、1個又は複数の浄化モジュール101を通過した空気がフィルタ104を通過するのに戻されるよう構成されている。この構成は、自己洗浄機能を提供するのに使用することができる。なぜなら、1個又は複数の浄化モジュール101によって処理された空気は、フィルタ104から何らかの形態の汚染物質を除去するよう作用し得る特定の種を含み得るからである。例えば、1個又は複数の浄化モジュール101がプラズマを使用して浄化をする場合、プラズマ浄化プロセスの副生成物は、О、O3、並びに過酸化水素(H2O2)などの反応種を含むことができる。これら種を含む空気が空気再循環機構106によってフィルタ104を通過するのに戻されるときに、これら種は、フィルタ104に捕捉された化学的又は生物学的汚染物質と反応し、従ってフィルタ104を洗浄するよう作用することができる。
【0052】
本実施形態の空気再循環機構は、再循環空気流路106の周りで空気を移動させるための機構を更に有する。本発明の実施形態においては、任意の適切な機構が使用可能であり、この機構には、1個又は複数の浄化モジュール101の下流及び/又は上流に配置された1個又は複数のエアポンプ及び/又はファンが含まれる(これに限定されない)。本実施形態において、空気を動かすための機構は、出口103とインラインに配置されたファン105を含み、このファン105は、再循環が完了すると、出口103を介して装置100から所定容積の空気を放出するために使用することができる。ファン105は、
図1Bの矢印で示すように、空気が装置100を再循環するときに通過する経路上にも配置されている。このようにして、本実施形態においては、単一のファン105を使用することにより、装置100内に所定容積の空気を取り込み、空気を再循環空気流チャネル106の周りで再循環させて1個又は複数の浄化モジュール101を通過するよう戻し、最後に再循環が完了したときに装置100から空気を放出することができる。ただし、他の実施形態においては、別々のエアポンプ及び/又はファンを異なる動作に使用可能であり、例えば、入口を介して装置を充填し、空気を再循環させ、更に出口103を介して浄化空気を放出することが可能である。空気移動機構105は、コントローラ120の制御下で動作することができ、そのコントローラ120は、例えば空気移動機構105をオン又はオフにし及び/又は空気移動機構105の流量を調整することができる。
【0053】
本実施形態において、空気再循環機構は、再循環空気流チャネル106の第1及び第2端部の近傍にそれぞれ配置された第1及び第2バルブ113,112を含む。コントローラ120は、出口103を介して装置100から空気を放出するときに、再循環空気流チャネル106の第1端部の近傍に配置された第1バルブ113を閉鎖することができ、これによりファン105を通過する空気は、再循環空気流チャネル106に戻るのではなく出口103を介して流出しなければならない。コントローラ120は、再循環空気流チャネル106の第2端部の近傍における第2バルブ112の第2バルブ112を閉鎖することができる。ただし、幾つかの実施形態においては、第1及び第2バルブ113,112の一方又は両方を必要に応じて省略してもよい。
【0054】
次に
図2A及び
図2Bを参照すると、本発明の一実施形態に係る、再循環空気がフィルタの下流の入口空気流路内に供給される浄化装置が示されている。
図2A及び
図2Bの装置200は、
図1A及び
図1Bを参照して上述した装置100と多くの点で類似しており、類似する態様についての詳細な説明は省略する。
図1A及び
図1Bに示す装置100と同様に、本実施形態の装置200は、1個又は複数の浄化モジュール201と、入口202と、出口203と、フィルタ204と、空気移動機構205と、再循環空気流チャネル206と、出口バルブ211と、再循環空気流チャネル206の第1及び第2端部の近傍に配置された第1及び第2バルブ213,212とを備える。
図2A及び
図2Bにおいてはコントローラ120が示されていないが、このような実施形態は、空気再循環プロセスの自動制御を可能にするコントローラ120を備えることが理解されるであろう。
【0055】
本実施形態の装置200は、再循環空気流チャネル206の第2端部が、フィルタ204の下流における入口空気流路のポイントに接続されている点で、
図1A及び
図1Bの装置と異なる。この構成により、
図2Bの再循環ループの周りの空気流を表す矢印で示すように、空気再循環機構206,212,213によって1個又は複数の浄化モジュール101を通過するよう再循環されるときに、再循環された空気がフィルタ204を迂回することが保証される。フィルタ204は、空気流に対して一定の抵抗を提供するので、空気を再循環させながらこのようにフィルタ204を迂回することにより、再循環モードで動作している間、1個又は複数の浄化モジュール201を最大の空気流量が通過することが保証される。これにより、所定容積の空気を1個又は複数の浄化モジュール201に必要な回数にわたって通過させるのに必要な総時間を短縮することができ、これにより再循環される所定容積の空気の浄化プロセスを完了するのに要する時間を短縮することができる。
【0056】
再循環空気がフィルタ204の下流でシステム内に戻される幾つかの実施形態において、
図1A及び
図1Bに示す入口バルブ110は省略することができる。なぜなら、フィルタ204を通過する流れに対する抵抗は、入口202を通過する再循環空気の著しい漏れを防止するのに十分であり得るからである。ただし、幾つかの実施形態において、再循環空気がフィルタ204の下流でシステム内に戻される場合であっても、入口202のより効果的なシールを提供するために入口202を依然として提供することができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、コントローラは、
図2Aに示す再循環モードで動作している間、出口バルブ211を完全に閉鎖するのではなく、出口バルブ211を部分的に開放した位置に設定することができる。これにより、少量の気体が入口202から出口203まで装置200を通って流れつつ、気体の大部分は1個又は複数の浄化モジュール201で更なる処理を施すために再循環させることができる。このことは、ファン205の下流において圧力の大きな蓄積を回避することを助長することにより、ファン205に対するストレスを緩和するのに役立ち得る。
【0058】
幾つかの実施形態において、
図2Aに示すモードから
図2Bに示すモードに切り替えるときに、コントローラは、再循環空気流チャネル206の第1端部でバルブ213を徐々に開放し、次いで再循環空気流チャネル206の第2端部でバルブ212を開放することができる。第2端部のバルブ212が開放されると共に、第1端部のバルブ213が完全に開放されている間、コントローラは、出口バルブ211を部分的に又は完全に閉鎖し始めることができる。このアプローチは、2つの動作モード間の移行が行われるときに、装置200内の特定のポイントにおける圧力の蓄積を低減することにより、ファン205に対するストレスを低減することができる。
【0059】
次に
図3A~
図3Dを参照すると、本発明の実施形態に係る、自己洗浄モード及び浄化モードで動作可能な浄化装置が示されている。
図3A~
図3Dの装置300は、
図1A~
図2Bを参照して上述した装置100,200と多くの点で類似しており、類似する態様についての詳細な説明は省略する。
図1A及び
図1Bに示す装置100と同様に、本実施形態の装置300は、1個又は複数の浄化モジュール301と、入口302と、出口303と、フィルタ304と、空気移動機構305a,305bと、再循環空気流チャネル306と、入口バルブ310と、出口バルブ311と、再循環空気流チャネル306に沿って空気の流れを制御するために、再循環空気流チャネル306に沿って配置された複数のバルブ312a,312b,313,314a,314bとを備える。また、装置300は、自動化を可能にするためにコントローラ120を備えるが、明瞭性を高める見地から、コントローラ120及び装置300の様々な構成要素への接続は、
図3に示されていないことが理解されるであろう。
【0060】
図3A~3Dに示す実施形態において、浄化装置300は、並列に動作する浄化モジュール301の3つのブランチを備え、各ブランチは、直列接続された4個の浄化モジュール301を有する。ただし、これらの数は単なる例示であり、他の実施形態において、浄化装置は、任意の個数の浄化モジュール、即ち1個又は複数の浄化モジュールを備えることができる。複数の浄化モジュールが提供される場合、浄化モジュールは、実施形態に応じて、並列にのみ或いは直列にのみ接続することができるか、又は本実施形態の場合のように直列及び並列の構成を組み合わせて接続することができる。浄化モジュール301の個数及びその構成、即ち直列及び/又は並列は、所望の浄化レベルを達成するよう、及び/又は、浄化装置300を通過する空気流の所望の量を達成するよう選択することができる。
【0061】
本実施形態において、再循環空気流チャネル306は、入口302と1個又は複数の浄化モジュール302との間の入口空気流路上に位置する第1ポイントに接続された端部を有する第1ブランチ306aを含み、その第1ポイントは、フィルタ304の上流に位置している。再循環空気流チャネル306は更に、フィルタ304の下流に位置する空気流路上の第2ポイントに接続された端部を有する第2ブランチ306bを含む。第1上流隔離バルブ312b及び第1下流隔離バルブ312aは、第1ブランチ306aの上流端部及び下流端部の近傍にそれぞれ配置されている。第2上流隔離バルブ314b及び第2下流隔離バルブ314aは、第2ブランチ306bの上流端部及び下流端部の近傍にそれぞれ配置されている。
【0062】
第1又は第2ブランチ306a,306bを入口302から隔離することが望ましい場合、コントローラ(
図3A~
図3Dに図示せず)は、第1及び第2下流隔離バルブ312a,314aのそれぞれ1個を閉鎖することができる。同様に、第1又は第2ブランチ306a,306bを再循環空気流チャネル306の残部から隔離するのが望ましい場合、コントローラは、第1及び第2上流隔離バルブ312b,314bのそれぞれ1個を閉鎖することができる。上流隔離バルブ312b,314bは、第1及び第2ブランチ306a,306bが再循環空気流チャネル306の上流部分に合流するポイントの近傍に配置され、従って第1又は第2上流隔離バルブ312b,314bが閉鎖されると、第1又は第2ブランチ306a,306b内における対応の所定容積の空気が再循環空気流チャネル306の残部から隔離される。このことは、再循環空気流チャネル306に沿った空気流の全てが第1及び第2ブランチ306a,306bの他方に沿って導かれることを保証するのに役立つ。比較すると、上流隔離バルブ312b,314bが第1及び第2ブランチ306a,306bに沿って更に下流に配置された場合、上流隔離バルブ312b,314bの1個を閉鎖した後であっても、再循環空気流チャネル306に沿って流れる空気の特定量は、依然として第1又は第2ブランチ306a,306bの上流端部に流入することができる。なぜなら、隔離バルブ312b,314bの上流の第1及び第2ブランチ内に保持された空気は圧縮可能だからである。
【0063】
第1及び第2下流隔離バルブ312a,314a、並びに第1及び第2上流隔離バルブ312b,314bは、一緒に流れ制御機構を構成しており、その流れ制御機構は、再循環空気流チャネル306をフィルタ304の上流の第1ポイント及び/又はフィルタ304の下流の第2ポイントに選択的に接続するよう動作可能である。幾つかの実施形態において、第1及び第2下流隔離バルブ312a,314a、並びに第1及び第2上流隔離バルブ312b,314bの1個又は複数は、省略することができる。例えば、幾つかの実施形態において、バルブ312a,312b,314a,314bは、第1及び第2ブランチ306a,306bと再循環空気流チャネル306の上流部分との間のジャンクションにおける空気流内で可動フラップなどの適切な機構によって置換することができる。そのような実施形態において、コントローラは、第1ブランチ306a又は第2ブランチ306bの何れかを完全に閉鎖するようフラップの位置を設定することができ、又は両方のブランチ306a,306bで特定量の流れを同時に許容するようフラップを中間位置に設定することができる。
【0064】
図3A~3Dは、装置300の様々な動作モードにおいてコントローラで設定可能なバルブ位置の組み合わせ、即ち開放状態又は閉鎖状態を示す。
図3Aは、装置300が浄化すべき空気の新鮮なバッチで充填されている間のバルブの構成を示し、これは「充填動作」と称することができる。充填モードにおいて、入口バルブ310は開放され、出口バルブ311は閉鎖されている。再循環空気流チャネル306の第1端部のバルブ313は、空気が装置300を通って再循環空気流チャネル306に取り込まれるよう開放されている。本実施形態において、第2上流隔離バルブ314bも開放されているのに対して、第2下流隔離バルブ314aは閉鎖され、従って第2ブランチ306bも充填可能である。この構成により、装置300に取り込み可能な所定容積の空気が最大化される。第1上流隔離バルブ312b及び第1下流隔離バルブ312aは、本実施形態において第1ブランチ306aが自己洗浄モード中にのみ使用されるので、汚染空気が入口302を介して又は再循環空気流チャネル306を介して第1ブランチ306a内に取り込まれることが回避されるよう両方とも閉鎖されている。
【0065】
充填動作が完了すると、コントローラは、バルブ位置を
図3Bに示す位置に変更し、
図3Bは、浄化中にシステムを通るよう空気を再循環させている間のバルブ位置を示す。これは、「再循環モード」又は「浄化モード」と称することができる。この動作モードにおいては、汚染空気が第1ブランチ306a内に取り込まれるのを回避するために、第1上流隔離バルブ312b及び第1下流隔離バルブ312aの両方が閉鎖されたままである。再循環空気流チャネル306の第1端部のバルブ313及び第2上流隔離バルブ314bの両方は、開放されたままであり、同時に第2下流隔離バルブも開放され、従って空気が再循環空気流チャネル306の第2ブランチ306bを介して装置300を通って再循環することが可能である。出口バルブ311は、閉鎖されたままであり、同時に入口バルブ310も閉鎖され、これにより再循環空気が装置内にシールされることが保証される。この動作モードは、特定の時間、即ち所定容積の空気が所望のレベルの浄化を達成するために、1個又は複数の浄化モジュール301を十分な回数にわたって通過するのに必要な時間継続する。1個又は複数の浄化モジュール301を通過するたびにより多くの汚染物質が除去されるので、再循環動作をより長時間継続すれば、より高いレベルの浄化が達成される。
【0066】
バルブを上述したように制御すれば、コントローラは、再循環空気流チャネル306を空気流路上の第2ポイントに接続しつつ、空気流路上の第1ポイントへの再循環空気の流れを遮断することにより、空気再循環機構が浄化モードで動作するよう制御できる。
【0067】
再循環動作の時間は、予め決定するか、又はコントローラによって動的に調整することができる。コントローラは、周囲空気温度、システムを通る空気流量、周囲空気中の汚染程度、複数の選択可能な浄化レベルのうち現在選択されている浄化レベル、並びに浄化モジュール301の1個又は複数の動作状態などの要因を考慮し、再循環動作の時間を設定することができる。例えば、コントローラは、入口302及び/又は出口303の近傍に配置された異なるタイプの電気化学セル(例えば、O2、CO2、及び/又は、オゾンセンサ)によって周囲空気中の汚染程度を測定することができる。幾つかの実施形態において、コントローラは、ミー散乱センサ、又は任意の他の適切なタイプのセンサを使用してマイクロサイズの汚染物質の量を測定することにより、周囲空気中の汚染程度を測定することができる。幾つかの実施形態において空気移動機構305a,305bは、異なる速度で動作可能であり、コントローラは、空気移動機構の現在速度を監視することにより、現在の空気流量を判定することができる。浄化モジュール301の1個又は複数の動作状態は、浄化モジュール301の全てが現在全能力で動作可能であるか否かを示すことができ、また浄化モジュール301の1個又は複数が、例えば故障に起因し或いは利用可能な電力が不十分であることに起因して現在動作不能であるか或いは低減された能力でしか動作できないか否かを示すことができる。浄化モジュール301の1個又は複数が現在全能力で動作できない場合、コントローラは、より長い再循環時間を設定することにより、同じ所望の浄化レベルを達成することができる。
【0068】
再循環動作が完了すると、コントローラは、バルブ位置を
図3Cに示す位置に変更し、これにより浄化された所定容積の空気を出口303を介して環境内に戻すよう放出する。これは、「放出動作」と称することができる。この動作モードにおいて、出口バルブ311は開放されると共に、再循環空気流チャネル306の第1端部のバルブ313は閉鎖され、これにより浄化された空気が再循環空気流チャネル306に取り込まれることなく出口303から流出可能である。本実施形態において、入口バルブ310は閉鎖されたままであるが、幾つかの実施形態において、入口バルブ310は、放出動作中に部分的に開放可能であり、これにより装置300内に蓄積すると共に、装置300からの浄化空気の流れを制限するであろう大きな負圧が回避される。
【0069】
図3Dは、装置300が「自己洗浄モード」で動作するときにコントローラが設定可能なバルブ位置を示す。
図3Dに示す自己洗浄モードの動作原理は、
図1Bを参照しつつ上述したのと同じであり、詳細な説明は省略する。自己洗浄モードにおいて、入口及び出口バルブ310,311、並びに第2下流及び上流隔離バルブ314a,314bは、全て閉鎖されている。再循環空気流チャネル306の第1端部のバルブ313は、第1下流及び上流隔離バルブ312a,312bと同様に開放されている。このようにして、コントローラは、再循環空気流チャネル306を入口302と1個又は複数の浄化モジュール301との間の空気流路上における第1ポイントに接続することにより、空気再循環機構が自己洗浄モードで動作するよう制御可能であり、これにより再循環空気流チャネル306を通って流れる空気がフィルタ304を通過するよう導かれてフィルタ304が洗浄される。幾つかの実施形態において、コントローラ120は、例えば1時間ごとに数分間にわたって自己洗浄モードを作動させることにより、自己洗浄モードを定期的に作動させることができる。幾つかの実施形態において、コントローラ120は、空気流中に存在する揮発性化合物のレベル及び/又は粒子サイズなど、装置を通って流れる空気の特性を監視するよう配置された1個又は複数のセンサからの情報に基づいて、自己洗浄モードを作動させることができる。例えば、このようなセンサは、入口302の近傍及び/又は出口303の近傍に配置することができる。
【0070】
次に
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る、直列接続された複数の浄化モジュールを備える浄化装置が示されている。浄化装置400は、直接接続された複数の浄化モジュール401a,401b,401c,401d,401e,401fを備え、これにより浄化モジュールの1個から流出した空気が直列接続における次の浄化モジュールに流入する。
【0071】
本実施形態においては、直列配置された6個の浄化モジュール401a~401fが示されているが、他の実施形態においては、任意の個数の浄化モジュール、即ち2個以上の浄化モジュールを直列接続することができる。直列接続される浄化モジュールの個数は、浄化モジュール401a~401fを通過するたびに、所望のレベルの浄化が達成されるよう選択することができる。
【0072】
浄化装置400は、入口又は再循環空気流チャネルから空気流を受け入れると共に、その空気を直列接続における第1浄化モジュール401aに導くよう構成された入口マニホールド402を備える。浄化装置400は更に、直列接続における最後の浄化モジュール401fから浄化空気流を受け入れるよう構成された排気マニホールド403を備える。入口及び出口マニホールド402,403は、1個又は複数の浄化モジュールがそれぞれ複数の入口又は複数の出口を有する実施形態で使用することができる。各浄化モジュールが単一の入口及び/又は単一の出口のみ有する実施形態においては、入口及び/又は出口マニホールドは、必要に応じて省略してもよい。
【0073】
次に
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る、並列及び直列に接続された複数の浄化モジュールを備える浄化装置が示されている。浄化装置500は、浄化装置500を通る複数の空気流路531,532,533を規定するよう並列接続された複数の浄化モジュールを備える。本実施形態において、モジュール式装置500は、複数のステージ501a,501b,501c,501d,501e,501fを備え、各ステージ501a~501fは、並列接続された3個の浄化モジュールを有する。並列接続される浄化モジュールの個数は、複数の浄化モジュールの通過時に、所与の総浄化レベルに対する流れ抵抗を低減することにより、浄化装置500を通る空気流の所望の全体的な空気流量が達成されるよう、選択することができる。
【0074】
複数のステージ501a~501fは、
図4を参照しつつ上述した装置と同様にそれら自体が直列接続され、1個のステージから流出した空気は次のステージに流入する。幾つかの実施形態において、浄化装置400は、単一のステージのみを備えることができ、従ってこの場合は直列接続された浄化モジュールが存在しない。
【0075】
図4の浄化装置と同様に、本実施形態の浄化装置500は、入口マニホールド502及び出口マニホールド503を備える。幾つかの実施形態においては、入口マニホールド502及び出口マニホールド503の一方又は両方を必要に応じて省略することができる。入口マニホールド502に流入する空気は、
図5に示すように、複数の空気流路531,532,533に分けられる。各ステージ501a~501f内において、各空気流路531,532,533に沿って流れる空気の一部は、ステージから流出する前に、そのステージ内におけるプラズマリアクタモジュールのうち対応する1個だけを通過すればよい。
図5に示すように、浄化装置が直列接続された他のステージを備える場合、空気は、浄化装置500から流出する前に他のステージの浄化モジュールを通過することはあるが、同じステージ内の他の浄化モジュールを通過することはない。
【0076】
次に
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る、非平衡プラズマに基づく浄化モジュールの断面図が示されている。装置600は、上述した実施形態で浄化モジュールとして使用可能な装置の一例である。装置600は、チャンバ601を規定するハウジング610と、ハウジング610に形成されると共に、装置600を通過して空気が流入可能な1つ又は複数の入口602と、ハウジングに形成されると共に、装置600を通過して空気が流出可能な1つ又は複数の出口603とを備える。装置600は更に、カソード電極620と、カソード620から間隔を置いて配置されたアノード電極630とを備える。
【0077】
カソード電極620は、複数の中空カソード621を含み、これら各中空カソード621は、動作時に装置600を通る気体の流れを表す
図6の破線矢印で示すように、空気がカソード電極620の一方の側からカソード電極620の他方の側に通過可能な厚さ方向貫通孔を有する。
図7は、本発明の一実施形態に係る、6つの中空カソード621を含むカソード電極620の一部を示す。
図7に示す実施形態において、各中空カソード621は、アノード630に面するリング状電極721aを有すると共に、中空カソード621の内面上に、アノード側のリング状電極721aをカソード電極620の反対側に接続する導電路721bを有する。
【0078】
浄化装置は更に、複数の中空カソード621にてプラズマを発生させる電力を供給するための電源640を備える。装置600は、空気がカソード電極620の一方の側から複数の中空カソード621を介して他方の側にのみ流れることができるよう構成されている。これにより、1つ又は複数の出口603からチャンバ601を出る空気は全て、中空カソード621の少なくとも1つを通過していなければならず、従って装置600を出る空気の全てが中空カソード621内におけるプラズマ環境に晒されることが保証される。
【0079】
次に
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る、ネブライザの形態の出口空気処理モジュールを備える浄化装置が示されている。
図8は、明瞭性を高める見地から装置800の出力側のみを示す。
図8に示す特徴は、上述した実施形態の何れかの特徴と組み合わせて使用することができる。装置800は、1個又は複数の浄化モジュール801と、空気移動機構805と、出口803と、出口バルブ811と、空気再循環機構806とを備える。このような特徴については上述したので、詳細な説明は省略する。
【0080】
装置800は、1個又は複数の浄化モジュール801の下流の空気から1種又は複数の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュール821を備える。反応副生成物は、1個又は複数の浄化モジュール801内で生じる浄化プロセスの生成物である。上述したように、プラズマ浄化が使用される場合、プラズマ浄化プロセスの反応副生成物は、О、O3、OH-イオン、並びにOHラジカルなどの反応種を含み得る。浄化された空気が室内環境、即ち、構造物、又は乗物内において人が占有する空間に戻されるよう放出される場合、副生成物の特定のもの、特にオゾンを除去するのが望ましい場合がある。ただし、副生成物が人にとって有害ではないか、又は健康に悪影響を及ぼさない十分に低レベルでしか存在しない実施形態においては、出口空気処理モジュール821を省略してもよい。
【0081】
本実施形態においては、出口空気処理モジュール821は、ネブライザを含み、ネブライザ821に液体を供給するよう構成されたリザーバの形態の液体供給部822を有する。ネブライザは、当該技術分野において知られており、その動作の詳細な説明は省略する。簡単に言えば、ネブライザは、気体(この場合は浄化された空気)を小さなノズルを通して多数の小気泡の形態の液体媒体内に通過させることにより、気体流を処理する。これは、気体と液体との間に大きな接触表面積を提供し、従って気体と液体との間における種の交換速度が高まる。例えば、気相中の特定の種は、液相に優先的に吸収される可能性があり及び/又は液体中の種と反応する可能性がある。他の実施形態においては、活性炭フィルタ及びゼオライトフィルタを含む(これらに限定されない)他の形態の出口空気処理モジュールを使用することができる。
【0082】
本実施形態において、1個又は複数の浄化モジュール801は、少なくとも1個のプラズマリアクタモジュールを含む。上述したように、プラズマ浄化プロセスの副生成物は、オゾン、O3であり、これは特定の濃度を超えると人にとって有害になり得る。従って、本実施形態において、リザーバ822に貯蔵された液体は、ヨウ化カリウム又はチオ硫酸化合物、例えばチオ硫酸マグネシウム又はチオ硫酸ナトリウムなど、オゾンを除去するための添加剤を含む。このような添加剤は、気泡がネブライザ821内の液体を通って上昇するときにオゾンと迅速に反応し、オゾンをより効果的に除去する。
【0083】
次に
図9を参照すると、本発明の実施形態に係る、ネブライザからの液体の空中液滴を捕集するよう配置された液体収集部材を備える浄化装置が示されている。
図8に示す装置800と同様に、本実施形態の装置900は、1個又は複数の浄化モジュール901と、空気移動機構905と、出口903と、出口バルブ911と、空気再循環機構906と、ネブライザ921と、液体供給部922とを備えるが、その詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施形態において、装置900は、出口903とネブライザ921との間の出口空気流路に配置された液体収集部材923を更に備え、これにより浄化空気が出口903を介して室内環境に放出される前にネブライザ921からの液体の空気中における液滴が捕集される。装置900は、液体収集部材923によって捕集された液体を受け入れて貯蔵するよう構成されたリザーバ924を更に備える。例えば、液体収集部材923は、空気が流れることができる発泡体ブロックなどの多孔質材料のブロックを含むことができる。ネブライザの下流の空気流中で運ばれる液体の液滴は、液体収集部材923の表面上に集まり、時間の経過に伴いより大きな液滴になり、その後に重力の作用下で下方に向けて流れる。この液体は、リザーバ924に集めることができ、その後に取り除いて殺菌剤として使用することができる。例えば、プラズマベースの浄化プロセスが使用される実施形態において、リザーバ924に集められた液体は、浄化空気中のオゾンがネブライザ内の水に溶解することに起因して高濃度のH2O2を含むことができ、従って殺菌剤として使用するのに適し得る。例えば、リザーバ924は、装置900から取り外し可能とすることができるので、そのリザーバを取り外して空にすることができる。代替的に、幾つかの実施形態において、リザーバ924は、そのリザーバ924を所定位置に残しつつ、集められた液体を他の適切な容器内に排出可能な排出口を有することができる。リザーバ924に集められた流体は、単に廃棄してもよい。
【0085】
次に
図10を参照すると、本発明の一実施形態に係る紫外線C(UV-C)浄化モジュールが示されている。
図10に示す装置1000は、UV-C波長の電磁波を放出するよう構成されたランプなどの1個又は複数のUV-C源1001aを有する浄化モジュール1001を備える。1個又は複数のUV-C源1001aは、UV-Cを流れる空気の少なくとも一部をUV-C放射に曝露するよう配置されている。本実施形態において、浄化モジュール1001は、管状UV-Cランプの形態の複数のUV-C源1001aを有し、これら管状UV-Cランプは、それらの軸線が浄化モジュール1000を通過する空気の流れ方向に対して垂直になるよう配置され、これにより、
図10の破線で示すように、流入する空気流は、複数のUV-Cランプの周り及び間で複数の空気流に分かれる。浄化モジュール1001内でUV-Cに曝露すれば、空気流内の生物学的汚染物質を高い割合で効果的に死滅させることができる。
【0086】
幾つかの実施形態においては、異なるタイプの浄化モジュールを同じ装置内で組み合わせて使用することができ、例えば、装置は、
図10に示す1個又は複数のUV-Cモジュールを、
図6に示す1個又は複数のプラズマリアクタモジュールと並列及び/又は直列に組み合わせて備えることができる。
【0087】
次に
図11を参照すると、本発明の一実施形態に係るUVC浄化モジュールを備える浄化装置が示されている。装置1100は、UV-C浄化モジュール1101と、入口1102と、出口1103と、フィルタ1104と、空気移動機構1105と、再循環空気流チャネル1106と、入口バルブ1110と、出口バルブ1111と、再循環空気流チャネル1106の第1及び第2端部にそれぞれ配置された第1及び第2バルブ1113,1112とを備える。このような特徴については上述したので、詳細な説明は省略する。
図11に示すように、1個又は複数のUV-Cを通過させて空気を再循環させることにより、UV-C浄化プロセスの有効性を更に高めることができ、これにより従来の単一通過UV-C装置で達成できるよりも遥かに高い死滅率が潜在的に可能になる。
【0088】
次に
図12及び
図13を参照すると、本発明の更なる実施形態に係る浄化装置が示されている。
図12及び
図13の両方において、浄化装置1200,1300は、1個又は複数の浄化モジュール1201,1301と、入口1202,1302と、出口1203,1303と、フィルタ1204,1304と、空気移動機構1205,1305と、再循環空気流チャネル1206,1306と、入口バルブ1210,1310と、出口バルブ1211,1311と、再循環空気流チャネル1206,1306の第1及び第2端部にそれぞれ配置された第1及び第2バルブ1213,1212,1313,1312とを備える。このような特徴については上述したので、詳細な説明は省略する。
【0089】
図12及び
図13に示す浄化モジュール装置1200,1300は、空気再循環機構が入口1202,1302及び出口1203,1303に対して他の位置で入口マニホールド及び出口マニホールドに接続している点で、上述した他の実施形態の装置とは異なる。本実施形態においては、空気移動機構1205,1305が出口空気流路上に配置されているので、浄化装置1200,1300は、再循環空気流チャネル1206,1306を通して空気を循環させるための付加的な再循環空気移動機構1215,1315を備える。
【0090】
図12に示す実施形態において、フィルタ1204は、
図12の矢印で示すように、再循環空気がフィルタ1204を迂回するよう入口空気流路に配置され、これにより再循環モードで動作している間、装置1200を通る利用可能な最大流量が増加する。
図13に示す実施形態において、フィルタ1304は、再循環空気がフィルタを通過するよう入口マニホールドの内側に配置され、上述したように自己洗浄機能を提供する。
【0091】
ここで
図12を参照すると、本発明の一実施形態に係る、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前の入口空気流の湿度レベルを高めるための加湿装置が示されている。加湿装置は、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に入口空気流が導かれる湿度ユニット1421を備える。湿度装置は、例えば、上述した実施形態の何れかにおいて空気入口とインラインで接続することができ、これにより空気が1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に空気の湿度レベルを高めることができる。
【0092】
入口空気流の湿度レベルを高めることの利点、換言すれば入口空気流に水を加えることの利点は、H2O分子の濃度が増加することにより、プラズマリアクタモジュール内のプラズマ環境内でOH-ラジカルの生成率がより高まることである。その結果としてプラズマリアクタモジュール内で生じるより高濃度のOH-ラジカルは、より効果的な浄化をもたらす。なぜなら、OH-ラジカルは、空中細菌又はウイルス粒子などの有機種と容易に反応すると共に分解するからである。
【0093】
本発明者の試験により見出されたところによれば、入口空気の湿度レベルをこのように高めることによって入口空気流を前処理すれば、浄化装置を1回通過させるだけで例えば>99.999%の極めて高い死滅率を達成することが可能であり、空気再循環機構の必要性がなくなることが判明した。ただし、他の実施形態においては、上述したような空気再循環機構を
図14に示すような加湿装置と組み合わせて、装置の全体的な有効性を更に高めることができる。更に、幾つかの実施形態においては、例えば、浄化装置が既に高い相対湿度(RH)レベルの環境で使用される場合、加湿装置又は空気再循環機構の何れかを使用することなく、十分に高い死滅率(例えば>99.999%)を達成することができる。
【0094】
他の実施形態において、加湿装置は、円筒形であると共に、装置の外壁に設けられた複数の入口孔1402を通して周囲空気が装置内に取り込まれる空気流路を規定している。次いで、空気は、装置のベース1443に向けて下方に流れ、静電フィルタ要素1404を通って上方に向けて流れる。静電フィルタ要素1404は、金属箔ストリップ、ストランド、又は金属ウールなどの高表面積を有する導電性材料を含むことができ、この導電性材料に高電位を印加して空気中のダスト粒子などの微粒子をフィルタ内に引き付けて捕捉する静電場を形成することができる。静電フィルタ要素1404はその後、時間の経過に伴いフィルタ要素1404内に蓄積するダストを除去するために、定期的に取り外され、洗浄又は交換することができる。幾つかの実施形態において、静電フィルタ要素1404は、熱分解機能を使用して洗浄可能であり、この熱分解機能では、フィルタ要素1404に電流を流して十分に高い温度まで加熱し、捕捉されたダスト粒子が熱分解される。
【0095】
入口空気流は、静電フィルタ要素1404を垂直方向に通過し、静電フィルタ要素1404の上部から、加湿ユニット1421が配置された第1チャンバ1441内に流出する。例えば空気を静電フィルタ要素1404の厚さを通して水平方向に通過させるのとは対照的に、空気を静電フィルタ要素1404を通して通過させる利点は、空気が静電フィルタ要素1404内でより長時間にわたって留まり、従ってより効果的なフィルタリングが達成できることである。換言すれば、本実施形態の静電フィルタ要素1404は、幅と比べて実質的に大きな長さを有する細長いフィルタ要素であると見なすことができる。なぜなら、フィルタ要素は、比較的薄壁の円筒形状を有し、装置は、汚染された周囲空気の流れを細長いフィルタの長さに沿って導くよう構成されているからである。
【0096】
本実施形態において、装置は、電源及び/又はマイクロコントローラなどの制御電子機器を収容する第2チャンバ1442を更に備える。例えば、マイクロコントローラは、静電フィルタ要素1404から第1チャンバ1441内に流出する空気中のダストレベルを測定するために第1チャンバ1441内に配置された1個又は複数の空気質センサからデータを受信することができると共に、1個又は複数の空気質センサが測定したダストレベルが閾値よりも大きいか小さいかに応じて、静電フィルタ要素1404に印加される電圧を制御することができる。
【0097】
加湿ユニット1421は、例えば、入口空気流を微細な気泡の形態で特定の水量に通過させるよう構成されたネブライザを含むことができ、微細な気泡は、水を通過するときに湿気を取り込む。入口空気をネブライザに通過させる前に静電フィルタ要素1404などのフィルタに通過させる利点は、ネブライザ1421の動作寿命を延ばすことができることである。なぜなら、予めフィルタに通過させなければ、ネブライザにおいて気泡を生じさせるための小径の孔が入口空気中のダスト粒子によって塞がれる可能性があるからである。ただし、幾つかの実施形態、例えば装置が極めて低いダストレベルの環境で使用される場合、又はネブライザ以外の代替的な加湿ユニット1421が使用される場合には、静電フィルタ要素1404などの入口フィルタを省略してもよい。
【0098】
ネブライザ1421を通過した後、空気流は再び方向を変え、装置本体内の中央通路を通って垂直方向に流れ、加湿空気出口1403に至る。この加湿空気出口1403は、上述した実施形態の何れかの空気入口に接続することができ、従って浄化モジュールに到達する空気は、装置が設置される環境の周囲空気よりも高い湿度レベルを有する。上述したように、この利点は、1個又は複数のプラズマリアクタモジュール内におけるOH-ラジカルの生成速度を高めることにより、浄化装置の全体的な有効性が高まることである。
【0099】
本明細書においては本発明の特定の実施形態を図面を参照しつつ説明したが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨内で、多くの変形及び修正が実現可能であることが理解されるであろう。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内環境の周囲空気を浄化するための装置であって、該装置は、
汚染された周囲空気を前記室内環境から受け入れるよう構成された入口と、
浄化された空気を前記室内環境に供給するよう構成された出口と、
前記入口と前記出口との間に接続された1個又は複数の浄化モジュールであって、該1個又は複数の浄化モジュールのそれぞれは、該浄化モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するよう構成され、前記1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを含む、前記1個又は複数の浄化モジュールと、
を備え、
前記1個又は複数のプラズマリアクタモジュールのそれぞれは、
複数の中空カソードを含むカソード電極であって、前記複数の中空カソードのそれぞれは、前記カソード電極の一方の側から他方の側に空気が通過可能な厚さ方向貫通孔を有し、前記プラズマリアクタモジュールは、使用時に、前記プラズマリアクタモジュールを流通する空気が前記複数の中空カソードの厚さ方向貫通孔を通過するよう構成された、前記カソード電極と、
前記カソードから間隔を置いて配置されたアノード電極と、
を有し、
前記アノード電極及び前記カソード電極は共に、前記アノード電極及び前記カソード電極に電力が供給されたときに、前記複数の中空カソードにてプラズマを生成するよう構成される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
・空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻すための空気再循環機構と、
・前記空気再循環機構を制御して前記装置内で所定容積の空気を再循環させ、これにより前記空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを複数回にわたって通過し、その後に前記空気を前記浄化された空気として前記出口を介して前記室内環境に放出するよう構成されたコントローラと、
を備える、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、空気が前記空気再循環機構を介して再循環されている間、前記出口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された出口バルブを備える、装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の装置であって、空気が前記空気再循環機構を介して再循環されている間、前記入口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された入口バルブを備える、装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の装置であって、空気が前記1個又は複数の浄化モジュールに到達する前に微粒子を除去するために、前記入口と前記1個又は複数の浄化モジュールとの間の入口空気流路上に配置されたフィルタを備える、装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の装置であって、前記空気再循環機構は、再循環空気流チャネルを含み、該再循環空気流チャネルは、前記装置を通る空気流方向において、前記出口の上流及び前記1個又は複数の浄化モジュールの下流に接続された第1端部を有し、これにより前記1個又は複数の浄化モジュールを流出する空気流を、前記出口に到達する前に、前記再循環空気流チャネルに転換させることができ、前記再循環空気流チャネルは、前記1個又は複数の浄化モジュールの上流に接続された第2端部を有し、これにより空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻す、装置。
【請求項7】
請求項4及び5に従属する場合の請求項6に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルの前記第2端部は、前記フィルタの上流及び前記入口バルブの下流の前記入口空気流路上に位置する第1ポイントに接続されている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、コントローラは、空気再循環機構を制御して空気の再循環を開始する前に、前記入口バルブを閉鎖し、再循環空気が入口を介して前記装置から流出するのを防ぐよう構成されている、装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルを前記フィルタの上流の前記第1ポイント、及び/又は、前記フィルタの下流の前記入口空気流路上に位置する第2ポイントに選択的に接続するよう動作可能な流れ制御機構を備える、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、コントローラは、前記流れ制御機構を制御して前記再循環空気流チャネルを前記入口空気流路上に位置する前記第1ポイントに接続することにより、空気再循環機構が自己洗浄モードで動作するよう構成され、これにより前記再循環空気流チャネルを流れる空気の少なくとも一部が前記フィルタを通過するよう導かれて該フィルタが洗浄される、装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の装置であって、コントローラは、前記流れ制御機構を制御して前記再循環空気流チャネルを前記入口空気流路上に位置する第2ポイントに接続すると共に、前記入口空気流路上に位置する第1ポイントへの再循環空気の流れを遮断することにより、前記空気再循環機構が浄化モードで動作するよう構成されている、装置。
【請求項12】
請求項5に従属する場合の請求項6に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルの前記第2端部は、前記フィルタの下流の前記入口空気流路上に位置するポイントに接続され、これにより再循環空気が前記空気再循環機構によって前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環されたときに前記フィルタを迂回する、装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の装置であって、前記1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数の紫外線C(UVC)モジュールを含み、該1個又は複数のUVCモジュールのそれぞれは、前記UVCモジュールを通過する空気の少なくとも一部をUVC放射に曝露するよう配置された1個又は複数のUVC源を有する、装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の装置であって、複数の前記浄化モジュールを備え、前記浄化モジュールの2個以上は、直列接続され、従って前記浄化モジュールの1個から流出した空気が直列接続された前記浄化モジュールの次の1個に流入する、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、直列接続された前記浄化モジュールの個数は、前記複数の浄化モジュールを通過した後に、前記装置から流出する空気の所望の特性が達成されるよう選択される、装置。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の装置であって、複数の前記浄化モジュールを備え、前記浄化モジュールの2個以上は、前記装置を通る複数の空気流路を規定するよう並列接続され、これにより前記装置に流入する気体が前記複数の空気流路に分けられ、前記空気流路のそれぞれに沿って流れる前記空気の一部は、前記装置から流出する前に、並列接続された前記浄化モジュールのうち対応するものだけを通過すればよい、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、並列接続された前記浄化モジュールの個数は、前記装置を通る所望の空気流量が達成されるよう選択される、装置。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の装置であって、前記1個又は複数の浄化モジュールの下流の空気から1種又は複数の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュールを備え、前記反応副生成物は、前記1個又は複数の浄化モジュール内における浄化プロセスの生成物を含む、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、前記出口空気処理モジュールは、ネブライザを含む、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、反応副生成物は、オゾンを含み、前記装置は、前記ネブライザに液体を供給するよう構成された液体供給部を備え、該液体は、オゾンを除去するための添加剤を含む、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記添加剤は、ヨウ化カリウム及び/又はチオ硫酸化合物を含む、装置。
【請求項22】
請求項19、20、又は21に記載の装置であって、出口と前記ネブライザとの間の出口空気流路に配置された液体収集部材を更に備え、これにより浄化空気が前記出口を介して室内環境に放出される前に前記ネブライザからの液体の空気中における液滴が捕集される、装置。
【請求項23】
請求項22の装置であって、前記液体収集部材によって捕集された液体を受け入れて貯蔵するよう構成されたリザーバを備える、装置。
【請求項24】
請求項1~23の何れか一項に記載の装置であって、空気が前記1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に、前記汚染された周囲空気の湿度レベルを高めるよう構成された加湿ユニットを備える、装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、前記加湿ユニットは、ネブライザである、装置。
【請求項26】
請求項5に従属する場合の請求項25に記載の装置であって、前記フィルタは、空気が前記ネブライザを通過する前に、前記汚染された周囲空気から微粒子を除去するよう構成されている、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、前記フィルタは、細長フィルタ要素を含み、該細長フィルタ要素は、その幅と比べて実質的に大きな長さを有し、前記装置は、汚染された周囲空気の流れを、前記細長フィルタ要素の長さに沿い通過させて導くよう構成されている、装置。
【請求項28】
請求項1~27の何れか一項に記載の装置であって、前記室内環境は、建物又は構造物内において、人が占有するよう構成された空間を含む、装置。
【請求項29】
請求項1~28の何れか一項に記載の装置であって、前記室内環境は、乗物内の乗員室を含む、装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置を備える乗物。
【請求項31】
請求項30に記載の乗物であって、該乗物は、自動車、列車、航空機、船若しくはボート、又は潜水艇を含む、乗物。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内環境の周囲空気を浄化するための装置であって、該装置は、
汚染された周囲空気を前記室内環境から受け入れるよう構成された入口と、
浄化された空気を前記室内環境に供給するよう構成された出口と、
前記入口と前記出口との間に接続された1個又は複数の浄化モジュールであって、該1個又は複数の浄化モジュールのそれぞれは、該浄化モジュールを通過する空気から汚染物質を除去するよう構成され、前記1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを含む、前記1個又は複数の浄化モジュールと、
を備え、
前記1個又は複数のプラズマリアクタモジュールのそれぞれは、
複数の中空カソードを含むカソード電極であって、前記複数の中空カソードのそれぞれは、前記カソード電極の一方の側から他方の側に空気が通過可能な厚さ方向貫通孔を有し、前記プラズマリアクタモジュールは、使用時に、
前記汚染された周囲空気が前記プラズマリアクタモジュールを流通
すると共に、前記複数の中空カソードの厚さ方向貫通孔を通過するよう構成された、前記カソード電極と、
前記カソードから間隔を置いて配置されたアノード電極と、
を有し、
前記アノード電極及び前記カソード電極は共に、前記アノード電極及び前記カソード電極に電力が供給されたときに、前記複数の中空カソードにてプラズマを生成するよう構成される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
・空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻すための空気再循環機構と、
・前記空気再循環機構を制御して前記装置内で所定容積の空気を再循環させ、これにより前記空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを複数回にわたって通過し、その後に前記空気を前記浄化された空気として前記出口を介して前記室内環境に放出するよう構成されたコントローラと、
を備える、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、空気が前記空気再循環機構を介して再循環されている間、前記出口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された出口バルブを備える、装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の装置であって、空気が前記空気再循環機構を介して再循環されている間、前記入口を通る空気流が部分的に又は完全に遮断されるよう動作可能に配置された入口バルブを備える、装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の装置であって、空気が前記1個又は複数の浄化モジュールに到達する前に微粒子を除去するために、前記入口と前記1個又は複数の浄化モジュールとの間の入口空気流路上に配置されたフィルタを備える、装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の装置であって、前記空気再循環機構は、再循環空気流チャネルを含み、該再循環空気流チャネルは、前記装置を通る空気流方向において、前記出口の上流及び前記1個又は複数の浄化モジュールの下流に接続された第1端部を有し、これにより前記1個又は複数の浄化モジュールを流出する空気流を、前記出口に到達する前に、前記再循環空気流チャネルに転換させることができ、前記再循環空気流チャネルは、前記1個又は複数の浄化モジュールの上流に接続された第2端部を有し、これにより空気が前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環させて戻す、装置。
【請求項7】
請求項4及び5に従属する場合の請求項6に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルの前記第2端部は、前記フィルタの上流及び前記入口バルブの下流の前記入口空気流路上に位置する第1ポイントに接続されている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、コントローラは、空気再循環機構を制御して空気の再循環を開始する前に、前記入口バルブを閉鎖し、再循環空気が入口を介して前記装置から流出するのを防ぐよう構成されている、装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルを前記フィルタの上流の前記第1ポイント、及び/又は、前記フィルタの下流の前記入口空気流路上に位置する第2ポイントに選択的に接続するよう動作可能な流れ制御機構を備える、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、コントローラは、前記流れ制御機構を制御して前記再循環空気流チャネルを前記入口空気流路上に位置する前記第1ポイントに接続することにより、空気再循環機構が自己洗浄モードで動作するよう構成され、これにより前記再循環空気流チャネルを流れる空気の少なくとも一部が前記フィルタを通過するよう導かれて該フィルタが洗浄される、装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の装置であって、コントローラは、前記流れ制御機構を制御して前記再循環空気流チャネルを前記入口空気流路上に位置する第2ポイントに接続すると共に、前記入口空気流路上に位置する第1ポイントへの再循環空気の流れを遮断することにより、前記空気再循環機構が浄化モードで動作するよう構成されている、装置。
【請求項12】
請求項5に従属する場合の請求項6に記載の装置であって、前記再循環空気流チャネルの前記第2端部は、前記フィルタの下流の前記入口空気流路上に位置するポイントに接続され、これにより再循環空気が前記空気再循環機構によって前記1個又は複数の浄化モジュールを通過するよう再循環されたときに前記フィルタを迂回する、装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の装置であって、前記1個又は複数の浄化モジュールは、1個又は複数の紫外線C(UVC)モジュールを含み、該1個又は複数のUVCモジュールのそれぞれは、前記UVCモジュールを通過する空気の少なくとも一部をUVC放射に曝露するよう配置された1個又は複数のUVC源を有する、装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の装置であって、複数の前記浄化モジュールを備え、前記浄化モジュールの2個以上は、直列接続され、従って前記浄化モジュールの1個から流出した空気が直列接続された前記浄化モジュールの次の1個に流入する、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、直列接続された前記浄化モジュールの個数は、前記複数の浄化モジュールを通過した後に、前記装置から流出する空気の所望の特性が達成されるよう選択される、装置。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の装置であって、複数の前記浄化モジュールを備え、前記浄化モジュールの2個以上は、前記装置を通る複数の空気流路を規定するよう並列接続され、これにより前記装置に流入する気体が前記複数の空気流路に分けられ、前記空気流路のそれぞれに沿って流れる前記空気の一部は、前記装置から流出する前に、並列接続された前記浄化モジュールのうち対応するものだけを通過すればよい、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、並列接続された前記浄化モジュールの個数は、前記装置を通る所望の空気流量が達成されるよう選択される、装置。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の装置であって、前記1個又は複数の浄化モジュールの下流の空気から1種又は複数の反応副生成物を除去するための出口空気処理モジュールを備え、前記反応副生成物は、前記1個又は複数の浄化モジュール内における浄化プロセスの生成物を含む、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、前記出口空気処理モジュールは、ネブライザを含む、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、反応副生成物は、オゾンを含み、前記装置は、前記ネブライザに液体を供給するよう構成された液体供給部を備え、該液体は、オゾンを除去するための添加剤を含む、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記添加剤は、ヨウ化カリウム及び/又はチオ硫酸化合物を含む、装置。
【請求項22】
請求項19、20、又は21に記載の装置であって、出口と前記ネブライザとの間の出口空気流路に配置された液体収集部材を更に備え、これにより浄化空気が前記出口を介して室内環境に放出される前に前記ネブライザからの液体の空気中における液滴が捕集される、装置。
【請求項23】
請求項22の装置であって、前記液体収集部材によって捕集された液体を受け入れて貯蔵するよう構成されたリザーバを備える、装置。
【請求項24】
請求項1~23の何れか一項に記載の装置であって、空気が前記1個又は複数のプラズマリアクタモジュールを通過する前に、前記汚染された周囲空気の湿度レベルを高めるよう構成された加湿ユニットを備える、装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、前記加湿ユニットは、ネブライザである、装置。
【請求項26】
請求項5に従属する場合の請求項25に記載の装置であって、前記フィルタは、空気が前記ネブライザを通過する前に、前記汚染された周囲空気から微粒子を除去するよう構成されている、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、前記フィルタは、細長フィルタ要素を含み、該細長フィルタ要素は、その幅と比べて実質的に大きな長さを有し、前記装置は、汚染された周囲空気の流れを、前記細長フィルタ要素の長さに沿い通過させて導くよう構成されている、装置。
【請求項28】
請求項1~27の何れか一項に記載の装置であって、前記室内環境は、建物又は構造物内において、人が占有するよう構成された空間を含む、装置。
【請求項29】
請求項1~28の何れか一項に記載の装置であって、前記室内環境は、乗物内の乗員室を含む、装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置を備える乗物。
【請求項31】
請求項30に記載の乗物であって、該乗物は、自動車、列車、航空機、船若しくはボート、又は潜水艇を含む、乗物。
【国際調査報告】