(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】蜂蜜及びカンナビノイドを含む安定な組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/644 20150101AFI20231206BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20231206BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231206BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231206BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231206BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231206BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20231206BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231206BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20231206BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20231206BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20231206BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20231206BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20231206BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231206BHJP
A61K 31/121 20060101ALI20231206BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61K35/644
A61K31/05
A61P17/00
A61P17/02
A61P25/22
A61P25/00
A61P25/02
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 121
A61P11/04
A61K31/192
A61K31/352
A61K47/69
A61K47/40
A61K47/10
A61K31/121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533358
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 NZ2021050212
(87)【国際公開番号】W WO2022114969
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523202565
【氏名又は名称】エムダブリュー・ファーマ・アイピー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MW PHARMA IP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,マーク・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】キャッチポール,オーウェン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モレーノ・ルエダ,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】タロン,スティーブン・ジョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
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(57)【要約】
蜂蜜、カンナビノイド、及び乳化剤、及びメチルグリオキサール、カンナビノイドを含む組成物が開示される。この乳化剤は、好ましくはシクロデキストリンである。この組成物は、メチルグリオキサール及びジヒドロキシアセトンを含む、蜂蜜中の有効成分の分解速度が低下するように安定化される。この組成物はまた、カンナビノイドの分離速度が低下し、そして組成物の均一性が経時的に維持されるように、物理的に安定化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
・蜂蜜;
・カンナビノイド;及び
・乳化剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記蜂蜜がマヌカ蜂蜜を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記蜂蜜が、メチルグリオキサールを含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の含水率が、20%未満である、請求項1~3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
前記カンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、及びテトラヒドロカンナビバリンからなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
組成物1gあたり少なくとも1mgのカンナビノイドを含む、請求項1~5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
調製後6ヶ月で、又は調製後12ヶ月で、又は調製後18ヶ月で、又は調製後24ヶ月で、組成物の1グラムあたり少なくとも1mgのカンナビノイドを含む、請求項1~6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのメチルグリオキサールを含む、請求項1~7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
調製後6か月で、又は調製後12か月で、又は調製後18か月で、又は調製後24か月で、組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのメチルグリオキサールを含む、請求項1~8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
前記乳化剤が、シクロデキストリンを含む、請求項1~9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比が、4:1(w/w)より大きい、請求項10又は11記載の組成物。
【請求項13】
シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比が、約9:1(w/w)である、請求項10から12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも90%(w/w)の蜂蜜を含む、請求項1~13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
前記カンナビノイドが、好ましくは調製後6ヶ月で、又は調製後12ヶ月で、又は調製後18ヶ月で、又は調製後24ヶ月で、組成物中に均一に分布している、請求項1~14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
以下の工程:
a)前記カンナビノイドと前記乳化剤を組み合わせて、カンナビノイド-乳化剤の組み合わせを形成する工程;及び
b)前記組み合わせと蜂蜜とを組み合わせる工程
を含む、請求項1から15のいずれか1項記載の組成物を調製する方法。
【請求項17】
前記乳化剤が、シクロデキストリンを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記シクロデキストリンとカンナビノイドは、水と水混和性溶媒の存在中で組み合わされる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が、イソプロピルアルコールを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記カンナビノイド-乳化剤の組み合わせが、工程bの前に乾燥される、請求項16から19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記カンナビノイド-乳化剤の組み合わせが、工程bの前に粉末として提供される、請求項16から20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
以下:
・メチルグリオキサール
・カンナビノイド;及び
・乳化剤
を含む組成物。
【請求項23】
前記乳化剤がシクロデキストリンである、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
蜂蜜をさらに含む、請求項22又は23記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蜂蜜及びカンナビノイドを含む組成物に関する。より具体的には、本発明は、マヌカ蜂蜜(Manuka honey)及びカンナビノイドを含む安定化された組成物並びにその調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜の健康及び医療上の利益は、何世紀にもわたって知られてきた。蜂蜜は、局所の抗生剤として、火傷及びその他の皮膚損傷の処置、並びに咳及び喉の痛みの処置に人気の民間療法であった。
【0003】
マヌカ蜂蜜は、マヌカ植物(ギョリュウバイ)(Leptospermum scoparium)を採餌する蜜蜂により生成される蜂蜜である。
【0004】
蜂蜜の抗菌活性が、過酸化水素の存在に起因するとされている一方、マヌカ蜂蜜は、単独の有効成分に全く起因しない追加の抗菌活性を有することが示されている。この追加の活性は、主として、メチルグリオキサール(MGO)及びジヒドロキシアセトン(DHA)によると考えられる。DHAは、蜂蜜中で経時的に変化し、且つ温度と共に上昇する速度でMGOに変化する前駆体化合物である。
【0005】
マヌカ蜂蜜の活性は、しばしばユニークマヌカファクター(Unique Manuka Factor(UMF)値として報告される。UMF値は、MGOの濃度と相関し、そして蜂蜜と同じ抗菌活性を生成するために必要なフェノールと等価な濃度(%、w/v)を反映する(Singh et al., AIMS Microbiol. 2018; 4(4): 655-664)。生理学的には、MGOは、活性酸素種と見なされる。UMF値が高いほど、マヌカ蜂蜜の活性のレベルは高くなる。
【0006】
マヌカ蜂蜜の活性はまた、そのMGOの濃度に対する参照により報告され得る。活性はまた、非過酸化物抗菌活性(NPA)として報告され得る(Cokcetin, Pappalardo, PLoS ONE, (2016) 11(12): e0167780)。
【0007】
より高いUMF値又はNPA値を有するマヌカ蜂蜜は、健康上の利益を有する蜂蜜を求める消費者によってさらに期待されている。高いUMF値の蜂蜜はまた、医療グレードの蜂蜜製品に使用するためにも期待されている。
【0008】
必ずしもマヌカ蜂蜜とは見なされない他の蜂蜜は、オーストラリアのLeptospermum種から生成される蜂蜜(Cokcetin, Pappalardo, PLoS ONE, (2016) 11(12): e0167780))、及びKunzea ericoidesの花に由来する蜂蜜である、カヌカ蜂蜜(Kanuka honey)を含み、MGOを含むことが知られている。
【0009】
5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の存在、及び濃度は、一般的な蜂蜜、そして特にマヌカ蜂蜜の分解の指標である。HMFの濃度は、蜂蜜の経年と共に上昇し、そして蜂蜜が加熱される場合、上昇する。
【0010】
マヌカ蜂蜜のUMF値は、HMFの増加する濃度と共に低下する。マヌカ蜂蜜のUMF値はまた、他の成分と混合する場合、低下する。HMFの濃度は、他の成分と混合する場合、具体的には、添加した成分に化学的に反応性がある場合、増加する傾向にある。
【0011】
したがって、蜂蜜、及び特にマヌカ蜂蜜の保存期間は、(1)その経年、(2)それが上昇した温度に供されたかどうか、及び/又は(3)化学的に反応性のある添加物の存在に依存する。
【0012】
カンナビス植物により生成されるカンナビノイドの健康上及び医療上の利益は、現在、増加した関心対象の主題であり、その化合物の消費に対して国民の意識が変化していること及び、アメリカ合衆国、イギリス、ヨーロッパ、カナダ、及びニュージーランドを含むいくつかの管轄区域におけるその使用に関する規制が緩和していることに一部に起因する。
【0013】
例えば、カンナビジオール(CBD)は、不安、疼痛、運動障害を含む神経学的病態の処置において有効であると考えられる。カンナビゲロール(CBG)は、抗菌及び抗炎症の用途における可能性を有する別のカンナビノイドである。
【0014】
純粋なカンナビジオールは、室温で固体である。それは、カンナビジオール単離物を含むいくつかのグレード、及びブロードスペクトラムオイル(broad spectrum oil)として市販されている。カンナビジオール単離物は、固体であるか又は担体のオイル中に溶解されるかのいずれかで有り得るカンナビジオールを含む。ブロードスペクトラムオイルは、他のカンナビノイドと共に、主としてカンナビジオールを含むカンナビス植物からのオイル抽出物である。
【0015】
構造的に類似した他のカンナビノイドと同様に、カンナビジオールは、経時的に、少なくとも部分的に酸化を経て、且つ日光に対する曝露により分解することが知られている(例えばMoreno, T, Ind. Eng. Chem. Res. 2020, 59, 46, 20307-20315; R. Mechoulam, Chemistry and Physics of Lipids, 121, (2002), 35-43を参照のこと)。カンナビジオールの、反応性酸素種のような他の化学反応化性化合物合物との組み合わせは、その分解の速度も増加させる。
【0016】
マヌカ蜂蜜とカンナビノイドの両方は、健康及び幸福の改善のための、並びに/又は神経学的若しくは身体的な病態及び疾患の処置のための人工的又は医薬的な療法に対する別の天然物を提供するという認識がある。しかし、マヌカ蜂蜜とカンナビノイドの組み合わせは、少なくとも部分的に、蜂蜜中のカンナビノイドの低い溶解性のために、物理的に安定な組成物の供給における問題を提起する。さらに、その中でマヌカ蜂蜜とカンナビノイドの両方の有効成分が分解から保護される化学的に安定な組成物を調製することにおいては課題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様では、以下:
・蜂蜜;
・カンナビノイド;及び
・乳化剤
を含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施態様では、この組成物は、本質的に蜂蜜、カンナビノイド及び乳化剤からなる。
【0019】
好ましくは、蜂蜜は、メチルグリオキサールを含む。蜂蜜は、83mg/kg以上、又は263mg/kg以上、又は514mg/kg以上の含有量のメチルグリオキサールを有してもよい。
【0020】
好ましくは、蜂蜜は、マヌカ蜂蜜を含む。マヌカ蜂蜜は、5+のUMF値を有してもよい。マヌカ蜂蜜は、10+、又は15+以上のUMF値を有してもよい。
【0021】
好ましくは、この組成物の含水率は、20%未満である。
【0022】
好ましくは、この組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも0.5mgのカンナビノイドを含む。組成物は、組成物の1グラムあたり0.5mgと15mgの間のカンナビノイドを含んでもよい。
【0023】
好ましくは、カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビクロメン(CBC)、テトラヒドロカンナビバリン、それらの塩、酸、及びエステル型、又はそれらに構造的に関連する化合物から選択される。前述の化合物に構造的に関連するカンナビノイドは、(1)環の1位及び3で結合する水酸基又はエーテル;(2)(1)での基の位置に対して、環の5位で結合するアルキル鎖(好ましくはC3~C8、より好ましくはC3-C5のアルキル鎖);及び(3)(1)での基の位置に対して、環の2位で結合する不飽和アルキル鎖(好ましくは、モノテルペノイド部分)、に結合する6員の飽和、不飽和、又は芳香族(望ましくは不飽和又は芳香族)炭化水素環を含み、ここで不飽和アルキル鎖は、(1)で結合するエーテルを介して環に結合してもよい。
【0024】
本出願の目的のために、カンナビノイドは、植物由来及び非植物由来の両方のカンナビノイドを含む。
【0025】
一実施態様では、カンナビノイドは、本質的に、カンナビジオールを含むか、又はからなる。この組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも0.5mgのカンナビジオールを含んでもよい。組成物は、組成物の1グラムあたり0.5mgと15mgの間のカンナビジオールを含んでもよい。
【0026】
別の実施態様では、カンナビノイドは、本質的に、カンナビゲロールを含むか、又はからなる。組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも0.5mgのカンナビゲロールを含んでもよい。組成物は、組成物の1グラムあたり0.5mgと15mgの間のカンナビゲロールを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、好ましくは、この組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも1mgのカンナビノイドを含む。この実施態様では、好ましくは、組成物は、特に25℃以下で保存した場合、調製後6か月で、又は調製後12か月で、又は調製後18か月で、又は調製後24か月で、組成物の1gあたり少なくとも1mgのカンナビノイドを含む。
【0028】
いくつかの実施態様では、この組成物は、好ましくは、組成物の1グラムあたり少なくとも7mgのカンナビノイドを含む。この実施態様では、好ましくは、組成物は、特に25℃以下で保存した場合、調製後6ヶ月で、又は調製後12ヶ月で、又は調製後18ヶ月で、又は調製後24ヶ月で、組成物の1グラムあたり少なくとも7mgのカンナビノイドを含む。
【0029】
いくつかの実施態様では、この組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも1mgのカンナビジオールを含む。この実施態様では、好ましくは、組成物は、特に25℃以下で保存した場合、調製後6ヶ月、又は調製後12ヶ月、又は調製後18ヶ月、又は調製後24ヶ月において、組成物の1グラムあたり少なくとも1mgのカンナビジオールを含む。
【0030】
他の実施態様では、好ましくは、この組成物は、組成物の1グラムあたり少なくとも7mgのカンナビジオールを含む。この実施態様では、組成物は、特に25℃以下で保存した場合、調製後6ヶ月で、又は調製後12ヶ月で、又は調製後18ヶ月で、又は調製後24ヶ月で、組成物の1グラムあたり少なくとも7mgのカンナビジオールを含む。
【0031】
好ましくは、蜂蜜は、ジヒドロキシアセトンを含む。この組成物は、組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのジヒドロキシアセトンを含み、そして特に25℃以下で保存した場合、調製後6か月で、又は調製後12か月で、又は調製後18か月で、又は調製後24か月で、組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのジヒドロキシアセトンをさらに含む。
【0032】
この組成物は、組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのメチルグリオキサールを含んでもよく、そしてさらに好ましくは、特に25℃以下で保存した場合、調製後6か月で、調製後12か月で、調製後18か月で、又は調製後24か月で、組成物の1キログラムあたり少なくとも250mgのメチルグリオキサールを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、この組成物は、組成物の1キログラムあたり45mg以下の5-ヒドロキシメチルフルフラールを含み、そして、特に25℃以下で保存した場合、調製後6か月で、又は調製後12か月で、又は調製後18か月で、又は調製後24か月で、組成物の1キログラムあたり45mg以下の5-ヒドロキシメチルフルフラールをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施態様では、この乳化剤は、本質的にレシチンを含んでもよく、又はからなってもよい。これらの実施態様では、レシチン:カンナビノイドの比は、少なくとも0.5:1(w/w)である。好ましくは、レシチンのカンナビノイドに対する比は、少なくとも2:1(w/w)以上、例えば、レシチンのカンナビノイドに対する比は2:1と10:1(w/w)の間であってもよい。
【0035】
いくつかの実施態様では、この乳化剤は、本質的に、シクロデキストリンを含んでもよく、又はからなってもよい。シクロデキストリンは、α-、β-、γ-シクロデキストリン、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。これらの実施態様では、好ましくは、シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比は、少なくとも3:1(w/w)である。好ましくは、シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比は、4:1(w/w)よりも大きい。好ましい一例では、シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比は、約9:1(w/w)である。好ましくは、シクロデキストリン:カンナビノイドのモル比は少なくとも1:1である。好ましくは、シクロデキストリン:カンナビノイドのモル比は少なくとも2:1である。これらの実施態様では、好ましくは、組成物はシクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む。複合体は、シクロデキストリンとカンナビノイドの間の非共有結合又は水素結合のような安定化相互作用を含んでもよい。
【0036】
好ましくは、この組成物は、少なくとも90%(w/w)の蜂蜜を含む。
【0037】
好ましくは、カンナビノイドは、組成物中に均一に分布しており、そして好ましくは、調製後6ヶ月で、又は調製後12ヶ月で、又は調製後18ヶ月で、又は調製後24ヶ月で、均一に分布したままである。
【0038】
別の態様では、以下:
a)カンナビノイドと乳化剤を組み合わせてカンナビノイド-乳化剤の組み合わせを形成する工程;及び
b)その組成物を蜂蜜と組み合わせる工程
の工程を含む、本発明の組成物を調製するための方法が提供される。
【0039】
いくつかの実施態様では、この乳化剤は、本質的に、レシチンを含むか、又はからなる。これらの実施態様では、好ましくは、カンナビノイド及びレシチンは、50℃未満の温度で組み合わされる。
【0040】
いくつかの実施態様では、この乳化剤は、本質的に、シクロデキストリン、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、及びそれらの組み合わせを含むか、又はからなる。これらの実施態様では、シクロデキストリン及びカンナビノイドは、水及び非水性溶媒の存在において組み合わされる。これらの実施態様では、好ましくは、カンナビノイド及びシクロデキストリンは、50℃未満の温度で組み合わされる。好ましくは、この溶媒は、イソプロピルアルコールのような水混和性溶媒を含む。好ましくは、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体は、工程bの前に乾燥される。好ましくは、カンナビノイド-乳化剤の組み合わせは、工程bの前に粉末として提供される。
【0041】
別の態様では、カンナビノイドと乳化剤を組み合わせてカンナビノイド-乳化剤の組み合わせを形成する工程を含む、カンナビノイド及び蜂蜜を含む組成物の有効期間、又は実質的な均一性の時間の長さを延長するための方法が提供される。
【0042】
別の態様では、以下:
・メチルグリオキサール;
・カンナビノイド;及び
・乳化剤
を含む組成物が提供される。
【0043】
好ましくは、メチルグリオキサールは、蜂蜜由来である。好ましくは、この組成物は、蜂蜜をさらに含む。
【0044】
定義
ブロードスペクトラムオイル(BSO):
数種のカンナビノイド(主にカンナビジオール)を含むカンナビス植物大麻植物(例えば、Cannabis sativa及びCannabis indica)からのオイル抽出物である。ブロードスペクトラムオイルは、中鎖トリグリセライドオイルなどの担体オイル中で希釈されてもよい。
【0045】
カンナビノイド:
テトラヒドロカンナビノール及びカンナビジオールに構造的に関連する化合物である。カンナビノイドとしては、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビクロメン(CBC)、及びテトラヒドロカンナビバリン、それらの塩、酸、及びエステル体が挙げられる。本出願の目的のために、カンナビノイドは、植物由来及び非植物由来の両方のカンナビノイドを含む。
【0046】
カンナビジオール:
UPAC化学式 2-[(1R,6R)-6-イソプロペニル-3-メチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオール、及び以下に示される構造:
【化1】
を有するカンナビノイドである。
【0047】
カンナビジオール単離物:
実質的に精製されたカンナビジオールである。カンナビジオール単離物は、典型的には少なくとも98%(w/w)のカンナビジオールを含む。
【0048】
カンナビゲロール:
IUPAC化学式 2-[(2E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエニル]-5-ペンチル-ベンゼン-1,3-ジオール、及び以下に示される構造:
【化2】
を有するカンナビノイドである。
【0049】
マヌカ蜂蜜:
Leptospermum scopariumの蜜を収穫する蜜蜂により生成される単花性の蜂蜜である。
【0050】
UMF:ユニークマヌカファクター:
蜂蜜と同じ抗菌活性を生成するために必要なフェノールと等価の濃度(%(w/v))に基づく、蜂蜜の抗菌活性の測定値である。UMF値は、UMF5+蜂蜜が、83mg/kg以上のMGOを有し、UMF10+が、263mg/kg以上のMGOを有し、UMF15+が、514mg/kg以上のMGOを有するような、主としてMGOの測定値に基づいている(UMF蜂蜜協会(Unique Manuka Factor Honey Association). Grading System Explained 2019. https://www.umf.org.nz/grading-system-explained/. [last accessed 22 November 2021]))。
【0051】
詳細な説明
本発明は、蜂蜜及びカンナビノイドを含む安定な組成物を提供する。より具体的には、本発明は、マヌカ蜂蜜、カンナビノイド、及び乳化剤を含む安定な組成物を提供する。さらに、本発明は、MGO、カンナビノイド、及び乳化剤を含む安定な組成物を提供する。本発明は、カンナビノイド及び乳化剤、特にシクロデキストリンの組み合わせが、蜂蜜の活性成分によるカンナビノイドの分解速度を低下させ、そしてカンナビノイドによる蜂蜜の活性成分の分解速度を低下させるという驚くべき発見に基づく。
【0052】
蜂蜜
MGOを含む蜂蜜が好ましい。MGO及びDHAを含む蜂蜜がより好ましい。好ましい蜂蜜は、1kgの蜂蜜あたり83mg以上のMGOの含有量、又は1kgの蜂蜜あたり263mg以上のMGOの含有量、又は1kgの蜂蜜あたり514mg以上のMGOの含有量のメチルグリオキサール含有量を含む。したがって、マヌカ蜂蜜(本来MGO及びDHAを含む)は好ましい蜂蜜の一例である。好ましい例では、マヌカ蜂蜜は、少なくとも5(5+)、少なくとも10(10+)又は少なくとも15(15+)のUMF値を有する。健康上の利益及び/又は消費者へのアピールを付与する、過酸化水素、MGO、DHAを含む、高い濃度の活性成分のために、マヌカ蜂蜜は好ましい。マヌカ蜂蜜の典型的な水分含有量は、約17~19%(w/w)である。
【0053】
別の好ましい蜂蜜は、たとえマヌカ蜂蜜又はLeptospermum scoparium由来の単花蜂蜜とは見なされなくてもよいが、MGO及び/又はDHAを含む蜂蜜を含む。例としては、他のLeptospermum種に由来する蜂蜜、及びKunzea ericoidesの花に由来する蜂蜜であるカヌカ蜂蜜が挙げられる。
【0054】
カンナビノイド
いずれのカンナビノイドも、本発明の組成物に好適である。本明細書に示されるように、カンナビノイドは、カンビノイドの蜂蜜の活性成分との反応性を低下させ、そして組成物における安定性及び均一性を改善するために、乳化剤と効果的に組み合わせるか又は複合化されてもよい。
【0055】
本明細書に記載される実験は、カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)又はカンナビゲロール(CBG)である、カンナビノイド及び蜂蜜を含む組成物の安定化を示す。構造的に、CBD及びCBGは、共通の5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオール部分を共有する。CBD及びCBGは、ベンゼン環上で2位にあるそれぞれのモノテルペノイド部分の態様は異なるが、CBD及びCBGの両方は、この部分において類似のアルケン官能基を含む。したがって、CBD及びCBGは、一般的に、6員の飽和又は不飽和炭化水素環、その環の5位にあるアルキル鎖、1位及び3位にあるヒドロキシル基又は酸素結合(又はエーテル基)のいずれか、並びに2位にある不飽和アルキル鎖(典型的にはテルペノイド、又はモノテルペノイド部分)を共有する、構造的に関連するより広いクラスのカンナビノイドの代表的なものである。この部分を共有するカンナビノイド化合物は、それらが蜂蜜における類似した溶解性、乳化剤(シクロデキストリンなど)に対する類似した親和性、及び類似した官能基を有するために、本明細書で例示されるCBD及びCBG組成物と比較して類似した物理的安定性及び化学的安定性を示すことが期待される。具体的には、これらの特徴を共有する好まれるカンナビノイドとしては、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビクロメン(CBC)、及びテトラヒドロカンナビバリンが挙げられる。好ましくは、カンナビノイドは、これらの化合物の塩、酸及びエステル型を含む。
【0056】
カンナビジオール(CBD)は、その健康上の利益及び/又は不安、疼痛及び運動障害を含む病態に有用であるとの消費者へのアピールによって、好ましいカンナビノイドである。カンナビゲロール(CBG)は、その抗菌、抗炎症及びその他の健康上の用途における可能性によって、さらに好ましいカンナビノイドである。
【0057】
カンナビノイドは、純粋な化合物又は抽出物として提供されてもよい。例えば、カンナビジオールは、カンナビジオール単離物のような純粋な化合物として、又はブロードスペクトラムオイルのような抽出物として提供されてもよい。ブロードスペクトラムオイル中のカンナビジオールの濃度は、供給者によって変動するが、典型的には約30%と50%の間である。同様に、カンナビゲロールは、純粋な化合物又は抽出物として提供されてもよい。
【0058】
本発明の好ましい組成物は、組成物の1グラムあたり約0.5mgと10mgの間のカンナビノイド、又は組成物の1グラムあたり約0.5mgと15mgの間のカンナビノイドを含む。実施例1から実施例5には、おおよそ1mg/gと7mg/gのカンナビノイドの濃度を含む組成物が記載される。
【0059】
乳化剤
カンナビノイドは、過酸化水素、MGO及びDHAなどのマヌカ蜂蜜の活性成分と反応性のある多くの官能基を含む。したがって、マヌカ蜂蜜とカンナビノイドの両方を含む組成を提供できるようになるには、蜂蜜の活性成分とカンナビノイドの間の反応性の低下を必要とする。
【0060】
MGO及びDHA及び過酸化水素などのマヌカ蜂蜜における活性成分は、蜂蜜に対する添加物との反応により分解する傾向がある。例えば、MGO及びDHAは、カンナビノイドと反応し、カンナビノイドにより分解する傾向があると考えられている。本発明者らは、カンナビノイドと乳化剤を組み合わせてカンナビノイドと乳化剤の組み合わせを生成することが、本発明の組成物中の活性成分の分解速度を低下させると考える。さらに、カンナビノイドの乳化剤との結合は、蜂蜜の活性成分、特にMGOにより、カンナビノイドを分解(例えば、酸化分解)から保護すると考えられる。
【0061】
シクロデキストリンは、好ましい乳化剤の1つである。γ-シクロデキストリン(γ-CD)は、特に好ましい。本明細書に記載される方法に従ったシクロデキストリンのカンナビノイドとの組み合わせは、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を生成する。この複合体は、カンナビノイドとシクロデキストリンの間の非共有結合及び/又は水素結合のような安定化相互作用を含む。
【0062】
理論に縛られることなく、カンナビノイドは、シクロデキストリン環の内部と相互作用すると考えられる。シクロデキストリン及びカンナビノイドの官能基の間の安定化相互作用は、カンナビノイドを、少なくとも部分的に、シクロデキストリン環の内部に保持すると考えられる。カンナビノイドとシクロデキストリンの間の相互作用の結果、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体は、複合化されないカンナビノイドと比較して、蜂蜜組成物においてより溶解性が高い。
【0063】
乳化剤としてシクロデキストリンを含む本発明の実施態様では、好ましくは、この組成物は、分子レベルで、それぞれのカンナビノイド分子がシクロデキストリンの分子と複合体化されるように、シクロデキストリン:カンナビノイドを少なくとも1:1のモル比で含む。生成中の不完全な複合体形成効率、及び/又は1つより多いカンナビノイド分子と1つのシクロデキストリン分子との複合体形成を考慮すると、好ましくは、そのモル比は、シクロデキストリン:カンナビノイド 1:1よりも大きい。
【0064】
実施例3における遠心分離後のサンプルの上部と底部におけるカンナビノイド含有量の分析は、組成中のカンナビノイドの均一性が、シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比が4:1(w/w)より大きい場合に最もよく保持されることを示した。最高の結果は、シクロデキストリンのカンナビノイドに対する比が9:1(w/w)の場合に観察された。
【0065】
本発明者らは、組成物の化学的及び物理的安定性の観点から、本発明の組成物におけるシクロデキストリンの量に上限はないと考える。
【0066】
理論に縛られることを望まないが、蜂蜜組成物におけるカンナビノイドの分解速度の低下は、カンナビノイドの乳化剤との複合体形成に起因すると考えられる。具体的には、カンナビノイドの乳化剤との複合化形成は、MGO及びDHAなどのマヌカ蜂蜜の活性成分との反応によりカンナビノイドの分解速度を低下させると考えられる。逆に、カンナビノイドによる蜂蜜の活性成分(例えば、MGO及びDHA)の分解速度の低下は、カンナビノイドの乳化剤との複合体形成によるものと考えられる。
【0067】
したがって、カンナビノイドとの複合化におけるシクロデキストリンの使用は、蜂蜜及びカンナビノイドを含む組成物の安定性を増加させ、それにより、組成物の保存期間を延長させると考えられる。
【0068】
レシチンは、別の乳化剤である。レシチンの主要な成分は、リン脂質のホスファチジルコリンの一種であり、そしてこれらの成分は、レシチンが乳化剤である本発明の組成物においてカンナビノイドの安定化に寄与すると考えられる。ヒマワリのレシチンが、実施例に記載される組成物に使用されたが(下記参照のこと)、レシチンのいずれの供給源も、本発明の組成物に適している。理想的には、使用されるレシチンは、通常使用される温度で液体である。
【0069】
乳化剤としてレシチンを含む本発明の実施態様では、好ましくは、この組成物は、組成物中でカンナビノイドが十分に安定化されるように、レシチン:カンナビノイドを少なくとも0.5:1の重量比で含む。本発明者らは、組成物の化学的及び物理的安定性の観点から、本発明者らは、本発明の組成物中のレシチンの量に上限はないと考える。
【0070】
理論に縛られることを望まないが、レシチンは、蜂蜜/カンナビジオール組成物中にカンナビジオールを含む油相のドメインを安定化すると考えられる。蜂蜜中に懸濁したカンナビジオール含有オイルのドメインは、レシチンにより安定化される。この相互作用は、蜂蜜中のオイルドメインの合体速度を低下させ、蜂蜜と油相の低い分離速度をもたらし、そして組成が均一である時間の長さを延長する。
【0071】
組成物
好ましい組成物では、蜂蜜及びカンナビノイドは、相対的な量で存在しており、組成物の一人分(それは、小さじ約1杯、又は約7グラムである)が、蜂蜜成分及びカンナビノイド成分の両方から消費者に利益を提供する。
【0072】
好ましいカンナビノイドの量は、それぞれのカンナビノイドの推奨治療適用量によって異なってもよい。本発明の組成物におけるカンナビノイドの上限と下限は、その所望の治療効果に関連し、したがって、組成物の典型的な提供サイズに関連する。しかし、ほとんどのカンナビノイドにとって、好ましい範囲は、蜂蜜の1グラムあたり約0.5mgから約10mg、又は約0.5mgから約15mgのカンナビノイドである。
【0073】
組成物がカンナビジオールを含む場合、好ましい組成物は、蜂蜜の1グラムあたり約0.5mgから10mgのカンナビジオールを含む。0.5mg/gから10mg/gの範囲は、組成物約7gの一食分で所望の治療効果を提供すると考えられる。
【0074】
組成物がカンナビゲロールを包含する場合、好ましい組成物は、蜂蜜の1グラムあたり約0.5mgから10mgのカンナビゲロールを含む。0.5mg/gから10mg/gの範囲は、組成物約7gの一食分で所望の治療効果を提供すると考えられる。
【0075】
本発明の組成物は、好ましくは、天然の蜂蜜の含水量に近い含水量を有する。本発明の利点は、蜂蜜、乳化剤及びカンナビノイドの組み合わせに対して追加の水を必要としないことである。したがって、好ましくは、組成物は20%(w/w)以下の含水量を有する。
【0076】
さらなる考慮としては、乳化剤とカンナビノイドが相互作用して、安定化されたカンナビノイド-乳化剤系を形成し、その結果カンナビノイドの蜂蜜の活性成分との反応性が低下することである。乳化剤がシクロデキストリンのような複合体形成性乳化剤である場合、安定化されたカンナビノイド-乳化剤系は、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体である。乳化剤がレシチンのようなミセル形成性乳化剤である場合、安定化されたカンナビノイド-乳化剤系はレシチンにより安定化されたカンナビノイドミセルである。
【0077】
食感及びその他の感覚受容性の特性
乳化剤の存在及び種類は、本発明の組成物の食感及びその他の感覚受容性の特性に影響を及ぼすことが見出されている。
【0078】
乳化剤は、組成物の粘度を調整し、それは食感に影響を及ぼす。本明細書に記載されるマヌカ蜂蜜及びシクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む組成物に対しては、組成物の粘度は、実質的にマヌカ蜂蜜の粘度と同じである。
【0079】
カンナビノイド-乳化剤系の組成は、例えばシクロデキストリンとの組成では、組成物の味、匂い、及び風味に影響を及ぼす。シクロデキストリンを含む組成物は、カンナビノイド成分の減少した風味を有することが見出されている。これは、カンナビノイドのシクロデキストリンとの複合体形成に起因すると考えられる。
【0080】
さらに、本明細書に記載されるマヌカ蜂蜜及びシクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む組成物は、シクロデキストリン:カンナビノイドが9:1(w/w)の比を有する組成であっても、相補的なテクスチャプロファイルを含むことがさらに見出されている。
【0081】
物理的安定性/分離する傾向
カンナビノイドを含む組成物は、組成物全体を通してカンナビノイドが物理的に安定した、均一な分散を有し、そしてその有効期間全体にわたり均一なままであることが重要である。この目的に対しては、組成物の有効期間を延長するために、カンナビノイドの均一な分散を可能な限り長く保持することが有利である。しかし、蜂蜜のような他の媒体を介して分散されたカンナビノイドは、組成物中で分離し、そしてカンナビノイドのより高濃度の領域及びより低濃度の領域を形成する傾向がある。蜂蜜中のカンナビノイドの分離は、乳化剤-カンナビノイドの組み合わせを用いて延長された期間、回避できることが見出されている。
【0082】
好ましい組成物は、組成物の成分、特にカンナビノイドが、商業的に有用な期間の間、組成物全体に均一に分散される結果、物理的に安定である。好ましくは、カンナビノイドのそのような物理的安定性及び分布の均一性の期間は、少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも12ヶ月、より好ましくは少なくとも18ヶ月、そして最も好ましくは少なくとも24ヶ月である。
【0083】
実施例1における製剤(マヌカ蜂蜜、ブロードスペクトラムオイル、及びレシチン)は、2,400rpmで10分間の遠心分離の後、組成全体を通してカンナビジオールの均一に分散したレベルを保持することが示された。
【0084】
実施例1における製剤2(マヌカ蜂蜜、ブロードスペクトラムオイル、及びシクロデキストリン)は、遠心分離後のカンナビジオールの均一な分布を含まなかった。製剤2の物理的不安定性は、カンナビノイドのシクロデキストリンとの不完全な複合体形成に起因する。実施例2は、カンナビジオールのシクロデキストリンとの好結果を得る複合体形成が、遠心分離後のカンナビジオールの均一な分布を実際に提供することを示す。実施例2は、カンナビジオールのシクロデキストリンとの複合体形成が、遠心分離後のカンナビジオールの均一な分布に重要である一方、シクロデキストリン-カンナビジオール複合体の蜂蜜への溶解も重要であることをさらに示す。
【0085】
実施例及び添付の表に示されるように、蜂蜜との混合に用いられる処理温度は、試験された温度範囲を通してカンナビジオールの特性に対していかなる影響も有さなかったようである。
【0086】
いずれの乳化剤も含まない、ブロードスペクトラムオイル及びマヌカ蜂蜜を含む製剤は、底部の画分で0.7mg/g、及び上部の画分で2.9~3.6mg/gの濃度を有する、最も強い分離の兆候を示す(表1~3を参照のこと)。予め製剤した中鎖のトリグリセリドオイル中のブロードスペクトラムオイルは、乳化剤を加えずにマヌカ蜂蜜と混合した場合、遠心分離下で中程度の分離感受性を示した(表1~3を参照のこと)。
【0087】
クローバー蜂蜜中の製剤は、そのマヌカ蜂蜜の相当する製剤に対して、実質的に類似したカンナビジオール濃度結果を示した。
【0088】
実施例1~4では、本発明の組成物を含有する試料管の2,400rpmで10分間の遠心分離、及びその後のそれぞれのサンプルの上部と底部でのカンナビノイドの濃度の比較が記載される。その結果は、組成物が上部と底部の間の濃度において実質的に均一なままであることを示す。本明細書に記載される遠心分離安定性試験は、物理的安定性の極端な試験であると考えられる。これらの条件下での分離の証拠は、通常の重力及び貯蔵条件下で同じように分離が起こることを直接示すものではない。しかし、それは良好な指標であり、言い換えると、相対的安定性であり、そして相対的分離傾向である。したがって、本発明の組成物、特に蜂蜜とシクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む組成物が、遠心分離後も実質的に均質なままであったという事実は、特に25℃以下で保存した場合、例えば、少なくとも6ヶ月で、より好ましくは少なくとも12ヶ月で、より好ましくは少なくとも18ヶ月で、最も好ましくは少なくとも24ヶ月の、経時的に良好な物理的安定性及び均質性を示す。
【0089】
マヌカ蜂蜜の活性剤とカンナビノイドの化学的安定性
マヌカ蜂蜜中のMGO及びDHAの濃度は、本発明の組成物を調製するための処理工程によって実質的に影響を受けなかった。マヌカ蜂蜜の出発物質及び本発明の組成物の分析は、MGO、DHA及びHMFの濃度が実質的に類似していることを示した。
【0090】
カンナビノイドの濃度は、本発明の組成物の調製における処理工程によって実質的に影響を受けなかった。
【0091】
実施例5では、レシチン又はシクロデキストリンのいずれかを用いて安定化された組成物におけるカンナビノイド及びマヌカ蜂蜜の活性成分の安定性の分析が記載される。12、18又は24ヶ月間にわたる組成物の安定性の可能性を決定するために、組成物は、標準条件(25℃及び60%RH)と同様に加速した経時変化条件(40℃及び75%RH)に供された。CBDは、温度を上昇させることにより加速される反応において経時的に分解生成物に変換されることが知られており(Moreno, T., et al. (2020). "Cannabinoid Decarboxylation: A Comparative Kinetic Study." Industrial & Engineering Chemistry Research 59(46): 20307-20315)、したがって、より高温度に供されたサンプルから得られた観察された変化は、標準条件下でより長い期間にわたって何が予想されるかを示している。
【0092】
カンナビノイド及びマヌカ蜂蜜の活性成分の分解速度は、レシチンを含む組成物と比較して、シクロデキストリンを含む組成物において、標準条件下並びに加速した経時変化条件下の両方で有意に低下した。
【0093】
カンナビノイドと同様に、MGO及びDHAを含む蜂蜜の活性成分の分解速度は、温度と共に増加する。したがって、組成物の貯蔵寿命は、貯蔵中の高温を避けることによって改善される。実施例5で示すように、室温で保存されたシクロデキストリン含有組成物中のMGO含有量は、対照に対して観察されたものと実質的に同じであった。例えば、MGOの濃度は、25℃で6ヶ月間の保存にわたって変化せず、そしてDHAの濃度は、25℃で6ヶ月間の保存の後も250mg/kg以上のままであった。シクロデキストリン含有組成物中のカンナビノイドの含有量は、25℃で6ヶ月間にわたって実質的に一定であったが、レシチン含有組成物中のカンナビノイドの含有量は、いくらかの減少を経験した。
【0094】
調製方法
本発明の組成物は、カンナビノイドを乳化剤及び蜂蜜と混合することによって調製されてもよい。
【0095】
一例では、組成物は、カンナビノイドを乳化剤と混合して、カンナビノイド/乳化剤の組み合わせを調製する最初の工程、及びカンナビノイド/乳化剤の組み合わせたものを蜂蜜と混合する次の工程により調製される。乳化剤がシクロデキストリンである場合、カンナビノイド/乳化剤の組み合わせを調製する工程は、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を生成するためのカンナビノイド及びシクロデキストリンの組み合わせを含む。シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を調製するための好ましい方法は、複合化プロセスを補助するための、イソプロピルアルコールのような水混和性溶媒の使用を含む。本発明に好適な別の水混和性溶媒は、エタノールのような食品製品の製造における使用に適した溶媒を含む。シクロデキストリン-カンナビノイド複合体の調製の後には、複合体を乾燥させるための蒸発工程がある。これは、凍結乾燥又は噴霧乾燥で達成されてもよい。実施例2に記載したように、シクロデキストリン含有組成物は、低い芳香と淡い色を有しており、これは良好な複合体形成を示している。
【0096】
好ましい調製方法では、カンナビノイド-乳化剤の組み合わせたものを蜂蜜と混合する工程は、ガスの付随的な取り込み、又は少なくとも過剰な取り込みなしで行われる。あるいは、カンナビノイド/乳化剤を組み合わせたものを蜂蜜と混合した後に、任意選択的な脱ガス化工程を行ってもよい。経時的に行なう、組成物の脱ガス(例えば、脱気)は、ガスが組成物を通して上昇するとき、相分離の速度を増加させる可能性があると考えられる。したがって、経時的な自然の脱ガスを回避又は減少させるために、脱ガスの積極的な工程が行われてもよい。
【0097】
一例では、本発明の組成物の調製方法は、(1)シクロデキストリンの水溶液を水混和性溶媒に溶解したカンナビノイドと組み合わせて、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を含む溶液を調製する工程;(2)任意選択的に、シクロデキストリン-カンナビノイド複合体の溶液に水又は水混和性溶媒を加える工程;(3)シクロデキストリン-カンナビノイドの溶液を噴霧乾燥(任意選択的に50℃以下の温度で)するか又は蒸発(任意選択的に50℃以下の温度で)により乾燥し、その後凍結乾燥して、乾燥したシクロデキストリン-カンナビノイド複合体を調製する工程;及び(4)シクロデキストリン-カンナビノイド複合体を蜂蜜と組み合わせる工程、の工程を含む。
【実施例】
【0098】
材料
33%のカンナビジオールを含有するブロードスペクトラムオイルは、Dragonfly Biosciences, United Kingdomから入手し;72%のカンナビジオールを含有する全スペクトラム蒸留物(BSD)は、Casco Bay Hemp, USAから入手し;MCTオイル中のカンナビジオール(10%カンナビジオール)は、Dragonfly extractsから入手し;カンナビジオール単離物99%は、Casco Bay Hemp, USAから入手し;カンナビゲロール単離物99.6%は、Sanobiotec Novus UASから入手し;マヌカ蜂蜜(UMF10+)は、ORAF Foods (New Zealand)から入手した。クローバー蜂蜜は、Arataki Honeyから入手し;液体の形態のヒマワリレシチンは、Soya Internationalから入手し;γ-シクロデキストリン(CavamaxW8)はWackerから入手した。
【0099】
マヌカ蜂蜜は使用前に分析して、1.2のDHA:MGO比、及び約35mg/kgのHMFの濃度を有することを見出した。
【0100】
実施例1
製剤1-ブロードスペクトラムカンナビジオールオイル、マヌカ蜂蜜及びレシチンを含む組成物
ブロードスペクトラムオイル(1g)を、液体レシチン(9g)と混合して、混合物がよく混合されるまで攪拌しながら約45℃に加温した。その後、この混合物3gを、約50℃にあらかじめ加温した蜂蜜197gに加えた。混合物は容易に混ざり、目に見える分離なしに、数分間攪拌した。
【0101】
製剤2-ブロードスペクトラムカンナビジオールオイル、マヌカ蜂蜜及びシクロデキストリンを含む組成物
γ-シクロデキストリン(γ-CD)を水と1:1の質量比(γ-CD 80g+水 80g)で混合して、ペーストを調製し、すべての固体が確実に均一に混合されるようにした。イソプロピルアルコール(IPA)中のブロードスペクトラムオイルの濃縮溶液(50%) 47gを、混合するまで連続的に攪拌しながらγ-CDペーストに加えた。連続的にかき混ぜながら、最終的な混合物のIPA含有量が5%未満に確実になるように、追加の水(250mL)を加えて、低粘度の水性懸濁液を得た。その後、懸濁液を凍結乾燥した。
【0102】
凍結乾燥粉末 1.22gを細かく粉砕して、約50度にあらかじめ加温した蜂蜜 約199gに混合した。
【0103】
製剤1及び2に対して、製剤プロセスを通してMGO及びDHAの濃度を測定して、安定していることを観察した。
【0104】
安定性
加温した製剤1及び2のサンプルを遠心管に移し、2,400rpmで10分間遠心分離した。管の上部と底部からサブサンプルを採取した。製剤1は、視覚的に均一なように見え、そして上部と底部のサブサンプルの分析は、カンナビジオールの量が均一であることを示した。製剤2は、チューブの上部に泡状の層を示し、そして上部と底部のサブサンプルの分析は、底部のサブサンプルと比較して上部のサブサンプルにおけるカンナビジオールの濃度が高く、混合が不十分なあるカンナビジオール複合体が上部表面に分離したことを示唆する。シクロデキストリンの複合体は、凝集と不均一性を示唆する粒状物に見えた。
【0105】
実施例2
製剤3~5-ブロードスペクトラムカンナビジオールオイル、マヌカ蜂蜜及びレシチンを含む組成物
レシチン中のブロードスペクトラムオイル(BSO)の混合原液を、必要な比率で組み合わせ、次いで、攪拌しながら混合物が良好に混合されるまで約45℃に加温することにより調製した。BSOは、重量比で33%のカンナビジオールを含んでいた。製剤3から製剤5は、以下のBSO:レシチン(w/w)比:
製剤3: 1:10(合計33g)
製剤4: 1:5(合計6g)
製剤5: 1:2(合計3g)
を有した。
【0106】
次に、蜂蜜を目標の温度(50℃、60℃、又は70℃)に温めて、原液のサブサンプルを、蜂蜜と混合し、必要量のレシチン-BSO混合物を加え、0.14重量%又は0.70重量%(すなわち、1.4mg/g又は7mg/g)の全体としてのカンナビジオール濃度を与えて、30分間攪拌した。
【0107】
製剤7-カンナビジオール単離物とレシチンを含む組成物
カンナビジオール単離物粉末とレシチンの混合物(1:10のカンナビジオール単離物:レシチンの比(w/w)、1:10のカンナビジオール:レシチン(w/w)と同等)を約45℃で溶解するまで撹拌して調製した。混合物はよく混合され、混合後に目に見える不均一性はなかった。
【0108】
次に、カンナビジオールとレシチンの組み合わせを、異なる目標比と温度で蜂蜜と混合した。実施例の組成物、及びその分析を表1~3に示す。
【0109】
製剤8-ブロードスペクトラムオイル、マヌカ蜂蜜及びシクロデキストリンを含む組成物
γ-CDを水と1:1の質量比(γ-CD 18g+水 18g)で混合して、均一なペーストを調製した。イソプロピルアルコール(IPA、6g)中でブロードスペクトラムオイル(2g)の溶液を別に調製した。IPAの使用したブロードスペクトラムオイルに対する比率は、混合物中のブロードスペクトラムオイルの流動性を改善してカンナビジオール-シクロデキストリン複合体形成を助けることを目的としており、実施例1に記載した実験における比率よりも高かった。
【0110】
ブロードスペクトラムオイル溶液をγ-CD溶液に混合しながら加えた。混合中に追加の水(40g)を加えて、均一な混合を達成した。混合物を最大35℃の真空下で部分的に蒸発させ、次いで凍結乾燥した。凍結乾燥した粉末を微粉末に粉砕した。18.6gの複合物を調製した。粉末は淡褐色で、目立った芳香はなかった。
【0111】
次に、異なる比率と温度で、γ-CD複合体の粉末を蜂蜜と混合した実施例の組成物、及びその分析を表1~3に示す。
【0112】
製剤9-カンナビジオール単離物、マヌカ蜂蜜及びシクロデキストリンを含む組成物
次に、製剤8と同様の方法で、γ-CDとカンナビジオール単離物を用いた複合粉末を調製した。カンナビジオール単離物粉末(2g)をIPA(6g)に溶解し、水中でγ-CDと混合した。蒸発後に、凍結乾燥、及び粉砕を行って、白色の無芳香のない粉末 18.6gを調製した。
【0113】
次に、異なる比率と温度で、γ-CD複合粉末を蜂蜜と混合した。実施例の組成物、及びその分析を表1~3に示す。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
実施例3
この実施例(表4)では、前の実施例に記載された方法に従って、カンナビジオール単離物とブロードスペクトラム蒸留物(BSD)、及び2つの異なるγ-CDの投入量(loadings)の両方を用いて、蜂蜜中の4つの異なるCBDの製剤を調製した。全ての場合で、γ-CDを水と1:1の質量比で混合してペーストを調製した。カンナビジオール単離物又はBSDを、イソプロピルアルコール(IPA)中に溶解し、連続撹拌下でγ-CDペーストに加えた。CBD単離物が100%のCBDを含有すると仮定した一方、1:4又は1:9の比はCBD:γ-CDを指しており、使用したBSDの量は、製造業者により報告されたBSD中のCBD含有量(72%)に基づいてその比を達成するよう計算したことに留意のこと。凍結乾燥するために、連続撹拌下で追加の水を加え、IPAを低い濃度に希釈して、低粘度の水性懸濁液を得た。この溶液を-80℃に凍結し、次いで凍結乾燥した。表5に与えられた重量は、回収された材料である。
【0118】
【0119】
【0120】
その後、得られた乾燥粉末を、細かく粉砕し、約50℃にあらかじめ加熱した蜂蜜に激しく攪拌しながら加えた。
【0121】
γ-CDを蜂蜜に上記と同等の比率で混合することにより、二つの追加の非CBD蜂蜜製剤(製剤5及び6)を調製した。
【0122】
製剤1~4の小さなサンプルをわずかに放冷した後、2,400rpmで10分間遠心分離した。次に、カンナビノイド分析のために管の上部と底部からサンプル(1~2g)を採取した。いくつかのサンプルでは、遠心分離した後に表面上に白い泡状の層が現れた。これは、遠心分離中に蜂蜜からの空気の放出に関連していると考えられる。
【0123】
CBD濃度
最終的な蜂蜜製品における目標のCBD濃度は、小さじ1杯の蜂蜜製品あたり50mgCBDであった。小さじ1杯の蜂蜜=7gと仮定すると、これは蜂蜜1gあたり7.1mgのCBDと同等である。それぞれの製剤に対して行った計算は、この目標最終濃度と全スペクトラム蒸留物中のCBDの規定濃度(72%)に基づいた。分析が、提供された蒸留物中のCBD濃度が77%であることを明らかにしたことに留意のこと(表5)。
【0124】
最終製品中の測定したカンナビノイド濃度を表7に報告する。すべての蜂蜜製剤は、通常1gあたり7.1mgのCBD(すなわち0.71%)の目標濃度の範囲内である。γ-CD複合体中のCBD及びCBN(カンナビノール)の含有量は、供給されたBSD及び単離物中のCBD及びCBNの濃度に基づいて予測される量と一致している。
【0125】
【0126】
【0127】
物理的安定性
製剤のサンプルをわずかに暖かいまま2,400rpmで10分間遠心分離し、管の上部と底部から、CBD分析のためのサブサンプルを別々に採取して、分離が発生したかどうかを判断した。
【0128】
前の実施例1及び2(上記)と同様に、遠心分離した後に、すべてのγ-CD製剤の上部に泡状の層が観察された;これは、蜂蜜内からの成分の分離というよりも、蜂蜜の脱気に関連していると考えられる。しかし、脱気自体が、蜂蜜を通って空気が上昇するとき、ある程度の相分離を引き起こす可能性があるため、製剤を混合する間、混合プロセスによって過剰な濃度の空気が導入されないこと、又は製品を完全に均質化する前に管理された脱気プロセスを行うことに注意を払うべきある。わずかに高いCBD濃度が、製剤1及び3に対する遠心分離後の上部サンプルで測定された(表7)。これらの製剤は、γ-CDの低い投入量を有し、遠心分離の間のCBDの不十分な安定性と分離をもたらした可能性がある。
【0129】
蜂蜜の属性
前の実施例(実施例1及び2)で観察されたように、試験製剤を作成するためのCBD及び複合化剤の添加は、蜂蜜の性質に対していかなる有害な影響も有さないようであり、そして製剤と分析の間の処理又は短い保存期間のいずれかに起因する、出発原料の蜂蜜と二つの製剤の間の実質的な相違はない。
生理学的には、MGOは、「活性酸素種」、すなわち酸化剤と見なされる。これらの結果は、特にCBD蒸留物サンプルに対して、MGOにおける明らかな減少がないため、製剤プロセスの間に発生する酸化反応がないことを示唆する。製剤1、3、5は、96%の蜂蜜を含有したが、製剤2、4、6は、大量のγ-CDの存在を有し、従って、蜂蜜は93%しか有さなかったことは注目に値する。純粋な蜂蜜の結果を、様々な製剤の結果とより正確に比較するためには、100%の蜂蜜に対して標準化する必要がある。両方のセットの値を表8に示す。
【0130】
【0131】
実施例4
前の実施例に記載された方法に従って、カンナビゲロール(CBG)の入った糖蜜製剤を、9:1のγ-CD:CBGの投入量を用いたCBG単離物を用いて調製した。
【0132】
γ-CD 9gを水と1:1の質量比で混合してペーストを調製した。CBG単離物(1g)を、イソプロピルアルコール(IPA、3g)中に溶解し、連続で撹拌しながらγ-CDペーストに加えた。連続で攪拌しながら追加の水(最大50g)を加え、凍結乾燥のためにIPAをより低い濃度に希釈して、低粘度の水性懸濁液を得た。この溶液を、-80℃まで凍結した。次いで得られた乾燥粉末を細かく粉砕し、約50℃にあらかじめ加温した蜂蜜に、激しく撹拌しながら加えた。蜂蜜とCBGの組成物の詳細を以下の表9に示す:
【0133】
【0134】
製品のサンプルを、わずかに比較的温かいままで、2,400rpmで10分間遠心分離した。次いで、CBG分析のために、管の上部と底部からサブサンプル(1~2g)を採取した。遠心分離した後、上表面上に白い泡状の層が現れた。これは、遠心分離の間の蜂蜜からの空気の放出に関連していると考えられ、以前の実施例における観察と一致している。
【0135】
最終的な蜂蜜製品における目標CBG濃度は、蜂蜜1gあたり1.4mgのCBGであった。測定した最終製品のCBG濃度を表10に示す。
【0136】
γ-CD複合体中のCBGの濃度(1gあたり104mg)は、期待値の10%と一致している。最終製品中のCBGの濃度(1gあたり1.2mg)が、目標の1gあたり1.4mgよりわずかに低いが、これは、おそらく現在の分析方法の期待分散の範囲内であり、したがって期待値から有意に逸脱するものではない。報告された結果は、質量スペクトルデータに基づいている;しかし、275nmで記録されたUVデータを見直すことによっても結果が確認され、これは以下に報告した結果と一致することが見出された。
【0137】
最終的な製剤の小さなサンプルを、わずかに暖かいまま2,400rpmで10分間遠心分離し、CBG分析のためにチューブの上部と底部からサブサンプルを別々に採取して、分離が発生したかどうかを決定した。
【0138】
物理的安定性
前の実施例1~3と同様に、遠心分離した後に製剤の上部に泡状の層が観察された。これは、蜂蜜自体からの成分の分離というより、蜂蜜の脱気と関連していると考えられる。最終製品の遠心分離後の上相及び底相の分析は、CBGの有意な分離を示さなかった(表10参照)。
【0139】
【0140】
蜂蜜の属性
実施例1~3で観察されたように、試験製剤を作成するためのCBG及びγ-CDの添加は、蜂蜜の性質に対していかなる有害な影響も有さないようであり、そして出発物質の蜂蜜と最終製剤との間に実質的な相違はない(表11)。純蜂蜜に対する結果は、実施例3における同じ蜂蜜で得られた結果と一致しており、貯蔵中の良好な安定性を示す。
【0141】
【0142】
実施例5
CBDを注入したマヌカ蜂蜜製剤に対する安定性試験を行った。CBD乳化剤の組み合わせの製造におけるレシチン又はγシクロデキストリンのいずれかを用いて、2つの異なる製剤を調製し、そして4つの異なるタイプの包装材料を使用した。
【0143】
加速した経時変化研究では、製剤を6ヶ月にわたって管理された環境(40℃、相対湿度75%)中に保存し、サンプルを、0、3か月、及び6ヶ月目に蜂蜜中のCBD含有量で試験し、及び/又は選択された品質マーカー(DHA、HMF及びMGO)を選択した。室温研究では、サンプルを25℃、相対湿度60%の管理された環境中で保存した。
【0144】
レシチン製剤は、40℃での低い安定性を有し、最大70%のCBDの損失を伴うことが見出された。また、この保存温度で6ヶ月後には最大86%のMGOの損失があり、250mg/gを超える値まで対応するHMFの増加があった。一方、γ-CD製剤は、40℃で最大14%の損失のみを伴う非常に良好な安定性を示した。
【0145】
予想通り、室温での貯蔵時間を伴う試験した化合物の濃度の変化は、40℃でのものよりもはるかに少なかった。
【0146】
レシチン製剤
ヒマワリのレシチン(27.02g)を、CBD単離物(3.01g)と45℃で均一に混合し、1:9のCBD:レシチン比を有する混合物を調製した。この混合物の画分(22.7g)をマヌカ蜂蜜(1477g)に60℃で攪拌しながら1時間かけて加えた。次いで、得られた混合物を提供された貯蔵容器に移し、「製剤3」(F3)と表示した。
【0147】
γ-シクロデキストリン製剤
γ-CD(36.05g)を水(36.48g)と1:1の質量比で混合して、均一なペーストを調製した。CBD単離物(4.01g)を、イソプロピルアルコール(12.05g)中に溶解し、連続的に撹拌しながらγ-CDペーストに加えて、CBD:γ-CD(w/w)比を1:9にした。最終的な混合物を確実なものにするために、連続的に撹拌しながら追加の水(~380mL)を加えて、低粘度の水性懸濁液を得た。IPAを、真空下40℃で蒸発によって除去し、得られた溶液を-80℃まで凍結し、次いで凍結乾燥した。次いで、得られた乾燥複合体の画分(20.8g)を細かく粉砕し、マヌカ蜂蜜(1479g)と60℃で1時間かけて攪拌しながら混合した。次いで、得られた混合物を提供された貯蔵容器に移し、「製剤4」(F4)と表示した。
【0148】
加速した経時変化研究
加速試験の結果を表12に示す。全ての製剤は、通常目標の初期濃度である1gあたり1.4mgのCBDの範囲内である。容器の種類に関係なく、保存温度40℃で、全てのレシチン製剤サンプル(F3)に対するCBD濃度は、3ヶ月後に急激に減少(最大50%)する。このCBDの減少は、経時的に続き、そして6か月後に最大70%に達する。対照的に、γ-CD製剤サンプル(F4)は3ヶ月間にわたって優れた安定性を示し、そしてすべての容器の種類に対して6ヶ月後にCBDのわずかな減少(最大14%)を示した。
【0149】
二つの異なる製剤、並びに対照(純粋な蜂蜜)に対して、半年間にわたって測定した、カンナビジオール(CBD)、DHA、HMF及びMGOの平均値を表12に示す。結果は、40℃で6ヶ月後に蜂蜜の有意な分解を示す。
【0150】
【0151】
室温での研究
25℃ 60%RHで6か月の保存後のそれぞれのサンプルにおいて測定したCBD濃度を表13に示す。加速研究において観察されたように、レシチンサンプルは6か月後に中程度のCBDの損失(14~27%の損失)を示した。PET容器のサンプル、次いでPP容器のサンプルは最も低い安定性を有するようであるが、ガラス容器及びHDPE容器は、同様の結果を示した。γ-CDサンプルは優れた安定性を示し、6ヶ月後にCBDの明らかな喪失はなかった。
【0152】
蜂蜜の性質の点では、対照サンプル(純粋な蜂蜜)はDHAにおける中程度の減少を示したが、MGOの小さな減少のみを示した。ガラス容器中に保存されたγ-CDサンプルの結果は、対照サンプルと通常一致しており、そしてCBD-γCD複合体が、蜂蜜の安定性に対して悪影響を有さないようであることを示している。対照的に、レシチンサンプルの結果は、対照及びγ-CDサンプルと比較して、経時的にMGOにおける有意な減少を示した。
【0153】
【0154】
本明細書で参照又は言及されるすべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、及びその他の文書及び資料は、本発明が関連する当業者の技術のレベルを示すものであり、そしてそれぞれのそのような参照される文書及び資料は、参照によりその全体が個別に組み込まれているか、又は本明細書に全体が記載されていると同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、いずれのそのような特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、及びその他の参照される資料又は文書からのあらゆる全ての資料及び情報を本明細書に物理的に組み入れる権利を留保する。
【0155】
特に別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有するものと解釈されるべきである。
【0156】
本明細書で開示される数の範囲(例えば、1から10)への参照は、その範囲内のすべての関連する数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)への参照、及びその範囲内の任意の有理数の範囲(例えば、2から8、1.5から5.5、3.1から4.7)への参照も組みこむことが意図され、したがって、本明細書で明示的に開示されるすべての範囲のすべての部分範囲が明示的に開示される。これらは具体的に意図されているものの例にすぎず、そして列挙された最小値及び最大値の間の数値のすべての可能な組み合わせは、同様の方法で本出願において明示的に記載されていると考えられる。
【0157】
用語「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解されるべきであり、そして両方の意味又はいずれかの意味に対して明示的な裏付けを提供するものと解釈されるべきである。
【0158】
本明細書全体を通して、特に明記されていない限り、又は文脈が別の意味を必要としない限り、単一の工程、物質の組成、工程のグループ又は物質の組成のグループへの参照は、それらのステップ、物質の組成、工程のグループ又は物質の組成のグループの1つ及び複数(すなわち、1つ以上の)を包含するものと解釈されるべきである。
【0159】
本発明は実施例として記載されているが、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び修正がなされ得ることを認識するべきである。さらに、特定の特徴に対して公知の同等物が存在する場合、そのような同等物は、本明細書において特に言及されているかのように組み込まれる。本明細書記載されている特定の組成物及び方法は、好ましい例の代表的なものであり、且つ例示的なものであって、本発明の範囲の制限として意図されない。他の態様及び実施例は、本明細書を考慮するとき当業者が見出すであろうし、且つ請求項の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内に包含される。当業者にとって、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に対して様々な置換及び修正を行うことができることは容易に明らかであろう。本明細書に例示的に記載されている本発明は、本質的なものとして具体的に開示されていない、任意の要素(単一若しくは複数の)、又は制限(単一若しくは複数の)が無くても実施され得る。したがって、例えば、本明細書に記載されるか又は使用されているいずれかの例において、本発明の実施態様又は実施例において、用語「含む」、「本質的にから成る」、及び「からなる」のいずれも、本明細書における他の2つの用語のいずれかに置き換えられ得る。また、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する」などは、拡大し且つ限定なく解釈されるべきである。本明細書に例示的に記載されるアッセイ及び方法は、異なる工程順で実施されてもよく、本明細書又は特許請求の範囲に示される工程順に必ずしも限定されない。さらに、本明細書に使用されるか又は記載されるとき、或いは、添付の請求項において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数の参照を含む。いかなる状況においても、本明細書に具体的に開示された特定の実施例又は実施態様又は方法に限定されると解釈されなくともよい。
【0160】
用いられた用語及び表現は、限定された用語ではなく、説明の用語として使用され、そしてそのような用語及び表現の使用において、示され且つ記載された特徴の任意の同等物又はその一部を除外することを意図しないが、クレームされた発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認められる。したがって、本発明は、好ましい実施態様及び任意選択的な特徴によって具体的に開示されるが、本明細書で開示された概念の修正及び改変は、当業者によって用いられてもよく、そしてそのような修正及び改変は、本明細書に記載された本発明の範囲内であり、添付の請求項によって定義されると考えられることが理解される。
【0161】
本発明は、本明細書に広く且つ一般的に記載されている。一般的な開示の範囲内にあるより狭い種及び亜属のグループのそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、削除された資料が具体的に本明細書に言及されているかどうかにかかわらず、本属から任意の主題を除去する条件又は否定的な制限を伴う発明の一般的な記載を含む。他の実施態様は、以下のクレーム内にある。さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュグループの観点で記載される場合、当業者は、本発明が、マーカッシュグループの任意の個々のメンバー又はサブグループの観点からも記載されていることを認識するであろう。
【国際調査報告】