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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】原料処理の方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20231205BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20231205BHJP
   B09B 3/38 20220101ALI20231205BHJP
   B09B 3/80 20220101ALI20231205BHJP
   B01D 11/02 20060101ALI20231205BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20231205BHJP
【FI】
B09B5/00 E ZAB
B09B3/30
B09B3/38
B09B3/80
B01D11/02 102
B09B101:70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531630
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2021060839
(87)【国際公開番号】W WO2022107099
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】2020904315
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2020904477
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021221469
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.JAVA
3.JAVASCRIPT
4.MATLAB
5.PYTHON
6.SMALLTALK
7.VISUAL BASIC
8.Linux
9.ブルートゥース
10.ADA
(71)【出願人】
【識別番号】523192303
【氏名又は名称】デフーゴ テクノロジーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コールマン デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4D004
4D056
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004AC05
4D004BA06
4D004CA12
4D004CA15
4D004CA44
4D004CB41
4D004CB50
4D004CC11
4D004DA16
4D056AB14
4D056BA12
4D056CA01
4D056CA02
4D056CA20
(57)【要約】
本発明は、有機、非有機、又はバイオダイナミック原料などの原料から製品を回収するためのプロセス、方法、及び装置に関する。製品は、高栄養食品、栄養補助食品、及び生物活性化合物などの消費財、及び/又はエネルギ及び合成燃料などの非消費財を含む。本発明は、通常リアルタイムのプロセス最適化を含む。装置は、原料から有益な製品を得るため、必要に応じてさらなる処理において使用するために、向流拡散抽出装置及び剥皮機を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料から製品を回収するためのプロセスであって、
前記原料を受け入れるステップと、
前記原料のプロファイルをプロセッサと関連するデータベースに記録するステップと、
前記原料を成分に分離するための予めロードされたレシピプログラムの最適化のために、リアルタイムの原料情報を前記プロセッサに提供するステップと、
前記プロセッサによって提供される機械可読レシピプログラム命令に従い前記原料を成分に分離するステップであって、前記命令は、前記プロファイル及び前記リアルタイムの原料情報に基づく、分離するステップと、
を含み、
前記分離された成分は、液体、固体、繊維、テルペン、ポリフェノール、ミネラル、タンパク質、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、
陽極及び陰極、及び塩水電解液を収容する単一槽を有する電気分解槽を設けることと、
溶液のpHが5~7の間であるHOClを含む遊離塩素溶液を生成するために前記陰極から前記陽極へ電流を流すことと、
前記溶液を前記原料に適用することと、
によって前記原料を洗浄すること、を含むプロセス。
【請求項3】
原料処理のリアルタイムの最適化の方法であって、
レシピプログラムをプロセッサ上に予めロードするステップであって、前記レシピプログラムは、プロセス制御設定のための機械可読レシピプログラム命令を含む、予めロードするステップと、
前記原料のプロファイルを前記プロセッサと関連するデータベースに記録するステップと、
原料情報を記録し、前記情報を前記プロセッサに提供するステップと、
デジタル化された前記プロファイル、及び/又は前記原料情報に基づいて前記機械可読レシピプログラム命令のリアルタイムの調整を実施するステップと、
を含み、
効率デジタルアルゴリズムは、前記デジタル化されたプロファイル及び/又は前記原料情報に基づいて、前記機械可読レシピプログラム命令に適用される調整を算出し、
調整された前記機械可読レシピプログラム命令は、前記プロセス制御設定に適用される、
方法。
【請求項4】
原料から製品を回収するためのシステムであって、
プロセスは、
レシピプログラムに従って複数の原料処理ステップを実施するよう動作可能な原料処理アレンジメントと、
前記原料処理アレンジメントと通信し、前記原料処理ステップのプロセス制御のために構成される装置と、
前記原料処理アレンジメントと関連し、原料プロファイル及び原料情報を前記装置に送信するように構成される多数のセンサと、
を備え、
前記装置は、
前記原料処理ステップのプロセス制御のための機械可読レシピプログラム命令のリストを含むレシピプログラムを保存するためのメモリユニットであって、前記機械可読レシピプログラム命令のリストは、それぞれが、それぞれの前記原料処理ステップを、予め定められた制御コマンドのセットの中の予め定められた制御コマンドに割り当てるコマンド命令を含む、メモリユニットと、
前記原料プロファイル及び前記原料情報を保存するためのデータベースを含む電子ウェアハウスと、
前記データベースからの前記原料プロファイル及び前記原料情報に応答して前記機械可読レシピプログラム命令のリアルタイムの調整を実施するためのプロセッサと、
を備え、
前記原料プロファイル及び前記原料情報は、前記命令のリスト内の前記機械可読レシピプログラム命令の連続的な実行に先立って、前記機械可読レシピプログラム命令の調整の算出、及び前記プロセス制御コマンドの最適化のための効率デジタルアルゴリズムに入力される、
システム。
【請求項5】
向流拡散抽出のための装置であって、
第1端部に隣接する投入口と、第2端部に隣接する排出口とを有する長尺状のハウジングであって、前記ハウジングの長手方向軸が、前記第1端部から第2端部へ上方に傾斜される、長尺状のハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、抽出される原料を、前記投入口から前記排出口まで移動させるために、前記長手方向軸回りに回転可能な少なくとも1つの略螺旋状の羽根を有する回転可能なスクリュコンベヤと、
抽出液をハウジングに導入し、前記抽出液が、前記ハウジングを流れ落ち、前記抽出される原料を含む向流に流入するようにするための手段と、
前記原料から抽出された液体を引き出して前記液体を前記ハウジングに戻し、前記戻された液体が、前記抽出される原料に接触するようにするための手段と、
前記ハウジング内の圧力を減少させるためのポンプと、
を備える装置。
【請求項6】
請求項5に記載の向流拡散抽出のための装置であって、前記抽出される原料が前記投入口を通って前記回転可能なスクリュコンベヤに導入され得るように、前記投入口の近傍に位置するエアロックチャンバをさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の向流拡散抽出のための装置であって、前記エアロックチャンバは、開閉可能な蓋側及び開閉可能な底を有する気密容器を備える、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の原料から製品を回収するためのプロセスであって、前記原料は、請求項6に記載の向流拡散抽出のための装置を用いて成分に分離される、プロセス。
【請求項9】
請求項1に記載の原料から製品を回収するためのプロセスであって、前記原料は製品に分離され、前記製品の2つ以上は、向流インフュージョンによって(再)結合される、プロセス。
【請求項10】
原料から有用な製品を得るための剥皮機であって、
-それらの間を原料が通されるサイズに適合した一対の回転サイジング部材と、
-原料を切断するための切断ヘッドと、
-回転切断部材を用いて前記原料からハードを含む第1製品を除去するための第1回転切断部材と、
-前記原料から樹皮を含む第2製品を除去するためのものであり、残りの靭皮は第3製品を含む、第2回転切断部材と、
-前記第1製品、前記第2製品、及び前記第3製品のそれぞれのための個別の排出口と、
を備える剥皮機。
【請求項11】
請求項1に記載の原料から製品を回収するためのプロセスであって、前記原料は、請求項10に記載の剥皮機を用いて成分に分離される、プロセス。
【請求項12】
原料から製品を回収するためのシステムであって、プロセスは、
プログラムによる複数の原料剥皮ステップを実施するよう動作可能な剥皮機と、
前記剥皮機と通信し、原料処理ステップのプロセス制御のために構成される装置と、
前記剥皮機と関連し、剥皮機情報及び原料情報を前記装置に送信するように構成される多数のセンサと、
を備え、
前記装置は、
前記原料剥皮ステップのプロセス制御のための機械可読原料剥皮プログラム命令のリストを含む原料剥皮プログラムを保存するためのメモリユニットであって、前記機械可読原料剥皮プログラム命令のリストは、それぞれが、それぞれの前記原料剥皮ステップを、予め定められた制御コマンドのセットの中の予め定められた制御コマンドに割り当てるコマンド命令を含む、メモリユニットと、
原料プロファイル及び前記原料情報を保存するためのデータベースを含む電子ウェアハウスと、
前記データベースからの前記剥皮機情報及び前記原料情報に応答して、前記機械可読原料剥皮プログラム命令のリアルタイムの調整を実行するためのプロセッサと、
を備え、
前記剥皮機情報及び前記原料情報は、前記命令のリスト内の前記機械可読原料剥皮プログラム命令の連続的な実行に先立って、前記機械可読原料剥皮命令の調整の算出及び前記プロセス制御コマンドの最適化のために、効率デジタルアルゴリズムに入力される、システム。
【請求項13】
請求項6に記載の向流拡散装置をさらに備える請求項12のシステムであって、前記剥皮機は、前記向流拡散装置のための原料として、樹皮、ハード、又は靭皮のうちの1つ以上を製造する、システム。
【請求項14】
原料を処理するためのシステムであって、請求項10に記載の剥皮機、請求項6に記載の向流抽出装置、圧搾機、及び乾燥機を備え、
(i)前記原料は、前記剥皮機を通されて、靭皮、ハード、及び樹皮に分離され、
(ii)前記靭皮、ハード、及び樹皮のうちの少なくとも1つは、前記向流抽出装置、前記圧搾機、及び前記乾燥機を通される、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記ハード及び樹皮の一方又は両方は、タール、木酢(木酢液)、水素及びバイオ炭のうちの1つ以上を製造するために熱分解される、システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本出願は、原料処理、詳細にはバイオマス処理に関する。
【0002】
より詳細には、本出願は、有機、非有機、及び/又はバイオダイナミック原料を処理して成分にする分野に関する。
【0003】
成分は、例えば、高栄養食品、健康商品、搾り汁、水、エネルギ、燃料、建築資材、脂質、薬剤、栄養補助食品(nutraceuticals)、及び生物活性化合物などの幅広い物質を含む。消費可能な成分は、錠剤、食用の液体、及び粉末などの有益な投与形態をもたらすためにさらなる処理を経てもよい。非消費可能な成分は、合成燃料などの有益な製品をもたらすためにさらなる処理を経てもよい。
【0004】
本発明が、実質的に食品処理産業に関して説明される一方で、本発明はその産業に限定されるものではなく、有機、非有機及び/又はバイオダイナミック原料を用いる幅広い他の産業への適用性を有することは、当業者にとって容易に明らかであろう。さらに、本発明がまた、消費可能な製品の回収に関して説明される一方で、本発明はそれに限定されるものではなく、燃料などの他の製品を分離するために用いられ得ることは、当業者にとって容易に明らかであろう。
[発明の背景]
【0005】
食品処理産業などの原料の一定供給に依存する産業は、年間数十億キログラムもの有機質の豊富な廃棄物を生成する。廃棄物は、栄養物、炭素及び窒素処理廃棄物の排出物、未使用原料、及び廃棄される包装を含む。食品処理廃水は処理されることが多いが、汚染物質の重量、及び加工プラントにおいて生成される廃水の種類の幅広い変動性のために、処理は複雑でコストがかかる。産業で生じる廃棄物を処分又は保管することは、重大な経済的及び環境的な課題を提起する。
【0006】
廃棄物の大部分は、最終的に埋め立て地となるか、又はそこでそれが腐敗して二酸化炭素及びメタンを放出する土壌に利用される。結果として、食品処理産業は、地球温暖化ガス生成の3番目に大きな要因である。
【0007】
原料処理産業は、廃棄物の生成を最小限にするように努力している。例えば、有機廃棄物を堆肥にする、処理及び包装材料を再利用する、また処理中のエネルギ及び水を節約するよう努力がなされてきた。リデュース、リユース、及びリサイクルを重視することは、例えば、食品処理産業における廃棄物管理戦略の重要な部分である。食品処理産業は、有害な、悪臭のする、又は不快な汚染物質を排出することなく廃棄物を管理する効率的且つ経済的な方法を模索している。
【0008】
食品処理産業はまた環境的な責任を有しつつ、処理性能及び効率を向上する必要に迫られている。これは、製造された食品が安全で健康に良く、手頃であるという高い消費者の期待とのバランスが保たれなければならない。生産者、輸送業者、処理業者、卸売業者、及び小売業者からのサプライチェーンにわたる製造管理及び実現において、頻繁に効率が求められる。
【0009】
食品処理産業が直面する根本的な課題は、それが「アナログ」パラダイムにおいて多様なレベルで活動することである。「デジタルトランスフォーメーション」は今、企業にそれらのビジネスモデルを変更させ、基本的に顧客の需要及び期待によって企業が動かされる新しい市場の実態に企業を適合させている。
【0010】
デジタルトランスフォーメーションは、ビジネスの全ての領域へのデジタル技術の統合であり、ビジネス活動及びそれらの顧客にもたらされる価値において根本的な変化をもたらす。デジタルトランスフォーメーションを通して食品産業にとって達成可能な成果は、サプライチェーンにわたる品質管理、改善された製造効率、及び時宜を得た、対象を定めた納入を含む。改善された見識は、顧客動向の予測解析に及び、プラントにおける製品の製造のリアルタイムでの最適化をもたらすことが求められる。ビッグデータの見識は、農業従事者が、顧客の購入パターンに適合した需要に応えて植物を育てることを支援し得る。処理プラントにおいて、特定の目標とされる製品及びレシピの製造の収率を最適化し、常に品質を改善する能力は、食品処理産業に関する売上及び総利益に影響を及ぼすであろう。
【0011】
食品処理産業はまた、エネルギコスト、炭素排出量、及び環境への悪影響を減らすために、そのエネルギ効率を改善する様々な方法を検討している。エネルギ管理システム(EMS)は、エネルギ使用の改善を実現し、持続するために食品処理産業において広く実施されている。食品処理産業におけるエネルギ管理は、エネルギ生産、エネルギ輸入/輸出、エネルギ貯蔵、エネルギ変換、エネルギ輸送、及びエネルギ消費などの様々な競合するパラメータを伴い複雑である。この状況は、従来技術のアナログに基づく機構(データ処理能力の無い装置)及び大抵の食品製造施設の主要部である構成要素に内在する他の不確定なパラメータ(つまり、間隔、可能性、及び確率分布)によってさらに複雑になる。それゆえに、食品処理におけるエネルギ効率を改善するために、食品製造施設について詳細でリアルタイムのエネルギ使用内訳をもたらすシステムが必要である。
【0012】
デジタルトランスフォーメーションのパラダイムシフト及びエネルギスマートメータに基づくモノのインターネット(IoT)の使用は、エネルギ消費を改善し得る。スマートメータは、様々な食品処理施設のエネルギ消費レベルについての重要な情報の提供を含む多くのことを可能にし、それにより、管理者が、全体のエネルギ使用量の削減のためにリアルタイムでより良好な決定をすることを可能にする。IoTに基づくスマートエネルギシステムは、エネルギ浪費の削減に寄与することができ、植物の全体の利用、廃棄物削減、品質向上、及び使用可能な抽出される要素の量の増大の不可欠な要素である。
【0013】
それゆえに、有機、非有機、及びバイオダイナミック原料の廃棄物が削減される改善された処理が必要である。また、原料の、その成分又は下工程生成物への変換に関して、改善された製造効率を有する原料処理も必要である。
【0014】
この明細書全体を通して、「発明者」という語句の単数形での使用は、本発明の1人の(単数の)発明者、又は1人より多くの(複数の)発明者の言及として見なされてもよい。
【0015】
当然のことながら、この明細書における文献、装置、行為又は知識のあらゆる考察は、本発明の内容を説明するために含まれる。さらに、この明細書全体にわたる考察は、発明者の認識、及び/又は発明者によるある関連技術の課題の特定に起因してもたらされる。加えて、この明細書における文献、装置、行為又は知識などの題材のあらゆる考察は、発明者の知識及び経験の観点から本発明の内容を説明するために含まれ、従って、あらゆるこのような考察は、本明細書における開示及び特許請求の範囲の優先日以前に、題材の何れかが、先行技術の基礎、又は従来の関連技術における共通の一般知識の一部を構成していると認めるものとして見なされるべきではない。
【0016】
本明細書に記載の実施形態の目的は、関連技術のシステムの上述の欠点のうちの少なくとも1つを克服するか、又は緩和すること、又は少なくとも関連技術のシステムに有益な代替を提供することである。
[発明の説明]
【0017】
一態様において、本発明は、原料から製品を回収するためのプロセスを提供する。本発明の他の態様は、限定されるものではないが、プロセスの1つ以上のステップでの原料に関する情報の取り込み、及び記録、必要に応じて、処理前の洗浄、レシピの最適化、情報管理、向流抽出の調整、プロセスによって製造される製品の分離及び/又は精製を含む。また、本発明のさらなる態様は、限定されるものではないが、プロセスの1つ以上のステップでの向流拡散及び剥皮の使用を含む。
【0018】
他の態様及び好適な形態は、本明細書に開示され、且つ/又は添付の特許請求の範囲に規定され、本発明の説明の一部を形成する。
【0019】
第1の態様において、原料から製品を回収するためのプロセスが提供され、プロセスは、
原料を受け入れるステップと、
プロセッサと関連するデータベースに原料のプロファイルを記録するステップと、
必要に応じて、原料を洗浄するステップと、
原料を成分に分離するための予めロードされたレシピプログラムの最適化のためにプロセッサにリアルタイムの原料情報を提供するステップと、
プロセッサによって提供される機械可読レシピプログラム命令に従い原料を成分に分離するステップであって、命令は、プロファイル及びリアルタイムの原料情報に基づく、分離するステップと、
を含み、
分離された成分は、液体、固体、繊維、テルペン、ポリフェノール、ミネラル、タンパク質、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0020】
本発明の第2の態様において、原料を洗浄するためのプロセスが提供され、本方法は、
陽極及び陰極並びに塩水電解液を収容する単一槽、を有する電気分解槽を設けるステップと、
溶液のpHが5~7の間であるHOClを含む遊離塩素溶液を生成するために陰極から陽極へ電流を流すステップと、
溶液を原料に適用するステップと、
を含む。
【0021】
好ましくは、原料を洗浄するためのプロセスは、本発明による原料から製品を回収するためのプロセスにおけるステップである。
【0022】
本発明の第3の態様において、原料処理のリアルタイムの最適化の方法が提供され、本方法は、
レシピプログラムをプロセッサ上に予めロードするステップであって、レシピプログラムは、プロセス制御設定のための機械可読レシピプログラム命令を含む、予めロードするステップと、
原料のデジタル化されたプロファイルをプロセッサと関連するデータベースに記録するステップと、
原料情報を記録し、上記情報をプロセッサに提供するステップと、
デジタル化されたプロファイル、及び/又は原料情報に基づいて機械可読レシピプログラム命令のリアルタイムの調整を実施するステップと、
を含み、
効率デジタルアルゴリズムは、デジタル化されたプロファイル及び/又は原料情報に基づいて、機械可読レシピプログラム命令に適用される調整を算出し、
調整された機械可読レシピプログラム命令は、プロセス制御設定に適用される。
【0023】
好ましくは、原料処理のリアルタイムの最適化のプロセスは、本発明による原料から製品を回収するためのプロセスにおけるステップである。
【0024】
本発明の第4の態様において、原料から製品を回収するためのシステムが提供され、プロセスは、
レシピプログラムに従って複数の原料処理ステップを実施するよう動作可能な原料処理アレンジメントと、
原料処理アレンジメントと通信し、原料処理ステップのプロセス制御のために構成される装置と、
原料処理アレンジメントと関連し、原料プロファイル及び原料情報を装置に送信するように構成される多数のセンサと、
を備え、
装置は、
原料処理ステップのプロセス制御のための機械可読レシピプログラム命令のリストを含むレシピプログラムを保存するためのメモリユニットであって、機械可読レシピプログラム命令のリストは、それぞれが、それぞれの原料処理ステップを、予め定められた制御コマンドのセットの中の予め定められた制御コマンドに割り当てるコマンド命令を含む、メモリユニットと、
原料プロファイル及び原料情報を保存するためのデータベースを含む電子ウェアハウスと、
データベースからの原料プロファイル及び原料情報に応答して機械可読レシピプログラム命令のリアルタイムの調整を実施するプロセッサと、
を備え、
原料プロファイル及び原料情報は、命令のリスト内の機械可読レシピプログラム命令の連続的な実行に先立って、機械可読レシピプログラム命令の調整の算出、及びプロセス制御コマンドの最適化のための効率デジタルアルゴリズムに入力される。
【0025】
本発明の第5の態様において、向流拡散抽出(CCE)のための装置が提供され、装置は、
第1端部に隣接する投入口と、第2端部に隣接する排出口とを有する長尺状のハウジングであって、ハウジングの長手方向軸が、第1端部から第2端部へ上方に傾斜される、長尺状のハウジングと、
ハウジング内に配置され、抽出される原料を、投入口から排出口まで移動させるために、その長手方向軸回りに回転可能な少なくとも1つの略螺旋状の羽根を有する回転可能なスクリュコンベヤと、
抽出される原料が、投入口を通って回転可能なスクリュコンベヤに導入され得るように、投入口の近傍に位置付けられる投入チャンバと、
抽出液をハウジングに導入し、抽出液が、ハウジングを流れ落ち、抽出される原料を含む向流に流入するようにするための手段と、
原料から抽出された液体を引き出して液体をハウジングに戻し、戻された液体が、抽出される原料に接触するようにするための手段と、
を備える。
【0026】
必要に応じて、投入チャンバは、開閉可能な蓋側、及び開閉可能な底を有する気密容器を備えるエアロックチャンバである。
【0027】
必要に応じて、装置は、ハウジング及び/又はエアロックチャンバ内の圧力を減少させるためのポンプをさらに備える。
【0028】
好ましくは、向流抽出のための装置は、本発明による原料から製品を回収するためのプロセスにおける原料処理ステップを実施するために用いられる。
【0029】
好適な実施形態において、原料は、テルペン、湿潤繊維、乾燥繊維、未透過(retentate)ミネラル、タンパク質、ポリフェノール、又は(植物原料からの消費可能な液体状の)搾り汁から選択される1つ以上の製品へと処理される。本発明のプロセスの1つの形態において、上述の製品のうちの2つ以上は、向流インフュージョン(CCI)によって(再)結合される。
【0030】
本発明の別の実施形態において、向流抽出のための装置は、従来技術のプロセスからの少なくともいくつかの原料を処理するために用いられる。
【0031】
本発明の第6の態様において、原料、好ましくは長茎バイオマスから有用な製品を得るための剥皮機が提供され、剥皮機は、
-それらの間を原料が通されるサイズに適合した一対の回転サイジング部材と、
-原料を切断するための切断ヘッドと、
-回転切断部材を用いて原料からハードを含む第1製品を除去するための第1回転切断部材と、
-原料から樹皮を含む第2製品を除去するためのものであり、残りの靭皮は第3製品を含む、第2回転切断部材と、
-第1製品、第2製品、及び第3製品のそれぞれのための個別の排出口と、
を備える。
【0032】
好ましくは、剥皮機は、本発明による原料から製品を回収するためのプロセスにおける原料処理ステップを実施するために用いられる。
【0033】
本発明の第7の態様において、ハード、樹皮及び靭皮を含む原料から有用な製品を得るための剥皮プロセスが提供され、
-原料の長茎をサイジングするステップと、
-原料の茎を、好ましくは長手方向に切断するステップと、
-回転切断部材を用いて、バイオマスからハードを含む第1製品を生成するステップと、
-回転切断部材を用いて、バイオマスから樹皮を含む第2製品を生成するステップと、
-靭皮を含む第3製品を生成するステップと、
を含む。
【0034】
剥皮機及び剥皮装置の製品は、樹皮、ハード、及び靭皮のうちの1つ以上を、原料を消費又は製造する上述のプロセス、装置、又はシステムのうちの何れか1つ以上に提供してもよい。
【0035】
本明細書に記載の実施形態の第8の態様は、原料、好ましくは長茎バイオマスから製品を回収するためのシステムを提供し、プロセスは、
プログラムによる複数の原料剥皮ステップを実施するよう動作可能な剥皮機と、
剥皮機と通信し、原料処理ステップのプロセス制御のために構成される装置と、
剥皮機と関連し、剥皮機情報及び原料情報を装置に送信するように構成される多数のセンサと、
を備え、
装置は、
原料剥皮ステップのプロセス制御のための機械可読原料剥皮プログラム命令のリストを含む原料剥皮プログラムを保存するためのメモリユニットであって、機械可読原料剥皮プログラム命令のリストは、それぞれが、それぞれの原料剥皮ステップを、予め定められた制御コマンドのセットの中の予め定められた制御コマンドに割り当てるコマンド命令を含む、メモリユニットと、
原料プロファイル及び原料情報を保存するためのデータベースを含む電子ウェアハウスと、
データベースからの剥皮機情報及び原料情報に応答して、機械可読原料剥皮プログラム命令のリアルタイムの調整を実施するためのプロセッサと、
を備え、
剥皮機情報及び原料情報は、命令のリスト内の機械可読原料剥皮プログラム命令の連続的な実行に先立って、機械可読原料剥皮命令の調整の算出及びプロセス制御コマンドの最適化のために、効率デジタルアルゴリズムに入力される。
【0036】
上述のシステムは、本発明による向流拡散抽出のための装置をさらに備えてもよく、剥皮機は、装置に入り、向流拡散抽出を受ける樹皮、ハード、又は靭皮のうちの1つ以上を製造する。
【0037】
本明細書に記載の実施形態の第9の態様において、原料を処理するためのシステムが提供され、システムは、本発明による剥皮機及び向流抽出装置、圧搾機、及び乾燥機を備え、
(i)原料は、剥皮機を通されて、靭皮、ハード、及び樹皮に分離され、
(ii)靭皮、ハード、及び樹皮のうちの少なくとも1つは、向流抽出装置のための原料である。
【0038】
圧搾され、乾燥されたハード、及び/又は樹皮は、タール、木酢(木酢液)、水素及びバイオ炭のうちの1つ以上を製造するために、それに続く熱分解ステップを経てもよい。圧搾され、乾燥された靭皮は、より一般的には保管される。
【0039】
圧搾され、乾燥されたハード、及び/又は樹皮は、タール、木酢(木酢液)及びバイオ炭のうちの1つ以上を製造するために、それに続く熱分解ステップを経てもよい。
【0040】
通常、原料は、上述のシステムに供給されるのに先立ってデトラッシュされ、葉及び他の植物のデトリタスの形態のごみには、さらなる処理が施されてもよい。
【0041】
本発明は、原料データに基づく原料処理のリアルタイムの最適化が、プロセスの効率及び付随する廃棄物の削減において大幅な改善をもたらし得るという認識に起因する。最適には、有益な製品を提供するために原料の全体が処理されて、廃棄物はほとんど排除されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
実例としてのみ与えられ、それゆえに本明細書における開示を限定しない添付図面と併せて実施形態の次の説明を参照することによって、本出願の好適な他の実施形態のさらなる開示、目的、利点、及び態様は、関連技術の当業者によってより良く理解されるであろう。
図1】テルペンの抽出、及び固体/繊維及び液体の分離を引き起こす本発明のプロセスに関連するステップを示す。
図2図1で分離された液体のさらなる処理に関連するステップを示す。
図3図1の繊維製品がそれによってさらに処理される、本発明の融合プロセスに関連するステップを示す。
図4】本発明の方法及びプロセスによって実行される多数のアルゴリズムのうちの1つの単純な例のフローチャートを示す。
図5】予め定められた最終製品を製造するために本発明のプロセスに必要とされる原料成分を提供するための制御設定の「リアルタイムレシピ最適化」に関連するステップを示す(図5A図5B、及び図5Cを含む)。
図6】本発明のシステムの構造を示し、センサネットワーク及びdCCE CPUを含む食品処理システムの全体を実施するために連携する、基本コンポーネント及びサブシステムを描写する。
図7】単一スクリュ、エアロックチャンバが備え付けられるデジタルCCE(dCCE)を含む本発明による装置を示す。
図8図7のdCCE装置を備える本発明による処理システムの一部を示す。
図9】目標とされる製品を製造するためにその後に再結合が続く、液体の繊維からの分離のためのプロセスにおけるdCCEの使用を説明するフローチャートである。
図10図8に示される処理システムのための運転制御パラメータを示す制御シートを示す(図10A図10B及び図10Cを含む)。
図11】本明細書にて開示されるプロセスの何れかによって、エネルギ及び合成燃料の製造のための原料として製造される繊維の使用を説明するフローチャートである。
図12】本発明における使用に適する剥皮機の一実施形態を示す設計略図である。
図13】製品を分離又は抽出するために原料を処理するための本発明によるプロセスのさらなる実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[発明の詳細な説明]
[プロセス]
【0044】
本発明の第1の態様は、原料から成分を回収するためのプロセスを提供する。好ましくは、本発明のプロセスは、廃棄物を最小限にして、又は好ましくは廃棄物無しで原料を成分に変換する。本発明のプロセスは次の段落に説明され、原料の納入からテルペンの抽出、及び固体/繊維と液体との分離のメインプロセスのステップを示す図1のフローチャートに示される。
【0045】
好ましくは、原料は食料源である。より好ましくは、食料源は植物であるか、又は植物に由来し、有機、非有機、及び/又はバイオダイナミック原料を含んでもよい。これは、サトウキビ、サトウダイコン、カカオ豆、及びコーヒー豆などの食料源を含む。最も好ましくは、食料源は、リンゴ、オレンジ、西洋ナシ、及びパイナップルからなるグループから選択される。
【0046】
好ましくは、原料から回収される成分は、液体、固体、繊維、テルペン、ポリフェノール、ミネラル、タンパク質、又はそれらの組み合わせのうちの何れか1つ以上から選択される。原料の種類に応じて、例示的なポリフェノールはテルペンを含む。原料の素性に応じて、例示的な液体は、糖、リグニン、及びセルロースを含む。原料の素性に応じて、例示的な固体は、食物繊維及び非食物繊維を含む。
【0047】
より好ましくは、回収される成分は、高栄養食品、健康商品、搾り汁、水、エネルギ、燃料、建築資材、脂質、薬剤、栄養補助食品、及び生物活性化合物のうちの何れか1つ以上から選択される。消費可能な成分は、錠剤、食用の液体、及び粉末などの有益な投与形態を提供するためにさらなる処理を経てもよい。非消費可能な成分は、合成燃料などの有益な製品を提供するためにさらなる処理を経てもよい。
[原料プロファイリング]
【0048】
原料は、通常、道路、鉄道又は水路によって食品処理施設に輸送される。各原料ロットは、その識別、起源、及び処理に関する履歴情報に関連している。
【0049】
食品処理施設に到着するとすぐに、原料処理に先立って、データベースに記録される原料ロットのプロファイルを生成するために、それぞれの原料ロットについての履歴情報が取り込まれる。
【0050】
情報は、スキャナなど、あらゆる都合の良いセンサによって取り込まれてもよい。特に好適な実施形態において、スキャナは、バーコード又はマトリックスバーコード(高速応答)QRコードなどの標準機械可読光ラベルを読み取るために用いられる。このデジタル情報は、それぞれの特定の原料のロットに関する証明書(certificates)、散布液(sprays)、散布チャート(spray charts)、肥料、及び殺虫剤を含んでもよい。取り込まれた情報は、施設内部の、又は外部のデータベースサーバ又はあらゆる他の自動高性能データベース管理システムなどの適切な装置に中継されてもよい。
【0051】
必要に応じて、原料プロファイルは、以下に説明されるようなリアルタイムレシピ最適化の間のデータ基準点として用いられてもよい。
[センサ]
【0052】
原料ロットは、その後物理的パラメータを記録するためにスキャンされる。好ましくは、原料は、業界標準技術にて構成される「モノのインターネット」(IoT)ベースのセンサを用いる処理施設にて、受容時にスキャンされる。IoTは、通常、人の介入を必要とすることなくネットワークを介してデータを転送するための固有識別子及び能力を与えられる、相互に関係する計算装置、機械的な且つデジタル化された装置のシステムである。
【0053】
このインフラ機能の促進に寄与するコンポーネントを提供し得る販売会社のいくつかの例は、世界中の食品処理プラントにおけるシステムのカスタム構成を支援するために、革新的なセンサ技術を供給する能力のある多数の企業の中の、アレンブラッドリー(Allen Bradley)、シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)、ロックウェルオートメーション(Rockwell Automation)、ベルトールドテクノロジー(Berthold Technologies)、メトラートレド(Mettler Toledo)、ハイドロニック(Hydronix)、BBセンサ(BB Sensors)、及びカレックス(Calex)など、当業者にとって周知の企業を含む。
【0054】
本明細書において用いられる場合、「センサ」という用語は、物理的特性を検出又は測定し、表示し、記録し、送信し、又は反対に応答する装置を指すと意図される。この明細書全体を通して、限定されるものではないが、原料の到着、処理の準備、処理、品質制御、包装、保管、出荷に関連するセンサを含む、原料の処理に関連する様々なセンサが参照されるであろう。センサは、市販のものであってもよく、且つ/又は意図された目的のためにカスタマイズされてもよい。
【0055】
例えば、本発明の方法又はプロセスは水分測定センサを含んでもよく、これは多数の様々な形態で市販されている。市場におけるいくつかの高温マイクロ波センサは、濃縮液、溶液、又は水分又は溶解固形物のレベルの測定を必要とするあらゆるプロセスなどの液体に関する使用のために設計される。これは、粉末製品を製造するとき、品質制御と、廃棄物の削減との両方を可能にする。これらの種類のセンサは全て、食品製造又は類似の環境への導入を可能とする食品と接触しても安全な材料から製造される。
【0056】
それらは、目標レベルに到達したときを特定するために、液体が減少した場合に蒸発器内で測定するために用いられ得る。これは液体が排出されるのに的確なタイミングを可能にする。これらのセンサは、液体中の水分の正確な測定が必要とされるあらゆるプロセスにおいて用いられてもよい。センサは、水分レベルの変化を迅速に検出して処理中にリアルタイムの調整がなされることを可能にし、均一な製品を製造する能力を確実にする。
【0057】
様々なセンサは、ブリックス度に関連する糖処理アプリケーションにおいて、特に溶解固形物に対して設計されてきた。ブリックス測定(又はブリックス度)は、特に食品及び飲料業界において良く知られている。ブリックス度の測定によれば、1度ブリックス(°Bx)=スクロース1g/水溶液100gであり、これは1%ブリックスと等しい。高度なデジタルマイクロ波測定技術を用いることで、シロップ又はマスキットの水分含有量を正確に測定することができ、ブリックス度の測定値が導かれる。物理的パラメータの測定のための他の種類のセンサは、比重計、比重瓶、ブリックス計/屈折計、及びデジタル密度計を含む。
【0058】
ピッチ及びロールの正確な角度測定を可能にするインクリノメータチルトセンサは、台を水平にするためにモニタリングする、及び角度を調整する、の両方のために非常に適している。好適なチルトセンサの製造は、微小電気機械システム(MEMS)に関する彼らの技術に基づく。MEMSは、機械的、及び電気的な要素を結び付ける微小な集積デバイス又はシステムを作り出すために用いられるプロセス技術である。それらは、集積回路バッチ処理技術を用いて製造され、サイズは数マイクロメータからミリメータの範囲を取り得る。
【0059】
非接触赤外線温度センサは、それらが製品を汚染又は妨げることなく用いられ得るので、食品処理及び製造産業で用いるのに理想的には適している。これらのセンサは、応答時間が非常に短く、バット及び保持タンク内で、製造プロセスに沿ってコンベヤベルト上を移動する食品の表面温度を正確に測定し得る。多くの食品処理アプリケーションにおいて、プロセス及び製品温度は、重要な物理的パラメータである。赤外線センサシステムを用いる非接触温度測定は、これらのプロセスをモニタリングし、管理するための非常に強力な方法である。
【0060】
原料の処理に先立ってデジタル化されたプロファイルに取り込まれ、記録され得る例示的な情報は、
a)ブリックス度(°Bx)
b)水分含有量
c)繊維含有量
d)ホールディングビンに割り振られる前のサイズ
c)ホールディングビンに割り振られる前の重量
のうちの何れか1つ以上を含んでもよい。
【0061】
取り込まれた情報は、処理施設内の又は外部のデータベースへ中継されてもよい。必要に応じて、取り込まれた情報は、以下に説明されるように「リアルタイムレシピ最適化」の間に、データ基準点として用いられてもよい。
[原料の検査]
【0062】
納入、プロファイル情報及び他の情報の収集に続いて、原料ロットは、ビン又はホッパーなどの適切な貯蔵設備に割り振られる。原料は、必要に応じて処理アレンジメントへと前方に呼ばれ、前方に呼ばれる割合は、本発明の方法及びシステムによって制御される。
【0063】
原料は、生産物識別ステッカ、並びに枝及び葉などのデトリタスなどの異物を検出するためにスキャンされる検査テーブルへ前進する。異物は、手動又は自動化された手段によって除去される。原料はまた、除去するためのあらゆる金属を検出するためにスキャンされる。他のスキャンが、原料が正確に識別されたことを確認し、殺虫剤などの好ましくない化学物質を検出するために用いられてもよい。
[原料の洗浄]
【0064】
本発明のプロセスは、本発明のプロセスの分離段階に先立って、原料の検査及び洗浄のための方法をさらに含んでもよい。
【0065】
原料は、有害な病原体を除去するために洗浄される。これらは、殺虫剤、カビ、胞子及びあらゆる他の好ましくない異物などの化学物質を含む。好ましくは、洗浄ステップは、有害な化学物質を含まないが、pHの制御及び微生物の増殖の抑制を可能にする洗浄液の使用を含む。例示的な洗浄液は、ティグルス(Tygrus)LLCによって製造される。このような溶液の使用は本発明のプロセスに利点を与え、有害な化学物質を用いる従来のプロセスから、急性毒性の無い、コスト効率の良い洗浄方法のより良い実施を採用するものへと変化する。
【0066】
代替の洗浄液は、安定型の次亜塩素酸(HOCl)を含んでもよく、これは病原体に対して効果的な強力な酸化剤である。HOClに関する研究の大部分は、食品への直接的な使用に関連してきた。米国食品医薬品局の食品接触届出(Food Contact Notification)1811は、HOClが未処理の、又は処理された果物及び野菜、魚及び海産物、食肉、鶏肉、及び殻付き卵に、最大で60ppmまで使用されることを許可する。
【0067】
産業界において、通常、使用時に標準HOClを生成するためのいくつかの業務用の従来技術の方法がある。標準HOClは、陽極室及び陰極室にそれぞれ分離される2つの小部屋を有する電解槽を用いる膜技術にて製造される。製造に用いられる薄膜は、通常、陽イオンのみを陰極室に向けて通過させるポリマーから作られる。塩化ナトリウム溶液が、陽極室に注入される。プラスに帯電したナトリウムイオンは、薄膜を陰極側へ通過するが、マイナスに帯電した塩化物イオンは、薄膜を通過できない。2つの溶液、陽極液及び陰極液が生成される。陽極側において、800mVより大きい酸化還元電位(ORP)を有する強酸性溶液のHOClが生成される。陰極側において、-800より小さいORPを有する強アルカリ性溶液のNaOHが生成される。生成された溶液は何れも安定していない。陽極液及び陰極液の何れも平衡状態に戻ろうとする。何れの溶液もそれらのORPを急速に失う。
【0068】
第2の態様において、本発明は、pHが中性付近の安定型HOClを用いる、原料を洗浄するための方法を提供する。HOClは、準安定分子である。安定型HOClの製造は、単一槽の電気分解法の使用を伴ってもよく、1つの溶液、次亜塩素酸の陽極液のみを生成してもよい。このような電気分解槽は、陽極及び陰極の両方を有し、ORP>800の単一の溶液を生成するように設計されてもよく、又は設計されなくてもよい単一の小部屋を有する。発明者らは、中性から酸性の、HOClによって占められる遊離塩素溶液を製造する。HOCl溶液は安定しており、HOCl分子は、有機表面又は空気中の酸素に晒されるときのみ不活性化される。従来の薬品洗浄ステップを排除することにより、本発明は、完全な有機且つ無農薬の食品製造プロセスを提供してもよい。これはまた、従来技術のプロセス施設の初期の洗浄室サイクルにおける有毒物質の使用のために通常必要とされる、プラントのメンテナンスにおける化学物質を多く用いる清掃の必要性も排除する。
[分離]
【0069】
本発明の第3の態様において、発明のプロセスは、「リアルタイムレシピ最適化」のための方法をさらに含んでもよい。原料が、洗浄室から本発明のプロセスの分離段階へ移るとき、センサは、最適化プロセスに最初の入力を与えてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、センサは、コンベヤベルトに埋め込まれ、コンベヤベルトは、処理ステップの間、原料を、処理アレンジメントを通して搬送する。
【0070】
上述の種類のセンサは、
a)ブリックス度(°Bx)
b)温度
b)水分含有量
c)繊維含有量
d)サイズ
e)重量
のうちの何れか1つ以上に関連する情報を取り込んでもよい。
【0071】
本発明のプロセスは、予め定められた最終製品を製造するためにプロセスに必要とされる原料成分を提供する。プロセスのステップの組み合わせは、製品の製造のためのレシピを決定する。製造のための全てのレシピは、以下のパラメータ、
a)温度
b)抽出
c)テルペン放出
d)時間
e)撹拌速度
f)傾斜角
g)分散剤(diffusion agent)
h)生産物の体積
i)分散剤の体積
j)固体抽出効率
k)生産物の長手及び短手の切断サイズ
のうちの1つ以上に関連するプロセス制御設定を含む。
【0072】
図5は、予め定められた最終製品を製造するために、本発明のプロセスに必要とされる原料成分を提供するための制御設定のリアルタイムレシピ最適化に関わるステップを説明するフローチャートである。
【0073】
原料は、あらゆる都合の良い手段によって、工場又は他の施設などの処理アレンジメント内に輸送される。完全に自動化された処理アレンジメントにおいて、コンベヤが輸送のために通常用いられるであろう。好ましくは、輸送の間に、ブリックス度(°Bx)、水分レベル、繊維レベル、及び/又は重量などの様々な原料パラメータの値が測定される。パラメータの測定は、上述のような本技術において周知の適切なセンサによって実行されてもよい。
[リアルタイム情報管理システム(RIMS)]
【0074】
センサは、センサネットワークを形成するように構成されてもよい。人工知能(AI)アルゴリズムが、本発明のプロセスの運用効率に寄与するようにIoT技術と組み合わされてもよい。
【0075】
図6は、本発明のシステムの構造を示し、食品処理システム全体を実施するために連携する基本コンポーネント及びサブシステムを描写する。これらは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)と、構造化照会言語だけでない非リレーショナル(NoSQL)データベースとの両方を含む電子データウェアハウスにあるセンサネットワークモニタリングデータベース(SNMD)を含む。データウェアハウス及び人工(AI)アプリケーションアルゴリズムプログラムの支援は、本発明のリアルタイム情報管理システム(RIMS)を作り上げる。
【0076】
全体の構造の一部として、システムは、設備故障の予測、最適化される運用条件の予測、及び理想的な結果を維持するために処理中に調整されるパラメータの特定などの機能を実行し得る。主に、システムは、パターンを検出し、分析するためにセンサネットワークからのデータの絶え間ない流れを処理することによってこれを実現する。
【0077】
本発明のシステムの好適な実施形態において、センサは、センサネットワークモニタリングデータベース(SNMD)への安全なプライベートワイヤレスネットワークを介して検出された原料情報を伝達する。このデータベースは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)とNoSQLデータベースとの両方を含む電子データウェアハウスにある。データウェアハウス及び(詳細が以下に説明されるであろう)AIアプリケーションアルゴリズムプログラムを支援することは、本発明のリアルタイム情報管理システム(RIMS)を作り出す。
【0078】
センサネットワークにより検出されたデータは、適切なソフトウェアをリアルタイムでアップデートし、且つ/又は本発明のプロセスを通って移動する原料の特定のバッチのために予めロードされたレシピを最適化する応答を生成する目的のためにセンサネットワークモニタリングデータベース(SNMD)へ伝達される。
【0079】
RIMSは、通常、行と列とを用いる構造化フォーマット内でデータを検索し、構造化フォーマット内にデータを保存するリレーショナルデータベースのハイブリッドデータウェアハウスを含む。これらは、表形式でないNoSQL(「SQLでない」、又は「リレーショナルでない」)データベースであってもよく、例えば構造化、半構造化及び非構造化データを格納することによるリレーショナルテーブルとは異なる方法でデータを格納してもよい。NoSQLデータベースは、AIアプリケーション及び膨大な量のデータを取り扱うときに好まれる。データウェアハウスの順応性は、RIMSのシステム応答が、RIMSに寄与する様々なデータセットの格納を極めて効率的に、且つ効果的することを可能にする。
【0080】
データセットは、限定されるものではないが、ベンチマーキングのために外部の研究室から提供される標準サンプルデータ、業界成長のインテリジェントデータベースを蓄積するために提供される合成データ、世界保健機関(WHO)からの世界的な栄養データベース、レシピ及び製法データベース及び、アルゴリズムデータベースを含む。
【0081】
RIMSはまた、いくつかのサーバ上で実行するプログラムのAIアプリケーションスタックを含んでもよい。アプリケーションスタックは、ある課題を実行するために役立つ一式の、又は一連のアプリケーションプログラムである。これらのアプリケーションは、共に密接に関連しており、データは、最低限のステップで、それらの間でエクスポートされるか、又はインポートされ得る。様々なプログラミング言語が、可能な限り常にIoTスタックにわたって人工知能に組み込まれることにより、本発明のプロセスを最適化するために用いられてもよい。プログラムは、限定されるものではないが、センサネットワークのパラメータ設定モデリング、データ許容範囲設定及びデータ接続モデリング、最適化レシピモデリング、及びモニタリングデータ及びアルゴリズムの効果モデリングを含む。
【0082】
各効率デジタルアルゴリズム(EDA)は、それ自体がコンピュータの手順であり、レシピの方法ステップを反映する。アルゴリズムは、取り込まれたセンサネットワークデータ、及び取り込まれた原料プロファイルを入力として開始される。アルゴリズムへの他の入力は、データウェアハウス内の多数のデータベース、及びAIアプリケーションスタック内のプログラムの出力を含む。EDAは一連の出力を生成し、それらは、本質的に、予めロードされたレシピの予め定められた設定を調整したリアルタイムの最適な命令セットである。生成された出力は、以下にさらに説明される向流抽出装置(CCE)中央処理装置(CPU)へ送られる。
【0083】
RIMSは、限定されるものではないが、センサネットワーク管理システム、RIMSユーザインタフェース、dCCE CPUマスタ中継システム、及びRIMS遠隔管理システムを含むロバスト決定管理システムを通常含む。生成されたEDAは、リアルタイム最適化を、CPUマスタ中継伝送を介してCCUに実装されたCPUへ送る。
【0084】
電子化された手順の特に好適な実施形態は、図4に描写される。この実施形態において、パラメータ設定モデリングプログラムは、センサネットワークモニタリングデータベースからデータセットを呼び出す。並行して、レシピ最適化モデリングプログラムは、標準データサンプル、レシピ及び製法、及び世界的な栄養データベースの組み合わせを含むウェアハウスからデータセットを呼び出す。これらのプログラムの出力は、モニタリングデータ、及びデータセットをアルゴリズムデータベースから呼び出すアルゴリズムプログラムの効果モデリングを与え、そのときに製造中であるレシピの最適化に固有の効率デジタルアルゴリズム(EDA)を作成する。
【0085】
命令セットは、プログラムによってRIMS決定管理流に渡され、ここで命令セットは、dCCE CPUマスタ中継システムによって、CCE上に実装されたCPUへ伝達される。この全ては、プラント運転室内、又は、RIMS遠隔管理を介して遠隔で、ユーザインタフェースによってRIMSを用いてモニタされ得る。AIアプリケーションスタックは、目標とされる生産高に基づいて実施される高度なモデリング、及び本発明によるプロセスの性能の継続的な改良及び最適化を可能にする。
[原料処理]
[固体/固体分離]
【0086】
本発明の方法及びシステムは、調理、脱水、目標とする片への切断、又は成分への分離などのあらゆる食品処理ステップに適用され得る。
【0087】
好適な実施形態において、検査及び洗浄に続いて、原料はさらなる処理に先立って所望の寸法の片に体系的に切断されるように、通常コンベヤによって搬送される。センサは、原料処理のリアルタイムの最適化のための情報の一部として原料片のサイズ/寸法を検出する。プロセスの最適化は、ブレード、又はブレード幅の調整を必要とし得る。「拡散切断(diffusion cuts)」を最適にするためにブレードを調整することは、付随してCCEの固体抽出効率を最適にするので、例えば片がCCEに向かうとき、これは重要である。CCEの好適な実施形態は、図7に描写される。
【0088】
別の実施形態において、原料は剥皮され、つまり原料は所望の寸法の片に切断され、表皮(skin)、樹皮(bark)又は皮(rind)を剥くための機械を通して搬送される。剥皮は、木の実、木材、植物の茎、及び穀物などの繊維を含む植物に特に効果的である。剥皮の代表的な製品は、堅い木質の外側(樹皮)、堅い木質の内側(ハード(hurd))、及び茎の師部(靭皮)からのセルロース繊維を含む。
【0089】
代表的な剥皮機及び剥皮プロセスは、参照することにより本明細書に援用される、デフゴ グループ オーストラリア(Defugo Group Australia)Pty Ltdへのオーストラリア仮特許出願2020904477号に開示され、説明される。ハード、樹皮及び靭皮を含む長茎バイオマスから有用な製品を得るための剥皮機は、
-それらの間を通過するときに茎をサイジングするように構成される一対の回転サイジング部材と、
-バイオマスの茎を長手方向に切断するための切断ヘッドと、
-回転切断部材を用いて、バイオマスからハードを含む第1製品を除去するための第1回転切断部材と、
-バイオマスから樹皮を含む第2製品を除去するためのものであり、残りの靭皮が第3製品を含む、第2回転切断部材と、
-第1製品、第2製品、及び第3製品のそれぞれのための個別の排出口と、
を備える。
【0090】
ハード、樹皮、及び靭皮を含むバイオマスから有用な製品を得るための剥皮プロセスは、
-バイオマスの長茎をサイジングするステップと、
-バイオマスの茎を長手方向に切断するステップと、
-回転切断部材を用いて、バイオマスからハードを含む第1製品を生成するステップと、
-回転切断部材を用いて、バイオマスから樹皮を含む第2製品を生成するステップと、
-靭皮を含む第3製品を生成するステップと、
を含む。
[液体/固体分離]
【0091】
本発明の第4の態様において、原料成分の、液体及び固体成分への効果的な分離のための改善された方法を提供する。
【0092】
向流拡散抽出装置(CCE)は、固相及び液相が向流で流れ、それゆえに分離される、連続的な無段階の接触装置として食品処理産業において周知である。上述したように、原料は、通常、CCE装置に導入されるのに先立って所望のサイズの片に切断されるか、又は刻まれる。代替として、又は加えて、原料は剥皮され、結果として得られる樹皮、ハード、及び靭皮のうちの1つ以上が、CCE装置に導入される。
【0093】
原料から抽出された液体は、液体の向流をもたらすためにCCE装置に再導入される。
【0094】
CCE装置は、有機及び非有機の固体から可溶性成分を抽出するのに有用であるだけでなく、インフュージョン、固体の加熱、固体の冷却、クロマトグラフ分離、連続的な生物反応、生物反応の抑制、固体の湿潤、固体の脱水、固体の混合、連続的な化学反応、及び汚染物質及び他の腐敗しやすい製品の除去のためのプロセスの一部としても有用である。
【0095】
図7に描写されるCCEは、通常、次の特徴を含む。
・固相及び液相の向流の流れに加えて、並流を起こすことができ、
・液相が移動する間、固相は静止され、
・固相と液相との間に濃度勾配を確立することができ、その勾配は維持され、
・固相と液相との間に温度勾配を確立することができ、その勾配は維持され、
・真の栓流(true plug-flow)を固体及び液体の流れの両方に確立することができるか、又は固相又は液相の何れかの大量の逆混合のある流れを確立することができ、
・固相内の粒子の形態を、例えば表面領域を含めて制御することができ、
・固相と液相との間の接触時間を制御することができる。
【0096】
CCE装置内の拡散、インフュージョン、又は熱伝導の効率を決定する8つの重要な操作変数があり、これらは、
・固相の供給量
・液相及び固相の相対的比率
・(固体及び液体に応じて変化するであろう)温度
・原料固体の前処理(例えば、スライス厚、サイズなど)
・角度又は操作
・滞留時間
・滞留時間毎のサイクル数
・液相の操作レベル
である。
【0097】
上に挙げられた変数のそれぞれは無段階であり、非常に広範囲の値で変化し得る。それゆえに、CCE装置は、機械的に単純であるが、その操作は数学的に複雑である。
【0098】
CCE装置の使用の次の説明において、原料をCCE装置へ導入するためのエアロックチャンバの使用、及びエアロックチャンバ内、又はポンプ又は同等の装置を用いるCCE装置の他の部品の圧力制御が参照される。しかしながら、当然のことながら、CCE装置のいくつかのアプリケーションは、環境気圧で動作し得る。同様に、いくつかのアプリケーションがCCE装置のいくつか、又は全ての部品における温度制御を必要とする一方で、他のアプリケーションは、環境気圧で実行され得る。
【0099】
本発明のCCE装置の実施形態は、図7に描写される。好ましくは、本発明の装置は、単一のスクリュと、向流投入(CCentry)エアロックチャンバなどのエアロックチャンバ(1)が装備されるハウジングを備えるデジタルCCE(dCCE)と、を備える。好ましくは、エアロックチャンバ(1)は、開閉可能な蓋及び開閉可能な底を有する気密容器を備える。
【0100】
いくつかの実施形態において、原料は、コンベヤベルトから開閉可能な蓋を通してチェンバ内に直接投下されてもよく、一方で他の実施形態においては、原料は調整可能な切断ヘッド(10)などの切断装置からチェンバ内に投下されてもよい。好ましくは、切断装置は、その時点で処理中の原料の種類に固有のものである。
【0101】
代替として、又は加えて、剥皮で生成される樹皮、靭皮、及びハードのうちの1つ以上を含む原料が、チェンバに導入されてもよい。
【0102】
原料がエアロックチャンバ(1)に投下されると、蓋が閉鎖され、その後チャンバの床が開放され、生産物が、両側に気密シャッタドアを備えるdCCEの投入領域に落下する。原料は、連続的に蓋の上に落下し、ホッパー内に収容される。原料はその後、床が閉鎖位置にされた後に、蓋が再開放されるときチェンバ内に落下する。このプロセスは非常に高速で起こり、好ましくは、バルク原料の蓄積を回避する。
【0103】
好ましくは、本発明のプロセスにおけるセンサは、ブリックス度(°Bx)、水分レベル、繊維レベル、及び重量のうちの何れか1つ以上に関連する情報を取り込む。この情報は、サブルーチンとしてRIMSによって処理される。情報は、原料の流量及び抽出液の流量を制御し、調整するためにアルゴリズムへの入力として用いられる。原料のエアロックチャンバ内への移動速度及び移動率、及びdCCEへ流れ込む原料の速度は、それゆえにリアルタイムで自動的に制御される
【0104】
好ましくは、dCCEは、向流(CC)真空イネーブルメント(15)を備える。これは、dCCEを密閉し、およそ1バール(100kPa)までその中を減圧することにより実現され得る。従って、気密にされ、減少した内圧に耐えることができるエアロックチャンバの能力は、本発明のこの実施形態にとって重要である。
【0105】
好ましくは、本発明の方法による原料の分離は、本発明のdCCE装置と組み合わせたリアルタイムのレシピ最適化によって独自の製品結果を可能にする。
【0106】
好ましくは、dCCEには、原料がdCCE内で分離されている間に一連の操作データを取り込むセンサなどの1つ以上の測定装置が装備されている。1つ以上のセンサは、そのデータを、それがサブルーチンとして処理され、アルゴリズムがdCCEの効率を継続的に最適にするように生成されるRIMSへ中継する。取り込まれたデータに基づいて、RIMSは、分離プロセスのリアルタイムの状態、及び予めロードされたレシピプログラムにおいて規定される所望の最終製品に対する操作条件を評価する。必要であれば、RIMSはその後、dCCEの操作条件を変更するためにdCCEへ命令を送信することができ、それによりdCCEは、所望の製品を製造するためにより効率的に操作することができる。
【0107】
CCEのデジタル処理の使用が、CCEの操作に関連するデータを取り込むために、センサなどの1つ以上の測定装置を必要とすることは、当業者にとって明らかであろう。好ましくは、取り込まれたデータは、以下のパラメータのうちの何れか1つ以上に関連する。
【0108】
圧力-処理圧力をモニタし、調整する能力は、併せてRIMSが温度を制御することを可能にする。圧力制御はまた、以下に説明されるような本発明のプロセス及び方法を用いるテルペンなどの原料成分の回収のための鍵でもある。圧力の厳しい規定はまた、あらゆる好ましくない副生成物に関連する製品の汚染の制御を可能にする。しかしながら上述したように、いくつかのプロセスは、環境気圧で実行され得る。
【0109】
温度-リアルタイムで温度をモニタし、調整する能力は、他に優先して、テルペンなどの1つの目標とする成分を識別し、抽出するために用いられてもよい。この温度のリアルタイムの最適化はまた、酸又は脂質の変換又は無変換のプロセス制御を可能にし、それゆえに、目標とする成分内の好ましくない成分の製造を阻止する。しかしながら上述したように、テルペンの回収を対象としないなどのいくつかのプロセスは、環境気圧で実行され得る。
【0110】
サイズ-原料の刻んだ片などの原料の部分のサイズは、全体の抽出効率及び成分の収率に直接的に関連する。サイズデータは、レシピのリアルタイムの最適化のためにRIMSへ送信されてもよい。いくつかの状況において、dCCEの取り外し可能な切断ヘッド上のブレード幅の継続的な調整により「拡散切断」を調整することによって、固体抽出効率を調整する必要があるであろう。拡散切断抽出の最適化は、dCCE内で処理される温度及び時間の調整と組み合わせて、様々な種類のブレード及び切断を用いることによって、且つ固体抽出のために用いられる切断厚さを制御することによって実現されてもよい。好ましくは、dCCEは、取り外し可能且つ調整可能な切断ヘッド、及び単一のスクリュブレード(確定ではない略図参照)を備え、このことはサイズ、切断、及び表面領域の制御を可能にし、それにより抽出及び収率の制御及び最適化を可能にする。
【0111】
ブリックス(液体、及び固液体(Liquid solids):繊維)-液体及び固液体の収量のブリックスをモニタする能力は、RIMSが、拡散体積及び時間だけでなく、原料の流量も調整することを可能にする。
【0112】
重量-原料の重量をモニタする能力は、RIMSが、分散液面(diffusion liquid levels)を制御し、最適化することを可能にする。原料が少なすぎる場合、原料はdCCEの背面に浮かぶであろう。原料が多すぎる場合、その後、原料はスクリュの上部を越えて移動するので、抽出は効率的に生じ得ない。原料の重量は、原料をdCCEのスクリュに対して押し付けて、保持することによる、完全な抽出に役立つ。
【0113】
液面-dCCE内の液面をモニタし、制御する能力は、dCCEの性能の最適化、及び目標に関するレシピを実現することを可能にする。液体と原料との適切なバランスは、撹拌を伴って移動し、それにより分離するのに過不足なく、浮いたり移動したりすることなく、回転可能なスクリュコンベヤに対して生産物を保持するために、的確な重量をもたらす。液体が多すぎる場合には、その後、液体は、原料をdCCEの背面に押し流す。液体が少なすぎる場合には、その後、所望の製品は抽出されず、液体は、十分に抽出されることなくdCCEを上方に移動するであろう。
【0114】
固液体-固液体(繊維)をモニタする能力は、RIMSが原料の撹拌を調整することを可能にし、それにより固液体の濃度を管理し、レシピに従って繊維の目標とされる製品収率を実現する。
【0115】
撹拌-dCCE内の原料の撹拌をモニタし、調整することは、RIMSが原料の抽出を制御することを可能にする。例えば、撹拌は、ブリックス抽出が必要とされるほど効果的でない場合に速度が低下されてもよく、必要とされる抽出率が達成されるか、超過したときに速度が上昇されてもよい。いくつかの実施形態において、dCCEは、ユニットのトラフ全体の傾斜調整のための手段をもたらす油圧傾斜撹拌制御ユニットを備え、RIMS及びdCCEに搭載のCPUを介して制御される。センサは、撹拌中に、データを、サブルーチンとして処理されるRIMSに送信し、アルゴリズムは、減速又は加速の所望の効果を実現するためにトラフの傾斜を調整するように生成される。
【0116】
投入点の液体拡散-液体拡散のための多数の投入点をモニタし、制御する能力は、dCCEのある特定の実施形態におけるリアルタイムの抽出の管理をさらに可能にする。RIMSは、リアルタイムの最適な抽出を実現するために、調整可能な拡散間隔が空けられた投入点の適切な組み合わせを選択するようにdCCEに搭載されたCPUに命令を伝達する。図7に関して、調整可能な拡散間隔が空けられた投入点11及び13は、CCEが抽出を最適化するように間隔が空けられた投入点の適切な組み合わせを選択することを可能にする。
【0117】
それぞれの液体流の投入点の位置を調整することによって、それぞれの液体流についての流れ距離を管理することができ、スクリュの角度を調整することによって、液体流を引き起こす圧力ヘッドを調整することが可能となる。これらの2つの操作因子は、最大効率を得るためにリアルタイムで最適化されなければならない。調整は、実際の限界に依存し、例えば、スクリュの角度が急すぎる場合には、固体流は、スクリュを通って容易に逆流するであろう。
【0118】
これらの2つの因子は、固相の多孔性の変化に応答して変更され得る。固相の多孔性は、スクリュを前進するにつれて減少することもあり、流入する液体の粘度及びブリックスもまた減少し得る。固相の多孔性は、拡散が起こるときの固体が崩壊する程度の関数であり、液相の粘度は、通常、固体からの抽出が増加するにつれて上昇する。
【0119】
スクリュの周囲のハウジングの構造は、スクリュの下方に位置するトラフ部、及び上部に位置する蓋部を備える。蓋が凸状である場合、全ての復水は、ハウジングの側面に沿って液体の排出点へ流れる傾向があり、好ましくない希釈を引き起こす。これは、凹状の蓋部を有することにより回避され得る。
【0120】
スクリュリフタ-上述したように、dCCEは、固相と液相とを接触させるために単一のスクリュを備え、抽出の効率は、固体と液体との間の接触の最適化にある程度依存する。固体間の抗力及びスクリュの荷重は、スクリュの順方向の運動の間に、固体を液体の外に、且つ上方に上げる傾向がある。露出した固体は、その後、スクリュの逆方向の運動の間に液相に沈み込む傾向がある。固体が露出する、及び沈む込む量は、原料によって異なる傾向があるが、露出する及び沈む込む量が多いほど、固体と液体との間の接触は少なくなる。
【0121】
固体と液体との間の良好な接触を得ることに対処するために、露出した固体が、周期的にスクリュを横断して移動し、液体内に戻されることを確実にするように、リフタバーがハウジング内のスクリュの周囲に導入されてもよい。これは、収率の大幅な増加をもたらすことができ、CCEが、高抗力因子及び低い沈み込み因子(slump factors)を有する材料からの抽出を改善することを可能にする。
【0122】
特に、リフタバーの数及び位置は、リフタバーの間で固体が密に詰め込まれることを回避するために最適化されてもよい。リフタバーの間に詰め込まれた固体は、スクリュの動作を遅らせるか又は妨害することがあり、スクリュの壊滅的な構造上の破損を引き起こす箇所へのトルクを増加する。これは、コーヒー豆、及びサトウキビなどの高密度材料などの製品に関する問題となり得る。
【0123】
代替の実施形態において、スクリュリフタバーは、スクリュに取り付けられるリフタプレートと置き換えられる。好ましくは、スクリュリフタプレートは、スクリュに沿った様々な位置に取り外し可能に位置する。様々な構造及び様々なサイズのプレートが、処理される固体に合わせて調整され、適合され得る。スクリュリフタプレートのサイズは、全体の抽出及び収率に大きな影響を及ぼすため、取り外し可能なプレートのコンセプトは、CCE装置が、非常に幅広い原料を処理するために用いられる場合に、特に有益である。
[テルペン分離]
【0124】
有利には、本発明のdCCE装置及びプロセスは、通常、独特なアロマとフレーバを伴うテルペンの分離を容易にする。化学的に、テルペンはイソプレン(C)単位から構成される炭化水素構造である。テルペンは、通常、従来のCCEによって分離することはできない。減圧環境をもたらす能力が、テルペンの分離を可能にする。
【0125】
上述のように、本発明のdCCE装置において、テルペンの分離に影響を及ぼすために、圧力が通常約1バールだけ減少される。具体的に、テルペンは、dCCEから蒸気の形態で回収され、その後適切な温度に冷却することによって液化される。液体は、その後、好ましくないフレーバ、目標とする特定のフレーバを取り除くために蒸留及び/又は分別される。最終製品は、液化されてもよく、包装されてもよい。それらのアロマ及びフレーバによって、テルペンは、食品、化粧品、薬剤、及びバイオテクノロジー産業において広く用いられる。
[固体又は繊維の分離]
【0126】
本発明のdCCE及びプロセスはまた、固体又は繊維の分離にも有利である。図9は、目標とされる製品の製造のための再結合がその後に続く、繊維から液体を分離するためのプロセスにおけるdCCEの使用を説明するフローチャートである。
【0127】
dCCEにおける変更可能な切断ヘッド(10)の組み込みは、固体又は繊維の分離に特に有益である。繊維の最終用途が周知の場合には、その後原料は、選択された切断ヘッドを用いて所望の特定のサイズに切断されてもよい。最終用途が周知でない場合には、その後、繊維は、後のさらなる処理のためにより大きいサイズに切断されてもよい。
【0128】
別の実施形態において、原料は剥皮され、つまり原料は所望の寸法の片に切断され、表皮(skin)、樹皮又は皮(rind)を剥くための機械を通して供給される。1つ以上の剥皮の製品(樹皮、ハード、又は靭皮)がdCCEに供給されてもよい。
【0129】
次のステップは、(ベルトプレスフィルタとしても周知の)ベルトプレスを用いる脱水である。好適な実施形態において、繊維を含む原料片は、dCCEから保持タンクへ搬送される。原料片は、保持タンクから2つの移動する濾布のベルトの間へ、制御された方法で供給される。液体は、最初は重力によって、その後、濾布がローラの周りを通過するにつれて圧搾によって抽出される。液体は、ポート通って排出されてdCCEに戻される。繊維は、濾布から擦り落とされ、その後、ブリックス操作のために所望の体積の液体と混合されるか、又は糖質ゼロ(ブリックス)のままにされる混合タンクに搬送される。
【0130】
従来技術の方法は、通常およそ5ブリックス度の繊維を製造するので、糖成分の含有量を所望の目標とする結果に操作する能力は、本発明のプロセスにとって主要な差別化要因となる。湿潤繊維は、その後、バルク無菌化包装前に低温殺菌されてもよい。代替として、繊維は乾燥機に移されてもよく、乾燥繊維がバルク包装されるか、又は製粉されてもよい。乾燥繊維は、特に食品の栄養価を高めるために、栄養補助食品(dietary supplement)又は栄養補助食品(nutritional supplements)として用いられる有益な製品である。
[液体の分離]
【0131】
本発明のさらなる態様において、プロセスは、dCCEを用いる液体成分の製造を含んでもよい。図2は、液体を処理するための一実施形態のステップを説明するフローチャートである。
【0132】
液体の製造は、dCCEの背面の取り外し可能なスクリーンの追加によって強化されてもよい。スクリーンは、所望の目標とする体積を分離することを支援し、液体内に所望の量の固体を維持するのに役立つ。スクリーンは、回転可能なスクリュコンベヤの背面を越える繊維のバルク移動を阻止する。これらのスクリーンは、様々な目標とする体積の分離のために構成され、液体内の固体の所望の体積及び所望の割合に従って、容易に取り外され、置き換えられてもよい。
【0133】
dCCEから回収された液体は、例えば、仕上げ及び/又は濾過などのさらなる処理を施されてもよい。一実施形態において、液体はCCEからフィニッシャを通して搬送される。仕上げは、パルプのような固体を除去するために液体をふるいに通すことによって液体を浄化するプロセスである。仕上げはまた、それをしなければ後の濾過ステップにおいて、濾過膜を穿孔し得る固体、又は他の物質を除去する。フィニッシャは、通常パドル構造のスクリュ内の円筒状のふるいである。
【0134】
濾過は、当業者にとって周知であろう。フィルタは、細孔径によって分類され、マイクロフィルタ(0.01~1.0ミクロン)、ウルトラフィルタ(0.001~0.01ミクロン)、ナノフィルタ(0.0001~0.001ミクロン)及び、逆浸透(<0.001ミクロン)である。様々な細孔径が、>100,000(精密濾過)、1,000~300,000(限外濾過)、300~1,000(ナノ濾過)、及び100~300(逆浸透)の範囲の様々な分子量の分子を保持するために用いられ得る。通常、本発明のプロセスは、精密濾過又は限外濾過を含むであろう。
【0135】
例えば、液体が混濁搾り汁である場合、所望のブリックス度を実現するために、蒸発器を用いて水がこの製品から除去され得る。果汁の場合において、抽出された液体は、可溶性及び不溶性の食物繊維、ミネラル、ポリフェノール、及びタンパク質をまだ含み得る。さらに、これが、テルペンもまた捕集され得るポイントである。dCCE内は、所望のテルペンの沸点に到達していなくてもよい。この例における蒸発器は、濾過又は逆浸透無しで用いられる。
【0136】
透明な搾り汁又は濃縮液が所望の成分であるとき、本発明のプロセスは、ポリフェノール、ミネラル及びタンパク質を抽出するために用いられてもよい。例えば、搾り汁は、dCCEからフィニッシャへ搬送されてもよい。搾り汁はその後、精密濾過を経て、そこで未透過液は、dCCEに戻されるか、又は混濁搾り汁を製造するために用いられる。搾り汁はその後、限外濾過を経て、そこでより多くの未透過液がdCCE又は混濁搾り汁に戻される。搾り汁はその後、ナノ濾過を経て、1)未透過ミネラル、2)タンパク質、及び3)ポリフェノールの3つの流れが抽出される。ポリフェノールは、目標とするポリフェノールに応じて、藻類中心の抽出プロセス又はクロマトグラフィシステムを通して送られる。搾り汁は、別の製品である果実水の除去のために逆浸透を継続する。
【0137】
最終的な透明な搾り汁はその後、透明な搾り汁又は濃縮液の最終処理のために、蒸発器及び低温殺菌装置へ移される。
[融合]
【0138】
別の態様において、本発明は、「融合」プロセス、又は2つ以上の製品を1つにすることを含んでもよい。図3は、本発明の融合プロセスの一実施形態を説明するフローチャートである。好ましくは、1つにされる2つ以上の製品のうちの少なくとも1つは、本発明のプロセスによって生じる。融合プロセスが、繊維に他の成分、好ましくは可溶性成分をしみ込ませることを含むことが特に好ましい。可溶性成分は、健康とフレーバとの両方を増進する、例えば、糖、油、ミネラル、ポリフェノール及びプロバイオティクスを含んでもよい。
【0139】
好ましくは、向流インフュージョンが、繊維ブランク(fibre blank)に可溶性成分をしみ込ませるために用いられてもよい。繊維ブランクは、原料片、例えばリンゴ又は西洋ナシの単一の繊維(simply fibre)、又は上述のdCCEプロセスにおいて除去された、糖、油、及び他の可溶性物質を含む、果物、野菜、又は植物のあらゆる繊維である。繊維ブランクは、その後、それにインフュージョン溶液(infusion liquor)がしみ込むように向流インフューザ(CCI)を通過する。通常、インフュージョン溶液は、本発明のプロセスによって除去されてきた、糖、油、タンパク質、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、及びプロバイオティクスなどの可溶性の種を含む。
【0140】
インフュージョン溶液を制御することによって、CCIは、制御された量のインフュージョン溶液がブランクにしみ込むことを確実にすることができる。製品が、栄養学的効果、用量、又は1日の消費量に関する主張と関連する包装で販売される場合には、既知の繊維量にしみ込む液体の量の正確な測定が、特に重要である。発明のプロセスのこの態様は、ユーザが、特定の成分プロファイルを含む添加食品製品(infused food product)をデザインすることを可能にする。本発明による融合プロセスは、カウンタ医薬品及び栄養補助食品にわたり、スナックなどの可食のもの、喫煙可能なものを含む製品に適し得る。
【0141】
図8は、図7のdCCE装置を含むシステムを示す。トラフハウジング(152)内のCCEスクリュオーガ(153)は、流体を導くパイプのシステムによって供給されるシステムにおける中央ユニットである。図において、矢印(又は)は、流体の流れの方向を示す。図10は、図8に示される処理システムのための操作制御パラメータを示す制御シートを図示する。
【0142】
この図において、原料処理は、本発明による原料処理のリアルタイム最適化の方法によって制御される一連のステップを含んでもよい。例えば、予めロードされたレシピプログラムに従い、dCCEへの命令は、以下のようであってもよい。
【表1】
【0143】
CCEにとって最適な抽出時間は、通常40~60分である。CCEスクリュタイミングは、順方向及び逆方向のスクリュタイミング(1分毎に交代)を列挙する次のような表に基づいて、共振するタイミングを実現するために設定される。表2において、影付きのボックスは、最適な抽出時間を示し、他のボックスは、範囲外の時間を示した。
【表2】
[実施例]
【0144】
本発明は、次の限定されない実施例を参照して今から説明される。
[実施例1-リンゴ原料処理]
【0145】
本実施例において、原料はリンゴからなる。これは、リンゴ原料を、液体、固体、繊維、テルペン、ポリフェノール、ミネラル、タンパク質、又はそれらの組み合わせなどの多数の有益な成分に分離するために、本発明がどのように用いられ得るかを示す。従来は、リンゴ原料は、通常単一の製品を提供するために、食品産業によって処理されてきた。
【0146】
好ましくは、食品処理アレンジメントは、生産物納入トラックからのデータ転送のために構成される。輸送コンテナは、通常、起源を含む原料の履歴を追跡するために受領者によってスキャンされ得るバーコードを有する。スキャンされる情報はまた、原料の製造に用いられる証明書、散布液、散布チャート、肥料、及び殺虫剤のリストを含む他の関連のあるデータを含んでもよい。
【0147】
原料は、ブリックス、水分レベル、繊維レベル、サイズ及び重量などの情報を取り込むために、到着時に処理プラントでスキャンされるか、又は他のセンサに晒される。この初期データは、サーバにアップロードされ、データベースに原料のデジタル化されたプロファイルとして記録される。
【0148】
原料の積み荷は、その後、ホールディングビンに割り振られる。
【0149】
概して、原料は、製造工程の必要に応じて、プラントオペレータによって前へ呼ばれる。それぞれの製造工程では、レシピに基づくプロセスが実行される。本実施例において、有機のグラニースミス(Granny Smith)リンゴが前に進められ、6ブリックスの混濁搾り汁、及び軽い可溶性繊維ソリッドバー(light soluble fibre solid bar)を提供するためにDBアップルエダムレシピ(Recipe DB-Apple EAdam)を用いて製造されるように呼び出される。
【0150】
生産物は、全ての欠陥のあるリンゴ又はデトリタスを除去するために検査テーブルを通過する。リンゴはその後、HOCl又はティグルスのpH調整された洗浄ベイに通される。
【0151】
洗い流すステップに続いて、リンゴは、それらを分離機へ運ぶコンベヤベルトに沿って移動する。DBアップルエダムレシピは、
a.温度
i.抽出
ii.テルペン放出
b.時間
c.撹拌速度
d.傾斜角度
e.分散剤
f.生産物の体積
g.分散剤の体積
h.固体抽出効率
i.生産物の長辺及び短辺の切断サイズ
について規定された設定を有する。
【0152】
リンゴを移動させるコンベヤベルトには、IoTセンサが埋め込まれる。リンゴは、ブリックス、水分レベル、繊維レベル、及び重量が再びスキャンされる。IoTセンサは、このバッチのリンゴのために予めロードされたレシピをリアルタイムで最適化するために、このデータをコンピュータサーバに伝達する。データは、ネットワークによってリアルタイム情報システム(RIMS)に転送される。
【0153】
RIMSは、サーバ、データベース及びユーザインタフェースからなり、取り込まれたデータは、効率的なデジタルアルゴリズムにて処理される。アルゴリズムは、向流抽出装置(CCE)コンピュータプロセスユニット(CPU)にプッシュされてきたレシピの予め規定された設定(上述のa~g)の何れかの最適な命令及び調整を算出する。
【0154】
例えば、レシピのRIMSプロセス最適化は、EDAを用いる次の温度制御のアプリケーションをもたらすであろう。この実施例において、検出された温度(S)は、レシピ温度(N)と比較され、SがNよりも大きい場合には、その後、「製法Z」に基づいて「温度をXだけ低下させる」ために命令がCPUに送信される。命令は、その後CPU命令中継器に渡されることもあり、検出された温度は命令をリセットし、原料の流速をデータベースの「DB-spd」と比較する。これに続いて、上昇が必要とされる場合には、「温度をリセットし、その後流速を上昇させる」ための命令をCPUへ送信し、又は低下が必要とされる場合には、「流速を低下させ、その後温度をリセットする」ための命令をCPUへ送信するであろう。
【0155】
リンゴは分離機へ移動し、スライサはそれらを片に切断する。これらの片のサイズは、全体の抽出及び収率に直接関連する。サイズデータは、この場合において、「拡散切断」を調整することによって、固体抽出効率を調整するために(h-i)、DBアップルエダムレシピのリアルタイムでの最適化のためにRIMSに送信される。拡散切断は、取り外し可能な切断ヘッドのブレード幅を継続的に調整することによって制御される。拡散切断抽出を最適化することは、表面領域で用いられるブレード及び切断の種類を変化させることによって、且つ固体抽出のために用いられる切断厚さを制御することによって実現される。CCEの処理温度及び時間の制御もまた重要である。
【0156】
切断ヘッドは、CCEの単一のスクリュブレードに、取り外し可能で調整可能な切断ヘッド(10)を追加することによって改良される。このことは、処理される生産物のサイズに適した切断ヘッドの迅速且つ容易な取り外し、及び再取り付けを可能にする。これらの特徴は、サイズ、切断、及び表面領域の制御を可能にし、抽出及び収率に関して、本発明を従来技術と差別化する。このことは、処理される生産物のサイズに適した切断ヘッドの迅速且つ容易な取り外し、及び再取り付けを含む。
【0157】
リンゴスライスは、切断ヘッドから、単一スクリュCCEに追加されるエアロック投入チャンバ(1)に直接落下する。一旦、リンゴがチャンバ内に落下すると、蓋がスライドして閉鎖し、その後チャンバの床がスライドして開放され、生産物がCCEの投入領域に落下する。投入領域は、両側に気密シャッタドアを備える。リンゴは、連続的にホッパー内の蓋スライド上に落下し、その後、床が元の位置にスライドした後に、蓋スライドが再開放されるときにチャンバ内に落下する。このプロセスは、非常に高速で起こり、バルク生産物が蓋スライド上に蓄積されることは決して認められない。
【0158】
ブリックス、水分含有量、重量、及び繊維量(fibre yield)を取り込んだIoTデータは、RIMSによって、リンゴの流量及び分散剤の流量を制御し、調整するためにアルゴリズムのサブルーチンとして処理され、それゆえに、エアロック投入チャンバの動作速度及びCCEへの生産物の流入量に影響を与える。
【0159】
この投入点は、真空イネーブルメント(15)を用いて、CCE内部の圧力を減少させることを可能にするために必要である。CCEを用いるテルペンの製造は、CCEユニットを密閉し、圧力を1バールだけ減少させることによって可能にされ、それゆえに、エアロック投入チャンバが必要である。
【0160】
CCE内のリンゴの堆積は、本発明のプロセスの抽出段階の始まりである。洗い流し及び分離/スライスに続いて、データをRIMSに伝達するIoTセンサは、このバッチのリンゴのために予めロードされたレシピの初期最適化を始動させ、命令をCCEのCPUに伝達した。プロセスパラメータの次の調整は、CCE内部に存在する所定のIoTセンサによって容易となる。これらのセンサは、リンゴが処理される間にデータを取り込み、CCEの効率の継続的な最適化を可能にするために、そのデータをRIMSに中継する。RIMS及びアルゴリズムは、システムでロードされたレシピの目標とされる製品に対する、リアルタイムの製造の状態、及び操作状況を評価する。CCE内のIoTセンサは、次のパラメータを測定する。
【0161】
圧力/真空-圧力/真空をモニタし、調整する能力は、非常に高温及び低温の制御を可能にする。それはまたテルペンの回収を可能にする。これはまた、圧力/真空の最適化で製品の汚染を回避する。
【0162】
温度-温度をモニタし、調整する能力は、別のものから1つの対象物を識別し、抽出するために用いられ、ある特定のテルペンの沸点を微調整する。このリアルタイム最適化もまた、対象とする抽出物内の酸の転換又は非転換を可能にする。
【0163】
ブリックス(液体及び固液体:繊維)-液体及び固液体の収量のブリックスをモニタする能力は、拡散体積及び時間だけでなく、生産物の流量の調整も可能にする。
【0164】
重量-生産物の重量をモニタする能力は、分散液面の制御及び最適化を可能にする。生産物が少なすぎる場合、リンゴはCCEの背面に浮かぶであろう。生産物が多すぎる場合、その後、リンゴは、スクリュの上部を越えて移動するので、抽出は起こり得ない。生産物の重量は、製品をスクリュに対して押し付けて保持することによる、完全な抽出に役立つ。
【0165】
液面-CCE内の液面をモニタし、制御する能力は、CCE性能の最適化、及び目標に関するレシピの実現には不可欠である。液体と生産物との適切なバランスは、撹拌を伴って移動し、分離するのに過不足なく、浮いたり移動したりすることなく、スクリュに対して生産物を保持するのに適切な重量をもたらす。液体が多すぎる場合には、その後、液体は生産物をCCEの背面に流す。液体が少なすぎる場合には、その後、目標とされる生産物は抽出されず、液体は完全に抽出されることなく、CCEを上方へ移動するであろう。
【0166】
固液体-固液体(繊維)をモニタする能力は、以下にある撹拌を調整するために不可欠な態様である。固液体の濃度の管理は、レシピに従って目標とされる繊維の製品収率を可能にする。
【0167】
撹拌-全ての上記パラメータは、リンゴの撹拌及び前方への移動に影響を及ぼす。撹拌はモニタされるので、所望のレベルでブリックス抽出が行われていないとき、それは減速され、一旦所望の抽出が達成されると、それは加速される。CCEへの革新的な機能強化のうちの1つは、CCE内のCPUを介して制御されるユニットのトラフ全体の油圧傾斜調整である。図7は、この目的のための油圧リフト撹拌制御ユニット(18)の位置を示す。撹拌に関するデータをRIMSに送信するIoTセンサは、次に、減速又は加速の所望の効果を実現するようにトラフの傾斜を調整するために、命令がCPUへ送信されることを可能にする。
【0168】
投入点の液体拡散-液体拡散のための多数の投入点をモニタし、制御する能力は、リアルタイムの抽出の管理に役立つ。RIMSは、リアルタイムの最適化された抽出を実現するために、間隔が空けられた投入点の適切な組み合わせを選択するように、CCEのCPUに命令を伝達する。
【0169】
CCEの現在のバージョンは、リンゴ原料が、3つの目標とする生産物グループ、つまりテルペン、液体及び固体に分離されることを可能にする。
【0170】
CCEを用いるテルペンの回収は、ユニットを密閉し、約1バールだけ内部圧力を減少させることにより可能となる。CCE内部をわずかに減圧することによって、テルペンは、蒸気としてCCEから吸い出され、液化される。液体はその後、好ましくないフレーバ又は目標とする特定のフレーバを除去するために蒸留/分別を用いて分離される。最終製品は、液化されて包装される。
【0171】
CCEによる固体又は繊維の製造は、CCEの端部に交換可能な切断ヘッドを追加することによって改良されてきた。繊維の最終用途が周知である場合、そのときリンゴは特定のサイズに切断機を用いて切断される。最終用途が周知でない場合、そのときリンゴは、後の処理のためにより大きなサイズに切断される。繊維は、ベルトプレスに体積の制御を与えるためにCCEから保持タンクへ移動する。ベルトプレスは、CCEに戻される過剰な水を除去する。
【0172】
リンゴの繊維は、ブリックス操作のためにリンゴ搾り汁と混合されるか、又はリンゴ搾り汁が糖度ゼロ(ブリックス)のままにされる混合タンクに移動する。この目標とする製品結果は、本発明のプロセスとって主要な差別化要因である。従来技術の方法は、通常およそ5%ブリックスの繊維を製造する。湿潤繊維は、低温殺菌及びバルク無菌化包装のために移動し、乾燥繊維は乾燥機に移動し、その後、顧客の要求に従いバルク包装されるか、又は最終仕様に製粉される。
【0173】
CCEによるリンゴ搾り汁の製造は、スクリュの背面を越える繊維のバルク移動を停止するためにCCEの背面にスクリーンを追加することによって改良されてきた。これらのスクリーンは取り外し可能であり、液体内の固体の目標とされる体積を維持するのに役立つ。リンゴ搾り汁は、その後、固体を取り除くためにCCEからフィニッシャを通って移動する。
【0174】
5~6ブリックスの範囲である混濁リンゴ搾り汁が望まれるとき、リンゴ搾り汁を単一の濃度に戻すために、蒸発器を介して水が除去される。混濁リンゴ搾り汁は、可溶性及び非可溶性の食物繊維、ミネラル、ポリフェノール、タンパク質を含むであろう。これは、テルペンもまた捕集され得るポイントである。この実施例における蒸発器は、濾過又は逆浸透無しで用いられる。
【0175】
清澄リンゴ搾り汁又は濃縮液が目標とする製品であるとき、ポリフェノール、ミネラル及びタンパク質もまた抽出される。リンゴ搾り汁は、固体、及びさらなる処理において用いられる濾過膜を穿孔し得るものを除去するためにCCEからフィニッシャへ移動する。リンゴ搾り汁は、精密濾過ステップに進み、ここで未透過液はCCE装置に戻って加えられるか、又は混濁搾り汁を作成するために用いられる。
【0176】
次のステップは、リンゴ搾り汁の限外濾過であり、ここで、より多くの未透過液がCCEに戻されて加えられるか、混濁搾り汁となる。リンゴ搾り汁は、その後ナノ濾過を通って移動し、3つの流れ、つまり1)未透過ミネラル、2)タンパク質、又は3)ポリフェノールが抽出される。ポリフェノールは、目標とするポリフェノールに応じて、藻類中心の抽出プロセス又はクロマトグラフィシステムを通って送られる。搾り汁は、別の製品である果実水の除去のために逆浸透を続ける。最終的な清澄搾り汁は、その後、蒸発器及び低温殺菌装置へ移動する。
[向流インフュージョン(CCI)]
【0177】
向流インフュージョンは、上述のCCEプロセスにおける(リンゴ搾り汁からの)糖の最初の抽出、及びブランク繊維の生成によるインフュージョン成分をリンゴ繊維にしみ込ませるために用いられる。ブランク繊維は、全ての糖、油、及び他の可溶性物質が除去されたリンゴの繊維である。ブランク繊維は、その後、除去されたものと同量の成分をブランクにしみ込ませるためにCCIを通り抜ける。これらの成分は、通常可溶性であり、糖、油、タンパク質、ビタミン、ミネラル及びポリフェノール又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0178】
インフュージョン溶液の組成を制御することによって、CCIは、制御された量のインフュージョン溶液が、ブランクに再びしみ込むことを確実にすることができる。
[リンゴ製品]
【0179】
本発明のプロセスは、それゆえに、無駄なく処理される原料の100%を用いることによる製品の製造を可能にする。リンゴから製造され得る製品の選択肢は、限定されるものではないが、以下を含む。
[生物活性化合物(ポリフェノール)]
【0180】
ポリフェノール(フェノール性化合物)は、植物界に広く分布する二次化合物である。それらは、一般的に可食及び非可食の植物の両方に見られ、抗酸化活性を含む多数の生物学的効果を有すると報告されてきた。それらは、いくつかのクラス、つまりフラボノイド(フラボン、フラボノール、フラバノール、フラバノン、イソフラボン、アントシアニジン)、フェノール酸(ヒドロキシ安息香酸、及びヒドロキシ桂皮酸)、スチルベン、及びリグナンに分類され、これらは、葉、開花組織(flowering tissues)、幹及び樹皮などの木質部分に特によく見られる。
【0181】
特定の生物活性化合物のそれぞれは、リンゴ原料から回収され、それぞれは固有の栄養価の利点を有する。これらの生物活性化合物は、健康栄養食品及び補助製品の製造に取り入れられる。以下のテーブルは、通常リンゴ原料に存在する生物活性化合物を挙げている。
【表3】
【0182】
本発明のCCE装置は、本発明による原料から製品を回収するためのプロセスにおける原料処理ステップを実行するために用いられ得る。代替として、又は加えて、CCE装置は、従来技術のプロセスからの原料を処理するために用いられ得る。これは、処理の経済的側面を最大限に高める、収率を最大にする、又は廃棄物を最小にする、好ましくは廃棄物を廃絶するためなどの幅広い理由のために行われてもよい。
【0183】
例えば、CCE装置は、廃棄物の流れを処理するために、1つ以上の既存の原料処理プラントに後付けされてもよい。廃棄物の流れは、生の果実、又は他の処理プラントからの他の廃棄物の流れと組み合わされ得るであろう。
【0184】
別の実施例において、CCE装置は、従来技術のプロセスから直接得られる原料を用いてもよい。これは、例えば、法令によって、果物及び野菜の皮(skin)及びピール(peel)を、搾り汁の製造に用いることが禁止される法域において起こり得る。この種の禁止は、いくつかの国における柑橘類の処理に適用される。それゆえに、CCEのための原料は、ベルトプレスを用いることなどによる、従来技術の搾る、又は剥くプロセスから供給されるであろう。
[実施例2-サトウキビ原料処理]
【0185】
本実施例において、原料はサトウキビからなる。この実施例は、サトウキビバイオマスの、(i)スクロース及び(ii)バイオ燃料の形態のバイオエネルギのような有益な成分への分離を説明する。
[初期処理]
【0186】
サトウキビは、処理プラントに運ばれてくる。必要であれば、ビレット(billets)は、受入ビンへの輸送に先立って、葉物質を除去し、有機物を剥離するためのデトラッシュ(detrashing)ユニットを通され、これには、さらなる処理が施されてもよい。
【0187】
必要であれば、サトウキビは、デトラッシュユニットから、サトウキビの外面から土及び他の好ましくない物質が洗浄される洗浄ステーションへ搬送される。このことは、処理される材料の品質を維持する。
【0188】
サトウキビの茎(ビレット)の形態の長茎バイオマスが、サトウキビ畑において所望の長さに切断されていない場合には、それらは、処理プラントで所望の長さに切断される。
[サトウキビ剥皮]
【0189】
処理における通常の次のステップは、ビレットを3つの構成部分、つまり、
-トリシンの抽出、及び他の生物活性物及びワックスの抽出のために原料として用いられ得る樹皮(2重量%)、
-糖及び食物繊維成分の回収のために原料として用いられ得るハード(80重量%)、
-下工程エネルギ生成のためのセルロース及びリグニンの回収のために原料として用いられ得る靭皮(18重量%)、
に分離する剥皮である。
【0190】
図12は、本発明による使用に適切な剥皮機の一実施形態を示す設計略図である。剥皮機の使用がサトウキビビレットに関して説明される一方で、当然のことながら、剥皮機は、通常は長茎植物の形態である幅広い植物バイオマスを用いる、より一般的な使用に適する。
【0191】
長茎バイオマスは、茎が「ピンが落下する」ように、バイオマスの茎を長手方向に整列させるじょうご状のシュート(31)を通って剥皮機に自重で供給される。
【0192】
バイオマスの長茎は、バイオマス供給茎を把持し、一定の予め定められた直径まで搾る一対のサイジング輪(sizing wheels)(32)の間の把持領域(33)に落下する。サイジング輪(32)の回転方向は、曲線矢印によって示される。サイジング輪(32)の回転は、特定のサイズにされたバイオマス供給を、剥皮機の内部フレーム(47)に取り付けられた切断ヘッド(34)の上方に高速で押し出す。
【0193】
切断ヘッド(34)は、バイオマス供給茎を、通常2つの半分の茎に長手方向に切断する。2つの半分のそれぞれは、切断ヘッド(34)の何れかの側を、内部通路(37)及び第1ガイド輪(36)によって案内されて下方に進む。第1ガイド輪(36)の回転方向は、曲線矢印によって示される。バイオマス供給は、それゆえに、剥皮の第1段階に案内される。バイオマス供給は、剥皮機のそれぞれの側を、「鏡像」の形で下方に進み続ける。
[剥皮の第1段階]
【0194】
剥皮の第1段階は、ハード、又は茎の木質の内部を除去する。バイオマス供給はその後、輸送輪(41)と、隣接する切断輪(40)との間の間隙に入る。バイオマス供給は、輸送輪(41)と、隣接する切断輪(40)との間の間隙を通過する。
【0195】
切断輪(40)、輸送輪(41)、及び第2ガイド輪(48)のそれぞれの回転方向は、曲線矢印によって示される。輸送輪(41)は、切断輪(40)よりも遅く回転し、それゆえに、バイオマス供給茎の外側の樹皮層を把持する。切断輪(40)は、バイオマス供給茎の内側のハードを除去する。輸送輪(41)と切断輪(40)との間の間隙のサイズは、バイオマス供給茎の外樹皮層上で除去されるか又は残されるハードの割合を決定する。
【0196】
除去されたハードは、おが屑に類似する粒子状物質に微粉化され、排出パイプをコンベヤベルト(図示無し)へ落下する。ハードは、貯蔵され得るか、又は(以下に説明される)下工程のプロセスに直接供給され得る。
[剥皮の第2段階]
【0197】
剥皮の第1段階からの(少なくともハードの一部が引かれた)バイオマス供給は、長く細長い片のようであり、剥皮の第2段階に進む。第2段階は、外表皮の樹皮を、後に除去するための対象とする。
【0198】
バイオマス供給は、第2輸送輪(43)と隣接する第2切断輪(42)との間の間隙に入る。第2輸送輪(43)及び第2切断輪(42)の回転方向は、曲線矢印によって示される。第2切断輪(42)は、第1切断輪(40)とは逆方向に回転する。同様に、第2輸送輪(43)は、第1輸送輪(41)とは逆方向に回転する。除去される樹皮はおが屑のようであり、水又は空気の加圧流によって回転する第2切断輪(42)から取り出される。樹皮は、排出パイプをコンベヤベルト(図示無し)上へと落下する。樹皮は、貯蔵され得るか、又は(以下に説明される)下工程のプロセスに直接供給され得る。
【0199】
この処理から出てくるものが靭皮であり、これは長い繊維状の紐のように見える。靭皮製品は、排出パイプに沿って押し出される。
【0200】
好適な実施形態において、剥皮機の外箱(45)は、上部の中央枢支ピン(46)で輸送輪及び切断輪に適合するガルウイング構造で設計される。ハウジング(45)は、メンテナンス、安全点検及び、切断ヘッド(34)を変更するなどの新たなバイオマス処理のための構造変更、のために剥皮機の内部へのアクセスをもたらすように、枢支ピン(46)回りに回動され得るか、又は枢支され得る。切断ヘッド(34)、切断輪(40,42)及び輸送輪(41,43)は、輪を回転させるためのモータを収納し、ユニットに安定性をもたらす剥皮機の内部フレーム(47)に取り付けられる。切断ヘッド(34)及び輸送輪(41,43)などの全ての可動部は、このフレームに取り外し可能に取り付けられる。好適な実施形態において、切断刃(34)及び輸送輪(41,43)は、点検及び構造変更のための容易な取り外しのために、内部フレーム(47)に「クリップ式で留め」られる。
[ハードからの糖の抽出]
【0201】
剥皮にて生成されるハードは、分散液として温水を用いて糖が抽出されるCCE装置に供給されてもよい。抽出された糖液は、10~11のブリックス値を有し、その後、より大きな固体を濾過して除去するために0.5mmのスクリーンを有する振動ふるい機を通される。
[精密濾過]
【0202】
0.1mmフィルタを用いる精密濾過は、抽出物内のより小さな固体及びバクテリアを除去する。抽出された糖液は、従来技術の糖蒸発器を用いて処理するために送られてもよく、上質な耕地(未精製)糖を製造するために結晶化されてもよい。この単純なプロセスは、従来のプロセスと異なる利点を有し、これは、結晶化された糖を洗浄し、白くするために何れの化学薬品又は他の化学物質も用いない。
【0203】
糖溶液からさらにポリフェノール及びミネラルを抽出したい場合には、その後、次のステップが利用されてもよい。
[限外濾過]
【0204】
限外濾過は、精密濾過からの未透過液から、ポリフェノール化合物、及び抽出されたミネラル塩の大部分を除去するために用いられ得る。これは、他の製品を作るためにさらに精製され得るポリフェノール及びミネラルの濃縮液をもたらす。この段階で濾過された抽出物は何れも、蒸発を介して濃縮されて糖液(以下参照)として残され得るか、糖結晶を製造するために用いられ得る。
[イオン交換]
【0205】
イオン交換プロセスは、糖溶液内のあらゆる色をさらに減少させるために必要に応じて用いられてもよい。樹脂交換カラムなどのイオン交換装置は、当該技術において周知であり、本発明による処理プラントにおいて容易に組み込まれ得る。濃色のポリフェノール化合物は、外観に優れたより軽量の製品を製造するために、ポリマー交換樹脂と結合することによって選択的に除去されてもよい。
[蒸発器]
【0206】
蒸発器は、当該技術において周知の別の装置であり、処理プラントに容易に組み込まれ得る。蒸発器は、糖液が、糖液からの水分蒸発によって、通常70ブリックスを超えるレベルに結晶化され得る条件を作り出す。蒸発プロセスからの水分は回収されて飲料、飲料混合物として用いられ得るか、又はさらなる糖の抽出のためにCCEに戻され得る。
[ハードからの繊維-人間又は動物消費のため]
【0207】
抽出された繊維は、CCEの上部から出て、Comitrol(登録商標)ブランド切断ヘッドなどの切断ヘッドに入るであろう。切断ヘッド上のゲージは、必要であれば、所望の繊維長などに設定されてもよい。
【0208】
およそ85%の水分を有する、収集された抽出繊維は、バランスタンクに注入され、その後、およそ70~75重量%に水分レベルを減少させるために圧搾されるベルトプレスへ送られる。回収された水分は、CCE装置に戻されてもよい。
【0209】
圧搾された繊維は、さらに乾燥させるために回転炉に供給され得る。一旦約8%より少ない水分レベルに乾燥されると、繊維は製粉され、袋詰めされ得る。乾燥中に除去される水は、液化されてCCEに戻され、プラント内で清掃に用いられ得るか、又は農業などの他の用途のために配備され得る。
[樹皮処理]
【0210】
樹皮処理は、通常、植物の表皮における特定の製品の回収を目的にするためにのみ用いられ得る。糖のみ、又は糖及びコジェネエネルギの回収が望まれる場合には、そのとき、靭皮から樹皮を除去する必要は無い。樹皮処理は高価なプロセスであり、いくつかが次の段落で説明される高価な製品の回収のためにのみ経済的に実行可能である。
[CCE内のエタノールを用いる溶媒抽出]
【0211】
樹皮は、スパーク(spark)及びフラッシュ(flash)に耐えられるように設計されるCCEユニット内で抽出されてもよい。水溶性でない表皮内の生物活性物質を抽出するために、抽出分散液が、水で18%に希釈されたエタノールを含むので、このことは必要である。これらは、かなりの商業的価値のあるトリシン、ポリフェノール及び脂質を樹皮内に含む。抽出物は、より大きな固体を除去するために1mmのふるいを介してふるいにかけられる。
【0212】
抽出物内の生物活性化合物を濃縮するために、蒸発器がエタノール及び水を除去するために用いられる。蒸発によって除去された水及びエタノールは、液化されて他の目的のために用いられ得る。
[抽出後のエネルギのためのハード及び樹皮処理]
【0213】
ハード及び樹皮は両方とも、ハードからの糖、及び樹皮からのポリフェノールの抽出後にエネルギに処理するのに適している。例えば、ハード及び樹皮バイオマスは、ペレットに処理され、その後所望の水分含有量に乾燥されてもよい。図11に示されるプロセスのステップに示されるように、回収された繊維は、ペレットに処理され、乾燥され、その後発電のためのガスの製造に用いられてもよい。乾燥されたペレットの高温熱分解は、水素を多く含む合成ガス、及びその後濾過される一酸化炭素を生成する。バイオ炭及びグラフェンは、バイオマスの熱分解によって製造されて取り出され、土壌改良などの目的のために用いられ得る。
[エネルギのための靭皮及び樹皮処理-エタノール、バイオディーゼル及び水素]
【0214】
上述のプロセスは、靭皮及び樹皮、又は靭皮単独のためにも用いられ得る。靭皮は、通常所望の長さに切断され、図11に示される反応ステップにおける変換のために乾燥ペレット(38)に処理される。バイオマスをさらに乾燥させる必要がある場合には、処理前に長期間保管され得る。
【0215】
樹皮の除去は、プロセスにおいて好ましくない副生成物を生じ得るワックスの抽出を回避することが好ましい。ワックスは、もちろん商業的価値はあるので、それらは、それらの除去が必要とされる場合に、廃棄物の流れと考えられる。
【0216】
バイオマスは、繊維内の目標物をさらに「解繊する」ために酵素が添加されるバランスタンクに移される。液体目標物は、バイオエタノールを生成するためのリグニン及びセルロースと、バイオディーゼル、木酢、バイオ炭、及び熱エネルギを生成するために熱分解される繊維である。バランスタンクは、繊維がリグニン及びセルロース材料から分離されるCCE装置へのバイオマスの供給量を安定させる。
[液体]
【0217】
液体流は、セルロース、リグニン及び水の混合である。液体は、遠心分離又は膜濾過などのあらゆる都合の良い手段を用いてリグニン及びセルロースから水が分離される前に、あらゆる期限切れの酵素を除去するために粗濾過器を通過する。エタノールが望まれるか否かに応じて、混合流がプロセスに直接供給され得るか、又はエタノール/バイオエネルギへのさらなる精製のために、液体がリグニン及びセルロース流に分離される。
[実施例3-ヘンプ/ケナフ処理]
【0218】
本実施例において、原料は、ヘンプ又はケナフなどの高繊維生成物からなる。この実施例は、(i)バイオ燃料の形態のエネルギ、(ii)綿代替品、及び(iii)人間又は動物が消費するための植物由来のタンパク質、のような有効成分へのヘンプ又はケナフバイオマスの分離を示す。
[初期処理]
【0219】
ヘンプの茎が処理プラントに運び込まれる。茎が、ケーン(cane)畑で所望の長さに切断されていない場合には、それらは処理プラントで所望の長さに切断される。
【0220】
必要であれば、茎は、受入ビンへの輸送に先立って、葉物質を除去し、有機物を剥離するためのデトラッシュユニットを通され、これは、動物飼料での第2段階の再利用のために分離プロセスに渡される。
【0221】
必要であれば、茎は、デトラッシュユニットから、茎の外側から土及び他の好ましくない物質が洗浄される洗浄ステーションへ搬送される。このことは、処理される材料の品質を維持する。
[茎の剥皮]
【0222】
茎は、ケーンを3つの異なる部分、つまり、
-(靭皮を高純度にする必要がある場合に靭皮から除去され)、エネルギの生成、又は最高品質の生物活性物質の抽出のために用いられる、2重量%の樹皮、
-短繊維、リグニンの大部分、及びより少ないセルロースを含み、ヘンプクリートにおける接着のため、及びエネルギ生成のために用いられる、60~70重量%のハード、
-長繊維ストランドの大部分を有し、セルロースが多くてリグニンが少なく、主に織物及びエネルギ生成のために用いられる、30~40重量%の靭皮、
に分離するために機械を通して加速される。
[ハード処理]
【0223】
エネルギが、ハードから唯一望まれる生産物である場合、そのとき、取り出された物質は、ペレット化ユニットに移され、その後、水分が14%に減少されるであろう乾燥ユニットに移される。ペレットは、その後、図11に示されるエネルギ生成のために用いられ得る。
【0224】
代替として、ハードからの抽出が行われる場合、それはコンベヤベルトでCCE装置に送られ、分散液として温水又は冷水を用いて抽出される。抽出された液体は、セルロース、リグニン、デンプン、タンパク質及び糖を含み得る。
【0225】
これらの抽出物の二次的な処理は、液体デンプン、タンパク質、糖、及びセルロース及びリグニンとしてのエネルギ変換などの所望の経済的な成果に基づき得る。
[繊維処理]
【0226】
上述の抽出された繊維は、CCEの上部から出て、水分を除去するためのベルトプレスに供給され得る。抽出された繊維はおよそ85%が水分であり、水分含有量をおよそ70~75%に減少させるために圧搾されてもよい。回収された水は、CCEに戻され得る。
【0227】
圧搾された繊維は、ペレット化されて、さらなる乾燥のために送られてもよい。一旦、水分14%の水分レベルに乾燥されると、繊維は、後のエネルギ変換のために貯蔵され得る。乾燥によって除去された水は、液化されてCCEにおいて再利用され得るか、清掃のために処理プラントにおいて用いられ得るか、又は農業を含む他の用途のために配備され得る。
[樹皮処理]
【0228】
樹皮処理は、植物の表皮内の特定の高価なポリフェノール製品が望まれるとき、又は織物への変換のための靭皮を取り除くためにのみ必要とされる。エネルギ回収が唯一の目的である場合には、その後、樹皮が靭皮から除去される必要は無い。これは、高価なプロセスであり、高価な製品の回収のためにのみ価値がある。
[CCEにおけるエタノールを用いる溶媒抽出]
【0229】
樹皮層は、18%の水性エタノール溶液などの可燃性の抽出分散液を用いることによって、スパーク及びフラッシュに耐え得るよう設計されるCCEにて抽出される。エタノールは、トリシン、及びかなり商業的価値のある他の脂質などの水溶性でない樹皮内の生物活性物質を抽出するために用いられる。抽出物は、蒸発器内で濃縮される前に1mmのふるいを介してふるいにかけられる。
【0230】
蒸発器は、溶媒を除去するため、及び抽出物内の生物活性化合物を濃縮するために用いられ得る。溶媒は、回収されて再利用され得る。濃縮液は、その後関連する生物活性物質のさらなる抽出のために送られる。
【0231】
残りの繊維は、圧搾されてペレット化され、保管のために14%の水分に乾燥される。これは例えば、図11に示されるエネルギ変換プロセスにおいて用いられてもよい。
[織物のための靭皮処理]
【0232】
樹皮が剥皮機によって除去されるか否かに関わらず、靭皮の処理は、上述と同様である。靭皮は、CCE装置に適した長さに切断され、そこでそれが処理されて、所望の長さの処理された繊維を得る。切断された靭皮は、その後、繊維の解繊を促進し、靭皮のゴムを除去するために酵素を含むバラストタンクに移される。酵素の種類は、必要とされる抽出物の量及び繊維ストランドの最適な分解量によって決定されるであろう。それらがCCEを通過するときに、繊維ストランドは解繊され、セルロース、リグニン、糖及びデンプンを含む液体流を放出する。これらの抽出物は、第2の分離プロセス及びエネルギへの変換のためのプロセスに移行され得る。
[液体]
【0233】
液体流は、セルロース、リグニン、デンプン及び水の混合である。液体は、遠心分離又は膜濾過などのあらゆる都合の良い手段を用いてリグニン及びセルロースから水が分離される前に、あらゆる期限切れの酵素を除去するために粗濾過器を通過する。エタノールの生成が望まれるか否かに応じて、混合流が処理され得るか、又はエタノール/バイオエネルギへのさらなる精製のために、液体がリグニン及びセルロース流に分離され得る。
【0234】
一旦、CCEの端部から取り出されると、繊維は、乾燥、及び代替の綿、紙、段ボール、又は幾つもの織物素材への処理のための準備ができている。
[エネルギのための靭皮処理]
【0235】
ハードが剥皮機によって靭皮から除去されるか否かに関わらず、靭皮の処理は、上述と同様である。靭皮は、保管及びエネルギへの変換のために所望の長さに切断され、14%の水分に乾燥される。
[エネルギ変換のためのバイオマスのペレット化]
【0236】
ペレット化されたバイオマスは、図11に描写されるようなシステムに最適に供給される。バイオマスは、例えば、
・再生可能燃料-ディーゼル、アブガス、エタノール及び水素
・バイオ炭/グラフェン
・木酢
・水
に変換され得る。
【0237】
一般的に、ペレット化されたバイオマスは、様々な程度の収率及び製品品質を伴って、従来技術の熱分解プロセスのほとんどの種類において用いられもよい。
[エネルギへの液体変換]
【0238】
バイオマス内の様々な他の有益な製品は、バイオマスがエネルギに変換される前に、(CCEを用いることなどによって)抽出され得るか、又は(剥皮を用いることなどによって)分離され得る。本発明のプロセスの利点の1つは、バイオマス変換を改善するために好ましくない副生成物又は不純物を除去する必要無く、バイオマスからエネルギへの変換をもたらすことである。これは、サトウキビ、及びパームなどの原料由来の油を含む幅広いバイオマス原料について当てはまる。
[実施例の議論]
【0239】
実施例は、剥皮機及び/又は向流抽出装置が、原料から製品を取り出すために用いられ得る本発明の実施形態を説明する。
【0240】
実施例2及び実施例3を特に参照すると、本発明は、
(i)原料を靭皮、ハード、及び樹皮に分離するために原料を剥皮機に通すステップと、
(ii)向流抽出装置において靭皮、ハード、及び樹皮のうちの少なくとも1つをさらに個別に処理するステップと、
を含み、
靭皮は圧搾され、乾燥され、さらに貯蔵され、
且つ/又は、
ハード及び/又は樹皮は、1つ以上のタール、木酢(木酢液)、水素及びバイオ炭を製造するために、圧搾され、乾燥され、さらに熱分解される、
原料を処理するためのシステムを提供する。
【0241】
このシステムは、図13により詳細に説明され、向流抽出と剥皮との中間にあるステップを含む。
【0242】
当業者の一人は、特に例示されているもの以外の材料及び方法が、必要以上の実験を用いることなく、本発明の実施に採用され得ることを理解するであろう。あらゆるこのような材料及び方法の周知の機能的に等価な全ての技術は、この発明に含まれると意図される。使用されてきた用語及び表現は、説明の用語として用いられ、限定されるものではなく、このような用語及び表現を用いることにおいて、示され、説明される特徴又はその部分のあらゆる等価物を排除することを意図しておらず、特許請求される本発明の範囲内で様々な変形が可能であると認識される。それゆえに、本発明は、実施例、好適な実施形態、及び選択的な特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示される概念の変形及び変更は、当業者によって行われてもよく、且つ、そのような変形及び変更は、添付の特許請求の範囲に規定されるこの発明の範囲内であると考えられると理解されるべきである。
【0243】
本明細書の引用文献のそれぞれは、参照することによりその全体が本明細書に援用される。このような参考文献は、本発明の付加的な使用法だけでなく、材料、代替材料、方法の詳細の情報源を提供してもよい。
【0244】
本発明の実施形態のさらなる適用可能な範囲は、本明細書に記載の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本明細書に開示の主旨及び範囲内の様々な変更及び変形は、この詳細な説明から当業者にとって明らかとなるので、本発明の好適な実施形態を示す一方で、その説明及び特定の実施例は、実例として記載されるのみであると理解されるべきである。
【0245】
また、添付の図面に示される、且つ次の明細に記載される特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲において規定される発明概念の単なる例示的実施形態であると理解されるべきである。それゆえに、特許請求の範囲に別段の明記がない限りは、本明細書に開示される実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的な特徴は制限とは考慮されない。さらに、特に定めの無い限り、与えられた方向などに、又はその方向などに沿って延びる構成要素の特定の特徴の議論は、特に定めの無い限り、特徴又は構成要素が、そのような方向の直線又は軸をたどること、又は他の方向成分又は偏向なく、そのような方向、又はそのような平面上に延びることを意味しないと理解されるべきである。
【0246】
この発明が、その特定の実施形態と関連して説明されてきた一方で、さらなる変形が可能であると理解されるであろう。この出願は、一般に、本発明の主題に従う本発明のあらゆる変形、使用法、又は適応を網羅すると意図され、本発明が関連する技術内での周知の又は従来の実施に該当するような、且つ前述の本質的特徴に適用され得るような本開示からのそのような逸脱を含む。
【0247】
本発明は、本発明の本質的特徴の主旨から逸脱することなく、いくつかの形態で具体化されてもよいので、上述の実施形態が、特に定めの無い限り本発明を限定することなく、むしろ添付の特許請求の範囲で規定されるような本発明の主旨及び範囲内で広く解釈されるべきであると、理解されるべきである。説明された実施形態は、全ての点において、一例に過ぎず、限定されるものではないと考慮される。
【0248】
様々な変形及び等価な配置は、本発明及び添付の特許請求の主旨及び範囲内に含まれることが意図される。それゆえに、特定の実施形態は、本発明の主題が実行され得る多くの方法を説明するものであると理解されるべきである。次の特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、規定された機能を実行する構造、及び構造上の等価物(structural equivalents)だけでなく、等価構造(equivalent structures)も網羅すると意図される。例えば、釘及びスクリュは、構造上の等価物でない、つまり、スクリュは、木製部品を互いに固定するために螺旋表面を使用する一方で、釘は、木製部品を互いに固定するために円柱面を使用するが、木製部品を締結する状況において、釘とスクリュとは等価構造である。
【0249】
「サーバ」、「安全なサーバ」という用語、又は類似の用語が本明細書において用いられる場合には、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、通信装置は、通信システムにおいて用いられてもよいと説明され、本発明を任意の特定の通信装置の種類に限定すると解釈されるべきでないことに留意すべきである。それゆえに、通信装置は、限定されるものではないが、安全か、又は安全でないかもしれないブリッジ、ルータ、ブリッジルータ(ルータ)、スイッチ、ノード、又は他の通信装置を含んでもよい。
【0250】
本発明の様々な態様を明らかにするために本明細書においてフローチャートが用いられる場合には、本発明を任意の特定の論理フロー又は論理実行に限定すると解釈されるべきでないことにも留意すべきである。記載される論理は、最終的な結果を変化させることなく、又は、そうでなければ本発明の真の範囲から逸脱することなく、様々な論理ブロック(例えば、プログラム、モジュール、機能、又はサブルーチン)に分割されてもよい。論理要素は、最終的な結果を変化させることなく、又は本発明の真の範囲から逸脱することなく、頻繁に、追加され、変形され、省略され、異なる順序で実施され、又は様々な論理構造(例えば、論理ゲート、ループプリミティブ、条件付き論理、及び他の論理構造)を用いて実施されてもよい。
【0251】
本発明の様々な実施形態は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、又は汎用コンピュータ、及びさらに言えば、任意の商業的なプロセッサが、システムにおいてシングルプロセッサ、シリアル又はパラレルの一組のプロセッサの何れかとして本発明の実施形態を実行するために用いられてもよく、それゆえに、商業的なプロセッサの例は、限定されるものではないが、MercedTM、PentiumTM、Penitum IITM、XeonTM、CeleronTM、Pentium ProTM、EfficeonTM、AthlonTM、AMDTMなどを含む)で用いるためのコンピュータプログラム論理、プログラマブル論理装置(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のPLD)で用いるプログラマブル論理、個別部品、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))又は任意のそれらの組み合わせを含む任意の他の手段、を含む多くの異なる形で具体化されてもよい。本発明の例示的な実施形態において、ユーザとサーバとの間のほぼ全ての連絡は、コンピュータ実行可能な形式に変換され、そのようにコンピュータ可読媒体に保存され、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行される、一連のコンピュータプログラム命令として実施される。
【0252】
本明細書に記載される機能の全て又は一部を実施するコンピュータプログラム論理は、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、及び様々な中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、又はロケータによって生成される形式)を含む様々な形式で具体化されてもよい。ソースコードは、様々なプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、又はFortran、C、C++、JAVA、又はHTMLなどの高級言語、の何れかにて実施される一連のコンピュータプログラム命令を含んでもよい。さらに、本発明の実施形態を実施するために、用いられ得る数百の利用可能なコンピュータ言語があり、様々なオペレーティングシステム又は動作環境で用いるために、中でもより一般的なものは、Ada、Algol、APL、awk、Basic、C、C++、Conol、Delphi、Eiffel、Euphoria、Forth、Fortran、HTML、Icon、Java、Javascript、Lisp、Logo、Mathematica、MatLab、Miranda、Modula-2、Oberon、Pascal、Perl、PL/I、Prolog、Python、Rexx、SAS、Scheme、sed、Simula、Smalltalk、Snobol、SQL、Visual Basic、Visual C++、Linux、及びXMLである。)ソースコードは、様々なデータ構造及び通信メッセージを規定し、使用してもよい。ソースコードは、(例えば、インタープリタを介して)コンピュータ実行可能な形式であってもよく、又はソースコードは、(例えば、トランスレータ、アセンブラ、又はコンパイラを介して)コンピュータ実行可能な形式に変換されてもよい。
【0253】
コンピュータプログラムは、半導体メモリ装置(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光メモリ装置(例えば、CD-ROM又はDVD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)又は他のメモリ装置などの有形記憶媒体に任意の形式(例えば、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、又は中間形式)で、恒久的に又は一時的に固定されてもよい。コンピュータプログラムは、決して限定されるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、ワイヤレス技術(例えば、ブルートゥース)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含む様々な通信技術の何れかを用いてコンピュータに送信可能な信号に任意の形式で固定されてもよい。コンピュータプログラムは、印刷された文書、又は電子文書が添付されるリムーバブル記憶媒体(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)のような任意の形態で流通されてもよく、(例えば、システムROM又は固定ディスク上に)コンピュータシステムを用いて予めロードされてもよく、又は通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)上で、サーバ又は電子掲示板から流通されてもよい。
【0254】
本明細書に記載の機能の全て、又は一部を実施する(プログラマブル論理装置で用いるためのプログラマブル論理を含む)ハードウェア論理は、従来の手動の方法を用いて設計されてもよく、又はコンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL又はAHDL)、又はPLDプログラミング言語(例えば、PALSAM、ABEL、CUPL)などの様々なツールを用いて設計され、取り込まれ、シミュレーションされ、又は電子文書化されてもよい。ハードウェア論理はまた、本発明の実施形態を実施するために表示スクリーンに組み込まれてもよく、それは、セグメント化された表示スクリーン、アナログ表示スクリーン、デジタル表示スクリーン、CRT、LEDスクリーン、プラズマスクリーン、液晶ダイオードスクリーンなどであってもよい。
【0255】
プログラマブル論理は、半導体メモリ装置(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光メモリ装置(例えば、CD-ROM又はDVD-ROM)又は他のメモリ装置などの有形記憶媒体に、恒久的に又は一時的に固定されてもよい。プログラマブル論理は、決して限定されるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、ワイヤレス技術(例えば、ブルートゥース)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含む様々な通信技術の何れかを用いてコンピュータに送信可能な信号に固定されてもよい。プログラマブル論理は、印刷された文書、又は電子文書が添付されるリムーバブル記憶媒体(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)として流通されてもよく、(例えば、システムROM又は固定ディスク上に)コンピュータシステムを用いて予めロードされてもよく、又は通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)上で、サーバ又は電子掲示板から流通されてもよい。
【0256】
例えば、温度範囲、時間範囲又は成分又は濃度範囲などの範囲が明細書に与えられるときはいつでも、与えられた範囲に含まれる全ての個別の値だけでなく、全ての中間範囲及び部分範囲も、開示に含まれることが意図される。本明細書の説明に含まれる、あらゆる部分範囲、又は範囲又は部分範囲内の個別の値は、本明細書の特許請求の範囲から除外され得ると理解されるであろう。
【0257】
本明細書にて用いられるように、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」又は「特徴付けられる」と同義であり、全てを含む、又はオープンエンドであり、追加の、記載されない要素又は方法ステップを排除しない。本明細書にて用いられるように、「からなる」は、請求項の要素に明記されない全ての要素、ステップ又は要因を排除する。本明細書にて用いられるように、「本質的にからなる」は、請求項の基本及び新規の特徴に著しく影響を及ぼさない材料又はステップを排除しない。幅広い用語の「含む(comprising)」は、より狭い「本質的にからなる」及び、さらに狭い「からなる」を包含すると意図される。それゆえに、「1つ以上の請求項の要素を含む」(例えば、Aを含む)の句の本明細書における任意の記載において、この句は、より狭い、例えば「本質的にAからなる」及び「Aからなる」を包含すると意図される。それゆえに、より広い語句「含む」は、「本質的にからなる」又は「からなる」の何れかとしての本明細書におけるそれぞれの使用において明確なサポートをもたらすと意図される。本明細書に適切に例示的に記載される発明は、本明細書で具体的に開示されていない何れの要素(element)又は要素(elements)、制限(limitation)又は制限(limitations)も無い場合には実施されてもよい。
【符号の説明】
【0258】
[部品のリスト(図7)]
1…エアロックチャンバ、2…密閉可能なヒンジ蓋、3…モータ及び機器、4…CCE軸に取り付けられる(内部)スクリーンサポート、5…ヘッダー管からジャケットへのボールバルブ、6…クレーンのための吊り金具、7…内部スクリーン前面の排出ポート、8…リサイクル搾り汁熱交換器投入口、9…トラフ本体上の温水ジャケット、10…単一スクリュブレードのためのCCEから取り外し可能且つ調整可能な切断ヘッド、11…調整可能な拡散間隔が空けられた投入点、12…切断機を所定の位置に移動するレール、13…調整可能な拡散間隔が空けられた投入点、14…ジャケットパネルのための温水又は蒸気ヘッダパイプ、15…テルペン回収のためのCCE真空イネーブルメント、16…増大した固体の排出点、17…CCEを開放するための二重作動ラム(double actuating ram)、18…油圧リフト撹拌制御ユニット、19…外部軸受、20…二重ゲートバルブ油圧・空圧排出点、21…溶媒温度を測定するための温度プローブ用のトライクランプ、22…(次の処理段階のために繊維を準備するための)繊維切断ユニット
【0259】
[部品のリスト(図11)]
31…シュート、32…サイジング輪、33…把持領域、34…切断ヘッド、36…第1ガイド輪、37…内部通路、40…第1切断輪、41…第1輸送輪、42…第2切断輪、43…第2輸送輪、45…外箱、46…枢支ピン、47…内部フレーム、48…第2ガイド輪
【0260】
[部品のリスト(図8)]
50~58…バルブ、61…温水供給バルブ、62…冷水供給バルブ、63…温水戻しバルブ、64…冷水戻しバルブ、70~74…可変制御部、80,81,82…流量送信機、90~94…モータポンプ、100,101,102…マニホールド、103…フィニッシャ、110…スクリュハウジングの蓋、111…スクリュハウジングのトラフ、112…スクリュオーガ、120~123…温度送信機、124,125…レベルセンサ、150…バランスタンク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
【国際調査報告】