(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】同心チューブ手術ロボットのための医師入力装置
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20231205BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20231205BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B34/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532498
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021062220
(87)【国際公開番号】W WO2022125554
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521555616
【氏名又は名称】ヴィルトゥオーソ サージカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ディロン、ニール
(72)【発明者】
【氏名】ブランコム、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ブルム、エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】アマック、ステファニー
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AB02
4C130BA02
4C130CA14
4C130CA20
(57)【要約】
低侵襲内視鏡同心チューブ手術ロボット(2)と通信するための高度に直感的な医師入力装置(1)。医師入力装置(1)は、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ(10)と、ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ(30)と、ユーザインターフェース型ベアリングブロックアセンブリおよびユーザインターフェースベースアセンブリ(40)と、これらの軸の各々を測定するために全体にわたって、場合によっては安全のために冗長に分散されたセンサとを備えることができる。センサおよびエンコーダのネットワークが医師入力装置(1)に組み込まれていることに起因して、医師入力装置(1)上でなされた動きに対応する内視鏡同心チューブロボット(2)の動きを引き起こすことが可能である。医師入力装置(1)が同心円筒ロボット(2)に通信できる少なくとも4つの動作制御があり、それらは並進、パン、チルト、および軸回転である。いくつかの実施形態では、第5の制御は、グリッパ等のツールの作動を含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアとリニアエンコーダとを含むリニアジョイントアセンブリと、
ハンドルと、前記ハンドルから前記ボアの中へと延伸するシャフトとを含むユーザ入力アセンブリであって、前記シャフトが、前記リニアエンコーダに対して直線平行移動軸に沿って移動可能であり、前記リニアエンコーダが、前記リニアジョイントアセンブリに対して、前記シャフトの前記直線位置の平行移動位置データを取得する、ユーザ入力アセンブリと、
前記リニアジョイントアセンブリを支持するパン・チルトアセンブリであって、前記リニアジョイントアセンブリが、前記パン・チルトアセンブリに対して、基準水平軸を中心として枢動可能である、パン・チルトアセンブリと、
前記パン・チルトアセンブリを支持するベースアセンブリであって、前記パン・チルトアセンブリが、前記ベースに対して、基準垂直軸を中心として回転可能である、ベースアセンブリとを備え、
前記ハンドルが、前記ベースアセンブリに対して、少なくとも3自由度で移動可能である、同心チューブアセンブリを制御するための入力器具。
【請求項2】
前記リニアジョイントアセンブリと前記パン・チルトアセンブリとの間に配置されたチルトセンサであって、前記回転センサが、前記パン・チルトアセンブリに対する、水平基準軸を中心とした前記リニアジョイントアセンブリの角度位置を表す傾斜位置データを取得する、チルトセンサをさらに備える、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記パン・チルトアセンブリと前記ベースアセンブリとの間に配置されたパンセンサであって、前記回転センサが、前記ベースアセンブリに対する、垂直基準軸を中心とした前記パン・チルトアセンブリの角度位置を表すパン位置データを取得する、パンセンサをさらに備える、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
ガイドチューブと、前記ガイドチューブの内側に収容されたインナーチューブとを備える同心チューブアレイであって、前記インナーチューブが、前記ガイドチューブに対して平行移動可能である、同心チューブアレイをさらに備える、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記同心チューブアレイが、前記入力装置に電子的に結合され、それによって、前記入力装置の動きが、前記平行移動位置データ、傾斜位置データおよびパン位置データを介して、前記同心チューブアレイにおける対応する運動を生じさせるようにされる、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
第1および第2の端部を有するユーザインターフェースハンドルアセンブリと、
ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリと、
ユーザインターフェースパン・チルトアセンブリであって、前記リニアジョイントアセンブリが、前記パン・チルトアセンブリに対して、基準水平軸を中心として枢動可能である、ユーザインターフェースパン・チルトアセンブリと、
ユーザインターフェースベースアセンブリであって、前記パン・チルトアセンブリおよびリニアジョイントアセンブリが、前記ベースアセンブリに対して、基準垂直軸を中心として枢動可能である、ユーザインターフェースベースアセンブリと、
を備える、同心チューブアセンブリを制御するための医師入力装置。
【請求項7】
前記リニアジョイントアセンブリ上に配置されたリニアエンコーダをさらに備え、
前記リニアエンコーダが、前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリの位置を表す平行移動位置信号を出力するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリが、
前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリの前記第1の端部に位置する接触点アセンブリと、
ハンドルベアリングアセンブリと、
直線平行移動軸に沿って延伸し、前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリの前記第2の端部に位置する、シャフト軸アセンブリと、
をさらに備える、請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記接触点アセンブリが、前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリの前記第1の端部に位置する接触感知ユーザインターフェースアセンブリをさらに備える、請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
前記ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリが、
前記平行移動軸に沿った前記シャフトの動きを検出するための平行移動センサをさらに備える、請求項9に記載の入力装置。
【請求項11】
前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリが、前記ユーザインターフェースハンドルアセンブリの前記第2の端部に位置する前記シャフトとの嵌合相互接続によって、前記ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリに接続される、請求項10に記載の入力装置。
【請求項12】
前記ユーザパン・チルトアセンブリが、前記ユーザリニアジョイントアセンブリに枢着され、それによって前記シャフトの角度が基準水平軸を中心として上下に傾斜し得るようにされ、さらに、前記ユーザインターフェースベースアセンブリに枢動可能に装着され、それによって前記シャフトの角度が基準垂直軸を中心として左右にパンされ得るようにされる、請求項11に記載の入力装置。
【請求項13】
前記ユーザインターフェースベースアセンブリが、
ベースプレートと、
前記ベースアセンブリに対する前記パン・チルトアセンブリの前記角度位置を測定するように構成された、少なくとも1つの回転センサと、
表示灯と、
をさらに備える、請求項12に記載の入力装置。
【請求項14】
ベースアセンブリが、前記ベースアセンブリに対する前記パン・チルトアセンブリの角度位置を各々独立して検出する第1および第2のパンセンサを含む、請求項13に記載の入力装置。
【請求項15】
前記ユーザインターフェースベースアセンブリが、前記パン・チルトアセンブリが基準垂直軸を中心として回転するとき、前記パン・チルトアセンブリに対して静止している、請求項14に記載の入力装置。
【請求項16】
完全に相互接続されたユーザインターフェースハンドル、リニアジョイント、パン・チルトアセンブリ、およびベースアセンブリが、同心チューブアセンブリを制御するための信号を提供する、請求項15に記載の入力装置。
【請求項17】
前記入力装置が、前記ハンドルの角回転が前記同心チューブアセンブリにおける対応する回転を生じさせるように構成される、請求項17に記載の入力装置。
【請求項18】
前記ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリの前記平行移動センサが、前記平行移動軸に沿って摺動する前記シャフトの平行移動の動きを感知し、それによって、前記同心チューブアセンブリにおける対応する平行移動の動きを引き起こすことが可能である、請求項17に記載の入力装置。
【請求項19】
前記パン・チルトアセンブリの前記チルトセンサが、前記相互接続されたユーザインターフェースハンドルおよびリニアジョイントアセンブリにおける傾斜軸を中心として上下に傾斜する動きを感知し、それによって、前記同心チューブアセンブリにおける対応する傾斜の動きを引き起こすように動作可能である、請求項18に記載の入力装置。
【請求項20】
前記ユーザインターフェースベースアセンブリの前記パンセンサが、前記パン・チルトアセンブリの、基準垂直軸を中心として横にパンする動きを感知し、それによって、前記同心チューブアセンブリにおける対応するパンする動きを引き起こすように動作可能である、請求項19に記載の入力装置。
【請求項21】
(a)ベースと、前記ベースに枢着され、垂直基準軸を中心として前記ベースに対して回転可能なベアリングブロックとを含むユーザ入力装置と、水平基準軸を中心として前記ベアリングブロックに枢動可能に取り付けられたリニアジョイントと、前記リニアジョイントに対して直線平行移動可能なハンドルとを設けることであって、前記装置が、前記ハンドルと前記リニアジョイントとの間のリニアエンコーダと、前記ベアリングブロックと前記リニアジョイントとの間の第1の回転センサと、前記ベースと前記ベアリングブロックとの間の第2の回転センサとを含む、を設けることと、
(b)前記リニアエンコーダから平行移動データを、前記第1の回転センサから傾斜角度位置データを、前記第2の回転センサからパン角度位置を取得することと、
(c)前記取得された平行移動データ、傾斜角度位置データおよびパン角度位置データに基づいて、制御信号を生成することと、
(d)前記同心チューブアセンブリに結合されたドライバに、前記制御信号を送信することと、
(e)前記ドライバを介して、視野内における前記同心チューブアセンブリの運動を制御し、それによって、前記視野内の前記同心チューブアセンブリの運動が、3自由度に沿って前記ユーザ入力装置の運動に対応するようにすることと、
を備える、ロボット手術を行うための同心チューブを制御する方法。
【請求項22】
(f)前記ハンドルを前記リニアジョイントに向かって平行移動させることと、
(g)同時に、前記チューブアセンブリの前記インナーチューブを前記ガイドチューブから離れて前記視野の中に入れさせることと、
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(f)前記ユーザ入力装置を手術用ドレープの中に覆うことと、
(g)前記ユーザ入力装置を術野内で操作することと、
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は概して、精密な手術を行うためのロボット内視鏡手術機器および関連する方法に関する。より詳細には、本発明は、医師が内視鏡同心チューブロボット手術システムを正確に動かして制御することを可能にする入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたり、手術中に可能な限りもっとも低侵襲なやり方での体内への進入が、患者に多大な利益をもたらすことがますます明らかになってきている。低侵襲手術とは、大きく開かれた切開なしに体内に進入するあらゆる外科処置に用いられる一般的な用語である。内視鏡および切除鏡の低侵襲手術を行うための従来の装置は、概して剛性があり、患者の体の切開部または患者の体の自然な開口部を通して挿入される遠位先端を含む。遠位先端は、体内に配置されたときに、外科医が遠位先端に近い視野を見ることを可能にする光学レンズを含む。内視鏡は通常、手術室のモニタに視野を表示するために取り付けられたカメラを有する。いくつかの用途では、内視鏡は、内視鏡の遠位先端に設置されたカメラを含む。装置は、装置全体に延伸する作業チャネルをさらに含む。1以上の細長い手術具を、作業チャネルを通して挿入し得る。手術具には、切開装置、バスケット、またはレーザ光学機器等のツールが含まれ得る。手術具の遠位端は、装置の遠位先端から突出し、それによって、外科医が手術中に患者の体内でのツールの動作を視覚的に観察することが可能になる。
【0003】
低侵襲手術は、腹腔鏡手術を含み、これは、ユーザに手術野の視覚化および視界をもたらすチューブ(すなわち、内視鏡)と、体内の小さなポートを通過する長い硬性機器とを使用する。従来の腹腔鏡手術では、内視鏡は通常、手術野を視覚化するためにのみ使用され、それを通過するツールを有していない。ツールは身体の外側で切開ポートを通して枢動され、手術部位における器具の操作をもたらす。腹腔鏡手術におけるツール操作は、体内のポートを通して、長い硬性シャフトを旋回させることによってなされる。ガス注入された腹部、胸腔、骨盤、または十分な空間のある任意の他の解剖学的作業容積での手術の場合、この概念は、機器操作を行うための優れた低侵襲ソリューションをもたらすことが多い。しかしながら、手術部位が長く狭いチャネルを下りていく場合、これらの長い硬性シャフトを枢動させる能力が低くなる。アクセスチャネルがより長く、および/またはより狭くなると、ツールの操作能力は急激に低下する。
【0004】
また、低侵襲手術は、内視鏡手術を含む。腹腔鏡手術は視覚化をもたらすために内視鏡を用いるが、内視鏡手術は、手術機器が内視鏡チューブ自体の作業チャネルを通過する点で異なる。内視鏡手術中に用いることができる手術機器の例は、はさみ、鉗子、レーザーファイバ、単極/双極焼灼器等である。硬性内視鏡および可撓性内視鏡の両方があり、硬性内視鏡は、体外から手術部位までまっすぐな直線経路を取ることができる手術において用いられ、可撓性内視鏡は、湾曲した解剖学的構造を通して曲がることが必要とされる場合に用いられる。硬性内視鏡は現在、神経科、呼吸器科、整形外科、泌尿器科、婦人科等の手術を含むがこれらに限定されない、ほぼ全領域で使用されている。硬性内視鏡は現在、身体全体にわたる手術に用いられているが、欠点がないわけではない。硬性内視鏡の作業チャネルを通して操作するツールは、普通はまっすぐで硬性ツールであるという点において腹腔鏡ツールに類似している。一般に、これらのツールは内視鏡に対して2自由度の運動に制限され、挿入/後退、および軸方向回転が可能である。場合によっては、外科医が体外で内視鏡を枢動/傾斜させる能力を有し得るが、このことは、内視鏡が動くたびに内視鏡の視野もそれに伴って移動するため、作業を特に困難にする。また、外科医は、内視鏡の作業チャネルのサイズ制約により、ほとんどの時間で一度に1つの機器を手術部位に運ぶことしかできず、両手による双手タスクに対する能力が事実上削がれている。一度には単一のツールに限定されること、常に変化する視野、限られた自由度、および内視鏡先端の器具の技巧の欠如が、内視鏡手術を、低侵襲手術の特に困難なタイプにしている。
【0005】
電気機械手術ロボットは、精密性、空間的理由、および技巧に特に優れているため、手術機器の操作を支援するための大きな可能性を有し、急速に発展している医療分野である。手術ロボットは、全世界にわたって広く普及しており、何十万件もの処置で利用されている。機器の操作支援にこれまで設計された手術ロボットシステムの大部分は、概して枢動式ツールおよび可撓性ツールに分類することができる。枢動式の腹腔鏡的なシステム、たとえばIntuitive Surgical,Inc.製で広範に用いられているda Vinci Xiロボットは、腹腔鏡ツールと同じ方法、すなわち身体のポートを通し手傾斜させることによって機器操作を得る。体外でのツールの傾斜または枢動が可能ではない外科用途のために、研究界のいくつかのグループが、可撓性要素に基づくロボットシステムを開発してきた。これらのシステムは多くの場合、ロボット連続体、または弾性構造を有する連続的屈曲ロボットと称される。また、同心チューブマニピュレータも存在し、これは、同心円状の弾性チューブで構成される小型の針サイズのロボット連続体の一種である。同心チューブロボットは、体内で関節を有する小径ロボットを必要とするさまざまなタイプの低侵襲外科的介入において期待が見込まれている。例としては、目、聴覚、副鼻腔、肺、前立腺、脳、および他の領域の手術を含む。これらの用途のほとんどでは、ロボットが人体内で「より窮屈な隅」を曲がり、手術部位において巧みに作業することを可能にするために、概してより高い曲率が望ましい。内視鏡手術の場合、同心チューブの事前曲率によって、どの程度マニピュレータが内視鏡の先端に接近して作業することができるかが決定され、このことは、内視鏡手術中には非常に重要である。
【0006】
これまでの内視鏡処置では、外科医は通常、一方の手で内視鏡を、他方で内視鏡機器を保持するため、外科医が2つの機器を同時に操作することが概して不可能になる。人為ミスの側面に起因して、外科医が1つの内視鏡機器を別の内視鏡機器に交換する必要があるときは常に、内視鏡の拙劣かつ危険な動きをまねく可能性がある。しかしながら、外科医は多くの場合、特定の状況、特に物質を正確に把持し、操作し、切断しようとする場合、2つの機器を正確かつ同時に操作する能力が必要である。内視鏡が、1以上のツールに同時に適応することができる場合であっても、ツールは互いに対してまっすぐかつ平行に方向づけることができるのみであり、このことは、ツール間での適切な協働を阻害する。外科医は、ロボット手術システムが提供する精密性、技巧、および視覚の向上から大きな恩典を得ることができるが、そのような従来のシステムは、その操作性において限界がある。
【0007】
従来の手術ロボットに関する別の課題は、従来のユーザ入力コンソールが、概して無菌野で用いるように構成されていないことである。よって、入力コンソールを操作する外科医は、遠隔した非無菌環境の手術室の外に立っていなければならない。このことは、特に外科医が手術中に滅菌野とユーザ入力コンソールとの間を行き来する必要がある場合に、不便である可能性がある。
【0008】
したがって、直観的で、精巧かつ正確な内視鏡ロボット手術システムにおける新規な改良に対する要望が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、概して、低侵襲手術をロボットによって行うための医師入力装置およびシステムに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、硬性内視鏡の先端から手術を行うように動作する2つのロボット制御された同心チューブマニピュレータをもたらす内視鏡手術システムを含む。いくつかの実施形態では、外科医は、医師入力装置のジョイスティック様ハンドルを操縦して、硬性内視鏡要素の先端から突出する独立した可動ロボット同心チューブマニピュレータの一方または両方の対応する動きを制御し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の目的は、ほぼあらゆる硬性内視鏡処置において直線ツールを置き換え、外科医が従来の硬性内視鏡検査とは比較にならない技巧および精密性をもって組織を把持し、操作し、切断することを可能にするシステムを提供することである。
【0011】
本開示の別の目的は、対応する傾斜および直線運動を制御するために、傾斜自由度および直線イン/アウト自由度を備えたハンディ型コントローラを用いて同心チューブアレイ内のチューブを制御するための医師入力装置を提供することである。さらなる実施形態では、横方向のパンを備える第3の自由度が提供される。いくつかの実施形態では、第4の自由度は、長手方向軸を中心とした回転を含む。
【0012】
本開示の別の目的は、硬性内視鏡を使用した外科処置中に、外科医が内視鏡ツールを安全に制御するために用いることができ、作業空間をリアルタイムで観察するために取り付けられたカメラレンズの恩典を有する医師入力装置を提供することである。内視鏡カメラは、手術室のモニタと通信して、内部の手術部位の視覚的な内視鏡フィードバックをライブで得ることができ、外科医は手術を行っている間、それを観察することができる。内視鏡要素は、ロボット制御された2つの同心チューブマニピュレーターアームと、それらの上方に装着された光学レンズとを送り届けることができる。特に、同心円状のチューブアームは、回復可能な歪みが大きく、超弾性を維持しながら所望の曲線に形状設定される能力に起因して、ニチノールから作られることができる。同心チューブアームの端部のマニピュレータは、把握部、鉗子、ナイフ、ブラシ、メス、生検装置、電気焼灼装置、および組織用はさみおよびカッターを含むがこれらに限定されない、多数の手術具を備えることができる。
【0013】
本開示のさらなる目的は、内視鏡手術ロボットの同心チューブを高度に安全かつ直観的な方法でロボット制御する医師入力装置を提供することである。
【0014】
本開示の別の目的は、外科処置中に無菌野に位置させることができる手術ロボットを制御するように構成された医師入力装置を提供することである。いくつかの実施形態では、本開示は、1以上のドレープを用いて滅菌野内で、またはその近くで不純物を取り除かれる外科医によって操作され得るか、あるいは滅菌野の外の遠隔環境で用いられ得るように構成されたユーザ入力部を備える医師入力装置を提供する。
【0015】
本発明の他の多くの目的、利点および新規な特徴は、以下の開示を添付の図面および特許請求の範囲と併せて読むことにより、当業者には容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】内視鏡同心チューブロボット支援精密手術システムの一実施形態の概要斜視図を図示する。
【
図2】医師入力装置の一実施形態の斜視図を図示する。
【
図2A】ユーザインターフェースハンドルアセンブリ、および平行移動自由度を示す同心チューブアセンブリの視野の一実施形態の斜視図を図示する。
【
図2B】ユーザインターフェースハンドルアセンブリ、および傾斜自由度を示す同心チューブアセンブリの視野の一実施形態の斜視図を図示する。
【
図2C】ユーザインターフェースハンドルアセンブリ、およびパン自由度を示す同心チューブアセンブリの視野の一実施形態の斜視図を図示する。
【
図3】
図2のユーザインターフェースハンドルアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図4】
図3の接触点アセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図5】
図4の容量性ユーザインターフェースアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図6】
図3のハンドルベアリングアセンブリの実施形態の分解組立図を図示する。
【
図7】
図3のセンサハウジングアセンブリの実施形態の分解組立図を図示する。
【
図8】
図7に示されるような磁気センサギアアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図9】
図3に示されるようなシャフト軸アセンブリの実施形態の分解組立図を図示する。
【
図10】
図9に示されるようなカプセルスリップリングの実施形態の斜視図を図示する。
【
図11】
図2に示されるようなユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図12】
図2に示されるようなユーザインターフェースパン/チルトアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図13】
図12に描画されるような磁気センサマウントの実施形態の斜視図を図示する。
【
図14】
図12に示されるような傾斜軸回路基板の実施形態の斜視図を図示する。
【
図15】
図2に示されるようなユーザインターフェースベースアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図16】
図15に示されるようなリングLEDプリント回路基板およびハウジングアセンブリの実施形態の斜視図を図示する。
【
図17】
図16に示されるようなリングLEDプリント回路基板の実施形態の斜視図を図示する。
【
図18】第1および第2の入力装置および第1および第2の同心チューブアセンブリを含む手術システムの一実施形態の斜視図を図示する。
【
図19】第1および第2の医師入力装置を含む医師入力コンソールの一実施形態の斜視図を図示する。
【
図20】手術用ドレープを有する医師入力装置の一実施形態の詳細な斜視図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の様々な実施形態の作成および使用が以下で詳細に説明されるが、本発明は、多種多様な特定の状況で具現化される多くの適用可能な発明概念を提供することが理解されるべきである。本明細書で述べられた特定の実施形態は、本発明の作成および使用のための特定の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者においては、本明細書に記載される特定の器具および方法との数々の等価物が認識されよう。そのような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、特許請求の範囲によって保護される。
【0018】
ここで図面を参照すると、低侵襲手術を行うための装置の実施形態の様々な図が示される。図面では、明確にするために、各図面にすべての参照番号が含まれているわけではない。図中に示された装置は、特許請求の範囲に記載された発明のすべての可能な実施形態を説明することは意図されておらず、むしろ例として含まれている。当業者においては、特許請求の範囲の発明の装置および方法が、図中に示されていない異なる構成および配向を含み得ることが理解されよう。
【0019】
本開示は、低侵襲手術をロボットによって行うための医師入力装置を提供する。内視鏡同心チューブロボット支援精密手術システムの一実施形態の概要を、
図1に見ることができ、医師入力装置1は、手術室モニタ3と直接通信している内視鏡同心チューブロボット2と直接通信している。
【0020】
医師入力装置1の一実施形態のより詳細な図が、
図2に示される。医師入力装置1は、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10と、ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20と、ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ30と、ユーザインターフェースベースアセンブリ40と、回転エンコーダ50とを備えることができる。いくつかの実施形態では、アセンブリ10、20、30、および40の各々が、互いに通信し、医師入力装置1のあらゆる動きを継続的に追跡している様々なタイプのセンサを包含することができる。
【0021】
医師入力装置は、いくつかの実施形態では、同心チューブアセンブリの遠位先端の手術具の対応する動きを制御するための3自由度を含む。たとえば、医師入力装置1の特定の実施形態では、使用中、(1)ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10を引き込むかまたは外側に向けて押し出すことによる、内視鏡同心チューブロボット2の平行移動の動きと、(2)ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10を横方向、すなわち左右に動かすことによる、同心チューブロボット2のパンする動きと、(3)ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10を上下に動かすときの、同心チューブロボット2の傾斜する動きと、を引き起こすことができる。さらなる実施形態では、第4の自由度によって、(4)接触点アセンブリ100のユーザインターフェースアセンブリ110部分を軸回転させることによる、同心チューブロボット2の軸回転の動きを制御する。
【0022】
図2Aを参照すると、第1の自由度は、ユーザの手による接触点アセンブリ100、すなわちハンドルの直線平行移動を含む。ハンドルがパン/チルトアセンブリ20およびUIリニアジョイントアセンブリ30に向かって前方に平行移動されると、平行移動センサは、平行移動を検出し、第1のチューブアセンブリ119に結合されたドライバに制御信号を送る。第1のチューブアセンブリ119は、ガイドチューブ116と、ガイドチューブ116の内側に位置づけられたインナーチューブ114とを含む。インナーチューブ114は、ガイドチューブ116の内側を長手方向に平行移動することが可能である。ガイドチューブ116は、インナーチューブ114を所望の方向に導く湾曲した遠位先端を含む。ガイドチューブは、内視鏡内のチャネル内を回転し得る。入力装置1のハンドルが平行移動軸118aに沿って直線平行移動すると、インナーチューブ114は対応する運動で移動し、それによって、インナーチューブ114がガイドチューブ116の遠位先端の中に、またはその外に直線的な動きで平行移動する。たとえば、ハンドル100がUIリニアジョイントアセンブリ30に向かって内向きに押されると、ガイドチューブ116に対して、インナーチューブ114の対応する延伸がチューブアセンブリ119内で生じる。同様に、ハンドル100がユーザによって平行移動軸118aに沿って引き戻されると、ガイドチューブ116に対して、インナーチューブ114の対応する後退が生じる。ハンドル100の出入りする平行移動を、インナーチューブ114の対応する動きにマッピングすることによって、入力装置1は、組織作業空間内でツール115を延伸および後退させるためのユーザフレンドリで直感的なインターフェースを提供する。
【0023】
図2Bを参照すると、第2の自由度は、上下傾斜機能を含む。ハンドル100がUIパン/チルトアセンブリ20に対して水平基準軸118bを中心として角度的に移動すると、1以上のセンサが動きを検出し、チューブアセンブリ119に対応する運動を与えるようドライバに制御信号を送る。たとえば、
図2Bに示すように、ハンドル100が水平軸118bを中心として上向きに傾斜すると、インナーチューブ114は、対応する上向きの運動で、術野内を平行移動する。同様に、ハンドル100が水平軸118bを中心として下向きに傾斜すると、インナーチューブ114は、対応する下向きの運動で、術野内を平行移動する。これにより、ユーザはハンドル100の動きを、組織作業空間内での対応するインナーチューブ114およびツール115の運動に直接マッピングすることが可能になる。
【0024】
一部のユーザは、入力方向と作業空間内でのツールの傾斜運動との間に逆相関を有することを好む。医師の入力に対する上下傾斜機能の動きは、ソフトウェアおよび電子信号を用いて、チューブアセンブリの運動を制御するドライバにマッピングされるため、いくつかの実施形態では、器具を逆の構成で設けることができる。たとえば、逆の構成では、ハンドル100がUIパン/チルトアセンブリ20に対して、水平基準軸118bを中心として上向きかつ角度的に傾斜すると、インナーチューブ114は、対応する下向きの運動で術野内を平行移動する。同様に、逆の構成の実施形態では、ハンドル100が水平軸118bを中心として下向きに傾斜すると、インナーチューブ114は、対応する上向きの運動で術野内を平行移動する。
【0025】
図2Cを参照すると、第3の自由度は、横方向のパン機能を含む。ハンドル100が、基準垂直軸118cに対して角度的に移動すると、チューブアセンブリ119の対応する移動により、インナーチューブ114および先端115が視野内で横方向に動くことが可能になる。たとえば、ハンドル100が基準垂直軸118cを中心とする枢動運動で左にパンされると、インナーチューブ114は、視野内において対応する運動で左に移動する。同様に、ハンドル100が、基準垂直軸118cを中心とした枢動運動で右に移動すると、インナーチューブ114は、視野内において対応する動作で右に移動する。
【0026】
また、一部のユーザは、入力方向と作業空間内での手術具の横方向のパン運動との間に逆相関を有することを好む。医師の入力に対する横方向のパン機能の動きは、ソフトウェアおよび電子信号を用いて、チューブアセンブリの運動を制御するドライバにマッピングされるため、いくつかの実施形態では、器具を逆の構成で設けることができる。たとえば、逆の構成では、ハンドル100が垂直基準軸118cを中心として左右にパンされると、インナーチューブ114は、対応する左右運動で術野内をパンされる。同様に、逆の構成の実施形態では、ハンドル100が垂直基準軸118cを中心として左右にパンされると、インナーチューブ114は、対応する右左運動で術野内をパンされる。
【0027】
第4の自由度は、いくつかの実施形態では、回転機能を提供する。ハンドル100が、平行移動軸118aを中心として角度的に回転すると、視野内のインナーチューブ114およびツール115に、対応するロールまたは回転が生じる。この機能は、ツール115が、長手方向軸を中心とした角度配向を要するグリッパ装置または他のツールを含む場合に望ましい。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の自由度が協働し、視野内のインナーチューブ114の運動を制御するように同時に使用されてもよい。たとえば、ユーザは、ハンドル100を同時に回転、傾斜、パンおよび延伸させるか、または後退させ、視野内のインナーチューブ114およびツール115の対応する動きを生じさせ得る。いくつかの実施形態では、入力装置1は、角度パン、角度傾斜、および直線平行移動を含む3自由度を有するジンバルを形成する。
【0029】
図3に示すように、ハンドルアセンブリの一実施形態は、接触点アセンブリ100と、ハンドルベアリングアセンブリ200と、磁気センサハウジングアセンブリ300と、シャフト軸アセンブリ400とを備え得、すべてが互いに直接接続されている。いくつかの実施形態では、
図4に示すように、接触点アセンブリ100は、接触点シャフト101と、摩擦ガスケット102と、平ワッシャ103と、接触感応ユーザインターフェースアセンブリ110とを備える。
【0030】
他の実施形態では、接触点アセンブリ100は、医師が接触点アセンブリ100に手で接触したかどうか、およびいつ接触したかを検出することが可能である少なくとも1つの接触センサまたはセンサアレイを付加的に備えることができる。そのような実施形態では、接触センサは、チューブアセンブリの意図しない動きを防止するための安全機構として機能する。たとえば、接触センサを介在させて、入力またはワークステーションが図らずもぶつかったようなケースで、内視鏡同心チューブロボット2の対応する動きを防止することができる。加えて、接触センサは、医師の手と接触点アセンブリ100との間の設定された量の接触点を検出したときだけ、医師入力装置1と内視鏡同心チューブロボット2との間の直接接続を導通させる役割を果たすことができる。
【0031】
図5に示される一実施形態では、接触点アセンブリ100の接触感応ユーザインターフェースアセンブリ110部分は、接触点容量性エンドキャップ111と、接触点容量性本体112と、容量性本体112の中空の内部部分を画定するパネルマウント113とをさらに備えることができる。特定の実施形態では、接触点容量性本体112は、上述の方法で安全機構として機能する1以上の接触センサを収容することができる入力装置1の多くの領域のうちの1つである。たとえば、いくつかの実施形態では、第1のセンサ112aおよび第2のセンサ112bは、本体112上に位置づけられる。入力装置は、第1および第2のセンサ112a、112bの両方がユーザの手によって接触されない限り、チューブアセンブリの始動を防止するように構成される。第1および第2のセンサは、容量性接触センサ、圧力センサ、またはスイッチ等の、当技術分野で既知の任意の好適なセンサを含むことができる。
【0032】
さらに
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースアセンブリ110は、ハンドルの周辺に位置づけられた接点またはパッド112のアレイを含む。各接点、またはパッド112a、112b等は、中央マルチチャネルセンサに接続される。たとえば、第1のパッド112aはセンサ上の第1のチャネルに接続され、第2のパッド112bはセンサ上の第2のチャネルに接続され、ハンドル上に位置づけられた追加のパッドは、センサ上の別個のチャネルに各々接続される。いくつかの実施形態では、センサは、8個のチャンネルを有するマルチチャンネルセンサを含み、各チャネルは、ハンドルの周辺に位置づけられた対応するパッドに接続される。システムは、異なる位置の所定の異なるパッドの組み合わせが、ユーザの手によって同時に接触されない場合、チューブアレイの動きを禁じるようにプログラムすることができる。
【0033】
医師入力装置および関連する方法のいくつかの実施形態は、付加的な安全性を提供するための、複数の自由度に沿った冗長感知を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、入力装置1は、基準軸118aに沿った直線平行移動を含む第1の自由度を含む。第1および第2の平行移動センサは、両方ともが基準軸118aに沿ったハンドル100の直線運動を検出する。第1および第2のセンサの両方によって取得されたハンドル100の直線平行移動に関連する平行移動データが、類似性の所定の閾値範囲内ではない場合、システムは、作業空間内のチューブアレイの対応する運動を防止し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、追加の軸の各々に関して、同様の冗長性が設けられる。たとえば、装置上に位置づけられた第1および第2のチルトセンサは、
図2Bに示す基準水平軸118bに対するハンドル100の上下の角度的な動きを検出する。第1および第2のセンサの各々によって取得された角度位置データが、類似性の所定の閾値範囲内にない場合、システムは作業空間内のチューブアレイの対応する動きを防止し得る。また、装置上に位置づけられた第1および第2のパンセンサは、
図2Cに示す基準垂直軸118cに対するハンドル100の横方向の角度的な動きを検出する。第1および第2のパンセンサの各々によって取得された角度位置データが、類似性の所定の閾値範囲内ではない場合、システムは、作業空間内のチューブアレイの対応する横方向のパン運動を防止し得る。最後に、装置上に位置づけられた第1および第2のロールセンサは、平行移動軸118aを中心としたローリング運動におけるハンドル100の角度的な運動を検出する。第1および第2のロールセンサの各々によって取得された角度位置データが、類似性の所定の閾値範囲内にない場合、システムは、作業空間内のチューブアレイの対応するローリング運動を防止し得る。いくつかの実施形態では、冗長センサを各々の軸に沿って設けることによって、作業空間内でのチューブアレイの故意ではない動きが防止され得る。
【0035】
図6を参照すると、ハンドルベアリングアセンブリ200は、相互接続された一連の平ワッシャ201と、摩擦ガスケット202と、ボールベアリング203と、ハンドルベアリングブロック204とで構成されることができる。
図7に示すように、特定の実施形態では、磁気センサハウジングアセンブリ300は、磁気センサハウジング本体302を備える。本体302内に収容されるのは、対応する複数の磁気センサギアアセンブリ310に取り付けられた複数の磁気回転エンコーダ301であることができる。磁気センサギアアセンブリ310は、
図8に示すように、磁石付歯車311と、磁石312と、磁気センサギアアセンブリの内側に耐薬品性ドライランニングスリーブベアリング313と、止め輪314とをさらに備えることができる。これらの機能は、ハンドルの回転を検出して、チューブアセンブリの対応する回転を制御する。
【0036】
図9および
図10を参照すると、六角シャフト軸アセンブリ400の一実施形態は、六角シャフト401と、六角シャフトマウント402と、カプセルスリップリング410と、スリップリングアダプタ403とを備えることができ、カプセルスリップリング410は、回転スリップリング411と、静止スリップリング412とをさらに備える。いくつかの実施形態では、スリップリングアダプタ403は、接触点シャフト101の先端と整列し、その周囲に直接嵌合することができる。この配置では、カプセルスリップリング410は、回転可能な接触点アセンブリ100に導体を渡すことができる。さらに、特定の実施形態では、軸回転制御は、内視鏡同心チューブロボット2における対応する動きの約1対1の比率を有するが、そのような比率は、他の実施形態では、特定の用途に対して要求される場合、拡大または縮小することができる。
【0037】
図11に描写されるように、ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ30の一実施形態は、入力シャフトチャネル31と、エンドキャップ32と、入力シャフトチャネル31の内側をライニングする複数の摩擦ベアリング33と、本体カバー34と、本体カバー34の内側に収容されるポテンショメータ35と、ポテンショメータ35と直接接触するインクリメンタル磁気エンコーダ36と、MS05-A-L60 37と、ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ30の第2の端部の内側に収容されたカウンタウェイト38と、本体カバー延伸部39と、ユーザインターフェースリニアジョイントがそれを中心として上下に枢動することができる傾斜軸320とを備えることができる。そのような実施形態では、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10は、シャフト401と摩擦ベアリング33との間の嵌合相互接続によって、ユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ30に結合され、シャフト401の先端は、ポテンショメータ35に嵌入する。この構成では、インクリメンタル磁気エンコーダ36は、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10内で平行移動の動きがなされた場合に感知し、それによって、チューブアセンブリ内で対応する平行移動の動きを引き起こすことが可能である。ポテンショメータ35は第1の平行移動センサを提供し、インクリメンタル磁気エンコーダ36は第2の平行移動センサを提供する。第1および第2の平行移動センサはともに、平行移動軸118aに沿ったハンドル100の直線の動きを検出する。第1および第2のセンサは異なるように動作するが、これらはハンドル100の平行移動に対する冗長位置感知を提供し、それによって、作業空間内でのチューブアレイの故意ではない動きを防止するバックアップ安全機能を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10が、リニアジョイントアセンブリに対して平行移動されると、第1および第2の平行移動センサを介して位置データが取得され、チューブアセンブリに結合されたドライバに平行移動制御信号が送られる。平行移動制御信号は、有線接続を介してドライバに送られるか、またはいくつかの実施形態では、無線トランシーバまたは送信機を介して送られてもよい。
【0039】
内部摩擦ベアリング33に起因して、医師がハンドルアセンブリ10を平行移動させるときに著しい量の抵抗がある。そのような抵抗は、患者の安全を増大させることを助けることができる好ましく意図的な機能であるが、これは、外科医が内視鏡を通し、ロボットインターフェースを介さずにツールを自分で動かしているかのように、動きをより良好に感じることを助けることを目にするためである。また、平行移動軸に沿った抵抗感は、低摩擦装置上の1以上のモータによってもたらされ、ハンドルが平行移動軸118aに沿って直線的に平行移動するときの抵抗感をもたらすこともできる。さらに、いくつかの実施形態では、平行移動制御は、チューブアセンブリにおける対応する動きの約2対1の比率を有するが、他の実施形態では必要に応じて調整されることができる。
【0040】
入力装置1は、パンおよびチルト性能を提供するためのマウント、またはユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20をさらに含む。ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20の一実施形態を、
図12~14に示す。本実施形態では、ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20はU字形であり得、2つのブロックカバー22内に収容された2つの対向するブロック21と、ブロック21の各々の内側のステンレス鋼ボールベアリング23と、ブロック21の各々の内側に収容された磁気センサマウント210と、ブロック21のうちの1つに接続された傾斜軸回路基板220とを備え得る。そのような実施形態では、磁気センサマウント210の各々が、磁気回転エンコーダ211をさらに備え、傾斜軸回路基板220は、パン/チルトアセンブリ20に対し、またそこから電気信号を送信するための複数のコネクタをさらに備える。
【0041】
また、そのような実施形態では、相互接続されたユーザインターフェースハンドルアセンブリ10およびユーザインターフェースリニアジョイントアセンブリ30は、リニアジョイントアセンブリ30の傾斜軸320部分の各々を、2つのステンレス鋼ボールベアリング23の各々に接続するようにカスタマイズされた一対の傾斜軸ファスナによって、ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20にさらに接続される。この配置では、磁気回転エンコーダ211は、相互接続されたハンドル/リニアジョイント/パン/チルトアセンブリに、傾斜軸320を中心とした上下に傾斜する動きがあったときを感知し、それによって、視野内のチューブアセンブリに対応する傾斜の動きを引き起させることが可能である。さらに、特定の実施形態では、傾斜制御は、チューブアセンブリにおける対応する角度的な動きの約1対1の比率を有するが、他の実施形態では、必要に応じてそのような比率を高く、または低く調整することができる。
【0042】
ユーザインターフェースベースアセンブリ40の一実施形態が、
図15~19に図示される。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースベースアセンブリは、ベースプレート41と、複数のスペーサ脚44によってベースプレート41の上に上昇させたベースハウジング42と、互いに重ね合わせられてベースハウジング42の内側に収容された2つのボールベアリング43と、ベースプレート41の底面に装着された複数のスリーブベアリングキャリッジと、ベースハウジング42の上部に装着されたリングLEDアセンブリ46と、ベースプレート41の上側に装着されたリードナットハウジング47と、リードナットハウジング47内に包含されたリードナット(または等価物)48と、ベースハウジング42の底部に装着された軸外回転絶対磁気エンコーダ49とを備えることができる。そのような実施形態では、リングLEDアセンブリ46は、リングLEDハウジング460と、リングLEDカバー461と、SW LEDリング462とを備え、SW LEDリング462は、リングLEDプリント回路基板465をさらに備えることができる。
【0043】
図2の医師入力装置1の実施形態に見られるように、冗長な軸外回転絶対磁気エンコーダ50は、エラストフェライト上部リング層51と下部リング層を備え、エンコーダ49のさらに下の位置でベースハウジング42の底部に装着される。そのような実施形態では、ユーザインターフェースベースアセンブリ40は、U字形パン/チルトアセンブリ20の基部からリングLEDアセンブリ46を通って延下する「メインシャフト」によって、U字形ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20と相互接続され、ボールベアリング43と、ベースアセンブリ40のベースハウジング42と積層される。本実施形態では、ユーザインターフェースハンドルアセンブリ10、U字型ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20、ユーザインターフェースリニアジョイント30、ユーザインターフェースベースアセンブリ40、および冗長軸外回転絶対磁気エンコーダ50は、1つの相互接続されたユニットを形成する。この配置では、軸外回転絶対磁気エンコーダ49および冗長軸外回転絶対磁気エンコーダ50は、相互接続されたハンドル/リニアジョイント/パン/チルトアセンブリの、「メインシャフト」を中心とした横方向にパンする動きがあった場合を感知し、それによって、チューブアセンブリ内で対応するパンする動きを引き起こすことが可能である。さらに、特定の実施形態では、パン制御は、チューブアセンブリにおける対応する動きの約1対1の比率を有するが、他の実施形態では、必要に応じてそのような比率を高く、または低く調整することができる。
【0044】
回転エンコーダは、ユーザインターフェースパン/チルトアセンブリ20がユーザインターフェースベースアセンブリ40に対して基準垂直軸118cを中心として回転するときの角度位置を検出し、位置信号を生成する。位置信号を用いて、ドライバに転送されるパン制御信号を生成し、チューブアセンブリ内で対応する横方向のパン運動を生じさせる。パン制御信号は、有線または無線接続を介して、ドライバに送られる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース1から送信されるパン信号は、回転エンコーダ50を介して取得される角度位置データを含む。他の実施形態では、ユーザインターフェース1から送信されるパン信号は、チューブアセンブリの対応する運動を駆動するように計算された追加のコンポーネントを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ユーザ入力装置1は、約50mm~約60mmの平行移動ストロークを提供する。この範囲は、用途に応じて高く、または低く調整されることができる。いくつかの実施形態では、この範囲のストローク距離は、インナーチューブ114の対応するストローク範囲約30mm~約40mmを提供する。ハンドル100での入力運動と、各々の自由度に沿ったインナーチューブ114の有効運動との比率は、いくつかの実施形態では、装置の感度を調整するために精密に制御されることができるソフトウェアベースのゲイン係数として調整され得る。
【0046】
ユーザインターフェース1は、インターフェースが静止コンソールまたはスタンドに装着されていることに起因して、三次元空間に固定されたパン/チルト枢動ポイントを提供する。このような構成は、外科医が制約された動作の中心に抗してツールを傾斜させているような場合に、望ましい感覚を外科医に提供する。このレイアウトは、腹腔鏡手術中に患者の体壁のポートを通して手動でツールを操作/傾斜させることに類似した経験をもたらす。枢動点は、パン/チルトジンバルを介して機械的に実施されることができるか、または他の実施形態では、枢動点は、触覚システムを介して電子的に実施されることができる。
【0047】
ユーザインターフェース1の別の機能は、先端115を動かすことを望む場合に「クラッチ」を必要としないシステムを提供する。チューブアセンブリマニピュレータの作業空間全体が、利用可能な運動範囲および入力装置の作業スペースの中に包含されるため、他の従来の手術ロボット入力部で必要とされるような、外科処置中にユーザ入力部をチューブアセンブリから結合解除してユーザ入力部を再度位置づける必要がない。
【0048】
ユーザインターフェース1のさらなる機能は、処置の開始時に容易に較正することができるか、またはゼロ位置に戻すことができるシステムを提供する。外科処置の開始時に、ガイドチューブ116およびインナーチューブ114が完全に後退すると、ハンドル100もまた、平行移動軸に沿って機械的限界まで手動で後退させ得る。この位置から、チューブアセンブリおよびハンドル100はともに、平行移動軸に沿って、視野内およびチューブアセンブリの利用可能な運動の範囲によって画定される作業空間円錐内へと前方に平行移動し得る。このように、ハンドル100とチューブアセンブリとの整列を、各動作の開始時に容易に実施し得る。
【0049】
さらに
図21を参照すると、いくつかの実施形態では、手術システムは、第1の入力装置1aおよび第2の入力装置1bを含む。第1の入力装置1aは、ハンドルの動きに伴う直線平行移動、パンおよびチルトデータを取得するように構成される。取得されたデータは、有線または無線インターフェースを介して、第1の同心チューブアレイ117aに機械的に連結された第1のドライバ230aに通信される。第1のドライバ230aは、第1の入力装置1aによって取得された位置データに対応する、視野内での第1の同心チューブアレイ117aの運動を制御する。第2の入力装置1bは、第2の入力装置1b上のハンドルの動きに伴う直線平行移動、パンおよびチルトデータを取得するように構成される。取得されたデータは、有線または無線インターフェースを介して、第2の同心チューブアレイ117bに機械的に連結された第2のドライバ230bに通信される。第2のドライバ230bは、第2の入力装置1bによって取得された位置データに対応する、視野内での第2の同心チューブアレイ117bの運動を制御する。
【0050】
さらなる実施形態では、本開示は、手術を行うための同心チューブアセンブリを制御する方法を提供する。該方法は、(a)ユーザ入力部に平行移動、チルトおよびパンを含む3自由度を提供する工程と、(b)線形に固定基準フレームに対するユーザ入力装置の平行移動を表す直線位置データを取得する工程と、(c)固定水平基準軸を中心とした角度的な動きに対応する傾斜角度位置データを取得する工程と、(d)固定垂直基準軸を中心とした角度的な動きに対応するパン角度位置データを取得する工程と、(e)取得された直線位置データ、傾斜角度位置データ、およびパン角度位置データを、遠隔した同心チューブアレイ内の手術具の対応する動きにマッピングする工程と、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、該方法は、第1のセンサおよび第2のセンサを含むユーザ入力部にハンドルを設けることをさらに含み、第1のセンサと第2のセンサがともに起動されない限り、装置は動作不能である。いくつかの実施形態では、第1および第2のセンサは、容量性接触センサである。
【0052】
いくつかの実施形態では、該方法は、ユーザの右手によって用いるように構成された第1のユーザ入力装置と、ユーザの左手によって用いるように構成された第2のユーザ入力装置とを設けることをさらに含む。第1および第2のユーザ入力装置は、手術を行うための第1および第2の同心チューブアセンブリに各々電子接続される。各ユーザ入力装置は、直線平行移動、パンおよびチルトを含む少なくとも3自由度を含み、各々の装置の動きが、各自由度に沿ったそれぞれの同心チューブアレイに、対応する動きを生じさせる。
【0053】
図19~20を参照すると、いくつかの実施形態では、外科医入力コンソール500は、第1のユーザ入力装置501aおよび第2のユーザ入力装置501bを含む。第1および第2の入力装置501a、501bは、フレーム502上に装着される。いくつかの実施形態では、フレーム502は、第1および第2の入力装置501a、501b間の距離が可変であり、異なる身体的属性、たとえばより短いかより長い腕および/または異なる手のサイズを有する外科医に適応するように調整され得るように構成される。フレーム502は、ベース506から上方に延伸するシャフト504の頂上に位置づけられる。フレーム502は、いくつかの実施形態では、ユーザディスプレイスクリーン520とユーザ制御パネル522とを含む。シャフト504は、いくつかの実施形態では、座っているかまたは立っている位置にある外科医に適応するように、または異なる身長または腕の長さの外科医に適応するように、選択的に延伸可能である。ベース506は、その上に配置された複数の車輪を含み、それによって、コンソール500は硬い表面、たとえば病院の床の上で転がすことができるようにされる。コンソール500から手術を行うための同心チューブアセンブリを含む手術器具まで、複数のワイヤ510が延びている。ワイヤ510は、手術器具とコンソール500との間で信号を送受信する。いくつかの実施形態では、手術器具とコンソール500との間の通信は、無線通信を介する。
【0054】
図19および20に示すように、いくつかの実施形態では、コンソール500は、手術用ドレープ512と併用するように特に適合される。ドレープ512は、無菌バリアを提供し、コンソール500が手術室内の術野で使用されることを可能にする。いくつかの実施形態では、ドレープ512は、コンソール500、フレーム502、第1および第2のユーザ入力装置501a、501b、およびシャフト504を覆う。各々のユーザ入力装置501a、501bは、外科医が手術用ドレープを備え付けたまま装置を手動で操作できるように特に設計されている。
【0055】
たとえば、
図19に示すように、コンソール500は、フレーム502の上方に上向きに延伸し、さらにいくつかの実施形態では、第1および第2のユーザ入力装置501a、501bの上方に上向きに延伸するドレープサポート518を含む。いくつかの実施形態では、ドレープサポート518は、少なくとも第1および第2のユーザ入力装置501a、501b間の距離にわたり、ディスプレイスクリーン520から離れた第1および第2のユーザ入力装置501a、501b側にオフセットされた水平バーを含む。ドレープサポート518は、ドレープ512が入力装置501a、501bの上にテントを形成し、それによって、入力装置が、ドレープ512によって形成されたテント内で比較的自由な運動範囲で移動し得るようにされることを可能にする。ドレープ512は概して、コンソールに遊嵌しており、それによって、ユーザ入力装置を自由に操作し、必要に応じてフレーム上に再度位置づけ得るようにされる。ドレープ512は、コンソール500上の所望の位置にドレープ512を固定するために、テープまたは磁石等の1以上のファスナを用いて、コンソール500に固定され得る。
【0056】
また、
図20に示すように、ポケット514を含むドレープ512は、ユーザ入力装置501a上のハンドル516の上に装備され得る。ユーザ入力装置ハンドル、パン・チルトアセンブリ、およびベースアセンブリの機械的構成に起因して、装置にドレープ512が装備されている場合、外科医はそれでもなお、回転を含むすべての自由度に沿ってハンドル516の操作を達成することができる。入力装置の構成により、手術野での装置の使用が可能になる。たとえば、いくつかの実施形態では、ドレープ512は、ハンドル516の周囲にドレープ512の本体から分離されたポケット514を含み、それによって、ハンドル516は、その独立したポケット514とともに自由に回転し得るようにされる。いくつかの実施形態では、汚染を防止するために、ポケット514とドレープ本体512との間にシールが設けられる。加えて、ドレープ512は、テープ等のファスナを用いてシャフト504に固定され、ドレープ512の下端をコンソールに固定し得る。
【0057】
このように、低侵襲手術中に同心チューブロボットを制御するための、本発明の新規かつ有用な医師入力装置の特定の実施形態について本明細書で説明してきたが、そのような言及は、特許請求の範囲で述べられている場合を除き、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることは意図されていない。
【国際調査報告】