IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パラディグマ エス.アール.エルの特許一覧

<>
  • 特表-運転エミュレーション装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】運転エミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/08 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
G09B9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532702
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 IB2021057471
(87)【国際公開番号】W WO2022118093
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020000029501
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523198257
【氏名又は名称】パラディグマ エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グアダニーノ、アントニオ
(57)【要約】
運転者により運転される車両(5)を運転するための、制御手段(50)を備えるエミュレーション装置(1)であって、車両の運転者の視界(5)を撮影し、撮影出力を生成するように構成された撮影手段(20)、車両(5)の瞬時の状態を検査し、状態出力を生成するように構成されたセンサ手段(21)、撮影出力及び状態出力を受信するように構成された伝送手段(23)を有する制御装置(22)、少なくとも1つのエミュレーションデバイス(3)であって、制御装置(22)に接続するように適合され、撮影出力の表示手段(30)、練習者が車両(5)の運転をエミュレートすることを可能にするよう、車両(5)の制御手段(50)をエミュレートするように構成された制御手段(31)、当該制御手段(31)は、練習用命令出力を生成する、を有する、少なくとも1つのエミュレーションデバイス(3)を備え、制御装置(22)は、上記車両(5)の状態出力を練習用命令出力と比較し、表示手段(30)上に上記出力間の比較を表示する、エミュレーション装置(1)が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者により運転され、且つ制御手段を備える車両を運転するためのエミュレーション装置であって、前記エミュレーション装置は:
前記車両の前記運転者の視界を撮影し、撮影出力を生成するように構成された撮影手段、
前記車両の瞬時の状態を検査し、状態出力を生成するように構成されたセンサ手段、
前記撮影出力及び前記状態出力を受信するように構成された伝送手段を有する制御装置
を備え、前記エミュレーション装置は、前記制御装置を接続することができる少なくとも1つのエミュレーションデバイスであって、
前記撮影出力の表示手段、
練習者が前記車両のガイドをエミュレートすることを可能にするよう、前記車両の前記制御手段をエミュレートするように構成された制御手段、前記制御手段は、練習用制御出力を生成することによる、
を有する、少なくとも1つのエミュレーションデバイスを備えることを特徴とし、
前記制御装置は、前記車両の前記状態出力を前記練習用制御出力と比較し、前記表示手段上に前記出力間の比較を表示することによる、エミュレーション装置。
【請求項2】
前記伝送手段は、前記撮影出力及び前記状態出力を、実質的にリアルタイムで伝送し、前記出力間の前記比較を実質的にリアルタイムで表示する、請求項1に記載のエミュレーション装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記出力の伝送の遅延を判定し、前記出力の同時伝送を可能にするように構成されている、請求項1又は2に記載のエミュレーション装置。
【請求項4】
複数の練習者のために複数のエミュレーションデバイスが存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエミュレーション装置。
【請求項5】
前記センサ手段は、前記車両に接続された加速度計を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のエミュレーション装置。
【請求項6】
前記センサ手段は、前記車両の前記制御手段に直接的に接続されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のエミュレーション装置。
【請求項7】
制御手段を備える車両の運転のエミュレーション手順であって、前記エミュレーション手順は:
運転者による前記車両の運転、
前記車両の前記運転者の視界の撮影、及び、撮影出力の生成、
センサ手段による、前記車両の瞬時の状態の検証、及び、状態出力の生成、
前記撮影出力及び前記状態出力の、制御装置への伝送
を備え、前記エミュレーション手順は:
少なくとも1つのエミュレーションデバイスの、前記制御装置への接続
を備えることを特徴とし、
前記エミュレーションデバイスは、表示手段、及び、前記車両の前記制御手段をエミュレートするように構成された制御手段を有し、
前記エミュレーション手順は:
前記エミュレーションデバイス上での前記撮影出力の表示、
前記制御手段を介した、制御出力練習の生成、
前記車両の前記状態出力と前記制御出力練習との比較、及び前記表示手段上での前記出力間の比較の表示
を更に備える、エミュレーション手順。
【請求項8】
前記撮影出力及び前記状態出力の前記伝送及び前記比較は、実質的にリアルタイムである、請求項7に記載のエミュレーション手順。
【請求項9】
前記撮影出力及び前記状態出力の前記伝送及び前記比較は、前記出力の同時伝送を可能にするために、定義された遅延をもって行われる、請求項7又は8に記載のエミュレーション手順。
【請求項10】
複数の練習者のために複数のエミュレーションデバイスが存在する、請求項7から9のいずれか一項に記載のエミュレーション手順。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文において明記されたタイプの、例えば航空機、自動車及び類似物を運転するための、運転用エミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、運転用のエミュレーション及びシミュレーションシステムが知られている。
【0003】
例えば、シミュレータは、特に運転する人々及び彼らの周囲の人々にとっての関連するリスクを伴うことなく、航空機及び自動車の運転を習得する、又は向上させることを可能にする。
【0004】
上記シミュレータは、精度がますます向上しており、従って、これまで以上に現実的な方法で実際の運転をシミュレートする。
【0005】
例えば、いわゆる「フルフライトシミュレータ」(Full Flight Simulators:FFS)が知られており、これは、民事又は軍事の状況において、完全な方法で操作シナリオを再現することを可能にし、それにより、乗務員が訓練することを可能にする。
【0006】
記載の既知の技術は、幾つかの重要な欠点を含む。
【0007】
特に、シミュレータは、どれほど高精度であっても、決して実際の演習及び練習を完全にエミュレートすることはできない。
【0008】
更に、上記シミュレータは、非常に高額且つ複雑である。
【0009】
幾つかの場合において、問題はエミュレーションにより解決された。エミュレーション中、練習者は、より経験豊富な運転者の仕草を模倣することを求められる。
【0010】
しかしながら、後者でさえも重要な制約を有する。
【0011】
この状況において、本発明の基礎をなす技術的課題は、上述の欠点の少なくとも一部を実質的に回避することのできる運転エミュレーション装置を考案することである。
【0012】
上記技術的課題の範囲内で、練習者が可能な限り現実とインタフェースすることを可能にする運転エミュレーション装置を取得することが、本発明の重要な目的である。
【0013】
本発明の別の重要な目的は、簡素且つ安価な、運転用エミュレーション装置を実現することである。
【0014】
技術的課題及び明記された目標は、付属の請求項1において請求される運転用エミュレーション装置により実現される。
【0015】
好ましい技術的解決法は、従属請求項において強調される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態の詳細な説明により、以下で明らかにされる。
図1】本発明に係る、運転用エミュレーション装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本文書において、測定値、値、形状及び幾何学的言及(例えば、垂直性及び平行性)は、「約」のような単語又は「おおよそ」又は「実質的に」などの他の類似の用語と関連付けられる場合、生産及び/又は製造誤差に起因する測定誤差又は不正確さを除くと考えられるべきであり、とりわけ、それが関連付けられる値、測定値、形状、又は幾何学的言及からの僅かな乖離を除くと考えられるべきである。例えば、これらの用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは値の10%以下の乖離を示す。
【0018】
更に、使用される場合、「第1」、「第2」、「より高い」、「より低い」、「主な」及び「二次的な」などの用語は、順序、関係又は相対位置の優先順位を必ずしも特定せず、それらの異なるコンポーネントを単に明確に区別するために使用することができる。
【0019】
別記されない限り、以下の論述における結果として、「処理」、「計算」、「判定」、「算出」などの用語、又は類似用語は、コンピュータシステムのレジスタ及び/又はメモリの電子量などの物理量として表されるデータを、コンピュータシステム、レジスタ又は他のストレージ、伝送又は情報表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータにおいて操作及び/又は変換するコンピュータ又は類似の電子計算デバイスの動作及び/又はプロセスを指す。
【0020】
このテキストで報告される測定値及びデータは、別段の指示がない限り、国際標準大気ICAO(ISO 2533:1975)において実行されたものと考えられるべきである。
【0021】
図を参照すると、本発明に係るエミュレーション装置は、全体的に番号1により示されている。
【0022】
それは、練習者が、経験豊富な運転者の運転をエミュレートすることを可能にし得る。
【0023】
従って、上記運転者は、好ましくは、例えば軍用又は民間の航空機、又は自動車などの車両5を運転する。また、車両5は、フォーミュラ1カー又は類似物などのスポーツ車両であり得る。
【0024】
車両5は、例えばジョイスティック、ステアリングホイール、ペダル、レバー及びスイッチなど、それ自体が既知である制御手段50を備える。
【0025】
装置1は、好ましくは、車両5の運転者の視界をキャプチャし、撮影出力を生成するように構成された撮影手段20を備える。それらは、好ましくは、例えば、車両5のメインウィンドウ、運転者のヘルメット又はその他(図1)により与えられる視界又は視界の一部を示す1つ又は複数のカメラである。
【0026】
また、装置1は、好ましくは、車両5の瞬時の状態を検査し、車両5の状態出力を生成するように構成されたセンサ手段21を備える。
【0027】
センサ手段21は、好ましくは、車両5に接続され、その状態を判定することができる、加速度計、及び/又は、ジャイロスコープ、テレメトリ、慣性プラットフォーム、及び類似物のうち1つ又は複数を有する。
【0028】
代替的に、又は追加的に、センサ手段21は、車両5の制御手段50に直接的に接続され、それにより、ステアリングホイール及び類似物の動きを直接的に検出する。
【0029】
代替的に、又は追加的に、センサ手段21は、記録手段の画像を通じて間接的に情報を取得する。
【0030】
また、装置1は、好ましくは、制御装置22を備える。制御装置22は、異種システムであり、一般に、それ自体が既知であるサーバコンピュータ、及び、好ましくは、記載のプロセスを制御するのに適したコネクテッドデバイスを有する。
【0031】
制御装置22は、好ましくは、撮影手段20及びセンサ手段21からそれぞれ撮影出力及び状態出力を受信するように構成された伝送手段23を有する。上記伝送手段23は、好ましくは、アンテナ又はカード及び/又はケーブル、又は、無線接続、Bluetooth(登録商標)及びインターネット接続用の無線機である。また、論理的には、センサ手段21及び撮影手段20は、好ましくは、適切な接続手段を介してインターネットに接続される。
【0032】
エミュレーション装置1は、練習者により使用される、少なくとも1つのエミュレーションデバイス3を更に備える。また、複数の練習者により同時に使用される、より多くのエミュレーションデバイス3が存在し得る。
【0033】
エミュレーションデバイス3は、それ自体が既知であるウェブ接続など、制御装置22との接続手段を有する。
【0034】
エミュレーションデバイス3は、好ましくは、上記撮影手段20の出力を表示するのに適した、画面又は類似物などの表示手段30を有する。練習者は、それにより、運転者が見ているもの、又はそれに非常に類似したものを見ることができる。
【0035】
エミュレーションデバイス3はまた、好ましくは、練習者が車両5の運転をエミュレートすることを可能にするよう、車両5の制御手段50をエミュレートするように構成された制御手段31を有し、従って、制御手段31は、練習用制御出力を生成する。
【0036】
制御手段31は、例えば、ビデオゲームに使用されるものと類似した、及び車両5の制御手段50などに類似した、ジョイスティック及びステアリングホイールにより構成され得る。デバイス3はまた、簡素なスマートフォン又はタブレットを有する、又はそれであり得、それは従って、表示手段30及び接続手段を既に有する。この場合、制御手段31は、スマートフォンの傾き及び接続された加速度計により与えられ得る。
【0037】
有利なことに、制御装置22は、車両5の状態出力を操作制御出力と比較し、表示手段30上に上記出力間の比較を表示する(図1)。基本的に、練習者は、例えば、航空機の旋回度及び旋回の映像を、好ましくは実質的にライブで視覚化し、同時に、例えば、実現された命令に対する反応により与えられる第2の視覚信号25を用いて、自身の旋回との相違点を視覚化する。
【0038】
好ましくは、伝送手段23は、撮影出力及び状態出力を、実質的にリアルタイムで、又はライブで伝送し、出力間の比較を実質的にリアルタイムで表示する。
【0039】
代替的に、とりわけ直接的に互いを比較することもできる複数の練習者が存在する場合、制御装置22は、出力の伝送における遅延を判定し、出力の同時伝送を可能にするように構成されている。最も低速の接続又はデバイスでさえも接続し、シミュレーションによって動作することを可能にするような方法である。
【0040】
構造的観点において先に記載のエミュレーション装置1の操作は、以下の通りである。
【0041】
それはまた、好ましくは上述のエミュレーション装置1を用いて作成された車両5の運転用の新たなエミュレーション手順を定義する。
【0042】
エミュレーションプロセスは、好ましくは:
運転者による車両5の運転、
好ましくは撮影手段及び記載の方法による、車両5の運転者の視界の撮影、及び、撮影出力の生成、
好ましくは上述のタイプのセンサ手段21による、車両5の瞬時の状態の検証、及び、状態出力の生成、
好ましくは記載のタイプの、及び好ましくは記載の伝送手段による、撮影出力及び状態出力の、制御装置22への伝送、
好ましくは記載のタイプの、少なくとも1つのエミュレーションデバイス3、又は複数のエミュレーションデバイス3の、制御装置22への接続、
エミュレーションデバイス3上での撮影出力の表示、
練習者によりアクティベートされた命令手段31による、練習用制御出力の生成、
車両5の状態出力と練習用制御出力との比較、及び表示手段30上での出力間の比較の表示
を備える。この比較及び表示は、好ましくはリアルタイムで、又は先に記載の所定の遅延をもって行われる。
【0043】
本発明に係るエミュレーション装置1は、重要な利点を実現する。
【0044】
実際、それは、練習者が経験豊富な運転者をリアルタイムで、且つ正確にエミュレートすることを可能にする。
【0045】
従って、練習者は、シミュレータの前ではなく実際の状況におり、運転者及び周囲の人々にとっての物理的なリスクを含め、及び実際のガイドを有するであろう問題において、いかなる方法によってもリスクを負うことなく、自身の運転及び熟練運転者のガイドの相違点を正確に検証することができる。
【0046】
更に、上記エミュレータは、簡素且つ安価である。
【0047】
本発明においては、特許請求の範囲により定義される発明の概念の範囲に属する変形が可能である。
【0048】
例えば、この手順の具体的な実施形態は、表示されているフィルムのエミュレーションフィルタを有する放送チャネルと動作的に類似した、スマートTV又は類似物のアプリケーション又はソフトウェアであり得る。従って、コントロール(ジョイスティック、ステアリングホイール、ジョイスティック、又はスマートフォン)は、ケーブルを介して、又は無線で接続され得る。
【0049】
例えば、手順は、車両の運転のみならず、他の物体の使用、又は更には、物体又は手段を伴わない熟練者の動きにまで拡大適用され得る。
図1
【国際調査報告】