(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電池セルの加圧治具およびそれを用いたガス除去方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20231206BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231206BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/04 Z
H01M50/244 Z
H01M50/202 501P
H01M50/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530498
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 KR2022017068
(87)【国際公開番号】W WO2023080648
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150241
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ビュン クウン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H028
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012JJ06
5H028AA10
5H028BB02
5H028BB04
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ04
5H029CJ03
5H029CJ12
5H040AA33
5H040AT04
5H040JJ10
(57)【要約】
本発明の電池セル加圧治具は、電池セルを間に置いて電池セルの両面を加圧する第1加圧ブロックと第2加圧ブロックとを含む電池セル加圧治具であって、上記第1加圧ブロックおよび第2加圧ブロックのそれぞれは、電池セルを加圧する加圧プレートと、上記加圧プレートを支持する支持プレートと、上記加圧プレートおよび支持プレートが相互フォールディング可能に結合されるように、これらの上端縁部分に設けられたヒンジ部材と、上記加圧プレートまたは上記支持プレートのいずれか1つの下端部に結合された弾性部材と、を含み、電池セルを下部から上部まで順次的に加圧し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを間に置いて電池セルの両面を加圧する第1加圧ブロックと第2加圧ブロックとを含む電池セル加圧治具であって、
前記第1加圧ブロックおよび第2加圧ブロックのそれぞれは、
電池セルと対面接触して加圧する板状の加圧プレートと、
前記加圧プレートが電池セルを加圧するとき、加圧プレートを支持する支持プレートと、
前記加圧プレートおよび支持プレートが相互フォールディング可能に結合されるように、前記加圧プレートおよび前記支持プレートの各上端縁部分に設けられたヒンジ部材と、
前記加圧プレートまたは前記支持プレートのいずれか1つの下端部に結合されており、電池セルの加圧時に圧縮される弾性部材と、を含む、電池セル加圧治具。
【請求項2】
前記加圧プレートと前記支持プレートとが相互フォールディングされた状態で電池セルを加圧するように構成された、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項3】
前記弾性部材は、
前記支持プレートの下端縁部分の上部面に結合されている、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項4】
前記弾性部材は、
前記加圧プレートの下端縁部分の下部面に結合されている、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項5】
前記弾性部材は、弾性スプリングまたはメモリーフォームである、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項6】
前記弾性部材はメモリーフォームである、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項7】
前記弾性部材は、
前記加圧プレートまたは支持プレートのいずれか1つに、接着物質または両面テープにより付着されている、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項8】
前記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さは、電池セルの全幅長さより長い、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項9】
前記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さは、電池セルの全幅長さの110%~200%である、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項10】
電池セルが整列されるようにガイドするガイド部材をさらに含み、
前記ガイド部材は、前記加圧プレートの下端縁と電池セル下部との間に介在される、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項11】
前記ガイド部材は、弾性スプリングまたはメモリーフォームである、請求項10に記載の電池セル加圧治具。
【請求項12】
前記加圧プレートは、ヒーティングコイルを内蔵している、請求項1に記載の電池セル加圧治具。
【請求項13】
請求項1に記載の電池セル加圧治具を用いて電池セルを加圧する加圧過程、および
電池セル内部のガスを外部に排出する排気過程を含む電池セルの脱気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月4日付の韓国特許出願第10-2021-0150241号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、電池セルの加圧治具およびそれを用いて電池セル内部の残存ガスを除去する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は、その形状に応じて円筒形、角形、パウチ型などに区分し得る。そのうちパウチ型二次電池は、金属層(ホイル)と金属層の上面と下面にコーティングされる合成樹脂層の多層膜で構成されるパウチ外装材を使用して外観を構成するため、金属缶を使用する円筒形または角形より電池の重量を著しく減らし得て電池の軽量化が可能であり、多様な形態への変化が可能であるという長所があるため、多くの関心を集めている。
【0004】
このようなパウチ型二次電池には電極組立体が積層された形態で収容され、電極組立体には電極タブおよび電極リードが連結されており、電極リードはパウチ外装材から突出されている。このような電極リードは、外部装置との接触を通じて電気的に連結され、外部装置から電力を供給されることになる。
【0005】
パウチ型二次電池は、セルを組み立てる過程と電池を活性化する過程を経て製造され、電池の活性化過程では、充放電装置に二次電池セルを搭載し、活性化に必要な条件で充電および放電を行うことになる。このように、電池の活性化のために充放電装置を用いて所定の充放電を実施する過程をフォーメーション(formation)工程という。
【0006】
そして、このようなフォーメーション工程を行うとき、活性化充電中に板状の加圧プレートを含む治具(Zig)などの加圧手段を用いて、電池セルの両面を加圧することができ、これを治具フォーメーションとも称する。このような治具フォーメーションは、活性化工程中に負極の膨張を防止し、電池の化学反応を促進してガスの発生を誘導し、このような内部ガスをガスポケット部に移動させる。
【0007】
図1は、フォーメーション工程中に電池を加圧するための従来の加圧治具を図示しており、
図2は、従来の加圧治具を用いてフォーメーション工程を行ったときの問題点を図示している。
図1を参照すると、従来の加圧治具10は、多数の加圧プレートを含み得、加圧プレート11と他の加圧プレート12との間に電池セルBを介在した状態で電池セルの両面を加圧するように構成されている。このような加圧治具による加圧は2~3回繰り返して行われ得、フォーメーション工程中に発生したガスは、治具の加圧によって電池セルの上部にあるガスポケット部Pに移動する。そして、ガスポケット部に捕集された内部ガスをパウチの外部に排出するために、
図2に図示したようにガスポケット部に穴を開けて真空を印加する脱気(Degassing)過程を経る。
【0008】
ところで、このような加圧治具による加圧および脱気過程を経たとしても、一部のガスは、負極内、負極と分離膜との間、分離膜と正極との間および正極内に残存し得る。これは電池セルを加圧する加圧プレートが扁平な形状であるので、電池セルの前面を一度に加圧して、ガスが移動しにくいためである。したがって、電池セルの内部に残存するガス量を減らすための新しい加圧手段とガス排出方法に対する技術開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような問題点を解決するためのものであり、電池セルの加圧時に、内部のガスがガスポケット部に移動されやすい新規な構造の加圧手段およびガス除去方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電池セル加圧治具は、電池セルを間に置いて電池セルの両面を加圧する第1加圧ブロックと第2加圧ブロックとを含む電池セル加圧治具であって、上記第1加圧ブロックおよび第2加圧ブロックのそれぞれは、電池セルと対面接触して加圧する板状の加圧プレートと、上記加圧プレートが電池セルを加圧するとき、加圧プレートを支持する支持プレートと、上記加圧プレートおよび支持プレートが相互フォールディング可能に結合されるように、上記加圧プレートおよび上記支持プレートの各上端縁部分に設けられたヒンジ部材と、上記加圧プレートまたは上記支持プレートのいずれか1つの下端部に結合されており、電池セルの加圧時に圧縮される弾性部材と、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態に係る加圧治具は、上記加圧プレートと上記支持プレートとが相互フォールディングされた状態で電池セルを加圧するように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記弾性部材は、上記支持プレートの下端縁部分の上部面に結合されている。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記弾性部材は、上記加圧プレートの下端縁部分の下部面に結合されている。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記弾性部材は、弾性スプリングまたはメモリーフォームであり得、好ましくはメモリーフォームである。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記弾性部材は、上記加圧プレートまたは支持プレートのいずれか1つに、接着物質または両面テープにより付着されている。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さは、電池セルの全幅長さより長い。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さは、電池セルの全幅長さの110%~200%である。
【0018】
本発明の一実施形態に係る電池セル加圧治具は、電池セルが整列されるようにガイドするガイド部材をさらに含み、上記ガイド部材は、上記加圧プレートの下端縁と電池セル下部との間に介在される。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記ガイド部材は、弾性スプリングまたはメモリーフォームである。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレートは、ヒーティングコイルを内蔵している。
【0021】
本発明に係る電池セルの脱気方法は、上述した加圧治具を用いて電池セルを加圧する過程と、電池セル内部のガスを外部に排出する排気過程を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電池セル加圧治具は、加圧プレートを支持する支持プレートの下端縁に弾性部材が設けられ、電池セルの下部から上部方向に順次的に電池セルに圧力を加えることによって、ガスが上部のガスポケットへと方向性をもって移動しやすくなるので、ガスが電極組立体内部に閉じ込められるガストラップ(trap)現象を抑制する効果がある。
【0023】
本発明の脱気方法は、上記加圧治具を用いて内部ガスをガスポケット部に移動させた後に脱気するため、電池セルの内部にガスが残存することを最小化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】従来の電池セル加圧治具を用いてフォーメーション工程を行ったときの問題点を図示した概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電池セル加圧治具の構造と作動状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る第1加圧ブロックの模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る第1加圧ブロックの斜視図である。
【
図6】本発明の加圧治具によって加圧される電池セルの模式図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る第1加圧ブロックの模式図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る電池セル加圧治具の構造と作動状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0025】
B:電池セル
100、200、300:加圧治具
110、210、310:第1加圧ブロック
120、320:第2加圧ブロック
111、121、211、311、321:加圧プレート
112、122、212、312、322:支持プレート
113、123、213、313、323:ヒンジ部材
114、124、214、314、324:弾性部材
315、325:ガイド部材
1:電極組立体収容部
2:ガスポケット部
3:シーリング剰余部
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0027】
本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0028】
(第1実施形態に係る電池セル加圧治具)
図3は、本発明の一実施形態に係る電池セル加圧治具の構造と作動状態を示す模式図であり、上部図は加圧解除状態を、下部図は加圧印加状態を図示しており、
図4は第1加圧ブロックの模式図である。
【0029】
図3および
図4を参照すると、本発明に係る電池セル加圧治具100は、電池セルBを間に置いて電池セルの両面を加圧する第1加圧ブロック110と第2加圧ブロック120とを含み、上記第1加圧ブロック110および第2加圧ブロック120のそれぞれは、電池セルと対面接触して加圧する板状の加圧プレート111、121と、上記加圧プレート111、121が電池セルBを加圧するとき、加圧プレート111、121を支持する支持プレート112、122と、上記加圧プレートおよび支持プレートが相互フォールディング可能に結合されるように、上記加圧プレート111、121および上記支持プレート112、122の各上端縁部分に設けられたヒンジ部材113、123と、上記加圧プレート111、121または上記支持プレート112、122のいずれか1つの下端部に結合されており、電池セルBの加圧時に圧縮される弾性部材114、124と、を含む。
【0030】
ここで、加圧プレートおよび支持プレートの上端部は、電池セルの上端部であるガスポケット部に対応される部位を指すものであり、加圧プレートおよび支持プレートの下端部は、電池セルの下端部である電極組立体が収容された部位に対応される部位を指すものである。
【0031】
このような構造の加圧治具100は、弾性部材114、124が加圧プレート111、121または支持プレート112、122の下端部に結合されているため、加圧解除状態では、加圧プレート111、121の下端部と支持プレート112、122の下端部との間が弾性部材114、124の高さHほど離隔されている状態である。
【0032】
一方、加圧プレート111、121と支持プレート112、122はそれぞれ、上端縁部分にヒンジ部材113、123が設けられており、ヒンジ部材によりこれら(加圧プレートおよび支持プレート)が結合されているため、加圧プレートの上端部と支持プレートの上端部との間はほとんど離隔されない状態である。
【0033】
したがって、
図3に図示されたように、加圧解除状態において、上記加圧プレート111、121と支持プレート112、122との間の離隔距離は、上部から下部に沿って(y軸方向)徐々に増加する構造である。そして、加圧プレート111、121と電池セルBとの間の離隔距離は、上部から下部に沿って(y軸方向)徐々に減少する構造である。
【0034】
これにより、加圧プレート111、121が電池セルBを加圧するときに、加圧プレート111、121と相対的に距離が近い電池セルBの下部から加圧プレート111、121と相対的に距離が遠い電池セルBの上部に向かって順次的に電池セルBを加圧し得るのである。
【0035】
このように本発明の電池セル加圧治具100は、電池セルの下部から上部方向に電池セルを加圧し得るため、加圧時にガスが上部のガスポケット部に移動しやすく、これによりガストラップを効果的に防止する効果がある。
【0036】
本発明の加圧治具100は、対を成して互いに対向する第1加圧ブロック110と第2加圧ブロック120が、これらの間に介在された電池セルBの両面を加圧する構造である。第1加圧ブロック110と第2加圧ブロック120の構造は同一であり、これらが電池セルを加圧する部位が対向するという点において違いがあるのみである。
【0037】
第1加圧ブロック110と第2加圧ブロック120は構造が同一であるため、第1加圧ブロックを中心に加圧ブロックについて説明する。
図4を参照すると、加圧ブロック110は、2つのプレート111、112が相互フォールディングし得るようにヒンジ部材113によってヒンジ結合されている。加圧プレート111は、電池セルBのいずれか1つの面と直接対面して電池セルを加圧し、支持プレート112は、加圧プレート111が電池セルBを加圧するときにその反力を吸収する。
【0038】
そして、上記加圧プレート111および上記支持プレート112の上端縁部分には、ヒンジ部材113が設けられている。このようなヒンジ部材113によって、上記加圧プレート111および上記支持プレート112は相互フォールディング可能にヒンジ結合される。そして、上記加圧プレート111と上記支持プレート112とが相互フォールディングされた状態で、第1加圧ブロック110と第2加圧ブロック120との間に位置する電池セルBを加圧するように構成されている。
【0039】
上記加圧プレート111は、電池セルBを加圧し得るように板状であり得、強固な材質で構成され得る。具体的には、加圧プレート111は金属素材であり得、その中でもアルミニウム素材で構成され得る。しかしながら、これに限定されるものではなく、耐熱性があり、硬いプラスチック素材で構成されることもできる。
【0040】
一方、電池セルBを高温条件で加圧する必要がある場合は、加圧プレート111を加熱するために、加圧プレート111の内部にはヒーティングコイル(図示せず)が内蔵された形態であり得る。このような場合、加圧プレート111は熱伝導性に優れた素材が好ましい。
【0041】
上記支持プレート112は、上記加圧プレート111を支持する役割を果たし、その形状は加圧プレート111と同一に板状であり得、そのサイズは加圧プレート111と同一であるか、または加圧プレート111より少し大きいことがあり得る。上記支持プレート112の素材は、加圧プレート111が電池セルBをうまく加圧し得るように加圧プレート111を支持し、加圧時の反力に耐えるのに十分な剛性を有する素材で構成され得る。このような素材としては代表的に金属素材を例示することができ、具体的にはアルミニウム素材である。しかしながら、これに限定されるものではなく、プラスチック素材で構成されることもできる。
【0042】
一つの具体例において、上記弾性部材114は、上記支持プレート112の下端縁部分の上部面に結合され得る。ここで上部面とは、支持プレート112の両面のうち加圧プレート111に向かっている一面を意味する。
【0043】
支持プレート112の下端の上部面に弾性部材114が結合されて、加圧プレート111が支持プレート112に向かってフォールディングされたとき、加圧プレート111の下端下部面は、上記弾性部材114と対面接触され得る。ここで、加圧プレート111の下部面とは、加圧プレート111の両面のうち支持プレート112に向かっている一面を意味する。
【0044】
このとき、力が加えられない場合、加圧プレート111の下端部は、支持プレート112の下端部から少なくとも弾性部材114の高さHほど離隔された距離に位置し得る。
【0045】
このように電池セルBを加圧しない状態で、加圧プレート111の下端部は支持プレート112の下端部との間が開いており、加圧プレート111の上端部は支持プレート112と結合されている。そのため、加圧プレート111は支持プレート112を基準にして傾いている。
【0046】
このような状態で電池セルBを加圧することになると、弾性部材114は、電池セルの加圧時に発生する反力を吸収して、
図3の下部図のように圧縮される。そして、弾性部材114が圧縮されることにより、加圧プレート111の下端部と支持プレート112の下端部との離隔距離は徐々に近くなり、支持プレート112を基準に傾いていた加圧プレート111は、徐々に支持プレート112と平行を成すことになる。これにより、加圧プレート111は、電池セルBの下部から電池セルBの上部まで順次的に加圧し得るのである。
【0047】
一方、
図3および
図4は、弾性部材114が支持プレート112の下端上部面に結合されている実施形態を図示したが、弾性部材は
図7に図示されたように、加圧プレート111の下端下部面に結合されることもできる。
【0048】
図7を参照すると、第1加圧ブロック210は、電池セルと対面接触して加圧する板状の加圧プレート211と、上記加圧プレート211が電池セルを加圧するとき、加圧プレート211を支持する支持プレート212と、上記加圧プレート211および支持プレート212が相互フォールディング可能に結合されるように、上記加圧プレート211および上記支持プレート212の各上端縁部分に設けられたヒンジ部材213と、上記支持プレート212の下端部に結合されており、電池セルの加圧時に圧縮される弾性部材214と、を含む。
【0049】
上記弾性部材114、124は弾性スプリングまたはメモリーフォームであり得、メモリーフォームは弾性スプリングと比較して、より容易に加圧プレート111、211または支持プレート112、212との結合が可能であり、電池セルBの加圧時に発生する反力の吸収能力に優れるという点でメモリーフォームがさらに好ましい。上記メモリーフォームは、弾性復元力に優れた素材であればその素材において制限はなく、具体的にはポリウレタン系素材であり得る。
【0050】
弾性部材114、214は、加圧プレート111、211または支持プレート112、212に接着物質または両面テープにより付着および結合され得る。
【0051】
図5は、本発明の一実施形態に係る加圧ブロック110の斜視図であり、
図5を参照すると、弾性部材はメモリーフォームであり、バー(bar)形状を有し、薄い幅の弾性部材が支持プレートの長手方向(X軸方向)に沿って延長されている。
【0052】
上記弾性部材の高さHは、弾性部材の素材、弾性係数、電池セルの加圧力に応じて好適な高さに設定し得、具体的には1~30mm、3~20mm、5~10mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、弾性部材がメモリーフォームの場合、その幅長さは、3~50mm、5~30mm、15~25mmであり得、これに限定されるものではない。
【0054】
一つの具体例において、上記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さW1は、電池セルの全幅長さW2より大きいことがあり得る。
【0055】
ここで全幅長さとは、
図4および
図5を参照すると、電池セルの全幅長さW2に対応するW1で表示される長さを意味し、電池セルの全幅長さとは、W2で表示される長さを意味し、具体的には、電極組立体が収容された領域からガスポケット部に至る方向(Y軸方向)の電池セルの幅長さである。
【0056】
加圧プレート111および支持プレート112の各全幅長さW1が、電池セルBの全幅長さW2より長くなければ、電池セルBの前面を安定的に加圧することができない。具体例において、上記加圧プレートおよび支持プレートの各全幅長さW1は、電池セルの全幅長さW2の110%~200%であり得、115%~180%であり得、120%~150%であり得る。
【0057】
本発明に係る電池セル加圧治具は、電池セルの下部から上部を順次的に加圧し得るので、
図6に図示されたように、フォーメーション工程中に発生したガスや、電解液中の気泡が電極組立体収容部1からガスポケット部2に移動することが容易になり、気泡やガスが電極組立体の内部にトラップされることを抑制し得る。
【0058】
(第2実施形態に係る電池セル加圧治具)
図8は、本発明の第2実施形態に係る電池セル加圧治具の模式図である。
図8を参照すると、第2実施形態に係る電池セル加圧治具300は、電池セルを間に置いて電池セルの両面を加圧する第1加圧ブロック310と第2加圧ブロック320と、を含む。
【0059】
上記第1加圧ブロック310および第2加圧ブロック320のそれぞれは、電池セルBと対面接触して加圧する板状の加圧プレート311、321と、上記加圧プレート311、321が電池セルを加圧するとき、加圧プレート311、321を支持する支持プレート312、322と、上記加圧プレート311、321および支持プレート312、322が相互フォールディング可能に結合されるように、上記加圧プレート311、321および上記支持プレート312、322の各上端縁部分に設けられたヒンジ部材313、323と、上記加圧プレート311、321または上記支持プレート312、322のいずれか1つの下端部に結合されており、電池セルBの加圧時に圧縮される弾性部材314、324と、電池セルBが整列されるようにガイドするガイド部材315、325と、を含む。
【0060】
上記ガイド部材315、325は、上記加圧プレート311、321の下端縁と電池セルの下端部との間に介在されている。
【0061】
図8を参照すると、ガイド部材315、325は、加圧プレート311、321を間に置いて弾性部材314、324と対向することになる。すなわち、弾性部材314、324とガイド部材315、325は、加圧プレート311、321を間に置いて対向し得る構造である。
【0062】
上記ガイド部材315、325は、上記弾性部材314、324と同様に、弾性スプリングまたはメモリーフォームであり得、好ましくはメモリーフォームである。メモリーフォームは弾性スプリングと比較して、より容易に加圧プレート311、321との結合が可能であり、電池セルの加圧時に発生する反力の吸収能力に優れるという点でメモリーフォームがさらに好ましい。上記メモリーフォームは、弾性復元力に優れた素材であればその素材において制限はなく、具体的にはポリウレタン系素材であり得る。
【0063】
上記ガイド部材315、325は、加圧プレート311、321の下端縁の上部面に結合されることもでき、加圧プレート311、321の下端縁と電池セルBの下端部との間に単純に介在され得る。このときガイド部材315、325は、電池セル下部のシーリング剰余部3に密着されるように加圧プレート311、321と電池セルBとの間に介在される。
【0064】
本発明の加圧治具300は、第1加圧ブロック310と第2加圧ブロック320との間に電池セルBを介在した状態で電池セルBを加圧し、電池セルBの下部にはシーリング剰余部3が存在する。このようなシーリング剰余部3は、二重のパウチシートがシーリングされた部位であり、電極組立体が収容された部分と比較して厚さが薄いため、電極組立体収容部とシーリング剰余部との境界には段差が発生する。
【0065】
電池セルを加圧するために、第1加圧ブロック310と第2加圧ブロック320との間に電池セルBを投入したとき、ガイド部材315、325は、段差がある電池セルBの電極組立体収容部をガイド部材315、325の下にそれ以上下がらないようにして、電池セルBが定位置に位置するようにガイドする役割を果たす。
【0066】
また、ガイド部材315、325は、電池セルの加圧時にシーリング剰余部とその周辺を緩衝する効果も有している。加圧プレート311、321が電池セルBを加圧することにより、内部ガスの大部分は電池セル上部のガスポケット部に向かって移動するが、内部ガスの一部は下部のシーリング剰余部3に移動することもできる。
【0067】
一方、シーリング剰余部3は、二重のパウチシートが溶融接着されてシーリングされた部位であり、シーリング剰余部3の内部には微細な空隙が存在し得、上記微細な空隙に突然ガスが流入されると、シーリング剰余部3が流入されるガスの圧力に勝てず、シーリング剰余部3のパウチが一部破損されるおそれがある。しかしながら、ガイド部材315、325がシーリング剰余部3に密着されていると、電池セルの加圧によって内部ガスの一部がシーリング剰余部3に流入されようとしても、ガイド部材315、325がシーリング剰余部3に外力を加えるため、内部ガスがシーリング剰余部3に流入されにくくなり、電極組立体収容部に移動し得るようになる。したがって、シーリング剰余部3の内部への急なガスの流入によるパウチ損傷を防止し得るのである。そして、このようなガイド部材が圧縮されながら発生する圧縮応力により、シーリング剰余部3の周辺に残存し得るガスも上部に移動し得るため、本発明の効果をさらに極大化させることができる。
【0068】
第2実施形態に係る電池セル加圧治具は、ガイド部材をさらに含む点で第1実施形態と違いがあるだけで、残りの技術内容は同じであるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0069】
<電池セルの脱気方法>
また、本発明は、このような加圧治具を用いて、電池セルの下部から上部に向かって電池セルを順次的に加圧し得る脱気方法を提供する。
【0070】
本発明の加圧治具および脱気方法が適用される電池セルは、正極/分離膜/負極構造の電極組立体を電池ケースに収容した後、電解液を注入し、密封して製造される。
【0071】
具体的には、電極活物質およびバインダーを含む電極合剤を電極集電体に塗布してそれぞれ正極および負極を製造した後、上記正極と負極との間に分離膜を介在して電極組立体を準備する。
【0072】
このように準備された電極組立体を電池ケースに収容した後、電解質を注入し、電池ケースを密封して電池を組み立てる。
【0073】
このような電池を組み立てる段階は特に制限されず、公知された方法に従って行い得る。
【0074】
また、上記電極組立体は、正極、負極、および上記正極と負極との間に介在された分離膜を含む構造であれば特に制限されず、例えば、ジェリーロール型、スタック型またはスタック/フォールディング型などになり得る。
【0075】
このとき、上記電池ケースは、電池を包装するための外装材として使用されるものであれば特に制限されず、円筒形、角形またはパウチ型が使用され得るが、詳細にはパウチ型電池ケースが使用され得る。パウチ型電池ケースは、通常的にアルミニウムラミネートシートからなり、密封のための内部シーラント層、物質の浸透を防止する金属層およびケースの最外郭を成す外部樹脂層で構成され得る。電池セルは、パウチ型電池ケースの内部に電極組立体が収容された後に電極リードが引出された状態で上部ケースおよび下部ケースを熱融着シーリングすることにより製造されるため、電池ケースの端部に熱融着シーリング部が形成され得る。以下、電池ケースについての具体的な内容は、通常の技術者に公知された事項であるので、詳しい説明を省略する。
【0076】
上記正極は、正極集電体、および上記正極集電体上に正極合剤スラリーを塗布、乾燥およびプレッシングして製造される正極活物質層を含む。正極合剤は、正極活物質およびバインダーを含み、必要に応じて正極添加剤、導電材および充填剤をさらに含み得る。
【0077】
上記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムなどの1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含み得る。より具体的には、上記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMnYO2(ここでは、0<Y<1)、LiMn2-ZNiZO4(ここでは、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1O2(ここでは、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2O2(ここでは、0<Y2<1)、LiMn2-Z1CoZ1O4(ここでは、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr1)O2(ここでは、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O4(ここでは、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3Ms2)O2)(ここで、MはAl、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2はそれぞれ独立的な元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのうちいずれか1つまたは2つ以上の化合物が含まれ得る。その中でも電池の容量特性および安定性を高め得るという点で、上記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2)、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2など)などであり得、リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類および含量比の制御による改善効果の顕著さを考慮するとき、上記リチウム複合金属酸化物はLi(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2などであり得、これらのうちいずれか1つまたは2つ以上の混合物が使用され得る。
【0078】
また、上記正極活物質の含有量は、正極合剤100重量部に対して、85~99重量部であり得、具体的には88~98重量部、90~97重量部、92~95重量部であり得る。
【0079】
上記導電材は、正極の電気伝導性などの性能を向上させるために使用され得、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよび炭素繊維からなる群から選択される1種以上を使用し得る。例えば、上記導電材はアセチレンブラックを含み得る。
【0080】
また、上記導電材は、合剤層100重量部に対して1~10重量部で含み得、具体的には2~8重量部、または導電材2~6重量部で含み得る。
【0081】
また、上記バインダーはポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)およびこれらの共重合体からなる群から選択される1種以上の樹脂を含み得る。一例として、上記バインダーはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)を含み得る。
【0082】
また、上記バインダーは、合剤全体100重量部に対して、1~10重量部で含み得、具体的には1~8重量部、または1~6重量部で含み得る。
【0083】
それと併せて、上記合剤層の平均厚さは特に制限されるものではないが、具体的には50μm~300μmであり得、より具体的には100μm~200μm、80μm~150μm、120μm~170μm、150μm~300μm、200μm~300μm、または150μm~190μmであり得る。
【0084】
また、上記正極は集電体として当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものを使用し得る。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素などを使用し得、アルミニウムやステンレススチールの場合、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを使用することもできる。また、上記集電体は表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。また、上記集電体の平均厚さは、製造される正極の導電性と総厚さを考慮して3~500μmで好適に適用され得る。
【0085】
また、本発明で使用されるリチウム二次電池の負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥およびプレッシングして製造され、必要に応じて正極と同様の導電材、有機バインダー高分子、添加剤などが選択的にさらに含まれ得る。
【0086】
また、上記負極活物質は、例えば、天然黒鉛のように層状結晶構造が完全に成されたグラファイト、低結晶性層状結晶構造(graphene structure;炭素の六角形のハニカム模様の平面が層状に配列された構造)を有するソフトカーボン、およびこれらの構造が非結晶性部分と混合されているハードカーボン、人造黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、難黒鉛化炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭などの炭素および黒鉛素材や、LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe'yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge、Me'、Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン、0<x≦1、1≦y≦3、1≦z≦8)などの金属複合酸化物、リチウム金属、リチウム合金、ケイ素系合金、錫系合金、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、およびBi2O5などの金属酸化物、ポリアセチレンなどの導電性高分子、Li-Co-Ni系材料、酸化チタン、リチウムチタン酸化物などを使用し得る。
【0087】
一例として、上記負極活物質は、黒鉛とケイ素(Si)含有粒子を共に含み得、上記黒鉛としては、層状結晶構造を有する天然黒鉛と等方形構造を有する人造黒鉛のうちいずれか1つ以上を含み得、上記ケイ素(Si)含有粒子は、金属成分としてケイ素(Si)を主成分として含む粒子であって、ケイ素(Si)粒子、SiO粒子、SiO2粒子、またはこれらの粒子のうち1つ以上の粒子が混合されたものを含み得る。
【0088】
この場合、上記負極活物質は全体100重量部に対して黒鉛80~95重量部、およびケイ素(Si)含有粒子1~20重量部で含み得る。本発明は、負極活物質に含まれた黒鉛とケイ素(Si)含有粒子の含有量を上記のような範囲に調節することにより、電池の初期充放電時のリチウム消耗量と非可逆容量の損失を減らしながら単位質量当たりの充電容量を向上させることができる。
【0089】
また、上記負極合剤層は、100μm~200μmの平均厚さを有し得、具体的には、100μm~180μm、100μm~150μm、120μm~200μm、140μm~200μm、または140μm~160μmの平均厚さを有し得る。
【0090】
また、上記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素などを使用し得、銅やステンレススチールの場合、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを使用することもできる。また、上記負極集電体は、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質との結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。また、上記負極集電体の平均厚さは、製造される負極の導電性と総厚さを考慮して3~500μmで好適に適用され得る。
【0091】
また、上記分離膜は正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。分離膜は、当業界で通常的に使用されるものであれば特に制限されないが、具体的には、耐化学性および疎水性のポリプロピレン、ガラス繊維、またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用され得、場合によっては、上記シートや不織布のような多孔性高分子基材に無機物粒子/有機物粒子が有機バインダー高分子によりコーティングされた複合分離膜が使用されることもできる。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。また、上記分離膜の気孔直径は平均0.01~10μmであり、厚さは平均5~300μmであり得る。
【0092】
上記電解質は有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含み得る。
【0093】
上記有機溶媒は、電池の充放電過程で酸化反応などによる分解が最小化され得るものであれば制限がなく、例えば環状カーボネート、線状カーボネート、エステル、エーテルまたはケトンなどであり得る。これらは単独で使用され得、2種以上が混用されて使用され得る。
【0094】
上記有機溶媒のうち特にカーボネート系有機溶媒が好ましく使用され得、環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)およびブチレンカーボネート(BC)が挙げられ、線状カーボネートとしてはジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)およびエチルプロピルカーボネート(EPC)が代表的である。
【0095】
上記リチウム塩は、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiBF4、LiBF6、LiSbF6、LiN(C2F5SO2)2、LiAlO4、LiAlCl4、LiSO3CF3およびLiClO4などのリチウム二次電池の電解液に通常的に使用されるリチウム塩が制限なく使用され得、これらは単独で使用され得、2種以上が混用されて使用され得る。
【0096】
また、上記電解液には添加剤がさらに含まれ、例えば、上記添加剤としてはSEI膜を安定的に形成するために、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、環状サルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、非環状スルホン、リチウムオキサリルジフルオロボレート(LiODFB)、およびこれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物が使用され得るが、これに限定されない。
【0097】
本発明に係る電池セルの脱気方法は、上述した電池セル加圧治具を用いて電池セルを加圧する過程および電池セル内部のガスを外部に排出する過程を含む。
【0098】
上記電池セルを加圧する過程は1回行うこともできるが、これを2~5回繰り返すこともできる。本発明に係る加圧方法は、上述した加圧治具を用いるため、電池セルを加圧することにおいて、電池セルの下部からガスポケット部が位置する上部方向に順次的に加圧し得、これによりフォーメーション工程中に発生するガスが、下部からガスポケット部が位置する上部方向に方向性をもって移動し得る。
【0099】
そして、後続するガス排出過程を通じて電池セル内部のガスを排出する。このようなガス排出過程は、本願発明の出願時点に公知された多様な技術が採用され得る。例えば、一側が長く延長形成されたパウチ型二次電池において、延長形成された部分を切開し、切開された部分をシーリングする方式で脱気過程が行われ得るか、またはガスポケット部に貫通口を形成し、真空雰囲気から内部ガスを外部に排出することもできる。ただし、このような脱気技術については当業者に広く知られているので、より詳細な説明を省略する。
【0100】
以上では、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者または当該技術分野に通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させることができることを理解し得るだろう。
【0101】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の発明の概要に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【国際調査報告】