(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20231206BHJP
E04F 15/08 20060101ALI20231206BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20231206BHJP
E04C 2/06 20060101ALI20231206BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20231206BHJP
B28B 1/087 20060101ALI20231206BHJP
B28B 23/02 20060101ALI20231206BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20231206BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20231206BHJP
C04B 16/06 20060101ALI20231206BHJP
C04B 14/38 20060101ALI20231206BHJP
C04B 14/42 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
E04F15/02 N
E04F15/08 B
E04F15/08 F
E04F15/08 A
E04F15/02 101G
E04B5/43 Z
E04C2/06
E04C2/30 Y
B28B1/087
B28B23/02 Z
C04B28/02
C04B14/02 Z
C04B16/06 Z
C04B14/38 A
C04B14/42 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532742
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 KR2021017551
(87)【国際公開番号】W WO2022114821
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161614
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523199287
【氏名又は名称】ファン、ビョンヨル
【氏名又は名称原語表記】HWANG, Byung Yool
【住所又は居所原語表記】(Seocho-dong, Yuwon Seocho Apt) 103-701, 43, Seochojungang-ro 24-gil Seocho-gu Seoul 06603 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ビョンヨル
【テーマコード(参考)】
2E162
2E220
4G112
【Fターム(参考)】
2E162BA10
2E162CA01
2E220AA23
2E220AA26
2E220AA45
2E220AA59
2E220AC03
2E220BA03
2E220BB13
2E220DA11
2E220DA19
2E220DB03
2E220EA03
2E220GA27X
2E220GA32X
2E220GB05X
2E220GB22X
2E220GB32X
4G112PA02
4G112PA17
4G112PA20
4G112PA24
(57)【要約】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)から製造したFRP棒体またはFRPメッシュを内蔵して、軽量でありながら、強度と品質に優れており、環境にやさしく、しかも、長期間にわたっての使用にも拘わらず変形がほとんどなく、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法に関するものであり、所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリートC本体2と、本体2の内部に配筋されるFRP棒体5と、本体2の長手方向の両側面に形成される陥凹溝3、4と、を備える。前記FRP棒体5の代わりにFRPメッシュ6を用いることができる。前記本体2の内部に埋設される整温電線8挿通用パイプ9をさらに備える。前記コンクリートデッキ1を下地材33に固定するときに用いる取付具26をさらに備える。本発明のコンクリートデッキの製造方法は、a)コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、b)FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、c)コンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、d)投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、e)成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、f)コンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、を含む。前記ステップb)において、FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設するとともに、整温電線挿通用パイプを成形型枠の内部空間に配設するステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型枠を用いて成形されるコンクリートデッキは、
所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリート本体(2)と、
本体(2)の内部に埋設され、表面に複数のリブ(51)と節(52)が形成された5~15mmの直径のFRP棒体(5)と、
本体(2)の長手方向の両側面に形成される陥凹溝(3)(4)と、
を備え、
前記コンクリートデッキとコンクリートデッキとを互いに連結する取付具(26)をさらに備えるが、
前記取付具(26)は、コンクリートデッキ(1)の左右の陥凹溝(3)(4)にそれぞれ結合されて、コンクリートデッキ(1)同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部(27)(28)と、左右の突出部(27)(28)に連結され、隣り合うコンクリートデッキ(1)を下地材(33)に固定できるように上下の突出部(29)(30)を有する「+」の形状であり、上下の突出部(29)(30)の垂直中央部には、下地材(33)に締め付けられるスクリュー(31)が嵌挿される縦穴(32)が形成され、
前記コンクリート本体(2)は、骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物1~5重量部と水が混合成形及び養生されたことを特徴とする、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ。
【請求項2】
成形型枠を用いて成形されるコンクリートデッキは、
所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリート本体(2)と、
本体(2)の内部に埋設され、2~5mmの直径のFRP棒体が横縦にそれぞれ10~100mmの間隔に保たれるFRPメッシュ(6)と、
本体(2)の長手方向の両側面に形成される陥凹溝(3)(4)と、
を備え、
前記コンクリートデッキとコンクリートデッキとを互いに連結する取付具(26)をさらに備えるが、
前記取付具(26)は、コンクリートデッキ(1)の左右の陥凹溝(3)(4)にそれぞれ結合されて、コンクリートデッキ(1)同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部(27)(28)と、左右の突出部(27)(28)に連結され、隣り合うコンクリートデッキ(1)を下地材(33)に固定できるように上下の突出部(29)(30)を有する「+」の形状であり、上下の突出部(29)(30)の垂直中央部には、下地材(33)に締め付けられるスクリュー(31)が嵌挿される縦穴(32)が形成され、
前記コンクリート本体(2)は、骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物1~5重量部と水が混合成形及び養生されたことを特徴とする、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ。
【請求項3】
前記コンクリート本体(2)の内部に埋設される整温電線(8)挿通用パイプ(9)をさらに備えるが、前記パイプ(9)の厚さは、整温電線(8)を保護しながら、コンクリート本体(2)の強度が補強されるように2mm~20mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ。
【請求項4】
前記成形型枠は、底板(12)の長手方向の上部面に所定の間隔を隔てて上向きに突出し、脱型が行われ易いように上に向かって進むにつれて次第に幅が狭くなる複数の突起(11)と、
底板(12)の周縁部に結合される前後左右の側板(13)(14)(15)(16)と、
前後左右の側板(13)(14)(15)(16)の結合端部を支持及び固定するクランプ(17)と、
長尺状の前後側板(13)(14)の内側面の中間部分に内向きに突出する爪部材(19)(20)と、
底板(12)と前後左右の側板(13)(14)(15)(16)とにより囲まれ、上部が開放される成形室(101)と、
底板(12)と前後左右の側板(13)(14)(15)(16)の周縁部とが結合する係合突部(12a)(13a)(14a)(15a)(16a)と、
係合突部(13a)(14a)(15a)(16a)が係合される係合溝と、
を備え、
前記クランプ(17)は、前後左右の側板(13)(14)(15)(16)の外側面にそれぞれ固定される固定部(17c)と、固定部(17c)に軸結合される連結環(17b)の一方の端部と、連結環(17b)の他方の端部に軸結合される係止金具(17a)と、を備える、請求項1または2に記載の強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ。
【請求項5】
コンクリートデッキの製造方法において、
a)コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、
b)FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、
c)骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合攪拌されたコンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、
d)投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、
e)成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、
f)脱型されたコンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、
を含むが、
前記ステップb)において、
FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設するとともに、コンクリートデッキの強度が補強されるように2mm~20mmの厚さの整温電線挿通用パイプを成形型枠の内部空間に配設するステップをさらに含み、
前記骨材の大きさが3~5mmである場合、全体の重量部の50~60重量部にて混合され、前記骨材の大きさが3mm未満である場合、全体の重量部の60~68重量部にて混合されることを特徴とする、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキの製造方法。
【請求項6】
コンクリートデッキの製造方法において、
a')コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、
b')FRPメッシュを成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、
c')骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合攪拌されたコンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、
d')投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、
e')成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、
f')脱型されたコンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、
を含むが、
前記b')ステップにおいて、
FRPメッシュを成形型枠の内部空間に配設するとともに、コンクリートデッキの強度が補強されるように2mm~20mmの厚さの整温電線挿通用パイプを成形型枠の内部空間に配設するステップをさらに含み、
前記骨材の大きさが3~5mmである場合、全体の重量部の50~60重量部にて混合され、前記骨材の大きさが3mm未満である場合、全体の重量部の60~68重量部にて混合されることを特徴とする、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法に関し、より詳細には、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)から製造したFRP棒体またはFRPメッシュをコンクリートデッキに内蔵して、軽量でありながら、強度と品質に優れており、環境にやさしく、しかも、長期間にわたっての使用にも拘わらず変形がないようにした強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の生活空間である歩道、道路、庭、散歩道、登山道、建物のテラスなどには、床材が用いられている。前記床材として広く用いられている木材デッキは、天然の素材であって、長年にわたって用いられてきた環境にやさしい素材である。
【0003】
前記木材デッキは、加工、乾燥及び防腐処理が施されて用いられているが、雨風や雪、日光や日差しなどに長期にわたって露出されれば、変形と腐食が生じ、昆虫などによる虫害により使用寿命が短く、しかも、強度も低いという欠点がある。
【0004】
前記木材デッキの欠点を補ったものであって、木材粉末と樹脂を合成して製造した合成木材デッキが床材として多用されているが、環境にやさしいものではなく、長年にわたって使用すれば、経年変化などによる変形(ひずみ)やねじれが生じて敷き替え工事が必要であり、敷き替え工事後に出てくる廃棄物には多量の合成樹脂が含まれているため、処理に困難さを感じているのが現状である。
【0005】
最近には、木材デッキに比べて耐久性及び強度に優れており、メンテナンスを行い易いようにコンクリートから成形したコンクリートデッキが開発されて使用されるに至っている。
【0006】
例えば、特許文献1に開示された大韓民国登録特許第10-2011626号公報(発明の名称:多数本の孔が形成されたコンクリートデッキの生産方法)の場合、長方形のコンクリートデッキ(CD)を押出成形方式により製造しているが、押出成形の特性からみて、設備費と製造コストが高価であり、金型の摩耗を防ぎ、かつ、コンクリートデッキの優れた表面を得るために粉末製の珪砂を骨材として用いることを余儀なくされるという制約が伴われ、長手方向に多数本の孔Pを形成してコンクリートの消耗を低減しながら軽量化を図っているものの、コンクリートデッキの強度を向上させ難い仕組みであるが故に、強度、特に、たわみ強度に大幅に劣っているなどの色々な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2011625号公報(発明の名称:多数本の孔が形成されたコンクリートデッキの生産方法、2009年08月09日付け特許公告)
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1530351号公報(発明の名称:無筋強繊維コンクリート-デッキプレート合成スラブ及びその施工方法、2015年06月19日付け特許公告)
【特許文献3】大韓民国登録実用新案第20-0455812号公報(考案の名称:デッキコンクリート結合ブロック、2011年09月27日付け実用新案公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、押出成形方式により製造される従来のコンクリートデッキの諸問題を解決するために案出されたものであって、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)から製造したFRP棒体またはFRPメッシュをコンクリートに内蔵して、軽量でありながら、強度と品質に優れており、環境にやさしく、しかも、長期間にわたっての使用にも拘わらず変形がほとんどないことから強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法を提供するところにその目的がある。
【0009】
本発明の他の目的は、コンクリートデッキの内部に整温電線を内蔵して保温されるようにすることにより、結氷が防がれて歩行時のすべりや落傷及び安全事故などが防がれ、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、成形型枠を用いて成形されるコンクリートデッキは、所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリート本体2と、本体2の内部に埋設され、表面に複数のリブ51と節52が形成されるFRP棒体5と、本体2の長手方向の両側面に形成される陥凹溝3、4と、を備え、前記コンクリートデッキ1とコンクリートデッキ1とを互いに連結する取付具26をさらに備えるが、前記取付具26は、コンクリートデッキ1の左右の陥凹溝3、4にそれぞれ結合されて、コンクリートデッキ1同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部27、28と、左右の突出部27、28に連結され、隣り合うコンクリートデッキ1を下地材33に固定できるように上下の突出部29、30を有する「+」の形状であり、上下の突出部29、30の垂直中央部には、下地材33に締め付けられるスクリュー31が嵌挿される縦穴32を備える。
【0011】
前記成形型枠を用いて成形されるコンクリートデッキは、所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリート本体2と、本体2の内部に埋設されるFRPメッシュ6と、本体2の長手方向の両側面に形成される陥凹溝3、4と、を備え、前記コンクリートデッキとコンクリートデッキとを互いに連結する取付具26をさらに備えるが、前記取付具26は、コンクリートデッキ1の左右の陥凹溝3、4にそれぞれ結合されてコンクリートデッキ1同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部27、28と、左右の突出部27、28に連結され、隣り合うコンクリートデッキ1を下地材33に固定できるように上下の突出部29、30を有する「+」の形状であり、上下の突出部29、30の垂直中央部には、下地材33に締め付けられるスクリュー31が嵌挿される縦穴32が備えられる。
【0012】
前記コンクリートデッキは、前記本体2の内部に埋設される整温電線8挿通用パイプ9をさらに備えるが、前記パイプ9の厚さは、整温電線8を保護しながら、本体2の強度が補強されるように2mm~20mmであってもよい。
【0013】
前記コンクリートデッキは、前記コンクリートデッキ同士を互いに連結する取付具をさらに備えるが、前記取付具は、左右に突出する左右の突出部と、左右の突出部に連結される隣り合うコンクリートデッキを下地材に固定できるように上下の突出部を有する「+」の形状であることを特徴としてもよい。
【0014】
前記成形型枠は、所定の厚さを有する長方形のコンクリートデッキを成形できるように直方体の形状の成形空間または成形室を有し、FRP棒体の配筋とFRPメッシュの配設及びコンクリートの打設を行い易いように成形室の上部が開放され、コンクリートデッキを繰り返し成形できるように分解・組立を行い易い構成となっている。
【0015】
前記成形型枠は、長手方向の上部面に複数の突起が所定の間隔を隔てて上向きに突出する底板と、底板の周縁部に結合される前後左右の側板と、前後左右の側板の結合端部を支持及び固定するクランプと、長尺状の前後側板の内側面の中間部分に内向きに突出する爪部材と、上部が開放される成形室と、を備える。
【0016】
前記成形型枠の底板と前後左右の側板の周縁部には、係合突部及び係合突部が係合される係合溝がそれぞれ形成されて、雌雄嵌合またはほぞ式継ぎ手式(ほぞ穴結合式)により結合及び組み立てられて強固な組立状態が保持され、クランプにより前後左右の側板の拡開が防がれ、かつ、成形が完了した後には、アンクランプした(クランプ解除した)後、前後左右の側板を手軽に分解することができて、養生されたコンクリートデッキの脱型を行い易いように構成される。
【0017】
前記成形型枠は、左右の2つから構成するが、中間に仕切り板を縦に配設し、仕切り板の両側面に爪部材を対称状に形成して2つのコンクリートデッキを同時に成形してもよい。
【0018】
本発明において、強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキの製造方法は、コンクリートデッキの製造方法において、a)コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、b)FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、c)骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合攪拌されたコンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、d)投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、e)成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、f)脱型されたコンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、を含み、前記骨材の大きさが3~5mmである場合、全体の重量部の50~60重量部にて混合され、前記骨材の大きさが3mm未満である場合、全体の重量部の60~68重量部にて混合されることを特徴としてもよい。
【0019】
前記ステップb)において、FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設するとともに、コンクリートデッキの強度が補強されるように2mm~20mmの厚さの整温電線挿通用パイプを成形型枠の内部空間に配設するステップをさらに含む。
【0020】
前記コンクリートデッキの製造方法において、a')コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、b')FRPメッシュを成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、c')骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合攪拌されたコンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、d')投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、e')成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、f')脱型されたコンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、を含み、前記骨材の大きさが3~5mmである場合、全体の重量部の50~60重量部にて混合され、前記骨材の大きさが3mm未満である場合、全体の重量部の60~68重量部にて混合されることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコンクリートデッキ1は、コンクリートの引張力よりも圧縮力が遥かに抜群であり、通常の鉄筋よりも約3倍の引張力をもった軽量のFRP棒体5またはFRPメッシュ6をコンクリートデッキ1に内蔵して補強することにより、強度と品質に優れており、環境にやさしく、軽量であり、長期にわたっての使用にも拘わらず変形がないという効果がある。
【0022】
本発明は、環境にやさしい難燃材料から製造することにより、火災に安全であり、火災が起きたときに有毒ガスが生ぜず、施工後に自然にやさしく長期にわたって使用可能であり、有害物質が排出されず、廃棄物の発生を極力抑えることができるという効果がある。
【0023】
本発明において、通常の金属鉄筋の代わりに用いられるFRP棒体5またはFRPメッシュ6は、天然の珪砂を溶解してガラス状の繊維にし、それを数百本撚り合わせてロープ状にし、熱硬化性樹脂溶液に沈積して製造したものであって、通常の金属鉄筋に比べて重量は約1/8であって、軽量であり、強度は約3倍ほど抜群であり、したがって、強度に優れた軽量コンクリートデッキ1が得られるという効果がある。
【0024】
本発明は、コンクリートデッキ1の下部にFRP棒体5またはFRPメッシュ6が位置するように配置することにより、コンクリートデッキ1の下部に集中する撓み応力に積極的に対応することになるので、コンクリートデッキ1の撓み強度が大幅に向上するという効果がある。
【0025】
本発明は、FRP棒体5またはFRPメッシュ6を内蔵したコンクリートデッキ1の内部に整温電線8が内蔵されていて、発生する熱により結氷が防がれるので、歩行者のすべりやそれによる落傷や安全事故などが防がれるという効果がある。
【0026】
本発明は、成形型枠10の内側面の両側に対向して形成される爪部材19、20によりコンクリートデッキ1の長手方向の両側面に陥凹溝3、4を手軽にかつ便利に形成することができるという効果がある。
【0027】
一方、コンクリートCは、高い圧縮強度を有しているのに対し、引張力が小さくて亀裂を引き起こしながら破壊されるので、本発明においては、高い引張強度をもったFRP棒体5またはFRPメッシュ6にてコンクリートデッキ1を補強することにより、十分な変形性能と耐力が確保されるのみならず、特に、撓み強度が大幅に向上して全体としての強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ1が得られるという効果がある。
【0028】
本発明は、FRP棒体5またはFRPメッシュ6を内蔵したコンクリートデッキ1を四角い板材やコンクリートパネル46から構成して、建築物の内/外装材として用いることができるなどの効果がある非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】本発明の一例として示したコンクリートデッキの斜視図。
【
図3】本発明の他の例として示したコンクリートデッキの斜視図。
【
図4】本発明のさらに他の例として示したコンクリートデッキの斜視図。
【
図5】本発明の一例として示したFRP棒体の斜視図。
【
図6】本発明の一例として示したFRPメッシュの斜視図。
【
図7】本発明の他の例として示したFRPメッシュの斜視図。
【
図8】本発明の一例として示した成形型枠の斜視図。
【
図9】本発明の一例として示した成形型枠の幅方向の断面図。
【
図10】本発明の一例として示した成形型枠にFRP棒体を配筋した状態の断面図。
【
図11】本発明の一例として示した成形型枠にコンクリートを打設及び成形する状態の断面図。
【
図12】本発明の他の例として示した成形型枠の断面図。
【
図13】本発明の他の例として示した成形型枠の斜視図。
【
図14】本発明の他の例として示した成形型枠の幅方向の断面図。
【
図15】本発明の他の例として示した成形型枠にFRP棒体を配筋した状態の長手方向の断面図。
【
図16】本発明の他の例として示した成形型枠にコンクリートを打設及び成形する状態の断面図。
【
図17】本発明のさらに他の例として示した成形型枠の断面図。
【
図18】本発明の一例として示した取付具の斜視図。
【
図19】本発明の他の例として示した取付具の斜視図。
【
図20】本発明の一例として示したコンクリートデッキの施工状態の平面図。
【
図21】本発明の一例として示したコンクリートデッキの施工状態の断面図。
【
図22】本発明の一例として示したコンクリートデッキの施工状態の拡大断面図。
【
図23】本発明の他の例として示したコンクリートデッキの施工状態の断面図。
【
図24】本発明の他の例として示したコンクリートパネルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の成形型枠を用いて成形されるコンクリートデッキは、所定の長さと所定の幅と所定の高さを有するコンクリート本体2と、本体2の内部に埋設され、表面に複数のリブ51と節52が形成された5~15mmの直径のFRP棒体5と、本体2の長手方向の両側面に形成される陥凹溝3、4と、を備え、前記コンクリートデッキとコンクリートデッキとを互いに連結する取付具26をさらに備えるが、前記取付具26は、コンクリートデッキ1の左右の陥凹溝3、4にそれぞれ結合されて、コンクリートデッキ1同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部27、28と、左右の突出部27、28に連結され、隣り合うコンクリートデッキ1を下地材33に固定できるように上下の突出部29、30を有する「+」の形状であり、上下の突出部29、30の垂直中央部には、下地材33に締め付けられるスクリュー31が嵌挿される縦穴32が形成され、前記コンクリート本体2は、骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合成形及び養生されたことを特徴とする。
【0031】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。本発明の実施形態について説明するに当たって、図中の同じ構成要素には、できる限り同じ符号を付し、関連する公知の構成や機能についての具体的な説明は本発明の要旨が曖昧にならないように省略し、また、添付図面に示されている事項は、本発明の実施形態を容易に説明するために図式化された図面であって、実際に実現される形態とは異なる場合がある。
【0032】
図2は、本発明の一例として示したコンクリートデッキ1の斜視図であって、所定の平面積と高さ(厚さ)を有し、コンクリートCから成形される本体2と、本体2の長手方向の両側面に所定の深さに形成される水平陥凹溝3、4と、本体2の内部に埋設(埋め込んで配設)されるFRP棒体5またはFRPメッシュ6と、本体2の上部面に陥凹して形成され、歩行者のすべりを防ぐ複数の滑り止め溝7と、を備える。
【0033】
図2は、FRP棒体5が埋設されたコンクリートデッキ1の斜視図であり、
図3は、FRPメッシュ6が埋設されたコンクリートデッキ1の斜視図である。
【0034】
前記本体2は、骨材50~68重量部、セメント50~30重量部、色素1~5重量部を一様に混合した後、適正なスランプ値を有するように水を混合して十分に攪拌したコンクリートCから成形及び養生して製造される。
【0035】
前記コンクリートCには、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維類などのその他の混合物が1~5重量部さらに混合される。前記その他の混合物は、少なくとも1種以上含まれる。
【0036】
前記骨材の大きさが3~5mmである場合、全体の重量部の50~60重量部にて混合され、骨材の大きさが3mm未満である場合、全体の重量部の60~68重量部にて混合されてもよい。
【0037】
前記スランプ(slump)値は、コンクリートCの流動性または作業性を示す尺度の1つであって、スランプ値が大きければ、コンクリートCの練り具合がべちゃべちゃになって作業性や流動性は良好になるものの、材料の分離が激しくなり、コンクリートCの強度が低下し、スランプ値が小さければ、コンクリートCを打設するときに流動性と作業性が悪くなるのに対し、コンクリートデッキ1の養生速度は速くなる。
【0038】
本発明において成形されたコンクリートデッキ1の速やかな脱型のために、爪部材19、20の構成要素を省略することにより、成形及び仮養生されたコンクリートデッキ1の脱型をさらに行い易く、このような場合、脱型されたコンクリートデッキ1の長手方向の両側面に所定の深さの陥凹溝3、4を別途に加工して形成してもよい。
【0039】
図4は、本発明のコンクリートデッキ1の他の実施形態の斜視図であって、本体2の長手方向の内部に整温電線8が挿通される少なくとも1本以上のパイプ9を埋設することができる。
図4には、2本の整温電線8をそれぞれ挿通できるように2本のパイプ9が離隔して埋設される。
【0040】
前記パイプ9は、熱伝導率に優れた金属、つまり、整温電線8から発せられる熱をコンクリート本体2に有効に伝導可能なアルミニウム管(Aaluminum Pipe)や銅管(Copper Pipe)であってもよい。
【0041】
前記整温電線8の端子8aは、隣り合うコンクリートデッキ1の整温電線8の端子8aと直列に接続されたり、並列に接続されたり、直並列に接続されたりした後、電源供給線に接続されたり、制御器を有する電源供給線に接続されたりして温度が制御され、オン(ON)/オフ(OFF)が制御される。
【0042】
前記パイプ9の内部には、整温電線8を手軽に挿通できるように整温電線8の外形よりも僅かに大きいサイズの中空であるか、あるいは、長手方向に開放された空間9aが形成され、前記空間9aは、整温電線8の形状と同一もしくは類似の形状であり、整温電線8から発せられる熱を本体2に有効に伝えることになる。
【0043】
前記パイプ9の厚さは、整温電線8を保護しながら、本体2の強度を補強できるように2mm~20mmであってもよく、本体2のコンクリートに埋設されるので、本体2の全体の強度、特に、撓み強度がより一層補強されかつ向上する。
【0044】
前記FRP棒体5は、FRPから成形される棒体状のものであり、
図4に示すように、異形鉄筋のように表面にリブ51と節52が形成される棒体(棒状物)であり、前記リブ51と節52により打設されるコンクリートが上手く結合するので、コンクリートの付着強度が円形鉄筋などに比べて2倍以上向上し、本体2の撓み強度が大幅に向上する。
【0045】
前記FRPメッシュ6もまた、FRPから成形される横棒と縦棒が
図5のように直交するように構成され、横棒と縦棒が直交する部分は貼り合わせられ(ボンディングされ)たり、
図6のように交差したりするように構成され、格子構造により本体2の強度、特に、撓み強度が大幅に向上する。
【0046】
前記FRP棒体5またはFRPメッシュ6の主材料であるFRPは、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Polymer)から成形製造され、軽量でありながら、強度と品質に優れており、環境にやさしく、長期にわたっての使用にも拘わらず変形がほとんどない軽量コンクリートデッキ1が得られる。
【0047】
前記FRP(Fiber Reinforced Plastics)は、ガラス及びカーボン繊維により強化されたプラスチック系の複合材料であって、軽量・耐食性・成形性などに優れた高性能・高機能性の材料である。なお、FRPは、優れた機械的な特性とプラスチックの耐食性及び優れた成形性を有し、軽量構造用材料であって、その応用範囲が広い。
【0048】
一方、本発明のFRP棒体5またはFRPメッシュ6は、天然素材である珪砂を溶解してガラス状の繊維にし、それを数百本練り合わせてロープ状にし、熱硬化性樹脂溶液に沈積して製造することにより、通常の鉄筋に比べて約1/8の重量であって、軽量であり、通常の鉄筋に比べて約3倍以上の強度を有するFRP棒体5またはFRPメッシュ6を得ることができる。
【0049】
前記FRP棒体5またはFRPメッシュ6は、繊維と樹脂との複合体であって、主として用いる繊維としては、一方向の連続繊維であって、ガラス繊維(Glass fiber)、アラミド繊維(Aramid fiber)、炭素繊維(Carbon fiber)、バサルト繊維(Basalt fiber)などの少なくとも1種以上が挙げられる。それぞれの材料は、デッキ材に求められる撓み強度に応じて選択的に使用可能であり、人道及び歩行用のデッキ材として現在使用中である木材デッキ及び合成木材デッキの代替用としては、値段の安いガラス繊維を主材料とするFRP棒体5またはFRPメッシュ6を用いることが好ましい。
【0050】
一方、成形型枠10を用いて、長さL 1,000mm×幅W 160mm×高さH 30mmに振動成形した後、20℃~30℃の常温において数日間養生した本発明のコンクリートデッキ1と通常の押出コンクリートデッキと通常の木材デッキをKCL(韓国建設生活環境試験研究院)に頼んで撓み強度の試験を行った結果は、下記表1の通りであった。
【0051】
【0052】
上記の表1のように、通常の木材デッキの強度は、4,000N(MPa)であり、通常の押出コンクリートデッキは、2,400Nであるのに対し、本発明のコンクリートデッキ1は、高強度・高軽量のFRP棒体5またはFRPメッシュ6により9,000~10,000Nの撓み強度を得ることができた。
【0053】
すなわち、FRP棒体5またはFRPメッシュ6により補強される本発明のコンクリートデッキ1は、通常の木材デッキに比べて、撓み強度が225~25倍優れており、通常の押出コンクリートデッキに比べて、撓み強度が375~416倍優れていることが分かるので、2つの製品群に比べて、本発明のコンクリートデッキ1の撓み強度の方が遥かに優れていることが分かる。
【0054】
本発明のコンクリートデッキ1は、成形型枠10により成形される。
【0055】
前記成形型枠10は、所定の厚さを有する長方形のコンクリートデッキ1を成形できるように直方体の形状の成形空間または成形室101を有し、FRP棒体5の配筋とFRPメッシュ6の配設及びコンクリートCの打設を行い易いように成形室101の上部が開放され、コンクリートデッキ1を繰り返し成形できるように分解・組立を行い易い構成となっている。
【0056】
図8は、本発明の一例として示した成形型枠10を組み立てた状態の斜視図であって、長手方向の上部面に複数の突起11が所定の間隔を隔てて上向きに突出する底板12と、底板12の周縁部に結合される前後左右の側板13、14、15、16と、前後左右の側板13、14、15、16の結合端部を支持及び固定するクランプ17と、長尺状の前後側板13、14の内側面の概ね中間部分に内向きに突出する爪部材19、20と、を備え、底板12と前後左右の側板13、14、15、16とにより囲まれる成形室101は、上部が開放されてFRP棒体5の配筋やFRPメッシュ6の配設及びコンクリートCの打設を行い易いように構成される。
【0057】
前記爪部材19、20の突出構造により打設及び養生されるコンクリート本体2の長手方向の両側面に陥凹溝3、4がおのずと形成され、かつ、配筋されるFRP棒体5またはFRPメッシュ6の周縁部が載せられて支持される機能を兼ねる部材である。
【0058】
前記底板12と前後左右の側板13、14、15、16の周縁部には、係合突部12a、13a、14a、15a、16a及び係合突部13a、14a、15a、16aが係合される係合溝がそれぞれ形成されて、雌雄嵌合またはほぞ式継ぎ手式により結合及び組み立てられて強固な組立状態が保たれるのみならず、クランプ17により前後左右の側板13、14、15、16の拡開が防がれ、かつ、成形が完了した後には、クランプ17を外した後、前後左右の側板13、14、15、16を手軽に分解することができて、養生されたコンクリートデッキ1を手軽に脱型することができる。
【0059】
前記クランプ17は、前後左右の側板13、14、15、16の外側面にそれぞれ固定される固定部17cと、固定部17cに軸結合される連結環17bの一方の端部と、連結環17bの他方の端部に軸結合される係止金具17aと、を備える。
【0060】
前記クランプ17により成形型枠10をクランプする場合、係止金具17aを直角方向に回転させて隣り合う側板の外側面に接するように移動及び回転させると、雌雄嵌合またはほぞ式継ぎ手式により結合された側板の隅角部分がそれぞれ引っ掛かりながら拡開が防がれ、逆に、アンクランプする場合、係止金具17aを前記逆方向に回転させて隣り合う側板の外側面から遠ざかるようにすればアンクランプされ、雌雄嵌合またはほぞ式継ぎ手式により結合された側板を取り外すと、成形型枠10が手軽に取り外されるので、成形及び仮養生されたコンクリートデッキ1を手軽に脱型することが可能になる。
【0061】
前記成形型枠10は、コンクリートデッキ1を成形できるように直方体の形状でありながら、手軽に分解/組立可能な構成要素であり、上部はコンクリートCとFRP棒体5またはFRPメッシュ6を投入して配設できるように開放される。
【0062】
前記成形型枠10は、分解・組立を行い易いながらも、強度に優れた金属や硬質合成樹脂板材から構成されてもよい。
【0063】
前記底板12の上部の表面には複数の上向き突起11が形成されていて、成形及び養生されるコンクリートデッキ1の上部面に前記突起11と同じ形状の滑り止め溝7が所定の間隔を隔てて形成される。
【0064】
前記突起11は、所定の高さL1と所定の幅W1を有し、成形後に脱型が行われ易いように上に向かって進むにつれて次第に幅が狭くなるように形成される。
【0065】
図9は、前記成形型枠10の幅方向の断面図であり、
図10は、前後側板13、14の内側面に突設された爪部材19、20の上部面に受け棒18を所定の間隔を隔てて並べて配設し、受け棒18の上部面に複数本のFRP棒体5を所定の間隔を隔てて並べた(配筋した)後、結束線21により結束してFRP棒体5が遊動しないようにした状態で、
図11のように、開放された成形室101にコンクリートCを注いで打設しながら底板12を支持している基台24を振動手段25により振動させると、成形型枠10の全体が振動しながらコンクリートCが固められるため、密度の高いコンクリートデッキ1として成形される。
【0066】
前記振動手段25は、基台24のみならず、コンクリートCの内部または成形室101の内部に投入されてコンクリートCを振動させる振動手段であってもよく、差し込み式振動器、鋳型振動器、表面振動器などが使用可能である。
【0067】
一方、コンクリートCの打設を行い終わると、所定の時間、例えば、20~30℃の常温下で8~30時間仮(一時的に)養生したコンクリートデッキ1を成形型枠10から脱型した後、20~30℃の常温下で数日間完全に養生して用いることになる。
【0068】
完全に養生されたコンクリートデッキ1は、滑り止め溝7が上部に位置するようにひっくり返して用いることになり、したがって、滑り止め溝7により歩行者のすべりが防がれ、ガラス面のように精度よく、かつ、見栄えよく製造され、成形型枠10からの脱型もまた行い易くなる。
【0069】
前記爪部材19、20は、コンクリートデッキ1の中間の高さに位置するため、コンクリートデッキ1の長手方向の両側面に形成される陥凹溝3、4もまた、コンクリートデッキ1の中間の高さに形成され、下地材に固定するときの固定溝にもなる。
【0070】
また、コンクリートデッキ1を成形するとき、爪部材19、20の上部面に配筋されるFRP棒体5またはFRPメッシュ6は、成形及び養生の後にコンクリートデッキ1をひっくり返すと、陥凹溝3、4の下部に位置することになり、コンクリートデッキ1の下部に集中する撓み応力に積極的に対応することになるので、コンクリートデッキ1の撓み強度が大幅に向上する。
【0071】
すなわち、本発明は、コンクリートの引張力よりも圧縮力が遥かに抜群である性質と、FRP棒体5またはFRPメッシュ6の強い引張力(通常の鉄筋の約3倍)を活用して、コンクリートデッキ1の下部にFRP棒体5またはFRPメッシュ6が位置するように配置することにより、構造力学的に最小限の材料から強度、特に、撓み強度に優れた軽量コンクリートデッキ1が製造される。
【0072】
図12は、本発明の他の実施形態の成形型枠10bの断面図であって、成形型枠10を左右の2つから構成するが、中間に仕切り板48を縦に配設し、仕切り板48の両側面に爪部材19、20を対称状に形成することにより、2つのコンクリートデッキ1を同時に成形することができることを示したものである。
【0073】
図13から
図16は、前記成形型枠10aの他の実施形態の図であって、成形型枠10aの左右の側板15、16の内側面に少なくとも1つ以上の支持片22、23を内向きに突出させて向かい合うように形成して、整温電線8が挿通されるパイプ9の両端部が嵌挿・支持されるようにすることにより、
図15、
図16のように、コンクリートデッキ1の内部に整温電線8挿通用パイプ9が内蔵され、
図4のようなコンクリートデッキ1が得られる。
【0074】
図13は、成形型枠10aの斜視図であり、
図14は、成形型枠10aの幅方向の断面図であり、
図15は、FRP棒体5を配筋した状態の長手方向の成形型枠10の断面図であり、
図16は、コンクリートCを打設した状態の幅方向の成形型枠10の断面図である。
【0075】
図17は、さらに他の実施形態として示した成形型枠10cの断面図であって、パイプ9の両端部が嵌挿できるように左右の側板15、16の内側面に少なくとも1つ以上の支持片22、23が設けられた成形型枠を左右の2つから構成するが、中間に仕切り板49を縦に配設し、仕切り板49の両側面に爪部材19、20を対称状に形成することにより、2つのコンクリートデッキ1を同時に成形することができることを示したものである。
【0076】
図18及び
図19は、順番に並べられるコンクリートデッキ1を下地材33に固定するときに用いる取付具26を示したものであって、
図18は、円形状に設けたものであり、
図19は、四角い形状に設けたものである。
【0077】
前記取付具26は、隣り合うコンクリートデッキ1の左右の陥凹溝3、4にそれぞれ結合されて、コンクリートデッキ1同士を互いに連結できるように左右に突出する左右の突出部27、28と、左右の突出部27、28に連結され、隣り合うコンクリートデッキ1を下地材33に固定できるように上下の突出部29、30と、を有する「+」の形状である。
【0078】
前記取付具26は、コンクリートデッキ1に形成される陥凹溝3、4に十分に結合できるように十分な長さと幅を有し、上下の突出部29、30の垂直中央部には、下地材33に締め付けられるボルトまたはスクリュー31が嵌挿される縦穴32が形成されて、
図21、
図22に示すように、下地材33に締め付けられるスクリュー31により取付具26に結合された左右のコンクリートデッキ1が下地材33に固定される。
【0079】
前記コンクリートデッキ1と下地材33との間にゴム板などの緩衝材34を嵌め込んで固定すれば、たとえ歩行者がコンクリートデッキ1の上に歩行をするとしても、衝撃が緩和される。
【0080】
前記下地材33は、
図20、
図21に示すように、少なくとも2つ以上の複数で離隔して配設されてコンクリートデッキ1が固定され、複数の下地材33の底部面は、下部フレーム35の上部面に接した後にブラケット36に締付部材37により固定され、下部フレーム35は、垂直フレーム38の上部面に接した後にブラケット39に締付部材40により固定され、垂直フレーム38の下部面は、地面GLに埋設された基礎コンクリート41に接した後、ブラケット42に締付部材43により固定される。
【0081】
したがって、
図20に示すように、平行に配設される複数の下地材33の上部面にコンクリートデッキ1が直角になる(直交する)方向に位置するが、取付具26により固定される。
【0082】
図23は、本発明の他の実施形態の断面図であって、前記ブラケット36と締付部材37及びアンカーボルト44を用いて、各種の構造物の表面及び/又は床面45の上部にコンクリートデッキ1が固定された前記下地材33を固設することができることを示したものである。
【0083】
図24は、本発明のFRP棒体5またはFRPメッシュ6を内蔵したコンクリートデッキ1を四角い板材の形状のパネル46から構成して、軽量性及び高強度の特性をもった建築物の内/外装材として使用できるように構成したものである。
【0084】
下記の表2は、通常の鉄筋と比べた素材ごと(材質ごと)の引張強度と比重及び比強度を比較した表である。
【0085】
【0086】
前記FRP棒体5は、異形鉄筋のように、複数のリブ51と節52が表面(外周縁)に形成される5~15mmの直径の棒状物であり、コンクリートデッキ1の下部に位置するように配筋するが、5~10本(間隔15~30mm)のFRP棒体5を長手方向に配置し、爪部材19、20に載せられて支持される幅方向の受け棒18は100~300mmおきに配列した後、結束線21を用いてFRP棒体5と受け棒18との交差部分を縛って結束して固定することになり、FRPメッシュ6は、2~5mmの直径のFRP棒体を横縦にそれぞれ10~100mmのメッシュを有するように構成して、コンクリートデッキ1の下部に位置するように埋設して製造される。
【0087】
下記の表3は、通常の金属鉄筋とFRP棒体5の特性を比較したものであって、本発明のFRP棒体5は、酸化腐食なしに半永久的な寿命が保証され、かつ、通常の金属鉄筋に比べて3倍以上の高い引張強度と約1/8ほどの重量の軽さ(軽量性)を有し、塩素イオンと化学的な露出に強い抵抗力を有し、熱伝導性が非常に低い不導体であり、電/磁場及び放射能に対する抵抗力があり、その重量の軽さにより運搬及び保管コストの節減性及び移動上の利便性があり、現場における手軽かつ高速な設置により作業時間が短縮され、施工費用が節減される。
【0088】
【0089】
本発明は、FRP棒体5またはFRPメッシュ6を用いて、高強度のコンクリートデッキ1の製品を簡便に成形できるのみならず、成形費と施工費を節減することができ、酸化されないので、寿命が半永久的であり、コンクリートCには、多量のSiO2が混合されている。
【0090】
これに対し、通常の合成木材から製造される合成木材デッキは、木粉40~50%とポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)チップ(Chip)60~50%が混合成形され、腐食が甚だしくて寿命が短縮され、強度にもまた大幅に劣っている。
【0091】
下記の表4は、通常の金属鉄筋とFRP棒体5との相互間の対応径(または、太さ)を例示したものであって、FRP棒体5の場合、同一もしくは類似の強度において通常の金属鉄筋に比べて径(太さ)を大幅に縮径できるのみならず、通常の金属鉄筋の約1/8の重さ(kg)であって、軽量である。
【0092】
【0093】
本発明のコンクリートデッキ1は、成形型枠10により成形するときに、上下が逆になっている状態で成形される。つまり、成形型枠10の底板12の突起11により形成される滑り止め溝7は、成形するときに成形型枠10の下部に位置するものの、脱型した後にひっくり返すと、滑り止め溝7の形成された部分が歩行者が足をかけて行き来する上部となる。
【0094】
本発明のコンクリートデッキ1は、所定の長さLと所定の幅Wと所定の高さHをもったコンクリート製品であり、強度の補強のために、金属鉄筋や金属メッシュの代わりに、FRP棒体5またはFRPメッシュ6が内蔵(埋込)されて用いられる。
【0095】
本発明のコンクリートデッキ1は、
図2に例示したように、長さLの長い横部と、長さの短い幅Wの縦部と、所定の高さHの厚さ部と、から構成され、内部にFRP棒体5またはFRPメッシュ6が内蔵されて撓み強度が大幅に向上する。
【0096】
本発明のコンクリートデッキ1は、所定の厚さHと所定の長さL及び所定の幅Wを有する成形型枠10を用いて、FRP棒体5またはFRPメッシュ6が内蔵されたコンクリートデッキ1が成形及び養生されて製造され、製造過程は、下記の通りである。
【0097】
a)コンクリートデッキを成形する成形型枠を組み立てるステップと、b)FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設及び結束するステップと、c)骨材50~68重量部と、セメント50~30重量部と、色素1~5重量部と、消泡材・高強度混和剤・強度増強材・長繊維、短繊維のうちの少なくとも1種以上の混合物01~5重量部と水が混合攪拌されたコンクリートを成形型枠に投入しながら振動させるステップと、d)投入及び振動を行い終わったコンクリートを20~50時間養生するステップと、e)成形型枠を分解して養生されたコンクリートデッキを得るステップと、f)脱型されたコンクリートデッキを60~100時間養生して最終コンクリートデッキを得るステップと、を含む。
【0098】
前記ステップb)において、FRP棒体を成形型枠の内部空間に配設するとともに、整温電線挿通用パイプを成形型枠の内部空間に配設するステップをさらに含んでいてもよい。
【0099】
前記ステップb)において、FRP棒体の代わりに、FRPメッシュを成形型枠の内部空間に配設してもよい。
【0100】
本発明のFRP棒体5またはFRPメッシュ6に用いるFRPは、鉄筋コンクリート構造物において鉄筋の腐食の問題を根本的に解決するために試みられた材料であり、FRPを異形鉄筋の形状の棒状物として成形製造してコンクリートの付着性能が大きく確保される。
【0101】
本発明は、環境にやさしい難燃材料から製造して、火災に安全であり、火災が起きたときに有毒ガスが生ぜず、施工後に自然にやさしく長期にわたって使用可能であり、有害物質が排出されず、廃棄物の発生を極力抑えることができる。
【0102】
本発明は、コンクリートCの引張力よりも圧縮力が遥かに抜群である性質のFRP棒体5またはFRPメッシュ6の強い引張力(通常の鉄筋よりも約3倍)を活用して、デッキ材の中心の下部側にFRP棒体5またはFRPメッシュ6を配置して、構造力学的に最小限の材料から強度の高いコンクリートデッキ1を製造することができる。
【0103】
本発明は、FRP棒体5またはFRPメッシュ6を内蔵したコンクリートデッキ1を成形するとき、内部に整温電線8を内蔵することができて、冬期の結氷の問題が解消されるので、結氷などにより歩行に問題となる場所に有効に用いることができる。
【0104】
本発明は、FRP棒体5またはFRPメッシュ6をコンクリートデッキ1の下部に配設することにより、熱伝導係数が鉄の1/100(鉄:46、FRP:035(w/m℃))に過ぎず、下部に熱が抜け出ることを防ぐことにより、熱効率が良好であるために少ない電力でも冬期の結氷を防ぐことができるので、歩行時のすべりやそれによる落傷や安全事故などが防がれる。
【0105】
本発明において、コンクリートデッキ1の結氷が問題視されない場合、またはコンクリートデッキ1の結氷が起こらない場所に用いる場合、パイプ9と整温電線8の構成要素を省略可能であるということはいうまでもない。
【0106】
コンクリートCは、高い圧縮強度を有しているのに対し、引張力が小さいため、亀裂を引き起こしながら破壊される。したがって、本発明においては、高い引張強度をもったFRP棒体5またはFRPメッシュ6を本体2の中心(横の中心)の下部に位置するように補強することにより、コンクリートC本体2に十分な変形性能と耐力が確保されるのみならず、特に、撓み強度が大幅に向上して全体の強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ1を得ることができる。
【0107】
以上のように説明した本発明は、この実施形態及び添付図面に何ら限定されものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形及び変更が可能であり、これは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
上述したように、本発明による強度と品質に優れた軽量コンクリートデッキ及びその製造方法を提供することにより、コンクリートデッキ1は、コンクリートの引張力よりも圧縮力が遥かに抜群であり、通常の鉄筋よりも約3倍の引張力をもった軽量のFRP棒体5またはFRPメッシュ6をコンクリートデッキ1に内蔵して補強することにより、強度と品質に優れており、環境にやさしく、軽量であり、長期にわたっての使用にも拘わらず変形がないという効果があり、環境にやさしい難燃材料から製造することにより、火災に安全であり、火災が起きたときに有毒ガスが生ぜず、施工後に自然にやさしく長期にわたって使用可能であり、有害物質が排出されず、廃棄物の発生を極力抑えることができるという効果があり、通常の金属鉄筋の代わりに用いられるFRP棒体5またはFRPメッシュ6は、天然の珪砂を溶解してガラス状の繊維にし、それを数百本撚り合わせてロープ状にし、熱硬化性樹脂溶液に沈積して製造したものであって、通常の金属鉄筋に比べて重量は約1/8であって、軽量であり、強度は約3倍ほど抜群であり、したがって、強度に優れた軽量コンクリートデッキ1が得られるという効果があることから、産業上の利用可能性が非常に高い発明であるといえる。
【符号の説明】
【0109】
1 コンクリートデッキ
2 本体
3、4 陥凹溝
5 FRP棒体
6 FRPメッシュ
7 滑り止め溝
8 整温電線
9 パイプ
10、10a、10b、10c 成形型枠
11 突起
12 底板
12a、13a、14a、15a、16a 係合突部
13、14、15、16 前後左右の側板
17 クランプ
19、20 爪部材
21 結束線
23 支持片
24 基台
25 振動手段
26 取付具
27、28、29、30 突出部
33 下地材
31 スクリュー
32 縦穴
34 緩衝材
35 下部フレーム
36 ブラケット
37 締付部材
38 垂直フレーム
41 基礎コンクリート
46 パネル
101 成形室
【国際調査報告】