(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
B23H 3/10 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B23H3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532156
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 GB2021053178
(87)【国際公開番号】W WO2022118045
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522311118
【氏名又は名称】テクスチャージェットリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ミッチェル-スミス
(72)【発明者】
【氏名】シモン テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャック フォスター
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ボイントン
【テーマコード(参考)】
3C059
【Fターム(参考)】
3C059AA02
3C059AB03
3C059EA02
3C059ED01
(57)【要約】
電気化学加工装置のためのノズルが提供される。ノズルは、第1及び第2の本体部が相互に取り付けられるとそれらの間に電解質空洞を形成する解放可能に取付け可能な第1及び第2の本体部を有する本体を画定する。本体は、空洞の上流側の入口ポートと、使用時に電解質のジェットをワークの表面に向けて吐出するための出口ポートとを含み、流路が入口ポートから空洞を介して出口ポートまで画定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学加工装置のためのノズルであって、該ノズルは、
電解質をそこに受容するための内部空洞と、
電解質を前記空洞に送出するための、該空洞の上流側にありかつそれと流通している入口ポートと、
使用時に電解質のジェットをワークの表面に向けて吐出するための出口ポートと、
を備える本体を画定し、
前記出口ポートは、前記入口ポートから前記空洞を介して前記出口ポートまでの流路を画定するように前記空洞の下流側にありかつそれと流通し、
前記本体は、解放可能に取付け可能な第1及び第2の本体部であって、該第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると前記空洞をそれらの間に形成する解放可能に取付け可能な第1及び第2の本体部を備える、ノズル。
【請求項2】
前記第1及び第2の本体部は、該第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると前記空洞を囲むシールをそれらの間に形成するように構成及び配置されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記第1及び第2の本体部はそれぞれ第1及び第2のシール形成部を備え、前記第1及び第2のシール形成部は、前記第1又は第2の本体部に凸部、及び前記第1又は第2の本体部の他方に対応の凹部を備え、任意選択的に、該凹部にシーラントが付与される、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記第1及び第2の本体部は、それらの間にラビリンスシールを形成するように構成及び配置されている、請求項2又は3に記載のノズル。
【請求項5】
前記第1及び第2の本体部は第1及び第2の対向空洞壁をそれぞれ画定し、該第1及び第2の対向空洞壁は前記出口ポートに向かう方向にテーパ状となる、請求項1から4のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記第1及び第2の空洞壁は、最小離隔距離までテーパ状となって前記出口ポートから離間した位置においてスロート部を画定する、請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記第1及び第2の対向空洞壁は、前記第1の対向空洞壁と前記第2の対向空洞壁の間の離隔距離が増加するように、前記スロート部と前記出口ポートの間で所定方向に沿って拡張する、請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
前記第1及び第2の対向空洞壁の各々は、前記第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると空洞側壁を画定する側方壁部を備え、前記空洞側壁は前記出口ポートに向かう方向においてテーパ状となる、請求項5から7のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項9】
前記空洞側壁は、前記出口ポートに近接する最小離隔距離までテーパ状となる、請求項8に記載のノズル。
【請求項10】
前記出口ポートに近接する前記空洞側壁の出口領域は、内向きに湾曲している、請求項8又は9に記載のノズル。
【請求項11】
前記本体は、前記出口ポートを実質的に囲み、使用時にワークの表面に対向して配置されることが意図された端面を備え、該端面は実質的に非平面状である、請求項1から10のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項12】
前記端面は、該端面の内側領域に向かって少なくとも部分的に湾曲し又はテーパ化されている側方領域を備える、請求項11に記載のノズル。
【請求項13】
前記内側領域は、前記端面は連続曲面を画定するように湾曲している、請求項11又は12に記載のノズル。
【請求項14】
前記内側領域は、略平面状である、請求項11又は12に記載のノズル。
【請求項15】
前記内側領域は、該内側領域が前記端面の凹状領域を形成するように湾曲又は傾斜している、請求項11又は12に記載のノズル。
【請求項16】
前記本体は前記出口ポートを囲む出口スパウトを備え、該出口スパウトに隣接する、例えば該出口スパウトの上部の、前記本体の外部領域は、テーパ化又は面取りされている、請求項1から15のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項17】
前記第1及び第2の本体部を解放可能に取り付けるように構成された取付け構成をさらに備える請求項1から16のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項18】
前記取付け構成は、前記ノズルを電気化学加工装置に装着するための装着構成を形成する、請求項17に記載のノズル。
【請求項19】
前記出口ポートは、前記第1の本体部と前記第2の本体部の間の間隔によって画定される、請求項1から18のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項20】
前記出口ポートは、使用時に最下部となることが意図された前記本体の端面に設けられている、請求項1から19のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項21】
前記本体は、導電性材料から形成され、任意選択的に、前記本体は金属又は金属合金、例えばスチール、からなる、請求項1から20のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項22】
前記出口ポートは1mm~25mmの範囲、例えば5mm~20mmの範囲の、幅を備え、及び/又は前記出口ポートは0.01mm~1mmの範囲、例えば0.05mm~0.5mmの範囲の、深さを備える、請求項1から21のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項23】
ワークの表面を加工するための電気化学加工装置であって、
電解質源と、
請求項1から22のいずれか一項に記載のノズルであって、前記電解質源から前記入口ポートを介して電解質を受容し、使用時に電解質ジェットを前記出口ポートからワークの表面に向けて吐出するように構成及び配置されたノズルと、
を備える電気化学加工装置。
【請求項24】
前記電気化学加工装置は、使用時に前記ノズル及びワークの表面が電解槽の第1及び第2の電極を画定するように、電荷を前記ノズルに印加するとともに電荷を前記表面に印加するように構成され、任意選択的に、前記ノズルは、使用時にワークの表面から離間されるように配置される、請求項23に記載の電気化学加工装置。
【請求項25】
使用時にワークの表面に接触してそこに電流を通電するように構成及び配置されたコンタクト電極をさらに備える請求項23又は24に記載の電気化学加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、電気化学加工装置のためのノズル及び電気化学加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学加工は、ワークの表面を選択的に加工するための周知の処理である。この加工法によって、表面材料が導電性である限り、表面が電気化学反応によって加工可能となる。電気化学加工によって粗面化が可能となることで、表面に部品を実装し及び/又はコーティングを塗布するための接着性が向上する。表面加工は、表面の光学及び/又は摩擦特性を改質し、表面の微細構造の粒界を明らかとし、又は表面を研磨して同質表面仕上げを生成するためにも使用され得る。
【0003】
電気化学ジェット加工は、電解質のストリーム又はジェットをノズルから表面に向けて吐出しつつ、電気化学加工装置の部品、例えば、ノズルと被加工面の間に電圧を印加することを伴う電気化学加工の一形態である。アノード面とカソードノズルの間の電解電流は、ノズルから吐出される電解質ジェットによって供給される。ノズルの設計は、電解質ジェットのフロー特性及びジェットにわたる電流密度分布の双方をもたらす。所望のフロー特性及び電流密度分布を生成する周知のノズルの製造は、ノズル設計の複雑な性質によって困難なものとなり得る。
【0004】
本教示は、従来技術に関連する1以上の問題を克服し、又は少なくとも緩和することを目指すものである。
【発明の概要】
【0005】
本教示の第1の態様は、電気化学加工装置のためのノズルを提供する。ノズルは、電解質をそこに受容するための内部空洞と、電解質を空洞に送出するための、空洞の上流側にありかつそれと流通している入口ポートと、使用時に電解質のジェットをワークの表面に向けて吐出するための出口ポートと、を備える本体を画定し、出口ポートは、入口ポートから空洞を介して出口ポートまでの流路を画定するように空洞の下流側にありかつそれと流通し、本体は、解放可能に取付け可能な第1及び第2の本体部であって、第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると空洞をその間に形成する解放可能に取付け可能な第1及び第2の本体部を備える。
【0006】
2つの解放可能に取付け可能な部分によってノズルの本体を構成することで、ノズルの製造が容易化する。この構成によって、内部ノズル構成は、電解質ジェットの要求フロー特性を与えるように精密加工可能となる。
【0007】
第1及び第2の本体部は、第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると、空洞を囲むシールをその間に形成するように構成及び配置され得る。
【0008】
空洞を囲むシールを設けることはリークを減少させるのに役立ち、これは電解質の全てが確実に出口ポートに向けられるように作用する。
【0009】
このシールの構成は、第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると、それらの間のシールを自動的に形成する。
【0010】
第1及び第2の本体部は、第1及び第2のシール形成部を備え得る。
【0011】
第1及び第2のシール形成部は、第1又は第2の本体部における凸部及び第1又は第2の本体部の他方に対応の凹部を備え得る。
【0012】
凹部にはシーラントが付与されてもよい。
【0013】
付与されるシーラントは、凹部を部分的にのみ充填し得る。
【0014】
シーラントは、ポリウレタンシーラント又はシリコーンシーラントからなり得る。
【0015】
第1及び第2のシール形成部を凹部及び対応する凸部の形態で設けることは、アライメント特徴を与えて第1及び第2の本体部の組立てを容易化するように作用する。
【0016】
第1及び第2の本体部は、それらの間にラビリンスシールを形成するように構成及び配置され得る。
【0017】
電解質が通過しなければならない蛇行出口経路によって電解質の流出が制限されるので、シール要素の組合せ(すなわち、凸部及び凹部)は本体内で強力なシールを形成する。
【0018】
第1及び第2の本体部は、第1及び第2の対向空洞壁を画定し得る。
【0019】
第1及び第2の対向空洞壁は、出口ポートに向かう方向にテーパ状となり得る。
【0020】
有利なことに、この構成は、より多くの層流を与えるように電解質のフローを出口ポートに向けることに役立つ。
【0021】
第1及び第2の空洞壁は、出口ポートから離間した位置における最小離隔距離までテーパ状となっていてもよい。第1及び第2の空洞壁は、出口ポートから離間した位置にスロート部を画定するように最小離隔距離までテーパ状となっていてもよい。
【0022】
空洞の対向壁間の離隔距離の減少は、出口ポートに向けて流れる電解質の速度を増加させるのに役立つ。
【0023】
第1及び第2の対向空洞壁は、第1の対向空洞壁と第2の対向空洞壁の間の離隔距離が増加するように、スロート部と出口ポートの間で所定方向に沿って拡張していてもよい。
【0024】
この下流側の拡張端は、電解質のフローに対する安定化効果を有することが分かっている。
【0025】
さらに、出口ポートから離間した空洞の対向壁間に最小離隔距離を有することは、電解質の表面張力によって電解質が出口ポートを閉塞してしまうことを防止するのに役立つ。
【0026】
第1及び第2の対向空洞壁の各々は、第1及び第2の本体部が相互に取り付けられると空洞側壁を画定する側方壁部を備えていてもよい。
【0027】
空洞側壁は、出口ポートに向かう方向にテーパ状となっていてもよい。
【0028】
空洞側壁は、入口ポートに近接する最大離隔距離からテーパ状となっていてもよい。
【0029】
空洞側壁は、出口ポートに近接する最小離隔距離までテーパ状となっていてもよい。
【0030】
出口ポートに近接する空洞側壁の出口領域は、内向きに湾曲してもよい。
【0031】
内向きに湾曲した側壁を備える出口領域は、出口ポートの直上流、例えば、直上であってもよい。
【0032】
これは、出口ポートの側方縁部における電解質ジェットストリームに対する抵抗を増加させる。これはまた、電解質ジェットの幅にわたる加工効果を均等化するのに役立ち、そうでなければ、これらの側部領域で加工レートが高くなってしまう。
【0033】
本体は、使用時に、出口ポートを実質的に囲み、ワークの表面に対向するように配置されることが意図された端面を備えていてもよい。この端面は、出口ポートを囲む略平面状の領域を画定し得る。
【0034】
略平面状の領域は、使用時に、ワークの表面に対向することを目的としてもよい。
【0035】
表面に面する面積は、表面に見られる電位の相互作用を最適化するように設計された特定面積を与えるように、この場合には、表面の幅にわたる加工動作の均一な付与を与えるように設計される。
【0036】
本体は、使用時に、出口ポートを実質的に囲み、ワークの表面に対向するように配置されることを目的とした端面を備え得る。端面は、実質的に非平面状であり得る。
【0037】
端面は、端面の内側領域に向かって少なくとも部分的に湾曲又はテーパ化された側方領域を備えていてもよい。
【0038】
これはノズル幅にわたる加工効果の均等化を補助することになり、この均等化がなければ加工レートがフロー効果及び電荷の集中に起因してジェットの縁部で高くなる。この変形は、ジェットストリームにおいて抵抗が外側縁部で実質的に増加して機械効率を低減する効果を打ち消すのに役立つものであり、これにより、ジェットの幅全体にわたる効果を均等化する。
【0039】
内側領域は、端面が連続曲面を画定するように湾曲していてもよい。
【0040】
内側領域は、略平面状であってもよい。
【0041】
内側領域は、内側領域が端面の凹状領域を形成するように湾曲又は傾斜されてもよい。
【0042】
ノズルの端面は、側面視又は断面において、三角形、台形、半円形、六角形、長円形又は楕円形であり得る。
【0043】
ノズルの端面は、起伏のある表面であってもよい。
【0044】
本体は、出口ポートを囲む出口スパウトを備えていてもよい。
【0045】
出口スパウトに隣接する、例えば、出口スパウトの上部の本体の外部領域は、テーパ化され又は面取りされ得る。
【0046】
第1及び第2の本体部は、第1及び第2の外面を備え得る。
【0047】
第1及び第2の外面は、使用時に、出口ポート、すなわち、出口スパウトの上部、すなわち、直上に位置決めされることが意図されたテーパ化又は面取り領域を画定し得る。
【0048】
この最下面取り領域は、衝突する液体を電解質ジェットから逸らす。そのため、この面取り領域は、ワーク表面から反射してノズルから表面に再反射して戻ることによる二次加工効果をもたらす噴射流体からのはね返りを最小化するように設けられる。
【0049】
ノズルは、第1及び第2の本体部を解放可能に取り付けるように構成された取付け構成を備えていてもよい。
【0050】
取付け構成は、第1及び第2の本体部の各々に、そこを通る締結具を受容するための少なくとも1つの孔を備え得る。
【0051】
取付け構成は、ノズルを電気化学加工装置に装着するための装着構成を形成し得る。
【0052】
出口ポートは、第1の本体部と第2の本体部の間の間隔によって画定され得る。
【0053】
出口ポートは、使用時に最下部となることが意図された本体の表面上に設けられてもよい。
【0054】
本体は、導電性材料から形成され得る。
【0055】
本体は、金属又は金属合金、例えば、スチールからなり得る。
【0056】
出口ポートは、1mm~25mmの範囲の幅を備え得る。出口ポートは、5mm~20mmの範囲の幅を備え得る。幅は、約10mmであり得る。
【0057】
出口ポートは、0.01mm~1mmの範囲の深さを備え得る。出口ポートは、0.05mm~0.5mmの範囲の深さを備え得る。深さは、約0.2mmであり得る。
【0058】
出口ポートは、略矩形であり得る。
【0059】
本教示の第2の態様は、ワークの表面を加工するための電気化学加工装置を提供する。電気化学加工装置は、電解質源と、電解質源から入口ポートを介して電解質を受容し、使用時に電解質ジェットを出口ポートからワークの表面に向けて吐出するように構成及び配置された第1の態様に係るノズルと、を備える。
【0060】
電気化学加工装置は、使用時に、ノズル及び上記表面が電解槽の第1及び第2の電極を画定するように、電荷をノズルに印加するとともに電荷をワークの表面に印加するように構成され得る。
【0061】
ノズルは、使用時に、ワークの表面から離間するように配置され得る。
【0062】
電気化学加工装置は、使用時に、ワークの表面に接触してそこに電流を通電するように構成及び配置されたコンタクト電極を備え得る。
【0063】
電気化学加工装置は、第1の態様に係る第2のノズルを備え得る。
【0064】
電気化学加工装置は、第2の電解質源を備え得る。
【0065】
2つのノズルの各々は、異なる電解質を吐出するために構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電気化学加工装置の模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の電気化学加工装置の加工ユニットを示し、加工ユニットはロボットアームによって動作される。
【
図3】
図3は、
図1の電気化学加工装置のノズルの等角図である。
【
図9A】
図9Aは、実施形態に係るノズルの第1の本体部の正面図である。
【
図9B】
図9Bは、実施形態に係るノズルの第1の本体部の正面図である。
【
図9C】
図9Cは、実施形態に係るノズルの第1の本体部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
ここで、添付図面を参照して実施形態を説明する。
【0068】
まず
図1を参照すると、電気化学加工装置が図示され、全体として10で示される。電気化学加工装置10は、ベースユニット12及び加工ユニット14を含む。加工ユニット14はハンドヘルド型であることが意図され、ロボットアームによって動作され、又は表面にわたって駆動されるように遠隔動作されることが意図され得ることが分かるはずである。
【0069】
ベースユニット12及び加工ユニット14は、ベースユニット12が電力及び電解質を加工ユニット14に供給することができる供給パイプ16を介して接続される。加工ユニット14をベースユニット12に柔軟な供給パイプ16を介して接続することで、加工ユニット14がベースユニット12から独立して移動可能となる。言い換えると、加工ユニット14は、可搬ユニットとして設けられる。この構成によって、装置10が移動されてワークの表面18に接触することが可能となり、すなわち、可動装置の一部として又は固定位置加工システムの一部として現場で使用可能となる。
【0070】
代替構成では、加工ユニット14は、適所に実質的に固定されてもよい。この構成では、電気化学加工装置10は、別個のベースユニット12及び加工ユニット14を含んでいなくてもよく、適所に固定されたスタンドアロンユニットとして設けられてもよく、ワークは加工されるように加工ユニットの下部に位置決めされる。
【0071】
電気化学加工装置10は、ノズル22を含む。ノズル22は、加工ユニット14内に設けられてもよい。説明する構成では、ノズル22は、加工ユニット14のハウジング20内に設けられる。ノズル22は、電解質ジェット24をワークの表面18に向けて吐出するように構成される。
【0072】
ハウジング20は、ワークの表面18に対して位置決めされると、包囲された作業空間を画定するように構成される。ノズル22はハウジング20内部に取外し可能に装着されて異なるノズルが異なる加工動作のために使用されることを可能としてもよいことが、分かるはずである。一部の代替構成では、ハウジング20は、設けられなくてもよい。
【0073】
電気化学加工装置10は、電解質をノズル22に供給するための電解質源26を含む。説明する構成では、電解質源は、電解質リザーバ26である。電解質リザーバ(電解質源)26は、ベースユニット12内に設けられてもよい。ノズル22は、使用時に、電解質を電解質源26から入口を介して受容するとともに電解質ジェット24を出口からワークの表面に向けて吐出するように構成及び配置される。
【0074】
電解質は、水系電解質であり得る。電解質は、水-塩溶液、例えば、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウなどの1以上を含む水系溶液として提供されてもよい。実質的に無水のイオン性溶媒などの任意の適宜の電解質が使用され得ることが、分かるはずである。
【0075】
電気化学加工装置10は、電荷をノズル22及び表面18に印加するように構成される。このように、ノズル22及び表面18は、電解槽の第1及び第2の電極を形成する。
【0076】
ノズル22は、導電性であり得る。言い換えると、ノズル22は、導電性材料から形成され得る。ノズル22は、金属又は金属合金、例えば、スチールから形成される。代替構成では、電気化学加工装置10はノズル22とは別個に追加の電極を含んでいてもよく、電気化学加工装置10は電荷をその追加の電極及び表面18に印加するように構成されてもよい。この代替構成では、ノズル22は、任意の適宜の材料から形成され得る。
【0077】
電気化学加工装置10は、使用時に、表面18の少なくとも一部に接触するように構成及び配置されたコンタクト電極28を含む。このコンタクト電極28によって、電気化学加工装置10は、電荷を表面18に印加することができる。このように、表面18及びノズル22は、電気化学加工が行われることを可能とするように電解槽を形成することができる。
【0078】
ノズル22は、使用時に、表面18から離間するように電気化学加工装置10に(例えば、ハウジング20内に)配置される。電極22とワーク表面18の間の間隔(すなわち、電極間ギャップ)は、表面18の処理に影響する。ノズル22は、表面18上で移動し及び/又はノズル22と表面18の間の間隔を調整するように、表面18に対して可動である。
【0079】
電荷をノズル22及び表面18に(すなわち、コンタクト電極28を介して)印加可能とするために、電気化学加工装置10は、電源30を含む。電気化学加工装置10に給電するために、電源30は1以上のバッテリを含んでいてもよいし、外部電源に接続可能であってもよいことが、分かるはずである。
【0080】
材料の除去及び堆積は、電解質がノズル22を通じて供給されて表面18に向けて噴射されることによって実現される。電位がノズル22と表面18の間に印加され、表面18のアノード溶解又は表面18への堆積をもたらす。第1の動作モードでは、負電荷がノズル22に印加され、正電荷が表面18に印加される。この第1の動作モードでは、装置10は、表面18をそのトポグラフィを変更するように削り取る。第2の動作モードでは、正電荷がノズル22に印加され、負電荷が表面18に印加される。この第2の動作モードでは、材料(例えば、表面の機能化を可能とするシリカ粒子又は添加物コーティングなど)は表面18上に堆積可能となり、それがその表面トポグラフィを変更する。
【0081】
不図示であるが、代替構成では、電気化学加工装置10は、電解質ジェット24を被加工面(表面)18に吐出するための第2のノズル22を含み得る。これは、2連の電解質ジェットの利用によって、表面トポグラフィ形成及び最適化サイクル時間の、より大きな程度の制御を可能とする。この構成では、第1及び第2のノズル22の双方は、同じ電解質を吐出するように構成され得る。あるいは、電気化学加工装置10は第2の電解質源を含んでいてもよく、2つのノズル22は異なる電解質を吐出するために構成されてもよい。
【0082】
図2を参照すると、加工ユニット14は、ベースユニット(不図示)に対して可動であり、ロボットアーム15によって動作される。加工ユニット14は、供給パイプ16を介してベースユニットに接続される。ロボットアーム15は自動化生産ラインの一部として設けられてもよいことが、分かるはずである。
【0083】
図2の加工ユニット14は、上記加工ユニットを取り外してその後に再度取り付けることを必要とせずにロボットアーム15によってワークの表面18上に移動可能となるように構成される。この構成によって、加工が表面18上で連続的に実行可能となる。不図示であるが、加工ユニット14は、表面18に係合してその上を可動/摺動可能となるように配置された1以上の接点を含み得る。
【0084】
ここで
図3を参照すると、電気化学加工装置のためのノズル22が、より詳細に図示される。
【0085】
ノズル22は、電解質ジェット24をワークの表面18に向けて吐出するように構成される。ノズル22は、本体32を含む。ノズル22の本体32は、解放可能に取付け可能な第1の本体部34及び第2の本体部36から形成される。第1及び第2の本体部34、36には、それらの組立てを可能とするように相補的表面形成部が設けられる。
【0086】
ノズル22には、第1及び第2の本体部34、36を解放可能に取り付けるための取付け構成38が設けられる。取付け構成38は、第1及び第2の本体部34、36の各々を通じて延在する1以上の孔の形態で設けられる。対応する数の孔が、第1及び第2の本体部34、36の各々に対して設けられる。第1及び第2の本体部34、36の開口は、そこを通じて締結具(不図示)を受容して第1及び第2の本体部34、36を相互に取り付けることができるように整列する。説明する実施形態では、取付け構成38は、第1及び第2の本体部34、36の各々に4個の孔を含む。
【0087】
ここで
図4を参照すると、ノズル22は、入口ポート40及び出口ポート42を含む。説明する構成では、入口ポート40は、第1の本体部34に設けられる。出口ポート42は、第1の本体部34と第2の本体部36の間の間隔によって画定される。出口ポート42は、使用時に、最下部となることが意図されたノズル22の本体32の表面に設けられる。
【0088】
出口ポート42は、電解質がワークの表面18に向けて噴射可能な開口部を与える。説明する実施形態では、出口ポート42は、略矩形である。出口ポート42は、幅及び深さを画定する。ノズル開口サイズ(すなわち、幅及び深さ)は、ワークの表面18に充分な電流密度を生成する電力供給の能力によって管理される。
【0089】
出口ポート42の幅は、1mm~25mmの範囲、例えば、5mm~20mmの範囲であり得る。一構成では、出口ポート42の幅は、約10mmであり得る。出口ポート42の深さは、0.01mm~1mmの範囲、例えば、0.05mm~0.5mmの範囲であり得る。一構成では、出口ポート42の深さは、約0.2mmであり得る。
【0090】
本体32は、電解質をそこに受容するための内部空洞44を含む。第1及び第2の本体部34、36が相互に取り付けられると(すなわち、それらが組み立てられた状態となると)、空洞44はそれらの間に形成される。空洞44は、第1及び第2の本体部34、36における対向する凹状領域によって形成される。
【0091】
入口ポート40は、電解質を空洞44に送出するように電解質が入口ポート40を通じて空洞44に流入するように、空洞44の上流側にあり、それと流通するように配置される。
【0092】
出口ポート42は、電解質が空洞44から出口ポート42に流れるように、空洞44の下流側にあり、それと流通するように配置される。このように、入口ポート40、空洞44及び出口ポート42は、ノズル22を介した(すなわち、入口ポート40から空洞44を介して出口ポート42までの)電解質流路を画定する。出口ポート42は、使用時に、ノズル22が電解質のジェットをワークの表面18に向けて吐出可能となるように設けられる。
【0093】
第1及び第2の本体部34、36は、それらの間にシールを形成するように構成及び配置される。シールは、空洞44を実質的に囲むように配置される。説明する実施形態では、シールは略U字形状である。
【0094】
シールを形成するために、第1及び第2の本体部34、36は、対応するシール形成部を含む。第1のシール形成部46は、第1の本体部34に設けられる。第2のシール形成部48は、第2の本体部36に設けられる。第1及び第2のシール形成部46、48は、第1及び第2の本体部34、36が組み立てられると相互に係合するように配置される。
【0095】
シール形成部46、48の組合せは、電解質のリークを防止/最小化するようにノズル22の本体32内に強力なシールを形成する。第1及び第2のシール形成部46、48の相互の係合は、それらの間にラビリンスシールを形成し得る。このように、電解質は、それが通過しなければならない蛇行出口経路によって漏出を制限される。
【0096】
第1のシール形成部46は、凸部46の形態で設けられる。第2のシール形成部48は、凸部(第1のシール形成部)46を受容するように構成された凹部(第2のシール形成部)48の形態で設けられる。代替構成において、第1の本体部34には凹状シール形成部が設けられてもよく、第2の本体部には凸状シール形成部が設けられてもよいことが、分かるはずである。第1及び第2のシール形成部を凹部(第1のシール形成部)46及び対応の凸部(第2のシール形成部)48の形態で設けることで、シール形成部が整列構成を与えて第1及び第2の本体部34、36の組立てを容易化することが可能となる。
【0097】
一部の構成では、シーラントが、第1のシール形成部46と第2のシール形成部48の間に付与されてもよい。シーラントは、溝内に保持され得る。付与されるシーラントの体積は溝の体積以下であることが、分かるはずである。これは、シーラントが第1の本体部34と第2の本体部36の間に間隔を生じさせること(これは出口ポートのサイズを増加させることになる)を防止するのに役立つ。シーラントは、ポリウレタンシーラント、シリコーンシーラント又は任意の他の適宜のタイプのシーラントであり得る。
【0098】
ここで
図5を参照すると、ノズル22の外部プロファイルが図示される。本体32は、出口ポート42を囲む端面50を画定する。図示する構成では、端面50は、出口スパウトに設けられる。端面50は、使用時にワークの表面18に対向することが意図されている(すなわち、電気化学加工装置10内に配置される)。端面50、すなわち、表面18に対向する端面50の断面積は、表面18から見た電位の相互作用を最適化するように設計された特定の面積を与える。使用時に、表面18に対する端面50の角度が調整され得ることが、分かるはずである。より詳細を以下に記載するように、端面50は実質的に非平面状であり、表面の特定の形状及び構成は用途に適するように変更され得る。
【0099】
不図示であるが、取付け構成38は、ノズル22を電気化学加工装置10、例えば、電気化学加工装置10の装着ブラケット(不図示)に装着するための装着構成を与える。ただし、代替構成では、装着構成は、取付け構成38から独立していてもよい。
【0100】
装着構成は、ノズル22を装置10に装着するために、ノズル22の外面が電気化学加工装置10の装着ブラケットに当接するように構成される。電気化学加工装置10は、ノズル22が所定角度(すなわち、垂直でない角度)で表面18に配置されるように構成される。ワークの表面18に対するノズル22の角度は、0度~60度の範囲、例えば、0度~45度の範囲であり得る。
【0101】
一構成では、装着ブラケットは表面18に所定角度(すなわち、垂直でない角度)で配置されてもよく、装着ブラケットに当接するノズル22の外面は装着ブラケットに略平行となり得る。このように、ノズル22の角度は、表面18に対する装着ブラケットの角度によって規定され得る。他の構成では、装着ブラケットは表面18に略垂直であってもよく、ブラケットに当接するノズル22の外面は装着ブラケットに対して傾斜されてもよい。このように、ノズル22の角度は、装着ブラケットに対するノズル22の外面の角度によって規定され得る。さらなる構成では、装着ブラケットは表面18に所定角度(すなわち、垂直でない角度)で配置されてもよく、装着ブラケットに当接するノズル22の外面は装着ブラケットに対して傾斜してもよい。このように、ノズル22の角度は、表面18に対する装着ブラケットの角度及び装着ブラケットに対するノズル22の外面の角度の組合せによって規定され得る。
【0102】
第1及び第2の本体部34、36は、ノズル22の本体32の対向する第1及び第2の外面52、54を画定する。第1及び第2の外面52、54は、テーパ化又は面取り領域を画定する。言い換えると、第1及び第2の外面52、54は、第1及び第2の面取り領域56、58を含む。
【0103】
面取り領域は、使用時に、端面又は出口スパウト50の上部、例えば、直上に位置決めされる。この最下部の面取り領域は、この領域に衝突する液体を電解質ジェットから逸らす。そのため、この面取り領域は、ワーク表面18から反射してノズル22から表面18に再反射して戻ることによる二次加工効果をもたらす噴射流体による干渉を最小化するように設けられる。
【0104】
図6を参照すると、ノズル22の空洞44がより詳細に図示される。上記のように、第1及び第2の本体部34、36は、組み立てられると空洞44を画定する。空洞44は、第1及び第2の対向空洞壁64、66を画定する第1及び第2の凹状面60、62によって画定される。
【0105】
第1及び第2の対向空洞壁64、66は、出口ポート42に向かう方向にテーパ状となる。言い換えると、第1及び第2の対向空洞壁64、66は、出口ポート42から離間した位置においてスロート部68を画定するように最小の離隔距離までテーパ状となる。
【0106】
スロート部68は、出口ポート42から離間するように配置される。第1及び第2の対向空洞壁64、66は、スロート部68から出口ポート42に向かう方向に沿って拡張する。言い換えると、第1の対向空洞壁64と第2の対向空洞壁66の間の離隔距離は、スロート部68から出口ポート42への方向に増加する。
【0107】
ここで
図7A及び7Bを参照すると、ノズル22の第1の本体部34及び第2の本体部36がそれぞれ図示される。上記のように、空洞44は、第1及び第2の対向空洞壁64、66を画定する第1及び第2の凹状面60、62によって画定される。第1及び第2の対向空洞壁64、66は、それぞれ側方壁部70、72を備える。
【0108】
側方壁部70、72は、第1及び第2の本体部34、36が相互に取り付けられると空洞44の側壁を画定する。側方壁部70、72によって画定される空洞44の側壁は、出口ポートに向かう方向にテーパ状となる。言い換えると、空洞44の壁の側方壁部(すなわち、側壁)は、入口ポート40に近接する最大離隔距離からテーパ状となる。空洞44の側壁は、出口ポート42に近接する最小離隔距離までテーパ状となる。
【0109】
出口ポート42に近接する空洞44の側壁の所定領域、例えば、出口領域は、内向きに湾曲している。言い換えると、出口ポート42に近接する側方壁部70、72の所定領域、例えば、出口領域は、内向きに湾曲している。その領域、すなわち、出口領域は、出口ポート42の直上流に配置される。言い換えると、領域、すなわち、出口領域は、使用時に出口ポート42の直上となるように配置される。この内向きに湾曲した対向側壁の構成によって、ジェットの側方縁部における電解質のフローが増加する。これは、他方では、電解質ジェットの幅にわたる加工効果を均等化させるのに役立ち、そうでなければこれら側部領域において加工レートが高くなってしまう。
【0110】
上記及び
図8に示すように、本体32は、出口ポート42を囲む端面50を画定する。端面50は第1の本体部34及び第2の本体部36の遠位、すなわち、下側縁部によって形成されることが、分かるはずである。本体32の端面50は、実質的に非平面状である。端面50は、ノズルの中心軸Aに関して略対称である。図示する構成では、端面50は、実質的に湾曲し又は内向きに傾斜したプロファイルを画定する。言い換えると、端面50は、少なくとも部分的に湾曲又はテーパ化された側方領域74、76を画定する。これはノズル幅にわたる加工効果の均等化を補助することになり、この均等化がなければ加工レートがフロー効果及び電荷の集中に起因してジェットの縁部で高くなる。この変形は、ジェットストリームにおいて抵抗が外側縁部で実質的に増加して機械効率を低減する効果を打ち消すのに役立つものであり、これにより、ジェットの幅全体にわたる効果を均等化する。側方領域74、76の各々は、連続曲面を画定する。図示する構成では、側方領域74、76は凸状に湾曲しているが、代替構成では、凹状に湾曲してもよいし、他の任意の適宜の形状を画定してもよい。
【0111】
端面50(すなわち、側方領域74、76)は、端面50の内側領域78に向かって湾曲又は傾斜している。図示する構成では、内側領域78は、略平坦な又は平面状の表面である。このノズル22の端面50の構成は、縁部において(すなわち、側方領域74、76において)低く、中央部において(すなわち、内側領域78にわたって)高い電流密度プロファイルを与えるというものである。これにより、材料の均一な深さの除去が、端面50にわたって(すなわち、被加工チャネルにわたって)取得可能となる。
【0112】
ここで
図9A、9B及び9Cを参照すると、ノズルの端面の代替構成が図示される。ここでは
図3~8のノズル22との相違のみを説明し、同様の符号付けは頭文字「1」、「2」及び「3」をそれぞれ含む。
【0113】
図9Aの構成では、内側領域178が湾曲している。内側領域178(例えば、端面50)は、ノズルの中心軸Aに関して略対称である。湾曲プロファイルは、ノズル122の中心点に向かって内向きに傾斜されている。図示する構成では、内側領域178は凸状曲線を画定するが、曲線は代替実施形態では凹状であってもよいことが理解されるべきである。本体32の端面50は、連続曲面を画定する。説明する構成では、湾曲端面50は、略一定の曲率半径を備える。この構成は、中央部で深く、側部で浅い表面の湾曲プロファイルを加工することになり、これは、例えば冷却/加熱のためにワークの表面における表面積の増加を生じさせる際に又は液体保持のためのチャネルを生じさせる際に有益となり得る。代替構成では、内側領域178の曲率は、内側領域178がより大きな又はより小さな曲率半径を有するように、側方領域174、176のものとは異なっていてもよい。さらに代替構成では、側方領域174、176は図示のように湾曲してもよいが、内側領域は直線的傾斜/テーパ化面によって形成されてもよい。不図示であるが、ノズル122の端面150は、略平面状の又は平坦な中心領域を(すなわち、ノズル122の中心軸A又はその付近に)備えていてもよい。
【0114】
図9Bの構成では、側方領域274、276は、上述したものと同様の態様で湾曲している。説明する実施形態では、側方領域274、276は、凸状に湾曲している。内側領域278は、直線状に内向きに傾斜したプロファイルを画定する。言い換えると、内側領域278は、テーパ化されている(すなわち、端面250の中心点に向けて)。内側領域278(例えば、端面250)は、ノズル222の中心軸Aに関して略対称である。ノズル222の端面250は、略平面状の又は平坦な中心領域280を含む。この構成では、ノズル222の端面250は、形状において(すなわち、断面において)略台形とみなすことができる。この構成は、中央部で深く、側部で浅い表面の略三角形プロファイルを加工することになり、これは、例えば冷却/加熱のためにワークの表面における表面積の増加を生じさせる際に又は液体保持のためのチャネルを生じさせる際に有益となり得る。平坦又は平面状領域280は、図示する構成では、ノズル222の中心軸A又はその付近となるように位置決めされる。言い換えると、端面250は、ノズル222の対向側部から延在するテーパを画定する。テーパの対向側部は、中心面(中心領域)280を画定するように交差する。テーパは、均一なテーパ(すなわち、直線縁部又は湾曲縁部)であり得る。あるいは、テーパは、不均一であってもよい(すなわち、異なる態様で傾斜した複数の領域又は凸状及び凹状湾曲領域の組合せを含む)。
【0115】
図9Cの構成では、ノズル322の端面350は、
図8及び9Aに関して記載したように湾曲側方領域374、376を含む。実質的に湾曲したプロファイルは、ノズル322の中心点に向かって内向きに傾斜する(すなわち、ノズル322の中心軸Aに向かって傾斜する)。この構成では、ノズル322の端面350は、起伏を画定するものとみなされ得る。端面350は、凹状領域382を画定するように湾曲している。
【0116】
凹状領域382は端面の傾斜領域によって又は他の任意の適宜の構成によって形成されてもよいことが、分かるはずである。
図9Cの凹状領域382は、凹状曲線によって画定される。凹状曲線は、軸Aと交差する中心点を有する。端面350は、中心軸Aに関して略対称である。
【0117】
ノズルの端面には、必要に応じて、異なるプロファイルをワークの表面に加工するために任意の非線形の構成が設けられてもよいことが、分かるはずである。そのような追加のプロファイルの例は、半円形、六角形、長円形又は楕円形であり得る。
【0118】
略対称の端面を
図1~9Cのノズルを参照して説明したが、下側縁部は、一部の代替構成では、非対称プロファイルを画定し得ることが、分かるはずである。
【0119】
1以上の好適な実施形態を参照して本教示を上述したが、後続の特許請求の範囲に規定される範囲から逸脱することなく種々の変更又は変形がなされ得ることが分かるはずである。
【国際調査報告】