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特表2023-551632生物学的医薬製品調製プロセスのためのウイルスクリアランス評価
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】生物学的医薬製品調製プロセスのためのウイルスクリアランス評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20231205BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20231205BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20231205BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231205BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20231205BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
G01N1/28 J
G01N1/00 102C
G01N33/569 Z
G01N15/14 C
C12Q1/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521912
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021057593
(87)【国際公開番号】W WO2022103615
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】17/096,681
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520431409
【氏名又は名称】ザルトリウス バイオアナリティカル インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オルショビ、マイケル ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
2G052
4B063
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AA40
2G052AB27
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA22
2G052EA02
2G052EA03
2G052ED03
2G052ED17
2G052GA09
2G052GA31
2G052HA01
2G052JA08
2G052JA11
4B063QA01
4B063QQ10
4B063QR66
4B063QR79
4B063QS13
4B063QS17
4B063QX02
(57)【要約】
ウイルス粒子およびウイルス粒子にコンジュゲートした蛍光色素を含む蛍光ウイルス粒子は、生物学的医薬製品調製プロセスのためのウイルスクリアランス評価の一部としてのウイルス汚染物質除去試験に使用される。蛍光ウイルス粒子はウイルスクリアランス評価プロセスを実施する間は蛍光活性を有するので、コンジュゲートされた蛍光色素はウイルス粒子サイズをわずかに増加させるだけであり、プロセス開発中の代替ウイルス除去アプローチの迅速なスクリーニングおよび最終プロセス検証の両方のための汎用性を提供し、初期試験溶液、得られた精製溶液、および評価中の処理中の任意の時点での目的の中間溶液の迅速かつ一貫した定量化を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のための方法であって、前記方法は:
評価溶液を精製処理に供して処理溶液を調製するステップであって、前記評価溶液は、生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子を含み、前記精製処理は、前記生物学的医薬製品からウイルス汚染物質を分離するためのウイルス除去技術を含む、ステップと、
前記評価溶液と前記処理溶液との間の前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するステップと、
を含み、
前記蛍光ウイルス粒子は、ウイルス粒子および前記ウイルス粒子にコンジュゲートした蛍光色素を含む、方法。
【請求項2】
前記精製処理が、クロマトグラフィー濾過、遠心分離、膜分離、透析およびそれらの組み合わせからなる群から選択される前記除去技術を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的医薬製品が、特徴付けられた細胞株の細胞培養物に由来する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって
各々が前記生物学的医薬製品および前記蛍光ウイルス粒子を含む複数の異なる前記評価溶液の各々を異なる前記精製処理に供して異なる前記処理溶液を調製するステップであって、各々の異なる前記精製処理が異なる前記ウイルス除去技術を含む、ステップと、
異なる前記精製処理ごとに、前記評価溶液と前記処理溶液との対応する対のそれぞれの間での前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
異なる前記評価溶液のうちの少なくとも2つが、同じ組成を有する異なる前記評価溶液に対するウイルスクリアランス代替物の評価のために同じ組成を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
異なる前記評価溶液のうちの少なくとも2つが、生物学的医薬製品調製プロセスの異なる段階におけるウイルスクリアランスの評価のために異なる組成を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって
前記蛍光ウイルス粒子は、第1の前記ウイルス粒子および第1の前記蛍光色素を含む第1の前記蛍光ウイルス粒子であり、
前記評価溶液は、第2の前記ウイルス粒子および第2の前記蛍光色素を含む第2の前記蛍光ウイルス粒子を含み;
第1の前記ウイルス粒子は、第1のウイルスの第1のウイルスエピトープを有し、第2の前記ウイルス粒子は、前記第1のウイルスとは異なる第2のウイルスの第2のウイルスエピトープを有し、
第1の蛍光色素が第1の蛍光発光シグネチャを有し、第2の蛍光色素が、前記第1の蛍光発光シグネチャとは異なる第2の蛍光発光シグネチャを有し、
前記方法は、前記評価溶液と前記処理溶液との間の第2の前記蛍光ウイルス粒子の第2の除去の程度の決定を含む、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって
前記評価溶液が第1の前記評価溶液であり、前記蛍光ウイルス粒子が、第1の前記ウイルス粒子および第1の前記蛍光色素を含む第1の前記蛍光ウイルス粒子であり、前記処理溶液が第1の前記処理溶液であり、除去の程度を決定することが第1の前記除去の程度の決定であり、
同方法はさらに:
第2の前記評価溶液を精製処理に供して、第2の前記処理溶液を調製するステップであって、第2の前記評価溶液は、第1の前記ウイルス粒子とは異なる第2の前記ウイルス粒子と、第1の前記蛍光色素と同じであっても異なっていてもよい第2の前記蛍光色素と、を含む第2の前記蛍光粒子を含み、第1の蛍光色素が第1の蛍光発光シグネチャを有し、第2の蛍光色素が第2の蛍光発光シグネチャであって、同第2の蛍光発光シグネチャは第1の前記蛍光発光シグネチャと同じであっても異なっていてもよい、第2の蛍光発光シグネチャを有するステップと;
第2の前記評価溶液と第2の前記処理溶液との間の第2の前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度の第2の決定を行うステップと;
を含む方法。
【請求項9】
前記評価溶液が、前記生物学的医薬製品調製プロセスを代表する、前記蛍光ウイルス粒子以外の生物学的汚染物質を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが:
前記評価溶液中の前記蛍光ウイルス粒子の供給濃度および前記処理溶液中の前記蛍光ウイルス粒子の濃度の残留濃度を決定することを含み、
前記処理溶液の試料を分析技術に供して、前記評価溶液中の前記蛍光ウイルス粒子の前記残留濃度を分析的に定量化することを含む、方法。
【請求項11】
前記分析技術がフローサイトメトリー評価を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分析技術がナノ粒子追跡分析、画像化および顕微鏡からなる群から選択されるメンバー、好ましくはナノ粒子追跡分析を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、前記評価溶液中の前記蛍光ウイルス粒子の供給濃度を分析的に定量化するために、試料量の評価溶液を分析技術に供することを含み、前記試料量の評価溶液が供される分析技術が、試料量の前記処理溶液の前記試料が供される分析技術と同じである、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、前記評価溶液を調製することを含み、前記評価溶液を調製することは:
生物学的医薬製品を含む供給量の予備供給溶液を、分析的に定量化された個数濃度で標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子を含む試薬量のウイルス標準溶液と合わせるステップ、
を含む方法。
【請求項15】
前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、前記評価溶液を作製するために使用される分析的に定量化された個数濃度の前記ウイルス標準溶液から前記評価溶液中の前記蛍光ウイルス粒子の計算された供給濃度を決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ウイルス標準製品であって:
標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を含むウイルス標準溶液であって、前記蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および前記ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、ウイルス標準溶液と;
前記ウイルス標準溶液および指標を含有する容器であって、前記指標が、前記ウイルス粒子の正体および前記分析的に定量化された個数濃度を含む、容器と、
を含む、ウイルス標準製品。
【請求項17】
ウイルス標準製品を作成するための方法であって:前記方法は、
生物学的汚染物質を含む収集溶液中にあるウイルス粒子が収集されるように、ウイルス粒子産生操作からウイルス粒子を収集するステップと;
前記収集後、前記ウイルス粒子を精製処理して、前記ウイルス粒子を含有する精製プロセス溶液を調製するステップと;
前記精製プロセス溶液中の前記ウイルス粒子を蛍光標識して、蛍光ウイルス粒子を含む標識されたプロセス溶液を調製するステップであって、前記蛍光標識が、蛍光色素を前記ウイルス粒子にコンジュゲートするステップを含む、前記調製するステップと;
蛍光標識後、標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子のバッチを含むウイルス標準溶液のバッチを調製するステップと;
前記ウイルス標準溶液のバッチ中の前記蛍光ウイルス粒子の個数濃度を分析的に定量化するステップと;
ある量の前記ウイルス標準溶液のバッチを容器内に配置するステップであって、前記容器が、前記ウイルス粒子および前記分析的に定量化された個数濃度を識別する指標を含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のためのキットであって、前記キットは:
ウイルスクリアランス評価用の生物学的医薬製品を含む評価溶液を調製するために使用されるウイルス標準溶液を収容する容器を含むウイルス標準製品と;
前記評価溶液の精製処理中に前記蛍光ウイルス粒子の除去を試験して、ウイルスクリアランス評価のための処理溶液を調製するための少なくとも1つのウイルス除去デバイスと;
を含み、
前記ウイルス標準溶液は、標準液体媒体中に分散された分析的に定量化された個数濃度の蛍光ウイルス粒子を含み、前記蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および前記ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、キット。
【請求項19】
前記ウイルス粒子が非感染性かつ非複製性である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法、製品またはキット。
【請求項20】
前記ウイルス粒子が、パルボウイルス科、アデノウイルス科、レトロウイルス科、レオウイルス科およびヘルペスウイルス科からなる群から選択されるウイルスファミリーのウイルスエピトープを含む、1~19のいずれか一項に記載の方法、製品またはキット。
【請求項21】
前記蛍光ウイルス粒子が、前記ウイルス粒子の元の最大断面寸法よりも4ナノメートル以下大きい最大断面寸法を有するサイズである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法、製品またはキット。
【請求項22】
、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法、製品またはキットであって、
前記蛍光色素が、前記ウイルス粒子のウイルスタンパク質にコンジュゲートされ、前記蛍光色素が、前記ウイルスタンパク質の反応した第1級アミンの残留窒素を含む部分中にあり、前記部分が、2500ダルトン以下の分子量を有する、
方法、製品またはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的医薬製品調製プロセスの精製処理の課題に対して、試験汚染物質として蛍光ウイルス粒子を使用するウイルスクリアランス評価に関するものであり、関連する方法、製品およびキットを含む。
【背景技術】
【0002】
生物医薬品(biopharmaceutical product)または生物製剤(biologics)とも呼ばれる生物学的医薬製品(biological medical products)は、例えば、組織もしくは生物学的流体からの抽出によって生物学的な供給源から得られるか、または細胞培養もしくは発酵操作において生成される生物学的材料を含む。生物学的医薬製品のいくつかの例としては、ホルモン、インターフェロン、モノクローナル抗体および組換えDNA由来製品が挙げられる。しかしながら、生物学的医薬製品は、製造中に、最終的な生物学的医薬製品に含めることが望ましくないウイルスによって汚染されやすく、場合によっては、そのようなウイルス汚染物質は、患者に重大な健康リスクをもたらす可能性がある。ウイルス汚染物質には、生物学的な生産操作に関連する内因性ウイルス、または生物学的な生産操作において侵入および複製する外来性ウイルスが含まれ得る。したがって、生物学的医薬製品調製プロセスは、調製プロセスがこのようなウイルス汚染物質で汚染されてしまったか否かにかかわらず、このようなウイルス汚染物質の有効な排除を確実にして、得られる生物学的医薬製品の安全性を確実にするように設計されなければならない。生物学的医薬製品調製プロセスの規制認可は、多くの場合、ウイルス汚染物質排除のためのプロセスの有効性の実証を必要とする。
【0003】
ウイルス汚染物質の排除は、ウイルス汚染物質の除去および/または不活性化によって生じ得る。生物学的医薬製品調製プロセスにおけるウイルスクリアランス処理は、1つ以上のウイルス汚染物質不活性化技術および/または1つ以上のウイルス汚染物質除去技術を含み得る。不活性化技術のいくつかの例としては、化学処理(例えば、溶媒または界面活性剤による)、pH処理、UV光処理および熱処理が挙げられる。異なる不活性化方法は、特定のウイルス汚染物質に応じて異なる程度の有効性を有する。不活性化方法にしばしば関連する化学的処理および熱処理の使用が制限されるのは、このような処理が、目的の生物学的医薬製品に有害であり得るためである。
【0004】
ウイルス汚染物質の除去は、ウイルス汚染物質の粒子を目的の生物学的材料から選択的に分離するように設計された1つ以上の技術によって達成され得、これは、例えば、目的の生物学的材料を含むプロセス溶液からウイルス汚染物質を除去するための処理、および/またはウイルス汚染物質も含み得るプロセス溶液から目的の生物学的材料を除去するための処理を含み得る。ウイルス除去技術のいくつかの例としては、アフィニティー分離技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィー)、濾過(例えば、ナノ濾過)および遠心分離が挙げられる。
【0005】
ウイルススパイク試験またはウイルス性スパイク試験とも呼ばれるウイルスクリアランス試験は、不活性化、除去、またはその両方によるウイルス汚染物質の排除を確実にするための有効性について、生物学的医薬製品調製プロセスの有効性を実証するために行われる評価試験である。このようなウイルスクリアランス試験は、目的の生物学的材料および添加された試験汚染物質(代表的には、ウイルス粒子(ビリオン)の形態)を含む1つ以上の評価溶液を調製することを包含し得る。試験汚染物質は、実際に予想されるウイルス汚染物質(例えば、実際に関心のあるウイルスと同じウイルス)を表してもよく、または代理汚染物質(例えば、実際に関心のあるウイルス以外のウイルス)であってもよい。より最近では、ビリオンの使用に関する安全性の懸念のいくつかを低減するために、ウイルス様粒子などの、ウイルス特性を有するが非感染性かつ非複製性粒子である試験汚染物質が提案されている。
【0006】
除去によるウイルス汚染物質クリアランスの実証は、試験溶液に試験汚染物質をスパイクすること、および試験溶液を模擬プロセス条件下で1つまたは複数の除去技術に供することを含み得る。試験の成功は、最初のスパイク試験溶液と評価の対象である精製処理後の精製溶液との間の試験汚染物質の量の複数の対数減少(log10減少または単にlog減少とも呼ばれる)によって示されるように、試験汚染物質の高レベルの除去の実証を必要とする場合がある。評価中に示された対数減少は、対数減少係数(Log Reduction Factor(LRF))または対数減少値(Log Reduction Value(LRV))と呼ばれることがある。例えば、いくつかのウイルスクリアランス評価は、最初の試験溶液とそのような精製された溶液との間の試験汚染物質の量における少なくとも4ログ(log)減少(4以上のLRFまたはLRV)の実証を必要とし得る。ウイルス汚染物質粒子の除去効率の評価は、典型的には、精製溶液中のウイルス汚染物質粒子の残留量の分析的定量化、およびその残留量と初期試験溶液中のウイルス汚染物質粒子の初期負荷との比較を含む。一般的な分析定量技術としては、組織培養物感染量アッセイ(TCID50アッセイ)またはプラーク形成単位アッセイ(PFUアッセイ)などの感染性アッセイが挙げられるが、これらは時間がかかり、高価である。試料は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)分析または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して評価することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウイルスクリアランス試験は、非常に費用がかかり、ロジスティックに複雑であり、計画および実施するのに時間がかかる傾向があり、ウイルスクリアランスに必要とされる有効性を実証できない結果になることは深刻であり得る。ウイルスクリアランス試験の失敗は、生物学的医薬調製プロセスの再設計、再設計されたプロセスに対する新たなウイルスクリアランス試験の実施を必要とし、そして規制当局の承認の遅延を招き得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ウイルス粒子およびウイルス粒子にコンジュゲートした蛍光色素を含む蛍光ウイルス粒子は、生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価の一部としてのウイルス汚染物質除去試験における使用に有利であることが見出されている。蛍光ウイルス粒子は、生物学的医薬製品調製プロセスにおけるウイルス汚染物質除去に対する評価下で、提案される精製処理の課題に対処するための試験汚染物質として使用され得る。コンジュゲートされた蛍光色素の存在は、ウイルス粒子のサイズをわずかに増加させるのみであるが、プロセス開発中の代替ウイルス除去アプローチの迅速なスクリーニングおよび最終プロセス検証の両方に対して汎用性を提供し、これらはすべて単一の好都合なウイルスクリアランス評価プラットフォームを使用するものである。蛍光ウイルス粒子は、ウイルスクリアランス評価プロセスを実施する間にわたり蛍光活性を有し、初期試験溶液、得られた精製溶液、および評価中の処理中の任意の時点での目的の中間溶液の迅速かつ一貫した定量化を可能にする。定量化は、蛍光ウイルス粒子の蛍光特性を使用して、そうでなければ定量化分析時にウイルス粒子を蛍光標識するために必要とされる追加の時間および複雑さを必要とすることなく好都合に実施され得る。定量分析時に蛍光標識を回避することは、ウイルス汚染物質除去の評価のための試料の迅速かつ便利な定量分析を可能にし、有利なことに、そうでなければ定量分析時の蛍光標識から生じる可能性のある試料への化学変化およびそのような化学変化によって導入され得る定量結果の不正確さを伴うことはない。本方法はまた、好都合なことに、ウイルス粒子(ビリオン)を使用する試験およびウイルス様粒子などの非感染性非複製ウイルス粒子を使用する試験の両方に対し、多種多様な異なるウイルス精製技術にわたって、および多種多様なモデルウイルス型にわたって試験するための多用途かつ便利な使用のための予め調製された標準試薬製品として蛍光ウイルス粒子が提供されることを可能にする。
【0009】
本開示の第1の態様は、生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のために蛍光ウイルス粒子を使用する方法に関する。いくつかの実施形態において、この第1の態様の方法は:
評価溶液を精製処理に供して処理溶液を調製するステップであって、同評価溶液は、生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子を含み、同精製処理は、同生物学的医薬製品からウイルス汚染物質を分離するためのウイルス除去技術を含む、ステップと;
評価溶液と処理溶液との間の蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するステップと;
を含み、
蛍光ウイルス粒子は、ウイルス粒子および同ウイルス粒子にコンジュゲートした蛍光色素を含む。
【0010】
本開示の第2の態様は、任意選択で第1の態様の方法において使用するための、蛍光ウイルス粒子を含むウイルス標準製品(viral standard products)に関する。いくつかの実施形態において、この第2の態様のウイルス標準製品は:
標準液体媒体(liquid medium)中に分散された分析的に定量化された個数濃度(number concentration)の蛍光ウイルス粒子を含むウイルス標準溶液であって、同蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および同ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、ウイルス標準溶液と;
同ウイルス標準溶液を収容する容器、好ましくは密封容器であって、同容器はウイルス標準指標(viral standard indicia)を含み、同ウイルス標準指標はウイルス粒子の正体(identity)および分析的に定量化された個数濃度を含み、同ウイルス標準指標は好ましくは外部から観察可能である、容器と;
を含む。
【0011】
本開示の第3の態様は、任意選択で第1の態様の方法における生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のための蛍光ウイルス粒子を含むキットに関する。いくつかの実施形態において、この第3の態様のキットは:
任意選択的に第2の態様のウイルス標準製品であって、ウイルスクリアランス評価のための生物学的医薬製品を含む評価溶液を調製するべく使用するためのウイルス標準溶液を含有する容器、好ましくは密封容器を含む、ウイルス標準製品と;
ウイルスクリアランス評価のための処理溶液を調製するべく、前記評価溶液の精製処理中に蛍光ウイルス粒子の除去を試験するための少なくとも1つのウイルス除去デバイスと;
を含み、
ウイルス標準溶液は、標準液体媒体中に分散された分析的に定量化された個数濃度の蛍光ウイルス粒子を含み、同蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および同ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む。
【0012】
本開示の第4の態様は、蛍光ウイルス粒子を含む、任意選択で第2の態様のウイルス標準製品を作製するための方法に関する。いくつかの実施形態において、この第4の態様の方法は:
生物学的汚染物質を含む収集溶液中にあるウイルス粒子が収集されるように、ウイルス粒子産生操作からウイルス粒子を収集するステップと;
前記収集後、同ウイルス粒子を精製処理して、ウイルス粒子を含有する精製プロセス溶液を調製するステップと;
精製されたプロセス溶液中の前記ウイルス粒子を蛍光標識して、蛍光ウイルス粒子を含む標識されたプロセス溶液を調製するステップであって、蛍光標識が、蛍光色素をウイルス粒子にコンジュゲートするステップを含む、調製するステップと;
蛍光標識後、標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子のバッチを含むウイルス標準溶液のバッチを調製するステップと;
同ウイルス標準溶液のバッチ中の蛍光ウイルス粒子の個数濃度を分析的に定量化するステップと;
容器、好ましくは密封された容器に、ある量の前記ウイルス標準溶液のバッチを配置するステップであって、前記容器は、その上に、前記ウイルス粒子の正体および前記分析的に定量化された個数濃度を含むウイルス標準指標を含み、好ましくは、同ウイルス標準指標は外部から観察可能である、配置するステップと;
を含む。
【0013】
いくつかの他の特徴の改良および追加の特徴が、本開示のこれらの態様および他の態様の各々に適用可能である。これらの特徴の改良および追加の特徴は、本開示のこの態様または任意の他の態様の主題内で個々にまたは任意の組合せで使用され得る。したがって、以下の特徴の各々は、必須ではないが、この態様または本開示の任意の他の態様の任意の他の特徴または特徴の組合せとともに使用され得る。第2の態様の製品のウイルス標準溶液または第3の態様のキットにおいて提供されるウイルス標準溶液は、第1の態様の方法のための評価溶液を調製するために使用され得る。このようなウイルス標準溶液は、第4の態様の方法を使用して作製され得る。第2の態様の製品および/または第3の態様のキットは、第1の態様の方法の実施において使用され得る。
【0014】
本開示のこれらおよび他の態様に適用可能な多数の追加の特徴の改良および追加の特徴が、図面、以下に提供される説明、および添付の特許請求の範囲においてさらに開示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、ウイルスクリアランス評価の方法のいくつかの例示的な実施形態の処理を示すプロセス図である。
図2図2は、図1の一般的な処理コンテキスト(context)内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図3図3は、図1の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図4図4は、図1の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図5図5は、図1の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図6図6は、図1の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図7図7は、図1の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図8図8は、本開示の第2の態様のウイルス標準製品の例示的な実施形態を示す。
図9図9は、本開示の第3の態様のキットのいくつかの例示的な実施形態を示す。
図10図10は、本開示の第4の態様のウイルス標準製品を調製する方法のいくつかの例示的な実施形態の処理を示すプロセス図である。
図11図11は、図10の一般的な処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
図12図12は、図10の処理コンテキスト内のより具体的な処理のいくつかの例示的な実施形態を示すプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図において破線で示される要素は、別段の記載がない限り、図示された例示的な実施形態の任意選択される特徴である。同じ特徴を識別するために、同じ参照番号が異なる図面において使用される。
【0017】
図1図7は、本開示の第1の態様の方法に関する様々な例示的な実施形態のプロセス図を示す。
図1は、生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子を有する評価溶液102が、少なくとも1つのウイルス除去技術を含む精製処理104に供されて、ウイルス汚染物質流出液(effluent)106および処理溶液108を調製する一般的な処理を示す。精製処理104の間、評価溶液102中の生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子は、典型的な処理状況において、蛍光ウイルス粒子が流出液106に優先的に分配され、生物学的医薬製品が処理溶液108に優先的に分配されるように、流出液106と処理溶液108との間で分配され、それによって、処理溶液108は、評価溶液102と比較して生物学的医薬製品に関してより精製された状態にある。理解され得るように、流出液106は、結果として得られる単一のストリームとして示されるが、例えば、精製処理104が、各々が別個の流出液ストリームを生成する複数のウイルス除去技術を含む場合、結果として得られるストリームを複数含んでもよい。
【0018】
精製処理104の後、処理溶液108は、評価溶液102と処理溶液108との間の蛍光ウイルス粒子の除去の程度(例えば、LRFまたはLRV)を決定する処理110に供され、これは、生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子の分離のための精製処理104の有効性のレベルを示し、拡大解釈すると、生物学的医薬製品調製プロセスの操作中に生物学的材料製品からウイルス汚染物質(例えば、ビリオン)を分離するための精製処理104の有効性のレベルの指標を示す。
【0019】
また、図1に示すように、図示した処理例は、評価溶液102を調製する任意の処理を含む。処理112の間、ある供給量の(a feed volume of)予備供給溶液114は、既知の分析的に定量化された個数濃度で標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子を含むある試薬量の(a reagent volume of)ウイルス標準溶液116と合わせられる(combined)。処理ステップ112で合わせられたそれぞれの量の予備供給溶液114およびウイルス標準溶液116は、評価溶液102中の生物学的医薬製品の所望の評価濃度、および精製処理104に対処するための評価溶液102の蛍光ウイルス粒子での所望のローディングを提供する。また、処理112について示されているのは、予備供給溶液114およびウイルス標準溶液116と合わせて、評価溶液102のための任意の所望の調整された特性を提供するための試薬118の任意の提供である。そのような試薬118の例は、精製処理104に対して評価溶液102のpHを所望のpHに調整するための酸性または塩基性の溶液であり得る。
【0020】
図1に示される例示的な処理はまた、評価溶液102の一部120を処理110に提供して、評価溶液102中の蛍光ウイルス粒子の供給濃度を分析的に定量化するための分析技術に少量の試料量の評価溶液102を供することを可能にし、処理溶液108中の蛍光ウイルス粒子の残留量と比較するための評価溶液102中の蛍光ウイルス粒子の分析的に決定された出発量を提供して、精製処理104の結果としての蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定する任意の特徴を含む。代替的に、あるいは付随的に、図1に示される一般的な処理は、ウイルス標準溶液116について報告された所定の分析的に定量化された個数濃度の蛍光ウイルス粒子を利用して、評価溶液102中の蛍光ウイルス粒子の計算された出発量を決定することができる。考えられる処理の代替形態では、評価溶液102の一部120の分析によって決定される、評価溶液102中の蛍光ウイルス粒子のそのような分析的に決定された開始量を、蛍光ウイルス粒子のそのような計算された開始量と比較して、図1に示される処理におけるウイルスクリアランス評価のための利用の前に、ウイルス標準溶液116の製造後の分解(例えば、凝集体形成)の起こりうる程度を評価することができる。そのような処理の代替形態において、分析的に決定された開始量を生成するために利用される分析的定量化技術は、ウイルス標準溶液116中の蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を生成するために使用される分析的定量化技術と同等であり、実質的に同一であることがより好ましい(例えば、両方ともフローサイトメトリーであり、より好ましくは同一または同等のモデルのフローサイトメーターを使用する)。別の考えられる処理の代替形態では、処理110は、評価溶液102中の蛍光ウイルス粒子についてのそのような分析的に決定された開始量およびそのような計算された開始量の各々に基づいて、評価溶液102と処理溶液108との間の蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定して、精製処理104中の生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子の除去の程度をそのような開始量の各々について独立して評価することを含み得る。
【0021】
評価溶液102中であれ、処理溶液108中であれ、蛍光ウイルス粒子の分析的定量化のために、またはウイルス標準溶液116の分析的に定量化された濃度の決定のために、好ましい分析的定量化の技術はフローサイトメトリーである。蛍光ウイルス粒子の分析的定量化のための1つの好ましいフローサイトメーターは、Virus Counter(登録商標)3100フローサイトメーター(サルトリウス ステディム バイオテック(Sartorius Stedim Biotech))である。フローサイトメトリー評価は、異なる希釈比で希釈された試料を含む希釈系列を調製すること、および希釈系列の試料のそれぞれをフローサイトメトリーに供することを含み得る。次いで、希釈系列についてのフローサイトメトリー結果を評価して、未希釈試料中の蛍光ウイルス粒子の力価(titer)(濃度)を決定することができる。例えば、Virus Counter(登録商標)3100フローサイトメーターを使用するフローサイトメトリー評価において一般的であるように、異なる希釈試料についてのフローサイトメトリー濃度結果をlog-logスケールでプロットし、プロット直線性について評価することができる。
【0022】
図2~7は、図1に示される一般的な処理コンテキスト内に含まれ得るより具体的な処理の様々な例示的な実施形態を示す。
図2は、図1の精製処理104内の処理の例を示し、ここで、評価溶液102は、処理溶液108を調製するために連続して配置された複数の異なるウイルス除去技術に供される。例示目的のために、図2に示される精製処理104は、蛍光ウイルス粒子の第1の部分が生物学的材料製品から分離される第1のウイルス除去技術130と、蛍光ウイルス粒子の第2の部分が生物学的材料製品から分離される第2のウイルス除去技術132とを含む。理解され得るように、図2に示されるような処理は、連続して配置される2つより多くの異なるウイルス除去技術を含み得る。図2に示される処理において、処理溶液108は、処理溶液108を調製するための第1のウイルス除去技術130および第2のウイルス除去技術132の両方の組み合わされた結果としての生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子の累積的分離を表す、減少した量の蛍光ウイルス粒子を有する。図2に示される例示的な処理において、第1のウイルス汚染物質流出液106aは、第1のウイルス除去技術130から生成され、第2のウイルス汚染物質流出液106bは、第2のウイルス除去技術132から生成される。ウイルス汚染物質流出液106a、bは、別々にさらに処理されてもよく、またはそのようなさらなる処理のために、例えば、分析、廃棄物処理および/または廃棄のために組み合わされてもよい。図2に示されるようなそのような精製処理104は、例えば、単位操作全体にわたるウイルスクリアランスのための複数のウイルス除去技術を含む生物学的医薬製品調製プロセスの単位操作の有効性を評価するために使用され得る。代替的または付随的に、図2に示されるようなそれぞれのそのような異なるウイルス除去技術は、ウイルスクリアランスについて個々に評価され得、異なる評価は、複数のウイルス除去技術によって提供される有効性の全体的な評価を提供するために組み合わされ得る。
【0023】
ここで、主に図1および図3を参照する。利便性および品質管理のために、既知の組成特性を有するウイルス標準溶液116は、予め包装された密封容器の形態で提供されてもよい。容器は、ウイルス標準溶液116の蛍光ウイルス粒子中のウイルス粒子の正体および蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を含む外部から観察可能なウイルス標準指標(viral standard indicia)を有してもよい。ウイルス標準指標は、例えば、本明細書の他の箇所で説明されるように、ウイルス標準溶液および/またはウイルス標準溶液116の成分に関する他の情報を含んでもよい。図3は、ウイルス標準溶液116がそのような密封容器内に提供される場合の、図1の処理112に含まれ得るいくつかの特定の処理の実施形態の一例を示す。図3に示されるように、処理112は密封された容器を開封する処理140を含み、それにより開封された容器142内のウイルス標準溶液116へのアクセスを提供する。処理140に続いて、開封された容器142から試薬量のウイルス標準溶液を取り出す(removing)処理144が行われる。処理144に続いて、取り出した試薬量146のウイルス標準溶液116は、評価溶液102を調製するために、試薬量146を供給量の予備供給溶液114と、そして任意選択的に試薬118とも合わせる(combining)ことを含む処理148に供される。
【0024】
図1の処理は、生物学的医薬製品調製プロセスへの包含のため、または生物学的医薬製品調製プロセスの異なる段階における使用のため、のいずれかにおいて考慮される選択肢として、ウイルス汚染物質を除去するための異なる精製処理設計を迅速に評価するための柔軟性を提供する。図1の処理はまた、複数の異なるタイプのウイルス汚染物質を除去するための特定された精製処理の代替形態のロバスト性(robustness)を迅速に評価するための柔軟性を提供する。
【0025】
図1の処理のいくつかの実施形態において、評価溶液102は、複数の異なる蛍光ウイルス粒子を含むことができ、同ウイルス粒子は、異なるウイルス粒子および異なるウイルス粒子とコンジュゲートされた異なる蛍光色素を含み、異なる蛍光ウイルス粒子は、例えば異なる電磁波長でピーク蛍光発光を有する、異なる蛍光発光シグネチャを有する。異なるウイルス粒子は、例えば、異なるウイルスファミリーまたはウイルスファミリー内の異なるウイルスのウイルス特性を含み得る。異なる蛍光色素は、同様の励起波長(例えば、特定の波長に同調された単一のレーザによって提供される)によって励起されてもよく、または異なる励起波長(例えば、異なる波長に同調された異なるレーザによって提供される)によって励起されてもよい。異なるタイプの蛍光ウイルス粒子の各々の除去の有効性、ならびに全ての蛍光ウイルス粒子の除去の全体的な有効性は、図1の処理110の間に評価され得る。そのような複数の異なる蛍光ウイルス粒子は、単一のウイルス標準溶液中の予め調製された混合物中で一緒に提供されてもよく、例えば、図3に示されるような処理に供される単一の密封容器中で提供されてもよく、または異なる蛍光ウイルス粒子は、別々に、例えば、別々の異なるウイルス標準溶液中で提供されてもよく、そのような異なるウイルス標準溶液の各々は、単一タイプの蛍光ウイルス粒子のみを含む。
【0026】
図4は、別々のウイルス標準溶液中に提供される複数の異なる蛍光ウイルス粒子を利用する、図1の一般的な処理アプローチ内の処理の例を示す。図4の例における処理112の間、第1の蛍光ウイルス粒子を含有する第1のウイルス標準溶液116aおよび第2の蛍光ウイルス粒子を含有する第2のウイルス標準溶液116bは、それぞれの密封容器を開封する別個の処理140a、b、および試薬量を取り出す処理144a、bを通して別々に処理されて、予備供給溶液114との処理148で合わせるために別個の試薬量146a、bの異なるウイルス標準溶液を得て、第1のウイルス標準溶液116aからの第1の蛍光ウイルス粒子および第2のウイルス標準溶液116bからの第2の蛍光ウイルス粒子の両方を含む評価溶液102を調製する。精製処理104からのウイルス汚染物質流出液106は、精製処理104中に生物学的医薬製品から分離された第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子の両方を含み、第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子の両方に対して少なくともある程度まで精製された生物学的医薬製品を含む処理溶液108を調製する。図4の処理110の間、処理溶液108の1つ以上の試料は、処理溶液108中の第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子についての個々の適格性(qualifications)を提供するために、1つ以上の分析定量化技術に供され得る。例えば、処理溶液108の試料は、評価溶液102中の第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子の対応する量と比較するために、第1の蛍光ウイルス粒子からの第1の蛍光発光シグネチャおよび第2の蛍光ウイルス粒子からの第2の蛍光発光シグネチャを検出し、処理溶液108中の第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子のそれぞれの濃度を決定するために、別個の検出器を用いてフローサイトメトリーに供され得る。あるいは、処理溶液108の第1および第2の試料は、第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子のそれぞれについて処理溶液108中の濃度を別々に決定するために、例えば、異なるフローサイトメトリーラン(run)において、別々に分析定量化に供され得る。図4に示されるように、評価溶液102の一部120は、任意選択的に処理110に提供されてもよく、ここで、評価溶液102の一部120は、第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子のそれぞれについて評価溶液102中の開始濃度を決定するために分析定量化に供されてもよく、これは、例えば、処理溶液108の分析定量化について記載されるような様式で、第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子についての組み合わされたフローサイトメトリー評価または別個のフローサイトメトリー評価において行われてもよい。図4に示される処理は、例えば、生物学的医薬製品調製プロセス時に異なるウイルスのビリオンを除去するための精製処理を評価して、異なるタイプのウイルスのクリアランスに対する生物学的医薬製品調製プロセスのロバスト性を実証するために使用され得る。
【0027】
図5は、異なるタイプのウイルス汚染物質の除去のための精製処理を評価するための、図4に示されるものに対する代替処理の例を示す。図5の処理において、第1のウイルス標準溶液116aおよび第2のウイルス標準溶液116bは、別々の評価溶液102aおよび102bを調製するために別々の処理112aおよび112bに供される。図5に見られるように、第1のウイルス標準溶液116aおよび第2のウイルス標準溶液116bのそれぞれに対する処理は、図4に示されるものと同一であり、それぞれ、第1および第2の試薬量146aおよび146bを調製する。しかしながら、図5に示される処理において、第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子をそれぞれ含有する異なる試薬量146aおよび146bは、図4に示されるように単一の評価溶液102に合わせられるのではなく、精製処理104a、bの別々の処理シーケンスを通して別々の評価溶液102a、bを調製および別々に処理するために使用され、別々の処理溶液108a、bが調製される。処理溶液108a、bは、それぞれの評価溶液102a、bからの第1の蛍光ウイルス粒子および第2の蛍光ウイルス粒子の各々の除去の程度を決定する処理110a、bにおいて別々に処理される。図5に示されるように、評価溶液102a、bの一部120a、bは、場合によって、それぞれの第1または第2の蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するためのそれぞれのステップ110a、bにおける使用のために提供されてもよい。図5の処理は、例えば、生物学的医薬製品調製プロセスの同一の精製処理によって、異なる蛍光ウイルス粒子によって表される異なる潜在的ウイルス汚染物質のウイルス汚染物質除去の有効性を別々に評価するために使用され得る。
【0028】
図6は、複数の異なる精製処理の選択肢のウイルス汚染物質除去の有効性を迅速に評価するための、図1の一般的な処理アプローチ内の処理の柔軟性のさらなる例を示し、図6の特定の例は、ウイルスクリアランスのための3つの異なる精製処理スキームの別々の評価を含む。評価溶液102を調製する処理112は、結果として得られる評価溶液102が、別個の評価溶液102a、b、cとして図6で特定される3つの別個のアリコートに分割されることを除いて、概して、図3に示されるものと同様である。別個の評価溶液102a、b、cは、それぞれ第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cに供されて、別個の処理溶液108a、b、cが調製される。第1の処理溶液108aは、蛍光ウイルス粒子の第1の除去の程度の決定(first determining a degree of removal)110aに供され、第2の処理溶液108bは、蛍光ウイルス粒子の第2の除去の程度の決定110bに供され、第3の処理溶液108cは、蛍光ウイルス粒子の第3の除去の程度の決定110cに供される。図6に示されるように、合わせたもの148からの評価溶液102の一部120は第1の除去の程度の決定110a、第2の除去の程度の決定110b、および第3の除去の程度の決定110cにおける使用のために提供され得る。図6に示される例において、評価溶液の一部120は、評価溶液の供給濃度を分析的に定量化すること150に供され、これは、供給溶液102a、102bおよび102cの異なるアリコートの各々についての処理に適用可能である。供給濃度を分析的に定量化すること150は、例えば、評価溶液102の一部120から調製された1つ以上の流体試料のフローサイトメトリー評価を含み得る。
【0029】
図6に示される処理は、生物学的医薬製品調製プロセス内の異なる段階でウイルスクリアランス性能を迅速かつ柔軟に評価するために使用されてもよく、その場合、第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cは、評価中の生物学的医薬製品調製プロセス時の異なる段階で実施される異なる精製処理スキームを表してもよい。あるいは、第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cは、各々が、生物学的医薬製品調製プロセスの1つまたは複数の特定の段階における実施のための選択肢として考慮されている異なる精製処理スキームを表してもよい。この後者の状況において、図6に示されるような処理は、生物学的医薬製品調製プロセスにおける可能性のある包含を考慮して、異なる代替の精製処理スキームの迅速な比較を可能にする。これに関して、図6は、第1の除去の程度の決定110a、第2の除去の程度の決定110b、および第3の除去の程度の決定110cからの結果152a、b、cが、それぞれ、第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cのそれぞれによる蛍光ウイルス粒子の除去の有効性を比較する任意選択の処理154において使用され得る任意選択の処理を示し、その後、第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cの中から、検討中の生物学的医薬材料調製プロセスの1つまたは複数の特定の段階において使用するための精製処理選択肢156を選択する処理156が続く。
【0030】
図6に示される処理は、一度により大きなバッチの評価溶液を調製し、次いで、これを等分して別々の供給溶液102a、b、cを調製するので、図6の処理では、第1の精製処理104a、第2の精製処理104bおよび第3の精製処理104cを合理的に同時に実施して、試験間の時間に関連する差異を回避することが好ましい。
【0031】
図7は、複数の異なる精製処理スキームを評価するための、図6に示される処理の代替例を示す。図7の例示的な処理は、図6に示され、図6に関して説明されるように、別個の評価溶液102a、b、cについての同じ第1の精製処理104a、第2の精製処理104b、および第3の精製処理104cを含む。しかしながら、図7の処理において、別々の評価溶液102a、b、cは、評価溶液102の単一のマスターバッチから等分されるのではなく、一般的な処理112の間に別々の処理シーケンスによって個々に調製される。その結果、図7の処理例に示されるように、評価溶液102a、b、cの別々の一部120a、b、cは、それぞれ、第1の除去の程度の決定110a、第2の除去の程度の決定110b、および第3の除去の程度の決定110cのそれぞれに対応する、第1の分析的に定量化された供給濃度150a、第2の分析的に定量化された供給濃度150b、および第3の分析的に定量化された供給濃度150cのために別個に提供され得る。図7に図示される処理例は、生物学的医薬製品調製プロセスの1つまたは複数の特定の段階における使用のために考慮されている可能性のある代替精製処理スキーム間の評価のために、または医薬製品調製プロセスの異なる段階における使用のために特定される異なる精製処理スキームを評価するために、図6に示される例示的な処理に代えて使用され得る。しかしながら、図7に示されるような処理は、第1の評価溶液102a、第2の評価溶液102b、および第3の評価溶液102cが合理的に同時に処理されない状況で使用するのに好ましい場合がある。図7の処理が、生物学的医薬製品調製プロセスの1つまたは複数の特定の段階における使用のために潜在的な代替精製処理スキームの間で評価するために使用される場合、図7に示される処理の後に、図6に関連する上記の議論と同様の様式で、除去の有効性を比較する154、および精製処理選択肢を選択する156、図6に示されるさらなるステップを続けてもよい。
【0032】
評価溶液102、精製処理104、ウイルス汚染物質廃棄流出液106、処理溶液108、除去の程度を決定すること110、評価溶液の調製112、予備供給溶液114、ウイルス標準溶液116、試薬118、評価溶液の一部120、第1のウイルス除去技術130、第2のウイルス除去技術132、密封容器140、開封した容器142、試薬量を取り出すこと144、取り出した試薬量146、合わせること148、供給濃度を分析的に定量すること150、結果152、除去の有効性を比較すること154、および精製処理選択肢を選択すること156のいずれも、上記の概要の項、以下に提示される番号付けされた実施例、または添付の特許請求の範囲を含むがこれらに限定されない、本開示の他の場所でそのような特徴について記載される任意の特徴であってもよく、またはそのような特徴を有してもよい。
【0033】
ここで、上記で要約した本開示の第2および第3の態様に対応するウイルス標準製品およびキットの例を示す図8および図9を参照する。
図8は、一定量のウイルス標準溶液が配置された密封容器を含む例示的なウイルス標準製品200を示す。密封容器は、容器本体204と、容器本体204に係合して同本体104を密封するキャップ206とを含む。キャップ206は、容器本体204内のウイルス標準溶液へのアクセスを提供するために、密封容器を開封し、キャップ206を取り外すために、例えばねじることによって操作可能である。キャップ206が取り外された後、本明細書において、例えば本開示の第1の態様において開示されるようなウイルスクリアランス評価のための方法において使用するために、測定された量のウイルス標準溶液が、例えばピペッティングによって容器本体204から取り出され得る。密封容器は、密封容器内に収容されたウイルス標準溶液に関する情報を有する外部から観察可能なウイルス標準指標210を含むラベル208を含む。指標が外部から観察可能であるとは、指標内の情報が、容器の外側から、ヒト又は機械の観察者であり得る観察によって識別され得ることを意味する。ウイルス標準指標210は、人間のユーザによって読み取り可能な書面形式(例えば、書かれた単語および/または数字)で提示されてもよく、および/またはコード化された機械可読フォーマット(例えば、スキャン可能なバーコード)で提示されてもよい。ウイルス標準指標210は、好ましくは、ウイルス標準溶液中の蛍光ウイルス粒子のウイルス粒子の正体、およびウイルス標準溶液中の蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を少なくとも含む。ウイルス標準指標210はまた、本明細書の他の場所に開示されるような任意の他の情報または情報の組み合わせを含んでもよく、密閉容器は、上記に提示される発明の概要、以下に提示される番号付けされた実施例、または添付の特許請求の範囲を含む、本明細書の他の場所に開示される任意の特徴であってもよく、またはそれを有してもよい。
【0034】
図9は、例えば本開示の第1の態様の方法における、生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価において使用するための例示的なキット300を示す。図9に示される例示的なキット300は、図8に示され、図8に関連して説明されるウイルス標準製品200を含む。図9に示されるキット300はまた、少なくとも1つのウイルス除去デバイス302aを含み、任意選択で、ウイルスクリアランス評価のための方法の精製処理中に蛍光ウイルス粒子の除去を試験するための複数のウイルス除去デバイス(任意選択で2つの追加のウイルス除去デバイス302b、cを含むものとして図9に示される)を含む。ウイルス除去デバイス302a、b、cのいくつかまたはすべては同じであってもよいが、好ましくはウイルス除去デバイス302a、b、cの少なくともいくつか、より好ましくは、すべては、それぞれが異なるウイルス除去技術を含む異なるウイルス除去デバイスである。図9に示されるように、キット300は、ウイルスクリアランス評価の一部として溶液中(例えば、評価溶液中および/または処理溶液中)の蛍光ウイルス粒子の個数濃度を分析的に定量化するための分析機器304を任意選択で含んでもよい。1つの好ましい実施形態において、分析機器304はフローサイトメーターである。好ましくは、分析機器304は、ウイルス標準溶液中の蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を決定するために使用されたものと同じタイプの分析機器である。分析機器304がフローサイトメーターである場合、1つの好ましいフローサイトメーターは、Virus Counter(登録商標)3100フローサイトメーター(サルトリウス ステディム バイオテック(Sartorius Stedim Biotech))であり、これは、蛍光標識を有するウイルスサイズ粒子の定量化のために特に設計されている。また、図9に示されるように、例示的なキット300は、ウイルスクリアランス評価において使用するための液体製剤試薬(例えば、上に要約されるような本開示の第1の態様の方法のためのウイルス標準溶液および生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子を含有する評価溶液の調製において使用するための緩衝溶液)を含有する密封試薬容器306を任意選択で含み得る。
【0035】
図10は、上記で要約された本開示の第4の態様に対応する、ウイルス標準製品を作製するための例示的な方法を示す一般化されたプロセス図を含む。図10の方法の結果は、例えば、図8および図9に示されるウイルス標準製品200であり得る。図10に示される方法は、ウイルス粒子を収集すること402を含み、その間に、蛍光ウイルス粒子の調製のために標的化されたウイルス粒子が、収集された材料404中のウイルス粒子産生操作から回収される。ウイルス粒子産生操作は、例えば、ウイルス粒子を生成する細胞培養または発酵操作を含んでもよく、収集された材料404は、所望のウイルス粒子を含む細胞培養培地、発酵培地および/または細胞溶解液を含んでもよい。ウイルス粒子は、ビリオン、ウイルス様粒子またはウイルスエピトープを有する他のナノ粒子であってもよい。いくつかの好ましいウイルス粒子は、例えば、ウイルス様粒子に集合するウイルスタンパク質を発現する細胞株由来のウイルス様粒子である。
【0036】
収集された材料404は、精製処理406に供され、その間に、ウイルス粒子は、生産操作からの汚染物質、例えば細胞破片が少なくとも部分的に取り除かれる。精製処理406は、汚染物質からウイルス粒子を分離するための任意の数の精製技術を含み得る。例えば、そのような精製技術は、生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のための本開示の第1の態様の方法中の生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子の除去について記載された技術のいずれかを含み得る。精製処理の間に使用され得る典型的な精製技術としては、例えば、遠心分離(例えば、細胞破片を沈降させるため)、超遠心分離(例えば、ウイルス粒子を沈降させるため)、濾過(例えば、ウイルス粒子を濾液中に通すため、またはウイルス粒子を保持液中に保持するため)、沈殿(例えば、ウイルス粒子または破片の)、クロマトグラフィー(例えば、ウイルス粒子の選択的捕捉のためのアフィニティークロマトグラフィー)および膜分離技術(例えば、活性または不活性膜)が挙げられる。膜分離技術は、一例において、透析を含み得る。廃棄流出液408は、図10において精製処理406から除去されているように示されている。より精製された形態のウイルス粒子を含む精製処理溶液410は、蛍光標識412に供され、その間に、蛍光色素がウイルス粒子にコンジュゲートされて、ウイルス粒子を蛍光ウイルス粒子に変換する。
【0037】
蛍光標識412は、蛍光色素を含む反応分子をウイルス粒子のウイルスタンパク質上の反応性基と反応させて、蛍光色素をウイルス粒子に共有結合させることを含み得る。1つの好ましい反応性基は第一級アミンであり、これは、リジンアミノ酸残基上の第一級アミンであり得る。反応物分子は、例えば、発明の概要のセクション、以下に提示される番号付けされた実施例、または添付の特許請求の範囲に記載されるような特性であってもよく、またはそのような特性を有してもよい。いくつかの好ましい実施態様において、反応物分子はスクシンイミジルエステルを含み、これは例えば好ましくはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルであってもよい。反応性分子のいくつかの例示的なアミン反応性基は、「タンパク質架橋剤ハンドブックおよびセレクション・ガイド(Protein Cross-Linkers Handbook and Selection Guide)」、G-Biosciences、info2.gbiosciences.comで入手可能;「Thermo Scientific架橋技術ハンドブック(Thermo Scientific Crosslinking Technical Handbook)」、ThermoFisher Scientific、www.therofisher.comで入手可能;およびBanks,Peter R.ら、「キャピラリーゾーン電気泳動による生体分子へのコンジュゲーションに用いられる3種類の一般的なアミン反応性蛍光性プローブの比較(Comparison of Three Common Amine Reactive Fluorescent Probes Used for Conjugation to Biomolecules by Capillary Zone Electrophoresis)」、Bioconjugate Chem.、1995、6、447~458に記載されており、これらの各々および全ては、全ての目的のために本明細書中に参考として援用される。有利なことに、蛍光ウイルス粒子は、蛍光標識412前の元のウイルス粒子と比較して、サイズがわずかに増加するだけであり得る。その点に関して、蛍光色素を有する付加された部分は、比較的小さい分子量、多くの場合、2,500ダルトン以下の分子量を有し得、蛍光標識された粒子は、元のウイルス粒子と比較して、わずか4ナノメートル以下だけ、多くの場合、はるかに小さい大きさだけ、そのサイズが増加し得る。これは、例えば、15ナノメートルのオーダーで粒子サイズを増加させ得る蛍光抗体染色によるウイルス粒子の標識とは有意に異なる。蛍光標識された粒子を元のウイルス粒子のサイズに可能な限り近く維持するために、蛍光ウイルス粒子は、好ましくは、任意の蛍光抗体染色で標識されていない。蛍光標識された粒子はまた、好ましくは、ウイルス粒子ゲノムにおける緑色蛍光タンパク質(GFP)の取り込みの非存在下である。その理由は、GFPの取り込みがウイルス粒子サイズをかなり増加させ得るためである。
【0038】
これも既に論じたように、ウイルスクリアランス評価のために本開示の蛍光ウイルス粒子を使用することから、有意な利点が生じる。蛍光ウイルス粒子は、対応する非標識ウイルス粒子とサイズが類似しているので、化学修飾を必要とせずにウイルスクリアランス評価プロセスにおいて最初から最後まで使用することができる。ウイルスクリアランス評価に使用される他の試験粒子とは異なり、ウイルスクリアランス有効性の分析的定量化のための精製処理後に、処理溶液を蛍光染色で染色する必要はない。そのような後処理染色を回避することは、そのような染色に関連する化学の結果として、そのステップを実行し、変動性を試験する負担を排除する。例えば、蛍光ウイルス粒子の使用は、異なる処理溶液化学の結果としての抗体染色結合における変動性を排除し、蛍光染色のための調製において処理溶液化学を操作する必要性を排除する。蛍光ウイルス粒子は、異なる試験溶液化学において、および異なる分析定量技術にわたって安定したままである試験標準を提供する。精製処理から得られた処理溶液は、処理溶液の中間操作を必要とせずに、好ましくはフローサイトメトリーによる定量分析に直接供することができる。蛍光色素はウイルス粒子に共有結合しているので、蛍光色素はウイルス粒子に強く結合し、精製処理に供されるストレスの後であっても、蛍光ウイルス粒子の分析的定量化のために蛍光ウイルス粒子上に無傷のまま残る。したがって、蛍光ウイルス粒子は、有利なことに、ウイルスクリアランス評価の一部として、試験のために、および試験され得る様々な精製処理選択肢にわたって、対象となる多種多様なウイルス粒子と共に使用するための強固な標準を提供する。
【0039】
引き続き図10を参照すると、蛍光ウイルス粒子を含む標識されたプロセス溶液414が回収され、蛍光ウイルス粒子を含むウイルス標準溶液のバッチを調製する処理416に供される。処理416の間、蛍光ウイルス粒子は、最終的なパッケージングされたウイルス標準製品中のウイルス標準溶液に対して所望の特性(例えば、塩濃度、緩衝系、pHおよび添加剤)を有する液体媒体中で最終的な所望の形態に製剤化される。ステップ416における処理は、例えば、蛍光ウイルス粒子の精製形態への精製処理(例えば、蛍光標識412からの残留未結合色素分子および他の化学物質から蛍光ウイルス粒子を分離するため)、ウイルス標準溶液に望まれるより高い濃度に蛍光ウイルス粒子を濃縮すること、および/または最終ウイルス標準溶液に望まれる液体媒体中に蛍光ウイルス粒子を分散させることを含み得る。
【0040】
所望の最終液体媒体および処理416から得られる他の特性を有するウイルス標準溶液のバッチ418を調製した後、ウイルス標準溶液のバッチ418は、バッチ中の蛍光ウイルス粒子の個数濃度(例えば、1ミリリットル当たりの粒子数)を分析的に定量化する処理420に供される。これは、バッチ418から1つ以上の代表的な流体試料を採取し、代表的な流体試料を分析定量化技術、好ましくはフローサイトメトリーに供して、個数濃度を定量化することによって達成され得る。次いで、分析的に定量化されたバッチ422は、ウイルス標準製品426を調製するために密封容器内にある量のバッチを包装するステップ424における処理に供され、密封容器は、バッチについての情報を含有する外部から観察可能なウイルス標準指標を有する。このような外部から観察可能なウイルス標準指標は、例えば、密封容器上のラベル上に提供され得る。外部から観察可能なウイルス標準指標は、ある量のバッチを容器内に配置する前または配置した後に、および容器を密封する前または後に、容器上に配置され得る。外部から観察可能なウイルス標準指標は、好ましくは、少なくともウイルス粒子の正体および蛍光ウイルス粒子の分析的に定量化された個数濃度を含む。
【0041】
図11は、図10の処理416の間に実行され得るいくつかの例示的な処理を示す。図11に示されるように、処理416は、より高い純度レベルの蛍光ウイルス粒子を有する、より精製された標識処理溶液を調製するための第2の精製処理430を含んでもよい。第2の精製処理は、例えば、精製処理408について記載された精製技術のいずれかを使用する、1つ以上の精製技術を含み得る。第2の精製処理430中に、ほとんどまたは本質的にすべての未結合(非コンジュゲート)蛍光色素が、蛍光ウイルス粒子から分離される。また、図11の例に示されるように、処理416は、ウイルス標準溶液のバッチ418において蛍光ウイルス粒子をより高い濃度に濃縮する処理434を含んでもよい。処理434は、例えば、遠心分離、濾過、アフィニティー分離、および沈殿などの1つまたは複数の濃縮技術を含むことができ、これは、新しい液体媒体中の蛍光ウイルス粒子を、標識されたプロセス溶液414中よりも高い濃度に再構成することと組み合わせることができる。また、図11に示すように、処理416は、標準製品のバッチ418のための最終液体媒体中で、したがってウイルス標準製品426中で蛍光ウイルス粒子を構成する(constituting)処理436を含むことができる。処理436は、液体媒体を交換すること、または試薬(例えば、pH調整および蛍光ウイルス粒子の非凝集のため)を添加して、最終的なウイルス標準製品426に望ましい蛍光ウイルス粒子のための液体分散媒体を有するバッチ418を調製することを含み得る。理解され得るように、処理430、434および436は、任意の順序で実行されてもよく、処理において重複してもよい。例えば、濾過、遠心分離、アフィニティー分離、または沈殿は、あるレベルの蛍光ウイルス粒子の精製および標識されたプロセス溶液414中よりも高い濃度への蛍光ウイルス粒子の濃縮の両方を達成し得、最終ウイルス標準製品426のための所望の液体媒体中での再構成のために蛍光標識粒子を調製し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ウイルス標準溶液のバッチ418は、未結合の蛍光色素を実質的に含まず、すなわち、ウイルス粒子にコンジュゲートされていない蛍光色素を実質的に含まないが、ウイルス標準溶液は、未結合の蛍光色素の非常に小さい残留濃度を有し得る。理解されるように、ウイルス標準溶液は、バッチ418およびウイルス標準製品426において同じ組成を有することになり、図1図7のいずれかに関連して図示および説明されたウイルス標準溶液116の組成であってもよく、および/または図8および図9に関連して図示および説明されたウイルス標準製品200に含まれてもよい。
【0042】
図12は、図10の一般的な処理の処理424中に実行され得るいくつかの動作の例を示す。図12に示すように、処理424は、分析的に定量化されたバッチ422から複数のアリコート442を調製する処理440と、それに続く、分析的に定量化されたバッチ422のための外部から観察可能なウイルス標準指標を有する別個の密封容器にアリコート442を配置する処理444とを含む。ウイルス標準製品426は、アリコート442のうちの異なる1つをそれぞれ含む複数の密封容器を含む。
【実施例
【0043】
本開示の様々な態様の実施に関連して使用するためのいくつかの他の企図される例示的な組合せは、上記または本明細書の他の箇所に開示される追加の特徴を伴って、または伴わずに、以下に提示される番号付けされた段落および添付の特許請求の範囲に要約される。
【0044】
1.生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のための方法であって、前記方法は:
評価溶液を精製処理に供して処理溶液を調製するステップであって、前記評価溶液は、生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子を含み、前記精製処理は、前記生物学的医薬製品からウイルス汚染物質を分離するためのウイルス除去技術を含む、ステップと、
前記評価溶液と前記処理溶液との間の前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するステップと、
を含み、
蛍光ウイルス粒子は、ウイルス粒子およびウイルス粒子にコンジュゲートした蛍光色素を含む、方法。
【0045】
2.精製処理が、クロマトグラフィー(任意選択で、カラムクロマトグラフィー、平面クロマトグラフィー、膜クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および多次元クロマトグラフィー、例えば、二次元クロマトグラフィー)、濾過(任意選択で、限外濾過またはナノ濾過)、遠心分離(任意選択で、超遠心分離)、膜分離(任意選択で、アフィニティー膜分離)、透析およびそれらの組み合わせからなる群から選択される前記除去技術を含む、段落1に記載の方法。
【0046】
3.精製処理が、置換クロマトグラフィー、および置換クロマトグラフィーからの置換溶液流出液中のより高い純度での生物学的医薬製品の収集を含む、段落1または段落2のいずれか1つの方法。
【0047】
4.精製処理が、溶出クロマトグラフィーおよび溶出クロマトグラフィーからの溶出溶液流出液中の生物学的医薬製品のより高い純度での収集を含む、段落1または段落2のいずれか1つの方法。
【0048】
5.精製処理が、濾過、および濾過の濾液中のより高い純度での生物学的医薬製品の収集を含む、段落1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.精製処理が、アフィニティークロマトグラフィーおよびアフィニティー膜分離からなる群から任意選択で選択されるアフィニティー分離を含む、段落1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
7.精製処理が、生物学的医薬製品からの蛍光ウイルス粒子の膜分離を含む、段落1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.精製処理が、処理溶液を調製するために直列に配置された複数の異なる前記除去技術を含む、段落1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
9.評価溶液が、少なくとも1×10粒子/ミリリットル、好ましくは少なくとも1×10粒子/ミリリットル、より好ましくは少なくとも1×10粒子/ミリリットルの濃度の蛍光ウイルス粒子を含む、段落1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
10.評価溶液が、1ミリリットル当たり最大1×1012粒子の濃度の蛍光ウイルス粒子を含む、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.生物学的医薬製品が、タンパク質、核酸、ワクチン、血液成分、血液誘導体および血漿誘導体からなる群から選択される、段落1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
12.生物学的医薬製品が、10,000~150,000ダルトンの範囲の分子量の高分子である、段落1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.生物学的医薬製品が、ホルモン、インターフェロン、モノクローナル抗体、組換えDNA由来産物からなる群から選択される、段落1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
14.評価溶液が、20μg/mL~100mg/mLの範囲の濃度で生物学的医薬製品を含む、段落1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.生物学的医薬製品が、ヒト、哺乳動物、鳥類または昆虫起源の細胞培養物に由来する、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
16.生物学的医薬製品が、細菌または酵母に由来する細胞培養物に由来する、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
17.生物学的医薬製品がハイブリドーマ細胞培養物に由来する、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
18.細胞培養物が、特徴付けられた細胞株のものである、段落15~17のいずれか1つに記載の方法。
19.特徴付けられた細胞株が遺伝子操作されている、段落18に記載の方法。
【0056】
20.生物学的医薬製品が微生物発酵に由来する、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
21.生物学的医薬製品がインビボ細胞増殖に由来する、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
22.段落1~21のいずれか一つに記載の方法であって、
各々が生物学的医薬製品および蛍光ウイルス粒子を含む複数の異なる前記評価溶液の各々を異なる前記精製処理に供して異なる前記処理溶液を調製するステップであって、各々の異なる前記精製処理が異なる前記ウイルス除去技術を含む、ステップと、
異なる前記精製処理ごとに、前記評価溶液と前記処理溶液との間で前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定するステップと、
を含む、方法。
【0058】
23.異なる前記評価溶液のうちの少なくとも2つが、同じ組成を有する異なる前記評価溶液に対するウイルスクリアランス代替物の評価のために同じ組成を有する、段落22に記載の方法。
【0059】
24.異なる前記評価溶液のうちの少なくとも2つが、生物学的医薬製品調製プロセスの異なる段階におけるウイルスクリアランスの評価のための異なる組成を有する、段落22または段落23のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
25.段落1~24のいずれか一つに記載の方法であって、
前記蛍光ウイルス粒子は、第1の前記ウイルス粒子および第1の前記蛍光色素を含む第1の前記蛍光ウイルス粒子であり、
前記評価溶液は、第2の前記ウイルス粒子および第2の前記蛍光色素を含む第2の前記蛍光ウイルス粒子を含み、
前記第1のウイルス粒子は、第1のウイルスの第1のウイルスエピトープを有し、前記第2のウイルス粒子は、前記第1のウイルスとは異なる第2のウイルスの第2のウイルスエピトープを有し、
前記第1の蛍光色素が第1の蛍光発光シグネチャを有し、前記第2の蛍光色素が、前記第1の蛍光発光シグネチャとは異なる第2の蛍光発光シグネチャを有し、
前記方法は、前記評価溶液と前記処理溶液との間の前記第2の蛍光ウイルス粒子の第2の除去の程度の決定を含む、方法。
【0061】
26.段落1~24のいずれか1つに記載の方法において、
評価溶液が第1の前記評価溶液であり、蛍光ウイルス粒子が、第1の前記ウイルス粒子および第1の前記蛍光色素を含む第1の前記蛍光ウイルス粒子であり、処理溶液が第1の前記処理溶液であり、除去の程度を決定することが第1の前記除去の程度の決定であり、
前記方法はさらに、第2の前記評価溶液を精製処理に供して、第2の前記処理溶液を調製するステップであって、第2の前記評価溶液は、第1の前記ウイルス粒子とは異なる第2の前記ウイルス粒子と、第2の前記蛍光色素(第2の前記蛍光色素は第1の前記蛍光色素と同じであっても異なっていてもよい)とを含む第2の前記蛍光粒子を含み、第1の蛍光色素が第1の蛍光発光シグネチャを有し、第2の蛍光色素が第2の蛍光発光シグネチャ(第2の前記蛍光発光シグネチャは第1の前記蛍光発光シグネチャと同じであっても異なっていてもよい)を有するステップと、
第2の前記評価溶液と第2の前記処理溶液との間の第2の前記蛍光ウイルス粒子の除去の程度の第2の決定を行うステップと、
を含み、
任意選択で、第1の前記ウイルス粒子および第2の前記ウイルス粒子は、異なるウイルスファミリーのものである、方法。
【0062】
27.評価溶液が、生物学的医薬製品調製プロセスを代表する(representative of)、蛍光ウイルス粒子以外の生物学的汚染物質を含む、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
28.生物学的汚染物質が、溶解物細胞破片を含む、段落27に記載の方法。
29.生物学的汚染物質が酵素を含む、段落27または段落28のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
30.評価溶液が、0.7mg/mL~7.0mg/mLの範囲の濃度で生物学的汚染物質を含む、段落27~29のいずれか1つに記載の方法。
31.処理溶液が、評価溶液よりも低い濃度の生物学的汚染物質を有する、段落27~30のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
32.蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、評価溶液中の蛍光ウイルス粒子の供給濃度および処理溶液中の蛍光ウイルス粒子の濃度の残留濃度を決定することを含む、段落1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
33.蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、処理溶液の試料を分析技術に供して、評価溶液中の蛍光ウイルス粒子の残留濃度を分析的に定量化することを含む、段落1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
34.前記分析技術がフローサイトメトリー評価を含む、段落33に記載の方法。
35.前記分析技術が、ナノ粒子追跡分析、画像化および顕微鏡法からなる群から選択されるメンバー、好ましくはナノ粒子追跡分析を含む、段落33に記載の方法。
【0068】
36.前記分析技術が、供給濃度に対して少なくとも3対数減少、好ましくは供給濃度に対して少なくとも4対数減少のレベルの残留濃度を定量化する定量化限界を有する、段落33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
37.前記分析技術が、1ミリリットル当たり少なくとも1×10粒子あるいはそれ未満の定量下限で、好ましくは1ミリリットル当たり少なくとも1×10粒子あるいはそれ未満の定量下限で、試料量の処理溶液中の蛍光ウイルス粒子を計数することを含む、段落33~36のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
38.蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、試料量の評価溶液を分析技術に供して、評価溶液中の蛍光ウイルス粒子の供給濃度を分析的に定量化することを含む、段落1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
39.前記分析技術がフローサイトメトリー評価を含み、任意選択で、評価溶液から調製された一連の希釈試料をフローサイトメトリーに供することを含む、段落38に記載の方法。
【0072】
40.前記分析技術が、ナノ粒子追跡分析、画像化および顕微鏡法からなる群から選択されるメンバー、好ましくはナノ粒子追跡分析を含む、段落38に記載の方法。
41.段落1~40のいずれか1つに記載の方法であって、評価溶液を調製することを含み、評価溶液を調製することが:
生物学的医薬製品を含む供給量の予備供給溶液を、分析的に定量化された個数濃度で標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子を含む試薬量のウイルス標準溶液と組み合わせるステップを含む、方法。
【0073】
42.試薬量と供給量との比が1:10以下である、段落41に記載の方法。
43.試薬量と供給量との比が少なくとも1:10,000である、段落41または段落42のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
44.蛍光ウイルス粒子の除去の程度を決定することが、評価溶液を作製するために使用されるウイルス標準溶液の分析的に定量化された個数濃度から評価溶液中の蛍光ウイルス粒子の計算された供給濃度を決定することを含む、段落41~43のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
45.ウイルス標準溶液が密封容器中に提供され、前記方法が、合わせる前に、容器を開封し、容器から試薬量のウイルス標準溶液を取り出すことを含む、段落41~44のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
46.密封容器が、ウイルス粒子の正体および分析的に定量化された個数濃度を含むウイルス標準指標を含み、ウイルス標準指標が好ましくは外部から観察可能である、段落45に記載の方法。
【0077】
47.ウイルス標準製品であって:
標準液体媒体中に分散された分析的に定量化された個数濃度(number concentration)の蛍光ウイルス粒子を含むウイルス標準溶液であって、前記蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および前記ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、ウイルス標準溶液と;
前記ウイルス標準溶液を収容する容器、好ましくは密封容器であって、前記容器はウイルス標準指標を含み、前記ウイルス標準指標は前記ウイルス粒子の正体および前記分析的に定量化された個数濃度を含み、前記ウイルス標準指標は好ましくは外部から観察可能である、容器と、
を含む、ウイルス標準製品。
【0078】
48.ウイルス標準製品を作成するための方法であって:
生物学的汚染物質を含む収集溶液中にあるウイルス粒子が収集されるように、ウイルス粒子産生操作からウイルス粒子を収集するステップと;
前記収集後、前記ウイルス粒子を精製処理して、前記ウイルス粒子を含有する精製処理溶液を調製するステップと;
前記精製されたプロセス溶液中の前記ウイルス粒子を蛍光標識して、蛍光ウイルス粒子を含む標識されたプロセス溶液を調製するステップであって、前記蛍光標識が、蛍光色素を前記ウイルス粒子にコンジュゲートするステップを含む、調製するステップと;
蛍光標識後、標準液体媒体中に分散された蛍光ウイルス粒子のバッチを含むウイルス標準溶液のバッチを調製するステップと;
前記ウイルス標準溶液のバッチ中の前記蛍光ウイルス粒子の個数濃度を分析的に定量化するステップと;
容器、好ましくは密封された容器に、ある量の前記ウイルス標準溶液のバッチを配置するステップであって、前記容器は、その上に、前記ウイルス粒子の正体および前記分析的に定量化された個数濃度を含むウイルス標準指標を含み、好ましくは、前記ウイルス標準指標は、外部から観察可能である、配置するステップと、
を含む、方法。
【0079】
49.精製処理が、濾過、クロマトグラフィー、遠心分離(任意選択で超遠心分離)、膜分離(任意選択で透析)、沈殿(好ましくはウイルス粒子の沈殿を含む)およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーを含む、段落48に記載の方法。
【0080】
50.精製処理が、ウイルス粒子がアフィニティー媒体、好ましくはアフィニティー膜に付着するアフィニティー分離を含み、任意選択で、アフィニティー分離がアフィニティークロマトグラフィーを含む、段落48または段落49のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
51.蛍光標識後に、標識されたプロセス溶液の第2の精製処理を含み、ウイルス標準溶液のバッチが、標識されたプロセス溶液よりも高い純度レベルを有する、段落48~50のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
52.第2の精製処理が、濾過、クロマトグラフィー、遠心分離および膜分離からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、段落51に記載の方法。
53.第2の精製処理が、蛍光ウイルス粒子がアフィニティー媒体、好ましくはアフィニティー膜に付着するアフィニティー分離を含み、任意選択で、第2の精製処理がアフィニティークロマトグラフィーを含む、段落51または段落52に記載の方法。
【0083】
54.ウイルス標準溶液が、収集溶液中のウイルス粒子の濃度よりも少なくとも1桁大きい、好ましくは収集溶液中のウイルス粒子の濃度よりも少なくとも2桁大きい蛍光ウイルス粒子の濃度を含む、段落48~53のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
55.分析的に定量化することが、試料量のウイルス標準溶液のフローサイトメトリー評価を含み、任意選択で、フローサイトメトリー評価が、ウイルス標準溶液の試料から調製された希釈試料の希釈系列をフローサイトメトリーに供することを含み、希釈系列が、異なる希釈率(好ましくは、少なくとも3つの異なる希釈率)で調製された複数の希釈試料を含む、段落48~54のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
56.分析的に定量化することが、ナノ粒子追跡分析、画像化および顕微鏡法からなる群から選択される分析技術、好ましくはナノ粒子追跡分析を含む、段落48~54のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
57.蛍光標識が、蛍光色素を含む反応分子を、ウイルス粒子のウイルスタンパク質上の反応基と反応させることを含む、段落48~56のいずれか1つに記載の方法。
58.前記反応基が第一級アミンである、段落57に記載の方法。
【0087】
59.前記第一級アミンがウイルスタンパク質中のリジンアミノ酸残基上にある、段落58に記載の方法。
60.反応物分子がスクシンイミジルエステルを含む、段落57~59のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
61.反応物分子がN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、段落60に記載の方法。
62.反応物分子が、イソチオシアネート、およびイソシアネート、塩化スルホニル、アルデヒド、カルボジイミド、アシルアジド、無水物、フルオロベンゼン、カーボネート、イミドエステル、エポキシドおよびフルオロフェニルエステルからなる群から選択されるメンバーを含む、段落57~59のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
63.ウイルス標準指標が、容器内のある量のウイルス標準溶液の供給源のバッチの識別、分析的に定量化された個数濃度を決定するために使用される定量化技術、分析的に定量化された個数濃度を決定するために使用される分析機器(例えば、分析機器装置モデル)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、段落48~63のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
64.バッチから、それぞれが上記量を有するウイルス標準溶液の複数のアリコートを調製することと、上記アリコートのそれぞれを、それぞれが好ましくは密封容器である異なる前記容器に配置することとを含む、段落48~63のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
65.生物学的医薬製品調製プロセスに対するウイルスクリアランス評価のためのキットであって、前記キットは:
ウイルスクリアランス評価用の生物学的医薬製品を含む評価溶液を調製するために使用されるウイルス標準溶液を収容する容器、好ましくは密封容器を含むウイルス標準製品と、
前記評価溶液の精製処理中に前記蛍光ウイルス粒子の除去を試験し、ウイルスクリアランス評価のための処理溶液を調製するための少なくとも1つのウイルス除去デバイスと;
を含み、
ウイルス標準溶液は、標準液体媒体中に分散された分析的に定量化された個数濃度の蛍光ウイルス粒子を含み、前記蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子および前記ウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、キット。
【0092】
66.各々が異なるウイルス除去技術を含む複数の異なる前記ウイルス除去デバイスを含む、段落65に記載のキット。
67.容器が第1の容器であり、キットが、ウイルスクリアランス試験のための前記評価溶液の調製においてある量の生物学的医薬製品およびある量のウイルス標準製品と組み合わせるための主成分として使用するための水性試料調製液を含有する、好ましくは密封容器である第2の容器を含む、段落65または段落66のいずれか1つに記載のキット。
【0093】
68.水性試料調製液が水性緩衝溶液を含む、段落67に記載のキット。
69.ウイルス標準製品に対する水性試料調製液の体積比が少なくとも5:1、好ましくは少なくとも10:1であり、任意選択で、体積比が1000:1以下である、段落67または段落68のいずれか1つに記載のキット。
【0094】
70.前記評価溶液、前記処理溶液およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるウイルスクリアランス評価の液体溶液中の蛍光ウイルス粒子の個数濃度を定量化するためのフローサイトメーターを含む、段落65~69のいずれか1つに記載のキット。
【0095】
71.前記ウイルス除去デバイスのそれぞれが、フィルター、クロマトグラフィーセパレーターおよび膜セパレーターからなる群から選択される、段落65~70のいずれか1つに記載のキット。
【0096】
72.容器が、ウイルス粒子の正体および分析的に定量化された個数濃度を含むウイルス標準指標を含み、ウイルス標準指標が好ましくは外部から観察可能である、段落65~71のいずれか1つに記載のキット。
【0097】
73.ウイルス標準指標が、容器に含まれるウイルス標準物質溶液のバッチを識別するバッチ識別子を含む、段落46、47、48~64および72のいずれか1つに記載のキット。
【0098】
74.分析的に定量化された濃度が、少なくとも1×10粒子/ミリリットル、好ましくは少なくとも1×10、より好ましくは少なくとも1×10粒子/ミリリットル、さらにより好ましくは少なくとも1×1010粒子/ミリリットルである、段落41~73のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0099】
75.分析的に定量化された濃度が、1ミリリットル当たり最大1×1013の粒子である、段落41~74のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
76.ウイルス標準溶液が、生物学的タンパク質性汚染物質1ミリリットル当たり5%以下の総タンパク質濃度を含む、段落41~75のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0100】
77.ウイルス標準溶液が、胎児ウシ血清、ウシ血清アルブミン、グリセロール、リン酸緩衝液、他の非リン酸緩衝液、スクロース、ラクトース、サイクロデキストリン、マンニトール、トレハロース、第三級アミンβサイクロデキストリン(TMBCD)、ポロキサマー(例えば、Kolliphor(登録商標)、Lutrol(登録商標)またはPluronic(登録商標)製品であり、1つの好ましいポロキサマーは、Kolliphor(登録商標)P 188またはLutrol(登録商標)F 68などのポロキサマー188である)、DMSO、EDTA、MgClおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む、段落41~76のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0101】
78.ウイルス標準溶液が、未結合の蛍光色素を実質的に含まず、好ましくはウイルス標準溶液中の未結合蛍光色素の濃度が1ミリリットル当たり1.0マイクログラム以下、より好ましくは1ミリリットル当たり0.1マイクログラム以下、さらにより好ましくは1ミリリットル当たり0.01マイクログラム以下である段落41~77のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0102】
79.ウイルス粒子が、ウイルスカプシド、ウイルスエンベロープおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるウイルスアセンブリを含む、段落1~78のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0103】
80.ウイルス粒子が非感染性かつ非複製性である、段落1~79のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
81.ウイルス粒子がウイルス様粒子である、段落1~80のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0104】
82.ウイルス粒子がビリオンである、段落1~81のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
83.ウイルス粒子がウイルスエピトープを含む、段落1~82のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0105】
84.ウイルスエピトープが、パルボウイルス科、アデノウイルス科、レトロウイルス科、レオウイルス科およびヘルペスウイルス科からなる群から選択されるウイルスファミリーのものである、段落83に記載の方法、製品またはキット。
【0106】
85.蛍光ウイルス粒子が、300ナノメートル以下、多くの場合200ナノメートル以下、また多くの場合100ナノメートル以下の最大断面寸法を有するサイズからなる、段落1~84のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0107】
86.蛍光ウイルス粒子が、少なくとも20ナノメートル、多くの場合少なくとも25ナノメートル、また多くの場合少なくとも30ナノメートルの最大断面寸法を有するサイズからなる、段落1~85のいずれか1つに記載の方法、製品またはキット。
【0108】
87.蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子の元の最大断面寸法より4ナノメートル以下大きい、好ましくは3ナノメートル以下大きい、またはさらに2ナノメートル以下大きい最大断面寸法を有するサイズからなり;多くの場合、蛍光粒子の最大断面寸法が、ウイルス粒子の元の最大断面寸法より少なくとも1ナノメートル大きい、段落1~86のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
88.蛍光ウイルス粒子が、ウイルス粒子に付着した蛍光抗体染色剤の非存在下にある、段落1~87のいずれか1つに記載の方法。
89.蛍光ウイルス粒子が、アミド結合、アミジン結合およびそれらの組合せからなる群から選択される結合を介してウイルス粒子にコンジュゲートされた蛍光色素を含む、段落1~88のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
90.蛍光色素が、ウイルス粒子のウイルスタンパク質にコンジュゲートされている、段落1~89のいずれか1つに記載の方法。
91.蛍光色素が、ウイルスタンパク質の反応した第一級アミンの残留窒素を含む部分中にあり、同部分が、2,500ダルトン以下、多くの場合2000ダルトン以下、また多くの場合1800ダルトン以下の分子量を有し、多くの場合、同部分が、少なくとも225ダルトンの分子量を有する、段落90に記載の方法。
【0111】
92.ウイルスタンパク質がウイルスカプシドタンパク質を含む、段落90または段落91のいずれか1つに記載の方法。
93.ウイルスタンパク質がウイルスエンベロープタンパク質を含む、段落90または段落91のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
94.第一級アミンがリジンアミノ酸残基上の第一級アミンを含む、段落91~93のいずれか1つに記載の方法。
「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語、ならびにそれらの用語の文法上の変形は、そのような用語の使用が、述べられた条件または特徴の存在を示すが、任意の他の条件または特徴の存在も排除しないという点で、包含的および非限定的であることが意図される。用語「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」および「有する(having)」ならびにこれらの用語の文法上の変形の使用は、1つまたは複数の構成要素、下位構成要素または材料の存在に言及する際に、用語「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」または「有する(having)」(またはそのような用語の変形)が、場合によっては、より狭い用語「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」または「のみからなる(consisting of only)」(またはそのようなより狭い用語の任意の適切な文法上の変形)のいずれかによって置き換えられる、より具体的な実施形態も含むことおよび開示することが意図される。例えば、何かが述べられた要素(単数または複数)を「含む」という記述はまた、述べられた要素(単数または複数)「から本質的になる」もの、および述べられた要素(単数または複数)「からなる」もののより具体的なより狭い実施形態を含むことおよび開示することが意図される。様々な特徴の例が例示の目的で提供されており、「例」、「例えば」などの用語は、限定するものではなく、1つまたは複数の特徴を任意の特定の例に限定するものとして解釈または解釈されるべきではない例示的な例を示す。数が後に続く用語「少なくとも」(例えば、「少なくとも1つ」)は、その数またはその数よりも多い数を意味する。「少なくとも一部(at least a portion)」という用語は、全部または全部よりも少ない部分を意味する。「少なくとも一部(at least a part)」という用語は、全部または全部よりも少ない部分を意味する。「少なくとも大部分(at least a majority)」という用語は、全部または全部よりも少ない大部分を意味する。
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【国際調査報告】