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特表2023-551782甲状腺受容体アゴニストとしてのピリダジノン誘導体、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】甲状腺受容体アゴニストとしてのピリダジノン誘導体、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20231206BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07D403/12
A61K31/53
A61P43/00 111
A61P5/14
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/10
A61P9/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526890
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021058307
(87)【国際公開番号】W WO2022099049
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,820
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】521488705
【氏名又は名称】アリゴス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクゴワン,デイヴィッド,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ラボワソン,ピエール,ジャン-マリー,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンディック,コーエン
(72)【発明者】
【氏名】デバル,ジェローム
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC44
4C063DD28
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZC06
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
甲状腺ホルモン受容体ベータの活性を調節する方法、及びピリダジノン化合物を使用して疾患を治療する方法が本明細書に開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる混合物のクロマトグラフィー精製によって得られる、鏡像異性体化合物であって、
【化1】
前記精製が、以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して行われ、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
前記鏡像異性体化合物が、前記条件下で1番目に溶出される、鏡像異性体化合物。
【請求項2】
TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイ又はHEK293T細胞レポーターアッセイにおいて、前記クロマトグラフィー精製中に2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する、請求項1に記載の鏡像異性体化合物。
【請求項3】
以下の化学構造を有する化合物、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
以下の化学構造を有する化合物、
【化3】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して決定される場合に、約20.8分の保持時間を有する化合物であって、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
前記化合物が、
【化4】
の鏡像異性体である、化合物。
【請求項6】
甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、前記甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、前記組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、前記化合物が、
【化5】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【請求項7】
甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、前記甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、前記組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、前記化合物が、
【化6】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【請求項8】
障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、前記方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、前記障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、前記化合物が、
【化7】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【請求項9】
障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、前記方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、前記障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、前記化合物が、
【化8】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【請求項10】
前記血液血漿濃度が、約336ng/mLである、請求項6又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、前記クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月6日に出願された米国仮特許出願第63/110,820号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、疾患の治療における薬学的化合物、及びその調製、並びにその使用方法の分野に属する。具体的には、本開示は、THR-β調節剤及びその使用の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
世界的な肥満の増加と並行して、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、世界中の慢性肝疾患及び肝移植の主要な原因となりつつある[1、2]。NAFLDは、成人人口の30%、及び肥満かつ糖尿病である個人の70~80%に影響を及ぼすと考えられている。NAFLDは、アルコール摂取以外の原因によって誘発される、5%を超える過剰な肝脂肪蓄積と定義される。NAFLDは、様々な割合の個人において、肝臓の炎症(非アルコール性脂肪性肝炎、NASH)及び線維症に進行し、最終的には影響を受けやすい個人において肝不全及び肝細胞がん(HCC)に至る[3]。
【0004】
米国単独で、NASHは、肝移植のための3番目に一般的な適応症であり、最も一般的になるような軌道にのっている[4]。NAFLD及びNASHを有する患者における最も重要な医療ニーズは、肝疾患の進行の主な予測因子である、進行を止め、場合によっては線維症を逆転させるための効果的な治療法である[5、6]。
【0005】
甲状腺ホルモン(TH)は、全ての脊椎動物の正常な発達、成長、及び代謝に不可欠である。その効果は、主にTH受容体(TR又はTHR)β1、β2、及びα1のためのリガンドとして作用するトリヨードチロニン(T3)を介して媒介される[7]。リガンドが存在しない場合、TRは、まず、標的遺伝子のプロモーター領域に位置するTH応答エレメント(TRE)上でヘテロ二量体又はホモ二量体として結合し、その場所でコリプレッサーと相互作用する。リガンドが結合すると、TRホモ二量体は、レチノイドX受容体(RXR)とのヘテロ二量体形成を選好して解離し、コリプレッサーを放出し、コアクチベーターを動員する。この新しい複合体は、標的化遺伝子の転写においてRNAポリメラーゼIIに関与する多数のタンパク質を引き付ける。
【0006】
THRA及びTHRBと表記される2個の異なる遺伝子座は、異なる組織分布及び生物学的機能を有する複数の相互に関連するTRアイソフォームをコードすることに関与する。最も広いレベルの組織発現を有する2個の主要なアイソフォームは、TRα1及びTRβ1である[8]。TRα1は、胎児発生中に最初に発現し、成人組織で広く発現するが、TRβ1は、発生後期に現れ、成人肝臓、腎臓、及び肺で最も高い発現を示す[9]。TRα1は、心拍出量の重要な調節因子であり、一方で、TRβ1は、肝臓における代謝の制御に役立つ。重要なことに、天然の甲状腺ホルモンT3は、顕著な選択性なしに、TRα1とTRβ1の両方を活性化する。
【0007】
甲状腺模倣小分子剤の設計は、TRβ及びTRαについてのリガンド結合ドメイン間の高い構造的類似性にもかかわらず、様々なレベルのTRβ選択性を有するTR(又はTHR)アゴニストの特定をもたらした。これらの化合物のうちのいくつかによって達成されたTRβ選択性は、心拍数、心臓肥大、及び収縮性等の心臓効果と比較して、脂質低下のための治療指数の改善をもたらした[10~12]。
【0008】
心臓組織におけるTRαの活性化を回避するための別の戦略は、肝臓において活性アゴニストに特異的に変換されるが、血液及び心臓を含む肝外組織において不活性プロドラッグとして安定した状態を維持するホスホネート含有TRアゴニストのプロドラッグを設計することである[13]。TRα及びTRβアゴニストはまた、当該技術分野で既知であるように、肝臓関連障害以外の適応症にも使用される。例えば、TRβ選択的アゴニストは、X連鎖性副腎白質ジストロフィーの治療に有用であり得る[14、15]。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、以下からなる混合物のクロマトグラフィー精製によって得られる、鏡像異性体化合物であって、
【化1】
精製が、以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して行われ、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
鏡像異性体化合物が、その条件下で1番目に溶出される、鏡像異性体化合物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、鏡像異性体化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイ又はHEK293T細胞レポーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー精製中に2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する。
【0010】
別の態様では、以下の化学構造を有する化合物、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩が本明細書で提供される。
【0011】
別の態様では、以下の化学構造を有する化合物、
【化3】
又はその薬学的に許容される塩が本明細書で提供される。
【0012】
別の態様では、以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して決定される場合に、約20.8分の保持時間を有する化合物であって、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
化合物が、
【化4】
の鏡像異性体である、化合物が本明細書で提供される。
【0013】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、化合物が、
【化5】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法が本明細書で提供される。
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
いくつかの実施形態では、血液血漿濃度は、約336ng/mLである。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する。
【0014】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、化合物が、
【化6】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法が本明細書で提供される。
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する。
【0015】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、化合物が、
【化7】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法が本明細書で提供される。
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
いくつかの実施形態では、血液血漿濃度は、約336ng/mLである。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する。
【0016】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、化合物が、
【化8】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法が本明細書で提供される。
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する。
【0017】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、化合物は、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1a(実施例1で定義される通り)である。
【0018】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、化合物は、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0019】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、化合物は、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0020】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、化合物は、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
以下に、様々な実施形態について説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、又は本明細書で考察されるより広範な態様への限定として意図されないことに留意すべきである。特定の実施形態と併せて記載される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態とともに実施することができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。当業者には明らかでない用語の使用が存在する場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0023】
要素を記載する文脈(特に、次の特許請求の範囲の文脈において)における、用語「a」、「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書中に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の言及は、本明細書中に別段の指示がない限り、単に、範囲に含まれる各個別の値を個々に参照する簡略方法として機能することを意図しており、各個別の値は本明細書に個別に言及されているかのように、本明細書に組み入れられる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書中で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な用語(例えば、「~等」)の使用は、単に実施形態をよりよく示すことを意図しており、別段の記載がない限り、特許請求の範囲の限定を提示するものではない。本明細書中のいかなる文言も、不可欠なものとして、特許請求されない要素を示すとして解釈されるべきではない。
【0024】
別段の指示がない限り、「TR」及び「THR」という略語は、甲状腺ホルモン受容体を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、化合物が投与される患者に著しい刺激を引き起こさず、かつ化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。薬学的塩は、本明細書に開示される化合物と酸又は塩基との反応によって得ることができる。塩基形成塩としては、限定されないが、アンモニウム塩(NH );アルカリ金属塩、例えば限定されないが、ナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類塩、例えば限定されないが、カルシウム又はマグネシウム塩;有機塩基の塩、例えば限定されないが、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン;並びにアミノ酸、例えば限定されないが、アルギニン及びリジン等のアミノ基との塩が挙げられる。有用な酸性塩としては、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、メタン-スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びサリチル酸塩が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるエステル」は、それが投与される患者に著しい刺激を引き起こさない化合物のエステルを指す。エステルを体内で代謝して、親化合物、例えば、特許請求の範囲に記載の化合物を生じさせる。したがって、エステルは、化合物の生物活性及び特性を無効にしない。薬学的エステルは、本明細書に開示される化合物とアルコールとの反応によって得ることができる。メチル、エチル、及びイソプロピルエステルは、調製される一般的なエステルのうちのいくつかである。他の好適なエステルは、当業者に周知である(例えば、Wuts,P.G.M.,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,5thEd.,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,2014(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0027】
本明細書に開示される化合物の調製のためのプロセスが、立体異性体の混合物を生じる場合、そのような異性体は、分取キラルクロマトグラフィー等の従来の技術によって分離され得る。分取キラルクロマトグラフィーは、限定されないが、多糖ベース、タンパク質ベース、らせん状ポリマーベース、又は大環状固定相等のキラル固定相を含有するカラムを使用して実施してもよい。他のキラルカラムとしては、リガンド交換カラム及びパークル型(pirkle-type)カラムが挙げられる。市販のキラルカラムとしては、限定されないが、CHIRALPAK(登録商標)AS-H、CHIRALPAK(登録商標)IG、CHIRALPAK(登録商標)IC、CHIRALPAK(登録商標)IC-3、CHIRALPAK(登録商標)IA、CHIRALPAK(登録商標)IA-3、LUXアミロース-1、及びReflect C-Amylose A columnsが挙げられる。本明細書に開示される化合物は、他のキラルカラムと比較して、溶出の順序を逆転させる特定のキラルカラム(複数可)で単離されてもよい。それにもかかわらず、単離された化合物は、それらの生物学的活性によって特定することができる。
【0028】
化合物は、ラセミ形態で調製されてもよく、又は個々の鏡像異性体は、立体選択的合成によって、又は分割によって調製されてもよい。化合物は、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸等の光学的に活性な酸との塩形成によるジアステレオマー対の形成、続いて遊離塩基の分別結晶化及び再生成等の標準的な技術によって、それらの構成要素の鏡像異性体に分割され得る。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成、続いてキラル補助剤のクロマトグラフィー分離及び除去によっても分割され得る。
【0029】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に開示される化合物のうちの任意の化合物において、絶対的な立体化学が明示的に示されない場合、各中心は独立してR若しくはS、又はそれらの混合物であり得ることが理解される。加えて、E又はZとして定義され得る1つ以上の二重結合生成幾何異性体を有する本明細書に開示される化合物のうちの任意の化合物において、各二重結合は、独立して、E若しくはZ、又はそれらの混合物であり得ることが理解される。
【0030】
本明細書における化合物の開示は、適用可能であれば、その互変異性体の開示を本質的に含むことが理解される。例えば、以下の開示:
【化9】
はまた、以下の開示、
【化10】
及びその逆を、たとえ2個の構造のうちの1個のみが開示されている場合であっても、含む。
【0031】
本開示全体を通して、化合物を例示又は命名する場合、その化合物の同位体的に濃縮された類似体も企図されることを理解されたい。例えば、化合物は、水素の代わりに組み込まれた重水素、又は天然の同位体分布を有する炭素の代わりに炭素-13を有し得る。同位体濃縮は、化合物上の1個の位置上にあってもよく、すなわち、1個の水素のみが重水素に置き換えられてもよく、又は1個より多い位置上にあってもよい。本開示はまた、全ての類似の原子がそれらのあまり一般的でない同位体によって置き換えられる化合物、例えば、全ての水素原子が重水素によって置き換えられたペル重水素化合物を包含する。同位体的に濃縮された化合物は、NMRスペクトルを得るとき、又は反応を受けた化合物の反応速度を管理する際に同位体効果を利用するときに有用である。
【0032】
「薬学的組成物」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の化合物と、希釈剤又は担体等の他の化学構成要素との混合物を指す。薬学的組成物は、生物への化合物の投与を促進する。経口、注射、エアロゾル、非経口、及び局所投与を含むが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当該技術分野に存在する。薬学的組成物は、化合物を、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等と反応させることによっても得ることができる。
【0033】
「担体」という用語は、化合物の細胞又は組織への取り込みを促進する化学化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進するため、一般的に利用される担体である。
【0034】
「希釈剤」という用語は、目的の化合物を溶解するとともに、化合物の生物活性形態を安定化する、水中で希釈される化学化合物を定義する。緩衝溶液に溶解した塩は、当該技術分野において希釈剤として利用される。一般的に使用される緩衝溶液の1つは、ヒト血液の塩条件を模倣するため、リン酸緩衝生理食塩水である。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを制御することができるため、緩衝希釈剤は、化合物の生物活性を改変することはほとんどない。
【0035】
特定の実施形態において、同じ物質は、担体、希釈剤、若しくは賦形剤として作用し得るか、又はいずれか2個の役割を有し得るか、又は3個全ての役割を有し得る。したがって、薬学的組成物への単一の添加剤は、複数の機能を有することができる。
【0036】
「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物活性及び特性を無効にしない担体又は希釈剤を定義する。
【0037】
化合物
一態様では、化合物1の鏡像異性体が本明細書に開示される。
【化11】
【0038】
化合物1の調製を以下の実施例に記載する。化合物1の鏡像異性体は、当該技術分野で既知の方法を使用して分離されてもよい。より具体的には、以下の分取HPLC条件:カラム、CHIRALPAK AS-H、2.0cm×25cm(5μm)、移動相A:CO、移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、流速:45mL/分、勾配:20%B、検出波長:220nmの下で1番目に溶出する化合物(保持時間20.83分で)は、本明細書では化合物1aと称され、一方で、2番目に溶出する化合物(保持時間22.78分で)は、本明細書では化合物1bと称される。
【0039】
薬学的組成物
別の態様では、本明細書に記載される化合物1aと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる薬学的組成物が本明細書に開示される。
【0040】
本明細書に開示される薬学的組成物は、希釈剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、又は香味剤等の薬学的に許容される担体を含んでいてもよく、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、懸濁液、エマルション、若しくはシロップ等の経口剤形、又は外部使用のための液体、外部使用のための懸濁液、外部使用のためのエマルション、ゲル(軟膏等)、吸入剤、散布剤、注射等の非経口剤形へと製剤化されてもよい。上述の剤形は、様々な形態、例えば、単回投与又は複数回投与のための剤形へと製剤化されてもよい。
【0041】
本明細書に開示される薬学的組成物は、ラクトース、コーンスターチ等の賦形剤、ステアリン酸マグネシウム等の流動促進剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、及び等張化剤等を含んでもよい。所望される場合、甘味剤及び/又は香味剤を添加してもよい。例示的な賦形剤としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、水素化ヒマシ油(HCO)、クレモフォール、炭水化物、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、無機塩、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤/充填剤、界面活性剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム)、タルク等の流動促進剤、崩壊剤、希釈剤、緩衝剤、酸、塩基、フィルムコート、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0042】
具体的な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース等の単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等の多糖類、及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール等のアルジトールが挙げられる。
【0043】
無機塩又は緩衝剤としては、限定されないが、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
本開示で使用するのに好適な抗酸化剤としては、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシラートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
追加の例示的な賦形剤としては、界面活性剤、例えば、「Tween 20」及び「Tween 80」等のポリソルベート、及びF68及びF88(その両方がBASF、Mount Olive,N.J.から入手可能である)等のプルロニックス、ソルビタンエステル、脂質(例えば、リン脂質、例えば、レシチン及び他のホスファチジルコリン、及びホスファチジルエタノールアミン)、脂肪酸及び脂肪族エステル、コレステロール等のステロイド、並びにEDTA、亜鉛及び他のこのような適切なカチオン等のキレート剤が挙げられる。
【0046】
更に、本明細書に開示される組成物は、任意選択的に、1つ以上の酸又は塩基を含んでもよい。使用可能な酸の非限定的な例としては、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸が挙げられる。好適な塩基の非限定的な例としては、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基が挙げられる。
【0047】
組成物中の任意の個々の賦形剤の量は、賦形剤の役割、活性剤構成要素の投与要件、及び組成物の特定の必要性に応じて変動することになる。しかしながら、一般に、賦形剤は、組成物中に、賦形剤の約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~約98重量%、より好ましくは約15重量%~約95重量%の量で存在する。一般に、本開示の組成物中に存在する賦形剤の量は、少なくとも約2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は更に95重量%から選択される。
【0048】
本明細書に記載の薬学的組成物は、ヒト患者自身に、又は併用療法におけるようにそれらが他の活性成分と混合されて、又は好適な担体若しくは賦形剤と混合されている薬学的組成物で投与され得る。本出願の化合物の製剤化及び投与のための技術は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,18th edition,1990に見出され得る。
【0049】
好適な投与経路は、例えば、経口、経皮、直腸、経粘膜、又は腸管投与を含んでもよく、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射を含む非経口送達、並びに吸入、髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内注射を含んでもよい。
【0050】
本明細書に開示されている薬学的組成物は、それ自体が知られている形式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣剤作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入又は錠剤化プロセスによって製造し得る。次いで、これらの薬学的組成物は、賦形剤及び/又は補助剤を含む1つ以上の既知の生理学的に許容される担体を使用して、従来の方法で製剤化されてもよく、これは、活性化合物を、薬学的に使用可能な製剤へと加工するのを容易にする。周知の技術、担体及び賦形剤のいずれも、当該技術分野、例えば上のRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて好適かつ理解されているように使用し得る。
【0051】
本明細書に開示される製剤における使用に適した薬学的組成物は、活性成分が、その意図された目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を含む。より具体的には、治療有効量とは、治療される対象の疾患を予防するか、その症状を緩和するか、又は改善するか、又は対象の生存を延長するのに有効な化合物の量を意味する。いくつかの実施形態では、治療有効量とは、疾患の症状を緩和するか、又は改善するか、又は対象の生存を延長するのに有効な化合物の量を意味する。
【0052】
正確な投薬量は、薬物ごとに決定することができるが、ほとんどの場合、投薬量に関するいくつかの一般化を行うことができる。成人のヒト患者のための1日投薬量レジメンは、例えば、0.001mg~1000mg、好ましくは0.01mg~500mg、例えば、1~200mgの各成分、又は本明細書に開示される薬学的組成物の各活性成分、又は遊離塩基若しくは遊離酸として計算されるその薬学的に許容される塩の経口用量であってもよく、組成物は、1日に1~4回、又は1週間に1回投与される。代替的に、本明細書に開示される組成物は、持続放出、遅延放出、又は徐放性放出等の連続的な放出によって、好ましくは、1日当たり最大500mgの各成分の用量で投与されてもよい。したがって、各成分の経口投与による1日の総投薬量は、典型的には、0.1mg~2000mgの範囲である。
【0053】
治療方法
別の態様では、患者において甲状腺ホルモン受容体関連障害を治療する方法であって、本方法が、甲状腺ホルモン受容体関連障害の治療を必要とする患者を特定するステップと、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物を患者に投与するか、又は患者と接触させるステップとを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0054】
別の態様では、患者において甲状腺ホルモン受容体関連障害を治療する方法であって、本方法が、甲状腺ホルモン受容体関連障害の治療を必要とする患者を特定するステップと、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物を患者に投与するか、又は患者と接触させるステップとを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0055】
別の態様では、患者において甲状腺ホルモン受容体関連障害を治療する方法であって、本方法が、甲状腺ホルモン受容体関連障害の治療を必要とする患者を特定するステップと、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物を患者に投与するか、又は患者と接触させるステップとを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0056】
いくつかの実施形態では、医師、医師の助手、看護師等の医療従事者は、甲状腺ホルモン受容体関連障害の治療を必要とする個体、及び/又は本明細書に開示される化合物による治療の候補者を特定する。特定は、医学的試験結果、他の第一選択療法に対する非応答性、特定の肝臓障害の特定の性質等に基づいてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、甲状腺ホルモン受容体関連障害は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される。
【0058】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0059】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0060】
別の態様では、障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法が本明細書に開示される。
【0061】
別の態様では、NASHを治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0062】
別の態様では、NASHを治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0063】
別の態様では、NASHを治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0064】
別の態様では、肥満を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0065】
別の態様では、肥満を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0066】
別の態様では、肥満を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0067】
別の態様では、高脂血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0068】
別の態様では、高脂血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0069】
別の態様では、高脂血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0070】
別の態様では、高コレステロール血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0071】
別の態様では、高コレステロール血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0072】
別の態様では、高コレステロール血症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0073】
別の態様では、糖尿病を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0074】
別の態様では、糖尿病を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0075】
別の態様では、糖尿病を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0076】
別の態様では、肝脂肪症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0077】
別の態様では、肝脂肪症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。
【0078】
別の態様では、肝脂肪症を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる治療有効量の組成物を対象に投与することを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。
【0079】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。いくつかの実施形態では、接触させることは、インビトロ又はエクスビボであるが、一方で、他の実施形態では、接触させることは、インビボである。
【0080】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1aである。いくつかの実施形態では、接触させることは、インビトロ又はエクスビボであるが、一方で、他の実施形態では、接触させることは、インビボである。
【0081】
別の態様では、甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、本明細書に記載される化合物1aを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、接触させることは、インビトロ又はエクスビボであるが、一方で、他の実施形態では、接触させることは、インビボである。
【実施例
【0082】
実施例1。化合物1a及び1bの調製
【化12】
4-トルエンスルホニルヒドラジド(20.0g、107mmol)のCHOH(200mL)溶液を撹拌し、4-トルエンスルホニルヒドラジド(20.0g、107mmol)が溶解するまで、60℃まで加熱した。次いで、シクロプロピルメチルケトン(10.8g、129mmol)を混合物にゆっくりと添加した。得られた溶液を、60℃で1時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル/酢酸エチル(4/1)を用いてシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーにかけ、N’-(1-シクロプロピルエチリデン)-4-メチルベンゼンスルホノヒドラジド(18g、66%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.86(s,1H),7.65-7.72(m,2H),7.36-7.39(m,2H),2.36(s,3H),1.57(s,3H),1.44-1.50(m,1H),0.61-0.64(m,2H),0.50-0.59(m,2H).LC-MS(ESI,m/z):253[M+H]
【0083】
N’-(1-シクロプロピルエチリデン)-4-メチルベンゼンスルホノヒドラジド(9.00g、35.7mmol)、t-ブトキシドリチウム(5.71g、71.3mmol)、CuI(2.04g、10.7mmol)の撹拌ジオキサン(20mL)溶液に、N雰囲気下で、エチニルトリイソ-プロピルシラン(4.55g、25.0mmol)を添加した。反応混合物を、110℃で1時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、セライトパッドをTHF(3×50mL)で洗浄した。濾液を集め、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルを用いてシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーにかけ、(3-シクロプロピルブタ-1-イン-1-イル)トリイソプロピルシラン(5g、56%)を褐色油状物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ2.51-2.54(m,1H),1.16(d,J=4.0Hz,3H),0.90-1.01(m,19H),0.80-0.85(m,3H),0.32-0.39(m,2H),0.23-0.29(m,2H)。
【0084】
(3-シクロプロピルブタ-1-イン-1-イル)トリイソプロピルシラン(5g,20.0mmol)のTHF(10mL)溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(30mL、THF中1M、30.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで80℃で蒸留して、ブタ-3-イン-2-イルシクロプロパン(28mL、THF溶液中)を得た。GC-MS(ESI,m/z):94[M]
【0085】
ジクロロ-1,2,4,5-テトラジン(1.20g、7.95mmol)及びブタ-3-イン-2-イルシクロプロパン(2.00g、21.2mmol)のジオキサン(24mL)溶液を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を、分取HPLCカラム:XBridge Prep OBD C18、19×250mm、5μm、移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:CHCN、流速:25mL/分;勾配:53%Bから71%Bまで8分以内で、254nm)によって分離して、3,6-ジクロロ-4-(1-シクロプロピルエチル)ピリダジン(600mg、35%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.55(s,1H),2.38-2.45(m,1H),1.33(d,J=8.0Hz,3H),0.93-1.03(m,1H),0.67-0.74(m,1H),0.51-0.58(m,1H),0.31-0.37(m,1H),0.13-0.20(m,1H)。LC-MS(ESI,m/z):217[M+H]
【0086】
3,6-ジクロロ-4-(1-シクロプロピルエチル)ピリダジン(600mg、2.76mmol)、N-[2-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジオキソ-4H-1,2,4-トリアジン-6-イル]カルバミン酸t-ブチル(2.15g、5.53mmol)、KCO(1.15g、8.29mmol)及びCuI(263mg、1.38mmol)のDMSO(20mL)溶液を110℃で一晩撹拌し、次いで、水(20mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、固体を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を、メタノール/ジクロロメタン(1/9)を用いてシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーにかけ、6-アミノ-2-(3,5-ジクロロ-4-[[6-クロロ-5-(1-シクロプロピルエチル)ピリダジン-3-イル]オキシ]フェニル)-4H-1,2,4-トリアジン-3,5-ジオン(700mg、54%)を褐色固体として得た。LC-MS(ESI,m/z):469[M+H]
【0087】
6-アミノ-2-(3,5-ジクロロ-4-[[6-クロロ-5-(1-シクロプロピルエチル)ピリダジン-3-イル]オキシ]フェニル)-4H-1,2,4-トリアジン-3,5-ジオン(700mg、1.49mmol)の酢酸(10mL)溶液に、酢酸ナトリウム(611mg、7.45mmol)を添加した。混合物を100℃で一晩撹拌した。混合物反応物を室温まで冷却し、水(20mL)でクエンチし、10分間撹拌した。得られた固体を濾過によって単離し、水(2×50mL)石油エーテル(2×50mL)で洗浄し、次いで減圧下で乾燥させて粗生成物(300mg)を得て、CHCN/HO(4/6)を用いたC18カラムによって更に精製して、6-アミノ-2-(3,5-ジクロロ-4-[[5-(1-シクロプロピルエチル)-6-オキソ-1H-ピリダジン-3-イル]オキシ]フェニル)-4H-1,2,4-トリアジン-3,5-ジオン(170mg、25%)を黄色固体として得た。LC-MS(ESI,m/z):451[M+H]
【0088】
試料(160mg)を、分取キラルクロマトグラフィー(カラム:CHIRALPAK(登録商標)AS-H、2.0cm×25cm(5μm)、移動相A:CO、移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、流速:45mL/分、勾配:20%B、220nm、保持時間(Rt)ピーク1:20.83分、Rtピーク2:22.78分、注入体積:4.8mL、17ラン)によって分離し、2つの異性体を得た。CHIRALPAK(登録商標)AS-H、2.0cm×25cm(5μm)は、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する多糖ベースのキラルカラムである。
【0089】
1番目に溶出する異性体(化合物1a):60mg(純度95%)を、分取HPLCカラム:Kinetex EVO C18、30×150mm、5μm、移動相A:水(10mmol/L NHHCO+0.1%NH.HO)、移動相B:CHCN、流速:60mL/分、勾配:20%Bから40%Bまで7分以内で、254nm)によって精製し、白色固体(16.3mg、10%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ12.20-12.30(m,2H),7.86(s,2H),7.56(s,1H),6.65(s,2H),2.11-2.29(m,1H),1.25(d,J=7.0Hz,3H),1.03-1.12(m,1H),0.41-0.62(m,2H),0.12-0.30(m,2H)。LC-MS(ESI,m/z):451[M+H]
【0090】
2番目に溶出する異性体(化合物1b):40mg(純度95%)を、分取HPLCカラム:Kinetex EVO C18、30×150mm、5μm、移動相A:水(10mmol/L NHHCO+0.1%NH.HO)、移動相B:ACN、流速:60mL/分、勾配:20%Bから40%Bまで7分以内で、254nm)によって精製し、白色固体(4.8mg、3%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ12.20(br,2H),7.86(s,2H),7.56(s,1H),6.50(s,2H),2.19-2.23(m,1H),1.24(d,J=7.0Hz,3H),1.08-1.11(m,1H),0.44-0.54(m,2H),0.13-0.26(m,2H)。LC-MS(ESI,m/z):451[M+H]
【0091】
実施例2。化合物1aの生物学的特性決定
THR生化学アッセイ
TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイを、製造業者のプロトコール(Invitrogen)をわずかに最適化して改変しつつ、使用した。このアッセイは、テルビウム標識抗GST抗体、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ化ヒト甲状腺受容体、ベータ又はアルファ、リガンド結合ドメイン(LBD)、及びフルオレセイン標識SRC2-2コアクチベーターペプチドを使用する。抗体は、LBDと相互作用し、その場所でアゴニストも結合し、SRC2-2コアクチベーターペプチドに対する親和性が増加し、アクセプターフルオロフォアのエネルギー伝達及び495~520nmのFRET発光シフトを引き起こす。エネルギー伝達は、フルオレセインアクセプターの蛍光発光の増加、及びテルビウムドナーの蛍光発光の減少として検出された。20μLの最終体積で、384ウェルの黒色プレート中でアッセイを行った。様々な試験アゴニストの段階希釈をDMSO(1%最終DMSO濃度)中で実施し、試験プレートに添加した。甲状腺受容体ベータLBDを1nMの最終濃度でプレートに添加し、続いてフルオレセイン標識SRC2-2コアクチベーターペプチド、及びテルビウム標識抗GST抗体のそれぞれ200nM及び2nMの最終濃度の混合物を加えた。アッセイを、光から保護しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、495nm及び520nmの発光フィルタを備えた340nmの励起波長を使用して、TR-FRETをVictorマルチラベルリーダー(Perkin Elmer)で測定した。アッセイを、強度の比(520:495)、及び得られた活性化曲線を表現することによって定量化し、EC50値を、GraphPad(商標)Prism8.0におけるシグモイド用量応答(可変勾配)方程式を使用して生成した。化合物1a及び1b、並びに参照化合物2についてのデータを表1に示す。
【0092】
HEK293TレポーターTHRアルファ/ベータ/RXRレポーターアッセイ
このアッセイの目的は、HEK293T細胞における甲状腺ホルモン核受容体経路に対する化合物の効果を評価することである。この目的のために、HEK293T細胞を、甲状腺応答エレメント(TRE)の制御下のルシフェラーゼレポーター、RXR発現プラスミド、及びTHRアルファ又はTHRベータのいずれかの発現プラスミドで一過性にトランスフェクトする。トランスフェクトされた細胞は、ルシフェラーゼ読み出しを介して甲状腺ホルモン経路の活性化が測定される前に、試験化合物で18~24時間刺激される。
【0093】
手順。トランスフェクションの24時間前、約7×105個のHEK293T(ATCC、カタログ番号CRL-3216)を、10%FBS(Gibco、カタログ番号16000-044)を補充したDMEM(Hyclone、カタログ番号SH30022)を使用して6ウェルプレートの1個のウェル内に播種し、一晩インキュベートした。トランスフェクション複合体は、12μLのLipofectamine 2000(Invitrogenカタログ番号11668019)と、200μLのOptiMem(Invitrogenカタログ番号11058-021)中の1:1:4(TRアルファ又はTRベータ:RXR:TRE-Luc)の比率での4μgのプラスミド混合物とを混合することによって調製し、細胞に加えた。一晩インキュベートした後、トランスフェクトした細胞を(1×104細胞/ウェル、30μL/ウェル)で384マイクロプレートに再播種し、更に5~6時間インキュベートした。10個の試験化合物の5倍希釈液をDMSO中で調製し、30nLを細胞に分配した。純粋なDMSOが、陰性対照の役割を果たし、一方、T3(MCEカタログ番号HY-A0070)及びGC-1(MCEカタログ番号HY-14823)を陽性対照として使用した。化合物添加の約18~24時間後、384ウェルプレートを室温に調整し、30μLのOne-Glo(Promegaカタログ番号E6120)を各ウェルに添加し、発光をPerkin Elmer Enspireプレートリーダーで測定した。アゴニズムパーセントは、以下の方程式を使用して計算された。100×(試料-陰性対照)/(陽性対照-陰性対照)。
【0094】
マイクロソーム安定性アッセイ手順
このアッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートで行った。1μMの最終濃度の試験化合物を、0.5mg/mLの肝臓ミクロソームとともに、37℃でインキュベートし、100mMのリン酸カリウム、3.3mMのMgClを含むpH7.4緩衝液中の±1mMのNADPHとともにインキュベートした。各反応混合物は、25μLの体積を有し、最終DMSOは、0.1%であった。各時点(0、15、30及び60分)で、150μLのクエンチ溶液(100%アセトニトリル、0.1%ギ酸)を添加することによってインキュベーションを停止し、その後、混合物を20分間、激しくボルテックス撹拌し、4℃、4,000RPMで遠心分離した。上清(80μL)を清潔な96ウェルプレートに移し、LC/MS/MSによって分析した。最終的な0.1%DMSOを有する1μMのベラパミルを、アッセイ性能を検証するための陽性対照として含めた。化合物1a及び参照化合物2についてのデータを表1に示す。
【0095】
参照化合物2は、以下の化学構造の化合物に対応する。
【化13】
化合物2は、WO2019240938に、以前に開示されている。
【0096】
肝細胞安定性アッセイ手順
凍結保存された肝細胞を液体窒素タンクから採取し、37℃の水浴中で速やかに解凍した。細胞がバイアルの壁から引き離されたらすぐに、それを、48mLの温解凍(HT)培地内でデカンテーションした。細胞を420RPM(50g)で5分間遠心分離した。上清を除去した後、ペレットを、4mLの温かいダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)中に再懸濁した。細胞密度を、血球計算盤によってカウントした。
【0097】
このアッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートで行った。試験化合物を、37℃で0、60、120、及び180分間、DMEM中の50万個の細胞/mLの肝細胞とともに1μMでインキュベートした。インキュベーション混合物の体積は37μLであり、最終的なDMSO含有量は0.1%であった。各時点で、インキュベーションを、150μLのクエンチ溶液(100%アセトニトリル、15nMの内部標準ブセチンを含有する0.1%ギ酸)の添加によって停止させた。その後、混合物を20分間ボルテックス撹拌し、10℃、4,000RPMで遠心分離した。80μLの上清のアリコートを清潔な96ウェルプレートに移し、LC/MS/MSによって分析した。最終的な0.1%DMSO含有量を有する1μMのミダゾラムを、アッセイ性能を検証するための陽性対照として含めた。化合物1a及び参照化合物2についてのデータを表1に示す。
【0098】
ラットにおける薬物動態
雄Sprague-Dawleyラットに、60%PEG400水溶液中の0.500mg/mL溶液中、1mg/kgの静脈内ボーラス用量として試験化合物を投与した。化合物1a及び参照化合物2についてのデータを表1に示す。
【表1】
【0099】
生化学アッセイで、化合物1aは、その鏡像異性体である化合物1bと比較して、より高いインビトロTHR-β選択性を示す。化合物1aは、化合物2と比較して、予想外に長いインビトロ半減期を有する。化合物1aのインビトロ代謝安定性は、肝臓ミクロソーム又は全細胞肝細胞データに関して、化合物2よりも高い。化合物1aのインビトロ代謝安定性は、肝臓ミクロソームデータに関して、鏡像異性体である化合物1bよりも高く、また、全細胞ヒト肝細胞において、より安定性が高い。
【表2】
【0100】
マウス有効性モデルにおけるコレステロール減少
モデルの説明。WT C57BL/6マウスに、高脂肪餌(D12109C)を2週間にわたって与えた。化合物1aの投与前に、ベースライン脂質レベルを測定するために血液を抜き取った。化合物1aを、7日間にわたって毎日(p.o.)投与した。脂質レベルを測定するために血液を抜き取った。
【0101】
化合物1aは、0.025mg/kg BIDの1日経口用量で、コレステロールの24.5%減少を示した。
【0102】
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【0103】
実施形態
実施形態P1。甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供する、方法。
【0104】
実施形態P2。甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に調節する方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供する、方法。
【0105】
実施形態P3。障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約336ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法。
【0106】
実施形態P4。障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択される、方法。
【0107】
実施形態P5。化合物が、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する、実施形態1~4のうちのいずれか1つの方法。
【0108】
実施形態P6。化合物が、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する、実施形態1~5のうちのいずれか1つの方法。
【0109】
実施形態P7。化合物が、化合物1aである、実施形態1~6のうちのいずれか1つの方法。
【0110】
追加の実施形態
実施形態1。以下からなる混合物のクロマトグラフィー精製によって得られる、鏡像異性体化合物であって、
【化14】
精製が、以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して行われ、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
鏡像異性体化合物が、その条件下で1番目に溶出される、鏡像異性体化合物。
【0111】
実施形態2。TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイ又はHEK293T細胞レポーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー精製中に2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する、実施形態1の鏡像異性体化合物。
【0112】
実施形態3。以下の化学構造を有する化合物、
【化15】
又はその薬学的に許容される塩。
【0113】
実施形態4。以下の化学構造を有する化合物、
【化16】
又はその薬学的に許容される塩。
【0114】
実施形態5。以下の条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用して決定される場合に、約20.8分の保持時間を有する化合物であって、
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm、
化合物が、
【化17】
の鏡像異性体である、化合物。
【0115】
実施形態6。甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、化合物が、
【化18】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【0116】
実施形態7。血液血漿濃度が、約336ng/mLである、実施形態6の方法。
【0117】
実施形態8。甲状腺ホルモン受容体ベータ(THR-β)の活性を選択的に増加させる方法であって、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、甲状腺ホルモン受容体とを接触させることを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、化合物が、
【化19】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【0118】
実施形態9。障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から12時間後に約300~400ng/mLのラットにおける血液血漿濃度を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、化合物が、
【化20】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【0119】
実施形態10。血液血漿濃度が、約336ng/mLである、実施形態9の方法。
【0120】
実施形態11。障害又は疾患を治療することが必要な対象においてそれを行う方法であって、本方法が、化合物、又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、静脈内投与から約5.25時間後にラットにおける半減期を提供し、障害又は疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、肝脂肪症、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、及び甲状腺がんから選択され、化合物が、
【化21】
の鏡像異性体であり、以下のクロマトグラフィー条件下、5μmのシリカゲル上にコーティングされたアミローストリス-[(S)-α-メチルベンジルカルバメート]を含有する2cm×25cmカラムを使用する場合に1番目に溶出する、方法:
移動相A:CO
移動相B:CHOH(0.1% 2M NH-CHOH)、
勾配:20%B、
流速:45mL/分、及び
UV検出:λ=220nm。
【0121】
実施形態12。化合物が、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、甲状腺ホルモン受容体ベータについて、甲状腺ホルモン受容体アルファの少なくとも9倍の選択性を有する、実施形態6~11のうちのいずれか1つの方法。
【0122】
実施形態13。化合物が、マウス、ラット、又はヒト肝細胞アッセイにおいて、360分を超える半減期を有する、実施形態6~12のうちのいずれか1つの方法。
【0123】
実施形態14。化合物が、TR-FRET甲状腺受容体ベータコアクチベーターアッセイにおいて、クロマトグラフィー条件下で2番目に溶出するその鏡像異性体対応物よりも大きなTHR-β活性を有する、実施形態6~13のうちのいずれか1つの方法。
【0124】
特定の実施形態を示して説明してきたが、以下の特許請求の範囲に定義されるそのより広い態様の技術から逸脱することなく、当業者によって変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0125】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、限定又は複数の限定がなくても好適に実施することができる。したがって、例えば、「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」、「含有すること(containing)」等の用語は、広義かつ限定されずに、読み取られるべきである。加えて、本明細書で使用されている用語及び表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部のいずれかの同等物を除外する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であると認識される。加えて、「~から本質的になる」という語句は、具体的に列挙された要素、及び特許請求される技術の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の要素を含むことが理解されるであろう。「~からなる」という語句は、指定されていないあらゆる要素を除外する。
【0126】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示が、それによってマーカッシュ群のいずれかの個々のメンバー又はメンバーのサブグループの観点からも記載されることを認識するであろう。
【0127】
当業者によって理解されるであろうように、いずれか及び全ての目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、いずれか及び全ての可能な部分範囲並びにそれらの部分範囲の組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲を、少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1に分解することを十分に記載し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下側3分の1、中央の3分の1、及び上側3分の1等に容易に分解することができる。また、当業者に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「~より大きい」、「~未満」等の全ての言語は、列挙される数を含み、後に上で考察されたように部分範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。
【0128】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、登録された特許、及び他の文献は、各々、個々の刊行物、特許出願、登録された特許、又は他の文献が、その全体が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれたテキストに含まれる定義は、本開示の定義と矛盾する程度まで除外される。
【国際調査報告】