(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】屈折率勾配自由形態頭部搭載型ディスプレイおよびヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231205BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20231205BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231205BHJP
G02C 11/00 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
B60K35/00 A
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530618
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021057098
(87)【国際公開番号】W WO2022108725
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523185028
【氏名又は名称】キーオプティック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボイド, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA12
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA59
2H199CA67
2H199CA84
2H199DA12
2H199DA17
2H199DA25
2H199DA30
2H199DA35
2H199DA44
3D344AA11
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
光学投影アセンブリは、第1の画像をユーザのアイボックスに向かわせ、第1の画像は、第2の源からの光と組み合わせられる。中継光学系は、第1の画像を受信するように配置された非回転対称屈折率勾配(GRIN)構成要素を有する。傾斜させられた部分的反射結合器は、第2の源からの光を受け取り透過するための傾斜させられた第1の表面と、中継光学系から第1の画像を受信および投影し、第2の源から受け取られる光をアイボックスに透過するための反対側の第2の表面とを有する。GRIN構成要素は、結合器によって導入される第1の画像の知覚収差を低減させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の源(360)からの第1の画像をユーザのアイボックス(150)に向かわせ、第2の源(170)からの光と組み合わせるための光学投影アセンブリ(300、900)であって、前記光学投影アセンブリは、
前記第1の画像を受信するように配置された複数の屈折率勾配(GRIN)構成要素(322、324)を備えている中継光学系(320、920)と、
正の屈折力を伴う傾斜させられた部分的反射結合器(340)と
を備え、
前記部分的反射結合器は、
前記第2の源(170)から受け取られる光に対して傾斜または偏心させられた方式で配置され、前記第2の源(170)から受け取られる前記光を前記アイボックス(150)に透過するための第1の表面(13)と、
前記第1の表面(12)と反対側の第2の表面(12)とを備え、
前記第2の表面は、前記中継光学系からの前記第1の画像を受信および投影し、前記第2の源から受け取られる前記光を透過するように配置され、
前記GRIN構成要素は、前記結合器によって導入される前記第1の画像の知覚収差を低減させるように構成されている、光学投影アセンブリ(300、900)。
【請求項2】
前記複数の屈折GRIN構成要素は、2つの屈折率勾配構成要素(322、424)から成る、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の屈折GRIN構成要素のうちの少なくとも1つは、GRINプレートによって裏打ちされたガラスレンズをさらに備えているダブレットを備えている、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のGRIN構成要素の各々は、屈折率の非回転対称分布を有するか、または、
複数のGRIN構成要素の各々は、
前記中継光学系の光軸に対して傾斜させられた、および/または、
前記中継光学系の光軸に対して偏心させられた
回転対称屈折率分布を有する、
請求項1-3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記中継光学系からの前記第1の画像を前記結合器に反射するように構成されたミラー(330)をさらに備え、
前記光学投影アセンブリは、頭部搭載型ディスプレイHMD(300)内に収容するために配置されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記光学投影アセンブリは、ヘッドアップディスプレイHUD(900)内に収容するために配置されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記複数のGRIN構成要素の各々は、前記結合器によって導入される色収差を補償する値を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記GRIN構成要素は、色補正されたイメージを提供する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のGRIN構成要素の各々の外側表面は、共通の対称光軸を共有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の源は、前記中継光学系の焦点平面に配置された電子ディスプレイを備えている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の源から受け取られる光は、外界からの光を備えている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
受け取られた外部光をユーザの電子ディスプレイから投影された画像とアイボックスにおいて組み合わせるように構成された光学投影アセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
複数の屈折率勾配(GRIN)構成要素を備えている中継光学系を提供するステップと、
前記中継光学系の焦点平面において前記電子ディスプレイを配置するステップと、
前記中継光学系からの前記画像を受信および反射するためのミラーを配置するステップと、
正の屈折力を伴う部分的反射結合器を配置するステップと
を含み、
前記部分的反射結合器は、前記外部光を前記アイボックスに透過するための前記外部光に対して傾斜または偏心させられた方式の第1の表面と、前記第1の表面と反対側の第2の表面とを備え、前記第2の表面は、前記ミラーを用いて前記中継光学系から受信される前記画像を受信および投影するように配置されている、方法。
【請求項13】
前記結合器の前記配置に従って、前記結合器によって導入される前記画像の知覚収差を低減させるように前記GRIN構成要素を構成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のGRIN構成要素は、2つの屈折率勾配構成要素から成る、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の屈折GRIN構成要素のうちの少なくとも1つは、GRINプレートによって裏打ちされたガラスレンズをさらに備えているダブレットを備えている、請求項12または14に記載の方法。
【請求項16】
第1の源(660)からの第1の画像をユーザのアイボックス(150)に向かわせ、第2の源(170)からの光と組み合わせるための光学投影アセンブリ(600)であって、前記光学投影アセンブリは、
前記第1の画像を受信するように配置された屈折率勾配(GRIN)構成要素(620)を備えている中継光学系と、
正の屈折率を伴う傾斜させられた部分的反射結合器(622)と
を備え、
前記部分的反射結合器は、
前記第2の源(170)から受け取られる光に対して傾斜させられた方式で配置され、前記第2の源から受け取られる光を前記アイボックス(150)に透過する第1の表面(13)と、
前記第1の表面と反対側の第2の表面(12)と
を備え、
前記第2の表面は、前記中継光学系からの前記第1の画像を受信および投影し、前記第2の源から受け取られる前記光を透過するように配置され、
前記GRIN構成要素は、前記結合器によって導入される前記第1の画像の知覚収差を低減させるように構成されている、光学投影アセンブリ(600)。
【請求項17】
前記屈折GRIN構成要素は、GRINプレートによって裏打ちされたガラスレンズをさらに備えているダブレットを備えている、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記GRIN構成要素は、屈折率の非回転対称分布を有するか、または、
前記GRIN構成要素は、前記中継光学系の光軸に対して傾斜させられた、および/または、前記中継光学系の光軸に対して偏心させられた回転対称屈折率分布を有する、
請求項16および17のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記中継光学系からの前記第1の画像を前記結合器に反射するように構成されたミラー(623)をさらに備え、
前記光学投影アセンブリは、頭部搭載型ディスプレイHMD内に収容するために配置されている、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記光学投影アセンブリは、ヘッドアップディスプレイHUD内に収容するために配置されている、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記GRIN構成要素は、前記ミラーおよび/または前記結合器によって導入される前記色収差を補償する値を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記GRIN構成要素は、色補正されたイメージを提供するように構成されている、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記第1の源は、前記中継光学系の焦点平面に配置された電子ディスプレイを備えている、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記第2の源から受け取られる前記光は、外界からの光を備えている、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項25】
受け取られた外部光をユーザの電子ディスプレイから投影された画像とアイボックスにおいて組み合わせるように構成された光学投影アセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
屈折率勾配(GRIN)構成要素を備えている中継光学系を提供するステップと、
前記中継光学系の焦点平面において前記電子ディスプレイを配置するステップと、
前記中継光学系からの前記画像を受信および反射するためのミラーを配置するステップと、
正の屈折率伴う部分的反射結合器を配置するステップと
を含み、
前記部分的反射結合器は、前記外部光を前記アイボックスに透過するための前記外部光に対して傾斜させられた方式の第1の表面と、前記第1の表面と反対側の第2の表面とを備え、前記第2の表面は、前記ミラーを用いて、前記中継光学系から受信される前記画像を受信および投影するように配置されている、方法。
【請求項26】
前記結合器の前記配置に従って、前記結合器によって導入される前記画像の知覚収差を低減させるように前記GRIN構成要素を構成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記屈折GRIN構成要素は、GRINプレートによって裏打ちされたガラスレンズをさらに備えているダブレットを備えている、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる2020年11月20日に出願され、「Gradient-Index Freeform HeadMounted Display and Head-Up Display」と題された米国仮特許出願第63/116,264号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、光学デバイスに関し、より具体的に、頭部搭載型ディスプレイ(HMD)またはヘッドアップディスプレイ(HUD)に関する。
【背景技術】
【0003】
図1に示されるように、頭部搭載型ディスプレイ(HMD)100は、中継光学系120からのシンボロジの画像を眉上ミラー130に投影する。眉上ミラーは、結合器140の上へ、投影されたシンボロジ画像を反射する。結合器140は、外界170からのイメージをシンボロジ画像と融合し、したがって、組み合わせられた画像は、アイボックス150として公知である体積内から視認され得、片眼または両眼のいずれかは、位置または設計用途に依存する。ヘッドアップディスプレイ(HUD、図示せず)は、同様の光学設計原理を利用するが、HMD100とは異なる構成を使用する。
【0004】
一般に、空間エンベロープ制約は、結合器140が、概して、光学材料の傾斜させられた一片の形態をとり、透過において無視できるほどの屈折力を伴うが、反射において正の光学集束力を伴うことを意味する。結合器140の傾斜させられた表面への屈折力の適用は、本質的に、HUD/HMDの中継光学系120によって補正されなければならない収差を作成する。特に、結合器140の傾斜させられた球状表面は、かなりの量の収差を生成するが、製造のために経済的であるので、幅広い使用が認められている。
【0005】
図2は、軸外HMD/HUDデバイス200を示す。結合器240の表面によって生成される収差の除去は、多くの場合、傾斜および偏心レンズ構成要素の複雑な配置を要求し、非球面体、円筒体、円環体、または自由形態等の複雑な光学表面を利用する。これらの光学表面は、有名なこととして、球面体からの大きなずれが要求されるとき、特に、製造することが困難である。
図2は、2つの非球状表面と、1つの円環状表面とを含む6つの傾斜および偏心レンズ要素を伴う従来のHMD光学系220を示す。このアプローチは、製品の光学製作および組立に質量および複雑性を追加する。さらに、中継光学系220内の光学アセンブリのレンズは、色収差も補正しなければならず、それは、1つ以上のセメント固定されたダブレット構成要素または回折-屈折ハイブリッド型表面の導入によって達成される。色収差を補正するための要件は、システムが、単色緑色ではなく、フルカラーRGBディスプレイを有するとき、さらに度合いを増し得る。したがって、業界において、上で述べられた欠陥のうちの1つ以上に対処するための必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、屈折率勾配自由形態頭部搭載型ディスプレイおよびヘッドアップディスプレイを提供する。簡潔に説明すると、本発明は、第2の源からの光と組み合わせられる、第1の画像をユーザのアイボックスに向かわせる光学投影アセンブリを対象とする。中継光学系は、第1の画像を受信するように配置された屈折率勾配(GRIN)構成要素を有する。傾斜させられた部分的反射結合器は、第2の源からの光を受け取りおよび透過するための傾斜させられた第1の表面と、中継光学系からの第1の画像を受信および投影し、第2の源から受け取られた光をアイボックスに透過するための反対側の第2の表面とを有する。GRIN構成要素は、結合器によって導入される第1の画像の知覚収差を低減させるように構成される。
【0007】
本発明の他のシステム、方法、および特徴は、以下の図面および詳細な説明を調査することに応じて、当業者に明白であるか、または明白になるであろう。そのような追加のシステム、方法、および特徴の全ては、本説明内に含まれ、本発明の範囲内であり、付随の請求項によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
付随の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を明確に図示することに、重点が置かれる。図面は、本発明の実施形態を図示し、その説明とともに、本発明の原理を解説する役割を果たす。
【0009】
【
図1】
図1は、基本的な頭部搭載型ディスプレイ(HMD)システムを示す概略図である。
【0010】
【
図2】
図2は、
図1の頭部搭載型ディスプレイシステムの実装の概略図であり、非球状、円環状、傾斜および偏心させられたレンズ構成要素を使用する。
【0011】
【
図3A】
図3Aは、GRIN HMDシステムの第1の例示的実施形態の概略図である。
【0012】
【
図3B】
図3Bは、
図3AのGRIN HMDシステムの第1の例示的実施形態の概略図であり、光軸を示す。
【0013】
【
図4】
図4は、従来の非球状レンズにセメント固定された自由形態GRINプレートを伴うGRIN HMDシステムの第2の例示的実施形態の概略図である。
【0014】
【
図5】
図5は、受け取られた外部光をユーザの電子ディスプレイから投影された画像とアイボックスにおいて組み合わせるように構成された光学投影アセンブリを製造する方法の例示的実施形態のフローチャートである。
【0015】
【
図6】
図6は、
図4の第2の実施形態の下の第1のGRINレンズに関する材料性質の一覧である。
【0016】
【
図7】
図7は、
図4の第2の実施形態の下の第2のGRINレンズに関する材料性質の一覧である。
【0017】
【
図8】
図8は、GRIN HMDシステムの単一要素自由形態GRIN光学系の第3の例示的実施形態の概略図である。
【0018】
【
図9】
図9は、GRIN HUDシステムの第4の例示的実施形態の概略図である。
【0019】
【
図10】
図10は、
図9のGRIN HUDシステムの第4の例示的実施形態の概略図であり、光学要素の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の定義は、本明細書に開示される実施形態の特徴に適用される用語を解釈するために有用であり、本開示内の要素を定義することのみが、意味される。
【0021】
本開示内で使用されるように、「自由形態GRIN」は、回転対称軸を欠く光学構成要素内の可変屈折率の分布を指す。
【0022】
本開示内で使用されるように、「円環GRIN」は、2つの垂直経線内で独立して変動する光学構成要素内の可変屈折率の分布を指し、以下のGRIN形態分布に適合する:
【数1】
光軸に対して傾斜させられ、回転させられ、または偏心させられ得るレンズを通した定義された軸について。
【0023】
本開示内で使用されるように、「円筒GRIN」は、1つの単一経線内で独立して変動する光学構成要素内の可変屈折率の分布を指し、以下のGRIN形態分布に適合する:
【数2】
光軸に対して傾斜させられ、回転させられ、または偏心させられ得るレンズを通した定義された軸について。
【0024】
本開示内で使用されるように、「中継レンズ」は、対の実画像を生成する、光学デバイスを指し、多くの場合、中間画像を画像平面の上へ投影するために、または該中間画像を反転させるために使用される。
【0025】
本開示内で使用されるように、「ヘッドアップディスプレイ」(HUD)は、ユーザが、その通常の視点から離れて見ることを要求することなく、データを提示する、透明なディスプレイを指す。
【0026】
本開示内で使用されるように、「頭部搭載型ディスプレイ」は、片眼(単眼HMD)または各眼(双眼HMD)の正面に小さなディスプレイ光学系を有するユーザの頭部上に、またはユーザのヘルメットの一部として装着されるディスプレイデバイスを指す。
【0027】
本開示内で使用されるように、屈折率勾配(GRIN)光学系は、材料の屈折率の勾配によって生産される光学効果を取り扱う光学系の分野を指す。そのような勾配変動は、平坦な表面を伴うレンズ、または従来的な球状レンズに典型的な収差を有しないレンズを生産するために使用され得る。GRINシステムに関するいくつかの製作方法が存在し、それは、Vadient Optics(Portland,Oregon)によって開発された体積屈折率勾配光学系(VIRGO)印刷技法(ナノ粒子ドープインクのインクジェット印刷が、屈折率勾配媒体を堆積するために使用される)を含む。このプロセスは、理論的に、プリンタ解像度およびベース材料屈折率によって課される境界内の任意の分布率を可能にし、多くの材料が高度にスケーラブルなプロセスにおいて堆積されることを可能にする。付加製造GRINの別の参照は、Lawrence Livermore National Labsによって開発された「ゾルゲルベースの直接インク書き込み(DIW)アプローチ」と称され、www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abc7429に見出され得る。そのようなGRIN光学系の製造は、それらの各々が参照することによって全体として本明細書に組み込まれるいくつかの特許、例えば、第US9,903、984B1号(「Achromatic Optical-Dispersion Corrected Refractive-Gradient Index Optical-Element for Imaging Applications」)、第US9,555,623B1号(「Refractive Gradient Inkjet Printing」)、第US9,447,299B2号(「Inks for 3D Printing Gradient Refractive Index(GRIN)Optical Components」)、および3.4第US9,623,609B2号(「Method of manufacturing multi-component functional article」)において説明される。
【0028】
本開示内で使用されるように、「座標ブレーク」は、1つの座標系が別の座標系に変換されるレンズシステム内の定義された点を指す。
【0029】
本開示内で使用されるように、「偏心」は、1つの座標系の別の座標系に対する側方シフトを指す。
【0030】
本開示内で使用されるように、「傾斜」は、1つの座標系の別の座標系に対する角度シフトを指す。
【0031】
本開示内で使用されるように、「傾斜/偏心および曲がり」は、座標ブレークに続いて、傾斜/偏心させられ、その後、第2の座標ブレークが、表面柱に位置するミラーからの反射光線と合致するように光軸を曲げる表面を指す。
【0032】
本開示内で使用されるように、「傾斜/偏心および復帰」は、座標系に対して、傾斜または偏心させられ、その後、第2の座標ブレークが、光軸をその表面の前のものに復帰させる表面を指す。
【0033】
ここで本発明の実施形態の参照が、詳細に行われ、その例が、付随の図面において図示される。可能である場合は常に、同じ参照番号が、同じまたは同様の部品を指すために、図面および説明内で使用される。
【0034】
本発明の実施形態は、ディスプレイ投影システム、例えば、操作者から外界を不明瞭にしない頭部搭載型ディスプレイまたはヘッドアップディスプレイを含む。
図3Aによって示されるGRIN HUDの
第1の実施形態は、結合器340として公知である湾曲プレートを含み、結合器340は、眉上ミラー330、屈折中継光学系320、およびディスプレイ360からの光を反射する部分的反射コーティングを含む一方、ヘルメットのバイザとほぼ同様に、外界170からの光を焦点体積150(ここでは、ユーザのアイボックス150)に透過し、最小の光学収差を導入する。
【0035】
結合器340から反射される光は、コマ収差および非点収差を伴って、実質的に収差を有する状態になる。結合器340に当たるディスプレイ360からの光は、したがって、反対符号かつ同等の大きさの収差を用いて屈折中継光学系320によって「予め収差を有する状態」にされる。その結果は、光が、アイボックス150に到達するとき、正味ゼロ収差に近い。
【0036】
結合器340は、光学集束力を加える(それを伴わない場合、アイボックス150に収束する光線の束は、実現不可能なほど大きく分離されるであろう)。代わりに、結合器340は、結合器340と眉上ミラー330との間に形成される、(一点破線ボックスによって示される)中間画像380からのこれらの光線束をコリメートする。
【0037】
屈折中継光学系320の目的は、したがって、結合器340と眉上ミラー330との間の中間画像380に光を集束させることであり、中間画像380は、結合器340の収差と反対に作用するために要求される逆レベルの収差を作成する。これは、屈折中継光学系320の322、324のGRINレンズの分布率に非対称項を導入することによって達成される。
【0038】
本実施形態のもと、GRINヘッドアップディスプレイ(HUD)300または頭部搭載型ディスプレイ(HMD)900(
図9)は、外界170からのイメージ、およびディスプレイ360上に生成されるシンボロジを融合する結合器340を用いて、ユーザに画像を投影する。本実施形態は、結合器340の傾斜させられた表面によって誘発される収差を排除するために、恣意的分布のいくつかのGRIN構成要素322、324を使用する。特に、GRIN構成要素322、324は、屈折中継光学系320の光軸325(
図3B)に対して非回転対称である分布率を含む。この自由形態GRINは、結合器340によって誘発される光学収差を除去する。
【0039】
背景の節内で説明される既存の軸外HMD/HUDデバイス200(
図2)と比較すると、本実施形態のもと、自由形態、円環状、および円筒状表面が、置換され、取って代わられる。本実施形態のGRINレンズ322、324は、非対称収差の補正のための非対称自由度を生成することによって、中継光学系220(
図2)頭部搭載型ディスプレイと比較して、屈折中継光学系320内のレンズの数を低減させる。
【0040】
本実施形態は、自由形態GRINを採用することによって、既存の軸外HMD/HUDデバイス200(
図2)によって使用されるセメント固定されたダブレットおよび回折構成要素を置換し、同様に、傾斜および偏心レンズ構成要素を置換する。本実施形態は、質量および複雑性の低減という利点を伴って、軸外HUDおよびHMDにおける収差補正の問題に自由形態GRIN媒体を適用する。例えば、第1の実施形態300のもと、屈折中継光学系320内の構成要素の数は、6つ(
図2参照)から2つ(322、324)に低減される。傾斜および偏心構成要素に対する必要性が、排除され、それは、機械的筐体(図示せず)の製造を大幅に簡略化する。第1の実施形態は、より容易に機械加工される、レンズ筐体のために、共通機械軸を使用する。いくつかの実施形態では、レンズの光学表面はまた、共通軸を中心として存在し得る。実施形態は、既存の軸外HMD/HUDデバイス200(
図2)によって使用される円筒状、円環状、または自由形態表面に対する必要性を無効にする。
【0041】
HMDデバイスの第1の例示的実施形態300は、GRIN光学系を使用することによって、傾斜させられた結合器340によって誘発される単色収差の補正に加え、色収差を補正する。例のみの目的のために、第1の実施形態300は、固定バイザ頭部搭載型ディスプレイであり、代替実施形態は、例えば、航空電子工学的光学設計問題に適用され得る広範囲の構造体および空間エンベロープを伴う異なる用途を対象とし得る。第1の実施形態は、しかしながら、多くの航空電子工学的システムに共通する問題、すなわち、傾斜させられ、屈折力を与えられた結合器によって誘発される収差の除去に対処することを対象とする。
【0042】
図3Aによって示されるように、(実線および破線によって示される)光線束は、(高度に収差を有した状態であるが)近似焦点に到達し、構成要素は、いかなる隣接する光線束も妨げない。簡単のために、第1の実施形態は、平面対称に保たれている。代替実施形態では、人間の頭部により適合される、空間エンベロープが、結合器340および眉上ミラー330の複合角度の使用を伴って取得され得る。
【0043】
第1の実施形態のもとのGRIN構成要素に関して、共通光軸が、屈折中継光学系320を通して保たれる。共通軸を保つことは、レンズ筐体の機械設計、機械加工、および検査を著しく簡略化する。GRIN自由形態の自由度は、レンズの傾斜および偏心によって生成される収差を補正する。
【0044】
第1の実施形態のもと、結合器340の曲率は、50mmの曲率半径で固定される。眉上ミラー330の幾何学形状は、設計における有用な自由度であると考えられた。例えば、眉上ミラー330は、ダイヤモンドターニング反射表面であり得、非球状項および曲率半径が、収差補正を強化するために使用された。
【0045】
GRINレンズは、最大3つの均質なベース材料の混合体から成る(下記参照)。これらの均質なベース材料は、空間的に変動する合金内に組み合わせられるとき、不均質なGRINレンズを形成する。屈折率は、線形屈折率混合に関する材料空間式から計算され得る。
【数3】
式中、N
A、N
B、N
Cは、それぞれ、ベース材料A、B、およびCの屈折率であり、m
A、m
B、およびm
Cは、正規化されたときの材料A、B、およびCの体積相対組成を表す。相対組成係数は、光軸に垂直なXおよびY座標の関数であった(下記、式6参照)。
【0046】
具体的な用途のためのGRIN材料の選択は、光学モデル化ソフトウェア、例えば、本場合、他の可能性の中でもとりわけ、CodeVを使用して補助され、CodeVは、ネイティブCodeV GRIN係数を使用して、GRIN設計の最適化を可能にする。非対称GRIN分布のモデル化は、ユーザ修正ルーチンを要求し、ユーザ修正ルーチンは、光学設計ソフトウェア内の「マクロ」コードとして、または、GRIN屈折率およびその派生物を返す外部レイトレーシング.dllとして実装される。.dllファイルの使用は、追加の計算速度を提供し、HUD/HMDの効率的な設計を可能にするが、それは、回転対称レンズ設計より大きな計算上の問題である。非回転対称設計は、レンズ瞳上での収差の潜在的に急速な変動に起因して、画像の収差の非対称性のみならず、各個々の場にわたる複数の光線を考慮するために、XおよびY場の両方における正および負の画角にわたる場サンプリングを伴うべきである。さらに、非回転対称設計の収差を補正することは、回転対称解決策より多くの最適化自由度を伴う。自由度の数の拡大は、多くの導関数がレンズ最適化中に計算されなければならず、それは、計算負荷を再度増加させることを意味する。
【0047】
有意な厚さを伴う部品を印刷することは、製作するために困難かつ高価であり得る。したがって、
図4によって示されるように、第2の実施形態400は、屈折中継光学系420ハイブリッド型GRIN/表面駆動設計変型を採用し、それは、非回転対称「自由形態」の自由度を提供するために、大抵の場合、GRINを利用するが、従来のガラスレンズ要素に集束力の生成を残す。ここでは、GRIN構成要素が、より困難な自由形態寄与要件のために活用される(GRINは、潜在的に、自由形態表面よりかなり低い費用で達成し得る)。屈折中継光学系420の光学構造は、2つのセメント固定されたダブレット422、424を含み、各ダブレットは、GRINプレート422a、424aによって裏打ちされたガラスレンズ422b、424bを含む。
【0048】
図4に示されるように、第2の実施形態のもと、システム400は、3つの光学アセンブリ420、330、340と、1つの光電子構成要素360とから成る。光学構成要素は、部分的反射結合器340と、眉上ミラー330と、2つのハイブリッド型GRINレンズ422、424を有する屈折中継光学系420とを含む。光電子構成要素は、発光表示パネル360、例えば、市販の発光表示パネルである。第2の実施形態は、800×600の解像度の15μmピクセルピッチのディスプレイのために設計されたが、システム400の有用な視野を占有することを前提として、ある範囲のディスプレイタイプが、使用され得る。
【0049】
ハイブリッド型GRINレンズ422、424の分布分散は、HMDの光学波長帯の範囲に及ぶ3つの順次的な波長:短、中、長において、ΔNによって決定される。分布分散は、以下によって与えられる。
【数4】
式中、ΔNは、基準波長依存屈折率基準点における屈折率における変化を示し、波長は、
【数4-1】
である。
【0050】
屈折中継光学系420のハイブリッド型GRINレンズ422、424は、相対組成のモデルを用いて説明され得、Boyd[Proc SPIE Vol 10998,2019]を参照されたい。屈折中継光学系420が補正プレート(例えば、コリメートされた光で動作し、無視できるほどの集束力を有する)とは異なることに留意されたい。各GRINレンズ422a、424aの屈折率は、式によって説明されるように、3つのベース材料A、B、およびCの相対量によって決定される。
【数5】
式中、xおよびyは、GRIN構成要素422a、424aの局所的光軸に対して垂直であるデカルト座標であり、相対組成係数m
nは、レンズの有効開口の全ての点において、ゼロより大きい。n番目の材料の相対組成係数は、xおよびyの関数であり、以下の式によって定義される。
【数6】
式中、ρ
2=x
2+y
2であり、光軸からの垂直距離の2乗を表す。
【0051】
材料内の任意の点における体積相対組成は、材料A、B、およびCに関して、以下の通り説明される:
【数7】
【0052】
入射瞳におけるシステムの視野は、半角20°の円形場によって画定され、15°のy平面絶対視野によって切り取られる。システムの波長帯は、可視スペクトルの範囲に及ぶ。本実施形態では、システムは、フラウンホーファC、D3、およびF線によって定義されるように、スペクトルの赤色、黄色、および青色領域内の3つの波長に関して画定される。
【0053】
システムは、システムの焦点平面に設置される、ディスプレイ360によって照明され、前述のスペクトル波長帯内に存在し得る光を放出する。ディスプレイ360は、OLED(有機発光ダイオード)または類似する技術に基づく発光型マイクロディスプレイであり得る。
【0054】
いくつかの表面は、非球状形態であり、それによって、矢状表面は、以下の通り、偶数の多項式の項に追加される曲率半径Rの円錐形頂部によって、局所的光軸において定義される。
【数8】
式中、cは、
【数8-1】
として定義される表面曲率であり、kは、円錐定数であり、A
nは、n番目の非球状係数である。
【0055】
非限定的な例のみを提供する目的のために、第2の実施形態400(
図4)の例示的構造体が、表1-4および
図6-7にリストアップされる表面によって境を限られる一連の光学材料によって定義される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0056】
図5は、受け取られた外部光を電子ディスプレイから投影された画像とユーザのアイボックスにおいて組み合わせるように構成された光学投影アセンブリを製造する方法の例示的実施形態のフローチャートである。
フローチャート内の任意のプロセス説明またはブロックが、本発明の当業者によって合理的に理解されるであろうように、プロセスにおける具体的な論理機能を実装するための1つ以上の命令を含むモジュール、セグメント、コードの一部、またはステップを表すものとして理解されるべきであり、代替実装(機能性が関与される機能性に応じて、示される、または議論されるものから順不同(実質的に並行して、または逆の順序においてを含む)で実行され得る)が、本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。方法は、
図4を参照して説明される。
【0057】
ブロック810によって示されるように、屈折率勾配(GRIN)構成要素422、424を伴う屈折中継光学系420が、提供される。電子ディスプレイ360は、ブロック820によって示されるように、屈折中継光学系420の焦点平面において、画像を提供する。ミラー330は、ブロック830によって示されるように、屈折中継光学系420からの画像を受信および反射するように配置される。ブロック840によって示されるように、正の屈折力を伴う部分的反射結合器340は、外部光170をユーザのアイボックス350に透過するために、外部光170に対して傾斜させられた方式の第1の表面と、ミラー330を用いて、受信し、屈折中継光学系420から受信された画像をアイボックス350に投影するように配置された第1の表面と反対側の第2の表面とを備えている。中継レンズGRIN構成要素422、424は、結合器340によって導入される収差に対処するように構成される。代替実施形態では、ブロック830のミラーは、例えば、HUD実施形態では省略され得ることに留意されたい。
【0058】
上で提示される実施形態は、複数のGRINレンズを開示する。
図8は、単一のGRIN要素620と、1つの光電子部品660とを伴う例示的第3の実施形態600を示す。光学構成要素は、部分的反射結合器622と、眉上ミラー623と、単一のGRIN要素620を伴う屈折中継光学系とを含む。
【0059】
第3の実施形態600は、軸方向および半径方向の両方において、完全な自由形態GRIN620を含み、第1および第2の実施形態とは別個の組成材料の組を伴う。第3の実施形態は、ナノ粒子を用いてドープされた印刷可能なインクに基づいており、利用可能な屈折率データを使用する。第3の実施形態600は、2つのインク「終点」に基づき、GRINは、これら2つの材料間の相対組成としての機能を果たす。第1の材料は、屈折率を低減させるために、中空シリカナノ球面体を用いてドープされた光学グレードポリエステル、OKP4HTである。第2の材料は、酸化ジルコニウムナノ粒子を用いてドープされたOKP4から成る。これらの材料の全ては、市販のものである。ポリエステル(またはポリスチレン等の類似する材料)は、モノマーとして印刷され、UV硬化させられることができる。
【0060】
第3の実施形態のもと、GRINレンズの有効開口は、2つの端部表面624および625を接合する表面として画定され、アイボックス内の30°の垂直視野に切り取られる40°の円形視野を占有するために、全ての光線の境界表面として画定される。有効開口境界の外側では、規定されたGRIN分布は、適用されず、レンズは、機械的統合および迷光効果の低減のために必要とされる、任意の材料から成り得る。
【0061】
第3の実施形態のGRINは、以下の式によって決定されるように、2つの材料間の相対組成の分布として説明され得る。
【数9】
式中、x、y、およびzは、表面4の頂点と光軸との交点によって画定される、レンズの局所的座標系内の3つの主軸である。光軸は、z軸と定義され、x軸は、ページから外へ投影する。n番目の材料の相対組成は、以下によって定義される。
【数10】
【0062】
このGRIN設計における各材料の係数が、表5にリストアップされる。材料AおよびBに関するベース率データが、表6にリストアップされる。材料内の任意の点における体積相対組成は、材料AおよびBに関して、以下の通り、説明される。
【数11】
【表5】
【表6】
第3の実施形態の下のシステムの全体的な光学構成が、以下通り、リストアップされる。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0063】
図9および10は、GRINヘッドアップディスプレイ(HUD)900の例示的第4の実施形態を示す。HUD900は、
図1に示されるHMD100実施形態に関連するが、異なるサイズおよび空間エンベロープを伴う。HUD実施形態900は、HMD実施形態100(
図1)の眉上ミラーを省略し、代わりに、結合器340のみを有する。結合器340は、本実施形態では球状であるが、しかしながら、代替実施形態は、自由形態結合器を導入することによって潜在的に性能を改良し得る(但し、コストが追加される)。
【0064】
HUD中継光学系920は、典型的に、ユーザの頭部の上方に存在し、結合器950を用いて、アイボックス150に画像を投影する。中間画像は、結合器340と中継光学系920との間に存在する。HMD100の前の場合(
図1)、この中間画像は、典型的に、結合器920の傾斜角に起因して高度の収差を有する。CRT画面LEDディスプレイを含む、中継光学系920のためのディスプレイ(図示せず)、および潜在的に、このHUD中継光学系920の画像平面に存在する拡散器の上へ投影する照明システムの使用に関して、ある範囲の選択肢が、可能である。一般に、照明システムの選択が問題ではないこと(光が十分な輝度および開口数を伴うHUD投影光学系の画像平面に提供されることを前提として)に留意されたい。
【0065】
HUD実施形態900の設計に関する仕様は、既存のQUK HUDに類似する(但し、その直接派生物ではない)ように構成された。本例示的実施形態のもと、HUDは、3つの光学材料の組み合わせとしてモデル化される。特に、本実施形態の材料は、公知のナノ粒子データを用いてドープされた印刷可能ポリマーの組み合わせとしてモデル化される。ベース樹脂は、光学グレードポリエステル、OKP4HT(それは、モノマーとして印刷され、硬化させられ得る)としてモデル化される。酸化チタン、酸化ジルコニウム、および中空シリカナノ球面体のナノ粒子が、率改質剤として使用される。全てが、市販のナノ粒子材料である。ベース材料のこの例示的な組は、具体的な用途に関して最適化され得るが、本構成は、ここで、本発明の中核的機能性を実証する。ベースインクの屈折率データが、表11にリストアップされる。
【表11】
【0066】
第4の実施形態のもとのHUDシステム900の開口は、「アイボックス」平面における90mmの直径の入射瞳によって画定される。この開口は、レンズ要素上に画定される開口によってビネット(vignetting)効果を生じる。
【0067】
GRINレンズは、相対組成のモデルを用いて、説明される(Boyd [Proc SPIE Vol 10998, 2019]参照)。各GRINレンズの屈折率は、(上記の)式5によって説明されるように、3つのベース材料A、B、およびCの相対量によって決定される。
【0068】
入射瞳におけるシステムの視野は、半角18°の円形場によって画定され、14°のy平面絶対視野によって切り取られる。表12-19は、
図10に示される、表面11-21を参照して、第4の実施形態の下のHUDシステムに関するパラメータを定める。システムの波長帯は、可視スペクトルの範囲に及ぶ。本実施形態では、システムは、フラウンホーファC、D3、およびF線によって定義されるように、スペクトルの赤色、黄色、および青色面積内の3つの波長に関して画定される。
【0069】
システム900は、システムの焦点平面に設置される、ディスプレイ(図示せず)によって照明され、前述のスペクトル波長帯内に存在し得る光を放出する。このディスプレイは、OLED(有機発光ダイオード)または類似する技術に基づく発光型マイクロディスプレイであり得る。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0070】
種々の修正および変形が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明の構造に対して行われ得ることは、当業者には明白であろう。上記の説明は、変動する数のGRIN要素を伴ういくつかの実施形態を提示する。一般的な回転対称形態のGRINレンズは、いくつかの従来のレンズ要素の役割を実施し得る。例えば、単一のGRINレンズ実施形態は、傾斜させられ、光学的に屈折力を与えられた半透明の結合器構成要素によって導入される収差を補償するために、レンズバルク内に非対称自由形態GRIN分布を有するシステムを代表する。
【0071】
光学設計では、レンズ要素が、追加の構成要素に「分割」され得ることは、承認された原理である。これは、多くの場合、余分な表面によって提供される追加の設計の自由度に起因して、性能を増加させる効果を有し、製造の複雑性が、追加のレンズ計数に起因して増加するという関連付けられるトレードオフを伴う。この効果において、
図3Aに示される、実施形態は、1つの代わりに、2つのGRINレンズを特徴とする。ここでは、光学補正は、各レンズの光学表面間のみならず、各レンズのGRIN媒体間にも分配され、光学表面は、主に、システムの回転対称収差を補正し、非対称GRINは、結合器によって誘発される非対称収差を補正する。これは、3つ以上のGRINレンズを組み込む代替実施形態が、上記に説明される実施形態の派生的形態を表すということになる。
【0072】
それは、GRIN中継レンズが、
図4に示される実施形態によって提示されるように、従来の均質なレンズと組み合わせて1つ以上のGRINレンズから成り得、自由形態GRINレンズが従来の均質なレンズと併せて動作するということにもなる。同様に、さらなる派生的形態(図示せず)も、調製され得、これによって(最新技術である)傾斜および偏心レンズは、1つ以上のGRINレンズと組み合わせられ得る。
【0073】
本願に説明される実施形態は、光がユーザによって占有される空間エンベロープをクリアにすることを可能にするために傾斜させられた半透明な結合器が必要とされるいくつかの情報表示用途において、実用性を有し得る。これは、典型的に、ユーザの頭部であろうが、車両または航空機のコックピット等のより広域な空間エンベロープも表し得る。
【0074】
実施形態は、ユーザおよび用途に応じて、より大規模およびより小規模の両方において、異なるスケールにおいて適用され得る。最も一般的に、システムのサイズは、情報をユーザの片眼または両眼の中に投影するように、用途間で変動する。本効果において、人間ユーザの片眼に結像するいくつかの実施形態が、含まれており、1つの例示的実施形態は、両眼に結像するより大きく、より平坦なアイボックスを特徴とする。これは、論理的に、実施形態が、複数のユーザを特徴とするシステムのためのさらに大規模なスケール、または適用可能な場合、より小規模なスケールを含み得るということになる。
【0075】
前述を考慮して、本発明は、以下の請求項およびそれらの同等物の範囲内に該当することを前提として、本発明の修正および変形の範囲に及ぶことを意図している。
【国際調査報告】