(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】導電性ポリウレタン複合材料の製造方法、及び当該材料
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20231206BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20231206BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08L75/04
C08K3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530974
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 RU2021050400
(87)【国際公開番号】W WO2022119476
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519239702
【氏名又は名称】エムシーディ テクノロジーズ エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】プレチェケンスキー, ミハイル ルドルフォビッチ
(72)【発明者】
【氏名】チェボチャコブ, デミトリー セメノビッチ
(72)【発明者】
【氏名】カナガトブ, ベケット
(72)【発明者】
【氏名】フェドロブ, ニキータ アレクサンドロビッチ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK031
4J002DA016
4J002FD116
4J002GH00
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
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4J034CC61
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4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
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4J034JA01
4J034JA42
4J034KA01
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4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
4J034MA02
4J034MA12
4J034QB07
4J034RA07
(57)【要約】
本発明は、導電性ポリウレタン複合材料及びその製造方法に関し、所望の導電性を有するポリウレタン複合材料から物品及びコーティングを製造する際に使用することができる。有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含有する1つ又は複数の化合物(B)と反応させることによって導電性ポリウレタン複合材料を製造するための本方法は、混合物1kg当たり0.5kW・h未満の入力エネルギー並びに(A)及び(B)の質量の合計に対する0.1質量%未満のカーボンナノチューブ含有量で、カーボンナノチューブの濃縮物を、化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含有する混合物と混合する工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む1つ又はいくつかの化合物(B)と反応させることによって、導電性ポリウレタン複合材料を製造する方法であって、前記方法が、カーボンナノチューブ濃縮物を、化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と、混合物1kg当たり0.5kW・h未満のエネルギー入力で混合する工程を含み、カーボンナノチューブの含有量が、(A)及び(B)の総質量の0.1重量%未満であることを特徴とする、有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む1つ又はいくつかの化合物(B)と反応させることによって、導電性ポリウレタン複合材料を製造する方法。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブ濃縮物を化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)と、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合する工程が、触媒、抑制剤、発泡剤、消泡剤、色素、着色顔料、充填剤、架橋剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロピー添加剤、表面改質剤、難燃剤、UV保護化合物、酸化防止剤、安定剤、抗菌添加剤、抗真菌添加剤からなる群から選択される前記ポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分を導入する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブ濃縮物が、前記ポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分と事前混合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、触媒、抑制剤、発泡剤、消泡剤、色素、着色顔料、充填剤、架橋剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロピー添加剤、表面改質剤、難燃剤、UV保護化合物、酸化防止剤、安定剤、抗菌添加剤、抗真菌添加剤からなる群から選択される前記ポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分を導入する1つ又はいくつかの工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブ濃縮物が1~80重量%のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブ濃縮物が1~80重量%の単層及び/又は二層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmについてのラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドとの強度比が10を超えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmについてのラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドとの強度比が50を超えることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブ濃縮物が20~99重量%の、脂肪族アルコールと、フタル酸、又はセバシン酸、又はアジピン酸、又は1,2-シクロヘキサンジカルボン酸との1つ又はいくつかのエステルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブ濃縮物が20~99重量%の一般式C
nH
2n-x(OH)
x(式中、n及びxは1より大きい整数である)を有する1つ又はいくつかのアルコールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
インペラ外縁部の直線回転速度が15m/秒未満のミキサーで撹拌することによって、前記カーボンナノチューブ濃縮物が、(A)若しくは(B)、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
プラネタリーミキサー、ローターステーター型ミキサー、二軸ミキサー、三本ロールミル、ニーダーからなる群から選択されるミキサーで撹拌することによって、前記カーボンナノチューブ濃縮物が、(A)若しくは(B)、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法に従って製造されることを特徴とする、導電性ポリウレタン複合材料。
【請求項14】
90重量%超のカーボンナノチューブが、40μm未満の直径を有する凝集物であることを特徴とする、請求項13に記載の複合材料。
【請求項15】
90重量%超のカーボンナノチューブが、20μm未満の直径を有する凝集物であることを特徴とする、請求項14に記載の複合材料。
【請求項16】
前記材料が、20~1000kg/m
3の密度及び10~10
9Ohm・cmの体積抵抗率を有する発泡体であることを特徴とする、請求項13に記載の複合材料。
【請求項17】
前記材料が、500~2000kg/m
3の密度及び10~10
9Ohm・cmの体積抵抗率を有するシンタクチック海綿状プラスチックであることを特徴とする、請求項13に記載の複合材料。
【請求項18】
前記材料が、800~2000kg/m
3の密度及び10~10
9Ohm・cmの体積抵抗率を有する固体材料であることを特徴とする、請求項13に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性及び導電性ポリウレタン複合材料及びその製造方法に関し、ポリウレタン複合材料で作製された物品及びコーティングの製造に使用することができる。本発明は、所望の導電性を有するポリウレタン複合材料を製造するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PU)は、軟質及び硬質セグメントからなるセグメント化ポリマーであり、6つの最も重要な合成材料の1つである。ポリウレタンは、高いエラストマー特性に加えて、良好な耐摩耗性、耐薬品性、及び高い引張強度も有する。PUは、その体積抵抗率が最大1013Ohm・cmであるため、優れた絶縁体であり、これは特定の用途において有利である。しかしながら、多くの用途において、ポリウレタンの絶縁特性は、部品表面に静電気の蓄積をもたらし、静電気放電(スパーク)を引き起こす可能性がある。可燃物の近く又は爆発環境で使用する場合、静電気の蓄積は防止されなければならない。また、電子機器の誤動作又は損傷につながる可能性がある。多数の国際規格は、ポリウレタン物品の導電性の制御に関する(国際規格ISO 9563:2015、ASTM D991、EN 61340-5-1、EN ISO 18080、ANSI/ESD STM2.1、Directives1994/9/EC及びATEX 95、GOST12.4.124、ASTM F150等)。ロシアの標準規格GOST 12.4.124によれば、帯電防止物質は、材料の体積及び表面抵抗率をそれぞれ109Ohm・cm及び109Ohm・cmに減少させるはずである。帯電防止剤及び材料は、「ESD(安全)」とも呼ばれる。
【0003】
導電性有機添加剤、又は金属塩、又は金属酸化物、又はイオン伝導性(例えば、プロトン伝導性)を有する金属水酸化物を導入することによって、静電気電荷を散逸させるのに十分な導電性をポリウレタン材料に付与する方法が知られている。しかしながら、イオン伝導性は、特定の条件、例えば湿度の維持を必要とする。このような帯電防止添加剤は、ポリマーに安定した帯電防止能力を与えることができないが、一方で低い相対湿度はポリマーの表面抵抗に強い影響を及ぼし、その広範な用途を制限する。
【0004】
静電気の蓄積を防止するのに十分な導電性をポリウレタン材料に付与する他の方法は、電子伝導性を有する導電性充填剤:すす(カーボンブラック)又は金属粉末の添加を含む。これらの方法の欠点は、材料内に接続された導電性ネットを形成するために大量の導電性充填剤(10%v/v超)が必要とされることである。そのような大量の充填剤の導入は、ポリウレタンを形成するためのそれらの化学的相互作用の前に成分のレオロジー特性を実質的に変化させ、これはポリウレタンから作製される物品の製造を複雑にする。このような大量の充填剤の導入はまた、材料の物理的及び機械的特性を変化させ、材料をより剛性にし、脆くし、その衝撃強度及び他の重要な特性を低下させる。
【0005】
カーボンナノチューブ(CNT)は、静電荷を散逸させるのに十分な導電性を有するポリウレタン系複合材料を得るための導電性添加剤として使用されることが知られている。このような複合材料の利点は、カーボンブラック、金属、導電性金属酸化物等の他の導電性充填剤と比較して、カーボンナノチューブの量を何倍も少なくすることにより、目標のポリウレタン導電性レベルを達成できることである。米国特許第8945434号明細書は、(A)有機ポリイソシアネートと、(B)NCO反応性基を含む化合物と、(C)場合により触媒及び補助化合物又はそれらの混合物と、を反応させることによって製造された帯電防止性又は導電性熱硬化性ポリウレタンを記載しており、ポリウレタンは、カーボンナノチューブをポリウレタンの総質量の0.1~15重量%含み、その中で30~90重量%のカーボンナノチューブは、40μm未満の粒径を有し、10~70重量%のカーボンナノチューブは、40~1000μmの粒径を有し、40~1000μmの粒径を有するカーボンナノチューブの90%超は、100~200μmの直径を有することを特徴とする。
【0006】
米国特許第8945434号明細書はまた、帯電防止性又は導電性熱硬化性ポリウレタンを製造する方法を記載しており、工程は、(II)カーボンナノチューブを(A)、(B)、又はそれらの混合物と、ローターステーターシステムを使用して102kW/m3~1014kW/m3の出力密度で混合する工程であって、カーボンナノチューブの含有量は、(A)及び(B)の総質量の0.1~15重量%である、工程と、(III)(A)を(B)と、場合により触媒及び補助化合物と反応させて、組成物を形成する工程と、(IV)組成物を型に導入するか、又は組成物を基材に塗布する工程と、(V)組成物を硬化させて、帯電防止又は導電性ポリウレタンで作製された部品を形成する工程であって、カーボンナノチューブの含有量が、ポリウレタンの総質量の0.1~15重量%であり、30~90重量%のカーボンナノチューブは、40μm未満の粒径を有し、10~70重量%のカーボンナノチューブは、40~1000μmの粒径を有し、40~1000μmの粒径を有する90重量%超のカーボンナノチューブは、100~200μmの直径を有する、工程と、を含む。
【0007】
引用文献の技術的結果を達成するための重要な要素は、100kW/m3~100TW/m3、好ましくは10MW/m3超~10TW/m3の高入力電力密度である。局所的には、最大剪断応力領域において、出力密度は更に高い。10MW/m3を超える提案された出力密度は、GW/m3及びTW/m3の出力密度は言うまでもなく、ポリウレタン材料の成分の急速な劣化をもたらす可能性があるため、このような高入力出力は本方法の重大な欠点である。ポリウレタン材料の成分の分解は、引張弾性率、引張強度、又は引裂強度等の材料の物理的及び機械的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。この方法の更なる欠点は、高濃度のカーボンナノチューブを導入する必要があることであり、その結果、システムの粘度が増加し(0.1重量%を超えるCNT含有量では、粘度が20倍を超えて増加し得ることが知られている)、加工が困難になる。0.1重量%CNTを超える導入は、提供される方法の欠点でもある着色帯電防止材料を得ることを妨げる。
【0008】
上記から、その機械的処理中にポリウレタン材料の成分を劣化させることなく、109オーム・cm未満の体積抵抗率を有する導電性又は帯電防止性ポリウレタン複合材料を製造するという技術的問題があることになる。米国特許第8945434号明細書は、10MW/m3~10TW/m3の推奨電力密度では、材料の構成要素の劣化が起こりそうであり、不可避でさえあるため、この問題を解決していない。更に、米国特許第8945434号明細書の方法がプロトタイプとして採用されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む1つ又はいくつかの化合物(B)と反応させることによって導電性ポリウレタン複合材料を製造する方法を提供し、方法は、カーボンナノチューブ濃縮物を化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)と、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と、混合物1kg当たり0.5kW・h未満の入力エネルギーで混合することを含み、カーボンナノチューブの含有量は、(A)及び(B)の総質量の0.1重量%未満である。
【0010】
「導電性材料」という用語は、帯電防止材料、すなわち、105~109Ohm・cmの体積抵抗率を有する、静電気電荷を散逸させるのに十分な導電性を有する材料を含む、10~109Ohm・cmの体積抵抗率を有する材料を指す。
【0011】
技術的結果は、その機械的処理中にポリウレタン材料の成分を劣化させることなく、109Ohm・cm未満の体積抵抗率を有する導電性ポリウレタン複合材料を製造することを含む。方法の特定の実施形態では、技術的結果は着色導電性ポリウレタン複合材料を製造することであり、これは追加の利点である。
【0012】
技術的結果は、カーボンナノチューブとポリウレタン材料の成分との混合物へのエネルギー入力速度が混合物1kg当たり0.5kW・h未満で、カーボンナノチューブを直接ではなく、ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)の総質量の0.1重量%未満のCNT含有量のカーボンナノチューブ濃縮物を導入することによってポリウレタン材料にカーボンナノチューブを導入することによって提供される方法において達成される。
【0013】
カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ、数層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、若しくは単層カーボンナノチューブ、又はそれらの混合物であり得る。カーボンナノチューブを凝集させて、コイル状等の様々な幾何学的形状の結合凝集物、又はファンデルワールス力(π-π相互作用)によって一緒に保持されたカーボンナノチューブの束を製造することができる。好ましくは、カーボンナノチューブ濃縮物は、単層又は二層カーボンナノチューブを含む。好ましくは、濃縮物中の単層又は二層カーボンナノチューブは高品質であり、すなわち、ほとんど構造欠陥を含有せず、これは、532nmの光波長に対するラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの強度の高い比によって実証される。好ましくは、カーボンナノチューブ濃縮物のラマンスペクトルにおける比は10より高く、より好ましくは比は30より高く、最も好ましくは比は50である。しかしながら、カーボンナノチューブ濃縮物が多層カーボンナノチューブを含み、光波長532nmについてのラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの強度比が10未満である場合にも、技術的結果が達成され得る。濃縮物中のカーボンナノチューブは、アモルファスカーボン又はグラファイトを含む他の炭素同素体、並びに鉄若しくはコバルト、又は他の金属、バイメタル粒子、又はこれらの合金等が含まれるがこれらに限定されないカーボンナノチューブを製造するための触媒として使用される微量の金属又は金属炭化物の粒子を不純物として含有し得る。このような不純物の存在は、技術的結果に影響を及ぼさない。
【0014】
1kgの混合物当たり0.5kW・h未満の混合時の低入力エネルギーの要件は、ポリウレタン材料の物理的及び機械的特性に悪影響を及ぼし得るポリウレタン材料の成分の劣化を防止するために必要である。
【0015】
ポリウレタン材料の成分との混合物中のカーボンナノチューブの低濃度の要件は、液体分散媒体中への大きな長さと直径との比を有する分散充填剤の導入(及びカーボンナノチューブがそのような充填剤である)が、得られる分散物の粘度を実質的に増加させることが知られているため、混合物の比較的低い粘度を確保するために必要である。分散液を混合するのに必要なエネルギーは、その粘度の増加と共に増加する。したがって、低投入エネルギーで十分な混合を達成するためには、低濃度のカーボンナノチューブ、すなわちポリイソシアネート(A)及びNCO反応性基(B)を含む化合物の総質量の0.1重量%未満が要求される。好ましくは、カーボンナノチューブの濃度は0.06重量%未満である。
【0016】
そのような少量のカーボンナノチューブを導入し、それらをそのような低い入力エネルギーでポリウレタン混合物の成分と混合する場合、材料の109Ohm・cm未満の体積抵抗率は、コイル状凝集物を伴わずに十分に分散したカーボンナノチューブの均一な分布を提供することによってのみ達成することができ、これは、カーボンナノチューブ粉末をポリウレタン成分に直接導入する場合には解決することができない重大な課題である。この理由は、米国特許第8945434号明細書で示唆されているように、カーボンチューブ凝集物を分散させるには、高いエネルギーと同時に高い出力密度が必要であるためである。したがって、技術的結果を達成するには、カーボンナノチューブと液体媒体との事前分散混合物であるカーボンナノチューブ濃縮物を、ポリウレタン材料又はそれらの混合物の成分の1つに導入する必要がある。濃縮物中のカーボンナノチューブの含有量は1~80重量%であり得る。カーボンナノチューブ濃縮物は、ペースト、プラスチック混合物、又は粉末であり得る。濃縮物中のカーボンナノチューブの含有量は、使用されるカーボンナノチューブの性質、分散液相の性質、及び選択された分散方法に基づく。導電性ポリウレタン材料を製造するために使用されるカーボンナノチューブ濃縮物の製造方法は、本発明の範囲外である。
【0017】
分散媒体は、鉱物、合成、又は生物学的起源のイオン液体、エポキシ、ポリエステル、ポリアクリル、ポリフェニルシロキサン、又はポリウレタン樹脂、油、シリコーン、シラン、脂質、エステル、脂肪酸からなる一連の物質、可塑剤、活性希釈剤、及び脱気剤として使用される化合物の一連の組成物から選択することができ、列挙された化合物の二成分及び多成分混合物が分散媒体として機能し得る。方法の特定の実施形態では、カーボンナノチューブ濃縮物は、好ましくは20~99重量%の、脂肪族アルコールと、フタル酸、セバシン酸、アジピン酸、又は1,2-シクロヘキサンジカルボン酸との1つ又は複数のエステルを含み、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、HEXAMOLL(登録商標)DINCH(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)等が挙げられるが、提供される例に限定されない。方法の他の実施形態では、カーボンナノチューブ濃縮物は、好ましくは20~99重量%の、一般式CnH2n-x(OH)x(式中、n及びxは1より大きい整数である)を有する1種又は数種のアルコールを含み、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等であるが、提供された例に限定されない。
【0018】
ポリイソシアネート(A)は、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式ポリイソシアネート、及びそれらの混合物等の少なくとも2つのイソシアネート基を分子中に含むことが当技術分野で公知の任意の化合物から選択することができる。例えば、適切な脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートには、ジ-又はトリイソシアネート、例えばブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(ヘキサンメチレンジイソシアネート、HMDI)、4-イソシアナトメチル1,8-オクタンジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN)、及び環状系、例えば4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、並びにω,ω’-ジイソシアナト-1,3-ジメチルシクロヘキサン(H6XDI)が含まれる。適切な芳香族ポリイソシアネートには、例えば、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン(2,2’-、2,4’-、及び4,4’-MDI又はこれらの混合物)、ジイソシアナトメチルベンゼン(2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート、TDI)及び両方の異性体の技術的混合物、並びに1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)が含まれる。更に、例としては、TODI(3,3’-ジメチル-4,4’ビフェニルジイソシアナト)、PPDI(1,4-パラフェニレンジイソシアナト)及びCHDI(シクロヘキシルジイソシアナト)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
更に、適切なポリイソシアネート(A)には、カルボジイミド、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を含む上述の脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式ポリイソシアネートの既知の転化生成物、並びにポリイソシアネートをイソシアネート基に対して反応性である基を含む化合物と反応させることによって得られるプレポリマーが含まれる。
【0020】
ポリイソシアネート(A)は、溶液中に存在することができる。適切な溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールジアセテート、ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、N-エチルピロリドン、メチラール、エチラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン、グリセロールホルマール、ベンゼン、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ナフタ溶媒、2メトキシプロピルアセテート(MPA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
NCO反応性基(B)を含む化合物は、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルアミン、短鎖ポリオール及びポリアミン等のそのような基を含むことが当技術分野で公知の任意の化合物から選択することができる。これらには、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-又は1,2-プロパンジオール、1,4-又は2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の低分子量ジオール;グリセロール、トリメチロールプロパン等のトリオール;テトラオール、例えばペンタエリスリトール、並びにポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、ポリアミン及びポリエーテルアミン、並びにポリブタジエンポリオール等の高分子量ポリヒドロキシ化合物;ジエチレントルエンジアミン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチル)アニリン、4,4’メチレンビス(2,6-ジイソプロピル)アニリン、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6ジエチル)アニリン、ジメチルチオトルエンジアミン、N,N’-ジ(secブチル)アミノビフェニルメタン、N,N’-disecブチル-p-フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ4,4’-ジアミノジフェニルメタン、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート、ヒドロキノンジ-3-ヒドロキシエチルエーテル等の短鎖ポリアミン、ジアミン、トリアミン類が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0022】
NCO反応性基(B)を含む化合物は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールジアセテート、ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、N-エチルピロリドン、メチラール、エチラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン、グリセロールホルマール、ベンゼン、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ナフタ溶媒、2メトキシプロピルアセテート(MPA)であるが、提供される例に限定されない溶液中にも存在し得る。更に、溶媒は、イソシアネートに対して反応性の基、例えば低分子量ジオール(例えば、1,2-エタンジオール、1,3-又は1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール)、トリオール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)、並びに低分子量ジアミン、例えばポリアスパラギン酸エステルを含むこともできるが、提供される例に限定されない。
【0023】
カーボンナノチューブ濃縮物は、任意の既知の混合技術及び混合機器、例えば、垂直型ミキサー(溶解機としても知られる)、プラネタリーミキサー、ローターステーター型ミキサー、二軸スクリューミキサー又はニーダー上の二軸ミキサーを使用して、(A)若しくは(B)又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合することができるが、提供される例に限定されない。設備及び技術の選択が特定の製造現場で利用可能なものによって制限される場合、分散を目的としたデバイス、例えば、コロイドミル、三本ロールミル、ビーズミル、プラネタリーミル、ボールミル等を使用することもできるが、提供される例に限定されない。前提条件は、入力比エネルギーが混合物当たり0.5kW・h/kg未満であることである。最も好ましくは、混合は、ディスク溶解機、すなわち歯付きディスクインペラを備えた垂直型ミキサーを使用して、インペラ外縁部の回転速度が15m/秒未満で実行されて、エネルギー入力速度は、処理される混合物1kg当たり0.5kW・h未満である。
【0024】
ポリウレタン複合材料の組成物はまた、様々な補助化合物及び/又は添加剤を含むことができる。ポリウレタン複合材料の補助成分は、ポリウレタン材料の当業者に公知の、広範囲の触媒、抑制剤、発泡剤、消泡剤、色素、顔料、充填剤、架橋剤、レオロジー調整剤(可塑剤、増粘剤、チキソトロピー添加剤)、表面改質剤、難燃剤、UV保護化合物、酸化防止剤、安定剤、抗菌剤及び/又は抗真菌添加剤から選択することができる。
【0025】
ポリウレタン複合材料中の好適な抑制剤としては、脂肪族カルボン酸、誘導体化フェノール化合物、誘導体化ラクトン、誘導体化ヒドロキノン、又はポリウレタン材料の当業者に公知の他の薬剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な触媒としては、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジブチルスズジラウレート、スズ(2+)カプリレート、トリエチルアミン、ピリジン、アルカリ金属水酸化物及びアルコラート、カルボン酸のアルカリ塩、鉛、アンチモン、亜鉛、銅、コバルト、アセチルアセトネート及び金属の他のキレート錯体の化合物、又はポリウレタン材料の当業者に公知の他の薬剤を挙げることができるが、これらに限定されない。適切な発泡剤には、水、ヒドロフルオロオレフィン、ペンタン、ギ酸メチル、二酸化炭素、フルオロ炭素、及び当業者に公知の他の発泡剤が含まれ得るが、これらに限定されない。ポリウレタン複合材料中の好適な消泡剤としては、有機ケイ素消泡剤、シリコーンを含まないポリマー消泡剤、シリコーンポリマー消泡剤、又はポリウレタン材料の当業者に公知の他の薬剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な鉱物充填剤には、チョーク、シリケート、ゼオライト、ドロマイト、水酸化アルミニウムが含まれ得るが、これらに限定されない。ポリウレタンの化学において既知のこれらの充填剤は、ポリウレタンの質量に基づいて、25重量%までの濃度で存在することができる。充填剤はまた、例えば多層カーボンナノチューブ、導電性すす、炭素繊維等の単層カーボンナノチューブとは別に、導電性を高めるための追加の添加剤を含むことができる。レオロジー特性を改善するための適切な化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエステル、クエン酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されない。適切な増粘剤又はチキソトロピー添加剤としては、例えば、非晶質シリカ等が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な難燃剤としては、限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム又はハロ含有化合物及びリン含有化合物に基づくアンチピレン、アミンとの金属含有錯体等が挙げられ得る。適切なUV保護化合物としては、例えば、エチル4[[(メチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]ベンゾエート、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-クレゾール等が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な酸化防止剤としては、限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリス(2,4ジトレブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられ得る。適切な安定剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,2-ジ-(4-メチル-6-tert-ブチル-フェノール)メタン等が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な抗菌剤及び抗真菌添加剤には、10,10-オキシビスフェノキシアルシン、トリクロロヒドロキシジフェニルエステル、Nフルオロジクロロメチルチオフタルイミド等が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0026】
特定の実施形態では、ポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分は、好ましくは、カーボンナノチューブ濃縮物を化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)と、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合する工程で導入される。この場合、化合物(B)若しくはポリイソシアネート(A)と、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合する工程の前に、カーボンナノチューブ濃縮物をポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分と事前混合することが好ましい場合がある。
【0027】
方法の特定の実施形態では、好ましくは、1つ又はいくつかの工程を更に含み、一連の触媒、抑制剤、発泡剤、消泡剤、色素、着色顔料、充填剤、架橋剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロピー添加剤、表面改質剤、難燃剤、UV保護化合物、酸化防止剤、安定剤、抗菌添加剤、抗真菌添加剤から選択されるポリウレタン複合材料の1つ又はいくつかの補助成分が材料に導入される。
【0028】
得られた成分(A)、(B)、カーボンナノチューブ濃縮物、及び全ての必要な補助成分の混合物は、塗布、噴霧、ダイキャスト、又は基材に注がれるか、又は予熱された金型に注入され、高温又は室温で硬化される。必要に応じて、混合物を脱気する。カーボンナノチューブ濃縮物を成分(A)、又は成分(B)、あるいは有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と混合した後、ポリウレタン複合材料で作製された部分又はコーティングを得るまでのこれらの操作は全て、ポリウレタン材料の当業者に公知の任意の方法と同様に行うことができる。これらの工程における手順、注入圧力、硬化温度及び他のプロセスパラメータの選択は、成分(A)及び(B)の化学組成、補助添加剤の組成、製造される部品又はコーティングの種類、並びに特定の製造現場で使用される機器によって決定される。
【0029】
本発明は、導電性ポリウレタン複合材料を提供し、この材料は、有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む1つ又はいくつかの化合物(B)と反応させることによって得られ、この材料を製造する方法は、カーボンナノチューブ濃縮物を化合物(B)又はポリイソシアネート(A)と、又は有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)を含む混合物と、混合物1kg当たり0.5kW・h未満の入力エネルギーで混合することを含み、カーボンナノチューブの含有量は、有機ポリイソシアネート(A)及び化合物(B)の総質量の0.1重量%未満である。
【0030】
好ましくは、得られた導電性ポリウレタン複合材料中のカーボンナノチューブは十分に分散されており、すなわちカーボンナノチューブの90重量%を超は、40μm未満の直径を有する凝集物で存在する。カーボンナノチューブの凝集物の直径は、凝集物の顕微鏡写真と同じ周囲を有する円の直径として理解される(円相当周囲径(Equivalent Circular Perimeter Diameter:ECPD)法)。最も好ましくは、得られた導電性ポリウレタン複合材料中のカーボンナノチューブは十分に分散されており、すなわちカーボンナノチューブの90重量%を超は、20μm未満の直径を有する凝集物で存在する。カーボンナノチューブの凝集物の直径は、凝集物の顕微鏡写真と同じ周囲を有する円の直径として理解される(円相当周囲径(Equivalent Circular Perimeter Diameter:ECPD)法)。しかしながら、技術的結果は、これらの小さな凝集物が90重量%未満のカーボンナノチューブを含有する場合にも達成することができる。
【0031】
このようにして得られた材料は、CNT含有量が、環境条件に依存しない材料の総質量の0.1重量%未満で109Ohm・cm未満の安定した導電率を有し、その組成物に使用される色素及び/又は顔料に応じて任意の色に着色することができ、追加で導入される発泡剤、架橋剤、及び充填剤に応じて発泡、固体、又はシンタクチックとすることができる。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、得られたポリウレタン複合材料は、10~109Ohm・cmの体積抵抗率を有する密度20~1000kg/m3の発泡体であり得る。本発明の他の実施形態では、得られたポリウレタン複合材料は、10~109Ohm・cmの体積抵抗率を有する500~2000kg/m3の密度を有するシンタクチック海綿状プラスチックであり得る。本発明の更に他の実施形態では、得られたポリウレタン複合材料は、10~109Ohm・cmの体積抵抗率を有する密度800~2000kg/m3の固体材料であり得る。
【0033】
本発明は、以下に提供される実施例及び図面によって説明される。実施例及び図面は、本発明によって提供される技術的問題に対する解決策をよりよく説明するために提供され、本発明の全ての可能な実施形態を網羅するものではない。実施例で提供される材料の体積抵抗率は、ASTM D257に従って測定した。ポリウレタンの密度は、ASTM D7487-18及びDIN EN ISO845-1995-06に従って決定した。実施例16~18は比較例であり、本発明の実質的な特徴がなければ技術的結果が達成されないことを示すために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施例1~3で使用したカーボンナノチューブ濃縮物中の単層カーボンナノチューブの顕微鏡写真の図である。
【
図2】実施例1のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図3】実施例1の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【
図4】実施例2のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図5】実施例2の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【
図6】実施例6のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図7】実施例6の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【
図8】実施例9のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図9】実施例9の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【
図10】実施例13で使用したカーボンナノチューブ濃縮物中の単層及び二層カーボンナノチューブの顕微鏡写真を示す図である。
【
図11】実施例13のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図12】実施例13の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【
図13】実施例16(比較例)のポリウレタン複合材料の顕微鏡写真を示す図である。
【
図14】実施例16(比較例)の材料における凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0035】
最良の実施形態
【実施例1】
【0036】
2リットルの金属容器中で、884.7gのトルエンジイソシアネート(A)とNCO反応性基を含むポリエステル(B)との市販の混合物(SUREL LLC,Russian FederationによるプレポリマーSKU-PFL 74)を、10重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び90重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)を含む0.5gのカーボンナノチューブ濃縮物と混合した。
図1は、カーボンナノチューブ濃縮物の製造に用いた単層カーボンナノチューブの顕微鏡写真を示す。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は62である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で3分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.16kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.18kW・hに達した。次いで、112℃で事前溶融した114.8gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られたポリイソシアネート(A)及びNCO反応性基を含む化合物(B)の混合物中のSWCNT含有量は0.005重量%であった。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0037】
図2は、結果として得られたポリウレタン複合材料の顕微鏡写真の例を示す。大きな細長い凝集物(SWCNT束)及び不規則な凝集物(SWCNTコイル)を容易に見ることができる。
図3は、50枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数(N)のそれらの直径(D)による分布のヒストグラムを示す。直径(D)は、凝集物の顕微鏡写真と同じ周囲を有する円の直径と仮定した(円相当周囲径(ECPD)法)。ヒストグラムは、40μm未満の直径を有する凝集物の最小質量分率を評価することを可能にする。凝集物は形状が異なるため、直径が等しいが形状が異なる2つの凝集物の質量は異なり得る。40μm未満の直径を有する凝集物の最小質量分率の信頼できる推定値は、凝集物質量がその直径の第三度に比例すると仮定することによって得ることができる。得られた複合ポリウレタン材料について、このような推定は、90重量%超のSWCNTが、直径40μm未満の凝集物であることを実証している。得られた複合ポリウレタン材料は、10
7Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.005重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m
3である。得られた導電性複合ポリウレタン材料の引張強度は45.7MPaであるが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【0038】
実施形態
【実施例2】
【0039】
2リットルの金属容器中で、880.7gのトルエンジイソシアネート(A)及びNCO反応性基を含むポリエステル(B)(SUREL LLC,Russian FederationによるプレポリマーSKU-PFL 74)の市販の混合物を、10重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び90重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)を含む5gのカーボンナノチューブ濃縮物と混合した。
図1は、カーボンナノチューブ濃縮物の製造に用いた単層カーボンナノチューブの顕微鏡写真を示す。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は62である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で3分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.2kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.23kW・hに達した。次いで、112℃で事前溶融した114.3gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0040】
図4は、結果として得られたポリウレタン複合材料の顕微鏡写真の例を示す。
図5は、50枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数のそれらの直径による分布のヒストグラムを示す。得られた複合ポリウレタン材料について、観察された全ての凝集物は、40μm未満の直径を有し、90重量%超のSWCNTは、直径が20μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、10
4Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m
3である。得られた導電性複合ポリウレタン材料の引張強度は45.1MPaであるが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例3】
【0041】
2リットルの金属容器において、819.9gのトルエンジイソシアネート(A)とNCO反応性基を含むポリエステル(B)との市販の混合物(SUREL LLC,Russian FederationによるプレポリマーSKU-PFL 100)、16.4gの二酸化チタン、16.4gの赤色顔料ペースト、1.5gの10重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び90重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)を混合した。
図1は、カーボンナノチューブ濃縮物の製造に用いた単層カーボンナノチューブの顕微鏡写真を示す。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は62である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で3分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.1kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.12kW・hに達した。次いで、112℃で事前溶融した145.8gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0042】
得られた着色ポリウレタン複合材料については、92重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、106Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.015重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m3である。コーティングには、RAL規格に従って3018の色指数を割り当てた。製造された導電性複合ポリウレタン材料は47.1MPaの引張強度を有するが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は46.6MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例4】
【0043】
2リットルの金属容器に、99gのポリエステルイソラン430/150(B)に基づく市販のポリオールと、2gの5重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブを含むSWCNT濃縮物と、95重量%の1,2シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2ジカルボキシレート)と、を混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は61である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、4m/秒(2100rpm)の回転速度で5分間行った。総投入エネルギーは0.08kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.09kW・hに達した。次いで、99gのメチルジフェニルジイソシアネート(MDI)(A)を混合物に添加し、混合物をインペラ回転速度4m/秒(2000rpm)で6秒間撹拌した。得られた混合物を型に流し込み、室温で1時間硬化させた。
【0044】
得られた硬質発泡複合ポリウレタン材料について、91重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、106Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。得られた導電性複合硬質発泡ポリウレタン材料の密度は154kg/m3であったが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の密度は150kg/m3であった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例5】
【0045】
2リットルの金属容器に、91.2gのポリエステルVoralast XCP2016(B)に基づくポリオール(B)と、14.0gの1重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブを含む濃縮物と、99重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)と、を混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は59である。この工程では、10.6gの架橋剤Voralast GT986も導入する。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、4m/秒(2100rpm)の回転速度で5分間行った。総投入エネルギーは0.07kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.085kW・hに達した。次いで、84.9gのイソシアネートVoralast GT967(A)を混合物に添加し、混合物をインペラ回転速度4m/秒(2000rpm)で6秒間撹拌した。得られた混合物を型に流し込み、室温で1時間硬化させた。
【0046】
得られた軟質発泡複合ポリウレタン材料について、90重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、107Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.07重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。得られた導電性複合硬質発泡ポリウレタン材料の密度は445kg/m3であったが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の密度は450kg/m3であった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例6】
【0047】
2リットルの金属容器中で、844.8gのトルエンジイソシアネート(A)とNCO反応性基を含むポリエステル(B)との市販の混合物(SUREL LLC,Russian FederationによるプレポリマーSKU-PFL 100)を、20重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び80重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)を含む4.95gの濃縮物と混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は52である。混合工程は、ローラ径150mmの三本ロールミル、高速ローラの回転速度182rpm;ローラ速度比1:2.2:5.3;全ローラ間ギャップ20μm;保持ローラ温度30℃;処理サイクル数7を使用して行った。総投入エネルギーは0.4kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.45kW・hに達した。次いで、112℃で事前溶融した、150.3gの硬化剤4,4’メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCAを混合物に添加し、混合物を三本ロールミルを用いて同じ条件下で更に4サイクル撹拌して、混合物中の成分の均一な分布を達成した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に広げ、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0048】
図6は、結果として得られたポリウレタン複合材料の顕微鏡写真の例を示す。
図7は、50枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数のそれらの直径による分布のヒストグラムを示す。得られた複合ポリウレタン材料について、94重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、50Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.099重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m
3である。製造された導電性複合ポリウレタン材料は47.3MPaの引張強度を有するが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は46.6MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例7】
【0049】
2リットルの金属容器中で、885.1gのトルエンジイソシアネート(A)とNCO反応性基を含むポリエステル(B)との市販の混合物(SUREL LLC,Russian FederationによるプレポリマーSKU-PFL 74)を、40重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び60重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)を含む0.025gのカーボンナノチューブ濃縮物と混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は53である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で3分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.02kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.023kW・hに達した。次いで、112℃で事前溶融した114.9gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0050】
得られた複合ポリウレタン材料について、92重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・109Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.001重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m3である。製造された導電性複合ポリウレタン材料は45.0MPaの引張強度を有するが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例8】
【0051】
有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む化合物(B)と反応させ、カーボンナノチューブ濃縮物を混合物1kg当たり0.22kW・hのエネルギー入力で(A)及び(B)の混合物と混合することによって、1kgのポリウレタン帯電防止複合材料を調製した。2リットルの金属容器中で、883.6gのポリエステル及びトルエンジイソシアネート(TDI)SKU-PFL74に基づくプレポリマー(A)、112℃で事前溶融した、114.7gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCA(B)、及び混合物を、脱気時に歯付きディスクインペラの回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。次いで、30重量%のTUBALL(商標)SWCNTを含む0.1gのカーボンナノチューブ濃縮物並びに70重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)、ジブチルフタレート及びジオクチルフタレート(2:2:1重量)の混合物を(A)及び(B)の混合物に添加した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は56である。40mmの歯付きディスクインペラを備えた溶解機を使用して、回転速度15m/秒(7100rpm)で3分間混合を行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0052】
得られた複合ポリウレタン材料について、95重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・106Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1100kg/m3である。製造された導電性複合ポリウレタン材料は45.8MPaの引張強度を有するが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例9】
【0053】
有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む化合物(B)と反応させ、カーボンナノチューブ濃縮物を1kgの混合物当たり0.12kW・hのエネルギー入力で(A)に混合することによって、250gのポリウレタン帯電防止複合材料を製造した。500ml容器中、211.7gのプレポリマーPERMAQURE(登録商標)EX-HS-2764(A)及び0.094gの15重量%のTUBALL(商標)SWCNTを含むカーボンナノチューブ濃縮物、25重量%の平均直径9nm多層カーボンナノチューブ、60重量%のフタル酸ジブチルを混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は12である。混合は、500mlプラネタリーミキサーを用いて、回転速度300rpmで20分間行った。次いで、38.2gの架橋剤PERMAQURE(登録商標)XR-2703(B)を、得られた混合物に添加し、脱気後に、混合物をプラネタリーミキサーを用いて300rpmの回転速度で5分間、撹拌した。得られた混合物を160℃に予熱した金型に流し込み、160℃の乾燥オーブンで5分間硬化させた。
【0054】
図8は、結果として得られたポリウレタン複合材料の顕微鏡写真の例を示す。
図9は、50枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数のそれらの直径による分布のヒストグラムを示す。得られたポリウレタン複合材料について、90重量%超のカーボンナノチューブは、40μm未満のサイズの凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・10
6Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.015重量%のカーボンナノチューブ含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は900kg/m
3である。
【実施例10】
【0055】
金属2リットル容器中、Voralast XCP-2016ポリエステルに基づく98.0gのポリオール(B)、10.6gの架橋剤Voralast GT986、0.2gの50重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブを含む濃縮物、及び50重量%のジエチレングリコールを混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は32である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、4m/秒(2100rpm)の回転速度で5分間行った。総投入エネルギーは0.07kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.085kW・hに達した。次いで、91.2gのイソシアネートVoralast GT967(A)を混合物に添加し、混合物をインペラ回転速度4m/秒(2000rpm)で6秒間撹拌した。得られた混合物を型に流し込み、室温で1時間硬化させた。
【0056】
得られた発泡ポリウレタン複合材料については、91重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・108Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。得られた導電性発泡複合ポリウレタン材料の密度は449kg/m3であったが、SWCNT濃縮物を含まない同様の組成物の材料の密度は450kg/m3であった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例11】
【0057】
有機ポリイソシアネート(A)をNCO反応性基を含む化合物(B)と反応させ、カーボンナノチューブ濃縮物を(A)及び(B)の混合物並びに球状充填剤であるコロイド状二酸化ケイ素と混合することによって、1kgのポリウレタン帯電防止複合材料を製造した。ポリエステル及びトルエンジイソシアネート(TDI)SKU-PFL 100に基づく804.3gのプレポリマー(A)を、112℃で事前溶融した143.0gの硬化剤4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、MOCA(B)と混合する工程は、ローラ直径150mmの三本ロールミル、高速ローラの回転速度182rpm;ローラ速度比1:2.2:5.3;全ローラ間ギャップ20μm;保持ローラ温度30℃;処理サイクル数7を使用して行った。次いで、75重量%のTUBALL(商標)SWCNTを含む13.2gのカーボンナノチューブ濃縮物及び25重量%のジブチルフタレート、40gのコロイド状二酸化ケイ素を混合物に添加し、混合物を三本ロールミルを用いて同じ条件下で更に4サイクル撹拌して、混合物中の成分の均一な分布を達成した。使用したカーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は56である。得られた混合物を110℃に予熱した金型に広げ、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。総投入エネルギーは0.4kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.45kW・hに達した。
【0058】
得られたシンタクチックポリウレタン複合材料については、94重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、50Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.099重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は960kg/m3である。
【0059】
得られた導電性複合ポリウレタン材料の引張強度は47.2MPaであったが、カーボンナノチューブを含まない同様の組成物の材料の引張強度は46.6MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例12】
【0060】
2リットルの金属容器中、925.9gのNCO反応性基(B)を含むポリエステルを有する市販のプレポリマー(A)(プレポリマーIMPRANIL(登録商標)HS80)及び0.1gの10重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ濃縮物、並びに90重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2ジカルボキシレート)、ジエチレングリコール及びグリセロール(2:1:0.5重量)の混合物を混合した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は54である。混合工程は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッド撹拌機を使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で3分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.02kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.023kW・hに達した。次いで、174.0gの架橋剤IMPRAFIX(登録商標)HS-Cを混合物に添加し、脱気後、混合物をインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物を160℃に予熱した金型に注ぎ、160℃の乾燥オーブンで5分間硬化させた。
【0061】
得られた複合ポリウレタン材料について、91重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・109Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.001重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1000kg/m3である。得られた導電性複合ポリウレタン材料の引張強度は24.9MPaであったが、SWCNTを含まない同様の組成物の材料の引張強度は25.0MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をカーボンナノチューブ濃縮物と混合する工程における機械的処理は、カーボンナノチューブを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例13】
【0062】
2リットルの金属容器中、NCO反応性基(B)を含むポリエステルを含む884.4gの市販のプレポリマーIMPRANIL(登録商標)HS-130(A)と、80重量%の単層及び二層カーボンナノチューブの混合物及び20重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2ジカルボキシレート)、フタル酸ジブチル及び溶媒メトキシプロピルアセテート(2:2:3重量)の混合物を含む0.63gのカーボンナノチューブ濃縮物と、を混合した。
図10は、カーボンナノチューブ濃縮物を製造するために使用される単層カーボンナノチューブと二層カーボンナノチューブとの混合物の顕微鏡写真を示す。顕微鏡写真は、単層及び二層カーボンナノチューブ、並びにグラファイト様炭素の層で覆われた金属触媒の粒子を明確に示す。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmのラマンスペクトルのG線とD線との強度比は34である。混合工程は、高速ローターステーター型ミキサー(IKA25)を用いて15000rpmで5分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(1000rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは0.045kW・hであり、これは混合物1kg当たり0.05kW・hに達した。次いで、114.9gの架橋剤IMPRAFIX(登録商標)HS-Cを混合物に添加し、脱気後、混合物をインペラ回転速度1000rpmで1分間撹拌した。得られた混合物を160℃に予熱した金型に注ぎ、160℃の乾燥オーブンで5分間硬化させた。
【0063】
図11は、結果として得られたポリウレタン複合材料の顕微鏡写真の例を示す。
図12は、50枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数のそれらの直径による分布のヒストグラムを示す。得られた発泡ポリウレタン複合材料について、90重量%超のカーボンナノチューブは、20μm未満のサイズの凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・10
6Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のカーボンナノチューブ含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は1000kg/m
3である。得られた複合ポリウレタン材料の引張強度は25.3MPaであったが、カーボンナノチューブを含まない同様の組成物の材料の引張強度は25.0MPaであった。したがって、ポリウレタン材料の成分をカーボンナノチューブ濃縮物と混合する工程における機械的処理は、カーボンナノチューブを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例14】
【0064】
有機ポリイソシアネート(A)とNCO反応性基を含む化合物(B)とを反応させ、混合物1kg当たり0.32kW・hのエネルギー入力で二軸押出機を用いて成分(A)及び(B)を混合すると同時に、カーボンナノチューブ濃縮物を混合することによって、250gのポリウレタン帯電防止複合材料を製造した。70重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び30重量%のジエチレングリコールの事前分散混合物をカーボンナノチューブ濃縮物として使用した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は55である。成分(A):(B):(SWCNT濃縮物)の比は140:140:0.2であり、ねじピッチ50m;スクリュー長さ(L)とその直径(D)との比L/D=50;スクリュー速度500rpm;処理温度30℃;ポリエステルイソラン430/150(B)に基づくポリオールを導入する位置は、スクリューの開始から1~3D(50~150mm)であり;メチルジフェニルジイソシアネート(MDI)(A)の導入位置は、スクリューの開始から3D~5D(150mm~250mm)であり;70重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び30重量%のジエチレングリコールを含むSWCNT濃縮物を導入する位置は、スクリューの開始から5~10D(250~500mm)であった。
【0065】
得られた硬質発泡複合ポリウレタン材料について、93重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、5・106Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.05重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。得られた導電性硬質発泡複合ポリウレタン材料の密度は154kg/m3であり、SWCNTを含まない同様の組成物の材料の密度は150kg/m3であった。したがって、ポリウレタン材料の成分をCNT濃縮物と混合する工程における機械的プロセスは、CNTを含まない材料と比較して、ポリウレタン材料の成分の劣化並びにその物理的及び機械的特性の劣化を引き起こさなかった。
【実施例15】
【0066】
有機ポリイソシアネート(A)とNCO反応性基を含む化合物(B)とを反応させ、混合物1kg当たり0.4kW・hのエネルギー入力でニーダーを用いて成分(A)及び(B)を混合すると同時に、カーボンナノチューブ濃縮物を混合することによって、1900gのポリウレタン帯電防止複合材料を製造した。40重量%のTUBALL(商標)単層カーボンナノチューブ及び60重量%の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)の事前分散混合物をカーボンナノチューブ濃縮物として使用した。カーボンナノチューブ濃縮物による光波長532nmでのラマンスペクトルのGバンドとDバンドとの強度比は60である。成分の含有量は以下の通りであった。プレポリマーPERMAQURE(登録商標)EX-HS-2764(A)-1606.1g;架橋剤PERMAQURE(登録商標)XR-2703(B)-290.1g;SWCNT濃縮物-3.8g;チャンバ負荷率-0.7(2.1l);ロータ回転速度-50rpm;チャンバ温度-30℃。得られた混合物を160℃に予熱した金型に注ぎ、160℃の乾燥オーブンで5分間硬化させた。
【0067】
得られた複合ポリウレタン材料について、90重量%超のSWCNTは、直径が40μm未満の凝集物である。得られた複合ポリウレタン材料は、1・103Ohm・cmの体積抵抗率を有し、したがって、0.08重量%のSWCNT含有量で導電性(帯電防止性)である。材料の密度は900kg/m3である。
【実施例16】
【0068】
(比較例)
1kgのポリウレタン複合材料を米国特許第8945434号に記載の方法に従って製造したが、最終製品が0.09重量%のSWCNTを含有するように、TUBALL(商標)カーボンナノチューブの量を選択した。2リットルの金属容器中で、884.3gのポリエステル及びトルエンジイソシアネート(TDI)SKU-PFL 74に基づくプレポリマー(A)、及び0.9gのカーボンナノチューブを混合した。混合は、歯付きインペラを備えたディスク溶解機を使用して、混合物1リットル当たり2.5kWの入力電力密度で1時間行った。エネルギー入力は2.3kW・hであった。次いで、112℃で事前溶融した114.8gの硬化剤MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物を110℃に予熱した金型に流し込み、110℃の乾燥オーブンで1時間硬化させた。
【0069】
顕微鏡写真は、本質的に、球状に近い形状を有するコイル状凝集物を示す(
図13)。
図14は、40枚の顕微鏡写真を解析して得られた、凝集物の数のそれらの直径による分布のヒストグラムを示す。得られた複合ポリウレタン材料について、40μm未満のサイズを有する粒子におけるカーボンナノチューブの質量分率は約40重量%であり、100~200μmのサイズを有する粒子の割合は約55重量%であった。このようにして得られたポリウレタン材料は、5・10
11Ohm・cmの体積抵抗率を有する。得られた複合ポリウレタン材料の引張強度は29.0MPaであるが、SWCNTを含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、CNTをポリウレタン材料の成分と混合する工程における機械的処理は、ポリウレタン材料の成分の分解に起因して、CNTを含まない材料と比較して物理的及び機械的特性の劣化をもたらした。更に、製造された材料は、必要とされる導電性を有さない。
【実施例17】
【0070】
(比較例)
ポリウレタン複合材料を、実施例7と同様の方法に従って製造したが、混合は、40mmの歯付きディスクインペラを備えたオーバーヘッドスターラーを使用して、15m/秒(7100rpm)の回転速度で120分間行った。次いで、回転速度を2m/秒(960rpm)に低下させ、混合物を撹拌しながら5分間真空下で脱気した。総投入エネルギーは2.1kW・hであり、これは混合物1kg当たり2.3kW・hに達した。
【0071】
このようにして得られたポリウレタン材料は、1・1012Ohm・cmの体積抵抗率を有する。得られた複合ポリウレタン材料の引張強度は23.9MPaであるが、SWCNTを含まない同様の組成物の材料の引張強度は45.3MPaであった。したがって、CNT濃縮物をポリウレタン材料の成分と混合する工程における機械的処理は、ポリウレタン材料の成分の分解に起因して、CNTを含まない材料と比較して物理的及び機械的特性の劣化を引き起こした。更に、製造された材料は、必要とされる導電性を有さない。
【実施例18】
【0072】
(比較例)
ポリウレタン複合材料は、実施例1と同様の方法に従って調製したが、CNTの量は、最終製品が1重量%のSWCNTを含有するように選択した。2リットルの金属容器中で、888gのポリエステル及びトルエンジイソシアネート(TDI)SKU-PFL 74に基づくプレポリマー、及び1gのカーボンナノチューブを混合した。混合は、歯付きインペラを備えたディスク溶解機を使用して、混合物1リットル当たり0.44kWの入力電力密度で1時間行った。エネルギー入力は0.41kW・hであった。次いで、112℃で事前溶融した112gの硬化剤MOCAを混合物に添加し、混合物を脱気しながらインペラ回転速度2m/秒(960rpm)で1分間撹拌した。得られた混合物は高すぎる粘度(1kPa・s又は106cPより高い)を有し、材料の更なる加工を可能にしなかった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、所望の導電性を有するポリウレタン複合材料で作製された物品及びコーティングの製造に使用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【国際調査報告】