(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】選択的照明を含む光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532233
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021061942
(87)【国際公開番号】W WO2022120262
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シモン・グレイバーニク
(72)【発明者】
【氏名】ツィオン・アイゼンフェルト
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA43
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA50
2H199CA59
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA77
2H199CA83
2H199CA92
2H199CA96
(57)【要約】
実施形態では、少なくとも1つのプロセッサを含む装置が開示される。少なくとも1つのプロセッサは、アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択するように構成されている。選択された光源は、光ビームで瞳孔の場所に対応するアイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、選択された光源を活性化して、アイモーションボックスの部分を照明するように更に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備える装置であって、前記少なくとも1つのプロセッサが、
アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択することであって、前記選択された光源が、光ビームで前記瞳孔の前記場所に対応する前記アイモーションボックスの部分を照明するように構成されている、選択することと、
前記選択された光源を活性化して、前記アイモーションボックスの前記部分を照明することと、を行うように構成されている、装置。
【請求項2】
前記選択された光源が、前記光ビームで前記瞳孔の部分のみに対応する前記アイモーションボックスの前記部分を照明するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームに適用される歪みを判定することと、
前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームの修正を引き起こすことと、を行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームに適用される前記歪みを判定することが、コリメータによって誘導される収差のための前記光ビームへの補正を判定することを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームの前記修正を引き起こすことが、前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、空間光変調器に前記光ビームを修正させることを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記光ビームが、カップリングアウト配置の複数の要素に少なくとも部分的に基づいて、前記アイモーションボックスの前記部分を照明し、前記要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの状態の間で選択的に調整可能であり、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の要素のうちの所与の要素の標的状態を判定することと、
前記所与の要素を前記標的状態に設定させることと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光源が、第1の光源であり、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の光源のうちの第2の光源を選択するように構成されており、前記第2の光源が、前記アイモーションボックスの前記部分を照明するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
方法であって、
アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択することであって、前記選択された光源が、光ビームで前記瞳孔の前記場所に対応する前記アイモーションボックスの部分を照明するように構成されている、選択することと、
前記選択された光源を活性化して、前記アイモーションボックスの前記部分を照明することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記選択された光源が、前記光ビームで前記瞳孔の部分のみに対応する前記アイモーションボックスの前記部分を照明するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームに適用される歪みを判定することと、
前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームの修正を引き起こすことと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームに適用される前記歪みを判定することが、コリメータによって誘導される収差のための前記光ビームへの補正を判定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームの前記修正を引き起こすことが、前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、空間光変調器に前記光ビームを修正させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記光ビームが、カップリングアウト配置の複数の要素に少なくとも部分的に基づいて、前記アイモーションボックスの前記部分を照明し、前記要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの状態の間で選択的に調整可能であり、
前記方法が、
前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の要素のうちの所与の要素の標的状態を判定することと、
前記所与の要素を前記標的状態に設定させることと、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記光源が、第1の光源であり、
前記方法が、前記複数の光源のうちの第2の光源を選択することを更に含み、前記第2の光源が、前記アイモーションボックスの前記部分を照明するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
光学システムであって、
複数の光源と、
導光光学要素であって、前記複数の光源から受け取った光ビームを前記光学システムのアイモーションボックスに向かって方向付けるように構成されているカップリングアウト配置を備える、導光光学要素と、
コントローラであって、
前記アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の光源から光源を選択することであって、前記選択された光源が、前記カップリングアウト配置によって方向付けられたときに、前記瞳孔の前記場所に対応する前記アイモーションボックスの部分を照明する光ビームを発するように構成されている、選択することと、
前記選択された光源を活性化して、前記アイモーションボックスの前記部分を照明することと、行うように構成されている、コントローラと、を備える、光学システム。
【請求項16】
前記瞳孔の前記場所を判定するように構成されているアイモーショントラッキングシステムを更に備え、前記コントローラが、前記アイモーショントラッキングシステムによって判定された前記瞳孔の前記場所に対応する前記アイモーションボックスの前記部分を判定するように構成されている、請求項15に記載の光学システム。
【請求項17】
前記複数の光源と前記導光光学要素との間に配設された空間光変調器を更に備え、
前記コントローラが、前記選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームに適用される歪みを判定するように構成されており、
前記空間光変調器が、前記判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、前記光ビームを修正するように構成されている、請求項15に記載の光学システム。
【請求項18】
前記選択された光源から前記空間光変調器に向かって前記光ビームを方向付けるように構成されている光学配置を更に備え、前記光学配置が、
第1のレンズと、
第2のレンズと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に配設された第1のマイクロレンズアレイと、
前記第1のマイクロレンズアレイと前記第2のレンズとの間に配設された第2のマイクロレンズアレイと、を備える、請求項17に記載の光学システム。
【請求項19】
前記複数の光源が、前記第1のレンズの焦点面に位置しており、前記第2のマイクロレンズアレイが、前記第1のマイクロレンズアレイの焦点面に位置しており、前記空間光変調器が、前記第2のレンズの前記焦点面に位置している、請求項18に記載の光学システム。
【請求項20】
前記カップリングアウト配置が、複数の要素を備え、前記コントローラが、前記要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つを、少なくとも2つの状態の間で選択的に調整するように構成されている、請求項15に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月28日に出願された「DISPLAYS EMPLOYING SELECTIVE EYE PUPIL ILLUMINATION WITH OPTIONAL LIGHT FIELD PROJECTION」と題する米国仮出願第63/130,957号の利益、及び2020年12月6日に出願された「DISPLAYS EMPLOYING SELECTIVE EYE MOTION BOX ILLUMINATION」と題する米国仮出願第63/121,937号の利益を主張し、これらの各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、光学システムに関する。より具体的には、本開示は、いくつかの実施形態では、ニアアイディスプレイシステムで使用され得る、選択的照明を有する光学システムに関する。
【0003】
ニアアイディスプレイシステムなどの光学システムは、典型的には、画像品質の低減をもたらす潜在的な収差につながる可能性のある方法でユーザの眼を照明する。例えば、光学システムは、画像の光ビームで瞳孔全体を照明し得る。例えば、コマ収差、非点収差、又は他の収差などの光ビームの収差のために、画像の部分は、それらの部分が瞳孔を通過して網膜に到達すると、ぼやけて、歪む可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
実施形態では、少なくとも1つのプロセッサを含む装置が開示される。少なくとも1つのプロセッサは、アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択するように構成されている。選択された光源は、光ビームで瞳孔の場所に対応するアイモーションボックスの一部分を照明するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、選択された光源を活性化して、アイモーションボックスの部分を照明するように更に構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、選択された光源は、光ビームで瞳孔の部分のみに対応するアイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。
【0006】
実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて光ビームに適用される歪みを判定し、かつ判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて光ビームの修正を引き起こすように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、光ビームに適用される歪みを判定することは、コリメータによって誘導される収差についての光ビームへの補正を判定することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて光ビームの修正を引き起こすことは、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、空間光変調器に光ビームを修正させることを含む。
【0009】
実施形態では、光ビームは、カップリングアウト配置の複数の要素に少なくとも部分的に基づいて、アイモーションボックスの部分を照明する。要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの状態の間で選択的に調整可能である。少なくとも1つのプロセッサは、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて複数の要素のうちの所与の要素の標的状態を判定し、所与の要素を標的状態に設定させるように更に構成されている。
【0010】
別の実施形態では、光源は第1の光源であり、少なくとも1つのプロセッサは、複数の光源のうちの第2の光源を選択するように構成されている。第2の光源は、アイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択することを含む方法が開示される。選択された光源は、光ビームで瞳孔の場所に対応するアイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。方法は、選択された光源を活性化して、アイモーションボックスの部分を照明することを更に含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、選択された光源は、光ビームで瞳孔の部分のみに対応するアイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。
【0013】
実施形態では、方法は、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて光ビームに適用される歪みを判定することと、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、光ビームの修正を引き起こすこととを更に含む。
【0014】
別の実施形態では、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、光ビームに適用される歪みを判定することは、コリメータによって誘導される収差についての光ビームへの補正を判定することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて光ビームの修正を引き起こすことは、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、空間光変調器に光ビームを修正させることを含む。
【0016】
実施形態では、光ビームは、要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの状態の間で選択的に調整可能である、カップリングアウト配置の複数の要素に少なくとも部分的に基づいて、アイモーションボックスの部分を照明する。方法は、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、複数の要素のうちの所与の要素の標的状態を判定し、所与の要素を標的状態に設定させることを更に含む。
【0017】
別の実施形態では、光源は第1の光源であり、方法は、複数の光源のうちの第2の光源を選択することを更に含む。第2の光源は、アイモーションボックスの部分を照明するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、光学システムが開示される。光学システムは、複数の光源を含み、導光光学要素は、複数の光源から受け取った光ビームを光学システムのアイモーションボックスに向かって方向付けるように構成されているカップリングアウト配置を含む。光学システムは、アイモーションボックスに対する眼の瞳孔の場所に少なくとも部分的に基づいて、複数の光源から光源を選択するように構成されているコントローラを更に含む。選択された光源は、カップリングアウト配置によって指示されたときに、瞳孔の場所に対応するアイモーションボックスの部分を照明する光ビームを発するように構成されている。コントローラは、選択された光源を活性化して、アイモーションボックスの部分を照明するように更に構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学システムは、瞳孔の場所を判定するように構成されているアイモーショントラッキングシステムを更に含む。コントローラは、アイモーショントラッキングシステムによって判定された瞳孔の場所に対応するアイモーションボックスの部分を判定するように構成されている。
【0020】
実施形態では、光学システムは、複数の光源と導光光学要素との間に配設された空間光変調器を更に含む。コントローラは、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、光ビームに適用される歪みを判定するように構成されており、空間光変調器は、判定された歪みに少なくとも部分的に基づいて、光ビームを修正するように構成されている。
【0021】
別の実施形態では、光学システムは、選択された光源から空間光変調器に向かって光ビームを方向付けるように構成されている光学配置を更に含む。光学配置は、第1のレンズ、第2のレンズ、第1のレンズと第2のレンズとの間に配設された第1のマイクロレンズアレイ、及び第1のマイクロレンズアレイと第2のレンズとの間に配設された第2のマイクロレンズアレイを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の光源は、第1のレンズの焦点面に位置しており、第2のマイクロレンズアレイは、第1のマイクロレンズアレイの焦点面に位置しており、空間光変調器は、第2のレンズの焦点面に位置している。
【0023】
実施形態では、カップリングアウト配置は、複数の要素を含む。コントローラは、少なくとも2つの状態の間で、要素の各々の反射率及び強度のうちの少なくとも1つを選択的に調整するように構成されている。
【0024】
前述の概要は、例解的であるにすぎず、いかなる形であれ限定することを意図するものではない。図面及び以下の詳細な説明を参照することで、上で説明される例解的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は、同じ、又は機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態による、例示的な光学システムの概略図である。
【
図2A】実施形態による、2D瞳孔拡大のための
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図2B】実施形態による、2D瞳孔拡大のための
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図2C】実施形態による、2D瞳孔拡大のための
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図3】実施形態による、1D瞳孔拡大のための
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図4】実施形態による、光ビームの表面上への投影を例解する図である。
【
図5】実施形態による、サブ開口を通る
図4の光ビームの表面上への投影を例解する図である。
【
図6A】実施形態による、
図2A~
図2Cの例示的な画像投影アセンブリの投影光学デバイス(POD)の全開口によって投影される光のビームを例解する概略図である。
【
図6B】実施形態による、眼に投影されている
図6Aの光のビームを例解する図である。
【
図7A】実施形態による、
図2A~
図2Cの例示的な画像投影アセンブリのPODの第1のサブ開口によって投影される光のビームを例解する概略図である。
【
図7B】実施形態による、眼に投影されている
図7Aの光のビームを例解する図である。
【
図8A】実施形態による、
図2A~
図2Cの例示的な画像投影アセンブリのPODの第2のサブ開口によって投影される光のビームを例解する概略図である。
【
図8B】実施形態による、眼上に投影されている
図8Aの光のビームを例解する図である。
【
図9A】実施形態による、眼上に投影される
図6A~
図8Bの光のビームの例示的な収差プロットを例解する。
【
図9B】実施形態による、眼上に投影される
図6A~
図8Bの光のビームの例示的な収差プロットを例解する。
【
図9C】実施形態による、眼上に投影される
図6A~
図8Bの光のビームの例示的な収差プロットを例解する。
【
図10】実施形態による、
図1の光学システムの例示的なPODを例解する概略図である。
【
図11】実施形態による、
図1の光学システムの例示的なPODを例解する概略図である。
【
図12】実施形態による、
図10及び
図11のPODの空間光変調器(SLM)を制御するコントローラを備えた、
図1の光学システムを例解する概略図である。
【
図13A】実施形態による、部分的な眼瞳孔照明及び選択的アイモーションボックス(EMB)照明のための例示的なプロセスを例解する図である。
【
図13B】実施形態による、
図13Aの例示的なプロセスによる例示的な収差プロットを例解する図である。
【
図13C】実施形態による、
図13Aの例示的なプロセスによる例示的な収差プロットを例解する図である。
【
図14】実施形態による、マイクロレンズアレイ(MLA)を有する
図1の光学システムの例示的なPODを例解する概略図である。
【
図15】実施形態による、マイクロレンズアレイ(MLA)を有する
図1の光学システムの例示的なPODを例解する概略図である。
【
図16A】実施形態による、
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図16B】実施形態による、
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図16C】実施形態による、
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図17】実施形態による、
図10のPODによって
図1の光学システムの導光光学要素(LOE)内に投影され、EMBに方向付けられた光ビームを例解する概略図である。
【
図18A】実施形態による、眼の瞳孔の場所に対する、
図10のPODの異なる開口及び異なる視野(FOV)からの光ビームの経路を例解する図である。
【
図18B】実施形態による、眼の瞳孔の場所に対する、
図10のPODの異なる開口及び異なる視野(FOV)からの光ビームの経路を例解する図である。
【
図18C】実施形態による、眼の瞳孔の場所に対する、
図10のPODの異なる開口及び異なる視野(FOV)からの光ビームの経路を例解する図である。
【
図19A】実施形態による、MLAを有する
図1の光学システムのPOD及び照明要素を例解する概略図である。
【
図19B】実施形態による、MLAを有する
図1の光学システムのPOD及び照明要素を例解する概略図である。
【
図19C】実施形態による、MLAを有する
図1の光学システムのPOD及び照明要素を例解する概略図である。
【
図20】実施形態による、瞳孔上に投影された光ビームに対する眼内の調節変化の効果を例解する図である。
【
図21】実施形態による、瞳孔上に投影された光ビームに対する眼内の調節変化の効果を例解する図である。
【
図22】実施形態による、時間多重明視野像を形成する光ビームを示す
図2A~
図2Cの画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図23】実施形態による、時間多重明視野像を形成する光ビームを示す
図3の画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図24】実施形態による、時間多重明視野像を例解する図である。
【
図25A】実施形態による、動的ファセット構造を有する
図1の光学システムの画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図25B】実施形態による、動的ファセット構造を有する
図1の光学システムの画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図25C】実施形態による、動的ファセット構造を有する
図1の光学システムの画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図26】実施形態による、
図25の動的ファセット構造を例解する概略図である。
【
図27A】実施形態による、切り替え可能ブラッグ反射器(SBR)を有する
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図27B】実施形態による、切り替え可能ブラッグ反射器(SBR)を有する
図1の光学システムの例示的な画像投影アセンブリを例解する概略図である。
【
図28】実施形態による、LOEのファセットの反射率及び強度のうちの少なくとも1つを更に制御するコントローラを有する、
図12の光学システムを例解する概略図である。
【
図29】実施形態による、時間多重明視野イメージングを用いた、部分的な眼瞳孔照明及び選択的アイモーションボックス(EMB)照明のための例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ニアアイディスプレイシステムなどの光学システムでは、光線は、ディスプレイシステムから、ディスプレイシステムに近接しているユーザの眼などのターゲット表面に出力される。しばしば、そのような光学システムは、画像を投影するときに眼全体又は眼の瞳孔全体を照明する。場合によっては、眼又は瞳孔のそのような包括的照明は、光学投影システムの収差と組み合わされ、ユーザに対して結果として生じる画像の品質を低下させる可能性がある。例えば、光ビームが眼のレンズを通過し、網膜上に集束されると、画像のいくつかの部分がぼやけるか、歪むか、又はユーザから見て他の収差を有する可能性がある。
【0027】
いくつかの実施形態では、開示された光学システムは、ユーザが良好な品質で画像を見るために必要とされる瞳孔の部分のみを選択的に照明することによって、そのような収差を低減又は阻害するように構成されている。そのような選択的照明は、本明細書では部分眼瞳孔照明とも称される。例えば、部分眼瞳孔照明は、完全眼照明と比較して改善された画像品質を達成するのに有益であり得、より複雑でない光学システムを利用し得る。いくつかの実施形態では、部分眼瞳孔照明は、投影された画像の変位と組み合わせて、輻輳調節矛盾(VAC)の問題の解決策を提供し得る時間多重明視野像を創出し得る。VACは、脳が、両眼離反運動とも称されることがある、仮想三次元(3D)オブジェクトの距離と、調節と称されることもある、眼が仮想3Dオブジェクトに焦点を合わせるために必要な集束距離との間の不整合キューを受け取るときに発生する。
【0028】
いくつかの実施形態では、開示された光学システムはまた、又は代替的に、アイモーションボックス(EMB)の部分のみを一度に照明するように構成されており、例えば、本明細書では選択的EMB照明とも称される、眼の瞳孔が現在位置するEMBの部分のみを照明するように構成されている。選択的EMB照明は、画像照明が部分EMB照明によってより小さい領域上に分布されるため、完全EMBの照明と比較して光学システムにおいて電力効率の増加を提供し得る。
【0029】
部分眼瞳孔照明、時間多重明視野イメージング、及び選択的EMB照明は、別々に又は一緒に利用され得、ニアアイディスプレイシステムとして構成され得る光学システムに、上で言及される利点及び他の利点を提供し得る。
【0030】
ここで
図1及び
図2A~
図2Cを参照すると、例示的な光学システム100が説明されている。光学システム100は、画像投影アセンブリ110、コントローラ140、及びアイトラッキングシステム160を含む。アイトラッキングシステム160は、任意選択的であり得、ユーザの眼180の瞳孔の場所を追跡して、対応する場所情報をコントローラ140に提供するように構成されている。画像投影アセンブリ110は、投影光学デバイス(POD)112及び導光光学要素(LOE)114を含み、二次元(2D)の瞳孔拡大を利用して、ユーザの眼180に画像を投影するように構成されている。
【0031】
POD112は、画像生成器、空間光変調器(SLM)304(
図10)、又は典型的には画像投影アセンブリに含まれる他の構成要素を含む。これらの構成要素のうちのいくつか又は全ては、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブの表面に配列され得るか、又は他のプリズム配列であり得る。画像生成器は、ユーザの眼180に投影される画像に対応する、光ビーム又はレーザビームなどの照明を提供する照明源を含む。例示的な照明源は、発光ダイオード(LED)、マイクロLED又は他の照明源を含み得る。
【0032】
SLM304は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ要素、バックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)パネル、マイクロLEDディスプレイ、デジタル光処理(DLP)チップ、若しくは別の発光構成要素などの構成要素を含む発光SLMとして実装され得るか、又はシリコン上の液晶(LCOS)チップなどの反射SLMとして実装され得る。ビームスプリッタキューブブロックは、コリメート光学系とSLM304との間に介在させて、SLM304の表面への照明の送達を許容し得る。
【0033】
SLM304は、画像を生成するために、照明の各画素の投影強度を変調するように構成される。いくつかの実施形態では、SLM304は、ディスプレイの各画素から、LOE114の平面内で、例えば、以下で説明される主要外部表面116及び118の平面内で発散する光ビームを提供し得る。光ビームは、LOE114の反射光学配置122からの反射の後、LOE114の平面内でコリメートされ得る。いくつかの実施形態では、光ビームは、LOE114の平面内でコリメートされ得るが、LOE114に直交する平面内でコリメートされない可能性がある。
【0034】
代替的に、POD112は、走査配置、例えば、高速走査ミラーを含み得、これは、POD112の画像平面全体にわたって光源からの照明を走査し、一方で、照明の強度を画素ごとの運動と同期的に変化させて、画素ごとに所望の強度を投影する。
【0035】
POD112はまた、画像の照明をLOE114内に注入するためのカップリングイン配置、例えば、カップリングイン反射器、角度付き結合プリズム、又は任意の他のカップリングイン配置を含む。いくつかの実施形態では、POD112とLOE114との間の結合は、直接結合を含み得、例えば、POD112は、LOE114の部分と接触し得るか、又は画像がLOE114の平面に注入される開口の寸法を拡大するための追加的な開口拡大配置を介した結合を含み得る。
【0036】
POD112はまた、照明のサイズを制限するために利用され得る開口又は他の構成要素を含む。例えば、
図2Aに見られるように、POD112は、LOE114の反射光学配置122によって一旦コリメートされた光ビーム126が幅Dを有するように、第1の開口サイズを使用して光ビーム126を出力するように構成され得、LOE114の反射光学配置122によって一旦コリメートされた光ビーム130が幅Dよりも小さい幅dを有するように、第1の開口サイズよりも小さい第2の開口サイズを使用して第2の光ビーム130を出力するように構成され得る。
【0037】
LOE114は、例えば
図2Cに示されるように、光学的に活性でない、平行な第1の主要外部表面116及び第2の外部表面118と、縁部と、を含む、導波路を含む。LOE114はまた、カップリングアウト配置120と、レンズなどの反射光学配置122と、を含む。反射光学配置122は、例えば、
図2Aに見られるように、LOE114を通過する照明を方向転換してカップリングアウト配置120に向かって戻す一方で、照明をコリメートするように構成されている。反射光学配置122は、反射レンズとして上で説明されているが、ガラス又はプラスチックから形成される球形、非球形又は自由形の屈折レンズ、回折レンズ、フレネルレンズ、反射レンズ、及び上記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、広範囲の他のレンズタイプ及び実装形態が代替的に利用され得る。
【0038】
カップリングアウト配置120は、ユーザの眼180上に投影するために、LOE114からEMB128に向かって照明を方向付けるように構成されている。いくつかの実施形態では、カップリングアウト配置は、LOE114の主要外部表面116及び118に対して斜角でLOE114内に配置される、本明細書ではファセット124とも称される、複数の平行な部分反射面として例解される。ファセット124は、特定の角度で高い透過率及び他の角度での部分反射を提供する角度依存性コーティングを含む。
【0039】
例えば、光ビーム126は、
図2Cに見られるように、主要外部表面116及び118で反射することによって、LOE114を通って反射光学配置122に向かって移動する。光ビーム126は、例えば、移動角度での高透過性に起因して、ファセット124を通って反射光学配置122に移動し、反射光学配置122は、光ビーム126を幅Dでファセット124に向かって反射させ、方向転換し、かつコリメートして戻す。反射光学配置122による反射の後、コリメートされた光ビーム126がファセット124に直面すると、光ビーム126は、例えば、光ビーム126の移動角度での部分反射に起因して、EMB128の幅とほぼ同じ幅のD
EMBで、EMB128に向かってファセット124によって方向転換される。
【0040】
本明細書の説明は、ファセットベースのカップリングアウト配置を参照するが、例えば、回折性光学要素を有するカップリングアウト配置を含む、任意の他のカップリングアウト配置が代替的に利用され得る。
【0041】
反射光学配置122は、主要外部表面116及び118からの内部反射によって面内方向でファセット124に向かって戻る照明の少なくとも一部を反射する円筒形の光学パワーを有し得る。反射光学配置122からの反射後の照明は、主要外部表面116及び118に垂直な平面内及び平行な平面内の両方でコリメートされる。反射光学配置122は、LOE114の縁部と統合され得、LOE114の主要外部表面116及び118に垂直な円筒軸を有し得る。いくつかの実施形態では、反射光学配置122は、LOE114内に統合された円筒形パワーを有する回折性光学要素を含み得る。
【0042】
反射光学配置122は、LOE114を通って伝播するときの照明に対応する角度の範囲では高い反射率を有し、この範囲外の角度では低い反射率、例えば、透過性又は吸収性を有し得る。このようにして、反射光学配置122は、任意の他の光源からの光の反射が阻害され得る間、内部反射によってLOE114内を伝播するPOD112によって発せられた光を反射する。例えば、太陽のような外界の光源からの光は、低反射率の範囲の角度で反射光学配置122に到達し、LOE114から離れて反射されるか、又は吸収される。このように、外部の光源によって引き起こされる潜在的なゴースト画像の強度は、低減される。いくつかの実施形態では、反射光学配置122は、例えば、選択的反射率及び所望の角度を提供する多層コーティング技術を使用して、光の入射角に依存する反射率で形成される。別の実施形態では、比較的狭い範囲の角度で高い回折効率を有する1つ以上の体積ブラッグ格子を利用して、反射光学配置122を形成し得る。
【0043】
図3を参照しながら、別の実施形態による例示的な画像投影アセンブリ210を説明する。
図3に例解されるように、同様の要素は、
図1及び
図2A~
図2Cの画像投影アセンブリ110と同様の参照番号を有する。例えば、画像投影アセンブリ210は、POD212、LOE214、主要外部表面(図示せず)、カップリングアウト配置220、ファセット224、及び画像投影アセンブリ110について上で説明されるものと同様の他の構成要素を含む。画像投影アセンブリ210は、一次元(1D)瞳孔拡大を利用して、画像をユーザの眼180上に投影するように構成されている。画像投影アセンブリ210の実施形態では、POD212は、照明を方向転換してファセット224上に戻すために反射光学配置122を使用する代わりに、POD212が上部でLOE214に取り付けられる。例えば、POD212から発せられた照明は、LOE214を通って伝搬し、カップリングアウト配置220のファセット224を介してEMB(図示せず)に向かって徐々に発せられる。この実施形態では、POD212によって出力される照明は、それがLOE214に入るときには既にコリメートされている。
【0044】
図1に戻って参照すると、コントローラ140は、1つ以上の処理デバイス、メモリ又は他の構成要素を有するコンピューティングデバイスを含む。例えば、コントローラ140は、中央処理ユニット(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、専用回路、又は任意の他の構成要素を備え得る。コントローラ140は、以下でより詳細に説明するように、POD112を制御して、ユーザの眼180に投影するために、画像を生成し、LOE114に出力するように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像投影アセンブリ110に一体化され得るか、若しくは例えば眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、又は別のデバイスなどの画像投影アセンブリ110を含むデバイスに一体化され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、画像投影アセンブリ110の遠隔に位置し得る。例えば、画像投影アセンブリは、コントローラ140と通信するように構成されている有線又は無線通信デバイスを含み得る。実施例として、コントローラ140は、モバイルデバイス、又は画像投影アセンブリ110とは別個のコンピューティングデバイス、又は画像投影アセンブリ110を含むデバイスの一部として含まれ得る。
【0046】
アイトラッキングシステム160は、1つ以上のアイトラッキングカメラ、レーザ、又はユーザの眼180の瞳孔182の場所を判定し、かつ場所に対応する場所情報、例えば、座標又は他の場所情報を生成するように構成されている他の光学デバイスを含む。場所情報は、LOE114に画像を生成及び出力するようにPOD112を制御する際に使用するためにコントローラ140に提供され得る。
【0047】
ここで
図2A~
図9Cを参照して、いくつかの実施形態による部分眼瞳孔照明をより詳細に記載及び説明する。
【0048】
ここで
図4を参照すると、例示的なシナリオでは、理想的なレンズ400は、開口D
0を有する。レンズ400は、平行ビーム402によって照明され、平行ビーム402では、波面は完全に平面ではなく、1つ以上の光学収差を包含する。この例示的なシナリオでは、レンズ400は、レンズ400の焦点面に位置する画面404上の点P
0で画像を作製する。ビーム内に収差が存在するため、画像はぼかされ、サイズはd
0である。
【0049】
ここで、
図5を参照すると、別の例示的なシナリオでは、理想的なレンズ400は、同じ収差ビーム402によって照明される。しかしながら、この例示的なシナリオでは、直径D
1のサブ開口のみがビーム402によって照明されるように、ダイヤフラム406は、レンズ400の前に配置され、ここで、D
1は、D
0よりも小さい。この例示的なシナリオでは、レンズ400は、概して、
図4の例示的なシナリオの点P
0とは異なり得る、画面404上の点P
1で画像を作製する。画像はぼやけ、
図4の例示的なシナリオで作製された画像の画像サイズd
0よりも小さいサイズd
1を有する。
【0050】
図4及び
図5の例示のシナリオに見られるように、レンズ400がビーム402に露出される開口の直径を低減させることで、結果として生じる幾何学的画像サイズd
1が開口の回折限界よりも大きい限り、画像品質が改善し得る。ビーム402に存在する収差のタイプに応じて、画像の位置は、照射されたサブ開口D
1の位置に基づいて変化する。
【0051】
図6A及び
図6Bは、ビーム134によって照明されたPOD112の全開口角を有する画像投影アセンブリ110を使用する例示的なシナリオを例解する。反射光学配置122からの反射の後のコリメートビーム134の幅は、EMB128の幅であるD
EMBに等しい。
図6Bは、ユーザの眼180を例解しており、眼180の瞳孔182の幅D
EPよりも大きい幅D
EMBを有するコリメートビーム134は、眼180を照明し、画像J
0を眼180のレンズ184を介して眼180の網膜186上に投影する。この例示的なシナリオでは、網膜186上に投影された結果として生じる画像J
1は、瞳孔182によって収集されたビーム134の収差に起因して、ぼやけ、サイズs
1を有する。
【0052】
図7A及び
図7Bは、例示的な実施形態による、画像投影アセンブリ110を使用する例示的なシナリオを例解しており、LOE114の平面内のPOD112の開口角の一部のみがビーム136によって照明される。例えば、以下でより詳細に説明するような、POD112内の選択的照明システムは、POD112の開口角の部分のみを照明するために利用され得る。この例示的なシナリオでは、LOE114の主要外部表面116及び118の平面に垂直な平面内のPOD112の開口角は、完全に照明され得る。反射光学配置122からの反射の後のコリメートビーム136の幅は、
図7Bに示されるように、コリメートビーム136が瞳孔182の部分のみを照明するように、瞳孔182の幅D
EPよりも小さいD
2に等しい。コリメートビーム136は、画像J
2を眼180のレンズ184を介して網膜186上に投影する。画像J
2は、画像J
1の位置とは異なる位置において網膜186上に投射され、ぼやけ、画像J
1のサイズs
1よりも小さいサイズs
2を有する。
【0053】
図8A及び
図8Bは、例示的な実施形態による、画像投影アセンブリ110を使用する例示的なシナリオを例解しており、LOE114の平面内のPOD112の開口角の別の一部のみがビーム138によって照明される。例えば、POD112内の選択的照明システムは、POD112の開口角の一部分のみを照明するために利用され得、この実施例では、開口角の照明された部分は、
図7A及び
図7Bに示される部分とは異なり、ビーム136によって照明される。ビーム136と同様に、LOE114の主要外部表面116及び118の平面に垂直な平面内のPOD112の開口角は、ビーム138によって完全に照明され得る。反射光学配置122からの反射の後のコリメートビーム138の幅は、
図8Bに示されるように、コリメートビーム138が瞳孔182の部分のみを照明するように、瞳孔182の幅D
EPよりも小さいD
3に等しい。コリメートビーム138は、画像J
3を眼180のレンズ184を介して網膜186上に投影する。画像J
3は、画像J
1及びJ
2の両方の位置とは異なる位置において網膜186上に投射され、ぼやけ、画像J
1のサイズs
1よりも小さいサイズs
3を有する。
【0054】
各例示的なシナリオでは、網膜186上の投影された画像の位置J
1、J
2、及びJ
3は、照明された場所の重心として定義され得る。このようにして、
図6A~
図8Bの投影画像のJ
1、J
2及びJ
3の位置は、投影画像のうちの1つ以上の部分が網膜186上で重複しても異なっていると考えられる。
【0055】
図9A~
図9Cは、
図6A~
図8Bについて上で説明される例示的なシナリオの各々に従って、LOE114の端部において、例えば、シリンダミラーなどの反射光学配置122を有する光学システム100の光学収差プロットを例解する。
図9A~
図9Cでは、軸pxは、瞳孔座標軸を指し、
図6A~
図8Bの軸Xと一致し、軸eyは、瞳孔入口半径の関数としての横光線誤差を指し、ac、bc、及びccは、反射光学配置122から生じる収差を指し、afは、完全に照明された開口角を有するビームの幅を指し、bf及びcfは、POD112のサブ開口幅を指す。
【0056】
図9Aは、ビーム134が瞳孔182の全領域を照明する、
図6A及び
図6Bの例示的なシナリオの収差プロットを例解する。
図9Aに見られるように、反射光学配置122から生じる収差acは、
図9B及び
図9Cに見られるものと比べて比較的大きい。
【0057】
図9Bは、ビーム136が瞳孔182の第1の部分を照明する、
図7A及び
図7Bの例示的なシナリオの収差プロットを例解する。
図9Bに見られるように、収差bcは、収差プロット上で第1の破線長方形を形成するが、瞳孔182の全照明から生じた収差acよりも小さい。
【0058】
図9Cは、ビーム138が瞳孔182の第2の部分を照明する、
図8A及び
図8Bの例示的なシナリオの収差プロットを例解する。
図9Cに見られるように、収差ccは、瞳孔182の全照明から生じた収差acよりも小さい、収差プロット上で第2の破線長方形を形成する。加えて、
図9B及び
図9Cに見られるように、ビーム136及び138によって形成される収差のタイプは異なり、例えば、ビーム138は、ビーム136の収差bcと比較して、反射光学配置122に起因する、低減された収差ccを有し得る。
【0059】
図10~
図15を参照して、様々な実施形態による光学システム100及びPOD112の例示的な光学アーキテクチャ及び構成を説明する。各実施形態におけるPOD112は、照明システム300、投影光学系302、及びSLM304を含む。これらの実施形態における選択的眼瞳孔照明又は選択的EMB照明は、POD112によって、2D拡大システム(
図2A~
図2C)のLOE114又は1D拡大システム(
図3)のLOE214のための画像生成器として利用され得る照明システム300によって達成される。投影光学系302は、SLM304の画素から来る光ビームをコリメートして、各画素がコリメートビームを生成し、異なる画素からのコリメートビームが異なる方向に伝播するように構成されている。投影光学系302はまた、画素の各々からのコリメートビームをLOE114又はLOE214内に注入するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、投影光学系302は、レンズの焦点面に位置するSLM304を有する単一のレンズを含み得る。他の実施形態では、投影光学系302は、例えば、レンズ、ミラー、波長板、ビームスプリッタプリズム又は他の光学要素を含む、1つ以上の追加の又は代替的な光学要素を含み得る。
【0060】
図10及び
図11は、実施形態による選択的眼瞳孔照明又は選択的EMB照明が達成され得るPOD112の例示的な構成を示す。この実施形態では、照明システム300は、コリメータレンズなどの光学配置308の焦点面内に位置する、光源306、例えば、LED又は他の選択的に活性化可能な光源のアレイを含む。光学配置308は、コリメータレンズとして説明されているが、ガラス又はプラスチックから形成される球形、非球形又は自由形の屈折レンズ、回折レンズ、フレネルレンズ、反射レンズ、及び上記の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、広範囲のレンズタイプ及び実装形態が利用され得る。
【0061】
光源306のアレイは、赤色、緑色及び青色の光源、又は赤色、緑色、青色又は他の色を生成するように構成されている多色光源を含み得る。光源は、SLM304の色順動作モードでカラー画像を生成するように構成されている。アレイ306は、
図10及び
図11で特定の数の光源を有するように例解されているが、アレイ306は、代替的に任意の他の数の光源を含み得る。例えば、よりスムーズなEMB走査を達成するために、追加の光源がアレイ306に含まれ得る。いくつかの実施形態では、開口走査は、
図10に示されるようにYZ平面で実行され得、一方、XZ平面では、POD112の全開口は、
図11に示されるように照明され得る。いくつかの実施形態では、照明システム300はまた、
図11に示されるように、XZ平面における光ビームの発散を拡大する任意選択的な拡散器310を含み得る。他の実施形態では、シリンダレンズは、XY平面におけるビーム発散を減少させるために、拡散器310の代わりに光源の各々において利用され得る。
【0062】
照明システム300からのアレイ306内の各光源の出力光ビームは、投影光学系302を介してSLM304に提供される、コリメート又はほぼコリメートされた照明である。SLM304におけるコリメートされた光ビームの角度は、アレイ306内のどの光源が活性化されるかに依存し、光源によって生成される照明の発散は、光源のサイズ及び任意選択的な拡散器310の散乱角範囲に依存する。アレイ306内の各光源は、例えば、アレイ306内のそれぞれの光源をオン及びオフに切り替えることによって、POD112のサブ開口角間の照明の切り替えが達成され得る、POD112の異なるサブ開口角に対応する。例えば、
図10に示されるように、光源312及び314は、それぞれ、光ビーム316及び318を生成し、これらは、光学配置308によってコリメートされ、任意選択的に拡散器310によって散乱された後にSLM304に提供される。
図10に見られるように、光ビーム316及び318は各々、POD112のFOVAとFOVBとの間の視野(FOV)領域を照明する。
【0063】
図12は、
図10及び
図11について上で説明されるPOD112の例示的な構成を使用した光学システム100の例示的な実施形態を示す。アイトラッキングシステム160は、LOE114に対する眼180の瞳孔182の場所を測定し、この測定された場所を場所情報としてコントローラ140に提供するように構成されている。コントローラ140は、場所情報に基づいて、測定された場所で瞳孔182上又は瞳孔182のサブ開口上に画像を投影する開口を照明するようにオンに切り替えられ得るか、又は別様に活性化され得るアレイ306内の光源を判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラ140はまた、POD112及び反射光学配置122又はLOE114の他の構成要素によって引き起こされる任意の収差のために画像を補償するために、SLM304に提供される画像に適用される任意の歪みを計算又は判定するように構成されている。
【0064】
SLM304に提供される画像に適用される歪みは、例えば、アレイ306内のどの光源が活性化されるか、瞳孔182の場所、EMBのどの部分が照明されているか又は任意の他の基準に依存し得る。同じFOVに対する網膜186上の画像の位置は、例えば、
図7A~
図8Bに見られるように、例えば、瞳孔182によって観察されるサブ開口に応じて、異なり得る。網膜上の投影画像の位置は、サブ開口ごとに異なるため、SLM304における画像にコントローラ140によって適用される歪みのタイプ及び量は、POD112のどのサブ開口又は対応する光源が活性化されるかに依存し得る。サブ開口又は光源が活性化される画像に基づいて歪みを適用することによって、かついくつかの実施形態では、画像が投影される網膜186上の場所に従って、各サブ開口又は光源から網膜186上に投影される画像は、ユーザが、画像を提供するためにどのサブ開口又は光源が活性化されるかにかかわらず、同一又はほぼ同一の画像を見るように位置合わせされ得る。例えば、SLM304及び光源のアレイ306の制御は、コントローラ140によって同期されて、アイトラッキングシステム160によって追跡されるような瞳孔182の場所に基づいて光源間の高速切り替えを可能にし得る。SLM304及び光源アレイ306の制御を同期させることによって、瞳孔182の場所の変化、又は光源がコントローラ140によって活性化される対応する変化に関係なく、収差のために補正された画像が投影され得る。
【0065】
ここで、
図13A~
図13Dを参照して、アレイ306のどの光源が活性化されるかに基づいて、SLM304によって光ビームに適用される画像歪みを判定するための例示的なプロセスについて説明する。例示的なプロセスは、単一のFOV点に対して、又はFOVの小さい局所領域に対して利用され得る。
【0066】
ここで、
図13Dを参照して、光学システム100を動作させるための例示的なプロセスについて説明する。本プロセスは、コントローラ140、アイトラッキングシステム160及びPOD112によって少なくとも部分的に行われ得るか、又は光学システム100の他の部分によって少なくとも部分的に行われ得る。
図13Dのプロセスは、ステップ500~508を含む。
図13Dのプロセスは、他の実施形態では、特定のステップ又は特定の順序のステップを有するように本明細書で説明されているが、本プロセスは、代替的に、任意の順序でステップを行い得るか、追加のステップを含み得るか、より少ないステップを含み得るか、又は以下で説明されるステップの部分のみを行い得る。
【0067】
ステップ500において、アイトラッキングシステム160は、例えば、
図13Aに示されるように、EMB128内の瞳孔182の位置を探し出す。実施例として、アイトラッキングシステム160は、1つ以上のアイトラッキングカメラ又は他の光学要素を利用して、瞳孔182の位置を探し出し得る。アイトラッキングシステム160は、判定された場所に対応する場所情報、例えば、座標又は他の情報をコントローラ140に提供する。
【0068】
ステップ502において、コントローラ140は、瞳孔182の部分上に画像を投影するために活性化され得るアレイ306内の光源を判定する。例えば、コントローラ140は、どの光源がEMB128の各部分に対応するかを示すEMB128の座標マップを維持し得る。コントローラ140は、例えば、EMB128に対する瞳孔182の場所を判定し、座標マップに基づいて対応する光源を識別することによって、少なくとも部分的に、場所情報と座標マップとの間の比較に基づいて活性化される光源を選択し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、光源アレイ306からの各光源に対して、EMB128のどの領域が、各FOV点又は小さいFOV局所領域に対して照明されるかを識別するように構成されている。瞳孔182の場所及び投影されるFOV点が与えられると、コントローラ140は、オンにされる光源を識別することができる。例えば、
図13Aに見られるように、そのような光源は、瞳孔182にわたる領域を照明するビーム142を生成する。
図13Aでは、座標(x
0、z
0)は、瞳孔182内の照明領域の中心に対応する。
【0069】
ステップ504において、コントローラ140は、選択された光源に少なくとも部分的に基づいて、SLM304においてどの歪みが画像に適用するかを判定する。いくつかの実施形態では、歪みはまた、若しくは代替的に、例えば、複数の光源が同じ場所を照明するために利用され得るが、異なるコリメート角度を有する場合に、場所情報に少なくとも部分的に基づいて判定され得る。
【0070】
図13B及び
図13Cは、反射光学配置122を有する光学システム100について、
図9A~
図9Cに示される曲線と同様の収差曲線を示す。
図13A及び
図13Bの収差曲線は、x軸に沿った、射出瞳、例えば、EMB128における光線の位置に応じて、ユーザの網膜186における所与のFOV点に対応する光線の位置ex及びeyを示す。公称画像が射出瞳の中心を通過する光線に対応すると仮定すると、
図13B及び
図13Cの距離dy及びdxは、それぞれy軸及びx軸に沿った画像の局所変位を与える。dx及びdyに等しい歪みは、ビーム142と瞳孔182との交点によって画定されるサブ開口を通して投影される画像に適用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、例えば、活性化される標的場所及び光源に基づいて事前定義された歪み値を有するルックアップテーブルを使用して、適用される歪みを判定し得る。例えば、ルックアップテーブルは、例えば、収差及び潜在的な歪みをシミュレート又はモデル化することによって、又は任意の他の方法で、眼180又は眼の表現に投影されるように、結果として生じる画像に基づいて歪みを調整するインバース法を使用することを含む種々の技法を使用して生成され得る。いくつかの実施形態では、照明されたビーム開口は、RGB光源の各々についてわずかに異なる場合がある。そのような場合、コントローラ140はまた、赤色、緑色及び青色の画像に歪みを適用して、開口のそのような小さい差異を補正し、かつ投影光学系の可能な色の歪み、例えば、横方向の色を補正するときに、これらの差異を考慮に入れ得る。
【0072】
ステップ506において、コントローラ140は、選択された光源を活性化させて画像を出力する。
【0073】
ステップ508において、コントローラ140は、画像をLOE114に提供する前に、画像に適用されるべき判定された歪みをSLM304に提供する。次いで、画像は、LOE114によって瞳孔182の部分上に投影され、プロセスはステップ500に戻り、画像の各フレームについて続行する。このようにして、瞳孔182の場所の変化が考慮され、対応する光源が活性化され、適切な歪みが適用され、可能な限り歪みが少ない画像が生成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、コントローラ140は、アレイ306内の各光源を順次活性化して、歪みが判定され、各光源についてSLM304において画像に適用され得る完全EMBスキャンを実行するように構成されている。実施例として、アイトラッキングシステム160が存在又は活性しておらず、かつ瞳孔182の場所が既知でない場合、そのような連続的な活性化を利用して、EMB128の各部分に画像を迅速に提示し、少なくとも1つの歪み補正された画像が瞳孔182の場所上に投影されることを確実にし得る。
【0075】
図14及び
図15は、別の実施形態による、選択的眼瞳孔照明又は選択的EMB照明が達成され得る、POD112の例示的な構成を示す。この実施形態では、照明システム600は、POD112内の照明システム300に代わるものである。照明システム600は、光源306のアレイと同様の光源606のアレイ、第1の光学配置608、第1のマイクロレンズアレイ(MLA)610、第2のマイクロレンズアレイ612及び第2の光学配置614を含む。
【0076】
第1及び第2の光学配置608及び614は、例えば、フレネルレンズ又は画像の光ビームをコリメートするために使用され得る回折レンズなどのレンズを含み得る。第1の光学配置608及び第2の光学配置614は、特定のタイプのレンズ又は光学構成要素を含むとして上記で説明されているが、ガラス又はプラスチックから形成される球形、非球形又は自由形の屈折レンズ、回折レンズ、フレネルレンズ、反射レンズ、及び上記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、広範囲の他のレンズタイプ又は光学構成要素及び実装形態が代替的に利用され得る。
【0077】
第1のMLA610及び第2のMLA612は、各々単一の要素として機能し得るレンズのアレイを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のMLA610及び612のレンズは、屈折レンズを含み得る。いくつかの実施形態では、バッフル配置(図示せず)は、コリメート光学系間のクロストークを低減するために、第1のMLA610と第2のMLA612との間に介在され得る。第1のMLA610及び第2のMLA612は、特定のタイプのレンズ又は光学構成要素を含むとして上記で説明されているが、ガラス又はプラスチックから形成される球形、非球形又は自由形の屈折レンズ、回折レンズ、フレネルレンズ、反射レンズ、及び上記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、広範囲の他のレンズタイプ又は光学構成要素及び実装形態が利用され得る。
【0078】
第1の光学配置608及び第1のMLA610内のレンズの各々は、第2のMLA612の平面においてアレイ606の光源の画像を創出するように一緒に構成される。第2のMLA612及び第2の光学配置614は、SLM304の平面において第1のMLA610のレンズレット要素の各々の画像を創出するように一緒に構成されている。例示的な構成では、光源のアレイ606は、光学配置608の焦点面内に位置し、第2のMLA612は、第1のMLA610の焦点面内に位置し、SLM304は、光学配置614の焦点面内に位置する。EMB128の選択的照明は、EMB128の標的部分及び瞳孔182の対応する部分のみが照明されるように、アレイ606の光源を協調してタイミングよくオン及びオフを切り替えることによって達成される。例えば、
図14及び
図15に見られるように、画像の光ビーム616及び618は、例えば、異なる時間において、光源620及び622を選択的に活性化することによって生成され得る。光ビーム616及び618は、第1の光学配置608を通って、第1のMLA610の1つ以上のレンズを通って、第2のMLA612の1つ以上のレンズを通って、及び第2の光学配置614を通って移動し、照明システム600から、投影光学系302を介して、コリメートビームとしてSLM304のFOVA及びFOVBに出力される。次いで、SLM304は、光ビーム616及び618の画像に歪みを適用し、
図13のプロセスについて上で説明されるものと同様の方法で、瞳孔182への投影のためにそれらをLOE114に出力する。
【0079】
図16A及び
図16Bを参照して、ここでいくつかの実施形態による画像投影アセンブリ710のYZ平面及びXZ平面の概略図をそれぞれ説明する。画像投影アセンブリ710は、そのような構成要素が同様の参照番号を有する画像投影アセンブリ110について上で説明されるものと同様の構成要素を含み得る。例えば、画像投影アセンブリ710は、POD712及びLOE714を含む。LOE714は、主要外部表面716及び718、例えば、ファセット724を含むカップリングアウト配置720、並びにLOE114の構成要素に類似する反射光学配置722を含む。
【0080】
画像投影アセンブリ710は、POD712とLOE714との間に位置決めされたくさび750を更に含む。くさび750は、
図9A~
図9Cに例解されるシリンダミラーの収差を低減するように構成されている。光ビーム726は、POD712からウェッジ750を介してLOE714内に結合され、導波路開口絞りはくさび750の後ろに位置する。いくつかの実施形態では、くさび750の表面752及び754は、POD712の光学収差を補償し、かつ画質を改善するために、任意選択的に一次元又は二次元の光学パワーを有し得る。LOE714は、ミキサ756、例えば、主要外部表面716及び718に平行な半反射平面を更に含む。いくつかのシナリオでは、例えば、POD712の出力ビーム726は、LOE714を完全に満たさない場合がある。ミキサ756は、LOE714の全開口にわたってビーム726を分布させるために利用される。いくつかの実施形態では、ミキサ756は、例えば、
図16Aに示されるように、くさび750とカップリングアウト配置720との間のLOE714の内部に位置し得る。他の実施形態では、ミキサ756は、カップリングアウト配置720と反射光学配置722との間のLOE714の内側に位置し得る。反射光学配置722はまた、カップリングアウト配置720と反射光学配置722、例えば、四分の一波長板との間に配設された波長板723を含み得る。ミキサ756がカップリングアウト配置720と反射光学配置722との間に位置する実施形態では、光ビームは、カップリングアウト配置720によってLOE714からEMB又は瞳孔に向かって方向付けられる前に、ミキサ756を2回通過する。このような場合、ミキサ756は、ミキサ756がくさび750とカップリングアウト配置720との間に位置する実施形態と比較して、z方向に沿って短い長さを有し得る。
【0081】
画像投影アセンブリ710は、LOE714とくさび750との間に配設された偏光子725を更に含み得る。いくつかの実施形態では、カップリングアウト配置720は、1つの偏光、例えば、偏光(複数可)に対して部分的に反射するが、直交偏光、例えば、偏光(p)に対して本質的に透明である、表面、例えば、ファセット724を含む。POD712から出力される入力光ビーム726がp偏光される場合、それは、カップリングアウト配置720によって結合出力されることなく、反射光学配置722に向かって伝搬する。反射光学配置722から反射し、波長板723を通過した後、光はs偏光になり、反射光学配置722からPOD712に向かって戻って伝搬するとき、カップリングアウト配置720によってLOE714から結合出力される。偏光子725は、逆伝播光ビームがPOD712に入ることを阻害するように構成されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、LOE714はまた、LOE714の主要外部表面716及び718上に配設された任意選択的なカバープレート727を含み得る。カバープレート727は、導波路主要表面に垂直な方向のカップリングアウト配置720の厚さが、LOE714の総厚さよりも小さいという結果をもたらす。LOE714はまた、p偏光の通過を阻害するように構成されているLOE714の主要外部表面716及び718に平行に配設される任意選択的な偏光子(図示せず)を含み得る。例えば、そのような任意選択的な偏光子(図示せず)は、LOE714の前、例えば、
図16AのLOE714の左側に配設され得、これは、カップリングアウト配置720によってLOE714から外部世界へ結合出力された光ビームを阻害するように構成されている。別の任意選択的な偏光子(図示せず)は、LOE714の後ろに、例えば、
図16AのLOE714の右側に配設され得、これは、カップリングアウト配置720によって結合出力され、ユーザに向かって左の主要外部表面716によって反射された光ビームを阻害するように構成されている。
【0083】
POD712の照明システム800は、
図16Aに概略的に示され、より詳細には
図16Bに示される。照明システム800は、光源802のアレイ、プリズム804及び806の配置間に配設された偏光ビームスプリッタ、四分の一波長板808並びに、例えば、反射レンズ又はミラーなどのコリメート光学配置810を含む。アレイ802内の光源によって発せられた光ビームは、光学配置810からの反射後に平行となり、POD712のプリズム816に向かって光を抽出するための2つの主要平面平行面及び1組の半反射ファセット814を有するLOE812、例えば、導波路内に投じられる。POD712はまた、LOE812とPOD712のプリズム816との間の任意選択的な拡散器818を含み得る。照明システム800はまた、プリズム804及び806とLOE812との間の任意選択的な拡散器(図示せず)を含み得る。プリズム804及び806からLOE812に結合出力された光ビームは、全内部反射によってLOE812を通って伝播し、ファセット814によってPOD712の任意選択的な拡散器818及びプリズム816に向かってLOE812から結合出力される。照明システム800内の光ビームの伝播の例示的な経路は、
図16Bに矢印として示される。
【0084】
図16Aに示されるように、照明システム800から受信された光ビームは、プリズム816に入り、SLM820に向かって方向転換される。偏光ビームスプリッタ822は、POD712のプリズム816と別のプリズム824との間に配設され得る。SLM820は、SLM304と類似し得、コントローラ140によって制御されるように構成されている。この実施形態では、SLM820は、SLM304を参照して上で説明されるように、反射SLM又は発光SLMとして実装され得る。
【0085】
照明光ビームは、例えば、SLM304について上で説明されるものと同様にして、SLM820によって変調され、偏光ビームスプリッタ822及びプリズム824を通してPOD712の反射光学配置826に向かって方向付けられる。次いで、反射光学配置826によって反射される光ビームは、プリズム824によってくさび750に向かって方向付けられる。
【0086】
図16Cは、別の実施形態による、POD712及びLOE714と共に使用され得る照明システム900を例解する。この実施形態では、照明システム900は、
図16Bの照明システム800に代わるものである。照明システム900は、光源902のアレイと、光学要素904を含む撮像システムと、を含む。光学要素904は、屈折レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ又は位相レンズ、例えば、パンチャラトナムベリーレンズ、又は任意の組み合わせの任意の他のタイプのレンズを含み得る。アレイ902内のソースによって発せられた光ビームは、光学要素904を通過した後にコリメートされ、プリズム908を通してLOE906内に投じられる。光は、全内部反射によってLOE906内を伝播し、半反射ファセット910によってPOD712のプリズム816内に方向付けられる。照明システム900内の光伝搬経路は、
図16Cの矢印で示されている。照明システム800と同様に、任意選択的な拡散器(図示せず)もまた、例えば、LOE906とプリズム816との間、及び光学要素904とプリズム908との間に含まれ得る。
【0087】
図17及び
図18A~
図18Cは、SLM304(
図10)の2つの画素が照明システム300(
図10)からの光ビームを2つの光ビーム1000及び1002内に反射する、画像投影アセンブリ110の実施形態を例解する。ビーム1000及び1002は、FOV、FOVA及びFOVB内の2つの異なる点にそれぞれ対応するが、活性照明システムソースによって画定されるような、POD112の同じサブ開口角にも対応する。ビーム1000及び1002は、カップリングアウト配置120のファセット124によって拡大され、EMB128上に投影される。
【0088】
図18A~
図18Cは、異なるFOVのビーム1000及び1002が、EMB128及び眼180(
図6B)の瞳孔182(
図6B)上に投影される例示的なシナリオを例解する。
図18A~
図18Cにおいて、ビーム1000及び1002は、破線として例解され、瞳孔182の位置は、円として例解される。
【0089】
図18Aを参照して、瞳孔の2つの可能な位置1004及び1006が示される例示的なシナリオを説明する。位置1004では、ビーム1000及び1002の両方が瞳孔を照明し、FOVA及びFOVBをユーザに示す。位置1006では、ビーム1000のみが瞳孔を照明し、FOVAのみをユーザに示す。
図18Aの例示的なシナリオは、POD112の異なるサブ開口が、特定のFOVが瞳孔に可視であるように照明され得ることを示す。例えば、FOVBが位置1006で瞳孔に可視であるために、POD112の異なるサブ開口が照明され得る。
【0090】
図18Bを参照して、EMB128における光ビーム1008(FOVA)及び1010(FOVB)の投影が、照明されているPOD112の異なるサブ開口に対応することが示される、別の例示的なシナリオを説明する。この例示的なシナリオでは、瞳孔の同じ2つの可能な位置1004及び1006が示される。位置1004では、ビーム1008及び1010の両方が瞳孔を照明し、FOVA及びFOVBの両方をユーザに示すが、ビーム1008は、位置1004において瞳孔182を部分的にのみ照明する。位置1006では、ビーム1010のみが瞳孔を照明し、FOVBをユーザに示す。FOVBが位置1006で瞳孔に可視であるために、POD112の異なるサブ開口が照明され得る。
【0091】
図18A及び
図18Bの両方の例示的なシナリオでは、瞳孔が位置1006にあるとき、FOVA又はFOVBのいずれかを見ることができない。いくつかの実施形態では、コントローラ140(
図1)は、瞳孔がEMB128上の特定の位置に位置するときに、FOVの完全なセットがユーザの眼に見えるようにするように、アレイ306内の1つ以上の光源を順次オン及びオフすることによって、この問題を説明するように構成されている。
【0092】
図18Cを参照して、EMB128における光ビーム1012(FOVA)及び1014(FOVB)の投影が、照明されているPOD112の異なるサブ開口に対応することが示される、別の例示的なシナリオを説明する。この例示的なシナリオでは、瞳孔の同じ2つの可能な位置1004及び1006が示される。位置1004では、ビーム1012及び1014の両方が瞳孔を照明し、FOVA及びFOVBの両方をユーザに示す。位置1006において、全ビーム1014は、瞳孔を照明し、FOVBをユーザに示すが、ビーム1012の一部のみが瞳孔を照明する。そのような部分照明は、例えば、瞳孔の端部での回折に起因して、FOVAの画像の劣化をもたらし得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、FOVAの劣化した画像の投影を阻害するために、瞳孔が位置1006にある間にPOD112のこの特定のサブ開口を照明するとき、FOVBを投影するがFOVAを投影しないようにSLM304に命令するように構成され得る。代わりに、FOVAは、POD112の別のサブ開口又は光源の連続的な活性化によって、同じ位置1006上に投影され得る。
【0093】
ここで、
図19A~
図19Cを参照して、別の実施形態による照明システム1100について説明する。照明システム1100は、例えば、
図10に示されるように、POD112の照明システム300の代わりになり得、
図14に示されるように、POD112の照明システム600の代わりになり得、
図16A及び
図16Bに示されるように、POD712の照明システム800の代わりになり得、
図16Cに示されるように、POD712の照明システム900の代わりになり得、又は任意の他のPODと共に使用され得る。照明システム1100は、照明システム300、600、800、及び900のいずれかに見られるものと同様の構成要素を含み得る。
【0094】
図19Aでは、POD712に対応する参照番号を、照明システム1100の説明と共に使用する。例えば、上で言及されるように、POD712は、プリズム816及び824、SLM820、偏光ビームスプリッタ822、反射光学配置826及び任意選択的な拡散器828を含み、これらの全ては、照明システム1100から光ビームを受信した後、
図16A及び
図16Bを参照して上で説明されるように機能し得る。
【0095】
図19A~
図19Cに示されるように、照明システム1100は、MLA1102と、マイクロLEDディスプレイ又は光源の他の配置などの光源1104のマトリックスと、を含む。照明システム1100から出力される光ビームは、プリズム816に提供される。
図19Bに示されるように、MLA1102内の各マイクロレンズは、それぞれの光源からの光をコリメートする。コリメートされた照明の方向又は角度は、マトリックス1104内のどの光源が活性化されるかに応じて、マイクロレンズごとに変化し得る。例えば、光源1106が活性化されると、光ビーム1108は、マイクロレンズ1110によってコリメートされ、第1の方向又は角度で出力されるが、光源1112が活性化されると、光ビーム1114は、同一のマイクロレンズ1110によってコリメートされるが、第1の方向又は角度とは異なる第2の方向又は角度で出力される。MLA1102の構成及び光源1104のマトリックスは、コントローラ140がSLM820の異なる領域について異なる照明角度を提示することを可能にする。別の実施形態では、MLA1102の代わりに、マイクロミラー(図示せず)のアレイが利用され得る。
【0096】
ここで、
図20~
図29を参照して、上記の光学システム100の様々な実施形態が、時間多重明視野像の投影のために構成され得る実施形態を開示する。
【0097】
ここで、
図20及び
図21を参照して、レンズ184が無限遠又は有限距離に焦点を合わせたときの眼180の機能をそれぞれ説明する。
【0098】
図20に見られるように、眼180のレンズ184は無限遠に焦点を合わせられ、瞳孔182は、網膜186でそれぞれ画像P
1及びP
2を作製する2つの光のビームであるビーム1200及びビーム1202によって照明される。
図21は、眼180のレンズ184が無限遠ではなく有限距離で焦点を合わせ、レンズ184がより短い焦点距離を有することを示している。
図21のレンズ184の焦点距離が短いため、画像P
1、P
2は単一の画像に収束する。画像P
1及びP
2は、小さいサブ開口を通して瞳孔182に投影されるため、眼180のレンズ184の焦点距離が変化すると、画像P
1及びP
2のぼやけが小さくなる。
【0099】
図22及び
図23は、画像投影アセンブリ110及び210が、FOV内の異なる点及びPOD112及び212の異なるサブ開口角に対応するビーム1300及び1302をEMB128上に投影し、
図20及び
図21に示されるように瞳孔182の異なる領域を照明する実施形態を例解する。特定の構成要素を有するものとして示されているが、画像投影アセンブリ110及び210は各々、本明細書に説明される様々な実施形態で見られるLOE、POD、照明システム又は光学システム100の他の部分の構成要素のいずれかを含み得る。
【0100】
ここで
図24を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ140は、単一の画像の投影を、複数のフレーム、例えば、フレーム1、フレーム2...フレームnに分割するように、かつ各フレームを順次ユーザの眼180に投影するように構成されている。この実施形態におけるコントローラ140は、
図24に示されるように、連続するフレーム1-nの画像1300
1、1300
2、...1300
n内のオブジェクトが前フレームに対してわずかにシフトするように、各連続フレーム1、2、...nにおける画像1300
1、1300
2、...1300
nの場所をシフトするように構成されている。コントローラ140は、フレームを一度に1つずつ高速で連続して投影するように構成されており、いくつかの実施形態では、アレイ306内の異なる光源を活性化することによって、POD112の異なるサブ開口を使用してシフトしたフレームのうちの1つ以上を投影し得る。例えば、
図24に見られるように、フレームnの画像1300
nは、フレーム1の画像1300
1に対して距離eだけずれている。このようにして、コントローラ140は、画像のフレームの時間多重投影を使用して一次元明視野をシミュレートし得る。
【0101】
場合によっては、上で説明される時間多重明視野投影は、例えば、
図22の軸Xに沿って、一次元のみで創出される。軸Zに沿って、画像のビームは幅が広く、ファセット124による瞳孔の拡大により、Z方向に眼の全開口を照明する。このため、Z方向の画像が鮮明なのは無限遠に焦点を合わせた場合のみで、眼の調節が変化して有限の焦点距離になると、Z方向の画像がぼやけてくる。
【0102】
図25A~
図25Cを参照すると、画像投影アセンブリ210の実施形態が例解され、ここでは、上で説明されるような時間多重明視野投影のZ方向でのぼやけが克服され得る。例えば、Z方向におけるビーム1400の開口は、ファセット224のいくつかの反射率及び強度の少なくとも1つを動的に増加又は減少させることによって、例えば、動的にそれらをより反射的又はより透明にすることによって、制限され得る。実施例として、LOE214のファセット224の反射率及び強度の一方又は両方は、
図25A~
図25Cに示される実施形態で動的に調整されるように構成されている。画像投影アセンブリ210を参照して説明されているが、他の実施形態では、画像投影アセンブリ110が代替的に利用され得る。
【0103】
X次元におけるビーム1400のサイズは、照明システム、例えば、本明細書に説明される照明システム300、600、800、及び900のいずれか又は他の構成要素に起因して制限されるが、Z方向において、ビーム1400は、
図25Bに示されるように、ファセット1402、1404、1406、及び1408からの反射によって完全なEMB128を照明する。
図25Bに示される実施例では、ファセット1404及び1406からの反射は、EMB128内の特定の位置において瞳孔182を照明するが、他のファセット、例えば、ファセット1402、1408などからの反射は、EMB128内の特定の位置において瞳孔182を照明することはない。ファセット1406が
図25Cに示されるように透明(非反射)になると、Z方向の瞳孔182の一部のみが照明される。各ファセットの反射率及び強度の一方又は両方を動的に調整することによって、瞳孔182の任意の位置及び眼180のレンズ184の任意の調節について、網膜186上の点の画像をZ方向で鮮明にされ得る。
【0104】
ここで
図26を参照すると、いくつかの実施形態によるファセット1502の反射率及び強度の一方又は両方を制御するための動的ファセット構造1500が例解されている。ファセット1502は、p偏光に対して高透過性であり、s偏光に対して部分的に反射性であり得る。動的ファセット構造1500は、第1の液晶層1504と第2の液晶層1506との間に配設されたファセット1502を含む。いくつかの実施形態では、液晶層1504及び1506は平行であり、ファセット1502に平行であり得る。液晶層1504及び1506の各々における液晶の状態は、例えば、コントローラ140(
図1)によって、層に印加される電圧によって制御される。「オン」状態では、各液晶層1504及び1506の液晶は、ビーム1400の偏光を90度回転させる半波長板として機能する。「オフ」状態では、ビーム1400の偏光状態は、液晶の層を通過した後に変化することはない。
【0105】
この実施形態では、LOE214内で伝播するビーム1400はs偏光され、ファセット1502は、上で言及されるように、p偏光に対して高度に透過性であり、s偏光に対して部分的に反射性である。他の実施形態では、LOE214内で伝搬するビーム1400は、p偏光され得、ファセット1502は、s偏光に対して高度に透過性であり、p偏光に対して部分的に反射性であり得る。
【0106】
液晶層1504及び1506が「オフ」状態にある場合、ビーム1400がファセット1502に直面するときのビーム1400の偏光は、s偏光であり、ファセット1502は、例えば、
図25Cのファセット1404によって示されるように、ビーム1400に対して部分的に反射する。液晶層1504及び1506が「オン」状態にあるとき、ビーム偏光は、ファセット1502におけるp偏光であり、ファセット1502は、例えば、
図25Cのファセット1406によって示されるように、ビーム1400に対して透明である。
【0107】
ファセット1502のいずれかの側に配設された液晶層、例えば、ファセット1502の一方の側に配設された液晶層1504及びファセット1502の反対側に配設された液晶層1506が存在するため、「オン」状態にある場合、ビーム1400の偏光は、動的ファセット構造1500に直面する前のs偏光から、液晶層1504を通過した後のp偏光に変化することに留意されたい。ビーム1400は、p偏光を有している間にファセット1502に直面し、p偏光におけるファセット1502の高い透過率により、通過することになる。次いで、ビーム1400は、ファセット1502の反対側に液晶層1506に直面し、p偏光からs偏光に戻る。次いで、ビーム1400は、s偏光を有したまま動的ファセット構造1500を出る。このようにして、各動的ファセット構造1500は、他のファセットのいずれかに対するビーム1400の偏光に影響を与えることなく、ビーム1400を反射又は透過するようにコントローラ140(
図1)によって独立して制御され得る。
【0108】
別の実施形態では、ファセット224の反射率及び強度の一方又は両方は、電気的に切り替え可能なブラッグ反射器を使用して代替的に動的に制御され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カップリングアウト配置220のファセット224の各々は、その反射率、強度、又はその両方がコントローラ140によって電気的に制御され得る電気的に切り替え可能なブラッグ反射器を含み得る。
【0109】
ここで、
図27A及び
図27Bを参照して、いくつかの実施形態による画像投影アセンブリ1610について説明する。画像投影アセンブリは、POD112、212又は本明細書に開示される任意の他のPODと同様の構成要素及び機能性を含み得るPOD1612を含む。画像投影アセンブリは、以下でより詳細に説明される場合を除き、LOE114、214又は本明細書に開示される他のLOEのいずれかと少なくともいくつかの同様の構成要素及び機能性を含み得るLOE1614を含む。POD1612は、EMB128及び瞳孔182へのカップリングアウト構成1620によって方向付けられる光ビーム1626をLOE1614に出力するように構成されている。
【0110】
図27A及び
図27Bの実施形態では、カップリングアウト配置1620は、例えば、
図27A及び
図27Bに示されるように、LOE1614の主要外部表面1616又は1618のうちの1つに配設された切り替え可能なブラッグ反射器(SBR)1624を含む。例えば、いくつかの実施形態では、SBR1624は、主要外部表面1616内に統合され得る。「オン」状態にあるとき、SBR1624は、光ビーム1626をEMB128内の瞳孔182の場所に向かって反射させるように構成されている。「オフ」状態にあるとき、SBR1624は、光ビーム1626が導波路内で伝播するように、全内部反射率を提供する。いくつかの実施形態では、SBR1624は、例えば、コントローラ140によって独立して制御され得る領域1628を含む、複数の選択的に活性化可能な領域に分割される。SBR1624の選択領域を「オン」に切り替えることによって、例えば、
図27Bの選択領域1628に示されるように、瞳孔182の標的部分が照明され得る。別の実施形態では、SBR1624の代わりに、透過性切り替え可能格子が代替的に使用され得る。
【0111】
図28を参照すると、ここで、動的ファセット構造1500又はSBR1624を制御するようにコントローラ140が更に構成されている2D明視野投影を有する光学システム100の実施形態について説明する。例えば、アイトラッキングシステム160は、LOE114に対する瞳孔182の場所を判定し、この場所を場所情報としてコントローラ140に提供する。コントローラ140は、場所情報を使用して、判定された場所において瞳孔182上に画像を投影するように活性化され得るアレイ306内の光源又は複数の光源を判定し、SLM304によって画像に適用される歪みを判定し、上で説明されるように、
図2A~
図2Cの2D拡大システムのPOD112及び反射光学配置122又は
図3の1D拡大システムのPOD212内の収差に起因する網膜186上の画像移動を補償する。
【0112】
この実施形態では、コントローラ140はまた、LOE114内のファセット124のうちのどのファセット124が、例えば、上で説明されるように、眼180のレンズ184の調節の変化に起因するZ方向の画像の鮮明さを向上させるために、「オン」状態(半反射)及び「オフ」状態(透過)に設定されるように選択されるかを判定するように構成されている。例えば、無限遠に位置するオブジェクトの画像を投影するには、単一の画像のみを投影する必要がある。しかしながら、最終的な距離に位置するオブジェクトの画像を投影するために、例えば、
図20~
図24を参照して上で説明されるように、複数の画像を投影する必要がある。
【0113】
一実施例のシナリオでは、ユーザから有限距離に位置するオブジェクトの画像が投影される。瞳孔182の所与の位置について、複数の画像、例えば、2つの画像、3つの画像、…100個以上の画像が、瞳孔182の異なるサブ開口を通して投影される。各サブ開口投影について、画像は2回ゆがめられる。第1の歪みは、
図13A~
図13Cに示されるような収差によって引き起こされる歪みを補償するように構成されている。第2の歪みは、例えば、
図20及び
図21に示されるように、画像をシフトして明視野を創出するように構成されている。
【0114】
図29を参照して、ここで、選択的に活性化可能なファセット124の制御を含む
図28の光学システム100を動作させるための例示的なプロセスを説明する。本プロセスは、コントローラ140、アイトラッキングシステム160、POD112及びLOE114によって少なくとも部分的に行われ得るか、又は光学システム100の他の部分によって少なくとも部分的に行われ得る。
【0115】
図29のプロセスは、ステップ1700~1712を含む。
図29のプロセスは、他の実施形態では、特定のステップ又は特定の順序のステップを有するように本明細書で説明されているが、本プロセスは、代替的に、任意の順序でステップを行い得るか、追加のステップを含み得るか、より少ないステップを含み得るか、又は以下で説明されるステップの部分のみを行い得る。
【0116】
ステップ1700において、アイトラッキングシステム160は、例えば、1つ以上のアイトラッキングカメラ又は他の光学要素を使用して、瞳孔182の場所を判定し、判定された場所に対応する場所情報、例えば、座標又は他の情報をコントローラ140に提供する。
【0117】
ステップ1702において、コントローラ140は、瞳孔182の部分上に画像を投影するために活性化され得るアレイ306内の光源を判定する。例えば、コントローラ140は、どの光源がEMB128の各部分に対応するかを示すEMB128の座標マップを維持し得る。コントローラ140は、例えば、EMB128に対する瞳孔182の場所を判定し、座標マップに基づいて対応する光源を識別することによって、少なくとも部分的に、場所情報と座標マップとの間の比較に基づいて活性化される光源を選択し得る。
【0118】
ステップ1704において、コントローラ140は、例えば、上で説明されるように、ファセット124のうちのどれを「オン」状態に設定する必要があり、ファセット124のうちのどれを「オフ」状態に設定する必要があるかを判定する。
【0119】
ステップ1706において、コントローラ140は、活性化される識別された光源に少なくとも部分的に基づいて、SLM304においてどの歪みが画像に適用するかを判定する。いくつかの実施形態では、歪みはまた、若しくは代替的に、例えば、複数の光源が同じ場所を照明するために利用され得るが、異なるコリメート角度を有する場合に、場所情報に少なくとも部分的に基づいて判定され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ140は、
図13のステップ504について上で説明されるものと同様の方法で、又は任意の他の方法で適用される歪みを判定し得る。
【0120】
ステップ1708において、コントローラ140は、適切な制御信号をファセット124に適用して、それらを判定された「オン」又は「オフ」状態に設定する。
【0121】
ステップ1710において、コントローラ140は、識別された光源を活性化させて画像を出力する。
【0122】
ステップ1712において、コントローラ140は、画像をLOE114に提供する前に、画像に適用されるべき判定された歪みをSLM304に提供する。次いで、画像は、「オン」状態に設定されたLOE114のファセット124によって瞳孔182の部分上に投影され、プロセスはステップ1700に戻り、画像の各フレームについて続行する。このようにして、瞳孔182の場所の変化が考慮され、眼180の調節の変化が画像の鮮明さに及ぼす影響が軽減され、対応する光源が活性化され、適切な歪みが適用され、可能な限り歪みが少ない画像が生成される。
【0123】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に示していない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことが更に理解されるであろう。
【0124】
以下の特許請求の範囲において、該当する場合、全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクション要素の、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わせてその機能を行うための、あらゆる構造、材料、又は行為を含むことを意図している。本発明の開示される実施形態は、例解及び説明のために提示されているが、網羅的であること又は開示された形態の発明に限定されることを意図するものではない。多くの修正及び変形が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。本発明の原理及び実際の用途を最良に説明し、想到される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本発明を他の当業者が理解することを可能にするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【国際調査報告】