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特表2023-551710ベントデバイス及びこれを含むバッテリーパックアセンブリ、並びにバッテリーパックアセンブリを含む自動車
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  • 特表-ベントデバイス及びこれを含むバッテリーパックアセンブリ、並びにバッテリーパックアセンブリを含む自動車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ベントデバイス及びこれを含むバッテリーパックアセンブリ、並びにバッテリーパックアセンブリを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/325 20210101AFI20231205BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20231205BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231205BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
H01M50/325
H01M50/317 201
H01M50/204 401D
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533376
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2021009449
(87)【国際公開番号】W WO2023003057
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ジン・ソン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB08
5H012DD04
5H012GG09
5H040AA33
5H040AS04
5H040AY05
5H040AY06
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるベントデバイスは、バッテリーパックの一方の側に設けられて、バッテリーパックの内部空間に生じたベントガスを外部に排出するベントデバイスであって、前記バッテリーパックの内部と連通され、前記ベントガスを外部に排出するベントガス流路を備えるシリンダーブロックと、前記バッテリーパックの内部圧力の上昇に伴う力を受けて前記シリンダーブロックの延在方向に沿って上方に動いて、前記バッテリーパックの内部空間と前記ベントガス流路とが連通されるようにするピストンアセンブリと、前記シリンダーブロック内に配設されて、磁力により前記ピストンアセンブリの上方への動きを制限して、前記ベントガス流路と前記バッテリーパックの内部空間との連通が遮断されるようにする磁石ユニットと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックの一方の側に設けられて、バッテリーパックの内部空間に生じたベントガスを外部に排出するベントデバイスであって、
前記バッテリーパックの内部と連通され、前記ベントガスを外部に排出するベントガス流路を備えるシリンダーブロックと、
前記バッテリーパックの内部圧力の上昇に伴う力を受けて前記シリンダーブロックの延在方向に沿って上方に動いて、前記バッテリーパックの内部空間と前記ベントガス流路とが連通されるようにするピストンアセンブリと、
前記シリンダーブロック内に配設されて、磁力により前記ピストンアセンブリの上方への動きを制限して、前記ベントガス流路と前記バッテリーパックの内部空間との連通が遮断されるようにする磁石ユニットと、
を含む、ベントデバイス。
【請求項2】
前記ベントデバイスは、
前記シリンダーブロックの内部空間に配設されて、前記バッテリーパックの内部の圧力を感知する第1センシングユニットと、
前記シリンダーブロックの上端に配設されて、前記ピストンアセンブリの上方への移動に伴う圧力を感知する第2センシングユニットと、
をさらに含む、請求項1に記載のベントデバイス。
【請求項3】
前記ベントデバイスは、
前記ピストンアセンブリの一部を包み込む電磁気コイルをさらに含む、請求項2に記載のベントデバイス。
【請求項4】
前記ベントデバイスは、
前記バッテリーパックと前記電磁気コイルとの間に接続されるスイッチと、
前記第2センシングユニットにより前記ピストンアセンブリの上方への移動が感知され、前記第1センシングユニットによりセンシングされた前記バッテリーパックの内部の圧力が既に設定された基準圧力未満である場合、前記スイッチにより前記バッテリーパックと前記電磁気コイルとが電気的に接続されるようにスイッチングオン信号を出力するコントローラーと、
を含む、請求項3に記載のベントデバイス。
【請求項5】
前記電磁気コイルは、
前記コントローラーの前記スイッチングオン信号に基づいて、前記ピストンアセンブリが下方に動いて、前記ベントガス流路と前記バッテリーパックの内部空間との連通が遮断されるようにする電磁気力を生じさせる、請求項4に記載のベントデバイス。
【請求項6】
前記コントローラーは、
前記第1センシングユニットにより基準圧力以上の圧力が感知されたにも拘わらず、前記第2センシングユニットによる前記ピストンアセンブリの上方への運動が感知されない場合、前記ベントデバイスの故障感知信号または前記バッテリーパックのシール不良感知信号を出力する、請求項5に記載のベントデバイス。
【請求項7】
前記第1センシングユニットは、
前記バッテリーパックの内部の圧力をセンシングする圧力センサーと、
前記バッテリーパックの内部のベントガスを感知するガス感知センサーと、
を含む、請求項5に記載のベントデバイス。
【請求項8】
前記コントローラーは、
前記第1センシングユニットにより前記バッテリーパックの内部の圧力が既に設定された基準圧力以上であることが感知され、かつ、前記バッテリーパックの内部にベントガスが感知され、前記第2センシングユニットにより前記ピストンアセンブリの上方への運動に伴う前記ベントガス流路の開路が感知される場合、前記バッテリーパックの内部のベント感知信号を出力する、請求項7に記載のベントデバイス。
【請求項9】
バッテリーパックと、
前記バッテリーパックの一方の側に設けられる請求項1~8のいずれか一項に記載のベントデバイスと、
を含む、バッテリーパックアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のバッテリーパックアセンブリを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントデバイス及びこれを含むバッテリーパックアセンブリ、並びにバッテリーパックアセンブリを含む自動車に関する。本発明は、より詳細には、バッテリーパックの内部の圧力が基準圧力以上に上昇する場合、内圧の上昇の原因となる気体を外部に速やかに排出し、かつ、気体の排出により圧力の平衡が取れた後には、バッテリーパックが再び密封状態を保持できるように可逆的に動作するベントデバイス及びこれを含むバッテリーパックアセンブリ、並びにバッテリーパックアセンブリを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
過充電または故障に起因する内部短絡などによりバッテリーパックの内部においてバッテリーセルのベントが生じる場合、いきなりバッテリーパックの内部の圧力が上昇してしまう。通常、バッテリーパックは、密封された状態を保持するように製造されるため、このように内部の圧力が非正常的に高く上昇する場合、バッテリーパックの歪み及び破損が懸念される。
【0003】
バッテリーパックの内圧が所定のレベル以上に上昇できないようにするために、バッテリーパックそれ自体に破裂ディスクまたはゴア(登録商標)ベントなどのように、内部の圧力が所定のレベル以上になると開放されることによりバッテリーパックの内部の圧力を大気圧レベルまで下げる素子が適用される例がある。しかしながら、この種のベント素子は、一度ベントが行われた後には、再び使用できなくなる使い捨て性の素子に過ぎない。
【0004】
したがって、この種の素子を適用する場合、バッテリーパックの内部のバッテリーセルの異常に伴うベントの発生ではなく、他の原因による内圧の増加により素子が開放される場合であっても、当該素子を取り替えることを余儀なくされるため、繰り返して使用できない。
【0005】
また、この種の素子を適用する場合、バッテリーパックの内部のバッテリーセルに異常が生じたのか否かを正確に認知できず、したがって、バッテリーパックの使用を中止しなければならないか否かが正確に判断し難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、バッテリーパックの内部の圧力が基準圧力以上に上昇する場合、内圧の上昇の原因となる気体を外部に速やかに排出し、かつ、気体の排出により圧力の平衡が取れた後には、バッテリーパックが再び密封状態を保持できるように可逆的に動作するベントデバイスを提供することを一つの目的とする。
【0007】
また、本発明は、バッテリーパックの内圧の上昇の原因がバッテリーセルのベントに伴うガスの発生にあるか否かが認知できるようにして、バッテリーパックを使い続けてもよいか、あるいは、使用を中断すべきであるかを認知できるようにすることを他の目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、バッテリーパックの内圧の上昇にも拘わらず、ベントデバイスによるベントが円滑に行われない場合、ベントデバイスの故障、またはバッテリーパックの気密に問題があると評価し、ユーザーにこれに気づかせることで、一刻でも早く措置を取らせることをさらに他の目的とする。
【0009】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態によるベントデバイスは、バッテリーパックの一方の側に設けられて、バッテリーパックの内部空間に生じたベントガスを外部に排出するベントデバイスであって、前記バッテリーパックの内部と連通され、前記ベントガスを外部に排出するベントガス流路を備えるシリンダーブロックと、前記バッテリーパックの内部圧力の上昇に伴う力を受けて前記シリンダーブロックの延在方向に沿って上方に動いて、前記バッテリーパックの内部空間と前記ベントガス流路とが連通されるようにするピストンアセンブリと、前記シリンダーブロック内に配設されて、磁力により前記ピストンアセンブリの上方への動きを制限して、前記ベントガス流路と前記バッテリーパックの内部空間との連通が遮断されるようにする磁石ユニットと、を含む。
【0011】
前記ベントデバイスは、前記シリンダーブロックの内部空間に配設されて、前記バッテリーパックの内部の圧力を感知する第1センシングユニットと、前記シリンダーブロックの上端に配設されて、前記ピストンアセンブリの上方への移動に伴う圧力を感知する第2センシングユニットと、をさらに含んでいてもよい。
【0012】
前記ベントデバイスは、前記ピストンアセンブリの一部を包み込む電磁気コイルをさらに含んでいてもよい。
【0013】
前記ベントデバイスは、前記バッテリーパックと電磁気コイルとの間に接続されるスイッチと、前記第2センシングユニットにより前記ピストンアセンブリの上方への移動が感知され、前記第1センシングユニットによりセンシングされたバッテリーパックの内部の圧力が既に設定された基準圧力未満である場合、前記スイッチによりバッテリーパックと電磁気コイルとが電気的に接続されるようにスイッチングオン信号を出力するコントローラーと、を含んでいてもよい。
【0014】
前記電磁気コイルは、前記コントローラーのスイッチングオン信号に基づいて、前記ピストンアセンブリが下方に動いて、前記ベントガス流路と前記バッテリーパックの内部空間との連通が遮断されるようにする電磁気力を生じさせてもよい。
【0015】
前記コントローラーは、前記第1センシングユニットにより基準圧力以上の圧力が感知されたにも拘わらず、前記第2センシングユニットによる前記ピストンアセンブリの上方への運動が感知されない場合、前記ベントデバイスの故障感知信号またはバッテリーパックのシール不良感知信号を出力してもよい。
【0016】
前記第1センシングユニットは、前記バッテリーパックの内部の圧力をセンシングする圧力センサーと、前記バッテリーパックの内部のベントガスを感知するガス感知センサーと、を含んでいてもよい。
【0017】
前記コントローラーは、前記第1センシングユニットにより前記バッテリーパックの内部の圧力が既に設定された基準圧力以上であることが感知され、かつ、前記バッテリーパックの内部にベントガスが感知され、前記第2センシングユニットにより前記ピストンアセンブリの上方への運動に伴う前記ベントガス流路の開路が感知される場合、バッテリーパックの内部のベント感知信号を出力してもよい。
【0018】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態によるバッテリーパックアセンブリは、バッテリーパック及び前記バッテリーパックの一方の側に配設される本発明の一実施形態によるベントデバイスを含む。
【0019】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態による自動車は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックアセンブリを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、バッテリーパックの内部の圧力が基準圧力以上に上昇する場合、内圧の上昇の原因となる気体を外部に速やかに排出し、かつ、気体の排出により圧力の平衡が取れた後には、バッテリーパックが再び密封状態を保持することが可能になる。
【0021】
また、本発明の他の側面によれば、バッテリーパックの内圧の上昇の原因がバッテリーセルのベントに伴うガスの発生にあるか否かが認知できるようにして、バッテリーパックを使い続けてもよいか、あるいは、使用を中断すべきであるかをユーザーが認知することが可能になる。
【0022】
本発明のさらに他の側面によれば、バッテリーパックの内圧の上昇にも拘わらず、ベントデバイスによるベントが円滑に行われない場合、ベントデバイスの故障、またはバッテリーパックの気密に問題があると評価し、ユーザーにこれに気づかせることで、一刻でも早く措置を取らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるベントデバイスの内部構造を示す図であって、ベントに伴うピストンアセンブリの上方への運動が生じていない状態を示す図である。
図3】本発明に適用されるピストンアセンブリを示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるベントデバイスの内部構造を示す図であって、ベントに伴うピストンアセンブリの上方への運動が生じた状態を示す図である。
図5】本発明による電磁気コイルとスイッチ及びバッテリーパックの間の接続関係を説明するための図である。
図6】本発明による第1センシングユニット、第2センシングユニット、スイッチ及びコントローラーの相互間の関係を説明するための図である。
図7】本発明による第1センシングユニット、第2センシングユニット、スイッチ、コントローラー、及びディスプレイユニットの相互間の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパックアセンブリは、バッテリーパック100及びバッテリーパック100の一方の側に設けられる本発明の一実施形態によるベントデバイス200を含む。
【0027】
前記バッテリーパック100は、複数のバッテリーセル110及び複数のバッテリーセル110を収容するパックハウジング120を含む。前記複数のバッテリーセル110は電気的に接続されて1つのセル積層体をなし、このようなセル積層体は、別途のハウジングなしにそのままパックハウジング120内に収容された形態で、またはモジュールハウジング内に収容された形態で提供され得る。前記セル積層体がモジュールハウジング内に収容されてバッテリーモジュールを形成する場合、複数のバッテリーモジュールが互いに電気的に接続されて形成されたモジュール集合体がパックハウジング120内に収容され得る。
【0028】
前記ベントデバイス200は、バッテリーパック100の一方の側に設けられて、バッテリーパック100の内部空間に生じたベントガスを外部に排出する。前記ベントガスは、バッテリーパック100の内部に位置するバッテリーセル110の過充電、または部品の破損による内部短絡などにより生じることがある。
【0029】
図2から図4を参照すると、本発明の一実施形態によるベントデバイス200は、シリンダーブロック210と、ピストンアセンブリ220及び磁石ユニット230を含む。
【0030】
前記シリンダーブロック210は、バッテリーパック100の内部と連通され、ベントガスを外部に排出するベントガス流路Pを備える。前記ベントガス流路Pは、シリンダーブロック210の側面を貫通する形態で設けられてもよい。前記シリンダーブロック210の下端は、パックハウジング120に結合される。より具体的に、前記シリンダーブロック210の下端は、パックハウジング120を貫通して形成されたパック孔120aを覆うようにパックハウジング120に結合される。
【0031】
前記シリンダーブロック210は、最も下方に位置する第1ブロック211と、第1ブロック211の上部に位置する第2ブロック212と、第2ブロック212の上部に位置する第3ブロック213及び第2ブロック212と第3ブロック213との間に位置する第4ブロック214を含む。前記第1ブロック211と、第2ブロック212と、第3ブロック213及び第4ブロック214は、一体に形成されたものであってもよい。これとは異なり、前記第1ブロック211と、第2ブロック212と、第3ブロック213及び第4ブロック214のうちの少なくとも一部は、互いに別途の部品として提供されて互いに結合されてもよい。
【0032】
前記第1ブロック211は、パック孔120aを介してパックハウジング120の内部空間と連通される第1空間211aを備える。前記第1ブロック211は、第1空間211aの上部に設けられる第1シャフトガイド孔211bを備える。前記第1シャフトガイド孔211bは、上下方向に沿って延びた形状に形成されて、ピストンアセンブリ220の一部が嵌入される空間を提供する。前記第1シャフトガイド孔211bの内径は、第1空間211aの幅よりもさらに小さく形成されてもよい。前記第1シャフトガイド孔211bは、ピストンアセンブリ220の上下への動きをガイドする。
【0033】
前記第2ブロック212は、第1ブロック211の上部に位置し、第1ブロック211と第2ブロック212との間には、第1空間211a及び第1シャフトガイド孔211bと連通されるベントガス流路Pが設けられる。前記ベントガス流路Pは、ピストンアセンブリ220の上方への移動によりピストンアセンブリ220の下端が第1シャフトガイド孔211bから外れてさらに上方に移動すれば、第1シャフトガイド孔211b及び第1空間211aと連通される。
【0034】
前記第2ブロック212は、ベントガス流路Pの上部に設けられる第2シャフトガイド孔212bを備える。前記第2シャフトガイド孔212bの内径は、第1シャフトガイド孔211bの内径に略等しく形成されてもよい。前記第2シャフトガイド孔212bは、上下方向に沿って延びた形状に形成されてピストンアセンブリ220の一部が嵌入される空間を提供する。前記第2シャフトガイド孔212bは、ピストンアセンブリ220の上下への動きをガイドする。前記第2ブロック212は、第2シャフトガイド孔212bの上部に形成される第2空間212aを備える。前記第2空間212aの幅は、第2シャフトガイド孔212bの内径よりもさらに大きく形成されてもよい。前記第2空間212a内には、ピストンアセンブリ220の一部が収容される。
【0035】
前記第3ブロック213は、内部に第3空間213aを備える。前記第4ブロック214は、第2ブロック212の第2空間212aと第3ブロック213の第3空間213aとを画成する。すなわち、前記第4ブロック214は第2空間212aの天井をなし、かつ、第3空間213aの底面をなす。前記第4ブロック214は、第3シャフトガイド孔214bを備える。前記第3シャフトガイド孔214bは、ピストンアセンブリ220の上下運動をガイドする。前記第3シャフトガイド孔214bの内径は、第2空間212aの幅よりもさらに小さく形成されてもよい。なお、前記第3シャフトガイド孔214bの内径は、第3空間213aの幅よりもさらに小さく形成されてもよい。
【0036】
前記第3空間213a内には、ピストンアセンブリ220の上部が収容され、第3空間213a内に位置するピストンアセンブリ220の上部は、ピストンアセンブリ220の上下運動に伴い、第3空間213aの下端と上端との間において動く。
【0037】
一方、本明細書においては、前記シリンダーブロック210を4つのブロックに分けて説明しているが、これは、シリンダーブロック210の延在方向(図2から図3における上下方向)に沿って位置ごとにその名称を異にしたものに過ぎず、叙上のように、シリンダーブロック210をなす4つのブロックのそれぞれは一体に形成されたものであってもよい。なお、これとは異なり、前記シリンダーブロック210をなす4つのブロックのうちの少なくとも一部は、個別の部品の形態で提供されて互いに結合されてもよい。
【0038】
前記ピストンアセンブリ220は、バッテリーパック100の内部圧力の上昇に伴う力を受けてシリンダーブロック210の延在方向に沿って上方に動いてバッテリーパック100の内部空間とベントガス流路Pとが連通されるようにする。前記ピストンアセンブリ220は、最も下方に位置する第1シャフト221と、第1シャフト221の上端に連結される第1ピストンブロック222と、第1ピストンブロック222の上部に連結されて上方に延びる第2シャフト223及び第2シャフト223の上端に連結される第2ピストンブロック224を含む。
【0039】
前記第1シャフト221は、第1ブロック211の第1シャフトガイド孔211b及び第2ブロック212の第2シャフトガイド孔212b内に嵌入され、第1シャフトガイド孔211b及び第2シャフトガイド孔212bによりその上下運動がガイドされる。前記第1シャフト221の下部は、ピストンアセンブリ220の上方への運動に伴い第1シャフトガイド孔211bから外れることにより、ベントガス流路Pが第1シャフトガイド孔211bを介して第1空間211aと連通されるようにする。
【0040】
前記第1ピストンブロック222は第1シャフト221の上端に連結され、第2ブロック212の第2空間212a内に位置する。前記第1ピストンブロック222は、第1シャフト221よりもさらに大きな直径を有していてもよい。前記第1ピストンブロック222は、第2空間212aの内壁面により上下への動きがガイドされる。前記第1ピストンブロック222は、第2空間212aの下端から上端までを動き、バッテリーパック100の内部圧力の増加に伴い上方に移動する。前記バッテリーパック100の内部圧力の増加に伴う第1ピストンブロック222の上方への移動に際して、第1ピストンブロック222が第4ブロック214の下面に強く衝突することを防ぐために、第4ブロック214の下面には、例えば、バネなどの緩衝部材Bが設けられてもよい。
【0041】
前記第2シャフト223は、第1ピストンブロック222の上部に連結されて上方に延びた形状を呈する。前記第2シャフト223は、第1ピストンブロック222よりも小さな直径を有していてもよい。前記第2シャフト223は、第3シャフトガイド孔214b内に嵌入され、第3シャフトガイド孔214bによりその上下運動がガイドされる。
【0042】
前記第2ピストンブロック224は、第2シャフト223の上端に連結されて第3ブロック213の第3空間213a内に位置する。前記第2ピストンブロック224は、第2シャフト223よりもさらに大きな直径を有していてもよい。前記第2ピストンブロック224は、第3空間213aの下端から上端までを動き、バッテリーパック100の内部圧力の増加に伴い上方に移動する。
【0043】
前記磁石ユニット230は、シリンダーブロック210内に配設されて、磁力によりピストンアセンブリ220の上方への動きを制限し、これにより、ベントガス流路Pとバッテリーパック100の内部空間との連通が遮断された状態が保持できるようにする。前記磁石ユニット230のこのような機能の実現のために、磁石ユニット230は、ベントに伴うバッテリーパック100の内部圧力の増加レベルを考慮して、所定の範囲内の磁力を有する永久磁石を含む。前記磁石ユニット230は、例えば、第4ブロック214の上面、すなわち、第3空間213aの底面の上に固定されてもよい。この場合、前記磁石ユニット230は、第2シャフト223が通過できるように、第3シャフトガイド孔214bに対応する貫通孔230bを備えていてもよい。したがって、前記第3シャフトガイド孔214b及び貫通孔230bを通過した第2シャフト223の上端に連結された第2ピストンブロック224の下面は、磁石ユニット230の磁力により磁石ユニット230の上面に結合されることが可能になる。前記磁石ユニット230の磁力による結合のために、第2ピストンブロック224は、全体または少なくともその下部が磁石にくっつけられる金属を含む。
【0044】
一方、図2から図4を参照すると、本発明の一実施形態によるベントデバイス200は、第1センシングユニット240及び第2センシングユニット250をさらに含んでいてもよい。また、本発明の一実施形態によるベントデバイス200は、第1センシングユニット240と第2センシングユニット250のセンシング結果に基づいて作動する電磁気コイル260をさらに含んでいてもよい。
【0045】
前記第1センシングユニット240は、シリンダーブロック210の内部空間に配設されてバッテリーパック100の内部の圧力を感知する。このような機能の実現のために、前記第1センシングユニット240は、圧力センサーを含んでいてもよい。前記第1センシングユニット240は、第1ブロック211の第1空間211a内に配置されて、バッテリーパック100の内部にベントガスが生じるなどして圧力が上昇する場合、これを感知し、センシングされた圧力値を後述するコントローラー280に与える。
【0046】
前記第2センシングユニット250は、シリンダーブロック210の上端に配設される。前記第2センシングユニット250は、ピストンアセンブリ220が上方に移動してセンシングユニット250と接触することにより生じる圧力を感知する。前記第2センシングユニット250は、バッテリーパック100の内部圧力の増加に伴いピストンアセンブリ220が上昇する場合、ピストンアセンブリ220の第2ピストンブロック224と接触することになる。前記第2センシングユニット250は、これに伴い生じる圧力を感知し、センシングされた圧力値を後述するコントローラー280に与える。前記第2センシングユニット250により圧力が感知されたということは、つまり、ピストンアセンブリ220の上昇に伴い、ベントガス流路Pがバッテリーパック100の内部空間と連通されるように開路したことを意味する。
【0047】
前記電磁気コイル260は、第3ブロック213の第3空間213a内に位置する。前記電磁気コイル260は、ピストンアセンブリ220の一部を包み込む。より具体的に、前記電磁気コイル260は、ピストンアセンブリ220の第2ピストンブロック224の全体または第2ピストンブロック224の全体と第2シャフト223の一部を包み込むようにコイリング(coiling)された形状を呈する。前記電磁気コイル260は、バッテリーパック100の内部圧力の増加に伴い第3空間213aの上端に移動した第2ピストンブロック224に電磁気力を加えて、第2ピストンブロック224が下方に移動して磁石ユニット230に結合されるようにする。
【0048】
前記電磁気コイル260は、第2センシングユニット250によりピストンアセンブリ220の上方への移動が感知され、第1センシングユニット240によりセンシングされたバッテリーパック100の内部の圧力が既に設定された基準圧力未満である場合、バッテリーパック100と接続されて通電される。前記電磁気コイル260は、このようにして通電されて電磁気コイル260内に位置している第2ピストンブロック224を下方に移動させる方向に電磁気力を生じさせる。前記電磁気コイル260は、第2ピストンブロック224が上方に移動して磁石ユニット230との距離が遠ざかることにより、磁石ユニット230による磁力が及ばない場合において、第2ピストンブロック224のリターン動作が確実に行われるようにすることができる。
【0049】
一方、図2から図4と結び付けて図5及び図6を参照すると、本発明の一実施形態によるベントデバイス200は、上述したような第1センシングユニット240及び第2センシングユニット250によるセンシング結果を参照して電磁気コイル260が作動できるようにするために、スイッチ270及びコントローラー280をさらに含んでいてもよい。
【0050】
前記スイッチ270は、バッテリーパック100と電磁気コイル260との間に接続される。前記スイッチ270は、例えば、バッテリーパック100の正極端子と電磁気コイル260の一方の端との間に接続されてもよく、電磁気コイル260の他方の端は接地されてもよい。また、前記コントローラー280は、第1センシングユニット240と第2センシングユニット250のセンシング値を参照してスイッチングオン(switching on)信号の出力有無を決定する。前記コントローラー280は、上述したように、第2センシングユニット250によりピストンアセンブリ220の上方への移動が感知され、第1センシングユニット240によりセンシングされたバッテリーパック100の内部の圧力が既に設定された基準圧力未満である場合にスイッチングオン信号を出力する。このようなスイッチングオン信号の出力につれて電磁気コイル260は通電され、コイリング方向に応じて上方から下方へと電磁気力が生じて電磁気コイル260の内部に位置している第2ピストンブロック224は下方に移動することになる。このように、前記第2ピストンブロック224が下方に移動して磁石ユニット230と結合されることにより、第1シャフト221によりベントガス流路Pと第1空間211aとの連通が遮断される。
【0051】
図2から図5と結び付けて図7を参照すると、本発明の一実施形態によるベントデバイス200は、第1センシングユニット240及び第2センシングユニット250のセンシング結果に基づくバッテリーパック100の状態をディスプレイするディスプレイユニット290をさらに含んでいてもよい。
【0052】
この場合、前記コントローラー280は、第1センシングユニット240により既に設定された基準圧力以上の圧力が感知されたにも拘わらず、第2センシングユニット250によりピストンアセンブリ220の上方への運動が感知されない場合、ベントデバイス200の故障感知信号またはバッテリーパック100のシール不良感知信号を出力する。前記ディスプレイユニット290は、コントローラー280から出力されたこのような感知信号に基づいて、視覚的及び/又は聴覚的に報知することで、ユーザーにベントデバイス200の故障、またはバッテリーパック100のシール不良が生じたことに気付かせる。
【0053】
一方、前記第1センシングユニット240は、圧力センサーの他に、バッテリーセル110から流出されてバッテリーパック100の内部に存在するベントガスを感知可能なガス感知センサーをさらに含んでいてもよい。この場合、前記コントローラー280は、第1センシングユニット240によりバッテリーパック100の内部の圧力が既に設定された基準圧力以上であることが感知され、バッテリーパック100の内部にベントガスが生じたことが感知され、第2センシングユニット250によりピストンアセンブリ220の上方への運動に伴うベントガス流路Pの開路が感知される場合、バッテリーパック100の内部のベント感知信号を出力する。前記ディスプレイユニット290は、コントローラー280から出力されたこのような感知信号に基づいて、視覚的及び/又は聴覚的に報知することで、ユーザーにバッテリーパック100の内部においてベントが生じたことを気付かせる。
【0054】
上述したように、本発明の一実施形態によるバッテリーパックアセンブリは、バッテリーパック100内のベントまたはそれ以外の他の理由による内圧の上昇に対応して動作するベントデバイス200を備えることにより、内圧の上昇に伴う発火及び/又は爆発のリスクを払拭することができる。なお、本発明によれば、内圧の上昇に伴い開路したベントガス流路Pが電磁気力を用いて再び閉路可能な仕組みが適用されることにより、バッテリーパック100及びベントデバイス200を繰り返して使用することが可能になる。
【0055】
一方、本発明の一実施形態による自動車は、上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーパックアセンブリを含む。前記自動車は、本発明のバッテリーパックアセンブリに設けられたバッテリーパック100により電力を印加されて動作する。前記自動車は、バッテリーパックアセンブリに設けられた本発明のベントデバイス200により使用上の安全性が大幅に向上する。
【0056】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100 バッテリーパック
110 バッテリーセル
120 パックハウジング
120a パック孔
200 ベントデバイス
210 シリンダーブロック
211 第1ブロック
211a 第1空間
211b 第1シャフトガイド孔
212 第2ブロック
212a 第2空間
212b 第2シャフトガイド孔
213 第3ブロック
213a 第3空間
214 第4ブロック
214b 第3シャフトガイド孔
220 ピストンアセンブリ
221 第1シャフト
222 第1ピストンブロック
223 第2シャフト
224 第2ピストンブロック
230 磁石ユニット
230b 貫通孔
240 第1センシングユニット
250 第2センシングユニット
260 電磁気コイル
270 スイッチ
280 コントローラー
290 ディスプレイユニット
B 緩衝部材
P ベントガス流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】