(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】相変化材料ベースのXOR論理ゲート
(51)【国際特許分類】
H10B 63/10 20230101AFI20231206BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530241
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021079851
(87)【国際公開番号】W WO2022117264
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ナンボ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA09
5F083GA30
5F083JA60
5F083KA00
5F083KA16
5F083ZA11
(57)【要約】
装置は、相変化材料と、相変化材料の第1の端部にある第1の電極と、相変化材料の第2の端部にある第2の電極と、第1の端部と第2の端部との間の相変化材料の少なくとも所与の部分に結合された加熱素子とを備える。装置はまた、加熱素子に結合された第1の入力端子と、加熱素子に結合された第2の入力端子と、第2の電極に結合された出力端子とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
相変化材料と、
前記相変化材料の第1の端部にある第1の電極と、
前記相変化材料の第2の端部にある第2の電極と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記相変化材料の少なくとも所与の部分に結合された加熱素子と、
前記加熱素子に結合された第1の入力端子と、
前記加熱素子に結合された第2の入力端子と、
前記第2の電極に結合された出力端子と
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の入力端子が、第1の端子および第2の端子を備える第1のダイオードと、第1の抵抗素子とを備え、前記第1のダイオードの前記第2の端子が前記第1の抵抗素子に結合され、前記第1の抵抗素子が前記加熱素子に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の入力端子が、第1の端子および第2の端子を備える第2のダイオードと、第2の抵抗素子とを備え、前記第2のダイオードの前記第2の端子が前記第2の抵抗素子に結合され、前記第2の抵抗素子が前記加熱素子に結合されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱素子と前記相変化材料の前記所与の部分との間に配置された電気絶縁性かつ熱伝導性の層をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記相変化材料の別の部分に結合された追加の加熱素子をさらに備え、前記追加の加熱素子がイネーブル入力端子に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記追加の加熱素子と前記相変化材料の前記別の部分との間に配置された電気絶縁性かつ熱伝導性の層をさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱素子に結合されたイネーブル出力端子をさらに備え、前記イネーブル出力端子が追加のデバイスのイネーブル入力端子に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記相変化材料および前記加熱素子が、前記第1および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、前記出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された論理ゲートの少なくとも一部を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
2つ以上の論理段を備えるシステムであって、前記2つ以上の論理段のそれぞれが、1つまたは複数の論理デバイスを備え、前記2つ以上の論理段のうちの所与の論理段の前記1つまたは複数の論理デバイスのうちの少なくとも1つが、前記第1および第2の入力端子の一方が真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置を有する相変化材料ベースの論理ゲートを備え、前記所与の論理段の前記相変化材料ベースの論理ゲートが、前記2つ以上の論理段のうちの別の論理段の論理デバイスに前記加熱素子を結合するイネーブル出力端子を備える、システム。
【請求項10】
前記所与の論理段の前記相変化材料ベースの論理ゲートが、前記相変化材料の少なくとも別の部分に結合された追加の加熱素子に結合されたイネーブル入力端子を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記所与の論理段の前記相変化材料ベースの論理ゲートの前記イネーブル入力端子が、前記2つ以上の論理段のうちの前の論理段の論理デバイスのイネーブル出力端子に結合されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記所与の論理段の前記相変化材料ベースの論理ゲートの前記イネーブル出力端子が、前記2つ以上の論理段のうちの後続の論理段の論理デバイスのイネーブル入力端子に結合されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記後続の論理段の前記論理デバイスが、別の相変化材料ベースの論理ゲートを備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記所与の論理段の前記相変化材料ベースの論理ゲートの前記出力端子が、前記後続の論理段の前記別の相変化材料ベースの論理ゲートの相変化材料に結合された別の加熱素子への入力に結合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
加熱素子に結合された第1の入力端子に第1の電圧を供給することであり、前記加熱素子が、相変化材料の第1の端部と前記相変化材料の第2の端部との間の前記相変化材料の少なくとも所与の部分に結合され、前記相変化材料の前記第1の端部が第1の電極に結合され、前記相変化材料の前記第2の端部が第2の電極に結合されている、前記供給することと、
前記加熱素子に結合された第2の入力端子に第2の電圧を供給することと、
前記第2の電極に結合された出力端子の電圧の大きさを測定することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第2の電極に結合された前記出力端子の前記電圧の前記測定された大きさに基づいて論理ゲートの出力値を決定することをさらに含み、前記第1の入力端子が前記論理ゲートへの第1の入力を含み、前記第2の入力端子が前記論理ゲートへの第2の入力を含み、前記出力端子が前記論理ゲートの出力を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電圧を前記第1の入力端子に供給することが、前記第1の入力の値が真の場合に、1つまたは複数の正の電圧パルスを前記第1の入力端子に印加することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の電圧を前記第2の入力端子に供給することが、前記第2の入力の値が真の場合に、1つまたは複数の正の電圧パルスを前記第2の入力端子に印加することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第1の相の前記相変化材料が第1の抵抗率を有し、第2の相の前記相変化材料が前記第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有し、前記第1の入力端子に前記第1の電圧を供給する前、および前記第2の入力端子に前記第2の電圧を供給する前に、前記相変化材料の前記所与の部分を前記第1の相にリセットすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
論理ゲートを動作させる方法であって、
前記論理ゲートへの2つ以上の入力のうちの1つが排他的に真であることに応答して、相変化材料の少なくとも所与の部分を第1の抵抗率を有する第1の相に設定することと、
前記論理ゲートへの前記2つ以上の入力のうちの2つが真であることに応答して、前記相変化材料の前記所与の部分を、前記第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有する第2の相に設定することと、
前記相変化材料の第1の端部に結合された入力電極と前記相変化材料の第2の端部に結合された出力電極との間の測定された抵抗に基づいて、前記論理ゲートの出力論理状態を決定することと
を含む、方法。
【請求項21】
加熱素子が、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記相変化材料の前記所与の部分に結合され、前記相変化材料の前記所与の部分を前記第1の相に設定することが、前記加熱素子に結合された第1の入力端子および前記加熱素子に結合された第2の入力端子の一方に1つまたは複数の正の電圧パルスを印加することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記相変化材料の前記所与の部分を前記第2の相に設定することが、前記加熱素子に結合された前記第1の入力端子および前記加熱素子に結合された前記第2の入力端子の両方に1つまたは複数の正の電圧パルスを印加することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
方法であって、
2つ以上の論理段のうちの第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の電流を測定することと、
前記第1の論理段の前記第1の論理デバイスの前記イネーブル出力端子の前記測定された電流が指定されたしきい値イネーブル電流を超えるかどうかを判定することと、
前記第1の論理段の前記第1の論理デバイスの前記イネーブル出力端子の前記測定された電流が前記指定されたしきい値イネーブル電流を超えると判定したことに応答して、前記2つ以上の論理段のうちの第2の論理段の第2の論理デバイスのイネーブル入力端子をトリガすることと
を含み、
前記第2の論理デバイスが、前記加熱素子に結合された第1の入力端子および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、相変化材料および加熱素子を含む相変化材料ベースの論理ゲートを備える、
方法。
【請求項24】
前記第2の論理デバイスの前記イネーブル入力端子をトリガすることが、前記相変化材料の前記所与の部分に結合された追加の加熱素子から前記相変化材料の前記所与の部分への熱の印加を制御することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第1の相の前記相変化材料が第1の抵抗率を有し、第2の相の前記相変化材料が前記第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有し、前記第2の論理デバイスの前記イネーブル入力端子をトリガすることが、前記相変化材料の前記所与の部分を前記第2の相にリセットすることを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、半導体に関し、より詳細には、半導体構造体を形成するための技術に関する。半導体および集積回路チップは、特にコストおよびサイズが減少し続けるにつれ、多くの製品内の至る所で見られるようになった。構造的特徴のサイズを縮小すること、または所与のチップサイズに対して、より多数の構造的特徴を設けること、あるいはその両方が引き続き望まれている。一般に、小型化により、より低い電力レベルおよびより低いコストで性能を向上させることができる。現在の技術は、論理ゲート、電界効果トランジスタ(FET)、およびコンデンサなどの特定のマイクロデバイスの原子レベルのスケーリングにあり、またはそれに近づきつつある。
【発明の概要】
【0002】
本発明の実施形態は、相変化材料を利用してXOR論理ゲートを実装するための技術を提供する。
【0003】
一実施形態では、装置は、相変化材料と、相変化材料の第1の端部にある第1の電極と、相変化材料の第2の端部にある第2の電極と、第1の端部と第2の端部との間の相変化材料の少なくとも所与の部分に結合された加熱素子とを備える。本装置はまた、加熱素子に結合された第1の入力端子と、加熱素子に結合された第2の入力端子と、第2の電極に結合された出力端子とを備える。
【0004】
別の実施形態では、方法は、加熱素子に結合された第1の入力端子に第1の電圧を供給することを含み、加熱素子は、相変化材料の第1の端部と相変化材料の第2の端部との間の相変化材料の少なくとも所与の部分に結合され、相変化材料の第1の端部は第1の電極に結合され、相変化材料の第2の端部は第2の電極に結合される。本方法はまた、加熱素子に結合された第2の入力端子に第2の電圧を供給することと、第2の電極に結合された出力端子の電圧の大きさを測定することとを含む。
【0005】
別の実施形態では、論理ゲートを動作させる方法は、論理ゲートへの2つ以上の入力のうちの1つが排他的に真であることに応答して、相変化材料の少なくとも所与の部分を、第1の抵抗率を有する第1の相に設定することと、論理ゲートへの2つ以上の入力のうちの2つが真であることに応答して、相変化材料の所与の部分を、第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有する第2の相に設定することと、相変化材料の第1の端部に結合された入力電極と相変化材料の第2の端部に結合された出力電極との間の測定された抵抗に基づいて論理ゲートの出力論理状態を決定することとを含む。
【0006】
別の実施形態では、システムは、2つ以上の論理段を備え、2つ以上の論理段のそれぞれが1つまたは複数の論理デバイスを備える。2つ以上の論理段のうちの所与の論理段の1つまたは複数の論理デバイスのうちの少なくとも1つは、加熱素子に結合された第1および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、相変化材料および加熱素子を含む相変化材料ベースの論理ゲートを備える。所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートは、加熱素子を2つ以上の論理段のうちの別の論理段の論理デバイスに結合するイネーブル出力端子を備える。
【0007】
別の実施形態では、方法は、2つ以上の論理段のうちの第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の電流を測定することと、第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の測定された電流が、指定されたしきい値イネーブル電流を超えるかどうかを判定することと、第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の測定された電流が、指定されたしきい値イネーブル電流を超えると判定したことに応答して、2つ以上の論理段のうちの第2の論理段の第2の論理デバイスのイネーブル入力端子をトリガすることとを含む。第2の論理デバイスは、加熱素子に結合された第1および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、相変化材料および加熱素子を含む相変化材料ベースの論理ゲートを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるXOR論理ゲートの回路図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスのセット・パルスおよびリセット・パルスを示すプロットである。
【
図3】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスのプログラムされた抵抗およびプログラミング電流を示すプロットである。
【
図4】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスを使用して実装されたXOR論理ゲートを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスを使用して実装されたXOR論理ゲートを使用する多段論理システムを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、多段論理システムの一部である相変化メモリ・デバイスを使用して実装されたXOR論理ゲートを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスを使用して実装されたXOR論理ゲートを使用する多段論理システムのためのイネーブル制御回路を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、
図7の多段論理システムにおける
図6のXOR論理ゲートのタイミング制御図である。
【
図9】本発明の一実施形態による、1つまたは複数の論理ゲートを備える集積回路を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態による、多段論理システムを備える集積回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の例示的な実施形態は、本明細書では、相変化材料を使用して論理ゲートを形成するための例示的な方法、ならびにそのような方法を使用して形成された例示的な装置、システム、およびデバイスの文脈で説明されることがある。しかしながら、本発明の実施形態は、例示的な方法、装置、システム、およびデバイスに限定されず、代わりに、他の適切な方法、装置、システム、およびデバイスに、より広く適用可能であることを理解されたい。
【0010】
XOR(「排他的論理和」)とは、2つ以上の入力のうちの1つが排他的に真であるとき(例えば、2入力XORの場合、その入力が異なるとき)、「真」を出力する論理演算である。XORゲートは、その入力のうちの1つのみが真であるときに真の出力(例えば、1またはハイ)を与えるデジタル論理ゲートである。XORゲートは、AND、OR、およびNOTゲートの組合せなどの複数の他の論理ゲートを使用して構築されることがある。
図1は、NOTゲート101、ORゲート103、およびANDゲート105を使用して構築されたXORゲートの回路
図100を示す。
図1は、XOR論理演算の表150も示し、AおよびBに対する所与の入力値、出力Qの値が示されている。XOR論理を表すために現在利用可能な単一のデバイスはない。その代わりに、
図1の回路
図100に示すように、XOR論理を表すために複数のデバイスが使用されている。
【0011】
例示的な実施形態は、単一の相変化メモリ(PCM)デバイスのみを必要とするXOR論理を実行するための構造を提供する。したがって、実施形態は、XOR論理を実行するために使用される従来のトランジスタを置き換えるために単一のPCMデバイスが使用されるため、密度を大幅に改善することができる。一部の実施形態は、PCMデバイスのためのヒータ設計と、多段論理構造のためのイネーブル端子のセットとをさらに利用する。
【0012】
PCMは、不揮発性コンピュータ・メモリの一種である。PCMデバイスは、熱を加えることによって2つの状態(例えば、結晶状態と非晶質状態)を「切り替える」ことができる、カルコゲナイド・ガラスなどの特定の材料の挙動を使用する。カルコゲナイド・ガラスは、相変化材料の一例であり、相変化材料は、2つの主な状態(例えば、結晶状態と非晶質状態)で存在することを特徴とする。非晶質状態では、カルコゲナイド・ガラスまたは他の相変化材料は、第1の抵抗(例えば、高抵抗)を有し、一方、結晶状態では、カルコゲナイド・ガラスまたは他の相変化材料は、第1の抵抗とは異なる第2の抵抗(例えば、低抵抗)を有する。したがって、相変化材料は、2つの2値状態のうちの1つを表すために使用することができる。
【0013】
相変化材料を結晶状態と非晶質状態との間で変換するために、相変化材料の温度を変化させるように電流を印加することができる。例えば、相変化材料(例えば、カルコゲナイド・ガラス)を結晶状態から非晶質状態に「リセット」するためには、相変化材料の温度が摂氏約600度(℃)を超えるように高電流を印加することができる。これには、数ナノ秒持続する電流のパルスを相変化材料に印加する必要がある場合がある。相変化材料を「セット」する(例えば、相変化材料をその非晶質状態からその結晶状態に変換する)ためには、相変化材料(例えば、カルコゲナイド・ガラス)を、約400℃よりも低く約200℃よりも高い温度に加熱し、その温度で、ある持続時間保持し、その後、印加された電流パルスの減衰の形状に従って冷却させることができる。場合によっては、相変化材料をセットするのに必要な合計時間は、最大100ナノ秒またはそれ以上である。相変化材料の「セット」時間は、典型的には、その「リセット」時間よりも実質的に長い。しかしながら、セット時間およびリセット時間の特定の例、ならびにセット動作およびリセット動作のために与えられる特定の温度範囲は、例としてのみ提示されていることに留意されたい。実施形態は、これらの特定の値のみに限定されず、利用される相変化材料のタイプに基づいて変わることがある。
【0014】
上述したように、相変化材料は、カルコゲナイド相変化材料などの非晶質-結晶相変化材料であってもよい。カルコゲナイド相変化材料の相転移(phase transition)は、熱的に駆動され、室温で双安定である。カルコゲナイド相変化材料には、テルル化ゲルマニウム・アンチモン(GexSbyTez)、テルル化ゲルマニウム(GexTey)、テルル化アンチモン(SbxTey)、テルル化銀アンチモン(AgxSbyTez)、テルル化銀インジウム・アンチモン(AgwInxSbyTez)などが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、Ge2Sb2Te5が相変化材料として使用される。他の実施形態では、Ge3Sb2Te2、GeTe、SbTe、またはAgInSbTeが相変化材料として使用されることがある。これらのカルコゲナイド相変化材料では、カルコゲナイドを、結晶相と非晶質相との間で熱的に切り替えることができる。例えば、第1の電流パルス(例えば、短く強い電流パルス)を使用して、非晶質相カルコゲナイド相変化材料(例えば、GexSbyTez)を約300℃の温度までジュール加熱することができ、これにより、非晶質相カルコゲナイド相変化材料が結晶化する。より高いパワーであるが、より遅いパルスを有する第2の電流パルス(例えば、より長く、強度がより低い)を使用して、結晶相カルコゲナイド相変化材料を約600℃の温度までジュール加熱することができ、これにより、結晶相カルコゲナイド相変化材料を非晶質相に溶融急冷させる(melt-quench)。
【0015】
図2は、PCMデバイスに対する印加電圧を経時的に示すプロット200を示す。プロット200は、PCMデバイスの読み出し、セット・パルス、およびリセット・パルスに対して、電圧、したがって温度がどのように印加されるかを示す。プロット200は、PCMデバイスの結晶温度(T
CRYST)および融解温度(T
MELT)を示す線も示す。図示されるように、読み出し動作は、T
CRYST未満の電圧で、典型的にはリセット・パルスの長さより短い比較的短い持続時間実行される。リセット・パルスは、T
MELTよりも高い温度に対応する電圧を使用する。セット・パルスは、T
CRYSTよりも高くT
MELTよりも低い温度に対応する電圧を使用する。プロット200は、セット・パルスがリセット・パルスよりも長い持続時間を有することをさらに示す。PCMデバイスのリセット・パルスは、セット・パルスよりも高いパルス振幅(例えば、約2倍の振幅)を有する。
【0016】
図3は、PCMデバイスのプログラムされた抵抗およびプログラミング電流を示すプロット300を示す。プロット300は、PCMデバイスのセット曲線およびリセット曲線をさらに示す。リセット動作のプログラミング電流は、セット動作のプログラミング電流の約2倍である。
【0017】
図4は、本明細書ではPCMベースのXORゲート400とも呼ばれる、PCMデバイスを使用して実装されるXORゲート400を示す。PCMデバイスは、結晶(c-PCM)領域402-1および非晶質(a-PCM)領域402-2の両方を含むように示されている相変化材料402を含む。動作において、非晶質領域402-2は、ヒータ408を使用して熱を加えることによって、a-PCMからc-PCMに切り替えることができる。ヒータ408は、絶縁体層406を介して相変化材料402に結合されている。絶縁体層406は、電気絶縁体であるが良好な熱伝導性を提供する材料を含む。絶縁体層406は、ヒータ電流の経路が、PCM電流の流れに直接混ざらないように、PCM402とヒータ408との間に配置されている。PCMデバイスは、入力ノード404-1および出力ノード404-2を含む。入力ノード404-1は、高電圧を表すVDD401に結合されている。入力ノード404-1は、電源ノードと呼ばれることもある。出力ノード404-2は、出力(Y)407に結合されている。抵抗素子(R)418も、出力ノード404-2と、低電圧を表す接地419とに結合されている。
【0018】
ヒータ408は、入力X1 403およびX2 405によって制御される。
図4は、PCMベースのXORゲート400の論理を示す表450を示す。入力X1 403およびX2 405は、それぞれのダイオード410、414を介して抵抗素子(R
p)412、416に結合されている。ヒータ408は、接地または低電圧411にも結合されている。他の実施形態では、ノード411は、多段論理システムにおけるイネーブル出力ノードを表すことがある。ダイオード410、414と抵抗素子412、416の組合せは、PCMベースのXOR論理ゲート400のコントローラの少なくとも一部を提供することができる。
【0019】
論理が入力X1 403およびX2 405に印加される前に、PCMデバイスは、a-PCMにリセットされる(例えば、領域402-2はa-PCMとしてリセットされる)。これは、以下でさらに詳細に説明するように、イネーブル信号および追加のヒータを使用して達成することができる。リセットされると、入力X1 403およびX2 405の論理が印加される。
図4は、PCMベースのXORゲート400の論理テーブル450を示し、入力X1 403、X2 405の「1」の値は、電圧パルスを与えることを意味し、入力X1 403、X2 405の「0」の値は、電圧パルスを与えないこと(例えば、接地)を意味する。出力(Y)407については、「0」の値は、低電流(例えば、高抵抗)を意味し、「1」の値は、高電流(例えば、低抵抗)を意味する。ダイオード410、414を使用して、X1 403またはX2 405が0の場合は、「オン」電流が、関連付けられた抵抗素子412、416に流れ、X1 403またはX2 405が1の場合にのみ、「プログラミング」電流が抵抗素子412、416、したがってヒータ408に流れるようにする。X1 403およびX2 405が両方とも1の場合、電流は高く、PCMデバイスの領域402-2はa-PCMにリセットされる。X1 403およびX2 405が両方とも0の場合、PCMデバイスの領域402-2は変更されない。X1 403およびX2 405の一方が1で、他方が0の場合、電流は、PCMデバイスの領域402-2が(例えば、a-PCMからc-PCMに)セットされるような中間範囲にある。
【0020】
図5は、PCMベースのXORゲート500-1を有する第1の段と、追加のデバイス500-2を有する第2の段とを含む多段論理システムを示す。追加のデバイス500-2は、別のXORゲート(例えば、本明細書に記載されるようなPCMデバイスを使用して実装されてもよいが、そうである必要はない)、異なるタイプの論理ゲート(例えば、AND、NAND、OR、NOR、NOTなど)、または第1の段のデバイスからの少なくとも一部の情報を入力として使用する別のデバイスであってもよい。多段論理は、PCMベースのXORゲート500-1の第1のイネーブル入力端子(EN_i
1)509-1、PCMベースのXORゲート500-1の第1のイネーブル出力端子(EN_o
1)511-1、第2のイネーブル入力端子(EN_i
2)509-2、および第2のイネーブル出力端子(EN_o
2)511-2を含む、様々なイネーブル端子を使用して提供される。図示されるように、第1の段のイネーブル出力端子EN_o
1 511-1は、第2の段のイネーブル入力端子EN_i
2 509-2への入力を提供する。第1の段は、上述のX1 403およびX2 405と同様の入力X1 503およびX2 505も有する。PCMベースのXORゲート500-1および追加のデバイス500-2は両方とも、VDD401と同様に高電圧を表すVDD501に結合されている。第1の段のPCMベースのXORゲート500-1は、第1の出力OUT1(Y1)507-1を有し、第2の段の追加のデバイス500-2は、第2の出力OUT2(Y2)507-2を有する。
図5は、X1 503およびX2 505に対して異なる入力値が与えられた場合のOUT1(Y1)507-1の値を示す論理テーブル550を示す。
【0021】
第1の段または第2の段にしきい値イネーブル電流レベルIENがある場合、その段のイネーブル出力端子がトリガされる。例えば、PCMベースのXORゲート500-1のPCMデバイスを通って流れる電流がIENを上回る場合、イネーブル出力端子EN_o1 511-1がトリガされ、これにより、第2の段のイネーブル入力端子EN_i2 509-2を制御する。追加のデバイス500-2もPCMベースのXORゲートである場合、イネーブル入力端子EN_i2 509-2を使用して、追加のデバイス500-2の独立したヒータにプリ・リセット電流を供給して、プリ・リセット状態を生成することができる(例えば、PCMデバイスの相変化材料の少なくとも一部を、それへの入力を印加する前にa-PCMに設定する)。
【0022】
図5の多段論理システムでは、X1 503およびX2 505のいずれかまたは両方が1の場合、第1の段のイネーブル出力端子EN_o
1 511-1は電流を有する(例えば、I>I
th)。X1 503およびX2 505が両方とも0の場合、OUT1(Y1)507-1は0であり、PCMデバイスは変更されず、次のレベルをトリガする必要はない。第2の段については、前段(例えば、第1の段)のイネーブル出力端子EN_o
1 511-1がトリガされた場合に、イネーブル入力端子EN_i
2 509-2がトリガされる。第2の段のイネーブル入力端子EN_i
2 509-2をトリガすることは、第2の段の追加のデバイス500-2に何らかの動作を適用するのに十分な電流を供給することであると仮定されている。追加のデバイス500-2が別のPCMベースのXORゲートである場合、トリガ動作は、相変化材料をリセットする(例えば、追加のデバイス500-2の入力の印加前にプリ・リセットする)のに十分な熱が生成されるように、独立したヒータ(例えば、追加のデバイス500-2の入力が使用するものとは異なるヒータ)に十分なプログラミング電流を印加することである。
【0023】
図5は、説明を明確にするために2つの段のみを含む多段論理システムを示すが、多段論理システムは3つ以上の段を含んでもよいことを理解されたい。各段は、前段のイネーブル出力端子に結合されるか、またはそれによってトリガされるイネーブル入力端子を有すると仮定されている。各段は、前段のイネーブル出力端子に結合されるか、またはそれによってトリガされるイネーブル入力端子を有し、次段のイネーブル入力端子に結合され、それをトリガするイネーブル出力端子を有すると仮定されている。多段論理システムの最終段については、イネーブル出力端子は、不要であってもよい。
【0024】
図6は、
図5に示すような多段論理システムの一部として使用するように構成された、PCMベースのXORゲート600とも呼ばれる、PCMデバイスを使用して実装されたXORゲート600を示す。PCMデバイスは、結晶(c-PCM)領域602-1および非晶質(a-PCM)領域602-2の両方を含むように示されている相変化材料602を含む。動作において、非晶質領域602-2は、ヒータ608を使用して熱を加えることによって、a-PCMからc-PCMに切り替えることができる。ヒータ608は、絶縁体層606-1を介して相変化材料602に結合されている。PCMデバイスは、入力ノード604-1および出力ノード604-2を含む。入力ノード604-1は、高電圧を表すVDD601に結合されている。出力ノード604-2は、出力(Y)607に結合されている。抵抗素子(R)618も、出力ノード604-2と、低電圧を表す接地619とに結合されている。
【0025】
ヒータ608は、入力X1 603およびX2 605によって制御される。
図6は、PCMベースのXORゲート600の論理を示す表650を示す。入力X1 603およびX2 605は、それぞれのダイオード610、614を介して抵抗素子(R
p)612、616に結合されている。ヒータ608は、イネーブル出力端子EN_o611にも結合されている。PCMベースのXORゲート600のイネーブル出力端子EN_o611は、
図5に関して上記で説明したように、多段論理システムの別のデバイスのイネーブル入力端子に結合されてもよい。
【0026】
論理が入力X1 603およびX2 605に印加される前に、PCMデバイスはa-PCMにリセットされる(例えば、領域602-2はa-PCMとしてリセットされる)。これは、多段論理システムの前の段から受信されると仮定されているイネーブル入力信号EN_i609を使用して達成されてもよい。イネーブル入力信号EN_i609は、プリ・リセット抵抗素子(RPRE)622に印加され、ヒータ608とは独立した追加のヒータ620に出力する。ヒータ608と同様に、ヒータ620は、電気絶縁性であるが熱伝導性の絶縁層606-2を介してPCM602に結合されてもよい。ヒータ620は、接地619に結合された端子も有する。電流が、多段論理システムの前段においてしきい値イネーブル電流レベルを上回る場合、その前段のイネーブル出力端子がトリガされ、独立したヒータ620にプリ・リセット電流を供給するイネーブル入力端子EN_i609を制御する。これにより、プリ・リセット状態が生成される(例えば、入力X1 603およびX2 605を印加する前に、PCMデバイスの第2の領域602-2をa-PCMに設定する)。同様に、現在の段のイネーブル出力端子EN_o611は、次段のプリ・リセット状態を制御する。
【0027】
リセットされると、入力X1 603およびX2 605の論理が印加される。
図6は、PCMベースのXORゲート600の論理テーブル650を示し、入力X1、X2の「1」の値は、電圧パルスを与えることを意味し、入力X1 603、X2 605の「0」の値は、電圧パルスを与えないこと(例えば、接地)を意味する。出力(Y)607については、「0」の値は低電流(例えば、高抵抗)を意味し、「1」の値は高電流(例えば、低抵抗)を意味する。ダイオード610、614を使用して、X1 603またはX2 605が0の場合は、「オン」電流が、関連付けられた抵抗素子612、616に流れ、X1 603またはX2 605が1の場合にのみ、「プログラミング」電流が抵抗素子612、616、したがってヒータ608に流れるようにする。X1 603およびX2 605が両方とも1の場合、電流は高く、PCMデバイスの領域602-2はa-PCMにリセットされる。X1 603およびX2 605が両方とも0の場合、PCMデバイスの領域602-2は変更されない。X1 603およびX2 605の一方が1で、他方が0の場合、電流は、PCMデバイスの領域602-2が(例えば、a-PCMからc-PCMに)セットされるような中間範囲にある。
【0028】
図7は、それぞれのPCMベースのXORゲート700-1および700-2を有する第1および第2の段を含む多段論理システムを示す。しかしながら、第1の段または第2の段は、異なるタイプの論理ゲート(例えば、AND、NAND、OR、NOR、NOTなど)、あるいは、多段システムの前段からの少なくとも何らかの情報を入力として使用する、または多段システムの別の段で使用される出力としてもしくは多段システムの全体的な出力として何らかの情報を提供する、あるいはその両方を行う別のデバイスを使用することができることを理解されたい。
【0029】
図7のシステムの多段論理は、PCMベースのXORゲート700-1の第1のイネーブル入力端子(EN_i
1)709-1、PCMベースのXORゲート700-1の第1のイネーブル出力端子(EN_o
1)711-1、PCMベースのXORゲート700-2の第2のイネーブル入力端子(EN_i
2)709-2、およびPCMベースのXORゲート700-2の第2のイネーブル出力端子(EN_o
2)711-2を含む様々なイネーブル端子を使用して提供されている。第1の段のイネーブル出力端子EN_o
1 711-1は、図示するように、PCMベースのXORゲート700-2のXOR論理の入力の一方を提供し、X3 713は、もう一方の入力を提供する(言い換えれば、EN_o
1 711-1およびX3 713は、PCMベースのXORゲート700-2の「X1」および「X2」として使用される)。第1の段は、上述したX1 603およびX2 605と同様の入力X1 703およびX2 705も有する。PCMベースのXORゲート700-1および700-2は両方とも、VDD601と同様に高電圧を表すVDD701に結合されている。第1の段のPCMベースXORゲート700-1は、第1の出力OUT1(Y1)707-1を有し、第2の段のPCMベースXORゲート700-2は、第2の出力OUT2(Y2)707-2を有する。PCMベースのXORゲート700-1および700-2を評価するための論理テーブルは、
図4~
図6に示す他の論理テーブル450、550、および650と同様である。
【0030】
第1の段または第2の段にしきい値イネーブル電流レベルI
ENがある場合、その段のイネーブル出力端子がトリガされる。例えば、PCMベースのXORゲート700-1のPCMデバイスを通って流れる電流がI
ENを上回る場合、イネーブル出力端子EN_o
1 711-1がトリガされる。
図7に示すように、イネーブル制御回路730は、第1の段のイネーブル出力端子711-1と第2の段のイネーブル入力端子EN_i
2 709-2との間に結合されている。イネーブル制御回路730は、前段のイネーブル出力端子EN_o
1 711-1に対するしきい値イネーブル電流レベルI
ENがあるかどうかに基づいて、次段のイネーブル入力端子EN_i
2 709-2をトリガするために使用される。イネーブル制御回路730が次段のイネーブル入力端子EN_i
2 709-2をトリガすると、イネーブル入力端子EN_i
2 709-2は、プリ・リセット電流をPCMベースのXORゲート700-2の独立したヒータに供給して、プリ・リセット状態を生成する(例えば、PCMベースのXORゲート700-2の相変化材料の少なくとも一部を、それへの入力の印加前にa-PCMに設定する)ために使用されてもよい。
【0031】
図7の多段論理システムでは、X1 703およびX2 705のいずれかまたは両方が1の場合、第1の段のイネーブル出力端子EN_o
1 711-1は電流を有する(例えば、I>I
th)。X1 703およびX2 705が両方とも0の場合、PCMデバイスは変更されず、次のレベルをトリガする必要はなく、イネーブル出力端子EN_o
1 711-1は、しきい値イネーブル電流を下回る電流(例えば、I<I
EN)を有する。第2の段については、前段(例えば、第1の段)のイネーブル出力端子EN_o
1 711-1がしきい値イネーブル電流を超える電流を有する場合、イネーブル制御回路730は、イネーブル入力端子EN_i
2 709-2をトリガする。第2の段のイネーブル入力端子EN_i
2 709-2をトリガすることは、相変化材料をリセットする(例えば、入力OUT1(Y1)707-1およびX3 713をPCMベースのXORゲート700-2に印加する前にプリ・リセットする)のに十分な熱が生成されるように、独立したヒータ(例えば、PCMベースのXORゲート700-2の入力、OUT1(Y1)707-1およびX3 713が使用するものとは異なる)に十分なプログラミング電流を供給することであると仮定されている。
【0032】
図7は、説明を明確にするために2つの段のみを含む多段論理システムを示すが、多段論理システムは3つ以上の段を含んでもよいことを理解されたい。各段は、前段のイネーブル出力端子に結合されるか、またはそれによってトリガされるイネーブル入力端子を有し、次段のイネーブル入力端子に結合され、それをトリガするイネーブル出力端子を有すると仮定されている。多段論理システムの最終段については、イネーブル出力端子は、不要であってもよい。
【0033】
図8は、多段論理システム(例えば、
図7に示すものなど)のPCMベースのXORゲート(例えば、
図6に示すものなど)のイネーブル入力およびイネーブル出力端子の制御を図示する、回路タイミング図を示す。
図8は、プリ・リセット状態801を示し、イネーブル入力端子EN_iがハイであり、相変化材料の少なくとも一部(例えば、
図6の領域602-2)がa-PCMにリセットされるように、PCMデバイスのリセットをトリガする。
図8は、異なる入力状態803、805、807および809の適用も示す。入力状態803では、X1=0、X2=0であり、イネーブル出力端子EN_oおよびY1が両方ともローである。入力状態805の場合、X1=1、X2=0であり、イネーブル出力端子EN_oおよびY1が両方ともハイである。同様に、入力状態807の場合、X1=0、X2=1であり、イネーブル出力端子EN_oおよびY1が両方ともハイである。入力状態809の場合、X1=1、X2=1であり、イネーブル出力端子EN_oがハイであり、Y1がローである。
【0034】
上述した技術による半導体デバイスおよびこれを形成するための方法は、様々な用途、ハードウェア、または電子システム、あるいはその組合せにおいて使用することができる。本発明の実施形態を実施するための適切なハードウェアおよびシステムとしては、パーソナル・コンピュータ、通信ネットワーク、電子商取引システム、携帯通信デバイス(例えば、携帯電話およびスマート・フォン)、固体媒体記憶デバイス、機能回路などが挙げられてもよいが、これらに限定されない。半導体デバイスを組み込んだシステムおよびハードウェアは、本発明の企図された実施形態である。本明細書で提供される教示を考慮することで、当業者は、本発明の他の実施態様および実施形態の適用を企図することができるであろう。
【0035】
一部の実施形態では、上述の技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、またはフィン電界効果トランジスタ(FinFET)、あるいはその組合せを必要とする、さもなければ利用することがある半導体デバイスに関連して使用される。非限定的な例として、半導体デバイスは、限定はされないが、CMOS、MOSFETもしくはFinFETデバイス、またはCMOS、MOSFETもしくはFinFET技術またはその組合せを使用する半導体デバイス、あるいはその両方を含むことができる。
【0036】
上記で説明した様々な構造は、集積回路に実装されもよい。結果として得られる集積回路チップは、生ウエハの形態で(すなわち、複数のパッケージングされていないチップを有する単一のウエハとして)、ベア・ダイとして、またはパッケージングされた形態で、製造業者によって配布することができる。後者の場合、チップは、シングル・チップ・パッケージ(マザーボードまたは他のより高レベルのキャリアに取り付けられたリード線を有するプラスチック・キャリアなど)、あるいはマルチチップ・パッケージ(表面配線もしくは埋め込み配線のいずれかまたは両方を有するセラミック・キャリアなど)に実装される。いずれの場合も、チップは、(a)マザーボードなどの中間製品または(b)最終製品のいずれかの一部として、他のチップ、ディスクリート回路素子または他の信号処理デバイスあるいはその組合せと一体化される。最終製品は、玩具および他のローエンドの用途から、ディスプレイ、キーボードまたは他の入力デバイス、および中央処理装置を有する高度なコンピュータ製品に及ぶ、集積回路チップを含む任意の製品とすることができる。
【0037】
図9は、1つまたは複数の論理ゲート910を含む例示的な集積回路900を示し、論理ゲート910のうちの少なくとも1つは、
図4および
図6に関して上述したようなPCMベースのXORゲートを備えると仮定されている。
図10は、それぞれが1つまたは複数の論理ゲート1020-1、1020-2、...、1020-N(まとめて論理ゲート1020)を実装する論理段1012-1、1012-2、...、1012-N(まとめて論理段1012)のセットを備える多段論理システム1010を含む別の例示的な集積回路1000を示す。ここでも、論理ゲート1020のうちの少なくとも1つは、
図4および
図6に関して上述したようなPCMベースのXORゲートを備えると仮定されている。論理段1012のうちの少なくとも2つは、
図5および
図7に関して上述したようなイネーブル入力端子およびイネーブル出力端子を介して接続されていると仮定されている。
【0038】
一部の実施形態では、装置は、相変化材料と、相変化材料の第1の端部にある第1の電極と、相変化材料の第2の端部にある第2の電極と、第1の端部と第2の端部との間の相変化材料の少なくとも所与の部分に結合された加熱素子と、加熱素子に結合された第1の入力端子と、加熱素子に結合された第2の入力端子と、第2の電極に結合された出力端子とを備える。
【0039】
第1の入力端子は、第1の端子および第2の端子を備える第1のダイオードと、第1の抵抗素子とを備えることができる。第1のダイオードの第2の端子は第1の抵抗素子に結合され、第1の抵抗素子は加熱素子に結合されている。第2の入力端子は、第1の端子および第2の端子を備える第2のダイオードと、第2の抵抗素子とを備えることができる。第2のダイオードの第2の端子は第2の抵抗素子に結合され、第2の抵抗素子は加熱素子に結合されている。第1のダイオードの第1の端子は、第1の電圧パルス源に接続されてもよく、第2のダイオードの第1の端子は、第2の電圧パルス源に接続されてもよい。第1の電圧パルス源が第1のダイオードの第1の端子に1つまたは複数の第1の電圧パルスを供給しないとき、第1のダイオードを介して第1の抵抗素子に第1の電流が供給され、第1の電流は、第1の抵抗素子を介して加熱素子にプログラミング電流を供給するのに必要なしきい値電流よりも小さい。第1の電圧パルス源が第1のダイオードの第1の端子に1つまたは複数の第1の電圧パルスを供給するとき、第1のダイオードを介して第1の抵抗素子に第2の電流が供給され、第2の電流は、第1の抵抗素子を介して加熱素子にプログラミング電流を供給するのに必要なしきい値電流以上である。同様に、第2の電圧パルス源が第2のダイオードの第1の端子に1つまたは複数の第2の電圧パルスを供給しないとき、第2のダイオードを介して第2の抵抗素子に第1の電流が供給され、第1の電流は、第2の抵抗素子を介して加熱素子にプログラミング電流を供給するのに必要なしきい値電流よりも小さい。第2の電圧パルス源が第2のダイオードの第1の端子に1つまたは複数の第2の電圧パルスを供給するとき、第2のダイオードを介して第2の抵抗素子に第2の電流が供給され、第2の電流は、第2の抵抗素子を介して加熱素子にプログラミング電流を供給するのに必要なしきい値電流以上である。
【0040】
本装置は、加熱素子と相変化材料の所与の部分との間に配置された電気絶縁性かつ熱伝導性の層をさらに備えることができる。
【0041】
本装置は、第1の端部と第2の端部との間の相変化材料の別の部分に結合された追加の加熱素子をさらに備えることができ、追加の加熱素子は、イネーブル入力端子に結合されている。本装置は、追加の加熱素子と相変化材料の別の部分との間に配置された電気絶縁性かつ熱伝導性の層も備えることができる。
【0042】
本装置は、加熱素子に結合されたイネーブル出力端子をさらに備えることができ、イネーブル出力端子は、追加のデバイスのイネーブル入力端子に結合されている。
【0043】
第1の入力端子は、論理ゲート(XOR論理ゲート)への第1の入力を含んでもよく、第2の入力端子は、論理ゲートへの第2の入力を含んでもよく、出力端子は、論理ゲートの出力を含んでもよい。
【0044】
加熱素子は、相変化メモリ材料の所与の部分に熱を加えるように構成され、相変化メモリ材料の所与の部分に加えられる熱の量は、加熱素子に供給される電流の量に少なくとも部分的に基づく。第1の相の相変化材料は第1の抵抗率を有し、第2の相の相変化材料は第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有する。第1の入力端子は、第1の入力端子に印加された1つまたは複数の第1の電圧パルスに応答して加熱素子に第1の電流を供給するように構成されている。第2の入力端子は、第2の入力端子に印加された1つまたは複数の第2の電圧パルスに応答して加熱素子に第2の電流を供給するように構成されている。第1の電流および第2の電流の両方が加熱素子に供給されることに応答して、加熱素子は、相変化メモリ材料の所与の部分を第2の相にリセットするのに十分な第1のレベルの熱を相変化メモリ材料の所与の部分に加えるように構成されている。第1の電流および第2の電流のうちの単一の電流が加熱素子に供給されることに応答して、加熱素子は、相変化メモリ材料の所与の部分を第1の相にセットするのに十分な第2のレベルの熱を相変化メモリ材料の所与の部分に加えるように構成されている。
【0045】
一部の実施形態では、方法は、加熱素子に結合された第1の入力端子に第1の電圧を供給することを含み、加熱素子は、相変化材料の第1の端部と相変化材料の第2の端部との間の相変化材料の少なくとも所与の部分に結合され、相変化材料の第1の端部は第1の電極に結合され、相変化材料の第2の端部は第2の電極に結合されている。本方法はまた、加熱素子に結合された第2の入力端子に第2の電圧を供給することと、第2の電極に結合された出力端子の電圧の大きさを測定することとを含む。
【0046】
本方法は、第2の電極に結合された出力端子の電圧の測定された大きさに基づいて論理ゲート(XOR論理ゲート)の出力値を決定することをさらに含むことができ、第1の入力端子は、論理ゲートへの第1の入力を含み、第2の入力端子は、論理ゲートへの第2の入力を含み、出力端子は、第1および第2の入力の一方が排他的に真の場合に、真の出力値を生成する論理ゲートの出力を含む。
【0047】
第1の相の相変化材料は第1の抵抗率を有し、第2の相の相変化材料は第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有し、本方法は、第1の入力端子に第1の電圧を供給する前、および第2の入力端子に第2の電圧を供給する前に、相変化材料の所与の部分を第1の相にリセットすることをさらに含むことができる。
【0048】
第1の電圧を第1の入力端子に供給することは、第1の入力の値が真の場合に、1つまたは複数の正の電圧パルスを第1の入力端子に印加することを含むことができる。第2の電圧を第2の入力端子に供給することは、第2の入力の値が真の場合に、1つまたは複数の正の電圧パルスを第2の入力端子に印加することを含むことができる。1つまたは複数の正の電圧パルスは、第1の入力端子に印加されると、加熱素子に第1の電流を印加されることになる。1つまたは複数の正の電圧パルスは、第2の入力端子に印加されると、加熱素子に第1の電流を印加されることになる。第1の電流および第2の電流の両方が加熱素子に供給されることに応答して、加熱素子は、相変化メモリ材料の所与の部分を第2の相にリセットするのに十分な第1のレベルの熱を相変化メモリ材料の所与の部分に加えるように構成されている。第1の電流および第2の電流のうちの単一の電流が加熱素子に供給されることに応答して、加熱素子は、相変化メモリ材料の所与の部分を第1の相にセットするのに十分な第2のレベルの熱を相変化メモリ材料の所与の部分に加えるように構成されている。
【0049】
一部の実施形態では、論理ゲート(例えば、XOR論理ゲート)を動作させる方法は、論理ゲートへの2つ以上の入力のうちの1つが排他的に真であることに応答して、相変化材料の少なくとも所与の部分を第1の抵抗率を有する第1の相に設定することと、論理ゲートへの2つ以上の入力のうちの2つが真であることに応答して、相変化材料の所与の部分を第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有する第2の相に設定することと、相変化材料の第1の端部に結合された入力電極と相変化材料の第2の端部に結合された出力電極との間の測定された抵抗に基づいて、論理ゲートの出力論理状態を決定することとを含む。
【0050】
加熱素子は、第1の端部と第2の端部との間の相変化材料の所与の部分に結合されてもよく、相変化材料の所与の部分を第1の相に設定することは、加熱素子に結合された第1の入力端子および加熱素子に結合された第2の入力端子の一方に1つまたは複数の正の電圧パルスを印加することを含むことができる。相変化材料の所与の部分を第2の相に設定することは、加熱素子に結合された第1の入力端子および加熱素子に結合された第2の入力端子の両方に1つまたは複数の正の電圧パルスを印加することを含むことができる。
【0051】
一部の実施形態では、システムは、2つ以上の論理段を備え、2つ以上の論理段のそれぞれが1つまたは複数の論理デバイスを備える。2つ以上の論理段のうちの所与の論理段の1つまたは複数の論理デバイスのうちの少なくとも1つは、加熱素子に結合された第1および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、相変化材料および加熱素子を含む相変化材料ベースの論理ゲート(XOR論理ゲート)を備える。所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートは、加熱素子を2つ以上の論理段のうちの別の論理段の論理デバイスに結合するイネーブル出力端子を備える。
【0052】
所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートは、相変化材料の少なくとも別の部分に結合された追加の加熱素子に結合されたイネーブル入力端子を備えることができる。所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートのイネーブル入力端子は、2つ以上の論理段のうちの前の論理段の論理デバイスのイネーブル出力端子に結合されてもよい。
【0053】
所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートのイネーブル出力端子は、2つ以上の論理段のうちの後続の論理段の論理デバイスのイネーブル入力端子に結合されてもよい。後続の論理段の論理デバイスは、別の相変化材料ベースの論理ゲートを備えてもよい。所与の論理段の相変化材料ベースの論理ゲートの出力端子は、後続の論理段の別の相変化材料ベースの論理ゲートの相変化材料に結合された別の加熱素子への入力に結合されてもよい。
【0054】
一部の実施形態では、方法は、2つ以上の論理段のうちの第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の電流を測定することと、第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の測定された電流が指定されたしきい値イネーブル電流を超えるかどうかを判定することと、第1の論理段の第1の論理デバイスのイネーブル出力端子の測定された電流が指定されたしきい値イネーブル電流を超えると判定したことに応答して、2つ以上の論理段のうちの第2の論理段の第2の論理デバイスのイネーブル入力端子をトリガすることとを含む。第2の論理デバイスは、加熱素子に結合された第1および第2の入力端子の一方が排他的に真の論理状態にあるとき、出力端子が真の論理状態にあるように相互接続された、相変化材料および加熱素子を含む相変化材料ベースの論理ゲートを備える。
【0055】
第2の論理デバイスのイネーブル入力端子をトリガすることは、相変化材料の所与の部分に結合された追加の加熱素子から相変化材料の所与の部分への熱の印加を制御することを含むことができる。
【0056】
第1の相の相変化材料は、第1の抵抗率を有することができ、第2の相の相変化材料は、第1の抵抗率よりも高い第2の抵抗率を有し、第2の論理デバイスのイネーブル入力端子をトリガすることは、相変化材料の所与の部分を第2の相にリセットすることを含むことができる。
【0057】
図に示す様々な層、構造、および領域は、縮尺通りに描かれていない概略図であることを理解されたい。さらに、説明を容易にするために、半導体デバイスまたは構造体を形成するために一般的に使用されるタイプの1つまたは複数の層、構造、および領域は、所与の図に明示的に示されていないことがある。これは、明示的に示されていない任意の層、構造、および領域が実際の半導体構造体から省略されていることを意味するものではない。さらに、本明細書で議論される実施形態は、本明細書に示され、説明される特定の材料、特徴、および処理ステップに限定されないことを理解されたい。特に、半導体処理ステップに関しては、本明細書で提供される説明は、機能的な半導体集積回路デバイスを形成するために必要とされることがある処理ステップのすべてを包含することが意図されていないことが強調されるべきである。むしろ、例えば、湿式洗浄およびアニーリング・ステップなどの、半導体デバイスを形成する際に一般的に使用される特定の処理ステップは、説明の経済性のために、本明細書では意図的に記載されていない。
【0058】
さらに、同じもしくは同様の特徴、要素、または構造を示すために、同じもしくは同様の参照番号が図全体にわたって使用され、したがって、同じもしくは同様の特徴、要素、または構造の詳細な説明は、図のそれぞれについて繰り返されない。厚さ、幅、パーセンテージ、範囲、温度、時間、および他のプロセス・パラメータなどに関して本明細書で使用される「およそ(approximately)」または「実質的に(substantially)」という用語は、正確にではないが、近いまたは近似していることを示すことを意味することを理解されたい。例えば、本明細書で使用される「およそ」または「実質的に」という用語は、±5%、好ましくは2%もしくは1%未満、または記載された量未満などの小さな誤差の範囲が存在することを意味する。
【0059】
上記の説明では、異なる要素のための様々な材料、寸法、および処理パラメータが提供されている。特に断りのない限り、そのような材料は、例としてのみ与えられ、実施形態は、与えられた特定の例のみに限定されない。同様に、特に断りのない限り、すべての寸法およびプロセス・パラメータは、例として与えられており、実施形態は、与えられた特定の寸法または範囲のみに限定されない。
【0060】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることは意図されておらず、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。記載された実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更形態および変形形態が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実際の適用もしくは技術的改善を最もよく説明するために、または当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるようにするために選択された。
【国際調査報告】