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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】平衡化方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20231206BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231206BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530861
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021084327
(87)【国際公開番号】W WO2022122621
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012815
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドリーマイアー フランコ, アナ-ルシア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィオリン, ピエール-ミカエル
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CC09
5G503GC04
5G503HA01
5H030AS08
5H030BB23
5H030FF41
5H030FF52
(57)【要約】
電気システム(1)の電気アキュムレータのバッテリー(2)のセル平衡化(20~35)を制御するための方法であって、方法が、各サブグループについて、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルと、選択されたセルとを平衡化することを含む、方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管理ユニット(5)と、複数のスタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)とを備える電気システム(1)の電気アキュムレータのバッテリー(2)のセル(20~35)の平衡化を制御するための方法(30)であって、
前記バッテリー(2)の前記セル(20~35)が、複数のサブグループ(201、202)であって、各々が、1つのスタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられた、複数のサブグループ(201、202)に分けられ、各サブグループ(201、202)の前記セル(20~35)が、互いに隣り合って配列され、
各サブグループ(201、202)の各セル(20~35)が、関連付けられた被制御スイッチ(60~75)と、関連付けられた抵抗器(80~95)とを備える前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)中の回路に各々接続され、
各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)の前記抵抗器(80~95)が、一列に接続され、
各サブグループ(201、202)について、各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)が、前記主管理ユニット(5)から制御コマンドを受信して、かつ前記サブグループ(201、202)の前記セルの電荷を平衡化するように前記受信された制御コマンドに応じて前記被制御スイッチ(60~75)を制御するように構成され、
前記方法が、セルの各サブグループ(201、202)の各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)について、
前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられた各セル(20~35)について、平衡化されるべき電荷の量を受信すること(301)と、
前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられたセル(20~35)のセットの間で、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セル(20~35)を決定すること(302)と、
平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた前記抵抗器に隣接しない抵抗器(80~95)に関連付けられた前記サブグループ(201、202)の他のセル(20~35)を選択すること(304)と、
候補セルの前記選択から、平衡化されるべき前記電荷が所定のしきい値未満であるセルを除外すること(305)と、
平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルと、候補セルの前記選択の前記セルとを平衡化するように前記接続されたスイッチ(80~95)を制御するために、前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に指令すること(306)と、
平衡化中に前記主管理ユニット(5)をシャットダウンすることと
からなるステップを含むことを特徴とする、
方法(30)。
【請求項2】
各サブグループ(201、202)について、前記セル(20~35)に関連付けられた前記抵抗器(80~95)が、数値識別子によって前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)によって識別され、前記抵抗器(80~95)は、2つの隣接する抵抗器(80~95)が、異なるパリティの数値識別子を有するように、各サブグループ(201、202)中で配列され、前記選択するステップ(304)は、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた前記抵抗器のパリティ値が識別される、識別するステップ(303)によって先行され、
前記選択するステップ(304)が、平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルの前記抵抗器について決定されたパリティと同一のパリティを有する抵抗器(80~95)に関連付けられたセル(20~35)を選択することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法(30)。
【請求項3】
前記所定のしきい値が、2つのセルの間の最大平衡化電流を乗算された前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)のスタンドアロン動作の最大持続時間に応じて決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(30)。
【請求項4】
前記所定のしきい値が、前記方法(30)の実行より前のステップにおいて設定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(30)。
【請求項5】
電気アキュムレータのバッテリー(2)と、複数のスタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)とを備える電気システム(1)の主管理ユニット(5)であって、
前記バッテリー(2)のセル(20~35)が、複数のサブグループ(201、202)であって、各々が、1つのスタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられた、複数のサブグループ(201、202)に分けられ、各サブグループ(201、202)の前記セル(20~35)が、互いに隣り合って配列され、
各サブグループ(201、202)の各セル(20~35)が、関連付けられた被制御スイッチ(60~75)と、関連付けられた抵抗器(80~95)とを備える前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)中の回路に各々接続され、
各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)の前記抵抗器(80~95)が、一列に接続され、
各サブグループ(201、202)について、各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)が、前記主管理ユニット(5)から制御コマンドを受信して、かつ前記サブグループ(201、202)の前記セルの電荷を平衡化するように前記受信された制御コマンドに応じて前記被制御スイッチ(60~75)を制御するように構成され、
前記主管理ユニット(5)は、
前記スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられた各セル(20~35)について、平衡化されるべき電荷の量を受信するための手段と、
各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)について、各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に関連付けられたセル(20~35)のセットの間で、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルを決定するための手段と、
平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた前記抵抗器に隣接しない抵抗器(80~95)に関連付けられた前記サブグループの他のセル(20~35)を選択するための手段と、
各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)について、候補セルの前記選択から、平衡化されるべき前記電荷が所定のしきい値未満であるセルを除外するための手段と、
平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルと、候補セルの前記選択の前記セルとを平衡化するように前記接続されたスイッチ(80~95)を制御するために、各スタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)に指令するための手段と、
平衡化中に自動シャットダウンを達成するための手段と
を備えることを特徴とする、
主管理ユニット(5)。
【請求項6】
電気アキュムレータのバッテリー(2)と、複数のスタンドアロンスレーブデバイス(4、4’)と、請求項5に記載の主管理ユニット(5)とを備える電気システム(1)であって、前記ユニットが、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、電気システム(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の電気システム(1)を備える自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アキュムレータのバッテリーのセルを平衡化するための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、電気車両またはハイブリッド車両のバッテリーの管理に関する。
【0003】
電気車両、ハイブリッド車両またはさらには再充電可能なハイブリッド車両は、直列のおよび/または並列の多数のセルから形成された電気アキュムレータのバッテリーを備える。
【0004】
アキュムレータのバッテリーにおいて、すべてのセルは、他のセルと同様の特性を有するが、しかしながら、アンペア時(Ah)単位の容量の、およびオーム(Ω)単位の抵抗のばらつきなど、特に物理的であるばらつきまたは差異が、残存する。一般に、充電状態(SOC)および/または温度の差異など、これらのセルの状態の一時的なばらつきも生じる。
【0005】
時間の経過とともに、およびバッテリーの使用の過程で、状態のこれらの物理的なばらつきおよび差異のすべては、セルが別様にエージングすることを引き起こす。セルのエージングの速度のこの差異は、健全状態(SOH)がセルごとに異なることを引き起こす。
【0006】
しかしながら、直列に取り付けられたセル間の充電状態の差異は、バッテリーの総使用可能容量が、直接的に影響を及ぼされるので、制限パラメータである。詳細には、セル間の電荷の差異が大きければ大きいほど、バッテリーの総使用可能容量は、より減少する。これは、それゆえ、電気車両の航続距離に対する悪影響を有する。
【0007】
これは、定期的にセルを平衡化することが必要である理由である。平衡化は、直接的におよび独立して、バッテリー管理システム(BMS)によって実行される。
【0008】
事例の大部分では、それは、(「受動」平衡化とも呼ばれる)いわゆる「散逸」平衡化の問題であり、これは、目標充電状態、概して、最も低い充電状態を有するセルのSOCまで抵抗器にセルを放電することによってセルの充電状態を平衡化することに存在する。
【0009】
平衡化回路がうまく寸法決定されたとき、換言すれば、平衡化電流が十分であるとき、および平衡化方策が定期的に使用されるとき、セル間の充電状態のばらつきは、所与のしきい値よりも低く保たれる。このしきい値は、セル電圧の測定の精度にとりわけ依存する。
【0010】
しかしながら、この平衡化方策は、車両の動作中にのみアクティブ化され得る。
【0011】
これらの方策は、それゆえ、長いパーキング段階中にセル不平衡を回避することを可能にしない。
【0012】
追加として、従来のセル平衡化は、運転段階中に、電気車両にとって十分な数のアンペア時を平衡化するように寸法決定されないことが知られている。
【0013】
これにより、例として、従来の平衡化のコンテキストにおいて、および130オームの平衡化抵抗器を用いた、2.5Vの公称セル電圧について、月当たり25日の使用、最悪のケースでは20分の毎日の通勤、および月当たり1h20の充電を伴う自動車両ユーザプロファイルが考察される場合、この厳密なケースでは、能動平衡化は、140Ahのセルについて考察すると、0.7Ahのニーズに対して0.064423077Ahを再平衡化することが可能であるにすぎない。
【0014】
それゆえ、セルが、自動車両の使用のどんなプロファイルにおいても平衡化されることを保証することが可能であるために、自動車両が静止しているときに実行される、スタンドアロン平衡化方策を展開することが必要である。静止によって意味されるものは、自動車両がシャットダウンされ、自動車両のコンピュータがシャットダウンされた状態である。
【0015】
目的は、さらに、静止した、BMSを含むすべてのコンピュータを用いてこの動作を行うことが必要であるので、車両のオンボード電源グリッドから電力を引き出さないことである。
【0016】
これにより、自動車両が静止しているときに作動する、およびセルが過熱することまたは過放電することのいずれをも引き起こさない、スタンドアロンであるセルを平衡化するための方法に対するニーズがある。
【0017】
自動車両が静止しているときにバッテリーセルを平衡化するための方法を説明する、文献US 2018/0354387 A1は、従来技術において特に知られており、この方法は、特定用途向け集積回路(ASIC)などのスタンドアロン集積回路を実装する。しかしながら、説明される方法は、比較的非効率的であり、自動車両の航続距離が最適化されることを可能にしない。
【0018】
これにより、本発明は、自動車両が静止しているときに作動する、およびバッテリーの過熱、またはバッテリーの管理ユニットの過熱を引き起こさず、セルの過放電をも引き起こさない、スタンドアロンで最適化されたセル平衡化解決策を提供することを目的とする。
【0019】
この目的で、主管理ユニットと、複数のスタンドアロンスレーブデバイスとを備える電気システムの電気アキュムレータのバッテリーのセルの平衡化を制御するための方法であって、
前記バッテリーの前記セルが、複数のサブグループに分けられ、各々が、1つのスタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられ、各サブグループの前記セルが、互いに隣り合って配列され、
各サブグループの各セルが、関連付けられた被制御スイッチと、関連付けられた抵抗器とを備えるスタンドアロンスレーブデバイス中の回路に各々接続され、
各スタンドアロンスレーブデバイスの前記抵抗器が、一列に接続され、
各サブグループについて、各スタンドアロンスレーブデバイスが、前記主管理ユニットから制御コマンドを受信することと、前記サブグループの前記セルの電荷を平衡化するように、受信された制御コマンドに応じて前記被制御スイッチを制御することとを行うように構成された、
方法が提供される。
【0020】
前記方法は、セルの各サブグループの各スタンドアロンスレーブデバイスについて、
- 前記スタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられた各セルについて、平衡化されるべき電荷の量を受信することと、
- 前記スタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられたセルのセットの間で、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルを決定することと、
- 平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた抵抗器に隣接しない抵抗器に関連付けられた前記サブグループの他のセルを選択することと、
- 候補セルの前記選択から、平衡化されるべき電荷が、所定のしきい値未満であるセルを除外することと、
- 候補セルの前記選択のセルと、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルを平衡化するように、接続されたスイッチを制御するように、前記スタンドアロンスレーブデバイスに指令することと、
- 平衡化中に主管理ユニットをシャットダウンすることと
を行うステップを備える。
【0021】
方法は、これにより、平衡化されるべきセルをそれらの関連付けられた抵抗器に放電することによって、主管理ユニットがオフであるときにバッテリーセルを平衡化することを可能にし、これは、平衡化が、非隣接抵抗器の選択を通してスレーブデバイスの過熱、特に平衡化抵抗器の過熱を引き起こさないことを保証しながら、および特にセルが平衡化に適格であるかどうかを定義する所定のしきい値の定義を通して過放電を回避しながら、最適な平衡化が得られることを可能にする。
【0022】
有利におよび非限定的に、各サブグループについて、前記セルに関連付けられた抵抗器が、数値識別子によってスタンドアロンスレーブデバイスによって識別され、抵抗器は、2つの隣接する抵抗器が、異なるパリティの数値識別子を有するように、各サブグループ中で配列され、選択ステップは、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた抵抗器のパリティ値が識別される、識別ステップによって先行され、
選択ステップが、平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルの抵抗器について決定されたパリティと同一のパリティを有する抵抗器に関連付けられたセルを選択することを備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、候補セルは、平衡化されるべきセルの抵抗器と同じパリティの抵抗器に関連付けられたセルを選択することによって、平衡化のために選択され、それゆえに、平衡化されるべきセルの抵抗器に隣接しない抵抗器は、比較的シンプルな様式で検出される。これは、得られるべきアルゴリズムの観点から、高速であり、比較的シンプルである選択方法を可能にする。
【0024】
有利におよび非限定的に、前記所定のしきい値が、2つのセルの間の最大平衡化電流を乗算されたスタンドアロンスレーブデバイスのスタンドアロン動作の最大持続時間に応じて決定される。これは、関連のある、および比較的最適なしきい値が得られることを可能にする。
【0025】
しかしながら、本発明は、そのような計算に限定されず、1つの代替形態によれば、所定のしきい値は、方法の実行より前のステップにおいて設定され得る。
【0026】
本発明はまた、電気アキュムレータのバッテリーと、複数のスタンドアロンスレーブデバイスとを備える電気システムの主管理ユニットであって、
前記バッテリーの前記セルが、複数のサブグループに分けられ、各々が、1つのスタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられ、各サブグループの前記セルが、互いに隣り合って配列され、
各サブグループの各セルが、関連付けられた被制御スイッチと、関連付けられた抵抗器とを備えるスタンドアロンスレーブデバイス中の回路に各々接続され、
各スタンドアロンスレーブデバイスの前記抵抗器が、一列に接続され、
各サブグループについて、各スタンドアロンスレーブデバイスが、前記主管理ユニットから制御コマンドを受信することと、前記サブグループの前記セルの電荷を平衡化するように、受信された制御コマンドに応じて前記被制御スイッチを制御することとを行うように構成され、
前記主管理ユニットが、
- 前記スタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられた各セルについて、平衡化されるべき電荷の量を受信するための手段と、
- 各スタンドアロンスレーブデバイスについて、各スタンドアロンスレーブデバイスに関連付けられたセルのセットの間で、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルを決定するための手段と、
- 平衡化のための候補セルとして、平衡化されるべき電荷の最大量を有する前記セルに関連付けられた抵抗器に隣接しない抵抗器に関連付けられた前記サブグループの他のセルを選択するための手段と、
- 各スタンドアロンスレーブデバイスについて、候補セルの前記選択から、平衡化されるべき電荷が、所定のしきい値未満であるセルを除外するための手段と、
- 候補セルの前記選択のセルと、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルを平衡化するように、接続されたスイッチを制御するように、各スタンドアロンスレーブデバイスに指令するための手段と、
- 平衡化中に自動シャットダウンを達成するための手段と
を備えることを特徴とする、主管理ユニットに関する。
【0027】
本発明はまた、電気アキュムレータのバッテリーと、複数のスタンドアロンスレーブデバイスと、上記で説明されたような主管理ユニットとを備える電気システムであって、前記ユニットが、上記で説明されたような方法を実行するように構成された、電気システムに関する。
【0028】
本発明はまた、上記で説明されたような電気システムを備える自動車両に関する。
【0029】
本発明の他の詳細および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の1つの特定の実施形態の以下で与えられる説明を読むと明らかになり、その実施形態は、非限定的な指示として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による、電気システムの概略図である。
図2】本発明による、方法の一実装形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1および図2は、本発明の同じ第1の実施形態に関するので、図1および図2は、同時に論じられる。
【0032】
電気車両、ハイブリッド車両または再充電可能なハイブリッド車両の電気システム1は、電気アキュムレータのバッテリー2を備える。
【0033】
電気アキュムレータのこのバッテリー2は、互いの近傍に配列された複数の別個のセル20~35からなる。
【0034】
セルは、この例では、セルがまた、パリティ値によって識別され得るように、番号を付けられ、偶数のセルは偶数に関連付けられ、奇数のセルは奇数に関連付けられ、セルは、これにより、偶数のセルが奇数のセルと交互になるように、整列される。
【0035】
セルは、2つのサブグループ201および202に分割され、第1のサブグループ201は、セル20~27を備え、第2のサブグループは、セル28~35を備える。
【0036】
本例では、各サブグループ201、202は、8つのセルを備えるが、本発明は、この単一の例に限定されない。具体的には、サブグループは、6つから12個の間のバッテリーを備え得ることが知られており、当業者は、より小さいまたはより大きいサブグループを同様にうまく作成することができるが、本発明の有効性は、その結果減少され得る。
【0037】
セルの各サブグループ201、202は、この実施形態では特定用途向け集積回路(ASIC)である、1つのスタンドアロンスレーブデバイス4、4’に関連付けられる。しかしながら、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、この単一のタイプの構成要素に限定されない。スタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、非限定的な例として、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサであってもよい。
【0038】
スタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、各セルについて、被制御スイッチ60~75および抵抗器80~95、たとえば、50オームから150オームの間の抵抗、この実施形態では100オームの抵抗、の抵抗器をさらに備える。
【0039】
各セル20~35について、回路は、これにより、関連付けられたスレーブデバイス4、4’中に存在し、セル20~35が平衡化されることを可能にする。この回路は、抵抗器80~95および被制御スイッチ60~75を直列に備える。
【0040】
セル20~35が平衡化されているとき、セル20~35は、セル20~35の関連付けられた抵抗器80~95に放電し、この放電は、平衡化をもたらす。言い換えれば、セル20~35の電荷は、セル20~35の電荷を、平衡化された充電レベルに至らせるために、関連付けられた抵抗器80~95に放電することを通して低減される。しかしながら、この状況は、関連付けられた抵抗器80~95の著しい加熱につながる。
【0041】
スタンドアロンスレーブデバイス4、4’中の抵抗器80~95の従来の配列は、一列配列であり、すなわち、抵抗器80~95は、図1中に示されているように、当該のスタンドアロンスレーブデバイスの各々において互いに隣り合って空間的に整列される。
【0042】
各スタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、それぞれ、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’のセル20~27および28~35の各々に関連付けられたスイッチ60~67および68~75を制御するように構成される。
【0043】
スイッチ60~75を、閉じるように制御することによって、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、これにより、関連付けられたセル20~35が、同じサブグループ201、202の別のセル20~35に関して平衡化されることを可能にする。
【0044】
しかしながら、セル20~35が平衡化されているとき、関連付けられた抵抗器80~95は熱くなる。これにより、同時に2つの隣接するセル20~35を放電することは、隣接する抵抗器80~95が過熱および誤動作すること引き起こすことがあるので、同時に2つの隣接するセル20~35を放電することを回避することが望ましい。
【0045】
電気システム1は、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’の動作を制御する主管理ユニット5を備える。言い換えれば、主管理ユニット5は、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’のマスタユニットである。
【0046】
主管理ユニット5は、たとえば、バッテリーセルからの測定情報を通信および受信することと、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’に与えられるコマンドを制御することとが可能なオンボードコンピュータまたは任意の他のコンピューティングデバイスであり得る。
【0047】
この主管理ユニット5およびスタンドアロンスレーブデバイス4、4’は、バッテリー管理システム(BMS)として一般に知られているアセンブリを形成する。
【0048】
主管理ユニット5は、この平衡化が実際に行われるとき、バッテリー2のセル20~35がシャットダウンされ得るように、セル20~35を平衡化するようにスタンドアロンスレーブデバイス4、4’を制御するための方法30を実行する。
【0049】
この方法30は、この実施形態では、主管理ユニット5が、シャットダウンまたはスタンバイ命令を受信したとき、トリガされる。これにより、自動車両をシャットダウンするかまたは自動車両をスリープにするという命令が、主管理ユニット5に送信されたとき、主管理ユニット5は、自動車両のシャットダウンまたはスリープ期間中に、バッテリーの平衡化を編成するために、以下の方法30を実行する。
【0050】
この方法30は、各サブグループ201、202について、並列にまたは直列に実装されるステップを備える。
【0051】
これにより、各サブグループ201、202について、前記スタンドアロンスレーブデバイス4、4’に関連付けられた各セル20~35について、平衡化されるべき電荷の量を受信するステップ301が、最初に、実行される。
【0052】
この実施形態では、電荷によって意味されるものは、一般にAhと書かれるアンペア時単位の、またはクーロンC単位の電荷値である。
【0053】
次に、このスタンドアロンスレーブデバイス4、4’のセル20~35のセットの間で、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルが、決定される302。
【0054】
次いで、電圧が前記決定されたセル302と平衡化されることを可能にする同じサブグループのセルが、選択される304。
【0055】
この目的で、この実施形態では、セルの関連付けられた抵抗器80~95のパリティ値に基づいてセルを選択するステップが、実行される。詳細には、この解決策は、実装されるべきアルゴリズムの観点から比較的迅速であることを可能にする。
【0056】
この例では、セル20~35は、各々、それの参照番号が同じユニットを有する1つの抵抗器80~85に関連付けられる。これにより、たとえば、セル21は、抵抗器81に関連付けられており、両方とも奇数値を持つ。
【0057】
前に解説されたように、隣接する抵抗器80~95の加熱は、回避されなければならない。
【0058】
これにより、先行するステップ302において決定されたセルの抵抗器80~95のパリティ値を識別するステップが、初めに、行われる。
【0059】
この目的で、サブグループ201、202の各セル20~35および各関連付けられた抵抗器80~95は、数値、たとえば、本例における各セル20~35および各抵抗器80~95の参照番号に関連付けられ、この値を2でユークリッド除算した余りが、ゼロであり、その場合に、数字が偶数であるのか、非ゼロであり、その場合に、数字が奇数であるのかがチェックされる。
【0060】
しかしながら、本発明は、セルのパリティを決定するというこの単一のやり方に限定されず、好適と思われる任意の方法を実行することは、当業者の能力内にある。具体的には、パリティインジケータ、たとえば、2進値が、場合によっては、何回もセルのパリティを再算出しなければならないことがないように、各セルに関連付けられる。
【0061】
そのうえ、実施形態のこの第1の例は、パリティ選択に基づくが、ステップ302において決定されたセルの抵抗器との値合同モジュロN>2の抵抗器の選択を通して非隣接セル抵抗器を選択するように、プロビジョンが行われてもよい。たとえば、特に、2つの他の抵抗器によって分けられた抵抗器、または言い換えると、3つの抵抗器のうちの1つの抵抗器、およびそれゆえ、ステップ302において決定された抵抗器との値合同モジュロ3の抵抗器を選択することが可能である。
【0062】
次いで、平衡化のための候補セルのセットであって、それの関連付けられた抵抗器80~95が、平衡化されるべきセルの抵抗器について決定されたパリティと同一のパリティを有する、サブグループのすべてのセルを備える候補セルのセットが、選択される304。
【0063】
次いで、平衡化されるべき電荷が、所定のしきい値未満であるセルが、候補セルのこのセットから除外される305。
【0064】
所定のしきい値は、最大平衡化電流を乗算されたスタンドアロンスレーブデバイス4、4’の最大動作時間の積を計算することによって算出される。
【0065】
ASICの場合、最大時間は、たとえば、1時間から2時間にわたる範囲にあるように定義され、最大時間は、たとえば、3640秒の持続時間であり、最大平衡化電流は、たとえば、20mAから100mAにわたる値の範囲にある。
【0066】
しかしながら、本発明は、選択ステップ304および除外ステップ305の実行のこの厳密な順序に限定されない。たとえば、最初に、除外されるべき305、所定のしきい値未満の平衡化されるべき電荷を有するすべてのセルについて、プロビジョンが行われ得、次いで、すべての残りのセルの間で選択されるべき、平衡化されるべきセルについて決定されたパリティと同一のパリティを有するセルについて、プロビジョンが行われ得る。選択結果は、それでもなお、同じである。
【0067】
次いで、このサブグループ201、202に関連付けられたスタンドアロンスレーブデバイスに、スタンドアロンスレーブデバイスが、関連付けられた被制御スイッチを制御することによって、候補セルの前記選択のセルと、平衡化されるべき電荷の最大量を有するセルを平衡化するように、指令するステップが実行される。
【0068】
次に、すべてのスタンドアロンスレーブデバイス4、4’が、平衡化指令を受信すると、主管理ユニット5は、シャットダウンされるかまたはスリープにされる。
【0069】
以上説明された方法30は、有利に、主管理ユニット5、たとえば、BMSが、スリープにされると、たとえば、ASICである、スタンドアロンスレーブデバイス4、4’の各々が、それらが、あらかじめ決定されたかまたは必要に応じて構成可能であるのいずれかである、決定された時間の間、構成された制御された平衡化スイッチ60~75を駆動するように、個々に制御されることを可能にする。
【0070】
方法は、
- 平衡化されるべき非隣接セル20~35の選択を通して、抵抗器80~95の異常加熱を引き起こさないように、
- 最小しきい値の定義を通して、セルを過放電しないように、
少しも自動車両の性能を劣化させることなく、方法の動作が、完全にスタンドアロンであるように、
さらに構成される。
【0071】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態のパリティ選択以外の技法を使用して、前記決定されたセル302と電圧を平衡化するために、同じサブグループ201、202のセルが、選択される304。この第2の実施形態では、平衡化されるべきセルに隣接しないすべてのセルが、選択される。この目的で、関連付けられたスタンドアロンスレーブデバイスは、そのような決定ができるようする任意のタイプのデータ編成を備え得、たとえば、サブグループ201、202中のセルの配列のマップが、メモリに記憶され得る。
【0072】
「スリープ」モードにおいてバッテリーセルの平衡化を制御するためのそのような方法は、セル間の不平衡を制限するために、マルチセルバッテリーを監視するための任意の他のシステムに適用され、これにより、自動車分野においてだけではなく、実装がエレクトロニクスを伴う任意の他の分野においても自律性を維持し得る。
【0073】
そのような方法は、たとえば、ラップトップコンピュータのバッテリーのセル間の不平衡を制限するために実行され得る。
【0074】
方法はまた、システムのバッテリー管理ユニットの電源が消費制約を受ける場合に、静止システムにおいて実行され得る。
図1
図2
【国際調査報告】