(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】医療環境を計画するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20231206BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533224
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021060963
(87)【国際公開番号】W WO2022119763
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウパドラスタ,プラサド ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステガー,ジョン ライアン
(57)【要約】
システムは、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶したメモリとを含むことができる。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、医療環境の空間情報を受信すること;医療環境で使用する構成要素を決定すること;構成要素の動作モードのインジケータを受信すること;構成要素の動作モードに関する動作制約のセットを受信すること;及び動作制約のセット及び空間情報に基づいて、環境準備計画を生成すること;を行わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、当該システムは、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶したメモリと、を含み、
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、
医療環境の空間情報を受信すること、
前記医療環境で使用する構成要素を決定すること、
該構成要素の動作モードのインジケータを受信すること、
前記構成要素の前記動作モードに関する動作制約のセットを受信すること、及び
該動作制約のセット及び前記空間情報に基づいて、環境準備計画を生成すること、を行わせる、
システム。
【請求項2】
前記空間情報は、前記医療環境内のカメラから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記空間情報は、3次元深度マッピングシステムから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記空間情報は、センサシステムから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記決定した構成要素は、ロボット支援マニピュレータアセンブリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作モードは準備モードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作モードは手順モードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記動作モードは格納モードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記動作モードはサービス提供モードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記動作制約のセットには、前記構成要素の可動域の空間エンベロープが含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記動作制約のセットには、前記構成要素の運動学的情報が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作制約のセットには、補助構成要素の要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記動作制約のセットには、前記構成要素に関するユーティリティアクセス要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記動作制約のセットには、動作アクセス要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記動作制約のセットには、前記動作モードに関する人員配置要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記動作制約のセットには、前記動作モードに関する患者要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記環境準備計画を生成することは、前記構成要素と第2の構成要素との間の距離を閾値距離と比較することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記環境準備計画を生成することは、前記構成要素のアクセス方向を、前記動作モードの所定のアクセス方向と比較することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記環境準備計画を生成することは、前記医療環境で使用するための少なくとも1つの補助構成要素を決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記環境準備計画を生成することは、提案する構成を前記医療環境内の前記構成要素に提供することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記環境準備計画を生成することは、遠隔助言オペレータから入力を受信することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、前記環境準備計画を表示システム上に表示させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、前記環境準備計画と比較して前記医療環境における実施を評価させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、第2の環境準備計画の生成において使用又は参照するために前記環境準備計画を格納させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記環境準備計画は、実施に基づく評価インジケータとともに格納することができる、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願の相互参照
本願は、2020年12月1日に出願した米国仮出願63/120,140号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本願は、2020年12月1日に出願した、“SYSTEMS AND METHODS FOR GENERATING VIRTUAL REALITY GUIDANCE”という名称の米国仮出願第63/120,175号、及び2020年12月1日に出願した、“SYSTEMS AND METHODS FOR GENERATING AND EVALUATING A MEDICAL
PROCEDURE”という名称の米国仮出願第63/120,191号についてこれら全体を参照により組み込む。
【0002】
本開示は、ロボット支援医療処置のためのシステム及び方法を対象とし、より具体的には、ロボット支援医療システムの動作モードに基づいて医療環境計画を開発することを対象とする。
【背景技術】
【0003】
遠隔操作ロボットシステム又はロボット支援システムのセットアップ、動作、トラブルシューティング、保守、及び保管のための計画ツールは汎用的なものが多く、動作空間の寸法、環境内で利用可能なロボット支援システム機器、環境内で利用可能な補助機器、環境内のユーティリティの場所、環境内の人員、及びロボット支援システムに関連する他のパラメータ等、特定の医療環境の固有の状況を予測できない場合がある。特定の医療環境の構成要素及び制約に合わせてカスタマイズした、モード固有の医療環境計画を提供することによって医療関係者を支援するシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって最も良く要約される。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、システムは、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶したメモリとを含むことができる。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、医療環境の空間情報を受信すること;医療環境で使用する構成要素を決定すること;構成要素の動作モードのインジケータを受信すること;構成要素の動作モードに関する動作制約のセットを受け取ること;及び動作制約のセット及び空間情報に基づいて、環境準備計画を生成すること;を行わせることができる。
【0006】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明とは両方とも本質的に例示的及び説明的なものであり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を与えることを意図していることを理解されたい。この点に関して、本開示の追加の態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの実施形態による仮想ガイダンスを生成する方法を示すフローチャートである。
【
図2A】いくつかの実施形態による医療環境の空間情報を示す図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による医療環境の空間情報を示す図である。
【
図3A】医療環境で使用するための構成要素のメニューを示す図である。
【
図3B】医療環境で使用するための構成要素のメニューを示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態によるロボット支援医療システムの概略図である。
【
図5】構成要素の動作モードのメニューを示す図である。
【
図6】いくつかの実施形態による医療環境のための環境準備計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態及びその利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解される。1つ又は複数の図に示される同様の要素を識別するために同様の参照番号が使用され、図中の表示は本開示の実施形態を説明する目的であり、本開示を限定する目的ではないことを理解されたい。
【0009】
計画ツールは、医療環境におけるロボット支援システムの効率的、安全、効果的な使用に役立ち得る。綿密に計画した医療環境では、医療環境内での様々な使用モードでの医療構成要素に関連する可動域、スタッフの相互作用、及びユーティリティへのアクセスのニーズを予測することができる。その結果、医療環境の使用期間がより予測可能になり、空間及びリソースのより効率的なスケジューリングを促進することができる。以下に説明するように、医療環境内の構成要素の物理パラメータ及び制約を組み込んだモードベースの計画ツールを使用して、より詳細でカスタマイズした環境準備計画を生成することができる。
図1は、いくつかの実施形態による環境準備計画を生成するための方法100を示すフローチャートである。本明細書で説明する方法は、一組の動作又はプロセスとして示しており、追加の図を引き続き参照しながら説明する。図示したプロセスの全てが方法の全ての実施形態で行われるわけではない。さらに、明示的に示していない1つ又は複数のプロセスを、示したプロセスの前、後、中間、又はその一部として含めてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスのうちの1つ又は複数は、少なくとも部分的に、非一時的な有形の機械可読媒体に記憶した実行可能コードの形式で実装され、そのコードが1つ又は複数のプロセッサ(例えば、制御システムのプロセッサ)によって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、1つ又は複数のプロセスを実行させることができる。1つ又は複数の実施形態では、プロセスは、制御システムによって実行され得る。
【0010】
プロセス102では、医療環境の空間情報が受信される。空間情報には、医療環境の2次元又は3次元のサイズ、形状、及び構成に関する情報が含まれ得る。空間情報は、直線寸法(例えば、長さ、幅、高さ)、向き情報、座標フレームの位置、2次元又は3次元の画像データ、2次元又は3次元のモデルデータ、絶対的又は相対的な位置/向き情報、又は医療環境スペースに関する他の種類の情報として受信され得る。いくつかの実施形態では、空間情報は、医療環境内又は医療環境の近くから医療環境に関する空間情報を測定、スキャン、画像化、又は他に記録することができる電話、タブレット、カメラ、ラップトップ、又は他の携帯型測定装置等のモバイル装置から受信され得る。モバイル装置には、空間情報を記録又は取り込むようにユーザに促すアプリケーションが含まれ得る。一例では、
図2Aに示されるように、医療環境200には、壁201の長さ寸法L1、壁202の長さ寸法L2、壁203の長さ寸法L3、壁204の長さ寸法L4、及びドア205の長さ寸法L5が含まれ得る。寸法L1~L5は、距離計、LIDARシステム、カメラ、或いは単一目的の装置又は電話、タブレット、ラップトップ等のモバイル装置に組み込むことができる他の測定ツールを含み得る3次元深度マッピングシステムを使用して測定することができる。医療環境における構成要素の静的又は動的位置を追跡するためのセンサシステム(例えば、電磁位置センサ、光学センサ)を含む他のマッピングシステムを使用してもよい。3次元マッピング技術はいずれも単独で使用することも、他の技術と組み合わせて使用することもできる。
図2Aの医療環境200は、構成要素又は補助機器が実質的に空の状態であってもよい。別の例では、
図2Bに示されるように、医療環境250には、医療構成要素256が含まれる。医療環境250には、壁251の長さ寸法L6、壁252の長さ寸法L7、壁253の長さ寸法L8、壁254の長さ寸法L9、及びドア255の長さ寸法L10が含まれ得る。寸法L1~L5(L6~L10)は、上述のように測定ツールを使用して測定することができる。さらに、測定ツールは、医療構成要素256の存在、位置、及び向きを記録することができる。いくつかの実施形態では、空間情報は、医療環境に固定して取り付けられた撮像システム又は測定システムによって受信され得る。いくつかの実施形態では、空間情報は、所定の施設内の所定の部屋に対応するマップ(地図)、モデル、又は空間情報のデータベース等、医療環境について格納した空間情報カタログから受信され得る。
【0011】
図1を再び参照すると、プロセス104において、医療環境で使用すべき1つ又は複数の構成要素が決定され得る。例えば、この決定は、例えばモバイル装置上で受け取ったユーザ入力に基づいて行ってもよい。ユーザは、医療環境に配置すべき1つ又は複数の構成要素を指示することができる。
図3Aに示されるように、携帯電話上のタッチスクリーンディスプレイ等のユーザディスプレイ及び入力装置300は、ユーザが医療環境に配置するように選択できるドレープ型ロボット支援マニピュレータアセンブリ304及びオペレータコンソール306等のネットワーク化した医療構成要素のメニュー302を提供することができる。
図3Bに示されるように、ユーザ入力装置300は、ユーザがネットワーク化した医療構成要素をサポートする医療環境に配置するように選択できるテーブル324及び麻酔カート326等の補助構成要素の別のメニュー322を提供することができる。いくつかの実施形態では、医療環境は空の状態であってもよく、使用すべき構成要素を医療環境に移動してもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の構成要素が医療環境内に存在してもよい。医療環境内の構成要素の初期決定は、受信した空間情報の解析に基づいて行うことができる。例えば、空間(情報)を収集したときに、カメラからの画像データ又はLIDARスキャナからのLIDARデータを解析して、医療環境内の構成要素を認識することができる。医療環境内にあると判定された構成要素が静止しているか又は可動であるかに関して判定を行うこともできる。
【0012】
医療環境は、例えば、滅菌準備モード又は手順(procedure:処置)を含み得る準備モードを含む、ロボット支援医療システムの複数の動作モードに使用され得る。滅菌準備モードには、例えば、ドレーピングモード又は手順が含まれ得る。複数のモードには、医療処置又は臨床モード、トラブルシューティングモード、サービス作業モード、検査モード、洗浄モード、及び保管モードも含まれ得る。ロボット支援医療システムの動作モードに応じて、様々な構成要素、システム、及び人のいずれかが医療環境に存在する場合がある。
図4は、ロボット支援医療システム402を含む医療環境の参照フレーム(X
M,Y
M,Z
M)を含む医療環境400を示し、そのシステム402は、ロボット支援マニピュレータアセンブリ404、オペレータインターフェイスシステム406、及び制御システム408等の構成要素を含み得る。1つ又は複数の実施形態では、システム402は、外科医の遠隔操作制御下にあるロボット支援医療システムであってもよい。代替実施形態では、医療システム402は、医療処置又はサブ処置を行うようにプログラムされたコンピュータの部分的な制御下にあってもよい。さらに他の代替実施形態では、医療システム402は、医療システム402による医療処置又はサブ処置を行うようにプログラムされたコンピュータの完全な制御下にある完全に自動化した医療システムであってもよい。本開示で説明するシステム及び技術を実装するために使用され得る医療システム402の一例は、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical Operations, Inc.によって製造されるda
Vinci(登録商標)手術システムである。医療環境400は、処置室、手術室、医療処置室、又は医療処置又は医療訓練が行われる他の環境であってもよい。
【0013】
制御システム408は、少なくとも1つのメモリ410と、医療環境内の構成要素同士の間の通信、制御、及びデータ転送を行うための少なくとも1つのプロセッサ412を含む処理ユニットとを含み得る。制御システム408には、多種多様な集中型又は分散型データ処理アーキテクチャのいずれかを使用することができる。同様に、プログラムされる命令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実装することができ、或いは本明細書で説明する遠隔操作システムを含むシステムの他の多くの態様に統合することもできる。一実施形態では、制御システム408は、Bluetooth、IrDA、HomeRF、IEEE802.11、DECT、及び無線テレメトリ等の様々な有線通信プロトコル又は無線通信プロトコルのいずれかをサポートすることができる。いくつかの実施形態では、制御システム408は、共通の手術環境の異なる領域、異なる部屋、又は異なる建物を含む、マニピュレータアセンブリ404及びオペレータインターフェイスシステム406から部分的又は完全に離れた異なる環境にあってもよい。
【0014】
マニピュレータアセンブリ404は、患者側カートと呼ばれ得る。1つ又は複数の医療器具414(ツールとも呼ばれる)は、マニピュレータアセンブリ404に動作可能に結合され得る。医療器具414は、メス、ブラント(blunt)ブレード、針、撮像センサ、光ファイバ、及び電極等の単一の作動部材を有するエンドエフェクタを含み得る。他のエンドエフェクタは、複数の作動部材を含んでもよく、例として、鉗子、グラスパ、はさみ、クリップアプライヤ、ステープラ、双極電気焼灼器具等を含み得る。一度に使用される医療器具414の数は、通常、他の要因の中でも医療処置及び手術室内の空間の制約等に依存するだろう。医療器具414には、撮像装置も含まれ得る。撮像器具は、光学式撮像技術を使用する内視鏡撮像システムを含んでもよく、又は他の技術(例えば、超音波、X線透視法等)を使用する別のタイプの撮像システムを含んでもよい。マニピュレータアセンブリ404は、1つ又は複数の非サーボ制御関節によって結合した1つ又は複数のリンク、及びサーボ制御ロボットマニピュレータの運動学的構造を含み得る。様々な実施形態では、非サーボ制御関節を手動で位置決め又はロックして、非サーボ制御関節に物理的に結合したリンク同士の間の相対運動を許可又は禁止することができる。マニピュレータアセンブリ404は、医療器具414に対する入力を駆動する複数のモータを含むことができる。これらのモータは、制御システム408からのコマンドに応答して移動することができる。モータは、医療器具414に結合されると、医療器具を患者の自然に形成された又は手術によって形成した解剖学的オリフィス内に前進させることができる駆動システムを含むことができる。他の電動駆動システムは、医療器具の先端を多自由度で動かすことができ、これには、3つの自由度の直線運動(例えば、X、Y、Zデカルト軸に沿った直線運動)及び3つの自由度の回転運動(例えば、例えば、X、Y、Zデカルト軸の周りの回転等)が含まれ得る。さらに、モータを使用して、器具の関節運動可能なエンドエフェクタを作動させて、生検装置等の顎部で組織を把握することができる。マニピュレータアセンブリ404及び/又は器具414に関する運動学的情報には、マニピュレータアセンブリ及び/又は医療器具の構成要素の寸法、関節の配置、構成要素の位置情報、構成要素の向き情報、及び/又はポートの配置等の構造情報が含まれ得る。運動学的情報には、遠隔操作アセンブリにおける関節の可動域、速度又は加速度の情報、及び/又は抵抗力等の動的な運動学的情報も含まれ得る。構造的又は動的な運動学的制約情報は、例えば、マニピュレータアーム構成、医療器具構成、関節の構成、構成要素の変位、構成要素の速度、及び/又は構成要素の加速度を測定する遠隔操作アセンブリ内のセンサによって生成され得る。センサには、電磁(EM)センサ等の位置センサ、光ファイバセンサ等の形状センサ、及び/又はレゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータ等のアクチュエータ位置センサが含まれ得る。
【0015】
オペレータインターフェイスシステム406により、外科医又は他の種類の臨床医等のオペレータが、処置部位の画像又は処置部位を表す画像を見て、医療器具414の動作を制御できるようになる。いくつかの実施形態では、オペレータインターフェイスシステム406は、処置中に患者と同じ部屋に位置し得る。しかしながら、他の実施形態では、オペレータインターフェイスシステム406は、患者とは別の部屋又は全く別の建物に位置してもよい。オペレータインターフェイスシステム406は、一般に、医療器具414を制御するための1つ又は複数の制御装置を含むことができる。制御装置は、ハンドグリップ、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガーガン、フットペダル、手動コントローラ、音声認識装置、タッチスクリーン、体動センサ又は存在センサ等等の任意の数の様々な入力装置のうちの1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御装置にはロボットアセンブリの医療ツールと同じ自由度が与えられ、オペレータにテレプレゼンスを与える。すなわち、オペレータには、制御装置がツールと一体であるという知覚が与えられ、オペレータは、あたかも処置現場にいるかのようにツールを直接制御しているという感覚を得ることができる。他の実施形態では、制御装置は、関連する医療ツールよりも多い又は少ない自由度を有し、引き続きオペレータにテレプレゼンスを与えることができる。いくつかの実施形態では、制御装置は、6自由度で動く手動入力装置であり、また、医療ツールを作動させるための作動可能なハンドル(例えば、把持顎部エンドエフェクタを閉じる、電位を電極に印加する、画像を取り込む、薬物治療を送達等するための)を含み得る。マニピュレータアセンブリ404は、オペレータがオペレータインターフェイスシステム406上のディスプレイを通じて処置部位を見ている間に、医療器具414を支持し、操作することができる。処置部位の画像は、単眼又は立体内視鏡等の撮像器具によって取得することができ、撮像器具はマニピュレータアセンブリ404によって操作することができる。
【0016】
オプションで、医療環境400に配置され得る別の構成要素は、制御システム408に通信可能に結合され得る表示システム416である。表示システム416は、例えば、ロボット支援処置を行うための画像、命令、及びデータを表示し得る。表示システム416上に提示される情報には、患者の解剖学的構造内からの内視鏡画像、ガイダンス情報、患者情報、及び処置計画情報が含まれ得る。いくつかの実施形態では、表示システムは、表示システムの移動位置決めを可能にする電子カートによって支持され得る。
【0017】
空間情報ソース417は、制御システム408に通信可能に結合され得る。空間情報ソース417は、プロセス102に送受信される前に、空間情報を取り込み及び/又は記憶し得る。いくつかの実施形態では、空間情報ソースは、医療環境内又は医療環境の近くから医療環境に関する空間情報を測定、スキャン、画像化、又は他の方法で記録できる電話、タブレット、カメラ、ラップトップ、又は他のポータブル測定装置等のモバイル装置であってもよい。モバイル装置には、空間情報を記録又は取り込むようにユーザに促すアプリケーションが含まれ得る。空間情報ソースは、医療環境400内に配置された、又は医療環境400の画像を記録できるカメラ、スキャナ、又は他の撮像装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、空間情報ソース417は、外科医428又はスタッフメンバ430によって支持されるポータブル装置であってもよい。さらに又は代わりに、空間情報ソース417は、医療環境400内の壁、床、天井、又は他の構成要素に取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、空間情報ソースは、環境をスキャンして、反射レーザ光を使用して3次元画像を生成するすることができるLIDARスキャンシステムを含んでもよい。空間情報ソース417は、医療環境の2次元又は3次元のサイズ、形状、及び構成データを記録及び/又は記憶することができる。空間情報は、直線寸法(例えば、長さ、幅、高さ)、向き情報、座標フレームの位置、画像データ、モデルデータ、及び絶対的又は相対的な位置/向き情報、又は医療環境空間に関する他のタイプの情報として受信され得る。
【0018】
動作制約ソース418は、制御システム408に通信可能に結合され得るか、又はメモリ410に格納され得る。動作制約ソース418は、医療環境400の外部に格納され、制御システム408によってアクセスされるデータベースであり得る。動作制約ソース418は、医療環境400における構成要素の動作モード毎の動作制約を含む記憶情報を含むことができる。例えば、動作制約には、各構成要素の運動学的情報、動作モードに必要な空間エンベロープのサイズ及び形状、必要な補助機器、必要なユーティリティへのアクセス、必要な人員へのアクセス、必要な交通流へのアクセス、患者の情報及び要件、及び/又は人員配置の要件に関する情報が含まれ得る。動作制約には、例えば、環境内のAC(交流)コンセント等のコンセントの位置、電気コード又はケーブル等の接続の長さ、ケーブル(例えば、光ファイバケーブル、電源ケーブル、データ転送ケーブル、内視鏡ケーブル)及びコード等の物理的な相互接続によって接続される構成要素同士の間の距離等、ユーティリティの制約に関する情報も含まれ得る。
【0019】
ガイダンスソース419は、制御システム408に通信可能に結合され得るか、又はメモリ410に格納され得る。ガイダンスソース419は、様々な動作モードのための医療環境を準備するためのモデル、ベストプラクティス情報、及び過去の処置情報を含む記憶した情報を含み得る。例えば、ガイダンスソースには、様々な処置のためのサンプル医療環境レイアウトが含まれ得る。さらに又は代わりに、ガイダンスソース419は、専門家、トレーナー、メンター、又はユーザエクスペリエンスをサポートし得る他のガイダンススタッフを含み得る助言オペレータを含む、リアルタイムの人員相談を含み得る。助言オペレータは、遠隔地にいて、遠隔接続されたトレーナー、メンター、スーパーバイザー、又は他の専門家の形態をとり、例えば、指示、提案、オプション、助言、及び警告の形式でガイダンスを提供することができる。
【0020】
制御システム408に通信可能に結合してもしなくてもよい医療環境400内の他の構成要素には、患者テーブル420と、器具テーブル、器具洗浄台、麻酔カート、供給カート、麻酔器具、キャビネット、及び座席等の補助構成要素422とが含まれ得る。制御システム408に通信可能に結合してもしなくてもよい医療環境400内の他の構成要素には、電気、水道、及び加圧空気出口等のユーティリティポート424が含まれ得る。
【0021】
医療環境400内の人々、又は医療環境400に入ることができる人々には、患者テーブル420上に位置付けされ得る患者426、オペレータインターフェイスシステム406にアクセスし得る外科医428、及び例えば外科スタッフ又は保守スタッフを含み得るスタッフメンバ430が含まれ得る。
【0022】
図1を再び参照すると、プロセス106で、医療環境で使用すべき構成要素の動作モードに関するインジケータを受信することができる。例えば、医療環境で使用するために特定した構成要素がロボット支援マニピュレータアセンブリ404である場合に、指示され得る動作モードには、医療環境の滅菌領域及び非滅菌領域を規定する滅菌準備モードが含まれる。滅菌領域及び非滅菌領域は、医療環境内の任意の2次元又は3次元領域であってもよい。滅菌準備モードでは、マニピュレータアセンブリは滅菌ドレープを受け入れるように配置され得、ドレープはマニピュレータアセンブリの上に配置され得る。いくつかの実施形態では、ドレーピング手順は、複数の監督されるステップを含み得る。動作モードには、医療処置を行うためにドレープしたマニピュレータアセンブリを準備する手順モードを含むこともできる。他の動作モードには、処置中のマニピュレータアセンブリが、器具を交換したり、マニピュレータアセンブリの性能上の問題を修正したりするためにオペレータの注意を必要とするトラブルシューティングモードと、マニピュレータアセンブリが定期的な保守又は修理サービスを受けるサービスモードとが含まれ得る。他の動作モードには、マニピュレータの損傷と製造元の基準への適合性を検査する検査モードと、マニピュレータアセンブリが消毒、滅菌、又は他の方法で洗浄される洗浄モードと、マニピュレータアセンブリが、医療処置の前後、又は使用しないときに収納される保管モードと、が含まれ得る。インジケータは、例えばモバイル装置上で受け取ったユーザ入力によって生成され得る。いくつかの例では、ユーザは、メニューから選択することによって1つ又は複数のモードを指定することができる。
図5に示されるように、タッチスクリーンディスプレイ等のユーザ入力装置500は、ロボット支援マニピュレータアセンブリ404の動作モードのメニュー502を提供することができる。示されるように、メニューオプションには、展開モード504、収納モード506、及びドレープモード506が含まれる。各モードは、マニピュレータアームの位置及び向き、セットアップした関節の向き、及び結合した器具を含むロボット支援マニピュレータアセンブリの構成に対応し得る。このモードは、ロボット支援マニピュレータアセンブリの動作モードをサポートするために医療環境内に位置付けすべき構成要素の集合に対応することもできる。このモードは、ロボット支援マニピュレータアセンブリの動作モード中に医療環境内に位置し得る患者、外科医、及び/又はスタッフを含む人々に対応することもできる。
【0023】
プロセス108で、動作制約のセットを受信することができる。動作制約は、例えば、動作制約ソース418、医療環境内の構成要素、ユーザ入力、及び/又は指示した動作モードの下での構成要素制約に関する情報を含む他のソースから受信され得る。受信した動作制約には、各構成要素の運動学的情報、動作モードに必要な空間エンベロープのサイズ及び形状に関する情報、必要な補助構成要素、必要なユーティリティへのアクセス、必要な人員アクセス、必要な交通流アクセス、患者情報、及び/又は人員配置の要件が含まれ得る。例えば、マニピュレータアセンブリ404が医療環境200で使用される構成要素であり、指示したモードが展開モードである場合に、受信した動作制約には、初期セットアップ関節構成;マニピュレータアームの可動域;取り付けた器具のタイプ及び可動域;麻酔カート、表示システム、備品等の医療環境に必要な補助構成要素;電力、水、空気、又はWi-Fi等のユーティリティのニーズ;体重、年齢、及び病歴等の患者情報;係員の数、係員の種類、アクセス要件等の人員配置情報;医療環境における温度及び/又は湿度を含む環境条件、及びマニピュレータアセンブリの展開中の構成要素及び人の動きを含む交通情報が含まれ得る。
【0024】
プロセス110において、環境準備計画は、動作制約のセット、空間情報、及びオプションでガイダンスソースからのガイダンス情報に基づいて生成され得る。いくつかの例では、環境準備計画の生成には、動作モードに応じて医療環境にどの構成要素を含めるかを決定すること、動作モードに応じて構成要素同士の間に必要なクリアランス距離を決定すること、動作モード中の構成要素の可動域の2次元又は3次元空間エンベロープを決定すること、オペレータのアクセスの方向を決定すること、構成要素とオペレータの相互作用に必要な空間を決定すること、必要なユーティリティアクセス及びアクセスに必要な周辺機器(例えば、ケーブル、コネクタ)を決定すること、必要な相互接続(例えば、ケーブル、コネクタ)の必要な長さ及び推奨量の相互接続スラックを決定すること、トラフィックパターンを決定すること、及び/又は人員のワークフロー及び備品、構成要素に出入りするのに必要なアクセスを決定すること、が含まれ得る。環境準備計画の生成には、例えば、医療環境内に1つ又は複数の構成要素及び任意の補助構成要素を配置するための2次元及び/又は3次元のモデル又はフロアプラン、医療環境内の滅菌エリア及び非滅菌エリアの識別、セットアップのための一連の指示、人員向けの交通及びアクセスマップを含む静的又はアニメーション化されたプランを生成することが含まれ得る。環境準備計画には、人員の位置及び動きを示すアバター又は他のマーカーが含まれる場合がある。環境準備計画の生成には、医療環境のモード又は空間境界に特有の警告の生成を含んでもよく、又は動作モードを医療環境の空間境界内で安全に又は効果的に実行できないという通知の生成を含んでもよい。いくつかの例では、警告は、非滅菌人員に対する、環境の滅菌領域(の侵入)を避けるための警告を含んでもよく、及び/又は、違反するリスクがある滅菌領域又は滅菌領域に違反するリスクのある処置手順を特定してもよい。
【0025】
ガイダンスソース419からのガイダンス情報は、環境準備計画を作成するためにアクセス又は参照され得る。ガイダンス情報には、様々なモードのモデル医療環境レイアウト、様々なモードを実行するための製造業者の指示、様々なモードを実行するための専門家のガイダンス、指示した使用モードでの構成要素の以前の動作に関連するベストプラクティス、及び指示した使用モードでの構成要素の以前の動作で特定された問題に関連するアラートを含む記憶情報が含まれ得る。
【0026】
いくつかの例では、環境準備計画を生成することには、動作モード中の2つの構成要素間の閾値距離を決定することが含まれる。閾値距離は、例えばガイダンスソースから取得することができる。環境準備計画では、2つの構成要素は、少なくとも最小閾値距離離れているか、最大閾値距離以下になるように配置することができる。例えば、構成要素の配置が閾値距離を満たさない場合に、生成される環境準備計画には、警告が含まれ、又はエラーと、環境準備計画を生成できない理由の説明とが含まれる場合がある。例えば、閾値距離は、マニピュレータアセンブリと器具カートとの間、又はマニピュレータアセンブリと患者テーブルとの間で決定され得る。いくつかの例では、環境準備計画を生成することには、動作モード中の構成要素のアクセス方向を決定すること、及び決定したアクセス方向を動作モードの所定のアクセス方向(例えば、ガイダンスソースによって提供される)と比較することが含まれる。
【0027】
いくつかの例では、環境準備計画は、制御システム(例えば、制御システム408)によって、又はガイダンスソース(例えば、ガイダンスソース419)によって生成され得る。いくつかの例では、ガイダンス情報は、環境準備計画の作成をサポートするための個別のアドバイザ、助言ネットワーク、又は助言委員会であり得る助言オペレータによって提供され得る。助言オペレータは、遠隔地にいて、遠隔接続されたトレーナー、メンター、スーパーバイザー、又は他の専門家の形態をとり、環境準備計画を作成するための指示、提案、オプション、助言、警告等を提供する場合がある。助言オペレータは、環境準備計画の作成にリアルタイムで入力を提供する、又は医療環境の人員と協力して作業することができる。あるいはまた、環境準備計画は、時間又は日にちを含む間隔をあけて要求され、配信される場合もある。
【0028】
プロセス112において、環境準備計画は、表示システム416等の医療環境内のディスプレイに表示され得る。代わりに又はさらに、環境準備計画は、医療環境内又は医療環境の近くのモバイル装置上に表示され得る。モバイル装置には、環境準備計画を表示するアプリケーションが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、環境準備計画を表示するアプリケーションは、空間情報を記録又は取り込むようにユーザに促したアプリケーションと同じであってもよい。環境整備計画は、2次元ビューで表示してもよく、又は3次元ビューで表示してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、2次元ビューと3次元ビューとを切り替えることができる。
図6は、壁201、202、203、204内のマニピュレータアセンブリ404の処置(手順)モードのための環境準備計画600を表示する、携帯電話上のタッチスクリーンディスプレイ等のユーザディスプレイ及び入力装置300を示す。マニピュレータアセンブリ404の処置モードで使用する構成要素には、オペレータインターフェイスシステム406、ディスプレイ416、患者テーブル420、並びに麻酔カート602、器具カート604、テーブル506、及び備品608を含む補助構成要素が含まれる。環境準備計画500は、壁によって提供される空間境界に対する全ての環境構成要素の最適化した配置を示している可能性がある。最適化した配置には、例えば、処置モード中にアクセスが必要になり得る全ての構成要素領域へのスタッフのアクセス、処置モード中に使用されるユーティリティの近くに配置された構成要素、スタッフの移動時間と経路の交差点を最小限に抑える交通パターン、及び処置モード中のマニピュレータ及び結合された器具の全可動域を可能にする空間を確保することが含まれる場合がある。環境準備計画には、仮想スタッフメンバ、外科医、及び/又は患者のレンダリング(例えば、アバター)も含まれる場合があり、これには、例えば、交通ルート、滅菌領域、アクセス経路、個人化した指示、又は人員配置又は動きの他のガイダンスも含まれ得る。環境準備計画には、追加のガイダンスを提供するための注釈、又はシンボル、色インジケータ、アニメーションインジケータ等のグラフィックマーカーが含まれる場合がある。例えば、方向インジケータ610は、動作モード中の移動経路又は構成要素の動きを指示するために使用され得る。構成要素又はインジケータは、視聴者の注意を引いたり、追加情報を提供したりするために、アニメーション化されたり、人工色でレンダリングされたりする場合がある。追加の情報又は指示を与えるために注釈を含めることもできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、環境準備計画は、遠隔メンター、スーパーバイザー、トレーナー、専門家助言グループ、或いは計画及び/又はその後の実装に興味を有し得る他の個人又はグループであり得る遠隔ユーザ(例えば、医療環境とは異なる場所にいる)遠隔のユーザに表示され得る。
【0030】
プロセス114(これはオプションであってもよい)において、環境準備計画の実施が評価される。例えば、動作モードの準備のために医療環境内の構成要素を配置した後に、医療環境内の構成要素の実際の配置が環境準備計画と一致するか、又はどの程度一致するかを判定するための評価を行うことができる。評価は、例えばマニピュレータアセンブリを含む、配置した構成要素から受信した運動学的情報、及び/又は構成要素を配置した後に受信した医療環境の画像に基づくことができる。さらに又は代わりに、評価は、プロセス110で環境準備計画の生成に関与する助言オペレータ等の助言オペレータによって行ってもよい。さらに又は代わりに、評価は、外科医、外科メンター、若しくはスーパーバイザリ委員会又は個人によって、客観的基準又は主観的基準に基づいて行ってもよい。例えば、処置を実施した後に、外科医は、その後の準備計画を作成する際に使用するために参照できる、患者の肯定的な転帰、効率的な転帰、又は他の肯定的又は否定的なインジケータに関連するものとして処置計画を保存し、識別することができる。
【0031】
さらに又は代わりに、実施した手順(処置)は、パフォーマンスメトリックに基づいて評価してもよい。パフォーマンスメトリックは、手順の実施中及び/又は実施後に生成され得る。計画を実施するにつれて、患者の解剖学的構造で遭遇する状況、マニピュレータのパフォーマンス、患者又はマニピュレータと遭遇した状況に対するスタッフの反応、及び/又は患者又はマニピュレータと遭遇した状況に対する外科医の反応等、予想される状況及び予期せぬ状況により、生成した計画からの逸脱が発生する可能性がある。手順(処置)の実施中に、パフォーマンスメトリックには、ロボット支援マニピュレータアセンブリ及び/又は取り付けた器具に関して生成した運動学的情報が含まれる場合があり、マニピュレータアセンブリ及び/又は医療器具の構成要素の寸法、関節の配置、構成要素の位置情報、構成要素の向き情報、及び/又はポートの配置等の構造情報が含まれる場合がある。運動学的情報には、遠隔操作アセンブリにおける関節の可動域、速度又は加速度の情報、及び/又は抵抗力等の動的な運動学的情報も含まれ得る。構造的又は動的な運動学的制約情報は、例えば、マニピュレータアームの構成、医療器具の構成、関節の構成、構成要素の変位、構成要素の速度、及び/又は構成要素の加速度を測定する遠隔操作アセンブリ内のセンサによって生成され得る。センサには、電磁(EM)センサ等の位置センサ、光ファイバセンサ等の形状センサ、及び/又はレゾルバ、エンコーダ、ポテンショメータ等のアクチュエータ位置センサが含まれ得る。
【0032】
パフォーマンスメトリックには、処置(手順)全体の経過時間、処置の各又は複数の個別のサブユニットの経過時間、ツール交換又は保守活動等の活動を完了するまでの経過時間、滅菌エリアの違反又は略違反(例えば、違反距離の閾値に基づく)の回数及び期間、及び/又は計画した移動と比較した人員の追跡した移動も含まれる場合がある。いくつかの例では、パフォーマンス品質メトリックには、指示に従う人間の応答の正確さが含まれる場合がある。例えば、第1のマニピュレータアームでツールの交換が指示されているが、スタッフメンバが代わりに第2のマニピュレータアームでツールを交換した場合に、パフォーマンスメトリックは指示の不遵守を示し得る。パフォーマンスメトリックは、遵守/不遵守等のバイナリメトリックである場合もあれば、連続的な場合もある。連続的なメトリックには、例えば、スタッフの総移動距離、処置中のミス又は計画外の出来事の回数、使用した器具の数量、損傷した器具の数量、交換した器具の数量、又は処置の実施中に必要となる人間の介入の種類を説明するひどさ(severity)のメトリックが含まれる場合がある。
【0033】
パフォーマンスメトリックには、処置中及び/又は処置後の失血、患者の回復時間、関連する合併症による医療施設への患者の再入院、及び退院までの患者の時間、患者の処置後の感染等の患者の転帰の品質メトリックを含む処置後の測定も含まれる場合がある。処置後の測定には、マニピュレータアセンブリの損傷又は摩耗の測定も含まれる場合がある。
【0034】
パフォーマンスメトリックは、専門の外科医及びスタッフによって開発された基準、以前の複数の処置を解析することによって開発されたベンチマーク、及び/又は計画した処置によって提供される基準と比較することができる。例えば、実施した処置からの運動学的情報は、処置計画によって推奨された運動学的情報と比較され、実施した運動学的情報が計画した運動学的情報と一致するかどうか、及びどの程度一致するかについて評価が行われ得る。いくつかの例では、評価によりスコアが生成され得る。経過時間を含むパフォーマンスメトリックの評価は、処置のどこで(例えば、どのサブユニットで)遅延又は間違いが発生したかを示すことがすることができる。いくつかの実施形態では、実施した手順(処置)を評価することは、パフォーマンスメトリックをベンチマークメトリックと比較し、遅延又は間違い等の次善の(suboptimal:不適当な)結果を識別することを含むことができる。いくつかの実施形態では、実施した処置を評価することは、パフォーマンスメトリックをベンチマークメトリックと比較し、ベンチマークメトリックと有利に比較するモデル結果を識別することを含むことができる。
【0035】
プロセス114における評価の結果(初期準備計画を含む)は、同じ外科医又は異なる外科医によって行われる後の処置における参照又は選択のために保存され得る。結果は、病院、医療グループ、助言機関、システム製造業者、及び/又は評価を単独又は集合的に様々な目的(準備計画の作成における入力の品質の向上等)に使用し得る他の個人又はグループに提供される場合もある。実施した処置の評価から得られる次善の結果とモデル結果との両方が、その後の処置(手順)を改善するための有用な情報を提供する可能性がある。
【0036】
一実施形態、実施態様、又は応用例を参照して詳細に説明した要素は、オプションで、具体的に図示又は説明していない他の実施形態、実施態様、又は応用例に実際にいつでも含めてもよい。例えば、ある要素を第1の実施形態を参照して詳細に説明し、第2の実施形態を参照して説明していない場合でも、その要素は第2の実施形態に含まれると主張することができる。こうして、以下の説明における不必要な繰返しを避けるために、1つの実施形態、実施態様、又は応用例に関連して図示及び説明した1つ又は複数の要素は、別段の記載がない限り、1つ又は複数の要素によって実施形態又は実施態様を機能させないようにしない限り、或いは2つ以上の要素が競合する機能を提供しない限り、他の実施形態、実施態様、又は態様に組み込むことができる。
【0037】
説明した装置、システム、器具、方法に対する任意の変更及び更なる修正、及び本開示の原理の更なる応用は、本開示が関連する当業者が通常想起するように、十分に企図される。特に、一実施形態に関して説明した特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して説明した特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせることができることが十分に企図される。さらに、本明細書で提供した寸法は特定の例のためのものであり、本開示の概念を実現するために異なるサイズ、寸法、及び/又は比率を利用してもよいことが企図される。不必要な説明の繰返しを避けるために、1つの例示的な実施形態に従って説明した1つ又は複数の構成要素又は動作は、他の例示的な実施形態から適用可能である場合に使用する又は省略することができる。簡潔にするために、これらの組合せの多数の繰返しについては個別に説明しない。
【0038】
様々なシステム及びシステムの一部について、3次元空間での状態の観点から説明してきた。本明細書で使用する場合に、「位置」という用語は、3次元空間(例えば、デカルトX、Y、Z座標に沿った3つの並進自由度)における物体又は物体の一部の位置を指す。本明細書で使用する場合に、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、ヨー)を指す。本明細書で使用する場合に、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の一部の位置、及び少なくとも1つの回転自由度におけるその物体又は物体の一部の向きを指す(合計で最大6つの自由度)。
【0039】
本明細書で説明した例のいくつかは、外科的処置又は器具、又は医療処置及び医療器具に言及しているが、開示した技術は、オプションで、非医療処置及び非医療器具に適用される。例えば、本明細書で説明した器具、システム、及び方法は、産業用途、一般的なロボット用途、及び非組織ワークピースの感知又は操作を含む非医療目的に使用することができる。他の応用例には、美容上の改善、人間又は動物の解剖学的構造の画像化、人間又は動物の解剖学的構造からのデータ収集、医療従事者又は医療従事者以外の訓練が含まれる。更なる応用例には、人間又は動物の解剖学的構造から除去された組織に対する処置(人間又は動物の解剖学的構造に戻すことなく)への使用、及び人間又は動物の死体に対する処置の実行が含まれる。さらに、これらの技術は、外科的及び非外科的治療又は診断処置にも使用することができる。
【0040】
コンピュータは、プログラムされた命令に従って入力情報に対して数学的又は論理的関数を実行し、処理した出力情報を生成する機械である。コンピュータは、数学的又は論理的機能を実行する論理ユニットと、プログラムされた命令、入力情報、及び出力情報を格納するメモリとを含む。「コンピュータ」という用語と、「プロセッサ」、「コントローラ」、「制御システム」等の同様の用語は類似している。
【0041】
本発明の特定の例示的な実施形態について、説明し、添付の図面に示してきたが、そのような実施形態は単なる例示であり、広範な本発明を限定するものではなく、当業者であれば、他の様々な修正を想起する可能性があるため、本発明の実施形態は、図示及び説明した特定の構造に限定されないことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、当該システムは、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶したメモリと、を含み、
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、
医療環境の空間情報を受信すること、
前記医療環境で使用する構成要素を決定すること、
該構成要素の動作モードのインジケータを受信すること、
前記構成要素の前記動作モードに関する動作制約のセットを受信すること、及び
該動作制約のセット及び前記空間情報に基づいて、環境準備計画を生成すること、を行わせる、
システム。
【請求項2】
前記空間情報は、前記医療環境内のカメラから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記空間情報は、3次元深度マッピングシステムから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記空間情報は、センサシステムから受信される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記決定した構成要素は、ロボット支援マニピュレータアセンブリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作モードは
、準備モード
、手順モード、格納モード、又はサービス提供モードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作制約のセットには、前記構成要素の可動域の空間エンベロープが含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記動作制約のセットには、前記構成要素の運動学的情報が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記動作制約のセットには、補助構成要素の要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記動作制約のセットには、前記構成要素に関するユーティリティアクセス要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記動作制約のセットには、動作アクセス要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作制約のセットには、前記動作モードに関する人員配置要件
又は患者要件が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記環境準備計画を生成することは、前記構成要素と第2の構成要素との間の距離を閾値距離と比較することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記環境準備計画を生成することは、前記構成要素のアクセス方向を、前記動作モードの所定のアクセス方向と比較することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータ可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、当該システムに、第2の環境準備計画の生成において使用又は参照するために前記環境準備計画を格納させる
、又は前記環境準備計画を、実施に基づく評価インジケータとともに格納させる、請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】