(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】食品加工ツール
(51)【国際特許分類】
F25C 5/12 20060101AFI20231206BHJP
A47J 43/044 20060101ALI20231206BHJP
A47J 43/07 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F25C5/12 Z
A47J43/044
A47J43/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563443
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021060751
(87)【国際公開番号】W WO2021214330
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522408474
【氏名又は名称】デロンギ ブラウン ハウスホールド ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング
【氏名又は名称原語表記】DE’LONGHI BRAUN HOUSEHOLD GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】レブサック、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルファート、 パスカル
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA02
4B053BB01
4B053BD02
4B053BD06
4B053BL01
4B053BL08
(57)【要約】
キッチン器具用の氷用ナイフが、2つ以上のブレードを含み、前記ブレードの各々が、同じ高さに配置された主要部分を含み、前記高さは、使用中に、処理された氷が前記主要部分の下に集まるように設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のブレードを含み、前記ブレードの各々が、同じ高さに配置された主要部分を含み、前記高さは、使用中に、処理された氷が前記主要部分の下に集まるように設定されている、キッチン器具用の氷用ナイフ。
【請求項2】
前記高さは、前記処理された氷が0.5mmより大きい粒径、好ましくは2mmより大きい粒径、より好ましくは3mmから14.5mmまでの間の粒径を有するように設定されている、請求項1に記載の氷用ナイフ。
【請求項3】
ハブをさらに含み、前記ハブから前記ブレードが延びており、前記ハブの上の前記主要部分の高さは好ましくは5mmから30mmまでの間、より好ましくは10mmから20mmまでの間、さらに好ましくは約12mmである、請求項1または2に記載の氷用ナイフ。
【請求項4】
前記ハブは、使用時に回転軸を中心として回転するように構成され、前記ブレードの各々の前記主要部分は、半径方向外向きに、好ましくは前記回転軸に対して実質的に90°±10°の角度で延びている、請求項3に記載の氷用ナイフ。
【請求項5】
前記ブレードの各々が、前記ハブから延びる傾斜部分を備え、前記主要部分は前記傾斜部分から延び、好ましくは、前記傾斜部分は前記回転軸に対して直角に延びる仮想線に対して30°~90°、より好ましくは35°~56°の角度で傾斜しており、および/または、前記傾斜部分はそれぞれ、前記回転軸に沿って同じ方向に延びている、請求項3または4に同様の氷用ナイフ。
【請求項6】
2つ以上の前記ブレードが実質的に鈍い前縁を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項7】
2つ以上の前記ブレードが、回転方向に対しておよそ90°~150°の角度で半径方向に延びる前縁を有し、好ましくは、前記ブレードが直線状に延びている、請求項4に従属する請求項5から6のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項8】
2つ以上の前記ブレードの各々が、前記仮想線に対して10°から55°までの間の角度で前記主要部分から半径方向外向きに延びる先端部分をさらに含む、請求項5に従属する請求項6から7のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項9】
2つ以上の前記ブレードが前記回転軸から半径方向に離れる延び量は実質的に同じであり、好ましくは2つ以上の前記ブレードの各々の先端部分が前記回転軸に沿ってそれぞれ異なる軸方向延び量を有し、および/または、前記主要部分が実質的に同じ長さを有し、前記回転軸は前記ハブの重心に対してずれている、請求項4に従属する請求項5から8のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項10】
前記傾斜部分は、前記主要部分を氷の破砕に適した軸方向平面まで上昇させるために、前記ハブから軸方向に少なくとも12mm延びている、請求項5に従属する請求項6から9のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項11】
前記ブレードおよびハブは、好ましくは実質的に均一な厚さの単一の金属シートとして、一体的に形成されている、請求項4に従属する請求項5から10のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項12】
好適な駆動シャフトへの前記ナイフの手動での取り付け/取り外しを容易にするための軸方向に延びるステムをさらに含み、好ましくは、前記ステムがチョッパーツールで用いられるものと実質的に同じである、請求項1から11のいずれか1項に記載の氷用ナイフ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の氷用ナイフと、前記氷用ナイフが内部に配置された容器であって、前記氷用ナイフによる破砕のために氷を内部に受け入れるように構成されている容器と、モータユニットを取り外し可能に受け入れるように構成されているモータシートと、前記氷用ナイフの回転を駆動するために、前記モータシートに配置された前記モータユニットから前記氷用ナイフに回転駆動力を伝達するように構成されている駆動シャフトおよび/または歯車装置と、を含む、食品加工アタッチメント。
【請求項14】
モータユニット、好ましくはハンドブレンダーのモータユニットと、
請求項13に記載のアタッチメントと、
を含む部品の組であって、
好ましくは、前記モータユニットが制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールは、前記アタッチメント、および/またはナイフ、および/または前記アタッチメントの前記容器に組み合わされた蓋の有無を検出し、この検出に応答して以下のプロセス、すなわち、
a)氷破砕モードに対応するユーザインターフェースをユーザに提示すること
b)前記モータユニットのモータの起動を防止すること
c)前記モータユニットの前記モータの回転速度を、氷の破砕に適した所定の範囲内に制限すること
d)構成要素が存在しないことが検出された場合に、当該構成要素の取り付けに関する情報をユーザに提示すること
e)レシピをユーザに提示すること
のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、部品の組。
【請求項15】
氷を破砕するインサートであって、好ましくは柱状のプラットフォーム部分と、前記プラットフォーム部分に取り付けられるか、または取り外し可能に取り付け可能である、平らな、好ましくは円盤状の部分と、を含み、前記平らな部分は、前記インサートが内部に配置されている容器を、氷を破砕する領域と破砕された氷の貯蔵領域とに分割するように構成されており、前記平らな部分は、所定の寸法の氷の薄片の通過を可能にする寸法に設定された開口を内部に有し、好ましくは、前記開口が前記平らな部分の上で、前記インサートに設けられたツール軸受と同心に延びている、氷を破砕するインサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品加工ツールに関し、より詳細には、ハンドブレンダーなどの食品加工器具用のナイフ、および食品加工器具とともに用いるブレード組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドブレンダーおよびハンドミキサーなどの手持ち式のキッチン器具には、多くの場合、固形の食品をより小さな破片に細断するために用いることができるチョッパーアタッチメントが設けられている。そのようなチョッパーは、ボウル状の容器と、回転ツール(通常は複数の切断ブレードを有するナイフ)と、蓋とからなる。手持ち式のモータユニットは、回転ツールを駆動するために、蓋に結合することができる。
【0003】
氷を破砕することもできるツールを設けることが望ましい。これはいくつかの問題を引き起こす。
【0004】
より柔らかい食品を加工するためには、鋭いブレードが必要である。性能を向上させるために、これらのブレードは、通常、いわゆる「引き切り」を行い、このことは、ブレードの前縁上の任意の点において、この点における接線と回転の周方向との間の角度が90°よりも著しく大きく、通常は135°の領域であることを意味する。したがって、ブレードは、食品を通して水平に押される代わりに、ある角度で食物を通して引かれ、強く切断する。この角度は、通常、外側向きの角度として選択され、それにより、ブレードは回転方向から離れるように後方に曲げられ、その結果、食品は容器の外壁に向かって押される。ブレードの縁部では、切断速度がより速く、食品が容器の壁とブレードとの間に捕捉され、これも切断動作を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念ながら、角氷またはその他の固い食品が処理される場合、一般的な鋭いナイフのブレードは、固い氷材との衝突により急速に鈍くなる。したがって、ナイフの性能は使用の増加に伴って変化し、劣化する可能性がある。さらに、鋭い縁部が損傷すると、金属片が、加工された食品の中に入り込み、使用者の健康に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
ブレードの引き切りを行う形状は、容器の外壁に向かって食品を外側に押す傾向がある。これは柔らかい食品のためには都合が良いが、食品が容器の壁とブレードとの間に捕捉される場合、このことは固い食品において問題を引き起こす。ここでは、容器、ナイフまたはモータの損傷につながる可能性があるブレードのブロックを生じる可能性がある。これは、特に、容器の外壁が、ナイフが内部で回転するボウル/ベル内に突出するリブまたはその他の部材を含む場合に当てはまる。
【0008】
一般的なチョッパーナイフは、通常、異なる高さの位置に2つのブレードを有し、下側ブレードは容器の底部の近く(例えば5mm以内)に延びて、そこで食品を加工する必要がある。これは、ほとんどの用途において望まれる微細な結果物を得るために必要である。しかしながら、氷を非常に細かく破砕すると、このブレードのレイアウトは、破砕された氷よりも多くの「雪」を生成するので、通常は望ましくない。その代わりに、特にカイピリーニャなどのカクテル用の氷を製造するために、結果物はある程度粗いものであることが好ましい。
【0009】
(例えば、約0.5mm以下の平均粒子/粒径を有する)「雪」のような食感を有するように処理された氷は、その大きな表面積のために液体中で急速に溶け、したがって、それが添加される飲料を単に冷却するのではなく希釈するので、望ましくない。また、低密度(およそ10~100kg/m3)で吸収性が高く、飲料として飲むか、またはその他の方法で消費される時に、スポンジのような良好でない口触りになる。
【0010】
ブレードが鈍くなるという問題を克服するために、いくつかの製造業者は、この装置から分離した氷用ナイフを設け、鋭いブレードは、固い氷に対してより堅牢であるが、製造がより困難である鋸歯状ブレードに置き換えられる。また、それ以外の点では、全体的な形状は、下側ブレードを有することを含めて、通常のブレードと依然として同様である。したがって、それはまた、ブロッキングの問題と粗さの欠如の問題を解決することができない。
【0011】
ブロッキングと粗さの問題を克服するために、いくつかの製造業者は、氷を破砕する専用のナイフと一緒に、バスケット状の、氷を破砕するインサートを設けている。そのような装置の1つは、開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている欧州特許公開1127526A2号に示されている。この装置は、より粗く加工された食品を送り、ブロックを低減するが、多くの追加の構成要素が必要なので、より高価でより複雑である。
【0012】
開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている欧州特許公開1127526号は、Z形状を有する単一のブレードを有する、氷を破砕するナイフを開示しており、その主要な作業部分は、容器の底部の上方に40mmだけ上昇させられている。それは、40mmの垂直方向部分によって回転ステムに接続されている。このZ形状の構造は、通常のナイフと同じプラスチックステムを用いることを可能にし、そのことは、コスト効率を良くし、また、完成した氷がそれ以上処理されることなくブレードの下に集まることを可能にするので、粗さの問題も解決する。しかしながら、単一のブレードのために、ナイフのアンバランスさによって引き起こされる振動と、大きな角氷の一側部への衝撃力とが、使用を不便にする、いくつかの新たな欠点をもたらす。また、ブレードの長い垂直方向部分が、ブレードの周方向の剛性を大幅に低下させ、動作中にプラスチック部品が頻繁に破損することになる。また、ブレードの水平な主要部分は、容器の底部の上方の高すぎる位置にある。それは、食品が細かく加工され過ぎることを効果的に防止するが、比較的大きな破片が、さらに加工されることなくブレードの下に蓄積することがあるので、一定の結果物を実現することを困難にする。これは、ユーザが完全な器具を持ち上げて振ることを必要とし、これは不便であり、安全ではない。さらに、このブレードの、通常のチョッパーブレードに対して根本的に異なる形状により、それらの両方を製造するために共通のツールを使用することができない。
【0013】
したがって、従来技術の前述した問題を少なくとも部分的に改善することができるツールを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様では、(任意に選択できるが)キッチン器具用の氷用ナイフが提供され、2つ以上のブレードを含み、前記ブレードはある高さ(好ましくは同じ高さ、より好ましくは互いに同じ高さ)に配置された主要部分をそれぞれ含み、その高さは、使用中に、処理(加工)された氷(すなわち、氷用ナイフによって処理された氷)が主要部分の下に集まるように設定される。これは、ブレードを(同じ高さまで)持ち上げることによって満足のいく氷の破砕を可能にする一方、チョッパーブレードとの共通のツールを使用できるようにする可能性がある。各ブレードの主要部分の少なくともいくつか、好ましくはすべてが(同じ)高さにあること、すなわち、各ブレードの主要部分は好ましくは平坦であり、および/または水平に配置され、および/またはキッチン器具(またはキッチン器具の容器)の底面に平行に配置され、これは、一定の粒径を有する処理された氷を生成するのに役立ち得ることが理解されるであろう。各ブレードの主要部分は、キッチン器具(またはキッチン器具の容器)の底面の上方に上昇させられてもよい。
【0015】
高さは、氷用ナイフの一部(例えばハブ)の底部の上の高さであってもよく、または氷用ナイフが内部で使用される容器の底部の上の高さであってもよい。これにより、各ブレードの主要部分をハブの上方に上昇させることができる。氷用ナイフの底部は、容器の底部から好ましくは5mm未満、より好ましくは1~2mmの位置である。容器の底部の上の高さは、好ましくは6mmから35mmまでの間、より好ましくは11mmから25mmまでの間、さらに好ましくは13mmから14mmまでの間である。ハブは、好ましくは氷用ナイフの一部であり(より好ましくはブレードと一体であり)、すなわち、ハブは、好ましくは、単なる氷用ナイフに接続されたシャフトではない。容器の底部は平坦であってよい。
【0016】
高さは、処理された氷が0.5mmより大きく、好ましくは2mmより大きく、より好ましくは3mmから14.5mmまでの間の粒径を有するように設定されてよい。氷用ナイフはハブを含んでいてよく、ブレードがハブから延びており、好ましくはハブの上の主要部分の高さは5mmから30mmまでの間、より好ましくは10mmから20mmまでの間、さらに好ましくは約12mmである。ハブは、使用時に回転軸を中心として回転するように構成されてよく、各ブレードの主要部分は半径方向外向きに、好ましくは実質的に回転軸に対して90°±10°の角度で延びる。ブレードはそれぞれ、ハブから延びる傾斜部分を含んでいてよく、主要部分は傾斜部分から延び(すなわち、傾斜部分は回転軸に対して主要部分の内側にあり(ハブが傾斜部分の内側にある))、好ましくは、傾斜部分が、回転軸に対して直角に延びる仮想線に対して30°~90°の角度、より好ましくは35°~56°の角度で傾斜し、および/または傾斜部分はそれぞれ、回転軸に沿って同じ方向に延びている。
【0017】
本発明の別の態様では、回転軸を有する中央ハブから半径方向に離れて軸方向に延びる2つ以上のブレードを備える氷用ナイフが開示されている。ブレードはそれぞれ、中央ハブから半径方向外向きに延び、回転軸に対して直角に延びる仮想線に対して30°~90°、より好ましくは35°~56°の角度で傾斜した傾斜部分を備え、傾斜部分はそれぞれ同じ軸方向に沿って延びている。ブレードはそれぞれ、回転軸に対して実質的に90°±10°で傾斜部分から半径方向外向きに延びる主要部分を有する。
【0018】
前述した氷用ナイフは、まず各々が中央ハブから回転軸に対して30°~90°の角度で軸方向に(傾斜部分上で)延び、次いで、回転軸に対して約90±10°で傾斜部分から半径方向外側に(主要部分上で)延びるブレードを有することで、ブレードを持ち上げることによって満足のいく氷の破砕を可能にする一方で、チョッパーブレードと共通のツールを使用できるようにする可能性があるという点で、従来技術よりも有利である。さらに、これはまた、両方のブレードが1つのハブから延びるので、単一部品構造を可能にする。さらに、これは、両方のブレードが異なる高さで駆動シャフト部材に直接取り付けられた場合のように異なる点ではなく、同じ点でハブを介して接続された駆動シャフトに作用できるようにし、したがって、不均等な力および振動による駆動シャフトの屈曲を防止するのに役立つ。
【0019】
好ましくは、2つ以上のブレードが実質的に鈍い前縁を有する。これは、金属片が処理中の食品に入り込むのを防ぐのに役立ち、製造を簡略化し、結果をより予測できるようにすることができる。
【0020】
任意に選択できるが、2つ以上のブレードは、回転方向に対して約90°~150°の角度で半径方向に延びる前縁を有し、好ましくは、ブレードは直線状に延びる。これは、氷用ナイフが内部で用いられる容器の側面に直接氷が突き出るのを防止するのに役立ち、氷の破砕を改善することができる。
【0021】
2つ以上のブレードはそれぞれ、仮想線に対して10°から55°までの間の角度で主要部分から半径方向外向きに延びる先端部分をさらに備えてもよい。この種の角度を形成する先端部分は、詰まりを防止するのに役立ち得る。
【0022】
氷用ナイフのさらなる任意の変形例では、回転軸から離れた2つ以上のブレードの径方向延び量は実質的に同じであってよい。これは、ナイフのバランスをとるのに役立ち得る。
【0023】
2つ以上のブレードの各々の先端部分は、回転軸に沿ってそれぞれ異なる軸方向延び量を有する可能性がある。先端部分の軸方向延び量のこの変化は、加工される体積を大きくするのに役立ち得る。
【0024】
好ましくは、主要部分は実質的に同じ長さを有し、回転軸はハブの重心に対してずらされている。これは、製造を簡略化することができる。
【0025】
さらなる変形例では、傾斜部分が、主要部分を氷の破砕に特に適した軸方向平面に上昇させるために、ハブから軸方向に少なくとも12mm延びていてよい。
【0026】
別の好ましい変形例では、ブレードおよびハブが、好ましくは実質的に一定の厚さの単一の金属シートとして、一体的に形成される。これは、製造を簡略化する。
【0027】
任意に選択できるが、氷用ナイフは好適な駆動シャフトへのナイフの手動での取り付け/取り外しを容易にするための軸方向に延びるステムを有していてよく、好ましくは、ステムがチョッパーツール上で使用されるものと実質的に同じである。これは、氷用ナイフの手動の操作を改善することができる。
【0028】
本発明の別の態様では、前述した氷用ナイフと、氷用ナイフが内部に配置される容器とを含む食品加工アタッチメントが開示されている。容器は、氷用ナイフによる破砕のために内部に氷を受け入れるように構成されている。モータシートは、モータユニットを着脱可能に受け入れるように構成され、駆動シャフトおよび/または歯車装置は、氷用ナイフの回転を駆動するために、モータシート内に位置するモータユニットから氷用ナイフに回転駆動を伝達するように構成される。アタッチメントは、氷用ナイフを使用するのに適した装置を提供することができる。
【0029】
本発明の別の態様では、モータユニット、好ましくはハンドブレンダーのモータユニットと、前述したアタッチメントとを含む部品の組が開示される。モータユニットは、アタッチメントを駆動してよい。
【0030】
好ましくは、モータユニットが、アタッチメント、および/またはナイフ、および/またはアタッチメントの容器に組み合わされた蓋の有無を検出するように構成された制御モジュールをさらに備え、制御モジュールは、この検出に応答して以下のプロセスのうちの少なくとも1つを実行するように構成されている
a)氷破砕モードに対応するユーザインターフェースをユーザに提示すること
b)モータユニットのモータの起動を防止すること
c)モータユニットのモータの回転速度を、氷の破砕に適した所定の範囲内に制限すること
d)構成要素が存在しないことが検出された場合、その構成要素の取り付けに関する情報をユーザに提示すること
e)レシピをユーザに提示すること
したがって、装置の有用性を高めることができる。
【0031】
本発明の別の態様では、氷を破砕する(または氷を処理する)インサートが開示され、前記インサートは、好ましくは柱状のプラットフォーム部分と、平らな、好ましくは円盤状の部分と、を備え、平らな部分はプラットフォーム部分に取り付けられるか、または取り外し可能に取り付け可能であり、平らな部分は、インサートが内部に配置される容器を、氷を破砕する領域と破砕された氷を貯蔵する領域とに分割するように構成され、平らな部分は、所定のサイズの氷の薄片の通過を可能にするように寸法が決められた開口を有する。プラットフォーム部分は、平面に沿って容器を、氷を処理する領域と破砕された氷を貯蔵する領域とに分割することができる位置まで平らな部分を上昇させるように作用する。プラットフォーム部分は、任意に選択できるが、キッチン器具の駆動シャフトであってよく、好ましくは、平らな部分が駆動シャフトに支持される。
【0032】
好ましくは、開口が、平らな部分の上で、インサート上に設けられたツール軸受と同心に延びている。これは、氷の破砕を改善する。
【0033】
本発明の別の態様では、本明細書に記載されている氷を破砕するインサートを含むキッチン器具が開示される。
【0034】
本発明の別の態様では、実質的に鈍い前縁を有する2つ以上のブレードを備える氷用ナイフが開示される。
【0035】
本発明の別の態様では、(本明細書に記載されているように任意に選択できる)氷用ナイフツールと、チョッパーツールと、氷用ナイフおよびチョッパーツールを内部に受け入れて回転駆動を受けることができる容器と、容器が取り外し可能に取り付けられて回転駆動を受けるモータユニットと、を含む部品の組が開示され、氷用ナイフおよびチョッパーツールはそれぞれ、実質的に同じプラスチック金型を含む。
【0036】
本発明の別の態様では、食品加工ツールを製造する方法が開示され、その方法は、
a)チョッパーブレードを設けるステップ
b)氷用ナイフのブレードを設けるステップ
c)金型を用いてチョッパーブレード上にプラスチックをオーバーモールドすることによってチョッパーツールを作製するステップ
d)(同じ)金型を用いて氷用ナイフのブレード上にプラスチックをオーバーモールドすることによって氷用ナイフを作製するステップ
を含む。
【0037】
好ましくは、チョッパーブレードを設けるステップおよび/または氷用ナイフのブレードを設けるステップが、金属シートを打ち抜いてチョッパーブレードおよび/または氷用ナイフのブレードを形成する工程を含む。
【0038】
好ましくは、氷用ナイフのブレードを設けるステップが、氷用ナイフのブレードを、それらの長さの大部分に沿ってハブから離れるように、氷の破砕に適した高さ、好ましくはハブの約12mm上方の位置で半径方向外向きに延びるように曲げることを含む。
【0039】
本発明の別の態様では、回転軸に対して異なる軸方向高さの位置で延びる、下側ブレードおよび上側ブレードを有するチョッパーツールが開示され、好ましくはブレードの各々が切断傾斜部によって形成された切断縁部を有し、下側ブレードの傾斜部は上側ブレードの傾斜部に面する。
【0040】
本発明はまた、本明細書に記載された任意の装置または装置の構成要素の組を含む。
【0041】
本明細書に記載された任意の装置の特徴は、方法の特徴として提示されてもよく、逆もまた同様である。本明細書で使用される場合、ミーンズプラスファンクションの特徴は、適切にプログラムされたプロセッサおよび関連するメモリーなど、それらの対応する構成に関して代替的に表現され得る。
【0042】
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組み合わせで、本発明の他の態様に適用され得る。特に、方法の態様は、装置の態様に適用されてもよく、逆もまた同様である。さらに、1つの態様における任意の、いくつかの、および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせで、任意の他の態様における、任意の、いくつかの、および/またはすべての特徴に適用され得る。
【0043】
また、本発明の任意の態様に記載され定義された様々な特徴の特定の組み合わせが、独立して実施および/または提供および/または使用され得ることが理解されるべきである。
【0044】
本明細書において、「または」という用語は別段の記載がない限り、排他的または包含的な意味で解釈することができる。
【0045】
さらに、ハードウェアで実施される特徴は、一般に、ソフトウェアで実装されてもよく、逆もまた同様である。本明細書におけるソフトウェアおよびハードウェアの特徴へのいかなる言及も、それに応じて解釈されるべきである。
【0046】
本発明は家庭用の食品加工および調理機械の分野において記載されているが、材料の効率的で効果的で便利な調理および/または加工が望まれる任意の使用分野において、工業規模および/または少量で実施することもできる。使用分野は、化学物質、医薬品、塗料、建築材料、衣料材料、農業用および/または獣医用の飼料および/または処置材の調理および/または加工を含み、農業用および/または獣医用の飼料および/または処置材は、肥料、穀物とその他の農業用および/または獣医用の製品、油、燃料、染料、化粧品、プラスチック、タール、仕上げ剤、ワックス、ワニス、飲料、医学的および/または生物学的研究材料、はんだ、合金、廃液、および/またはその他の物質を含み、本明細書における「食品」への言及は、そのような作動媒体によって置き換えられてよい。
【0047】
本明細書に記載される発明は、任意のキッチン器具内で用いられる、および/または独立した装置として用いられてよい。これは、頂部駆動機械(例えばスタンドミキサー)および底部駆動機械(例えばブレンダー)の両方を含む、任意の家庭用食品加工および/または調理機械を含む。それは、加熱および/または冷却された機械で実施されてもよい。これは、調理台または作業面に内蔵された機械において用いられてもよく、または独立した装置において用いられてもよい。本発明は、独立した装置として設けることもできる。
【0048】
本明細書で使用するとき、「キッチン器具用の氷用ナイフ」という用語は、好ましくは氷を処理するのに適したキッチン器具のブレード付きツールを意味し、より好ましくは、処理された氷は0.5mmより大きく、さらに好ましくは2mmより大きく、もっと好ましくは3mmから14.5mmまでの間の粒径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る氷用ナイフを上から見て部分的に切り欠いた図面である。
【
図3】様々な曲げ角度を示す、
図1の氷用ナイフのブレードの側面断面図である。
【
図4】様々な垂直方向の高さおよび厚さを示す、
図1の氷用ナイフのブレードの側面断面図である。
【
図5】5a~5fは、
図1の氷用ナイフのブレードに用いられる前縁の様々な形状の側面断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る、氷を破砕するインサートの側面図である。
【
図7】
図6の氷を破砕するインサートの平面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る食品加工アタッチメントの切り欠き側面図である。
【
図9】
図8のアタッチメントと、
図6のインサートと、
図1の氷用ナイフとを含む食品加工器具の簡略化した概略側面図である。
【
図10】
図9の器具のユーザインターフェースの平面図である。
【
図11】
図8のアタッチメントと、
図6のインサートと、
図1の氷用ナイフとを含む第2の食品加工器具の簡略化した概略側面図である。
【
図12a】
図1の氷用ナイフと交換可能なチョッパーツールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
1つまたは複数の態様を、単なる例示として、同様の参照数字を有する添付の図面を参照して説明する。
【0051】
本発明の第1の実施形態では、第1のブレード110と、第2のブレード120と、プラスチックステム130と、を有する2枚ブレードナイフ100が、
図1および
図2に示されている。
【0052】
平面図(
図1)を見ると、ブレード100の前縁111、121は、それらの長さの大部分に亘って実質的に平坦であり(すなわち実質的に直線状に延び)、好ましくは、それらの長さの90%以上に亘って実質的に平坦である。これにより、前縁と、周方向の回転方向との間の角度(すなわち、ブレードと、回転軸から延びる仮想線に対して直角に引かれた線とを隔てる角度)が、ブレードの外側に向かって90°近くになる。
図1に示されている例では、その角度は、ブレードの最外点における102°と、ブレードがプラスチックステム130と接触する最内点における150°との間である。これにより、固い食品が、ブレード100と、ブレードが内部に配置されている容器の壁との間に捕捉される傾向が低減される。また、ブレードの前縁111、121によって破砕された氷は、回転方向の接線の近くに突出する傾向があることを意味し、氷がさらに移動して、ナイフ100が内部に配置されている容器に衝突する前にさらに落下することを意味し、衝突速度を低下させ、ダメージを低減することを意味する。さらに、これにより、破砕された氷が、既に十分な細かさになっている場合に、再度加工されることなく、ブレードの下の空間内に落ちることがより多くなる傾向がある。
【0053】
側面図(
図2)を見ると、両方のブレード110、120は、平坦かつ水平な(すなわち回転軸に対して90°±10°、好ましくは90°±5°、より好ましくはおよそ90°の角度で延びる)主要部分112、122からなり、これは、両方のブレード110、120において同じ高さにある(すなわち実質的に同じ軸方向面内で延びている)。容器底部の上方の両方の主要部分112、122(例えばブレードを組み合わせた長さの大部分を構成する部分)の高さ(a)は、結果物の細かさを規定する。この高さ(a)は、プラスチックステム130の底部(すなわちフィンガーグリップ131の反対側の端部)の上方のブレード110、120の高さによって大部分または全体が決まり、それに、回転を容易にするための5mm未満、より好ましくは1~2mmの容器からのクリアランスのみが追加されるだけである。容器の底部とブレード110、120との間の間隔は、既に処理(加工)された食品の小片が、再度処理されることなくブレード110、120の下に蓄積することを可能にし、それにより、生成され破砕された氷の最大粒径を決定する。高さ(a)が小さいほど、結果物はより細かくなり、高さ(a)が大きいほど、結果物はより粗くなる。高さ(a)は、好ましくは(削られた氷において一般的な)約2mmより大きい平均粒径になるように選択され、より好ましくは、適切な処理時間の後におよそ3mmから14.5mmまでの範囲内であり、その処理時間の後に、氷が終点での所望の平均粒径になるように小さくされ、好ましくは、過剰な処理を回避するために、連続処理中に、容器の底部の上にブレードによって破砕される氷が無いように、高さが選択される。ブレードによるそのような処理の一例は、約100RPM以上の速度で約5秒~2分の処理である。約14.5mmの高さ(a)が、破砕された氷のために好ましい。高さ(a)は、ブレードから、ナイフ100が内部に配置されている容器の底部まで測定されてもよく、または、ナイフ100と組み合わせて使用されるインサート(後述するインサート200など)の頂部まで測定されてもよい。
【0054】
2つのブレード110、120は、2つの傾斜部分114および124を介して2つのブレードの主要部分に移行する下側部分101を介して互いに接続されている(
図2では傾斜部分114と下側部分101の一部がステム130の表面の背後にあり、したがって、破線を用いて示されており、同様の破線が
図12aで用いられている)。このことは、両方のブレード110および120は異なる高さでステムに入るが、同じ軸方向位置で駆動シャフトに接続される(したがって動作する)(したがってその作用のバランスをとる)ことを意味する。この構成は、通常の鋭いナイフにも同じステムを使用することを可能にする。前述したように、これらのナイフは、容器の底部に近い1つのナイフを含むことが求められる。通常のナイフと氷用ナイフ100の両方に同じステムを使用することは、同じプラスチック用金型を両方のナイフのために使用できるので、コストを低減する。最後に、ブレード110、120を、下側部分101によって接続された単一部品として形成することにより、ナイフ100の金属部分を、例えば打ち抜きによって単一部品である金属シートから形成することが可能になり、したがって、製造が簡略化される。曲げ部は、金属シートを所望の大きさに曲げることによって形成することができる。
【0055】
少なくとも2つのブレード110および120を設けることで、ナイフ100を対称にバランスさせる。これは、重心のバランスをとるという意味でバランスをとることだけでなく、ナイフ100によって処理される食品の力のバランスをとることも指す。これは、ナイフの重心のバランスをとることができるが、ナイフによって加工される食品によってそのナイフに作用する力のバランスをとることはない、ブレードのバランスを取るための釣り合い錘とともに単一のブレードが用いられる従来技術において見られる状況とは異なる。複数のブレード110、120は、また、ナイフ100の作業速度を速くさせる。2つのブレード110、120が開示されているが、ブレードの数は3つ以上であってもよい。
【0056】
傾斜部分114および124は、同じ金型を使用して、氷を破砕するナイフ100と追加の通常のチョッパーナイフ(図示せず)のためのプラスチックステム130を作製することを可能にするという目的を有する。通常のナイフの場合、その両方のブレードは、異なる高さにある必要がある。したがって、ブレード110および120は、同じステム用金型の使用を可能にするために、(例えば、ハブに対する傾斜部分114および124の角度が異なることがある)対応する通常のナイフの形状を複写する。両方のブレード110および120は、好ましくはプラスチックによって少なくとも部分的にオーバーモールド成形される。
【0057】
ブレード110、120は、好ましくはステンレス鋼などの食品に使っても安全な金属材料から作製される。ブレード110、120は、製造を簡単にするために一体的に形成されてもよい。ステム130は、好ましくは、例えばPOM、PA6またはその他のPAタイプ、あるいはHDPEなどの、食品に使っても安全な(例えばBPAを含まない)プラスチックから作製される。ステム131は、好ましくは、ツール組立品の手動操作を可能にするために、頂部に形成されたグリップを有する。あるいは、プラスチックで金属をオーバーモールドする代わりに、ツール100はブレード110、120と同じ材料で作られた単一部品の金属構造物であってもよい。
【0058】
下側部分101と傾斜部分114および124との間の曲げ角度(b)は約30°から90°までの間であるが、好ましくは、(特に、オーバーモールディングによって覆われず、したがって、金型によって支持され、食品に直接作用しないような任意の角度である)約35°から56°までの間である。例えば、使用され得る角度の例を示す
図3に示されるように、下側部分101と傾斜部分114との間の角度(b
1)は47.73度であってよく、一方、角度(b
2)は55.8度であってよい。より小さい角度、特に35°より小さい角度は、ブレードの大きな部分が低い高さのままであるので、望ましくない、より微細な処理結果物をもたらす。より大きい角度、特に60°よりもはるかに大きい角度は、ブレード110、120の剛性を低下させ、その結果、負荷を受けたブレード110、120の好ましくない変形をもたらし、使用中にプラスチックステム130の破損をもたらす可能性がある。より小さい曲げ角度を用いることは、周囲の剛性を大きくし、これは特に先行技術と比較して、より堅牢な構造をもたらす。
【0059】
両方のブレード110および120はそれぞれ傾斜した先端部分113、123を有し、これらは角度(c)および(d)だけ平坦な主要部分110および120に向かって曲げられている。両方の角度(c)および(d)はおよそ10°と55°の間であり、好ましくは約40°±5°である。例えば、
図3に示すように、(c)は37.9度であり、(d)は40.3度である。傾斜した先端部分113、123は、それらが壁に対して非直角であり、ブレード100と壁との間に捕捉された材料を隙間から押し出すように作用するため、食品がブレード100と容器の壁との間に詰まる危険性をさらに低減する。
【0060】
両方の先端部分113および123は異なる長さであり、容器底部の上の最外点が異なる高さにあるが、同様な外径を有する(ステム130から、同様なまたは実質的に同じ径方向距離だけ延びている)。同様な外径は、バランスのとれたナイフ(すなわち、振動を回避するために質量中心が実質的にブレード100の回転中心軸上に位置するナイフ)を実現するために必要であり、一方、先端部分113および123の2つの異なる長さ(結果として2つの異なる先端高さ)はボウルの外側に2つの異なる切断面を形成し、処理される材料の大部分は、使用中に蓄積する。これにより、同様の長さを有する2つの先端部分113、123と比較して、処理結果の均一性が向上し、処理時間が短縮される。
【0061】
より短い先端部分123は主要部分122に隣接し、より長い先端部分113は主要部分112に隣接する。回転軸は、これを補償するために、下側部分101の重心に対してずらされ、その結果、ナイフ100の重心は、全体として、実質的に回転軸上に位置する。これは、さらに、2つの主要部分112および123がほぼ同じ長さであることをもたらし、したがって、製造を簡略化する。
【0062】
図4に示されるように、プラスチックステム130の底部の上のブレードの主要部分112および122の高さの大部分は、下側部分(またはハブ)101の上の主要部分112および122の高さ(f)からなる。この高さ(f)は、好ましくは約12mmである。また、ブレード組立品(g)の厚さが約1mmであると示されている。
【0063】
本明細書で使用される用語「尖っていない」または「鈍い」は、ブレード100の手動での取り付けおよび取り外しの間に、通常の状況で人間の皮膚を切断することができない十分な鈍さの前縁を有するブレードを指す。これはまた、ブレード100の取り付けおよび取り外しの間に、ユーザが安全であることを確実にする。「尖っていない」ブレードはまた、いかなる鋸歯状部も全く備えていない。
【0064】
ブレードの鈍さは、ブレードの前縁の形状からもたらされる。鈍い前縁の様々な例が
図5a~5fに示されている。例えば、
図5aのように丸くなった前縁111a、
図5bのように四角い前縁111b、
図5cのように90度未満の角が形成されないように面取りされた輪郭111c1によってブレードの水平な上面および下面に接続された垂直な前縁111c、
図5dのように丸くなった輪郭111d1によってブレードの水平な上面および下面に接続された垂直な前縁111c、
図5eのようにブレードの主要部分111e1よりも広いハンマー状の前縁111e、または、
図5fのように狭い(しかし尖っていない)前縁111fを有していてよい。上記の前縁のうちの1つの特徴は、別の特徴と組み合わされてもよく、同様に鈍い前縁をもたらすことができ、例えば、
図5eのハンマー形状は、
図5dの丸くなった輪郭、または
図5aのような丸くなった前縁になってもよい。
【0065】
これらの前縁111a~111fにはそれぞれ利点がある。例えば、ナイフが前縁に向かって狭まり始めるだけの前縁(例えば
図5a~5dの前縁)は、製造が簡単である。
図5eのものは、一般的に薄いナイフとともに用いることができ、ブレードの運動量を大きくすることができる。
図5fのものは、氷の粒子の亀裂を強化するために、前縁のより狭いが尖っていない領域が望ましい場合に用いることができる。
【0066】
また、前縁111、121の平滑化は、例えば、それらを充填すること、それらを研磨すること、または、その他の方法で研磨を適用して、あらゆる鋭い縁部を除去することによって、鈍さを高めることができる。より一般的には、前縁111、121に形成される90度より小さい角度が存在しないことも、一般的には鈍さをもたらす。
【0067】
この構成のブレード111、121の前縁は、固い食品による損傷を防ぐために、鋭くする必要はない(すなわち尖っていなくてもよく鈍くてもよい)。これは、それらが鈍くなったときに交換される必要がないことを意味し、製造コストが低くなるため有利である。これは、損傷を受けにくく金属片が脱落しにくいことを意味する。ブレードが鈍い場合、性能は寿命全体にわたって一定であり、鋭いブレードは、固い食品での何らかの使用の後に性能が低下する。例えば、ブレード110、120は、追加の尖らせる工程またはレーザ切断を必要とすることなく、金属シートを単純に打ち抜くことによって製造することができる。
【0068】
図6および
図7は、本発明の他の実施形態による氷を破砕するインサート200を示している。
図6に示すように、この氷を破砕するインサート200は、平らで好ましくは円盤状の部分201と、柱状の部分202とを含む。柱状の部分202は平らな部分201を、氷を破砕するインサート200が内部に配置されている容器内の高さまで上昇させるためのプラットフォームとして機能し、平らな部分201は、所望の最大粒径の平らな部分201の上で処理されている破砕した氷が平らな部分内の開口203を通ってその下の領域に落ちてそれ以上処理されないように、容器を2つの区画に分割するように機能する。
【0069】
開口203は、所定の粒径になるように破砕された氷が通過して落ちることができるような寸法にされている。好ましくは、この寸法はおよそ2~6mmの範囲である。したがって、「雪」になるまでの氷の過剰な処理が回避される。開口203は、好ましくは氷用ナイフ(前述した氷用ナイフ100であってよい)の回転軸と同心に配置される。したがって、開口203は、氷用ナイフの回転方向に沿って延び、氷用ナイフによって破砕された氷の破片が、実質的にこの方向に沿って、またはそれに対する接線にて突出するので、氷用ナイフによって破砕された氷が開口203を通過するのを容易にする。開口203を同心に配置することも、平らな部分203の円盤形状と同様に、開口の全てが、ブレードが軸方向に延びる方向に沿うように設けられるという利点を有する。しかしながら、孔と、半径方向に延びるスリットと、四角形の格子などを含む、開口203のためのその他の形状が用いられてもよい。
【0070】
氷用ナイフ100とともに使用される場合、インサート200はブレードの下の収集空間をさらに広げ、一回の操作でより大量の氷を処理することを可能にする。
【0071】
平らな部分201は、その周辺部205の周りにノッチ206を画定する。これらのノッチ206は、氷を破砕するインサート200が内部に設けられている容器のリブまたはそれと同様の輪郭を受け入れ、氷を破砕するインサート200が回転するのを防ぎ、容器内にそれをしっかりと配置するように設けられる。周辺部205は、平らな部分203の中央に面する、開口していないわずかな傾斜を形成して、平らな部分203の、開口している平らな内側セグメントに向かって氷を促進することができる。
【0072】
平らな部分201の実質的に平坦な平面形状は、それが内部に配置された容器を2つの区画に効率的に分割する。それはまた、平らでない形状の部材よりも容易に製造される。それに加えて、スペースが節約される。さらに、平らな部分201は、それとともに用いられる氷用ナイフの下にのみ延びているので、氷はナイフによってそれに対して直ぐ横向きに突出せず、その代わりに、最初に速度が損失する距離だけ落ちる傾向があり、そのようにすることで、より小さい力で平らな部分201に衝突し、それにより過剰な処理を回避するのに役立つ。
【0073】
柱状の部分202と平らな部分201とを分離可能にすることにより、省スペース化をさらに促進することができる。この場合、複数の平らな部分201は、異なる寸法および/または異なる形状の開口を備えることができる。
【0074】
開口203は、下方に(すなわち、開口の最も狭い幅を横切って)真っ直ぐにのみ導かれ、横方向には導かれないので、開口を通る氷の通過はより円滑であり、氷が固着しにくくなる。軸受204が柱状の部分202または平らな部分201のいずれかに設けられてよい。
【0075】
開口した軸受シート204が、平らな部分203の中央に設けられる。ナイフはここに着座し、シート204の開口を通って延びて、柱状の部材202内の駆動シャフトまたはギアに連結することによって回転駆動を受ける。あるいは、柱状の部材202が平らな部分203を通って延びてもよく、その上端にシート204を有してもよい。
【0076】
柱状の部材204は、その下端に向かって広げられて、落下する氷片を、それが内部で用いられる容器との間の合流点から離れるように方向付ける。このように広げられることで、下方に落下する氷片が、柱状の部材204から離れるように横方向に逸れる。
【0077】
氷を破砕するインサート200は、好ましくは、例えばPOM、HDPE、PA6またはその他のPAタイプなどの、食品に用いても安全な(例えばBPAを含まない)プラスチックから作製される。軸受シート204は、摩耗を低減するために、テフロン(登録商標)などの低摩擦材を特徴としていてもよい。ワッシャやoリング等のシール部材を軸受シート204に設けて、氷用ナイフに対してシールすることによって、氷用ナイフが軸受シートに取り付けられたときに、軸受シート204の開口内への水/食品の進入を防止してもよい。
【0078】
インサート200および氷用ナイフ100の両方は、好ましくは食器洗浄機において安全である。このことは、食器洗浄機内で分解しない材料を含む(例えば、20℃~80℃の範囲の温度で水または標準的な食器洗浄機用洗剤に曝された場合に、1~8年間の製品寿命にわたって、20℃~80℃の温度範囲内で、人の眼に目立つ程度まで分解されるか、または化学的に変化するプラスチックを含まない)ことを意味する。また、食器洗浄中に乾燥する可能性のある潤滑油は避けるべきであることも意味する。
【0079】
氷用ナイフ100および氷を破砕するインサート200を組み込んだ食品加工装置300の例示的な実施形態を
図8に示す。食品加工装置300は、食品加工装置300が自由に立つ基部301を有する。基部301はフードプロセッサモータの基部などの装置に取り付け可能であってよく、その結果、ナイフ100は、歯車装置(図示せず)によってナイフ100に接続される軸受306を介して接続することによって、フードプロセッサモータの基部などの装置から駆動力を受けることができる。基部301は、開口した蓋303によって囲まれた容器302を支持する。蓋303は、ハンドブレンダーまたはハンドミキサーのいずれかのモータユニットを受け入れることができるモータユニットシート304を支持し、ナイフ100は、シート304内に位置する歯車装置305を介してモータユニットから駆動力を受けることができ、次いで、歯車装置(図示せず)を介在させることによってナイフ100に接続される。
【0080】
容器302は、氷を破砕するインサート200の平らな部分201を配置するために、その内面から延びる、垂直方向に延びるリブ307を有する。また、柱状の部分202は、それに適合する突起/くぼみまたはその他の固定手段によって固定される。したがって、氷を破砕するインサート200は、装置300内にしっかりと配置される。リブ307はまた、内面から離れてナイフ100に向かって食品を移動させるのを助ける。
【0081】
図9は、インサート200およびナイフ100を含む装置300が配置されているフードプロセッサの基部400の非常に簡略化された概略図を示す。氷用ナイフ100は、駆動シャフト402を介して、基部400内に配置されたモータ401から駆動力を受け、駆動シャフト402は、基部400上に全体的に設けられてもよく、または部分的にのみ設けられて、残りの部分は装置300上に設けられ、取り外し可能なアタッチメントで基部400上の駆動シャフト402に取り付けられてもよい。基部400はまた、プロセッサ、メモリー、wifiモジュールなどの無線/有線の電子通信手段、タッチスクリーンディスプレイおよび/または物理的な制御ノブ/スイッチなどのユーザインターフェース手段を含む制御モジュール403を有する。制御モジュール403は、モータ速度およびトルクを検出するためのホールセンサなどのセンサからの電子的な命令および電子的なフィードバックの両方を、モータ401と送受信できるように、電子通信、好ましくは双方向通信できる。モータ401の速度は、ユーザインターフェースに命令を直接入力すること、または基部400と無線で電子通信するモバイル装置(図示せず)を間接的に用いることによって、制御モジュール403を用いてユーザにより制御される。ユーザへのフィードバックは、制御モジュール403によって、視覚的に、聴覚的に、または振動によって直接的に、あるいはモバイル装置を介して間接的に、同じように提供されてもよい。
【0082】
完成した組立体400、300、200、100は、好ましくは、それらに関連するツール認識手段を有する。例えば、制御モジュール403は、装置300および/または蓋303および/または氷を破砕するインサート200および/または氷用ナイフ100が存在するか存在しないかを検出可能であるべきである。これは、制御モジュール403が、検出されるべき部材に関連するRFIDチップを検出するRFIDモジュール、NFCモジュール、誘導ループ構成、磁石/リードスイッチ構成、(バネで負荷されているかまたはその他の)対応するプッシュロッドまたは検出されるべき部材のその他の突出部によって押し下げられるマイクロスイッチ、またはその他の有無検出手段を備えることによって実現されてよい。
【0083】
制御モジュール403は、モータ401の起動を制限および/または防止することによって、前述した有無検出の結果に応答してよい。例えば、装置300および/または蓋303および/または氷を破砕するインサート200および/または氷用ナイフ100のいずれかまたは全てが存在しない場合に、制御モジュール403の運転を防止すると、それにより安全性が高まり、無意味な動作が回避される。制御モジュール403はまた、どの部品が欠落しているかと、それをどのように取り付けるかとを示す警告をユーザに表示してもよい。制御ユニット403はまた、氷を破砕するのに適したナイフ100の回転速度、例えば、1000RPMから5000RPMまでの範囲に対応するように、モータの速度を制限してもよい。
【0084】
その代わりに、またはそれに追加して、制御モジュール403は、装置300および/または蓋303および/または氷を破砕するインサート200および/または氷用ナイフ100のいずれかまたは全てが存在することを検出したことに応答して、「氷破砕モード」に入ってもよい。制御モジュール403によって、タッチスクリーンを介して直接的に、または「氷破砕モード」に入ることに応答するモバイル装置を介して間接的に表示されるユーザインターフェースの一例が、
図10に示されている。制御モジュール403は、Yes/Noダイアログ403aを介してユーザのフィードバックを依頼することにより、「氷破砕モード」が望ましいことの確認を求めてよい。氷の破砕に適した選択可能な速度または速度範囲が、スライドバー403b(またはダイヤル、数値入力、またはその他の入力)を介してユーザに示されてよい。例えば、速度範囲は、1000RPMから5000RPMに及んでもよく、混合または細断などの他の食品加工動作のために表示されるものと異なってもよい。その代わりに、またはそれに追加して、スライドバー403b(または追加のスライドバーまたはその他の入力)を用いて、「粗い」、「細かい」などの一般的な選択肢を表示すること、またはmm単位またはその他の適切な単位で寸法を表示することによって、氷の所望の平均粒径を選択してもよい。一方、「破砕された氷モード」においては、提案されるレシピのダイアログ403cが、速度、粒径、または一般的に破砕された氷に関してユーザの選択に対応する作製可能なレシピを、そのレシピに従って準備された完成食品の写真を伴って提案してよい。レシピは、モジュール403のメモリーの内部に記憶されるか、またはユーザの入力と(前述した部材の有無の状態を含む)機械の状態とを示すモジュール403からの遠隔操作に応答して外部のサーバから提供され得る。予め選択されたユーザの好みは、表示されるレシピを決定する際に用いられてもよい。例えば、以前のユーザの入力が、ユーザがアルコールを消費しなかったことを示した場合、またはアルコールの消費が違法であった国に位置していた場合には、非アルコールのレシピのみが表示される。
【0085】
図9と同様に、
図11もまた、クリップ、ビス/ねじ、またはその他の適切な取り外し可能な取り付け手段によってモータユニットシート304に取り外し可能に取り付けられたハンドブレンダーモータユニット500の概略的で非常に簡略化された例示的な実施形態を示している。モータユニット500は、駆動シャフト/歯車装置502によってナイフ100に回転駆動を与えるように接続されたモータ501を有し、これは、シャフト402と同様に、モータユニット500上に全体的に設けられてもまたは部分的にのみ設けられてもよく、ナイフ100の底部または頂部のいずれかに接続されてよい。モータユニット500はまた、制御ユニット403に関連して前述した全ての機能を実行できる制御モジュール503を有する。
【0086】
氷用ナイフ100および氷を破砕するインサート200は、装置300において一緒に用いられるように示されているが、それらを一緒に用いる必要はない。インサート200は、任意の氷用ナイフとともに用いることができる。氷用ナイフ100はインサート200なしで用いてもよく、容器302の底部の近くに配置してよい。
【0087】
図12aおよび12bは、前述した氷用ナイフ100と交換可能に使用可能なチョッパー500を示す。チョッパー500は、チョッパー500が内部に配置される容器の底部付近に食品材料を細断するための下側ブレード501を有する。上側ブレード502が、チョッパー500の回転軸に沿って異なる位置において延びるように設けられ、容器内のより高い位置の食品を細断して、下側ブレード501によって細断される食品にする。両方のブレード501および502は、回転軸から離れるように延びている。氷用ナイフのステム130と同様な、またはそれと同じステム503が、ブレード501および502の周りに、好ましくはオーバーモールディングによって設けられ、回転軸上で駆動シャフトを保護する。ステム503は、氷用ナイフ100を有するステム130と同様に、内部の適切な突起またはねじ山を用いてチョッパー500を駆動シャフトに取り付けることを可能にする。ステム503は、安価で容易に形成されるので、プラスチック、好ましくは射出成形されたプラスチックで作られ、好ましくは食品に用いても安全で食器洗浄機において安全なプラスチックで作られる。
【0088】
下側ブレード501がステム503から離れて延びる起点は、氷用ナイフ100のブレード120の起点と同じであるので、同じ金型を使用して、チョッパー500のステム503と氷用ナイフ100のステム130とを作製できる。しかしながら、下側ブレード501が回転軸から半径方向に真っ直ぐ離れるように(すなわち、側面図に見られるように直線状に)延びているので、下側ブレード501が内部で用いられる容器の底部に近い材料を切断することができ、一方、氷用ナイフ100の軸方向に上昇したブレード120は底部から十分な距離だけ離れることによって「雪」の生成を回避する。
【0089】
ユーザによるチョッパー500の操作を容易にするために、フィンガーグリップ504がステム503の頂部に設けられている。グリップ503はまた、氷用ナイフ100のグリップ131を作製するために使用されるものと同じ金型を使用して作製されてもよく、それぞれのステム503/130と一体的に同じように形成されてもよい。
【0090】
チョッパー500のブレード501および502は、細断性能を向上させるために、回転方向から実質的に離れるように湾曲していてよい。それらは、好ましくは鋭くされ、それらが接触する材料を切断することができる鋭い縁部を形成する。このように鋭くすることは、ブレード501および502の各々をその前縁上の点に移動させることによって実現される。この点は、鋭角の角度だけ、好ましくは45度以下の角度だけ分離された2つの傾斜面の間の頂点であってよい。下側ブレード501の傾斜部は好ましくは上側ブレード502の傾斜部に向かい合い、食品材料を互いに向かうように付勢する。ブレード501および502は、好ましくはステンレス鋼で形成され、氷用ナイフ100のブレードと同様にハブ506によって相互に接続することができる。
【0091】
本明細書で説明する電子通信は、サーバ、ルータ、基地局、モバイル装置、アンテナ、プロセッサ、電子メモリー、パケットスイッチャー、ワイヤ、ケーブル(例えば光ファイバ)およびその他の電子通信手段が介在しても介在しなくてもよく、有線送信と無線送信の両方を包含する。
【0092】
本明細書で用いられる「氷」という用語は、同様の(例えば±30%以下の)硬度または密度を有する任意の他の食品材料と置き換えることができる。例えば、ピーナッツなどのナッツを加工することができる。
【0093】
本発明は、純粋に一例として前述されており、本発明の範囲内で細部の変更が可能であることが理解されるであろう。
【0094】
明細書と(適切な)特許請求の範囲および図面に開示されている各々の特徴は、独立して、または任意の適切な組み合わせで提供され得る。
【0095】
特許請求の範囲に示されている参照数字は、例示のためだけのものであり、特許請求の範囲を限定する効果を有するものではない。
【国際調査報告】