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特表2023-551852改良された拘束層減衰材料及び油性基材と共に使用するためのシステム
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  • 特表-改良された拘束層減衰材料及び油性基材と共に使用するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】改良された拘束層減衰材料及び油性基材と共に使用するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20231206BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231206BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231206BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231206BHJP
   C09J 123/22 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F16F15/02 Q
C09J7/38
C09J11/04
C09J11/06
C09J123/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532659
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021060882
(87)【国際公開番号】W WO2022115648
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/118,546
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523196806
【氏名又は名称】ニットー、インコーポレイテド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソング、リン
(72)【発明者】
【氏名】フライターク、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】エネ、エルビス
(72)【発明者】
【氏名】シュッツラー、クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ライプ、デイビッド
【テーマコード(参考)】
3J048
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3J048AA06
3J048AB02
3J048AC03
3J048AC05
3J048BA24
3J048BB03
3J048BC08
3J048BD04
3J048EA36
4J004AA05
4J004AA17
4J004AA18
4J004AB01
4J004DB02
4J004FA07
4J040DA141
4J040HA156
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA26
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA42
4J040MA02
4J040NA16
(57)【要約】
防錆コーティングを有する基材上に直接使用するための改良された拘束層振動減衰パッチ。改良された拘束層振動減衰パッチは、拘束層、減衰層、及び剥離ライナーを含む。改良された拘束層振動減衰パッチは、約10~約15重量パーセントのブチルゴム組成物、約1~約5重量パーセントの粘着付与剤、約20~約25重量パーセントの可塑剤、約60~約65重量パーセントの充填剤、及び約0.01~1重量パーセントの着色剤を有する減衰層を含み、組成物は硬化剤を実質的に含まず、組成物はエチレンコポリマーを含まない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された拘束層振動減衰パッチであって、
拘束層、及び
減衰層を含み、前記減衰層が、ブチルゴム複合体、粘着付与剤、可塑剤、及び充填剤複合体から構成される、
改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項2】
剥離ライナーをさらに含む、請求項1に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項3】
着色剤をさらに含む、請求項1に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項4】
前記ブチルゴム複合体が、部分架橋ブチルゴム及びイソブチレン-イソプレンブチルゴム複合体から構成される、請求項2又は3に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項5】
前記イソブチレン-イソプレンブチルゴム複合体が、イソブチレン-イソプレンブチルゴム及び再生イソブチレン-イソプレンブチルゴムから構成される、請求項4に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項6】
前記粘着付与剤が、ロジンエステル樹脂又は脂肪族炭化水素樹脂から選択される、請求項1、2、3又は4に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項7】
前記可塑剤が、少なくとも1つのイソブチレン-ブテンコポリマー、純粋なイソブテンホモポリマー、又はそれらの混合物を含む、請求項1、2、3、4、又は5に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項8】
前記充填剤複合体が、少なくとも1つの機能性充填剤及び一般的な充填剤から構成される、請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの機能性充填剤が、酸化カルシウム(CaO)、タルク、カオリン粘土又はそれらの混合物から構成される、請求項7に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項10】
前記一般的な充填剤が炭酸カルシウム(CaCO)から構成される、請求項7に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項11】
前記減衰層が促進剤を実質的に含まない、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項12】
前記減衰層がエチレンコポリマーを含まない、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11に記載の改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項13】
振動減衰層組成物であって、
約10~約15重量パーセントのブチルゴム組成物、
約1~約5重量パーセントの粘着付与剤、
約20~約25重量パーセントの可塑剤、
約60~約65重量パーセントの充填剤、及び
約0.01~1重量パーセントの着色剤を含み、
硬化剤を実質的に含まず、エチレンコポリマーを含まない、
振動減衰層組成物。
【請求項14】
改良された拘束層振動減衰パッチであって、
剥離ライナー、
拘束層、
第1の表面及び第2の表面を含む減衰層、及び
前記減衰システムが接着される金属基材を含み、
前記減衰層が、第1の表面及び第2の表面を含み、
前記拘束層が、前記減衰層の前記第1の表面と物理的に連通しており、
前記剥離ライナーが、前記減衰層の前記第2の表面と物理的に連通しており、
前記剥離ライナーが前記減衰層の前記第2の表面から除去されて前記減衰層の前記第2の表面を露出させる場合、前記減衰層が、前記減衰層の前記第2の表面が前記金属基材と物理的に連通し、前記減衰層が前記拘束層と前記金属基材との中間になるように、前記金属基材に接着され、
前記減衰層が、約10~約15wt%のブチルゴム複合体を含む、
改良された拘束層振動減衰パッチ。
【請求項15】
前記ブチルゴム複合体が、ポリイソブチレンブチルゴム及びイソブチレン-イソプレンブチルゴム複合体を含む、請求項14に記載の改良された振動減衰パッチ。
【請求項16】
前記金属基材が、錆を抑制するための保護コーティングを有する鋼を含む、請求項14又は15に記載の改良された振動減衰パッチ。
【請求項17】
前記保護コーティングが、約60重量パーセント~約70重量パーセントの鉱油から構成される、請求項16に記載の改良された振動減衰パッチ。
【請求項18】
前記減衰パッチが、ISO8510に従って測定される場合、9N/cm~13N/cmの間の剥離接着強度を示す、請求項14、15、16、又は17に記載の改良された振動減衰パッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月25日に出願された米国仮特許出願第63/118,546号の優先権を主張するPCT出願であり、その全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、拘束層減衰システム及び減衰層組成物に関し、より詳細には、オイルコーティングされた基材と共に使用するための拘束層振動減衰システム及び減衰層組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
振動減衰システムは、回転伝達、車軸リンク機構、回転軸受及び回転タイヤによって発生する振動及び音を低減するために、自動車産業において広く使用されている。振動減衰システムは、典型的には、振動が自動車の車室内に伝達されるのを防止するために、内側クォータパネル、床、屋根などの自動車の選択された部品又は領域に適用される。
【0004】
典型的な減衰システムは、共に振動を抑制する熱可塑性又はゴム層及び拘束層を含む。剥離接着、スプレー式完全パネル減衰、及び拘束層減衰を含む、いくつかの異なる減衰システムが使用されている。しかしながら、現在のシステムには、システムの適切な位置、設置コストの高さ、層間の望ましくない隙間、及び自動車の組み立て中のシステムの層間剥離など、いくつかの問題がある。層間剥離の問題は、部分的には、金属本体部分に適用される保護コーティングに起因する。現在、これらは、金属表面の適時かつ高価な洗浄によって層間剥離の問題を克服している。したがって、当技術分野では、接着又は振動減衰を失うことなく保護被覆金属に直接適用することができる振動減衰システム及び減衰材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
拘束層、減衰層、及び剥離ライナーを含む、改良された拘束層振動減衰パッチが提供される。いくつかの実施形態では、改良された拘束層振動減衰パッチは、着色剤をさらに含むことができる。
【0006】
改良された拘束層振動減衰パッチは、約10~約15重量パーセントのブチルゴム組成物、約1~5重量パーセントの粘着付与剤、20~25重量パーセントの可塑剤、及び60~65重量パーセントの充填剤を含む減衰層を含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、剥離ライナーを除去することができ、残りのパッチを車両ドア又は車体パネルの内面などの基材上に配置することができ、したがって、拘束層と基材との中間に減衰層を含むサンドイッチ構造を形成する。基材は、錆を防止するために鉱油などの保護コーティングを含むことができる。改良された拘束層振動減衰パッチは、基材の油性表面上に直接使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の改良された拘束層振動減衰パッチの実施形態の概略断面図である。
図2】基材に接着された改良された拘束層振動減衰パッチの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の改良された拘束層振動減衰パッチは、自動車産業で使用される従来の振動減衰材料を超える利点を提供する。本改良された振動減衰パッチは、改良された振動減衰パッチが接着される自動車表面をコーティングする油性保護層を除去する必要性を排除し、したがって製造時間及びコストを削減する。パッチは、自動車以外の分野で基材の表面に適用されてもよく、その使用は制限されない。
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明を好ましい実施形態によってより詳細に説明する。
【0011】
図1を参照すると、断面で示されているのは、本発明の改良された振動減衰パッチである。図1に見られるように、改良された拘束層振動減衰パッチは、拘束層11、減衰層12、及び剥離ライナー13を含む積層シート10を含むことができる。
【0012】
拘束層は、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス鋼箔、冷間圧延鋼などの金属非鉄材料から形成されてもよい。銅箔又は冷間圧延鋼箔を利用する場合、材料は、材料の酸化を防止するのに有効なコーティングで保護することができる。他の実施形態では、拘束層は、ポリプロピレン、ガラスクロス(ガラス繊維から作られた織布)、軽量発泡体、厚紙、木材、又は任意の他の剛性材料などの剛性非金属材料から構成されてもよい。
【0013】
拘束層の形態は、減衰層12の特性に影響を及ぼすか、又は音響又は振動の散逸などの様々な共振周波数の減衰を助けることができる。拘束層は、滑らかな、窪んだ、隆起した、又は波/波形の表面を含むことができる。
【0014】
減衰層12は、ブチルゴム複合体、粘着付与剤、可塑剤、及び充填剤複合体を含むことができる。ブチルゴム複合体は、改良された拘束層振動減衰パッチの製造中に、減衰層の可撓性及び湿潤を可能にする。ブチルゴムの可撓性及び湿潤特性は、例えば、接着剤からの層間剥離、製造プロセス中の形成応力による経時的な収縮、及び非平面基材への接着を防止することによって、層がその寿命にわたって崩壊するのを防止する。減衰層が崩壊すると、自動車によって発生する振動及び音響の共振を効果的に減衰させることができない。いくつかの実施形態では、ブチルゴム複合体は、部分架橋ブチルゴム及びイソブチレン-イソプレンブチルゴム(IIR)複合体から構成することができる。
【0015】
減衰層の部分架橋ブチルゴム成分は、Polysar Butyls XL10000、XL68102、XL30102、及びXL40302(Polysar International Co.)、Butyx55、Butyx63、Butyx75、及びButyx80(Harmony Elastomers,LLC、Clifton、New Jersey、USA)、並びにNexGen(登録商標)XL-15、NexGen(登録商標)XL-46、NexGen(登録商標)XL-63(Alterra Holdings Co.Seymour、Indiana、USA)として市販されている。いくつかの実施形態では、部分架橋ブチルゴムは、NexGen(登録商標)XL-15から構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、減衰層中の部分架橋ブチルゴムの量は、減衰層組成物の総重量の約0.1~約5重量パーセント(wt%)を構成し得る。いくつかの実施形態では、部分架橋ブチルゴムの量は、減衰層組成物の総重量の約0.1~約0.5wt%、約0.5~約1wt%、約1~約1.5wt%、約1.5~約2wt%、約2~約2.5wt%、約2.5~約3wt%、約3~約3.5wt%、約3.5~約4wt%、約4~約4.5wt%、及び約4.5~約5wt%を構成し得る。より詳細には、部分架橋ブチルゴムの量は、減衰層組成物の総重量の1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%又は2wt%である。本明細書で使用される場合、値又はパラメータを説明するときの「約」という用語は、示された量±10%を含む。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、示された量±5%を含む。さらに他の実施形態では、「約」という用語は、示された量±1%を含む。
【0017】
減衰層のIIRブチルゴム複合体は、市販の非ハロゲン化IIRブチルゴム及び再生IIRブチルゴムから構成される。適切な市販の非ハロゲン化IIRブチルゴムには、X-Butyl(登録商標)RB100、X-Butyl(登録商標)RB301及びX-Butyl(登録商標)RB402(Arlanxeo Co.、Maastricht、Netherlands)、Butyl065、Butyl077、Butyl165、Butyl268、Butyl365及びExxpro96-1(ExxonMobil Chemical)が挙げられる。いくつかの実施形態では、IIRブチルゴムはX-Butyl(登録商標)RB301であり得る。再生ブチルゴムは合成ブチルゴムであり、Milin Environmental,Inc.(Simcoe、ON、Canada)から市販されている。いくつかの実施形態では、再生IIRブチルゴムは、減衰層組成物の総重量の約1~約5wt%であり得る。いくつかの実施形態では、再生IIRブチルゴムは合成ブチルゴムであり得る。いくつかの実施形態では、再生IIRブチルゴム対IIRブチルゴムの比は、約1:4~約1:6であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、ブチルゴム複合体のIIRブチルゴム成分は、減衰層組成物の総重量の約5~約10wt%の量であり得る。いくつかの実施形態では、ブチルゴム複合体のIIRブチルゴム成分の量は、約5~約5.5wt%、約5.5~約6wt%、約6~約6.5wt%、約6.5~約7wt%、約7~約7.5wt%、約7.5~約8wt%、約8~約8.5wt%、約8.5~約9wt%、約9~約9.5wt%、約9.5~約10wt%、又は上記範囲によって包含される任意の量であり得る。特に着目されるのは、7.5wt%、約7.6wt%、約7.7wt%、約7.8wt%、約7.9wt%、及び約8wt%の量である。
【0019】
いくつかの実施形態では、ブチルゴム複合体の再生IIRブチルゴム成分は、減衰層組成物の総重量の約1~約5wt%の量であり得る。いくつかの実施形態では、ブチルゴム複合体の再生IIRブチルゴム成分の量は、約1~約1.5wt%、約1.5~約2wt%、約2~約2.5wt%、約2.5~約3wt%、約3~約3.5wt%、約3.5~約4wt%、約4~約4.5wt%、約4.5~約5wt%、又は上記範囲によって制限される任意の量であり得る。特に着目されるのは、減衰層組成物の総重量の1.3wt%、1.5wt%、1.7wt%、1.9wt%、及び2wt%の量である。
【0020】
減衰層の粘着付与剤は、市販のロジンエステル、脂肪族炭化水素樹脂、又はそれらの混合物から構成される。粘着付与剤は、柔軟性及び高い初期接着性を減衰層組成物に提供するために使用される。粘着付与剤は、好ましくは、減衰層組成物の総重量の約2~約6wt%の量で存在する。いくつかの実施形態では、粘着付与剤の好ましい量は、約2~約2.5wt%、約2.5~約3wt%、約3~約3.5wt%、約3.5~約4wt%、約4~約4.5wt%、約4.5~約5wt%、約5~約5.5wt%、約5.5~約6wt%、又は上記範囲によって制限される任意の量であり得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤の量は、好ましくは約2.9wt%、約4wt%、約4.3wt%、又は約6wt%である。
【0021】
適切な市販のロジンエステル樹脂には、Trecos R86、Trecos R98、Trecos R100(Teckrez,Inc.、Jacksonville FL、USA)、Foral85、Foral105、Hercolyn(Hercules Powder Co.,Wilmington、DE、USA)、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、Trecos R98ロジンエステルであり得る。
【0022】
適切な市販の脂肪族炭化水素樹脂には、Escorez1102、Escorez1304、Escorez1315(ExxonMobil Chemical)、Nevtec10、Nevtec80、Nevtec100(Neville Chemical Co.、Pittsburg、PA、USA)、Wingtack10、Wingtack95、Wingtack Plus(Goodyear Tire&Rubber co.、Akron、OH、USA)、Piccotac100、Piccotac B、Piccotac95、Piccotac115(Hercules Powder Co.)又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、Wingtack95脂肪族炭化水素樹脂であり得る。
【0023】
減衰層の可塑剤は、柔軟性を付与し、初期接着性を高め、減衰層の粘度を変更するために使用される。ブチルゴム複合体と共に使用するのに適した可塑剤には、Indopol(登録商標)H100、Indopol(登録商標)H300、Indopol(登録商標)H1200、Indopol(登録商標)H1500、Indopol(登録商標)H1900、Indopol(登録商標)H2100(INEOS Oligomers、Alvin、TX、USA)、Parapol700、Parapol950、Parapol1300、Parapol2100(ExxonMobil Chemicals)、Opanol B10、Opanol B12、Opanol B15(BASF Chemical Co.、Ludwigshafen、Germany)、又はそれらの混合物などのポリブテン可塑剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。任意の他の可塑剤又は可塑剤の組合せを使用することができる。
【0024】
1つ以上の可塑剤は、減衰層組成物の総重量の約20~約25wt%の量で、減衰層に使用することができる。いくつかの実施形態では、可塑剤の好ましい量は、約20~約21wt%、約21~約22wt%、約22~約23wt%、約23~約24wt%、約24~約25wt%、又は上記範囲によって制限される任意の量であり得る。可塑剤のいくつかの好ましい量は、21.3wt%、21.7wt%、22.1wt%、22.2wt%及び22.4wt%である。
【0025】
減衰層の充填剤複合体は、一般的な充填剤、機能性充填剤、又はそれらの混合物から構成することができる。充填剤は、有機又は無機材料、例えば炭酸カルシウム、タルク、生石灰、カオリン粘土、シリカ、マイカ又は当技術分野で公知の他の鉱物充填剤を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、一般的な充填剤は炭酸カルシウムを含むことができる。市販の炭酸カルシウムは、例として、Hubercarb Q325(Huber Engineered Materials、Atlanta、GA、USA)であり得る。市販の機能性充填剤の例には、HC-75粘土(Akrochem Co.、Akron OH、USA)、Silverline303タルク(IMCD,Westlake OH,USA)、Microcal OF200生石灰(Mississippi Lime Co.、St.Louis、MO、USA)、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。充填剤複合体は、一般的な充填剤と機能性充填剤との混合物を、減衰層組成物の総重量の約60wt%~約65wt%、好ましくは、約62~約62.5wt%、約62.5~約63wt%、約63~約63.5wt%、約63.5~約64wt%、約64~約64.5wt%、約64.5~約65wt%、又はこれらの範囲によって制限される任意の量で含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、改良された拘束層振動減衰パッチは、着色剤をさらに含むことができる。着色剤は限定的ではなく、着色剤の例には、N650カーボンブラック(The Cary Co.、Addison、IL、USA)、B22237(Spartech LLC、Clayton MO、USA)、又は言及されていない他の着色剤が挙げられ得る。着色剤又は着色剤の混合物は、減衰層組成物の総重量の0.1~1wt%の量で使用されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、改良された拘束層振動減衰パッチは、剥離ライナーをさらに含むことができる。剥離ライナーは特に限定されず、当業者は、構造的支持の目的で当技術分野で公知のものから剥離ライナーを選択することができる。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、不織布材料、織布材料、又は織布基材から構成することができる。織布基材の例には、シリカ(ガラス)アラミド、炭素繊維、金属酸化物、鉱物、セラミック、又は他の合成人工繊維が挙げられるが、これらに限定されない。不織布材料のいくつかの非限定的な例には、セルロース、レーヨン、布ポリアミドフルオリド(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルケトン(PEEK)、及び/又はそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、裏打ち層は、ポリエチレンテレフタレートから構成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態は、約10~15wt%のブチルゴム組成物、約1~5wt%の粘着付与剤、約20~25wt%の可塑剤、約60~65wt%の充填剤、及び約0.1~1wt%の着色剤を含む、振動減衰パッチ組成物を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、改良された拘束層振動減衰パッチは、剥離ライナー、拘束層及び減衰層を含むことができる。いくつかの実施形態では、改良された振動減衰パッチは、パッチが接着される金属基材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、減衰層は、第1の表面及び第2の表面を含み、拘束層は、減衰層の第1の表面と物理的に連通し、剥離ライナーは、減衰層の第2の表面と物理的に連通する。改良された拘束層振動減衰パッチの減衰層は、ポリイソブチレンブチルゴム及びイソブチレン-イソプレンブチルゴムを含むブチルゴム複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、減衰層の第2の表面から除去され、減衰層の前記第2の表面を露出させ、次いで、減衰層は、減衰層の第2の表面が金属基材と物理的に連通するように金属基材に接着され、結果として、減衰層が拘束層と金属基材との中間になる。いくつかの実施形態では、減衰層は、約10~15wt%のブチルゴム複合体から構成されてもよい。金属基材は、錆を抑制するための保護コーティングでコーティングされてもよい。
【0030】
保護コーティングは、約60~70パーセントの鉱油から構成することができる。保護コーティングは、例えば、Ferrocote(登録商標)61MAL HCL1(Quaker Chemical Co.、Conshohochken、PA、USA)であり得る。いくつかの実施形態では、改良された拘束層振動減衰パッチは、ISO8510プロトコルに従って測定して、9~約13N/cmの間の剥離接着強度を示すことができる。
【0031】
一般に、本開示の減衰層は、部分架橋ブチルゴム及びイソブチレン-イソプレンブチルゴム複合体を粘着付与剤、可塑剤及び充填剤と一緒にブレンドし、混合物がバッチ引き上げのための最大アンペアに達するまで(最大アンペアは、150アンペアである混合中のミキサーのピーク値である)、ブレンドを90℃~140℃で約45分~120分混合することによって調製され得る。
【0032】
結果として生じる減衰層12は、図1に示すように、拘束層11と剥離ライナー13との間に押し出されてもよく、本発明の改良された拘束層振動減衰パッチをもたらす。いくつかの実施形態では、剥離ライナーを除去することができ、残りのパッチを車両ドア又は車体パネルの内面などの基材24上に配置することができ、したがって、図2に示すように、拘束層21と基材24との中間に減衰層22を含むサンドイッチ構造を形成する。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書及び実施形態で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書及び添付の実施形態に記載の数値パラメータは、少なくとも得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値であり、均等論の適用を制限しようとするものではない。実施形態の範囲では、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0034】
開示されたプロセス及び/又は方法について、プロセス及び方法において実行される機能は、文脈によって示され得るように、異なる順序で実装され得る。さらに、概説されたステップ及び動作は、例としてのみ提供されており、ステップ及び動作のいくつかは任意であってもよく、より少ないステップ及び動作に組み合わされてもよく、又は追加のステップ及び動作に拡張されてもよい。
【0035】
本開示は、異なる他の構成要素内に含まれるか又は異なる他の構成要素と接続された、異なる構成要素を示すことがある。そのような図示された構造は単なる例であり、同じ又は同様の機能を達成する多くの他の構造を実装することができる。
【0036】
本開示及び添付の実施形態(例えば、添付の実施形態の本体)で使用される用語は、一般に「非限定」用語として意図されている(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」として解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むが、これらに限定されない」として解釈されるべきである)。また、特定の数の要素が導入される場合、これは、文脈によって示され得るように、少なくとも列挙された数を意味する(例えば、他の修飾語を含まない「2つの列挙」の素の列挙は、2つ以上の列挙の少なくとも2つの列挙を意味する)と解釈され得る。本開示で使用される場合、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接的な単語及び/又は句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきである。例えば、句「A又はB」は、「A又はB」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0037】
本開示を説明する文脈で(特に以下の実施形態の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の指示対象は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は関連する言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をよりよく明らかにすることを意図しており、任意の実施形態の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本開示の実施に不可欠な具現化されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書に開示された代替的な要素又は実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて参照され、具体化され得る。グループの1つ又は複数のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由から、グループに含まれ得るか、又はグループから削除され得ることが予想される。そのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含むと見なされ、したがって、添付の実施形態で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たす。
【0039】
本開示を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然ながら、これらの記載された実施形態の変形形態は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本開示が実施されることを意図している。したがって、実施形態は、適用法によって許容されるように、実施形態に列挙された主題のすべての修正及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが企図される。最後に、本明細書に開示された実施形態は、実施形態の原理の例示であることを理解されたい。採用され得る他の変更は、実施形態の範囲内にある。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示に従って代替の実施形態を利用することができる。したがって、実施形態は、正確に図示及び説明された実施形態に限定されない。
【実施例
【0040】
以下の表の例は、本発明の様々な態様をさらに説明する。以下の例では、すべての組成データは、減衰層組成物の総重量に基づく特定の成分の重量パーセントとして与えられる。以下のデータに示すように、以下の例による組成物を調製し、それらの物理的特性を測定した。
【0041】
例1:比較例(CE):
比較例の減衰層の配合及びその成分は、以下の表1に見出すことができる。
表1.
【表1】
【0042】
例2:CLDP-1
例示的なCLDP-1の減衰層の配合及びその成分は、以下の表2に見出すことができる。
表2
【表2】
【0043】
例3:CLDP-2
例示的なCLDP-2の減衰層の配合及びその成分は、以下の表3に見出すことができる。
表3
【表3】
【0044】
例4:CLDP-3
例示的なCLDP-3の減衰層の配合及びその成分は、以下の表4に見出すことができる。
表4
【表4】
【0045】
例5:CLDP-4
例示的なCLDP-4の減衰層の配合及びその成分は、以下の表5に見出すことができる。
表5
【表5】
【0046】
例6:CLDP-5
例示的なCLDP-5の減衰層の配合及びその成分は、以下の表6に見出すことができる。
表6
【表6】
【0047】
実験7:剥離接着強度試験
ISO8510パート2は、剥離接着試験に関する特定のガイドラインを提供している。そのような試験に備えるために、振動減衰パッチ試料を、1インチの幅及び13インチの長さを有する長方形のストリップに切断する(この長さは、180度の剥離のためにストリップを曲げるのに十分な長さである)。この振動減衰パッチの発明は、大量生産規模のプロセスによって製造されるため、ストリップ試料の性能は、そのような設計を十分に表すものである。ストリップ試料は、顕著な欠陥を避けるべきである。
【0048】
この評価に使用される金属基材は、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、又は電気亜鉛めっき鋼などを含むことができる。それらを、幅2インチ及び長さ7インチの長方形に切断する。それを使用する前に、基材の表面を化学物質又は汚染物質から完全に洗浄する必要がある。イソプロパノールは洗浄に有効である。洗浄及び乾燥後、シリンジによって特定の保護潤滑剤を基材上に塗布し、それを全領域にわたって均一に広げる。いくつかの実施形態では、60~70%の鉱油を含む潤滑剤を使用して、保護コーティングを提供することができる。基材表面上で潤滑剤が局所的に濃縮されると、ストリップ試料が基材と結合するのに脆弱な場所が生じるので、潤滑剤を分散させるのに特に注意が必要である。さらに、基材上の潤滑剤の量を決定し記録することができるように、潤滑剤を塗布する前後に基材を秤量する必要がある。潤滑剤を塗布した後、ストリップ試料を塗布する前に、現在油性である基材を水平位置に少なくとも1時間留置させるべきである。
【0049】
ストリップ試料の長さの半分を、油性の留置された鋼基材上に適用する。これは「剥離組立体」と呼ばれる。ストリップ試料の他の半分を、180度の剥離のために曲げる。ストリップ試料の粘着性表面と基材表面との間の理想的な濡れを確実にするために、指定された速度及び指定されたサイクルでこの組立体上を転動するために、指定されたウェイトローラを使用する(一例は、速度10mm/s、各方向に2回転動する2.2kgのローラである)。組立体を調製した後、剥離試験を開始する前に、指定された期間留置させるべきである。
【0050】
剥離試験を実施する準備ができたら、剥離組立体を引張試験機に取り付ける。ストリップ試料の自由端は、試験機のグリップの一方に固定され、鋼基材は、他方のグリップに固定される。試験機は、180度の角度で指定された速度で鋼基材からストリップ試料を剥離する。剥離速度の一例は100mm/分である。
【0051】
全体として、油性基材上のストリップ試料の接着は、そのような剥離試験からの結果の2つの態様によって特徴付けることができる。1つは、少なくとも100mmの剥離長さにわたるニュートン単位の平均剥離力であるが、最初の25mmは含まない。もう1つは、剥離の結果としてのストリップ試料と油性基材との間の分離様式である。様式は、粘着性(すなわち、ストリップ試料自体は、ストリップの一方の表面の少なくとも一部が基材に接着されたままであるように分かれる)又は接着性(すなわち、ストリップ試料と基材との間の界面に分離が存在する)であり得る。分離様式が粘着性と接着性の混合である場合、粘着性又は接着性の分離を伴う領域の割合を推定すべきである。
【0052】
結果の上記2つの態様から、ストリップ試料の接着を判断することができる。通常、より高い剥離力又はより粘着性の分離様式のいずれか、又はその両方を有することが望ましい。粘着性分離は、ストリップ試料と基材との間の結合力が試料自身の固有の力を超えることを示し、したがって試料が基材から層間剥離又は分離する可能性が低いため、好ましい。高い剥離力で達成される100%の粘着性分離が最も好ましい。
【0053】
いくつかの例示的な結果を以下の表7に示す。
表7
【表7】

図1
図2
【国際調査報告】