IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノシス・インク.の特許一覧 ▶ 昭栄化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図1
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図2
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図3
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図4
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図5
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図6
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図7
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図8
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図9
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図10
  • 特表-有機輸送層を持つ電界発光デバイス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】有機輸送層を持つ電界発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/115 20230101AFI20231206BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20231206BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20231206BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231206BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20231206BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20231206BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H10K50/115
H10K50/15
H10K50/16
H10K59/10
H10K59/35
H10K71/12
H05B33/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524117
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021055978
(87)【国際公開番号】W WO2022087220
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/104,128
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】505082822
【氏名又は名称】ナノシス・インク.
【住所又は居所原語表記】233 S.Hillview Drive Milpitas,CA 95035 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】キム,ダエキョン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ルイシン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA05
3K107AA06
3K107BB01
3K107BB06
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD57
3K107DD59
3K107FF11
3K107FF13
3K107FF15
3K107GG06
(57)【要約】
電界発光デバイスの実施形態が記載されている。電界発光デバイスは、基板と、基板上に配置される第1の電極と、第1の電極上に配置される第1の輸送層と、第1の輸送層上に配置される発光ナノ構造体を有する発光層と、有機層を有する第2の輸送層と、第2の輸送層上に配置される第2の電極とを含む。有機層の第1の部分は発光層上に配置され、有機層の第2の部分は第1の輸送層上に配置される。
【選択図】図1及び図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界発光デバイスであって、
基板と;
前記基板上に配置される第1の電極と;
前記第1の電極上に配置される第1の輸送層と;
前記第1の輸送層上に配置される発光ナノ構造体を含む発光層と;
有機層を含む第2の輸送層と;
前記第2の輸送層上に配置される第2の電極とを含み、
前記有機層の第1の部分が前記発光層上に配置され、前記有機層の第2の部分が前記第1の輸送層上に配置される、前記電界発光デバイス。
【請求項2】
前記有機層の前記第2の部分が前記第1の輸送層と前記発光ナノ構造体との間のギャップ内に配置される、請求項1に記載の電界発光デバイス。
【請求項3】
前記有機層の有機材料が極性有機溶媒に可溶性である、請求項1~2のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項4】
前記有機層の有機材料がアルコール、アセトン、またはアセトニトリルに可溶性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項5】
前記有機層が2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を持つ有機材料を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項6】
前記有機層が(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、または2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項7】
前記電界発光デバイスのターンオン電圧が約0.7V~約1Vの間の範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項8】
前記発光ナノ構造体がリン化インジウム(InP)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項9】
前記発光ナノ構造体が可視スペクトルにて発光するように構成された量子ドットを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項10】
前記発光ナノ構造体が、赤色光を発するように構成された量子ドットの第1の集団と、緑色光を発するように構成された量子ドットの第2の集団とを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項11】
前記第1の輸送層が正孔輸送層であり、前記第2の輸送層が電子輸送層である、請求項1~10のいずれか1項に記載の電界発光デバイス。
【請求項12】
ディスプレイ装置であって、
ピクセルのアレイと;
ピクセルの前記アレイ上に配置されるディスプレイ画面とを含み、
ピクセルの前記アレイの各ピクセルは第1及び第2の電界発光デバイスを含み、
前記第1及び第2の電界発光デバイスのそれぞれは
正孔輸送層と;
前記正孔輸送層上に配置される発光ナノ構造体を含む発光層と;
有機層を含む電子輸送層とを含み、
前記有機層の第1の部分が前記発光層上に配置され、前記有機層の第2の部分が前記正孔輸送層上に配置され、
前記第1の電界発光デバイスの前記発光層が第1のピーク波長を有する第1の光を発するように構成され、
前記第2の電界発光デバイスの前記発光層が前記第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長を有する第2の光を発するように構成される、前記ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記有機層の前記第2の部分が隣接する発光ナノ構造体の間のギャップ内に配置される、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記有機層が無機材料を含まない、請求項12~13のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記有機層が2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を持つ有機材料を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記有機層が(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、または2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンを含む、請求項12~15のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
電界発光デバイスを製造する方法であって、前記方法が、
基板に陽極材料の層を提供することと;
陽極材料の前記層上に正孔輸送層を形成することと;
前記正孔輸送層上に量子ドットの層を形成することと;
溶解法を使用して量子ドットの前記層上に有機層を含む電子輸送層を形成することと;
前記電子輸送層上に陰極を形成することとを含む、前記方法。
【請求項18】
前記電子輸送層を形成することが、極性有機溶媒にて前記有機層の有機材料との溶液を調製することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電子輸送層を形成することが、2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を含む有機材料との溶液を調製することを含む、請求項17~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ハイブリッド輸送層を形成することが、3つのホスホン酸オキシド官能基(P=O)を有する(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンとの溶液を調製することを含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ナノ構造に基づく(NSに基づく)発光層を有する電界発光デバイス(例えば、発光ダイオード(LED))に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光デバイスはディスプレイ(例えば、電話、タブレット、モニター、テレビ、またはデジタル広告板)及び医学的応用(例えば、光医学)にて光源として使用される。電界発光デバイスは一対の輸送層と輸送層間に差し挟まれる発光層とを有することができる。操作中、輸送層と発光層の積み重ねを横切って電圧が印加されると輸送層の一方を介して光が放射され得る。発光層にて電子と正孔が再結合して光子を放出するので電圧が印加されると光を生じることができる。電子と正孔は輸送層に配置された電極から発光層に注入することができる。発光層は発光有機フィルムまたは発光NS(例えば、発光量子ドット(QD))を含むことができる。発光有機フィルムに基づく発光層を持つ電界発光デバイスはOLEDと呼ばれ、発光NSに基づく発光層を持つ電界発光デバイスはQDLEDと呼ばれ得る。
【0003】
QDLEDの難題の1つは、例えば、デバイス効率を改善することができる、低いターンオン電圧(例えば、約1V未満のターンオン電圧)でQDLEDを製造することである。別の難題は大量生産の容易さのために単純な加工技術によって少ないコストにて高い外部量子効率(例えば、約16%を超えるEQE)を持つQDLEDを製造することである。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ターンオン電圧が低く(例えば、約1V未満のターンオン電圧)且つEQEが高い(例えば、約16%を超えるEQE)例示的な安価なQDLEDを提供する。本開示はまた、それを製造する例示的な安価な方法も提供する。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、電界発光デバイスは、ピクセルのアレイと、第1の電極上に配置される第1の輸送層と、第1の輸送層上に配置される発光ナノ構造体を有する発光層と、有機層を有する第2の輸送層と、第2の輸送層上に配置される第2の電極とを含む。有機層の第1の部分は発光層上に配置され、有機層の第2の部分は第1の輸送層上に配置される。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、有機層の第2の部分は第1の輸送層と発光ナノ構造体との間のギャップ内に配置される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、有機層の有機材料は極性有機溶媒に可溶性である。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、有機層の有機材料はアルコール、アセトンまたはアセトニトリルに可溶性である。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、有機層は2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を持つ有機材料を含む。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、有機層は(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、または2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、電界発光デバイスのターンオン電圧は約0.7V~約1Vの間の範囲である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、発光ナノ構造体はリン化インジウム(InP)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、発光ナノ構造体は可視スペクトルにて発光するように構成される量子ドットを含む。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、発光ナノ構造体は赤色光を発するように構成される量子ドットの第1の集団と、緑色光を発するように構成される量子ドットの第2の集団とを含む。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、第1の輸送層は正孔輸送層であり、第2の輸送層は電子輸送層である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、ディスプレイ装置はピクセルのアレイとピクセルのアレイ上に配置されるディスプレイ画面とを含む。ピクセルのアレイの各ピクセルは第1と第2の電界発光デバイスを含む。第1と第2の電界発光デバイスのそれぞれは正孔輸送層と、正孔輸送層上に配置される発光ナノ構造体を有する発光層と、有機層を有する電子輸送層とを含む。第1の電界発光デバイスの発光層は第1のピーク波長を有する第1の光を発するように構成される。第2の電界発光デバイスの発光層は第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長を有する第2の光を発するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、有機層の第2の部分は隣接する発光ナノ構造体との間のギャップ内に配置される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、有機層は無機材料を含まない。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、有機層は2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を持つ有機材料を含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、有機層は(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、または2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンを含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、電界発光デバイスを製造する方法は、基板に陽極材料の層を提供することと、陽極材料の層上に正孔輸送層を形成することと、正孔輸送層上に量子ドットの層を形成することと、溶解法を使用して量子ドットの層上に有機層を有する電子輸送層を形成することと、電子輸送層上に陰極を形成することとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、電子輸送層を形成することは極性有機溶媒にて有機層の有機材料との溶液を調製することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、電子輸送層を形成することは2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を有する有機材料との溶液を調製することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、ハイブリッド輸送層を形成することは3つのホスホン酸オキシド官能基(P=O)を有する(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジンとの溶液を調製することを含む。
【0025】
本発明のさらなる特徴及び利点、と同様に本発明の種々の実施形態の構造と操作は添付の図面を参照して以下に詳述されている。本発明は本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されないことが言及される。そのような実施形態は説明目的のみのために本明細書にて提示される。追加の実施形態は本明細書に含有される教示に基づいて関連技術分野(複数可)の当業者に明らかであろう。
【0026】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は説明と一緒に本明細書に開示されている本実施形態を説明し、さらに本実施形態の原理を説明するのに役立ち、且つ関連技術分野(複数可)の当業者が本実施形態を行い、使用するのを可能するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ下部で発光する電界発光デバイスの断面模式図を示す。
図2】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ下部で発光する電界発光デバイスの断面模式図を示す。
図3】いくつかの実施形態に係る、電界発光デバイスの発光層及び輸送層の断面模式図を示す。
図4】いくつかの実施形態に係る、電界発光デバイスの発光層及び輸送層の断面模式図を示す。
図5】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ電界発光デバイスの特徴を説明する図である。
図6】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ電界発光デバイスの特徴を説明する図である。
図7】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ電界発光デバイスの特徴を説明する図である。
図8】いくつかの実施形態に係る、有機輸送層を持つ電界発光デバイスを製造する方法のフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態に係る、発光ダイオード(LED)ディスプレイ装置の分解断面図である。
図10】いくつかの実施形態に係る、LEDディスプレイ装置のピクセルの断面図である。
図11】いくつかの実施形態に係る、ナノ構造(NS)の断面模式図である。
【0028】
本発明の特徴及び利点は、同様の参照文字が全体を通して対応する要素を特定する図面と併せて以下に示されている詳細な説明からさらに明らかになるであろう。図面では、同様の参照番号は特に言及されない限り、同一の、機能的に類似する及び/または構造的に類似する要素を示す。要素が最初に現れる図面は対応する参照番号にて最も左の数字(複数可)によって示される。特に指示されない限り、本開示の全体を通して提供されている図面は縮尺どおりの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特定の構成及び配置が議論されてもよいが、これは説明目的のみのために行われることが理解されるべきである。関連技術分野の当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の構成及び配置が使用され得ることを理解するであろう。関連技術分野の当業者には、本発明が本明細書で具体的に言及されているものを超えて種々の他の応用でも採用され得ることが明らかであろう。本明細書に示され、記載されている特定の実施は例示であり、どんな方法でも出願の範囲をそれ以外で限定するようには意図されないことが理解されるべきである。
【0030】
「一実施形態」、「1つの実施形態」、「例示的な実施形態」、などに対する本明細書における言及は記載される実施形態が特定の特徴、構造または特性を含んでもよいが、あらゆる実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含まなくてもよいことが知られている。さらにそのような表現は必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性が1つの実施形態と関連して記載されている場合、明白に記載されていようといまいと、他の実施形態と関連してそのような特徴、構造または特性を達成することは当業者の知識の範囲内にあることになっている。
【0031】
材料の量、材料の比、材料の物性及び/または使用を示す本説明における番号はすべて、そうでなければ明白に示されるときを除いて、「約」という単語によって修飾されると理解されるべきである。
【0032】
実施形態では、「ディスプレイ装置」という用語はディスプレイ画面上でのデータの可視表現を可能にする要素の配置を指す。好適なディスプレイ画面は、平坦な、湾曲したまたはそうでなければ成形した画面、フィルム、シート、または情報をユーザーに視覚的に表示するための他の構造体を含むことができる。本明細書に記載されているディスプレイ装置は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビ、コンピューター、モニター、携帯電話、スマートホン、携帯情報端末(PDA)、ゲーム装置、電子図書装置、デジタルカメラ、タブレット、身体装着装置、カーナビシステム、電子看板、拡張現実、仮想現実、などを包含するディスプレイシステムに含まれ得る。
【0033】
本明細書で使用されるとき「約」という用語は値の±10%による所与の量変化の値を示す。例えば、「約100nm」は90nm~110nmを含むサイズの範囲を包含する。
【0034】
本明細書で使用されるとき「実質的に」という用語は値の±1%~±5%による所与の量変化の値を示す。
【0035】
実施形態では、「光学的に連結される」という用語は、実質的な妨害なしで光が1つの成分から別の成分まで通過することができるように成分が配置されることを意味する。
【0036】
本明細書で使用されるとき「ナノ構造体」という用語は約500nm未満の寸法を持つ少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する構造を指す。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、または約10nm未満の寸法を有する。通常、領域または特徴的な寸法は構造体の最小軸に沿っているであろう。そのような構造体の例には、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ構造体、ナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、QD、ナノ粒子、などが挙げられる。ナノ構造体は、例えば、実質的に結晶体、実質的に単結晶体、多結晶体、非晶質、またはそれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の3つの寸法のそれぞれは、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、または約10nm未満の寸法を有する。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「QD」または「ナノ結晶」という用語は実質的に単結晶体であるナノ構造体を指す。ナノ結晶は、約500nm未満及び約1nm未満の桁まで至る寸法を持つ少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する。「ナノ結晶」、「QD」、「ナノドット」及び「ドット」という用語は同様の構造を表し、本明細書では相互交換可能に使用されると当業者によって容易に理解される。本発明はまた、多結晶または非晶質のナノ結晶の使用も包含する。
【0038】
ナノ構造を参照して使用されるとき、「ヘテロ構造」という用語は2つの異なる及び/または区別できる材料型を特徴とするナノ構造を指す。通常、ナノ構造の1つの領域は第1の材料型を含む一方で、ナノ構造の第2の領域は第2の材料型を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は第1の材料のコアと、第2(または第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを含み、その際、異なる材料型は、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐ナノワイヤのアームの長軸、またはナノ結晶の中心の周りで放射状に分布する。シェルは、シェルと見なされる、またはヘテロ構造と見なされるナノ構造のための隣接する材料を覆うことができるが、完全で覆う必要はなく;例えば、第2の材料の小さな島で覆われた1つの材料のコアを特徴とするナノ結晶はヘテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料型はナノ構造内の異なる位置で、例えば、ナノワイヤの主(長)軸に沿ってまたは分岐ナノワイヤのアームの長軸に沿って分布する。ヘテロ構造内の異なる領域は完全に異なる材料を含むことができ、または異なる領域は異なるドーパントまたは同じドーパントの異なる濃度を有する基材(例えば、シリコン)を含むことができる。
【0039】
本明細書で使用されるとき、ナノ構造体の「直径」という用語はナノ構造体の第1の軸に垂直である断面の直径を指し、その際、第1の軸は第2及び第3の軸に関して長さで最大の差異を有する(第2及び第3の軸はその長さが互いにほぼ同等である2つの軸である)。第1の軸は必ずしもナノ構造体の最長軸ではない;例えば、ディスク型のナノ構造体については、断面はディスクの短い縦方向軸に垂直である実質的に円形の断面である。断面が円形でない場合、直径はその断面の長軸と短軸の平均である。ナノワイヤのような細長いまたはアスペクト比が高いナノ構造体については、直径はナノワイヤの最長軸に垂直の断面を横切って測定される。球状のナノ構造体については、直径は球体の中心を通って一面から他面までで測定される。
【0040】
ナノ構造体に関して使用されるとき「結晶性の」または「実質的に結晶性の」という用語はナノ構造体が通常、構造体の2以上の寸法を横切る長期間の秩序化を示すという事実を指す。「長期間の秩序化」という用語は、単一の結晶のための秩序化は結晶の境界を超えて拡張することができないので特定のナノ構造体の絶対的なサイズに依存することが当業者によって理解されるであろう。この場合、「長期間の秩序化」はナノ構造体の寸法の少なくとも大半にわたる実質的な秩序を意味するであろう。場合によっては、ナノ構造体は酸化物もしくは他のコーティングを担うことができ、またはコアと少なくとも1つのシェルとで構成され得る。そのような場合、酸化物、シェル(複数可)、または他のコーティングはそのような秩序化を示すことができるが、示す必要はない(例えば、それは非晶質、多結晶性またはそれ以外であることができる)。そのような場合、「結晶性の」、「実質的に結晶性の」、「実質的に単結晶性の」、または「単結晶性の」という表現はナノ構造体の中心コア(コーティング層またはシェルを除外する)を指す。「結晶性の」または「実質的に結晶性の」という用語は本明細書で使用されるとき、構造体が実質的な長期間の秩序化(例えば、ナノ構造体またはそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を示す限り、種々の欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む構造体を包含することも意図される。加えて、ナノ構造体のコアと外側の間またはコアと隣接コアの間またはシェルと第2の隣接シェルの間の界面は非結晶性領域を含有することができ、または非晶質であることさえできることが理解されるであろう。このことはナノ構造体が本明細書で定義されるように結晶性であることまたは実質的に結晶性であることを妨げない。
【0041】
ナノ構造体に関して使用されるとき「単結晶性の」という用語はナノ構造体が実質的に結晶性であり、単一の結晶を実質的に含むことを示す。コアと少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造のヘテロ構造体に関して使用されるとき、「単結晶性の」はコアが実質的に結晶性であり、且つ単一の結晶を実質的に含むことを示す。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「リガンド」という用語は、例えば、ナノ構造体の表面との共有結合、イオン結合、ファンデルワールスまたは他の分子の相互作用を介してナノ構造体の1以上の面と相互作用する(弱くても強くても)ことができる分子を指す。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「量子収率」(QY)という用語は、放たれた光子の、例えば、ナノ構造体またはナノ構造体の集団によって吸収された光子に対する比率を指す。当該技術分野で知られているように、量子収率は通常、既知の量子収率値を持つよく特徴付けられた標準試料を使用する比較法によって決定される。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「一次発光ピーク波長」という用語は発光スペクトルが最高の強度を示す波長を指す。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「半値全幅」(FWHM)という用語はスペクトル幅の測定基準を指す。発光スペクトルの場合、FWHMはピーク強度値の半分での発光スペクトルの幅を指すことができる。
【0046】
本明細書で使用される「Forster半径」という用語は当該技術分野でForster距離とも呼ばれる。
【0047】
「ナノ構造(NS)フィルム」という用語は発光ナノ構造を有するフィルムを指すのに本明細書で使用される。
【0048】
「赤色波長領域」という用語はいくつかの実施形態に従って、約620nm~約750nmに及ぶ波長を含むことができる可視スペクトルの波長領域を指すのに本明細書で使用される。
【0049】
「緑色波長領域」という用語はいくつかの実施形態に従って、約495nm~約570nmに及ぶ波長を含むことができる可視スペクトルの波長領域を指すのに本明細書で使用される。
【0050】
「青色波長領域」という用語はいくつかの実施形態に従って、約435nm~約495nmに及ぶ波長を含むことができる可視スペクトルの波長領域を指すのに本明細書で使用される。
【0051】
本明細書で参照されている公開された特許、特許出願、ウェブサイト、会社名、及び科学文献は、それぞれが具体的に且つ個々に参照によって組み込まれるように指示されたかのような同じ程度にその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書で引用された参考文献と本明細書の具体的な教示との間での矛盾は後者を支持して解決されるべきである。同様に、単語または語句の当該技術分野で理解されている定義と本明細書で具体的に教示されたときの単語または語句の定義との間での矛盾は後者を支持して解決されるべきである。
【0052】
本明細書で使用されている専門用語及び科学用語は特に定義されない限り、本出願が関係する当該技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の種々の方法論及び材料が参照される。
【0053】
ハイブリッド輸送層を持つ電界発光デバイスの例示的な実施形態
図1はいくつかの実施形態に係る下部で発光する電界発光デバイス100の断面模式図を説明している。いくつかの実施形態では、電界発光デバイス100をディスプレイ装置の光源として使用してディスプレイ装置にて画像を生成することができる。いくつかの実施形態では、電界発光デバイス100は低いターンオン電圧(例えば、約1V未満の電圧)にて且つ可視スペクトルにおける1以上の一次発光ピーク波長(例えば、約435nm~約750nmの範囲内での一次発光ピーク波長)にて光を発するように構成することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、電界発光デバイス100は基板102と基板上に配置されるデバイス積層103とを含むことができる。基板102はデバイス積層103を支えるように、且つ任意でデバイス積層103の制御操作のための制御回路(示さず)を支えるように構成することができる。いくつかの実施形態では、基板102は光101を実質的に吸収することなくデバイス積層103によって生成された光101が基板102を通って放射され得るように光学的に透明であることができる。デバイス積層103から放たれた光101はZ方向に向けて示す黒色の矢によって図1にて表されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、基板102は導電性材料を含むことができ、約10μm~約150μm(例えば、約10μm、約12μm、約25μm、約75μm、約100μm、約125μm、または約150μm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有する。いくつかの実施形態では、基板102の表面102sは光101を使用して生成される画像を表示する画面として役立つことができる。いくつかの実施形態では、基板102は電界発光デバイス100に環境保護を提供するための遮蔽層として役立つことができる。
【0056】
デバイス積層103は、いくつかの実施形態に従って、基板102上に配置される陽極104、陽極104上に配置される正孔注入層(HIL)108、HIL108上に配置される正孔輸送層(HTL)110、HTL110上に配置される発光層(EML)、EML114及びHTL110上に配置される有機電子輸送層(OETL)118、OETL118上に配置される電子注入層(EIL)120、及びEIL120上に配置される陰極122を含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス積層103はHIL108及びEIL120を含まずに陽極104上に配置されるHTL110とOETL118上に配置される陰極122とを含むことができる。
【0057】
電界発光デバイス100はEML114の組成に基づいて可視スペクトル(例えば、赤色、緑色または青色)にて光101を発するように構成することができる。EML114は発光NSの1以上の層、1以上の発光有機層、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、発光NSの1以上の層は、マトリックス材を含まずにHTL110上に配置される発光QD124の1以上の層を含むことができる。発光QD124のそれぞれは図11を参照して以下に記載されているようにNS1100に類似することができる。図1にはQD124の1つの層が示されているが、EML114はQD124の任意の数の層を有することができる。QD124は図1では類似の寸法を有すると示されているが、QD124は互いに異なる寸法を有することができる。さらに、QD124は図1では横列に並び、隣接するQD124と物理的に接触して示されているが、EML114は互いに位置がずれる列に配置されたQD124を有することができ、及び/または隣接するQD124から間隔を空けた1以上のQD124を有することができる。
【0058】
EML114におけるQD124のサイズ及び材料は基板102を通って放たれる光101の所望の色(例えば、赤色、緑色または青色)に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、EML114におけるQD124のサイズ及び材料は、可視スペクトルの赤色波長領域(例えば、約620nm~750nmに及ぶ波長)、緑色波長領域(例えば、約495nm~570nmに及ぶ波長)または青色波長領域(例えば、約435nm~495nmに及ぶ波長)にて一次発光ピーク波長を有する光101を発するように選択することができる。いくつかの実施形態では、EML114は可視スペクトルにて赤色、緑色、青色または任意の光を放つように構成されたQD124の単一集団を有することができる。いくつかの実施形態では、EML114は、QD124の各集団がQD124の他の集団とは異なる可視スペクトルの光を放つように構成される、QD124の2以上の集団を有することができる。いくつかの実施形態では、EML114は約4nm~約20nmに及ぶ直径を有する、リン化インジウム(InP)に基づくQD124を含むことができる。
【0059】
可視スペクトルにて一次発光ピーク波長を持つ光101はEML114から生成することができ、操作中デバイス積層103を横切って電圧が印加されると電界発光デバイス100から放射される。電子と正孔がEML114にて再結合し、可視波長領域にて波長に対応する光子を放出するので、光101は電圧が印加されると生成され得る。陰極122に関して陽極104が正であるように電圧が印加されると、電子及び正孔がそれぞれ陰極122及び陽極104から注入され得る。
【0060】
OETL118は陰極122からEIL120を通ってEML114までの電子の輸送を円滑にし、操作中、正孔がEML114から逃れるのを阻止する。EML114に注入される電子の数が多ければ多いほど、光101の形態でEML114から放出される光子の数も多く、例えば、さらに高い発光及びさらに高いEQEのような、さらに高いデバイス効率をもたらす。EML114への電子の注入を最大化するために、OETL118とEML114の間での接触面積を最大化する。OETL118とEML114の間での接触面積を最大化するために、OETL118をEML114上に形成して隣接するQD124及びHTL110によって覆われていないQD124の表面を覆う。
【0061】
図1に示すように、OETL118は、QD124の上面及びEML114のギャップ内に露出するQD124の表面を覆うように形成することができる。いくつかの実施形態では、OETL118は有機材料(複数可)による有機層を含むことができ、任意の無機の材料(複数可)及び/または構造(複数可)を含まなくてもよい。OETL118の有機材料は、有機材料がQD124上に共形に堆積するのを可能にし、有機材料がQD124の1以上の層を介して拡散してギャップ125を満たし、HTL110に接触するのを可能にする溶解法によってEML114上に堆積することができる。溶解法にて形成されるOETL118のようなETLは、例えば、図3に示すような無機ナノ粒子を含むETL318及び図4に示すような高真空下での蒸発法によって形成される有機材料を含むETL418のような他のETLよりもQD124との大きな接触面積を提供することができる。溶解法は、高真空蒸発法にてETL418を形成する堆積速度より遅い速度でOETL118を堆積することができる。その結果、溶解法は、OETL118の有機材料でギャップ125を満たすことにおいて高真空蒸発法よりも効果的であることができる。加えて、大気圧にて実施することができる溶解法はOETL418を形成するための高真空蒸発法よりもOETL118を形成することにおいてさらに費用効率が高い可能性がある。
【0062】
OETL118の有機材料でギャップ125を満たすことはOETL118とHTL110との間の接触面積を増やすこともできる。OETL118とHTL110との間の接触の増大は電界発光デバイスのターンオン電圧を約1V未満(例えば、約0.9V、0.85V、0.8V、0.75V、または0.7V)に下げることによってデバイス効率を改善することができる。OETL118とHTL110の材料間でのエキシプレックスによるフォトルミネッセンス発光の生成のせいでターンオン電圧を下げることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、OETL118は約20nm~約120nm(例えば、約20nm、約40nm、約50nm、約60nm、約80nm、約100nm、または約120nm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有することができる。OETL118の有機材料は、有機材料が極性有機溶媒、例えば、アルコール、アセトン、アセトニトリル、またはQD124を損傷しない好適な極性有機溶媒に可溶性であるように選択される。いくつかの実施形態では、OETL118の有機材料は2以上のホスホン酸オキシド官能基(P=O)を含むことができる。例えば、有機材料は、3つのP=O官能基を有する(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(ベンゼン-3,1-ジイル)トリス(ジフェニルホスフィンオキシド)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン(POT2Tと呼ばれる)、または2つのP=O官能基を有するビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド(DPEPOと呼ばれる)を含むことができる。いくつかの実施形態では、OETL118におけるP=O官能基の存在はOETL118とHTL110との間でエキシプレックスによるフォトルミネッセンス発光の生成を誘導することができる。
【0064】
陽極104は操作中、正に偏るとデバイス積層103に正孔を注入するように構成することができる。陽極104はいくつかの実施形態に従って、電導性であり且つ光学的に透明な材料、例えば、インジウム・スズ・酸化物(ITO)を含むことができる。いくつかの実施形態では、陽極104は約50nm~約150nm(例えば、約50nm、約80nm、約100nm、約120nm、約125nm、約140nm、または約150nm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有することができる。
【0065】
HIL108は陽極104上に形成することができる。HIL108は陽極104からHTL110への正孔の注入を円滑にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、HIL108は約3nm~約70nm(例えば、約3nm、約10nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、または約70nm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有することができる。いくつかの実施形態では、HIL108はp型またはn型の有機または無機の半導体材料、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ニッケル(NiO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化バナジウム(V)、酸化タングステン(WO))、ポリアニリン、ポリ(スルホン酸スチレン)(PSS)でドープしたポリチオフェン(例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(mTDATA)、またはヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、HTL110は図1に示すようにHIL108上に、またはHIL108が任意で含まれないならば陽極104上に形成することができる。HTL110はHIL108からEML114への正孔の輸送を円滑にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、HTL110は約10nm~約30nm(例えば、約10nm、約20nm、または約30nm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有することができる。いくつかの実施形態では、HTL110はp型の有機または無機の半導体材料、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ニッケル(NiO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化バナジウム(V)、酸化タングステン(WO))、またはポリマー(例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリ(トリアリールアミン)、トリフェニルアミン誘導体、またはカルバゾール誘導体)、または有機小分子(例えば、N,N-ジ(1-ナフチル)-N,N-ジフェニル-(1,1-ビフェニル)4,4-ジアミン(NPB))を含むことができる。いくつかの実施形態では、HTL110及びHIL108は互いに類似のまたは異なる材料を含むことができる。
【0067】
EIL120はOETL118上に形成することができ、陰極とのオームの法則に従うまたはほぼ従う接触を形成することによって陰極122からOETL118への電子の注入を円滑にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、EIL120はn型の半導体材料、アルカリ金属塩(例えば、フッ化リチウム(LiF)または炭酸セシウム(CsCO)、仕事関数の低い金属(例えば、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、イッテルビウム(Yb)またはセシウム(Cs))、または有機化合物(例えば、ポリフルオレン、ポリエチレンイミンエトキシ化(PEIE)、またはリチウム-8-ヒドロキシキノリンオレート(Liq)を含むことができる。いくつかの実施形態では、OETL118及びEIL120は互いに類似したまたは異なる材料を含むことができる。
【0068】
陰極122はEIL120上に、またはEIL120が任意で含まれなければOETL118上に直接形成することができる。陰極122は上記で議論したように、操作中、負に偏るとデバイス積層103に電子を注入するように構成することができる。いくつかの実施形態では、陰極122は約100nm~約5μm(例えば、約250nm、約280nm、約300nm、約500nm、約1μm、または約5μm)に及ぶZ軸に沿った垂直寸法(例えば、厚さ)を有することができる。陰極122は、いくつかの実施形態に従って、電導性で且つ光学的に反射性の材料、例えば、アルミニウム(Al)または銀(Ag)を含むことができる。陰極122の反射性材料は基板102に向かって光を反射するのに役立ち、且つ光が陰極122を通って放たれるのを防ぐのに役立つことができる。EML114における電子と正孔の再結合の後の光子の放出に起因して生成される光(上記で議論された)は陰極122及び基板102に向かって移動することができる。陰極122の反射性材料は電界発光デバイス100からの放射のために基板102に向かってこれらの光子を向け直すのに役立つ。
【0069】
いくつかの実施形態では、デバイス103の層の順序は図2の電界発光デバイス200に示すように逆向きにしてもよい。陰極122が光学的に透明な材料を含むことができ、陽極104が光学的に反射性の材料を含むことができることを除いて、電界発光デバイス100の議論が電界発光デバイス200に適用される。
【0070】
いくつかの実施形態では、電界発光デバイス100は上部発光の電界発光デバイスであることができ、光101は基板102の表面102sの代わりにデバイス103の表面103sを通って放たれ得る。電界発光デバイス100の議論は、基板102が光学的に反射性であることができ、陰極122及び陽極104が光学的に透明であることができることを除いて上部発光の電界発光デバイスに適用される。
【0071】
他の要素の上またはそれにわたって存在すると本開示に記載されている要素は、特に言及されない限り、該他の要素と直接一緒にあり、または介在層を有することができる。図1~2の要素の一部は互いに関してX軸、Y軸及び/またはZ軸に沿って類似の寸法を有すると示されているが、これらの要素のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、1以上の方向にて互いに異なる寸法を有することができる。
【0072】
有機輸送層を持つ電界発光デバイスの例示的な特徴
図5は、(i)InP QDの層のPLスペクトル536、(ii)InP QDを有するEML(例えば、図1~2のEML114)と溶解法で形成されたPOT2Tを有する有機ETL(例えば、OETL118)とを持つ電界発光デバイスA(例えば、電界発光デバイス100)のPLスペクトル538、及び(iii)InP QDを有するEML(例えば、図3のEML114)とZnMgO NSの層のみを有するETL(例えば、図3のETL318)とを持つ電界発光デバイスBのPLスペクトル540を説明している。InP QDは図1~4のQD124を表すことができる。PLスペクトル540と比べてPLスペクトル538のさらに高い強度はPOT2T層とInP QDとの間のさらに大きな接触面積が電界発光デバイスBと比べて電界発光デバイスの発光特性を改善することを示している。さらに、PLスペクトル538及び540と比べてPLスペクトル536のさらに高い強度は電界発光デバイスA、Bの双方がある程度のPLクエンチングを呈したことを示すことができる。
【0073】
図6は、(i)電界発光デバイスAについての電流密度と駆動電圧のプロット642及び輝度と駆動電圧のプロット644、(ii)電界発光デバイスBについての電流密度と駆動電圧のプロット646及び輝度と駆動電圧のプロット648、ならびに(iii)InP QDを有するEML(例えば、図4のEML114)と高真空蒸発法で形成されたPOT2T層を有するETL(例えば、図4のETL418)とを持つ電界発光デバイスCについての電流密度と駆動電圧のプロット650及び輝度と駆動電圧のプロット652を説明している。溶解処理した有機ETLを有する電界発光デバイスAは電界発光デバイスB及びCよりも低いターンオン電圧を示す。
【0074】
図7は、(i)電界発光デバイスAについてのEQEと輝度のプロット754、(ii)電界発光デバイスBについてのEQEと輝度のプロット755、及び(iii)電界発光デバイスCについてのEQEと輝度のプロット756を説明している。溶解処理した有機ETLを有する電界発光デバイスAは電界発光デバイスB及びCよりも高いEQEを示す。したがって、溶解処理した有機ETLの使用は電界発光デバイスAのデバイス効率を改善する。
【0075】
有機輸送層を持つ電界発光デバイスを製造する例示的な方法
図8は、いくつかの実施形態に係る電界発光デバイス100を製造する例示的な方法800のフローチャートである。工程はさまざまな順序で実施することができ、または特定の応用に応じて実行されえない。方法800は完全な電界発光デバイスを作り出さなくてもよいことに留意すべきである。したがって、方法800の前に、途中で、及び後で追加のプロセスを提供することができ、幾つかの他のプロセスが本明細書に手短にのみ記載されてもよいことが理解される。
【0076】
工程805では、陽極の配置前の層を伴った基板が提供される。例えば、図1に示すように、陽極104を基板102の上に配置することができる。いくつかの実施形態では、基板102は光学的に透明であることができ、導電性材料を含むことができる。陽極104はいくつかの実施形態に従って、電気的に伝導性であり、且つ光学的に透明である材料、例えば、インジウム・スズ・酸化物(ITO)を含むことができる。いくつかの実施形態では、陽極104は、基板102の上に電気的に伝導性であり、且つ光学的に透明である材料を堆積し、パターン化することによって基板102の上に形成することができる。堆積は、例えば、スパッタリング、熱蒸発、または電気的に伝導性であり、且つ光学的に透明である材料を堆積するのに好適な方法によって実施することができる。パターン化は堆積中のリトグラフ法またはマスキング法によって実施することができる。
【0077】
工程810では、HILが陽極上に形成され、HIL上にHTLが形成される。例えば、図1に示すように、HIL108は陽極104上に配置され、HTL110はHIL108上に配置され得る。HIL108及びHTL110はそれぞれ、例えば、スピンコーティング、インクジェット印刷、スロットダイコーティング、ノズル印刷、接触印刷、好適な溶液印刷技術、ロールツーロール加工、熱蒸発、または好適な蒸着技術によってその下層に堆積することができる。いくつかの実施形態では、HIL108はPSS(ポリ(スルホン酸スチレン)でドープしたPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含むことができ、HTL110はTFB(ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’(N-(4-sec-ブチルフェニル)))ジフェニルアミン])を含むことができる。
【0078】
工程815では、EMLがHTL上に形成される。例えば、図1に示すように、EML114がHTL110上に配置され得る。いくつかの実施形態では、EML114は、QD124の9mg/ml溶液を調製することと、例えば、スピンコーティング、インクジェット印刷、スロットダイコーティング、ノズル印刷、接触印刷、好適な溶液印刷技術、熱蒸発、または好適な蒸着技術によって該溶液をHTL110上に堆積することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、QD124は、約20nm~約40nmに及ぶ直径を持つリン化インジウム(InP)系QDを含むことができ、赤色または緑色の波長領域にて一次発光ピーク波長を発するように構成することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、工程810は任意の工程であることができ、工程805はその後に工程815が続くことができ、その際、EMLは陽極上に形成される。
【0080】
工程820では、OETLがEML上に形成され、EILがOETL上に形成される。例えば、図1に示すように、OETL118はEML114上に配置され、EIL120はOETL118上に配置され得る。いくつかの実施形態では、OETL118の形成には、極性有機溶媒、例えば、アルコール、アセトン、アセトニトリル、またはQD124を損傷しない好適な極性有機溶媒にてOETL118の有機材料との溶液を調製することと、溶解法によってEML114上に該溶液を堆積することとが含まれ得る。堆積過程の間に、溶液はQD124の1以上の層を介して拡散し、有機材料でギャップを満たし、HTL110に接触する。いくつかの実施形態では、溶液はメタノール中POT2Tの16mg/ml溶液を含むことができる。
【0081】
EIL120は、例えば、スピンコーティング、インクジェット印刷、スロットダイコーティング、ノズル印刷、接触印刷、好適な溶液印刷技術、熱蒸発、または好適な蒸着技術によってOETL118上に堆積することができる。
【0082】
工程825では、陰極がEIL上に形成される。例えば、図1に示すように、陰極122はEIL120上に配置され得る。陰極122はいくつかの実施形態に従って、電気的に伝導性であり、且つ光学的に反射性である材料、例えば、アルミニウム(Al)または銀(Ag)を含むことができる。いくつかの実施形態では、陰極122は、例えば、スパッタリング、熱蒸発、好適な溶液印刷技術、または電気的に伝導性であり、且つ光学的に反射性である材料を堆積するのに好適な方法によってEIL120上に陰極材料を堆積させることによって形成することができる。
【0083】
LEDディスプレイ装置の例示的な実施形態
図9はいくつかの実施形態に係るLEDディスプレイ装置900の分解断面模式図を説明している。LEDディスプレイ装置900はいくつかの実施形態に従って、背面プレート958と、背面プレート958上にて2Dアレイに配置される複数のピクセル960と、透過型カバープレート962とを含むことができる。図9に示すピクセルの数は説明に役立つものであって、限定ではない。装置900は本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、任意の数のピクセルを有することができる。LEDディスプレイ装置900は、QD系の電界発光デバイスがピクセル960における光源として使用されるならば、QD-LEDディスプレイ装置と呼ばれることができる。
【0084】
カバープレート962は画像を生成するためのディスプレイ画面として役立つことができ、及び/またはLEDディスプレイ装置の基礎構造の環境封止を提供するように構成することができる。カバープレート962はまた、LEDディスプレイ装置900の他の構成成分(例えば、電極)がその上に配置され得る光学的に透明な基板あるように構成することもできる。いくつかの実施形態では、ピクセル960は赤色、緑色及び青色のサブピクセルを有する3色性であることができる。いくつかの実施形態では、ピクセル960は赤色、緑色または青色のサブピクセルを有する単色性であることができる。いくつかの実施形態では、LEDディスプレイ装置900は3色性及び単色性のピクセル960双方の組み合わせを有することができる。
【0085】
LEDディスプレイ装置900はさらに、ピクセル960の制御回路(示さず)を含むことができる。ピクセル960はスイッチング装置、例えば、薄膜トランジスター(TFT)によって独立して制御することができる。LEDディスプレイ装置900は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の実施形態に従って、例えば、円筒形、台形、球形または楕円形のような、しかし、これらに限定されない幾何的形態を有することができる。背面プレート958、ピクセル960のアレイ及びカバープレート430は図9ではX軸に沿って類似の寸法を有すると示されているが、これら構成成分のそれぞれは種々の実施形態に従って、1以上の方向にて互いに異なる寸法を有することができる。
【0086】
図10は、いくつかの実施形態に従って、LEDディスプレイ装置900の3色性ピクセル960の分解断面を説明している。ピクセル960は赤色サブピクセル960R、緑色サブピクセル960G及び青色サブピクセル960Bを含むことができる。赤色、緑色及び青色のサブピクセル960R、960G及び960Bの配置は説明に役立つものであって、限定ではない。赤色、緑色及び青色のサブピクセル960R、960G及び960Bは互いに関して任意の順に配置することができる。
【0087】
赤色、緑色及び青色のサブピクセル960R、960G及び960Bのそれぞれは、LEDディスプレイ装置900のディスプレイ画面(例えば、カバープレート962)に対して伝達されてもよい且つそれの至る所に分配されてもよいそれぞれ主要な赤色、緑色及び青色の光を提供するように構成されるそれぞれ電界発光デバイス1064R、1064G及び1064Bを含むことができる。電界発光デバイス1064R、1064G及び1064BのEML(例えば、EML114)におけるQD(例えば、QD124)の材料及びサイズが互いに異なることを除いて、電界発光デバイス1064R、1064G及び1064Bは図1~2を参照して記載されている電界発光デバイス100または200に類似することができる。電界発光デバイス1064R、1064G及び1064BのEMLにおけるQDのサイズ及び材料は、それぞれ赤色、緑色及び青色の波長領域にて一次発光ピーク波長を有する光を発するように選択することができる。
【0088】
バリア層をコーティングした発光ナノ構造体の例示的な実施形態
図11は、いくつかの実施形態に係るバリア層をコーティングした発光ナノ構造体(NS)1100の断面構造を説明している。いくつかの実施形態では、NS1100の集団はEML114に含まれるQD124を表すことができる。バリア層をコーティングしたNS1100はNS1101とバリア層1106とを含む。NS1101はコア1102とシェル1104とを含む。コア1102は、光を発する半導体材料を含む。コア1102用の半導体材料の例には、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)リン化インジウムガリウム(InGaP)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)及びテルル化カドミウム(CdTe)が挙げられる。直接バンドギャップを示す任意の他のII-VI族、III-V族、三級または四級の半導体構造を上手く使用することができる。一実施形態では、コア1102はまた、例えば、金属、ハロゲン及び合金のような1以上のドーパントを含めて幾つかの例を提供することができる。金属ドーパントの例には、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。ハロゲンドーパントの例には、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を挙げることができるが、これらに限定されない。コア1102における1以上のドーパントの存在はドープされていないNSと比べてNS1101の構造的な、電気的な、及び/または光学的な安定性及びQYを改善することができる。
【0089】
コア1102はいくつかの実施形態に従って直径20nm未満のサイズを有することができる。別の実施形態では、コア1102は直径約1nm~約10nmの間のサイズを有することができる。コア1102のサイズを目的に合わせる能力とその結果のナノメートル範囲でのNS1101のサイズは光学スペクトル全体における光子放出範囲を可能にする。一般に、大きなNSはスペクトルの赤色端に向けて光を発する一方で、小さなNSはスペクトルの青色端に向けて光を発する。この効果は、大きなNSは小さなNSよりもエネルギー準位の間隔が狭いので生じる。これによってNSはさらにエネルギーの低い、すなわち、スペクトルの赤色端にさらに近い光子を吸収できるようになる。
【0090】
シェル1104はコア1102を取り囲み、コア1102の外面に配置される。シェル1104は硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛カドミウム(ZnCdS)、セレン化硫化亜鉛(ZnSeS)及び硫化亜鉛(ZnS)を含むことができるが、これらに限定されない。一実施形態では、シェル1104は厚さ1104tを有し、例えば、1以上の単層を有することができる。他の実施形態では、シェル1104は約1nm~約10nmの間の厚さ1104tを有することができる。シェル1104を利用してコア1102との格子不整合を減らすのに役立たせ、NS1101のQYを改善することができる。シェル1104はコア1102上のダングリングボンドのような表面トラップ状態を不動態化し、取り除いてNS1101のQYを高めるのに役立つことができる。表面トラップ状態の存在は非放射状再結合中心を提供し、NS1101の発光効率の低下に寄与することができる。
【0091】
代わりの実施形態では、NS1101は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、シェル1104上に配置される第2のシェル、またはコア1102を取り囲む2を超えるシェルを含むことができる。一実施形態では、第2のシェルは1以上の単層の厚さであることができ、必要ではないが、通常、半導体材料でもある。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の材料を使用することができるが、第2のシェルの材料は硫化亜鉛(ZnS)であることができ、ドーパントも同様に含まれ得る。
【0092】
バリア層1106はNS1101上でコーティングを形成するように構成することができる。一実施形態では、バリア層はシェル1104の外面1104a上に配置され、実質的にそれと接触する。1以上のシェルを有するNS1101の実施形態では、バリア層1106はNS1101の最外シェルの上に配置され、実質的にそれと接触することができる。例示的な実施形態では、バリア層1106は、例えば、複数のNSを有する溶液、組成物及び/またはフィルムにてNS1101と1以上のNSとの間でスペーサーとして作用するように構成することができ、その際、複数のNSはNS1101及び/またはバリア層をコーティングしたNS1101に類似することができる。そのようなNS溶液、NS組成物及び/またはNSフィルムでは、バリア層1106は隣接するNSとのNS1101の凝集を防ぐのに役立つ。隣接するNSとのNS1101の凝集はNS1101のサイズの増大につながり、その結果、NS1101を含む凝集したNS(示さず)の発光特性の低下またはクエンチングにつながることができる。さらなる実施形態では、バリア層1106は、NS1101の構造特性及び光学特性に悪影響を及ぼすことができる、例えば、水分、空気及び/または過酷な環境(例えば、NSのリトグラフ加工の間に及び/またはNS系装置の製造過程の間に使用される高温及び化学物質)からのNS1101の保護を提供する。
【0093】
バリア層1106は、非晶質であり、光学的に透明であり、及び/または電気的に不活性である1以上の材料を含むことができる。好適なバリア層は、例えば、無機の酸化物、ハロゲン化合物及び窒化物のような、しかし、これらに限定されない無機材料を含む。バリア層1106の材料の例には、種々の実施形態に従ってAl、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti、またはZrの酸化物及び/または窒化物が挙げられる。バリア層1106は種々の実施形態にて約0.5nm~約15nmに及ぶ厚さ1106tを有することができる。
【0094】
バリア層をコーティングしたNS1100はさらにまたは任意で、NS1101上に緩衝化したコーティングを形成するように構成される緩衝層1107を含む。一実施形態では、緩衝層1107はシェル1104上に配置され、シェル1104の外面1104a及びバリア層1106の内面1106aと実質的に接触する。緩衝層1107はNS1101上でのその後の加工、例えば、NS1101上でのバリア層1106の形成の間に使用される化学物質とNS1101の間で緩衝材として作用するように構成することができる。
【0095】
緩衝層1107は、NS1101上でのその後の加工の間に使用される化学物質との反応に起因してNS1101の発光特性でのクエンチングを実質的に減らす及び/または防ぐのに役立つことができる。緩衝層1107は非晶質であり、光学的に透明であり、及び/または電気的に活性がある1以上の材料を含むことができる。緩衝層1107の1以上の材料は無機材料及び有機材料を含むことができる。緩衝層1107の無機材料の例には、種々の実施形態に従って金属の酸化物及び/または窒化物が挙げられる。金属酸化物の例にはZnO、TiO、In、Ga、SnO、Al、またはMgOが挙げられる。緩衝層1107は種々の実施形態にて約1nm~約5nmに及ぶ厚さ1107tを有することができる。
【0096】
図11にて説明しているように、バリア層をコーティングしたNS1100はさらにまたは任意で、いくつかの実施形態に従って複数のリガンドまたは界面活性剤1108を含む。リガンドまたは界面活性剤1108は、いくつかの実施形態に従って、バリア層をコーティングしたNS1100の外面、例えば、バリア層1106の外面またはシェル1104もしくは第2のシェルの外面に吸着または結合され得る。複数のリガンドまたは界面活性剤1108は、親水性のまたは極性の頭部1108a及び疎水性のまたは非極性の尾部1108bを含むことができる。親水性のまたは極性の頭部1108aはバリア層1106に結合することができる。リガンドまたは界面活性剤1108の存在は、その形成の間に、例えば、溶液、組成物及び/またはフィルムにて他のNSからNS1100及び/またはNS1101を分離するのに役立つことができる。その形成の間にNSが凝集できると、NS1100及び/またはNS1101のようなNSの量子効率が低下し得る。リガンドまたは界面活性剤1108を使用して、バリア層をコーティングしたNS1100に疎水性のような特定の特性を付与し、非極性溶媒における混和性を提供し、または他の化合物が結合する反応部位(例えば、逆相ミセル系)を提供することができる。
【0097】
リガンド1108として使用することができる多種多様なリガンドが存在する。いくつかの実施形態では、リガンドはラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸から選択される脂肪酸である。いくつかの実施形態では、リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィンまたは有機ホスフィンオキシドである。いくつかの実施形態では、リガンドはドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミンから選択されるアミンである。いくつかの実施形態では、リガンドはトリオクチルホスフィン(TOP)である。いくつかの実施形態では、リガンドはオレイルアミンである。いくつかの実施形態では、リガンドはチオール、例えば、オクタンチオールである。いくつかの実施形態では、リガンドはジフェニルホスフィンである。いくつかの実施形態では、リガンドはこれら脂肪酸のいずれかの中性塩、またはこれらアミン、ホスフィン、またはホスフィンオキシドのカルコゲニド、例えば、オレイン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、TOP-セレン化またはTOP-硫化である。
【0098】
界面活性剤1108として使用することができる多種多様な界面活性剤が存在する。非イオン性界面活性剤はいくつかの実施形態では界面活性剤1108として使用することができる。非イオン性界面活性剤のいくつかの例には、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名IGEPAL CO-520)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(IGEPAL CO-630)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(IGEPAL CA-630)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(Brij 93)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(Brij 52)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(Brij S10)、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(Triton X-100)、及びポリオキシエチレン分岐ノニルシクロヘキシルエーテル(Triton N-101)が挙げられる。
【0099】
アニオン性界面活性剤はいくつかの実施形態では界面活性剤1108として使用することができる。アニオン性界面活性剤のいくつかの例には、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、モノドデシルリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、NS1101及び/またはNS1100は1以上の種々の色範囲、例えば、赤色、橙色及び/または黄色の範囲にて発光するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS1101及び/またはNS1100は緑色及び/または黄色の範囲にて発光するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS1101及び/またはNS1100は青色、藍色、紫色及び/または紫外の範囲にて発光するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS1101及び/またはNS1100は605nm~650nmの間、510nm~550nmの間、300nm~495nmの間の一次発光ピーク波長を有するように合成することができる。
【0101】
NS1101及び/またはNS1100は高いQYを示すように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS1101及び/またはNS1100は80%~100%の間、または85%~90%の間でQYを示すように合成することができる。
【0102】
したがって、種々の実施形態によれば、NS1100はNS1101上のバリア層1106の存在がNS1101の発光特性を実質的に変えないまたはクエンチングしないように合成することができる。
【0103】
発光ナノ構造体の例示的な実施形態
本明細書に記載されているのは、EML114のQD124を表すことができる発光ナノ構造体(NS)を有する種々の組成物である。その吸収特性、発光特性及び屈折率特性を含む発光ナノ構造の種々の特性を目的に合わせることができ、種々の応用に調整することができる。
【0104】
NSの材料特性は実質的に均質であることができ、または、いくつかの実施形態では不均一であることができる。NSの光学特性はその粒度、化学組成または表面組成によって決定することができる。約1nm~約20nmの間の範囲で発光NSのサイズを目的に合わせる能力は光学スペクトル全体にて光子放出範囲を可能にし、演色における大きな多用途性を提供することができる。粒子カプセル化は化学的劣化物質及びUV劣化物質に対してロバスト性を提供することができる。
【0105】
本明細書に記載されている実施形態で使用するための発光NSは当業者に既知の任意の方法を使用して製造することができる。好適な方法及び例示的なナノ結晶は、そのそれぞれの開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,374,807号;2004年3月10日に出願された米国特許出願番号第10/796,832号;米国特許第6,949,206号;及び2004年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/578,236号に開示されている。
【0106】
本明細書に記載されている実施形態で使用するための発光NSは、無機材料、さらに好適には無機の伝導性または半導体の材料を含む任意の好適な材料から製造することができる。好適な半導体材料には米国特許出願第10/796,832号に開示されたものを挙げることができ、II-VI族、IILV族、IV-VI族、I-III-VI族及びIV族の半導体を含む、任意の種類の半導体を挙げることができる。好適な半導体材料には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AIN、AlP,AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AIN、A1P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SuS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、Cui、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)、(S、Se、Te)、A1CO、CuInGaS、CuInGaSe及びそのような半導体の2以上の適当な組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0107】
いくつかの実施形態では、発光NSはp型ドーパントまたはn型ドーパントから成る群由来のドーパントを有することができる。NSはII-VIまたはIII-Vの半導体も有することができる。II-VIまたはIII-Vの半導体NSの例には、周期律表の、例えば、Zn、Cd及びHgのようなII族の元素のS、Se、Te及びPoのようなVI族の元素との任意の組み合わせ;ならびに周期律表の、例えば、B、Al、Ga、In及びTlのようなIII族の元素のN、P、As、Sb及びBiのようなV族の元素との任意の組み合わせを挙げることができる。
【0108】
本明細書に記載されている発光NSはさらに、その表面に結合された、連携された、会合されたまたは連結されたリガンドも含むことができる。好適なリガンドには、そのそれぞれの開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,283,412号;米国特許公開番号2008/0237540;米国特許公開番号2010/0110728;米国特許第8,563,133号;米国特許第7,645,397号;米国特許第7,374,807号;米国特許第6,949,206号;米国特許第7,572,393号;及び米国特許第7,267,875号にて開示されたものを含めて当業者に既知の任意の群を挙げることができる。そのようなリガンドの使用は、ポリマーを含む種々の溶媒及びマトリックスに組み込む発光NSの能力を高めることができる。種々の溶媒及びマトリックスにおける発光NSの混和性(すなわち、分離せずに混合される能力)の増大は、NSが一緒に凝集せず、したがって光を散乱しないようにポリマー組成物全体に分散させることができる。そのようなリガンドは本明細書では「混和性増強」リガンドと記載される。
【0109】
いくつかの実施形態では、マトリックス材に分配されるまたは埋め込まれる発光NSを有する組成物が提供される。好適なマトリックス材は、ポリマー材料、有機及び無機の酸化物を含む、当業者に既知の任意の材料であることができる。本明細書に記載されている組成物は層、カプセル材、コーティング、シートまたはフィルムであることができる。層、ポリマー層、マトリックス、シートまたはフィルムを参照する本明細書に記載されている実施形態では、これらの用語は相互交換可能に使用され、そのように記載されている実施形態は任意の1種類の組成物に限定されないが、本明細書に記載されているまたは当該技術分野で既知の任意のマトリックス材または層を包含することが理解されるべきである。
【0110】
NS(例えば、米国特許第7,374,807号に開示されたような)をダウンコンバートすることは特定の波長の光を吸収した後に第2の波長で発光するように調整された発光ナノ構造の発光特性を利用し、それによって活性源(例えば、LED)の性能および効率の向上を提供する。
【0111】
当業者に既知の任意の方法を使用して発光NSを作り出すことができる一方で、無機ナノ材料リン光体の成長制御のための溶液相コロイド法を使用することができる。その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれるAlivisatos,A.P.,”Semiconductor clusters,nanocrystals,and quantum dots,”Science,271:933(1996);X.Peng,M.Schlamp,A.Kadavanich,A.P.Alivisatos,”Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility,”J.Am.Chem.Soc.30:7019-7029(1997);及びC.B.Murray,D.J.Norris,M.G.Bawendi,”Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E=sulfur,selenium,tellurium) semiconductor nanocrystallites,”J.Am.Chem.Soc.115:8706(1993)を参照のこと。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、この材料の合成の相対的な完成のために、一例では可視光ダウンコンバートについてNS材料としてCdSeを使用することができる。一般的な表面化学の使用のために、カドミウム非含有NSを代わりに使うことも可能であり得る。
【0113】
半導体NSでは、光誘起発光はNSのバンド端状態から生じる。発光NSに由来するバンド端発光は表面電子状態に由来する放射性及び非放射性の崩壊チャネルと競合する。X.Peng,et al.,J.Am.Chem.Soc.30:7019-7029(1997)。その結果、ダングリングボンドのような表面欠陥の存在が非放射性の再結合中心を提供し、発光効率の低下に寄与する。表面トラップ状態を不動態化し、除去する効率的で且つ恒久的な方法はNSの表面にて無機シェル材料をエピタキシャル成長させることであり得る。X.Peng,et al.,J.Am.Chem.Soc.30:701,9-7029(1997)。シェル材料は、電子準位がコア材料に関してタイプ1であるように選択することができる(例えば、電子と正孔をコアに局在化させる電圧段階を提供するさらに大きなバンドギャップを伴う)。その結果、非放射性の再結合の確率は低下し得る。
【0114】
コア・シェル構造は、シェル材料を含有する有機金属前駆体を、コアNSを含有する反応混合物に加えることによって得ることができる。この場合、成長が後に続く核生成事象よりはむしろ、コアが核として作用し、シェルがその表面から成長することができる。反応の温度はコア表面へのシェル材料モノマーの添加に有利に働くように低く保たれる一方で、シェル材料のナノ結晶の独立した核生成を妨げる。反応混合物における界面活性剤はシェル材料の制御成長を指図し、溶解性を確保するために存在する。2つの材料間で格子不整合が少ない場合、均一で且つエピタキシャル成長したシェルを得ることができる。
【0115】
コア・シェル発光NSを調製するための例示的な材料には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AIN、A1P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AIN、A1P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTc、BeS、BcSe、BcTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuP、CuCl、CuBr、Cui、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)、(S、Se、Te)、AlCOを挙げることができるが、これらに限定されず、本発明の実践で使用するためのシェル発光NSには、(コア/シェルとして表される)、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnSと同様にその他が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
本明細書に記載されている実施形態で使用するための発光NSはサイズが約100nm未満であり、約1nm未満のサイズまで小さくでき、可視光を吸収することができる。本明細書で使用されるとき、可視光はヒトの眼に見える約380~約780ナノメートルの間の波長を持つ電磁放射線である。可視光は種々の色のスペクトル、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色及び紫色に分離することができる。青色光は約435nm~495nmの間の光を含むことができ、緑色光は約495nm~570nmの間の光を含むことができ、赤色光は約620nm~750nmの間の光を含むことができる。
【0117】
種々の実施形態によれば、発光NSは、それらが紫外、近赤外及び/または赤外のスペクトルにある光子を吸収するようにサイズ及び組成を有することができる。紫外線スペクトルは波長で約100nm~約400nmの間の光を含むことができ、近赤外線スペクトルは波長で約750nm~約100μmの間の光を含むことができ、赤外線スペクトルは波長で約750nm~約300μmの間の光を含むことができる。
【0118】
本明細書に記載されている種々の実施形態では他の好適な材料の発光NSを使用することができる一方で、いくつかの実施形態では、NSは、本明細書に記載されている実施形態で使用するためのナノ結晶の集団を形成するためにZnSe、ZnTe、ZnS、InAs、InP、CdSeまたはそれらの任意の組み合わせであることができる。上記に議論されているように、さらなる実施形態では、発光NSはコア/シェルナノ結晶、例えば、CdSe/ZnS、InP/ZnSe、CdSe/CdSまたはInP/ZnSであることができる。
【0119】
好適な発光ナノ構造体、種々の溶解性を高めるリガンドの添加を含む発光ナノ構造体を調製する方法は、その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる、公開されている米国特許公開番号2012/0113672に見いだすことができる。
【0120】
いくつかの実施形態が本明細書で説明され、記載されている一方で、特許請求の範囲は記載され、示されている部分の具体的な形態または配置に限定されないことが理解されるべきである。本明細書では、説明に役立つ実施形態が開示されており、具体的な用語が採用されているが、それらは一般的な且つ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的には使用されない。実施形態の修正及び変形は上記の教示に照らせば可能である。したがって、実施形態は記載された以外の方法で実施することができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】