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特表2023-551816対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20231206BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20231206BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/50 D
G01N33/53 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531556
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 FI2021050837
(87)【国際公開番号】W WO2022117923
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20206239
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522490985
【氏名又は名称】ナイチンゲール ヘルス オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ユルクネン ヘリ
(72)【発明者】
【氏名】ウルツ ピーター
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA02
2G045DA03
2G045DA06
2G045DA35
2G045DA36
2G045DA38
(57)【要約】
対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法であって、前記方法は、
前記対象から得られた生体試料において、前記生体試料中の以下の少なくとも1つのバイオマーカー
糖タンパク質アセチル、
アルブミン、
総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
総脂肪酸に対するリノール酸の比、
総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
脂肪酸不飽和度、
ドコサヘキサエン酸、
リノール酸、
オメガ-3脂肪酸、
オメガ-6脂肪酸、
クエン酸、
ピルビン酸、
アラニン、
グルタミン、
ヒスチジン、
ロイシン、
フェニルアラニン、
バリン
の定量値を決定する工程と、
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記定量値の増加又は減少は、前記対象が前記血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクが高いことを示し、
前記少なくとも1つのバイオマーカーは、糖タンパク質アセチルを含むか又は糖タンパク質アセチルであり、
前記血液の栄養状態に関連する代謝状態は、ビタミン欠乏症及び/若しくはミネラル代謝障害を含むか又はビタミン欠乏症及び/若しくはミネラル代謝障害である、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記生体試料において、複数の前記バイオマーカー、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はこれよりも多い前記バイオマーカーの定量値を決定することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記対象から得られた前記生体試料において、以下のバイオマーカー
糖タンパク質アセチル、
アルブミン
の定量値を決定することと、
前記バイオマーカーの前記定量値を対照試料又は対照値と比較することと
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記バイオマーカーの前記定量値の増加又は減少は、前記対象が前記血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクが高いことを示す
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記対象から得られた前記生体試料において、以下のバイオマーカー
糖タンパク質アセチル、
以下の少なくとも1つの脂肪酸指標:総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、ドコサヘキサエン酸、総脂肪酸に対するリノール酸の比、リノール酸、総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、オメガ-3脂肪酸、総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、オメガ-6脂肪酸,脂肪酸不飽和度
の定量値を決定することと、
前記バイオマーカーの前記定量値を対照試料又は対照値と比較することと
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記バイオマーカーの前記定量値の増加又は減少は、前記対象が前記血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクが高いことを示す
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記栄養状態に関連する代謝状態は、鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏症、及び/若しくはミネラル代謝障害を含むか、又は鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏症、及び/若しくはミネラル代謝障害である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記血液の栄養状態に関連する代謝状態は、鉄欠乏性貧血(D50)、ビタミンB12欠乏性貧血(D51)、その他のビタミンB群の欠乏症(E53)、ビタミンD欠乏症(E55)、その他の栄養元素欠乏症(E61)、及び/若しくはミネラル代謝障害(E83)を含むか、又は鉄欠乏性貧血(D50)、ビタミンB12欠乏性貧血(D51)、その他のビタミンB群の欠乏症(E53)、ビタミンD欠乏症(E55)、その他の栄養元素欠乏症(E61)、及び/若しくはミネラル代謝障害(E83)である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する代謝状態は、その他の鉄欠乏性貧血(D50.8)、鉄欠乏性貧血、詳細不明(D50.9)、ビタミンB12欠乏性貧血、内因子欠乏によるもの(D51.0)、リン代謝障害及び/若しくはホスファターゼ障害(E83.3)、その他の明示されたビタミンB群欠乏症(E53.8)、ビタミンD欠乏症、詳細不明(E55.9)、鉄欠乏症(E61.1)、マグネシウム代謝障害(E83.4)、及び/若しくはカルシウム代謝障害(E83.5)を含むか、又はその他の鉄欠乏性貧血(D50.8)、鉄欠乏性貧血、詳細不明(D50.9)、ビタミンB12欠乏性貧血、内因子欠乏によるもの(D51.0)、リン代謝障害及び/若しくはホスファターゼ障害(E83.3)、その他の明示されたビタミンB群欠乏症(E53.8、ビタミンD欠乏症、詳細不明(E55.9)、鉄欠乏症(E61.1)、マグネシウム代謝障害(E83.4)、及び/若しくはカルシウム代謝障害(E83.5)である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記定量値は核磁気共鳴分光法を使用して測定される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記少なくとも1つのバイオマーカー又は複数の前記バイオマーカーの前記定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、オッズ比、及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクを使用して、前記対象が前記血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記リスクスコア、ハザード比、オッズ比、並びに/又は予測された相対リスク及び/若しくは絶対リスクは、前記対象の特徴等の少なくとも1つのさらなる指標に基づいて計算される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象の前記特徴は、年齢、身長、体重、肥満度指数、人種若しくは民族、喫煙、並びに/又は前記血液の栄養状態に関連する貧血及び/若しくは代謝状態の家族歴のうちの1つ以上を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記対象から得られた前記生体試料において、以下のバイオマーカー
糖タンパク質アセチル、
アルブミン、
総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
総脂肪酸に対するリノール酸の比、
総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
脂肪酸不飽和度、
ドコサヘキサエン酸、
リノール酸、
オメガ-3脂肪酸、
オメガ-6脂肪酸、
クエン酸、
ピルビン酸、
アラニン、
グルタミン、
ヒスチジン、
ロイシン、
フェニルアラニン、並びに
バリン
の定量値を決定することと、
前記バイオマーカーの前記定量値を対照試料又は対照値と比較することと
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記バイオマーカーの前記定量値の増加又は減少は、前記対象が前記血液の栄養状態に関連する代謝状態を発症するリスクが高いことを示す
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貧血及び血液の代謝状態は、酸素輸送及び全体的な血液の止血に影響を及ぼす障害である。これらの障害は、ビタミン欠乏症、ミネラル代謝障害、酸塩基不均衡、並びに体液量減少(細胞外液量減少)及び体液過負荷を含む、血液の栄養状態及び体液バランスを反映することもできる。これらの障害は、ヘルスケア利用及び入院の頻繁な原因である。それらは、疲労、脱力、及び息切れを引き起こすことが多い。それらは、肥大心、心不全及び他の心臓の問題を含む臓器損傷等のより長期の健康問題を引き起こすこともある。ミネラルバランス障害及び電解質バランス障害も、筋力低下、筋痙攣及び便秘につながり得る。血液のこれらの代謝状態はさらに、先天性免疫応答及び後天性免疫応答を損ない、これにより他のより重篤な疾患に対する感受性を増大させる場合がある。
【0003】
幸運にも、上記障害が早期に特定されれば、血液の栄養状態又は体液バランスに関連する多くの形態の貧血及び代謝状態に対して利用可能な有効な治療が存在する。これらの障害を発症するリスクが高い個体の正確な特定は、それらが顕性及び/又は症候性になるのを回避するのに役立つ可能性がある。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクを予測するための新規ツールも、スクリーニングの労力に利益をもたらすことができ、従って、予防的な努力及び治療は、それを最も必要とする可能性がある個体を標的とすることができる。
【0004】
血液の栄養状態及び体液バランスに関連する特定のタイプの貧血及び他の代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB欠乏症及びビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少、その他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害に対する将来のリスクを予測するバイオマーカーが必要である可能性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。当該方法は、上記対象から得られた生体試料において、以下の
・アルブミン、
・糖タンパク質アセチル、
・総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
・総脂肪酸に対するリノール酸の比
・総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
・脂肪酸不飽和度、
・ドコサヘキサエン酸、
・リノール酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・オメガ-6脂肪酸、
・クエン酸、
・ピルビン酸、
・アラニン、
・グルタミン、
・ヒスチジン、
・ロイシン、
・フェニルアラニン、
・バリン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、種々の実施形態を例証する。
【0007】
図1a図1aは、20種の血液バイオマーカーの濃度が絶対濃度及びバイオマーカー濃度の五分位点で分析されたときの、その血液バイオマーカーのベースライン濃度と、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態(D50~D64、E50~E64及びE70~E88(E78を除く)内の任意のICD-10診断の複合エンドポイントとして定義される;本明細書では「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」と呼ばれる)の将来の発症との関係を示す。結果は、UK Biobank(UKバイオバンク)からの約115,000人の概ね健康な個体からの血漿試料に基づく。
図1b図1bは、20種の血液バイオマーカーの濃度の最低、中間、及び最高の五分位点についての追跡調査(フォローアップ)中の「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」の累積リスクを示す。
図2a図2aは、20種の血液バイオマーカーのベースライン濃度と、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係をヒートマップの形態で示す。結果は、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる代謝状態はすべて、概ね健康なヒト由来の血漿試料の核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定される上記20種のバイオマーカーと非常に類似した関連性を有することを実証する。
図2b図2bは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態とのバイオマーカーの関連性の一貫性を、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」との対応するバイオマーカーの関連性の方向と比較して示す。
図3a図3aは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する18種の特定の貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 4文字診断によって定義される)の将来の発症との関係をヒートマップの形態で示す。結果は、4文字ICD-10コードによって定義される血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する特定の貧血及び/又は代謝状態はすべて、概ね健康なヒト由来の血漿試料のNMR分光法によって測定される広範なバイオマーカーのパネルと非常に類似した関連性を有することを実証する。
図3b図3bは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する特定の貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 4文字診断によって定義される)とのバイオマーカーの関連性の一貫性を、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」との関連の方向と比較して示す。
図4a図4aは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図4b図4bは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図4c図4cは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図4d図4dは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図4e図4eは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図4f図4fは、ベースラインバイオマーカーレベルと、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の異なる貧血及び/又は代謝状態(ICD-10 3文字診断によって定義される)の将来の発症との関係を、新規疾患発症のハザード比のフォレストプロットの形態で示す。
図5図5は、複数バイオマーカースコアと「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」のリスクとの関係の一例を示す。複数バイオマーカースコアの選択された例が、個々のバイオマーカーと比較して複数バイオマーカースコアによって達成される予測の改善を例証するために示される。
図6a図6aは、最初に健康なヒトの間で鉄欠乏性貧血を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図6b図6bは、鉄欠乏性貧血を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図7a図7aは、最初に健康なヒトの間でその他の貧血を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図7b図7bは、その他の貧血を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図8a図8aは、最初に健康なヒトの間でその他のビタミンB群の欠乏症を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図8b図8bは、その他のビタミンB群の欠乏症を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図9a図9aは、最初に健康なヒトの間でビタミンD欠乏症を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図9b図9bは、ビタミンD欠乏症を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図10a図10aは、最初に健康なヒトの間でミネラル代謝障害を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図10b図10bは、ミネラル代謝障害を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図11a図11aは、最初に健康なヒトの間で体液量減少を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図される使用事例を示す。
図11b図11bは、体液量減少を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
図12a図12aは、最初に健康なヒトの間でその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクを予測するための複数バイオマーカースコアの意図された使用事例を示す。
図12b図12bは、その他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクの予測が、異なる人口統計及びリスク因子プロファイルを有する人々に対して機能し、短期リスク予測について実質的により強い結果を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、ビタミン欠乏症、ミネラル代謝障害、酸塩基不均衡、並びに/又は体液量減少及び体液過負荷等の、血液の栄養状態並びに/又は体液バランスに関連する貧血又は他の代謝状態であってもよい。
【0009】
当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下の
・アルブミン、
・糖タンパク質アセチル、
・総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
・総脂肪酸に対するリノール酸の比
・総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
・脂肪酸不飽和度、
・ドコサヘキサエン酸、
・リノール酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・オメガ-6脂肪酸、
・クエン酸、
・ピルビン酸、
・アラニン、
・グルタミン、
・ヒスチジン、
・ロイシン、
・フェニルアラニン、
・バリン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。
【0010】
様々な血液バイオマーカーが、個々の人が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する広範囲の貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いか否かを予測するのに有用である可能性がある。このようなバイオマーカーは、生体試料から、例えば、血液試料又は関連する生体液から測定されてもよい。
【0011】
血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態からの入院を予測するバイオマーカーは、より効果的なスクリーニング及びより良好な標的化予防的処置、例えば代謝プロファイルに従う食事療法的介入及び栄養補助食品の介入を可能にするのに役立つ可能性がある。
【0012】
一実施形態では、当該方法は、アルブミンの定量値を決定することを含む。
【0013】
一実施形態では、当該方法は、糖タンパク質アセチルの定量値を決定することを含む。
【0014】
一実施形態では、当該方法は、脂肪酸不飽和度の定量値を決定することを含む。
【0015】
一実施形態では、当該方法は、総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比の定量値を決定することを含む。
【0016】
一実施形態では、当該方法は、総脂肪酸に対するリノール酸の比の定量値を決定することを含む。
【0017】
一実施形態では、当該方法は、総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比の定量値を決定することを含む。
【0018】
一実施形態では、当該方法は、総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比の定量値を決定することを含む。
【0019】
一実施形態では、当該方法は、総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比の定量値を決定することを含む。
【0020】
一実施形態では、当該方法は、ドコサヘキサエン酸の定量値を決定することを含む。
【0021】
一実施形態では、当該方法は、リノール酸の定量値を決定することを含む。
【0022】
一実施形態では、当該方法は、オメガ-3脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0023】
一実施形態では、当該方法は、オメガ-6脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0024】
一実施形態では、当該方法は、クエン酸の定量値を決定することを含む。
【0025】
一実施形態では、当該方法は、ピルビン酸の定量値を決定することを含む。
【0026】
一実施形態では、当該方法は、アラニンの定量値を決定することを含む。
【0027】
一実施形態では、当該方法は、グルタミンの定量値を決定することを含む。
【0028】
一実施形態では、当該方法は、ヒスチジンの定量値を決定することを含む。
【0029】
一実施形態では、当該方法は、ロイシンの定量値を決定することを含む。
【0030】
一実施形態では、当該方法は、フェニルアラニンの定量値を決定することを含む。
【0031】
一実施形態では、当該方法は、バリンの定量値を決定することを含む。
【0032】
本明細書に記載される代謝バイオマーカーは、有意に異なることが見出されており、すなわち、それらの定量値(量及び/又は濃度等)は、後に血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症した対象に関して、有意に高いか又は低いことが見出されている。このバイオマーカーは、血液、血清、若しくは血漿、乾燥血液スポット、又は他の適切な生体試料から検出及び定量されてもよく、単独で、又は他のバイオマーカーと組み合わせて、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクを決定するために使用されてもよい。
【0033】
さらには、このバイオマーカーは、年齢、食事不良、喫煙状態、肥満度指数(BMI)等の脂肪症指標、高血圧症、高コレステロール、家族歴、自己免疫疾患及び/若しくは肝臓、腎臓若しくは甲状腺の疾患等の特定の疾患の遺伝的リスク並びに/又は以前の病歴等の、スクリーニング並びにリスク予測に現在使用されてもよい確立されたリスク因子を考慮する場合でさえ、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスクがある対象を特定する可能性を大きく改善する可能性がある。本明細書に記載されるバイオマーカーは、単独で、又はリスクスコア(複数バイオマーカーリスクスコア等)、ハザード比、オッズ比、及び/若しくは予測される絶対的若しくは相対的リスクとして、若しくは他のリスク因子及び検査と組み合わせて、他の検査若しくは指標に加えて予測を改善するか、又はさらには他の検査若しくは指標の必要性に取って代わる可能性がある。これは、予測精度を改善すること、又は全血球計算測定(CBC;ヘモグロビン及びヘマトクリットの濃度、赤血球、白血球及び血小板の数、並びに平均血球体積を含む)、ヘモグロビン電気泳動、網状赤血球数、血清鉄、血清フェリチン、トランスフェリンレベル若しくは総鉄結合能等の血液中の鉄のレベルについての検査、血清電解質、並びに/又はビタミン検査等の他の分析の必要性を置き換えることを含んでもよい。従って、本明細書に記載される1つ以上の実施形態に係るバイオマーカー又はリスクスコア、ハザード比、オッズ比、及び/若しくは予測される絶対的若しくは相対的リスクは、他のリスク因子指標がそれほど実現可能でない状態においても、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の将来の発症のリスクを効率的に評価することを可能にする可能性がある。
【0034】
一実施形態では、当該方法は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法である。
【0035】
当該方法は、上記生体試料において、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上等の複数のバイオマーカーの定量値を決定することを含んでもよい。例えば、複数のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20のバイオマーカー(すなわち、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19のバイオマーカー、又はすべてのバイオマーカー)を含んでもよい。従って、用語「複数のバイオマーカー」は、本明細書内では、(1を超える)任意の数のバイオマーカーを指すものとして理解されてもよい。従って、用語「複数のバイオマーカー」は、(1を超える)任意の数の本明細書に記載されるバイオマーカー及び/又は本明細書に記載されるバイオマーカーの組み合わせ若しくはサブセットを指すものとして理解されてもよい。複数のバイオマーカーを決定することにより、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かの予測の精度を高められる場合がある。概して、バイオマーカーの数が多いほど、当該方法はより正確又は予測的になりうる。しかしながら、本明細書に記載される単独のバイオマーカーでさえ、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定することを可能にするか、又はそれを支援する可能性がある。この複数のバイオマーカーは、同じ生体試料から又は別々の生体試料から、同じ分析方法又は異なる分析方法を使用して測定されてもよい。一実施形態では、複数のバイオマーカーは、複数のバイオマーカーのパネルであってもよい。
【0036】
本明細書の文脈では、語句「バイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する」は、当業者なら理解するように、例えば、単一の(個々の)バイオマーカーの定量値が決定されるか、又は複数のバイオマーカーの定量値が決定されるかに応じて、バイオマーカーの定量値を、個々に、又は複数のバイオマーカーとして(例えば、リスクスコアが複数のバイオマーカーの定量値から計算される場合)、対照試料又は対照値と比較することを指すものとして理解されてもよい。
【0037】
一実施形態では、当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー:
・アルブミン、
・糖タンパク質アセチル、
・総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
・総脂肪酸に対するリノール酸の比
・総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
・脂肪酸不飽和度、
・ドコサヘキサエン酸、
・リノール酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・オメガ-6脂肪酸、
・クエン酸、
・ピルビン酸、
・アラニン、
・グルタミン、
・ヒスチジン、
・ロイシン、
・フェニルアラニン、並びに
・バリン
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値(複数可)を対照試料又は対照値と比較することと
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、糖タンパク質アセチルを含むか、又は糖タンパク質アセチルである。当該方法は、本明細書に記載される他のバイオマーカーのうち少なくとも1つの定量値を決定することをさらに含んでもよい。
【0039】
対象はヒトであってもよい。このヒトは健康であるか、又は血液の栄養状態及び/若しくは体液バランスに関連する既存の代謝状態等の既存の疾患を有してもよい。具体的には、ヒトは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する既に存在する形態の貧血及び/又は代謝状態を有してもよく、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する上記疾患/状態並びに/又はその他の貧血及び/若しくは代謝状態のより重篤な形態を発症するリスクが決定及び/又は計算されてもよい。対象は、追加的又は代替的に、動物、例えば哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ又はげっ歯類であってもよい。
【0040】
本明細書の文脈では、用語「バイオマーカー」は、疾患若しくは状態又はその疾患若しくは状態を有するか若しくは発症するリスクと関連すると見出されてもよいバイオマーカー、例えば、化学マーカー又は分子マーカーを指してもよい。それは、臨床の現場において具体的な有効性を有するものとして統計的に充分に検証されるバイオマーカーを必ずしも指さない。バイオマーカーは、代謝産物、化合物、脂質、タンパク質、部分、官能基、組成物、2つ以上の代謝産物及び/若しくは化合物の組み合わせ、それらの(測定可能な又は測定された)量、それらから誘導される比率若しくは他の値、又は原則として、疾患若しくは状態若しくはそれを有する若しくは発症するリスクと関連して見出されてもよい化学的及び/若しくは生物学的成分を反映する任意の測定値であってもよい。バイオマーカー及びその任意の組み合わせは、任意選択でさらなる分析及び/又は指標と組み合わせて、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミン欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少、及び/又はその他の体液、電解質及び/若しくは酸塩基平衡障害を発症するリスクを示す生物学的プロセスを測定するために使用されてもよい。
【0041】
上記疾患又は状態は、血液の栄養状態及び/若しくは体液バランスに関連する貧血及び/若しくは代謝状態のカテゴリーにおける疾患若しくは状態、又はこれらのカテゴリーにおける特定の疾患を指してもよい。本明細書の文脈では、用語「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する代謝状態」は、血液及び/若しくは血液形成器官の疾患、障害及び/若しくは状態、又は血液及び/若しくは血液形成器官に主に影響を及ぼす疾患、障害及び/若しくは状態を指すものとして理解されてもよい。この障害群には、ミネラル代謝障害、酸塩基不均衡、栄養障害及び体液バランス障害等の、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する様々なタイプの貧血及び他の代謝状態が含まれるが、これらに限定されない。上記疾患又は状態は、急性であってもよいし又は慢性であってもよい。これらの疾患の徴候及び症状は、対象の年齢及び/又は全体的な健康等の因子に応じて、軽度から重度又は障害性又は潜在的に生命を脅かすものまでの範囲にあってもよい。
【0042】
バイオマーカーの関連性は、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する異なる貧血及び/又は代謝状態について同様であってもよい。それゆえ、同じ個々のバイオマーカー及びバイオマーカーの組み合わせが拡張されて、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する特定の貧血及び/又は代謝状態のリスクも予測されてもよい。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するそのような特定の貧血及び/又は代謝状態の例としては、鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミン欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少、その他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を挙げてもよい。
【0043】
本明細書に記載される血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、以下のように分類されてもよい。「ICD-10」は、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 10th Revision(ICD-10) - WHO Version for 2019(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改訂(ICD-10) - 2019年のWHOバージョン)を指すものとして理解されてもよい。ICD-9又はICD-11等のICD-10以外の疾患分類システムによって分類又は診断された類似の状態も適用されてもよい。
【0044】
用語「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」は、貧血等の血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの代謝の障害、疾患又は状態を指すものとして理解されてもよい。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態は、ICD-10診断D50~D89、E50~E64又はE70~E88(E78を除く)の任意の新規発生を指すものとして理解されてもよい。
【0045】
血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する特定の貧血及び/又は代謝状態は、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態に関する3文字ICD-10診断(D50、D51、D61、D63、D64、E53、E55、E61、E83、E86、E87)内で、又はこれらの3文字ICD-10診断内の4文字IDC-10診断(D50.8、D50.9、D51.0、D51.9、D63.0、D64.9、E53.8、E55.9、E61.1、E83.3、E83.4、E83.5、E87.0、E87.1、E87.2、E87.5、E87.6、E87.7)内で分類される疾患及び/又は状態を指すものとしてとして理解されてもよい。従って、用語「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態」は、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する様々な異なる貧血及び/又は代謝状態を指し、それらを包含すると理解されてもよい。
【0046】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、特定の疾患又は状態、例えば、本明細書に記載されるICD-10 3文字コード診断及び/又はICD-10 4文字コード診断によって定義される特定の疾患又は状態である。
【0047】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、以下のICD10 3文字診断の(うちの1つ以上の)状態である。
・D50:鉄欠乏性貧血
・D51:ビタミンB12欠乏性貧血
・D61:その他の無形成性貧血及びその他の骨髄不全症候群
・D63:他に分類される慢性疾患における貧血
・D64:その他の貧血
・E53:その他のビタミンB群の欠乏症
・E55:ビタミンD欠乏症
・E61:その他の栄養元素欠乏症
・E83:ミネラル代謝障害
・E86:体液量減少
・E87:その他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害
【0048】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、以下のICD-10 4文字診断の(うちの1つ以上の)状態である。
・D50.8:その他の鉄欠乏性貧血
・D50.9:鉄欠乏性貧血、詳細不明
・D51.0:ビタミンB12欠乏性貧血、内因子欠乏によるもの
・D61.9:無形成性貧血、詳細不明
・D63.0:新生物(腫瘍)性疾患における貧血
・E83.3:リン代謝障害及びホスファターゼ障害
・D64.9:貧血、詳細不明
・E53.8:その他の明示されたビタミンB群欠乏症
・E55.9:ビタミンD欠乏症、詳細不明
・E61.1:鉄欠乏症
・E83.4:マグネシウム代謝障害
・E83.5:カルシウム代謝障害
・E87.0:高浸透圧及び高ナトリウム血症
・E87.1:低浸透圧及び低ナトリウム血症
・E87.2:アシドーシス
・E87.5:高カリウム血症
・E87.6:低カリウム血症
・E87.7:体液過負荷
【0049】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、上に列挙したICD-10コードのいずれかによって又はその群で表される疾患又は状態等の、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態による死亡を含むか、又はその死亡であってもよい。
【0050】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する特定の貧血及び/又は代謝状態は、鉄欠乏性貧血(D50);ビタミンB12欠乏性貧血(D51);その他の無形成性貧血若しくはその他の骨髄不全症候群(D61);他に分類される慢性疾患における貧血(D63);その他の貧血(D64);その他のビタミンB群の欠乏症(E53);ビタミンD欠乏症(E55);その他の栄養元素欠乏症(E61);ミネラル代謝障害(E83);体液量減少(E86);若しくはその他の体液、電解質及び/若しくは酸塩基平衡障害(E87)を含んでもよく、又はそれらであってもよい。
【0051】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝異常は、その他の鉄欠乏性貧血(D50.8);鉄欠乏性貧血、詳細不明(D50.9);ビタミンB12欠乏性貧血、内因子欠乏によるもの(D51.0);無形成性貧血、詳細不明(D61.9);新生物(腫瘍)性疾患における貧血(D63.0);リン代謝障害及び/若しくはホスファターゼ障害(E83.3);貧血、詳細不明(D64.9);その他の明示されたビタミンB群欠乏症(E53.8);ビタミンD欠乏症、詳細不明(E55.9);鉄欠乏症(E61.1);マグネシウム代謝障害(E83.4);カルシウム代謝障害(E83.5);高浸透圧及び/若しくは高ナトリウム血症(E87.0);低浸透圧及び/若しくは低ナトリウム血症(E87.1);アシドーシス(E87.2);高カリウム血症(E87.5);及び/若しくは低カリウム血症(E87.6)を含んでもよく、又はそれらであってもよい。
【0052】
一実施形態では、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少及び/若しくはその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を含んでもよく、又はそれらであってもよい。
【0053】
当該方法は、上記少なくとも1つのバイオマーカー又は複数の上記バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア(複数バイオマーカーリスクスコア等)、ハザード比、予測される絶対的又は相対的リスクを使用して、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含んでもよい。
【0054】
リスクスコア、ハザード比、並びに/若しくは予測される絶対リスク及び/若しくは相対リスクの増加又は減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0055】
リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクは、本明細書に記載されるバイオマーカーの任意の複数、組み合わせ又はサブセットに基づいて計算されてもよい。
【0056】
リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクは、例えば、以下の実施例に示されるように計算されてもよい。例えば、適切な方法を用いて、例えばNMR分光法を用いて測定された複数のバイオマーカーが、回帰アルゴリズム及び多変量分析を用いて、並びに/又は機械学習分析を用いて組み合わされてもよい。回帰分析又は機械学習の前に、バイオマーカー中の欠落値があればその欠落値が、データセットに対する各バイオマーカーの平均値で補完されてもよい。上記疾患又は状態の発症と最も関連があると考えられ得るバイオマーカーの数、例えば5が、予測モデルで使用するために選択されてもよい。他のモデリングアプローチを使用して、個々のバイオマーカーの組み合わせ又はサブセット、すなわち複数のバイオマーカーに基づいて、リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクが計算されてもよい。
【0057】
リスクスコアは、例えば、個々のバイオマーカー、すなわち複数のバイオマーカーの加重和として計算されてもよい。加重和は、例えば、Σ[β ]+βとして定義される複数バイオマーカースコアの形態であってもよく、式中、iは個々のバイオマーカーにわたる合計の添え字(インデックス)であり、βはバイオマーカーiに帰属される加重係数であり、cはバイオマーカーiの血中濃度であり、βは切片項である。
【0058】
例えば、リスクスコアは、β 濃度(糖タンパク質アセチル)+β 濃度(総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸比)+β 濃度(アルブミン)+βとして定義することができ、式中、β、β、βは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスクとの関連性の大きさに応じた各バイオマーカーについての乗数であり、βは切片項である。当業者が理解するように、この例において言及されるバイオマーカーは、本明細書に記載される任意の他のバイオマーカーによって置き換えられてもよい。概して、より多くのバイオマーカーがリスクスコアに含まれるほど、予測性能はより強くなる可能性がある。追加のバイオマーカーがリスクスコアに含まれる場合、β重みは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の予測のための最適な組み合わせに従って、すべてのバイオマーカーについて変化してもよい。
【0059】
リスクスコア、ハザード比、オッズ比、並びに/又は予測される相対リスク及び/若しく絶対リスクは、少なくとも1つのさらなる指標、例えば対象の特徴に基づいて計算されてもよい。そのような特徴は、生体試料が対象から得られる前、得られるのと同時に、又は得られた後に決定されてもよい(又はすでに決定されていてもよい)。当業者が理解するように、その特徴のいくつかは、例えばアンケートを使用して収集された情報、又は以前に収集された臨床データであってもよい。特徴のいくつかは、生化学的測定若しくは臨床的診断測定及び/又は医学的診断によって決定されてもよい(又はすでに決定されていてもよい)。このような特徴は、例えば、年齢、身長、体重、肥満度指数、人種若しくは民族、喫煙、並びに/又は血液の栄養状態及び/若しくは体液バランスに関連する貧血及び/若しくは代謝状態の家族歴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0060】
当該方法は、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがある対象におけるその疾患又は状態を予防又は治療するために、その対象に治療を施すことによってその対象を治療することをさらに含んでもよい。
【0061】
上記バイオマーカーの1つ以上に基づく血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスク予測は、予防的努力(食事、運動及び/若しくはサプリメントの使用等)、臨床スクリーニング頻度並びに/又は薬理学的処置の決定を導くために使用することができる。例えば、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の将来のリスクの情報は、ビタミン及び/若しくはミネラルサプリメント、例えば鉄及び葉酸サプリメント、凝固因子薬物療法並びに/又は栄養士への照会及びさらなる医学的検査の使用等の予防措置を導くために使用することができる。
【0062】
本明細書の文脈では、用語「アルブミン」は、血清アルブミン(血液アルブミンと称されることが多い)を指すものとして理解されてもよい。これは、脊椎動物の血液中に見出されるアルブミンである。アルブミンは、65,000ダルトンのおよその分子量の球状水溶性非グリコシル化血清タンパク質である。NMRを用いたアルブミンの測定は、例えば、Kettunenら、2012,Nature Genetics 44、269-276;Soininenら、2015、Circulation:Cardiovascular Genetics 8、212-206(DOI:10.1161/CIRCGENETICS.114.000216)による刊行物に記載されている。アルブミンは、種々の他の方法によって、例えば、臨床化学分析器によっても測定されてもよい。このような方法の例としては、例えば、ブロモクレゾールグリーン及びブロモクレゾールパープル等の色素結合法が挙げられてもよい。
【0063】
本明細書の文脈では、用語「糖タンパク質アセチル」、「糖タンパク質アセチル化」、又は「GlycA」は、循環糖化タンパク質の存在量、及び/又は循環糖化タンパク質、すなわちN-アセチル化糖タンパク質の存在量を表す核磁気共鳴分光法(NMR)シグナルを指してもよい。糖タンパク質アセチルは、例えば、α-1-酸糖タンパク質、α-1アンチトリプシン、ハプトグロビン、トランスフェリン、及び/又はα-1アンチキモトリプシンを含む、複数の異なる糖タンパク質からのシグナルを含んでもよい。心臓代謝バイオマーカーに関する科学文献において、用語「糖タンパク質アセチル」又は「GlycA」は、通常、循環糖化タンパク質のNMRシグナルを指してもよい(例えば、Ritchieら、Cell Systems 2015 1(4):293-301;Connellyら、J Transl Med. 2017;15(1):219)。糖タンパク質アセチル及びそれらを測定する方法は、例えば、Kettunenら、2018、Circ Genom Precis Med. 11:e002234及びSoininenら、2009、Analyst 134、1781-1785に記載されている。NMRシグナルに寄与する個々のタンパク質の測定を上回るリスク予測のために糖タンパク質アセチルのNMRシグナルを使用することの利益、例えば、経時的なより良好な分析精度及び安定性、並びに測定のより低いコスト、並びに多くの他のバイオマーカーと同時にNMRシグナルを測定する可能性、がある場合がある。
【0064】
本明細書の文脈では、用語「オメガ-3脂肪酸」は、全オメガ-3脂肪酸、すなわち全オメガ-3脂肪酸の量及び/又は濃度、すなわち異なるオメガ-3脂肪酸の合計を指してもよい。オメガ-3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸である。オメガ-3脂肪酸において、脂肪酸鎖中の最後の二重結合は、メチル末端から数えて3番目の結合である。ドコサヘキサエン酸はオメガ-3脂肪酸の一例である。
【0065】
本明細書の文脈では、用語「一価不飽和脂肪酸」(MUFA)は、全一価不飽和脂肪酸、すなわち全MUFAの量及び/又は濃度を指してもよい。あるいは、一価不飽和脂肪酸は、ヒト血清中で最も豊富な一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を指してもよい。一価不飽和脂肪酸は、それらの脂肪酸鎖中に1つの二重結合を有する。一価不飽和脂肪酸は、オメガ-9脂肪酸及びオメガ-7脂肪酸を含んでもよい。オレイン酸(18:1ω-9)、パルミトレイン酸(16:1ω-7)及びcis-バクセン酸(18:1ω-7)は、ヒト血清中の一般的な一価不飽和脂肪酸の例である。
【0066】
1つの実施形態では、一価不飽和脂肪酸はオレイン酸であってもよい。オレイン酸は、最も豊富な一価不飽和脂肪酸であり、それゆえ、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスク予測のための全一価不飽和脂肪酸についての良好な近似と見なされてもよい。
【0067】
本明細書の文脈では、用語「オメガ-6脂肪酸」は、全オメガ-6脂肪酸、すなわち全オメガ-6脂肪酸の量及び/又は濃度、すなわち異なるオメガ-6脂肪酸の量及び/又は濃度の合計を指してもよい。オメガ-6脂肪酸は多価不飽和脂肪酸である。オメガ-6脂肪酸において、脂肪酸鎖中の最後の二重結合は、メチル末端から数えて6番目の結合である。
【0068】
1つの実施形態では、オメガ-6脂肪酸はリノール酸であってもよい。リノール酸(18:2ω-6)は、最も豊富なタイプのオメガ-6脂肪酸であり、それゆえ、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスク予測のための全オメガ-6脂肪酸の良好な近似と考えられてもよい。
【0069】
オメガ-3、オメガ-6、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、一価不飽和脂肪酸を含むすべての脂肪酸指標について、脂肪酸指標は、血液(又は血清/血漿)遊離脂肪酸、結合脂肪酸及びエステル化脂肪酸を含んでもよい。エステル化脂肪酸は、例えば、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、若しくはホスホグリセリドにおけるようにグリセロールに、又はコレステロールエステルにおけるようにコレステロールにエステル化されていてもよい。
【0070】
本明細書の文脈では、用語「脂肪酸不飽和度」又は「不飽和」は、全脂肪酸中の二重結合の数、例えば全脂肪酸中の二重結合の平均数を指すものとして理解されてもよい。
【0071】
本明細書の文脈では、用語「クエン酸」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のクエン酸塩分子若しくはクエン酸エステル分子及び/又はクエン酸そのものを指してもよい。
【0072】
本明細書の文脈では、用語「ピルビン酸」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のピルビン酸塩分子若しくはピルビン酸エステル分子及び/又はピルビン酸そのものを指してもよい。
【0073】
本明細書の文脈では、用語「アラニン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のアラニンアミノ酸を指してもよい。
【0074】
本明細書の文脈では、用語「グルタミン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のグルタミンアミノ酸を指してもよい。
【0075】
本明細書の文脈では、用語「ヒスチジン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のヒスチジンアミノ酸を指してもよい。
【0076】
本明細書の文脈では、用語「ロイシン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のロイシンアミノ酸を指してもよい。
【0077】
本明細書の文脈では、用語「フェニルアラニン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のフェニルアラニンアミノ酸を指してもよい。
【0078】
本明細書の文脈では、用語「バリン」は、例えば、血液、血漿若しくは血清又は関連する生体液中のバリンアミノ酸を指してもよい。
【0079】
本明細書の文脈では、用語「定量値」は、バイオマーカーの量及び/又は濃度を特徴付ける任意の定量値を指してもよい。例えば、それは、生体試料中のバイオマーカーの量若しくは濃度であってもよく、又は核磁気共鳴分光法(NMR)若しくはバイオマーカーを定量的に検出するのに適した他の方法から導出されるシグナルであってもよい。このようなシグナルは、バイオマーカーの量若しくは濃度を示してもよいし、又はそれと相関してもよい。定量値は、NMR測定又は他の測定から導出される1つ以上のシグナルから計算される定量値であってもよい。定量値は、追加的又は代替的に、様々な技術を用いて測定されてもよい。このような方法としては、質量分析(MS)、MSと組み合わせたガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー単独又はMSと組み合わせた高速液体クロマトグラフィー、免疫比濁測定、超遠心分離、イオン移動度、酵素による分析、比色分析又は蛍光分析、免疫ブロット分析、免疫組織化学的方法(例えば、代謝産物の抗体検出に基づくインサイツ(in situ)法)、及びイムノアッセイ(例えば、ELISA)を挙げてもよい。様々な方法の例が以下に示される。対象における定量値を決定するために使用される方法は、対照対象(複数可)又は対照試料(複数可)における定量値を決定するために使用される方法と同じであってもよい。
【0080】
少なくとも1つのバイオマーカー又は複数のバイオマーカーの定量値又は初期定量値は、核磁気共鳴(NMR)分光法、例えばH-NMRを用いて測定されてもよい。少なくとも1つの追加のバイオマーカー又は複数の追加のバイオマーカーも、NMRを使用して測定されてもよい。NMRは、多数のバイオマーカーを含むバイオマーカーを同時に測定するための特に効率的で迅速な方法を提供してもよく、それらについての定量値を提供することができる。しかもNMRは、典型的には、試料の前処理又は調製をほとんど必要としない。NMRで測定されるバイオマーカーは、Soininenら、2015、Circulation:Cardiovascular Genetics 8、212-206(DOI:10.1161/CIRCGENETICS.114.000216)、Soininenら、2009、Analyst 134、1781-1785、及びWuertzら、2017、American Journal of Epidemiology 186(9)、1084-1096(DOI:10.1093/aje/kwx016)によって以前に公開された血液(血清又は血漿)NMRメタボロミクスについてのアッセイを使用して、大量の試料について効果的に測定することができる。これは、上記の科学論文に詳細に記載されているように、試料あたり250個のバイオマーカーに関するデータを提供する。
【0081】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの(初期)定量値は、核磁気共鳴分光法を使用して測定される。
【0082】
しかしながら、本明細書に記載される様々なバイオマーカーの定量値は、NMR以外の技術によっても実施されてもよい。例えば、バイオマーカーに応じて、質量分析(MS)、酵素的方法、抗体ベースの検出方法、又は他の生化学的若しくは化学的方法が企図されてもよい。
【0083】
例えば、糖タンパク質アセチルは、(例えば、Ritchieら、2015、Cell Syst. 28;1(4):293-301に記載されているように)α-1-酸糖タンパク質、ハプトグロビン、α-1-アンチトリプシン、及びトランスフェリンの免疫比濁測定によって測定又は近似することができる。
【0084】
例えば、一価不飽和脂肪酸並びにオメガ-3脂肪酸及びオメガ-6脂肪酸は、(例えば、Julaら、2005、Arterioscler Thromb Vasc Biol 25、2152-2159に記載されているように)ガスクロマトグラフィーを用いて血清総脂肪酸組成によって定量することができる(すなわち、それらの定量値が決定されてもよい)。
【0085】
本明細書の文脈では、用語「試料」又は「生体試料」は、対象又は対象の群若しくは集団から得られる任意の生体試料を指してもよい。試料は、新鮮なもの、凍結したもの、又は乾燥したものであってもよい。
【0086】
生体試料は、例えば、血液試料、血漿試料、血清試料、又はそれに由来する試料若しくは画分を含んでもよく、又はそれらであってもよい。この生体試料は、例えば、空腹時血液試料、空腹時血漿試料、空腹時血清試料、又はそれから得ることができる画分であってもよい。しかしながら、生体試料は、必ずしも空腹時試料である必要はない。血液試料は静脈血試料であってもよい。
【0087】
血液試料は、乾燥血液試料であってもよい。この乾燥血液試料は、乾燥全血試料、乾燥血漿試料、乾燥血清試料、又はそれらに由来する乾燥試料であってもよい。
【0088】
当該方法は、少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する前に、対象から生体試料を得ることを含んでもよい。対象又は患者の血液試料又は組織試料を採取することは、通常の臨床診療の一部である。集められた血液又は組織試料を調製し、血清又は血漿を当業者に周知の技術を用いて分離することができる。血液試料又は組織試料等の生体試料から1つ以上の画分を分離する方法も、当業者に利用可能である。用語「画分」は、本明細書の文脈では、1つ以上の物理的特性、例えば、溶解度、親水性若しくは疎水性、密度、又は分子サイズに従って分離された生体試料の一部分又は成分をも指してもよい。
【0089】
本明細書の文脈では、用語「対照試料」は、対象から得られ、疾患若しくは状態に罹患していないか、又は疾患若しくは状態を有するか若しくは発症するリスクがないことが既知である試料を指してもよい。この対照試料はマッチしたものであってもよい。一実施形態では、対照試料は、健常個体又は健常個体の一般化集団に由来する生体試料であってもよい。用語「対照値」は、対照試料から得ることができる値及び/又はそれから導出可能な定量値として理解されてもよい。例えば、上回るか又は下回ると疾患又は状態を発症するリスクが上昇するという閾値を、対照試料及び/又は対照値から計算することが可能であってもよい。言い換えれば、(バイオマーカー、リスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクに応じて)上記閾値より高い又は低い値は、対象がその疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0090】
対照試料又は対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカー若しくは複数のバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、対象が疾患又は状態を有するか又は発症するリスクが高いことを示してもよい。対象が疾患又は状態を発症するリスクが高いことを増加が示すか又は減少が示すかは、バイオマーカーに依存してもよい。
【0091】
対照試料又は対照値と比較した場合の少なくとも1つのバイオマーカーの(又は複数のバイオマーカーの個々のバイオマーカーにおける)定量値の1.2倍、1.5倍、若しくは例えば2倍、若しくは3倍の増加又は減少が、対象が疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0092】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアルブミンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0093】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の糖タンパク質アセチルの定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0094】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸比の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0095】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の総脂肪酸に対するリノール酸比の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0096】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0097】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0098】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0099】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の脂肪酸不飽和度の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0100】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のドコサヘキサエン酸の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0101】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のリノール酸の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0102】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のオメガ-3脂肪酸の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0103】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のオメガ-6脂肪酸の定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0104】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のクエン酸の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0105】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のピルビン酸の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0106】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアラニンの定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0107】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のグルタミンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0108】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のヒスチジンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害のリスクが高いことを示してもよい。
【0109】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のロイシンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害のリスクが高いことを示してもよい。
【0110】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のフェニルアラニンの定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0111】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のバリンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0112】
一実施形態では、β+β 濃度(糖タンパク質アセチル)+β 濃度(アルブミン)として定義され、βは切片項であり、βは糖タンパク質アセチルの濃度に帰属される加重係数であり、βはアルブミンの濃度に帰属される加重係数であるリスクスコアが、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0113】
一実施形態では、β+β 濃度(糖タンパク質アセチル)+β 濃度(脂肪酸指標)として定義され、βは切片項であり、βは糖タンパク質アセチルの濃度に帰属される加重係数であり、βは脂肪酸指標に帰属される加重係数であるリスクスコアが、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。上記脂肪酸指標は、以下の脂肪酸のうちの1つであるか、又は総脂肪酸に対するそれらの比であってもよい:ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、及び/又は脂肪酸不飽和度。
【0114】
一実施形態では、β+β 濃度(糖タンパク質アセチル)+β 濃度(アルブミン)+β 濃度(脂肪酸指標)として定義され、βは切片項であり、βは糖タンパク質アセチルの濃度に帰属される加重係数であり、βはアルブミンの濃度に帰属される加重係数であり、βは脂肪酸指標の濃度に帰属される加重係数であるリスクスコアが、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症するリスクが高いことを示してもよい。上記脂肪酸指標は、以下の脂肪酸のうちの1つであるか、又は総脂肪酸に対するそれらの比であってもよい:ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、及び/又は脂肪酸不飽和度。
【0115】
用語「組み合わせ」は、少なくともいくつかの実施形態では、当該方法が、バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、オッズ比、及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクを使用することを含むように理解されてもよい。例えば、糖タンパク質アセチル及びアルブミンの両方の定量値が決定される場合、両方のバイオマーカーの定量値は、対照試料若しくは対照値と別々に比較されてもよいし、又は両方のバイオマーカーの定量値に基づいてリスクスコア、オッズ比、及び/若しくは予測される絶対リスク若しくは相対リスクが計算され、このリスクスコア、ハザード比、オッズ比、及び/若しくは予測される絶対リスク若しくは相対リスクが対照試料又は対照値と比較されてもよい。
【0116】
一実施形態では、当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・糖タンパク質アセチル、
・アルブミン
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせを対照試料又は対照値と比較することと
を含んでもよく、
対照試料又は対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせの増加又は減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。対照試料又は対照値と比較した場合の糖タンパク質アセチルの定量値の増加及びアルブミンの定量値の減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0117】
一実施形態では、当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・糖タンパク質アセチル、
・以下の脂肪酸又は総脂肪酸に対するそれらの比という少なくとも1つの脂肪酸指標:ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、及び/又は脂肪酸不飽和度
の定量値を決定することと
上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせを対照試料又は対照値と比較することと
を含んでもよく、
対照試料又は対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせの増加又は減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。対照試料又は対照値と比較した場合の糖タンパク質アセチルの定量値の増加及びドコサヘキサエン酸及び/若しくはリノール酸及び/若しくはオメガ-3脂肪酸及び/若しくはオメガ-6脂肪酸及び/若しくは脂肪酸不飽和度及び/若しくは総脂肪酸に対するそれらの比の定量値の減少、並びに/又は総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸又はオレイン酸の比の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0118】
一実施形態では、当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・アルブミン、
・以下の脂肪酸又は総脂肪酸に対するそれらの比という少なくとも1つの脂肪酸指標:ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、及び/又は脂肪酸不飽和度
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせを対照試料又は対照値と比較することと
を含んでもよく、
対照試料又は対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせの増加又は減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。対照試料又は対照値と比較した場合のアルブミンの定量値の減少並びにドコサヘキサエン酸及び/若しくはリノール酸及び/若しくはオメガ-3脂肪酸及び/若しくはオメガ-6脂肪酸及び/若しくは脂肪酸不飽和度及び/若しくは総脂肪酸に対するそれらの比の定量値の減少、並びに/又は総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸若しくはオレイン酸の比の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び体液バランスに関連する貧血又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0119】
一実施形態では、当該方法は、対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・糖タンパク質アセチル、
・アルブミン、
・以下の脂肪酸又は総脂肪酸に対するそれらの比という少なくとも1つの脂肪酸指標:ドコサヘキサエン酸、リノール酸、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、及び/又は脂肪酸不飽和度
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせを対照試料又は対照値と比較することと
を含んでもよく、
対照試料又は対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値及び/又はそれらの組み合わせの増加又は減少は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す。対照試料又は対照値と比較した場合の糖タンパク質アセチルの定量値の増加、アルブミンの定量値の減少並びにドコサヘキサエン酸及び/若しくはリノール酸及び/若しくはオメガ-3脂肪酸及び/若しくはオメガ-6脂肪酸及び/若しくは脂肪酸不飽和度及び/若しくは総脂肪酸に対するそれらの比の定量値の減少、並びに/又は総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸若しくはオレイン酸の比の定量値の増加は、対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0120】
以下の実施形態も開示される。
【0121】
1. 対象が血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法であって、
この方法は、上記対象から得られた生体試料において、生体試料中の以下の少なくとも1つのバイオマーカー
・アルブミン、
・糖タンパク質アセチル、
・総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、
・総脂肪酸に対するリノール酸の比
・総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、
・総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、
・脂肪酸不飽和度、
・ドコサヘキサエン酸、
・リノール酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・オメガ-6脂肪酸、
・クエン酸、
・ピルビン酸、
・アラニン、
・グルタミン、
・ヒスチジン、
・ロイシン、
・フェニルアラニン、
・バリン
の定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す、方法。
【0122】
2. 上記方法は、生体試料において、複数のバイオマーカー、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はこれよりも多いバイオマーカーの定量値を決定することを含む実施形態1に記載の方法。
【0123】
3. 上記少なくとも1つのバイオマーカーは、糖タンパク質アセチルを含むか、又は糖タンパク質アセチルである実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
【0124】
4. 上記方法は、上記対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・糖タンパク質アセチル;
・アルブミン
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較することと
を含み、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す
実施形態1から実施形態3のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
5. 上記方法は、上記対象から得られた生体試料において、以下のバイオマーカー
・糖タンパク質アセチル、
・以下の少なくとも1つの脂肪酸指標:総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比、ドコサヘキサエン酸、総脂肪酸に対するリノール酸の比、リノール酸、総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸及び/又はオレイン酸の比、総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比、オメガ-3脂肪酸、総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比、オメガ-6脂肪酸、脂肪酸不飽和度
の定量値を決定することと、
上記バイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較することと
を含み、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記バイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクが高いことを示す
実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
6. 上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、鉄欠乏性貧血(D50);ビタミンB12欠乏性貧血(D51);その他の無形成性貧血若しくはその他の骨髄不全症候群(D61);他に分類される慢性疾患における貧血(D63);その他の貧血(D64);その他のビタミンB群の欠乏症(E53);ビタミンD欠乏症(E55);その他の栄養元素欠乏症(E61);ミネラル代謝障害(E83);体液量減少(E86);若しくはその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害(E87)を含むか、又はこれらである実施形態1から実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
7. 上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、その他の鉄欠乏性貧血(D50.8);鉄欠乏性貧血、詳細不明(D50.9);ビタミンB12欠乏性貧血、内因子欠乏によるもの(D51.0);無形成性貧血、詳細不明(D61.9);新生物(腫瘍)性疾患における貧血(D63.0);リン代謝障害及び/若しくはホスファターゼ障害(E83.3);貧血、詳細不明(D64.9);その他の明示されたビタミンB群欠乏症(E53.8);ビタミンD欠乏症、詳細不明(E55.9);鉄欠乏症(E61.1);マグネシウム代謝障害(E83.4);カルシウム代謝障害(E83.5);高浸透圧及び/若しくは高ナトリウム血症(E87.0);低浸透圧及び/若しくは低ナトリウム血症(E87.1);アシドーシス(E87.2);高カリウム血症(E87.5);及び/若しくは低カリウム血症(E87.6)を含むか、又はこれらである実施形態1から実施形態6のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
8. 上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態は、鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミン欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少、若しくはその他の体液、電解質及び/若しくは酸塩基平衡障害を含むか、又はこれらである実施形態1から実施形態7のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
9. 上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値は、核磁気共鳴分光法を使用して測定される実施形態1から実施形態8のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
10. 上記方法は、上記少なくとも1つのバイオマーカー又は複数の上記バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、オッズ比、及び/又は予測される絶対リスク若しくは相対リスクを使用して、上記対象が上記血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含む実施形態1から実施形態9のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0131】
これより様々な実施形態を詳細に参照する。それらの実施形態の例は添付の図面に示されている。以下の説明は、当業者が本開示に基づいて実施形態を利用することができる程度に詳細にいくつかの実施形態を開示する。工程又は特徴の多くは本明細書に基づいて当業者に明白となるので、実施形態のすべての工程又は特徴が詳細に論じられるわけではない。
【0132】
図において使用される略語
DHA%:総脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の比
LA%:総脂肪酸に対するリノール酸の比
オメガ-3%:総脂肪酸に対するオメガ-3脂肪酸の比
オメガ-6%:総脂肪酸に対するオメガ-6脂肪酸の比
MUFA%:総脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比
DHA:ドコサヘキサエン酸
LA:リノール酸
MUFA:一価不飽和脂肪酸
オメガ-3:オメガ-3脂肪酸
オメガ-6:オメガ-6脂肪酸
不飽和:脂肪酸不飽和度
CI:信頼区間
SD:標準偏差
BMI:肥満度指数
【0133】
実施例1
核磁気共鳴(NMR)によって定量したバイオマーカー指標を、それらが血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態、例えば鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を予測することができるか否かに関して調べた。すべての分析は、UK Biobank(UKバイオバンク)に基づいて、NMR分光法からの血液バイオマーカーデータを利用可能である約115,000人の研究参加者を用いて行った。
【0134】
研究集団
UK Biobankの設計の詳細は、Sudlowら、2015、PLoS Med. 2015;12(3):e1001779によって報告されている。簡単に述べると、UK Biobankは、英国全体にわたる22ヶ所の評価センターで37~73歳の502,639人の参加者を募集した。すべての参加者は、書面によるインフォームドコンセントを提供し、倫理的承認は、North West Multi-Center Research Ethics Committee(ノースウェストマルチセンター研究倫理委員会)から得られた。血液試料は、2007年から2010年の間にベースラインで採取した。選択基準はこのサンプリングに適用しなかった。
【0135】
バイオマーカープロファイリング
UK Biobank集団全体から、118,466人の個体からのベースライン血漿試料のランダムなサブセットを、Nightingale(ナイチンゲール)NMRバイオマーカープラットフォーム(Nightingale Health Ltd(ナイチンゲール・ヘルス)、フィンランド)を使用して測定した。この血液分析方法は、リポタンパク質脂質、循環脂肪酸、並びにアミノ酸、ケトン体及び糖新生関連代謝産物を含む種々の低分子量代謝産物を含む多くの血液バイオマーカーのモル濃度単位での同時定量を提供する。技術的詳細及び疫学的応用が概説されている(Soininenら、2015、Circ Cardiovasc Genet;2015;8:192-206;Wuertzら、2017、Am J Epidemiol 2017;186:1084-1096)。中央値から4四分位間の範囲外の値を外れ値とみなし、除外した。
【0136】
血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスクとバイオマーカーとの関連の疫学的分析
血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態についてのリスクとの血液バイオマーカーの関連付けを、UK Biobankデータに基づいて行った。個々のバイオマーカーが、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の将来の発症のリスクに関連するか否かを判定するために、分析は、血液試料を収集した後の血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の発生に対するバイオマーカーの関係に焦点を当てた。バイオマーカーの加重和の形態の複数バイオマーカースコアを使用する例も、それらが各個々のバイオマーカーよりもさらに強く予測できるか否かを調べるために、検討した。
【0137】
すべての研究参加者の血液サンプリング後に起こった疾患事象に関する情報は、UK Hospital Episode Statistics(英国病院エピソード統計)データ及び死亡登録から記録した。すべての分析は、最初の診断の発生に基づいており、従って、血液サンプリング前に所与の疾患の診断が記録された個体は、統計分析から除外した。ICD-10診断D50~D89、E50~E64又はE70~E88(E78(リポタンパク質代謝障害)を除く)の任意の新規発生に基づいて、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態の複合エンドポイントを定義した。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のより洗練されたサブタイプは、表1に列挙するICD-10診断に従って定義した。
【0138】
登録に基づく追跡調査は、2007~2010年の血液サンプリングから2020年までであった(およそ1100000人・年)。追跡調査中に150未満の疾患事象しか記録されなかった特定の疾患は、範囲外にした。
【0139】
バイオマーカー関連性検定のために、年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整したコックス(Cox)比例ハザード回帰モデルを使用した。結果を各バイオマーカー指標の標準偏差当たりの大きさでプロットして、関連性の大きさの直接比較を可能にした。
【0140】
結果の概要
バイオマーカー分析のための研究集団のベースライン特徴に対する血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の将来のリスクを表1に示す。血液サンプリング後に起こった疾患事象の新規発生数を、分析したすべての状態について列挙する。
【0141】
【表1(1)】
【表1(2)】
【0142】
図1aは、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態(ICD-10コードD50~D89、E50~E64及びE70~E88(E78を除く))の将来のリスクに関する20種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。図の左側は、バイオマーカーを絶対濃度で分析した場合のハザード比を、研究集団の標準偏差にスケーリングして示す。右側は、バイオマーカー濃度の最も高い五分位点にある個体を最も低い五分位点にある個体と比較したときの対応するハザード比を示す。これらの結果は、UK Biobankからの115,000人を超える個体の統計分析に基づき、そのうち12,276人が、約10年間の追跡調査の間に、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態(病院登録における、又は死亡記録における診断D50~D89、E50~E64又はE70~E88(E78を除く)として定義される)を発症した。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおける年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。P値は、すべての関連性についてP<0.0001(多重試験補正に対応する)であった。これらの結果は、上記20種の個々のバイオマーカーが、一般的な母集団設定における血液に関連する貧血又は他の代謝状態のリスクを予測することを実証する。
【0143】
図1bは、バイオマーカー濃度の最低、中間、及び最高の五分位点による、上記20種の血液バイオマーカーの各々についての血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の累積リスクのカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)プロットを示す。これらの結果は、UK Biobankからの115,000人を超える個体の統計分析に基づき、そのうち12,276人が、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態を発症した。これらの結果はさらに、上記20種の個々のバイオマーカーが、一般的な母集団設定における血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態のリスクを予測することを実証する。
【0144】
図2aは、3文字ICD-10診断コードによって定義される、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の特定の貧血及び/又は代謝状態の将来の発症についての20種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。これらの結果は、バイオマーカーの関連性のパターンが、11種の異なる特定の障害について高度に一貫性があることを示す。
【0145】
図2bは、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」定義と比較した、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の特定の貧血及び/又は代謝状態(3文字ICD-10診断コードによって定義される)とのすべての上記バイオマーカーの関連性の一貫性を示す。バイオマーカーの関連性はすべて、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」の場合と同じ関連性方向であったか、又は不一致の方向では統計的に有意ではなかった。それゆえ、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」を強く予測するいずれのバイオマーカーの組み合わせも、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する列挙した特定の貧血及び/又は代謝状態のすべてをも予測するであろう。
【0146】
図3aは、4文字ICD-10診断コードによって定義される、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する18種の特定の種類の貧血及び/又は代謝状態の将来の発症についての20種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。これらの結果は、バイオマーカーの関連性のパターンが、上記18種の特定の障害すべてについて高度に一貫性があることを示す。
【0147】
図3bは、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」定義と比較した、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する18種の特定の貧血及び/又は代謝状態(4文字ICD-10診断コードによって定義される)とのすべての上記バイオマーカーの関連性の一貫性を示す。概して、バイオマーカーの関連性はすべて、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」の場合と同じ関連性方向であるか、又は不一致の方向では統計的に有意ではない。それゆえ、「血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態」を強く予測するいずれのバイオマーカーの組み合わせも、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する列挙した特定の貧血及び/又は代謝状態のすべてをも予測するであろう。
【0148】
図4a~fは、本研究で検討した血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の特定の貧血及び/又は代謝状態(3文字ICD診断コードによって定義される)の各々の将来の発症に関する20種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。このハザード比は、各バイオマーカーの標準偏差にスケーリングして、絶対濃度で示してある。これらの結果は、UK Biobankからの115,000人を超える個体の統計分析に基づいており、およそ10年間の追跡調査中に上記特定の疾患を発症した個体の数を各プロットの上部に示す。黒丸は関連性のP値がP<0.0001(多重検定補正に対応する)であり、白丸は関連性のP値がP>0.0001であったことを示す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルを用いて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。
【0149】
図5は、2つ以上のバイオマーカーを組み合わせた場合の血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態とのより強い関連性の例を示す。血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態(ICD-10コードD50~D89、E50~E64及びE70~E88(E78を除く)の複合エンドポイント)の将来のリスクに関する伴うハザード比を、バイオマーカーの対の選択した組み合わせ、及びバイオマーカースコアの例について示す。これらの結果は、多くの他の組み合わせ、特に、アルブミン及び糖タンパク質アセチルに加えて異なる脂肪酸指標を含むものに関して同様であった。バイオマーカースコアは、Σ[β ]+βの形態で組み合わされ、式中、iは個々のバイオマーカーにわたる合計の添え字であり、βはバイオマーカーiに帰属される加重係数であり、cはバイオマーカーiの血中濃度であり、βは切片項である。β乗数は、バイオマーカーのそれぞれの組み合わせについてのUK Biobank研究の統計分析において調べられた、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態のリスクとの多変量関連性の大きさに従って定義される。関連性の大きさの増強は、表1に列挙する血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する11種の特定の種類の貧血及び/又は代謝状態については、血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するいずれかの貧血及び/又はいずれかの代謝状態についてここに示されるものと同様であった。
【0150】
意図される使用の説明:血液に関連する貧血又は他の代謝状態のリスク予測についてのバイオマーカースコア。
血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連する貧血及び/又は代謝状態の予測に関連する意図される応用を例示するために、さらなる疫学的分析を以下に説明する。これらの応用は、鉄欠乏性貧血、その他の貧血、ビタミンB群の欠乏症、ビタミンD欠乏症、ミネラル代謝障害、体液量減少並びに/又はその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害のリスクの予測について例示される。同様の結果が、表1に列挙される血液の栄養状態及び/又は体液バランスに関連するその他の貧血及び/又は代謝状態にも当てはまる。結果は、図1~6において取り上げた20種のバイオマーカーを組み合わせたバイオマーカースコアについて示す。わずかに弱いが類似の結果は、2つ又は3つの個々のバイオマーカーのみの組み合わせで得られる。
【0151】
図6aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴う鉄欠乏性貧血(ICD-10コードD50)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中に鉄欠乏性貧血を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中の鉄欠乏性貧血の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0152】
図6bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、鉄欠乏性貧血(ICD-10コードD50)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明する鉄欠乏性貧血の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0153】
図7aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴うその他の貧血(ICD-10コードD64)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中にその他の貧血を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中のその他の貧血の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0154】
図7bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、その他の貧血(ICD-10コードD64)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明するその他の貧血の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0155】
図8aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴うその他のビタミンB群の欠乏症(ICD-10コードE53)リスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中にその他のビタミンB群の欠乏症を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中のその他のビタミンB群の欠乏症の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0156】
図8bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、その他のビタミンB群の欠乏症(ICD-10コードE53)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明するその他のビタミンB群の欠乏症の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0157】
図9aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴うビタミンD欠乏症(ICD-10コードE55)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときの追跡調査中にビタミンD欠乏症を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中のビタミンD欠乏症の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0158】
図9bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、ビタミンD欠乏症(ICD-10コードE55)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について強力であることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明するビタミンD欠乏症の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0159】
図10aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴うミネラル代謝障害(ICD-10コードE83)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中にミネラル代謝障害を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡中のミネラル代謝障害の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0160】
図10bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、ミネラル代謝障害(ICD-10コードE83)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリングの時点で異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明するミネラル代謝障害の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0161】
図11aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴う体液量減少(ICD-10コードE86)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときの追跡調査中に体液量減少を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中の体液量減少の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが、複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0162】
図11bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、体液量減少(ICD-10コードE86)の将来の発症に関する同じ複数性バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明する体液量減少の短期リスクに焦点を当てたとき実質的により強いことを示す。
【0163】
図12aは、20種のバイオマーカーの加重和からなるバイオマーカーリスクスコアのレベルの上昇に伴うその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害(ICD-10コードE87)のリスクの増加を示す。左側に、リスク増加を勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中にその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害を発症した個体の割合を示す。各ドットは、約500人の個体に対応する。右側のカプラン・マイヤープロットは、複数バイオマーカースコアの選択した五分位点についての追跡調査中のその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害の累積リスクを示す。両方のプロットは、リスクが複数バイオマーカースコアの分布の上端において非線形的に増加していることを実証するのに役立つ。プロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=58594個体)について示す。
【0164】
図12bは、研究参加者の関連するリスク因子特徴を考慮するときの、その他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害(ICD-10コードE87)の将来の発症に関する同じ複数バイオマーカースコアのハザード比を示す。結果の最初の2つのパネルは、リスク予測適用が、男性及び女性について、並びに血液サンプリング時の異なる年齢の人々について一貫していることを実証する。第3のパネルは、ハザード比の大きさが、統計モデリングにおいて肥満度指数及び喫煙状態を考慮するときにわずかにしか減衰されないことを示す。第4のパネルは、予測的関連性が、痩せた個体(BMI<25)及び太りすぎ又は肥満の個体(BMI>25)の両方について強いことを示す。最後のパネルは、ハザード比が、この場合は血液試料を採取した後最初の3年間に記録された診断を使用することによって説明するその他の体液、電解質及び酸塩基平衡障害の短期リスクに焦点を当てたときに実質的により強いことを示す。
【0165】
当業者には、技術の進歩とともに、基本的なアイデアが様々な方法で実行されてもよいことが明らかである。従って、実施形態は上記の例に限定されない。代わりに、実施形態は請求項の範囲内で様々であってよい。
【0166】
上述の実施形態は、互いに任意の組み合わせで使用されてもよい。実施形態のうちのいくつかは、さらなる実施形態を形成するようにともに組み合わされてもよい。本明細書に開示される方法は、本明細書の上記の実施形態のうちの少なくとも1つを含んでもよい。上記の利益及び利点は、1つの実施形態に関連してもよいし、又はいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されよう。実施形態は、記載された課題のいずれか若しくはすべてを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか若しくはすべてを有するものに限定されない。「ある」項目への言及は、1つ以上のこれらの項目を指すことがさらに理解されるであろう。用語「comprising(含む)」は、本明細書において、1つ以上の追加の特徴又は行為の存在を排除することなく、その語句に続く特徴又は行為を含むこと(including)を意味するために使用される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
【国際調査報告】